JP2009006682A - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズルを覆わなくともノズル内の液体が増粘し難い液体吐出装置を実現する。
【解決手段】筐体内に設けられ、液体を吐出するためのノズルと、前記ノズル内の前記液体の増粘を抑えるために、前記ノズル外の液体を加熱して前記筐体内を加湿するための加湿機構と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、液体を吐出するためのノズルを有する液体吐出装置に関する。
液体を吐出するノズルを有する液体吐出装置としては、液体としてのインクを吐出して媒体に画像を形成するインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタは、複数のノズルを有し、例えば入力された印刷信号に基づいて所定の位置に配置されたノズルから適宜インクを吐出することにより画像を形成する。そして、インクジェットプリンタは、印刷しない状態で長時間または長期間放置されると、ノズル内で外気に触れているインクの溶媒が蒸発し粘性が高くなり、次に印刷しようとした際にインクを吐出しようとしてもノズルからインクが適切に吐出されない畏れがある。このため、ノズル内のインクの粘性が高まることを抑えるために、長時間または長期間印刷されない場合には、キャップ等にてノズルを覆い溶媒の蒸発を抑えている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−225484号公報
しかしながら、ノズルをキャップで覆うためには、印刷するためにインクを吐出する印刷領域からノズルを待避させなければならない。このため、ノズルを待避させる領域を装置内に設けなければならないため、装置のサイズが大きくなってしまう。
また、キャップは単にノズルを覆うだけでなく密閉する必要があり、かつ、印刷する際にはキャップをノズルから離さなければならないので、構造が複雑になる。
さらに、複数のノズルから常にインクを吐出するわけではなく、画像等を印刷する際であっても、インクを吐出するノズルと、吐出しないノズルとが存在する。このため、インクを吐出しないノズル内のインクの増粘を抑えるために、ノズルを定期的に印刷領域から待避させて強制的にインクを吐出させるフラッシングを行っている。このようなフラッシングの動作は、インクを浪費するとともに印刷速度を低下させるという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノズルを覆わなくともノズル内の液体が増粘し難い液体吐出装置を実現することにある。
主たる発明は、筐体内に設けられ、液体を吐出するためのノズルと、前記ノズル内の前記液体の増粘を抑えるために、前記ノズル外の液体を加熱して前記筐体内を加湿するための加湿機構と、を有することを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
筐体内に設けられ、液体を吐出するためのノズルと、前記ノズル内の前記液体の増粘を抑えるために、前記ノズル外の液体を加熱して前記筐体内を加湿するための加湿機構と、を有することを特徴とする液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、ノズル内の液体の増粘を抑えるために、ノズル外の液体を加熱して筐体内を加湿するための加湿機構を有しているので、筐体内が加湿され当該筐体内に設けられたノズル内の液体の増粘を抑えることが可能である。すなわち、ノズルにキャップ等の覆いをすることなく、ノズルを筐体内に配置するだけでノズル内の液体の増粘を抑えることが可能である。
また、筐体内に設けられ、液体を吐出するためのノズルと、前記ノズル内の前記液体の増粘を抑えるために、前記ノズル外の液体を噴霧して前記筐体内を加湿するための加湿機構と、を有することを特徴とする液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、ノズル内の液体の増粘を抑えるために、ノズル外の液体を噴霧して筐体内を加湿するための加湿機構を有しているので、筐体内が加湿され当該筐体内に設けられたノズル内の液体の増粘を抑えることが可能である。すなわち、ノズルにキャップ等の覆いをすることなく、ノズルを筐体内に配置するだけでノズル内の液体の増粘を抑えることが可能である。
かかる液体吐出装置において、前記筐体内に前記ノズルが収容される区画された密閉空間を有し、前記加湿機構は、前記密閉空間内を加湿することが望ましい。
このような液体吐出装置によれば、加湿機構はノズルが収容される区画された密閉空間内を加湿するので、筐体内全体を加湿するより効率よくノズル周辺を加湿することが可能である。
かかる液体吐出装置において、前記ノズルは移動可能に設けられ、前記液体を吐出しない際には前記密閉空間に移動して収容されることが望ましい。
このような液体吐出装置によれば、液体を吐出しない際にはノズル内の液体に含まれる溶媒が蒸発しやすいが、液体を吐出しない際にノズルを密閉空間に収容し、収容されている密閉空間を加湿機構にて加湿することにより、ノズル内の液体の増粘をより効率よく抑えることが可能である。このため、次に液体を吐出する際にはノズルから適切に液体を吐出させることが可能である。
かかる液体吐出装置において、前記筐体は、前記ノズルが液体を吐出しない際に密閉されることが望ましい。
このような液体吐出装置によれば、液体を吐出しない際にはノズル内の液体が蒸発しやすいが、液体を吐出しない際に筐体内を密閉し加湿機構にて加湿することにより、筐体内に設けられているノズルがいずれの位置に存在してもノズル内の液体の増粘を抑えることが可能である。
