JP2009002162A - 排水ポンプ装置及び排水ポンプの運転方法 - Google Patents

排水ポンプ装置及び排水ポンプの運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】排水ポンプの過負荷状態を回避しながらも所定の排水流量を確保し、しかも、排水ポンプに絡み付いた異物が離脱した場合には、排水ポンプ本来の排水流量で運転可能な排水ポンプ装置及び排水ポンプの運転方法を提供する。
【解決手段】排水ポンプ駆動用のモータと、前記モータを所定回転数に制御する回転数制御部を備えている排水ポンプ装置であって、前記モータの駆動負荷を検出する負荷検出部を備え、前記回転数制御部は、前記負荷検出部により検出される負荷値が制限負荷値を超えると、前記モータの回転数を前記所定回転数から低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低い所定負荷値より低下すると、前記モータの回転数を前記所定回転数に上昇制御する。
【選択図】図5

Description

本発明は、支流河川と本流河川の水路境界部に設置される開閉自在な止水ゲート扉体に取り付けられるポンプや、排水機場やマンホールに設置されるポンプ、さらには貯水池の排水等に使用されるコラム形のポンプ等の排水ポンプに適用され、排水ポンプ駆動用のモータを起動または停止させる起動スイッチと、前記起動スイッチが閉成されているときに、前記モータを所定回転数に制御する回転数制御部を備えている排水ポンプ装置及び排水ポンプの運転方法に関する。
従来、この種の排水ポンプは、水中に様々な異物が浮遊する環境下で使用されるため、回転羽根や回転羽根とポンプケーシングの間隙に布状異物や長尺異物等が絡み付くと、排水ポンプ駆動用のモータの負荷が大きくなり、過電流等により破損を招く虞があった。
そこで、ポンプ駆動用のモータの駆動負荷を検出する負荷検出部を備え、負荷検出部により検出された負荷値が制限負荷値を超えると、モータへの給電を断ち排水ポンプを停止制御することによりポンプやモータの破損を回避していた。
しかし、排水する必要があるときに排水ポンプを停止すると二次災害が発生する虞もある。例えば、止水ゲート扉体に取り付けられる軸流ポンプを停止すると、支流河川流域に洪水が発生する虞がある。
そこで、特許文献1には、ポンプと該ポンプを駆動する直流モータを具備するポンプ装置において、モータ駆動電流を検出する電流検出部と、該モータ駆動電流の上限値を設定する設定部とを設けると共に、前記電流検出部からの検出電流と前記設定部で設定した設定電流値を比較し、検出電流値が設定電流値以上となった場合前記直流モータに供給する電圧を降下させて該直流モータの回転数を降下させ、モータ駆動電流を前記上限値以下にする出力電圧制御部を設けたことを特徴とするポンプ装置の過負荷防止装置が提案されている。
特開平05−10270号公報
しかし、上述した特許文献1に記載された過負荷防止装置は、モータ駆動電流が上限値以下になるように出力電圧制御部により印加電圧を制御して連続的に回転数を降下させることにより、排水ポンプの連続運転を実現するものであったため、絡み付いた異物が回転羽根から離脱したとしても排水量が低下したままの運転状態が続き、排水ポンプを連続運転しても十分な排水容量を確保することができないという問題があった。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、排水ポンプの過負荷状態を回避しながらも所定の排水流量を確保し、しかも、排水ポンプに絡み付いた異物が離脱した場合には排水ポンプ本来の排水流量で運転可能な排水ポンプ装置及び排水ポンプの運転方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による排水ポンプ装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、排水ポンプ駆動用のモータと、前記モータを所定回転数に制御する回転数制御部を備えている排水ポンプ装置であって、前記モータの駆動負荷を検出する負荷検出部を備え、前記回転数制御部は、前記負荷検出部により検出される負荷値が制限負荷値を超えると、前記モータの回転数を前記所定回転数から低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低い所定負荷値より低下すると、前記モータの回転数を前記所定回転数に上昇制御する点にある。
