JP2009002706A - 計測方法及びパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 反射面の表面形状を高精度に求める。
【解決手段】 ステージWSTを反射面24Xの延設方向にほぼ一致するY軸方向に沿って所定ステップ間隔でステップ移動し、X軸方向に関するステージの位置を計測するためにY軸方向に所定間隔隔てた2つの測長軸WXM,WXBを有する第1レーザ干渉計26X1を用い、ステップ移動位置(図2のP1〜PM)毎に、少なくともX軸方向に関する位置が異なる複数点で第1レーザ干渉計26X1の各測長軸位置での測定データを求める。そして、ステップ移動位置毎に、複数点における第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値を算出することで、反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を計測する。そして、この形状誤差に基づいて、反射面の形状を求める。
【選択図】図2
【解決手段】 ステージWSTを反射面24Xの延設方向にほぼ一致するY軸方向に沿って所定ステップ間隔でステップ移動し、X軸方向に関するステージの位置を計測するためにY軸方向に所定間隔隔てた2つの測長軸WXM,WXBを有する第1レーザ干渉計26X1を用い、ステップ移動位置(図2のP1〜PM)毎に、少なくともX軸方向に関する位置が異なる複数点で第1レーザ干渉計26X1の各測長軸位置での測定データを求める。そして、ステップ移動位置毎に、複数点における第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値を算出することで、反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を計測する。そして、この形状誤差に基づいて、反射面の形状を求める。
【選択図】図2
Description
本発明は、計測方法及びパターン形成方法に係り、更に詳しくは所定の平面内を移動可能な移動体上又は該移動体に対向して設けられた反射面の表面形状を計測する計測方法及び該計測方法を用いたパターン形成方法に関する。
従来、例えば、超大規模集積回路(VLSI:Very Large Scale Integrated circuit )のパターンの形成に用いられる各種露光装置(ステッパ等)、転写マスクの描画装置、マスクパターンの位置座標測定装置、あるいはその他の位置決め装置では、対象物を保持して直交する2軸(X軸,Y軸)方向に精密に移動するXYステージが用いられている。このXYステージの座標位置の計測には、通常、波長633nmで連続発振するHe−Neの周波数安定化レーザを光源とした光波干渉計(レーザ干渉計)が使われている。
レーザ干渉計は、その性質上、一次元の計測しかできないため、2次元の座標計測、例えばXY座標の計測を行う場合にはレーザ干渉計を2つ用意する必要がある。そして、XYステージに設けられた互いに直交する2つの反射面それぞれに対して2つのレーザ干渉計から垂直に測長ビームを照射し、各反射面の測長ビームの方向の基準点からの距離の変化を計測することで、XYステージの2次元の座標位置が求められる。
通常、XYステージに固定されたX軸方向、Y軸方向にそれぞれ延びる平面鏡(移動鏡とも呼ばれる)の反射面が上記の反射面として用いられる。これらの平面鏡は、ウエハステージの必要移動ストロークに対応して、X軸方向及びY軸方向に長さが必要であり、ウエハステージの位置計測に用いられるものであることから、極めて高い平面度が要求される。
しかるに、上記の平面鏡の反射面の平坦度を良好に確保するためには、精度の高い表面加工(鏡面加工)が必要不可欠であり、製作コストが非常に高くなっていた。また、仮に、平坦度の良好な平面鏡を製作しても、これをXYステージに固定するときに歪みが発生したり、固定後の経時変化により歪みが発生したりすることがあった。さらに、露光装置に要求される露光精度が高くなるにつれ、従来問題とならなかった程度の反射面の表面形状の凹凸が無視できなくなり、近年の露光装置に要求される重ね合わせ精度、アライメント精度などを考慮した場合に、その要求精度を満足するレベルの平坦度を有する平面鏡を製作することは極めて困難となっていた。
そこで、平面鏡の反射面の形状を計測し、その計測結果を用いて平面鏡の反射面形状に起因するレーザ干渉計の計測誤差を補正しようとの観点から、出願人は、4軸干渉計によって移動鏡の局所的な傾きを測定し、それを積算して移動鏡の反射面の形状を求める方法を先に提案した(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載される方法などでは、XYステージを一方向に所定間隔でステップ移動して移動位置(計測ポイント)毎に、反射面の表面形状を算出するためのデータを得るという計測方法を採用していたことから、計測再現性を十分に確保できず、結果的に反射面の一端部近傍において、計測誤差が相当大きくなる場合があることが判明した。半導体素子等の実用最小線幅は、ムーアの法則に従い次第に小さくなるので、この反射面の表面形状の計測における誤差は、今や無視できなくなっている。
発明者らは、半導体露光装置のウエハステージに固定された移動鏡の反射面の表面形状を、従来の手法で繰り返し計測し、計測により得られた計測データを分析した。その結果、表面形状の計測の際に得られるデータには、干渉計の測長ビームの波長λに応じた周期的な誤差が生じ、この周期的な誤差が、計測再現性を悪化させる一要因であることが判明した。
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、所定の平面内を移動可能な移動体上又は該移動体に対向して設けられた反射面の表面形状を計測する計測方法であって、前記移動体を前記反射面の延設方向にほぼ一致する第1軸方向に沿って所定ステップ間隔でステップ移動し、前記平面内の前記第1軸方向に直交する第2軸方向に関する前記移動体の位置を計測するために前記第1軸方向に所定間隔隔てた2つの測長軸を有する第1レーザ干渉計を用い、前記ステップ移動位置毎に、少なくとも前記第2軸方向に関する位置が異なる複数点で前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データを求める第1工程と;前記ステップ移動位置毎に、前記複数点における前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値を算出することで、前記反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を計測する第2工程と;計測された離散的な形状誤差のデータに基づいて、前記反射面の形状を求める第3工程と;を含む計測方法である。
これによれば、移動体を反射面の延設方向にほぼ一致する第1軸方向に沿って所定ステップ間隔でステップ移動し、第1軸方向に直交する第2軸方向に関する移動体の位置を計測するために第1軸方向に所定間隔隔てた2つの測長軸を有する第1レーザ干渉計を用い、ステップ移動位置毎に、少なくとも第2軸方向に関する位置が異なる複数点で第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データを求める。そして、ステップ移動位置毎に、複数点における第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値を算出することで、反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を計測する。すなわち、各ステップ位置におけるデータとして、第2軸方向に関する位置が異なる複数点における第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値が用いられるので、各ステップ位置におけるデータは、平均化効果により、前述の周期誤差が低減された高精度なデータとなり、このデータを用いて算出される反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差は精度の高い形状誤差となる。そして、この精度の高い形状誤差に基づいて、反射面の形状を求めるので、結果的に反射面の表面形状を高精度に求めることが可能になる。この場合、表面形状を求めるために、移動体の位置計測に用いられる、第1レーザ干渉計を用いることが出来るので、その表面形状を求めるための専用の工具などは不要である。
