JP2009016200A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラッディングを抑制して発電出力を高めるのに有利な燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池は、燃料極41および酸化剤極45とでイオン伝導膜40を挟持した膜電極接合体4と、流体が流れる活物質流体流路と冷媒が流れる冷媒流路9とを有する冷却セパレータ5(51,52)と、燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路を有すると共に冷媒流路を有しない通常セパレータ8とをもつ。単位時間当たりの排水能力において、冷却セパレータの活物質流体流路が通常セパレータ8の活物質流体流路よりも高くなるように、冷却セパレータ5(51,52)の活物質流体流路の流路特性は、通常セパレータ8の活物質流体流路の流路特性に対して異なるように設定されている。
【選択図】図2
【解決手段】燃料電池は、燃料極41および酸化剤極45とでイオン伝導膜40を挟持した膜電極接合体4と、流体が流れる活物質流体流路と冷媒が流れる冷媒流路9とを有する冷却セパレータ5(51,52)と、燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路を有すると共に冷媒流路を有しない通常セパレータ8とをもつ。単位時間当たりの排水能力において、冷却セパレータの活物質流体流路が通常セパレータ8の活物質流体流路よりも高くなるように、冷却セパレータ5(51,52)の活物質流体流路の流路特性は、通常セパレータ8の活物質流体流路の流路特性に対して異なるように設定されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、冷媒が流れる冷媒流路を有する冷却セパレータを備えている燃料電池に関する。
燃料電池は、イオン伝導膜を燃料極および酸化剤極で挟持した膜電極接合体をセパレータで挟んで構成されている。セパレータは、流体が流れる活物質流体流路を備えており、複数組み込まれている。燃料電池は発電反応により発熱するため、冷却することが好ましい。そこでセパレータとして、流体が流れる活物質流体流路と冷媒が流れる冷媒流路とを有し、冷却能を発揮するものが知られている。この場合、イオン伝導膜の過熱が抑えられ、イオン伝導膜の長寿命化を図り得る。
更に、燃料電池として、燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路と冷媒が流れる冷媒流路とを有する冷却セパレータと、燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路を有するものの、冷媒が流れる冷媒流路を有していない通常セパレータとが搭載されたものが開発されている。この燃料電池によれば、冷却セパレータにより燃料電池の冷却を図り得、イオン伝導膜の長寿命化を図りつつも、冷媒が流れる冷媒流路を有する冷却セパレータの搭載数が低減されるため、燃料電池のコスト低減に貢献できる利点が得られる。
また燃料電池では、フラッディングが発生し易い問題がある。フラッディングとは、水によりガス流路を閉鎖させたり狭めることを意味する。フラッディングが発生すると、燃料電池の発電出力が低下する要因となる。フラッディングを引き起こす水の要因としては、発電反応により発生する水、ガスの加湿等が挙げられる。このようなフラッディング等に対処すべく、以下の特許文献等に係る燃料電池が開発されている。
燃料電池として、反応ガスを燃料電池の供給する供給配管の入口マニホルドに近いほど、流路断面積を小さくして入口マニホルド側の圧力損失を増加させたものが知られている(特許文献1)。更に、スタックにおける冷却系の冷却量分布をスタックの電位差方向(セル積層方向)に傾斜させ、スタックの総マイナス側が相対的に高温となるように冷却する燃料電池システムが知られている。また更に、平均粒経20〜70マイクロメートルの人造黒鉛と、熱硬化性樹脂と、内部離型剤とを含む組成物を成形して形成され、表面の平均粗さが1.0〜5.0マイクロメートルに設定され、排水性を高めた燃料電池用セパレータが知られている。
特開2005−56671号公報
特開2006−179381号公報
特開2005−197222号公報
産業界では、フラッディングを抑え、発電出力を高めるのに有利な燃料電池の開発が要望されている。更に、上記した特許文献によれば、燃料電池において冷却セパレータと通常セパレータとが搭載されていることに着目しているものではない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、フラッディングを抑制し、発電出力を高めるのに有利な燃料電池を提供することを課題とする。
本発明者はフラッディングを抑えるべく燃料電池の鋭意開発を進めている。そして、燃料電池に搭載されているセパレータには、冷媒流路をもつセパレータと、冷媒流路をもたない通常セパレータとがあることに着目した。本発明はかかる着目に基づいて開発されたものである。
(1)様相1に係る燃料電池は、燃料流体が供給される燃料極および酸化剤流体が供給される酸化剤極とでイオン伝導膜を挟持した膜電極接合体と、
燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路と冷媒が流れる冷媒流路とを有する冷却セパレータと、
燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路を有すると共に前記冷媒流路を有しない通常セパレータとを具備する燃料電池において、
冷却セパレータの活物質流体流路の流路特性は、
単位時間当たりの排水能力において、冷却セパレータの活物質流体流路が通常セパレータの活物質流体流路よりも高くなるように、通常セパレータの活物質流体流路の流路特性に対して異なるように設定されていることを特徴とする。
燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路と冷媒が流れる冷媒流路とを有する冷却セパレータと、
燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路を有すると共に前記冷媒流路を有しない通常セパレータとを具備する燃料電池において、
冷却セパレータの活物質流体流路の流路特性は、
単位時間当たりの排水能力において、冷却セパレータの活物質流体流路が通常セパレータの活物質流体流路よりも高くなるように、通常セパレータの活物質流体流路の流路特性に対して異なるように設定されていることを特徴とする。
冷却セパレータは、燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路と、冷媒が流れる冷媒流路とを有する。通常セパレータは、燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路を有するものの、冷媒流路を有せず、冷却セパレータよりも冷却能が小さい。冷却セパレータの冷媒流路には冷媒が流れるため、膜電極接合体を冷却し、燃料電池を冷却する。冷媒としては冷却水等の冷却液、空気等の冷却気体が例示される。
ここで、冷却セパレータでは冷媒流路が設けられているため、冷却能が高い。このため冷却セパレータに形成されている燃料流体または酸化剤流体の活物質流体流路においては、そこを流れる流体の温度は低くなり易い。このため冷却セパレータの活物質流体流路では、通常セパレータの活物質流体流路よりも、燃料流体または酸化剤流体に含まれている水蒸気が液相の水になり易く、水が滞留し、フラッディングが発生するおそれが高い。
これに対して通常セパレータは冷媒流路を有しない。このため通常セパレータに形成されている活物質流体流路においては、そこを流れる燃料流体または酸化剤流体の温度は低くなりにくい。このため通常セパレータの活物質流体流路では、冷却セパレータの活物質流体流路よりも、燃料流体または酸化剤流体に含まれる水蒸気が液相の水になりにくく、水が滞留するおそれが低い。
上記した事情を考慮すると、活物質流体流路における水の滞留を抑制し、フラッディングを抑制するためには、単位時間当たりの排水能力において、冷却セパレータの活物質流体流路が通常セパレータの活物質流体流路よりも高く設定されていることが好ましい。
従って本様相によれば、単位時間当たりの排水能力において、冷却セパレータの活物質流体流路を通常セパレータの活物質流体流路よりも高くなるように、冷却セパレータの活物質流体流路の流路特性は、通常セパレータの活物質流体流路の流路特性に対して異なるように設定されている。以下、排水能力は単位時間あたりの排水能力を意味する。
(2)様相2に係る燃料電池によれば、上記様相において、流路特性は活物質流体流路の壁面における親水性であり、冷却セパレータの活物質流体流路の壁面における親水性は、通常セパレータの活物質流体流路の壁面における親水性よりも大きく設定されていることを特徴とする。活物質流体流路の壁面における親水性が大きいと、親水性が小さい場合に比較して、当該壁面と水との界面張力が小さくなるため、水の流動性が向上し、水が相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。このため本様相によれば、冷却セパレータの活物質流体流路の壁面における親水性が相対的に高いため、冷却セパレータの活物質流体流路における排水能力は高くなり、フラッディングが抑制される。