上述の構成によれば、前記モータの駆動負荷を検出する負荷検出部を備えることにより、排水ポンプに異物等が絡み付くことなどに起因して、前記負荷検出部でされる負荷の変動に応じ、前記回転数制御部は、前記モータを所定の回転数から低下制御することで、モータの過負荷状態での運転を防ぎ、ポンプやモータの破損を回避しながらも、ある程度の排水量を確保できる。また、回転数を低下制御しているときに、異物がポンプから離脱した場合は、負荷に応じてポンプの回転数を上昇制御することで、十分な排水量を確保できる。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記回転数制御部が、前記負荷検出部により検出される負荷値が制限負荷値を超えると、所定時間間隔で前記モータの回転数を段階的に低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低下すると所定時間間隔で前記モータの回転数を前記所定回転数に段階的に上昇制御する点にある。
上述の構成によれば、回転数が段階的に変化するため、排水ポンプの羽根車に絡みついた異物が離脱する可能性が高くなる。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記回転数制御部は、前記モータの回転数を所定段階にわたり低下制御しても前記負荷値が制限負荷値より低下しないときに、前記モータへの給電を停止する点にある。
上述の構成によれば、モータの回転数を段階的に低下制御して運転し続けても、排水ポンプに絡み付いた異物が離脱しない等、過負荷状態が解消されない場合は、十分な排水量が得られないので、モータの破損を回避することを優先してモータの運転を停止するのである。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記回転数制御部により前記モータの回転数が低下制御されているときに、その状態を報知する報知部を備えている点にある。
上述の構成によれば、報知部がモータの回転数が低下制御されている状態を報知することで、オペレータは排水ポンプに異物が絡みつくなどによりモータの回転数が低下制御されていることを認識することができる。これにより、運転停止時に排水ポンプのメンテナンス等の必要な対処を迅速に行なうことができる。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記起動スイッチが開成状態から閉成されたときに、前記回転数制御部は過去の制御状態に関わらず前記モータの回転数を所定回転数に制御する点にある。
様々な実験を通して、一旦排水ポンプを停止した後の次の排水ポンプの運転開始時には過負荷状態が解消される場合があることが見出されているため、このような知見に基づいて、起動スイッチが閉成状態から開成されたときにモータの回転数を正常状態の所定回転数に制御することにより、必要な排水量を確保することが可能になる。
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記回転数制御部による前記モータの回転数の制御履歴情報を記録する記憶部を備えている点にある。
上述の構成によれば、排水ポンプのメンテナンス時等に、記憶部に記憶されたモータの回転数の制御履歴情報を調べることで、運転時の排水ポンプがどのような負荷状態にあったか確認することができる。
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第六特徴構成に加えて、排水ポンプを起動したときに、前記回転数制御部は、前記記憶部に記憶された制御履歴情報に基づいて前記モータの回転数を制御する点にある。
上述の構成によれば、排水ポンプに異物が混入しやすい環境等、記憶部に記憶された制御履歴情報に基づいて排水ポンプの運転状況を推定し、モータを運転開始時から最適な回転数で制御運転することで、過負荷状態での運転を事前に防止することができる。
本発明による排水ポンプの運転方法の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、排水ポンプ駆動用のモータを所定回転数に制御する排水ポンプの運転方法であって、前記モータの駆動負荷を検出して、検出した駆動負荷値が制限負荷値を超えると、所定時間間隔で前記モータの回転数を前記所定回転数から段階的に低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低い所定負荷値より低下すると、所定時間間隔で前記モータの回転数を前記所定回転数に段階的に上昇制御する点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、排水ポンプの過負荷状態を回避しながらも所定の排水流量を確保し、しかも、排水ポンプに絡み付いた異物が離脱した場合には、排水ポンプ本来の排水流量で運転可能な排水ポンプ装置及び排水ポンプの運転方法を提供することができるようになった。
