JP2009003301A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】立ち上げ時間が極めて短く、自己温度制御性が高く、定着ベルトの走行方向の温度低下が少ない、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像を加熱・溶融する定着ベルト22と、定着ベルト22を張架する複数のローラ部材21、23と、定着ベルト22に圧接して記録媒体Pが搬送されるニップ部を形成する加圧部材30と、複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材21、23の内部にそれぞれ貫入するように巻回された励磁コイル25と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】トナー像を加熱・溶融する定着ベルト22と、定着ベルト22を張架する複数のローラ部材21、23と、定着ベルト22に圧接して記録媒体Pが搬送されるニップ部を形成する加圧部材30と、複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材21、23の内部にそれぞれ貫入するように巻回された励磁コイル25と、を備える。
【選択図】図2
Description
この発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、ローラ部材の内周面及び外周面に対向するようにループ状の励磁コイルを配設して、励磁コイルによってローラ部材を電磁誘導加熱することで定着ベルトを加熱する定着装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等において、電磁誘導加熱方式の定着装置は、定着ベルト、定着ベルトを張架する2つのローラ部材(支持ローラと定着補助ローラとである。)、支持ローラの内周面及び外周面に対向するように配設された励磁コイル(コイル)、定着補助ローラに定着ベルトを介して対向する加圧ローラ、等で構成される。支持ローラは、所定のキューリー点を有する材料で形成されている。
そして、定着ベルトは、ループ状の励磁コイルによって電磁誘導加熱された支持ローラによって加熱される。加熱された定着ベルトは、定着補助ローラ及び加圧ローラの位置に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、励磁コイルに高周波の交番電流を流すことで、支持ローラの周囲に磁界が形成されて、支持ローラ表面近傍に渦電流が生じる。支持ローラに渦電流が生じると、支持ローラ自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、支持ローラに巻装された定着ベルトが加熱される。
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、立ち上げ時間が極めて短く、自己温度制御性が高くて小サイズの記録媒体を連続的に定着した場合や装置が突発的に駆動停止した場合等であっても過昇温が抑止されるものとして知られている。
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、立ち上げ時間が極めて短く、自己温度制御性が高くて小サイズの記録媒体を連続的に定着した場合や装置が突発的に駆動停止した場合等であっても過昇温が抑止されるものとして知られている。
一方、特許文献2の図4等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置であって、定着ベルトを張架する2つのローラ部材の内部にそれぞれ貫入するようにコア部材を配設する技術が開示されている。
上述した特許文献1等の定着装置は、定着ベルトが支持ローラに巻装された位置で加熱される構成であるために、定着ベルト表面が支持ローラの位置からニップ部の位置に移動するまでにベルト温度が低下してしまう問題があった。特に、ニップ部では、定着ベルトの熱が、記録媒体に加えて、定着ベルトに圧接する加圧部材にも奪われるために、ニップ部における定着ベルトの温度低下が大きくなっていた。そして、このように定着ベルトのニップ部における温度(定着温度)が低下すると、定着工程において所望の定着性が得られなくなってしまう。
このような問題は、高速機(記録媒体を搬送する速度が速い画像形成装置である。)の場合には、記録媒体により奪われる熱が多量になるために、特に無視できないものになっていた。
このような問題は、高速機(記録媒体を搬送する速度が速い画像形成装置である。)の場合には、記録媒体により奪われる熱が多量になるために、特に無視できないものになっていた。
一方、上述の特許文献2等の技術は、励磁コイルが一部に巻装されたコア部を、定着ベルトを張架する2つのローラ部材の内部にそれぞれ貫入するように配設したものである。したがって、励磁コイルによって形成される磁束は特許文献1等の定着装置のものと異なり、特許文献1等の定着装置に比べて発熱効率も低く、上述した問題を直接的に解決することはできない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、立ち上げ時間が極めて短く、自己温度制御性が高く、定着ベルトの走行方向の温度低下が少ない、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を加熱・溶融する定着ベルトと、前記定着ベルトを張架する複数のローラ部材と、前記定着ベルトに圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、前記複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材の内部にそれぞれ貫入するように巻回された励磁コイルと、を備えたものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記励磁コイルが貫入された前記ローラ部材のうち少なくとも1つは、前記励磁コイルにより発生される磁束によって加熱される発熱層を備えたものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記発熱層は、350℃以下のキューリー点を有するように形成されたものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記励磁コイルは、周波数が10k〜1MHzの交番電流が印加されるものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記励磁コイルは、前記少なくとも2つのローラ部材の内周面にそれぞれ対向するように1回又は複数回巻回されたものである。