親水性を発現させるためには、親水物質を活物質流体流路の壁面に設けたり、親水官能基を付与する親水処理を実施できる。親水処理としては、親水性官能基を化学的な方法または物理的な方法で、壁面に付与する方法が挙げられ、例えば、フッ素ガス処理、低温プラズマ処理、過酸化化水素水処理が例示される。
上記した親水物質としてはシリコン酸化物(SiO2)、チタン酸化物(TiO2)、タングステン酸化物(WO3)、吸水性樹脂が例示される。吸水性樹脂としてはポリアクリル酸塩、でんぷん・アクリル酸共重合体が例示される。親水官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、スルホ基等が例示される。
低温プラズマ処理によれば、大気中において高周波の電界を加えることにより大気を電離させて放電プラズマ雰囲気を形成する。放電プラズマ雰囲気にセパレータを晒せば、プラズマ化したガスの粒子がセパレータの表面に衝突し、セパレータ表面の高分子結合が分解され、その後、セパレータの表面に親水性官能基が付与される。
更に、蒸着法、スパッタリングなどの成膜方法により、親水物質を壁面に付与させる処理も好ましい。あるいは、粒子の集合体を樹脂バインダで固結させてセパレータが形成される場合には、壁面における樹脂の露出量の増減で、親水性の差を付ける方法が挙げられる。
(3)様相3に係る燃料電池によれば、上記様相において、流路特性は活物質流体流路の流路断面積であり、冷却セパレータの活物質流体流路の流路断面積は、通常セパレータの活物質流体流路の流路断面積よりも大きく設定されていることを特徴とする。活物質流体流路の流路断面積が大きいと、流路断面積が小さい場合に比較して、当該活物質流体流路の壁面において水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなったり、ガスにおける相対湿度が低下し易くなったりする。このため本様相によれば、冷却セパレータの活物質流体流路の壁面における親水性が相対的に高いため、冷却セパレータの活物質流体流路における単位時間当たりの排水能力が高くなったり、相対湿度が低下したりし、結果として水の滞留が抑制され、フラッディングが抑制される。ここで、通常セパレータの活物質流体流路の流路断面積を100と相対表示するとき、冷却セパレータの活物質流体流路の流路断面積は、102〜120、または、103〜110が例示される。
(4)様相4に係る燃料電池によれば、上記様相において、流路特性は活物質流体流路の壁面の表面粗さであり、冷却セパレータの活物質流体流路の壁面の表面粗さは、通常セパレータの活物質流体流路の壁面の表面粗さよりも小さく設定されていることを特徴とする。活物質流体流路の壁面の表面粗さが小さいと、表面粗さが大きい場合に比較して、当該活物質流体流路の壁面において水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。このため本様相によれば、冷却セパレータの活物質流体流路の壁面における表面粗さが小さいため、冷却セパレータの活物質流体流路における排水能力が高くなり、結果として水の滞留が抑制され、フラッディングが抑制される。
(5)様相5に係る燃料電池によれば、上記様相において、流路特性は活物質流体流路の壁面の表面粗さおよび親水性であり、冷却セパレータの活物質流体流路の壁面の表面粗さは、通常セパレータの活物質流体流路の壁面の表面粗さよりも大きく設定されていることを特徴とする。親水性処理が施されているとき、表面粗さが大きい方が親水性官能基の量が増加し、親水性を高めることができる。このため本様相によれば、冷却セパレータの活物質流体流路の壁面における排水能力が高くなり、結果として水の滞留が抑制され、フラッディングが抑制される。
本発明に係る燃料電池によれば、高い冷却能をもつセパレータと、冷却能をもたないか冷却能が低い通常セパレータとが併用されているときであっても、フラッディングが抑制され、発電が安定し、高い発電出力が得られる。
(実施形態1)
図1は燃料電池スタックを示す。図1に示すように、燃料電池スタックは、複数の膜電極接合体4を有するセルが直列に電気接続されるように積層された積層体1と、積層体1を積層方向に挟持する+極側の集電部材2および−極側の集電部材3を備えている。+極側の集電部材2から−極側の集電部材3に向かうにつれて、膜電極接合体4には1番(奇数セル)、2番(偶数セル)、3番(奇数セル)、4番(偶数セル)……と順番に番号が付されている。
図1は燃料電池スタックを示す。図1に示すように、燃料電池スタックは、複数の膜電極接合体4を有するセルが直列に電気接続されるように積層された積層体1と、積層体1を積層方向に挟持する+極側の集電部材2および−極側の集電部材3を備えている。+極側の集電部材2から−極側の集電部材3に向かうにつれて、膜電極接合体4には1番(奇数セル)、2番(偶数セル)、3番(奇数セル)、4番(偶数セル)……と順番に番号が付されている。
図2は燃料電池スタックの要部を示す。図2に示すように、燃料電池スタックは、膜電極接合体4と、板状をなす冷却セパレータ5と、板状をなす通常セパレータ8とを備えている。膜電極接合体4は、イオン伝導性をもつ固体高分子型のイオン伝導膜40(プロトン伝導膜,例えばナフィオン膜)と、イオン伝導膜40を燃料極41および酸化剤極45とで挟持して形成されている。膜電極接合体4、冷却セパレータ5および通常セパレータ8は、それぞれ縦方向(重力方向)に沿って配置されている。
図2に示すように、燃料極41は、カーボン繊維の集積体で形成された燃料用ガス拡散層42と、燃料用ガス拡散層42に積層された燃料用触媒層43とを備えている。酸化剤極45は、カーボン繊維の集積体で形成された酸化剤用ガス拡散層46と、酸化剤用ガス拡散層46に積層された酸化剤用触媒層47とを備えている。燃料用触媒層43および酸化剤用触媒層47は、イオン伝導膜40に対面する。
なお、燃料用触媒層43および酸化剤用触媒層47はイオン伝導膜40側に積層されていて良い。冷却セパレータ5および通常セパレータ8は導電性を有するものであれば、カーボン系でも、金属(ステンレス鋼等の合金)でも、樹脂系でも良い。例えば、カーボン粒子と樹脂バインダとを含む材料を成形手段(圧縮成型、射出成形など)で成形して形成できる。
本実施形態によれば、図2に示すように、1枚の膜電極接合体4、1枚の冷却セパレータ5、1枚の通常セパレータ8は、それぞれ鉛直方向に沿って配置されている。そして、膜電極接合体4、冷却セパレータ5、通常セパレータ8は水平方向(矢印HA方向)に沿って積層されている。
冷却セパレータ5は2種のセパレータ、即ち、第1冷却セパレータ51および第2冷却セパレータ52を備えている。第1冷却セパレータ51は、酸化剤流体が流れると共に酸化剤用ガス拡散層46に対面する溝状をなす酸化剤流路6と、冷媒としての冷却液が流れる溝状をなす冷却液流路9(冷媒流路)とを表裏の関係で有する。第2冷却セパレータ52は、燃料流体が流れると共に燃料用ガス拡散層42に対面する溝状をなす燃料流路7と、冷却液が流れる溝状をなす冷却液流路9(冷媒流路)とを表裏の関係で有する。なお、冷却液としては、純度が高い水が採用されているが、空気等の冷却気体でも良いが、一般的には、冷却能およびコストなどを考慮して冷却水が採用される。
図2に示すように、第1冷却セパレータ51および第2冷却セパレータ52は、冷却液が流れる冷却液流路9を有するため、高い冷却能をもつ。これに対して通常セパレータ8は、燃料流体が流れる溝状をなす燃料流路7と、酸化剤流体が流れる溝状をなす酸化剤流路6とを表裏の関係で有する。しかし通常セパレータ8は、冷却液が流れる冷却液流路9を有していないため、基本的には冷却能を有していない。
ここで、膜電極接合体4と、膜電極接合体4の酸化剤極45に酸化剤ガスを供給する酸化剤流路6と、膜電極接合体4の燃料極41に燃料ガスを供給する燃料流路7とを1セルとする。図2に示すように、単位モジュールAが採用されている。この単位モジュールAでは、第1セル(奇数番セル)および第2セル(偶数番セル)が装備されている。このような単位モジュールAを厚み方向に積層させて組み付けることにより、燃料電池スタックが形成されている。なお燃料電池スタックの要求出力に応じて単位モジュールAの積層数が設定される。
発電運転時には、各セパレータ52,8に形成されている燃料流路7には、燃料流体としての燃料ガス(例えば水素ガス、水素含有ガス等)が流れる。各セパレータ51,8に形成されている酸化剤流路6には、酸化剤流体としての酸化剤ガス(例えば酸素ガス、酸素含有ガス、空気等)が流れる。これにより膜電極接合体4において発電反応が発生し、電気エネルギが発生する。発電反応に基づいて水が生成される。水は主として酸化剤極45において生成する。故に運転条件によっては、酸化剤極45においてフラッディングが発生するおそれがある。更に、水は酸化剤極45から燃料極41に浸透することがある。また、加湿した燃料ガスを燃料極41に供給することがある。従って燃料極41においてもフラッディングが発生するおそれがある。
