本発明の第1の実施形態の遊技媒体処理システムでは、図3に示すように、3台以上の遊技媒体処理装置、例えば4台のメダル補給装置2a乃至2dが使用されている。メダル補給装置2a乃至2dは、遊技媒体、例えばメダルを、遊技島に設置された遊技媒体使用機、例えば遊技機、具体的にはスロットマシンや、例えば遊技媒体貸機、具体的にはメダル貸機に、補給する。メダル補給装置2a、2cは同一構造であり、メダル補給装置2b、2dは同一構造である。
メダル補給装置2aは、図1に示すように遊技島4に設置されている。遊技島4は、スロットマシン6を横方向に複数台並べて配置したものである。これらスロットマシン6に挟まれるようにメダル貸機8が設けられている。遊技島4は、両側にスロットマシン6とメダル貸機8とを並べた両島と呼ばれる形態のものと、片側のみにスロットマシン6とメダル貸機8とを並べた片島と呼ばれる形態のものとがある。必要に応じていずれかの形態の遊技島が選択される。
スロットマシン6またはメダル貸機8のうち、内部に貯留していたメダルの量がそれぞれに予め定めた量よりも少なくなったものでは、これらに設けられたセンサ(図示せず)が補給要求信号、例えばエンプティ信号を発生する。これが、メダル補給装置2aに供給され、エンプティ信号を発生したスロットマシンまたはメダル貸機にメダルが補給される。
メダル補給装置2aは、遊技島4の一方の端部に設けられている。メダル補給装置2aは、図1に示すように、回収手段の一部、例えばメダル計数機10を載置するための載置台12を備えた載置台付きのものである。
スロットマシン6とメダル貸機8との下方に、これらの配列方向に沿って回収手段の一部、例えば回収コンベア14が、ほぼ水平に設けられている。回収コンベア14は、遊技島4の一端部から他端部まで配置されている。各スロットマシン6からオーバーフローしたメダルは、回収コンベア14上に排出され、メダル補給装置2aが配置されている回収コンベヤ14の一端部まで搬送される。一端部まで搬送されたメダルは、メダル補給装置2aの本体内に設けられたバケット16に一時的に貯留され、中間コンベア18によって本体内の洗浄ユニット22に投入される。洗浄ユニット22で洗浄されたメダルは、洗浄ユニット22の背後に立設された揚送手段、例えばメインリフト24によってメダル補給装置2aの上方に揚送される。
また、遊技者の遊技の結果、スロットマシン6から払い出された賞品であるメダルは、計数機10を経由して、洗浄用貯留手段、例えば下タンク20に投入される。下タンク20に投入されたメダルも、洗浄ユニット22に投入されて、洗浄され、その後、メインリフト24によって上方に揚送される。下タンク20と洗浄ユニット22とによって洗浄手段が構成されている。
メインリフト24で揚送された洗浄済みのメダルは、分配手段、例えば分配シュート26によって、他の遊技島のメダル補給装置に掛け渡されている装置間搬送手段の第1の搬送手段、例えば島渡しコンベア32または補給手段の一部をなす補給タンク36に払い出される。また、他のメダル補給装置から搬送された洗浄済みのメダルは、分岐ユニット28によって補給タンク36に投入可能である。補給タンク36は、その上面全域が開口されており、この上面開口からメダルが投入される。分配シュート26及び分岐ユニット28の構成については後述する。
補給タンク36に補給された洗浄済みのメダルは、スロットマシン6やメダル貸機8の上方にほぼ水平に、本体から延設されている補給手段の一部、例えば補給コンベア38上に搬送され、エンプティ信号を発生したスロットマシン6、メダル貸機8に補給手段の一部、例えば分岐ユニット40によって補給される。なお、スロットマシン6やメダル貸機8に補給されなかったメダルは、補給コンベヤ38の他端部まで搬送された後、矢印で示す戻りシュートを介して回収コンベヤ14に移される。
補給タンク36が満杯になると、洗浄済みのメダルはオーバーフローして上タンク42に貯留される。上タンク42は、その上面全域が開口され、この上面開口からメダルが投入される。上タンク42に貯留された洗浄済みのメダルは、上タンク42の下部に設けられた排出手段、例えばベルトコンベア型の排出手段44により払い出される。排出手段44によって払い出された洗浄済みのメダルは、補給手段、例えばジョッキ46に投入される。ジョッキ46に投入されずにこぼれ落ちた洗浄済みのメダルは、シュート48を介してメインリフト24に供給される。