以下に本発明による排水ポンプ装置及び排水ポンプの運転方法を採用したポンプゲートの実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、第一水路1(例えば支流河川)と第二水路2(例えば本流河川)の合流地点である境界部にポンプゲート3が設置されている。
第一水路1側には、前記ポンプゲート3に流入する流木等の大型異物を除去するスクリーン機構40が設けられている。
前記ポンプゲート3は、前記境界部に立設された左右一対の水門壁4bと水路の底部に横設された床部材4cと昇降機構7を支承する床盤4aを備え、第一水路側1及び第二水路側2の夫々に下部が開口した止水壁4d,4eを備え、前記止水壁4dの下部開口を開閉する鋼板製の止水ゲート扉体6が昇降機構7により昇降操作自在に前記床盤4aに支持されている。
前記昇降機構7は、前記止水ゲート扉体6に延出形成されたポンプ収容部6aに継手7bを介して固定された一対のラック棒7aと、前記床盤4aの上部に配置されたギヤボックス7c内のピニオンギヤを正転または逆転駆動する昇降用電動モータ7fと、手動操作ハンドル7dと、一方のギヤボックス7c側に駆動連結された前記昇降用電動モータ7fにより他方のギヤボックス7c側を連動して駆動する駆動連結機構7e等を備えて構成され、電動モータ7fまたは手動操作ハンドル7dによりピニオンギヤを回動させてラック棒7aに支持された前記止水ゲート扉体6を昇降作動可能に構成されている。
前記止水ゲート扉体6の中央部左右には、両水路1、2間を連通させる一対の貫通孔が形成されるとともに夫々の貫通孔に前記ポンプ収容部6aが延出形成され、各ポンプ収容部6aには、前記止水ゲート扉体6が下降した止水姿勢において前記第一水路1から前記第二水路2に排水する排水ポンプ11が収容されている。
各排水ポンプ11は、前記ポンプ収容部6aに軸心が水平姿勢となるように設置され、内部空間が吐出流路となる断面円形の筒状のポンプケーシング20と、前記ポンプケーシングと同軸心で収容され、周方向に離間配置された複数枚の案内羽根19を介して支持された同期モータMと、前記同期モータMから突出した主軸の先端部に装着された羽根車18とを備えている。
前記ポンプケーシング20の吐出側には、水平軸心周りに揺動可能に軸支され、吐出流路を閉塞可能なフラップ弁12を備え、前記排水ポンプ11の作動時には前記吸込み部から吸込まれた水の吐出し圧力により開放姿勢に揺動し、前記排水ポンプ11の停止時には自重または吐出側の水圧により、閉塞姿勢に揺動して逆流を防止する。
各排水ポンプ11の同期モータMは、前記床盤4aに設置された操作盤5からケーブル保護装置PLにより保護された給電線を介して給電制御され、後述の駆動制御装置により設定された回転数で駆動される。
図3に示すように、前記操作盤5には、マイクロコンピュータ61を備えた駆動制御装置50が設けられている。前記駆動制御装置50は、各同期モータM(Ma,Mb)を起動または停止させる起動スイッチ51(51a,51b)と、各同期モータM(Ma,Mb)を駆動するインバータ52(52a,52b)と、各モータM(Ma,Mb)の駆動負荷を検出する負荷検出部としての電流検出部53(53a,53b)と、各モータM(Ma,Mb)により駆動される排水ポンプ11の異常状態を報知する報知部54(54a,54b)等を備えている。
前記マイクロコンピュータ61は、CPUと、CPUにより実行される制御プログラムや制御用のテーブルデータが格納されたROM62と、ワーキングエリアとして使用されるRAM63が内蔵され、ROM62に記憶された制御プログラムに基づいて所定の制御演算を実行して、前記昇降用電動モータ7fや同期モータMに制御信号を出力して前記ポンプゲート3を統括管理する。
前記マイクロコンピュータ61は、第一水路1の水位を検出する第一水路用水位センサ55及び第二水路2の水位を検出する第二水路用水位センサ56からの検出水位に基づいて、前記昇降用電動モータ7fを昇降制御するとともに、インバータ52を駆動制御して排水ポンプ11を駆動制御する。例えば、第一水路1より第二水路2の水位が下降すると前記昇降用電動モータ7fを上昇制御して止水ゲート扉体6を開放して自然流下させ、第一水路1より第二水路2の水位が上昇すると前記昇降用電動モータ7fを下降制御して止水ゲート扉体6により境界部を遮断し、第一水路の水位が比較的低い場合や水位差が小であるときには一方の排水ポンプ11を駆動して他方を待機させ、第一水路の水位があるレベル以上になった場合や水位差が大であるときには双方の排水ポンプ11を駆動する。
つまり、前記マイクロコンピュータ61とインバータ52a,52bにより、前記起動スイッチ51a,51bが閉成されているときに、前記モータM(Ma,Mb)を所定回転数に制御する回転数制御部が構成される。
