JP2009015870A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、通気孔回りの防滴性の向上を図った電子機器を得る。
【解決手段】電子機器1は、上壁6a、周壁6bおよび下壁6cを有する筐体6と、筐体6に設けられた通気孔部11と、筐体6内に配置された放熱部材43とを具備している。通気孔部11は、側壁部21と、天井壁部22とを有する。側壁部21は、周壁6bよりも筐体6の内側に奥まって設けられ、通気孔24が開口するとともに、下壁6cまで延びている。天井壁部22は、側壁部21の上端から筐体6の外側に向いて延びている。下壁6cは、側壁部21に隣接する部位に排液孔32を有している。放熱部材43は、排液孔32の上方に配置され、通気孔24に対向するとともに、複数のフィン要素43aを有している。このフィン要素43aとフィン要素43aとの間の隙間は、排液孔32に向けて下方が開放されている。
【選択図】 図10

Description

本発明は、通気孔が開口する筐体を備えた電子機器に係り、特に通気孔回りの防滴構造に関する。
例えばポータブルコンピュータのような電子機器は、実装部品を冷却するために例えば筐体内に冷却ファンを搭載している。そして電子機器の筐体には、筐体の内部と外部との間で空気を流出または流入させるための通気孔が開口している。このような電子機器の上に例えば誤って水やその他の液体をこぼしてしまった場合、その液体はこの通気孔を通じて筐体内に浸入するおそれがある。
例えば本体内への雨水の浸入の防止を図った屋外用配電盤が提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の屋外用配電盤は、放熱用吸気口と換気用吸気口との間に遮雨板を備える。遮雨板の下方には排水口が形成されている。換気用吸気口から浸入した雨水は、遮雨板に当り、排水口に流れる。
特開平8−322114号公報
特許文献1に記載の防雨構造は、配電盤用の防滴構造として採用されるには好ましい形態をしているが、これをそのまま例えばポータブルコンピュータのような電子機器に適用することはできない。例えば電子機器の筐体内に遮雨板を設けると、筐体内に大きなデッドスペースが形成されることになる。これは近年要望されている電子機器の小型化を図る上で好ましくない。
本発明の目的は、通気孔回りの防滴性の向上を図った電子機器を得ることにある。
上記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係る電子機器は、上壁、周壁および下壁を有する筐体と、上記筐体に設けられた通気孔部と、上記筐体内に配置された放熱部材とを具備している。上記通気孔部は、側壁部と、天井壁部とを有する。上記側壁部は、上記周壁よりも上記筐体の内側に奥まって設けられ、通気孔が開口するとともに、上記下壁まで延びている。上記天井壁部は、上記側壁部の上端から上記筐体の外側に向いて延びている。上記下壁は、上記側壁部に隣接する部位に排液孔を有している。上記放熱部材は、上記排液孔の上方に配置され、上記通気孔に対向するとともに、複数のフィン要素を有している。このフィン要素とフィン要素との間の隙間は、上記排液孔に向けて下方が開放されている。
この構成によれば、通気孔回りの防滴性が向上する。
以下に本発明の実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1を開示している。図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、本体2と表示ユニット3とを備えている。
本体2は、本体ベース4と本体カバー5とを有する。本体カバー5は、本体ベース4に対して上方から組み合わされる。本体ベース4と本体カバー5とが協働することで、本体2は筐体6を備える。筐体6は、上壁6a、周壁6b、および下壁6cを有する。上壁6aは、キーボード7を支持している。下壁6cには例えば複数の脚部20が設けられている。このためポータブルコンピュータ1を下壁6cを下にして例えば机の上のような設置面Fに載置した時、筐体6の下壁6cと設置面Fとの間には隙間が形成される。
筐体6は、回路基板8と冷却ファン9とを収容している。回路基板8には、発熱部品10が実装されている。発熱部品10の一例は、例えばCPUである。筐体6のなかで冷却ファン9に対向する部位には、通気孔部11が設けられている。さらに筐体6は、例えば複数の吸気孔12を有する。吸気孔12は筐体6内に開口している。
表示ユニット3は、ディスプレイハウジング13と、このディスプレイハウジング13に収容された液晶表示パネル14とを備える。液晶表示パネル14は、表示画面14aを有する。表示画面14aは、ディスプレイハウジング13の前面の開口部13aを通じてディスプレイハウジング13の外部に露出されている。