上タンク42に貯留した洗浄済みのメダルを補給タンク36に供給する必要のあるとき、または島渡しコンベア32によって他の遊技島のメダル補給装置に供給する必要のあるときには、排出手段44を駆動して、シュート48、メインリフト24、分配シュート26を介して補給タンク36または島渡しコンベア32にメダルを補給する。
また、装置間搬送手段の第2の搬送手段、例えば島渡しコンベヤ34によって搬送されてきた未洗浄のメダルは、後述するように分岐ユニット30及び蛇腹シュート56によって構成された洗浄行き流路を介して下タンク20に投入される。分岐ユニット30及び蛇腹シュート56の構成も後述する。
メダル補給装置2bは、図2に示すように構成され、メダル補給装置2aと比較して、計数機10、下タンク20、洗浄ユニット22、上タンク42を備えていない。メダル補給装置2aの構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、説明を省略する。
また、洗浄ユニット22を備えていないので、回収コンベヤ14で回収された未洗浄のメダルは、直接にメインリフト24に供給されて、揚送され、分配シュート26に投入される。後述するように分配シュート26によって、島渡しコンベヤ34に未洗浄のメダルは投入され、島渡しコンベヤ34によって、洗浄ユニット22を備えたメダル補給装置2aまたは2cに搬送される。洗浄済みのメダルが島渡しコンベヤ32によって搬送され、分岐ユニット28によって補給タンク36に収容される。更に、上タンク42に代えて貯留手段、例えば貯留タンク43が設けられている。貯留タンク43は、その上面全域が開口され、その上面開口からメダルが投入される。貯留タンク43には、後述するように分岐シュート26を介して未洗浄のメダルが供給されたり、補給タンク36からオーバーフローしたメダルが投入されたりする。貯留タンク43内のメダルは、貯留タンク43の下部に設けた排出手段44によってメインリフト24に供給され、揚送され、分配シュート26に投入される。
図3に示すように、洗浄ユニット22を備えたメダル補給装置2a、2cと、洗浄ユニット22を備えていないメダル補給装置2b、2dとは、互い違いに一列に配置され、互いにメダルを島渡し可能に、上述した島渡しコンベヤ32、34によって接続されている。島渡しコンベヤ32、34は、双方向に駆動されるそれぞれ1本のベルトコンベヤで構成され、メダル補給装置2a、2dを始端または終端とし、メダル補給装置2b、2cを貫通して設置されている。従って、隣接するメダル補給装置以外のメダル補給装置にもメダルを島渡しすることができる。例えば、メダル補給装置2aからメダル補給装置2dにメダルを島渡しする場合、メダル補給装置2b、2cにそれぞれメダルを取り込み、再度コンベヤ上に排出するような動作が不要で、直接にメダル補給装置2aから2dにメダルを島渡しすることができる。
図1乃至図3では、島渡しコンベヤ32、34は異なる高さ位置に配置されているように示してあるが、実際には図5乃至図8に示すように同一の高さ位置に配置されている。
図4に示すように、制御部70が各メダル補給装置2a乃至2dに設けられている。制御部70は、自島のスロットマシン6、メダル貸機8およびメダル計数機10からのメダル回収及び補給、洗浄ユニット22によるメダルの洗浄(メダル補給装置2a、2cのみ)、他のメダル補給装置へのメダル補給などを制御する。制御部70は、CPU、メモリ、タイマー等からなる。制御部70には、データ入出力装置72が接続されている。制御部70は、メダル補給装置2a、2cでは、回収コンベア14、中間コンベヤ18、洗浄ユニット22、メインリフト24、上タンク42、補給タンク36、島渡しコンベア32、34、補給コンベア38等の駆動手段からなる駆動手段群74を、これらに設けたセンサからなるセンサ群76からの信号を受けて制御する。メダル補給装置2b、2dでは、洗浄ユニット22、上タンク42の駆動手段に代えて、貯留タンク43の駆動手段が駆動手段郡74に含まれる。制御部70には、操作子群78及び表示装置80が接続され、各種条件の設定やエラーメッセージ等の表示を行う。
更に、制御部70は、各中継制御部82(図4では1台のみ示している。)と双方向通信を行い、各スロットマシン6及びメダル貸機8へのメダル補給制御を行う。なお、各メダル補給装置2a乃至2dの制御部70は、互いに双方向通信を行い、メダル貯留量などのデータを共有しており、何れのメダル補給装置から何れのメダル補給装置にメダルを搬送するかを決定する。
