JP4798621B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、熱ローラ方式等の他方式のものに比べて、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
すなわち、磁界発生手段により電磁誘導加熱される発熱層(所定のキューリー点を有する発熱層である。)の層厚によって、小サイズ紙を連続通紙した場合の発熱部材の幅方向両端部における昇温の程度が異なる。このような傾向は、磁界発生手段を発熱部材の発熱主面に対向して配設したときも、発熱部材の表裏面(発熱主面とその反対側の面とである。)を挟むように磁界発生手段を離間して配設したときも、ほぼ同様にある。
ただし、発熱部材の過昇温を防止するためにキューリー点を有する材料を発熱部材に用いた場合、交番磁界を生成する磁界発生手段を発熱部材の発熱主面に対向して配設したときに比べて、発熱部材の表裏面を挟むように磁界発生手段を離間して配設したときの方が、発熱部材における自己温度制御の能力が高まる。
図1〜図7にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、18は像担持体としての感光体ドラム、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置を示す。
まず、露光部3から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の電子写真プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
なお、図示は省略するが、プロセスカートリッジ4には、感光体ドラム18、感光体ドラム18上を帯電する帯電部、トナー(現像剤)が収容されていて感光体ドラム18上に形成された静電潜像を現像する現像部、感光体ドラム18上に残存する未転写トナーを除去するクリーニング部、等が一体的に設けられている。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置20は、主として、定着補助ローラ21、定着ベルト22、支持ローラ23、誘導加熱部24、加圧ローラ30、サーミスタ38、ガイド板35、分離板36等で構成される。
また、本実施の形態1では、支持ローラ23(発熱層)のキューリー点が所定値(本実施の形態1では260℃である。)よりも低く設定されていて、支持ローラ23(発熱層)における幅方向両端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも厚くなるように形成されている。これについては、後で図6にて詳しく説明する。
また、発熱層の表面に、厚さが2μm以上の低抵抗層をメッキ、スパッタ等で形成することもできる。低抵抗層の浸透深さを上限に設定することで発熱層の発熱効率をさらに向上することができる。低抵抗層の材料としては、銀、銅、ニッケル等を用いることができる。特に、低抵抗層として銅を用いる場合には、防錆のために厚さが0.5μm程度のニッケル層を設けることが好ましい。
図2を参照して、発熱部材としての定着ベルト22(定着部材)は、支持ローラ23と定着補助ローラ21とに張架・支持されている。
図3(A)に示すように、定着ベルト22は、基材22a上に発熱層22b、弾性層22c、離型層22dが順次形成された、多層構造のエンドレスベルトである。基材22aは、絶縁性の耐熱樹脂材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等を用いることができる。基材22aの層厚は、熱容量及び強度の点から、30〜200μmに形成されている。
ここで、発熱層22bの材料として、ニッケル、ステンレス鋼等の磁性導電性材料を用いることができる。本実施の形態1では、発熱層22bの材料として、キューリー点が定着目標温度以上であって350℃以下となる整磁合金を用いている。具体的には、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、各材料の添加量と加工条件とを調整することで所望のキューリー点を得ることができる。このように、キューリー点が定着ベルト22の定着温度近傍となる磁性導電性材料にて発熱層22bを形成することで、発熱層22bは電磁誘導によって過昇温されることなく加熱されることになる。これについては、後で詳しく説明する。
なお、定着ベルト22の発熱層22bも、支持ローラ23と同様に、幅方向両端部の層厚と幅方向中央部の層厚とが異なるように形成することが好ましい。
なお、定着ベルト22の各層22a〜22dの間に、プライマ層等を設けることもできる。
図3(B)の定着ベルト22は、発熱層22b、弾性層22c、離型層22dからなる。ここで、発熱層22bは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の樹脂材料に、磁性導電性粒子を分散したものを用いることもできる。その場合、樹脂材料に対して磁性導電性粒子を20〜98重量%の範囲内で添加する。具体的には、ワニス状態の樹脂材料中に、ロールミル、サンドミル、遠心脱泡装置等の分散装置を用いて磁性導電性粒子を分散する。これを溶剤により適当な粘度に調整して、金型により所望の層厚に成形する。
図3(D)の定着ベルト22は、基材22a上に複数の発熱層22bを備えた弾性層22cを形成して、さらに表面層として離型層22dを形成している。
これらの定着ベルト22を用いた場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
