JP2008542259A - 2−インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリン派生物および癌治療におけるそれらの使用 - Google Patents

2−インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリン派生物および癌治療におけるそれらの使用 Download PDF

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Abstract

細胞増殖抑制性および/または細胞毒性を持つ、遷移金属の細胞内のキレート化および癌細胞において増殖抑制効果を及ぼすことができる式Iの2‐インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリン化合物を提供する。式Iの化合物は、癌細胞においてアポトーシスも誘導することができるため、癌細胞に対して細胞毒性効果を及ぼすことができる。式Iの化合物は、1つ以上の前立腺癌細胞、大腸癌細胞、非小細胞肺癌細胞および白血病細胞の増殖を選択的に抑制することもできる。式Iの化合物は、亜鉛制御された腫瘍抑制因子KLF4の発現を増加させることもできるため、これらに限定されないが、膀胱癌、消化管癌および様々な白血病を含む、KLF4が腫瘍抑制因子として機能する癌細胞の増殖を阻害する際に役立つ。

Description

[発明の属する技術分野]
本発明は、癌療法の分野に関し、特に癌の治療における2‐インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナトリン派生物の使用に関する。
[発明の背景]
金属キレート剤は、金属過剰による病気の治療に対して開発されている。しかしながら、鉄はエネルギー代謝、呼吸およびDNA合成に関与する様々なタンパク質の活性部位において重要な役割を有するため、最近になり、鉄をキレート化できる化合物が潜在的な抗癌療法として研究されている。当該タンパク質の1つであるリボヌクレオチド還元酵素(RR)は、DNA合成のため、リボヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドへ変換するために不可欠な鉄含有タンパク質であるため、抗癌療法の標的となる。多くの鉄キレート剤は、鉄を結合する能力があるため強力な阻害剤である(Richardson,D.R.(2002)Crit Rev Oncol Hematol 42(3):267‐81.)。例えば、β‐サラセミアを含む鉄過剰の病気の治療に臨床的に承認されている鉄キレート剤デスフェリオキサミン(DFO)は(Buss,J.L.,B.T.Greene,J.Turner,F.M.TortiおよびS.V.Torti(2004)Curr Top Med Chem 4(15):1623‐35)、RRの阻害剤でもあるとみられている。また、いくつかの侵攻性腫瘍は、DFOによる鉄キレート化に敏感であるとみられている。しかしながら、DFOの使用には費用がかかり、長期の皮下投与を必要とし、その化合物は短期の半減期を示す。DFOに加えて、Triapine(現在、第二相)、311、tachpyridine、およびO‐Trensox(Richardson、supra)などの増殖抑制活性を有する他の鉄キレート剤は開発中である。しかしながら、Triapineは水可溶分が低いため、抗癌療法として有効性が制限される場合がある。
米国特許第6,589,966号には、鉄を結合し、腫瘍細胞に対して増殖抑制活性を有する六座の化合物として特徴付けられる金属キレート剤の新規類族が記述されている。さらに、米国特許出願第2002/0119955号には、癌を含む、新生物の治療に適切な治療的有用性を示す場合がある3‐AP(構成上、Triapineと関連性がある)に基づくさらなる化合物が記述されている。
亜鉛のキレート化は、重要であるが比較的まだ研究されていない鉄キレート剤の生物学的効果の決定因であるかもしれない。例えば、潜在的な抗癌剤として臨床前研究中である鉄キレート剤tachpyridineは、鉄に加えて亜鉛をキレートし、これはその細胞毒性に影響を及ぼす(Zhao,R.ら(2004)Biochem Pharmacol 67(9):1677‐88.)。亜鉛は、DNA‐タンパク質またはタンパク質‐タンパク質の相互作用に関与するタンパク質の数百もの亜鉛依存性酵素および亜鉛フィンガーモチーフにおいて、触媒的、構造的役割を有する。このため、亜鉛の過剰のみならず欠乏も哺乳類の代謝において各種変性を引き起こす。in vitroでの亜鉛の減少は、アポトーシスを引き起こすとみられ(McCabe,M.J.,Jr.,S.A.JiangおよびS.Orrenius(1993)Lab Invest 69(1):101‐10)、大腸腫瘍HT‐29細胞の細胞増殖を有意に減少させ(Kindermann B.,F.Doring,M.PfafflおよびH.Daniel(2004)J.NutR 134(1):57‐62)、細胞周期進行を変化させる(Chen,X.ら(2001)J.Biol.Chem 276(32):30423‐8)。
あるいは、他の金属キレート剤は、細胞毒性を有するキレート錯体の形成によって抗腫瘍効果を発揮する場合がある。これは、主に酸化還元活性金属、鉄および銅で生じる。例えば、ブレオマイシンは、抗腫瘍活性を有する糖ペプチド抗生物質の類族である。それらは、リンパ腫、扁平上皮細胞癌および胚細胞腫瘍に対する併用化学療法で臨床的に使用される。それらは、DNA結合ドメインおよびFe(II)またはCu(I)を結合する金属結合ドメインを含有する。酸素および還元体の存在が、ラジカル中間体の形成によりDNA切断を引き起こす(Chen,J.およびJ.Stubbe(2005)Nat Rev Cancer 5(2):102‐12)。鉄をキレートしてRRを阻害する鉄キレート剤Triapineは、鉄錯体形成での活性酸素の生成によってRRおよび他の重要な分子に損傷を与える場合がある(Chaston,T.B.ら(2003)Clin Cancer Res 9(1):402‐14)。化合物を体腫瘍の標的にするためのブレオマイシン複合体の使用は、米国特許第4,758,421号に記載されている。
金属キレート剤、1,10‐フェナントロリン(OP)の細胞毒性は、キレート剤とキレート類両方として機能する能力による。キレート剤として、亜鉛または鉄と結合するとみられ、それによって活性のために亜鉛または鉄を必要とする酵素を阻害する。
あるいは、二価金属イオンを有する1,10‐フェナントロリンのキレート錯体は、細胞毒性を有すると報告され(Shulman,A.およびG.A.Laycock(1977)Chem Biol Interact 16(1):89‐99.)、銅‐キレートは、DNAの分解を促進する(Downey,K.M.,B.G.QueおよびA.G.So(1980)。Biochem Biophys Res Commun 93(1):264‐70)。銅‐OPの錯体は、非共有でDNA副溝と結合可能で、過酸化水素および還元体の存在下で核酸の一本鎖切断を触媒する(Sigman,D.S.ら(1979)J.Biol.Chem 254(24):12269‐72)。
銅‐OP錯体は、化学的ヌクレアーゼとして頻繁に使用され、高特異性のDNA切断剤は、配列特異的DNA結合タンパク質への付着によって生成されている(Pan,C.Q.,R.LandgrafおよびD.S.Sigman(1994)Mol Microbiol 12(3):335‐42.)。OPは、マトリクスメタロプロテアーゼの阻害剤としても広く使用され(Springman,E.B.ら(1995)Biochemistry 34(48):15713‐20)、亜鉛のキレート化によってグリコホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーの合成を阻害するとみられている(Mann,K.J.およびD.SevleveR(2001)Biochemistry 40(5):1205‐13)。
腫瘍抑制遺伝子の脱制御は癌の成長と関係あるが、癌の成長におけるこれらの腫瘍抑制遺伝子の明確な役割はまだ不明である。遺伝子のKrueppel様因子(KLF)族は、細胞の成長、増殖、文化および胚発生に様々な制御の役割を有する、進化的に保存された亜鉛フィンガーを含有する転写因子の類族である(Ghaleb,A.ら(2005)Cell Res 15(2):92‐6)。KLFは、特定のアミノ末端領域、それらが結合するプロモーター、およびそれらの機能の細胞状況を通じての補助活性化因子または抑制補体との相互作用によって、転写活性化因子または抑制体あるいはその両方として機能できる(Kaczynski,J.,T.CookおよびR.Urrutia(2003)Genome Biol 4(2):206)。KLF族の数員は腫瘍抑制因子であると考えられ、発癌に関与する。例えば、KLF4の下方制御は大腸癌に見られ(Dang DTら(2000)FEBS Lett,476:203‐7)、KLF5およびKLF10の下方制御は乳癌に生じる(Chen Cら(2002)Oncogene,21:6567‐72;Subramaniam Mら(1998)J Cell Biochem,68:226‐36)。KLF6は、前立腺腺癌で見られる頻繁な変異を有する、染色体位置10p15にある候補腫瘍抑制遺伝子であるとも示唆されている。また、KLF6は、p53依存性の経路により細胞周期のサイクリン依存性キナーゼ阻害因子をコード化するWAF1を転写活性化するともみられていた(Narla Gら(2001)Science,294:2563‐6)。
KLF4の脱制御は、in vitroおよびin vivo両方の大腸癌以外の癌と関連し、KLF4に腫瘍抑制剤効果があるかもしれないと示唆されている。結腸直腸癌では、KLF4 mRNAのレベルは、通常の適合組織に比べて減少し(Dangら(2000),supra)、結腸直腸癌の細胞株におけるKLF4の再発現は腫瘍原性の減少をもたらす(Dang,D.T.ら(2003)Oncogene 22(22):3424‐30)。KLF4の同様の下方制御および増殖抑制効果は、膀胱癌(Ohnishi,S.ら(2003)Biochem Biophys Res Commun 308(2):251‐6)、胃癌(Wei,D.ら(2005)Cancer Res 65(7):2746‐54)、食道癌(Wang,N.ら(2002)World J Gastroenterol 8(6):966‐70)、および成人T細胞白血病(Yasunaga,J.ら(2004)Cancer Res 64(17):6002‐9)においても挙げられている。KLF4の腫瘍抑制剤効果とは対照的に、KLF4発現の増加は、乳癌(Foster,K.W.ら(2000).Cancer Res 60(22):6488‐95.)および口腔の扁平上皮細胞癌(Foster,K.W.ら(1999).Cell Growth Differ 10(6):423‐34.)の進行期間において報告されている。さらに、KLF4は、早期浸潤乳管癌における悪性表現型のマーカーとみなされている(Pandya,A.Y.ら(2004)Clin Cancer Res 10(8):2709‐19.)。したがって、KLF4が消化管癌および白血病において腫瘍抑制因子の役割を果たしていると思われる一方、他の種類の癌の成長におけるKLF4の役割はまだ不明である。
KLF4の発現は、亜鉛によって陰性的に制御される。ヒトオリゴヌクレオチド配列を使用した大腸腫瘍HT‐29細胞における遺伝子発現に対する亜鉛減少の効果に関する研究では、KLF4遺伝子発現は検査した10,000の標的遺伝子のうち、最も有意に上昇されたものの1つであるとされた。したがって、KLF4は細胞内亜鉛状態と成長阻害の直接的リンクであるかもしれないと仮定されている(Kindermann,B.,F.Doring,M.PfafflおよびH.Daniel(2004)J.Nutr 134(1):57‐62.)。その後の研究において、KLF4の発現は金属転写因子‐1(MTF‐1)を過剰発現する細胞で増加することがわかった(Kindermann,B.,F.Doring,J.BudcziesおよびH.Daniel(2005).Biochem Cell Biol 83(2):221‐9.)。
MTF‐1は標的遺伝子の金属応答配列(MRE)に結合する、6つの亜鉛フィンガーを有する亜鉛知覚転写活性化因子であり、KLF4のプロモーターも3つのMREを有する。MTF‐1は、通常、亜鉛欠乏細胞において上方制御され、MTF‐1発現の増加は、亜鉛欠乏HT‐29細胞で見られる(Kindermannら、2004,supra)。したがって、HT‐29におけるKLF4の亜鉛反応は、MTF‐1によって少なくとも一部で調節される(Kindermannら、2005,supra)。KLF4の発現は、第一に、内臓、皮膚および胸腺などの器官の上皮細胞の最終分化状態と関連する(Kaczynskiら、2003,supra)。
上記のように、1,10‐フェナントロリン(OP)は、周知の金属キレート剤である。近年の研究では、1,10‐フェナントロリンの派生物およびそれらの様々な金属をキレート化する能力を研究した。例えば、Chaoらは、1,3‐ビス([1,10])フェナントロリン‐[5,6‐d]イミダゾール‐2‐イル)ベンゼン(mbpibH2)およびその(bpy)2Ru2+錯体を合成し、それらの電気化学的および分光学的特性を研究した(Polyhedron,2000,1975‐1983)。Liuらは、2−(2‐ヒドロキシフェニル)イミダゾ[4,5‐f][1,10]フェナントロリン(HPIP)でルテニウム錯体を調製し、仔ウシ胸腺DNAに対するこれらの錯体の結合の性質を研究した(JBIC,2000,5,119‐128)。同様に、Xuらは、2(4‐メチルフェニル)イミダゾール[4,5‐ f]1,10‐フェナントロリンの合成およびそのRu(II)錯体、および調製錯体の仔ウシ胸腺DNAへの結合を記述した(New J.Chem.,2003,27,1255‐1263)。
国際特許出願第PCT/IB04/052433(WO2005/047266)には、いくつかの1,10‐フェナントロリン置換化合物を含む、広いクラスの2,4,5‐三置換イミダゾール化合物および癌の治療におけるその使用が記述されている。
この参考資料は、出願者が考える周知の情報が本発明と関連性があるという可能性を示すために提供される。必ずしも承認を目的とせず、これまでのいかなる情報が本発明に反対して先行技術を構成していると解釈されるべきではない。
[発明の要約]
本発明の目的は、2‐インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナトリン派生物および癌の治療におけるその使用の提供である。本発明の一形態によると、癌細胞の増殖を阻害する際の、構造式(I)を有する化合物、またはその塩の使用が提供され、
Figure 2008542259
式中、R1、R2、R3、R4、R6およびR7は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ニトロ、シアノ、または‐S(O)1‐2R(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロサイクル、または置換ヘテロアリールである)から単独で選択され、
R5はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、‐CH‐アリール、‐CH‐ヘテロアリールである。
本発明のもう1つの形態によると、癌細胞においてアポトーシスを誘導する際の、構造式(I)を有する化合物、またはその塩の使用が提供される。
本発明のもう1つの形態によると、細胞において遷移金属イオンをキレートする際の、構造式(I)を有する化合物、またはその塩の使用が提供される。
本発明のもう1つの形態によると、癌細胞および/または腫瘍においてKrueppel様因子4(KLF4)の発現を増加させる際の、構造式(I)を有する化合物、またはその塩の使用が提供される。
本発明のもう1つの形態によると、癌の治療における薬剤の調製の際の、構造式(I)を有する化合物、またはその塩の使用が提供される。
本発明のもう1つの形態によると、構造式(I)を有する化合物、またはその塩の使用が提供され、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはC‐C14アリールであり、
R5は、水素、C‐Cアルキル、C‐C14アリールで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
R6は、水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐C14アリール、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたC‐C14アリール、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはポリシクロアルキルである。
本発明のもう1つの形態によると、構造式(I)を有する化合物、またはその塩の使用が提供され、
式中、R1、R2、R3、R4が、単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはフェニルであり、
R5は、水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはシクロペンチルであり、
R6は、水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、フェニル、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはアダマンタンであり、およびR7は、Hである。
[発明の詳細な説明]
本発明は、式Iの2‐インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリン化合物に関する。本明細書において実証されているように、式Iの化合物は、遷移金属の細胞内のキレート化ができ、細胞増殖抑制性および/または細胞毒性を持つ1つ以上の癌細胞において、増殖抑制効果を及ぼすことができる。それにより、本発明の1つの実施例は、癌細胞の増殖を阻害するための式Iの化合物の使用を提供する。本発明は、癌の治療における式Iの化合物の方法および使用をさらに提供する。
プログラム細胞死(アポトーシス)の誘導は、癌の治療に対して有用な方法である。本明細書において実証されているように、本発明の1つの実施例では、式Iの化合物は癌細胞においてアポトーシスを誘導することができるため、細胞毒性効果を及ぼすことができる。それにより、本発明は、癌細胞においてアポトーシスを誘導するための式Iの化合物の方法および使用をさらに提供する。もう1つの実施例では、様々な白血病の治療に対してアポトーシスを誘導するための式Iの化合物の使用が提供される。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、1つ以上の前立腺癌細胞、大腸癌細胞、非小細胞肺癌細胞および白血病細胞の増殖を選択的に阻害することができる。したがって、この実施例では、本発明は1つ以上の前立腺癌細胞、大腸癌細胞、非小細胞肺癌細胞および白血病細胞の増殖を選択的に阻害するための式Iの化合物の使用を提供する。1つ以上の前立腺癌細胞、大腸癌細胞、非小細胞肺癌細胞および白血病細胞の増殖を選択的に阻害する式Iの化合物の能力は、前立腺癌、大腸癌、非小細胞肺癌および白血病の群から選択された癌を治療するための式Iの化合物の方法および使用をさらに提供する。
上述のとおり、式Iの化合物は、細胞環境において遷移金属イオンをキレートすることができる。それにより、本発明は、in vivoまたはin vitroで遷移金属イオンをキレートするための式Iの化合物の方法および使用をさらに提供する。本発明の1つの実施例では、式Iの化合物は、遷移金属のキレート化によって、癌細胞において遷移金属で制御される遺伝子の発現を変更することができる。例えば、1つの実施例では、式Iの化合物は、癌細胞において遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させることができる。多くの場合、腫瘍抑制遺伝子の機能は細胞増殖の制御に関連するため、細胞増殖を制御するよう機能する遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現によって、式Iの化合物は癌細胞の増殖を阻害することができる。特定の実施例では、式Iの化合物は、亜鉛制御された腫瘍抑制因子KLF4の発現を増加させることができるため、これらに限定されないが、膀胱癌、消化管癌および様々な白血病を含む、KLF4が腫瘍抑制因子をして作用する癌細胞増殖の阻害に有用である。
本発明は、例えば式Iの化合物の銅錯体など、式Iの化合物の金属キレート錯体、および癌の治療におけるこれら錯体の使用をさらに提供する。
本発明は、遷移金属のキレート化が必要とされる様々な非治療的状況のみならず、遷移金属をキレートする必要がある病気または疾患の治療において、式Iの化合物の治療的適用を目的とする。
定義