図5及び図6は、メダル補給装置2a、2cにおける分配シュート26の周辺を示した図で、分配シュート26には、メインリフト24によって揚送された洗浄済みのメダルが、連結シュート50を介して払い出される。分配シュート26は、上部開口がメダル受入口とされ、投入されたメダルは下向きに傾斜している底板の先端部に形成されているメダル排出口26aから排出される。この底板の中途に設けた回転軸26bによってシュート本体部26cは、回転する。
メダル補給装置2a、2cの本体部上面には天板52が水平に配置され、天板52を貫通してメインリフト24の上部が突出している。天板52のほぼ中央に上述した分配シュート26が配置されている。更に、天板52上には、図6に示すように島渡しコンベヤ332、34が分配シュート26の本体部26cよりも下方に位置するように配置されている。これら分配シュート26,メインリフト24の突出部、島渡しコンベヤ32、34の一部を覆うようにカバー53が設けられている。図5に示すように天板52の下部に接近して補給タンク36が配置されている。
天板52には、図6に示すように、メダルが通過する天穴52a、52b、52c、52dが形成されている。
天穴52aは、ほぼ正方形の開口で、その直上に島渡しコンベヤ34が配置されている。天穴52aの一辺の長さは、島渡しコンベヤ34の幅寸法よりも大きく、島渡しコンベヤ34は、天穴52aのほぼ中央を通っている。天穴52aの直下には、下タンク20に通じる蛇腹シュート56が洗浄行き流路として配置されている。島渡しコンベヤ34上の天穴52aに対応する位置に、分岐ユニット30が設けられている。分岐ユニット30の構成については後述する。島渡しコンベヤ34によって搬送された未洗浄のメダルは、この分岐ユニット30によって島渡しコンベヤ34上から分岐排出され、天穴52a、蛇腹シュート56を通過して、下タンク20に投入される。
天穴52b、52cは、並べて形成された長方形の開口で、その長辺の長さは、天穴52aの一辺の長さよりも長い。天穴52b、52cの上を跨ぐように、島渡しコンベヤ32、34が互いに平行に横切り、かつ島渡しコンベヤ32、34の間に天穴52b、52cの一部52b’、52c’が臨むように配置されている。
天穴52dは、ほぼ正方形の開口で、その直上に島渡しコンベヤ32が位置している。天穴52dの一辺の長さは島渡しコンベヤ32の幅寸法よりも長く、その中心上に島渡しコンベヤ32が位置している。
これら天穴52b、52c、52dは、いずれも補給タンク36の上方に位置し、これら天穴52b、52c、52dを通過した洗浄済みのメダルは、全て補給タンク36に投入される。
天穴52bと52cとの間に、上述した分配シュート26の回転軸26bが立設されており、分配シュート26の本体部26cが図6に破線で示すように回転可能である。分配シュート26は、その回転位置を調整することによって、その排出口26aが、天穴52b、52cの一部52b’、52c’、島渡しコンベヤ32、34のいずれかの上方で停止可能である。従って、メインリフト24によって揚送された洗浄済みのメダルを、天穴52b、52cの一部52b’、52c’を介して補給タンク36に供給することも、島渡しコンベヤ32上に供給して他のメダル補給装置に搬送することもできる。なお、図6では島渡しコンベヤ32の上方に排出口26aが位置する状態を示している。
天穴52dの上方の島渡しコンベヤ32上に分岐ユニット28が配置されている。この分岐ユニット28は、分岐ユニット30と同一の構成である。以下、分岐ユニット28、30の構成について説明する。
分岐ユニット28、30は、板状のプレート28a、30aを有し、これらプレート28a、30aは、回転軸28b、30bによって上下揺動可能に軸支されている。プレート28a、30aは図示しない回転駆動機構によって回転駆動される。例えば、図6に示すようにプレート28aが島渡しコンベヤ32の上面に接して垂直にかつ島渡しコンベヤ32の長さ方向に対して斜めに位置する分岐状態と、この状態から島渡しコンベヤ32の上面から離れる様に上方に待避した待避状態とのいずれかを取る。分岐ユニット30も同様に、プレート30aが島渡しコンベヤ34の上面に接して垂直にかつ島渡しコンベヤ34の長さ方向に対して斜めに位置する状態と、この状態から島渡しコンベヤ34の上面から離れる用に上方に待避した状態とのいずれかを取る。