かかる液体吐出装置において、前記液体は、前記筐体内を通過する媒体に向かって吐出され、前記筐体が密閉される際には、前記媒体の前記筐体内への入口及び前記筐体からの出口が閉塞されることが望ましい。
このような液体吐出装置によれば、液体が筐体内を通過する媒体に向かって吐出される場合には、液体吐出装置は媒体の筐体内への入口及び筐体からの出口において筐体内と外部とが連通することになる。そこで、筐体が密閉される際には、媒体の筐体内への入口及び筐体からの出口を閉塞することとしたので、筐体内を通過する媒体に向かって液体を吐出する液体吐出装置であっても、筐体内を密閉性が高い密閉空間とすることが可能であり、もって、筐体内を効率よく加湿することが可能である。
かかる液体吐出装置において、前記加湿機構は、前記ノズルから前記液体が吐出される際に加湿することが望ましい。
このような液体吐出装置によれば、ノズルから液体が吐出される際に加湿されるので、液体を吐出し終わった直後であっても筐体内の湿度が高い状態に保たれ、ノズル内の液体がより増粘し難い液体吐出装置を提供することがかのである。
かかる液体吐出装置において、前記ノズルから吐出される液体はインクであり、前記インクが媒体に向かって吐出されることにより前記媒体上に画像が形成されることとしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、ノズル内のインクの増粘を抑えるために、ノズル外の液体を加熱して筐体内を加湿するための加湿機構を有しているので、筐体内が加湿され当該筐体内に設けられたノズル内のインクの増粘を抑えることが可能である。すなわち、筐体内に配置するだけで、ノズルにキャップ等の覆いをすることなく、ノズル内のインクの増粘を抑えることが可能である。そして、印刷動作を実行していない場合はもちろんのこと、印刷中であっても筐体内が加湿されているので、印刷動作中にインクを吐出しないノズル内のインクの増粘を抑えることが可能である。よって、インクを吐出しないノズルを定期的に印刷領域から待避させて強制的にインクを吐出させるフラッシング等の動作を行わないので、インクの浪費を抑えるとともに印刷に費やす時間を短縮することが可能である。
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成>
図1Aは、本実施形態に係るプリンタの排紙トレイを開いた状態を示す外観図である。図1Bは、本実施形態に係るプリンタの排紙トレイを閉じた状態を示す外観図である。図2は、本実施形態に係るプリンタの全体構成のブロック図である。図3Aは、本実施形態に係るプリンタの内部構成を説明するための概略図である。また、図3Bは、本実施形態に係るプリンタを説明するための概略断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
本実施形態のプリンタ1は、筐体としてのカバー10内に搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、コントローラ60、及び加湿機構としての加湿ユニット70を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、加湿ユニット70)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
カバー10は、プリンタ1の外周のほぼ全体を形成するカバー本体10aと、プリンタ1の正面側に設けられ、印刷される媒体としての例えば紙Sが排出された際に載置される排紙トレイ10bと、給紙部にて紙Sの筐体内への入口としての給紙口11となる開口を閉塞するためのシャッター10cとを有している。
カバー本体10aは、複数のパーツが組み合わされて構成されているが、各パーツの接合部にはシール材が設けられて気密に接合されている。
排紙トレイ10bは、プリンタ1の正面側下部にて回動自在に設けられており、紙Sが排出される紙Sの筐体からの出口としての排紙口12を開閉自在に構成されている。すなわち、排紙トレイ10bの上端側がカバー本体10aから離れる方向に排紙トレイ10bを回動すると、排紙トレイ10bはプリンタ1の正面側下部にてほぼ平坦な姿勢をなして排出された紙Sが載置されるトレイとして機能し、排紙トレイ10bをカバー本体10a側に回動させてカバー本体10aに接触させると、排紙口12を閉塞するように構成されている。カバー本体10aと排紙トレイ10bとの接合部にもシール材が設けられており、排紙トレイ10bを閉じた状態では、カバー本体10aと排紙トレイ10bとが気密に当接される。
シャッター10cは、図3Bに示すように、給紙ローラ21より内部側に設けられたカバー本体10aの壁部10eとカバー本体10aに一体に設けられた給紙トレイ10dとの間の給紙口11を閉塞可能に上下にスライドすべく設けられている。シャッター10cが降下されてシャッター10cの下端が給紙トレイ10dに当接されると、壁部10eと給紙トレイ10dとの間の給紙口11も気密に閉塞されるように構成されている。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ1内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタ1の外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を所定の方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、駆動ベルト33により伝達されるキャリッジモータ32の動力により駆動シャフト34に沿って移動方向に往復移動可能である。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中に適宜ノズルからインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