また、この発明の請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、定着ベルトを張架する複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材の内部にそれぞれ貫入するように励磁コイルを巻回するために、比較的簡易な構成で定着ベルトを複数箇所で加熱することができる。これにより、立ち上げ時間が極めて短く、自己温度制御性が高く、定着ベルトの走行方向の温度低下が少ない、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図4にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、18は像担持体としての感光体ドラム、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
図1〜図4にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、18は像担持体としての感光体ドラム、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、露光部3から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の電子写真プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
なお、図示は省略するが、プロセスカートリッジ4には、感光体ドラム18、感光体ドラム18上を帯電する帯電部、トナー(現像剤)が収容されていて感光体ドラム18上に形成された静電潜像を現像する現像部、感光体ドラム18上に残存する未転写トナーを除去するクリーニング部、等が一体的に設けられている。
まず、露光部3から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の電子写真プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
なお、図示は省略するが、プロセスカートリッジ4には、感光体ドラム18、感光体ドラム18上を帯電する帯電部、トナー(現像剤)が収容されていて感光体ドラム18上に形成された静電潜像を現像する現像部、感光体ドラム18上に残存する未転写トナーを除去するクリーニング部、等が一体的に設けられている。
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ベルトと加圧ローラとの間(ニップ部である。)に送入されて、定着ベルトから受ける熱と加圧ローラから受ける圧力とによってトナー像が定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、定着ベルトと加圧ローラとの間から送出された後に、出力画像として画像形成装置本体1から排出されて、排紙トレイ10上に載置される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2にて、画像形成装置本体1における定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置20は、定着補助ローラ21(ローラ部材)、定着ベルト22、支持ローラ23(ローラ部材)、誘導加熱部24(励磁コイル25)、加圧ローラ30(加圧部材)、サーミスタ38、ガイド板35、分離板36、等で構成される。
図2に示すように、定着装置20は、定着補助ローラ21(ローラ部材)、定着ベルト22、支持ローラ23(ローラ部材)、誘導加熱部24(励磁コイル25)、加圧ローラ30(加圧部材)、サーミスタ38、ガイド板35、分離板36、等で構成される。
定着補助ローラ21は、芯金の表面に、ソリッド状又は発泡状のシリコーンゴム等の弾性層が形成された円筒状のローラ部材である。定着補助ローラ21の弾性層は、肉厚が3〜10mmで、アスカー硬度が10〜50度となるように形成されている。定着補助ローラ21は、外径が30mm程度であって、不図示の駆動装置によって図2の反時計方向に回転駆動される。定着補助ローラ21の内部には、その内周面に対向するように、励磁コイル25が貫入されている(図4をも参照できる。)。
ここで、定着補助ローラ21の芯金は、キューリー点が350℃以下となる材料で形成され、励磁コイル25によって電磁誘導加熱される発熱層として機能する。芯金の材料として、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、コバルト、バナジウム、銅、又は、それらの合金等の磁性導電性材料を用いることができる。本実施の形態1では、定着補助ローラ21の芯金の材料として、キューリー点が300℃(定着可能温度以上である。)となる整磁合金を用いている。具体的には、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、各材料の添加量と加工条件とが調整されてキューリー点が300℃に設定されている。