従って、上記分岐状態に分岐ユニット28のプレート28aを位置させると、島渡しコンベヤ32上をプレート28aに向かっていずれの方向から搬送されてきた洗浄済みのメダルMも天穴52dを介して補給タンク36に投入される。また、待避状態にプレート28aを位置させると、洗浄済みのメダルMは、このメダル補給装置2a、2cを通過していく。同様に、分岐状態に分岐ユニット30のプレート30aを位置させると、島渡しコンベヤ34上をプレート30aに向かっていずれの方向から搬送されてきた未洗浄のメダルMも天穴52aを介して蛇腹シュート56に投入され、最終的に下タンク20に投入される。また、待避状態にプレート30aを位置させると、未洗浄のメダルMは、このメダル補給装置2a、2cを通過していく。
このように分岐ユニット28、30は、それぞれ1枚のプレート28a、30aしか使用していないにも拘わらず、島渡しコンベヤ32、34が双方向いずれの方向にメダルMを搬送している場合でも、1枚のプレート28a、30aの表裏面を利用することによって、メダルを分岐することができる。
メダル補給装置2a、2cの補給タンク36には、図5に破線で示すように、補給タンク36の側方の一部スペースを区分けして、縦方向のメダル流下路をなすオーバーフロー部54が形成されている。オーバーフロー部54の下部は、開口されている。このオーバーフロー部54は、補給タンク36に過剰にメダルが供給された場合、そのメダルを自然流下させて上タンク42に導く。
図7及び図8は、メダル補給装置2b、2dの分配シュート26周辺を示したもので、分配シュート26の構造はメダル補給装置2a、2cと同一であるが、天板52には天穴52b、52c、52dだけが設けられ、天穴52aは設けられていない。天穴52aが設けられていないことに起因して、メダル補給装置2b、2dは、メダル補給装置2a、2cよりも小型である。また、分岐ユニット30も設けられていない。従って、島渡しコンベヤ34上の未洗浄のメダルがメダル補給装置2b、2dに供給されることはない。
また、天穴52bは、図7に示すように、補給タンク36のオーバーフロー部54に対応する位置に設けられている。従って、図8に示すように分配シュート26の排出口26aを天穴52bの一部52b’の上方に位置させた状態では、メインリフト24で揚送され分配シュート26に投入された未洗浄のメダルは、オーバーフロー部54を介して貯留タンク43に投入される。
天穴52cは、補給タンク36上に設けられているので、図7に破線で示すように分配シュート26の排出口26aが天穴52cの一部52c’の上方に位置する状態では、メインリフト24で揚送され分配シュート26に投入された未洗浄のメダルは、天穴52cの一部52c’を介して補給タンク36に投入される。未洗浄のメダルを補給タンク36に供給するのは、後述するが、緊急事態のみで、通常時には、分岐ユニット28、天穴52dを利用して、島渡しコンベヤ32によって搬送された洗浄済みのメダルが補給タンク36に供給される。
分配シュート26の排出口26aが島渡しコンベヤ34上にある状態では、メインリフト24で揚送された未洗浄のメダルは、島渡しコンベヤ34上に投入される。
このように構成された遊技媒体処理システムにおける洗浄ユニット22を備えたメダル補給装置2a、2cでは、回収コンベヤ14によって回収された未洗浄のメダルは、バケット16、中間コンベヤ18を介して洗浄ユニット22に投入される。同様にメダル計数機10により回収された未洗浄のメダルも下タンク20を介して洗浄ユニット22に投入される。
洗浄ユニット22で洗浄されたメダルは、メインリフト24によって揚送され、分配シュート26に投入される。島渡しの必要がない場合には、分配シュート26の排出口26aは、天板52の天穴52b、52cの一部52b’、52c’の上方にセットされ、洗浄済みのメダルは、天穴52b、52cを介して補給タンク36に投入される。これら洗浄済みのメダルは、スロットマシン6、メダル貸機8のいずれかがエンプティ信号を発すると、補給コンベア38上に搬送され、エンプティ信号を発生したスロットマシン6、メダル貸機8に自動的に補給される。
補給タンク36に過剰に洗浄済みのメダルが投入されると、洗浄済みのメダルは補給タンク36のオーバーフロー部54を流下して、上タンク42に貯留される。このように補給タンク36、上タンク42には洗浄済みのメダルのみが貯留され、スロットマシン6やメダル貸機8にも洗浄済みのメダルが供給される。
手動でメダルを補給する場合には、上タンク42の排出手段44を駆動し、ジョッキ46に所定量のメダルを投入し、係員がメダル補給装置2a、2cからジョッキ46を取り出し、メダルが不足しているスロットマシン6やメダル貸機8まで運び、手作業によって洗浄済みのメダルを補給する。