表示ユニット3は、筐体6の後端部に図示しないヒンジ装置を介して支持されている。そのため、表示ユニット3は、上壁6aを上方から覆うように倒される閉じ位置と、上壁6aを露出させるように起立する開き位置との間で回動可能である。
次に、図2ないし図4を参照して通気孔部11について詳しく説明する。図2に示すように、通気孔部11は筐体6に設けられ、筐体6の外壁の一部を形成して外部に露出されている。通気孔部11は、第1の側壁部21、天井壁部22、および一対の第2の側壁部23a,23bを備える。
図4に示すように、第1の側壁部21は、筐体周壁6bに比べて筐体6の内側に奥まって形成されている。第1の側壁部21は、筐体周壁6bと平行な方向に沿って延びている。図3に示すように、第1の側壁部21には、例えば複数の通気孔24が筐体6内に開口している。複数の通気孔24は、例えば格子状に配列されている。
図4に示すように、第1の側壁部21の上端からは、天井壁部22が筐体6の外側を向いて例えば水平方向に延びている。天井壁部22の延伸端は筐体6の周壁6bに繋がっている。換言すれば、天井壁部22は、筐体周壁6bから筐体6の内側を向いて延び、その延びた先に第1の側壁部21が形成されている。
図2および図3に示すように、第1の側壁部21の一方の側端からは、第2の側壁部23aが筐体6の外側を向いて延びている。第1の側壁部21の他方の側端からは、第2の側壁部23bが筐体6の外側を向いて延びている。第2の側壁部23a,23bの一例は、それぞれ周壁6bの肉厚に比べて大きく延びている。第2の側壁部23a,23bの延伸端は筐体6の周壁6bに繋がっている。
一対の第2の側壁部23a,23bは、互いに対向している。第2の側壁部23a,23bの上端は、それぞれ天井壁部22の側端に繋がっている。すなわち、天井壁部22および第2の側壁23a,23bにより、第1の側壁21は下方を除く3方向が取り囲まれている。以上のように、通気孔部11は、筐体6の周壁6bから筐体6内に奥まった凹部状に形成されている。
次に各壁部の寸法間係の一例を図4を参照して説明する。なお本実施形態で説明する寸法間係は、本発明の一例であり、本発明の実施形態がこれに限定されるものではない。
図4に示すように、第1の側壁部21に設けられた複数の通気孔24のなかで最下方に位置する通気孔24の開口縁の下端24a(以後、下縁24aと称する)と天井壁部22の下面22aとの間の鉛直方向の距離を長さA1と定義する。第1の側壁部21の外面21aと天井壁部22の最も筐体6の外側に位置する端22b(以後、外縁22bと称する)との間の水平方向の距離を長さB1と定義する。このとき長さA1と長さB1は、式(1)の間係を満たすように形成される。
式(1)長さB1≧長さA1×tan(15°) (tan(15°)=0.267949…)
ここで、第1の側壁部21の外面21aとは、筐体6の外部に露出された壁面をいう。なお、第1の側壁部21に設けられる通気孔24は、複数個設ける必要は必ずしも無い。通気孔24は、一つだけ設けても良い。この場合、長さA1は、この唯一の通気孔24の下縁24aと天井壁部22の下面22aとの間の鉛直方向の距離となる。
上述の間係を換言すれば、次のことが言える。すなわち、天井壁部22の外縁22bの下端P1と通気孔24の下縁24aの外縁P2とを結ぶ直線が鉛直方向に対して成す角度を角度αと定義すれば、角度αは15°よりも大きくなる。なお、通気孔24の下縁24aの「外縁」とは、下縁24aのなかで最も筐体6の外側に位置する縁のことである。
冷却ファン9は、筐体6内において通気孔24に対向して配置されている。冷却ファン9は、空気を吸い込む吸気口9aと、吸い込んだ空気を吐出する排気口9bとを有する。排気口9bは、通気孔24に対向している。冷却ファン9は、通気孔24を向いて空気を吐出する。この吐出された空気は、通気孔24を通じて筐体6の外部に排気される。
次に、ポータブルコンピュータ1の作用について説明する。
冷却ファン9が駆動されると、冷却ファン9は筐体内の空気を吸気し、その吸い込んだ空気を通気孔24を向いて吐出する。これにより発熱部品10により暖められた筐体6内の空気が筐体6の外部に排気される。これにより、筐体6内に実装された発熱部品10の冷却が促進される。
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、通気孔24回りの防滴性が向上する。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ1は、天井壁部22を有する。天井壁部22が第1の側壁部21に対する軒(すなわち庇)と機能する。これによりポータブルコンピュータ1に例えば上から液体がこぼされたとしても、その液体が通気孔24を通じて筐体6内に入るおそれが少なくなる。