加湿ユニット70は、キャリッジ31が移動可能な領域であって、紙Sの搬送経路から外れた位置に設けられており、下部にヒータを有し、ヒータの上方にヘッド41が有するノズル外の液体としての水を収容し上部に開口を有するタンクを備えている。加湿ユニット70のヒータがタンク内の水を加熱することにより蒸発させてプリンタ1内、すなわちカバー10で覆われている空間を加湿する。
<ノズルについて>
図4は、ヘッドの下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では180個)備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯180)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯180よりも搬送方向の下流側に位置している。
各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。
<印刷動作について>
図5は、印刷時の処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、プリンタ1が、接続されたコンピュータ110と、プリンタ1とによりメモリ内に記憶されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
アプリケーションプログラムが動作中のコンピュータ110が印刷命令を検出すると(S101)、プリンタドライバに画像データを出力すると、プリンタドライバは、アプリケーションプログラムから受け取った画像データを印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を実行する(S102)。
次に、解像度変換処理後のRGB画像データの各RGB画素データを、CMYK色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を有するデータに変換する色変換処理を実行する(S103)。
そして、色変換処理後の多段階の階調値を有するCMYK画素データを、プリンタ1が表現可能な、少段階の階調値を有するCMYK画素データに変換するハーフトーン処理を実行する(S104)。
次に、ハーフトーン処理されたCMYK画像データを、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を実行する(S105)。ラスタライズ処理されたデータは、前述した印刷データとしてプリンタ1に出力される(S106)。プリンタ1は、入力された印刷データに基づいて、紙Sを搬送しつつ適宜タイミングにて所定のノズルからインクを吐出して紙Sに画像を形成する。このため、印刷状態であっても、常にすべてのノズルからインクが吐出されているわけではない。
<プリンタ内の加湿>
従来のプリンタは、電源OFF時、また電源が投入されている状態であっても、印刷していない待機時には、ヘッドのノズルが設けられている部位をキャップにて覆うことによりノズル内のインクの粘性が高まること(増粘)を抑えていた。しかしながら、キャップは、印刷中にはヘッドから離し、待機中等には接触させるためキャップの移動機構を備えなければならなかった。また、増粘してしまった際には、ノズル内のインクを強制的に吐出させたり、キャップにて覆われた状態にて吸引するための機構を設けなければならず、プリンタの構造が複雑になるばかりでなく、印刷以外の目的にてインクを消費しなければならなかった。
そこで本実施形態のプリンタ1は、カバー10内を加湿する加湿ユニット70を備え、ヘッド41に設けられている複数のノズルが常に露出して空気に晒されている状態であっても増粘し難い構成とした。本実施形態の加湿ユニット70は、例えば、電源が投入されるとヒータに通電されてヒータの温度が上昇し、ヒータの上方に設けられているタンク内の水を蒸発させてカバー10内の空間を加湿し、電源が切られるとヒータへの電力が遮断され加湿が停止されるように構成されている。すなわち、電源が投入されている間は、印刷中、待機中にかかわらず常にカバー10内が加湿され、待機中のノズルからインクが吐出されていないときはもちろんのこと、印刷中であってもカバー10内が加湿されている。このため、印刷中にインクを吐出しないノズルが存在しても、ノズルが設けられているカバー10内は加湿ユニット70により加湿されているので、ノズル内のインクの増粘が抑えることが可能である。
また、本実施形態のプリンタ1は、カバー本体10aを構成する複数のパーツの接合部、カバー本体10aと排紙トレイ10bとの接合部、壁部10e及び給紙トレイ10dとシャッター10cとの接合部にいずれもシール材が設けられており、排紙トレイ10bとシャッター10cとを閉じた状態では、カバー10内は気密に保たれる。このため、紙Sの出入口を有し紙Sが筐体としてのカバー10内を通過するプリンタ1であっても、カバー10内を密閉空間とすることが可能である。そして、電源を切った後もカバー10内は密閉空間として維持されるのでカバー10内は加湿された状態が維持され、プリンタ1を使用しない場合であってもノズル内のインクが増粘することを抑えることが可能である。
このように、プリンタ1は、ヘッド41がカバー10内のいずれに位置していてもノズル内のインクが加湿されるので、ノズルを覆うキャップ及びキャップの移動機構等を設ける必要はない。また、ノズル内のインクは増粘し難いのでノズル内のインクを印刷以外の目的で吐出することはなく、吸引等も行わないので、インクの浪費を抑えることが可能である。
