JP2009008127A - 遊星歯車装置 - Google Patents

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    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
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Abstract

【課題】ピニオンの回転に伴うトルク損失の増加を抑制できる遊星歯車装置を提供する。
【解決手段】サンギア及びリングギアのそれぞれと噛み合うピニオン13と、ピニオン13を回転可能に支持するピニオン軸15、ピニオン軸15の軸線方向に延びてピニオン13に隣接する支柱16及びピニオン13を両側から挟むように配置されてピニオン軸15及び支柱16のそれぞれの両端部が結合される側板18を有するキャリア14とを備え、ピニオン13を潤滑するための潤滑油が供給される遊星歯車装置3において、支柱16は、ピニオン13の歯先円ACに沿うように湾曲しかつピニオン13の歯部13aに対して非接触状態で対向する対向面16aを有するとともに、対向面16aとピニオン13の歯部13aとの間のクリアランスCがピニオン13の回転方向前方に向かって徐々に拡大するように構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、変速機等の各種装置に組み込まれて使用される遊星歯車装置に関する。
遊星歯車装置において、キャリアに回転自在に設けられたピニオンの側端面とキャリア側板との間に、側板と一体回転するようにワッシャを介在させ、そのワッシャに外径側から孔部の途中まで延びる凹溝を形成することにより、ピニオンに供給された潤滑油を凹溝に導いて潤滑油の排出性を向上させたものが知られている(特許文献1)。また、ピニオンの側端面に溝を形成して潤滑油の排出性を向上させた遊星歯車装置も知られている(特許文献2)。
特開2002−195391号公報 特開2005−249052号公報
これらの装置は、ピニオンの回転に伴ってキャリアとピニオン側端面に生じる潤滑油の剪断抵抗がワッシャに形成された凹溝やピニオン側端面に形成された溝を原因として増加する。これにより、ピニオンの回転に伴うトルク損失が増加する。
そこで、本発明は、ピニオンの回転に伴うトルク損失の増加を抑制できる遊星歯車装置を提供することを目的とする。
本発明の遊星歯車装置は、サンギア及びリングギアのそれぞれと噛み合うピニオンと、前記ピニオンを回転可能に支持するピニオン軸、前記ピニオン軸の軸線方向に延びて前記ピニオンに隣接する支柱及び前記ピニオンを両側から挟むように配置されて前記ピニオン軸及び前記支柱のそれぞれの両端部が結合される一対の支持部材を有するキャリアとを備え、前記ピニオンを潤滑するための潤滑油が供給される遊星歯車装置において、前記支柱は、前記ピニオンの歯先円に沿うように湾曲しかつ前記ピニオンの歯部に対して非接触状態で対向する対向面を有するとともに、前記対向面と前記ピニオンの歯部との間のクリアランスが前記ピニオンの回転方向の前方に向かって徐々に拡大するように構成されていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
キャリアの支柱の対向面とピニオンの歯部との間のクリアランスがピニオンの回転方向に関して一定であると、そのクリアランスに進入した潤滑油の圧力分布がピニオンの回転方向の前方に向かって大きくなる。このような圧力分布の最大値を下げるにはクリアランスを大きくすればよいが、クリアランスを大きくするとそれだけ支柱の断面積が減少して支柱の強度が低下する。この遊星歯車装置によれば、ピニオンの回転方向の前方に向かってクリアランスが徐々に拡大するので、そのクリアランスに進入する潤滑油の圧力分布を平準化できる。そのため、クリアランスを必要以上に大きくしなくて済むので、支柱の強度を確保しつつ潤滑油の剪断抵抗の増大を抑えることができる。その結果、ピニオンの回転に伴うトルク損失が増加を抑制することができる。
本発明の遊星歯車装置の一態様において、前記ピニオンと前記一対の支持部材の少なくとも一方の支持部材との間に挿入された複数のワッシャを更に備え、前記複数のワッシャのうちの前記支持部材に最も近い側のワッシャの外径が前記ピニオンに最も近い側のワッシャの外径よりも小さくてもよい(請求項2)。この態様によれば、小径のワッシャが大径のワッシャと支持部材との間に介在するので、大径のワッシャがピニオンとつれ回り小径のワッシャが潤滑油の剪断抵抗を主に受け持つことになる。そのため、ピニオンの回転時における潤滑油の剪断抵抗が小さくなって、ピニオンと支持部材との間に一枚のワッシャ又は複数の同径のワッシャを介在させる場合と比較してピニオンの回転に伴うトルク損失を低減することができる。
