JP2008545404A - ポリペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、1μMより少ないか若しくは等しい所定のクラスI pMHCに対するKDを有し、及び/又は2 S-1か若しくはそれより遅い該所定のクラスI pMHC分子に対する解離速度(koff)を有し、及び配列番号7に対し少なくとも45%の同一性及び/又は55%の類似性を有し、及び該所定のpMHCに対するCD8の結合を配列番号3のポリペプチドより大きな程度で阻害することを特徴とする、所定のクラスI pMHCへの結合性を有するポリペプチドを提供する。このポリペプチドは、単独で又は治療剤との組合せで、細胞傷害性T細胞(CTL)応答の阻害に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリペプチドが1μMより少ないか等しい所定のクラスI pMHCに対するKDを有し、及び/又は2 S-1かそれより遅い該所定のクラスI pMHC分子に対する解離速度(koff)を有すること、配列番号7に対し少なくとも45%の同一性及び/又は55%の類似性を有すること、及び該所定のpMHCに対するCD8の結合を配列番号3のポリペプチドより大きな程度で阻害することを特徴とする、所定のクラスI pMHCへの結合性を有するポリペプチドに関する。また、前記ポリペプチドの多価複合体、該ポリペプチドを提示する細胞、治療剤と組み合わされた該ポリペプチド、及びこれらポリペプチドを使用する方法もまた提供する。
(発明の背景)
免疫グロブリン様転写物(ILT)は、白血球免疫グロブリン様レセプター(LIR)、単球/マクロファージ免疫グロブリン様レセプター(MIR)及びCD85としても知られている。この免疫レセプターファミリーは、免疫グロブリンスーパーファミリーの一部を形成する。ILT分子の同定は、LIR-1(ILT-2)の配列を詳述し、ウシFCγ2R、ヒトキラー細胞阻害レセプター(KIR)、ヒトFcαR、及びマウスgp49に対する類似性に気付いた研究(Samaridisら(1997)
Eur J Immunol 27 660-665)において1997年3月に最初に公表された。この研究はまた、LIR-1が、KIRとは異なり、単球細胞及びBリンパ細胞上で優勢に発現されることに気付いた。
ILT分子のpMHC結合特性を有する可溶性ポリペプチド及びその多価複合体は、例えばCD8+T細胞媒介性自己免疫疾患を阻害する目的に、pMHC分子上のCD8結合性部位を遮断する手段を提供する。しかし、この目的には、これらポリペプチドは標的pMHC分子に対して天然型ILT分子より高い親和性及び/又は遅い解離速度を有することが望ましい。
(発明の簡単な説明)
本発明は、ポリペプチドが1μMより少ないか若しくは等しい所定のクラスI pMHCに対するKDを有し、及び/又は2 S-1か若しくはそれより遅い該所定のクラスI pMHC分子に対する解離速度(koff)を有すること、配列番号7に対し少なくとも45%の同一性及び/又は55%の類似性を有すること、及び該所定のpMHCに対するCD8の結合を配列番号3のポリペプチドより大きな程度で阻害することを特徴とする、所定のクラスI pMHCへの結合性を有するポリペプチドに関する。また、前記ポリペプチドの多価複合体、該ポリペプチドを提示する細胞、治療剤と組み合わされた該ポリペプチド、及びこれらポリペプチドを使用する方法もまた提供する。
(発明の詳細な説明)
上記のように、ILT分子は、LIR、MIR及びCD85としても知られる。本明細書中で使用されるこの用語ILTは、この免疫レセプターファミリー内の任意のポリペプチドを包含すると理解される。
ILT
ILT免疫レセプターファミリーは、リンパ系細胞及び骨髄性細胞の表面に発現する。ILT分子は、可溶性LIR-4がタイプI膜貫通タンパク質であることを除き、細胞外領域で63〜84%の相同性を有する。現時点で同定されているILT分子は全て、細胞外領域に2つ又は4つの免疫グロブリンスーパーファミリードメインを有する(Willcoxら(2003) 4(9) 913-919)。個々のILT分子はまた、多くの異なる変形体/アイソフォームとして発現され得る(Col
onnaら(1997) J Exp Med 186(11) 1809-1818、及びCosmanら(1997) Immunity 7 273-282)。
ILT分子の構造及び機能を詳述する科学論文は数多く存在し、以下のものを含む:Samaridisら(1997) Eur J Immunol 27 660-665、Cellaら(1997) J Exp Med 185(10) 1743-1751、Cosmanら(1997) Immunity 7 273-282、Borgesら(1997) J Immunol 159 5192-5196、Colonnaら(1997) J Exp Med 186(11) 1809-1818、Colonnaら(1998) J. Immunol 160 3096-3100、Cosmanら(1999) Immunological Revs 168 177-185、Chapmanら(1999) Immunity 11 603-613、Chapmanら(2000) Immunity 12 727-736、Willcoxら(2002) BMC Structural Biology 2 6、Shiroshiら(2003) PNAS 100(5) 8856-8861、及びWillcoxら(2003) 4(9) 913-919。
WO9848017は、ILTファミリーメンバーをコードする遺伝子配列及びそれらの推定アミノ酸配列を開示する。この出願はLIR分子を3群に分類した。第1の群は、正に荷電した残基及び短い細胞質尾部を含む膜貫通領域を有するポリペプチドを含む。第2の群は、非極性膜貫通領域及び長い細胞質尾部を有するポリペプチドを含んでなる。最後に、第3の群は、膜貫通領域も細胞質尾部も有さない可溶性ポリペプチドとして発現されるポリペプチドを含む。LIRファミリーポリペプチドの作製法、及びLIRファミリーメンバーに対する拮抗性抗体もまた開示されている。この出願は、自己免疫疾患及び抑制された免疫機能に関連する疾患状態を治療するための、LIRファミリーメンバーの使用可能性を議論した。この点に関し、可溶形態のLIRファミリーメンバーの使用が或る特定の適用に有利であることが述べられている。これら利点としては、組換え宿主細胞からの可溶形態のILT/LIR(これらは静脈内投与に適切である)の精製の容易さ、及び望ましい免疫機能を媒介するために細胞表面LIRファミリーメンバーとそのリガンドとの相互作用をブロックするように使用できる可能性が挙げられている。所望の生物学的活性(例えば、MHCクラスI分子を含むリガンドへの結合)を保持する可溶性LIRフラグメントの利用可能性も述べられている。
別の研究(Shiroishiら(2003) PNAS 100(15) 8856-8861)は、可溶(短縮)形態のILT-2及びILT-4分子を論議している。Biacore研究におけるMHC分子への結合に関して可溶性CD8と競合するこれら分子の能力が述べられており、これは、ILT-2がCD8+ T細胞活性化を変調(modulate)する機序の1つであり得るとの仮説を立てた。pMHC結合に関連して、この研究は、「CD8の結合より高いILTの親和性は、ILTが細胞表面でCD8の結合を効率的にブロックし得ることを示唆する」と述べている。この研究は、ILT2がクラスI MHCのα3ドメインに結合すること、及びドメイン1及び2を含有するILT2フラグメントの結晶構造が報告されていることを述べている。
ILT-4に焦点を当てたColonnaら(1998) J. Immunol. 160 3096-3100には、ILT-2〜ILT-5の組織分布及び特異性のまとめが含まれている。これらILT分子のうちILT-2及びILT-4は、クラスI MHC分子に結合すると述べられている。この研究は、種々のクラスI MHCでトランスフェクトした細胞への可溶性ILT-4の結合を分析した。この研究は、ILT-4がHLA-A、HLA-B及びHLA-Gには結合するが、HLA-Cw3にもHLA-Cw5にも結合しないと結論付けた。
WO03041650は、LIR-2及び/又はLIR-3/LIR-7活性のモジュレータを用いる慢性関節リウマチ(RA)の治療法を開示している。開示されたモジュレータは、LIR活性のアゴニスト及びアンタゴニストの両方を含む。WO2006033811は、移植片拒絶の阻害用治療剤としてのILT-3ポリペプチド及びその融合体の使用を開示している。
異なるpMHC標的に対する野生型ILT分子の種々の可溶性アナログの親和性が決定されている。例えば、Chapmanら(1999) Immunity 11 603-613は、Biacoreをベースにする方法を使用して、LIR-1(ILT-2)が一連のHLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E及びHLA-G分子に結合する
ことを決定した。これら相互作用に関して決定されたKD値は、1×10-4M(HLA-G1に対して)〜2×10-5M(HLA-Cw*0702に対して)の範囲であった。この研究はまた、ILT-2がクラスI MHCのウイルス性アナログであるUL18に対する親和性を有している(これらの間の相互作用のKDがnMの範囲)と述べている。
更なる研究(Chapmanら(2000) Immunity 12 727-736)は、D1及びD2ドメインを含んでなる結晶構造の短縮型LIR-1(ILT-2)ポリペプチドを報告している。LIR-1は、UL18ウイルス性クラスI MHCアナログと、類似のLIR-2よりはるかに高い親和性で結合することが知られていた。著者らは、結晶構造の短縮型LIR-1ポリペプチドを使用して、溶媒曝露残基(solvent-exposed residue)に生じるLIR-1とLIR-2との間の差異を同定した。これら2つのペプチドの部位特異的変異誘発を使用して、どの残基がUL18結合に関与しているかを確認した。これは、LIR-1からのWT残基をLIR-2の対応するアミノ酸位置へ置換することにより実施された。この研究は、LIR-1の残基38Y、及び76Y、80D又は83Rの少なくとも1つがUL18結合に関与すると結論付けた。著者らは、「クラスI MHCタンパク質に対するLIR-1の親和性は、UL18に対してよりはるかに低いので、我々は、クラスI MHCへのLIR-1及びLIR-2変異体の結合について正確な親和性を導くことができなかった」と述べている。
野生型ヒトILT-2の完全なアミノ酸配列及びDNA配列を、それぞれ図1a(配列番号1)及び図1b(配列番号2)に示す。提供したDNA配列は、NCBIヌクレオチドデータベース上のアクセッション番号NM#006669で与えられる配列に対応する。
高親和性ILT様ポリペプチド
本発明は、所定のクラスI pMHCへの結合性を有するポリペプチドを提供する。このポリペプチドは、1μMより少ないか若しくは等しい該所定のクラスI pMHCに対するKDを有し、及び/又は2 S-1か若しくはそれより遅い該所定のクラスI pMHC分子に対する解離速度(koff)を有すること、該ポリペプチドは、配列番号7に対し少なくとも45%の同一性及び/又は55%の類似性を有すること、及び該ポリペプチドは該所定のpMHCに対するCD8の結合を配列番号3のポリペプチドより大きな程度で阻害することを特徴とする。
上記の相同性及びクラスI pMHC結合性の基準に合うポリペプチドは、高親和性ILT様分子と見なすことができ、本明細書中では高親和性ILT様分子と呼ぶこともある。
上記のように、天然に存在するILTポリペプチドは、細胞外領域に2つ又は4つの免疫グロブリンスーパーファミリードメインを有する。本発明の高親和性ILT様ポリペプチドは、該ドメインの4つ、3つ又は2つを有する形態で発現し得る。本発明の現時点で好ましい実施形態は、クラスI pMHCに対する高親和性を付与する1つ又はそれより多い変異を含有する、ヒトILT-2の2つのN末端ドメインに相当する2つの免疫グロブリンスーパーファミリードメインを有する。これらN末端ドメインは、Cosmanら(1999) Immunol Revs 168:177-185の表示法を用いれば、ドメイン1及びドメイン2である。これら2つのN末端ドメインを有するILT様ポリペプチドは、一般に、配列番号3のアミノ酸1〜195に相当する配列を有する。
好ましくは、ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも60%の同一性及び/又は75%の類似性を有することを特徴とする。
好ましくは、ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも75%の同一性及び/又は85%の類似性を有することを特徴とする。
好ましくは、ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも90%の同一性及び/又は95%の類似性を有することを特徴とする。
本明細書中で使用する配列同一性は、比較する2つの配列中の対応する位置での同一の
アミノ酸を意味する。本発明に関して類似性は、同一のアミノ酸及び類似する(機能的に等価な)アミノ酸を含む。例えば、ポリペプチド中の所定の位置に存在する1つの疎水性アミノ酸の異なる疎水性アミノ酸での単一置換は、元のポリペプチドに類似する(しかし同一ではない)と考えられるポリペプチドの生成を生じる。本発明のポリペプチドを特徴付けるために本明細書中で使用するパラメータ「類似性」及び「同一性」は、William R.