また、印刷中にインクを吐出しないノズルが存在しても、印刷中もカバー10内は加湿されているので、インクを吐出しないノズル内のインクも増粘し難い。このため、印刷の途中で印刷動作を一旦停止し印刷領域の外側にヘッド41を移動させて、すべてのノズルからインクを吐出する、所謂フラッシングをしないので、印刷時間を短縮することが可能である。
本実施形態においては、電源が投入されている間は、加湿ユニット70を稼働させてカバー10内を加湿する例について説明したが、印刷していない待機時のみ加湿したり、印刷時と待機時とで加湿の仕方、例えば加湿ユニット70から吐出される蒸気の量を変更しても良い。
また、本実施例においては、加湿ユニット70をキャリッジ31の移動領域の中で印刷範囲から外れた位置に配置したが、これに限らず、カバー10内を加湿できる位置であれば構わず、例えば、加湿ユニット70をカバー10の外部に配置し、カバー10内に蒸気を吐出する構成であっても構わない。
図6は、プリンタの変形例を示す図である。
上記実施形態では、カバー10内全体を密閉空間とした例について説明したが、変形例のプリンタ2は、例えばカバー10内の一部を区画して密閉空間としてのヘッド収容部18を設け、印刷しない際にヘッド41をヘッド収容部18に収容して加湿ユニット70によりヘッド収容部18内を加湿しても良い。
例えば図6に示すように、キャリッジモータ32に駆動されてヘッド41が移動可能な領域のうち、紙Sの搬送経路から外れた領域に、開閉可能なシャッター19を有し、シャッター19を閉じることにより、密閉されたヘッド収容部18が形成されるように構成する。ヘッド収容部18は、カバー本体10aの内周面とカバー本体10aの下面から一体に垂設されて、ベースと連結された収容壁部18aと、収容壁部18aに沿ってスライドしキャリッジ31が通過するための開口を閉塞してヘッド収容部18を形成するシャッター19とによって区画される。図6では説明の便宜上、カバー本体10aの一部のみを示しているが、収容壁部18aはカバー本体10aと一体に構成されており、シャッター19は搬送方向に移動する。また、シャッター19と駆動ベルト33、駆動シャフト34との干渉部、及び、カバー本体10aとの当接部には適宜なシール材が設けられており、シャッター19を閉じるとヘッド収容部18内は気密となるように構成されている。
変形例のプリンタ2によれば、加湿ユニット70はノズルが設けられたヘッドが収容される区画された密閉空間としてのヘッド収容部18内を加湿するので、カバー10内全体を加湿するより効率よくノズル周辺を加湿することが可能である。このヘッド収容部18には、印刷しない際にヘッド41が収容されるので、次の印刷までの間はヘッド収容部18に収容されているヘッド41のノズルが加湿ユニット70にて加湿されてノズル内のインクの増粘が抑えられている。このため、次の印刷を開始する場合には各ノズルから適切にインクを吐出させることが可能である。
また、上記実施形態においては、ノズル外の液体を加熱して加湿する加湿ユニット70を例に説明したが、加湿機構としては、液体を噴霧する加湿ユニットを図3Aの加湿ユニット70の位置に備えても良い。液体を噴霧する加湿ユニットとしては、例えば超音波の液体霧化原理により液体を噴霧する噴霧器を用いても良い。
加湿機構として噴霧器を備えたプリンタによれば、ノズル外の液体を噴霧してカバー10内が加湿されるので、カバー10内に設けられたノズル内のインクの増粘を抑えることが可能である。すなわち、カバー10内に配置されているだけで、ノズルにキャップ等の覆いをすることなく、ノズル内のインクの増粘を抑えることが可能である。
上記実施形態では、紙Sの搬送方向に沿って配置された複数のノズルを有するヘッド41がキャリッジ31に搭載され、キャリッジ31を搬送方向と交差する移動方向に往復移動させつつノズルからインクを吐出することにより紙Sに画像を形成するプリンタ1を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。例えば、紙Sの幅とほぼ同じ幅を有するヘッドを備え、ヘッドの幅方向に互いに間隔を隔てて複数のノズルを配置したノズル列を幅方向と交差する方向に複数列備えたヘッドを用いた所謂ラインプリンタであっても構わない。ラインプリンタの場合であっても、ノズルが露出しているとノズル内のインクが増粘し易いことは同じであるが、従来のプリンタのように、ノズルを覆うようなキャップを備える構成にすると、ヘッド自身の大きさが紙幅とほぼ同じ大きさなので、従来のキャップより大きなキャップが必要となる。このとき、大きなキャップを精度良く形成することは難しいので、キャップにてノズルを覆っても十分に密閉することができない畏れがある。また、ノズルからインクを吐出する印刷領域から外れた位置でキャップしなければならないため、ヘッドの待避領域も従来のプリンタより広く必要である。このため、上記実施形態のプリンタ1のように、カバー10内を加湿する加湿ユニット70を備えていると、キャップ等を必要とせず、また、プリンタのサイズを小さくすることが可能であり、また、フラッシング等も必要ないためインクの浪費も抑えることが可能である。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、液体吐出装置、液体吐出方法、印刷装置、印刷方法等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタを説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
<プリンタについて>