発電運転時には、第1冷却セパレータ51および第2冷却セパレータ52の冷却液流路9には冷却液が供給される。このため、第1冷却セパレータ51および第2冷却セパレータ52が冷却される。ひいては燃料電池スタックが冷却される。従ってイオン伝導膜40の過熱が抑えられ、イオン伝導膜40の耐久性が向上する。
さて本実施例によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路特性は、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路特性に対して異なるように設定されている。同様に、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の流路特性は、通常セパレータ8の燃料流路7の流路特性に対して異なるように設定されている。
即ち、排水能力において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6は、通常セパレータ8の酸化剤流路6よりも高くなるように設定されている。更に、排水能力において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7は、通常セパレータ8の燃料流路7よりも高くなるように設定されている。
このため冷却能をもつ第1冷却セパレータ51に形成されている酸化剤流路6、冷却能をもつ第2冷却セパレータ52に形成されている燃料流路7においては、そこを流れるガスの温度は、冷却能を積極的にもたない通常セパレータ8に比較して、低くなり易い。このため条件が基本的に同じであれば、積極的な冷却能をもつ第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6では、冷却能を積極的にもたない通常セパレータ8の酸化剤流路6よりも、酸化剤ガスに含まれる水蒸気が凝縮して液相の水になり易いことになる。故に、積極的な冷却能をもつ第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6では、積極的な冷却能をもたない通常セパレータ8の酸化剤流路6に比較して、フラッディングが発生するおそれがある。
また冷却能をもつ第2冷却セパレータ52に形成されている燃料流路7においては、そこを流れる燃料ガスの温度は低くなり易いため、冷却能をもたない通常セパレータ8の燃料流路7よりも、燃料ガスに含まれる水蒸気が凝縮して液相の水になり易い。故に、冷却能がもつ第2冷却セパレータ52の燃料流路7では、フラッディングが発生するおそれがある。
これに対して通常セパレータ8では、冷却液流路9が設けられていないため、第1冷却セパレータ51、第2冷却セパレータ52よりも冷却能が小さい。このため通常セパレータ8に形成されている酸化剤流路6および燃料流路7においては、そこを流れる酸化剤ガスおよび燃料ガスの温度は、低くなりにくいため、凝縮水の生成が抑えられる。従って、酸化剤ガスおよび燃料ガスに含まれている水蒸気が液相の水ではなく、水蒸気として存在し易い。結果として凝縮水が生成されにくく、フラッディングが発生しにくいといえる。
上記した事情を考慮すると、燃料電池スタックにおけるフラッディングを抑制するため、本実施形態によれば、次の方策が採用されている。即ち、排水能力において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6が、通常セパレータ8の酸化剤流路6よりも高く設定されている。これにより第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、排水能力が高くなるため、フラッディングが発生しにくくなる。
更に、排水能力において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7が、通常セパレータ8の燃料流路7よりも高く設定されている。これにより第2冷却セパレータ52の燃料流路7においてフラッディングが発生しにくくなる。
上記したように本実施形態によれば、フラッディングが発生しにくくなる。このため、燃料ガスおよび酸化剤ガスの透過性が良好に確保され、発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力を高くするのに貢献できる。
(実施形態2)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態は、酸化剤ガスが加湿されているため、酸化剤流路6においてフラッディングが発生し易い場合に対処する。従って、単位時間当たりの排水能力において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6は、通常セパレータ8の酸化剤流路6よりも高く設定されている。これにより冷却能が高い第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、凝縮水が生成されたとしても、排水能力が高くなるため、フラッディングが発生しにくくなる。この結果、燃料電池スタックを構成するセルにおける発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力を高くするのに貢献できる。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態は、酸化剤ガスが加湿されているため、酸化剤流路6においてフラッディングが発生し易い場合に対処する。従って、単位時間当たりの排水能力において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6は、通常セパレータ8の酸化剤流路6よりも高く設定されている。これにより冷却能が高い第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、凝縮水が生成されたとしても、排水能力が高くなるため、フラッディングが発生しにくくなる。この結果、燃料電池スタックを構成するセルにおける発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力を高くするのに貢献できる。
但し、単位時間当たりの排水能力において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7と、通常セパレータ8の燃料流路7とは、同じ程度とされている。その理由としては、燃料流路7ではフラッディングが少ないため、コスト低廉化等のためである。
(実施形態3)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態は、燃料ガスが加湿されているため、燃料流路7においてフラッディングが発生し易い場合に対処する。従って排水能力において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7は、通常セパレータ8の燃料流路7よりも高く設定されている。これにより第2冷却セパレータ52の燃料流路7において、排水能力が高くなるため、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが発生しにくくなる。故に、燃料電池スタックを構成する各セルにおける発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力を高くするのに貢献できる。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態は、燃料ガスが加湿されているため、燃料流路7においてフラッディングが発生し易い場合に対処する。従って排水能力において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7は、通常セパレータ8の燃料流路7よりも高く設定されている。これにより第2冷却セパレータ52の燃料流路7において、排水能力が高くなるため、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが発生しにくくなる。故に、燃料電池スタックを構成する各セルにおける発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力を高くするのに貢献できる。
但し、単位時間当たりの排水能力において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6と、通常セパレータ8の酸化剤流路6とは同じ程度とされている。
(実施形態4)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面における親水性である。ここで、活物質流体流路の壁面における親水性が大きいと、親水性が小さい場合に比較して、水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面における親水性である。ここで、活物質流体流路の壁面における親水性が大きいと、親水性が小さい場合に比較して、水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。
