JP2009002663A - 圧電センサとこれを用いた圧力検出デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】検出感度を高めた圧電センサとこれを用いた圧力検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】圧電センサ1は、内電極2および外電極3と、圧電体4と、内電極2または外電極3に配置された保護層5を備えている。保護層5は、ガラス転移点が、少なくとも255K以下であるうえに、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点Tm(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有する有機高分子重合物である。保護層5は、ガラス転移点が室温より低温であるので、軟らかいゴム状弾性状態となり、変位や加速度が検出し易くなる。また、保護層5の材料を軟化温度もしくは一次転移点の観点から最適化しているので、圧電センサ1は、耐熱性が考慮されて品質や耐久信頼性が高まる。
【選択図】図1
【解決手段】圧電センサ1は、内電極2および外電極3と、圧電体4と、内電極2または外電極3に配置された保護層5を備えている。保護層5は、ガラス転移点が、少なくとも255K以下であるうえに、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点Tm(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有する有機高分子重合物である。保護層5は、ガラス転移点が室温より低温であるので、軟らかいゴム状弾性状態となり、変位や加速度が検出し易くなる。また、保護層5の材料を軟化温度もしくは一次転移点の観点から最適化しているので、圧電センサ1は、耐熱性が考慮されて品質や耐久信頼性が高まる。
【選択図】図1
Description
本発明は、人体からの変位や加速度等の圧力を検出して、座席や寝床等の場所に人の居るまたは居ない等を検出する圧電センサと、これを用いた圧力検出デバイスに関する。
従来、種々の圧電センサが提案されており、その一例を図5(a)に示す。すなわち、この圧電センサ51は、長尺の柔軟な線状体であり、人体の加速度の加わる面に対向して配置され、加速度に応じて出力信号を発生する。その構成は、軸方向中心に信号導出用電極としてコイル状または単線の中心電極52を有し、この中心電極52の周囲にピエゾ素子材料53を被覆し、さらに、その外周に外側電極54を配置したもので、最外周が塩化ビニル等の外被55で覆われている(例えば、特許文献1参照)。
圧電センサ51は、クライニング式のベッド装置等に備えられて、人体検出装置として使用されているが、これ以外に、種々の物体検出装置や開閉装置に応用されている。
例えば、車の窓のガラス開閉部分に取り付けて物体の挟み込みを検知する事例もあり、その一例を図5(b)に示す。
この装置で使用される圧電センサ51は、熱可塑性エラストマー(TPE)からなる収容容器56(支持手段と称す)に内蔵されて、窓枠57に固定されている。
そして、ガラス58が閉じて、万が一にも物体59がガラス58と窓枠57との間に挟み込みまれると、圧電センサ51がこのことを検知し、制御手段(記載せず)がガラス58を開くように指令を発する(例えば、特許文献2参照)。
最近、この圧電センサ51は、新しい構成が提案されており、ピエゾ素子材料53を水分の吸収を抑制する被覆層で覆われた圧電セラミック粉末と、有機高分子とで構成している(例えば、特許文献3参照)。
そして、この圧電センサ51は、外被55として弾性を有する熱可塑性エラストマーやゴムなどの有機高分子を用いている。
特開2005−351781号公報
特開2004−264033号公報
特開2007−17420号公報
従来の圧電センサは、優れた人体検出特性を有するが、更なる特性向上が求められており、その対策の一環として、周囲を覆う外被に使用する材質のガラス転移点や軟化温度の最適化が望まれていた。
例えば、旧タイプの圧電センサ1は、中心電極とピエゾ素子材料と外側電極の集合体が、その最外周を覆っている塩化ビニル等の外被を介して人体に起因する変位や加速度を検出している。
外被として使用されている塩化ビニルは、ガラス転移点が約83℃のプラスチックスである。
ガラス転移点(脆化温度と称されることもある)は、有機高分子を構成する分子が動くことができない脆くて硬い状態(ガラス状態や凍結状態と称す)が、昇温により、大きく動くことができる軟らかいゴム状弾性状態に変化する境界温度のことである。有機高分子は、このガラス転移点を境に材料物性が大きく変化するので、注目しなければならない。
従来の外被は、ガラス転移点が約83℃であるので、人体の体温(35〜37℃)では分子が動かない脆くて硬いガラス状態となっており、複雑な検出方法を用いて検出精度を高めていた。
そのため、更なる特性向上の観点や検出方法を簡単にする観点で、最も外側に存在して人体の変位や加速度に関する情報を最初に採取する外被5の、ガラス転移点の最適化が、望まれていた。
一方、新タイプの圧電センサは、外被として弾性を有する熱可塑性エラストマーやゴムなどの有機高分子を用いているが、更なる特性向上の観点より、その材質のガラス転移点や軟化温度の最適化が望まれていた。
ここで、外被の材料として使用される有機高分子の熱的性質と、圧電センサの検出精度の関係について説明する。
人体の場合、その表面形状が自由自在に変化するのでこの変化に対応するためにも、外被は、柔軟性を有する有機高分子が好ましく、具体的には、可撓性を有する樹脂やゴムさらに熱可塑性エラストマーが使用される。
また、この外被は、中心電極とピエゾ素子材料と外側電極の集合体を、物理的にも使用環境からも保護する役割を有している。
有機高分子は、低温では材料の剛性や粘性が高い状態つまり、材料を構成する分子が動くことができないガラス状態となっており、材料が脆くて硬いので変位や加速度を検出しにくい。