各遊技島においてスロットマシン6やメダル貸機8に補給されるメダルは、洗浄済みのものが望ましい。メダル補給装置2a、2cは洗浄ユニット22を備えているので、上述したように洗浄済みのメダルをスロットマシン6やメダル貸機8に補給することができる。しかし、メダル補給装置2b、2dは、洗浄ユニットを備えていないので、自身でメダルを洗浄することはできず、洗浄ユニット22を備えたメダル補給装置2aまたは2cから洗浄済みのメダルの供給を受ける装置間搬送補給処理を行う。また、メダル補給装置2b、2dで回収された未洗浄のメダルは、装置間搬送洗浄処理によってメダル補給装置2aまたは2cに搬送され、メダル補給装置2aまたは2cで洗浄される。なお、洗浄ユニット22を備えたメダル補給装置2a、2c間でも、いずれかでメダルの不足が生じた場合にはメダルの島渡しが行われる。
装置間搬送補給処理では、各メダル補給装置2a乃至2dのうち予め定められた1台、例えばメダル補給装置2aが親機として、それの制御部70が、装置間搬送補給処理が可能か監視している。即ち、メダル補給装置2aから2bまたは2cまたは2dへ、或いはメダル補給装置2cから2aまたは2bまたは2dへ装置間搬送補給処理を開始すべきか判定する。
例えばメダル補給装置2aを装置間搬送補給処理の送り側、メダル補給装置2bを受け側として、次の全ての条件が満たされているか判定する。(1)メダル補給装置2bの補給タンク36に空きがある。(2)メダル補給装置2aの上タンク42、下タンク20、回収バケット16のいずれかに充分なメダルがある。(3)メダル補給装置2aの補給タンク36がエンプティでない。(4)島渡しに使用する島渡しコンベヤ32が使用可能である。例えば島渡しコンベヤ32が故障していない場合や、他のメダル補給装置間での装置間搬送補給処理のために島渡しコンベヤ32が使用されていない場合である。(5)メダル補給装置2a、2bが共にメンテナンス中などの特別な処理状態でない。(6)島渡し処理に関連する全てのユニットに異常がない。親機であるメダル補給装置2aの制御部70は、自身のメダル貯留量や、メインリフト24、分配シュート26の異常や、子機となるメダル補給装置2b乃至2dのメダル貯留量や分岐ユニット28、30、島渡しコンベヤ32、34の異常等も監視しているので、島渡し処理に関連する各ユニットの異常を判定することができる。
他の組合せについても同様に判定する。装置間搬送補給処理の開始条件を満たすメダル補給装置の組合せが複数抽出された場合には、受け側のメダル補給装置の補給タンク36のメダル貯留量や、計数機10の有無などの条件により優先順位を決定する。このようにして抽出メダル補給装置の組合せについて、優先順位に従って、装置間搬送補給処理を実行し、上記の(1)乃至(6)のいずれかの条件が満たされなくなったときに、装置間搬送補給処理を終了する。
上記の条件が満たされて、例えばメダル補給装置2aから2dへ洗浄済みメダルを補給する場合、親機であるメダル補給装置2aは、自身とメダル補給装置2dに洗浄済みメダルの島渡しを行うように指示する。これに応じてメダル補給装置2dでは、分岐ユニット28を上述した分岐状態とする。島渡しコンベヤ32をメダル補給装置2aから2d方向に駆動する。メダル補給装置2a、2b、2cの分岐ユニット28は待避状態とされる。メダル補給装置2aの分配シュート26を回転駆動し、島渡しコンベヤ32上に分配シュート26から洗浄済みのメダルを供給可能な状態とする。メインリフト24を駆動する。上タンク42または下タンク20または回収バケット16からメインリフト24にメダルを投入する。このとき、回収バケット16にメダルがあるとき、優先的にこのメダルをメインリフト24に投入する。上タンク42と下タンク20との優先順位は、それぞれの貯留量を比較して、適宜決定される。なお、下タンク20または回収バケット16からのメダルは洗浄ユニット22を介して洗浄された後に、メインリフト24に投入される。
これらの動作によって、洗浄済みのメダルは、メダル補給装置2aのメインリフト24、分配シュート26を介して島渡しコンベヤ32に投入される。島渡しコンベヤ32は、4台のメダル補給装置2a、2b、2c、2dを貫通して架設されている1本のコンベヤであるので、メダル補給装置2aで島渡しコンベヤ32上に投入された洗浄済みメダルは、メダル補給装置2b、2cの分岐ユニット28を待避状態としていることにより、メダル補給装置2dまでノンストップで搬送される。そして、メダル補給装置2dの分岐ユニット28が分岐状態にあるので、島渡しコンベヤ32から補給タンク36に投入される。