別に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本発明が所属する分野の当業者によって共通に理解される意味と同じである。
用語は以下のように定義される。
本発明の1つの実施例において、式Iの化合物の抗癌活性に関して本明細書において使用される「選択的阻害」は、NCI‐NIH開発治療プログラムin vitroスクリーン(以下の表1)で使用される60の癌細胞株のうち少なくとも50から構成される癌細胞株のパネルを使用して定義可能であり、パネルは、挙げられる前立腺癌細胞株と挙げられるその他の癌両方のそれぞれからの少なくとも4つの培養細胞株で構成される。化合物は、化合物が乳癌、中枢神経系癌、黒色腫、卵巣癌および腎臓癌のそれぞれからの培養細胞株の阻害に対する平均GI50より少なくとも10%低い平均GI50を有する選択された癌(すなわち、前立腺癌、大腸癌、非小細胞肺癌および/または白血病)からの培養細胞株の増殖を阻害するとき、選択された癌の選択的阻害を示すと言われている。
Figure 2008542259
癌細胞において遷移金属腫瘍抑制遺伝子の発現に関する本明細書において使用される用語「下方制御」は、遺伝子は癌細胞で過剰発現していない、すなわち、細胞は、正常細胞と比べて、低下したレベルまたは実質的に同レベルの遺伝子発現を示す。
一例として、大腸癌細胞は正常の結腸細胞と比べてKLF4遺伝子の発現減少を示し、前立腺癌細胞は正常の前立腺癌細胞を比べると同レベルのKLF4発現を示すが、発現レベルは、KLF4を過剰発現する乳癌細胞より低い。
用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素原子を言及する。
用語「ヒドロキシル」は、‐OHの基を言及する。
用語「チオール」または「メルカプト」は、‐SH、および‐S(O)0‐2の基を言及する。
用語「低アルキル」は、1から8の炭素原子の直鎖または分鎖、または環状、アルキル基を言及する。
用語「置換低アルキル」は、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノなどの、1つ以上の基を含む、記述どおりの低アルキルを言及する。これらの基は、低アルキル部分の任意の炭素原子に付着している場合がある。
用語「低アルケニル」は、少なくとも1つの炭素二重結合を有する2から8の炭素原子の直鎖または分鎖炭化水素を言及する。
用語「置換低アルケニル」は、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキル アルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノなどの、1つ以上の基を含む、記述どおりの低アルケニルを言及する。これらの基は、安定化合物を生成するために任意の炭素原子に付着している場合がある。
用語「低アルキニル」は、少なくとも1つの炭素三重結合を有する2から8の炭素原子の直鎖または分鎖炭化水素を言及する。
用語「置換低アルキニル」は、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキル アルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノなどの1つ以上の基を含む、記述どおりの低アルキニルを言及する。これらの基は、安定化合物を生成するために任意の炭素原子に付着している場合がある。
用語「アルコキシ」は、 Rが低アルキル、置換低アルキル、以下で定義されているアシル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロへテロアルキル、または置換シクロへテロアルキルである‐ORの基を言及する。
用語「アルキルチオ」は、 Rが低アルキル、置換低アルキル、以下で定義されているアリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである‐SR、‐S(O)n=1‐2‐Rの基を意味する。
用語「アシル」は、Rが水素、低アルキル、置換低アルキル、アリール、置換アリールである‐C(O)Rの基を言及する。
用語「アリールオキシ」は、以下で定義されているように、Arがアリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール基である‐OArの基を言及する。
用語「アミノ」は、RおよびR’が 単独で水素、低アルキル、置換低アルキル、以下で定義されているアリール、置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキルまたは置換ヘテロアリール、またはアシルである場合があるNRR’の基を言及する。
用語「アミド」は、 RおよびR’が単独で水素、低アルキル、置換低アルキル、以下で定義されているシクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘタリール、置換ヘヘタリールである‐C(O)NRR’の基を言及する。
用語「カルボキシル」は、定義されているように、Rが単独で水素、低アルキル、置換低アルキル、アリール、置換アリール、ヘタリール、置換ヘタリールなどである‐C(O)ORの基を言及する。
用語「アリール」または「Ar」は、少なくとも1つの環が芳香族(例えば、1,2,3,4‐テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル、9‐フルオレニル、など)である少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニルまたはビフェニル)または複数の縮合環を有する芳香族カルボサイクリック族を言及する。
用語「置換アリール」は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、トリフルオロメチル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルキルアルケニル、アルキル アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルフォアミド、シアノ、またはRおよびR’がH、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールから単独で選択される‐N=CRR’などの、1つ以上の機能基で任意に置換されたアリールを言及する。
用語「ヘテロサイクル」は、単環(例えば、モルホリノ、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、ナフタピリジル、キノキサリル、キノリニル、インドリジニル、インダニルまたはベンゾ[b]チエニル)および環内にN、OまたはSなどの少なくとも1つのヘテロ原子を有する飽和、不飽和、または芳香族カルボサイクリック族を言及する。
用語「置換ヘテロサイクル」は、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、トリフルオロメチル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルフォアミドまたはシアノなどで任意に置換されたヘテロサイクルを言及する。
用語「ヘテロアリール」または「ヘタリール」は、少なくとも1つの複素環が芳香族である、ヘテロサイクルを言及する。
用語「置換ヘテロアリール」は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、トリフルオロメチル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルフォアミドまたはシアノなどの1つ以上の機能基で任意に一置換または多置換されたヘテロサイクルを言及する。
用語「シクロアルキル」は、3から15の炭素を含有する環状または多環アルキル基を言及する。多環基では、これらは末端環の1つが芳香族(例えば、テトラリン、など)である場合がある複数の縮合環である場合がある。
用語「置換シクロアルキル」は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、トリフルオロメチル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルキルアルケニル、アルキル アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロサイクル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルフォアミドまたはシアノなどでの1つ以上の置換基から成るシクロアルキル基を言及する。
本明細書においてほとんど同じ意味で使われるように、用語「療法」および「治療」は、病気、疾患またはそのような状態に関連する症状を軽減し、それらの発症を予防し、それらの病理を改変する意図をもって行われる診療を言及する。したがって、療法および治療という用語は、最も広い意味で使用され、様々な段階の病気、疾患またはそのような状態の予防(予防法)、緩和、管理、軽減、または治療を含む。病気、疾患またはそのような状態の進行の予防または軽減は、これらの用語に含まれる。また、これらの用語に含まれるものとして、生体の生理機能および/または生物化学の改変をもたらす診療がある。療法/治療を必要とする者は、 病気、疾患またはそのような状態を既に有する者のみならず、 病気、疾患またはそのような状態になりやすい者、それらを発症する恐れがある者、および病気、疾患またはそのような状態が予防されている者も含む。したがって、本発明の化合物の治療への応用は、本明細書において定義されるように、療法または治療を言及する。
本明細書において使用されるように、「被検体」または「患者」は、人および他の哺乳類を含む、治療を必要とする動物を言及する。
1つ以上のさらなる治療薬との「併用」での本発明の化合物の投与は、同時(併用)投与および継続的投与を含むことを目的とする。継続的投与は、治療薬および本発明の化合物の被検体への様々な投与順を含むことを目的とする。
本明細書において使用されるように、用語「アジュバント療法」は、一次療法の効用を増加させるために追加される治療を言及する。癌において、アジュバント療法は、通常、全癌細胞を死滅させる可能性を増加させるための、手術(一次療法)の後に行われる化学療法、ホルモン療法または放射線療法を言及する。
本明細書において使用されるように、用語「ネオアジュバント療法」は、一次療法の前に行われる治療を言及する。ネオアジュバント療法の例として、化学療法、放射線療法、およびホルモン療法がある。
本明細書において使用されるように、用語「約」は、正常値から+/−10%のばらつきを言及する。当該ばらつきは、特に言及されているかいないにか関わらず、本明細書において与えられる任意の値に常に含まれる。
I.2‐インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリン化合物

本発明は、以下の一般式(I)の化合物、
Figure 2008542259
またはその塩を提供し、
式中、R1、R2、R3、R4、R6およびR7は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ニトロ、シアノ、または‐S(O)1‐2R(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロサイクル、または置換ヘテロアリールである)から単独で選択され、
R5は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、‐CH‐アリール、‐CH‐ヘテロアリールである。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物において、R1、R3、R4、R5およびR7はHであり、R2およびR6は上述されるとおりである。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはC‐C14アリールであり、
R5は、水素、C‐Cアルキル、C‐C14アリールで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
R6は、水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐C14アリール、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたC‐C14アリール、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはポリシクロアルキルである化合物である。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはフェニルであり、
R5は、水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはシクロペンチルであり、
R6は、水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、フェニル、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはアダマンタンであり、および
R7は、Hである化合物である。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
R5は、水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
R6は、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
R7は、Hである化合物である。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
R5は、水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
R6は、C‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、または C‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
R7は、Hである化合物である。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、ハロゲン、またはC‐C‐Cアルキルであり、
R5は、水素であり、
R6は、C‐Cアルキル、またはアダマンタンであり、および
R7は、Hである化合物である。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
R5は、水素であり、
R6は、C‐Cアルキルであり、および
R7は、Hである化合物である。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、