角度αが15°より大きくなるように通気孔部11が形成されていると、鉛直方向に対して15°より小さな傾斜角で落下してくる液体が通気孔24に浸入するおそれがほとんど無くなる。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ1は、鉛直方向から両側15°の範囲で落ちてくる液滴に対しては、その液体が筐体6内に浸入するおそれがほとんど無い。したがってポータブルコンピュータ1は、日本工業規格JISC0920で規定されるJIS2級(防滴II形)の要件を満たす。
第1の側壁部21の両側端部に第2の側壁部23a,23bが設けられていると、鉛直方向に対してポータブルコンピュータ1の奥行き方向に傾斜して落下してくる液体に対する防滴性がさらに向上する。なお「奥行き」方向とは、一つの第2の側壁部23bから他方の第2の側壁部23aを向く方向である。
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ31を、図5ないし図8を参照して説明する。なお第1の実施形態に係るポータブルコンピュータ1と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
ポータブルコンピュータ31の通気孔部11は、第1の側壁部21、天井壁部22、および一対の第2の側壁部23a,23bを備える。第1の側壁部21には通気孔24が開口している。通気孔部11は、上記式(1)の間係を満たすように形成されている。
図5に示すように、筐体6の下壁6cは、第1の側壁部21の下端から筐体6の内側を向いて延びている。筐体6の下壁6cのなかで第1の側壁部21に隣接する部位には、例えば複数の排液孔32が設けられている。複数の排液孔32は、例えば格子状に配列されるとともに、それぞれ筐体6の内側に開口している。なお排液孔32の数は例えば一つでも良い。
図6および図8に示すように、下壁6cには堤33が設けられている。堤33は、下壁6cから上方を向いて筐体6内に起立している。堤33の一例は、筐体下壁6cと一体に形成されたリブである。堤33は、第1の起立壁34および一対の第2の起立壁35a,35bを有する。第1の起立壁34は、排液孔32に比べてさらに筐体6の内側に設けられている。すなわち、第1の起立壁34は、排液孔32より第1の側壁部21から遠くに離れている。第1の起立壁34は、第1の側壁部21と平行な方向に沿って延びている。排液孔32は、第1の起立壁34と第1の側壁部21との間に開口している。
図7に示すように、第2の起立壁35a,35bは、第1の起立壁34の両側端部からそれぞれ第2の側壁部23a,23bを向いて延びるとともに互いに対向している。第2の起立壁35a,35bの延伸端は、それぞれ第2の側壁部23a,23bに連なっている。すなわち第1の起立壁34および第2の起立壁35a,35bは、互いに協働して排液孔32を3方から取り囲む堤33を形成している。
図8に示すように、冷却ファン9は、堤33よりさらに筐体6の内側に設けられている。冷却ファン9は、その排気口9bが堤33の上端より上方に位置するように配置されている。
次に通気孔部11と堤33の寸法間係の一例を図8を参照して説明する。なお本実施形態で説明する寸法間係は、本発明の一例であり、本発明の実施形態がこれに限定されるものではない。
図8に示すように、堤33の上端33aと天井壁部22の下面22aとの間の鉛直方向の距離を長さA2と定義する。第1の側壁部21に対向する堤33の側面33bと天井壁部22の外縁22bとの間の水平方向の距離を長さB2と定義する。このとき長さA2と長さB2は、式(2)の間係を満たすように形成される。
式(2)長さB2≧長さA2×tan(60°) (tan(60°)=√3)
上述の間係を換言すれば、次のことがいえる。すなわち、天井壁部22の外縁22bの下端P1と堤33の側面33bの上端P3とを結ぶ直線が鉛直方向に対して成す角度を角度β2と定義すれば、角度β2は60°よりも大きくなる。
次に、ポータブルコンピュータ31の作用について説明する。
鉛直方向に対して例えば15°より大きく傾斜して落下する液体の一部は、通気孔24を通じて筐体6内に浸入するおそれがある。この通気孔24を通じて筐体6内に浸入した液体は、筐体下壁6cに開口する排液孔32を通じて筐体6の外部に排出される。
このような構成のポータブルコンピュータ31によれば、通気孔24回りの防滴性が向上する。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ31は、天井壁部22および第2の側壁部23a,23bを有する。これにより第1の実施形態と同様の理由で防滴性が向上する。
