JP2009001823A - 脱硫軽油の製造方法 - Google Patents

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博史 水口
Katsumi Oki
勝美 大木
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貴志 藤川
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Abstract

【課題】水素化処理により硫黄分が従来よりも大幅に低減し、かつ色相が良好な脱硫軽油を製造する方法を提供する。
【解決手段】前段触媒床2及び後段触媒床3を有し、各触媒床にそれぞれ水素及び生成油を導入することが可能な構造の反応器に、全触媒床の平均温度300〜390℃、圧力2〜8MPaの条件下で、硫黄分0.1〜3質量%、沸点150〜400℃の範囲にある石油蒸留物からなる原料油と水素を導入し、前段触媒床へ導入する水素量aと後段触媒床へ導入する水素量bの比b/aを0.05〜5とする。このとき、水素量の比b/aを0.05〜2とし、かつ後段触媒床に生成油の10〜60%を循環して導入してもよいし、これに加えて、あるいはこれとは別に水を導入してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素化処理により脱硫軽油を製造する方法に関し、詳しくは、硫黄分を従来よりも大幅に低減し、かつ色相も良好な脱硫軽油を製造する方法に関する。
原油の蒸留や分解によって得られる各油留分は、一般に、硫黄化合物を含み、これらの油を燃料として使用する場合には、この硫黄化合物に起因する硫黄酸化物等の大気汚染物質が大気中に放出される。特に、ディーゼル機関からの排ガスによる大気汚染が深刻化しており、その燃料面からの対策として、軽油中の硫黄分の低減が強く要望されている。実際に、ディーゼル車排ガス中のNOxと粒子状物質の排出規制に対応して、日本では、1997年10月から軽油中の硫黄分の規制値が0.05%に改正され、ヨーロッパでは、軽油中の硫黄分を2000年までに350ppm、2005年までに50ppmとする案が提示されており、近い将来、日本でも、規制値の引き下げが予想される。このような状況下、軽油中の硫黄分を大幅に除去する超深度脱硫技術の開発が重要視されている。
超深度脱硫領域では、4−メチルジベンゾチオフェンや4,6−ジメチルジベンゾチオフェンのような脱硫活性点への立体障害を有する硫黄化合物が、脱硫を極めて困難にしている。これらの難脱硫性化合物は、含有量が少ないため、通常の脱硫領域では、比較的脱硫が容易な化合物の脱硫反応のみを促進すれば十分であったが、生成油の硫黄分を0.04質量%以下とするような超深度脱硫領域では、これらの難脱硫性化合物をも除去しない限り達成できない。
軽油中の硫黄分の低減化技術として、通常、水素化脱硫の運転条件を過酷にすること、例えば、反応温度を上昇させることや、液空間速度(LHSV)を大幅に低下させること等が行われている。しかし、LHSVを下げると、精製処理能力が低下するため、商業的に好ましくない。また、反応温度を上げると、生成油中に極微量含まれる多環芳香族化合物が増加することにより、生成油が着色し、色相が悪化する問題がある。我が国の市場においては、製品軽油の色相に対し、厳しい要求があるため、色相悪化の問題を解決することが必須である。
色相の良好な低硫黄軽油を製造する技術として、従来、特開平6−25678号公報に記載のような、2段処理方法が提案されている。この方法は、第一工程で脱硫を行い、第二工程で色相改善を行う方法であり、第二工程では脱硫反応はほとんど進行しないため、生成油硫黄分0.04質量%以下の超深度脱硫を行うためには、処理能力(LHSV)を低下させなければならない。さらに、反応器が複数必要なことから、設備投資や運転管理等に莫大なコストがかかるばかりでなく、熱効率等も悪い等の欠点を有している。
従って、一工程で、処理能力を低下することなく、色相等の性状が良好な超深度脱硫軽油を製造することは極めて困難であり、そのような方法は、これまで、ほとんど見あたらない。
