JP2008545899A - 編組ロープ構造物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高分子フィラメントで作製されたn本の編組された一次ストランドから本質的になる、折り返し滑車用途のための編組ロープであって、アスペクト比が1.2〜4.0の範囲にある楕円形の断面を有する編組ロープに関する。かかるロープは、繰返しの折り返し滑車用途において著しく向上した耐用寿命性能を示す。本発明はまた、折り返し滑車用途における耐荷重部材としての本発明による編組ロープの使用、ならびに、かかるロープと、寸法をロープの寸法に適合させた溝を有する少なくとも1つの滑車とを含むシステムに関する。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、編組された一次ストランドから本質的になる、折り返し滑車用途のための編組ロープであって、ストランドの量がn本であり、ストランドが高分子フィラメントで作製されている編組ロープに関する。本発明はまた、前記ロープと滑車とを含むシステム、ならびに、本発明によるロープを作製する方法に関する。
かかる編組ロープ構造物は、米国特許第5,901,632号明細書から知られている。この特許公報には直径の大きな編組ロープが記載されており、このロープは、好ましくは高強度の高分子フィラメントを含むロープヤーンでできた、互いに編組された一次ストランドを含む。示された最も好ましい実施形態では、ロープは、12本のストランドの綾織した丸打ち組紐であり、各ストランド自体は、高弾性ポリエチレン(HMPE)フィラメントから作製された12本のストランドの組紐(12×12構造)である。
折り返し滑車用途のための編組ロープは、船舶、海洋観測、沖合油田およびガス田、地震探査、商業漁業やその他の産業市場などのリフトおよび係留用途に典型的に用いられる耐荷重ロープであると考えられる本願の内容の範囲内である。折り返し滑車用途と総称されるこのような使用の際、ロープは、ドラム、ビット、プーリ、滑車などの上を引っ張られることが多く、その結果、擦れや曲げが生じる。このような頻繁な曲げや屈曲を受けると、例えば、外側および内側の磨耗、摩擦熱、または疲れ破壊(曲げ破壊または屈曲劣化とも呼ばれる)に起因してロープとフィラメントが傷むためにロープが使えなくなることがある。
折り返し滑車用途におけるロープの屈曲劣化を抑えるために、少なくとも8のロープ直径を有する滑車(または他の表面)の使用が一般に推奨されている。外側の磨耗に起因するロープの強度の低下を抑えるために、ロープまたはロープ中のストランドに、例えば織ったスリーブまたは編んだスリーブといった外被を設けることが知られている。しかし、これらの外被は、ロープ直径と剛性を増し、重量とコストを高めるが、ロープの耐荷重能力には寄与せず、さらに耐荷重要素の目視検査ができない。ロープストランドに高分子フィラメントの特定の混合物を利用することが、米国特許出願公開第2004/0069132A1号明細書に提案されている。性能を高めるための他の公知の手段としては、ロープに特定の仕上げ剤または塗料を付与することがある。
しかし、公知のロープ構造物の欠点は、依然として、頻繁な曲げや屈曲を受けた場合の限られた耐用寿命である。したがって、長期間の繰返しの折り返し滑車用途において向上した性能を示すロープが業界で求められている。したがって、本発明の目的は、向上した性能を示すこのような編組ロープを提供することである。
この目的は、本発明によれば、アスペクト比が1.2〜4.0の範囲にある楕円形の断面を有する編組ロープによって達成される。
ロープの作製に、断面がほぼ円形のほぼ丸打ちの組紐または筒状の組紐が用いられるため、本発明による直径の大きな編組ロープが繰返しの折り返し滑車用途において向上した耐用寿命性能を示すことは意外である。例えば、「Handbook of fibre rope technology」(マッケンナ(McKenna)、ヒール(Hearle)およびオヒアー(O’Hear)編、ウッドヘッドパブリッシング社(Woodhead Publishing Ltd.)、ISBN 1 85573 606 3)の203頁以下を参照のこと。例えば、平打ち組紐またはいわゆる蛇腹組紐といった、断面が平坦なロープまたはコードはそれ自体公知であるが、このような編組された構造物は通常、装飾品、飾り、またはキャンドルウィッキングとして利用され、深海設備用ロープなどの耐荷重ロープには利用されない。