R5は、C‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
R6は、水素、C‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
R7は、Hである化合物である。
本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、
式中、R1、R2、R3、R4は、単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、
R5は、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
R6は、水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cヘテロシクロアルキルであり、および
R7は、Hである化合物である。
本発明の化合物は、これらに限定されないが、例となる以下の化合物を含む。
Figure 2008542259
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本発明は、薬学的に許容される塩などの、式Iで定義される化合物の様々な塩を含む。本発明による化合物は、十分に酸性、十分に塩基性、または両方の機能基を有し、それにより多数の有機および無機塩基、および/または有機および無機酸を反応して薬学的に許容される塩を形成する。
本明細書において使用されるように、用語「薬学的に許容される塩」は、生体に対して実質的に非毒性である式Iの化合物の塩を言及する。代表的な薬学的に許容される塩は、本発明の化合物の薬学的に許容されるミネラル、有機酸、有機または無機塩基との反応によって調製されるそれらの塩を含む。当該塩は、酸付加塩および塩基付加塩として周知される。
酸付加塩を形成するために通常使用される酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸および/またはp‐トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p‐ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。当該薬学的に許容される塩の例として、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、イソ酪酸エステル、カプリル酸塩、ヘプタン酸、プロピオラート、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン‐1,4‐ジオエート、ヘキシン‐1,6‐ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレンスルホン酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ‐ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン‐1‐スルホン酸塩、ナフタレン‐2‐スルホン酸塩、マンデル酸塩などがある。好ましい薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸および臭化水素酸などの無機酸で形成された塩、およびマレイン酸およびメタンスルホン酸などの有機酸で形成された塩である。
アミン基の塩は、アミノ窒素がアルキル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニルまたはアラルキル部分などの、適当な有機基を持つ第四アンモニウム塩も構成する。
塩基付加塩は、アンモニウムまたはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの、無機塩基から派生する塩を含む。したがって、本発明の塩を調製するために役立つ塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどがある。
当業者は、塩全体が薬理学的に許容され、対イオンが塩全体に望ましくない質を与えない限り、本発明の塩の一部を形成する特定の対イオンは通常重大な特質ではないということを認識する。本発明は、式Iの化合物の薬学的に許容される溶媒和物をさらに含む。多くの式Iの化合物は、水、メタノール、エタノールおよびアセトニトリルなどの溶媒と結合して、対応する水和物、メタノラート、エタノラートおよびアセトニトリラートなどの薬学的に許容される 溶媒和物を形成することができる。
本発明の化合物は、複数の不斉(キラル)中心を有する場合がある。これらのキラル中心の結果として、本発明の化合物は、ジアステレオマーおよびジアステレオマーの混合物のみならず、ラセミ化合物、光学異性体の混合物、および個々の光学異性体として発生する。すべての非対称形、個々の異性体およびその組み合わせは、本発明の範囲内である。
式Iの化合物の立体化学がその活性に重大であれば、後の立体異性体分離の問題を避けるため、化合物の相対立体化学は合成の間、早期に確立されるということを当業者は容易に理解する。その後、さらなる分子の操作には、望ましいキラリティーを維持するため立体特異的方法を使用する。
II.式Iの化合物の調製

当技術分野で周知のように、本発明の化合物は、多数の標準的方法で調製することがきる。したがって、式Iの化合物は、例えば、Grimmett、(Grimmett,M.R.、Comprehensive Heterocyclic Chemistry:The Structure, Reaction, Synthesis and Uses of Heterocyclic Compounds、A.R.KatrizkyおよびC.W.Rees、eds.、Vol.5、Pergamon Press.Oxford、1984、pp.457‐498;Grimmett,M.R.、Imidazole and Benzimidazole Synthesis、Academic Press、San Diego CA、1997)によって記述されるように、いくつかの一般的合成法で調製することがきる。
本発明の1つの実施例では、式Iの化合物は、酢酸中の酢酸アンモニウムの存在下において、式IIのジオンをアルデヒド(III)と反応させ、溶液または固相合成によって調製される(例えば、Kriegら、Naturforsch.1967、22b、132;Sarsharら、Tetrahedron Lett.1996、37、835‐838;Bianら、Synthsis communications、2003、33、3477‐3482;Hong Xuら、J.Chem.Soc、Dalton Trans.、2003、11、2260‐2268;Hong Xuら、Inorg.Chem.Commun.、2003、6、766‐768;Bianら、Polyhedron、2002、21、313‐319; Chaoら、J.Chem.Soc、Dalton Trans.、2001、12、1920‐1926参照)。
Figure 2008542259
式(II)および(III)の化合物は市販されているか、当業者に周知の標準的な方法で調製される場合のいずれかである。式(II)の化合物は、例えば、Fischerら(J.Am.Chem.Soc.1961、83、4208‐4210);Guijarroら(J.Am.Chem.Soc.1999、121、4155‐4157);Chiら(Synth.Comm.1994、24(15)、2119‐2122)およびArmestoら(Synthesis、1988、799‐801);Yamadaら(Bull.Soc.Chem.Jpn.、1990、63(9)、2710‐2712);Hiortら(J.Am.Chem.Soc.1993、115、3448‐3454;およびTetrahedron Letters、2004、45(33)、6361‐6363)によって記述されるように、いくつかの一般的合成法で調製することがきる。式(III)の化合物は、Vilsmeierら(Chem.Ber.1958、91、850‐861およびSynthesis、1985、8、641‐645)によって記述されるように、一般的合成法で調製されることができる。例えば、式(III)の化合物は、以下に示すように、式(IV)の化合物をジメチルホルムアミド(DMF)のPOClで反応させることによって調製することがきる。
Figure 2008542259
生産物(1)の分離および精製は、通常、水溶性塩を形成するそれらの性質に基づく。反応媒体が水で希釈されると、不純物は得られた溶液から無極性溶媒で抽出され、水層は塩基性化し、分離したイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリン(1)は、ろ過され、適当な溶媒から再結晶させられる。
式Iの化合物の試験

上述のように、本発明の方法で使用することを意図した式Iの化合物は、遷移金属をキレートし、癌細胞の増殖を阻害することができる。さらに、本発明の1つの実施例では、式Iの化合物は、癌細胞において、KLF4などの遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させることができる。本発明のさらなる実施例では、式Iの化合物は、癌細胞においてアポトーシスを誘導し、癌細胞に対して細胞毒性効果を及ぼす。
遷移金属をキレートし、in vitroおよびin vivoで新生細胞増殖を阻害する式Iの候補化合物の能力は、当技術分野で周知の標準的方法で試験することができる。同様に、腫瘍抑制遺伝子発現の増加および/または癌細胞においてアポトーシスを誘導する化合物の能力も、標準的方法で試験することができる。式Iの候補化合物を試験するための例となる方法は、以下および本明細書に含まれる実施例で提供される。当業者は、化合物を試験するための他の方法は当技術分野で周知であり、候補化合物を試験するためにも適しているということを理解する。
阻害活性を実証する式Iの化合物は、併用療法におけるそれらの潜在的な使用法を評価するため、様々な周知の化学療法薬とともにin vitroおよび/またはin vivoでさらに試験してよい。
式Iの化合物の金属キレート錯体も、本発明によって意図する。当該キレート錯体も、以下で記述される方法を使用して試験することができる。
A.金属キレート化能力

本発明によると、式Iの化合物は、細胞環境において遷移金属イオンをキレートすることができる。1つの実施例では、式Iの化合物は、鉄、亜鉛、銅、ルテニウムおよびコバルトイオンをキレートすることができる。さらなる実施例では、式Iの化合物は、第1遷移金属イオンをキレートすることができる。さらなる実施例では、式Iの化合物は、鉄、亜鉛および銅イオンをキレートすることができる。本発明のもう1つの実施例では、式Iの化合物は、亜鉛イオンをキレートすることができる。もう1つの実施例では、式Iの化合物は、銅イオンをキレートすることができる。
式Iの化合物の金属キレート性は、これらに限定されないが、X線結晶法、NMR分光法、蛍光分光、原子吸光分光法(AAS)、電子常磁性共鳴分光法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、複合液体クロマトグラフィー/質量分析法、および電位差滴定法を含む、当技術分野で周知の様々な方法で判断することができる。
例えば、過酢酸(PAA)は、マンガン、鉄または銅などの金属イオンの存在下で急速に分解される。金属イオンの存在下でPAA溶液を安定させるためのキレート化合物の効率性は、その化合物の金属キレート能力を判断するために評価することができる。つまり、金属イオンを含有する水溶液を調製し、式Iの候補化合物の適量を溶液に加え、その後、pHおよび温度を調節することができる。そして、式Iの化合物を含有するPAA溶液の安定性の後に、ヨウ素還元滴定が続く。金属キレート化能力を判断する他の試験は、金属イオン選択電極を用いる、
金属イオンを含有する溶液における非キレート金属イオンの測定およびキレート化合物の測定を含む。つまり、金属を含有する溶液はキレート化合物を含有する溶液で滴定され、その後、非キレート金属イオンの量を判断するために金属選択電極で測定し、それによって、式Iの化合物の金属キレート能力が表れる。
式Iの化合物の金属キレート化の性質は、in vitro4(2‐ビリジルアゾ)レゾルシノール(PAR)金属結合アッセイを使用した分光光度法でも評価することができる。PARは、市販されている染料であり、最大吸収度が約500nmのMg、Al、Ca、Sr、Ba、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Th、U、Npおよび特定のpH値のランタニドの陽イオンを有する溶性または不溶性の色の付いた錯体を形成する三座または二座配位子として作用する。式Iの化合物の金属キレート化の性質を判断するため、金属イオンの存在下で形成する得られたPAR‐金属イオン錯体は、約500nmで分光光度法によって測定することができ、式Iの化合物を含有するサンプルにおいて形成するPAR‐金属イオン錯体と、例えば、周知のキレート剤を含有するサンプルおよび/または式Iの化合物は含有しないが対照媒体を含有するサンプルなどの対照サンプルを比較することができる。
細胞環境において遷移金属をキレートする式Iの化合物の能力は、例えば、zinquinまたはPhen Green SKなどの特定の蛍光指示薬を使用して、候補化合物の存在下または非存在下で細胞内の亜鉛、 キレート可能な鉄または銅の貯留を測定するなど、当技術分野で周知の方法で評価することができる(例えば、Zalewskiら、Biochem J.1993、296(Pt2)、403‐ 8;およびPetratら、Biol.Chem.2002、383(3‐4)、489‐502参照)。さらに、細胞環境における式Iの化合物の金属キレート能力は、例えば、Gowerら、Anal.Biochem.1989、180、126‐130;OllingerおよびRoberg、J.Biol.Chem.1997、272、23707‐23711;FlatmarkおよびTangeras、Proteins of Iron Metabolism、Brown、Aisen、FieldingおよびCrichton、eds.(New York,USA:Grune&Stratton)、1976、pp.349‐358;Kozlovら、Free Radic、Biol.Med.1992、13、9‐16;CammackおよびCooper、Methods Enzymol、1993、227、353‐ 384.Yegorovら、Free Radic.Biol.Med.1993、15、565‐574;Cairoら、J.Biol.Chem.1995、270、700‐703;およびNielsenら、Int.J.Biochem.1993、25、223‐232、によって記述されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光光度検出、電子スピン共鳴(ESR)または原子吸光分光法などの方法を使用して、細胞内のキレート可能な 金属イオンの貯留を測定することによって、細胞抽出物、単離細胞、組織または体液などの様々な生体サンプルにおいて評価することができる。
細胞環境における式Iの化合物の金属キレート化能力は、候補化合物および様々な濃度の金属イオンの存在下で、細胞成長、金属制御に関連する遺伝子発現の変化、細胞毒性、酵素アッセイ、または当技術分野で周知の他の測定可能な評価項目を評価することによって間接評価することもできる。例えば、式Iの化合物の金属キレート化能力は、候補化合物の存在下および非存在下で細胞の金属貯留を操作し、細胞成長の変化を測定することによって、培養細胞または動物一体において評価することができる。
それに代わって、あるいは、細胞成長の変化の測定に加え、周知の金属制御された遺伝子、またはメタロチオネインや金属転写因子‐1などの金属調節タンパク質の遺伝子発現の変化を、当技術分野で周知の標準プロトコルを使用して判定することができる。当技術分野で周知のように、メタロチオネイン(MT)タンパク質の発現は、細胞内の亜鉛濃度によって厳重に制御される。亜鉛の金属転写因子(MTF‐1)への結合によって、MTのプロモーターにおいて、MTF‐1が金属応答エレメント(MRE)に結合できるようになり、次にMT‐遺伝子転写が開始する。それにより、MTまたはMTF‐1の発現を調節する式Iの化合物の能力は、化合物の金属キレート能力の表れとして判断することができる。当技術分野で周知の他の金属制御された遺伝子として、例えば、鉄レベルで制御される、鉄調節タンパク質(IRP)、フェリチン、またはトランスフェリン受容体をコード化する遺伝子(例えば、EisensteinおよびBlemings、J.NutR 1998、128(12):2295‐2295;およびMartiniら、J.NutR 2002、132(4):693‐696参照)、および亜鉛レベルで制御される、亜鉛輸送タンパク質‐1をコード化する遺伝子がある(例えば、Kindermannら、J.NutR 2004、134(1):57‐62;およびLangmadeら、J.Biol.Chem.2000、275(44):34803‐24809参照)。
B.In vitro試験