本発明は、軽油の水素化処理において、精製処理能力を大幅に低下することなく、色相等の性状が良好な、いわゆる超深度脱硫軽油を、1つの反応塔(反応器)のみを用いて言わば一工程で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の問題を解決するため鋭意研究した結果、超深度脱硫領域では、難脱硫性化合物の脱硫反応を効率的に進行させるために芳香環を水素化し立体障害を低減させることが有効であること、及び、軽油の色相を悪化させる原因となる極微量な多環の芳香族化合物を特定の条件下で水素化して除去すれば、色相等の性状を改善できることを見い出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、1つの反応塔内に前段触媒床及び後段触媒床の2つの水素化触媒床を有し、かつ前段触媒床及び後段触媒床のそれぞれに水素導入手段を備えた該反応塔に、全触媒床の平均温度300〜390℃、圧力2〜8MPaの条件下で、硫黄分0.1〜3質量%、沸点150〜400℃の範囲にある石油蒸留物からなる原料油と水素を導入し、前段触媒床へ導入する水素量aと後段触媒床へ導入する水素量bの比b/aを0.05〜5とすることを特徴とする脱硫軽油の製造方法を要旨とする。このとき、この水素量の比b/aを0.05〜2とし、かつ後段触媒床に生成油の10〜60%を循環して導入することもできる。また、この生成油の循環に加えて、あるいはこの生成油の循環とは別に、原料油1リットル当たり0.01〜0.2kgの水を導入することもできる。
以上のように、本発明の方法によれば、既存の1つの反応塔に軽微な改良を加えるだけで、従来の脱硫技術による場合に比して、軽油を超深度脱硫することができるとともに、この超深度脱硫軽油の色相をも大幅に改善することができ、設備コストを低く抑えて、高品質の軽油を製造することができる。
上記の平均温度は、下記式で算出される。
触媒床平均温度=〔(T1×X1)+(T2×X2)〕/(X1+X2)
T1:前段触媒床の温度T2:後段触媒床の温度X1:前段触媒床の体積X2:後段触媒床の体積なお、T1及びT2は、各触媒床の入口温度と出口温度の平均値である。
本発明において、原料油は、硫黄分が0.1〜3質量%程度の、例えば、原油の常圧あるいは減圧蒸留により得られる直留軽油の他、接触分解軽油、熱分解軽油、水素化処理軽油、脱硫処理軽油、減圧蒸留軽油(VGO)等の軽油留分、あるいはこれらを混合したものが挙げられる。
また、本発明で使用する反応塔(反応器)は、1つのみであり、この1つの反応塔内に前段触媒床及び後段触媒床の2つの触媒床を有し、基本的には、前段触媒床には、原料油と水素の導入が可能であり、後段触媒床には、前段触媒床で水素化処理が終了した後の原料油(前段触媒床で余剰となった水素を伴うこともある)の導入が可能な構造であり、これに加えて、後段触媒床には、外部からの水素の導入が可能であるとともに、循環生成油又は水あるいはこれら両者の導入が可能な構造のものである。上記の前段触媒床及び後段触媒床はそれぞれ、1つ以上の触媒層で構成し、前段触媒床には、入口部のみならず、各触媒層間に、外部からの水素導入手段を設けることができ、後段触媒床には、入口部のみならず、各触媒層間に、外部からの水素導入手段の他に、循環生成油導入手段又は水導入手段あるいはこれら両導入手段を設けることができる。後段触媒床における外部からの水素、循環生成油、水の導入は、後段触媒床の温度を考慮して、水素の導入のみとしてもよいし、水素の導入に、循環生成油の導入、水の導入のいずれか一方または双方を加えてもよい。
前段触媒床と後段触媒床の体積比は、1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1、より好ましくは1.2:1〜3:1、特に好ましくは1.5:1〜2.5:1である。前段触媒床では、高濃度硫黄化合物を大幅に低減するため、後段触媒床と比較して液空間速度(LHSV)は低い方が好ましく、後段触媒床では、微量の難脱硫性化合物や多環芳香族を除去するため、前段触媒床と比較してLHSVを高くすることができるためである。触媒床全体では、LHSVは、0.5〜2.5h−1の範囲が好ましい。
反応の圧力は、高いほど脱硫及び水素化反応に有利であるが、高すぎると、装置の建設費や運転費などのコストが増大するため、2〜8MPa程度が好ましい。
前段触媒床では、比較的脱硫が容易な化合物を効率良く除去することが重要であるので、触媒床温度を350〜400℃程度(入口温度約340〜390℃、出口温度約350〜410℃)とすることが好ましい。これより低温であると脱硫反応が十分進行せず、高温であると分解のような望ましくない反応が起こる。前段触媒床の温度は、導入する原料油及び水素の温度等により、この温度範囲内で適宜制御することができる。
後段触媒床では、難脱硫性の硫黄化合物及び微量の多環芳香族を水素化するのに適した反応条件にすることが重要である。芳香族化合物の水素化反応は、高温では平衡的に不利となるため、後段触媒床は、前段触媒床よりも低温とすることが好ましく、250〜350℃程度(入口温度約240〜350℃、出口温度約250〜360℃)とすることが適している。後段触媒床の温度は、導入する水素の温度や量、生成油の循環量や温度、あるいは水の導入量や温度等により、この温度範囲内で適宜制御することができる。