前記回転数制御部は、前記負荷検出部53により検出される負荷値が制限負荷値を超えると、所定時間間隔で前記モータMの回転数を定格運転状態の所定回転数から段階的に低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低い所定負荷値より低下すると、所定時間間隔で前記モータの回転数を前記所定回転数に段階的に上昇制御する。
さらに、前記回転数制御部は、前記モータMの回転数を所定段階にわたり低下制御しても前記負荷値が制限負荷値より低下しないときに、前記モータMへの給電を停止する。
図4に示すように、前記回転数制御部によりインバータ52を介して同期モータMが定格電力内の所定回転数Nrpmで駆動されているときには、水位センサ55と水位センサ56の差である全揚程H(=水位センサ56により検出された水位−水位センサ55により検出された水位)Hmに対応してポンプ11の吐出量がQm/minとなり(図4の(a)点)、そのときの同期モータMの出力がPkWとなる(図4の(b)点)。つまり、全揚程曲線に沿ってポンプ11の吐出量が定まり、そのときの原動機出力曲線に基づいてポンプ11つまり同期モータMの電力が定まる。
一般に、モータの出力P(W)と、回転速度N(rpm)と、トルクT(N・m)には、P=C×N×T(Cは定数)で示す関係が成立する。排水に混入した異物が排水ポンプ11に絡み付き、同期モータMに掛かる負荷が増大すると、原動機出力曲線が上方に移動するため同期モータMに流れる電流値Iが上昇して同期モータMの電力が定格出力PokWを超えてしまう(図4の(c)点)。このとき、前記電流検出部53により同期モータMの駆動電流を検出することにより、モータに掛かる負荷が検出可能となる。
同期モータMに異常な高負荷が掛かった状態が継続すると異常発熱によりポンプ11の破損を招く虞がある。そこで、前記回転数制御部は、電流検出部53でモータの駆動電流値Iを検出し、定格電力での電流値または定格電力での電流値よりやや低い値に設定された制限電流値Ioを超えないよう、インバータにより同期モータの回転数を減少し、同期モータMに流れる電流値が制限電流値以下となる電流値I’まで降下させることにより過負荷状態での運転を回避する。
ここで、排水ポンプの回転数NをN’低下させると、吐出量Q(m/min)、揚程H(m)、出力P(kW)には、Q’=(N’/N)×Q、H’=(N’/N)×H、P’=(N’/N)×Pの関係が成立するため、回転数の変化率に対して電力は変化率の3乗で低減される。
例えば、同期モータMの回転数Nを10%低下させて回転数N’にすると、排水ポンプの吐出量Q’は0.90×Q(m/min)、揚程H’は0.81×H(m)となり(図4の(d)点)、出力P’は0.73×P(kW)(図4の(e)点)となり、効率的に過負荷状態での運転から抜け出すことができる。
以下、前記排水ポンプ11の駆動制御装置50による運転方法について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
大量の降雨等により第一水路の水位があるレベル以上に上昇した場合や、第二水路の水位が第一水路の水位より上昇すると、駆動制御装置50により止水ゲート扉体6が下降制御され、オペレータによる起動スイッチの操作または水位センサ55により検出された水位が所定の水位になったことが検出されると(SA1)、回転数制御部は、定格電力での電流値または定格電力での電流値よりやや低い値に設定された制限電流値Ioを超えない所定の回転数でインバータ52を駆動して排水ポンプ11を起動する(SA2)。
この状態で、排水ポンプ11への異物の絡み付き等により電流検出部53で検出された電流値が制限負荷値である制限電流値Ioより大となる異常負荷値以上となると、電流検出部53に設けられたハードウェアによる過電流検出部により同期モータMが強制的に停止され(SA14)、報知部54からその旨の警報が出力される(SA15)。
電流検出部53で検出された電流値が異常負荷値より低く(SA3)、制限負荷値である制限電流値Ioより大となるときには(SA4)、回転数制御部は前記モータMを現在の回転数より3%低い回転数で駆動するようにインバータ52に制御信号を出力するとともに、所定回転数から回転数を低下した回数をカウントするRAM63に区画されたカウンタをカウントアップし、さらに、RAM63に区画された履歴管理領域にモータの回転数の制御履歴情報を記録する(SA5)。つまり、RAM63が回転数制御部による前記モータMの回転数の制御履歴情報を記録する記憶部となり、回転数を変更制御した時間と回転数とカウンタの値を含む制御履歴情報が記憶される。