温度が上昇するにしたがって分子が徐々に動き始めて剛性や粘性が徐々に低下してゆくが、或る温度を境にして分子が大きく動けるようになって硬さが急激に減少して軟らかいゴム状弾性を示すようになる。
この境界温度がガラス転移点であるが、ガラス転移点の温度以上になると分子が動き易くなり、変位や加速度が検出し易くなってくる。
温度がさらに上昇すると、分子が激しく動けるようになって材料は徐々に軟化変形し始め、或る温度を境にして溶融を起こして流動しはじめる。この境界温度を軟化温度もしくは一次転移点とし、この温度を超えると材料の剛性や粘性は極端に低下し、全く固体として使用できなくなる。
軟化温度もしくは一次転移点は、高分子が軟化や融解し始める温度であり、ここから比容や比熱が増大し始めるが、最高使用可能温度や融点で代替されることもある。
本発明は、前記課題を解決するものであり、人体と圧電センサとの間に、ガラス転移点や軟化温度を最適化した有機高分子重合物の保護層を配置して、検出感度をさらに高めた圧電センサを提供することを目的とする。
従来の課題を解決するために、本発明の圧電センサは、距離を離して配置された内電極および外電極と、内電極および外電極の間に配置され人体からの変位もしくは加速度に応じて信号を発生する圧電方式の圧電体と、人体からの変位もしくは加速度を受ける側である内電極または外電極のいずれかもしくは両方の側に配置された有機高分子の保護層を少なくとも備え、保護層は、ガラス転移点(絶対温度)が、少なくとも255K以下であるうえに、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有する有機高分子重合物であるとした。
圧電センサを人体に接触させその変位や加速度の検出をおこなうと、保護層は、体温の約310K(約37℃)付近の温度に曝されるが、ガラス転移点がこれより低温の255K(−18℃)未満である有機高分子重合物を使用するので、構成分子が自由に動くことができる軟らかいゴム状弾性状態となり、変位や加速度が検出し易くなる。
また、保護層は、そのガラス転移点が、軟化温度もしくは一次転移点(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍であり、しかもその軟化温度もしくは一次転移点は353〜452Kの範囲(80〜179℃)にある。
保護層の材質を、分子が動けなくなる目安であるガラス転移点と、耐熱性の目安である軟化温度もしくは一次転移点の両方から最適化しているので、これを用いた圧電センサは、耐熱性が考慮されて品質や耐久信頼性が高まる。
本発明は、検出感度に優れるとともに製造し易さや耐熱性や耐水性にも優れた圧電センサと、これを用いた圧力検出装置を提供できる。
第1の発明の圧電センサは、距離を離して配置された内電極および外電極と、前記内電極および外電極の間に配置され人体からの変位もしくは加速度に応じて信号を発生する圧電方式の圧電体と、人体からの変位もしくは加速度を受ける側にある前記内電極または外電極のいずれかもしくは両方に配置された保護層を少なくとも備えている。そして、前記保護層は、ガラス転移点(絶対温度)が、少なくとも255K以下であるうえに、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有する有機高分子重合物としている。
圧電センサを人体に接触させその変位や加速度の検出をおこなうと、保護層は、体温の約310K(約37℃)付近の温度に曝されるが、ガラス転移点がこれより低温の255K(−18℃)未満である有機高分子重合物を使用するので、構成分子が自由に動くことができる軟らかいゴム状弾性状態となり、変位や加速度が検出し易くなる。
また、保護層は、そのガラス転移点が、軟化温度もしくは一次転移点(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍であり、しかもその軟化温度もしくは一次転移点は353〜452Kの範囲(80〜190℃)にある。保護層の材質を、分子が動けなくなる目安であるガラス転移点と、耐熱性の目安である軟化温度もしくは一次転移点の両方から最適化しているので、これを用いた圧電センサは、耐熱性が考慮されて品質や耐久信頼性が高まる。
第2の発明の圧電センサは、特に第1の発明の保護層で使用する有機高分子重合物が、低級炭化水素の高結晶性重合物および低結晶性重合物の混合物を主成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマーであるとした。
このオレフィン系熱可塑性エラストマーを保護層で使用すると、材料の持つ優れた物性より、製造し易さ、検出感度、耐水性の3点に優れた圧電センサが得られた。
第3の発明の圧電センサは、特に第1の発明の保護層で使用する有機高分子重合物が、保護層で使用する有機高分子重合物は、炭素数2〜5の低級炭化水素のオレフィン系熱可塑性エラストマーを主成分とし、これに低級カルボン酸もしくはそのエステル、ビニル基の少なくとも1種が含まれているとした。
この有機高分子重合物を保護層で使用すると、材料の持つ優れた物性より、製造し易さ、検出感度、耐水性の3点にさらに優れた圧電センサが得られた。
第4の発明の圧電センサは、特に第1の発明の保護層が配置される側にある内電極または外電極のいずれかは、極性基を含む有機高分子材料と導電性粉末の混合物であるとした。
この材料構成にすると、保護層に対して接着性に優れた電極となるので、耐久性に優れた圧電センサを得ることができる。
第5の発明の圧力検出デバイスは、特に第1〜4のいずれかの発明の圧電センサは、軸方向中心に略配置された内電極と、圧電材料粉末と可撓性有機高分子を含む混合物からなり前記内電極の周囲を被覆する圧電体と、前記圧電体の外周に設けた外電極と、前記外電極の外周を被覆する保護層で構成される長尺の柔軟な線状体であり、前記圧電センサの保護層で使用される有機高分子重合物と同種の熱物性を有しその片側が密封されるセンサ収納体に、少なくともその端部が収納されているとした。