Pearson(Department of Biological Chemistry, Box 440, Jordan Hall, Charlottesville, Virginia)から入手可能なFASTAパッケージプログラムで実行されるFASTAアルゴリズムの使用により決定する。FASTAパッケージプログラムによるこれらパラメータの決定に使用する設定は、本明細書中の実施例6で特定したとおりである。
当業者には公知であるように、この分析に使用し得るFASTAタンパク質:タンパク質比較のソースは数多く存在する。Pearsonら(1988)(PNAS 85 2444-2448)はFASTAアルゴリズムの更なる詳細を提供する。
配列番号3のポリペプチド及び本発明の任意の推定ポリペプチドの相対的阻害活性は、読み取り値(read-out)が所定のpMHCに対するCD8の結合親和性に相関する任意の従来アッセイにより決定し得る。一般には、読み取り値はIC50値である。試験ポリペプチド及び配列番号3のポリペプチドは匹敵する濃度で評価され、それぞれのIC50が、個々の結果からプロットした阻害曲線を参照して決定される。適切なアッセイの1つは、実施例5に記載のものである。
好ましくは、ポリペプチドは、所定のクラスI pMHCに対して100nMより少ないか若しくはこれと等しいKDを有し、及び/又は該所定のクラスI pMHCに対して0.1 S-1の解離速度(koff)を有することを特徴とする。
当業者に公知であるように、親和性及び/又は解離速度を決定することができる多くの手段が存在する。例えば、親和性(KD)及び/又は解離速度(koff)は、表面プラズモン共鳴により決定してもよい。本明細書中の実施例4は、そのような決定を行うに適切なBiacoreベースのアッセイを提供する。
比較のために、野生型ILT-2分子の可溶性短縮型変形体(この可溶性ポリペプチドのアミノ酸配列については図2a(配列番号3)を参照)とガン胎児抗原(CEA)由来YLSGANLNL(配列番号13)ペプチドを搭載(load)するHLA-A*0201との相互作用は、実施例4のBiacoreベースの方法により測定したとき、6μMのKD及び2.4 S-1の解離速度(koff)を有する。この可溶性ILT-2分子は、細胞外ドメインD1及びD2のみを含有する、野生型ヒトILT-2のイソフォーム1の変形体の短縮型形態である。このILT-2変形体分子とILT-2のイソフォーム1のものとの間で異なるアミノ酸残基を図1aで強調して示す。
図2b(配列番号4)は、このポリペプチドをコードする天然型DNA配列を詳述する。組換え発現の効率を向上させるため、及びこのポリペプチドのクローニングを容易にするために、多くの変異がこのポリペプチドをコードするDNAに導入された。これら変異は、発現ポリペプチドのアミノ酸配列を変更しない。組換え発現に使用したDNA配列を図3(配列番号5)に示す。
ポリペプチドが変異ヒトILT分子である本発明の1つの実施形態が提供される。例えば、ヒトILT-2又はその可溶性フラグメントをコードするDNAは、本発明の高親和性ILT様ポリペプチドと標的pMHC複合体との間の相互作用に対して高い親和性及び/又は遅い解離速度を引き起こす種々の変異を導入し得る鋳型として使用できる。したがって、本発明は、天然型配列に対して変異しているILT-2変形体を包含する。
当業者に公知であるように、ヒトILT-2アミノ酸配列中の変異は、1つ又はそれより多い置換、欠失又は挿入であり得る。これら変異は、任意の適切な方法(ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)に基づくもの、制限酵素ベースのクローニング、又はライゲーション非依存性クローニング(LIC)手法を包含するがこれらに限定されない)を使用して実行することができる。これら方法は、多くの標準的な分子生物学の教科書に詳述されている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発及び制限酵素ベースのクローニングに関する更なる詳細に関しては、Sambrook & Russell(2001) Molecular Cloning - A Laboratory Manual(第3版) CSHL Pressを参照。LIC手順についての更なる情報は、Rashtchian(1995) Curr Opin Biotechnol 6(1):30-6に見出すことができる。
本発明の更なる実施形態は、配列番号3の10W、19Q、20G、21S、42K、47W、50R、66I、77Y、78Y、79G、80S、81D、82T、83A、84G、85R、87E、99A、101I、102K、141E、146L、147N、159I、168S、172W、174R及び188Lに相当するアミノ酸のうちの1つ又はそれより多くが変異しているポリペプチドを包含する。例えば、本発明のポリペプチドは、以下の変異:
10W→L、19Q→M、19Q→L、19Q→V、20G→D、20G→M、20G→Q、20G→F、20G→S、20G→E、20G→R、21S→Q、21S→R、21S→A、21S→S、42K→R、47W→Q、50R→L、66L→V、77Y→V、77Y→M、77Y→I、77Y→Q、78Y→Q、78Y→I、78Y→G、79G→Q、79G→Y、79G→W、79G→R、79G→V、80S→R、80S→T、80S→G、81D→G、81D→Q、81D→L、81D→V、82T→G、82T→E、83A→S、83A→G、83A→R、84G→L、84G→Q、84G→A、85R→W、87E→A、99A→I、99A→Y、101I→L、101I→K、101I→Q、101→V、102K→Q、102K→A、102K→R、141E→G、141E→D、146L→D、147N→S、159I→E、168S→G、172W→R、174R→W又は188L→Dの1つ又はそれより多くを含んでなり得る。
例えば、上記変異の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又は10を含んでなるポリペプチドがしばしば適切である。
使用した番号付けは、図2a(配列番号3)に示したものと同じである。
1つの実施形態は、配列番号3の番号付けを使用して、アミノ酸19Q→M及び21S→Qに相当する変異を含んでなる本発明のポリペプチドを提供する。
別の実施形態は、配列番号3の番号付けを使用して、アミノ酸19Q→M、20G→D、21S→Q、99A→V及び168S→Gに相当する変異を含んでなる本発明のポリペプチドを提供する。
別の実施形態は、配列番号3の番号付けを使用して、19Q→L、20G→M及び21S→Qに相当する変異を含んでなる本発明のポリペプチドを提供する。
別つの実施形態は、配列番号3の番号付けを使用して、19Q→M、20G→Q、21S→R、42K→R及び146L→Sに相当する変異を含んでなる本発明のポリペプチドを提供する。
別の実施形態は、配列番号3の番号付けを使用して、19Q→M、20G→D、21S→Q、83A→S、84G→Q、85R→W、87E→A及び99A→Vに相当する変異を含んでなる本発明のポリペプチドを提供する。
更なる実施形態は、配列番号3の番号付けを使用して135C又は145Cの一方又は両方に相当するアミノ酸がSに変異しているポリペプチドにより提供される。
別の実施形態は、配列番号3の少なくともアミノ酸1〜195に相当するアミノ酸を含んでなる本発明のポリペプチドにより提供される。このポリペプチドは、ヒトILT-2の2つのN末端免疫グロブリンスーパーファミリードメインに相当するドメインを含んでなる2ドメイン実施形態である。
本発明の更なる具体的実施形態は、配列番号6〜9、又は21〜61のいずれかからなるか又はいずれかを含むポリペプチドにより提供される。もちろん、これら好ましい実施形態は配列番号6〜9、16又は21〜61からなるか又はこれらを含むように発現されるが、当業者は、この実施形態の全体的同一性及び特性に影響しない軽微なアミノ酸置換、欠失及び
挿入が存在することは当然であると理解する。そのような軽微な変形は、そのポリペプチドの表現型上サイレントな変形として見なし得る。別の観点では、そのような変形は、親と同じ機能を有し同じ様式でその機能を達成するポリペプチドを生じる。
本発明の好ましい実施形態は、配列番号16からなるか又は配列番号16を含むポリペプチドにより提供される。
増強した溶解性を有する高親和性ILT様ポリペプチド
本発明のポリペプチドは、可溶性治療剤として使用してもよい。その場合、これらポリペプチドの溶解性を増大させることが望ましい。本発明は、変異を欠く対応ポリペプチドに対してポリペプチドの溶解性を増大させる1つ又はそれより多い変異を含んでなるポリペプチドを包含する。当業者に公知であるように、ポリペプチドの溶解性の増大が求められるときには、一般には、溶媒に曝されているアミノ酸を変異することが好ましい。これら溶媒曝露アミノ酸は、ILT-2の結晶構造を参照して同定することができる(Chapmanら(2000) Immunity 12 727-736を参照)。本発明は、1つ又はそれより多い溶媒曝露アミノ酸が変異しているポリペプチドを包含する。例えば、本発明のポリペプチドは、溶媒に曝される疎水性アミノ酸が荷電アミノ酸で置換されている少なくとも1つの変異を含んでなる。
好ましくは、そのような溶解性を増強する変異は、本発明のポリペプチドのC末端の6アミノ酸にある。
別の実施形態は、配列番号3の196L及び/又は198Lに相当するアミノ酸がそれぞれ196D及び198Dに変異している本発明のポリペプチドにより提供される。
更なる実施形態は、配列番号3の番号付けを使用して19Q→M、20G→D、21S→Q、83A→S、84G→Q、85R→W、87E→A、99A→V、196L→D及び198L→Dに相当する変異を含んでなる本発明のポリペプチドにより提供される。
別の実施形態は、配列番号63〜80のいずれかからなるか又はいずれかを含む本発明のポリペプチドにより提供される。
別の実施形態は、配列番号17又は62からなるか又はいずれかを含む本発明のポリペプチドにより提供される。
「タグ付き」高親和性ILT様ポリペプチド
本発明のポリペプチドは、多量体形態で使用してもよいし、又は他の成分と結合して使用してもよい。この点に関して、他の成分を付着する手段を含んでなる本発明のポリペプチドを製造することが望ましい。
したがって、1つの実施形態は、他の成分の付着を容易にする「タグ」を含んでなる本発明のポリペプチドにより提供される。このタグは、ポリペプチドのC末端にあり得る。
当業者に公知であるように、この目的に適切な多くのタグが存在する。これらには、システイン残基、ヘキサヒスチジンペプチド、ビオチン及び化学反応性基が含まれるがこれらに限定されない。このようなタグの存在はまたポリペプチドの精製も容易にし得る。
PEG化高親和性ILT様ポリペプチド
1つの特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、少なくとも1つのポリアルキレングリコール鎖と組み合わされている。この結合は、当業者に公知の多くの方法で引き起こされ得る。好ましい実施形態では、ポリアルキレン鎖は、ポリペプチドと共有結合している。更なる実施形態では、本発明のこの観点のポリエチレングリコール鎖は、少なくとも2つのポリエチレン反復単位を含んでなる。
多価高親和性ILT様複合体
本発明の1つの観点は、所定のクラスI pMHCに対する1μMより少ないか若しくはこれと等しいKDを有し、及び/又は該クラスI pMHCに対する2 S-1か若しくはそれより遅い解離速度(koff)を有する、少なくとも2つの本発明のポリペプチドを含んでなる多価ポリペプチド複合体を提供する。
この観点の1つの実施形態では、少なくとも2つの本発明のポリペプチドは、リンカー部分を介して連結して多価複合体を形成する。
本発明ポリペプチドが非ペプチド性ポリマー鎖又はペプチド性リンカー配列により連結している1つの観点が提供される。好ましくは、この多価複合体は水溶性であるので、リンカー部分はそのように選択されるべきである。更に、リンカー部分は、形成される複合体の構造的多様性が最小となるように、ポリペプチドの規定位置に付着することができるべきであることが好ましい。この観点の1つの実施形態は、ポリマー鎖又はペプチド性リンカー配列が各ポリペプチドのクラスI pMHC結合性ドメイン中に位置しないアミノ酸残基同士の間に伸びる本発明の多価複合体により提供される。
本発明の複合体は医薬で使用され得るので、リンカー部分は、薬学的適合性(例えば免疫原性)に当然払うべき注意をもって選択されるべきである。
上記の望ましい基準を満たすリンカー部分の例は、当該分野(例えば抗体フラグメントを連結する技術分野)で公知である。
本発明の多価複合体の製造での使用に好ましい2つのクラスのリンカーが存在する。ポリペプチドがポリアルキレングリコール鎖又はヒト多量体化ドメイン由来のペプチド性リンカーにより連結されている本発明の多価複合体は、本発明の或る特定の実施形態を提供する。
適切な親水性ポリマーとしては、ポリアルキレングリコールが挙げられるがこれに限定されない。最も通常に使用されるこのクラスのポリマーは、ポリエチレングリコールすなわちPEGをベースにする。その構造を下記に示す。