親水性において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面は、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面よりも、大きく設定されている。更に、親水性において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面は、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面よりも大きく設定されている。このため本実施形態によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、排水能力は高くなり、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが抑制される。
また親水性においては、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面は相対的に高いため、排水能力は高くなり、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが抑制される。このようにフラッディングが抑制されるため、燃料電池スタックの発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力が高くなる。
ここで、一般的には親水性は水の接触角で示される。接触角が小さい程、親水性が高い。接触角が大きい程、疎水性が高い。従って、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面における水の接触角をθ1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面における水の接触角をθ2とすると、θ1はθ2よりもΔθa小さく設定されている。ここで、θ1は30〜90度、θ2は40〜120度が例示される。Δθaは2〜30度、3〜20度が例示される。
また第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面における水の接触角をθ10とし、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面における水の接触角をθ20とすると、θ10はθ20よりもΔθc小さく設定されている。θ10は30〜90度、θ20は40〜120度が例示される。Δθcとしては3〜30度、6〜20度が例示される。
上記した親水性を施す処理としては、親水物質を活物質流体流路(酸化剤流路6および燃料流路7)の壁面に設けたり、親水官能基を付与したりできる。親水物質としてはシリコン酸化物(SiO2)、チタン酸化物(TiO2)、タングステン酸化物(WO3)、吸水性樹脂が例示される。吸水性樹脂としてはポリアクリル酸塩、でんぷん・アクリル酸共重合体が例示される。親水官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、スルホ基等が例示される。また、親水性を施す処理としては、大気中でコロナ放電を活物質流体流路の壁面において発生させ、これにより生成される官能基を付与する改質処理を実施することにしても良い。親水性を施す処理としては、活物質流体流路の壁面にレーザビームを照射し、官能基を付与する改質処理を実施することにしても良い。
(実施形態5)
本実施形態は前記した実施形態4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態は、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6においてフラッディングが発生し易い場合に対処する。従って、親水性において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面は、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面よりも、大きく設定されている。従って、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが抑制される。但し、第2冷却セパレータ52の燃料流路7については親水化処理されていない。従って、親水性において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面と、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面とは同じ程度とされている。親水性処理によるコスト増加を避ける等のためである。
本実施形態は前記した実施形態4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態は、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6においてフラッディングが発生し易い場合に対処する。従って、親水性において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面は、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面よりも、大きく設定されている。従って、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが抑制される。但し、第2冷却セパレータ52の燃料流路7については親水化処理されていない。従って、親水性において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面と、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面とは同じ程度とされている。親水性処理によるコスト増加を避ける等のためである。
(実施形態6)
本実施形態は前記した実施形態4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。前述したように発電反応により水が生成するのは、酸化剤極45である。水は酸化剤極45から燃料極41に浸透することがある。また、加湿された燃料ガスを燃料極41に供給することがある。従って前述したように燃料極41においてもフラッディングすることがある。この場合、加湿された燃料ガスは、燃料流路を上流から下流に進むにつれて活物質である水素が次第に消費されるため、燃料ガスに含まれている水分の含有率が次第に増加し、凝縮し易くなる。
本実施形態は前記した実施形態4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。前述したように発電反応により水が生成するのは、酸化剤極45である。水は酸化剤極45から燃料極41に浸透することがある。また、加湿された燃料ガスを燃料極41に供給することがある。従って前述したように燃料極41においてもフラッディングすることがある。この場合、加湿された燃料ガスは、燃料流路を上流から下流に進むにつれて活物質である水素が次第に消費されるため、燃料ガスに含まれている水分の含有率が次第に増加し、凝縮し易くなる。
従って本実施形態は、第2冷却セパレータ52の燃料流路7において、フラッディングが発生し易い場合に対処する。よって、親水性において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面は、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面よりも大きく設定されている。但し、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面における親水性と、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面における親水性とは同程度とされている。親水性処理によるコスト増加を避ける等のためである。
(実施形態7)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の流路断面積である。ここで、条件が基本的に同じであれば、一般的には、活物質流体流路の流路断面積が大きい場合には、流路断面積が小さい場合に比較して、当該活物質流体流路の壁面において水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。また、単位長さあたりの流路体積が高くなるため、ガスの相対湿度が低下し易くなり、凝縮水が生成しにくくなる。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の流路断面積である。ここで、条件が基本的に同じであれば、一般的には、活物質流体流路の流路断面積が大きい場合には、流路断面積が小さい場合に比較して、当該活物質流体流路の壁面において水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。また、単位長さあたりの流路体積が高くなるため、ガスの相対湿度が低下し易くなり、凝縮水が生成しにくくなる。
