JP2009014116A - 磁性流体軸受の製造方法および磁性流体軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に製造することができ、かつ軸受の品質を向上することのできる磁性流体軸受の製造方法および磁性流体軸受を提供する。
【解決手段】磁性流体軸受1の製造方法は、以下の工程を備えている。円筒形状の軸本体2とフランジ部6とを有する固定軸10を準備する。中空部分を有する円筒形状の外輪スリーブ4を準備する。軸本体2の外周面に磁極形成部3を形成する。磁極形成部3を形成する工程の後で、外輪スリーブ4の中空部分に軸本体2を配置する。軸本体2が中空部分に配置された状態で、フランジ部6は外輪スリーブ4の軸方向下端面と対向している。軸本体2を配置する工程の後で、外輪スリーブ4の軸方向上端面と対向するスラスト板5を軸本体2に接着する。スラスト板5を接着する工程の後に、軸本体2と外輪スリーブ4との間の軸受隙間に磁性流体7を注入する。
【選択図】図1
【解決手段】磁性流体軸受1の製造方法は、以下の工程を備えている。円筒形状の軸本体2とフランジ部6とを有する固定軸10を準備する。中空部分を有する円筒形状の外輪スリーブ4を準備する。軸本体2の外周面に磁極形成部3を形成する。磁極形成部3を形成する工程の後で、外輪スリーブ4の中空部分に軸本体2を配置する。軸本体2が中空部分に配置された状態で、フランジ部6は外輪スリーブ4の軸方向下端面と対向している。軸本体2を配置する工程の後で、外輪スリーブ4の軸方向上端面と対向するスラスト板5を軸本体2に接着する。スラスト板5を接着する工程の後に、軸本体2と外輪スリーブ4との間の軸受隙間に磁性流体7を注入する。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁性流体軸受の製造方法および磁性流体軸受に関し、より特定的には、ハードディスクのスイングアームの支点軸受として使用される磁性流体軸受の製造方法および磁性流体軸受に関する。
磁性流体軸受は、磁性流体を軸受の潤滑剤として用いた軸受である。磁性流体軸受の作動原理は流体潤滑理論によらず磁力によるため、軸と外輪とが相対的に静止している場合、あるいは軸と外輪との相対速度が極めて小さな場合でも、外部からの加圧なしで軸と外輪とを非接触で支持することができる。また、磁性流体は粘性をも有するために軸受に高減衰性を付与することができる。
図15(a)は、代表的な磁性流体軸受の構成を示す断面図である。図15(b)は図15(a)のC部拡大図である。図15(a)、(b)を参照して、磁性流体軸受101は、軸受外輪102と、軸103と、磁性流体105とを主に備えている。軸受外輪102は円筒状であり、軸103は軸受外輪102内に軸受隙間g101を隔てて配置されている。磁性流体105は軸受隙間g101に注入されており、軸受外輪102は軸103に対して相対的に回転可能である。軸103は、中空軸体106と、永久磁石材料107と、磁石支持部材108を有している。永久磁石材料107は中空軸体106の外周面106aに嵌め込まれている。磁石支持部材108は中空軸体106の上端部の外周面に配置されており、外径方向に延在している。軸受外輪102の内周面102aと軸103の外周面103aとは軸受隙間g101を隔てて互いに対向している。軸受外輪102の内周面102aと、軸103の外周面103aと、軸受隙間g101内の磁性流体105とによってラジアル軸受101aが構成されている。
軸受外輪102の上端部の内周面102bおよび下端部の内周面102cは、軸受外輪102の中央部の内周面102aよりも外径方向に窪んでいる。そして、内周面102bおよび102cの各々には、リング状の磁石111aおよび111bの各々が配置されている。磁石111aおよび111bの各々の磁極は軸方向を向いている。
一方、軸103の上端部103bおよび下端部103cの各々には、リング状の磁石112aおよび112bの各々が配置されている。磁石112aおよび112bの各々の磁極は軸方向を向いており、磁石111aおよび111bの各々と互いに対向している。磁石111aと磁石112aとによって磁性流体軸受101の上部にスラスト軸受101bが構成されており、磁石111bと磁石112bとによって磁性流体軸受101の下部にスラスト軸受101cが構成されている。
