JP2009016049A - 高屈折率膜の製造方法、高屈折率膜、有機elディスプレイ - Google Patents

高屈折率膜の製造方法、高屈折率膜、有機elディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】可視光透過性に優れ、ITO膜と同等の屈折率を有し、比較的低温にて成膜可能であり、充分な膜厚の塗膜を容易に形成可能であり、かつ、密着性に優れた高屈折率膜の製造方法、および、この製造方法によって得られた高屈折率膜、並びに、この高屈折率膜を備えた有機ELディスプレイを提供する。
【解決手段】本発明の高屈折率膜の製造方法は、基材上に、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、高屈折率膜の製造方法、高屈折率膜、有機ELディスプレイに関し、特に、照明装置や表示装置の光の取り出し効率を向上することが可能な高屈折率膜の製造方法、および、この製造方法によって得られた高屈折率膜、並びに、この高屈折率膜を備えた有機ELディスプレイに関するものである。
照明器具や、有機ELディスプレイなどの表示装置の高輝度化を図るためには、発光素子が放出した光を効率良く、照明器具や表示装置の外部に取り出す必要がある。
一般的に、発光素子から放出された光は、その周りの透明基板などを通過し、外部に出るまでに、放出時の20%程度に減衰してしまう。この光の減衰の主な原因としては、表示素子の基板やカバーであるガラスなどと、外界の空気との界面における光の反射が挙げられる。また、この光の反射を防止するためには、屈折率の異なる物質の界面に、格子周期が可視光の波長以下の回折格子を設けることが有効であることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、このような回折格子の製造方法としては、レジストを用いたフォトリソグラフィー法や、金属酸化物前駆体を用いたナノインプリント法などが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、従来、有機ELディスプレイを製造する際、ガラス基板上に、厚みが0.1μm以下となるように、各材料の真空蒸着やスパッタを行うため、陽極表面のミクロンオーダーの突起なども問題となる。この突起は、有機層の欠損原因となり、ダークスポットの発生につながるため、陽極作製前に、ガラス基板を平坦化する必要がある。
特許文献1では、光の取り出し効率を低下させないために、ガラス基板に設けた回折格子を埋め込むように、陽極であるITO膜と同等の屈折率1.9の高屈折率膜を設け、ガラス基板を平坦化している。この高屈折率膜は、SiN(n=1.9)のプラズマCVD処理や、金属酸化物と金属アルコキシドの混合物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を熱処理することにより得られた屈折率1.9の金属酸化物膜である。そして、この高屈折率膜の上に積層される電極は主にスパッタ法により作製されるため、高屈折率膜の高硬度化が要求されている。
特開2006−221976号公報 特開2006−168147号公報
しかしながら、特許文献1では、プラズマCVDにより回折格子上に高屈折率膜を成膜するため、高屈折率膜も格子形状(凹凸形状)をなしてしまう。したがって、高屈折率膜の厚みを厚くするか、研磨により高屈折率膜を平坦化する必要があるため、工程数や工程時間の増加、さらには材料の増加による生産性の低下(スループットの低下、高コスト化など)という問題があった。
一方、金属酸化物と金属アルコキシドの混合物を用いた成膜法では、塗布膜を、350℃以上の高温にて熱処理する必要があるため、処理設備が必要となるとともに、処理時間が長くなるから、コストが増加するという問題があった。
また、何れの高屈折率膜の作製方法においても、原材料が高価であるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、可視光透過性に優れ、ITO膜と同等の屈折率を有し、比較的低温にて成膜可能であり、充分な膜厚の塗膜を容易に形成可能であり、かつ、密着性に優れた高屈折率膜の製造方法、および、この製造方法によって得られた高屈折率膜、並びに、この高屈折率膜を備えた有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、凹凸形状を有する基材上に、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を熱処理することによって、比較的低温の熱処理により、可視光透過性に優れ、ITO膜と同等の屈折率を有する平滑な塗膜を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の高屈折率膜の製造方法は、基材上に、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理することを特徴とする。
前記透明分散液は、前記透明分散液は、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させてなり、前記金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、前記塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらmおよびnが、0.5<n<mの関係を満たすように、前記金属塩溶液に前記塩基性溶液を加えて前記金属塩溶液を部分中和させて生成した金属酸化物前駆体粒子を含有してなることが好ましい。
前記金属イオンは、ジルコニウムイオンまたはチタンイオンであることが好ましい。
前記塗布膜を、120℃以上の温度にて熱処理することが好ましい。
本発明の高屈折率膜は、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理してなることを特徴とする。
本発明の有機ELディスプレイは、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理してなる高屈折率膜を備えてなることを特徴とする。