このため本実施形態によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路断面積をSo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路断面積をSo2とすると、So1はSo2よりも相対的に大きく設定されている(So1>So2)。具体的には第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路深さをho1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路深さをho2とするとき、ho1はho2よりも相対的に大きい(ho1>ho2)。
この結果、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、排水能力が高くなり、更にガスの相対湿度が低下し、結果としてフラッディングが抑制される。なお、So1、So2としては、燃料電池スタックの種類などに応じて適宜設定されるが、So2を100%と相対表示すると、So1は102〜120%、または、103〜106%にできる。
更に本実施形態によれば、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の流路断面積をSf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の流路断面積をSf2とすると、Sf1はSf2よりも相対的に大きい(Sf1>Sf2)。具体的には第2冷却セパレータ52の燃料流路7の流路深さをhf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の流路深さをhf2とすると、hf1はhf2よりも相対的に大きい(hf1>hf2)。
このため、第2冷却セパレータ52の燃料流路7においても、排水能力が高くなり、更に燃料ガスの相対湿度が低下し、結果としてフラッディングが抑制される。なお、Sf1、Sf2としては、燃料電池スタックの種類などに応じて適宜設定されるが、Sf2を100%と相対表示すると、Sf1は102〜120%、または、103〜106%にできる。
(実施形態8)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の流路断面積である。従って、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路断面積をSo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路断面積をSo2とするとき、So1はSo2よりも相対的に大きい(So1>So2)。具体的には第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路深さをho1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路深さをho2とするとき、ho1はho2よりも相対的に大きい(ho1>ho2)。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の流路断面積である。従って、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路断面積をSo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路断面積をSo2とするとき、So1はSo2よりも相対的に大きい(So1>So2)。具体的には第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路深さをho1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路深さをho2とするとき、ho1はho2よりも相対的に大きい(ho1>ho2)。
このため、凝縮水を生成させ易い第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、排水能力が高くなり、更に酸化剤ガスの相対湿度が低下し、結果としてフラッディングが抑制される。なお、So2を100%と相対表示すると、So1は102〜120%、または、103〜106%にできる。
なお、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の流路断面積をSf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の流路断面積をSf2とするときは、Sf1およびSf2は基本的には同じ程度とされている。製造コストの低廉化等のためである。
(実施形態9)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の流路断面積である。従って、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の流路断面積をSf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の流路断面積をSf2とするとき、Sf1はSf2よりも相対的に大きく設定されている(Sf1>Sf2)。具体的には流路の深さを調整している。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の流路断面積である。従って、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の流路断面積をSf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の流路断面積をSf2とするとき、Sf1はSf2よりも相対的に大きく設定されている(Sf1>Sf2)。具体的には流路の深さを調整している。
本実施形態によれば、凝縮水を生成させ易い第2冷却セパレータ52の燃料流路7において、排水能力が高くなり、更に燃料ガスの相対湿度が低下し、結果としてフラッディングが抑制される。なおSf1、Sf2としては燃料電池スタックの種類等に応じて適宜設定されるが、Sf2を100%と相対表示すると、Sf1は102〜120%、または、103〜106%にできる。なお、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の流路断面積をSo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の流路断面積をSo2とするときは、So1およびSo2は基本的には同じ程度とされている。製造コストの低廉化等のためである。
(実施形態10)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さである。ここで、壁面の表面粗さが小さいと、表面粗さが大きい場合に比較して、当該壁面において水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。更に、壁面を流れる燃料ガスまたは酸化剤ガスのガス通過抵抗が低減され、単位時間あたりの流量が増加し、発電出力を高めることができる。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さである。ここで、壁面の表面粗さが小さいと、表面粗さが大きい場合に比較して、当該壁面において水は相対的に流れ易くなり、排水能力が高くなる。更に、壁面を流れる燃料ガスまたは酸化剤ガスのガス通過抵抗が低減され、単位時間あたりの流量が増加し、発電出力を高めることができる。
本実施形態によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面の表面粗さをRo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面の表面粗さをRo2とするとは、Ro1はRo2よりも小さく設定されている(Ro1<Ro2)。この結果、冷却セパレータの酸化剤流路6において、水が流れ易くなり、排水能力が高くなり、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが抑制される。
ここで、JIS B 0601に規定された算術平均粗さで表面粗さが表示されるとき、Rf1/Rf2としては、0.2〜0.9、または、0.3〜0.8が例示される。
更に第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面の表面粗さをRf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面の表面粗さをRf2とするとき、Rf1はRf2よりも小さく設定されている(Rf1<Rf2)。このため、第2冷却セパレータ52の燃料流路7において、水が流れ易くなり、排水能力が高くなり、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが抑制される。なお、Rf1/Rf2としては0.2〜0.9、または、0.3〜0.8が例示される。表面粗さを変化させるにあたりブラスト処理が採用される。ブラスト処理では、ショツトや砂等の投射剤のサイズまたは種類を変更したり、投射剤の投射時間を変更したりする。