ステップSA5でカウントアップされたカウンタ値が所定の値(例えば3以上となると、回転数制御部はインバータ52を停止して同期モータMつまり排水ポンプ11を停止するとともに、報知部54から上述の過電流による強制停止とは異なる警報を出力する(SA7)。つまり、報知部54は、回転数制御部によりモータMの回転数が低下制御されているときに、その状態を報知するのである。一方、カウンタ値が所定の値未満であるときには(SA6)、ステップSA7をスキップして所定時間(例えば10秒)のインタバルタイマをセットする(SA8)。
ここで、起動スイッチがOFFであれば(SA9)、排水ポンプを停止し(SA10)終了する。起動スイッチがOFFでなければ(SA9)、ステップSA3に戻る。
最初にステップSA5を実行したときにはカウンタ値は1となり、以後、ステップSA5が繰り返される度にカウンタ値が1ずつ上昇する。従って、カウンタ値が所定の値となるまでの間、所定時間間隔で同期モータMの回転数が所定回転数から段階的に低下制御される。
ステップSA4で、制限負荷値である制限電流値Io以下となるときに、前記所定回転数より現在の回転数が低く制御され(SA11)、且つ、検出された電流値が制限電流値Ioより所定値(例えば制限電流値が100Aのときに10%の電流値である10A)だけ低い値を示すときには(SA12)、回転数制御部は、ポンプ11が過負荷状態から抜け出したと判断して、前記モータMを現在の回転数より3%高い回転数で駆動するようにインバータ52に制御信号を出力するとともに、前記カウンタ値をリセットして(SA13)、ステップSA8に進む。
つまり、回転数制御部はステップSA8で設定されるタイマ値の間隔でポンプ11の負荷状態を判断して、過負荷のときには前記所定回転数から段階的に減速制御し、過負荷状態から脱したときには前記所定回転数に向けて段階的に増速制御する。
回転数を段階的に低下制御する場合には、回転数の変動時に生じる水流の変化により、絡まった異物が自然に除去される確率を高めることができる。ここで、回転数を段階的に低下制御する場合に、上記実施例のように連続して運転を続けるのではなく、その切替時に一定時間モータMを停止したり逆転駆動することにより、絡まった異物が自然に除去される確率をさらに高めることもできる。
稼働中の排水ポンプ11に過負荷が掛かり、上述の回転数の切替制御を行なう場合に、待機中の排水ポンプを駆動させることにより一定の排水量を確保することも当然のことながら可能である。
従って、モータの過負荷状態での運転を防止して、ポンプの破損を回避しながらも、ある程度の排水量を確保でき、また、回転数を低下制御しているときに、異物がポンプから離脱した場合は、負荷に応じてポンプの回転数を段階的に上昇制御することで、十分な排水量を確保できる。
尚、上述の実施形態において、制限電流値の値、インタバルタイマの値、回転数の減速率、増速率は例示であり、このような値に制限されるものではないが、少なくとも、制限電流値は定格電力での電流値または定格電力での電流値よりやや低い値に設定するのが好ましい。
回転数制御部は、ステップSA7でポンプを停止制御すると、前記起動スイッチ51が閉成状態から開成状態に切り替えられた後で無ければ同期モータMを再起動することが無いように制御プログラムが設定されている。なおステップSA14による強制停止の場合も同様に設定されている。
そして、回転数制御部は、前記起動スイッチが開成状態から閉成されたときに、過去の制御状態に関わらず前記モータの回転数を前記所定回転数に制御する。様々な実験を通して、一旦排水ポンプを停止した後の次の排水ポンプの運転開始時には過負荷状態が解消される場合があることが見出されているためである。
しかし、回転数制御部は、前記起動スイッチ51が開成状態から閉成されたときに、前記記憶部に記憶された制御履歴情報に基づいて前記モータの回転数を制御するように構成してもよい。例えば、制御履歴情報としてRAM63に記憶された停止直前のモータMに対する制御回転数で起動時の回転数を制御し、その後検出される負荷電流値に基づいて回転数を段階的に制御してもよい。
排水ポンプに異物が混入しやすい環境等、記憶部に記憶された制御履歴情報に基づいて排水ポンプの運転状況を推定し、モータを運転開始時から最適な回転数で制御運転することで、過負荷状態での運転を事前に防止することができるのである。従って、頻繁に減速制御されるような場合には、制限電流値より低い電流値となるように、回転数を低下させた状態で起動して、その後、検出される負荷電流値に基づいて回転数を段階的に制御してもよい。