本発明は、第2の観点からすると、本発明の計測方法を用いて前記反射面の形状を計測する工程と;前記計測された反射面の形状と、前記反射面を用いて前記移動体の位置を計測する干渉計システムの計測結果とに基づいて前記移動体を移動して、前記移動体上に載置された物体にパターンを形成する工程と;を含むパターン形成方法である。
これによれば、移動体上に載置された物体にパターンを形成する際に、本発明の計測方法を用いて精度良く計測された反射面の形状(データ)と、干渉計システムの計測結果とに基づいて移動体が移動されるので、その移動の際に、反射面の形状誤差を補正しつつ干渉計システムの計測結果に基づいて移動体を移動させることが可能になり、これにより、物体上に精度良くパターンを形成することが可能になる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1には、本発明の計測方法及びパターン形成方法を実施するのに好適な一実施形態に係る露光装置100の概略的な構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))である。
この露光装置100は、照明系IOP、レチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターンの像を感光剤(レジスト)が塗布されたウエハW上に投影する投影ユニットPU、ウエハWを保持してXY平面内を移動するウエハステージWST、ウエハステージWSTを駆動する駆動系22、及びこれらの制御系等を備えている。制御系は装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などを含む主制御装置28を中心として構成されている。
照明系IOPは、例えばArFエキシマレーザ(出力波長193nm)(又はKrFエキシマレーザ(出力波長248nm)など)から成る光源、及び該光源に送光光学系を介して接続された照明光学系を含む。照明光学系としては、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開第2003/0025890号明細書)などに開示されるように、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含み、光源から射出されたレーザビームを整形し、この整形されたレーザビーム(以下、照明光ともいう)ILにより、レチクルR上でX軸方向(図1における紙面直交方向)に細長く伸びるスリット状の照明領域をほぼ均一な照度で照明する。
レチクルステージRSTは、照明系IOPの図1における下方に配置されている。レチクルステージRST上にレチクルRが載置されている。レチクルRは、不図示のバキュームチャック等を介してレチクルステージRSTに吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルステージ駆動系によって、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面内左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査される。レチクルステージRSTの位置情報は、その端部に固定された移動鏡12を介して外部のレーザ干渉計14によって計測され、このレーザ干渉計14の計測値が主制御装置28に供給されている。なお、移動鏡12に代えて、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡12の反射面に相当)を形成しても良い。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を含む投影光学系PLとを含む。投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセントリックな縮小系であって、光軸AXpと平行な方向(Z軸方向)に配列された複数枚のレンズエレメント(図示省略)を含む屈折光学系が用いられている。
投影光学系PLの投影倍率は、一例として1/4とされている。このため、前述の如く照明光ILによりレチクルRが均一な照度で照明されると、その照明領域内のレチクルRのパターンが投影光学系PLにより縮小されて、レジストが塗布されたウエハW上に投影され、ウエハW上の被露光領域(ショット領域)の一部にパターンの縮小像が形成される。このとき、投影光学系PLはその視野内の一部(すなわち、露光エリアであって、投影光学系PLに関して照明領域と共役な矩形領域)にその縮小像を形成する。
ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含む駆動系22によって、X軸方向、Y軸方向に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向、X軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)、及びZ軸回りの回転方向(θz方向)に微小駆動される。ウエハステージWST上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等によって保持されている。ウエハステージWSTの上面には、移動鏡24が設けられており、移動鏡24にレーザ干渉計システム(以下、「干渉計システム」と略述する)26からのレーザビーム(測長ビーム)が投射され、その移動鏡24からの反射光に基づいてウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(回転情報(ヨーイング量(θz方向の回転量θz)、ピッチング量(θx方向の回転量θx)、ローリング量(θy方向の回転量θy))を含む)が計測される。なお、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡24の反射面に相当)を形成しても良い。また、ウエハステージWSTに代えて、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に移動する第1ステージと、該第1ステージ上でZ軸方向、θx方向及びθy方向に微動する第2ステージとを備える、ステージを用いても良い。なお、干渉計システム26の構成、作用等については後述する。
干渉計システム26の計測値は主制御装置28に供給され、主制御装置28は干渉計システム26の計測値に基づいて駆動系22を介してウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)を制御する。
また、ウエハW表面のZ軸方向の位置及び傾斜量は、例えば特開平6−283403号公報等に開示される送光系50a及び受光系50bを有する斜入射方式の多点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサAFSによって計測される。このフォーカスセンサAFSの計測値も主制御装置28に供給されている。
また、ウエハステージWST上には、その表面がウエハWの表面と同じ高さになるような基準板FPが固定されている。この基準板FPの表面には、アライメント検出系ASのいわゆるベースライン計測等に用いられる基準マークなどが形成されている。
投影ユニットPUの鏡筒40の側面に、ウエハWに形成されたアライメントマーク及び上記基準マークを検出するアライメント検出系ASが設けられている。このアライメント検出系ASとしては、一例としてハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測する画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。
アライメント検出系ASの検出信号DSは、アライメント制御装置16に供給され、アライメント制御装置16は、その検出信号DSをA/D変換し、このデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置を検出する。この結果は、アライメント制御装置16から主制御装置28に供給される。
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、例えば特開平7−176468号公報等に開示される、露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系が設けられ、該レチクルアライメント検出系の検出信号は、アライメント制御装置16を介して主制御装置28に供給される。