通気孔部11が上記式(1)の間係を満たすように形成されているので、鉛直方向に対して15°より小さく傾斜して落下してくる液体が通気孔24に浸入するおそれがほとんど無い。したがってポータブルコンピュータ31は、筐体6内に対する液体の浸入を抑制することで、JISC0920で規定されるJIS2級(防滴II形)の要件を満たす。
JISC0920が定める防滴性は、その条件において電子機器が有害な影響を受けるか否かで判断される。すなわち例え筐体6内に液体が浸入してもそれが電子機器に有害な影響を与えない限りJISの基準を満たすことになるが、本実施形態に係るポータブルコンピュータ31は、そもそも筐体6内に対する液体の浸入を回避するという一歩高いレベルでJIS2級(防滴II形)の要件を満たしている。
ポータブルコンピュータ31は、第1の側壁部21に隣接する下壁6cに排液孔32を有する。これにより、例えば通気孔24を通じて液体が筐体6内に浸入したとしても、この液体は筐体6内に留まることなく、筐体6の外部に排出される。
堤33が形成されていると、筐体6内に浸入した液体が堤33で食い止められ、堤33より筐体6の内側に広がるおそれが小さくなる。堤33が形成されていると、筐体6内に浸入した液体を確実に排液孔32に導くことができる。
堤33および天井壁部22が上記式(2)の間係を満たすように形成されていると、鉛直方向に対して60°より小さく傾斜して落下してくる液体が堤33を越えて筐体6の内側に浸入するおそれをほとんど無くすことができる。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ31は、鉛直方向から両側60°の範囲で落ちてくる液滴に対しては、その液体が筐体6内に搭載されたユニットやモジュールに付着するおそれをほとんど無い。したがってポータブルコンピュータ31は、日本工業規格JISC0920で規定されるJIS3級(防雨形)の要件を満たす。
以上をまとめると、ポータブルコンピュータ31は、鉛直方向から60°以内の傾斜で落ちてくる液滴に対しては、例え筐体6内への浸入を許しても、搭載モジュール等が有害な影響を受けないというレベルで防滴性を有する。さらにポータブルコンピュータ31は、鉛直方向から15°以内の傾斜で落ちてくる液滴に対しては、筐体6内への浸入自体を防止するというレベルで防滴性を有する。
下壁6cに排液孔32が開口していると、冷却ファン9から吐出された空気はこの排液孔32をも通じて筐体6の外部に排気される。すなわち総冷却排気量が増え、冷却効率の向上を図ることができる。すなわち排液孔32を設けることは、防滴性能の向上と冷却性能の向上とを同時に図ることができる。
冷却ファン9の排気口9bが堤33の上端より上方に位置していると、排気が堤33により阻害されず、冷却ファン9の送風効率が向上する。
次に、本発明の第3の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ41を、図9および図10を参照して説明する。なお第1および第2の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,31と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
ポータブルコンピュータ41の通気孔部11は、第1の側壁部21、天井壁部22、および一対の第2の側壁部23a,23bを備える。第1の側壁部21には通気孔24が開口している。通気孔部11は、上記式(1)の間係を満たすように形成されている。
ポータブルコンピュータ41の下壁6cには、排液孔32および堤33が形成されている。堤33および天井壁部22は、上記式(2)の間係を満たすように形成されている。
図9に示すように、ポータブルコンピュータ41は、さらにヒートパイプ42および放熱部材43を備える。ヒートパイプ42は、伝熱部材の一例である。発熱部品10には、ヒートパイプ42の一端部42aに熱的に接続される。詳しくは、ヒートパイプの一端部42aは、受熱ブロック44に形成された溝44aに例えば嵌合される。受熱ブロック44は、例えば金属で形成され、高い熱伝導率を有する。
受熱ブロック44は、発熱部品10の間に伝熱部材45を介在させて、発熱部品10に載置されている。伝熱部材45の一例は、例えばグリスや伝熱シートなどである。図9に示すように、受熱ブロック44は、固定具46を用いて回路基板8に固定される。これにより、ヒートパイプ42は、受熱ブロック44を介して発熱部品10に熱的に接続される。