本発明によるロープの他の利点としては、例えば、ストランド間および/またはフィラメント間の摩擦の結果として、使用の際に生じる熱が少ないこと、ならびに、ロープが開放構造をとっている結果、例えば水によってより効率的な冷却がもたらされることが挙げられる。ロープは高強度効率を有し、このことは、ロープの強度が、その構成フィラメントの強度の比較的高い割合であることを意味する。ロープはまた、トラクションウィンチおよびストレージウィンチにおける向上した性能(すなわち、より規則的な巻上げおよびより浅い埋込み)を示す。本発明によるロープは、可能性のある損傷を容易に検査でき、必要に応じて容易に修繕することができる。
したがって、本発明はまた、折り返し滑車用途における耐荷重部材としての本願においてさらに詳述される構造および組成の編組ロープの使用に関する。
本発明によるロープにおいては、奇数本のストランドからなる場合でさえ、ストランドとも呼ばれる一次ストランド自体が、バランスの取れたトルクのないロープを得るためのレイドロープまたは平行ロープストランドの代わりに、編組されたトルクバランスの取れた構造物である。編組ロープの一次ストランドの数(n)は3以上である。
本発明によるロープは、楕円形の断面を有し、このことは、引っ張ったロープの断面が、高耐久性ロープ用に一般的なものとして円形、丸形、または立方形の形態ではなく、平坦な、楕円形、またはさらには(一次ストランドの数に応じて)ほぼ矩形の形態を示すことを意味する。断面は、1.2〜4.0の範囲内のアスペクト比、すなわち大きい方の直径の小さい方の直径に対する比率(または幅対高さの比率)を有する。アスペクト比を求める方法は当業者に公知であるが、一例としては、ロープを(少なくとも小さい)張力下に保ちながら、または接着テープをロープの周りにきつく巻き付けた後、ロープの外形寸法を測定することが挙げられる。前記アスペクト比の利点は、繰返しの曲げの際に、ロープのフィラメント間に生じる応力差が小さいこと、ならびに、磨耗熱または摩擦熱の発生が少ないため、曲げ疲労寿命が延長されることである。しかし、ある組紐構造から生じる約4を超えるアスペクト比は、ロープの強度の低下をもたらし、またはよくても強度効率の低下をもたらす。したがって、断面のアスペクト比は約1.3〜3.0であることが好ましく、より好ましくは約1.4〜2.0、さらにより好ましくは約1.5〜1.8、最も好ましくは約1.6〜1.7である。
本発明によるロープは、様々な組紐構造をとり得る。公知の様々な種類の組紐があり、それぞれ一般に、織物を形成する方法によって区別されている。好適な構造物としては、蛇腹組紐、筒状組紐および平打ち組紐が挙げられる。蛇腹組紐は、容易に変形させることのできる平織物であり、通常、ウィッキング、装飾用織物、刺繍およびトリミングに用いられる。蛇腹組紐は、2つのホーンギア/ホーンドッグを有する編組機を用いて作製されてもよく、それぞれが、典型的に、3〜17のキャリヤ(よって3〜17本の一次ストランド)用に意図された奇数のスロットを有する。筒状組紐または丸打ち組紐は、最も一般的な組紐であり、一般に、考えられる様々なパターンを有する、撚り合わせられた2組のストランドからなる。筒状組紐は、例えば、環状のアレイ内に一連のホーンギア/ホーンドッグを含む機械で作製可能であり、その際、2組のストランドを互いに反対方向に円に入れる一方、該ストランドを半径方向に出入りさせる(メイポール(Maypole)編組機)。筒状組紐のストランドの数は幅広く変化し得る。特にストランドの数が多い場合、および/またはストランドが比較的薄い場合、筒状組紐は中空の芯を有することがあり、該組紐はつぶれて楕円形状になることができる。平打ち組紐は筒状組紐の変更例とみなすことができ、網組機で作製可能であり、その際、ホーンギアは閉じた円を形成しない(1つ以上の隣接した途切れ部分がある)。このように、ストランドを含むキャリヤは、サイクルの終わりに達し、その後、逆向きに戻される。
本発明によるロープの一次ストランドの数は、少なくとも3である。ストランドの数を増やすと、ロープの断面のアスペクト比がより高くなる。しかし、より多数のストランドは、ロープの強度効率を低下させる傾向がある。したがって、ストランドの数は、組紐の種類に応じて、16以下であることが好ましい。ストランドの数nが3〜12であるロープが特に好適である。好ましくは、ロープは蛇腹組紐であり、nは3、5、7、または9であり、より好ましくは5または7である。このようなロープは、靭性と屈曲劣化に対する耐性との好ましい組合せをもたらし、比較的単純な機械で経済的に作製可能である。
