JP2009012039A - 粉末成形用金型、該粉末成形用金型を用いて成形した成形体および焼結体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャビティに粉末が充填されるダイと、該粉末を圧縮するパンチとからなる粉末成形用金型であって、前記パンチが摺接する前記ダイのキャビティを囲む型面あるいは/および前記ダイと摺接する前記パンチの外周面に、ダイヤモンド状炭素(DLC)からなる厚さ10μm以上20μm以下のコーティング層を形成している。
【選択図】図2
Description
例えば、特公平7−47814号公報(特許文献1)の金型の表面処理では、図5に示すように、金型母材1の表面にイオンプレーティングで純Tiの合金化下地層2を形成した後、合金化下地層2の表面にTiNあるいはTiC等からなる高硬度な皮膜層3を形成し、さらに、最表面にはTi、Al等からなる摩擦係数の低い材料による皮膜層4を形成している。高硬度な皮膜層3と低摩擦の皮膜層4を密着させて皮膜層を形成し、耐摩耗性を向上させている。
また、摩擦係数が約0.3〜0.4であるTi、TiN等を皮膜層3、4に用いているため、高圧成形の場合には成形体やダイに発生する側圧力に対して十分有効な摩擦係数とは言えず、圧縮時や成形体の抜き出し時に金型が破損したり成形体にクラックが発生しやすい問題が生じる。
そこで、高圧成形の場合には、表面処理においてさらに金型や成形体へ負荷される摩擦力を低下させることが望まれる。
前記パンチが摺接する前記ダイのキャビティを囲む型面あるいは/および前記ダイと摺接する前記パンチの外周面に、ダイヤモンド状炭素(DLC)からなる厚さ10μm以上20μm以下のコーティング層が形成されていることを特徴とする粉末成形用金型を提供している。
ダイヤモンド状炭素(DLC:Diamond Like Carbon)とは、ダイヤモンドに類似した炭素薄膜材料のことで、炭素を主成分としたアモルファス構造であり、硬度が高く摩擦係数が低いという特徴がある。ダイヤモンド状炭素(DLC)の摩擦係数は約0.1であり、TiNの摩擦係数(約0.4)と比較して小さい。よって、金型表面のコーティング層にTiNに代えてダイヤモンド状炭素(DLC)を用いることで、圧縮時におけるダイとパンチとの摩擦力を低減することができると共に、成形体抜き出し時の成形体とダイとの摩擦力を低減して金型から成形体をスムーズに抜き出すことができ、金型の破損や成形体に発生するクラックを防止することができる。
前記厚さとしているのは、コーティング層の厚さが10μm以上20μm以下であると、高圧成形の場合にパンチの側圧力によってコーティング層が剥がれる恐れがないと共に、成膜工程にもコストがかからないことに因る。
前記コーティング層は、ダイヤモンド状炭素(DLC)をスパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着等で金型を成膜して形成している。
前記ダイは高圧用である場合、超硬合金で形成していることが好まく、なお、パンチは、超硬合金、鉄、または鉄合金から形成するのが好ましい。
コーティング層が3層以上の場合は最表面層の硬度を最も高くしているのが好ましい。
なお、コーティング層の各層の硬度を同じとしてもよいが、前記のように表面層の硬度を高くすることが好ましい。
前記成形体あるいは焼結体は、密度を95%以上としているのが好ましい。このように、圧粉磁心のような焼結しない成形体である焼結体を作成することができると共に、成形後に焼結する成形体の場合でも寸法収縮によるバラツキを小さくすることができるため寸法精度を向上させることができる。
成形体あるいは焼結体は、モータあるいはトランス等に適用できる。
図1乃至図3に本発明の第1実施形態を示す。
該粉末成形用金型10は、キャビティ11aを形成するダイ11の内周面を摺接面11gとし、該摺接面11gに上下パンチ12、13を摺接させてキャビティ11aに充填した粉末Pを圧縮成形している。ダイ11は超硬合金で形成し、上下パンチ12、13はハイス鋼で形成している。
前記コーティング層14は、図2に示すように、低硬度の下地層14cと高硬度の表面層14dとを積層した構成としている。下地層14cは上パンチ12の外周面12bに固着して形成し、該下地層14cの外面に表面層14dを積層固着し、該表面層14dの表面14aは後述するダイ11の摺接面11gとの摺接面としている。
一方、下パンチ13は本実施例ではダイ11に対して摺接せずに定置しており、その上面13aは成形体60の下面60bを成形する面であるため、下パンチ13の外周面および上面にはコーティング層を形成していない。
図3に示すように、粉末の圧縮成形時に、下降する上パンチ12のコーティング層14の表面層14dの最表面をダイ11の摺接面11gとの摺接面14aとしている。
まず、金型の下パンチ13を、図1に示すように、予めダイ11のキャビティ11aの底面に固定する。
ついで、下パンチ13で底面を塞いだダイ11のキャビティ11a内に粉末Pを充填する。
粉末Pの充填後に、上パンチ12を下降し、粉末Pを充填しているキャビティ11a内にゆっくりと押し込んでいき、粉末Pを成形体60の形状に整える。
その後、図3に示すように、上パンチ12を下降させてショットすることにより粉末Pを、上パンチ下面12a、下パンチ上面13aとの間で発生する圧縮圧Nにより、キャビティ11aに充填した粉末Pを圧縮し、上パンチ下面12a、下パンチ上面13aおよびダイ11の型面11bの形状に沿った外面を有する成形体60を成形する。
なお、粉末Pを加熱せずに成形する場合もある。
前記金型10で粉末Pを圧縮成形後に、成形体60を金型10より取り出している。
取り出した成形体60は必要に応じて焼結炉で焼結して、焼結体としてもよい。
一方、表面層14dは高硬度としているため、ダイ11の摺接面11gとの摩擦係数をより低下でき、圧縮時の側圧力による上パンチ12やダイ11の破損を防止することができると共に表面層14dの摩耗量を低減できる。
第2実施形態の粉末成形用金型10は、ダイ11に潤滑剤11cを塗布する代わりに、ダイ11の型面11bの表面にダイヤモンド状炭素(DLC)からなるコーティング層24を設け、この点で第1実施形態と相違させている。
上パンチ外周面12bにも、第1実施形態と同様に、DLCからなるコーティング層14を設けている。
前記コーティング層24の高硬度の表面層24dは、上パンチ12のコーティング層14の表面層14dの表面の摺接面14aおよび成形体60の側周面60cとの摺接面となる。
他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
11 ダイ
11a キャビティ
11b 型面
12 上パンチ
13 下パンチ
14 コーティング層
14a 摺接面
14c 低硬度の下地層
14d 高硬度の表面層
60 成形体
P 粉末
Claims (4)
- キャビティに粉末が充填されるダイと、該粉末を圧縮するパンチとからなる粉末成形用金型であって、
前記パンチが摺接する前記ダイのキャビティを囲む型面あるいは/および前記ダイと摺接する前記パンチの外周面に、ダイヤモンド状炭素(DLC)からなる厚さ10μm以上20μm以下のコーティング層が形成されていることを特徴とする粉末成形用金型。 - 前記コーティング層は、硬度の異なる表面層と下地層との少なくとも2層を積層して有し、前記表面層の硬度は下地層の硬度よりも高硬度としている請求項1に記載の粉末成形用金型。
- 請求項1または請求項2に記載の粉末成形用金型を用いて成形された成形体。
- 請求項3に記載の成形体が熱処理された焼結体。
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