ヒートパイプ42の他端部42bは、放熱部材43に熱的に接続されている。放熱部材43は、複数のフィン要素43aを有する。フィン要素43aは、例えば矩形状に形成された板状部材である。ヒートパイプ42は、内部に作動液を有し、気化熱と毛細管現象を利用して両端部42a,42bの間で熱を移動させる。ヒートパイプ42は、発熱部品10で発せられる熱を放熱部材43に伝える。
放熱部材43は、その長手方向を第1の側壁部21の延伸方向に沿わして配置される。図10に示すように、放熱部材43は、通気孔24の側方に位置するとともに、排液孔32の上方に位置する。放熱部材43は、通気孔24と排液孔32とにそれぞれ対向している。放熱部材43は、第1の起立壁34と第1の側壁部21の間に配置される。すなわち、放熱部材43は、冷却ファン9と第1の側壁部21の間に配置される。放熱部材43は、例えばフィンの折り曲げなどで下方が閉塞されていない。
放熱部材43の一例は、例えば錆びないようにNiめっきやその他のコーティングなどの表面処理がなされていても良い。放熱部材43の一例は、例えば錆びにくいアルマイトのような金属材料で形成されていても良い。
このような構成のポータブルコンピュータ41によれば、通気孔24回りの防滴性が向上する。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ41は、天井壁部22および第2の側壁部23a,23bを有する。これにより第1の実施形態と同様の理由で防滴性が向上する。ポータブルコンピュータ41は、排液孔32と堤33とを有する。これにより第2の実施形態と同様の理由で防滴性が向上する。
すなわちポータブルコンピュータ41は、日本工業規格JISC0920で規定されるJIS3級(防雨形)の要件を満たす。詳しくは、ポータブルコンピュータ41は、鉛直方向から60°以内の傾斜で落ちてくる液滴に対しては、例え筐体6内への浸入を許しても、搭載モジュール等が有害な影響を受けないというレベルで防滴性を有する。さらにポータブルコンピュータ41は、鉛直方向から15°以内の傾斜で落ちてくる液滴に対しては、筐体6内への浸入自体を防止するというレベルで防滴性を有する。
発熱部品10で発生する熱がヒートパイプ42により放熱部材43まで伝えられると、発熱部品10の冷却がさらに促進される。排液孔32の上方に形成された空間を有効活用してこの放熱部材43を配置することで、筐体6の小型化を図ることができる。すなわち、例え濡れても悪影響を受けない部材である放熱部材43を、排液孔32の上方といった濡れるおそれがある空間に配置することで、筐体6内の空間を有効に利用したレイアウト配置が可能となる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ51を、図11および図12を参照して説明する。なお第1ないし第3の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,31,41と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
ポータブルコンピュータ51の通気孔部11は、第1の側壁部21、天井壁部22、および一対の第2の側壁部23a,23bを備える。第1の側壁21には通気孔24が開口している。通気孔部11は、上記式(1)の間係を満たすように形成されている。
ポータブルコンピュータ51の下壁6cには、排液孔32が形成されている。ポータブルコンピュータ51は、放熱部材43と伝熱部材の一例としてのヒートパイプ42とを有する。放熱部材43は、排液孔32の上方において排液孔32に対向して配置されている。ポータブルコンピュータ51は、排液孔32の回りに堤を有しない。
次に通気孔部11と排液孔32の寸法間係の一例を図12を参照して説明する。なお本実施形態で説明する寸法間係は、本発明の一例であり、本発明の実施形態がこれに限定されるものではない。
図12に示すように、下壁6cの上面6caと天井壁部22の下面22aとの間の鉛直方向の距離を長さA3と定義する。排液孔32の最も第1の側壁部21から離れた縁32aと天井壁部22の外縁22bとの間の水平方向の距離を長さB3と定義する。このとき長さA3と長さB3は、互いに式(3)の間係を満たすように形成される。
式(3)長さB3≧長さA3×tan(60°) (tan(60°)=√3)
ここで「排液孔32の最も第1の側壁部21から離れた縁32a」とは、下壁6cに設けられた複数の排液孔32のなかで最も第1の側壁部21から離れた排液孔32の開口縁であって、その開口縁の第1の側壁部21から離れた方の縁32a(以後、奥縁32aと称する)を指す。なお、排液孔32は複数個設ける必要は必ずしも無い。排液孔32は、一つだけ設けても良い。この場合、長さB3は、唯一の排液孔32の開口縁の第1の側壁部21から離れた方の縁32aと天井壁部22の外縁22bとの間の水平方向の距離となる。