本発明による編組ロープは、編組周期(すなわちロープの幅に関連するピッチ長)が特に重要でない構造をとることができ、好適な編組周期は4〜20の範囲内である。編組周期がより長くなると、より高い強度効率を有するより緩いロープが得られるが、頑丈さに劣り、より接合しにくくなる。編組周期が短すぎると、靭性を低下させ過ぎる。したがって、編組周期は約5〜15であることが好ましく、より好ましくは6〜10である。
本発明によるロープは、広い範囲で変動する直径を有し得る。例えば約2〜20mmの範囲の小さな直径のロープは典型的には、自動車のドアウィンドウのリフト機構などの機械装置におけるコードとして利用される。大きな直径の、または高耐久性ロープは典型的には、少なくとも20mmの直径を有する。断面が楕円形のロープの場合、相当直径、すなわち丸打ちでないロープと長さ当たりの質量が同じ丸打ちロープの直径によって丸打ちロープのサイズを画定するのがより正確である。しかし、ストランドによって画定されるロープの境界が不規則であるために、そのサイズを測定するのに、ロープの直径は一般に不確実なパラメータである。より簡潔なサイズパラメータは、繊度とも呼ばれる、ロープの線密度であり、これは長さ当たりの質量である。繊度はkg/mで表すことが可能であるが、繊維の単位であるデニール(g/9000m)またはdtex(g/10000m)が用いられることが多い。直径および繊度は式d=(T/10ρv)0.5[式中、Tは繊度(dtex)であり、dは直径(mm)であり、ρはフィラメントの密度(kg/m)であり、vは充填率(通常、約0.7〜0.9である)]にしたがって関係付けられる。それにもかかわらず、直径の値でロープのサイズを表すことがロープ業界では依然として通例である。ロープが大きくなるにしたがい本発明の利点がより関連してくるため、好ましくは、本発明によるロープは、少なくとも30mm、より好ましくは少なくとも40mm、50mm、60mmまたはさらには少なくとも70mmの相当直径を有する高耐久性ロープである。公知の最も大きなロープは、直径が最大約300mmであり、深海設備で用いられるロープの直径は最大約130mmである。
本発明によるロープにおいては、各一次ストランド自体が編組ロープである。好ましくは、一次ストランドは、ロープヤーンとも呼ばれる、偶数の二次ストランドから作製される丸打ち組紐である。二次ストランドの数は制限されないが、例えば6〜32の範囲であってよく、かかる組紐を作製するための利用可能な機械を考慮して8、12または16が好ましい。当業者であれば、自分自身の知識に基づいて、またはある種の計算または実験を利用して、ロープの所望の最終構造およびサイズに関して、構造の種類およびストランドの繊度を選択することができる。
高分子フィラメントを含む二次ストランドまたはロープも同様に、所望のロープに応じて、様々な構造をとり得る。好適な構造物としては、マルチフィラメント撚糸(またはレイドロープ)が挙げられるが、丸打ち組紐のような、編組されたロープまたはコードを用いることもできる。好適な構造物は、例えば、米国特許第5901632号明細書に挙げられている。
ロープヤーンは、(直径が典型的にはmm範囲までの)モノフィラメントの形態、あるいは、典型的には0.2〜25dtexの範囲、好ましくは約0.5〜20dtexの繊度を有する複数のフィラメントを含むマルチフィラメントの形態のいずれかの様々な高分子フィラメントを含み得る。好適なフィラメントは、ポリプロピレンおよびポリエチレン(コポリマーおよび超高モル質量ポリマーを含む)のようなポリオレフィン、ポリエステル(ポリ(エチレンテレフタレート)、またはサーモトロピックポリエステルを含む)、ポリアミド(PA6、PA66またはPA46、またはリオトロピック芳香族ポリアミドを含む)を含む合成ポリマーから作製される。ロープヤーンは、単一の種類のフィラメントを含み得るが、例えば、相補的性質を備えた1種以上の異なるフィラメントのブレンドも含み得る。好ましくは、ロープヤーンは、少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも2.0、2.5またはさらには少なくとも3.0N/texの靭性を有する高強度フィラメントを含む。フィラメントの引張強度、また単に強度、あるいは靭性は、ASTM D885−85またはD2256−97に基づいて、公知の方法によって測定される。一般に、かかる高強度高分子フィラメントはまた、例えば少なくとも50N/tex、好ましくは少なくとも75、100またはさらには少なくとも125N/texといった、高い引張弾性率を有する。かかる高強度および/または高弾性率フィラメントを用いることの利点は、得られるロープも高い靭性を有すること、すなわち、より低強度のフィラメントを含みかつ同じ最大耐荷重能力を有する標準のロープと比較して、直径を比較的小さくすることができることである。