圧電センサはその端部が、片側が密封されるセンサ収納体に収納されているので、端部とセンサ収納体を熱融着等によって気密シールすると、端部がセンサ収納体によって密閉される。
そのため、水滴等の異物が、端部から圧電センサの内部に侵入することがなくなり、水滴等の侵入による誤動作や腐食を一層防止できる。
また、圧電センサは、センサ収納体に確実に固定することができるので、運搬等による劣化を防止できる。
またさらに、圧電センサは、その断面が丸形状の柔軟な線状体でありその端部を外包するようにして、丸形中空断面のセンサ収納体に収納できるので、両者の気密シールは一層確実になる。
第6の発明の圧力検出デバイスは、特に第5の発明において、内電極または外電極のいずれかもしくは両方に接続したリード線を、センサ収容体の片側の密封される部分において密封固定しているとした。
この構成にすると、リード線の取り出しが簡単になるとともに、水滴等の異物が、リード線を介して圧電センサの内部に侵入することがなくなり、水滴等の侵入による誤動作や腐食をさらに一層防止できる。
第7の発明の圧力検出デバイスは、特に第6の発明において、センサ収容体の内部空間に、断線および短絡を検出するための抵抗体を配置し、内電極または外電極のいずれかも
しくは両方に接続するリード線に前記抵抗体を直列に接続するとした。
しくは両方に接続するリード線に前記抵抗体を直列に接続するとした。
このため、圧電センサの断線および短絡が簡単に検出できる。また、リード線の取り出しが簡単になるとともに、水滴等の異物が、リード線を介して圧電センサの内部に侵入することがなくなり、水滴等の侵入による誤動作や腐食をさらに一層防止できる。
第8の発明の圧力検出デバイスは、特に第5の発明において、圧電センサは、保護層の周囲をセンサ収容体で外包して密封固定されているとした。圧電センサは、その断面が丸形状の柔軟な線状体でありその保護層の周囲を外包するようにして、丸形中空断面のセンサ収納体に収納される。
しかも、保護層とセンサ収納体は、同種の熱物性を有する有機高分子重合物であるので、両者の気密シールはさらに一層確実になる。
そのため、水滴等の侵入による誤動作や腐食や、運搬等による劣化をさらに一層防止できる。
第9の発明の圧力検出デバイスは、特に第5の発明において、圧電センサは、外電極の周囲をセンサ収容体で外包して密封固定されているとした。
圧電センサは、その断面が丸形状の柔軟な線状体でありその外電極の周囲を外包するようにして、丸形中空断面のセンサ収納体に収納されている。
しかも、外電極は、極性基を含む有機高分子材料であるので、センサ収納体との気密シールは確実になる。そのため、水滴等の侵入による誤動作や腐食や、運搬等による劣化を防止できる。
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、実施例によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1(a)において、圧電センサ1は、距離を離して配置された内電極2および外電極3と、これら内、外電極2,3の間に配置され、人体からの変位もしくは加速度に応じて信号を発生する圧電体4と、人体からの変位もしくは加速度を受ける側である内電極2および外電極3の少なくとも一方の側に配置された有機高分子重合物からなる保護層5を備えた構成である。
図1(a)において、圧電センサ1は、距離を離して配置された内電極2および外電極3と、これら内、外電極2,3の間に配置され、人体からの変位もしくは加速度に応じて信号を発生する圧電体4と、人体からの変位もしくは加速度を受ける側である内電極2および外電極3の少なくとも一方の側に配置された有機高分子重合物からなる保護層5を備えた構成である。
図1(b)は、保護層5に使用する有機高分子のガラス転移点と、軟化温度もしくは一次転移点の関係を示す効果特性で、保護層5はそのガラス転移点Tg(絶対温度)が、少なくとも255K以下であるうえに、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点Tm(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有する有機高分子重合物である。
圧電センサ1を試作して検出感度等の効果特性を評価した。
圧電センサ1は、可撓性と圧電性を有する圧電材料フィルムの圧電体4の上下面に内、外電極2,3の膜を形成し、その周囲を有機高分子重合物の保護層5で被覆した構成である。
各材料の詳細は、後述するが、内、外電極2,3は、有機高分子材料としてはポリエチ
レン・テレフタレート(PET)を用い、この上にアルミニウム膜を接着した構成品を使用している。
レン・テレフタレート(PET)を用い、この上にアルミニウム膜を接着した構成品を使用している。
検出感度は、試作した圧電センサ1の保護層5に室温で人体を接触させた際に、得られる検出感度の大小で判定している。また同時に、保護層5で被覆する際に被覆が簡単にできるか否かを製作時の作業性として、試作した圧電センサ1が水蒸気に対して影響を受けるか否かを耐水性として評価している。
表1は、その検討結果である。保護層5に使用した有機高分子重合物について、使用した材料組成、軟化温度もしくは一次転移点(Tm)、ガラス転移点(Tg)、ガラス転移点Tgと軟化温度もしくは一次転移点Tmとの比率(Tg/Tm)、製作時の作業性、検出感度、耐水性を一覧表にしている。
高い検出感度が得られたサンプル番号1〜18は、本実施の形態の適用範囲である。低い検出感度が得られたサンプル番号19〜29は、本実施の形態の適用外範囲(比較例)である。
図2は、表1の検討結果を基にして、保護層5に使用する有機高分子重合物について、ガラス転移点Tgと、軟化温度もしくは一次転移点Tmとの比率(Tg/Tm)の関係を整理した効果特性である。