HOCH2CH2O(CH2CH2O)n−CH2CH2OH
(式中、nは2より大きい)。
しかし、他の適切な(任意に置換されていてもよい)ポリアルキレングリコールをベースにするものもある。ポリプロピレングリコール及びエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマーが挙げられる。
このようなポリマーは、治療剤、特にポリペプチド治療剤又はタンパク質治療剤を処理するか又はこれに接合するかして、該治療剤の薬物動態(PK)プロフィールに有益な変化(例えば、減少した腎クリアランス、向上した血漿半減期、減少した免疫原性及び向上した溶解性)を達成するために使用され得る。PEG−治療剤接合体のPKプロフィールのこのような改善は、PEG分子が該治療剤の周囲に、免疫系との反応を立体的に障害し、タンパク質分解性分解を減少させる「殻」を形成することに起因すると考えられる(Caseyら(2000) Tumor Targeting 4 235-244)。使用する親水性ポリマーのサイズは、具体的には、高親和性ILT様ポリペプチドの意図する治療用途に基づいて選択し得る。医薬製剤におけるPEG及び類似分子の使用を詳述する多くの総説論文及び本が存在する。例えば、Harris(1992) Polyethylene Glycol Chemistry - Biotechnical and Biomedical Applications,Plenum,New York,NY.、又はHarris & Zalipsky(1997) Chemistry and Biological Applications of Polyethylene Glycol ACS Books,Washington,D.C.を参照。
使用するポリマーは、直鎖状又は分枝状の構造を有することができる。分枝状PEG分子又はその誘導体は、グリセロール及びグリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトール、
ソルビトール並びにリジンを含む分枝成分の付加により誘導することができる。
通常、ポリマーは、該ポリマーが高親和性ILT様ポリペプチド中の標的部位へ連結することが可能となるように、その構造中、例えば一方又は両方の端部及び/又は主鎖からの分枝上に、化学反応性の基を有する。下記に示すように、この化学反応性の基は親水性ポリマーに直接結合させてもよいし、又は親水性ポリマーと反応性化学成分との間にスペーサ基/成分が存在していてもよい:
反応性化学成分−親水性ポリマー−反応性化学成分
反応性化学成分−スペーサ−親水性ポリマー−スペーサ−反応性化学成分
上記で概説したタイプの構築物の形成に使用するスペーサは、非反応性の化学的に安定な鎖である任意の有機成分であり得る。このようなスペーサには、以下が含まれるがそれらに限定されない:
-(CH2)n- (式中、n=2〜5)
-(CH2)3NHCO(CH2)2
二価アルキレンスペーサ基がポリアルキレングリコール鎖と複合体中のポリペプチド分子への該ポリアルキレングリコール鎖の結合点との間に位置する本発明の多価複合体は、この観点の更なる実施形態を提供する。
ポリアルキレングリコール鎖が少なくとも2つのポリエチレングリコール反復単位を含んでなる本発明の多価複合体は、この観点の更なる実施形態を提供する。
本発明において有用であり得る反応性化学成分に直接か又はスペーサを介して連結する親水性ポリマーの商業的供給業者は多く存在する。これら供給業者としては、Nektar Therapeutics(CA、米国)、NOF Corporation(日本)、Sunbio(韓国)及びEnzon Pharmaceuticals(NJ、米国)が挙げられる。
本発明において有用であり得る反応性化学成分に直接か又はスペーサを介して連結する市販の親水性ポリマーには、以下のものが含まれるがそれらに限定されない。
Figure 2008545404
種々のカップリング化学成分を使用して、ポリマー分子をタンパク質治療薬やペプチド治療薬とカップリングすることができる。最も適切なカップリング化学成分の選択は、所望するカップリング部位に大きく依存する。例えば、以下のカップリング化学成分が、PEG分子の1つ又はそれ以上の末端に付着されるために使用されてきた(出典:Nektar Molecular Engineering Catalogue 2003):
N−マレイミド
ビニルスルホン
炭酸ベンゾトリアゾール
スクシンイミジルプロピオネート
スクシンイミジルブタノエート(succinimidyl butanoate)
チオエステル
アセトアルデヒド類
アクリレート類
ビオチン
一級アミン類
上記のように、非PEGベースのポリマーもまた、本発明のポリペプチドを多量化するために適切なリンカーを提供する。例えば、脂肪族鎖により連結されたマレイミド末端を含有する成分、例えばBMH及びBMOE(Pierce,製品番号22330及び22323)が使用できる。
ペプチド性リンカーが他のクラスの多価複合体リンカーである。これらリンカーは、アミノ酸の鎖から構成され、単純なリンカー又は本発明のポリペプチドを付着させることができる多量体化ドメインを作製するために機能する。ビオチン/ストレプトアビジン系は、以前に、インビトロ結合研究用のTCR四量体及びpMHC分子を作製するために使用された(WO/99/60119を参照)。しかし、ストレプトアビジンは微生物由来のポリペプチドであり、よって治療剤における使用に理想的には適していない。
ポリペプチドがヒト多量体化ドメインに由来するペプチド性リンカーにより連結されている本発明の多価複合体は、この観点の1つの実施形態を提供する。多価高親和性ILT様ポリペプチド複合体の作製に使用できる多量体化ドメインを含有する多くのヒトタンパク質が存在する。例えば、p53の四量体化ドメインは、単量体scFvフラグメントと比較して、増大した血清残存率及び有意に減少した解離速度を示すscFv抗体フラグメント四量体を作製するために利用されている(Willudaら(2001) J. Biol. Chem. 276(17) 14385-14392)。ヘモグロビンもまた、この種の適用におそらく使用できる四量体化ドメインを有する。
具体的実施形態では、本発明の多価複合体は二量体又は四量体であり得る。本明細書中の実施例9及び10はそれぞれ、本発明の二量体及び四量体のPEG連結高親和性ILT様複合体の作製のための詳細な方法論を提供する。本明細書中の実施例11は、細胞傷害性T細胞活性化を阻害する多価複合体の能力に関するデータを提供する。
少なくとも2つの本発明のポリペプチドを含んでなり、少なくとも1つの該ポリペプチドが治療剤と組み合わされている本発明の多価複合体は、本観点の更なる実施形態を提供する。
更なる観点は、可溶性である本発明のポリペプチド又はその多価複合体により提供される。
更なる観点は、少なくとも1つの本発明のポリペプチドを提示する単離細胞又は粒子により提供される。当業者に公知であるように、このポリペプチドは、細胞又は粒子の表面に付着する手段を必要とする。そのような付着を容易にする多くの手段が存在する。例えば、特に細胞の場合には、この付着手段は、簡便には、ヒトILT-2の少なくとも膜貫通ドメインが組み込まれた「全長」型の選択ポリペプチドを製造することにより提供され得る。ヒトILT-2の膜貫通ドメインは図1a(配列番号1)で下線が付されている。しかし、これは、ポリペプチドを細胞表面へ付着させる唯一の手段ではない。例えば、他のポリペプチドの膜貫通ドメインに連結した本発明のポリペプチド又はそのフラグメントを含んでなる融合タンパク質を製造してもよい。本発明のポリペプチドを粒子に付着する場合、これは、簡便には、C末端タグ(例えばビオチン)を含んでなる本発明のポリペプチドを、該タグに特異的な結合性成分(例えばストレプトアビジン)を被覆した粒子と接触させることにより達成することができる。
診断及び治療用途
1つの観点では、本発明のポリペプチド又はその多価複合体は、造影化合物、例えば診断目的に適切な標識で標識してもよい。そのような標識を付したポリペプチドは、標的pMHC分子を検出する方法で有用である。この方法は、pMHCを、該pMHCに結合する本発明のポ
リペプチド又はその多価複合体と接触させ;その結合を検出することを含んでなる。(例えばビオチン化ポリペプチド分子を使用して)形成した四量体複合体では、蛍光ストレプトアビジンを使用して検出可能な標識を提供することができる。このような蛍光標識四量体は、例えば抗原提示細胞を検出するためのFACS分析における使用に適切である。本発明の可溶性ペプチドが検出され得る別の様式は、抗体、特にモノクローナル抗体の使用による。
ILT特異的抗体は文献に記載されている。例えば、IGH/75は、Basel Institute for Immunology(Basel、スイス)で作製されたILT-2特異的IgGである(Riteauら(2001) Int. Immunol. 13(2) 193)。
更なる観点では、本発明のポリペプチド又はその多価複合体は、択一的又は追加的に、治療剤と組み合わされていてもよい(例えば、共有結合又はその他の結合をしていてもよい)。
本発明の具体的実施形態では、治療剤は、ポリペプチドのC末端に共有結合している。
本発明のポリペプチドと組み合せることができる多くの治療剤が存在する。例えば、治療剤は免疫エフェクター分子であり得る。この観点の具体的実施形態は、免疫エフェクター分子がサイトカインである実施形態を提供する。当業者に公知であるように、免疫応答を「抑制する」ように一般的に作用する数多くのサイトカインが存在する。このような免疫抑制性サイトカインと組み合わされた本発明のポリペプチドは、本発明の好ましい実施形態を形成する。IL-4、IL-10若しくはIL-13又はこれらサイトカインの表現型上サイレントな変形体又はフラグメントと組み合わされた本発明のポリペプチドは、本発明の具体的実施形態を提供する。
本発明の多価複合体は、非多量体の野生型ILT又は対応する本発明の高親和性ILT様ポリペプチドと比較して、所定のpMHCに対する増強した結合能力を有し得る。したがって、本発明による多価複合体は、インビトロ又はインビボで、特定の抗原を提示する細胞を追跡するため又はそのような細胞を標的するために特に有用であり、そのような用途を有するさらなる多価複合体の作製のための中間体としてもまた有用である。
したがって、本発明のポリペプチド又はその多価複合体、又はこのポリペプチドを発現する複数の細胞を、医薬的に許容されるキャリアと共に含んでなる医薬組成物は、本発明の更なる観点を提供する。関連する実施形態は、本発明のポリペプチド又はその多価複合体、又はこのポリペプチドを発現する複数の細胞の治療的使用により提供される。
したがって、治療剤と組み合わされた本発明のポリペプチド又はその多価複合体を、医薬的に許容されるキャリアと共に含んでなる医薬組成物は、本発明の更なる観点を提供する。関連する実施形態は、治療剤と組み合わされた本発明のポリペプチド又はその多価複合体の治療的使用により提供される。
本発明の別の観点は、非経口投与に適合された自己免疫疾患治療用医薬の製造における、本発明のポリペプチド又はその多価複合体、又はこのポリペプチドを発現する複数の細胞又は粒子の使用により提供される。適切な非経口投与経路には、皮下経路、皮内経路又は筋肉内経路が挙げられる。
本発明の更なる観点は、非経口投与に適合された自己免疫疾患治療用医薬の製造における、治療剤と組み合わされた本発明のポリペプチド又はその多価複合体の使用により提供される。適切な非経口投与経路には、皮下経路、皮内経路又は筋肉内経路が挙げられる。
本発明はまた、治療剤を標的細胞に送達する方法を提供する。この方法は、潜在的な標的細胞を本発明によるポリペプチド又は多価複合体と、該ポリペプチド又は多価複合体と該標的細胞との結合を可能にする条件下で接触させることを含んでなる。該ポリペプチド又は多価複合体は、所定のクラスI pMHC分子と結合することができ、治療剤と組み合わされている。
治療剤は、その効果を局所的にではあるが、該治療剤が直接結合している細胞に限らずに発揮するように送達され得る。したがって、1つの特定の戦略は、腫瘍抗原に特異的な本発明によるポリペプチド又は多価複合体に連結した「免疫抑制剤」分子を考案する。
本発明の可溶性ポリペプチド又は多価複合体は、プロドラッグを薬物に変換し得る酵素に連結されてもよい。このことにより、薬物を必要とする(すなわち、当該ポリペプチド又は多価複合体により標的される)部位でのみプロドラッグが薬物に変換されることが可能となる。
本明細書に開示されたポリペプチド及び多価複合体は、自己免疫疾患の診断方法及び治療方法で使用し得ると予測される。
本発明また、自己免疫疾患を患っている対象に、有効量の本発明のポリペプチド又はその多価複合体、又は少なくとも1つのこのポリペプチドを提示する複数の細胞又は粒子を投与することを含んでなる、自己免疫疾患の治療方法を提供する。関連する実施形態では、本発明は、自己免疫疾患治療用組成物の製造における、本発明のポリペプチド又はその多価複合体、又は少なくとも1つのこのポリペプチドを提示する複数の細胞又は粒子の使用を提供する。