本発明の高屈折率膜の製造方法によれば、基材上に、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理するので、可視光透過性に優れ、ITO膜と同等の屈折率を有し、350℃よりも低温にて熱処理可能であり、充分な膜厚の塗膜を容易に形成可能であり、かつ、基材への密着性に優れた高屈折率膜を容易に作製することができる。
本発明の高屈折率膜の製造方法、高屈折率膜、有機ELディスプレイの最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「高屈折率膜の製造方法」
本発明の高屈折率膜の製造方法は、基材上に、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を熱処理することにより、高屈折率膜を成膜する方法である。
本発明の高屈折率膜の製造方法において、透明分散液は、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させてなり、金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらmおよびnが、0.5<n<mの関係を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加えて金属塩溶液を部分中和させて生成した金属酸化物前駆体粒子を含有してなるものである。
金属塩溶液としては、特に限定されないが、例えば、価数が2価、3価、4価、5価、6価のいずれか1種または2種以上の金属イオンまたは金属酸化物イオンと、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどの無機酸イオン、あるいは、酢酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、乳酸イオンなどの有機酸イオンから構成される溶液が好適に用いられる。
上記の金属イオンとしては、例えば、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)などのイオンが挙げられる。これらの金属イオンの中でも、コスト面および生成する酸化物が高屈折率であることから、ジルコニウムイオン、チタンイオンが好適である。
また、金属酸化物イオンとしては、例えば、ジルコニア、セリア、イットリア、チタニアなどの金属酸化物のイオンが挙げられる。
溶媒としては、水に限定させるものではなく、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノールなどの1価アルコール、エチレングリコールなどの2価アルコール(グリコール)などの水溶性の有機溶媒も好適に用いられる。
塩基性溶液としては、金属塩溶液を中和させることのできる溶液であれば特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの水溶液、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ炭酸塩やアルカリ炭酸水素塩の水溶液、あるいは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ホルムアミドなどの塩基性有機化合物を含む溶液などが用いられる。
本発明では、上記の金属塩溶液に上記の塩基性溶液を加えることにより中和反応を行わせるが、この中和反応を行わせる際に、条件を設ける。
すなわち、金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、塩基性溶液中の水酸基(OH)のモル比をnとするとき、これらmおよびnが、0.5<n<mの関係を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加え、金属塩溶液を部分中和反応させて金属酸化物前駆体を生成する。
ここで、部分中和反応を行わせる理由について説明する。
通常の中和反応では、中和反応を完全に行わせるためにn≧mとしている。この条件で中和反応を行わせて得た金属酸化物の中和反応物は、中和反応時に必ず金属酸化物前駆体の等電点(前駆体粒子表面電荷がゼロになるpH)を通ることになるので、金属酸化物前駆体の微細な粒子が凝集して3次元の網目状に結合したネットワーク構造をなしている。
このようなネットワーク構造のものを加熱した場合、金属酸化物前駆体の脱水縮合により粒子同士の融着が生じ、やがては粗大な金属酸化物粒子を生成することになってしまい、平均粒子径が10nm以下の粒子径の揃った金属酸化物微粒子からなる高屈折率膜を成膜することはできない。
一方、金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数mと、塩基性溶液中の水酸基(OH)のモル比nが、0.5<n<mの関係を満たす場合、mとnが等しいとき(n=m)を中和率=1とすると、中和率が1未満では、金属酸化物前駆体の等電点の手前で中和反応を終了させるので、金属酸化物前駆体の凝集は起こらず、クラスターサイズ(nmサイズ)の金属酸化物前駆体粒子がゾル状態で溶液中に存在することとなる。
なお、中和率が1以上では、上述した様にn≧mが成り立つので、金属酸化物前駆体はネットワーク状の凝集物になる。また、中和率が0.5以下では、金属酸化物前駆体の生成率が極端に低下し、その結果、透明分散液を塗布してなる塗布膜を熱処理して、高屈折率膜を形成した場合、高屈折率膜の成膜が充分ではない。
また、このようにして調製された透明分散液に含まれる金属酸化物前駆体粒子は、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下であり、好ましくは平均粒径が1.0nm以上かつ3.0nm以下である。
金属酸化物前駆体粒子の平均粒径を0.1nm以上かつ5.0nm以下とした理由は、金属酸化物前駆体粒子の平均粒径が0.1nm未満では、十分な屈折率効果が得られないからであり、一方、平均粒径が5.0nmを超えると、透過率が低下するからである。
このような透明分散液を乾燥した後、基材上に塗布して塗布膜を形成し、その塗布膜を熱処理して高屈折率膜を成膜する。