ここで、磁界発生手段としてのコイル25は、発熱部材としての定着ベルト22及び支持ローラ23の表裏面(内周面及び外周面である。)を1回挟むように離間して巻回された励磁コイルである。換言すると、定着ベルト22及び支持ローラ23の一部が、ループ状のコイル25のループ内に挟入されている。図4に示すように、コイル25は、定着ベルト22及び支持ローラ23の幅方向に平行に延設されている。コイル25の幅方向の一端は内周面側と外周面(発熱主面である。)側とを結ぶ折返し部になっていて、他端には高周波電源部40が接続されている。そして、高周波電源部40から、10k〜1MHz(好ましくは、20k〜300kHzである。)の交番電流がコイル25に印加される。
δ=503・〔ρ/(μf)〕1/2
上式において、ρは材料の体積固有抵抗率であり、μは材料の比透磁率であり、fは材料を励磁する交番電流の周波数である。
なお、本実施の形態1では、コイル25をリッツ線で構成したが、コイル25を1本の導線で構成することもできる。
また、コイル25が支持ローラ23及び定着ベルト22の表裏面に対向しない領域において漏れ磁場が形成されるのを抑止するために、コアを設置して磁路を整形したり、銅やアルミ等の非磁性低抵抗の導電体カバーを設置したりすることもできる。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに記録媒体Pが定着ベルト22から分離するのを促進する分離板36が配設されている。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、コイル25との対向位置(支持ローラ23の位置である。)で加熱される。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
すなわち、誘導加熱部24によって加熱された支持ローラ23及び発熱層22bの温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23及び発熱層22bが磁性を失うために、表面近傍での渦電流の発生が制限される。これにより、支持ローラ23及び発熱層22bにおけるジュール熱の発生量が低下して、過昇温が抑止される。
具体的に、本実施の形態1では、支持ローラ23(発熱層)の層厚が幅方向両端部から幅方向中央部にかけて漸減するように形成されている。詳しくは、支持ローラ23のキューリー点(250℃程度に設定されている。)が所定値(260℃)よりも低く設定されていて、幅方向両端部の層厚M2が幅方向中央部の層厚M1よりも厚くなるように支持ローラ23が形成されている(M1<M2である。)。
これは、誘導加熱部24により電磁誘導加熱される発熱層(所定のキューリー点を有する発熱層である。)の層厚によって、小サイズ紙を連続通紙した場合の発熱部材の幅方向両端部における昇温の程度が異なるという性質によるものである。具体的に、発熱層のキューリー点が所定値よりも低く設定されている場合には、発熱層の層厚が厚いほど幅方向両端部における過昇温の発生が抑えられる。これに対して、発熱層のキューリー点が所定値よりも高く設定されている場合には、発熱層の層厚が薄いほど幅方向両端部における過昇温の発生が抑えられる。ここで、発熱層の材料を少なくとも鉄及びニッケルを含有する整磁合金とした場合に、上述のキューリー点の所定値は260℃になる。
なお、以上述べた効果を示す実験例については、後で図15〜図18にて説明する。
特に、支持ローラ23のみを発熱部材とする場合には、定着ベルト22の発熱層22bが不要になるとともに、支持ローラ23が単層構造(発熱層のみの構造である。)になるために、定着装置20全体の構成が一層簡易なものになる。
図8にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図8は、実施の形態2における定着装置の支持ローラ23を示す断面図である。本実施の形態2の定着装置は、支持ローラ23(発熱層)のキューリー点の設定温度と、支持ローラ23の形状と、が前記実施の形態1のものとは相違する。
具体的には、図8(A)に示すように支持ローラ23の層厚が幅方向両端部から幅方向中央部にかけて曲線状に漸増するように形成することもできるし、図8(B)に示すように支持ローラ23の層厚が幅方向両端部から幅方向中央部にかけて段階的に増加するように形成することもできるし、図8(C)に示すように支持ローラ23の層厚が幅方向両端部から幅方向中央部にかけて直線状に漸増するように形成することもできる。
図9にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図9は、実施の形態3における画像形成装置の要部を示す断面図である。本実施の形態3の画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置である点と、発熱部材として定着ローラ31を用いている点とが、前記実施の形態1のものとは相違する。
転写ベルト8は、矢印方向から搬送される記録媒体Pを、各感光体ドラム18Y、18M、18C、18BKとの対向位置に順次搬送する。このとき、バイアスローラ9に印加される転写バイアスによって、記録媒体P上に各色のトナー像が重ねて転写される。こうして、記録媒体P上にフルカラーのトナー像が形成される。その後、フルカラーのトナー像が形成された記録媒体Pは、転写ベルト8から分離されて、定着装置20に向けて搬送されることになる。