前記ピニオンと前記一対の支持部材の少なくとも一方の支持部材との間に挿入されたワッシャを更に備え、前記ワッシャは、厚さ方向に波を打つように湾曲するウエーブワッシャとして構成されてもよい(請求項3)。この態様によれば、ピニオンと支持部材とのクリアランスを大きくとることができ、かつ潤滑油の排出性が向上する。このため、平面状のワッシャを挿入する場合と比較してピニオンの回転に伴うトルク損失を低減することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ピニオンの回転方向の前方に向かってクリアランスが徐々に拡大するので、そのクリアランスに進入する潤滑油の圧力分布を平準化できる。そのため、クリアランスを必要以上に大きくしなくて済むので、支柱の強度を確保しつつ潤滑油の剪断抵抗の増大を抑えることができる。その結果、ピニオンの回転に伴うトルク損失が増加を抑制することができる。
図1は本発明の一形態に係る遊星歯車装置が適用された変速装置の要部を示しており、図2は図1のII−II線に沿った断面を示している。変速装置1は、入力軸2と、この入力軸2の回転を変速する遊星歯車装置3と、入力軸2と同軸に設けられて遊星歯車装置3にて変速された回転を出力する出力軸4と、入力軸2及び出力軸4をそれぞれ回転自在に支持するとともに遊星歯車装置3を収容するハウジング5とを備えている。入力軸2及び出力軸4のそれぞれは軸線Ax1の回りに回転できるようにベアリング6、7を介してハウジング5に支持されている。
遊星歯車装置3は入力軸2と一体回転するサンギア10と、サンギア10と同軸に配置されて出力軸4と一体回転するリングギア11と、サンギア10及びリングギア11の間に介在するピニオンユニット12とを備えている。図1に示すように、ハウジング5は入力セクション5Aと出力セクション5Bとに分割されている。変速装置1は、入力セクション5Aの内側から入力軸2を挿入した状態でピニオンユニット12をサンギア10に噛み合うようにして入力セクション5Aにボルト8で固定した組立体と、出力セクション5Bの内側から出力軸4を挿入した組立体とをピニオンユニット12とリングギア11とが噛み合うように突き合わせこれらの組立体をボルト9により相互に連結することにより組み立てられている。
図1及び図2に示すように、ピニオンユニット12は、サンギア10及びリングギア11のそれぞれと噛み合う4つのピニオン13と、ピニオン13を回転自在に支持してハウジング5に固定されるキャリア14とを備えている。キャリア14はピニオン13を軸線Ax2の回りに回転可能に支持するピニオン軸15と、互いに隣接する二つのピニオン13の間に配置されて軸線Ax2の方向に延びる4本の支柱16と、ピニオン軸15及び支柱16のそれぞれの両端部が結合される一対の支持部材としての側板17、18とを有している。これらの側板17、18はピニオン13の両側から挟むようにして配置される。ピニオン軸15はその両端部が側板17、18にかしめ等の回り止めが施された状態で固定されている。ピニオン13とピニオン軸15との間にはニードルベアリング等のベアリング19が装着されており、ピニオン13はピニオン軸15にて回転自在に支持される。
図3はピニオン13及びピニオン軸15の詳細を示す断面図である。この図にも示すように、ピニオン軸15にはピニオン13に潤滑油を供給するための油路20が形成されている。その油路20は側板17の側に開口する入口20aと、ベアリング19の内周面側に開口する出口20bとを有する。入口20aはハウジング5の入力側セクション5Aに形成されて潤滑油が導かれる油路21(図1参照)に連通している。その油路21には不図示のオイルポンプ等の供給手段にて潤滑油が供給されている。図1にも示したがピニオン13と側板17との間及びピニオン13と側板18との間のそれぞれには小径ワッシャ23及び大径ワッシャ24が挿入されている。これにより、油路21に導かれた潤滑油は図3の矢印で示すように油路20、ベアリング19及び各ワッシャ23、24を経由してピニオン13に導かれてピニオン13が潤滑される。図1及び図3から明らかなように、側板17、18に近い側の小径ワッシャ23の外径はピニオン13に近い側の大径ワッシャ24の外径よりも小さくなっている。小径ワッシャ23が大径ワッシャ24と側板17、18との間に介在することにより、大径ワッシャ24がピニオン13とつれ回り小径ワッシャ23が潤滑油の剪断抵抗を主に受け持つことになる。そのため、ピニオン13の回転時における潤滑油の剪断抵抗が小さくなって、ピニオン13と側板との間に一枚のワッシャ又は複数の同径のワッシャを介在させる場合と比較してピニオン13の回転に伴うトルク損失を低減することができる。