図2より高い検出感度が得られる本実施の形態の保護層5(サンプル番号1〜18)は、ガラス転移点Tgが軟化温度もしくは一次転移点Tmの0.63倍〜0.47倍の熱物性を有していることがわかる。
一方、本実施の形態の適用外範囲(比較例)は、2タイプありその1つは、比率(Tg/Tm)が0.63倍を超えて高い材料であり、これはさらに2種類あった。1種類は、ガラス転移点Tgが体温に近い温度の材料であり、これは検出感度が従来とほぼ同じ(表1の検出感度を○もしくは△と記載)であるため不適格であった。
他の種類は、軟化温度もしくは一次転移点Tmが体温に近い材料であり、これは試作ができず不適格(表1の製作時の作業性を試作不可と記載)であった。本実施の形態の適用外範囲(比較例)の他タイプは、比率(Tg/Tm)が0.47倍未満である材料であり、軟化温度もしくは一次転移点Tmが著しく高温の材料であるため、試作がうまくゆかず不適格(表1の製作時の作業性を×と記載)であった。
図1(b)は、表1の検討結果を基にして、保護層5に使用した有機高分子重合物について、軟化温度もしくは一次転移点(Tm)と、ガラス転移点Tgの関係を整理した効果特性である。
高い検出感度が得られる本実施の形態の保護層5は、ガラス転移点Tgが255K以下であることがわかる。
またさらに、保護層5のガラス転移点(絶対温度)は、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有することがわかる。
圧電センサ1を人体に接触させその変位や加速度の検出をおこなうと、保護層5は、体温の約310K(約37℃)付近の温度に曝される。
本実施の形態の保護層5は、ガラス転移点がこれより低温の255K(−18℃)以下である有機高分子重合物を使用するので、通常の温湿度環境において人体に接触させると、構成分子が自由に動くことができる軟らかいゴム状弾性状態となっており、変位や加速度が検出し易くなる。
また、保護層5は、成型する際の加熱温度を考慮して、耐熱性の目安である軟化温度もしくは一次転移点Tmを、ガラス転移点Tgとの相関で最適化しているので、製造し易い利点があった。
一方、ガラス転移点Tgが255Kを超えて体温に近い材料であると前述のように、検出感度が従来とほぼ同じであるため不適格であった。
また、軟化温度もしくは一次転移点Tmが353K未満の低温の材料であると前述のように、試作ができず不適格であった。
さらに、軟化温度もしくは一次転移点Tmが452Kを超えて高温の材料であると前述のように、試作がうまくゆかず不適格であった。
保護層5は、特に、ガラス転移点や軟化温度の最適化した熱可塑性エラストマー使用すると、作業性(製造し易い)と検出感度の両面で最適であった。
熱可塑性エラストマーは、軟質合成樹脂の一つであり、且つ常温でゴム状弾性を有する有機高分子重合物である。成型時に加硫工程が不要であり、射出成形により材料を溶融させて成形品となるので、生産効率がよいという利点が得られる。再成形をすることができるので、その成形工程の単純化とあわせて、省エネルギー、省資源対策に適している。
熱可塑性エラストマーは、結晶性が高い有機高分子重合物からなるハードセグメント(硬質相)に、ゴム等に代表させる非結晶性の有機高分子重合物からなるソフトセグメント(軟質相)を混合して、物理的架橋させた混合相を形成して、室温でゴム状となるようにしている。
熱可塑性エラストマーは、具体例としてオレフィン系(TPO)、スチレン系(SBC)、エステル系(TPEE)で効果を確認しているが、塩ビ系(TPVC)、ウレタン系(TPU)、アミド系(TPAE)等も使用できる。
この中で特に、オレフィン系熱可塑性エラストマーを主成分とした保護層5(サンプル番号8〜12)は、耐水も優れるので、実施の形態として最適であった。
また、下記組成物(1)〜(3)の熱可塑性エラストマーも、保護層5に接する内電極2または外電極3に含有される有機高分子材料であるポリエステル等の極性素材やポリエチレン等の非極性素材に対して、優れた密着性を有するうえに柔軟なゴム弾性を備え、押出しや射出成形等で表皮層を容易に形成できるので適していた。
組成物(1)は、硬質ポリエステルに、ブチルゴムもしくはアクリル系ターポリマーもしくはオレフィン系エラストマーの1種以上を混合した組成である。
組成物(2)は、硬質ポリエステルにスチレン系エラストマーを配合した組成である。
組成物(3)は、組成物(1)にさらにスチレン系エラストマーを配合した組成である。
組成物(1)〜(3)は、硬質ポリエステルにエラストマーを、重量組成比が90/10以下で混合した組成であり、硬度(JIS−A)が95度以下である。
なお、スチレン系エラストマーを混合する場合は、硬質ポリエステルにスチレン系エラストマーを、重量組成比が80/20以下の組成とした。
またさらに、圧電体4は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの可撓性と圧電性を有する高分子フィルムや、圧電材料粉末と可撓性有機高分子を含む混合組成物が使用でき、いずれの場合も変位や加速度が検出し易い。
図3は圧電センサ1の他の例で、軸方向中心に略配置された内電極2の周囲を圧電材料と可撓性有機高分子を含む混合物からなる圧電体4と、外電極3と、有機高分子の保護層5で順々に被覆した構成品である。
圧電体4で使用される可撓性有機高分子は、保護層5と同種の熱物性を有する材料が望ましい。
保護層5のみならず圧電体4も構成分子が自由に動くことができる軟らかいゴム状弾性状態となっている有機高分子重合物(ガラス転移点が体温より低温の材料)を使用するので、変位や加速度がさらに検出し易くなった。
可撓性有機高分子は、ゴムや熱可塑性エラストマーが適しており特に、オレフィン系熱可塑性エラストマーが最適であった。
このオレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐水や耐熱に優れるうえにガラス転移点が低く、圧電体13に混合すると圧電材料粉末の含有量を多くすることができ、そのため、高い検出感度の圧電センサ1が得られるようになった。