このように、350℃以下のキューリー点を有する芯金(発熱層)を定着補助ローラ21に設けることで、定着ベルト22を加熱する定着補助ローラ21の加熱機能を維持しつつ、芯金が電磁誘導によって過昇温されるのを抑止することができる(自己温度制御性を高めることができる。)。
このように、350℃以下のキューリー点を有する芯金(発熱層)を定着補助ローラ21に設けることで、定着ベルト22を加熱する定着補助ローラ21の加熱機能を維持しつつ、芯金が電磁誘導によって過昇温されるのを抑止することができる(自己温度制御性を高めることができる。)。
支持ローラ23は、直径が20mm、肉厚が0.6mmの円筒状のローラ部材である。支持ローラ23は、図2の反時計方向に回転する。支持ローラ23の内部には、その内周面に対向するように、励磁コイル25が貫入されている(図4をも参照できる。)。
支持ローラ23は、キューリー点が350℃以下となる材料で形成され、励磁コイル25によって電磁誘導加熱される発熱層(発熱部材)として機能する。支持ローラ23の材料として、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、コバルト、バナジウム、銅、又は、それらの合金等の磁性導電性材料を用いることができる。本実施の形態1では、定着補助ローラ21の芯金の材料として、キューリー点が300℃(定着可能温度以上である。)となる整磁合金を用いている。具体的には、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、各材料の添加量と加工条件とが調整されてキューリー点が300℃に設定されている。
このように、350℃以下のキューリー点を有する材料で支持ローラ23を形成することで、定着ベルト22を加熱する支持ローラ23の加熱機能を維持しつつ、支持ローラ23が電磁誘導によって過昇温されるのを抑止することができる(自己温度制御性を高めることができる。)。
支持ローラ23は、キューリー点が350℃以下となる材料で形成され、励磁コイル25によって電磁誘導加熱される発熱層(発熱部材)として機能する。支持ローラ23の材料として、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、コバルト、バナジウム、銅、又は、それらの合金等の磁性導電性材料を用いることができる。本実施の形態1では、定着補助ローラ21の芯金の材料として、キューリー点が300℃(定着可能温度以上である。)となる整磁合金を用いている。具体的には、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、各材料の添加量と加工条件とが調整されてキューリー点が300℃に設定されている。
このように、350℃以下のキューリー点を有する材料で支持ローラ23を形成することで、定着ベルト22を加熱する支持ローラ23の加熱機能を維持しつつ、支持ローラ23が電磁誘導によって過昇温されるのを抑止することができる(自己温度制御性を高めることができる。)。
なお、本実施の形態1において、支持ローラ23の発熱層上に補強層、弾性層、断熱層等を設けることもできる。
また、支持ローラ23の発熱層を、複層構造とすることもできる。具体的には、上述した整磁合金層に加えて、銅、金、銀等の低体積抵抗層を設けることもできる。
また、支持ローラ23の発熱層を、複層構造とすることもできる。具体的には、上述した整磁合金層に加えて、銅、金、銀等の低体積抵抗層を設けることもできる。
以下、定着ベルト22について詳述する。
図2を参照して、定着ベルト22は、複数のローラ部材(支持ローラ23と定着補助ローラ21とである。)に張架・支持されている。
図3に示すように、定着ベルト22は、基材22a上に弾性層22b、離型層22cが順次形成された、多層構造のエンドレスベルトである。基材22aは、機械的強度、柔軟性、耐熱性を有する材料、例えば、ステンレス、ニッケル等の金属材料や、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂材料で形成されている。基材22aとして金属材料を用いる場合には、定着ベルト22の撓みを考慮して、その層厚を100μm以下に設定することが好ましい。また、基材22aとして耐熱性樹脂材料を用いる場合には、熱容量及び強度の点から、その層厚を30〜200μmに設定することが好ましい。
図2を参照して、定着ベルト22は、複数のローラ部材(支持ローラ23と定着補助ローラ21とである。)に張架・支持されている。
図3に示すように、定着ベルト22は、基材22a上に弾性層22b、離型層22cが順次形成された、多層構造のエンドレスベルトである。基材22aは、機械的強度、柔軟性、耐熱性を有する材料、例えば、ステンレス、ニッケル等の金属材料や、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂材料で形成されている。基材22aとして金属材料を用いる場合には、定着ベルト22の撓みを考慮して、その層厚を100μm以下に設定することが好ましい。また、基材22aとして耐熱性樹脂材料を用いる場合には、熱容量及び強度の点から、その層厚を30〜200μmに設定することが好ましい。
定着ベルト22の弾性層22bは、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等からなり、層厚が50〜500μmでアスカー硬度が5〜50度となるように形成されている。これにより、出力画像において、光沢ムラのない均一な画質を得ることができる。
定着ベルト22の離型層22cは、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、これらの樹脂の混合物、又は、これらの樹脂を耐熱性樹脂に分散させたものである。離型層22dの層厚は、5〜50μm(好ましくは、10〜30μmである。)に形成されている。これにより、定着ベルト22上のトナー離型性や紙粉固着防止性が担保されるとともに、定着ベルト22の柔軟性が確保される。