図2には、ウエハステージWSTとともに、干渉計システム26を構成する各干渉計ユニットが、平面図にて示されている。図2に示されるように、ウエハステージWSTの−X側端部には、Y軸方向に延びる反射面24Xaを有するX移動鏡24Xが固定されている。また、ウエハステージWSTの−Y側の端部には、X軸方向に延びる反射面24Yaを有するY移動鏡24Yが固定されている。
反射面24Xaには、X干渉計ユニット(以下、適宜、干渉計ユニットとも記述する)26X1から、X軸に平行な一対の測長ビームWXM,WXBを含む複数の測長ビームWXが垂直に投射されている。また、移動鏡24Xの反射面には、X干渉計ユニット26X2から、X軸に平行な測長ビームWXFを含む複数の測長ビームが垂直に投射されている。
一方、反射面24Yaには、Y干渉計ユニット(以下、適宜、干渉計ユニットとも記述する)26Yから、Y軸に平行な一対の測長ビームWYR,WYLを含む複数の測長ビームWYが垂直に投射されている。
このように、X移動鏡24XとY移動鏡24Yとが設けられ、これに対応してX干渉計ユニット26X1,26X2及びY干渉計ユニット26Yが設けられているが、図1では、これらが代表的に、移動鏡24、干渉計システム26としてそれぞれ示されている。
測長ビームWXM、WXBは、同一のXY平面上で、投影光学系PLの光軸(AXp)を通るX軸に平行な直線OIXから、それぞれ−Y方向、+Y方向に同一距離(ΔY/2)離れて平行に投射されている。
また、測長ビームWXFは、測長ビームWXM、WXBと同一のXY平面上で、アライメント検出系ASの検出中心を通るX軸に平行な直線に沿って投射されている。
一方、測長ビームWYL,WYRは、測長ビームWXM、WXBなどと同一のXY平面上で、投影光学系PLの光軸(AXp)及びアライメント検出系ASの検出中心を通るY軸に平行な直線OIYから、それぞれ−X方向、+X方向に同一距離(ΔX/2)離れて平行に投射されている。
ここで、直線OIXと直線OIYは、互いに直交するとともに、投影光学系PLの光軸AXpとも直交する。
本実施形態では、主制御装置28が、干渉計ユニット26Yの測長ビームWYR、WYLによる計測値の平均値を算出することで、ウエハステージWSTのY軸方向に関する位置情報を求める。すなわち、干渉計ユニット26Yの実質的な測定軸は、直線OIYに一致する。以下では、適宜、測定軸OIYとも呼ぶ。本実施形態では、干渉計ユニット26X1、26X2、26Yは、それぞれの内部の固定鏡(参照鏡)を基準として、反射面24Xa又は24Yaの各測長ビームの照射点におけるX軸方向又はY軸方向の位置を検出している。従って、干渉計ユニット26Yの測長ビームWYR、WYLによる計測値は、測長ビームWYR,WYLの干渉計ユニット26Yから反射面24Yaまでの長さ(LYR、LYLとする)と等価である。
また、主制御装置28は、露光時(パターンの形成時)などには、干渉計ユニット26X1の測長ビームWXB,WXMによる計測値、すなわち測長ビームWXB,WXMの干渉計ユニット26X1から反射面24Xaまでの長さ(LXB、LXMとする)の平均値を算出することで、ウエハステージWSTのX軸方向に関する位置情報を求める。すなわち、干渉計ユニット26X1の実質的な測定軸は、直線OIXに一致する。以下では、適宜測定軸OIXとも呼ぶ。
また、主制御装置28は、ウエハアライメント時などには、干渉計ユニット26X2の測長ビームWXFによる計測値、すなわち測長ビームWXFの干渉計ユニット26X2から反射面24Xaまでの長さ(LXFとする)に基づいて、ウエハステージWSTのX軸方向に関する位置情報を求める。
従って、主制御装置28は、露光時、ウエハアライメント時のいずれにおいても、ウエハステージWSTのX軸方向及びY軸方向に関する位置情報を、アッベ誤差なく、精度良く求めることができる。
また、主制御装置28は、tan-1[(LXM−LXB)/ΔY]を算出することで、移動鏡24XのZ軸回りの回転量θzXを求めることができる。同様に、主制御装置28は、tan-1[(LYR−LYL)/ΔX]を算出することで、移動鏡24YのZ軸回りの回転量θzYが求めることができる。ここで、2つの回転量は互いに等しく(θzX=θzY)、ウエハステージWSTのヨーイング量(回転量θz)を代表する。
次に、本実施形態における、移動鏡の反射面の表面形状の計測方法について説明するが、これに先立って、干渉計システム26を構成する各干渉計ユニットの計測原理について説明する。本実施形態では、各干渉計ユニットとして、ヘテロダイン方式のマイケルソン干渉計が用いられている。ここでは、干渉計ユニット26X1を採りあげて説明を行うものとする。
図3には、干渉計ユニット26X1の構成が、簡略化して示されている。図3は、干渉計ユニット26X1を−Y方向から見た図である。
干渉計ユニット26X1は、光源(不図示)、この光源から射出されるレーザビームLB1(LB2)の光路上に配置された偏光ビームスプリッタ30、偏光ビームスプリッタ30の移動鏡24X側(+X側)及び上方(+Z側)にそれぞれ配置された1/4波長板(以下「λ/4板」と呼ぶ)32A及び32B、ビームスプリッタ30の下方(−Z側)に配置されたコーナーキューブ34、λ/4板32Bの上方(+Z側)に配置された参照鏡(固定鏡)36、並びにビームスプリッタ30の−X側に配置されたレシーバ38等を含む。図3では、説明の便宜上から上記各部材が物理的に分離して図示されているが、実際には、光源及びレシーバ38を除く各部材は、一体化され、1つの光学ユニットを構成している。
光源としては、例えばゼーマン効果を利用した2周波レーザ(He−Neガスレーザ)が用いられている。この光源は、周波数安定化されたもので、ゼーマン効果を用いて2〜3MHzだけ振動数が異なり(従って波長が異なり)、かつ、偏光方向が互いに直交する2つの偏向成分を含むガウス分布の円形ビームから成るレーザビームを出力する。
光源から出力されたレーザビームは、不図示のビームスプリッタにより、分岐され、図3に示されるレーザビームLB1と、該レーザビームLB1の紙面奥側の平行な光路を通るレーザビームLB2とに分岐される。
レーザビームLB1(LB2)は、図3に示されるように、光学ユニットを構成する偏光ビームスプリッタ30に−X側から+X側に向かって入射する。そして、この偏光ビームスプリッタ30に入射したレーザビームLB1(LB2)は、その内部の多層膜等からなる分離面(以下、単に「分離面」と記述する)を透過して第1測定パスを+X方向にそのまま進行するP偏光成分から成る測長ビームWXM(WXB)と、上記分離面で反射され第1参照パスを−Z方向から+Z方向に進行するS偏光成分から成る参照ビームWXr1(WXr2)に分離される。
そして、第1測定パスを−X側から+X側に進行中の測長ビームは、λ/4板32Aを透過して円偏光に変換され、移動鏡24Xの反射面24Xaに至る。反射面24Xaで反射された測長ビームは、前とは逆向きの円偏光となって、第1測定パスを+X側から−X側に進行してλ/4板32Aを再度透過して、入射時とは90°偏光方向が異なる直線偏光(S偏光)となって、偏光ビームスプリッタ30に戻る。そして、この測長ビームは、偏光ビームスプリッタ30の分離面で反射されてその進行方向が−Z側に折り曲げられ、コーナーキューブ34の反射面で順次反射されて反対方向に折り返される。そして、この折り返された測長ビームは、−Z方向から+Z方向に向かって進んで偏光ビームスプリッタ30に再度入射し、分離面で反射されてその進行方向が+X方向に折り曲げられ、前述の第1測定パスより所定距離下方に位置する第2測定パスを−X側から+X側に進行してλ/4板32Aを透過して円偏光に変換され、移動鏡24Xの反射面に至る。この反射面で反射された測長ビームは、前とは逆向きの円偏光となって、第2測定パスを+X側から−X側に進行してλ/4板32Aを再度透過して、先にλ/4板32Aを−X方向から+X方向に透過した時とは90°偏光方向が異なる直線偏光(P偏光)となって、偏光ビームスプリッタ30に戻る。そして、この測長ビーム(P偏光)は、第2測定パスと同軸の戻り光路に沿ってレシーバ38に入射する。
この一方、上述の如く、第1参照パスを−Z方向から+Z方向に進行している参照ビーム(S偏光成分)は、λ/4板32Bを透過して円偏光となり、参照鏡36の反射面で反射されてλ/4板32Bを前と逆向きに再度透過し、先にλ/4板32Bを−Z方向から+Z方向に透過した入射時とは偏光方向が90°異なる直線偏光(P偏光成分)となって第1参照パスに沿って進行し、偏光ビームスプリッタ30の分離面を透過して、コーナーキューブ34の反射面で順次反射されて反対方向に折り返される。そして、この折り返された参照ビームは、−Z方向から+Z方向に向かって進んで偏光ビームスプリッタ30の分離面を再度透過し、第1参照パスより所定距離−X側の第2参照パスに沿って−Z方向から+Z方向に向かって進み、λ/4板32Bを透過する。そして、このλ/4板32Bを透過した参照ビームは、円偏光となって参照鏡36の反射面で反射されてλ/4板32Bを前と逆向きに再度透過し、先に第2参照パスに沿ってλ/4板32Bを−Z方向から+Z方向に透過したときとは偏光方向が90°異なる直線偏光(S偏光成分)となって第2参照パスを前と逆向きに進んで偏光ビームスプリッタ30の分離面で反射され、前述の測長ビームの戻り光(P偏光)と同軸に合成されて、前述の戻り光路に沿ってレシーバ38入射する。