圧電体4で使用する圧電材料粉末は、チタン酸鉛、ジルコン鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ビスマス・ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸アルカリなどのペロブスカイト構造を有する化合物、ビスマス層状構造を有する化合物、タングステンブロンズ構造を有する化合物などであり、ポーリング処理によって圧電性を発現するセラミック材料である。
また、周期表第1族の元素、周期表第2A族の元素の少なくとも1種を含むペロブスカイト構造を有する化合物であり、主成分がチタン酸ビスマス・ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウムの少なくとも1種を含む圧電材料も使用できる。
また、圧電材料粉末は、その外側を水分の吸収を抑制する撥水性に優れた被覆層で形成してもよい。
撥水性に優れた被覆層は、主成分が有機脂肪酸塩、有機脂肪酸アミド、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、シラン化合物が挙げられる。
特に、撥水処理を施して成した被覆層の蒸留水に対する接触角が150°以上の撥水材料が最適であった。
その場合、圧電体4は、優れた圧電特性を発現させるために圧電材料粉末の含有量を多くした組成としている。
この構成により、圧電体4は、撥水材料の被覆層が形成された圧電材料粉末が多数存在するので優れた撥水性を有する表面とすることができるので、圧電体43への凝縮した水の浸透を抑制し、圧電体4の軟化を防止することができる。
なお、圧電体4は、可撓性有機高分子との馴染み(濡れ性)を改善させるとともに、全体の粘度を下げ、加工性、可撓性、さらに圧電材料粉末との分散性を向上させるために、チタンカップリング剤をさらに混合してもよい。
内電極2は、銅線やステンレス線、通常の金属単線導線や複数本の撚線、絶縁性高分子繊維の周囲に金属コイルを巻いた電極を用いる。
絶縁性高分子繊維と金属コイルとしては、電気毛布等において用いられているポリエステル繊維と銀を5wt%含む銅合金がそれぞれ好ましい。
外電極3は、有機高分子材料の上に金属膜の接着された帯状電極を用い、これを圧電体4の周囲に巻きつけた構成としている。
有機高分子材料としてはポリエチレン・テレフタレート(PET)を用い、この上にアルミニウム膜を接着した電極は、120℃で高い熱的安定性を有するとともに商業的にも
量産されているので、外電極3として好ましい。
量産されているので、外電極3として好ましい。
この電極は、制御回路等に接続する際には、例えばカシメやハトメにより接続することができる。
また、外電極3のアルミニウム膜の回りに金属単線コイルや金属編線を巻き付けてアルミニウム膜と導通をとり、金属単線コイルや金属編線を制御回路等に半田付けする構成としてもよい。
この場合、半田付けが可能となるので作業の効率化が図れる。また、有機高分子材料(PETを使用)板の上に銅膜を形成した帯状電極を用いてもよく、これにより半田付けが可能となる。
尚、圧電センサを外部環境の電気的雑音からシールドするために、外電極3は部分的に重なるようにして圧電体4の周囲に巻きつけることが好ましい。
内電極2と外電極3は主成分が導電性粉末と有機高分子材料との混合物である導電塗料、もしくは導電ペーストの塗布膜で構成することもできる。
この構成では、圧電体4と内電極2および外電極3の密着性を高くすることができるとともに、これら両者の間に空気層の介在を少なくすることができる。
そのため、ポーリング処理の際の圧電体4と内電極2および外電極3との間の電圧降下を抑制することができ、ポーリング処理の実効電圧を高くすることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、保護層5で使用する有機高分子重合物について検討したものである。
実施の形態2は、保護層5で使用する有機高分子重合物について検討したものである。
有機高分子重合物は、低級炭化水素(特に、炭素数が2〜5)の高結晶性重合物および低結晶性重合物の混合物を主成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマーであるとすると、材料の持つ優れた物性より、製造し易さ、検出感度、耐水性の3点に優れた圧電センサ1が得られた。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、高結晶性重合物(ハードセグメント)としてのポリプロピレン、ポリエチレンのような結晶性オレフィン系重合体と、低結晶性重合物(ソフトセグメント)としてのエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)のような架橋型共重合ゴムとを、主成分としている。
これらは、作業性の点で90/10〜20/80が好ましく、JIS硬度は50〜95度が望ましい。
また、必要に応じて任意に、ポリイソブチレンのような非架橋型ゴムやオイルなどを配合してもよく、その典型的な製法は、上記各成分に過酸化物を加え動的に架橋する方法であり、このようにして得られる部分架橋物をそのままあるいはこれに結晶性オレフィン系重合体をさらにブレンドして用いられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐熱性や機械的特性を考慮すると、炭化水素として少なくともポリエチレンやポリプロピレンを含有するものが望ましい。
この中で、エチレン系共重合体樹脂組成物を用いた熱可塑性エラストマーは、熱安定性が良好で成形性に優れ、金属または極性の高い有機高分子重合物の素材に対する接着性に優れた特徴を有するので、さらに最適であった。
