JP2008543625A - 遮音素子 - Google Patents
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Abstract
本発明は、内部に1つ以上の音放射体が配置され、励起して振動する筐体様の構造体の外側仕上げを形成する遮音素子であって、35重量%以上のガラス繊維成分を用いて強化された成形熱可塑性材料から形成されたことを特徴とする遮音素子に関する。
Description
本発明は、内部に1つ以上の音放射体が設けられ、励起により振動する筐体様の構造体の外側仕上げを形成する遮音素子に関する。この遮音素子は、特には自動車のようなエンジン付乗り物のアンダーボディカバーに好適である。
自動車のアンダーボディカバーは、一方ではアンダーボディの空気力学を改善し、他方では遮音又は減音をする役割を果たしている。この防音は、特に大きいエンジン音を出し、多くの場合に最大許容騒音レベルを超えるディーゼル自動車においては重要である。
特許文献1から、とりわけ自動車のエンジンコンパートメントの床カバー又はアンダーボディカバーとして利用されており、多孔性カバー層の担体として機能する穿孔プレートである遮音部品が周知となっている。そのカバー層は、例えば発泡プラスチックとすることができる。しかしながら、この部品の内側に取り付けられなければならないものとして追加の多孔性カバー層の採用が教示されていることから、この部品の、特には自動車のアンダーボディカバーとしての音響効果は明らかに不十分である。
特許文献2においては、天井カバーにおける頭に対する衝撃の緩衝と減音に関して非常に良好な特性を持つ点が他と異なる車輌向け二部分天井カバーの製造方法が記載されている。緩衝材はポリプロピレンで強化したガラス繊維とすることができる。天井カバーは、車内から見える側を形成する第一の部分と天井側に向いた第二の部分から成り、機械的補強材として作用する。これらの二部分は異なる工具において形成され、ホットメルト接着剤を用いる等の従来工程により相互に接続される。車体構造の天井への天井カバー取り付けは、カバーと天井との間に減音効果を生じる中空チャンバが作られるように実施される。
独国特許発明第199 20 969号公報
国際公開第04/089592号パンフレット
従って、本発明の目的は、設置重量が並外れて軽く、製造が容易で、そして更なる空気伝搬音吸音補助遮音素子を要することなく空気伝搬音の最高レベルの吸音が保証されるように、遮音素子を改善することにある。
この目的は、請求項1に基づく遮音素子により達成される。
本発明は、内部に1つ以上の音放射体が設けられ、励起により振動する筐体様の構造体の外側仕上げを形成する遮音素子に関するものであり、35重量%以上のガラス繊維成分により強化された成形熱可塑性材料から成ることを特徴とする。
従属項は本発明に基づく遮音素子の推奨される実施例に関する。
図は、本発明を説明するためのものである。
本発明に基づく遮音素子は、ガラス繊維の比率が35重量%以上の相対的に高いものであり、このガラス繊維の比率は65重量%まで上げることができる。原則として採用されるガラス繊維は、1cm以上の長さを持つ相対的に長めのもので、これらが熱可塑性樹脂材料により囲まれている。
この混合物中におけるガラス繊維と熱可塑性材料との一種の相互作用により、驚異的に軽い単位面積あたりの重量で高度な曲げ強度が達成される。
本発明に基づく遮音素子用の熱可塑性材料は通常、ポリオレフィンである。本発明の一実施例においては、このポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、その誘導体、及び/又はその混合物からなる群から選択されるもので、ポリプロピレンの熱可塑性材料は特に推奨される。
本発明に基づく遮音素子は、一体式のもので、最新技術では一般的なように開口を設けることなくそのような空気伝搬音吸音性を有している。驚いたことに、本遮音素子はその空気伝搬音の減音性も、従来の遮音素子において論理上言われる、単位面積あたり重量の違いに起因する減音程度の劣化を補償するレベルにある。