本発明また、自己免疫疾患を患っている対象に、有効量の、治療剤と組み合わされた本発明のポリペプチド又はその多価複合体を投与することを含んでなる、自己免疫疾患の治療方法を提供する。関連する実施形態では、自己免疫疾患治療用組成物の製造における、治療剤と組み合わされた本発明のポリペプチド又はその多価複合体使用を提供する。
本発明による治療用又は造影用ポリペプチドは、通常、一般には医薬的に許容されるキャリアを含む滅菌医薬組成物の一部として供給される。この医薬組成物は(所望される患者への投与法に依存して)任意の適切な形態であり得る。この医薬組成物は、単位剤形で提供されてもよく、一般には密封容器中で提供され、キットの一部として提供されてもよい。そのようなキットは、通常(必ずというわけではないが)、使用のための指示書を含む。キットは、前記の単位剤形を複数含み得る。
医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、非経口経路、経皮経路又は吸入を介する経路(好ましくは非経口経路(皮下、筋肉内又は(最も好ましい)静脈内を含む))による投与に適合され得る。このような組成物は、医薬の技術分野において公知の任意の方法(例えば、滅菌条件下で活性成分をキャリア又は賦形剤と混合すること)により製造され得る。
本発明の物質の投薬量は、治療すべき疾患又は障害、治療すべき個体の年齢及び状態などに依存して、広範囲に変わり得る。最終的には、医師が使用すべき適切な投薬量を決定する。
追加の観点
本発明のポリペプチド又は多価複合体は、実質的に純粋な形態で、又は精製若しくは単離された調製物として提供されてもよい。例えば、本発明のポリペプチド又は多価複合体は、他のタンパク質を実質的に含まない形態で提供されてもよい。
更なる実施形態は、本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸、該核酸が組み込まれているベクター、及び該ベクターを含有する細胞により提供される。本発明のポリペプチドをコードする核酸は、宿主細胞における高レベル発現に適合されたものであり得る。業務としてそのような核酸最適化を提供する多くの会社(例えばGeneArt、ドイツ)が存在する。
本発明はまた、1μMより少ないか若しくは等しい所定のクラスI pMHCに対するKDを有し、及び/又は2 S-1か若しくはそれより遅い該所定のクラスI pMHC分子に対する解離速度(koff)を有し、配列番号7に対し少なくとも45%の同一性及び/又は55%の類似性を有し、該所定のpMHCに対するCD8の結合を配列番号3のポリペプチドより大きな程度で阻害することを特徴とする、所定のクラスI pMHCへの結合性を有する所定のILT分子の高親和性変形体を同定する方法を提供する。
この方法は、
(a)対応する野生型ILT分子に対して1つ又はそれより多い変異をアミノ酸配列中に含んでなるILT分子のライブラリを作製し;
(b)変異ILT分子を標的クラスI pMHCと、該変異ILT分子と該標的クラスI pMHCとの結合を可能にするに適切な条件下で接触させ;
(c)相互作用のKD及び/又はkoffを測定し;
(d)所望の結合特性を有するポリペプチドを選択すること
を含んでなる。
ILTポリペプチド及び/又はILT様ポリペプチドのファージディスプレイは、上記方法での使用に適切なポリペプチドのライブラリを作製する1つの方法を提供する。
最後の観点は、以下:
(i)宿主細胞を、本発明のポリペプチドをコードする核酸が組み込まれたベクターで形質転換し;
(ii)形質転換細胞を本発明のポリペプチドの発現に適切な条件下に培養し;
(iii)発現したポリペプチドを回収すること
を含んでなる本発明のポリペプチドの製造方法により提供される。
この観点の具体的実施形態は、宿主細胞がE.coli細胞又は酵母細胞(例えばPichia pastoris細胞)である実施形態を提供する。本明細書中の実施例1〜3、及び7〜8はそれぞれ、E.coli細胞及びPichia Pastoris細胞における本発明のポリペプチドの製造に関する詳細な方法論を提供する。
発明の各観点の好ましい特徴は、必要な変更を加えてではあるが、他の観点の各々についても同様である。本明細書中で言及する先行技術文献は法が許す最大限の範囲で本明細書に援用する。
実施例
以下の実施例で本発明を更に説明する。以下の実施例は、如何なる態様でも本発明の範囲を制限しない。
以下、添付の図面に言及する:
図1aは、野生型ヒトILT-2の完全アミノ酸配列(配列番号1)を提供する。強調したアミノ酸は、野生型ヒトILT-2のイソフォーム1の対応する残基とは異なるこのポリペプチドの残基を示す。膜貫通ドメインのアミノ酸に下線を付した。
図1bは、図1aのアミノ酸配列をコードする野生型ヒトILT-2の完全DNA配列(配列番号2)
を提供する。このDNA配列は、NCIMBヌクレオチドアクセッションNO:NM#006669で与えられるものに対応する。
図2a及び2bはそれぞれ、図1a及び1bに提供した野生型ILT-2配列の可溶性2ドメイン形態のアミノ酸配列及びDNA配列を提供する。これら短縮型配列は、ILT-2の細胞外ドメインD1及びD2のみを含有する/コードする(それぞれ配列番号3及び配列番号4)。
図3は、図2aの野生型ILT-2ポリペプチドの可溶性2ドメイン形態を発現させるためにpGMT7ベースのベクター中に挿入された完全DNA配列を提供する。HindIII及びNdeI制限酵素認識配列に下線を付す。
図4a〜4d(配列番号6〜9)は、可溶性2ドメイン高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。図2aの残基に対して変異している残基を強調する。
図5a〜5d(配列番号10〜13)は、それぞれ図4a〜4dに示す可溶性2ドメイン高親和性ILT様ポリペプチドを発現させるためにpGMT7由来ベクター中に挿入されたDNA配列を提供する。図3のコドンに対して変異しているコドンを強調し、HindIII及びNdeI制限酵素認識配列に下線を付す。
図6は、図5a〜5dのDNA配列を挿入することができるpGMT7由来ベクターのDNA配列を提供する。
図7は、図5a〜5dのDNA配列を挿入することができるpGMT7由来ベクターのプラスミドマップを提供する。
図8aは、可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
図8bは、可溶性2ドメイン(c50)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
図8cは、C末端にシステイン残基が付加された可溶性2ドメイン(c50)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
図9aは、5'末端にシステインをコードするコドンが付加された可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドをコードするDNA配列を提供する。このDNA配列は、Pichia Pastorisにおける発現について最適化されており、SnaBI及びNotI制限酵素認識部位(下線を付す)が組み込まれている。
図9bは、図9aのDNA配列によりコードされる、C末端にシステイン残基が付加された可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
図10は、Pichia Pastorisにより発現された可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドとクラスI MHCとの相互作用について作成したBiacore応答曲線を提供する。
図11は、可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチド二量体とTax−HLA-A*0201との相互作用について作成したBiacore応答曲線を提供する。
図12は、可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチド四量体とTax−HLA-A*0201との相互作用について作成したBiacore応答曲線を提供する。
図13a〜13bhは、更なる2メイン高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
図14は、高親和性(c50)ILT様単量体及び二量体によるCTL活性化の阻害を示すELISPOTデータを提供する。
図15は、高親和性(c50)ILT様単量体、二量体及び四量体によるCTL活性化の阻害を示すELISPOTデータを提供する。
実施例1 − ドメイン1及び2を含んでなる可溶性野生型ILT-2分子の作製
図3(配列番号5)は、ドメインD1及びD2のみを含有する可溶性野生型ILT-2を発現させるために使用したDNA配列を提供する。このDNA配列は、受託研究会社GeneArt(ドイツ)により新たに合成された。また、このDNA配列のpGMT7ベースの発現プラスミド(これは、E.coli株BL21-DE3(pLysS)における高レベル発現用のT7プロモーターを含有する(Panら,Biotechniques(2000) 29(6):1234-8))中へのライゲーションを容易にするために、当該DNA配列に制限酵素認識部位(NdeI及びHindIII)を導入した。
このDNA配列を、NdeI及びHindIIIで切断したpGMT7ベクター中にライゲートする(このベクターのDNA配列については図6、このベクターのプラスミドマップについては図7を参照)。
可溶性野生型ILT-2ポリペプチドをコードするDNA中に導入した制限酵素認識部位:
NdeI - CATATG
HindIII - AAGCTT
ライゲーション
切断したILT-2 DNA及び切断したベクターを、迅速DNAライゲーションキット(Roche)を製造業者の指示書に従って用いてライゲートする。
ライゲートしたプラスミドをコンピテントE.coli株XL1-blue細胞に形質転換し、100mg/mlアンピシリン含有LB/寒天プレート上に播種する。37℃で一晩のインキュベーション後、1つのコロニーを採取し、100mg/mlアンピシリンを含有する10mlのLB中で振盪させながら37℃で一晩増殖させる。クローン化プラスミドを、Miniprepキット(Qiagen)を用いて精製し、挿入物を自動DNAシーケンサ(Lark Technologies)を用いて配列決定する。
図2aは、図2bのDNA配列から作製した可溶性野生型ILT-2ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
実施例2 − 可溶性野生型ILT-2ポリペプチドの高親和性変形体の作製
実施例1に記載のように作製した可溶性野生型ILT-2ポリペプチドは、クラスI pMHC分子に対して増大した親和性及び/又はより遅い解離速度を有する本発明のポリペプチドを作製するための鋳型として用いることができる。
当業者に公知であるように、これらの変異鎖を作製するために要する必要なコドン変更は、可溶性野生型ILT-2ポリペプチドをコードするDNA中に、部位特異的変異誘発により導入することができる(StratageneのQuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit)。
簡潔には、これは、所望のコドン変更が組み込まれたプライマーと、変異誘発の鋳型として可溶性野生型ILT-2ポリペプチドをコードするDNAを含有するプラスミドとを用いることにより達成される。
変異誘発は次の条件を用いて行った:全容量50μl中、50ngのプラスミド鋳型、1μlの10mM dNTP、5μlの製造業者により供給された10×Pfu DNAポリメラーゼ緩衝液、25pmolのfwdプライマー、25pmolのrevプライマー、1μlのpfu DNAポリメラーゼ。95℃で2分間の最初の変性工程後、反応物を、変性(95℃、10秒)、アニーリング(55℃、10秒)及び伸長(72℃、8分)の25サイクルに供した。得られた生成物をDpnI制限酵素で消化して鋳型プラスミドを除き、E.coli株XL1-blueに形質転換した。変異誘発を配列決定により確証した。
YLSGANLNL(配列番号15)−HLA-A*0201複合体に対しての高親和性が証明された変異ILT様ポリペプチドのアミノ配列を、図4a〜4d(配列番号6〜9)及び図13a〜13bh(配列番号21〜80)に列挙する。当業者に公知であるように、これらの変異ポリペプチドを作製するため
に要する必要なコドン変更は、野生型可溶性ILT-2ポリペプチドをコードするDNA中に、部位特異的変異誘発により導入することができる(StratageneのQuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit)。
実施例3 − 可溶性ポリペプチドの発現、リフォールディング及び精製
実施例1又は2で作製したILTポリペプチドを含む発現プラスミドを、E.coli株rosetta