このようにしてレシーバ38に入射した測長ビームWXM(WXB)と対応する参照ビームWXr1(WXr2)の合成光束は、レシーバ38内の各検出ユニットの検光子を通過する。これにより、各検光子から測長ビームWXM(WXB)と参照ビームWXr1(WXr2)との干渉光が出力され、該干渉光が光電変換素子で受光され、干渉光に応じた干渉信号が不図示の信号処理系に送られる。信号処理系は、各検出ユニットの光電変換素子からの干渉信号に基づいて、測長ビームの位相が参照ビームの位相に対してドップラーシフトし、位相変化が生じることを利用して、その位相変化で生じた干渉信号の変化をヘテロダイン検出し、その干渉信号の変化から、測長ビームWXM、WXBがそれぞれ照射された移動鏡24Xの反射面上の点における、基準位置(参照鏡36によって規定される)からの移動鏡24Xの反射面のX軸方向の位置情報(X位置情報)をそれぞれ算出する。そして、信号処理系は、その算出結果の情報を主制御装置28に供給する。
本実施形態の干渉計ユニット26X1では、上述したヘテロダイン検出が行われるが、簡単のため、ここでは測長ビームと参照ビームの周波数ω(及び波長λ)は等しいとして、干渉計ユニット26X1による測長原理を説明する。ここで、参照ビームと測長ビームともに正弦波で、それぞれの振幅をA,B、参照ビームを基準とする測長ビームの位相シフト(位相差)をδとする。レシーバ38内の受光位置における参照ビームと測長ビームを、次のfr(t)とfs(t)で表すことができる。
fr(t)=Asin(ωt)
fs(t)=Bsin(ωt+δ)
重ね合わせの原理に従いfrとfsを合成すると、レシーバ38が受光する干渉光を表すf(t)が得られる。
fs(t)=Bsin(ωt+δ)
重ね合わせの原理に従いfrとfsを合成すると、レシーバ38が受光する干渉光を表すf(t)が得られる。
f(t)=fr(t)+fs(t)=Csin(ωt+Δ) …(1)
C=√(A2+B2+2ABcosδ)
Δ=tan-1[Asinδ/(A+Bcosδ)]
光の強度は振幅の絶対値の自乗に比例するので、干渉光の強度は次式で表される。
C=√(A2+B2+2ABcosδ)
Δ=tan-1[Asinδ/(A+Bcosδ)]
光の強度は振幅の絶対値の自乗に比例するので、干渉光の強度は次式で表される。
I∝A2+B2+2ABcosδ …(2)
ここで、位相シフトδは、測長ビームと参照ビームの光路長の差ΔLより、δ=2πΔL/λと定まる。従って、(2)式で表される干渉光の強度は、光路長の差が零からΔLに延びるに随い、波長λの周期でΔL/λ回、強弱を繰り返す。そこで、干渉光の強度の強弱の回数mを数えれば、測長ビームと参照ビームの光路長の差ΔLがmλより求まる。図3のダブルパス方式の干渉計ユニットの場合、測長ビームは干渉計ユニットと移動鏡24Xの間を2往復するので、移動鏡までの距離はΔL/4=mλ/4と算出される。なお、本実施形態で採用しているヘテロダイン方式の干渉計の場合、測長ビームと参照ビームとで波長がわずかに異なるため、干渉光の強度は(2)式より複雑な関数で表現されるが、計測原理は上述と同様である。
ここで、位相シフトδは、測長ビームと参照ビームの光路長の差ΔLより、δ=2πΔL/λと定まる。従って、(2)式で表される干渉光の強度は、光路長の差が零からΔLに延びるに随い、波長λの周期でΔL/λ回、強弱を繰り返す。そこで、干渉光の強度の強弱の回数mを数えれば、測長ビームと参照ビームの光路長の差ΔLがmλより求まる。図3のダブルパス方式の干渉計ユニットの場合、測長ビームは干渉計ユニットと移動鏡24Xの間を2往復するので、移動鏡までの距離はΔL/4=mλ/4と算出される。なお、本実施形態で採用しているヘテロダイン方式の干渉計の場合、測長ビームと参照ビームとで波長がわずかに異なるため、干渉光の強度は(2)式より複雑な関数で表現されるが、計測原理は上述と同様である。
干渉計ユニット26Yは、上述の干渉計ユニット26X1と同様に構成され、同じ原理に従って、各測長ビームWYR、WYLなどがそれぞれ照射された反射面24Ya上の点における、基準位置(参照鏡によって規定される)からの反射面24YaのY軸方向の位置情報(Y位置情報)をそれぞれ計測する。
また、干渉計ユニット26X2は、干渉計ユニット26X1と同様に構成され、同じ原理に従って、各測長ビームWXFなどが照射された反射面24Xa上の点における、基準位置からの反射面24XaのX位置情報を計測する。
次に、上述の干渉計システム26を用いた移動鏡の表面形状(曲がり形状)の計測方法について説明する。移動鏡の表面形状の計測には、Y軸方向又はX軸方向に所定間隔で平行な一対の測長ビームを対応する移動鏡に照射する、干渉計ユニット26X1、又は26Yが用いられる。ここでは、一例として、移動鏡24Xの表面形状(曲がり形状)の計測を取り上げる。
移動鏡の曲がり形状の計測に先立って、ウエハステージWSTは、理想状態、すなわちX移動鏡24Xが測定軸OIXに直交し、かつY移動鏡24Yが測定軸OIYに直交する状態にセットされているものとする。
この状態で、主制御装置28は、図2に示されるように、複数の計測基準点Pi(i=1〜M)(図2中に●で示される)を、隣り合う計測基準点の距離が測長ビームWXM,WXBの間隔ΔYに等しくなるように、測定軸OIYと平行なウエハステージWST上の平行線上に定める。
次に、主制御装置28は、測定軸OIXと測定軸OIYの交点OI(光軸AXp)に、各計測基準点が順次位置するように、ウエハステージWSTをY軸方向に距離ΔYずつステップ移動させる。このとき、主制御装置28は、干渉計ユニット26Yを用いて、測長ビームWYL,WYRの反射面24Yaまでの長さの差が一定値を保つように駆動系22を介してウエハステージWSTをその姿勢を制御しつつY軸に平行に移動させる。
これに加え、主制御装置28は、一例として、図4に示されるように、ウエハステージWST上に設定された各計測基準点Piを通り、かつX軸に対して所定角度α(α=tan-1(δY/δX))を成す、直線LL上にX軸方向の間隔がδXとなる(従って、Y軸方向の間隔がδYとなる)8点の計測点Qij(j=1〜8)を仮定し、この8点の計測点の各々を、交点OIに順次位置決めし、各位置決め位置毎に、干渉計ユニット26Yの測定データ(LYR、LYL)及び干渉計ユニット26X1の測定データ(LXB、LXM)を取り込み、メモリに記憶する。ここで、δY=δX=λ/16と設定すると、角度α=45°となり、δY=δX≒40nmとなる。この場合、測長ビームのビーム径は約5mmであるから、40nmのずれ、及び40nm×8=320nmのずれは、無視できる。
そして、主制御装置28は、計測基準点Pi毎に、測定データ(計測値)LYR、LYL、LXB、LXMのそれぞれについて、8点の平均値を求め、その平均値を、各計測基準点Piにおける測定データLYRi、LYLi、LXBi、LXMiとする。
そして、主制御装置28は、次の(3)式に基づいて、移動鏡24Xの隣接する2つの測定点間における、曲がり変化量ΔLXiを算出する。
ΔLXi=(LXMi―LXBi)−(LYRi―LYLi) …(3)
そして、主制御装置28は、得られた計測値より、移動鏡24Xの曲がり形状ΔXnを次の(4)式に基づいて求める。
そして、主制御装置28は、得られた計測値より、移動鏡24Xの曲がり形状ΔXnを次の(4)式に基づいて求める。
このようにして、本実施形態では、計測値ΔLXiの積算より移動鏡24Xの曲がり形状ΔXnが求められ、しかも干渉計計測値に含まれる周期誤差の影響も殆ど受けることが無い。
以下、本実施形態の計測方法について、周期誤差を軽減できる理由を含めて、さらに詳述する。
図6(A)及び図6(B)には、移動鏡の曲がり形状の計測原理を説明するための図が示されている。このうち、図6(A)には、上記のウエハステージWSTのステップ移動により、i番目の計測基準点(Pi)が測長軸OIX,OIYの交点OI(光軸AXp)に位置決めされたとき(このとき、ウエハステージWSTにヨーイングは発生しない(θz=0)ものとする)に得られる、測長ビームWXB、WXMによる計測値(測定データ)LXBi、LXMiを用いて、次の(5)式に基づいて算出される隣接する測定点間における移動鏡24Xの曲がり形状データΔLXiが示されている。なお、図6(A)は、n番目の計測基準点Pnが交点(光軸AXp)に位置決めされた状態を示す。