(実施形態11)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1及び図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さおよび親水性である。第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水処理前)をRo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水処理前)をRo2とすると、Ro1はRo2よりも大きく設定されている(Ro1>Ro2)。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1及び図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さおよび親水性である。第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水処理前)をRo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水処理前)をRo2とすると、Ro1はRo2よりも大きく設定されている(Ro1>Ro2)。
更に、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面には、親水性処理が施され、親水官能基が付与されている。ここで親水性処理が施される場合には、表面粗さおよび親水性の双方を考慮した場合には、表面粗さが大きい方が、表面に表出する親水性官能基の量が増加するため、親水性が高まる。このため本実施形態によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面において、表面粗さが大きく、付与される親水性官能基の量が増加するため、親水性が向上し、排水能力が相対的に高くなり、結果として、凝縮水が生成されたとしても、フラッディングが抑制される。
また、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRf2とするとは、Rf1はRf2よりも大きく設定されている(Rf1>Rf2)。更に、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面には前述した親水性処理が施され、親水官能基が付与されている。前述したように、表面粗さおよび親水性の双方を考慮した場合には、表面粗さが大きい方が、表面に表出する親水性官能基の量が増加し、親水性が高まる。このため本実施形態によれば、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面において、親水性が高くなり、排水能力が相対的に高くなり、結果として、凝縮水が生成されるときであっても、フラッディングが抑制される。
(実施形態12)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1及び図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さおよび親水性である。第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRo2とすると、Ro1はRo2よりも大きく設定されている(Ro1>Ro2)。更に、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面には前述した親水性処理が施され、親水官能基が付与されている。ここで、表面粗さが大きい方が、表面に表出する親水性官能基の量が増加し、親水性が高まる。このため本実施形態によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面において、親水性が高くなり、排水能力が相対的に高くなり、結果として、凝縮水が生成されるときであっても、フラッディングが抑制される。なお、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面の表面粗さをRf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面の表面粗さをRf2とすると、Rf1とRf2とは同じ程度とされている。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1及び図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さおよび親水性である。第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRo2とすると、Ro1はRo2よりも大きく設定されている(Ro1>Ro2)。更に、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面には前述した親水性処理が施され、親水官能基が付与されている。ここで、表面粗さが大きい方が、表面に表出する親水性官能基の量が増加し、親水性が高まる。このため本実施形態によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面において、親水性が高くなり、排水能力が相対的に高くなり、結果として、凝縮水が生成されるときであっても、フラッディングが抑制される。なお、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面の表面粗さをRf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面の表面粗さをRf2とすると、Rf1とRf2とは同じ程度とされている。
(実施形態13)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1及び図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さおよび親水性である。第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRf2とするとき、Rf1はRf2よりも大きく設定されている(Rf1>Rf2)。更に、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面には親水性処理が施され、親水官能基が付与されている。ここで前述したように、表面粗さが大きい方が、表面に表出する親水性官能基の量が増加し、親水性が高まる。このため本実施形態によれば、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面は、表面粗さが大きく、親水性官能基の量が増加するため、排水能力が相対的に高くなり、結果として、凝縮水が生成されるときであっても、フラッディングが抑制される。但し、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面の表面粗さをRo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面の表面粗さをRo2とすると、Ro1とRo2とは同じ程度とされている。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1及び図2を準用する。変化させる流路特性は、活物質流体流路の壁面の表面粗さおよび親水性である。第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRf1とし、通常セパレータ8の燃料流路7の壁面の表面粗さ(親水性処理前)をRf2とするとき、Rf1はRf2よりも大きく設定されている(Rf1>Rf2)。更に、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面には親水性処理が施され、親水官能基が付与されている。ここで前述したように、表面粗さが大きい方が、表面に表出する親水性官能基の量が増加し、親水性が高まる。このため本実施形態によれば、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面は、表面粗さが大きく、親水性官能基の量が増加するため、排水能力が相対的に高くなり、結果として、凝縮水が生成されるときであっても、フラッディングが抑制される。但し、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面の表面粗さをRo1とし、通常セパレータ8の酸化剤流路6の壁面の表面粗さをRo2とすると、Ro1とRo2とは同じ程度とされている。
(実施形態14)