DE3pLysSに別々に形質転換し、1つのアンピシリン/クロラムフェニコール耐性コロニーをTYP(アンピシリン100μg/ml、クロラムフェニコール15μg/ml)培地中で37℃にて7時間増殖させた後、0.5mM IPTGでタンパク質発現を誘導する。誘導の15時間後に、Beckman J-6B中で4000rpmにて30分間の遠心分離により細胞を回収する。細胞ペレットを緩衝液中に再懸濁し、再懸濁細胞を、Milsonix XL2020ソニケータ中での標準の12mm径プローブを使用する1分間のバーストで合計約10分間の超音波処理に付する。封入体ペレットを、Beckman J2-21遠心機における4000rpmにて10分間の遠心分離により回収する。次いで、3回の界面活性剤での洗浄を行い、細胞残渣及び膜成分を除去する。各回、封入体ペレットをTriton緩衝液(50mMのTris-HCl、0.5%のTriton-X100、200mMのNaCl、10mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、2mMのDTT、pH8.0)中でホモジナイズした後、Beckman J2-21における4000rpmにて15分間の遠心分離によりペレット化する。次いで、以下の緩衝液中での同様な洗浄により界面活性剤及び塩を除去する:50mMのTris-HCl、1mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、2mMのDTT、pH8.0。最後に、封入体を60mgずつ小分けし、−70℃にて凍結させる。封入体タンパク質の収率を、6Mグアニジン-HClで可溶化し、UV分光器を用いて測定することにより定量する。
約60mgのILTポリペプチドの可溶化封入体を凍結ストックから解凍し、15mlのグアニジン溶液(6M塩酸グアニジン、10mM酢酸ナトリウム、10mM EDTA)中に希釈して、完全な鎖変性を確実に行った。次いで、十分に還元され変性したILTポリペプチドを含有するグアニジン溶液を、以下の1リットルのリフォールディング緩衝液中に注入する:100mM Tris
pH8.5、400mM L-アルギニン、2mM EDTA、5mM還元型システアミン、0.5mMの2-メルカプトエチルアミン、5M尿素。酸化還元対(2-メルカプトエチルアミン及びシスタミン(それぞれ最終濃度6.6mM及び3.7mMまで))を加え、約5分後に変性ILTポリペプチドを加える。この溶液を30分間放置する。リフォールディングしたILTポリペプチドを、Spectrapor 1メンブレン(Spectrum;製品番号132670)中で、10Lの10mM Tris(pH8.1)に対し、5℃±3℃にて18〜20時間透析した。この時間の後、透析緩衝液を新鮮な10mM Tris(pH8.1)(10L)に変え、透析を5℃±3℃にて更に20〜22時間継続する。
透析したリフォールディング物をPOROS 50HQアニオン交換カラムにロードし、Akta Purifier(Pharmacia)を用いて50カラム容量を超える0〜500mM NaClグラジエントで結合タンパク質を溶出することにより、可溶性ILTポリペプチドを分解産物及び不純物から分離する。ピーク画分を4℃にて貯蔵し、クーマシー染色SDS-PAGEで分析した後、プールして濃縮する。最後に、可溶性ILTポリペプチドを精製して、HBS-EP緩衝液(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、3.5mM EDTA、0.05% Nonidet p40)で予め平衡化したSuperdex 200HRゲル濾過カラムを用いて特徴付けを行う。約27kDaの相対分子量で溶出するピークをプールし、濃縮した後、Biacore表面プラズモン共鳴分析により特徴付けを行う。
実施例4 − pMHC分子への可溶性ILT分子の結合のBiacore表面プラズモン共鳴特徴付け
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(Biacore 3000TM)を使用して、クラスI pMHCへの可溶性ILT分子の結合を分析した。これは、半配向様式(semi-oriented fashion)でストレプトアビジン被覆結合表面に固定した可溶性ビオチン化pMHC(下記で説明)を作製し、同時に4つまでの異なるpMHC(別個のフローセルに固定)への可溶性ILT分子の結合の効率的な試験を可能にすることにより容易となった。pMHCの注入により、正確なレベルの固定化クラスI分子を容易に操作することが可能となった。
CEA由来YLSGANLNL(配列番号15)ペプチドを搭載した可溶性ビオチン化クラスI HLA-A*0201を、構成サブユニットタンパク質及び合成ペプチドを含有する細菌発現封入体から、インビトロでリフォールディングさせ、続いて精製し、インビトロにて酵素でビオチン化した(O'Callaghanら(1999) Anal. Biochem. 266:9-15)。そのタンパク質の膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインと置換したC末端ビオチン化タグを有するMHC−重鎖を適切な構築物中で発現させた。〜75mg/リットル細菌培養物の封入体発現レベルが得られた。MHC軽鎖又はβ2-ミクログロブリンもまた、E.coli中で適切な構築物から封入体として〜500mg/リットル細菌培養物のレベルで発現させた。
E. coli細胞を溶解し、封入体を約80%純度まで精製した。封入体からのタンパク質を6Mのグアニジン-HCl、50mMのTris(pH8.1)、100mMのNaCl、10mMのDTT、10mMのEDTA中で変性させ、5℃より低いリフォールディング緩衝液中に変性タンパク質の単一パルス(single pulse of denatured protein)を添加することにより、0.4MのL-アルギニン-HCl、100mMのTris(pH8.1)、3.7mMのシスタミン、6.6mMのβ-システアミン、MHCが搭載するために必要な4mg/mlの当該ペプチド中で30mg/リットルの重鎖、30mg/リットルのβ2mの濃度にてリフォールディングさせた。リフォールディングは、4℃にて少なくとも1時間で完了に到達させた。
緩衝液を、10容量の10mM Tris(pH8.1)での透析により交換した。溶液のイオン強度を十分に減少させるために、2回の緩衝液交換が必要であった。次いで、タンパク質溶液を1.5μm酢酸セルロースフィルターに通して濾過し、POROS 50HQアニオン交換カラム(8ml床容量)に充填した。タンパク質を0〜500mMのNaCl線形勾配で溶出させた。可溶性ビオチン化HLA-A2−ペプチド複合体は約250mM NaClで溶出した。ピーク画分を収集し、プロテアーゼ阻害剤のカクテル(Calbiochem)を加え、画分を氷上で冷却した。
ビオチン化タグを付したpMHCを、10mM Tris(pH8.1)、5mM NaCl中に、同じ緩衝液中で平衡化したPharmacia迅速脱塩カラムを使用して移して緩衝液を交換した。溶出に際して即座に、タンパク質含有画分を氷上で冷却し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Calbiochem)を加えた。次いで、ビオチン化試薬を加えた:1mMビオチン、5mM ATP(pH8に緩衝化)、7.5mM MgCl2及び5μg/ml BirA酵素(O’Callaghanら(1999)Anal.Biochem.266:9-15に従って精製)。次いで、混合物を室温にて一晩インキュベートした。
ゲル濾過クロマトグラフィーを使用してビオチン化pMHCを精製した。Pharmacia Superdex 75 HR 10/30カラムを濾過PBSで予め平衡化し、1mlのビオチン化反応混合物を充填し、カラムをPBSで0.5ml/分にて展開した。ビオチン化pMHCは、約15mlで単一ピークとして溶出した。タンパク質を含む画分をプールし、氷上で冷却し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを加えた。クーマシー結合アッセイ(PerBio)を使用してタンパク質濃度を測定し、ビオチン化pMHCのアリコートを−20℃で凍結保存した。標準的なアミンカップリング法によりストレプトアビジンを固定化した。
この固定化pMHCは可溶性T細胞レセプター及びコレセプターCD8αα並びにILT分子に結合することができ、これら相互作用は、固定化pMHCが正確にリフォールディングすることを確実にするために使用できる。
可溶性ILT分子とCEA由来YLSGANLNL(配列番号15)−HLA-A*0201(これらの製造は上記で説明)との間の相互作用を、Biacore 3000TM表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサで分析した。SPRは、レセプターリガンド相互作用を検出しその親和性及び動力学的パラメータを分析するために使用することができる原理である、小さなフローセル内のセンサ表面近くでの屈折率の変化(応答単位(RU)で表示)を測定する。ビオチン−タグ結合を介してpMHC複
合体をフローセルに固定化することにより、プローブフローセルを準備した。次いで、異なるフローセルの表面上に可溶性ILTを一定流速で通過させ、そうしている間のSPR応答を測定することにより、アッセイを実施した。
平衡結合定数の測定
可溶性ILT分子の系列希釈物を調製し、5μl/分の一定流速で2つの異なる表面(一方は〜500RUの特異的HLA-A*0201複合体を被覆し、第2のセルはコントロールとしてブランクのままとした)に注入した。応答は、コントロールセルの測定値を用いて各濃度について規格化した。規格化データ応答を、ILTサンプルの濃度に対してプロットし、平衡結合定数KDを算出するために双曲線にフィットさせた(Price & Dwek,Principles and Problems
in Physical Chemistry for Biochemists(第2版) 1979,Clarendon Press,Oxford)。
動力学パラメータの測定
高親和性可溶性ILTについて、解離速度定数kd及び結合速度定数kaを実験的に測定することによりKDを決定した。平衡定数KDはkd/kaとして算出した。
1つは〜300RUのCEA由来YLSGANLNL(配列番号15)−HLA-A*0201複合体で被覆し、2つめはコントロールとしてブランクのままとした2つの異なるセル上に高親和性ILT様分子を注入した。流速を50μl/分に設定した。代表的には、〜3μMのILTポリペプチドを250μl注入した。次いで、応答がベースラインに戻るまで緩衝液を流した。Biaevaluationソフトウェアを用いて動力学パラメータを算出した。また、半減期の算出を可能とするために、解離相を一次指数関数減衰式にフィットさせた。
結果
野生型ILT-2の可溶性変形体とCEA由来YLSGANLNL−HLA-A*0201複合体との間の相互作用を、上記の方法を用いて分析し、約6μMのKDが示された。図4a〜4d(配列番号6〜9)及び図13a〜13bh(配列番号21〜80)に提供されるアミノ酸配列を有するILT様分子は、1μMより少ないか若しくはこれと等しいKD及び/2 S-1か若しくはそれより遅い解離速度を有する。
実施例5 − pMHC/CD8相互作用の可溶性ILT媒介性阻害のBiacore表面プラズモン共鳴分析
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(Biacore 3000TM)を使用して、pMHC/CD8相互作用の可溶性ILT媒介性阻害を分析する。これは、可溶性pMHC複合体(下記で説明)及びビオチン化可溶性CD8αα分子(下記で説明)を作製することにより容易となる。ビオチン化可溶性CD8αα分子は、半配向様式でストレプトアビジン被覆結合表面「Biacoreチップ」に固定する。このことは、固定化可溶性CD8ααへの可溶性pMHC複合体の結合の効率的な試験を可能にする。ビオチン化可溶性CD8αα分子の注入により、正確なレベルの固定化CD8分子を容易に操作することが可能となる。
CEA由来YLSGANLNL(配列番号15)ペプチドを搭載した可溶性HLA-A*0201 pMHCをGarbocziら(1992)(PNAS USA 89 3429-3433)に実質的に記載される方法を用いて作製する。可溶性pMHC分子を、構成サブユニットタンパク質及び合成ペプチドを含有するE.coli発現封入体からインビトロでリフォールディングさせ、次いで精製する。MHC軽鎖又はβ2-ミクログロブリンもまた、E.coli中で適切な構築物から封入体として〜500mg/リットル細菌培養物のレベルで発現させる。
E. coli細胞を溶解し、封入体を精製する。ビオチン化工程を省略する以外は過剰発現タンパク質を実施例4に詳述した方法を用いてリフォールディング及び精製する。
ビオチン化可溶性CD8分子は、EP1024822の実施例1及び6に記載のように作製する。簡潔には、C末端ビオチン化タグを含有する可溶性CD8αをE.coli中で封入体として発現さ