また特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされている変性エチレン・α- オレフィン共重合体と、オレフィン系エラストマーとを特定割合で配合したブレンド物の組成物は、さらに望ましい。
また、前述の変性エチレン・α- オレフィン共重合体およびその変性前のエチレン・α-オレフィン共重合体とオレフィン系エラストマーとを特定割合で配合したブレンドした組成物でもよい。塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンでもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3は、保護層5で使用する有機高分子重合物についてさらに詳細に検討したものである。
実施の形態3は、保護層5で使用する有機高分子重合物についてさらに詳細に検討したものである。
有機高分子重合物は、炭素数2〜5の低級炭化水素のオレフィン系熱可塑性エラストマーを主成分とし、これに低級カルボン酸もしくはそのエステル、ビニル基の少なくとも1種が含まれているとした。
炭素数2〜5の低級炭化水素のオレフィン系熱可塑性エラストマーに、低級カルボン酸もしくはそのエステル、ビニル基の少なくとも1種をさらに少量混合させると、材料の持つ優れた物性より、製造し易さ、検出感度、耐水性にさらに優れた圧電センサ1が得られた。
低級カルボン酸もしくはそのエステルさらにビニル基は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルエステルである。
これらを少量混合させると、ポリカーボネートやABS樹脂等の極性値の高い有機高分子に対して熱接着することができ、かつ柔軟性に優れ、摩擦抵抗が大きく、射出等の成形性に優れた保護層5となり、一層優れた圧電センサ10が得られた。
これらの保護層5における含有量は10〜30重量%であり、混合量が10重量%未満では接着性向上の効果が得られず、反対に30重量%を超えるとゴム弾性等のエラストマー的特性が悪くなる。
また、得られる保護層54のJIS硬度は、50〜95度が望ましい。
さらに特に、低級カルボン酸もしくはそのエステル、ビニル基は、エチレンとの複合化合物が、好ましい。
具体的には、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・エチルメタクリレート共重合体(EEMA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メタクリレート・グリシジルメタクリレート共重合体(EMAGMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体(EEAMAH)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)が例示される。
(実施の形態4)
実施の形態4は、保護層5が配置される内電極2または外電極3の材質について検討したものである。
実施の形態4は、保護層5が配置される内電極2または外電極3の材質について検討したものである。
保護層5と接する内電極2または外電極3は、極性基を含む有機高分子材料と導電性粉末の混合物で構成するとしている。
この材料構成にすると、接着性に優れた電極となるので、耐久性に優れた圧電センサ1を得ることができる。
極性基を含む有機高分子材料は、カルボン酸基もしくはそのエステル、ビニル基、アルコール基、アミド基等を含む有機高分子であり、極性値の高い有機高分子となっている。
具体的には、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン3元共重合物(ABS)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、塩化ビニル樹脂(PVC)、酢酸ブニル樹脂(PVAC)などである。
内電極2または外電極3は、この有機高分子材料の上にアルミニウム等の金属線や金属膜が接着された帯状電極を用い、これを圧電体4の周囲に巻きつけた構成としている。
また、主成分が導電性粉末と有機高分子材料との混合物である導電塗料、もしくは導電ペーストの塗布膜で構成することもできる。これらの混練物は、押出機などの加工機を用いて、押し出し成型することによって圧電体4に形成される。
この極性基を含む有機高分子材料は、保護層5と同種の熱物性を有してもよい。
この場合、有機高分子材料は、極性基を含むオレフィン系熱可塑性エラストマーが望ましい。
極性基を含むオレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐水や耐熱に優れるうえにガラス転移点が低く、内電極2または外電極3に混合される導電性粉末の含有量を多くすることができる。
そのため、高い検出感度の圧電センサ1が得られるようになった。
このオレフィン系熱可塑性エラストマーは、結晶性が比較的高い樹脂成分からなるハードセグメント(硬質相)に、ゴム等に代表させる非結晶性の有機高分子成分からなるソフトセグメント(軟質相)を最大30重量%混合して、物理的架橋させた混合相を形成して、室温でゴム状となるようにしている。これ以外に、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンが使用できる。
(実施の形態5)
実施の形態5は、圧電センサ1を使用した圧力検出デバイスの最適構成について検討したものである。
実施の形態5は、圧電センサ1を使用した圧力検出デバイスの最適構成について検討したものである。
図4に示すものは、圧力検出デバイスは、長尺の柔軟な線状体に成型した圧電センサ1の端部6を片側7が密封されるセンサ収納体8に収納した構造である。
そして、センサ収納体8は、圧電センサ1の保護層5で使用される有機高分子重合物と同種の熱物性を有している。
また、圧電センサ1は、軸方向中心に略配置された内電極2と、圧電材料粉末と可撓性有機高分子を含む混合物からなり、内電極2の周囲を被覆する圧電体4と、この圧電体4の外周に設けた外電極3と、この外電極3の外周を被覆する保護層5とで構成されている。