以上のように磁性流体軸受101は、ラジアル軸受101aによってラジアル方向に支持され、かつスラスト軸受101bおよび101cによってスラスト方向に支持されている。
コンピュータのハードディスク(HDD)のスイングアームの支点軸受は静止・揺動を繰り返すため、流体動圧軸受を適用することは困難であり、従来ミニチュア転がり軸受が用いられていた。しかし、上記の磁性流体軸受を用いれば、転がり軸受のように転動体と軌道面とが直接固体接触するのを避けることができるため、転がり軸受よりも滑らかな摺動特性を得ることができる。加えて、磁性流体の粘性によって軸受に高減衰性を付与することもできる。このため、磁性流体軸受はHDDのスイングアームの支点軸受として好適であり、また揺動運動の支点軸受として広く使用され得る。
なお、図15(a)、(b)に示す磁性流体軸受は、たとえば特開2007−56978号公報(特許文献1)に開示されている。
特開2007−56978号公報
図15(a)、(b)に示す磁性流体軸受は、従来、以下の方法によって製造されて(組立てられて)いた。始めに、磁石112bおよび永久磁石材料107を中空軸体106に接着する。次に、永久磁石材料107(軸103)の外周面103aに磁性流体105を塗布する。続いて、軸受外輪102に磁石111aおよび111bを接着し、この軸受外輪102を軸103に挿入する。続いて、磁石支持部材108に磁石112aを接着する。その後、中空軸体106および永久磁石材料107に磁石支持部材108を接着する。
しかし、上記の製造方法においては、軸受隙間g101から中空軸体106および永久磁石材料107における接着部分に磁性流体105が溢れ出し、磁石支持部材108の接着が困難になることがあった。このため、容易に磁性流体軸受を製造することができなかった。また、磁石支持部材108を接着する際の接着剤が磁性流体105内に混入し、製造される磁性流体軸受の品質低下を招くことがあった。
したがって、本発明の目的は、容易に製造することができ、かつ軸受の品質を向上することのできる磁性流体軸受の製造方法および磁性流体軸受を提供することである。
本発明の磁性流体軸受の製造方法は、以下の工程を備えている。円筒形状の軸本体と第1スラスト部とを有する軸を準備する。中空部分を有する外輪を準備する。軸本体の外周面または外輪の内周面に複数の磁極を形成する。複数の磁極を形成する工程の後で、外輪の中空部分に軸本体を配置する。軸本体が中空部分に配置された状態で、第1スラスト部は外輪の一方の軸方向端面と対向している。軸本体を配置する工程の後で、外輪の他方の軸方向端面と対向する第2スラスト部を軸本体に接着する。第2スラスト部を接着する工程の後に、軸本体と外輪との間の軸受隙間に磁性流体を注入する。
本発明の磁性流体軸受の製造方法によれば、磁性流体が軸受隙間にない状態で第2スラスト部を接着するので、軸本体における接着部分に磁性流体が付着することがなくなり、第2スラスト部を容易に接着することができる。その結果、磁性流体軸受を容易に製造することができる。また、磁性流体が軸受隙間にない状態で第2スラスト部を接着するので、第2スラスト部を接着する際の接着剤が磁性流体内に混入することがなくなり、製造される磁性流体軸受の品質を向上することができる。
上記製造方法において好ましくは、磁性流体を注入する工程は、軸受隙間を減圧する工程を含んでいる。これにより、大気圧との圧力差により磁性流体が軸受隙間に入り込むので、磁性流体を軸受隙間へ容易に注入することができる。
上記製造方法において好ましくは、磁性流体を注入する工程は、減圧雰囲気において軸受隙間を磁性流体内に浸漬する工程を含んでいる。これにより、軸受隙間に存在している大気圧の空気が減圧雰囲気中に放出され、磁性流体が軸受隙間に入り込むので、磁性流体を軸受隙間へ容易に注入することができる。
上記製造方法において好ましくは、軸受隙間の減圧または減圧雰囲気の実現に真空ポンプを用いる。これにより、軸受隙間または雰囲気を容易に減圧することができる。
上記製造方法において好ましくは、磁性流体を注入する工程は、磁石の磁力を用いて磁性流体を軸受隙間へ誘導する工程を含んでいる。これにより、磁性流体を軸受隙間へ容易に注入することができる。磁石は永久磁石または電磁石であることが好ましい。
本発明の磁性流体軸受は、上記製造方法によって製造されている。