以下に別実施形態を説明する。上述した実施形態では、支流河川と本流河川の水路境界部に設置される開閉自在な止水ゲート扉体に取り付けられる横軸の軸流ポンプに対する駆動制御装置及び運転方法について説明したが、本発明が適用される排水ポンプは縦軸の軸流ポンプや斜流ポンプに適用することも可能であり、さらに、上述のポンプゲートに設置される排水ポンプに制限されるものではなく、排水機場やマンホールに設置される渦巻形の排水ポンプ、さらには貯水池の排水等に使用されるコラム形の軸流ポンプや斜流ポンプ等、排水ポンプ全般に適用することが可能である。
上述した実施形態では、ポンプゲート3に排水ポンプ11を2基備える場合について説明したが、これに限られず、排水ポンプ11を1基のみまたは3基以上の複数備えるポンプゲートであってもよい。
上述した実施形態では、排水ポンプに異物が絡み付くことにより負荷変動が生じる場合について説明したが、負荷変動の原因はこれに限られず、排水ポンプに逆旋回流入が生じることが原因で過負荷と検出されるような場合も含まれる。
上述した実施形態では、排水ポンプのモータとして同期モータを適用した場合について説明したが、排水ポンプに使用されるモータは同期モータに制限されるものではなく、誘導モータ、直流モータ等の任意のモータに適用することができる。また、回転数の制御はインバータを介するものに限られず、モータへ供給する電圧や電流等を制御してポンプの回転数を制御するものであってもよい。
上述した実施形態では、モータの回転数を段階的に増加または減少させる場合について説明したが、検出された電流値と制限電流値Ioの差を算出し、差に比例した回転数の増加幅、減少幅を算出し、それに基づいて回転数を制御してもよい。
上述した実施形態で説明した各部の具体的構造、材質、寸法等は、特に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜設計されるものである。
本発明によるポンプゲートの側断面図 本発明によるポンプゲートの第二水路側からの正面図 操作盤内に設置した駆動制御装置の説明図 排水ポンプの想定特性曲線の説明図 排水ポンプの運転方法を説明するフローチャート
符号の説明
1:第一水路
2:第二水路
3:ポンプゲート
11:排水ポンプ
50:駆動制御装置
51:起動スイッチ
52:回転数制御部
53:負荷検出部
54:報知部
63:記憶部
M:駆動用のモータ

Claims (8)

  1. 排水ポンプ駆動用のモータと、前記モータを所定回転数に制御する回転数制御部を備えている排水ポンプ装置であって、
    前記モータの駆動負荷を検出する負荷検出部を備え、前記回転数制御部は、前記負荷検出部により検出される負荷値が制限負荷値を超えると、前記モータの回転数を前記所定回転数から低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低い所定負荷値より低下すると、前記モータの回転数を前記所定回転数に上昇制御する排水ポンプ装置。
  2. 前記回転数制御部は、前記負荷検出部により検出される負荷値が制限負荷値を超えると、所定時間間隔で前記モータの回転数を段階的に低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低下すると所定時間間隔で前記モータの回転数を前記所定回転数に段階的に上昇制御する請求項1記載の排水ポンプ装置。
  3. 前記回転数制御部は、前記モータの回転数を所定段階にわたり低下制御しても前記負荷値が制限負荷値より低下しないときに、前記モータへの給電を停止する請求項2記載の排水ポンプ装置。
  4. 前記回転数制御部により前記モータの回転数が低下制御されているときに、その状態を報知する報知部を備えている請求項1から3の何れかに記載の排水ポンプ装置。
  5. 排水ポンプを起動したときに、前記回転数制御部は過去の制御状態に関わらず前記モータの回転数を前記所定回転数に制御する請求項1から4の何れかに記載の排水ポンプ装置。
  6. 前記回転数制御部による前記モータの回転数の制御履歴情報を記録する記憶部を備えている請求項1から4の何れかに記載の排水ポンプ装置。
  7. 排水ポンプを起動したときに、前記回転数制御部は、前記記憶部に記憶された制御履歴情報に基づいて前記モータの回転数を制御する請求項6記載の排水ポンプ装置。
  8. 排水ポンプ駆動用のモータを所定回転数に制御する排水ポンプの運転方法であって、
    前記モータの駆動負荷を検出して、検出した駆動負荷値が制限負荷値を超えると、所定時間間隔で前記モータの回転数を前記所定回転数から段階的に低下制御し、前記負荷値が前記制限負荷値より低い所定負荷値より低下すると、所定時間間隔で前記モータの回転数を前記所定回転数に段階的に上昇制御する排水ポンプの運転方法。
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