圧電センサ1は、片側7が密封されたセンサ収納体8に収納されているので、端部6とセンサ収納体8を熱融着等によって気密シールすると、端部6がセンサ収納体8によって密閉される。
そのため、水滴等の異物が、端部6から圧電センサ1の内部に侵入することがなくなり、水滴等の侵入による誤動作や腐食を一層防止できる。
また、圧電センサ1は、センサ収納体8に確実に固定することができるので、運搬等による劣化を防止できる。
またさらに、圧電センサ1は、その断面が丸形状の柔軟な線状体であり、その端部6を外包するようにして丸形中空断面のセンサ収納体8に収納されているので、両者の気密シールは一層確実になる。
しかも、圧電センサ1は、保護層5の周囲をセンサ収納体8で外包しており、両者が同種の熱物性を有する有機高分子重合物であるので、両者の気密シールはさらに一層確実になる。
そのため、水滴等の侵入による誤動作や腐食や、運搬等による劣化をさらに一層防止できる。
センサ収納体8で使用される材料は、表1に記載した通リであり、ガラス転移点(絶対温度)が、少なくとも255K以下であるうえに、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有する有機高分子重合物である。
これら材料は、構成分子が室温において自由に動くことができる軟らかいゴム状弾性状態となっている有機高分子重合物(ガラス転移点が体温より低温の材料)であり特に、オレフィン系熱可塑性エラストマーが最適であった。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐水や耐熱に優れるうえにガラス転移点が低い、そのため、高い検出感度の圧電センサ1が得られるようになった。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、結晶性が比較的高い樹脂成分からなるハードセグメント(硬質相)に、ゴム等に代表させる非結晶性の有機高分子成分からなるソフトセグメント(軟質相)を最大30重量%混合して、物理的架橋させた混合相を形成して、室温でゴム状となるようにしている。
熱可塑性エラストマーを使用しているので、熱処理などによる密封加工は、加硫工程が不要であり生産効率がよいという利点もある。このなかで、極性基を含むオレフィン系熱可塑性エラストマーは、特に望ましい材料であった。
これ以外に、センサ収納体8で使用される材料は、塩素化ポリエチレンやクロルスルホン化ポリエチレンを使用してもよい。
なお、図4は圧電センサ1の端部6のみがセンサ収納体8に収納されているが、全体をセンサ収納体8に収納して両側を密封してもよい。
(実施の形態6)
実施の形態6は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
実施の形態6は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
この圧力検出デバイスは、図4に記載されるように、内電極2に接続したリード線9をセンサ収容体8の片側7にある密封部分10にて密封固定している。
このため、リード線9の取り出しが簡単になるとともに、水滴等の異物が、リード線9を介して圧電センサ1の内部に侵入することがさらになくなり、水滴等の侵入による誤動作や腐食をさらに一層防止できる。
なお、リード線9は、外電極3にもあるので、内電極2のみならず外電極3からのリード線(記載せず)も、センサ収容体8の片側7にある密封部分10において密封固定できる。
さらに、外電極3からのリード線(記載せず)も、センサ収容体8の他側(記載せず)において同様に密封固定できる。
密封部分10は、外側湾曲形状としておりこのことにより、圧電センサ1やリード線9がセンサ収納体8の内部で軸方向に摺動することや抜け落ちることが確実に防止できる。
密封部分10は、凸形、または楔形部、センサの軸中心ほど縮径する円錐形状であっても、同様な効果を得ることができる。
(実施の形態7)
実施の形態7は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
実施の形態7は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
この圧力検出デバイスは、図4に記載されるように、センサ収容体8の内部空間に断線および短絡を検出するための抵抗体11を配置し、この抵抗体11を内電極2に接続するリード線9に直列に接続した構造である。
そして、リード線9をセンサ収容体8の片側7にある密封部分10において、密封固定している。
このため、圧電センサ1の断線および短絡が簡単に検出できる。また、リード線9の取り出しが簡単になるとともに、水滴等の異物がリード線9を介して圧電センサ1の内部に侵入することがさらになくなり、水滴等の侵入による誤動作や腐食をさらに一層防止できる。
なお、リード線9は、外電極3にもあるので、内電極2のみならず外電極3からのリード線(記載せず)も、センサ収容体8の片側7にある密封部分10において密封固定できる。
さらに、外電極3からのリード線(記載せず)もセンサ収容体8の他側(記載せず)において同様に密封固定できる。
また、図4は、抵抗体11を直列に接続したリード線9を密封固定する構造となっているが、抵抗体11が無いリード線9のみを密封固定する構造としてもよい。
(実施の形態8)
実施の形態8は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
実施の形態8は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
この圧力検出デバイスは、図4に記載されるように、圧電センサ1の保護層5の周囲をセンサ収容体8で外包して密封固定した構造である。