定着ローラ31は、所定のキューリー点を有する発熱層22b、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物等からなる離型層、等で構成される。定着ローラ31の発熱層22bは、前記実施の形態1と同様に、キューリー点が定着目標温度以上であって350℃以下となる整磁合金によって形成されている。定着ローラ31は、加圧ローラ30の加圧力に抗するだけの機械的強度をもつ。
そして、コイル25に10k〜1MHzの交番電流が供給されることで、コイル25のループ内に交番磁界が生成されて、定着ローラ31が電磁誘導加熱される。このようにして、電磁誘導加熱された定着ローラ31は、矢印方向から搬送される記録媒体P上のトナー像を加熱・溶融して記録媒体Pに定着する。
ここで、定着ローラ31は、上述した発熱層22bの層厚差に応じてツヅミ状に形成されている。詳しくは、ツヅミ量(=M2−M1)が0.1mm程度になるように形成されている。これにより、定着ニップ部において記録媒体Pは幅方向両端部が外側に引っ張られるように通紙されることになり、定着工程時において記録媒体Pにシワが生じるのを抑止することができる。
図10にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図10は、実施の形態4における定着装置を示す断面図であって、前記実施の形態1の図2に相当する図である。本実施の形態4の定着装置は、誘導加熱部24の位置が、前記実施の形態1のものとは相違する。
加熱ローラ28は、前記実施の形態1における支持ローラ23と同様に、キューリー点が定着目標温度以上であって350℃以下となる整磁合金によって形成されている。加熱ローラ28は、定着ニップ部の上流側(定着ベルト22の走行方向の上流側である。)であって、定着ベルト22の内周面に所定の圧力で当接している。
図11にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図11は、実施の形態5における定着装置を示す断面図である。本実施の形態5の定着装置は、誘導加熱部24に対向する定着部材として円筒状の定着ベルト22を用いている点が、誘導加熱部24に対向する定着部材として定着ローラ31を用いている前記実施の形態3のものとは相違する。
そして、コイル25に10k〜1MHzの交番電流が供給されることで、コイル25のループ内に交番磁界が生成されて、定着ベルト22が電磁誘導加熱される。このようにして、電磁誘導加熱された定着ベルト22は、矢印方向から搬送される記録媒体P上のトナー像を加熱・溶融して記録媒体Pに定着する。
図12〜図18にて、前記各実施の形態で述べた効果を確認するための実験例について説明する。
まず、図12〜図14にて、発熱部材の表裏面を挟むように磁界発生手段を離間して配設することによって発熱部材における自己温度制御能力が高まる効果を確認する実験例について説明する。
図12(A)及び図12(B)は、実験装置を示す概略図である。図12(A)の実験装置は、発熱層33を有するテストピース(前記各実施の形態の発熱部材に相当するものである。)の表裏面を挟むようにコイル25を離間させたものである(前記各実施の形態における定着装置の構成である。)。図12(B)の実験装置は、発熱層33を有するテストピースの発熱主面にコイル25を対向させたものである(従来の定着装置の構成である。)。
図13は図12(A)の実験装置を用いたときの実験結果であり、図14は図12(B)の実験装置を用いたときの実験結果である。
これに対して、図14(A)より、励磁周波数を36kHzにすると、厚さが0.8mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。同様に、図14(B)より、励磁周波数を130kHzにすると、厚さが0.3mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。このように、コイル25を発熱部材(発熱層33)の発熱主面に対向させる場合には、発熱主面の反対側に低抵抗率の非磁性導電層を設ける必要がある。このことは、特開2003−215956号公報等にある記載内容にも一致するものである。
図15〜図17に関わる実験は、実施の形態1における定着装置において定着ベルト22に発熱層を設けないものを用いて、小サイズ紙を連続通紙したときの発熱層(支持ローラ23)の幅方向両端部の昇温特性を測定したものである。詳しくは、発熱層(支持ローラ23)の層厚が0.2mm、0.3mmのもの(いずれも幅方向にわたって層厚が均一なものである。)を用意して、それぞれの幅方向両端部における昇温特性を測定した。また、実験は幅方向両端部の2箇所の温度を測定して、昇温温度が高いものを各図中に記載した。なお、実験において、定着ベルト22の幅方向中央部に当接したサーミスタ38によって、定着ベルト22上の定着温度が160℃になるように温度調整制御した。
また、図15は発熱層(支持ローラ23)のキューリー点が230℃に設定されていて、図16は発熱層(支持ローラ23)のキューリー点が300℃に設定されていて、図17は発熱層(支持ローラ23)のキューリー点が260℃に設定されている。