また、脱硫及び水素化反応は大きな発熱を伴うので、反応熱による触媒床の温度上昇を抑えるために、前段、後段触媒床ともに、導入する水素の一部を触媒床の途中より導入することもできる。この各触媒床の途中から導入する水素の量は、各触媒床の温度変化(循環させる生成油の温度や量、導入する原料油や水の温度や量等により変化する)に応じて適宜制御すればよい。このようにして、前述の式で算出される全触媒床の平均温度を300〜390℃程度に制御することが好ましい。
原料油は水素とともに、まず、前段触媒床に導入し、脱硫反応によって硫黄分を大幅に低減させる。脱硫された原料油は、続く後段触媒床に導入する。このとき、前段触媒床に導入する水素量aと後段触媒床に導入(外部から導入)する水素量bの比b/aが0.05〜5となるようにする。後段触媒床で、水素化反応を促進することにより、難脱硫性化合物の脱硫を容易にすると同時に、色相をも改善することができる。水素化反応は、水素濃度が高いほど平衡的に有利であるため、水素の導入量が少ないと、水素化反応を効率良く進行させることができない。水素量が多すぎると、水素が無駄になるばかりでなく、コンプレッサ等の設備コストが増大する。反応器に導入する全水素量(前段及び後段触媒床に上記比で導入する水素の合計量)は、水素/油比(原料油1リットル当たりの水素の供給量リットル《標準状態、0℃、1気圧》)で、250〜800、好ましくは300〜600程度にするのがよい。
また、本発明では、後段触媒床での水素化反応をより促進するために、後段触媒床へ、生成油を循環して導入したり、この循環導入に加えて、あるいはこの循環導入に代えて、水を導入することが好ましい。この水は、工業用水、純水、その他種々の水でよいが、触媒への影響を少なくするためには、不純物の少ない水が好ましく、蒸留水やイオン交換水等の純水が適している。生成油や水の温度、循環量、導入量は、後段触媒床の温度が前述の温度範囲内になるように適宜調整すればよい。生成油の循環量は10〜60%程度が適しており、水の導入量は原料油1リットル当たり0.01〜0.2kg程度、好ましくは0.02〜0.15kg程度が適している。なお、水の量が多すぎると、触媒床の温度が低下しすぎるばかりでなく、生成油と水の分離が困難になる。
生成油を循環する場合は、触媒床の温度が低下しないよう、導入する水素は、生成油を循環しない場合より少なくすることが好ましく、水素量の比b/aは、0.05〜2程度、好ましくは0.08〜1.0程度が適しており、後段に導入する水素の量は、水素/油比で、10〜300程度、好ましくは25〜300程度、特に好ましくは25〜200程度がよい。水を導入する場合は、触媒床の温度を低下させる効果が生成油を循環させる場合に比べて大きいので、さらに水素量を少なくすることが好ましく、水素量の比b/aは、0.05〜2程度、好ましくは0.08〜1.0程度、より好ましくは0.1〜0.5程度が適しており、後段に導入する水素の量は、水素/油比で、10〜200程度、好ましくは10〜150程度、特に好ましくは10〜100程度がよい。反応器に導入する全水素量、後段に導入する水素の量、水素量の比は、生成油の循環量や水の導入量を考慮し、上記範囲内で適宜制御すればよい。なお、生成油の循環や水の導入を行わない場合は、触媒床の温度が低下しすぎることが少ないため、水素量の比b/aは、前述のように0.05〜5程度、好ましくは0.5〜5程度、特に好ましくは1.0〜2.5程度が適しており、後段に導入する水素の量は、水素/油比で、50〜500程度、好ましくは50〜400程度がよい。
本発明で使用することができる水素化脱硫触媒は、その担体として、種々のものが使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、ボリア、マグネシア、チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、シリカ−ボリア、ジルコニア−アルミナ、チタニア−アルミナ、ボリア−アルミナ、アルミナ−クロミア、チタニア−ジルコニア、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア−ジルコニア、ゼオライト、ゼオライト−アルミナ、モレキュラーシーブ、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、サポナイトなどの無機酸化物、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの無機酸化物のうち、好ましくは、アルミナ、ゼオライト−アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ボリア−アルミナ、ジルコニア−アルミナが挙げられ、特に好ましくは、アルミナ、ゼオライト−アルミナ、チタニア−アルミナが挙げられ、これらは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の前段触媒床の水素化脱硫触媒は、上記担体に、モリブデン、タングステンの少なくとも一方を含む周期律表第6族金属(以下、6族金属と記す)を担持し、かつ、コバルト、ニッケルの少なくとも一方を含む周期律表第8族金属(以下、8族金属と記す)を担持した触媒を用いることができる。これらの触媒は、必要に応じて、リン、ホウ素、亜鉛、ジルコニア等を含有するものであってもよい。