i)癌細胞増殖の阻害

式Iの候補化合物は、標準的方法を使用して癌細胞の増殖を阻害するそれらの能力に対して、まずはin vitroで測定することができる。
一般的に、癌細胞の増殖を阻害する式Iの候補化合物の能力は、以下のように測定することができる。特定の被検癌細胞株の細胞は、適当な密度(例えば、約1×10)に培養され、様々な濃度の候補化合物が追加される。適切な培養時間(通常、約48から74時間)の後、例えば、テトラゾリウム塩(または修飾テトラゾリウム塩)切断の測定、またはレザズリン還元試験(Fields&Lancaster(1993)Am.Biotechnol.Lab.11:48‐50;O’Brienら(2000)Eur J.Biochem.267:5421‐5426および米国特許第5,501,959号)、スルホローダミンアッセイ(Rubinsteinら(1990)J.Natl.Cancer Inst.82:113‐118)、天然赤色素試験(Kitanoら(1991)Euro.J.Clin.Investg.21:53‐58;Westら(1992)J.Investigative Derm.99:95‐100)またはXTTアッセイなどで、細胞生存が評価される。細胞増殖の阻害は、処理した培養における細胞生存と例えば、候補化合物で前処理されていない培養、対照媒体で前処理されている培養および/または対照化合物(通常周知の治療)で前処理されている培養など、1つ以上の対照培養における細胞生存の比較によって判断される。
代謝活性を測定する、当技術分野で周知の他のアッセイ(テトラゾリウムベースのアッセイ)は、増殖性細胞が代謝的に静止細胞より活性であれば、細胞増殖に対する候補化合物の効果を評価するためにも使用することができる。
候補化合物は、腫瘍細胞の足場非依存性増殖を阻害するそれらの能力をin vitroでも試験することができる。足場非依存性増殖は、腫瘍原性の良い指標になることで当技術分野で周知である。一般的に、足場非依存性増殖は、適切な癌細胞株からの細胞を軟寒天上にプレートし、切な培養期間後に形成されたコロニーの数を判断することによって評価される。その後、候補化合物で処理した細胞の成長は、(上述のように)適切な対照で処理した細胞と比較される。
式Iの化合物を試験するのに適当な各種の癌細胞株は市販されており、例えば、American Type Culture Collection(ATCC;Manassas、VA)現在700以上の異なるヒト癌細胞株を供給すし、DCTD Tumor Depository(NCI‐Frederick、Frederick、MD)はNCI‐NIHスクリーンで使用されるヒト癌細胞株を含む様々な哺乳類細胞株を供給する。
式Iの化合物を試験するために使用される適当なヒト癌細胞株の例として、これらに限定されないが、HT‐1376、HT‐1197、およびHs195.Tの膀胱癌細胞株、CaCo、COLO320、HCT‐116、LoVo、NCI‐H498、NCI‐H548およびSNU‐C2Bなどの結腸および結腸直腸の腺癌および癌細胞株、HuTu80の十二指腸癌細胞株、Hs740T、AGS、Hs746T、NCI‐N87、NCI‐SNU‐1およびRF‐48の胃の腺癌および癌細胞株、NCI‐H661およびNCI‐H1581の大細胞肺癌細胞株、MDA PCa 2b、LNCaP‐FGCおよび22RvIの前立腺の腺癌および癌細胞株、raji、NamalwaおよびHS SultanのBurkittsリンパ腫(非ホジキン)細胞株、U‐937の組織球性リンパ腫細胞株、Jurkatの急性リンパ性白血病(T‐ALL)細胞株、Karpas299のT細胞リンパ腫細胞株、L‐363のプラズマ細胞白血病細胞株、およびNCI‐H630およびSW837の直腸の腺癌および癌細胞株がある。薬剤耐性癌細胞株は、薬剤耐性または多剤耐性新生腫瘍細胞の成長および/または増殖を阻害する本発明の化合物の能力を判断するためにも使用することができる。
式Iの候補化合物の差別的新生物選択性も試験することができ、すなわち、通常の増殖性細胞と比較して、新生腫瘍(または癌)細胞に対するいくつかのレベルの選択作用を実証する化合物の能力のことである。化合物に対する正常細胞と癌細胞の感受性差を評価する例となる方法は、Vassilevら(Anti‐Cancer Drug Design(2001)16:7)によって記述されている。この方法は、IC90値の比較を含み、すなわち、対数増殖期細胞の90%の成長阻害を引き起こすために必要な試験化合物のモル濃度のことである。したがって、候補化合物のIC90値は、様々な癌細胞株(上記のような細胞株)および正常細胞(HUVECおよび/またはWI38細胞)において評価し、比較することができる。IC90値は、当技術分野で周知の様々な標準的方法で測定することができる。癌細胞選択性は、すべての正常培養細胞株に対する平均IC90とすべての癌細胞株に対する平均IC90の比率として計算される。IC90率(正常/癌)が>4の化合物は、癌細胞に対して選択性があると考えられる(L.T.Vassilevら、Anti‐Cancer Drug Design、2001、16:7‐17)。
本発明の1つの実施例では、式Iの化合物は、1つ以上の白血病細胞、前立腺癌細胞、非小細胞肺癌細胞および大腸癌細胞の増殖を選択的に阻害する。候補化合物の選択性は、NCI‐NIH治療薬剤プログラムin vitroスクリーンで使用されるヒト癌細胞株を使用して評価される。このスクリーンで使用される癌細胞株は、上の表1に表示される。
本発明の実施例によると、化合物は、化合物が、乳癌、中枢神経系癌、黒色腫、卵巣癌および腎臓癌のそれぞれからの培養細胞株の阻害に対する平均GI50より少なくとも10%低い平均GI50を有する選択された癌(すなわち、前立腺癌、大腸癌、非小細胞肺癌および/または白血病)からの培養細胞株の増殖を阻害するとき、選択された癌の選択的阻害を示す。1つの実施例では、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、非小細胞肺癌細胞および/または白血病細胞に対する平均GI50は、乳癌、中枢神経系癌、黒色腫、卵巣癌および腎臓癌のそれぞれからの培養細胞株の阻害に対する平均GI50より少なくとも15%低い。もう1つの実施例では、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、非小細胞肺癌細胞および/または白血病細胞に対する平均GI50は、乳癌、中枢神経系癌、黒色腫、卵巣癌および腎臓癌のそれぞれからの培養細胞株の阻害に対する平均GI50より少なくとも20%低い。
GI50の計算法は、当技術分野で周知である(例えば、Boyd,M.R.ら、In Cytotoxic Anticancer Drugs:Models and Concepts for Drug Discovery and Development;Vleriote,F.A.;Corbett,T.H.;Baker,L.H.、Eds.;Kluwer Academic:Hingham、MA、1992およびMonks,A.ら(1991)JNCI,J.Natl.Cancer Inst.83、757‐ 766;pp.11‐34参照)。当技術分野で記述されるように、GI50は、ゼロ時間での細胞計数に対するGI50の計算における補正を強調するGI50値(50%の成長阻害を引き起こす濃度)の改名である。したがって、GI50は、以下の候補化合物の濃度であり、
100×(T−TO)(C−TO)=50
そして、試験薬への48時間の暴露後の試験ウェルの光学濃度はT、ゼロ時間の光学濃度はTO、および対照光学濃度はCである。
例えば、NCIで現在使用されている以下の手順は、選択された癌細胞株において式Iの候補化合物のGI50を評価するために使用することができる。つまり、細胞懸濁液は希釈され(1つのウェルにつき5000から40,000細胞)、100μLの希釈細胞懸濁液を96ウェルマイクロタイタープレートに加える。安定化のために、植菌は、37℃で24時間の前培養期間が許される。候補化合物の目的とする試験濃度の2倍の希釈物は、ゼロ時間に100μLの分割量でマイクロタイタープレートウェルに加えられる。試験化合物は、通常、5つの10倍希釈で評価される。通常の試験では、最高ウェル濃度は、通常10E‐4Mであるが、これは試験される化合物によって調整される場合がある。細胞は、5%のCO大気および100%の湿度で48時間、試験化合物とともに培養される。その後、細胞は、光学濃度を読み取るために使用されるプレートリーダーを使用して、スルホローダミンBアッセイ(例えば、Skehan,P.ら(1990)JNCI,J.Natl.Cancer Inst.82、1107‐1112;およびChen,S.F.ら(1990)Proc.Am.Assoc.Cancer Res.31、A2644参照)で試験する。
ii)遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させる能力

本発明の1つの実施例によると、式Iの化合物は、癌細胞において遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させる。もう1つの実施例では、式Iの化合物は、腫瘍抑制遺伝子の発現が下方制御された癌細胞において、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させる。癌細胞における遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現増加または上方制御された発現は、処理した細胞に対する非処理の細胞における遺伝子の発現の増加パーセントとして判断することができる。1つの実施例では、式Iの化合物は、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を約10%増加させる。もう1つの実施例では、式Iの化合物は、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を約20%増加させる。他の実施例では、式Iの化合物は、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を約25%、50%、75%または100%増加させることができる。
癌細胞における遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現の増加または上方制御は、癌細胞における遺伝子発現の「倍」の増加または上方制御としても判断することができ、非処理の癌細胞における遺伝子発現が「1」と示され、処理した癌細胞における遺伝子発現の個々の「倍」の増加が非処理の癌細胞における個々の遺伝子発現に対して示される。本発明の1つの実施例では、式Iの化合物は、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を約1.5倍増加または上方制御することができる。もう1つの実施例では、式Iの化合物は、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を約2倍に増加させることができる。
本発明のもう1つの実施例では、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子はKLF4である。KLF‐4などの腫瘍抑制遺伝子の発現を調節する候補化合物の能力は、KLF4mRNAまたはタンパク質のレベルの変化を測定することによって評価することができる。これらのアッセイ方法は、当技術分野で周知である。
例えば、候補化合物は選択された癌細胞株へ導入することができ、関連する腫瘍抑制遺伝子から転写したmRNAの量は、ノーザンブロット分析、RT‐PCRなどの標準的方法によって測定することができる。あるいは、細胞で生産された腫瘍抑制タンパク質の量は、ウエスタンブロット分析などの標準的方法によって測定することができる。その後、候補化合物で処理した細胞において生産されたmRNAまたはタンパク質の量は、対照細胞において生産された量と比較することができ、化合物が腫瘍抑制遺伝子の発現を阻害した成功度を表す。適当な対照細胞には、例えば、非処理の細胞および/または対照化合物で処理した細胞がある。あるいは、候補化合物は、複数の遺伝子の発現を選別するための標準方法を使用して、選択された癌細胞株における遺伝子発現増加させるそれら化合物の能力に関して選別することができる(「発現プロファイリング」)。当該方法は当技術分野で周知であり、例えば、発現が化合物に影響を受けた遺伝子の適当な機能群を同定するため、10倍(例えば、19,000)のヒト遺伝子を含有する高密度マイクロアレイアッセイなどのマイクロアレイ解析がある。
通常、発現プロファイリングは、短いDNA配列またはオリゴヌクレオチドの既成マイクロアレイを活用する。マイクロアレイの構築方法は、当技術分野で周知である[例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons,Inc、NY.(1989および最新版)参照]。 代案として、マイクロアレイは、例えば、周知の腫瘍抑制遺伝子に対応する配列を含むために、特注することができる。予め作られたマイクロアレイは、例えば、GeneChIP(登録商標)(Affimetrix、Santa Clara、CA)、Atlas(登録商標)(BD Biosciences‐CLONTECH、Palo Alto、CA)、GEM Microarrays、GeneJet(登録商標) array and LifeSeq(登録商標)(Incyte Genomics、Palo Alto、CA)、MICROMAX(登録商標)ヒトcDNA Microarray Systems(PerkinElmer Life Sciences、Boston、Mass.)およびResGen(登録商標) GeneFilters(登録商標)(Invitrogen、Huntsville、Ala.)など、多くの有機体に対しても市販されている。発現解析に対して、RNAは候補化合物で処理した細胞および対照細胞から単離させる。必要であれば、RNAは、分析のために十分な量を確保するため従来の方法によって増幅することができる。その後、RNAは適当な条件の下、マイクロアレイに交配し、市販のスキャナーおよびソフトウェアによるマイクロアレイの通常分析を行い、発現が対照細胞に対して処理された細胞において変更される遺伝子を同定する。適当な交配条件は、標準的方法を使用して当業者によって容易に判断することができる。当該の他の遺伝子の同定に続き、mRNA定量および個々のタンパク質レベルは、研究中の遺伝子に対する化合物の効果の程度を判断するためにも評価することができる。
iii)アポトーシスの誘導