本発明の磁性流体軸受の製造方法および磁性流体軸受によれば、容易に製造することができ、かつ軸受の品質を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における磁性流体軸受の構成を示す断面図である。図1を参照して、本実施の形態における磁性流体軸受1は、軸としての固定軸10と、外輪としての外輪スリーブ4と、第2スラスト部としてのスラスト板5と、磁性流体7とを主に備えている。固定軸10の外周には、ラジアル軸受隙間を隔てて外輪スリーブ4が配置されている。固定軸10の外周面と外輪スリーブ4の内周面と軸受隙間には磁性流体7が注入されている。固定軸10の上端部には円盤状のスラスト板5が固定されている。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における磁性流体軸受の構成を示す断面図である。図1を参照して、本実施の形態における磁性流体軸受1は、軸としての固定軸10と、外輪としての外輪スリーブ4と、第2スラスト部としてのスラスト板5と、磁性流体7とを主に備えている。固定軸10の外周には、ラジアル軸受隙間を隔てて外輪スリーブ4が配置されている。固定軸10の外周面と外輪スリーブ4の内周面と軸受隙間には磁性流体7が注入されている。固定軸10の上端部には円盤状のスラスト板5が固定されている。
固定軸10は、軸本体2と、第1スラスト部としてのフランジ部6とを有している。軸本体2の外周面には磁極形成部3が形成されている。軸本体2は中空部分8を有しており、中空部分8の内周面には雌ネジが形成されている。フランジ部6は円盤状であり、円筒形状の軸本体2の下端部に軸本体2と一体的に形成されている。スラスト板5およびフランジ部6の各々は軸本体2に対して垂直な方向(図中横方向)に延在している。スラスト板5、軸本体2、およびフランジ部6によって凹部11が形成されている。凹部11は内径方向に窪んだ部分である。
外輪スリーブ4は中空部分を有する円筒形状を有しており、固定軸10を中心として回転可能に配置されている。外輪スリーブ4の中央部の内周面は内径方向に突出しており、凸部12を構成している。外輪スリーブ4の凸部12と固定軸10の凹部11とは互いに対向している。
図2(a)は図1のA部拡大図であり、図2(b)は図1のB部拡大図である。図1および図2(a)、(b)を参照して、スラスト板5の下面5aと、外輪スリーブ4の凸部12の軸方向上端面4aとは互いに対向している。また、磁極形成部3の(軸本体2の)外周面2bと、外輪スリーブ4の内周面4bとは互いに対向している。さらに、フランジ部6の上面6aと、外輪スリーブ4の凸部12の軸方向下端面4cとは互いに対向している。軸本体2の外周面2bと外輪スリーブ4の内周面4bとの隙間には磁性流体7が注入されており、軸本体2の外周面2bと、外輪スリーブ4の内周面4bと、磁性流体7とによってラジアル軸受1aが構成されている。また、外輪スリーブ4の軸方向上端面4aと、スラスト板5の下面5aとによってスラスト軸受1bが構成されている。さらに、外輪スリーブ4の軸方向下端面4cと、フランジ部6の上面6aとによってスラスト軸受1cが構成されている。
なお、外輪スリーブ4、軸本体2、スラスト板5、およびフランジ部6の各々は、たとえばオーステナイト系ステンレス鋼や黄銅などの非磁性体よりなっている。磁極形成部3はたとえばフェライトなどの磁性体よりなっている。また、磁性流体7は、たとえば磁性粒子をコロイド状に分散させた液体によって構成されている。また、たとえば脂肪酸、アルコール、脂肪族アミド、エステル、または硫化油脂などの材料またはこれらの材料の誘導体(以下、潤滑材料と記すこともある)が0.1質量%〜3質量%の範囲で上記液体中にさらに添加されてもよい。これらの潤滑材料は金属表面への吸着性の高い極性物質であり、高い潤滑能力を有しているので、磁性流体7の潤滑性を向上することができる。
図3は図1のIII−III線に沿った断面における磁極形成部の磁極分布を示す図であり、図4は磁極形成部の展開図における磁極分布を示す図である。図3および図4を参照して、磁極形成部3には複数の磁極が形成されており、円周方向(図4中横方向)に複数の磁極が並ぶように着磁されている。円周方向で隣り合う磁極同士は互いに異極となっており、複数の磁極の各々は軸方向(図4中縦方向)に延びている。