これに対して、図15から、発熱層のキューリー点(230℃)が所定値(260℃)よりも低く設定されている場合には、発熱層の層厚が厚いほど幅方向両端部における過昇温の発生が抑えられることがわかる。詳しくは、発熱層の層厚が0.2mmのものは210℃まで昇温し、発熱層の層厚が0.3mmのものは200℃以下で昇温が飽和する。また、発熱層の層厚が0.2mmのものは立ち上り時間が16秒であって、発熱層の層厚が0.3mmのものは立ち上り時間が20秒であった。このように、制御温度にキューリー点を近づけることで、発熱部材の端部昇温が低減される反面、キューリー点近傍で昇温が鈍化して立ち上りが不利になることがわかる。したがって、幅方向両端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも厚くなるように支持ローラ23(前記実施の形態1の構成である。)を形成することで、キューリー点が低い発熱層を用いた場合であっても立ち上げ時間の短縮化と小サイズ紙連続通紙時の端部過昇温の抑止とが両立されることになる。
図18から、磁界発生手段を発熱部材の片面側のみに対向して配設したときも、発熱層の層厚によって昇温特性が異なることがわかる。磁界発生手段を発熱部材の片面側のみに対向して配設したときには、発熱層の層厚が厚くなるほど自己温度制御性が低下する。自己温度制御性を高めようとする場合には、発熱層の温度がキューリー点に達して磁性を失ったときに下層のアルミニウム層(非磁性導電層34)まで磁束を到達させる必要がある。アルミニウム層は抵抗が低いために発熱効率が小さく、アルミニウム層まで磁束が到達することで発熱部材全体の発熱効率が低下して昇温が飽和する。しかし、発熱層の層厚が厚くなるほど非磁性体であっても磁束を遮る効果が大きくなってアルミニウム層に到達する磁束が減少して、発熱効率の低下が小さくなり昇温飽和温度が高くなる。
したがって、磁界発生手段を発熱部材の片面側のみに対向して配設したときも、発熱層の層厚を幅方向位置によって変化させることで、前記各実施の形態における効果と類似した効果を得ることができる。
20 定着装置、 21 定着補助ローラ、
22 定着ベルト(発熱部材、定着部材)、 22a 基材、
22b 発熱層(導電層)、 22c 弾性層、 22d 離型層、
23 支持ローラ(加熱部材)、 24 誘導加熱部(磁界発生手段)、
25 コイル、 28 加熱ローラ(発熱部材、加熱部材)、
30 加圧ローラ、 31 定着ローラ(発熱部材、定着部材)、
33 発熱層(発熱部材)、 34 非磁性導電層、
38 サーミスタ、 40 高周波電源部、
51 駆動部(可変手段)、 55 保持部材、 56 弾性部材。
Claims (12)
- トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
交番磁界を発生させる磁界発生手段と、
キューリー点が定着目標温度以上であって350℃以下になるように形成されるとともに前記交番磁界によって発熱する発熱層を具備する発熱部材と、
を備え、
前記磁界発生手段は、前記発熱部材の前記表裏面を1回又は複数回挟むように離間して巻回されたコイルであって、
前記キューリー点を可変したときに、前記発熱層の層厚に関わらずに、小サイズ紙が連続通紙されたときの前記発熱層の幅方向両端部の昇温特性が同等となるキューリー点を所定値と定めて、
前記発熱層は、
前記キューリー点が前記所定値よりも低く設定されているときには、幅方向両端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも厚くなるように形成され、
前記キューリー点が前記所定値よりも高く設定されているときには、幅方向両端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも薄くなるように形成されることを特徴とする定着装置。 - 前記発熱層は、少なくとも鉄及びニッケルを含有する合金であって、前記所定値が260℃になるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記交番磁界を生成するために前記磁界発生手段に供給される交番電流の周波数は10k〜1MHzの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材を加熱する加熱部材であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する支持ローラであって、
前記磁界発生手段は、前記定着ベルトの外周面に対向するとともに、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。 - 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラであって、
前記磁界発生手段は、前記定着ローラの外周面及び内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。 - 前記発熱層は、幅方向両端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも厚くなるように形成され、
前記定着ローラは、前記発熱層の層厚差に応じてツヅミ状に形成されたことを特徴とする請求項7に記載の定着装置。 - 前記定着部材は、周状に張架された定着ベルトであって、
前記磁界発生手段は、前記定着ベルトの外周面及び内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。 - 前記定着ベルトは、支持ローラと定着補助ローラとに張架され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項9に記載の定着装置。 - 前記磁界発生手段は、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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