6族金属の担持量は、触媒基準かつ酸化物換算で10〜40質量%の範囲が好ましい。6族金属が10質量%より少ないと、活性点として働く6族金属の絶対量が少ないために、脱硫活性が発現せず、逆に40質量%より多過ぎると、金属の凝集が起こり活性点の数が減少し、その結果、脱硫活性が却って低下する。また、8族金属の担持量は、触媒基準かつ酸化物換算で1〜10質量%の範囲が好ましい。8族金属が1質量%より少ないと充分な脱硫活性が得られず、10質量%を超えても、脱硫活性が飽和する。必要に応じて含有させるリン、ホウ素、亜鉛、ジルコニア等の量は、触媒基準かつ酸化物換算で0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明の後段触媒床の水素化脱硫触媒は、前段触媒床の触媒と同じか、あるいは、上記担体に、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金のうち少なくとも1種を含む8族金属を担持した触媒を用いることができる。これらの触媒も、必要に応じて、リン、ホウ素、亜鉛、ジルコニア等を含有するものであってもよい。
ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金のうちの少なくとも1種の金属の担持量は、触媒基準かつ金属換算で0.1〜20質量%の範囲が好ましい。この範囲より少ないと充分な脱硫活性が得られず、多くても、脱硫活性が飽和する。必要に応じて含有させるリン、ホウ素、亜鉛、ジルコニア等の量は、触媒基準かつ酸化物換算で0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
以上の前段及び後段触媒は、軽油留分に対する脱硫活性を高めるために、その比表面積、細孔容積及び平均細孔径が、以下の値を有するものであることが望ましい。比表面積(BET法)は、100〜400m/g程度、好ましくは150〜400m/g程度である。比表面積が小さいと、活性金属の分散性が悪くなって、脱硫活性が低下し、大きいと、細孔直径が極端に小さくなるため、触媒の細孔直径も小さくなって、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が不十分となり、脱硫活性が低下する。
細孔容積(水銀圧入法)は、0.25〜0.80ml/g程度、好ましくは0.35〜0.70ml/g程度である。0.25ml/g程度未満では、硫黄化合物の触媒細孔内での拡散が不十分となって、脱硫活性が不十分となり、0.80ml/g程度より大きいと、触媒の比表面積が極端に小さくなって、活性金属の分散性が低下し、脱硫活性が低下する。
平均細孔直径は、60〜200Å程度、好ましくは65〜180Å程度の範囲である。60Å程度未満では、反応物質が細孔内に拡散し難くなるため、脱硫反応が効率的に進行せず、200Å程度より大きいと、細孔内の拡散性は良いものの、細孔内表面積が減少するため、触媒の有効比表面積が減少し、活性が低くなる。
また、上記の細孔条件を満たす細孔の有効数を多くするために、触媒の細孔径分布、即ち平均細孔径±15Åの細孔径を有する細孔の割合は、50%以上、好ましくは70%以上である。しかも、細孔分布は、モノモーダルであることが好ましい。触媒の細孔径分布がシャープなものでないと、活性に関与しない細孔が増大し、脱硫活性が減少する。
触媒形状は、特に限定されず、通常、この種の触媒に用いられる種々の形状、例えば、円柱状、四葉型等を採用することができ、好ましくは拡散の観点から四つ葉型である。触媒の大きさは、通常、直径が1〜2mm程度、長さ2〜5mm程度が好ましい。触媒の機械的強度は、側面破壊強度(SCS《Side crush strength》)で約2lbs/mm以上が好ましい。SCSが、これより小さいと、反応装置に充填した触媒が破壊され、反応装置内で差圧が発生し、水素化処理運転の続行が不可能となる。触媒の最密充填かさ密度(CBD:Compacted Bulk Density)は、0.60〜1.0程度が好ましい。
触媒中の活性金属の分布状態は、触媒中で活性金属が均一に分布しているユニフォーム型が好ましい。