本発明によるとのもう1つの実施例では、式Iの化合物は、癌細胞においてアポトーシスを誘導することができる。アポトーシスを誘導する候補化合物の能力の評価方法は、当技術分野で周知であり(例えば、Current Protocols in Cell Biology、2000および最新版、K.Morgan、ed.、J.Wiley&Sons、New York、NY参照)、例えば、DNAフラグメンテーション解析、アネキシンV‐FITCおよびヨウ化プロピジウム染色法を併用するフローサイトメトリー、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdTアッセイ)によるDNA鎖切断の蛍光色素標識およびフローサイトメトリーによる分析、フローサイトメトリーによる検出、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)媒介dUTPニックエンドラベリング(TUNEL)アッセイを用いての免疫細胞化学による原位置での検出、ポリ(ADP‐ribose)ポリメラーゼ(PARP)のタンパク質分解的切断またはタンパク質分解の免疫組織化学的またはフローサイトメトリー検出、および/またはシステイニル‐アスパラギン酸プロテアーゼ(カスパーゼ)の活性化の検出を含む。
例えば、アポトーシスに対する式Iの化合物の効果は、一定時間、候補化合物で細胞を培養し、アネキシンV‐FITC‐ヨウ化プロピジウム法を使用してサイトメトリ解析を行うことによって評価することができる。アポトーシスへの参入により、内葉から原形質膜の細胞外側へとホスファチジルセリンの転座が生じる。高親和性によってホスファチジルセリンと結合するタンパク質であるアネキシンVは、このアポトーシス誘導の膜変化を検出するために使用することができる。DNA結合染料のヨウ化プロピジウム(PI)は、容易に非生存細胞に入り、染色するが、生存細胞の膜を越えることはできない。したがって、アネキシンVのみで染色される細胞は初期アポトーシスであるとみなされ、一方、アネキシンVおよびPIの両方で染色された細胞は後期アポトーシスであるとみなされる。PIのみで染色された細胞は非生存とみなされるが、染色されていない場合は生存細胞を示す。
化合物の作用の潜在的な機序を研究するためのアッセイは、化合物が腫瘍成長のどの状況に影響を与えるかを判断する際に役に立つ情報を提供するため、必要に応じて行われる場合がある。この種の情報は、化合物による治療が有効である癌型を判断するために役立つ場合がある。当該アッセイの例として、これらに限定されないが、細胞周期解析(例えば、フローサイトメトリー方法を使用)、抗血管新生アッセイ(例えば、コード形成およびマトリゲルプラグアッセイなどの様々なマトリゲルアッセイ)および免疫組織化学法がある。
C.In vivo試験

in vivoでの腫瘍成長、増殖および/または転移を阻害する候補化合物の能力は、当技術分野で周知の標準的方法を使用する適切な動物モデルにおいて判断することができる(例えば、Ennaら、Current Protocols in Pharmacology、J.Wiley&Sons,Inc.、New York、NY参照)。例となる手順は、以下または実施例において提供される。
例えば、候補化合物のin vivo活性は、ホローファイバーアッセイを使用して試験することもできる(Hollingshead,M.ら(1995)Life Sciences、57:131‐141;およびDeckerら、Eur.J.of Cancer、40:821‐826(2004))。このアッセイでは、ホローファイバー(フッ化ビニリデン樹脂、PVDF)で成長する細胞をマウスの様々な体区画に移植する。12の腫瘍細胞株の標準パネルは、in vitroで活性を示す、候補化合物のホローファイバースクリーニングに使用することができる。これらの細胞株は、NCI‐H23、NCI‐H522、MDA‐MB‐231、MDA‐MB‐435、SW‐620、COLO205、LOX‐IMVI、UACC‐62、OVCAR3、OVCAR5、U251およびSF‐295を含んでよい。
さらに、上記のin vitroの部分で上げられた株などの代替株は、化合物の特別な試験に使用することができる。細胞株は、標準プロトコルに従って培養し、繊維は細胞をPVDFの繊維に流し、2cm間隔でシールすることによって調製する。これらのシールから生成されるサンプルは、組織培養基上に置き、移植前24から28時間、5%CO、37℃で培養する。各マウスに3腹腔内移植(各腫瘍株1つずつ)および3つの皮下移植(各腫瘍株1つずつ)を行うため、各実験用に合計3つの異なる腫瘍株を調製する。移植当日、ゼロ時間細胞量を把握するため、各瘍細胞株の製剤のサンプルは、生存細胞量に対して、例えば、安定した評価項目MTTアッセイなどによって定量する。マウスは3または4日目から実験用薬剤で処理し、その後繊維移植を行い、毎日4日間継続する。各薬剤は、2つの投与レベルで腹腔内注射にて投与する。繊維は、4回目の化合物治療の次の日にマウスから収集し、安定した評価項目MTTアッセイに使用する。各サンプルの光学濃度は、540nmの分光光度法で判断し、各治療群の平均を計算する。各治療群における各細胞株の最終成長パーセントを計算し、媒体処理された対照における最終成長率と比較する。媒体対照サンプルと比較して、処理されたサンプルにおける最終成長率の50%以上の減少を陽性とみなす。各陽性結果はスコア2の得点であり、任意の化合物に対して全得点を合計する。1つの薬剤に対する最大可能得点は、96である(12の細胞株×2つの部位×2つの投与レベル×2[点])。
ホローファイバーアッセイにおいて最初に選別された候補化合物は、ip+scの合計スコアが20点以上、scスコアが8点以上、または評価されたいずれかの投与レベルで任意の細胞株の細胞殺滅を起こした場合、続いて異種移植モデルにおいて試験する場合がある。この得点システムは、活性化の状態の現在の「標準」薬剤を獲得すると見込まれている検出レベルを示すため、CTEPのDCTDC統計学者によって検証されている。
あるいは、式Iの化合物は、直接、異種移植モデルにおいて試験することができる。ヒト腫瘍が動物に移植されている異種移植モデルは、候補化合物の抗癌活性を評価するための標準モデルである。ヒト癌の異種移植モデルの例として、これらに限定されないが、腫瘍成長アッセイで使用される、皮下注射または移植によって埋め込まれたヒト固形腫瘍異種移植片、腫瘍成長アッセイで使用される、脂肪体注射によって移植されたヒト固形腫瘍同種移植片、腫瘍成長アッセイで使用される、関連する組織に直接移植されたヒト固形腫瘍同所異種移植片、生存アッセイで使用される、静脈注射による固形腫瘍または白血病の播腫性疾患モデル、生存アッセイで使用されるマウスにおけるリンパ腫および白血病の実験モデル、およびマウスにおける肺転移の実験モデルがある。移植ヒト腫瘍細胞に加えて、異種移植モデルは、抗癌免疫応答の評価を可能にする移植ヒト末梢血白血球を更に構成することができる。様々な異種移植モデルにおいて、移植ヒト腫瘍細胞は、原発腫瘍細胞または細胞株由来の腫瘍細胞となり得る。
異種移植モデルには、いくつかの宿主動物の選択肢があり、これらに限定されないが、重症複合免疫不全(SCID)マウス、無胸腺ヌードマウスおよび無胸腺ラットの使用がある。非肥満性糖尿病/重症複合免疫不全マウス(NOD/SCID)は、例えば、白血病および/またはリンパ腫細胞などの血液癌細胞の移植に対する様々な異種移植モデルに使用可能な他の宿主動物の代わりとなる。
あるいは、ネズミ癌モデルは、抗癌化合物の選別に使用することができる。適切なネズミ癌モデルの例は当技術分野で周知であり、これらに限定されないが、ネズミ癌細胞が静脈、皮下、脂肪体または同所注射で移植された移植モデル、マウス転移モデル、遺伝子導入マウスモデル、およびノックアウトマウスモデルがある。候補化合物の効果は、正常マウスにおける自然発生癌に対しても評価することができる。
例えば、候補化合物は、0日目に30から60mgの腫瘍の断片または適切な数の腫瘍細胞(例えば、約10〜10)を皮下移植または注射したマウスを使用して、固形腫瘍に対してin vivoで試験することができる。担癌動物は、様々な治療や対照に使用される前に混合される。進行性腫瘍の治療の場合、腫瘍は目的とする大きさまで成長させ、十分に成長していない腫瘍を有する動物は除外する。選択された動物は、治療および対照を受けるために無作為に分配する。非担癌動物は、腫瘍に対する特定の効果から毒性効果を引き離すことを可能にするため、担癌動物と同じ治療にも使用する場合がある。通常、化学療法は、腫瘍の種類によって移植後3〜22日に開始し、動物は毎日観察する。候補化合物は、例えば、ボーラス投与などによって動物に投与することができる。異なる動物群は、最大体重減少に達成するまで週に約3〜4回体重を測定し、その後、群は試験終了時まで週に少なくとも1回体重を測定する。
腫瘍が所定の大きさおよび/または重さに達するまで、または所定の時間が経つまで、または動物が死亡する(腫瘍が所定の大きさ/重さに達する前これが起こった場合)まで、腫瘍は週に約2〜3回測定する。その後、動物は死亡させ、組織像、大きさおよび/または腫瘍の増殖が評価される。
薬剤耐性腫瘍に対する候補化合物の効果は、異種移植実験において、薬剤耐性または多剤耐性癌細胞を使用してin vivoで評価することができる。
リンパ腫または白血病などの血液腫瘍に対する候補化合物の効果の研究では、動物は特定の数の細胞を移植または注射され、対照に対して処理されたマウスの生存時間の増加によって抗腫瘍活性を判断する。白血病異種移植モデルにおける病気の負担の評価は、フローサイトメトリーまたは連続する血液サンプルからのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、細胞表面マーカーまたは白血病特異遺伝子の発現などの、白血病の様々な指標を測定することによっても行うことができる。
腫瘍転移に対する候補化合物の効果を研究するために、腫瘍細胞は、通常、ex vivoで化合物で処理し、その後、適当な試験動物へ注射される。その後、注射部位からの腫瘍細胞の拡大は、適当な期間観察する。
他の化学治療薬と併用で作用する、または腫瘍をその効果に敏感にさせる候補化合物の能力は、上記のモデルにおいても試験することができる。この場合、試験動物は、化学治療薬および式Iの候補化合物の両方で処理する。対照動物は、化学療法薬のみで処理した動物、候補化合物のみで処理した動物および/または非処理の動物を含む。
式Iの化合物のIn vivoでの毒性効果は、例えば、治療中に動物の体重に対するそれらの効果を測定する、および動物を死亡させた後に血液学的プロファイルおよび肝臓酵素分析を行うことによって、標準的方法を使用して評価することができる(生存アッセイ)。
表2:ヒト癌のin vivoモデルの例
Figure 2008542259
さらに、必要に応じて、遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現レベルに対する式Iの化合物の効果は、例えば、腫瘍抑制因子mRNAまたはタンパク質レベルの変化を測定することによって、試験動物からの腫瘍で評価することができる。これらのアッセイの実施法は、上述のように当技術分野で周知である。
必要に応じて、1つ以上の標準的免疫組織化学試験は、腫瘍成長、分化、アポトーシスおよび/または血管形成に対する化合物の効果を判断するために、試験動物から分離した組織に対しても行われる場合がある。当該試験の例として、これらに限定されないが、特定の抗体の使用(例えば、増殖を評価するKi‐67に対する抗体、血管形成を評価するCD31に対する抗体、NK細胞の存在を示すNKl.1に対する抗体、マクロファージの存在を示すF4/80に対する抗体)およびアポトーシスを判断するためのTUNELアッセイがある。
D.毒性試験

式Iの化合物は、必要に応じて、毒性試験も行うことができる。潜在的な薬剤に対する毒性試験は、当技術分野で周知である(例えば、Hayes,A.W.、ed.、(1994)、Principles and Methods of Toxicology、3rd.ed.、Raven Press、NY;Maines,M.、ed.、Current Protocols in Toxicology、John Wiley&Sons,Inc.、NY参照)。
式Iの化合物のin vitroでの急性毒性試験は、哺乳類の細胞株(例えば、Ekwall,B.、Ann.N.Y.Acad.Sci.、(1983)407:64‐77参照)を使用して行うことができる。適切な細胞株の選択は、候補化合物の潜在的な適用により、当業者によって容易に判断できる。例えば、これらの試験は、市販の担体の存在下における式Iの化合物でのヒト初代線維芽細胞の治療を含む。その後、細胞は異なる時間で試験を行い、トリパンブルー排除アッセイ、XTTまたはMTTアッセイなどの標準的生存能力アッセイを使用して細胞の生存能力に対する治療を行う。細胞は、例えば、チミジン混入アッセイなどを使用してDNAを合成するそれらの能力に対して検査もでき、例えば、血球計算細胞分別機(FACS)を併用する標準的細胞分別アッセイを使用して、細胞周期の動力学的変化に対しても検査できる。
In vivo毒性試験は、例えば、様々な濃度の候補化合物を適切な動物モデルに注射するなどの標準的手順によって行うことができる。化合物は一度注射することができ、または投与は数日にわたって反復することができる。化合物の毒性効果は、動物の死亡率、行動、外観および体重の変化を観察することによって、適切な期間に評価することができる。評価期間の終了後、動物は死亡させ、関連する器官の外観および重さを判断ることができる。必要であれば、例えば、例えば、血液学的プロファイル、組織学および肝臓酵素分析などの追加評価が行われる場合がある。化合物の毒性の表れは、化合物のin vivo抗癌試験の間に得られる場合がある。
式Iの化合物の遺伝毒性は、必要であれば、変異原作用を選別するためのエームズアッセイ、哺乳類の細胞株において遺伝子突然変異を誘導する被験物質の能力を判断するためのマウスリンパ腫アッセイ、例えば、DNA再構成または被験物質による損傷を判断するためのチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などを使用するin vitro染色体異常アッセイなどの標準的方法によって、in vitroで評価することができる。他のアッセイとして、被験物質によって誘導された染色体の腕の間での交換を判断する姉妹染色分体アッセイ、および染色体または紡錘体への損傷を判断するin vitroマウス小核アッセイがある。式Iの化合物の遺伝毒性は、必要であれば、in vivo姉妹染色分体交換アッセイ、in vivo小核アッセイ、またはin vivo染色体異常アッセイを使用して、in vivoでも評価できる。これらのアッセイおよび標準的アッセイの手順は当技術分野で周知であり、例えば、化学薬品の試験に関するOECDガイドラインおよびISOによって開発された手順を参照すること。
IV.式Iの化合物の使用