せ、次いで精製しリフォールディングさせて、酵素的にビオチン化することが可能なタグ配列を含有するCD8ααホモ二量体を産生する(Schatz(1993) Biotechnology NY 11:1138-43)。次いで、タグを付したCD8α分子のビオチン化を、BirA酵素を用いて達成する(O'Callaghanら,Anal Biochem 266(1):9-15 (1999))。ビオチン化試薬は以下である:1mMのビオチン、5mMのATP(pH8に緩衝化)、7.5mMのMgCl2、及び5μg/mlのBirA酵素(O'Callaghanら(1999) Anal. Biochem. 266:9-15に従い精製)。次いで、混合物を室温にて一晩インキュベートする。
ビオチン化sCD8ααを、1000応答単位の屈折率の変化を生じるようにBiacoreストレプトアビジン被覆チップの表面に固定する。この固定化CD8αα分子は、可溶相に注入し得る可溶性pMHC複合体と結合できる。
ILT分子がBiacore 3000TM表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサでpMHC/CD8相互作用を阻害する能力を以下のとおり分析する:
SPRは、レセプターリガンド相互作用を検出しその親和性及び動力学的パラメータを分析するために使用することができる原理である、小さなフローセル内のセンサ表面近くでの屈折率の変化(応答単位(RU)で表示)を測定する。チップは、上記のように、可溶性ビオチン化CD8αα分子をストレプトアビジン被覆チップに固定して作製する。野生型ILT又は高親和性ILT様分子の系列希釈物を作製し、1000RUのビオチン化CD8ααを被覆したフローセル上に、5μl/分の一定流速で適切な濃度の可溶性YLSGANLNL(配列番号15)−HLA-A*0201の存在下に注入した。CD8αα/pMHC相互作用についてのSPR応答の阻害は、容量応答曲線を生じる。この曲線を使用して、この相互作用についてアッセイされるポリペプチドに関するIC50値を算出する。
実施例6 − ポリペプチド配列の同一性及び類似性の比較
本出願のための同一性及び類似性のデータを作成するために使用したタンパク質−タンパク質比較アルゴリズムは、以下のウェブサイトから入手可能である:
http://fasta.bioch.virginia.edu/fasta#www/cgi/search#frm2.cgi
このウェブサイトで入手可能な「FASTA:protein:protein DNA:DNA」プログラムを使用して、これら比較を行った。以下の(デフォルトの)設定を使用した:
Ktup: Ktup =2
Scoring matrix: Blosum 50
Gap: -10
Ext: -2
必要な比較を行うため、図4b(配列番号7)に提供するような1文字表記での可溶性ILT-2フラグメントのアミノ酸配列を、第1の(質問(query))配列として入力し、これと比較するためのアミノ酸配列を第2の(ライブラリ(library))配列として入力する。次いで、アルゴリズムを実行すると、比較した一対の配列について同一性及び類似性のスコアが提供される。
当業者には公知であるように、この分析に使用し得るFASTAタンパク質:タンパク質比較のソースは数多く存在する。
実施例7 − 可溶性高親和性c20 ILT様ポリペプチドの発現用Pichia pastorisベクターの作製
図9a(配列番号19)は、Pichia pastorisにおいて、ドメインD1及びD2のみを含有する可溶性c20高親和性ILT様ポリペプチドを発現させるために使用するDNA配列を提供する。Pichia発現に最適化されたこのDNA配列は、受託研究会社GeneArt(ドイツ)により新たに合成
された。発現ILT様ポリペプチドのC末端に「タグ」を提供し、必要な場合には多量体化を容易にするために、このDNAの3'プライム末端に、システインをコードするコドンを付加した。DNA配列のpPIC9K発現プラスミド(Invitrogen)中へのライゲーションを容易にするために、制限酵素認識部位(SnaBI及びNotI)をこのDNA配列中に導入した。
可溶性高親和性c20 ILT様ポリペプチドをコードするDNA中に導入した制限酵素認識部位:
SnaBI - tacgta
NotI - gcggccgc
ライゲーション
迅速DNAライゲーションキット(Roche)を用いて、高親和性ILT様ポリペプチドをコードするDNA配列を、SnaBI及びNotI制限酵素で切断したpPIC9Kベクター(Invitrogen)中にライゲートした。
プラスミド増幅
ライゲートしたプラスミドをコンピテントXL1 blue(Stratagene, Country)に形質転換し、100mg/mlカナマイシン含有LB/寒天プレート上に播種する。37℃で一晩のインキュベーション後、1つのコロニーを採取し、100mg/mlカナマイシンを含有する100mlのLB中で振盪させながら37℃で一晩増殖させる。クローン化プラスミドを、Miniprepキット(Qiagen)を用いて精製し、挿入物を自動DNAシーケンサ(Lark Technologies)を用いて配列決定する。
図9b(配列番号20)は、図9a(配列番号19)のDNA配列によりコードされる2ドメイン高親和性ILT様(c20)ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
実施例8 − Pichia pastorisにおける可溶性高親和性ILT様ポリペプチドの発現及び精製
実施例7で作製した親和性ILT様ポリペプチドをコードするDNAを含有するPichia pastoris発現プラスミドを、以下のとおり、Pichia pastoris株GS115(Invitrogen、米国)に形質転換した:
GS115 Pichia pastoris細胞を、Pichia EasyCompキット(Invitrogen)を用いてコンピテントにした。このキットはPEG1000を使用して、細胞を化学的にコンピテントにする。
ILT様ポリペプチドDNAを含有するベクターを、Sal Iを用いて線状にし、Invitrogenのマニュアルに記載のとおりにGS115株に形質転換した。
細胞をRDB寒天プレート(Invitrogen)で増殖させることにより、高親和性ILT様ポリペプチドをコードするDNAを含有する形質転換体を選択した。RDB寒天はヒスチジンを欠いており、pPIC9Kプラスミドでの形質転換に成功した酵母細胞のみが増殖することを確実にする。pPIC9Kプラスミドは、His-培地での増殖を可能にするHIS4遺伝子のコピーを提供することにより、ヒスチジン-寒天での増殖能を付与する。
寒天プレートから1つのコロニーを採取し、BMGY培地(Invitrogen)中で30℃にて一晩増殖させた後、タンパク質発現を誘導した。タンパク質発現は、細胞を遠心し(2000×gで10分間)、及び200mlのBMMY誘導培地(Invitrogen)に再懸濁することにより誘導した。誘導の6日後に、2000×gにて30分間の遠心分離により細胞を回収する。上清を接線フロー濾過(Sartorious、10kDaカットオフ)により10mlに濃縮し、SEC(S200HR GE Healthcare)を用いて精製した。
ピーク画分を4℃にて保存し、クーマシー染色SDS-PAGEにより分析した後、プールし濃縮する。最後に、可溶性高親和性ILT様ポリペプチドを、HBS-EP緩衝液(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、3.5mMのEDTA、0.05% nonidet p40)中で平衡化したSuperdex 200HRゲ
ル濾過カラムを用いて精製し、特徴付ける。約27kDaの相対分子量で溶出するピークをプールし、濃縮した後、実施例4に詳述した方法を用いてBiacore表面プラズモン共鳴分析により特徴付ける。
結果
Pichia pastoris発現高親和性c20 ILT様ポリペプチドは、実施例4のBiacoreベースの方法により測定したとき、クラスI MHCに対する約100〜150nMのKDを有した(Pichia産生高親和性c20 ILT様ポリペプチドを用いて作成したBiacore曲線に関しては図10を参照)。 これは、対応するE.coli産生高親和性c20 ILT様ポリペプチドについて決定した約25〜85nMのKDに匹敵する。
実施例9 − 3.4kd Mal-PEG-Malリンカーを用いるILT様ポリペプチドの二量体化
実施例1〜3に詳述する方法を用いて、C末端に追加のシステイン残基を含有する可溶性c50高親和性ILT様ポリペプチドを作製した(このポリペプチドのアミノ酸配列については図8b(配列番号17)を参照)。非分枝状二官能性マレイミド−PEG(MAL−PEG−MAL、MW 3.4KD、NOF Corporation、日本)を用いてILT様ポリペプチドを架橋した。このリンカーの末端のマレイミド基は、リンカーに遊離チオール結合特異性を付与する。架橋の前に、可溶性ILT様ポリペプチドの遊離システインを放出させるために、ILT様ポリペプチドを還元剤0.1mM DTTで前処理した(室温、一晩)。この低濃度の還元剤を使用して、露出したC末端システイン残基を選択的に還元した。次いで、PBS緩衝液中でのゲル濾過クロマトグラフィー(Superdex 75)により、可溶性ILT様ポリペプチドを再精製した。次いで、10kDaカットオフ遠心分離膜濃縮器(VivaScience、Satorius)を用いて、ILT様ポリペプチドを再濃縮した。架橋は、約2:1(タンパク質対架橋剤)のモル比でMAL−PEG−MAL(DMF中10mM)を段階的(stepwise)に添加し、続いて室温にて2時間インキュベートすることにより達成した。次いで、PBS中で予め平衡化したSuperdex 75 HR10/30ゲル濾過カラムを用いて生成物を精製した。架橋後、3つのピークが観察された:このうち、1つは、無傷(intact)の「単量体」ILT様ポリペプチドの位置に対応し、より高い分子量種に対応した。これらピーク中の物質をSDS-PAGEにより更に分析した。
3つのピークからのサンプルを、DTTなし(非還元性)又は15mMのDTT(還元性)の標準的なSDSサンプル緩衝液(BioRad)で前処理し、4〜20%グラジエントPAGE上で泳動し、クーマシーブルー染色で染色した。非還元条件下、3つのピーク中の物質は、それぞれ架橋種(ILT--PEG-ILT)、中間種(ILT--PEG)及び非改変ILT-2として現れた。
これら可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチド二量体がクラスI pMHCに結合する能力は、実施例4に詳述したBiacoreベースの方法を用いて確認した。可溶性高親和性c50 ILT様二量体は、約30〜86分の解離半減期が示された。比較により、Biacoreは、対応する可溶性c50 ILT-2単量体ポリペプチドのKDが約6秒であると示した。このことは、二量体化により増強した親和性が得られたことを明らかに示している。図11は、可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチド二量体とTax−HLA-A*0201との相互作用に関するBiacore曲線を提供する。このBiacore曲線には、この特定回(run)についての解離半減期(86分)を算出するために使用した回帰直線も加えられている。
実施例10 − ILT-2ポリペプチドの四量体化
四量体マレイミド−PEG(4アームMAL−PEG、MW 20KD、Shearwater Corporation)を用いて、C末端に追加のシステイン残基を含有する可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチドを四量体化した。このリンカーの末端のマレイミド基は、リンカーに遊離チオール結合特異性を付与する。架橋の前に、可溶性ILT-2ポリペプチドの遊離システインを放出させるために、可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチドを還元剤0.1mM DTTで前処理した(室温、一晩)。この低濃度の還元剤を使用して、露出したC末端システイン残基を選択的に還元し
た。次いで、PBS緩衝液中でのゲル濾過クロマトグラフィー(Superdex 75)により、可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチドを再精製した。次いで、10kDaカットオフ遠心分離膜濃縮器(VivaScience, Satorius)を用いて、可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチドを再濃縮した。四量体化は、約4:1(タンパク質対架橋剤)のモル比で4アームMAL−PEG(DMF中10mM)を段階的に添加し、続いて室温にて2時間インキュベートすることにより達成した。次いで、PBS中で予め平衡化したSuperdex 75 HR10/30ゲル濾過カラムを用いて生成物を精製した。溶出した画分をSDS-PAGEにより更に分析した。