好ましい実施形態では、本発明によるロープの高分子フィラメントは、超高モル質量ポリエチレン(高弾性ポリエチレンフィラメント(HMPE)とも呼ばれる)から作製される高強度フィラメントおよび任意に他のフィラメントを含む。より好ましくは、一次ストランドは、HMPEフィラメントから本質的になり、その利点は、これらのフィラメントは、高い引張強度、優れた耐摩耗性および低い比重のような性質を兼ね備え、結果として、水に浮くであろう1未満の密度を有し得る高強度ロープが得られることである。
超高モル質量ポリエチレン(UHPE)は、4dl/gより高い固有粘度(IV)を有する。IVは、方法PTC−179(Hercules Inc.Rev.1982年4月29日付)にしたがってデカリン中135℃で測定され、溶液1l当たり2gの量で酸化防止剤としてDBPCを用いて、溶解時間は16時間であり、様々な濃度における粘度がゼロ濃度に外挿される。固有粘度は、MおよびMのような実際のモル質量パラメータより容易に測定できるモル質量(分子量とも呼ばれる)の尺度である。IVとMとの間には、例えば、M=5.37×10[IV]1.37(欧州特許出願公開第0504954A1号明細書を参照のこと)といったいくつかの経験的関係があるが、かかる関係は、モル質量分布に依存している。HMPE繊維(例えばフィラメントヤーン)は、好適な溶媒中のUHPEの溶液を紡糸してゲル繊維にし、このゲル繊維を、溶媒を除去する前、その間、および/またはその後に延伸することによって、すなわち、例えば、欧州特許出願公開第0205960A号明細書、国際公開第01/73173号A1パンフレット、「Advanced fiber spinning technology」(T.ナカジマ(Nakajima)編、ウッドヘッドパブリッシング社(1994年)、ISBN 185573 182 7)およびこれらに引用された文献に記載されるようないわゆるゲル紡糸法によって、製造可能である。HMPE繊維は、好ましくは約5〜40dl/g、より好ましくは7〜30dl/gのIVを有する。好ましくは、UHPEは、炭素原子100個当たり1個未満の分枝、好ましくは炭素原子300個当たり1個未満の分枝を含む線状ポリエチレンであるが、1個の分枝または側鎖は通常、少なくとも10個の炭素原子を含有している。線状ポリエチレンは、5モル%までの1種以上のコモノマー(プロピレン、ブテン、ペンテン、4−メチルペンテンまたはオクテンのようなアルケンなど)をさらに含み得る。
好ましい実施形態では、UHPEは、側鎖として少量の比較的小さい基、好ましくはC〜Cアルキル基を含む。所定の量のかかる側基は、クリープ挙動の向上した繊維をもたらすことが分かっている。しかし、側鎖が大きすぎたり、または側鎖の量が多すぎたりすると、フィラメントの処理、特にその延伸挙動に悪影響を及ぼす。このため、UHPEは好ましくは、メチルまたはエチル側基、より好ましくはメチル側基を含む。かかる側基の量は、炭素原子1000個当たり、好ましくは20個以下、より好ましくは10個以下である。
本発明によるロープに利用されるHMPE繊維は、少量、一般に5質量%未満、好ましくは3質量%未満の慣例的な添加剤(酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、流動促進剤など)をさらに含み得る。UHPEは、1つのポリマーグレード、また、例えば、IVもしくはモル質量分布、および/またはコモノマーもしくは側鎖の種類および数の異なる2種以上の異なるポリエチレングレードの混合物であり得る。
本発明の特定の実施形態では、ロープの強度をさらに高めるために、編組ロープは、後延伸されるか、またはHMPEフィラメントを含むその一次ストランドが好ましくは100〜120℃の範囲の温度で後延伸される。かかる後延伸工程は、欧州特許第0398843B1号明細書または米国特許第5901632号明細書に記載されている。
一次ストランドから本質的になる本発明によるロープとは、一次ストランドが主な構成要素となって、ロープに耐荷重性を与えていることを意味している。ここで、本ロープにおける一次ストランドの量はn本である。当業者に公知であろうように、本ロープは、さらに性能を高めたりまたはいくつかの追加の性質を与えるために補助的な構成要素をさらに含んでいてもよい。例としては、例えば導電特性または光伝達特性を備えたある種の補助的なロープストランドまたはヤーンが挙げられ、その性質の変化は、例えば、過負荷状況が生じたことの指標となり得る。また、本ロープは、任意の慣例的な塗料またはサイズ剤をさらに含んでいてもよく、この塗料は、ロープを保護し、または磨耗に対する耐性を高めるための潤滑剤として働き得る。かかる目的に適した塗料材料は、一般に、例えば熱可塑性ポリマーまたは瀝青質化合物の水性分散液として塗布される。