本発明に基づく遮音素子は、望ましくはプレート又はシェル状の形状とすることができる。例えば、空気伝搬音吸音性アンダーボディカバーは、本発明に基づき5〜10mmの厚さの単片の均一な遮音素子のプレートにより形成される。構造的に所要の形状を形成する一方で、他方では局所的に異なる厚さにプレスすることにより、エンジンコンパートメント騒音に適合した最適な空気伝搬音吸音挙動が得られるように、従来工程に基づく加圧下及び/又は減圧下、及び加熱下での成形が工具中で実施される。
本発明の他の実施例においては、従来からあるフォイル、特には100g/m2〜150g/m2範囲の面積あたり重量を持つフォイルを積層して用いることにより、空気伝搬音吸音値を増大させることができる。
本発明によれば、本遮音素子は非常に高い曲げ強度を持っていることが判明しており、従ってその端部において最大約2mmまでの圧縮を許容し、これにより筐体様の構造体への取り付けに最適な条件が提供されている。この薄さにもかかわらず、取り付け孔は裂けることはない。
前提として、この筐体様の構造体はプラスチック又はシートメタルからなる。外側仕上げを構成する遮音素子から筐体様の構造体中にある1つ以上の音放射体までの最短及び最長間隔は通常、その構造体に応じてあらかじめ決定される。本発明の推奨される実施形態においては、この音放射体とはエンジンとすることができる。
本発明の一実施例においては、プレート状の遮音素子が成形部品の少なくとも一方の側(望ましくは外側)に形成され、ポリオレフィン不織布材料、特にはポリプロピレン不織布材料のリサイクル目的に都合が良いように、フォイルラミネーションが設けられる。
本発明の更なる実施例においては、本発明に基づく遮音素子が、自動車のアンダーボディカバーとして採用される。プレートからなるシェル様のアンダーボディカバーは、その複合構造ゆえに空気伝搬音吸音特性を持っており、これにより従来は一般にカバーの内側にあった補助吸音材を省くことが可能である。圧縮の強度を変化させれば、自動車メーカーの許容する構造厚に応じて広帯域な(周波数的に)吸収特性を作ることができる。
この空気伝搬音吸音特性により、アンダーボディカバーは車内への騒音を低減するのみならず、外部への騒音も低減する。0.8×109〜2×109N/m2の範囲の高度な曲げ強度、即ち、高い弾性係数により、加熱下での加圧による端部ゾーンの圧縮が最大2mmまで可能となり、これはわずかな数の取り付け位置で車体へと取り付ける上で最適な前提条件を提供するものであり、従って取り付けに要する孔が裂けることはない。
本発明に基づく遮音素子、特には、例えば自動車のアンダーボディカバーは、非常に軽い面積あたり重量で非常に高い曲げ強度と、良好な空気伝搬音吸音特性を持つという点が他と異なり、これにより成形部品の内側に利用されていた補助空気伝搬音吸音材を省くことが可能である。
本発明に基づく遮音素子の両側吸音効果により、車道側への外部騒音及びエンジンコンパートメント側の騒音が大幅に削減され、これにより、同時に車内への騒音も低減される。重量を軽くしたことにより予想される、従来の遮音素子と比較した場合の空気伝搬音減音量の低下は、本遮音素子の空気伝搬音吸音特性により、更なる手段を要することなく補償される。
以下、本発明に基づくアンダーボディカバーの減音特性に関して考察する。
局所的に6mm〜10mmの異なる厚さを持つアンダーボディカバーを製造した。アンダーボディカバーは、ガラス繊維で強化したポリプロピレンを両側から不織布材料で覆ったものである。一連のテストにおいて空気伝搬音減音性を判定するために、このアンダーボディカバーを量産された従来のアンダーボディカバーと比較した。これらの計測は改良型減音性テストステーションにおいて実施された。改良型減音性テストステーションは、DIN計測において要求される面積よりも、通常は著しく小さい原初部品の計測を可能としたものである。このようなデバイスを図2に示した。
実際の設置状況にできる限り近づけてシミュレーションするために、被検部品は図2に示すように、非常に高い減音性を持つフレーム(マスク)中に嵌め込まれた鋼板から、40mmの間隔をあけて搭載されている。これを通じ、送出側チャンバ中に生じた空気伝搬音は、試験面のみを介して受音側チャンバに至ることができる。