なお、磁極形成部3の着磁状態は自由であり、図3および図4に示す着磁状態の他、たとえば図5または図6に示すような着磁状態であってもよい。図5を参照して、磁極形成部3は軸方向に複数の磁極が並ぶように着磁されている。軸方向で隣り合う磁極同士は互いに異極となっており、複数の磁極の各々は円周方向に延びている。図6を参照して、磁極形成部3は軸方向および円周方向に複数の磁極が並ぶように着磁されている。軸方向および円周方向の各々で隣り合う磁極同士は互いに異極となっている。
なお、上記においては磁極形成部3が着磁されている場合について示したが、軸本体2の外周面2bに複数の孔を形成され、複数の孔の各々の内部に永久磁石を埋め込むことによって磁極形成部3が形成されてもよい。少なくとも軸本体2の外周面2bに複数の磁極が形成されていればよい。
続いて、本実施の形態における磁性流体軸受1の製造方法について、図7〜図12を用いて説明する。
始めに図7を参照して、磁極形成部3を除く軸本体2の部分2aと、フランジ部6とを一体的に形成する。そして、複数の磁極を形成した磁極形成部3を図中矢印で示す方向に部分2aに嵌め込み、部分2aの外周面に固定(たとえば接着)する。これにより、固定軸10が準備され、また軸本体2の外周面2bに複数の磁極が形成される。
なお、固定軸10全体を磁性体で形成し、軸本体2とフランジ部6とを一体的に形成した後、軸本体2の外周面を着磁してもよい。
次に図8を参照して、中空部分13を有する外輪スリーブ4を準備する。中空部分13は外輪スリーブ4の内部を図中縦方向に貫通するように形成されている。そして、外輪スリーブ4を図中矢印で示す方向に軸本体2に挿入する。その結果、外輪スリーブ4の中空部分13に軸本体2が配置される。この状態では、軸本体2の外周面2bが外輪スリーブ4の内周面4bと対向しており、フランジ部6の上面6aが外輪スリーブ4の軸方向下端面4cと対向している。
次に図9を参照して、スラスト板5を図中矢印で示す方向に軸本体2に嵌め込み、固定軸10の軸方向上端面10aにスラスト板5を接着する。その結果、スラスト板5の下面5aが外輪スリーブ4の軸方向上端面4aと対向する。
続いて、接着剤が固化した後で、軸本体2の外周面2bと外輪スリーブ4の内周面4bとの間の軸受隙間g1に磁性流体を注入する。磁性流体の注入の際には、軸受隙間g1の上部の開口部(スラスト板5と外輪スリーブ4との隙間)または下部の開口部(フランジ部6と外輪スリーブ4との隙間)から磁性流体を流し込んでもよいが、以下に説明する3つの方法のいずれかを採用することにより、効率的に磁性流体を注入することができる。
図10は、本発明の実施の形態1における磁性流体の第1の注入方法を模式的に示す図である。図10を参照して、始めに、図9に示す形状に組立てられた固定軸10、外輪スリーブ4、およびスラスト板5を基台32上に配置する。このとき、基台32と外輪スリーブ4との間にOリング33を挟む。また、たとえば軸本体2の中空部分8に雄ネジ31を螺合することにより、中空部分8を密閉する。次に、フランジ部6と外輪スリーブ4との隙間を完全に覆うように磁性流体7をフランジ部6の外周に塗布する。フランジ部6と外輪スリーブ4との隙間は狭いので、この状態では磁性流体7は軸受隙間g1内に入り込みにくい。続いて、図示しない真空ポンプを用いて、基台32の吸気通路32aを図中下方向から吸気する。これにより、スラスト板5と外輪スリーブ4との隙間を通じて軸受隙間g1が減圧され、大気圧との圧力差により磁性流体7が軸受隙間g1に入り込む。軸受隙間g1内に入り込んだ磁性流体7は、磁極形成部3の磁力によって軸本体2の外周面に吸着するので、圧力差が適切に設定されていれば、スラスト板5と外輪スリーブ4との隙間から磁性流体7が図中下側へ流れ出ることはない。
また図11は、本発明の実施の形態1における磁性流体の第2の注入方法を模式的に示す図である。図11を参照して、図9に示す形状に組立てられた固定軸10、外輪スリーブ4、およびスラスト板5を、磁性流体7を充填した容器34内に浸漬し、この容器34をチャンバ36内に配置する。なお、図9に示す構造全体が磁性流体7内に浸漬される必要はなく、少なくとも軸受隙間g1が磁性流体7内に浸漬されればよい。そして、真空ポンプを用いてチャンバ36内を減圧雰囲気とする。これにより、軸受隙間g1に存在している大気圧の空気がチャンバ36中に放出され、磁性流体7が軸受隙間g1に入り込む。