画分からのサンプルを、DTTなし(非還元性)又は15mMのDTT(還元性)の標準的なSDSサンプル緩衝液(BioRad)で前処理し、4〜20%グラジエントPAGE上で泳動し、クーマシーブルー染色で染色した。SDS PAGEゲルは、四量体可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチド種が存在するタンパク質の約50%を構成していることを示した。
これら四量体がクラスI pMHCに結合する能力は、実施例4に詳述したBiacoreベースの方法を用いて確認した。可溶性c50 ILT様四量体は、Tax−HLA*0201に非常に強く結合したので、相互作用について見かけのKD又は解離半減期を決定することができなかった。比較により、Biacoreは、対応する可溶性c50 ILT-2二量体及び単量体ポリペプチドの相互作用についての解離半減期がそれぞれ30〜86分及び約6秒であると決定した。このことは、四量体化により増強した親和性が得られたことを明らかに示している。図12は、可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチド 四量体とTax−HLA*A0201との相互作用についてのBiacore曲線を提供する。
実施例11 − 高親和性c50 ILT様単量体、二量体及び四量体による細胞傷害性T細胞(CTL)活性化のインビトロ阻害を評価するためのELISPOTアッセイ
以下の方法は、可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチド単量体及び多価複合体がCD8コレセプター媒介性T細胞活性化を阻害する能力を評価する手段を提供する。
試薬:
アッセイ培地:10% FCS(熱不活化、Gibco、cat# 10108-165)、88% RPMI 1640(Gibco、cat# 42401-018)、1%グルタミン(Gibco、cat# 25030-024)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、cat# 15070-063)。
洗浄緩衝液:0.01M PBS/0.05% Tween 20(1リットルの蒸留水中に溶解した、1包のTween 20含有リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)(Sigma、Cat. # P-3563)により、最終組成0.01M PBS、0.138M NaCl、0.0027M KCl、0.05% Tween 20が得られる)。
PBS(Gibco、cat#10010-015)。
Diaclone EliSpotキット(IDS) EliSpotキットは必要な他の全ての試薬、すなわち捕捉抗体及び検出抗体、スキムミルク粉、BSA、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ、BCIP/NBT溶液を含む(ヒトIFN-γ PVDF Eli-spot 20×96ウェルプレート(IDS cat# DC-856.051.020、DC-856.000.000))。
以下の方法は、各キットと共に供給される製造業者の指示書に基くが、幾らかの変更も含む。
方法
100μlの捕捉抗体をプレート当たり10mlの滅菌PBS中に希釈した。100μlの希釈捕捉抗体を各ウェルに小分けし、4℃にて一晩又は室温にて2時間放置した。次いで、プレートを450μlの洗浄緩衝液、Ultrawash 96ウェルプレートウォッシャー(Thermo Life Sciences)で3回洗浄して過剰の捕捉抗体を除去した。次いで、100μlの2%スキムミルクを各ウェルに添加した(ELISPOTキットで供給された1バイアルのスキムミルク粉を50mlの滅菌PBSに溶解した)。次いで、プレートを室温にて2時間インキュベートした後、450μlの洗浄
緩衝液、Ultrawash 96ウェルプレートウォッシャー(Thermo Life Sciences)で更に3回洗浄した。
Mel 624及びMel 526の標的細胞を、トリプシンを使用して組織培養フラスコから脱着し、アッセイ培地中での遠心分離(280×gで10分間)により1回洗浄し、同じ培地中に1×106/mlで再懸濁した。次いで、50μlのこの懸濁液をアッセイプレートに加えて、50,000細胞/ウェルの総標的細胞数を得た。
MART-1特異的T細胞クローン(KA/C5)(エフェクター細胞株)を、遠心分離(280×gで10分間)により採集し、アッセイ培地中に1×104/mlで再懸濁し、50μlをアッセイプレートに添加して500細胞/ウェルを得た。
可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチド単量体、二量体及び四量体をアッセイ培地中で3×濃度に希釈して、50μlをプレートに加えて最終容量150μlにすると1×最終が得られた。試験したILT-2単量の濃度範囲は、10μM〜0.03μMであった。試験したILT-2二量体及び四量体の濃度範囲は、1μM〜0.003μMであった。
次いで、以下を含有するウェルを調製した(各ウェル中の最終反応容量は100μlであった):
試験サンプル(順に添加)
50μlのMel 624又はMel 526標的細胞
50μlの所望濃度のILT様単量体、四量体又は二量体
50μlのT細胞クローン エフェクター細胞。
ネガティブコントロール
50μlの標的細胞
50μlの最高濃度のILT様単量体、二量体又は四量体
50μlのアッセイ培地
又は
50μlのエフェクター細胞
50μlの最高濃度のILT様単量体、二量体又は四量体
50μlのアッセイ培地
ポジティブコントロール
50μlのMel 624又はMel 526標的細胞
50μlのエフェクター細胞
50μlのアッセイ培地
又は
CD8依存性を示すために
50μlのMel 624又はMel 526標的細胞
50μlのエフェクター細胞
100μg/ml HB230抗CD8抗体を含む50μl
次いで、プレートを37℃/5%CO2にて一晩インキュベートした。次いで、プレートを洗浄緩衝液で6回洗浄した後、過剰の緩衝液を軽く叩いて取り除いた。次いで、550μlの蒸留水を、ELISPOTキットで供給された検出抗体の各バイアルに加えて、希釈溶液を調製した。次いで、100μlの希釈検出抗体溶液をプレート当たり10mlのPBS/1% BSA中で更に希釈し、100μlの希釈検出抗体溶液を各ウェルに小分けした。次いで、プレートを室温にて
90分間インキュベートした。
この後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し(450μlの洗浄緩衝液、Ultrawash 96ウェルプレートウォッシャー(Thermo Life Sciences)で3回)、軽く叩いて乾燥させた。次いで、10μlのストレプトアビジン−アルカリホスファターゼをプレート当たり10mlのPBS/1% BSAで希釈し、100μlの希釈ストレプトアビジンを各ウェルに加え、室温にて1時間インキュベートした。次いで、プレートを再び450μlの洗浄緩衝液で3回洗浄し、軽く叩いて乾燥させた。
100μlのBCIP/NBT供給溶液を各ウェルに加え、プレートをホイルで覆い、5〜15分間放置して現像した。この期間の間、いつ反応が終結したかを決定するために、プレートをスポット形成について定期的に検査した。
次いで、プレートを水道水中で十分に洗浄し、取り出す前に振盪させ、卓上で放置して乾燥させた。
乾燥させたら、プレートをELISPOTリーダー(Autoimmun Diagnotistika、ドイツ)を用いて読み取った。
各ウェルに現れたスポットの数は、活性化したT細胞の数に比例する。したがって、可溶性高親和性c50 ILT様ポリペプチド単量体、二量体又は四量体を含有するウェル中のスポット数の減少は、CD8コレセプター媒介性CTL活性化の阻害を示す。
結果
図14に示されるように、高親和性c50 ILT-2ポリペプチドは、単量体形態及び二量体形態の両方で、CTL活性化の阻害に有効である。高親和性c50 ILT様二量体は、対応する単量体より、CTL活性化の阻害に相当効果的である。高親和性c50 ILT様四量体は尚更効果的である(図15を参照)。単量体、二量体及び四量体ILT様ポリペプチドによるCTL阻害について、図15に示されるデータから算出したIC50値は、それぞれ800nM、16.2nM及び0.7nMであった。
野生型ヒトILT-2の完全アミノ酸配列(配列番号1)を提供する。 aのアミノ酸配列をコードする野生型ヒトILT-2の完全DNA配列(配列番号2)を提供する。 図1b−1の続きである。
図1aに提供した野生型ILT-2配列の可溶性2ドメイン形態のアミノ酸配列を提供する。 図2a−1の続きである。 図1bに提供した野生型ILT-2配列の可溶性2ドメイン形態のDNA配列を提供する。
図2aの野生型ILT-2ポリペプチドの可溶性2ドメイン形態を発現させるためにpGMT7ベースのベクター中に挿入された完全DNA配列を提供する。 a〜d(配列番号6〜9)は、可溶性2ドメイン高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
a、b(配列番号10、11)は、それぞれ図4a、4bに示す可溶性2ドメイン高親和性ILT様ポリペプチドを発現させるためにpGMT7由来ベクター中に挿入されたDNA配列を提供する。 c、d(配列番号12、13)は、それぞれ図4c、4dに示す可溶性2ドメイン高親和性ILT様ポリペプチドを発現させるためにpGMT7由来ベクター中に挿入されたDNA配列を提供する。
図5a〜5dのDNA配列を挿入することができるpGMT7由来ベクターのDNA配列を提供する。 図6−1の続きである。 図5a〜5dのDNA配列を挿入することができるpGMT7由来ベクターのプラスミドマップを提供する。
aは、可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。bは、可溶性2ドメイン(c50)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。cは、C末端にシステイン残基が付加された可溶性2ドメイン(c50)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
aは、5'末端にシステインをコードするコドンが付加された可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドをコードするDNA配列を提供する。bは、aのDNA配列によりコードされる、C末端にシステイン残基が付加された可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。
Pichia Pastorisにより発現された可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチドとクラスI MHCとの相互作用について作成したBiacore応答曲線を提供する。 可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチド二量体とTax−HLA-A*0201との相互作用について作成したBiacore応答曲線を提供する。 可溶性2ドメイン(c20)高親和性ILT様ポリペプチド四量体とTax−HLA-A*0201との相互作用について作成したBiacore応答曲線を提供する。
更なる2メイン高親和性ILT様ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。 図13−1の続きである。 図13−2の続きである。 図13−3の続きである。
図13−4の続きである。 図13−5の続きである。 図13−6の続きである。 図13−7の続きである。
図13−8の続きである。 図13−9の続きである。 図13−10の続きである。 図13−11の続きである。 図13−12の続きである。
高親和性(c50)ILT様単量体及び二量体によるCTL活性化の阻害を示すELISPOTデータを提供する。 高親和性(c50)ILT様単量体、二量体及び四量体によるCTL活性化の阻害を示すELISPOTデータを提供する。

Claims (60)

  1. ポリペプチドが1μMより少ないか等しい所定のクラスI pMHCに対するKDを有し、及び/又は2 S-1かそれより遅い該所定のクラスI pMHC分子に対する解離速度(koff)を有すること、配列番号7に対し少なくとも45%の同一性及び/又は55%の類似性を有すること、該所定のpMHCに対するCD8の結合を配列番号3のポリペプチドより大きな程度で阻害することを特徴とする所定のクラスI pMHCへの結合性を有するポリペプチド。
  2. 変異ヒトILT分子である請求項1に記載のポリペプチド。
  3. KD及び/又はkoffが表面プラズモン共鳴により測定される請求項1又は2に記載のポリペプチド。