なお、定着ベルト22の各層22a〜22cの間に、プライマ層等を設けることもできる。
定着ベルト22の離型層22cは、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、これらの樹脂の混合物、又は、これらの樹脂を耐熱性樹脂に分散させたものである。離型層22dの層厚は、5〜50μm(好ましくは、10〜30μmである。)に形成されている。これにより、定着ベルト22上のトナー離型性や紙粉固着防止性が担保されるとともに、定着ベルト22の柔軟性が確保される。
なお、定着ベルト22の各層22a〜22cの間に、プライマ層等を設けることもできる。
図2及び図4を参照して、交番磁界を生成する誘導加熱部24は、ループ状に形成された励磁コイル25で構成される。
ここで、誘導加熱部25(磁束発生手段)としての励磁コイル25は、定着ベルト22を張架する2つのローラ部材(定着補助ローラ21と支持ローラ23とである。)の内部にそれぞれ貫入するように巻回されている。具体的には、図4を参照して、2つのローラ部材21、23の内周面にそれぞれ対向するように、励磁コイル25が巻回されている(本実施の形態1では、3回巻回されている。)。図4に示すように、励磁コイル25は、定着補助ローラ21及び支持ローラ23の幅方向(回転軸方向)に平行に延設されている。励磁コイル25の幅方向の両端部は定着補助ローラ21側と支持ローラ23側とを結ぶ折返し部になっていて、一端側には高周波電源部40が接続されている。そして、高周波電源部40から、10k〜1MHz(好ましくは、20k〜300kHzである。)の交番電流が励磁コイル25に印加される。
ここで、誘導加熱部25(磁束発生手段)としての励磁コイル25は、定着ベルト22を張架する2つのローラ部材(定着補助ローラ21と支持ローラ23とである。)の内部にそれぞれ貫入するように巻回されている。具体的には、図4を参照して、2つのローラ部材21、23の内周面にそれぞれ対向するように、励磁コイル25が巻回されている(本実施の形態1では、3回巻回されている。)。図4に示すように、励磁コイル25は、定着補助ローラ21及び支持ローラ23の幅方向(回転軸方向)に平行に延設されている。励磁コイル25の幅方向の両端部は定着補助ローラ21側と支持ローラ23側とを結ぶ折返し部になっていて、一端側には高周波電源部40が接続されている。そして、高周波電源部40から、10k〜1MHz(好ましくは、20k〜300kHzである。)の交番電流が励磁コイル25に印加される。
ここで、励磁コイル25は、表面に絶縁被膜を施した細い導線が複数撚り合わせて束ねられたリッツ線である。一般に、導線の径が小さいほど高周波交番電流を印加したときの損失が小さくなる反面、強度が低下して巻回による破断が生じ易くなる。そのため、コイルは、各導線の素線径を0.05mm以上にすることが好ましい。また、各導線の素線径は、素線全域に電流が流れることを考慮して、コイルに印加される交番電流の周波数から算出される浸透深さの2倍以下にすることが好ましい。なお、浸透深さδは次式で求まる。
δ=503・〔ρ/(μf)〕1/2
上式において、ρは材料の体積固有抵抗率(体積抵抗率)であり、μは材料の比透磁率であり、fは材料を励磁する交番電流の周波数である。
δ=503・〔ρ/(μf)〕1/2
上式において、ρは材料の体積固有抵抗率(体積抵抗率)であり、μは材料の比透磁率であり、fは材料を励磁する交番電流の周波数である。
また、コイルをリッツ線とする場合、その撚り本数が多ければ断面積が増えるために耐電流量が増加する反面、巻回するための柔軟性が低下するとともに、占有面積が増えてレイアウト上のデメリットとなる。これらのことを考慮して、本実施の形態1の励磁コイル25は、素線径が0.15mmの導線を150本撚り合わせたものを用いている。
なお、本実施の形態1では、2つのローラ部材21、23の内周面にそれぞれ対向するように、励磁コイル25を3回巻回したが、励磁コイル25を1回(巻数1である。)だけ巻回してもよいし、励磁コイル25を2回又は4回以上巻回してもよい。
なお、本実施の形態1では、励磁コイル25をリッツ線で構成したが、励磁コイル25を1本の導線で構成することもできる。
また、励磁コイル25が定着補助ローラ21及び支持ローラ23の内周面に対向しない領域において漏れ磁場が形成されるのを抑止するために、コアを設置して磁路を整形したり、銅やアルミ等の非磁性低抵抗の導電体カバーを設置したりすることもできる。
なお、本実施の形態1では、励磁コイル25をリッツ線で構成したが、励磁コイル25を1本の導線で構成することもできる。
また、励磁コイル25が定着補助ローラ21及び支持ローラ23の内周面に対向しない領域において漏れ磁場が形成されるのを抑止するために、コアを設置して磁路を整形したり、銅やアルミ等の非磁性低抵抗の導電体カバーを設置したりすることもできる。
図2を参照して、加圧ローラ30は、アルミニウム、銅、ステンレス等からなる円筒部材上にフッ素ゴム、シリコーンゴム等の弾性層が形成されたものである。加圧ローラ30の弾性層は、肉厚が1〜5mmで、アスカー硬度が20〜50度となるように形成されている。加圧ローラ30は、外径が30mm程度であって、定着ベルト22を介して定着補助ローラ21に圧接している。そして、定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部(定着ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の入口側には、記録媒体Pの搬送を案内するガイド板35が配設されている。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに記録媒体Pが定着ベルト22から分離するのを促進する分離板36が配設されている。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに記録媒体Pが定着ベルト22から分離するのを促進する分離板36が配設されている。