さらに図12は、本発明の実施の形態1における磁性流体の第3の注入方法を模式的に示す図である。図12を参照して、始めに、たとえばフランジ部6と外輪スリーブ4との隙間を完全に覆うように磁性流体7をフランジ部6の外周に塗布する。次に、外輪スリーブ4の外周面に沿って、磁石37を図中上端部から図中下端部へ向かって移動させる。これにより、磁石37の磁力に引かれて、磁性流体7が軸受隙間g1内へ誘導される。磁石37は永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。また、磁石37の磁力が磁極形成部3の磁力よりも大きいことが好ましい。
磁性流体7の注入が完了したら、磁石37が電磁石である場合には電源を落とし、磁石37が永久磁石である場合には図中左方に磁石37を外輪スリーブ4から離す。これにより、スラスト板5と外輪スリーブ4との隙間から磁性流体7が図中下側へ流れ出ることはない。
以上の工程により、図1に示す磁性流体軸受1が完成する。
本実施の形態における磁性流体軸受1の製造方法は、以下の工程を備えている。円筒形状の軸本体2とフランジ部6とを有する固定軸10を準備する。中空部分13を有する外輪スリーブ4を準備する。軸本体2の外周面2bに磁極形成部3を形成する。磁極形成部3を形成する工程の後で、外輪スリーブ4の中空部分13に軸本体2を配置する。軸本体2が中空部分13に配置された状態で、フランジ部6は外輪スリーブ4の軸方向下端面4cと対向している。軸本体2を配置する工程の後で、外輪スリーブ4の軸方向上端面4aと対向するスラスト板5を軸本体2に接着する。スラスト板5を接着する工程の後に、軸本体2と外輪スリーブ4との間の軸受隙間g1に磁性流体7を注入する。
本実施の形態における磁性流体軸受1の製造方法は、以下の工程を備えている。円筒形状の軸本体2とフランジ部6とを有する固定軸10を準備する。中空部分13を有する外輪スリーブ4を準備する。軸本体2の外周面2bに磁極形成部3を形成する。磁極形成部3を形成する工程の後で、外輪スリーブ4の中空部分13に軸本体2を配置する。軸本体2が中空部分13に配置された状態で、フランジ部6は外輪スリーブ4の軸方向下端面4cと対向している。軸本体2を配置する工程の後で、外輪スリーブ4の軸方向上端面4aと対向するスラスト板5を軸本体2に接着する。スラスト板5を接着する工程の後に、軸本体2と外輪スリーブ4との間の軸受隙間g1に磁性流体7を注入する。
本実施の形態における磁性流体軸受1の製造方法によれば、磁性流体7が軸受隙間g1にない状態でスラスト板5を接着するので、軸本体2における接着部分に磁性流体7が付着することがなくなり、スラスト板5を容易に接着することができる。その結果、磁性流体軸受1を容易に製造することができる。また、磁性流体7が軸受隙間g1にない状態でスラスト板5を接着するので、スラスト板5を接着する際の接着剤が磁性流体7内に混入することがなくなり、製造される磁性流体軸受1の品質を向上することができる。
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2における磁性流体軸受の構成を示す断面図である。図13を参照して、本実施の形態における磁性流体軸受1は、磁極形成部3が軸本体2の外周面2bに配置される代わりに、外輪スリーブ4の内周面4bに配置されている点において、実施の形態1の磁性流体軸受とは異なっている。
図13は、本発明の実施の形態2における磁性流体軸受の構成を示す断面図である。図13を参照して、本実施の形態における磁性流体軸受1は、磁極形成部3が軸本体2の外周面2bに配置される代わりに、外輪スリーブ4の内周面4bに配置されている点において、実施の形態1の磁性流体軸受とは異なっている。
磁極形成部3は、外輪スリーブ4と別体で形成されてもよいし、外輪スリーブ4と一体的に形成されてもよい。外輪スリーブ4と別体で形成する場合、着磁された磁極形成部3が外輪スリーブ4の内周面4dに接着されてもよいし、外輪スリーブ4の内周面4dに嵌合されてもよい。外輪スリーブ4と一体的に形成する場合、磁性体よりなる外輪スリーブ4の内周面が着磁されてもよいし、外輪スリーブ4の内周面に複数の孔が形成され、複数の孔の各々の内部に永久磁石が埋め込まれてもよい。
本実施の形態における磁性流体軸受1の製造方法においては、図7に示す工程の代わりに、外輪スリーブ4の内周面4bに磁極形成部3を形成する。