以上の装置間搬送補給処理を、開始条件を満たしたメダル補給装置の組合せについて、優先順位に従って順に実行する。なお、例えばメダル補給装置2aから2bへの島渡しと、メダル補給装置2cから2dへの島渡しとは、同時進行可能である。これは、どちらの処理でも同じ島渡しコンベヤ32を使用しているが、どちらの処理も島渡しコンベヤ32の搬送方向は同一で、島渡しコンベヤ32の使用区間が異なるからである。
装置間搬送洗浄処理でも、親機であるメダル補給装置2aが、装置間搬送洗浄処理が可能なメダル補給装置の全ての組合せ、即ちメダル補給装置2bから2aまたは2c、メダル補給装置2dから2cまたは2aの4通りの組合せについて、装置間搬送洗浄処理を開始する開始条件が成立しているか判定する。
開始条件としては、例えばメダル補給装置2bから2aへの装置間搬送洗浄処理の場合、(1)メダル補給装置2aの下タンク20に空きがある。(2)メダル補給装置2aの補給タンク36、上タンク42に空きがある。(3)メダル補給装置2bの貯留タンク43にメダルがあるか、または回収中のメダルがある。回収中のメダルの有無は、メダル補給装置2bのメインリフト24の下端部入口に設けたセンサによって判断する。(4)島渡しに使用する島渡しコンベヤ34が使用可能な状態である。例えば島渡しコンベヤ34が故障していない場合や、他のメダル補給装置間での装置間搬送洗浄処理のために島渡しコンベヤ34が使用されていない場合である。(5)メダル補給装置2a、2b共にメンテナンス中などの特別な処理状態でない。(6)島渡し処理に関連する各ユニットに異常がない。これらの条件が全て満たされると、装置間搬送洗浄処理を開始すべきであると判定される。他の3つの組合せについても同様に判定が行われる。装置間搬送洗浄処理の開始条件を満たすメダル補給装置の組合せが複数抽出された場合には、受け側のメダル補給装置の補給タンク36のメダル貯留量等の条件により優先順位を決定する。このようにして抽出メダル補給装置の組合せについて、優先順位に従って、装置間搬送洗浄処理を実行し、上記の(1)乃至(6)のいずれかの条件が満たされなくなったときに、装置間搬送洗浄処理を終了する。
上記の条件が満たされて、例えばメダル補給装置2dから2aへ未洗浄メダルを搬送する場合、親機であるメダル補給装置2aは、自身とメダル補給装置2dに未洗浄メダルの島渡しを行うように指示する。これに応じてメダル補給装置2aでは、分岐ユニット30を上述した分岐状態とする。島渡しコンベヤ34をメダル補給装置2dから2a方向に駆動する。メダル補給装置2cの分岐ユニット30は待避状態とされる。メダル補給装置2dの分配シュート26を回転駆動し、島渡しコンベヤ34上に分配シュート26から未洗浄のメダルを供給可能な状態とする。メインリフト24を駆動する。貯留タンク43からメインリフト24に未洗浄のメダルを投入する。このとき、既に回収コンベヤ14からのメダルがメインリフト24に投入されている場合には、優先的に回収コンベヤ14からの未洗浄メダルを揚送する。
これによって、未洗浄メダルは、メダル補給装置2dのメインリフト24、分配シュート26を介して島渡しコンベヤ34に投入される。島渡しコンベヤ34は、4台のメダル補給装置2a乃至2dを貫通して架設された1本のコンベヤであり、メダル補給装置2cの分岐ユニットを待避状態とすることにより、メダル補給装置2aまでノンストップで未洗浄のメダルが搬送される。そして、メダル補給装置2aの分岐ユニット30によって、島渡しコンベヤ34から分岐排出され、蛇腹シュート56を介して下タンク20に貯留され、洗浄ユニット22で洗浄され、洗浄済みのメダルとして使用される。
このような島渡し処理を、開始条件が成立した組合せについて、優先順位に従って順に処理する。なお、メダル補給装置2bから2aへの装置間搬送洗浄処理と、メダル補給装置2dから2cへの装置間搬送洗浄処理とは、同時進行可能である。これは、どちらの処理でも同じ島渡しコンベヤ34を使用しているが、どちらの処理も島渡しコンベヤ34の搬送方向は同一で、島渡しコンベヤ34の使用区間が異なるからである。
この実施形態では、未洗浄のメダル搬送用の島渡しコンベヤ34と、洗浄済みのメダル搬送用の島渡しコンベヤ32とを別々に設けてあるので、上述した装置間搬送補給処理と装置間搬送洗浄処理とを、それぞれ独立に並行して実行可能である。