ΔLXi=LXMi―LXBi …(5)
図6(B)は、得られた計測値を用いて、前述の(4)式に基づいて求められる、移動鏡24Xの曲がり形状ΔXi=ΔX(Yi)を示す。ただし、Yi=iΔYである。
図6(B)は、得られた計測値を用いて、前述の(4)式に基づいて求められる、移動鏡24Xの曲がり形状ΔXi=ΔX(Yi)を示す。ただし、Yi=iΔYである。
ただし、実際には、計測中にウエハステージWSTには、ヨーイングが発生する。そこで、干渉計システム26Yを用いて、測長ビームWYL,WYRの反射面24Yaまでの長さLYLi,LYRiも同時に計測し、(5)式の右辺にウエハステージWSTの回転(ヨーイング)成分の補正を加えた前述の(3)式により、移動鏡24Xの隣接する2つの測定点間における、曲がり変化量ΔLXiを求め、この変化量ΔLXiを用いて、前述の(4)式の演算を行うことで、ヨーイングの影響を排除することが可能になる。
上述の方法では、(4)式に従って、計測値ΔLXiの積算より移動鏡の曲がり形状ΔXnを、ウエハステージWSTのヨーイングの影響を受けることなく、求めることができる。
しかるに、各測長ビームによる計測値に誤差、例えば周期性の誤差などが存在すると、(4)式の総和によって誤差も積算される結果、計測再現性が低下してしまう。
実際、各干渉計ユニット内で迷光が発生し、それが測長ビーム及び参照ビームとともにレシーバ38によって受光されることにより、計測値(測定データ)LXM,LXB,LYR,LYLに周期性の誤差成分が含まれてしまう可能性がある。ここで、レシーバ38が受光する干渉光は、参照ビームfr(t)と測長ビームfs(t)に加え、複数の迷光fk(t)を含めた次式によって表される。
f(t)=fr(t)+fs(t)+Σkfk(t) …(6)
迷光fk(t)は、振幅をak、位相をδkと表記することにより、次の一般形で表すことができる。
迷光fk(t)は、振幅をak、位相をδkと表記することにより、次の一般形で表すことができる。
fk(t)=aksin(ωt+δk)
従って、レシーバ38が受光する干渉光の強度は、次式で表される。
従って、レシーバ38が受光する干渉光の強度は、次式で表される。
I’∝C2+2CΣkakcos(δk) …(7)
ただし、|C|≫|ak|を仮定した。また、位相δkは一般形δk=2πΔLk/λ+δk0で表す。ここで、δk0は定数である。迷光fk(t)に対する光路差ΔLkは、その発生場所によって決まる。発生場所は、干渉計ユニット内の光源や光学素子など複数考えられるが、いずれのケースにおいても、干渉計ユニットと反射面の間を少なくとも1往復するので、ΔLk=2xkと与えることができる。ただし、xは測長ビームの長さ、次数kは正の整数である。従って、干渉計ユニットの計測値には、周期性誤差が発生しうる。
ただし、|C|≫|ak|を仮定した。また、位相δkは一般形δk=2πΔLk/λ+δk0で表す。ここで、δk0は定数である。迷光fk(t)に対する光路差ΔLkは、その発生場所によって決まる。発生場所は、干渉計ユニット内の光源や光学素子など複数考えられるが、いずれのケースにおいても、干渉計ユニットと反射面の間を少なくとも1往復するので、ΔLk=2xkと与えることができる。ただし、xは測長ビームの長さ、次数kは正の整数である。従って、干渉計ユニットの計測値には、周期性誤差が発生しうる。
図5には、干渉計ユニットの干渉光の光量(強度)の計測データの一例が示されている。図5の横軸は測長ビームの長さの変化量Xを波長λで除した値(X/λ)である。干渉光の光量は、理論上、λ/4周期で強弱を繰り返す。しかし、図5の計測データの波形は、理想的な正弦波から大きく歪んでいることが確認できる。この計測データより、λ/2、λ/4、λ/8周期の誤差波形が重なっていることが予想される。そこで、次のフィッティング公式を用いて計測データを解析すると、図5中に実線で表したように、計測データを首尾よく再現することができる。
Ifit(x)=Σk=1,2,4bksin[2πx/(λ/2k)+δk0]
ここで、残差は小さく、その周期性はほとんど確認できない。これにより、図5の計測データには、それぞれλ/2,λ/4,λ/8周期の1,2,4次の誤差成分が正弦的に現れていることがわかる。
ここで、残差は小さく、その周期性はほとんど確認できない。これにより、図5の計測データには、それぞれλ/2,λ/4,λ/8周期の1,2,4次の誤差成分が正弦的に現れていることがわかる。
上述のような周期誤差成分を除去するには、図7(A)に示されるように、計測基準点Pの近傍で、半周期の距離を隔てた2点Q1、Q2について計測を行い、それらの平均値を計測基準点Pにおける計測値とすれば良い。2点Q1、Q2での周期誤差成分の振幅は、絶対値が等しく逆符号であるため、平均をとることによって相殺することができる。もちろん、図7(B)に示されるように、2つの計測点(例えばQ'1、Q’2)の中心を基準点Pからシフトすることも可能である。また、2点に限らず4点Q’1、Q’2、Q”1、Q”2、あるいはそれ以上の偶数点を定めることも可能である。
上述のように、誤差成分の周期性を利用して平均化計測を行うことにより、干渉計の計測再現性を改善することができる。
ここで、図5の計測データの解析において現れた1,2,4次の周期誤差成分の除去を考える。計測基準点近傍で半周期の距離、すなわち1,2,4次成分に対しそれぞれ距離λ/4,λ/8,λ/16隔てて2つの計測点を定めればよい。ただし、3つの成分すべてを除去するには、1つの計測点に対し、距離λ/4,λ/8,λ/16隔てた位置に別の計測点が定められていなければならない。この条件を満たすために、図7(C)に示されるように、計測基準点Pi近傍で、隣り合う計測点の距離がδx=λ/16となる8点(図7(C)中に◆で示される点)を計測点として定める。そして、定められた8点において計測を行い、8つの計測値の平均を取ることによって、3つの周期誤差成分が除去される。その平均値には、図5中の残差のように、周期性のほとんどない微小誤差が含まれるのみである。従って、この平均値を計測基準点Piにおける計測値とすることで、周期誤差を相殺することができる。
なお、図7(C)では、干渉計ユニット26X1を用いた移動鏡24Xの曲がり変化量ΔLXiの計測において、周期誤差成分を除去するために、計測基準点Piの近傍に8つの計測点(◆)をX軸に平行に配列して定めた。しかし、本実施形態では、(3)式において曲がり変化量のウエハテーブル回転成分を補正するため、及びウエハステージWSTのY軸移動を制御するために、Y干渉計ユニット26Yを用いている。そのため、X干渉計ユニット26X1に対してだけでなく、Y干渉計ユニット26Yに対しても、同時に周期誤差成分の補正を行わなければならない。
ここで、干渉計ユニット26X1、26Yの計測値に対する、前述と同様の1,2,4次の周期誤差成分の平均化補正を考える。図4に示されるように、XY平面上で8×8=64の計測点を格子状に定める。ここで、格子点のX並びは測定軸OIXに、Y並びは測定軸OIYに平行で、X軸方向、Y軸方向で隣り合う格子点の間隔がそれぞれδX=λ/16,δY=λ/16となるように、定められている。干渉計ユニット26X1、26Yの計測値の周期誤差補正を行うために、必ずしも全64点において計測を行う必要はない。要は、干渉計ユニット26X1の計測値の周期誤差補正のためにX座標の異なる8計測点、干渉計ユニット26Yの計測値の周期誤差補正のためにY座標の異なる8計測点を選べばよい。そこで、本実施形態では、前述の如く、例えば図4に示されるように測定軸OIX、OIYに対して45°(=tan-1(δY/δX))をなし、各計測基準点Piを通る直線LL上に並ぶ8点Qij(j=1〜8)について計測を行い、全計測値の平均値を求め、この平均値を、各計測基準点Piにおける測定データ(計測値)としたのである。
なお、計測点の設定方法は、図4中の直線LL上に並ぶ8点(◆)に限定されるものではない。要は、干渉計ユニット26X1の計測値の周期誤差補正のためにX座標の異なる少なくとも8以上の計測点、及び干渉計ユニット26Yの計測値の周期誤差補正のためにY座標の異なる少なくとも8以上の計測点を設定すれば良い。従って、例えば図4中に★(星印)で示されるような並びの8点でも、あるいは直線LLに直交する直線上に並ぶ8点でも、直線LL及びこれに直交する直線上の各8点(合計16点)を設定しても良い。