なお、これ以外の磁性流体軸受1の構成および製造方法は、実施の形態1における磁性流体軸受の構成および製造方法と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
本実施の形態における磁性流体軸受1の製造方法によれば、実施の形態1における製造方法と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図14は、本発明の実施の形態3におけるHDDのスイングアーム装置の構成を示す断面図である。図14を参照して、スイングアーム装置21は、磁性流体軸受1と、スイングアーム22とを備えている。磁性流体軸受1としては実施の形態1または2に記載のものが用いられる。基台23と、磁性流体軸受1の固定軸10の中空部分8とに雄ネジ27を螺合させることによって、基台23に固定軸10が固定されている。磁性流体軸受1の外輪スリーブ4にはスイングアーム22が取り付けられている。これにより、スイングアーム22は固定軸10(雄ネジ27)を支点として揺動可能となっている。スイングアーム22の図中左端には、磁気ディスク25に情報を記録するための磁気ヘッド24が設けられており、磁気ヘッド24は磁気ディスク25の情報記録面に対向している。スイングアーム22の図中右端にはヘッド位置決め機構26のロータ26aが設けられている。基台23にはロータ26aに対向するようにヘッド位置決め機構26のステータ26bが設けられている。ロータ26aはコイルにより構成されており、ステータ26bは永久磁石により構成されている。スイングアーム装置21においては、ロータ26aに電流を流すことによって、スイングアーム22を揺動させる力を発生させ、磁気ヘッド24を所望の位置へ移動させる。つまり、アクチュエータであるボイスコイルモータとしてのヘッド位置決め機構26により、スイングアーム22の揺動運動がサーボ制御され、磁気ヘッド24の位置決めがなされる。
図14は、本発明の実施の形態3におけるHDDのスイングアーム装置の構成を示す断面図である。図14を参照して、スイングアーム装置21は、磁性流体軸受1と、スイングアーム22とを備えている。磁性流体軸受1としては実施の形態1または2に記載のものが用いられる。基台23と、磁性流体軸受1の固定軸10の中空部分8とに雄ネジ27を螺合させることによって、基台23に固定軸10が固定されている。磁性流体軸受1の外輪スリーブ4にはスイングアーム22が取り付けられている。これにより、スイングアーム22は固定軸10(雄ネジ27)を支点として揺動可能となっている。スイングアーム22の図中左端には、磁気ディスク25に情報を記録するための磁気ヘッド24が設けられており、磁気ヘッド24は磁気ディスク25の情報記録面に対向している。スイングアーム22の図中右端にはヘッド位置決め機構26のロータ26aが設けられている。基台23にはロータ26aに対向するようにヘッド位置決め機構26のステータ26bが設けられている。ロータ26aはコイルにより構成されており、ステータ26bは永久磁石により構成されている。スイングアーム装置21においては、ロータ26aに電流を流すことによって、スイングアーム22を揺動させる力を発生させ、磁気ヘッド24を所望の位置へ移動させる。つまり、アクチュエータであるボイスコイルモータとしてのヘッド位置決め機構26により、スイングアーム22の揺動運動がサーボ制御され、磁気ヘッド24の位置決めがなされる。
スイングアーム22の揺動運動において回転方向が切り替わる際には必ず回転速度がゼロになり、死点が存在する。さらに、スイングアーム装置21では頻繁にスイングアーム22の起動および停止がなされるため、起動および停止の度にスイングアーム22の回転速度がゼロになる。磁性流体軸受1は、固定軸10の外周面と外輪スリーブ4の内周面との間に満たされる磁性流体によって、固定軸10と外輪スリーブ4とが常に非接触で支持されるので、HDDのスイングアーム装置のスイングアームの支持構造として好適である。
なお、実施の形態1および2においては、図1に示す磁性流体軸受1の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は図1以外の構造の磁性流体軸受にも適用することができ、たとえば図15(a)、(b)に示す磁性流体軸受にも適用することができる。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