上述したメダルの回収処理、補給処理、装置間搬送補給処理、装置間搬送洗浄処理によって、各メダル補給装置において、洗浄済みのメダルを扱うユニットと、未洗浄メダルを扱うユニットとを完全に区分することができる。図9は、このことを説明するための図で、白抜きのユニットは、洗浄済みのメダルのみを扱うユニットで、ハッチングを付したユニットは未洗浄のメダルを扱うユニットである。
メダル補給装置2aにおいて、回収コンベヤ14と下タンク20とは未洗浄のメダルを処理するが、それらとメインリフト24との間に洗浄ユニット22を配置したので、メインリフト24及び分配シュート26には洗浄済みのメダルのみが供給される。また、補給タンク36には、分配シュート26からの洗浄済みのメダルか、装置間搬送補給処理により島渡しコンベヤ32によって搬送された洗浄済みのメダルのみが供給されるので、補給タンク36には洗浄済みのメダルのみが貯留される。更に、補給タンク36からメダルが供給される補給コンベヤ38、上タンク42、排出手段44、ジョッキ44にも洗浄済みのメダルのみが供給される。
メダル補給装置2bにおいて、回収コンベヤ14で回収した未洗浄のメダルは、そのままメインリフト24によって揚送され分配シュート26に投入される。よって、メダル補給装置2bのメインリフト24、分配シュート26、分配シュートからメダルが供給される貯留タンク43、島渡しコンベヤ34は未洗浄のメダルを処理する。一方、補給タンク36には、通常時には、装置間搬送補給処理によって洗浄済みのメダルのみが供給されるので、補給タンク36と補給コンベヤ38とは洗浄済みのメダルのみを処理する。装置間搬送洗浄処理によりメダル補給装置2bから2aに搬送された未洗浄メダルは、メダル補給装置2aの蛇腹シュート56を流下して、下タンク20と洗浄ユニット22に投入される。
このように、この遊技媒体処理システムを正常に動作させている限り、洗浄済みのメダルを扱うユニットと、未洗浄のメダルを扱うユニットとを完全に区分することができ、洗浄済みのメダルのみを扱うユニットが、メダルに付着した塵埃や油分などにより汚れることがなく、洗浄済みメダルに塵埃や油分が再付着することがない。
通常、メダル補給装置2b、2dの補給タンクには、メダル補給装置2aまたは2cから洗浄済みのメダルが供給されており、洗浄ユニット22を備えていないメダル補給装置2b、2dからスロットマシン6やメダル貸機8に補給されたメダルも洗浄済みのメダルで、遊技客は常に清潔なメダルで遊技することができる。
しかし、例えば島渡しコンベヤ32の故障等により、装置間搬送補給処理が実行できない事態が発生すると、メダル補給装置2b、2dにはメダルが補給されず、そのメダル貯留量は、スロットマシン6等へ補給処理を行うたびに減少し、最終的には貯留メダルが無くなり、スロットマシン6等へのメダル補給が不能となり、スロットマシン6等の稼働停止状態が発生する。これは遊技店にとって最も回避すべき事態である。
そこで、この実施形態では、洗浄ユニット22を有していないメダル補給装置2b、2dにおいて装置間搬送補給処理によってメダルの補給が不能になった場合、スロットマシン6等の稼働が停止する前に、緊急時の処置として、貯留タンク43に貯留している未洗浄のメダルを補給タンク36に揚送し、補給メダルとして使用する緊急処理が用意されている。
メダル補給装置2b、2dの制御部70は、自身の補給タンク36の貯留量を監視しており、補給タンク36の貯留量がニアエンプティになってから、所定時間、例えば20秒が経過しても、装置間搬送補給処理が開始されないという条件が成立したとき、装置間搬送補給処理が実行できない状態であると、判定し、自己補給処理を開始する。ニアエンプティとは、補給タンク36に若干枚数、例えば3回分の補給可能な枚数のメダルしか貯留されていない状態で、補給タンク36に設けたセンサによってニアエンプティ状態は検出できる。装置間搬送補給処理が開始されないとは、当該メダル補給装置2bまたは2dへの装置間搬送補給処理が親機から指示されていない状態であり、原因としては、送り側となるメダル補給装置2aまたは2cのメダル不足やメインリフト24の故障、島渡しコンベヤ32の故障などがある。
上記の条件が成立すると、自己補給処理が開始される。この自己補給処理は、補給タンク36に予め定めた量以上のメダルが貯留されたか、貯留タンク43の貯留量が所定量以下となるか、メンテナンス処理などの特殊処理の割り込みが発生するまで、継続される。この自己補給処理は、メダル補給装置2b、2d内の処理であり、それぞれ独立に並行して実行可能である。