なお、上述の例では、1,2,4次の3つの周期誤差成分を平均化するために、1つの計測基準点に対し、8つの計測点を定めた。しかし、(7)式の下で議論したように、3次や、より高次(≧5)の誤差成分も発生し得る。従って、任意の次数の周期誤差成分を平均化する必要が生じ得る。その場合、平均化したい周期誤差成分の次数をk1,k2,…とすると、各計測基準点近傍に、X軸方向、及びY軸方向の間隔がλ/[4・lcm(k1,k2,…)]となる2・lcm(k1,k2,…)/gcd(k1,k2,…)個の計測点を定めれば良い。ただし、lcm(k1,k2,…)はk1,k2,…の最小公倍数、gcd(k1,k2,…)はk1,k2,…の最大公約数である。例えば、上述の例(k1=1,k2=2,k3=4)にあてはめると、lcm(k1,k2,k3)=4、gcd(k1,k2,k3)=1なので、間隔はλ/16、計測点の数は8と与えられる。また、平均化したい誤差成分がk1=2,k2=4の2つの場合、lcm(k1,k2)=4、gcd(k1,k2)=2なので、間隔はλ/16、計測点の数は4と与えられる。また、平均化したい誤差成分がk1=3,k2=4の2つの場合、lcm(k1,k2)=12、gcd(k1,k2)=1なので、間隔はλ/48、計測点の数は24と与えられる。
また、Y移動鏡24Yの反射面24Yaの表面形状を計測する場合は、上述の場合とXとYが丁度逆になり、上述したX移動鏡24Xの反射面の表面形状を測定する動作と同様に行えるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態では、装置の立ち上げ時に、上述のようにして移動鏡24X,24Yの反射面24Xa,24Yaの表面形状が計測され、その計測データが不図示のメモリ内に格納されている。
本実施形態の露光装置100によると、通常のスキャニング・ステッパと同様に、レチクルアライメント及び前述したアライメント検出系ASのベースライン計測、並びにEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式等のウエハアライメントなどの所定の準備作業の後、レチクル干渉計14及び干渉計システム26(26X1,26Y)の計測値に基づいて、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを移動しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれ、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRの回路パターンが転写される。
そして、ウエハステージWST上のウエハWに対する露光が終了した段階で、不図示のウエハ交換機構によりウエハステージWST上で露光済みのウエハと次の露光対象であるウエハとの交換が行われる。このようにして、ウエハ交換→前述のウエハアライメントなど→ステップ・アンド・スキャン方式の露光が順次繰り返し行われることにより、多数枚のウエハに対する露光処理が行われる。
本実施形態の露光装置100では、所定枚数、例えば1ロット(1ロットは例えば25枚又は50枚など)おきのウエハの交換の度に、すなわち1ロットの最終のウエハに対する露光が終了し、そのウエハと次のロットの先頭のウエハとの交換を行う際に、主制御装置28は、ウエハステージWST上の移動鏡24X、24Yの反射面24Xa、24Yaの表面形状の計測を、前述の手順に従って行い、反射面24Xa、24Yaの表面形状の計測結果を逐次更新する。
そして、あるロットのウエハに対する露光処理動作中は、ウエハアライメント及び露光動作等のウエハステージWSTの移動に際し、主制御装置28は、ウエハステージWSTのX軸方向の位置に応じて、干渉計ユニット26Yの計測値を、そのロットの先頭で計測した(又は更新した)表面形状のデータを用いて補正する。また、主制御装置28は、ウエハステージWSTのY軸方向の位置に応じて、干渉計ユニット26X2又は26X1の計測値を、そのロットの先頭で計測した(又は更新した)表面形状のデータを用いて補正する。
以上詳細に説明したように、本実施形態によると、主制御装置28は、ウエハステージWSTを移動鏡24Xの反射面24aの延設方向にほぼ一致するY軸方向に沿って所定ステップ間隔でステップ移動し、Y軸方向に直交するX軸方向に関するウエハステージWSTの位置を計測するためにY軸方向に所定間隔ΔY隔てた2つの測長軸(測長ビームWXB、WXMの光軸)を有する干渉計ユニット26X1を用い、ステップ移動位置毎に、X軸方向及びY軸方向に関する位置が異なる複数点で干渉計ユニット26X1の各測長軸位置での測定データLXM、LXBを求める。これと同時に、主制御装置28は、ステップ移動位置毎に、上記複数点で干渉計ユニット26Yの各測長軸位置での測定データLYR、LYLを求める。
そして、主制御装置28は、ステップ移動位置毎に、測定データ(計測値)LYR、LYL、LXB、LXMのそれぞれについて、複数点の平均値LYRi、LYLi、LXBi、LXMiを求め、(3)式に基づいて得られる曲がり変化量ΔLXiを算出し、この算出結果に基づいて、(4)式の演算を行うことで、反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を計測する。すなわち、各ステップ位置におけるデータとして、上記複数点における干渉計ユニット26X1、26Yの各測長軸位置での測定データの平均値に基づいて得られる変化量ΔLXiが用いられる。すなわち、各ステップ位置におけるデータは、平均化効果により、前述の周期誤差が低減された高精度なデータであり、このデータを算出することで計測される、反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差は精度の高い形状誤差となる。そして、主制御装置28は、この精度の高い形状誤差に基づいて、反射面の形状を求めるので、結果的に反射面の表面形状を高精度に求めることが可能になる。移動鏡24Yの反射面24Yaの表面形状の計測は、主制御装置28によって、X軸とY軸とを入れ換えて、上記と同様にして行われる。このように、移動鏡の表面形状を求めるために、ウエハステージWSTの位置計測に用いられる、干渉計ユニット26X1、26Yを用いることが出来るので、その表面形状を求めるための専用の工具などは不要である。
また、本実施形態の露光装置100によると、前述の如くして高精度な移動鏡24X、24Yの反射面24Xa、24Yaの表面形状の計測が行われ、その計測された反射面の表面形状と、反射面を用いてウエハステージWSTの位置を計測する干渉計ユニット26X1、26Yの計測結果とに基づいて、ウエハステージWSTの位置を制御しつつ、ウエハステージWST上に載置されたウエハW上の各ショット領域に対してレチクルRのパターンがステップ・アンド・スキャン方式で転写される。従って、理想的な(フラットな)反射面を用いた場合と同様の精度が得られ、ウエハステージWSTの高精度な位置制御が実現される。これにより、ウエハW上で重ね合わせ精度の良好なパターン形成を行うことが可能となり、最終製品であるデバイスの生産性を向上させることが可能となる。
この場合において、露光時のみでなく、それに先立って行われるウエハアライメント時には、上記の反射面の表面形状の計測結果に基づく、干渉計ユニット26X2、26Yの計測結果の補正が行われるので、ウエハアライメント精度の向上も可能である。
また、本実施形態の露光装置100では、主制御装置28により、上記の移動鏡の表面形状の計測が、ロット先頭のウエハ交換の際に行われ、その表面形状の算出結果(計測結果)に基づいて表面形状が逐次更新されるので、長期にわたり、ウエハステージWSTの位置制御性を精度良く保つことができる。
なお、上記実施形態では、移動鏡24Xの反射面24Xaの表面形状の計測に際し、ウエハステージWSTをY軸方向にステップ移動させる際に、ウエハステージWSTにヨーイングが生じるとの前提の下に、前述の(3)式を用いて、移動鏡24Xの隣接する2つの測定点間における、曲がり変化量ΔLXiを算出するものとしたが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、ウエハステージWSTをY軸方向にステップ移動させる際に、ウエハステージWSTにヨーイングが生じない場合には、ステップ位置毎に、X軸方向に関して位置が異なる複数の計測点で測定データLXB、LXMのみを取得し、測定データLXB、LXMのそれぞれについて、複数点の平均値LXBi、LXMiを求め、これらを前述した(5)式に代入することで、移動鏡24Xの隣接する2つの測定点間における、曲がり変化量ΔLXnを算出することとしても良い。あるいは、測定データ(計測値)LXB、LXMの差(LXM−LXB)を求め、この差の複数点の平均値に基づいて、移動鏡24Xの隣接する2つの測定点間における、曲がり変化量を算出することとしても良い。例えば、ウエハステージWSTのX軸方向に関する位置計測を干渉計を用いて行い、Y軸方向に関する位置計測を干渉計に比べて計測の短期安定性に優れるエンコーダを用いて行う場合などには、このような方法を採用しても良い。