式Iの化合物は、被検体における癌の治療、安定または予防に使用することができる。これに関連して、化合物は、細胞毒性または細胞静止効果を及ぼし、腫瘍の大きさの減少、腫瘍拡大の減速または予防、腫瘍の消失または切除からその再発までの無病生存時間の延長、腫瘍初発または続発の予防(例えば、転移)、進行時間の延長、腫瘍に伴う1つ以上の悪い症状の軽減、または癌にかかっている被検体の全生存時間を延長させる。本発明の1つの実施例によると、式Iの化合物は、癌細胞におけるアポトーシスの誘導により癌細胞に対する細胞毒性効果を及ぼす。
例となる腫瘍には、これらに限定されないが、白血病、骨髄腫およびリンパ腫などの血液腫瘍、腺癌および扁平上皮細胞癌などの癌腫、黒色腫および肉腫がある。癌腫および肉腫は、多くの場合、「固形腫瘍」として称される。一般に存在する固形腫瘍の例として、これらに限定されないが、脳、胸、首、結腸、頭頸、腎臓、肺、卵巣、膵臓、前立腺、胃および子宮の癌、非小細胞肺癌および結腸直腸癌がある。様々な形のリンパ腫は、固形腫瘍の形成も引き起こす場合があり、そのため、多くの場合、固形腫瘍ともみなされる。
本発明の1つの実施例は、1つ以上の前立腺癌、非小細胞肺癌、大腸癌および白血病の治療における式Iの化合物の使用を提供する。さらに、本発明の1つの実施例によると、式Iの化合物は、癌細胞において遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させるための癌の治療において使用することもできる。特定の実施例では、式Iの化合物は、金属制御された腫瘍抑制遺伝子KLF4を、消化(GI)管、膀胱癌および白血病の癌を含む、腫瘍抑制因子として機能する癌を治療、安定または予防するために使用する。消化管の癌は、胃癌、食道癌、小腸癌、十二指腸癌、大腸癌、結腸直腸癌、直腸癌および肛門癌を含む。
1つの実施例では、本発明は、癌細胞における遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させるための式Iの化合物の使用も提供する。もう1つの実施例では、本発明は、癌細胞におけるKLF4腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させるための式Iの化合物の使用を提供する。
したがって、本発明の1つの実施例によって治療することができる癌は、これらに限定されないが、白血病、そして扁平上皮細胞癌などの腺癌および癌腫を含む。癌腫は、上述のように、多くの場合は「固形腫瘍」としても称され、本発明によって治療することができる一般に存在する固形腫瘍の例として、これらに限定されないが、肛門癌、膀胱癌、大腸癌、結腸直腸癌、十二指腸癌、胃癌、肺(非小細胞)癌、食道癌、前立腺癌、直腸癌および小腸癌がある。それにより、本発明の1つの実施例は、白血病、膀胱癌、肺(非小細胞) 癌、前立腺癌および、これらに限定されないが、肛門癌、大腸癌、結腸直腸癌、十二指腸癌、胃癌、食道癌、直腸癌および小腸癌を含む消化管の癌の群から選択される癌の治療における式Iの化合物の使用を提供する。
用語「白血病」は、造血臓器の進行性、悪性疾患を広く言及する。白血病は、通常、血液および骨髄における白血球および前駆体の増殖および成長障害と特徴付けられるが、未熟赤血球を襲う赤白血病などの他の血球の悪性疾患とも言及することができる。白血病は、一般的に、(1)病気の期間および性質‐急性または慢性、(2)関連する細胞型‐骨髄性(骨髄系)、リンパ性(リンパ系)または単球性、および(3)血液‐白血性または非白血性(亜白血性)における異常細胞数の増加または非増加、に基づいて臨床的に区別される。白血病は、例えば、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄球性白血病、成人T細胞性白血病、非白血性白血病、非白血性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎児性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリー細胞性白血病、血液芽球性白血病、血芽球性白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ系白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞性白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、プラズマ細胞性白血病、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血病、および未分化細胞性白血病を含む。
用語「癌腫」は、周囲の組織に浸潤しやすい上皮細胞で構成される悪性新生物を言及し、転移を引き起こす。用語「癌腫」は、腺癌も含む。腺癌は、粒状(分泌)の性質を有する器官を作る細胞に由来する癌腫、または消化管や気管支上皮などの管腔臓器の内側を覆う細胞に由来する癌腫であり、肺および前立腺の癌を含む。
本発明によると、式Iによる化合物は、様々な病期および悪性度の癌細胞、腫瘍および/または癌の成長および進行を治療するために使用することができる。したがって、本発明は、中間期の癌の治療および例えば、病気の進行を減速する、転移を減少させる、患者の生存を増加させるなど、進行性および/または転移性および/または悪性度の高い新生物を含む後期癌の治療のみならず、例えば、病気の治療または癌の後退を引き起こす目的で、小さい、成長が遅い、局所的および/または非侵攻性であるかもしれない早期新生物を含む早期癌の治療において、組み合わせて使用することを目的とする。
本発明は、化合物が無痛性癌、局所再発性、遠位再発性および/または難治性癌(すなわち、治療に反応ていしない癌)を含む再発癌、転移癌、局所進行性癌および侵攻性癌の治療に使用することができるということも目的としている。したがって、「進行性」の癌は、局所的進行性癌および転移癌を含み、患者における顕性疾患を言及し、当該顕性疾患は手術または放射線治療などの局所的な治療に適していない。用語「転移癌」は、体の一部から他の部分へ広がった癌を言及する。進行癌は切除不可能でもあり、つまり周囲の組織まで広がり外科的に排除できない。
当業者は、例えば、侵攻性癌は、通常は転移性でもあるなど、これらのカテゴリーが重複していることを認識する。本明細書において使用されるように、「侵攻性癌」は、急速に成長する癌を言及する。当業者は、乳癌または前立腺癌などのいくつかの癌に対して用語「侵攻性癌」は、任意の癌に対する再発時間の範囲のうち最初の約3分の2の内で再発した進行癌を言及するが、小細胞肺癌(SCLC)などの他の癌型に対しては、ほとんどすべての場合、侵攻性とみなされる急速に成長する癌を示す。したがって、この用語は、特定の癌型の小区分を対象にすることができ、またはすべての他の癌型を含む場合がある。
当該化合物は、多剤耐性腫瘍を含む薬剤耐性癌を治療するためにも使用することができる。当技術分野で周知のように、化学療法に対する癌細胞の抵抗性は、癌の管理における中心問題の一つである。
前立腺などの特定の癌は、ホルモン療法によって治療することができ、すなわち、体の天然ホルモンを遮断することによって特定の癌の成長を減速させる、または停止させるホルモンまたは抗ホルモン剤で治療することができる。当該癌は、ホルモン療法に対する抵抗性を発達させたり、または本質的に抵抗性である場合がある。本発明は、当該「ホルモン抵抗性」または「ホルモン耐性」の癌の治療における化合物の使用をさらに目的とする。
本発明は、癌細胞の成長を選択的に阻害する「感作物質」としての化合物の使用も目的とする。この場合、化合物のみでは癌細胞に対する細胞毒性効果を持たないが、癌細胞を弱める方法を提供し、従来の抗癌療法の適用から得られた利点をさらに助長し、あるいはそれ以外の方法で、前記治療法の効果を高める。
したがって、本発明は、1つ以上の治療法と併用して1つ以上の化合物の治療に効果のある量を被検体に投与することを目的とする。化合物は、抗癌療法での治療の前、その間、または後に投与することができる。「抗癌療法」は、癌細胞の成長および/または転移を予防または遅らせる化合物、組成物または治療のことである。当該治療法は、これらに限定されないが、
化学療法薬治療、放射線療法、遺伝子療法、ホルモン処置、免疫療法およびアンチセンスオリゴヌクレオチド療法を含む。有用な化学療法薬の例として、これらに限定されないが、ヒドロキシウレア、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファミド、ダノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ナベルビン(登録商標)(酒石酸ビノレルビン)、エトポシド、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、シトシン、アラビノシド、ブレオマイシン、ネオカルチノスタチン、スラミン、タクソール、マイトマイシンCなどがある。本発明の化合物は、2つ以上の化学療法薬を使用する標準併用療法との併用にも適している。当然のことながら、本発明における使用に対する治療法は、将来開発される新しい化合物または治療も含む。
式Iの化合物は、例えば、治療への応用など、遷移金属のキレート化を目的とする様々な応用における使用にも適している。金属キレート化は、金属中毒、金属毒性、遺伝性疾患および/または輸血依存性貧血に伴う鉄過剰などの体内の金属過剰、微生物感染、免疫媒体病または疾患、皮膚病または疾患、神経系の病気または疾患、循環器病または疾患、老化関連の病気または疾患、あるいは遺伝性の病気または疾患の治療に適切である。本発明の1つの実施例では、式Iの化合物は、例えば、癌以外の病気または疾患の治療のためのin vivoでの金属イオンのキレートなどの治療への応用で使用することができる。
式Iの化合物は、例えば、剥離、化学分解、変色、沈殿、微生物増殖、乳化不安定性、酸敗臭および/または異臭、異味、混濁、失透、質感の低下、結晶形成、粘性の変化、酸化などの不要な金属イオンに伴う他の問題を予防または抑制するための、遷移金属のキレート化を目的とする製品または過程においても使用することができる。これらの状況におけるキレート剤の使用は、製品品質、消費者に対する魅力、保存期間または価値を改善し、処理効率を上げ、設備ダウンタイムを低下させ、または処理費を減少させることになる。したがって、本発明は、れらに限定されないが 食品および飲料製品、洗浄製品、パーソナルケア製品、医薬品、診断的適用、紙パルプでの適用、水処理での適用、金属加工での適用、繊維製品での適用、農産品および農業での適用、ゴム加工での適用、撮影での適用、印刷用インク、油田での適用、鉱業での適用、ガスの匂い付け、建造での適用、電気的適用、またはスケール除去および予防を含む、様々な適用において金属イオンをキレートするための式Iの化合物の使用を目的とする。
V.薬剤組成物

本発明の化合物は、通常、投与の前に調製する。したがって、本発明は、1つ以上の式Iの化合物および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤から成る薬剤組成物を提供する。薬剤組成物は、周知で容易に入手可能な原料を使用して周知の方法によって調製する。周知の癌に対する化学療法と併用して1つ以上の式Iの化合物から成る薬剤組成物は、本発明の目的ともなる。
一般式Iの化合物またはそれらの化合物から成る薬剤組成物は、従来の非毒性な薬学的に許容される担体、アジュバントおよび溶剤を含有する用量単位の製剤で、経口、局所、非経口、吸入やスプレー、または経直腸的に投与してよい。療法の通常の経過では、活性化合物は許容される溶剤に取り込まれ、疎水性または親水性クリームまたはローションなどの、病変部に局所的に投与する組成物を形成し、またはシロップ剤、エリキシル剤、錠剤、トローチ、キャンディー、硬または軟カプセル剤、丸薬、坐薬、油性または水性懸濁液、分散性粉または顆粒、乳剤、注入物質または液剤などの、経口、径直腸または非経口投与に適当な形に取り込まれる。本明細書において使用されるように、非経口という用語は、皮下注射、皮内、関節内、静脈内、筋肉内、血管内、胸骨内、髄腔内注射または注入方法を含む。
本発明は、1つ以上の式Iの化合物および人工膜小胞(リポソーム、脂質ミセルなどを含む)などの溶剤、微小粒子またはマイクロカプセルから成る薬剤組成物も提供する。
経口用の組成物は、個形または液体の剤形のいずれかで調製してよい。液体の剤形は、当技術分野で周知の薬剤組成物の製造方法によって調整することができ、当該組成物は、薬学的に洗練された味の良い製剤を提供するために、甘味剤、着香料、着色料および保存剤で構成される群から選択される1つ以上の薬剤を含有してよい。エリキシル剤は、香りの良い着香料や砂糖およびサッカリンなどの適当な甘味料とともに、水性アルコール(例えば、エタノール)溶剤を使用して調製する。懸濁液は、アカシア、トラガカント、メチルセルロースなどを用いて水性溶剤で調製することができる。
錠剤などの個形製剤は、錠剤の製造に適当な非毒性な薬学的に許容される賦形剤と混合して有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤、コーンスターチまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤、例えば、でんぷん、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤、および例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの平滑剤、および第二リン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸カルシウム、でんぷん、乳糖、メチルセルロースなどの他の従来の原料および機能的に同様の物質であってよい。錠剤は、コーティングされていない、または消化管での分解および吸収を遅らせ、長時間に及んで持続作用を提供する周知の方法によってコーティングしてよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの遅延物質を使用してよい。
経口用製剤は、有効成分が、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性の個形希釈剤と混合している硬ゼラチンカプセル錠としても存在し、有効成分が水または例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油などの油性溶剤と混合している軟ゼラチンカプセル錠としても存在する。軟ゼラチンカプセル錠は、許容される植物油、軽質流動ワセリンまたは他の不活性油とともに化合物のスラリーを機械でカプセル化して調製する。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適当な賦形剤と混合して活性物質を含有する。当該賦形剤は、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ゴムトラガカントおよびゴムアカシアなどの懸濁化剤であり、分散または湿潤剤は、例えば、レシチン、または例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなどの、脂肪酸を有するアルキレンオキサイドの縮合物、または例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノールなどの、長鎖脂肪族アルコールを有するアルキレンオキサイドの縮合物、または脂肪酸およびポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのヘキシトール由来の部分エステルを有するエチレンオキサイドの縮合物、または例えば、脂肪酸および例えば、ポリエチレンソルビトールモノオレエートなどの無水ヘキシトール由来のを有する部分エステルを有するエチレンオキサイドの縮合物などの、自然に分泌されるリン脂質であってよい。水性懸濁液は、例えば、エチル、またはn‐プロピル‐p‐ヒドロキシ安息香酸塩などの1つ以上の保存料、1つ以上の着色料、1つ以上の着香料またはサッカロースやサッカリンなどの1つ以上の甘味剤も含有してよい。
油性懸濁液は、例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油などの植物油、または流動パラフィンなどの鉱油において懸濁することによって調製してよい。油性懸濁液は、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有してよい。上述のような甘味剤および着香料は、味の良い経口剤を提供するために加えてよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化物質の添加によって保存してよい。
水の添加による水性懸濁液の製剤に適当な分散性粉および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の保存料と混合して有効成分を提供する。適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上述のものによって例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味料、着香料および着色料などの追加の賦形剤も存在してよい。
本発明の薬剤組成物は、水中油型乳剤の形であってもよい。油相は、例えば、オリーブ油またはピーナッツ油などの植物油、または例えば、流動パラフィンなどの鉱油、またはこれらの混合物であってよい。適当な乳化剤は、例えば、ゴムアカシアまたはゴムトラガカントなどの自然発生のゴム、例えば、大豆、レシチン、およびエステルまたは脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルなどの自然に分泌されるリン脂質、ソルビタンモノオレエートなどの無水物、および例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの、エチレンオキサイドを有する前記部分エステルの縮合物であってよい。乳剤は、甘味料および着香料を含有してもよい。
薬剤組成物は、無菌の注入可能な水性または油性懸濁液の形であってよい。この懸濁液は、それらの適当な分散または湿潤剤を使用する既知の技術によって調製してよく、上述の懸濁化剤でよい。無菌の注入可能な製剤は、例えば、1,3‐ブタンジオールの溶液などの、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒の無菌の注入可能な溶液または懸濁液であってもよい。使用してよい許容される溶剤および溶媒は、水、リンガー液および生理食塩液である。さらに、滅菌された固定油は、溶剤または懸濁化剤として通常通りに使用される。この目的で、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、どの無刺激性固定油でも使用してよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射製剤に使用されている。局所麻酔薬、保存料および緩衝剤などのアジュバントは、注射剤または懸濁液にも含有可能である。
一般式Iの化合物は、併用または単独で薬剤を直腸投与するための坐薬の形で投与してよい。これらの組成物は、その薬剤を常温では個形だが直腸の温度で液状となる適当な刺激性のない賦形剤と混合することによって調製することができ、それによって直腸で融解し、薬剤を放出する。当該物質には、ココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
他の薬剤組成物および薬剤組成物の調製法は当技術分野で周知であり、例えば、「Remington、The Science and Practice of Parmacy」 (以前は「Remington’s Parmaceutical Sciences」)、Gennaro,A.、Lippincott、Williams&Wilkins、Philidelphia、PA(2000)に記述されている。
VI.式Iの化合物の投与