上述の間係を換言すれば、次のことが言える。すなわち、天井壁部22の外縁22bの下端P1と排液孔32の奥縁32aの上端P4とを結ぶ直線が鉛直方向に対して成す角度を角度β3とすれば、角度β3は60°よりも大きくなる。
このような構成のポータブルコンピュータ51によれば、通気孔24回りの防滴性が向上する。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ51は、天井壁部22および第2の側壁部23a,23bを有する。これにより第1の実施形態と同様の理由で防滴性が向上する。ポータブルコンピュータ51は、排液孔32を有する。これにより第2の実施形態と同様の理由で防滴性が向上する。放熱部材43が排液孔32の上方に配置されると、筐体6の小型化を図ることができる。
通気孔部11および排液孔32が上記式(3)の間係を満たすように形成されていると、鉛直方向に対して60°より小さく傾斜して落下してくる液体は、排液孔32を通じて筐体6の外部に排出される。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ51は、鉛直方向から両側60°の範囲で落ちてくる液滴に対しては、その液体が筐体6内に搭載されたユニットやモジュールに付着するおそれをほとんど無い。したがってポータブルコンピュータ51は、日本工業規格JISC0920で規定されるJIS3級(防雨形)の要件を満たす。
以上をまとめると、ポータブルコンピュータ51は、鉛直方向から60°以内の傾斜で落ちてくる液滴に対しては、例え筐体6内への浸入を許しても、搭載モジュール等が有害な影響を受けないというレベルで防滴性を有する。さらにポータブルコンピュータ51は、鉛直方向から15°以内の傾斜で落ちてくる液滴に対しては、筐体6内への浸入自体を防止するというレベルで防滴性を有する。
次に、本発明の第5の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ61を、図13ないし図15を参照して説明する。なお第1ないし第4の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,31,41,51と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図13に示すように、通気孔24が開口する側壁部62は、周壁6bに連なる位置にある。すなわち、通気孔24が設けられる側壁部62は、周壁6bと同一面上にある。換言すれば、ポータブルコンピュータ61は、軒としての天井壁部を有しない。
側壁部62に隣接する下壁6cの部位には、排液孔32が開口している。図14に示すように、ポータブルコンピュータ61は、堤33、放熱部材43、および伝熱部材の一例としてのヒートパイプ42を有する。堤33の第2の起立壁35a,35bは、それぞれ周壁6bを向いて延び、周壁6bの内面に繋がっている。
次に、通気孔24と堤33の寸法間係の一例を図15を参照して説明する。なお本実施形態で説明する寸法間係は、本発明の一例であり、本発明の実施形態がこれに限定されるものではない。
図15に示すように、複数の通気孔24のなかで最上方に位置する通気孔24の開口縁の上端24b(以後、上縁24bと称する)と堤33の上端33aとの間の鉛直方向の距離をA4と定義する。側壁部62に対向する堤33の側面33bと側壁部62の外面62aとの間の水平方向の距離を長さB4と定義する。このとき長さA4と長さB4は、式(4)の間係を満たすように形成される。
式(4)長さB4≧長さA4×tan(60°) (tan(60°)=√3)
なお、例えば通気孔24を一つだけ設けた場合は、長さA4は、唯一の通気孔24の上縁と堤33の上端33aとの間の距離となる。
上述の間係を換言すれば、次のことが言える。すなわち、通気孔24の上縁24bの外縁P5と堤33の側面33bの上端P4とを結ぶ直線が鉛直方向に対して成す角度を角度β4と定義すれば、角度β4は60°よりも大きくなる。なお通気孔24の上縁24bの「外縁」とは、通気孔24の上縁24bのなかで最も筐体6の外側の縁である。
このような構成のポータブルコンピュータ61によれば、通気孔24回りの防滴性が向上する。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ61は、堤33および排液孔32を有する。これにより第2の実施形態と同様の理由で防滴性が向上する。放熱部材43が排液孔32の上方に配置されると、筐体6の小型化を図ることができる。
通気孔24と堤33が上記式(4)の間係を満たすように形成されていると、第2の実施形態と同様の理由で日本工業規格JISC0920で規定されるJIS3級(防雨形)の要件を満たす。