透明分散液の乾燥方法は、透明分散液中の溶媒を散逸させることができればよく、ヒーターなどによる加熱乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、赤外線、マイクロ波などのエネルギー照射による乾燥など、通常の方法を利用することができる。これらの乾燥方法は、単独で行ってもよく、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
また、基材上に透明分散液を塗布して塗布膜を形成するに際しては、その塗布膜を熱処理して得られる高屈折率膜の膜厚が100nm〜1000nm、より好ましくは500nm〜700nmとなるような塗布量とすることが好ましい。
透明分散液の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、メニスカスコート法、吸上げ塗工法、フローコート法など、通常のウエットコート法を用いることができる。
基材としては、熱処理温度に耐える基材であればよく、ガラス基材、透光性のセラミックス基材などが好適に用いられる。
特に、この高屈折率膜を有機ELディスプレイに適用する場合には、有機ELディスプレイの仕様に適合可能なガラス基材が好適に用いられる。
熱処理方法としては、ヒーターなどによる加熱、減圧加熱、真空加熱、赤外線、マイクロ波などのエネルギー照射による加熱など、通常の方法を利用することができる。
ヒーターなどによる加熱としては、例えば、所定温度の電気炉(バッチ式電気炉)中に静置して加熱する方法、流動床型の電気炉(トンネル式電気炉)で加熱する方法などがある。
熱処理の温度範囲としては、上記の金属塩溶液に含まれる金属イオンまたは金属酸化物イオンから生成される金属酸化物の生成温度以上であることが好ましく、具体的には、120℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上かつ350℃以下である。
また、熱処理時の雰囲気としては、大気雰囲気の他、必要に応じて、酸素ガスの分圧が高い酸化性雰囲気、5v/v%H−Nなどの還元性雰囲気、Ar、Nなどの不活性ガス雰囲気を用いてもよい。
また、これら乾燥工程と熱処理工程とを同時に行なってもよい。さらに、上記の透明分散液を乾燥することなくそのまま熱処理してもよい。
本発明の高屈折率膜の製造方法によれば、基材上に、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させてなり、金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらmおよびnが、0.5<n<mの関係を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加えて金属塩溶液を部分中和させて生成し、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を熱処理することにより、高屈折率膜を成膜するので、350℃よりも低温における熱処理により、可視光透過性に優れ、ITO膜と同等の屈折率(n=1.9)を有し、充分な膜厚の塗膜を容易に形成可能であり、かつ、基材への密着性に優れた高屈折率膜を容易に作製することができる。また、一回の工程により形成される高屈折率膜の膜厚は500nm程度であるから、基材に設けられた回折格子などからなる凹凸形状の上に、この高屈折率膜を形成すれば、基材の表面を平滑にすることができる。
「有機ELディスプレイ」
本発明の有機ELディスプレイは、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を熱処理してなる高屈折率膜を備えてなるものである。
本発明の有機ELディスプレイにおいては、高屈折率膜は、上述の本発明の高屈折率膜の製造方法によって形成した高屈折率膜である。
図1は、本発明の有機ELディスプレイの一実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の有機ELディスプレイ10は、ガラスからなる透明基材11と、その上面11aに設けられた回折格子11bを埋め込むように設けられた高屈折率膜12と、この高屈折率膜12上に設けられた有機EL素子13とから概略構成されている。
また、有機EL素子13は、透明電極(陽極)14、正孔注入層(正孔輸送層)15、有機膜(発光層)16、陰極17が順に積層されてなる素子である。この有機EL素子13は、透明電極14が高屈折率膜12に接するように、高屈折率膜12上に設けられている。
この有機ELディスプレイ10は、本発明の高屈折率膜の製造方法によって形成した高屈折率膜12が、透明基材11の上面11aに設けられた回折格子11bを埋め込むように設けられているので、高屈折率膜12は膜厚が均一であるから、光の取り出し効率に優れ、高輝度の有機ELディスプレイである。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製し、限外ろ過により1mS/cmまで、このジルコニア前駆体スラリーを洗浄した。
次いで、このスラリーを、加熱炉を用いて、大気中、750℃にて1時間、不揮発分の濃度が10重量%になるまで濃縮し、ジルコニア透明分散液(Z1)を調製した。
次いで、スピンコート法により、基材上にこのジルコニア透明分散液(Z1)を塗布して塗布膜を形成し、加熱炉を用いて、大気中、200℃にて10分間、熱処理し、基材上にジルコニアからなる塗膜を成膜した。
「比較例1」
ジルコニア透明分散液(Z1)を用いて、基材上に塗布膜を形成し、加熱炉により、大気中、100℃にて10分間、熱処理した以外は実施例1と同様にして、基材上にジルコニアからなる塗膜を成膜した。
「比較例2」
ジルコニア透明分散液(Z1)を用いて、基材上に塗布膜を形成し、加熱炉により、大気中、350℃にて10分間、熱処理した以外は実施例1と同様にして、基材上にジルコニアからなる塗膜を成膜した。
「比較例3」
酸化ジルコニウム(RC−100S、第一稀元素化学工業社製)20重量部、ポリカルボン酸系分散剤(AH−103P、第一工業製薬社製)1.6重量部、水78.4重量部を混合し、ビーズミルにて分散処理を行い、ジルコニア透明分散液(Z2)を調製した。
次いで、スピンコート法により、基材上にこのジルコニア透明分散液(Z2)を塗布して塗布膜を形成し、加熱炉を用いて、大気中、350℃にて10分間、熱処理し、基材上にジルコニアからなる塗膜を成膜した。