式Iの化合物は、治療する癌によって様々な投与法で被検体に投与してよく、例えば、化合物は、用量単位の製剤で、経口、局所、非経口、吸入やスプレー、または経直腸的に投与してよい。1つの実施例では、化合物は、例えば被検体の血流へのボーラス注射または注入、または経口投与によって被検体へ全身的に投与する。1つ以上の周知の化学治療薬と併せて使用する際、化合物は化学治療薬の投与の前または後、あるいは同時に投与することができる。1つ以上の化学療法薬は、例えば、ボーラス注射、注入または経口投与によって全身的に投与してもよい。
式Iの化合物は、ネオアジュバント療法(から一次療法)の一部、またはアジュバント療法の一部として使用してよい。本発明は、進行度および/または悪性度の高い新生物(すなわち、手術または放射線治療など局所的な治療に適していない顕性疾患)、転移性疾患、局所進行疾患および/または難治性腫瘍(すなわち、治療に反応しない癌または腫瘍治療)の治療を含む、腫瘍の成長および進行における様々な病期での式Iの化合物の使用を目的とする。
「一次療法」は、被検体の癌の初期診断後の最初の治療を言及する。例となる一次療法は、手術、広範囲の化学療法および放射線治療に関与してよい。「アジュバント療法」は、一次療法に続く治療、および再発の危険性がある被検体に投与する治療を言及する。補助的全身療法は、通常、再発を遅らせ、生存を延長し、被検体を治癒するため、一次療法の直後に開始する。
本発明の化合物は、一次療法またはアジュバント療法の一部として、単独で、または1つ以上の他の化学治療薬と併用で使用することができることを目的とする。式Iの化合物および標準的化学療法薬の組み合わせは、化学療法薬の効果を改善するために作用してよいため、標準的癌療法を改善するために使用することができる。この適用は、標準的治療に反応しない薬剤耐性癌の治療において重要になり得る。薬剤耐性癌は、例えば、腫瘍細胞集団の不均一性、化学療法への反応による変化、および高まる悪性の可能性から生じることがある。当該変化は、病気の進行した段階で頻繁にさらに顕著である。
投与する用量は定義された制限に従わないが、通常は有効量である。それは、その目的とする薬理学的および生理学的効果を得る活性遊離薬の代謝放出で用量製剤から生成される薬理的活性遊離型とモルベースで同等のものである。組成物は、単位用量型に調製してよい。用語「単位用量型」は、人の被検体および他の哺乳類に対する単位用量として適当な物理的不連続単位を言及し、各単位は適当な医薬品賦形剤とともに目的とする治療効果を得るために計算された活性物質の所定の量を含有する。各用量単位における化合物の範囲の例として、約0.05〜約100mg、またはより通常には、約1.0〜約50mgとなる。
本発明の化合物の1日投与量は、単回投与または分割投与で、通常、体重1kgあたり約0.01〜約100mgの範囲内である。しかし当然のことながら、投与する化合物の実際の量は、治療する状態、選択した投与法、実際に投与する化合物、個々の患者の年齢、体重および反応、および患者の症状の重篤性を含む、関連する状況を考慮して医師によって判断される。上述の用量範囲は単に一例として提示され、決して本発明の範囲を制限することを目的にしてはいない。場合によっては、前記範囲の下限を下回る用量レベルで十分であるかもしれず、一方、別の場合では、さらに多い容量が、例えば、その多い量をまずいくつかの少ない量に分け1日かけて投与することによって、有害な副作用を引き起こさずに使用される場合がある。
VII.癌患者における臨床試験

当業者は、in vitroおよび動物モデルにおける式Iの化合物の証明された有効性に続き、標準GLP動物毒性および薬物動態学的研究のために提出し、その後、癌の治療におけるその効果をさらに評価し、治療的使用に対する規制機関の承認を得るため、臨床試験に参入することができるということを認識する。当技術分野で周知のように、臨床試験は、第一、二、三および四相とされる、試験の相を通して行われる。
まず、選択された式Iの化合物は、通常は非盲検試験である第一相試験において評価する。通常、第一相試験は、投与の最良の形態(例えば、丸薬または注射など)、投与頻度、および化合物の毒性を判断するために使用する。第一相試験は、患者の体内における式Iの化合物の効果を評価するために、血液検査および生検などの実験室試験を頻繁に含む。第一相試験では、少人数の癌患者の群を、式Iの化合物の特定の用量で治療する。試験の間、用量は、最大耐量(MTD)および化合物に伴う用量規定毒性(DLT)を判断するため、通常、群ごとに増加させる。この過程によって、次の第二相試験で使用する適切な用量が決定する。
第二相試験は、本発明の化合物の有効性および安全性をさらに評価するために行うことができる。第二相試験では、これらの化合物は、第一相試験で効果的であると考えられる用量を使用して、1つの特定の癌の種類または関連する癌のいずれかを有する患者群に投与する。
第三相試験では、化合物が、標準または最も広く受け入れられている治療とどのように類似しているか、あるいは、異なるかを決定することに集中する。第三相試験では、患者は、2つ以上の「治療群」の1つに無作為に割り当てる。2つの治療群を有する試験では、例えば、一方の治療群は標準的治療(対照群)を受け、他方の治療群は本発明による化合物での治療を受ける(治験群)。
第四相試験は、化合物の長期安全性および有効性をさらに評価するために使用する。第四相試験は、第一、二、三相試験ほど一般的ではなく、化合物が標準的用法の承認を受けた後に行われる。
A.臨床試験に対する患者の適任性

参加者の適格基準は、一般的なもの(例えば、年齢、性別、癌の種類)から特定のもの(例えば、前治療の種類及び回数、腫瘍の特性、血球数、臓器機能)まである。適格基準は、試験相によっても変化する場合がある。例えば、第一および二相試験では、多くの場合、異常臓器機能または他の要因のため、治験中の治療により危険にさらされるかもしれない患者は基準によって除外する。第二および三相試験では、多くの場合、病気の種類や病期、および前治療の回数および種類に関して追加基準を含むる。
第一相の癌治験は、通常、他の治療の選択肢が有効ではない15〜30人の参加者で構成される。第二相試験は、通常、既に化学療法、手術または放射線治療を受けたが、その治療が有効ではなかった100人までの参加者で構成される。第二相試験の参加は、多くの場合、過去に受けた治療に基づき制限される。第三相試験は、通常、何百、何千もの参加者で構成される。本発明による化合物と標準的治療の有効性に本当の差があるかどうかを判断するため、この多数の参加者は必要である。第三相は、広い範囲の病気の程度を対象にするため、新たに癌と診断された患者から広範囲の疾患を有する患者までの範囲で構成してよい。
当業者は、調査対象集団の多様性によって、治療がさらに狭義の集団においてより有効であるかもしれないか否か判断不可能とならないようにしながら、臨床試験をできるだけ包含的に計画しなければならないということを認識する。特に第三相試験では、試験の対象となる集団がより多様性を有するほど、一般集団に対して結果をよりよく適用することができる。臨床試験の各相における適切な参加者の選択は、当業者の範囲内とみなされる。
B.治療前の患者の評価

当技術分野で周知のいくつかの測定は、試験開始前に、まず患者を分類するために使用することができる。患者は、例えば、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG:Eastern Cooperative Oncology Group)の癌の状態を表す指標(PS)などを使用して、最初に評価することができる。ECOG PSは、患者の機能障害によって測定されるように、患者の病気の進行を評価するための広く受け入れられている基準であり、ECOG PS0は機能障害がないことを示し、ECOG PS1および2は患者の機能障害は徐々に増大しているがまだ歩行可能であることを示し、ECOG PS3および4は進行性障害および運動不能を示す。
患者の全体的な生活の質は、例えば、マッギール生活の質に関する質問表(MQOL)(Cohenら(1995)Palliative Medicine、9:207‐219)などを使用して評価することができる。MQOLは、身体症状、身体的、精神的および実存的に健康な状態、支援、または全体的な生活の質を測定する。悪心、不機嫌、食欲、不眠、運動性および疲労などの症状を評価するために、McCorkleおよびYoung((1978)Cancer Nursing、1:373‐378)によって開発された苦痛症状尺度(SDS)を使用することができる。
患者は、彼らの病気の種類および/または病期、および/または腫瘍の大きさによって分類することもできる。
C.薬物動態のモニタリング

第一相の基準を満たすため、化合物の分布は、例えば、一定間隔で収集された血液や尿などのサンプルを化学分析することによって観察する。例えばサンプルは、注入開始後約72時間まで、一定間隔で得ることができる。1つの実施例では、サンプルは、化合物の各注入開始後0、0.33、0.67、1、1.25、1.5、2、4、6、8、12、24、48および72時間で得られる。
分析が直ちに行われない場合、サンプルは収集後ドライアイス上に保存し、その後移動させ、分析が行われるまで−70℃で冷凍保存することができる。サンプルは、当技術分野で周知の標準的方法を使用して分析用に調製することができ、その場の化合物の量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって判断することができる。
薬物動態のデータは、熟練の臨床薬理学者と協力して作成・分析し、例えば、クリアランス、半減期および最大血漿中濃度を判断するために使用することができる。
D.患者の転帰の観察

臨床試験の評価項目は、評価段階にある化合物の有効性を示す測定可能な転帰である。評価項目は試験開始前に確立され、臨床試験の種類や相によって異なる。評価項目の例として、例えば、腫瘍反応率(通常、パーセントで表示される、特定の量だけ腫瘍が小さくなる試験参加者の割合)、無病生存期間(通常、月数で測定される、癌の発症または再発がない参加者の生存期間)、全生存(通常、臨床試験開始から死亡時刻までで測定される参加者の生存期間)である。進行および/または転移癌に関して、病気の安定(例えば、腫瘍の成長および/または転移が停止したなど、病気が安定した試験参加者の比率)は、評価項目として使用することができる。他の評価項目として毒性および生活の質がある。
腫瘍反応率は、第二相試験の代表的評価項目である。しかしながら、治療によって参加者の腫瘍が小さくなり、無病生存期間が延長するとしても、全生存を延長させないかもしれない。このような場合、副作用や全生存延長の失敗は、さらに長期の無病生存期間の利点を上回るかもしれない。あるいは、無腫瘍期間中の参加者の改善した生活の質は、他の要因を上回るかもしれない。したがって、多くの場合、腫瘍反応率は一次的なものであって、参加者に対する長期生存の利点にならない可能性があるため、反応率は第二相試験において治療の有効性の適当な指標であるが、参加者の生存および生活の質は、通常、第三相試験において評価項目として使用される。
VIII.キット