定着ベルト22の外周面上であって定着ニップ部の上流側には、熱応答性の高いサーミスタ38(感温素子)が当接されている。そして、サーミスタ38によって、定着ベルト22上の表面温度(定着温度)が検知されて、誘導加熱部24の出力が調整される。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、支持ローラ23に巻装された位置と、定着補助ローラ21に巻装された位置と、で2段階で加熱される。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、支持ローラ23に巻装された位置と、定着補助ローラ21に巻装された位置と、で2段階で加熱される。
詳しくは、高周波電源部40から励磁コイル25に10kHz〜1MHzの高周波交番電流を流すことで、励磁コイル25のループ内に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)の温度がキューリー点以下である場合に、励磁コイル25のループ内に配設された支持ローラ23と定着補助ローラ21の芯金(発熱層)とにそれぞれ渦電流が生じて、支持ローラ23及び定着補助ローラ21(芯金)の電気抵抗によってそれぞれにジュール熱が発生して、支持ローラ23及び定着補助ローラ21がそれぞれ加熱される。こうして、定着ベルト22は、発熱した支持ローラ23から受ける熱と、発熱した定着補助ローラ21から受ける熱と、によって加熱される。
なお、支持ローラ23と定着補助ローラ21(芯金)との発熱量の割合(配分)は、それぞれに用いる磁性金属材料の磁気特性(例えば、透磁率、飽和磁束密度、保磁力、キューリー点、等である。)や、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)の肉厚を調整することで可変できる。
なお、支持ローラ23と定着補助ローラ21(芯金)との発熱量の割合(配分)は、それぞれに用いる磁性金属材料の磁気特性(例えば、透磁率、飽和磁束密度、保磁力、キューリー点、等である。)や、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)の肉厚を調整することで可変できる。
支持ローラ23の位置を通過した後の定着ベルト22表面は、サーミスタ38の位置を通過して、加圧ローラ30との当接部(ニップ部である。)に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像Tを加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
加圧ローラ30の位置を通過した定着ベルト22表面は、その後に再び支持ローラ23の巻装位置に達する。このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
このように、本実施の形態1では、支持ローラ23の位置で加熱された定着ベルト22表面が、定着補助ローラ21の位置で再び加熱されるために、定着ベルトの走行速度が低速であっても、支持ローラ23の位置で加熱された定着ベルト22表面がニップ部の位置に移動するまでにベルト温度が大きく低下してしまう不具合が抑止される。また、定着ベルトの走行速度が高速であって記録媒体により奪われる定着ベルト22の熱が多量であっても、支持ローラ23の位置に加えて定着補助ローラ21の位置でも定着ベルト22を積極的に加熱しているために、ニップ部でベルト温度が大きく低下してしまう不具合が抑止される。したがって、ニップ部における定着ベルト22の大きな温度低下が生じることなく、定着工程において良好な定着性が得られることになる。
特に、本実施の形態1では、ループ状の励磁コイル25からなる誘導加熱部24を2箇所に設けるのではなく、1つの誘導加熱部24によって2つのローラ部材(支持ローラ23と定着補助ローラ21とである。)を同時に加熱しているために、比較的簡易な構成で低コストで効率的にベルト温度の低下を抑止することができる。
このように、本実施の形態1では、支持ローラ23の位置で加熱された定着ベルト22表面が、定着補助ローラ21の位置で再び加熱されるために、定着ベルトの走行速度が低速であっても、支持ローラ23の位置で加熱された定着ベルト22表面がニップ部の位置に移動するまでにベルト温度が大きく低下してしまう不具合が抑止される。また、定着ベルトの走行速度が高速であって記録媒体により奪われる定着ベルト22の熱が多量であっても、支持ローラ23の位置に加えて定着補助ローラ21の位置でも定着ベルト22を積極的に加熱しているために、ニップ部でベルト温度が大きく低下してしまう不具合が抑止される。したがって、ニップ部における定着ベルト22の大きな温度低下が生じることなく、定着工程において良好な定着性が得られることになる。
特に、本実施の形態1では、ループ状の励磁コイル25からなる誘導加熱部24を2箇所に設けるのではなく、1つの誘導加熱部24によって2つのローラ部材(支持ローラ23と定着補助ローラ21とである。)を同時に加熱しているために、比較的簡易な構成で低コストで効率的にベルト温度の低下を抑止することができる。
他方、このような定着工程において、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)の温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)の発熱がそれぞれ制限されることになる。
すなわち、誘導加熱部24によって加熱された支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)の温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)が磁性を失うために、それらの表面近傍での渦電流の発生が制限される。これにより、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)におけるジュール熱の発生量が低下して、過昇温が抑止される。