また、上記と同様、ウエハステージWSTに生じるヨーイングを考慮する場合であっても、ステップ移動位置毎に、複数点における干渉計ユニット26X1の各測長軸位置での測定データLXM、LXBの差分の平均値と、各測定データに対応する干渉計ユニット26Yの各測長軸における測定データのLYR、LYLの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値から求まるウエハステージWSTのθz方向の変化量成分とに基づいて、反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を算出することとしても良い。あるいは、ステップ移動位置毎に、複数点における干渉計ユニット26X1の各測長軸位置での測定データLXM、LXBの平均値の差分と、各測定データに対応する干渉計ユニット26Yの各測長軸における測定データの差分の平均値から求まるウエハステージWSTの回転方向(θz方向)の変化量成分とに基づいて、反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を算出することとしても良い。従って、前述の(5)式、又は(3)式と同様の演算を、計測値LXB、LXM、LYR、LYRの複数の計測点における平均値を用いて行っても良いし、複数の計測点のそれぞれについて、前述の(5)式、又は(3)式と同様の演算を行い、その演算結果を用いて平均演算を行っても良い。
なお、移動鏡の曲がり形状は、図2に示されるΔY間隔の計測基準点に対する離散データとして得られる。そこで、上記実施形態において、計測基準点を半ピッチずらして同様の曲がり形状計測を行う、すなわち測定軸OIXが隣り合う計測基準点の中心に一致する点での曲がり形状計測を行うこととしても良い。このようにすると、移動鏡の表面形状を求める際の、補間精度の向上を図ることが可能となる。
なお、上記実施形態において、各ステップ位置で、複数点の計測データLXM、LXB(及びLYR、LYL)の平均値を求めるに当たり、その複数の計測点の配列方向(例えば、図4中の直線LLの方向、又は図7(C)のX軸方向)の一側から他側にウエハステージWSTを微小間隔(X軸方向に関する移動距離がδXとなる微小間隔)でステップ移動して、複数点のそれぞれで、干渉計ユニット26X1(及び26Y)の各測長軸位置での測定データ(行きの測定データ)を計測するとともに、その複数の計測点の配列方向の他側から一側にウエハステージWSTを微小間隔でステップ移動して、複数点のそれぞれで、干渉計ユニット26X1(及び26Y)の各測長軸位置での測定データ(帰りの測定データ)を計測し、行きの測定データと帰りの測定データの平均値を、複数点それぞれでの計測データLXM、LXB(及びLYR、LYL)としても良い。
また、上記実施形態において、移動鏡24Xの表面形状を計測するに当たり、Y軸方向の一側から他側へウエハステージWSTをステップ移動しつつ、ステップ移動位置毎に、少なくともX軸方向に関する位置が異なる複数点で干渉計ユニット26X1の各測長軸位置での第1測定データを求めるとともに、Y軸方向の他側から一側へウエハステージWSTをステップ移動しつつ、ステップ移動位置毎に、少なくともX軸方向に関する位置が異なる複数点で干渉計ユニット26X1の各測長軸位置での第2測定データを求める。そして、ステップ移動位置毎に、複数点における干渉計ユニット26X1の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は前記測定データの差分の平均値を算出するに当たり、複数点における第1測定データと第2測定データとの平均値を、対応する各測定データとして用いることとしても良い。このようにすると、移動鏡の曲がり形状を算出する際に行われた前述の積算((4)式)に伴う誤差が全体として平均化される結果として誤差の影響が緩和され、より高精度な反射面の表面形状の算出を行うことが可能となり、反射面の表面形状の計測能力を精度面でさらに向上させることができる。
また、上記実施形態において、移動鏡の表面形状の計測に当たり、干渉計ユニット26X1及び26Yの各測長軸の測定データの取得のみを先に行い、これらのデータを用いた各種演算は、測定データの取得後にまとめて行っても良いし、あるいは、測定データの取得の都度、可能な演算を行うようにしても良い。
また、上記実施形態では、前ロットの最終ウエハの露光終了後、次ロットの先頭のウエハに交換する際に、移動鏡の反射面の表面形状の計測を行うこととしたが、これに限らず、ロットの途中のウエハ交換の際に、あるいは定期的に移動鏡の反射面の表面形状の計測を行うこととしても良い。
なお、上記実施形態では、ウエハステージWST上に移動鏡が設けられた場合について、説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、移動鏡の反射面に代えて、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して、反射面を形成しても良い。この場合であっても、反射面の表面形状を完全に平坦に加工するのが難しい場合には、上記実施形態で説明した反射面の表面形状の計測方法を採用することが精度の面から好ましい。
なお、レーザ干渉計システムには、ビームスプリッタを含む光学部材をステージ等の移動体に取り付け、そのビームスプリッタで分離された測長ビームを、移動体に対向して配置された固定のミラーの反射面に垂直に照射し、該反射面からの測長ビームの戻り光と、ビームスプリッタで分離され、参照鏡(固定鏡)で反射された参照ビームの戻り光との干渉光をディテクタで受光することで、所定の計測方向に関する移動体の位置を計測するタイプもあるが、かかるタイプのレーザ干渉計システムであっても、同様に、ミラーの反射面の表面形状を、本発明の計測方法を用いることで、正確に計測することが可能である。
また、上記実施形態では、ウエハステージWSTの移動鏡の反射面の表面形状の計測に本発明の計測方法を採用した場合について説明したが、レチクルステージの計測に、ウエハステージWST側と同様の計測装置を用いる場合には、レチクルステージの移動鏡の反射面の計測に本発明の計測方法を採用することが可能である。
なお、上記実施形態ではウエハステージを1つのみ有するシングルステージタイプの露光装置について説明したが、これに限らず、例えば、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報及びこれらに対応する米国特許6,400,441号明細書と、特表2000−505958号公報及びこれに対応する米国特許5,969,441号明細書及び米国特許6,262,796号明細書に記載されているツインステージ型の露光装置に、本発明の計測方法及びパターン形成方法を適用することもできる。
また、本発明は、特開平11−135400号に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の計測部材やセンサを有する計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
また、上記実施形態では、ウエハステージWSTが互いに直交する2つの反射面を備えているものとしたが、これに限らず、反射面を1つ又は3つ以上備えることとしても良い。例えば、ウエハテーブルに3つの反射面をコの字(Uの字)状に設けても良いし、あるいは所定方向に延設される反射面が複数に分割されていても良い。
なお、上記実施形態では、光源として、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)などの紫外光源、ArFエキシマレーザ等の真空紫外域のパルスレーザ光源などを用いるものとしたが、これに限らず、水銀ランプは勿論、F2レーザ、あるいはAr2レーザ(出力波長126nm)などの他の真空紫外光源を用いても良い。また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