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6についてみると、親水性において、酸化剤ガスが流れる上流と下流とで変化されており、即ち、下流の親水性は上流の親水性よりも高く設定されている。ここで、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6においては、上流の水は酸化剤ガスと共に下流へと持ち運ばれるため、下流では上流よりもフラッディングが発生し易いため、フラッディングに対処するためである。
本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6についてみると、親水性において、酸化剤ガスが流れる上流と下流とで変化されており、即ち、下流の親水性は上流の親水性よりも高く設定されている。ここで、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6においては、上流の水は酸化剤ガスと共に下流へと持ち運ばれるため、下流では上流よりもフラッディングが発生し易いため、フラッディングに対処するためである。
更にまた、第2冷却セパレータ52の燃料流路7についてみると、親水性において、燃料ガスが流れる上流と下流とで変化されており、即ち、下流の親水性は上流の親水性よりも高く設定されている。ここで、第2冷却セパレータ52の燃料流路7においては、上流の水は燃料ガスと共に下流へと持ち運ばれるため、下流では上流よりもフラッディングが発生し易いため、フラッディングに対処するためである。
(実施形態15)
図3は実施形態15に係る第1冷却セパレータ51を示す。本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、燃料電池スタックの図は図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。図3に示すように、第1冷却セパレータ51は、酸化剤ガスが流れる酸化剤流路6と、酸化剤ガスを酸化剤流路6の上流に供給する入口60iと、酸化剤流路6の下流の酸化剤ガスを排出する出口60pとを備えている。
図3は実施形態15に係る第1冷却セパレータ51を示す。本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、燃料電池スタックの図は図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。図3に示すように、第1冷却セパレータ51は、酸化剤ガスが流れる酸化剤流路6と、酸化剤ガスを酸化剤流路6の上流に供給する入口60iと、酸化剤流路6の下流の酸化剤ガスを排出する出口60pとを備えている。
酸化剤流路6は、突起状の仕切壁6sにより上流流路6u,下流流路6dに分割されている。上流流路6u,下流流路6dには、複数の突起6kが鉛直方向に延設されて形成されており、鉛直方向に延びる流路溝を形成している。ここで、入口60iおよび出口60pは厚み方向に貫通するマニホルド孔状とされており、第1冷却セパレータ51の下部に隣設されている。中間口60mは厚み方向に貫通するマニホルド孔状とされており、第1冷却セパレータ51の上部に隣設されている。酸化剤ガスは入口60iから矢印B1方向に酸化剤流路6の上流流路6uを上昇し、矢印B2方向に流れて中間口60mに至り、中間口60mから矢印B3方向に流れ、酸化剤流路6の下流流路6dの上部に流入し、下流流路6dを下降し、矢印B4方向に流れ、出口60pに至る。
本実施形態は、酸化剤流路6においてフラッディングが発生し易い場合(下流流路6d)に対処する。従って、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6では、酸化剤ガスが流れる上流流路6u、下流流路6dについては親水化処理されて排水能が高くされている。従って、親水性において、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6は、通常セパレータ8の酸化剤流路6よりも高く設定されている。
これにより冷却能が高い第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6において、特に下流流路6dにおいて、排水能力が高くなるため、凝縮水がかなり生成されたとしても、フラッディングが発生しにくくなる。この結果、燃料電池スタックを構成するセルにおける発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力を高くするのに貢献できる。
なお第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の上流流路6uについては、フラッディングが発生しにくい場合には、親水化処理されていなくてもよい。この場合、親水化処理は、上流流路6uではなく、下流流路6dについて施されている。更に本実施形態においても、必要に応じて、第2冷却セパレータ51の燃料流路7のうち少なくとも下流に親水化処理を実施しても良い。
(実施形態16)
図4は実施形態16に係る第2冷却セパレータ52を示す。本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、燃料電池スタックの図は図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。図4に示すように、第2冷却セパレータ52は、燃料ガスが流れる蛇行溝を形成する蛇行状をなす突起7kを有する燃料流路7と、燃料ガスを燃料流路7の上流流路7uに供給する入口70iと、燃料流路7の下流7dの燃料ガスを排出する出口70pとを備えている。
図4は実施形態16に係る第2冷却セパレータ52を示す。本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、燃料電池スタックの図は図1および図2を準用する。以下、相違する部分を中心として説明する。図4に示すように、第2冷却セパレータ52は、燃料ガスが流れる蛇行溝を形成する蛇行状をなす突起7kを有する燃料流路7と、燃料ガスを燃料流路7の上流流路7uに供給する入口70iと、燃料流路7の下流7dの燃料ガスを排出する出口70pとを備えている。
本実施形態は、燃料ガスが加湿されている等のため、燃料流路7においてフラッディングが発生し易い場合に対処する。従って、第2冷却セパレータ52の燃料流路7では、燃料ガスが流れる上流流路7uおよび下流流路7dについては、親水化処理されて排水能が高くされている。従って、親水性において、第2冷却セパレータ52の燃料流路7は、通常セパレータ8の燃料流路7よりも高く設定されている。これにより冷却能が高い第2冷却セパレータ52の燃料流路7において、凝縮水がかなり生成されたとしても、排水能力が高くなるため、フラッディングが発生しにくくなる。この結果、燃料電池スタックを構成するセルにおける発電が安定し、燃料電池スタックの発電出力を高くするのに貢献できる。
なお第2冷却セパレータ52の燃料流路7の上流流路7uについても、フラッディングが発生しにくい場合には、親水化処理されていなくてもよい。この場合、親水化処理は、上流である流路7uではなく、下流流路7dについて施されている。本実施例においても、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6のうち少なくとも下流に親水化処理を実施しても良い。
以下、本発明の実施例1を説明する。本実施例1は図1および図2を準用する。本実施例によれば、図2に示すように、膜電極接合体4は、イオン伝導性をもつ固体高分子型のイオン伝導膜40(プロトン伝導膜,ナフィオン,厚み:45マイクロメートル)と、イオン伝導膜40を燃料極41および酸化剤極45とで挟持して形成されている。燃料極41は、カーボン繊維の集積体(カーボンペーパ)で形成された燃料用ガス拡散層42(厚み:300マイクロメートル)と、燃料用ガス拡散層42に積層され触媒(Pt−Ru)をカーボンブラックに担持した触媒担持カーボンおよびプロトン伝導体を基材とする燃料用触媒層43(厚み:20マイクロメートル)とを備えている。
酸化剤極45は、カーボン繊維の集積体(カーボンペーパ)で形成された酸化剤用ガス拡散層46(厚み:300マイクロメートル)と、酸化剤用ガス拡散層46に積層され触媒(Pt)をカーボンブラックに担持した触媒担持カーボンおよびプロトン伝導体を基材とする酸化剤用触媒層47(厚み:20マイクロメートル)とを備えている。酸化剤用触媒層47においては、触媒担持量は約0.8mg/cm2とした。本実施例によれば、燃料用触媒層43においては、触媒担持量は約0.4mg/cm2とした。第1冷却セパレータ51、第2冷却セパレータ52、通常セパレータ8は、粒径10〜100マイクロメートルのカーボン粒子と樹脂バインダ(例えばフェノール樹脂)とを含む粉末集合体を圧縮成形により固結して板状に形成されている。カーボン粒子と樹脂バインダとの混合比は質量比で8:2である。