本発明の磁性流体軸受は、HDDのスイングアームの支点軸受として使用される磁性流体軸受として適している。
1,101 磁性流体軸受、1a,101a ラジアル軸受、1b,1c,101b,101c スラスト軸受、2 軸本体、2a 軸本体の部分、2b 軸本体の外周面、3 磁極形成部、4 外輪スリーブ、4a 外輪スリーブの軸方向上端面、4b,4d 外輪スリーブの内周面、4c 外輪スリーブの軸方向下端面、5 スラスト板、5a スラスト板の下面、6 フランジ部、6a フランジ部の上面、7,105 磁性流体、8,13 中空部分、10 固定軸、10a 固定軸の軸方向上端面、11 凹部、12 凸部、21 スイングアーム装置、22 スイングアーム、23,32 基台、24 磁気ヘッド、25 磁気ディスク、26 ヘッド位置決め機構、26a ロータ、26b ステータ、27,31 雄ネジ、32a 吸気通路、33 Oリング、34 容器、36 チャンバ、37,111a,111b,112a,112b 磁石、102 軸受外輪、103 軸、102a〜102c 軸受外輪の内周面、103a 軸の外周面、103b 軸受外輪の上端部、103c 軸受外輪の下端部、106 中空軸体、106a 中空軸体の外周面、107 永久磁石材料、108 磁石支持部材、g1,g101 軸受隙間。
Claims (8)
- 円筒形状の軸本体と第1スラスト部とを有する軸を準備する工程と、
中空部分を有する外輪を準備する工程と、
前記軸本体の外周面または前記外輪の内周面に複数の磁極を形成する工程と、
前記複数の磁極を形成する工程の後で、前記外輪の前記中空部分に前記軸本体を配置する工程とを備え、
前記軸本体が前記中空部分に配置された状態で、前記第1スラスト部は前記外輪の一方の軸方向端面と対向し、
前記軸本体を配置する工程の後で、前記外輪の他方の軸方向端面と対向する第2スラスト部を前記軸本体に接着する工程と、
前記第2スラスト部を接着する工程の後に、前記軸本体と前記外輪との間の軸受隙間に磁性流体を注入する工程とをさらに備える、磁性流体軸受の製造方法。 - 前記磁性流体を注入する工程は、前記軸受隙間を減圧する工程を含む、請求項1に記載の磁性流体軸受の製造方法。
- 前記磁性流体を注入する工程は、減圧雰囲気において前記軸受隙間を磁性流体内に浸漬する工程を含む、請求項1に記載の磁性流体軸受の製造方法。
- 前記軸受隙間の減圧または前記減圧雰囲気の実現に真空ポンプを用いる、請求項2または3に記載の磁性流体軸受の製造方法。
- 前記磁性流体を注入する工程は、磁石の磁力を用いて前記磁性流体を前記軸受隙間へ誘導する工程を含む、請求項1に記載の磁性流体軸受の製造方法。
- 前記磁石は永久磁石である、請求項5に記載の磁性流体軸受の製造方法。
- 前記磁石は電磁石である、請求項5に記載の磁性流体軸受の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法によって製造された磁性流体軸受。
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JP2007177277A JP2009014116A (ja) | 2007-07-05 | 2007-07-05 | 磁性流体軸受の製造方法および磁性流体軸受 |
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JP2013224705A (ja) * | 2012-04-23 | 2013-10-31 | Samsung Electro-Mechanics Japan Advanced Technology Co Ltd | 回転機器およびその生産方法 |
CN111649067A (zh) * | 2020-05-29 | 2020-09-11 | 北京理工大学 | 一种气体轴承装配检测装置、方法和系统 |
-
2007
- 2007-07-05 JP JP2007177277A patent/JP2009014116A/ja not_active Withdrawn
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