前記実施形態では、液体吐出装置をインクジェット式記録装置に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする液体吐出装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出する液状体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の吐出装置に本発明を適用することができる。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。このような分野に本技術を適用しても、液体を対象物に向かって直接的に吐出(直描)することができるという特徴があるので、従来と比較して省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
<液体について>
前述の実施形態は、プリンタを例に挙げて説明したので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
また、液体がインクの場合であっても、インク色は前述した実施形態のような、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色に限るものではない。例えばこれらインク色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)及びライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)等のインクを用いて6色としたり、薄いブラックLK及びさらに薄いブラックLLKを用いて8色としても良い。さらに、4色のインクを用いて印刷するモードと6色または8色のインクを用いて印刷するモードを切り替えられるように設定されていても良い。また、逆に、上記4つのインク色のいずれか一つだけを用いて単色印刷を行っても良い。
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい
図1Aは、本実施形態に係るプリンタの排紙トレイを開いた状態を示す外観図である。図1Bは、本実施形態に係るプリンタの排紙トレイを閉じた状態を示す外観図である。 本実施形態に係るプリンタの全体構成のブロック図である。 図3Aは、本実施形態に係るプリンタの内部構成を説明するための概略図である。また、図3Bは、本実施形態に係るプリンタを説明するための概略断面図である。 ヘッドの下面におけるノズルの配列を示す説明図である。 印刷時の処理のフロー図である。 プリンタの変形例を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ、2 プリンタ、10 カバー、
10a カバー本体、10b 排紙トレイ、10c シャッター、
10d 給紙トレイ、10e 壁部、11 給紙口、12 排紙口、
18 ヘッド収容部、18a 収容壁部、19 シャッター、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
33 駆動ベルト、34 駆動シャフト、40 ヘッドユニット、
41 ヘッド、50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、53 紙検出センサ、
54 光学センサ、60 コントローラ、 61 インターフェース部、
62 CPU、63 メモリ、64 ユニット制御回路、70 加湿ユニット

Claims (8)

  1. 筐体内に設けられ、液体を吐出するためのノズルと、
    前記ノズル内の前記液体の増粘を抑えるために、前記ノズル外の液体を加熱して前記筐体内を加湿するための加湿機構と、
    を有することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 筐体内に設けられ、液体を吐出するためのノズルと、
    前記ノズル内の前記液体の増粘を抑えるために、前記ノズル外の液体を噴霧して前記筐体内を加湿するための加湿機構と、
    を有することを特徴とする液体吐出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置において、
    前記筐体内に前記ノズルが収容される区画された密閉空間を有し、
    前記加湿機構は、前記密閉空間内を加湿することを特徴とする液体吐出装置。
  4. 請求項3に記載の液体吐出装置において、
    前記ノズルは移動可能に設けられ、前記液体を吐出しない際には前記密閉空間に移動して収容されることを特徴とする液体吐出装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置において、
    前記筐体は、前記ノズルが液体を吐出しない際に密閉されることを特徴とする液体吐出装置。
  6. 請求項5に記載の液体吐出装置において、
    前記液体は、前記筐体内を通過する媒体に向かって吐出され、
    前記筐体が密閉される際には、前記媒体の前記筐体内への入口及び前記筐体からの出口が閉塞されることを特徴とする液体吐出装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置において、
    前記加湿機構は、前記ノズルから前記液体が吐出される際に加湿することを特徴とする液体吐出装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の液体吐出装置において、
    前記ノズルから吐出される液体はインクであり、
    前記インクが媒体に向かって吐出されることにより前記媒体上に画像が形成されることを特徴とする液体吐出装置。
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