本実施例によれば、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面は、親水化処理されている。接触角を測定したところ、親水化処理前では110〜120度であり、親水化処理後が50度であった。但し、通常セパレータ8については親水化処理されていない。親水化処理としてはフッ素ガス処理法を採用した。フッ素ガス処理法では、F2と空気(O2)と水蒸気(H2O)との混合ガスの雰囲気中に、セパレータを所定温度で所定時間設置して実施した。これによりセパレータの表面に露出している樹脂成分、カーボンには、親水性官能基(水酸基、カルボキシル基等)が付与される。フッ素ガス処理法において、混合ガスにおけるF2濃度としては0.1〜1.0モル%の範囲とした。雰囲気温度としては室温〜50℃で調整した。処理時間としては約10分間とした。セル数を16セルとし、燃料ガスとして水素ガス(1気圧,絶対圧)を用いた。酸化剤ガスとして空気(1気圧,絶対圧)を用いた。燃料ガスの加湿露点を60℃とし、酸化剤ガスの加湿露点を65℃とし、空気利用率を40%とした。冷却液流路9に供給する冷却水について入口温度を65℃とし、出口温度を72℃とした。電流密度は0.26A/cm2とした。そして、燃料率を70〜90%の範囲において変化させて、各セルの平均セル電圧を測定した。
図5は測定結果を示す。特性線Wa1は、実施例1に相当する場合の平均セル電圧を示す。実施例1では、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面を親水化処理していると共に、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面を親水化処理している。特性線Wr1は、比較例1に相当する場合の平均セル電圧を示す。比較例1は、実施例1と基本的には同一であり、第1冷却セパレータ51および第2冷却セパレータ52が親水化処理されていない。
図5に示すように、実施例1(特性線Wa1)によれば、比較例1(特性線Wr1)に比べて平均セル電圧が高く、燃料利用率が高く(90%)なったとしても、平均セル電圧が高い。
特性線σa1は実施例1に相当する場合の平均セル電圧の標準偏差を示す。特性線σr1は比較例1に相当する場合の平均セル電圧の標準偏差を示す。図5に示すように、実施例1(特性線σa1)によれば、比較例1(特性線σr1)に比べて平均セル電圧の標準偏差が低く、発電電圧のバラツキが小さい。燃料利用率が高くなると、比較例1(特性線σr1)では、平均セル電圧の標準偏差が増加し、発電電圧のバラツキが大きくなる。これに対して、実施例1(特性線σa1)によれば、燃料利用率が高くなったとしても、平均セル電圧の標準偏差が小さく、発電電圧のバラツキが小さい。このような結果から、実施例1に係る燃料電池スタックでは、発電安定性が高くなると共に、発電電圧が高くなることがわかる。
以下、本発明の実施例2を説明する。本実施例では、実施例1と同様の燃料電池スタックを用い、発電条件を基本的には実施例1と同じとした。そして、空気利用率を30〜50%の範囲において変化させて、各セルの平均セル電圧を測定した。更に平均セル電圧の最大標準偏差を求めた。
図6は測定結果を示す。特性線Wa2は、実施例2に相当する場合の平均セル電圧を示す。実施例2では、第1冷却セパレータ51の酸化剤流路6の壁面を親水化処理していると共に、第2冷却セパレータ52の燃料流路7の壁面を親水化処理している。特性線Wr2は、比較例1に相当する場合の平均セル電圧を示す。比較例2は、実施例2とは基本的に同一であるが、第1冷却セパレータ51および第2冷却セパレータ52が親水化処理されていない。図6に示すように、実施例2(特性線Wa2)によれば、比較例2(特性線Wr2)に比べて平均セル電圧が高く、燃料利用率が高くなったとしても、平均セル電圧が高い。
特性線σa2は実施例2に相当する場合の平均セル電圧の標準偏差を示す。特性線σr1は比較例2に相当する場合の平均セル電圧の標準偏差を示す。図6に示すように、実施例2(特性線σa2)によれば、比較例2(特性線σr2)に比べて平均セル電圧の標準偏差が低く、発電電圧のバラツキが小さい。空気利用率が高くなると、比較例2(特性線σr2)では、平均セル電圧の標準偏差が増加し、発電電圧のバラツキが大きくなる。これに対して、実施例2(特性線σa2)によれば、空気利用率が高く(50%)となったとしても、平均セル電圧の標準偏差が小さく、発電電圧のバラツキが小さい。このような結果から、実施例2に係る燃料電池スタックでは、発電安定性が高くなると共に、発電電圧が高くなることがわかる。
(その他)
排水能力において、冷却セパレータ51,52の活物質流体流路が通常セパレータ8の活物質流体流路よりも高くなるように設定するにあたり、親水性、流路断面積、表面粗さの3つのファクタを併用させることにしても良い。また、親水性、流路断面積、表面粗さのうち2つのファクタを併用させることにしても良い。
排水能力において、冷却セパレータ51,52の活物質流体流路が通常セパレータ8の活物質流体流路よりも高くなるように設定するにあたり、親水性、流路断面積、表面粗さの3つのファクタを併用させることにしても良い。また、親水性、流路断面積、表面粗さのうち2つのファクタを併用させることにしても良い。
上記した実施形態によれば、図2に示すように、1枚の膜電極接合体4、1枚の冷却セパレータ5、1枚の通常セパレータ8は、それぞれ鉛直方向に沿って配置されている。そして、膜電極接合体4、冷却セパレータ5、通常セパレータ8は水平方向に沿って積層されている。しかしこれに限らず、1枚の膜電極接合体4、1枚の冷却セパレータ5、1枚の通常セパレータ8は、それぞれ水平方向に沿って配置されている形態としても良い。この場合、膜電極接合体4、冷却セパレータ5、通常セパレータ8は鉛直方向に沿って積層される。
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態、実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。ある実施形態またはある実施例に設けられている特有の構造および機能は、他の実施形態および他の実施例においても適用可能である。従って、一の実施形態の特徴を他の実施形態の特徴にも併用できる。
本発明は例えば車両用、定置用、電気機器用、電子機器用、携帯用の燃料電池システムに利用できる。
1は積層体、4は膜電極接合体、40はイオン伝導膜、41は燃料極、42は燃料用ガス拡散層、43は燃料用触媒層、45は酸化剤極、46は酸化剤用ガス拡散層、47は酸化剤用触媒層、5は冷却セパレータ、51は第1冷却セパレータ、52は第2冷却セパレータ、6は酸化剤流路、7は燃料流路、8は通常セパレータ、9は冷媒流路を示す。
Claims (4)
- 燃料流体が供給される燃料極および酸化剤流体が供給される酸化剤極とでイオン伝導膜を挟持した膜電極接合体と、
燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路と冷媒が流れる冷媒流路とを有する冷却セパレータと、
燃料流体または酸化剤流体が流れる活物質流体流路を有すると共に前記冷媒流路を有しない通常セパレータとを具備する燃料電池において、
前記冷却セパレータの活物質流体流路の流路特性は、
単位時間当たりの排水能力において、前記冷却セパレータの活物質流体流路が前記通常セパレータの活物質流体流路よりも高くなるように、前記通常セパレータの前記活物質流体流路の流路特性に対して異なるように設定されていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1において、前記流路特性は前記活物質流体流路の壁面における親水性であり、
前記冷却セパレータの前記活物質流体流路の壁面における親水性は、前記通常セパレータの前記活物質流体流路の壁面における親水性よりも大きく設定されていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1において、前記流路特性は前記活物質流体流路の流路断面積であり、前記冷却セパレータの前記活物質流体流路の流路断面積は、前記通常セパレータの前記活物質流体流路の流路断面積よりも大きく設定されていることを特徴とする燃料電池。
- 請求項1において、前記流路特性は前記活物質流体流路の壁面の表面粗さであり、
前記冷却セパレータの前記活物質流体流路の壁面の表面粗さは、前記通常セパレータの前記活物質流体流路の壁面の表面粗さよりも小さく設定されていることを特徴とする燃料電池。
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JP2007177170A JP2009016200A (ja) | 2007-07-05 | 2007-07-05 | 燃料電池 |
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JP2013037903A (ja) * | 2011-08-08 | 2013-02-21 | Nippon Soken Inc | 燃料電池 |
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- 2007-07-05 JP JP2007177170A patent/JP2009016200A/ja active Pending
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