本発明に基づくアンダーボディカバーと従来のアンダーボディカバーの減音性は、第3オクターブ帯域中心周波数(Hz)に基づきdBで測定された。その計測値及び曲線を図1に示す。曲線1に示した従来の「一連の」アンダーボディカバーは、重量が1170gであるのに比較して、曲線2に示した本発明に基づく「軽量アンダーボディカバー」は成形品重量が881gである。論理的には、これによる減音度の劣化は2.5dBとなるが、試験結果も実質的に同じであった。
空気伝搬音吸音性についての比較調査が実施され、いわゆるアルファキャビンにおいていわゆる等価吸音面積が計測された。このアルファキャビンは反響室を空間的に小さくしたものに相当し、400Hzからの計測に好適である。計測される等価吸音面積は、試験面積と吸音率の(数学的)積である。
この試験によっては、以下のアンダーボディカバーが試験された:本発明に基づく軽量アンダーボディカバーA(ガラス繊維強化ポリプロピレン、質量645g)で両側において吸音、混合繊維不織布アンダーボディカバーB(質量1151gで両側において吸音)、空気伝搬音吸音遮音素子を有する「一連の」アンダーボディカバーC(フォイル状の不織布、約190gの追加重量)、及び重量1170gの「一連の」アンダーボディカバーD。
試験においては、アルファキャビン中の床から20cm離間させて部品を搭載し、車輌における設置状況を実態に即してシミュレーションした。下側はフロアの車道側に対応する。
内側に設けられた空気伝搬音吸音補助遮音素子をさらに有する従来構成における一連の部品(上記カバーB及びD参照)を、本発明に基づくアンダーボディカバー(A参照)と比較した。これに関しては図3を参照されたい。この結果は、本発明に基づくアンダーボディカバーAの値が明らかにより良好であることを示しており、それは従来の混合繊維不織布材料(B)との比較においてもそうである。これは1151gの重量を持つもので、本発明に基づくアンダーボディカバーはたったの645gである。
Claims (13)
- 内部に1つ以上の音放射体が配置され、励起して振動する筐体様の構造体の外側仕上げを形成する遮音素子であって、35重量%以上のガラス繊維成分を用いて強化された成形熱可塑性材料から形成されたことを特徴とする遮音素子。
- 前記ガラス繊維成分が、最大65重量%であることを特徴とする請求項1に記載の遮音素子。
- 前記熱可塑性材料が、ポリオレフィン類の群から選択されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遮音素子。
- 前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、その誘導体及び/又はその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の遮音素子。
- 前記遮音素子は、一体式であることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の遮音素子。
- 前記遮音素子は、プレート又はシェル形状をしていることを特徴とする請求項5に記載の遮音素子。
- 前記遮音素子の少なくとも一方の側にフォイルラミネーションが設けられたことを特徴とする請求項6に記載の遮音素子。
- 前記フォイルラミネーションがポリオレフィン不織布材料であることを特徴とする請求項7に記載の遮音素子。
- 前記遮音素子は、局所的に異なる厚さを有することを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の遮音素子。
- 前記遮音素子は、5mm乃至10mmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の遮音素子。
- 前記遮音素子は、端部に向かって厚さが約2mmに薄くなっていることを特徴とする請求項10に記載の遮音素子。
- 前記筐体様の構造体がプラスチック又はシートメタルからなることを特徴とする請求項1乃至請求項11に記載の遮音素子。
- 前記遮音素子は、自動車のアンダーボディカバーであることを特徴とする請求項1乃至請求項12に記載の遮音素子。
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