自己補給処理としては、分配シュート26を回転駆動し、図8に示すようにその排出口26aを天穴52cの一部52c’の位置に位置させる。メインリフト24を駆動する。排出手段44を駆動して、貯留タンク43からメインリフト24にメダルを投入する。このとき、回収コンベヤ14からのメダルがメインリフト24に投入されている場合には、優先的に回収コンベヤ14からのメダルを揚送する。これによって、未洗浄のメダルが分配シュート26を介して補給タンク36に供給され、補給コンベヤ38を介してスロットマシン6等にメダルが補給される。
通常、メダル補給装置2b、2dの回収コンベヤ14により回収した未洗浄のメダルは、そのまま装置間搬送洗浄処理によってメダル補給装置2aまたは2cに搬送される。しかし、例えば島渡しコンベヤ34の故障や、メダル補給装置2a、2b内に未洗浄メダルを収容する余裕が無いなどのために、装置間搬送洗浄処理の開始条件が整わない場合には、メダル補給装置2b、2dで回収された未洗浄メダルは行き場を失い、回収コンベヤ14やメインリフト24や分配シュート26或いは島渡しコンベヤ34上に滞留する。自己補給処理を行い、補給タンク36に投入することも考えられるが、補給タンク36に洗浄済みのメダルが充分に存在する状態で、未洗浄のメダルを補給用のメダルとして補給タンク36に投入することは好ましくない。そこで、洗浄ユニット22を有しないメダル補給装置2b、2dから、装置間搬送洗浄処理によって未洗浄のメダルを搬出できない場合には、回収したメダルを自身の貯留タンク43に貯留する回収貯留処理が行われる。
メダル補給装置2b、2dの制御部70は、親機であるメダル補給装置2aから装置間搬送洗浄処理が実行可能である旨の指示が無い場合、回収貯留処理を開始する。装置間搬送洗浄処理が実行可能である旨の指示が無い状態とは、当該メダル補給装置2bまたは2dへの装置間搬送洗浄処理が親機から指示されていない状態であり、原因としては、受け入れ側となるメダル補給装置2aまたは2cのメダル貯留量が多く、受け入れ困難な状況であることや洗浄ユニット22の故障、島渡しコンベヤ34の故障などがある。
上記の条件が成立すると、回収貯留処理が開始される。この回収貯留処理は、装置間搬送洗浄処理が実行可能になると中止され、貯留タンク43に貯留したメダルや、新たに回収したメダルは、装置間搬送洗浄処理によってメダル補給装置2aまたは2cに搬送される。この回収貯留処理は、メダル補給装置2b、2d内の処理であり、それぞれ独立に並行して実行可能である。
回収貯留処理としては、分配シュート26を回転駆動し、その排出口28aを図8に示すように天穴52bの一部52b’上に位置させる。この状態でにおいて、回収コンベヤ14により回収されたメダルがメインリフト24によって揚送され、分配シュート26、補給タンク36のオーバーフロー部54を介して貯留タンク43に投入される。
本発明の第2の実施形態の遊技媒体処理システムは、図10に示すようにメダルの補給をジョッキ46のみによって行うタイプのものである。この実施形態のメダル補給装置3a、3bは、第1の実施形態のメダル補給装置2a、2bが備えていた補給タンク36や補給コンベヤ38を備えて無く、補給手段として、メダルを手作業で運搬するためのジョッキ46にメダルを供給する排出手段44を備えているのみである。メダル補給装置3aでは、メインリフト24で揚送された洗浄済みメダルや、装置間搬送補給処理により搬送されてきた洗浄済みメダルは、直接に上タンク42に投入され、貯留される。また、メダル補給装置3bでは、装置間搬送補給処理により搬送されてきた洗浄済みメダルは、直接に上タンク42に投入され、貯留される。他の構成は、第1の実施形態と同様である。
この実施形態においても、洗浄済みのメダルのみを扱うユニットと未洗浄のメダルのみを扱うユニットとを完全に区分することができる。図9と同様に、白抜きのユニットは、洗浄済みのメダルのみを扱うユニットを、ハッチングを付したユニットは未洗浄のメダルを扱うユニットをそれぞれ示している。
上記の各実施形態では、遊技媒体としてメダルを使用したが、これに限ったものではなく、例えばパチンコ玉を使用することもできる。また、第1の実施形態では、4台のメダル補給装置を使用したが、使用するメダル補給装置の台数は、任意に増減することができる。また、上記の実施形態では、島渡しコンベヤ32、34には、4台のメダル補給装置4a乃至4d間に架設されたそれぞれ1本のコンベヤを使用したが、島渡しコンベヤ32、34のいずれか一方または両方を、隣接するメダル補給装置間ごとに架設された複数のコンベヤによって構成することもできる。