「比較例4」
ジルコニア透明分散液(Z2)を用いて、基材上に塗布膜を形成し、加熱炉により、大気中、200℃にて10分間、熱処理した以外は比較例3と同様にして、基材上にジルコニアからなる塗膜を成膜した。
[ジルコニア透明分散液の評価]
実施例1および比較例3のジルコニア透明分散液のジルコニア粒子の平均分散粒径を測定した。
平均分散粒径は、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用い、ジルコニア透明分散液中のジルコニア粒子の含有量を1重量%に調製したものを測定用試料とした。また、データ解析条件としては、粒子径基準を体積基準とし、分散粒子であるジルコニアの屈折率を2.15、分散媒である水の屈折率を1.33とした。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)により、このジルコニア透明分散液中のジルコニア粒子の電子顕微鏡像を得、この電子顕微鏡像から無作為に50個の粒子を選び出し、その一次粒子径を測定し、その測定結果の平均値を計算することによって、このジルコニア粒子の平均一次粒子径を算出した。
これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2009016049
[膜の評価]
実施例1および比較例1〜4の各々について、塗膜の全光線透過率、屈折率、膜厚、鉛筆硬度および密着性を、下記の方法により評価した。
(1)全光線透過率
日本工業規格:JIS K 7361−1「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠し、分光光度計(V−570、日本分光社製)を用いて全光線透過率を測定した。
透過率が90%以上を「○」、90%未満を「×」とした。
この測定結果を表2に示す。
(2)屈折率
多入射角エリプソメータ(J.A.Woollam社製)を用いて屈折率を測定した。
この測定結果を表2に示す。
(3)膜厚
触針式膜厚計(Tencor社製)を用いて膜厚を測定した。
膜厚が500nm以上を「○」、500nm未満を「×」とした。
この測定結果を表2に示す。
(4)鉛筆硬度
日本工業規格:JIS K 5600−5−4「塗料一般試験方法」に準拠して、塗膜の鉛筆硬度を測定した。ただし、荷重を750gとした。
この測定結果を表2に示す。
(5)塗膜の密着性
基材上に形成された塗膜の密着性を、JIS K5600−5−6に準拠したクロスカット試験により評価した。
この測定結果を表2に示す。
Figure 2009016049
これらの評価結果によれば、実施例1では、全光線透過率、屈折率、膜厚、鉛筆硬度および密着性が良好であることが分かった。
一方、比較例1、2では、屈折率が実施例1と比べて劣っていた。
また、比較例3、4では、全光線透過率、屈折率および鉛筆硬度が実施例1と比べて劣っていた。
本発明の高屈折率膜の製造方法は、基材上に、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させてなり、金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらmおよびnが、0.5<n<mの関係を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加えて金属塩溶液を部分中和させて生成し、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を熱処理することにより、高屈折率膜を成膜することができるから、有機ELディスプレイの光の取り出し効率を向上することができることはもちろんのこと、その他の照明装置や液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)などのフラットパネルディスプレイ(FPD)にも極めて有用である。
本発明の有機ELディスプレイの一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
10 有機ELディスプレイ
11 透明基材
12 高屈折率膜
13 有機EL素子
14 透明電極(陽極)
15 正孔注入層(正孔輸送層)
16 有機膜(発光層)
17 陰極

Claims (6)

  1. 基材上に、平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理することを特徴とする高屈折率膜の製造方法。
  2. 前記透明分散液は、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させてなり、
    前記金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、前記塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらmおよびnが、0.5<n<mの関係を満たすように、前記金属塩溶液に前記塩基性溶液を加えて前記金属塩溶液を部分中和させて生成した金属酸化物前駆体粒子を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率膜の製造方法。
  3. 前記金属イオンは、ジルコニウムイオンまたはチタンイオンであることを特徴とする請求項2に記載の高屈折率膜の製造方法。
  4. 前記塗布膜を、120℃以上の温度にて熱処理することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の高屈折率膜の製造方法。
  5. 平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理してなることを特徴とする高屈折率膜。
  6. 平均粒径が0.1nm以上かつ5.0nm以下の金属酸化物前駆体粒子を含有してなる透明分散液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を熱処理してなる高屈折率膜を備えてなることを特徴とする有機ELディスプレイ。

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