本発明によるロープのさらなる利点は、一次ストランドが、2つのストランド部分間の末端間接合部としてのスプライスを含み得ることである。かかるロープは、実質的に強度を低下させずに、キャリヤにおけるストランドの長さを超える長さを有し得る。本ロープは、1本以上のストランドの任意の公知の編組ロープスプライスを含んでいてもよい。
非常に優れた性能は、少なくとも2.5N/texの靭性を有する高性能ポリエチレンフィラメントで作製された編組ストランドから本質的になる、少なくとも20mmの相当直径を有する、5本のストランドの、1オーバー2、1アンダー2で編組されたロープ構造によって得られる。
本発明はまた、本発明によるロープと、寸法をロープの寸法に適合させた溝を有することが好ましい少なくとも1つの滑車とを含むシステムに関する。丸打ちロープとともに用いるための本滑車は一般に、好ましくはロープの直径より少なくとも10%大きな直径を有する、丸みを帯びた溝を有する。滑車の溝の寸法をロープの寸法に適合させたとは、本発明によるロープと組み合わせて用いるための滑車が、過度の摩擦や圧縮によってロープが傷むのを防ぐために、当該ロープの断面形状に類似した形状と、楕円形のロープの幅より少なくとも10%大きな幅とを有する溝を有することを意味している。滑車は、ロープの相当直径の少なくとも約8倍の直径を有することが好ましい。このシステムは、当業者に公知であるように、任意の他の構成要素を含んでいてもよい。
本発明によるロープは、上述した公知の編組技術によって作製可能である。
本発明によるロープを作製するための好ましい方法は、1つの8の字型の軌道内でキャリヤを搬送するための、n個のノッチ(またはスロット)をそれぞれが有する2つの逆方向に回転するホーンギア/ホーンドッグを用いて、n個のキャリヤからn本の一次ストランドを編組する工程を含み、nは3以上の奇数である。かかる方法は当該技術分野においては蛇腹編組と呼ばれている。性質が好ましく組み合わされたロープを得るために、ストランドの数nは、3、5、7、または9であることが好ましく、より好ましくは5または7である。5本のストランドの蛇腹組紐の場合、ロープは、1オーバー2、1アンダー2で編組された構造で作製されるのが好ましい。
本発明による方法の他の実施形態では、4〜16本の一次ストランド、好ましくは6〜12本のストランドを平組する工程を含む。
編組方法ならびに本ロープおよびその一次ストランドの構造および組成のための他の好ましい実施形態は、上述した本ロープのためのそれらに類似している。
本発明による方法は、ストランドを収容するキャリヤが空で運転される際に、1つの一次ストランドの末端を、隣り合った一次ストランドの末端に接合する工程をさらに含んでいてもよい。このように、本ロープの長さを任意の所望の長さまで延長することが可能であり、得られるロープには、低い破断強度の原因となり得る弱い箇所が含まれない。
本発明による方法は、編組工程の前に一次ストランドを後延伸する工程、あるいは編組ロープを後延伸する工程をさらに含んでいてもよい。かかる延伸工程は好ましくは、高温で、ただし、ストランド内の(最も融点の低い)フィラメントの融点未満で行われる(=熱延伸)。HMPEフィラメントを含むロープにとって、好ましい温度は100〜120℃の範囲にある。かかる後延伸工程は、欧州特許第398843B1号明細書または米国特許第5901632号明細書に記載されている。
本発明を以下の実験を参照して説明する。
[実施例1]
5本のストランドの編組ロープを、約3.4N/texの靭性および約120N/texの弾性率を有する、超高モル質量ポリエチレンから作製されたダイニーマ(Dyneema)(登録商標)SK75 1760dtexマルチフィラメントヤーン(オランダのDSMダイニーマBV(DSM Dyneema BV,NL)から入手可能)から作製した。まず、12本のストランドのトルクバランスの取れた編組ロープを、(3×7)×1760dtex SK75ヤーンからなる、撚り合わせられたロープヤーンから作製した。次に、直径約11mmのこれらの編組されたストランドのうちの5本を、1オーバー2、1アンダー2構造で編組して、ロープの幅の約6.4倍のピッチ長(編組周期)を有する、幅約26.4mmおよび高さ約16.8mmの(10トンの荷重における)寸法を有する、断面が楕円形のロープにした。ロープを塗料Aで被覆した。