図2に示すように、キャリア14の各支柱16はピニオン13に隣接するとともに、ピニオン13の歯部13aに対向する対向面16aを有している。図4は図2の部分拡大図である。図2及び図4に示すように、対向面16aはピニオン13の歯先円ACに沿うように湾曲し、かつ歯部13aに対して非接触状態で対向している。図4に示すように、支柱16は対向面16aと歯部13aとの間のクリアランスCがピニオン13に設定された回転方向RDの前方に向かって徐々に拡大するように構成されている。即ち、回転方向RDの後方側のクリアランスC1よりも回転方向RDの前方側のクリアランスC2が大きくなっている。クリアランスCの拡大具合や平均値はピニオン13の回転速度を考慮して適宜設定される。なお、クリアランスCは軸線Ax2の方向(図2及び図4の紙面と直交する方向)に関して略一定であるが、例えばピニオン13の歯すじの方向等の諸要因を考慮して軸線Ax2の方向に関して変化させてもよい。
以上の遊星歯車装置3によれば、ピニオン13の回転方向RDの前方に向かってクリアランスCが徐々に拡大するので、そのクリアランスCに進入する潤滑油の圧力分布を平準化できる。そのため、クリアランスCを必要以上に大きくしなくて済むので、支柱16の強度を確保しつつ潤滑油の剪断抵抗の増大を抑えることができる。その結果、ピニオン13の回転に伴うトルク損失が増加を抑制することができる。
本発明は以上の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。上述の遊星歯車装置3はキャリア14をハウジング5に対して固定したが、固定要素は任意である。例えば、サンギア10又はリングギア11のいずれか一方を固定要素として残りの要素に入力軸2と出力軸4とをそれぞれ接続する形態で実施してもよい。また、ピニオン13の個数は任意であり、例えば図示の形態と異なる個数のピニオン13を設けて実施してもよい。
ピニオン13と側板17、18との間に二枚のワッシャ23、24を挿入しているが枚数に制限はない。例えば3以上のワッシャを挿入した場合、側板17、18に最も近い側のワッシャの外径がピニオン13に最も近い側のワッシャの外径よりも小さければ十分である。また、ピニオン13の両側にワッシャを挿入することは必須ではなく、いずれか一方の側のみにワッシャを挿入してもよい。
小径ワッシャ23と大径ワッシャ24とを挿入することは、支柱16の対向面16とピニオン13の歯部13aとの間のクリアランスCをピニオン13の回転方向RDの前方に向かって徐々に拡大することを必ずしも前提とするものではない。従って、これらのワッシャを挿入することを、図示の支柱を持たない遊星歯車装置に適用することもできる。即ち、小径のワッシャと大径のワッシャとを挿入することを、サンギア及びリングギアのそれぞれと噛み合うピニオンと、ピニオンを回転可能に支持するピニオン軸及びピニオンを両側から挟むように配置されてピニオン軸の両端部が結合される一対の支持部材を有するキャリアとを備え、ピニオンを潤滑するための潤滑油が供給される遊星歯車装置において、ピニオンと一対の支持部材の少なくとも一方の支持部材との間に挿入された複数のワッシャを更に備え、複数のワッシャのうちの支持部材に最も近い側のワッシャの外径がピニオンに最も近い側のワッシャの外径よりも小さいことを特徴とした発明として、特定することもできる。
また、図1及び図3に示したワッシャの挿入に代えて、例えば図5及び図6に示すワッシャを挿入してもよい。図5はワッシャの他の例を示した正面図、図6は図5の矢印VIの方向から見た状態を示した図である。これらの図に示すように、ワッシャ30は厚さtが略一定で、その厚さ方向に波を打つように湾曲するいわゆるウエーブワッシャとして構成されている。ワッシャ30をワッシャ23、24の代りに挿入することにより、ピニオン13と側板17、18とのクリアランスを大きくとることができ、かつ潤滑油の排出性が向上する。それにより、平面状のワッシャを挿入する場合と比較してピニオン13の回転に伴うトルク損失を低減することができる。このワッシャ30は一例であって、山又は谷の数が図示のものと異なるものであってもよい。また、山又は谷の数が3以上の場合、孔部から外周に向かって山又は谷が放射状に延びるものであってもよい。