すなわち、誘導加熱部24によって加熱された支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)の温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)が磁性を失うために、それらの表面近傍での渦電流の発生が制限される。これにより、支持ローラ23や定着補助ローラ21(芯金)におけるジュール熱の発生量が低下して、過昇温が抑止される。
このような自己温度制御能力は、本実施の形態1のように、発熱部材21、23に対して励磁コイル25をループ状に配設した場合、発熱部材21、23の発熱主面側(外周面側である。)のみに対向するように励磁コイル25を配設した場合に比べて、特に高くなる。このような効果を示す実験例については、後で図6〜図8にて説明する。
以上説明したように、本実施の形態1では、定着ベルト22を張架する2つのローラ部材21、23の内部にそれぞれ貫入するように励磁コイル25を巻回するために、比較的簡易な構成で定着ベルト22を複数箇所で加熱することができる。これにより、装置の立ち上げ時間が極めて短く、自己温度制御性が高く、定着ベルト22の走行方向の温度低下を軽減することができる。
なお、本実施の形態1では、定着ベルト22を2つのローラ部材21、23で張架した定着装置に対して本発明を適用したが、定着ベルト22を3つ以上のローラ部材で張架した定着装置に対しても本発明を適用することができる。その場合も、定着ベルトを張架する複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材の内部にそれぞれ貫入するように励磁コイルを配設することで、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態1では、加圧部材として加圧ローラ30を用いた定着装置に対して本発明を適用したが、加圧部材として加圧ベルトや加圧パッドを用いた定着装置に対しても本発明を適用することができる。そして、その場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図5にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図5は、実施の形態2における画像形成装置の要部を示す断面図である。本実施の形態2の画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置である点と、励磁コイル25の巻数を6回としている点と、が前記実施の形態1のものとは相違する。
図5にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図5は、実施の形態2における画像形成装置の要部を示す断面図である。本実施の形態2の画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置である点と、励磁コイル25の巻数を6回としている点と、が前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態2における画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置である。図5に示すように、作像部には、複数の感光体ドラム18BK、18Y、18M、18Cが転写ベルト8上に並設されている。図示は省略するが、複数の感光体ドラム18BK、18Y、18M、18Cの外周には、帯電部、露光部、現像部、クリーニング部、除電部が配設されている(図1のプロセスカートリッジ4を参照できる。)。そして、各感光体ドラム18BK、18Y、18M、18C上で、各色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像が形成される。
転写部7は、記録媒体Pを搬送する転写ベルト8、各感光体ドラム18BK、18Y、18M、18Cに対して転写ベルト8を介して対向するバイアスローラ9、転写ベルト8表面を清掃するクリーニングローラ14、等で構成される。
転写ベルト8は、矢印方向から搬送される記録媒体Pを、各感光体ドラム18Y、18M、18C、18BKとの対向位置に順次搬送する。このとき、バイアスローラ9に印加される転写バイアスによって、記録媒体P上に各色のトナー像が重ねて転写される。こうして、記録媒体P上にフルカラーのトナー像が形成される。その後、フルカラーのトナー像が形成された記録媒体Pは、転写ベルト8から分離されて、定着装置20に向けて搬送されることになる。
転写ベルト8は、矢印方向から搬送される記録媒体Pを、各感光体ドラム18Y、18M、18C、18BKとの対向位置に順次搬送する。このとき、バイアスローラ9に印加される転写バイアスによって、記録媒体P上に各色のトナー像が重ねて転写される。こうして、記録媒体P上にフルカラーのトナー像が形成される。その後、フルカラーのトナー像が形成された記録媒体Pは、転写ベルト8から分離されて、定着装置20に向けて搬送されることになる。
一方、本実施の形態2の定着装置20は、励磁コイル25の巻数を除き、前記実施の形態1のものと同様に構成され動作する。本実施の形態2における励磁コイル25は、2つのローラ部材21、23の内周面にそれぞれ対向するように、6回巻回されている。
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、定着ベルト22を張架する2つのローラ部材21、23の内部にそれぞれ貫入するように励磁コイル25を巻回するために、比較的簡易な構成で定着ベルト22を複数箇所で加熱することができる。これにより、装置の立ち上げ時間が極めて短く、自己温度制御性が高く、定着ベルト22の走行方向の温度低下を軽減することができる。
実験例.