  4. 配列番号3のアミノ酸10W、19Q、20G、21S、42K、47W、50R、66I、77Y、78Y、79G、80S、81D、82T、83A、84G、85R、87E、99A、101I、102K、141E、146L、147N、159I、168S、172W、174R及び188Lに相当するアミノ酸の1つ又はそれより多くが変異している請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  5. 配列番号3の番号付けを使用して、以下の変異10W→L、19Q→M、19Q→L、19Q→V、20G→D、20G→M、20G→Q、20G→F、20G→S、20G→E、20G→R、21S→Q、21S→R、21S→A、21S→S、42K→R、47W→Q、50R→L、66L→V、77Y→V、77Y→M、77Y→I、77Y→Q、78Y→Q、78Y→I、78Y→G、79G→Q、79G→Y、79G→W、79G→R、79G→V、80S→R、80S→T、80S→G、81D→G、81D→Q、81D→L、81D→V、82T→G、82T→E、83A→S、83A→G、83A→R、84G→L、84G→Q、84G→A、85R→W、87E→A、99A→I、99A→Y、101I→L、101I→K、101I→Q、101→V、102K→Q、102K→A、102K→R、141E→G、141E→D、146L→D、147N→S、159I→E、168S→G、172W→R、174R→W又は188L→Dの1つ又はそれより多くを含んでなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  6. 配列番号3の番号付けを使用して、19Q→M及び21→Qに相当する変異を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  7. 配列番号3の番号付けを使用して、19Q→M、20G→D、21S→Q、99A→V及び168S→Gに相当する変異を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  8. 配列番号3の番号付けを使用して、19Q→L、20G→M、及び21S→Qに相当する変異を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  9. 配列番号3の番号付けを使用して、19Q→M、20G→Q、21S→R、42K→R、及び146L→Sに相当する変異を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  10. 配列番号3の番号付けを使用して、19Q→M、20G→D、21S→Q、83A→S、84G→Q、85R→W、87E→A及び99A→Vに相当する変異を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  11. 配列番号3の番号付けを使用して、135C又は145Cの一方又は両方に相当するアミノ酸がSに変異している請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  12. 配列番号3の少なくともアミノ酸1〜195に相当するアミノ酸を含んでなる請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  13. 配列番号6〜9又は21〜61のいずれかからなるか又はいずれかを含む請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  14. 配列番号16からなるか又は配列番号16を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  15. 前記変異を欠く対応ポリペプチドに対して溶解性を増大させる1つ又はそれより多い変異を含んでなる請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  16. 少なくとも1つの溶媒曝露疎水性アミノ酸が荷電アミノ酸で置換されている請求項15に記載のポリペプチド。
  17. 前記変異がC末端6アミノ酸内にある請求項15又は16に記載のポリペプチド。
  18. 配列番号3の196L及び/又は198Lに相当するアミノ酸がそれぞれ196D及び198Dに変異している請求項15〜17のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  19. 配列番号3の番号付けを使用して、19Q→M、20G→D、21S→Q、83A→S、84G→Q、85R→W、87E→A、99A→V、196L→D及び198L→Dに相当する変異を含んでなる請求項15〜18のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  20. 配列番号63〜80のいずれかからなるか又はいずれかを含む請求項15〜17のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  21. 配列番号17若しくは62からなるか又は配列番号17若しくは62を含む請求項14〜19のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  22. C末端に「タグ」を含んでなる請求項1〜21のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  23. 前記タグがシステイン残基である請求項22に記載のポリペプチド。
  24. 少なくとも1つのポリアルキレングリコール鎖と組み合わされた請求項1〜23のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  25. 前記ポリアルキレングリコール鎖が共有結合している請求項24に記載のポリペプチド。
  26. 前記ポリアルキレングリコール鎖が少なくとも2つのポリエチレングリコール反復単位を含んでなる請求項24又は25に記載のポリペプチド。
  27. 治療剤と組み合わされた請求項1〜26のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  28. 前記治療剤に共有結合している請求項27に記載のポリペプチド。
  29. 前記治療剤がC末端に共有結合している請求項28に記載のポリペプチド。
  30. 前記治療剤が免疫エフェクター分子である請求項27〜29のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  31. 前記免疫エフェクター分子がサイトカインである請求項30に記載のポリペプチド。
  32. 前記免疫エフェクター分子がIL-4、IL-10又はIL-13である請求項31に記載のポリペプチド。
  33. 請求項1〜32のいずれかに記載の少なくとも2つのポリペプチドを含んでなり、1μMより少ないか等しい所定のクラスI pMHCに対するKD及び/又は2 S-1かそれより遅い該所定のクラスI pMHCに対する解離速度(koff)を有する多価複合体。
  34. 前記ポリペプチドが非ペプチド性ポリマー鎖又はペプチド性リンカー配列により連結した請求項33に記載の多価複合体。
  35. 前記ポリマー鎖又はペプチド性リンカー配列が、各ポリペプチドのクラスI pMHC結合性ドメインに位置しないアミノ酸残基同士間に伸びている請求項33に記載の多価複合体。
  36. 前記ポリペプチドが、ポリアルキレングリコール鎖又はヒト多量体化ドメイン由来のペプチド性リンカーにより連結した請求項34又は35に記載の多価複合体。
  37. 二価アルキレンスペーサ基が、前記ポリアルキレングリコール鎖と前記複合体のポリペプチドへのその結合点との間に位置する請求項36に記載の多価複合体。
  38. 前記ポリアルキレングリコール鎖が、少なくとも2つのポリエチレングリコール反復単位を含んでなる請求項36又は37に記載の多価複合体。
  39. 二量体又は四量体である請求項33〜38のいずれか1項に記載の多価複合体。
  40. (i)前記ポリペプチドの少なくとも1つが請求項16〜21のいずれかに記載のように治療剤と組み合わされている、請求項33〜39のいずれかに記載の少なくとも2つのポリペプチドを含んでなる多価複合体。
  41. 可溶性である請求項1〜40のいずれか1項に記載のポリペプチド又は多価複合体。
  42. 請求項1〜32のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
  43. 宿主細胞における高レベル発現に適合された請求項42に記載の単離された核酸。
  44. 請求項42又は43に記載の核酸が組み込まれたベクター。
  45. 請求項1〜21のいずれかに記載の少なくとも1つのポリペプチドを提示する単離された細胞又は粒子。
  46. 請求項1〜26のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項33〜39のいずれかに記載の多価複合体、又は複数の請求項45に記載の細胞又は粒子を、薬学的に許容され得るキャリアと共に含んでなる医薬組成物。
  47. 経口投与に適合されている自己免疫疾患の治療用医薬の製造における、請求項1〜26のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項33〜39のいずれかに記載の多価複合体、又は複数の請求項45に記載の細胞又は粒子の使用。
  48. 請求項1〜26のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項33〜39のいずれ
    かに記載の多価複合体、又は複数の請求項45に記載の細胞又は粒子の治療的使用。
  49. 請求項27〜32のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項40に記載の多価複合体を、薬学的に許容され得るキャリアと共に含んでなる医薬組成物。
  50. 経口投与に適合されている自己免疫疾患の治療用医薬の製造における、請求項27〜32のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項40に記載の多価複合体の使用。
  51. 請求項27〜32のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項40に記載の多価複合体の治療的使用。
  52. 請求項1〜26のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項33〜39のいずれかに記載の多価複合体、又は複数の請求項45に記載の細胞又は粒子の有効量を自己免疫疾患に罹患している対象に投与することを含んでなる、自己免疫疾患の治療方法。
  53. 自己免疫疾患の治療用組成物の製造における、請求項1〜26のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項33〜39のいずれかに記載の多価複合体、又は複数の請求項45に記載の細胞又は粒子の使用。
  54. 請求項27〜32のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項40に記載の多価複合体の有効量を自己免疫疾患に罹患している対象に投与することを含んでなる、自己免疫疾患の治療方法。
  55. 自己免疫疾患の治療用組成物の製造における、請求項27〜32のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項40に記載の多価複合体の使用。
  56. 1μMより少ないか等しい所定のクラスI pMHCに対するKDを有し、及び/又は2 S-1かそれより遅い該所定のクラスI pMHC分子に対する解離速度(koff)を有すること、配列番号7に対し少なくとも45%の同一性及び/又は55%の類似性を有すること、該所定のpMHCに対するCD8の結合を配列番号3のポリペプチドより大きな程度で阻害することを特徴とする所定のクラスI pMHCへの結合性を有する所定のILT分子の高親和性変形体を同定する方法であり、
    (i)対応する野生型ILT分子と比較してアミノ酸配列中に1つ又はそれ以上の変異を含んでなるILT分子のライブラリを作製し;
    (ii)該変異ILT分子を標的クラスI pMHCと、該変異ILT分子の該標的クラスI pMHCへの結合を可能にするに適切な条件下で接触させ;
    (iii)相互作用のKD及び/又はkoffを測定し;
    (iv)所望の結合特性を有するポリペプチドを選択する
    ことを含んでなる方法。
  57. (i)請求項43に記載のベクターで宿主細胞を形質転換し;
    (ii)該形質転換細胞を、請求項1〜23のいずれか1項に記載のポリペプチドの発現に適切な条件下で培養し;
    (iii)該発現ポリペプチドを回収する
    ことを含んでなる、請求項1〜23のいずれか1項に記載のポリペプチドの製造方法。
  58. 前記宿主細胞がE.coli細胞である請求項57に記載の方法。
  59. 前記宿主細胞が酵母細胞である請求項57に記載の方法。
  60. 前記宿主細胞がPichia pastoris細胞である請求項57に記載の方法。
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