図5及び図6のワッシャ30を挿入することは、支柱16の対向面16とピニオン13の歯部13aとの間のクリアランスCをピニオン13の回転方向RDの前方に向かって徐々に拡大することを必ずしも前提とするものではない。従って、ウエーブワッシャを挿入することを、図示の支柱を持たない遊星歯車装置に適用することもできる。即ち、ウエーブワッシャを挿入することを、サンギア及びリングギアのそれぞれと噛み合うピニオンと、ピニオンを回転可能に支持するピニオン軸及びピニオンを両側から挟むように配置されてピニオン軸の両端部が結合される一対の支持部材を有するキャリアとを備え、ピニオンを潤滑するための潤滑油が供給される遊星歯車装置において、ピニオンと一対の支持部材の少なくとも一方の支持部材との間に挿入されたワッシャを更に備え、ワッシャは、厚さ方向に波を打つように湾曲するウエーブワッシャとして構成されていることを特徴とした発明として、特定することも可能である。
本発明の一形態に係る遊星歯車装置が適用された変速装置の要部を示した図。 図1のII−II線に沿った断面を示した図。 ピニオン及びピニオン軸の詳細を示す断面図。 図2の部分拡大図。 ワッシャの他の例を示した正面図。 図5の矢印VIの方向から見た状態を示した図。
符号の説明
3 遊星歯車装置
10 サンギア
11 リングギア
13 ピニオン
13a 歯部
14 キャリア
15 ピニオン軸
16 支柱
16a 対向面
17、18 側板(支持部材)
23 小径ワッシャ
24 大径ワッシャ
30 ワッシャ
AC 歯先円
Ax2 軸線
C クリアランス
RD 回転方向

Claims (3)

  1. サンギア及びリングギアのそれぞれと噛み合うピニオンと、前記ピニオンを回転可能に支持するピニオン軸、前記ピニオン軸の軸線方向に延びて前記ピニオンに隣接する支柱及び前記ピニオンを両側から挟むように配置されて前記ピニオン軸及び前記支柱のそれぞれの両端部が結合される一対の支持部材を有するキャリアとを備え、前記ピニオンを潤滑するための潤滑油が供給される遊星歯車装置において、
    前記支柱は、前記ピニオンの歯先円に沿うように湾曲しかつ前記ピニオンの歯部に対して非接触状態で対向する対向面を有するとともに、前記対向面と前記ピニオンの歯部との間のクリアランスが前記ピニオンの回転方向前方に向かって徐々に拡大するように構成されていることを特徴とする遊星歯車装置。
  2. 前記ピニオンと前記一対の支持部材の少なくとも一方の支持部材との間に挿入された複数のワッシャを更に備え、
    前記複数のワッシャのうちの前記支持部材に最も近い側のワッシャの外径が前記ピニオンに最も近い側のワッシャの外径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車装置。
  3. 前記ピニオンと前記一対の支持部材の少なくとも一方の支持部材との間に挿入されたワッシャを更に備え、
    前記ワッシャは、厚さ方向に波を打つように湾曲するウエーブワッシャとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011149460A (ja) * 2010-01-20 2011-08-04 Ulvac Japan Ltd 搬送装置及びシャフトユニット
JP2012228966A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Alphana Technology Co Ltd インホイールモータ
DE102017114492A1 (de) * 2017-06-29 2018-08-02 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Baugruppe für eine Getriebeanordnung mit Leitflächenabschnitt sowie Getriebeanordnung mit der Baugruppe
KR20230166623A (ko) * 2022-05-31 2023-12-07 현대트랜시스 주식회사 유성기어 장치

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