圧電センサ1は、その断面が丸形状の柔軟な線状体でありその保護層5の周囲を外包するようにして、丸形中空断面のセンサ収納体8に収納されている。しかも、保護層5とセンサ収納体8は、同種の熱物性を有する有機高分子重合物であるので、両者の気密シールはさらに一層確実になる。
そのため、水滴等の侵入による誤動作や腐食や、運搬等による劣化をさらに一層防止できる。
(実施の形態9)
実施の形態9は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
実施の形態9は、圧電センサ1をセンサ収納体8に収納した圧力検出デバイスについてさらに検討した内容である。
この圧力検出デバイスは、図4に記載されるように、圧電センサ1の外電極3の周囲をセンサ収容体8で外包して密封固定した構造である。
圧電センサ1は、その断面が丸形状の柔軟な線状体でありその外電極3の周囲を外包するようにして、丸形中空断面のセンサ収納体8に収納されている。
しかも、外電極3は、極性基を含む有機高分子材料であるので、センサ収納体8との気密シールは確実になる。そのため、水滴等の侵入による誤動作や腐食や、運搬等による劣化を防止できる。
なお、図4において圧電センサ1は、保護層5と外電極3の両方の周囲をセンサ収容体8で外包して密封固定する構造としているが、保護層5の周囲だけ、または、外電極3の周囲だけをセンサ収容体8で外包して密封固定する構造としてもよい。
本発明は、検出感度に優れるとともに製造し易さや耐熱性や耐水性にも優れた圧電センサを提供できるもので、座席や寝床さらには自動車のパワーウィンドウ装置において人の有無を判断するセンサやデバイスとして用いることができる。
1 圧電センサ
2 内電極
3 外電極
4 圧電体
5 保護層
6 圧電センサの端部
7 センサ収納体の片側
8 センサ収納体
9 リード線
10 密封部分
11 抵抗体
2 内電極
3 外電極
4 圧電体
5 保護層
6 圧電センサの端部
7 センサ収納体の片側
8 センサ収納体
9 リード線
10 密封部分
11 抵抗体
Claims (9)
- 距離を離して配置された内電極および外電極と、前記内電極および外電極の間に配置され、人体からの変位もしくは加速度に応じて信号を発生する圧電体と、人体からの変位もしくは加速度を受ける側にある前記内電極または外電極の少なくとも一方に配置された保護層とも備え、前記保護層は、ガラス転移点(絶対温度)が、少なくとも255K以下であるうえに、353〜452Kの範囲にある軟化温度もしくは一次転移点(絶対温度)の0.63倍〜0.47倍である熱物性を有する有機高分子重合物である圧電センサ。
- 保護層で使用する有機高分子重合物は、低級炭化水素の高結晶性重合物および低結晶性重合物の混合物を主成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載の圧電センサ。
- 保護層で使用する有機高分子重合物は、炭素数2〜5の低級炭化水素のオレフィン系熱可塑性エラストマーを主成分とし、これに低級カルボン酸もしくはそのエステル、ビニル基の少なくとも1種が含まれている請求項1に記載の圧電センサ。
- 保護層が配置される側にある内電極または外電極のいずれかは極性基を含む有機高分子材料と導電性粉末の混合物である請求項1に記載の圧電センサ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電センサは、軸方向中心に略配置された内電極と、圧電材料粉末と可撓性有機高分子を含む混合物からなり、前記内電極の周囲を被覆する圧電体と、前記圧電体の外周に設けた外電極と、前記外電極の外周を被覆する保護層で構成される長尺の柔軟な線状体であり、前記圧電センサの保護層で使用される有機高分子重合物と同種の熱物性を有しその片側が密封されるセンサ収納体に少なくともその端部が収納されている圧力検出デバイス。
- 内電極または外電極のいずれかもしくは両方に接続したリード線を、センサ収容体の片側の密封される部分において密封固定した請求項5記載の圧力検出デバイス。
- センサ収容体の内部空間に、断線および短絡を検出するための抵抗体を配置し、内電極または外電極のいずれかもしくは両方に接続するリード線に前記抵抗体を直列に接続した請求項6記載の圧力検出デバイス。
- 圧電センサは、保護層の周囲をセンサ収容体で外包して密封固定されている請求項5項に記載の圧力検出デバイス。
- 圧電センサは、外電極の周囲をセンサ収容体で外包して密封固定されている請求項5項に記載の圧力検出デバイス。
Priority Applications (1)
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JP2007161065A JP2009002663A (ja) | 2007-06-19 | 2007-06-19 | 圧電センサとこれを用いた圧力検出デバイス |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013160462A (ja) * | 2012-02-07 | 2013-08-19 | Panasonic Corp | 冷蔵庫 |
JP2017201487A (ja) * | 2016-05-06 | 2017-11-09 | 帝人株式会社 | カバリング糸状圧電素子 |
JP2018109608A (ja) * | 2016-12-28 | 2018-07-12 | 日立金属株式会社 | 感圧センサ |
CN112313084A (zh) * | 2018-06-21 | 2021-02-02 | 米其林集团总公司 | 包含压电复合材料的轮胎 |
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2007
- 2007-06-19 JP JP2007161065A patent/JP2009002663A/ja active Pending
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