次に、本発明の第6の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ71を、図16および図17を参照して説明する。なお第1ないし第5の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,31,41,51,61と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
ポータブルコンピュータ71は、通気孔24が開口する側壁部62と、排液孔32が開口する下壁6cとを有する。ポータブルコンピュータ71は、放熱部材43および伝熱部材の一例としてのヒートパイプ42を有する。
次に、通気孔24と排液孔32の寸法間係の一例を図17を参照して説明する。なお本実施形態で説明する寸法間係は、本発明の一例であり、本発明の実施形態がこれに限定されるものではない。
図17に示すように、複数の通気孔24のなかで最上方に位置する通気孔24の開口縁の上端24b(以後、上縁24bと称する)と下壁6cの上面6caとの間の鉛直方向の距離をA5と定義する。排液孔32の最も側壁部62から離れた縁32aと側壁部62の外面62aとの間の水平方向の距離を長さB5と定義する。このとき長さA5と長さB5は、互いに式(5)の間係を満たすように形成される。
式(5)長さB5≧長さA5×tan(60°) (tan(60°)=√3)
なお、例えば通気孔24を一つだけ設けた場合は、長さA5は、唯一の通気孔24の上縁24bと下壁6cの上面6caとの間の距離となる。
上述の間係を換言すれば、次のことが言える。すなわち、通気孔24の上縁24bの外縁P5と排液孔32の奥縁32aの上端P4とを結ぶ直線が鉛直方向に対して成す角度を角度β5と定義すれば、角度β5は60°よりも大きくなる。
このような構成のポータブルコンピュータ71によれば、通気孔24回りの防滴性が向上する。すなわち、本実施形態に係るポータブルコンピュータ71は、排液孔32を有する。これにより第4の実施形態と同様の理由で防滴性が向上する。放熱部材43が排液孔32の上方に配置されると、筐体6の小型化を図ることができる。
通気孔24と排液孔32が上記式(5)の間係を満たすように形成されていると、第4の実施形態と同様の理由で日本工業規格JISC0920で規定されるJIS3級(防雨形)の要件を満たす。
以上、第1ないし第6の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,31,41,51,61,71について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。各実施形態に係る構成要素は、適宜組み合わせて使用することができる。
例えばアメリカのMIL規格またはその他の規格(例えばISO)で、例えば「鉛直方向に対して角度θ°の範囲で落ちてくる液体から有害な影響を受けない」との防滴性の基準がある場合、次のように各寸法を設定しても良い。すなわち、第1ないし第6本実施形態中の角度α、角度β2、角度β3、角度β4、角度β5のいずれかが角度θより大きな値となるように寸法A1〜A5、B2〜B5を設定してやることで上記基準を満たすことができる。
例えば通気孔部11の第2の側壁部23a,23bは、図18に示すように下方に向かうにつれて細くなるように形成されても良い。第2の側壁部23a,23bの一例は、その水平方向の幅が最も大きくなる部分の幅が、少なくとも周壁6bの肉厚より大きければ良い。さらに言えば、第2の側壁部23a,23bは、無くても良い。
本発明が適用可能な通気孔24は、冷却ファン9の排気のための通気孔に限らない。本発明が適用可能な電子機器は、ポータブルコンピュータに限らず、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、またはその他の電子機器にも適用可能である。
本発明の第1の実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。 第1の実施形態に係る通気孔部回りの斜視図。 図2中に示されたポータブルコンピュータのF3−F3線に沿う断面図。 図3中に示されたポータブルコンピュータのF4−F4線に沿う断面図。 本発明の第2の実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。 第2の実施形態に係るポータブルコンピュータ内部の斜視図。 図5中に示されたポータブルコンピュータのF7−F7線に沿う断面図。 図7中に示されたポータブルコンピュータのF8−F8線に沿う断面図。 本発明の第3の実施形態に係るポータブルコンピュータ内部の斜視図。 