更に、照明光ILとしてEUV光、X線、あるいは電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置、投影光学系を用いない、例えばプロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、及び例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。
また、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターンを形成した光反射型マスクを用いたが、それらに限定されるものではない。例えば、そのようなマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(光学系の一種とする)を用いるようにしても良い。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されている。なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。
また、例えば、2光束干渉露光と呼ばれているような、複数の光束の干渉によって生じる干渉縞を基板に露光するような露光装置にも適用することができる。そのような露光方法及び露光装置は、例えば、国際公開第01/35168号パンフレットに開示されている。
なお、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも本発明は好適に適用できる。
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
さらに、上記実施形態では、本発明の計測方法が露光装置にて実行される場合について説明したが、露光装置以外の検査装置、加工装置などの装置であっても、本発明の計測方法は、好適に適用できるものである。
なお、これまでは、基板上にパターンを形成する露光装置について説明したが、スキャン動作により、基板上にパターンを形成する方法は、露光装置に限らず、例えば、特開2004−130312号公報などに開示される,インクジェットヘッド群と同様のインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置を用いても実現可能である。
上記公開公報に開示されるインクジェットヘッド群は、所定の機能性液体(金属含有液体、感光材料など)をノズル(吐出口)から吐出して基板(例えばPET、ガラス、シリコン、紙など)に付与するインクジェットヘッドを複数有している。このインクジェットヘッド群のような機能性液体付与装置を用意して、パターンの生成に用いることとすれば良い。この機能性液体付与装置を備えた素子製造装置では、基板を固定して、機能性液体付与装置を走査方向にスキャンしても良いし、基板と機能性液体付与装置とを相互に逆向きに走査しても良い。
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。従って、その半導体デバイスを生産性良く製造することが可能となる。
以上説明したように、本発明の計測方法は、干渉計からの測長ビームが照射される反射面の表面形状を計測するのに適している。また、本発明のパターン形成方法は、物体上にパターンを形成するのに適している。
24X,24Y…移動鏡、26X1,26Y…干渉計ユニット、WST…ウエハステージ、WXM,WXB…測長ビーム(測長軸)、WYL,WYL…測長ビーム(測長軸)、W…ウエハ。
Claims (7)
- 所定の平面内を移動可能な移動体上又は該移動体に対向して設けられた反射面の表面形状を計測する計測方法であって、
前記移動体を前記反射面の延設方向にほぼ一致する第1軸方向に沿って所定ステップ間隔でステップ移動し、前記平面内の前記第1軸方向に直交する第2軸方向に関する前記移動体の位置を計測するために前記第1軸方向に所定間隔隔てた2つの測長軸を有する第1レーザ干渉計を用い、前記ステップ移動位置毎に、少なくとも前記第2軸方向に関する位置が異なる複数点で前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データを求める第1工程と;
前記ステップ移動位置毎に、前記複数点における前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は前記測定データの差分の平均値を算出することで、前記反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を計測する第2工程と;
計測された離散的な形状誤差のデータに基づいて、前記反射面の形状を求める第3工程と;を含む計測方法。 - 前記複数点は、隣接する点同士の前記第2軸方向に関する間隔が、前記第1レーザ干渉計の測長ビームの波長の1/(4N)(Nは自然数)となる、所定方向に並んだ2個以上の点を含む請求項1に記載の計測方法。
- 前記第1工程では、前記移動体を移動させる際に、前記ステップ移動位置毎に、前記第1軸方向及び第2軸方向に関する位置が異なる複数点で前記第1干渉計の各測長軸位置での測定データを求めるとともに、前記第2軸方向に所定間隔隔てた2つの測長軸を有する第2レーザ干渉計を用い、該第2レーザ干渉計の各測長軸における測定データを求め、
前記第2工程では、前記ステップ移動位置毎に、前記複数点における前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値と、前記各測定データに対応する前記第2レーザ干渉計の各測長軸における測定データの平均値の差分、又は該測定データの差分の平均値から求まる前記移動体の回転方向の変化量成分とに基づいて、前記反射面の測長軸間隔毎の離散的な形状誤差を算出する請求項1又は2に記載の計測方法。 - 前記複数点は、隣接する点同士の前記第2軸方向に関する間隔が、前記第1レーザ干渉計の測長ビームの波長の1/(4N)(Nは自然数)で、かつ隣接する点同士の前記第1軸方向に関する間隔が、前記第2レーザ干渉計の測長ビームの波長の1/(4N)となる、前記所定方向に並んだ2個以上の点を含む請求項3に記載の計測方法。
- 前記第1工程は、前記ステップ位置毎に、
前記所定方向の一側から他側に前記移動体を微小間隔でステップ移動して、前記複数点のそれぞれで、前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データを計測する第1計測工程と;
前記所定方向の他側から一側に前記移動体を微小間隔でステップ移動して、前記複数点のそれぞれで、前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データを計測する第2計測工程と;
前記第1計測工程で得られた測定データと前記第2計測工程で得られた測定データとに基づいて、前記複数点で前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データを求める算出工程と;を含む請求項2又は4に記載の計測方法。 - 第1工程は、
前記第1軸方向の一側から他側へ前記移動体をステップ移動しつつ、前記ステップ移動位置毎に、少なくとも前記第2軸方向に関する位置が異なる複数点で前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での第1測定データを求める工程と;
前記第1軸方向の他側から一側へ前記移動体をステップ移動しつつ、前記ステップ移動位置毎に、少なくとも前記第2軸方向に関する位置が異なる複数点で前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での第2測定データを求める工程と;を含み、
前記第2工程では、前記ステップ移動位置毎に、前記複数点における前記第1レーザ干渉計の各測長軸位置での測定データの平均値の差分、又は前記測定データの差分の平均値を算出するに当たり、前記複数点における前記第1測定データと前記第2測定データとの平均値を、対応する各測定データとして用いる請求項1〜5のいずれか一項に記載の計測方法。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記反射面の形状を計測する工程と;
前記計測された反射面の形状と、前記反射面を用いて前記移動体の位置を計測する干渉計システムの計測結果とに基づいて前記移動体を移動させて、前記移動体上に載置された物体にパターンを形成する工程と;を含むパターン形成方法。
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