図1は、本発明の方法を実施する装置の一例を模式的に示した図であり、1は既存の反応塔であって、頂部から原料油を投入し、底部から生成油を取り出す方式のものである。従って、反応塔1の上方部に前段触媒床(ここでは2つの触媒層から構成されるものを示している)2を、その下方部に後段触媒床(ここでは1つの触媒層から構成されるものを示している)3を形成し、各触媒床2,3の入口部にそれぞれ水素導入手段21,31を設けたものである。また、必要に応じて、各触媒床2,3のそれぞれの途中(図1では、前段触媒床2のみの途中)に温度制御(クエンチ)用の水素導入手段22を(図1では、水素導入手段21の途中から分岐させて)設け、後段触媒床3に生成油の循環手段32及び水の導入手段33を設ける。なお、図1の例では、前段触媒床2と後段触媒床3との間4、言い換えれば後段触媒床3の入口部4は、前段触媒床2からの油や余剰水素と、導入手段31からの水素と、場合によっては導入手段32からのリサイクル生成油や導入手段33からの水との混合が充分行われるような構造とする。この部分4の構造は、導入手段31からの水素の導入圧力、あるいは導入手段32からのリサイクル生成油や導入手段33からの水の導入圧力等を加味して、この混合状態を考慮し、適宜設計すればよい。
実施例1〜2
図1に示す反応塔1内に、体積(X1)100mlの前段触媒床2と、体積(X2)50mlの後段触媒床3を形成し、前段触媒、後段触媒ともに、アルミナ担体に、コバルト5質量%及びモリブデン21質量%を担持した触媒(触媒A)を用い、表1に示す性状の原料油を、表2示す反応条件にて、生成油の循環又は非循環の下で脱硫処理した。結果を表2に示す。
実施例3〜4
前段触媒に実施例1の触媒Aを用い、後段触媒として、アルミナ担体に、コバルト3質量%、ニッケル2質量%及びモリブデン21質量%を担持した触媒(触媒B)を用いる以外は、実施例1と同様にして脱硫処理を行った。結果を表2に示す。
実施例5
後段触媒床に、原料油1リットル当たり0.07kgの水(蒸留水)を導入しながら、表2に示す条件とする以外は、実施例1と同様にして脱硫処理を行った。結果を表2に示す。
実施例6
後段触媒床に、原料油1リットル当たり0.09kgの水(蒸留水)を導入しながら、表2に示す条件とする以外は、実施例3と同様にして脱硫処理を行った。結果を表2に示す。
実施例7
後段触媒床に、生成油の10%を循環しつつ、同時に原料油1リットル当たり0.05kgの水(水道水)を導入しながら、表3に示す条件とする以外は、実施例1と同様にして脱硫処理を行った。結果を表3に示す。
実施例8
後段触媒床に、生成油の10%を循環しつつ、同時に原料油1リットル当たり0.07kgの水(蒸留水)を導入しながら、表3に示す条件とする以外は、実施例2と同様にして脱硫処理を行った。結果を表3に示す。
比較例1〜2
前段触媒、後段触媒ともに、触媒Aを用い、生成油を循環させず、また後段触媒床へ水素も水も導入しない以外は、実施例1と同様にし脱硫処理を行った。結果を表3に示す。
Figure 2009001823
Figure 2009001823
Figure 2009001823
表2〜3から分かるように、比較例1,2のように、水素量の比b/a、生成油循環比、水の導入量をともに0とした場合、反応温度を低くすると、硫黄分が高くなり、反応温度を高くすると、硫黄分は低下できるが、色相の改善効果は余り好ましくないのに対し、実施例1,3のように水素量の比b/aを2.0とした場合、実施例2,4のように生成油循環比を30%とした場合、実施例5,6のように水を導入した場合、実施例7,8のように生成油の循環と水の導入とを行った場合は、生成油の硫黄分、色相ともに良好であり、本発明が色相の良好な超深度脱硫軽油の製造に効果があることが分かる。
本発明の方法を実施する装置の一例を模式的に示す図である。
符号の説明
1 反応塔
2 前段触媒床
3 後段触媒床
21,22,31 水素導入手段
32生成油循環手段
33水導入手段

Claims (3)

  1. 1つの反応塔内に前段触媒床及び後段触媒床を有し、かつ前段触媒床及び後段触媒床のそれぞれに水素導入手段を備えた該反応塔に、全触媒床の平均温度300〜390℃、圧力2〜8MPaの条件下で、硫黄分0.1〜3質量%、沸点150〜400℃の範囲にある石油蒸留物からなる原料油と水素を導入し、前段触媒床へ導入する水素量aと後段触媒床へ導入する水素量bの比b/aを0.05〜5とすることを特徴とする脱硫軽油の製造方法。
  2. 水素量の比b/aを0.05〜2とし、かつ後段触媒床に生成油の10〜60%を循環して導入することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 水素量の比b/aを0.05〜2とし、かつ後段触媒床に、原料油1リットル当たり0.01〜0.2kgの水を導入することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
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