図6〜図8にて、発熱部材の表裏面を挟むように励磁コイルを離間して配設することによって発熱部材における自己温度制御能力が高まる効果を確認する実験例について説明する。
図6(A)及び図6(B)は、実験装置を示す概略図である。図6(A)の実験装置は、発熱層33を有するテストピース(前記各実施の形態の発熱部材21、23に相当するものである。)の表裏面を挟むように励磁コイル25を離間させたものである(前記各実施の形態における定着装置の構成である。)。図6(B)の実験装置は、発熱層33を有するテストピースの発熱主面に励磁コイル25を対向させたものである(従来の定着装置の構成である。)。
図6〜図8にて、発熱部材の表裏面を挟むように励磁コイルを離間して配設することによって発熱部材における自己温度制御能力が高まる効果を確認する実験例について説明する。
図6(A)及び図6(B)は、実験装置を示す概略図である。図6(A)の実験装置は、発熱層33を有するテストピース(前記各実施の形態の発熱部材21、23に相当するものである。)の表裏面を挟むように励磁コイル25を離間させたものである(前記各実施の形態における定着装置の構成である。)。図6(B)の実験装置は、発熱層33を有するテストピースの発熱主面に励磁コイル25を対向させたものである(従来の定着装置の構成である。)。
すなわち、図6(A)の実験装置と図6(B)の実験装置とは、励磁コイル25の構成は同等であって、励磁コイル25に対向するテストピースの向きのみが異なることになる。
ここで、テストピースは、発熱層33のみのものと、発熱層33上にアルミニウムからなる非磁性導電層34を厚さ0.3mmにて形成したものと、発熱層33上にアルミニウムからなる非磁性導電層34を厚さ0.8mmにて形成したものと、の3種類を用意した。テストピースの発熱層33は、表裏面の大きさが25mm×50mmであって、厚さが0.22mmであって、キューリー温度が240℃の整磁合金からなる。テストピースの非磁性導電層34も、表裏面の大きさを25mm×50mmとした。
また、実験装置の励磁コイル25には、高周波電源部40から、電力が200〜1200Wであって、励磁周波数が36kHzと130kHzとの2種類の交番電流が印加される。これによって、励磁コイル25近傍には、図6(A)及び図6(B)に示すような磁力線が形成される。
図7及び図8は、上述の実験装置を用いておこなった実験例の結果を示すグラフである。図7及び図8において、横軸は電磁誘導を開始してからの時間を示し、縦軸は発熱層33上の温度を示す。
図7は図6(A)の実験装置を用いたときの実験結果であり、図8は図6(B)の実験装置を用いたときの実験結果である。
図7は図6(A)の実験装置を用いたときの実験結果であり、図8は図6(B)の実験装置を用いたときの実験結果である。
図7(A)は、高周波電源部40から出力される交番電流の周波数を36kHzとしたときの、時間と温度との関係を示すグラフである。図7(B)は、高周波電源部40から出力される交番電流の周波数を130kHzとしたときの、時間と温度との関係を示すグラフである。また、図7において、実線R0は発熱層33のみのテストピースを用いた場合であり、実線R1は発熱層33上に厚さ0.3mmの非磁性導電層34を形成したテストピースを用いた場合であり、実線R2は発熱層33上に厚さ0.8mmの非磁性導電層34を形成したテストピースを用いた場合である。
図8(A)は、高周波電源部40から出力される交番電流の周波数を36kHzとしたときの、時間と温度との関係を示すグラフである。図8(B)は、高周波電源部40から出力される交番電流の周波数を130kHzとしたときの、時間と温度との関係を示すグラフである。また、図8において、実線Q0は発熱層33のみのテストピースを用いた場合であり、実線Q1は発熱層33上に厚さ0.3mmの非磁性導電層34を形成したテストピースを用いた場合であり、実線Q2は発熱層33上に厚さ0.8mmの非磁性導電層34を形成したテストピースを用いた場合である。
図7より、非磁性導電層34の有無や交番電流の周波数に係わらず、発熱層33の温度がキューリー点に達するとそれ以上の過昇温が防止されることがわかる。
これに対して、図8(A)より、励磁周波数を36kHzにすると、厚さが0.8mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。同様に、図8(B)より、励磁周波数を130kHzにすると、厚さが0.3mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。このように、励磁コイル25を発熱部材(発熱層33)の発熱主面に対向させる場合には、発熱主面の反対側に低抵抗率の非磁性導電層を設ける必要がある。このことは、特開2003−215956号公報等にある記載内容にも一致するものである。