図9中に示されたポータブルコンピュータのF10−F10線に沿う断面図。 本発明の第4の実施形態に係るポータブルコンピュータ内部の斜視図。 図11中に示されたポータブルコンピュータのF12−F12線に沿う断面図。 本発明の第5の実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。 第5の実施形態に係るポータブルコンピュータ内部の斜視図。 図13中に示されたポータブルコンピュータのF15−F15線に沿う断面図。 本発明の第6の実施形態に係るポータブルコンピュータ内部の斜視図。 図16中に示されたポータブルコンピュータのF17−F17線に沿う断面図。 本発明の第1ないし第4の実施形態に係るポータブルコンピュータの変形例の斜視図。
符号の説明
1,31,41,51,61,71…ポータブルコンピュータ、6…筐体、6b…周壁、6c…下壁、8…回路基板、9…冷却ファン、9b…排気口、10…発熱部品、11…通気孔部、21…第1の側壁部、22…天井壁部、23a,23b…第2の側壁部、24…通気孔、32…排液孔、33…堤、42…ヒートパイプ、43…放熱部材。

Claims (8)

  1. 上壁、周壁および下壁を有する筐体と、
    上記筐体に設けられた通気孔部と、
    上記筐体内に配置された放熱部材と、を具備しており、
    上記通気孔部は、上記周壁よりも上記筐体の内側に奥まって設けられ、通気孔が開口するとともに、上記下壁まで延びた第1の側壁部と、上記第1の側壁部の上端から上記筐体の外側に向いて延びた天井壁部と、上記第1の側壁部の両側端部からそれぞれ上記筐体の外側に向いて延びるとともに、互いに対向した一対の第2の側壁部とを有しており、
    上記下壁は、上記第1の側壁部に隣接する部位に排液孔を有しており、
    上記放熱部材は、上記排液孔の上方に配置され、上記通気孔に対向するとともに、複数のフィン要素を有しており、このフィン要素とフィン要素との間の隙間は、上記排液孔に向けて下方が開放されていることを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1に記載の電子機器において、
    上記筐体に収容された冷却ファンを備えており、
    上記冷却ファンは、上記放熱部材よりも上記筐体の内側に設けられ、上記排液孔の上方を外れた位置に配置されていることを特徴とする電子機器。
  3. 請求項2に記載の電子機器において、
    上記筐体に収容された回路基板と、
    上記回路基板に実装された発熱部品と、
    上記発熱部品と上記放熱部材との間に延びた伝熱部材と、を備えており、
    上記回路基板および上記発熱部品は、上記排液孔の上方を外れた位置に配置されていることを特徴とする電子機器。
  4. 請求項3に記載の電子機器において、
    上記放熱部材のフィン要素とフィン要素との間の隙間は、上方が塞がれていることを特徴とする電子機器。
  5. 請求項4に記載の電子機器において、
    上記周壁は、上記天井壁部の外縁から上方に向いて、上記第1の側壁部よりも上記筐体の外側に張り出して上記上壁まで延びており、
    上記通気孔部は、上記天井壁部および上記一対の第2の側壁部が上記第1の側壁部を3方向から取り囲み、当該通気孔部の下方は開放されていることを特徴とする電子機器。
  6. 上壁、周壁および下壁を有する筐体と、
    上記筐体に設けられた通気孔部と、
    上記筐体内に配置された放熱部材と、を具備しており、
    上記通気孔部は、上記周壁に対して上記筐体の内側に奥まって設けられ、通気孔が開口するとともに、上記下壁まで延びた側壁部と、上記側壁部の上端から上記筐体の外側に向いて延びた天井壁部とを有しており、
    上記下壁は、上記側壁部に隣接する部位に排液孔を有しており、
    上記放熱部材は、上記排液孔の上方に配置され、上記通気孔に対向するとともに、複数のフィン要素を有しており、このフィン要素とフィン要素との間の隙間は、上記排液孔に向けて下方が開放されていることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項6に記載の電子機器において、
    上記筐体に収容された冷却ファンを備えており、
    上記冷却ファンは、上記放熱部材よりも上記筐体の内側に設けられ、上記排液孔の上方を外れた位置に配置されていることを特徴とする電子機器。
  8. 請求項7に記載の電子機器において、
    上記放熱部材のフィン要素とフィン要素との間の隙間は、上方が塞がれていることを特徴とする電子機器。
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