(2つのアイスプライスを有する)ロープのスプライス破断強度を、(100kNの予荷重を3回加えた後)測定したところ、約298kNであった。ここで、ロープの靭性は約1.35N/tex(強度効率は約40%)である。
米国特許出願公開第2004/0069132A1号明細書に記載のものと類似した試験装置および試験片を用いて、ロープの繰返しの曲げに対する耐性(曲げ疲労寿命)を試験した。この試験では、ロープの一部がサイクル毎に2回曲げられるように、両方の末端にアイスプライスを有するロープ試料を、張力下で滑車の上を周期的に移動させる。かけられる張力は114kNであり、サイクル時間は6.14秒であった。この試験を周囲条件下で行ったが、滑車におけるロープの入口/出口点でロープに水を噴霧した。滑車には、幅9.6mmの平坦な底部および半径8.4mmの丸みを帯びたコーナーを備えた溝が設けられていた。滑車の有効直径、すなわち、滑車における相当直径20mmのロープの中立軸間の距離は400mmであった。
ロープは30,000サイクルの後でも破壊されず、表面にわずかな損傷しか示さなかった。
[比較例A〜E]
様々な編組ロープをダイニーマ(登録商標)SK75ヤーンから作製した。全て、実施例1のロープ(すなわち約222g/m)に類似した繊度(および相当直径)を有するが、ただし異なる構造のものである。他の変数は、ロープに塗布される塗料の種類であった。
全てのロープを同じ繰返し曲げ試験にかけたが、これらの場合、(ロープより約10%大きな直径、すなわち有効直径400mmの)丸みを帯びた溝を有する滑車を使用した。
表1にまとめた結果は、実施例1のロープが、滑車にわたる繰返し曲げに対する優れた耐性を示すことを明示している。
Figure 2008545899

Claims (13)

  1. 編組された一次ストランドから本質的になる、折り返し滑車用途のための編組ロープであって、前記ストランドの量がn本であり、前記ストランドが高分子フィラメントで作製されている編組ロープにおいて、
    アスペクト比が1.2〜4.0の範囲にある楕円形の断面を有することを特徴とする編組ロープ。
  2. 前記断面のアスペクト比が約1.3〜3.0である請求項1に記載の編組ロープ。
  3. 前記一次ストランドの数nが3〜12である請求項1または2に記載の編組ロープ。
  4. 前記ロープは、nが5または7である蛇腹組紐である請求項1〜3のいずれか一項に記載の編組ロープ。
  5. 前記ロープの相当直径が少なくとも20mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の編組ロープ。
  6. 前記ロープの相当直径が少なくとも30mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の編組ロープ。
  7. 前記ロープが高強度フィラメントを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の編組ロープ。
  8. 前記一次ストランドがHMPEフィラメントから本質的になる請求項1〜7のいずれか一項に記載の編組ロープ。
  9. 前記ロープが塗料をさらに含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の編組ロープ。
  10. 1オーバー2、1アンダー2構造の5本のストランドから本質的になる、折り返し滑車用途のための編組ロープであって、前記ロープが少なくとも20mmの相当直径を有し、少なくとも2.5N/texの靭性を有する高性能ポリエチレンフィラメントで作製された編組ストランドから本質的になる編組ロープ。
  11. 折り返し滑車用途における耐荷重部材としての、請求項1〜10のいずれか一項に記載の編組ロープの使用。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のロープと少なくとも1つの滑車とを含むシステム。
  13. 1つの8の字型の軌道内でキャリヤを搬送するための、n個のノッチをそれぞれが有する2つの逆方向に回転するホーンギア/ホーンドッグを用いて、n個のキャリヤからn本の一次ストランドを編組する工程を含み、nが3以上の奇数である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のロープの作製方法。
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