これに対して、図8(A)より、励磁周波数を36kHzにすると、厚さが0.8mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。同様に、図8(B)より、励磁周波数を130kHzにすると、厚さが0.3mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。このように、励磁コイル25を発熱部材(発熱層33)の発熱主面に対向させる場合には、発熱主面の反対側に低抵抗率の非磁性導電層を設ける必要がある。このことは、特開2003−215956号公報等にある記載内容にも一致するものである。
以上のことから、ループ状の励磁コイル25内に発熱部材を挟入することで、発熱部材の自己温度制御の能力が高められることがわかる。さらに、図7と図8との比較から、ループ状の励磁コイル25内に発熱部材を挟入することで、発熱部材の発熱効率(立ち上がり)も向上することがわかる。しかも、上述の効果は、発熱部材に非磁性導電層34を設けることなく得られるものであるため、発熱部材の構成が簡素化される。したがって、低廉で、層間剥がれ等の発熱層を設けることによる不具合がない発熱部材を提供することができる。
なお、上述の効果は、ループ状の励磁コイル25内に2つの発熱部材(本実施の形態1における支持ローラ23と定着補助ローラ21とに対応する。)を挟入した場合にも、ほぼ同様に得られるものである。
なお、上述の効果は、ループ状の励磁コイル25内に2つの発熱部材(本実施の形態1における支持ローラ23と定着補助ローラ21とに対応する。)を挟入した場合にも、ほぼ同様に得られるものである。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
1 画像形成装置本体(装置本体)、
20 定着装置、
21 定着補助ローラ(ローラ部材)、
22 定着ベルト、
23 支持ローラ(ローラ部材)、
24 誘導加熱部、
25 励磁コイル、
30 加圧ローラ(加熱部材)、
40 高周波電源部。
20 定着装置、
21 定着補助ローラ(ローラ部材)、
22 定着ベルト、
23 支持ローラ(ローラ部材)、
24 誘導加熱部、
25 励磁コイル、
30 加圧ローラ(加熱部材)、
40 高周波電源部。
Claims (6)
- トナー像を加熱・溶融する定着ベルトと、
前記定着ベルトを張架する複数のローラ部材と、
前記定着ベルトに圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、
前記複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材の内部にそれぞれ貫入するように巻回された励磁コイルと、
を備えたことを特徴とする定着装置。 - 前記励磁コイルが貫入された前記ローラ部材のうち少なくとも1つは、前記励磁コイルにより発生される磁束によって加熱される発熱層を備えたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記発熱層は、350℃以下のキューリー点を有するように形成されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記励磁コイルは、周波数が10k〜1MHzの交番電流が印加されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記励磁コイルは、前記少なくとも2つのローラ部材の内周面にそれぞれ対向するように1回又は複数回巻回されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007165711A JP2009003301A (ja) | 2007-06-23 | 2007-06-23 | 定着装置及び画像形成装置 |
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JP2009003301A true JP2009003301A (ja) | 2009-01-08 |
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ID=40319721
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JP (1) | JP2009003301A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010079818A1 (ja) | 2009-01-09 | 2010-07-15 | カルソニックカンセイ株式会社 | 車両用空調装置 |
-
2007
- 2007-06-23 JP JP2007165711A patent/JP2009003301A/ja active Pending
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