本発明は、1つ以上の式Iの化合物を含む治療用キットをさらに提供する。1つの実施例では、治療用キットは、癌の治療において使用するものである。キットの内容物は凍結乾燥でき、キットは凍結乾燥成分を再構成するための適当な溶剤をさらに含むことができる。キットの個々の成分は、別の容器で包装され、当該容器に付随して、医薬品または生物学的製剤の製造、使用および販売を規制する政府機関によって規定された形での通知を含むことができ、その通知はヒトまたは動物への投与のための使用または販売に対する製造機関による承認を反映する。
キットの成分が1つ以上の溶液中にある場合、溶液は、例えば、滅菌溶液などの水溶液であり得る。in vivoでの使用に関して、化合物は、薬学的に許容される注入可能な組成物へと調製してよい。この場合、容器の手段自体は、製剤を、肺などの被検体の感染部位に適用する、被検体に注入する、またはキットの他の成分に適用または混合してよい吸入剤、シリンジ、ピペット、目薬の容器、または他の同様の器具であってよい。
併用療法の適用のための1つ以上の標準的化学療法薬と併せて、本発明の1つ以上の化合物から成る医薬品のキットまたはパックも本発明で目的とする。
式Iの化合物は遷移金属イオンをキレートすることができるということも、本明細書において実証されている。したがって、本発明は、遷移金属イオンのキレート化のための1つ以上の式Iの化合物から成るキットをさらに提供する。
特定の例を参照して本発明を説明する。当然のことながら、以下の例は本発明の実施例を説明することを目的とし、決して本発明を制限するためのものではない。
実施例

化合物の調製

例となる式(I)の化合物は、以下に示す図式によって調製した。
Figure 2008542259
代表的な手順では、1mmol(1equiv.)のフェナントロリンキノンは、氷酢酸中の10mmol(10equiv.)の対応する酢酸アルデヒドとアンモニウムの等モル量で還流した。反応過程は、試薬が完全に消費されるまでTLCで観察した。反応終了後、反応混合物は室温まで冷却し、水で希釈し、不純物は得られた溶液からジクロロメタン(DCM)で抽出した。水層は塩基性化し、2‐インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリンの分離沈殿物はろ過し、適当な溶剤から再結晶化した。必要があれば、R7がHである2‐インドリルイミダゾ[4,5‐d]フェナントロリンは、R7はH以外であるR7Xで処理し、化合物(I)を得た。
式(III)のインドール‐3‐カルボキサルデヒドは、以下の図式によって調製した。
Figure 2008542259
代表的な実験手順では、11mmol(1.1equiv.)のPOClは、15‐20mlのジメチルホルムアミド(DMF)において5〜10℃でインドール(10mmol、1.0equiv.)の磁気的に撹拌された溶液に滴下で加えた。混合物は、室温で0.5時間および60℃で0.5時間撹拌し、室温まで冷却し、100gの氷上に注いだ。得られた溶液はNaHCOでpH>7まで塩基性化し、混合物は60℃で1時間撹拌し、分離沈殿物はろ過し、適当な溶剤から再結晶化した。
融点は、MEL‐TEMPキャピラリー融点器を使用して記録し、融点は修正しない。H‐NMRは適当な重水素化溶媒を使用して、室温で500MHzブルカー機器で行った。
実施例1:化合物2の調製
Figure 2008542259
フェナントロキノリン(0.42g)と5‐ブロモインドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.45g)の懸濁液は、酢酸アンモニウム(1.54g)の存在下、酢酸(15ml)において1時間還流した。形成された黄色い沈殿物はろ過し、エタノールで洗浄し、DMFで結晶化した。
産出0.70g。(85%)。融点>400℃。
DMFにおける0.200gの化合物2(0.483mmol)の溶液は、沈殿が見られなくなるまでHCL(g)で処理した。その後、溶液はろ過し、ジクロロメタンおよびヘキサンで洗浄し、真空中で乾燥させた。結果として得られた望ましいHCl塩は水溶性であった。
実施例2:化合物3の調製
Figure 2008542259
フェナントロキノリン(1.05g)と2‐メチルインドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.80g)の混合物は、酢酸アンモニウム(3.85g)の存在下、酢酸(20ml)で2時間還流した。冷却した赤い溶液は、水(150ml)に注いだ。不純物はDCM(3×50ml)で抽出し、廃棄した。水層はNaOH(100mlの10%溶液)で中和し、余剰のNaCOの塩基性溶液にした。分離沈殿物はろ過し、水で洗浄し、10分間EtOH(30ml)において還流した。結晶性生成物(化合物3)はろ過し、EtOH、DCMおよびヘキサンで洗浄した。産出0.92g(57%)。
実施例3:化合物4の調製
Figure 2008542259
フェナントロキノリン(0.105g)と5‐フルオロインドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.082g)の混合物は、酢酸アンモニウム(0.39g)の存在下、酢酸(3ml)において0.5時間還流した。分離沈殿物はろ過し、水性50%エタノールおよびEtOHで洗浄し、真空下で水抜きした。産出0.15g(85%)。
実施例4:化合物5の調製
Figure 2008542259
0.96gのPOClは、20mLのDMFにおいて10℃で2‐メチル‐5‐クロロインドール(1.0g)に滴下で加えた。混合物は50℃で1時間撹拌し、冷却後、飽和NaHCOで希釈した。懸濁液は60℃で15分間加熱し、冷却後、2‐メチル‐5‐クロロインドール‐3‐カルボキサルデヒドの沈殿物をろ過した。産出1.14g(99%)。分析サンプルはEtOHから結晶化した。
フェナントロキノリン(0.210g)と2‐メチル‐5‐クロロインドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.203g)の混合物は、酢酸アンモニウム(0.77g)の存在下、酢酸(5mL)において1.5時間還流した。化合物5の分離沈殿物はろ過し、AcOH、EtOH+HOおよびEtOH+EtOAcで洗浄した。産出0.230g(60%)。
実施例5:化合物6の調製
Figure 2008542259
フェナントロキノリン(0.104g)と2‐メチル‐5‐OCHインドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.095g)の混合物は、酢酸アンモニウム(0.38g)の存在下、酢酸(5ml)において2.5時間還流した。溶液はDCMで希釈し、水で抽出した。水層はDCMで洗浄し(2×40ml)、塩基性化し、EtOAで抽出した。抽出物は濃縮し、EtOHで処理して結晶性生成物(化合物6)を得て、それをろ過し、ヘキサンで洗浄した。
実施例6:化合物7の調製
Figure 2008542259
1.69gのPOClは、20mLのDMFにおいて10℃で2‐メチル‐5‐フルオロインドール(1.49g)の溶液に滴下で加えた。混合物は50℃で1時間撹拌し、冷却後、飽和NaHCOで希釈した。懸濁液は60℃で15分加熱し、冷却後、2‐メチル‐5‐フルオロインドール‐3‐カルボキサルデヒドの沈殿物をろ過した。産出1.14g(99%)。
フェナントロキノリン(0.210g)と2‐メチル‐5‐フルオロインドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.177g)の混合物は、酢酸アンモニウム(0.77g)の存在下、酢酸(5ml)において1.5時間還流し、1%HClに注ぎ、DCMで抽出した。水層はNaCOで塩基性化し、化合物7の沈殿物はろ過し、EtOHから結晶化した。純正産物の産出0.19g(52%)。
実施例7:化合物8の調製
Figure 2008542259
2mLのAcOHにおける化合物6(0.150g)とHBR(4mL)の混合物は3.5時間還流した。懸濁液は水で希釈し、NaCOの飽和溶液でアルカリ性にし、EtOAcで抽出後、溶媒を真空下で除去した。残留物はトルエン‐EtOHおよびDMFから結晶化した。産出0.03g(21%)。
実施例8:化合物9の調製
Figure 2008542259
1.7gのPOClは、20mLのDMFにおいて10℃で2‐フェニルインドール(1.93g)の溶液へ滴下で加えた。混合物は50℃で1時間撹拌し、冷却後、飽和NaHCOで希釈した。懸濁液は60℃で15分間加熱し、冷却後、2‐フェニルインドール‐3‐カルボキサルデヒドの沈殿物をろ過した。産出2.05g(93%)。
フェナントロキノリン(0.105g)と2‐フェニルインドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.111g)の混合物は、0.39gの酢酸アンモニウムの存在下、3mLの酢酸において1.5時間還流した。赤い溶液は、水(100ml)に注ぎ、DCMで洗浄した(3×40ml)。その後、水層はNaCOの飽和溶液で中和し、得られた個体はろ過し、EtOHで洗浄し、DMF:EtOH :HO=1:1:1から結晶化した。0.12gの精製固体が得られ、58%の産出率であった。
実施例9:化合物10の調製
Figure 2008542259
1.7mLのPOClは、20mLのDMFにおいて10℃で2(4‐フルオロフェニル)‐インドール(2.11g)の溶液に滴下で加えた。混合物は50℃で1時間撹拌し、冷却後、飽和NaHCOで希釈した。懸濁液は60℃で15分間加熱し、冷却後、2(4‐フルオロフェニル)‐インドール‐3‐カルボキサルデヒドの沈殿物をろ過し、EtOHから結晶化した。産出2.10g(88%)。
フェナントロキノリン(0.105g)と2(4‐フルオロフェニル)‐インドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.120g)の混合物は、酢酸アンモニウム(0.38g)の存在下、酢酸(3mL)において1.5時間還流し、DCM(50ml)で希釈し、50mlの5%HClで処理した。黄色い分離沈殿物はろ過し、水性NaCOで処理後、EtOAcで抽出し、溶媒を除去した。残留物はDCMで処理した。化合物10の分離した個体はろ過し、ヘキサンで洗浄した。産出0.08g(37%)。
実施例10:化合物11の調製
Figure 2008542259
フェニルヒドラジン(4.32g)は、30mlのabs.EtOHにおいて4‐アセチルピリジン(4.76g)の溶液に加えた。3滴のAcOHを加え、溶液を室温で撹拌した。発熱反応が発生し、白い沈殿物が現れ始めた。混合物は1時間還流した。冷却後、4‐アセチルピリジンフェニルヒドラゾンの分離沈殿物はろ過し、乾燥させた。産出6.04g。
ヒドラゾン(3.10g)とポリリン酸(PPA)(18g)の混合物は、徐々に温度を上げて、温度計で撹拌しながらビーカーで加熱した。混合物は、10分間180〜190℃に維持し、冷却後、NaCO水溶液で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層は濃縮し、シリカゲルでろ過し、EtOAcで洗浄した。ろ液は蒸発させ、4(2‐インドリル)ピリジンの残留物をトルエンから結晶化した。
1.32gのPOClは、20mLのDMFにおいて10℃でインドール4(2‐インドリル)‐ピリジン(1.46g)の溶液に滴下で加えた。混合物は50℃で1時間撹拌し、冷却した。TLCは約50%の変質を示し、その後、0.7gのPOClを加え、混合物は55〜60℃で0.5時間撹拌した。混合物は冷却し、余剰NaHCOで処理した。懸濁液は60℃で1時間加熱し、冷却後、2(4‐ピリジル)インドール‐3‐カルボキサルデヒドの沈殿物をろ過した。産出0.98g(59%)。
フェナントロキノリン(0.210g)と2(4‐ピリジル)インドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.212g)の混合物は、酢酸アンモニウム(0.77g)の存在下、酢酸(5ml)において1.5時間還流した。沈殿物はろ過し、EtOHに溶解させ、0.1mlのNHOHで処理し、溶媒はほとんど乾燥状態になるまで除去した。残留物はEtOAcで処理した。化合物11の沈殿物はろ過した。産出0.25g(61%)。
実施例11:化合物12の調製
Figure 2008542259
12mLのSOClは、フラスコの外側を冷却しながら、トルエンにおいて2‐インドールカルボン酸(5.44g)の撹拌懸濁液を滴下で加えた。1時間後、混合物を室温まで暖まることを許し、混合物は週末にかけて撹拌した。トルエン(100ml)は、茶色い懸濁液に加え、得られた混合物は乾燥するまで蒸発させた。次の変換のため、酸塩化物は精製せずに使用した。
50mlのDCMにおける酸塩化物(7.174g)の溶液は、フラスコの外側を冷却しながら、DCMにおいてピペリジン(10.2g)の溶液に滴下で加えた。混合物は、室温で1時間撹拌し、飽和NaHCO水溶液で処理した。有機層は体積が15mlになるまで蒸発させ、シリカゲルでろ過した後、DCM+EtOAcで洗浄し、溶媒は15〜20mlまで蒸発させ、2‐インドールカルボキシピペリジンの分離結晶はろ過し、室温に1時間置いた後、ヘキサンで処理した。産出5.37g。
9.05gの結晶アミド(すなわち、2‐インドールカルボキシピペリジン)は、45〜55℃の温度を維持しながら、40mlのTHFにおいて、LiAlH4(3.2g)の撹拌懸濁液に加えた。すべてのアミドを加えた後、懸濁液は還流しながら2時間撹拌した。反応は、EtOAcおよび6%NaOHで停止され、EtOAcで抽出し、溶媒は油としての(2‐インドールメチル)N‐ピペリジンを得るために除去した。
0.85gのPOClは、10mLのDMFにおいて0℃でインドール[すなわち、(2‐インドールメチル)N‐ピペリジン](1.07g)の溶液に滴下で加えた。混合物は、室温で2時間撹拌し、水に注ぎ、EtOAcで塩基性化し抽出した。有機層は、希釈HClで抽出した。EtOAcで水層は分離させ、塩基性化し、抽出した。溶媒は蒸発させた。2(N‐ピペリジンメチレン)‐インドール‐3‐カルボキサルデヒドの残留物は、EtOHから結晶化した。産出0.30g(25%)。
フェナントロキノリン(0.105g)と2(N‐ピペリジンメチレン)‐インドール‐3‐カルボキサルデヒド(0.121g)の混合物は、酢酸アンモニウム(0.38g)の存在下、酢酸(3ml)において1.5時間還流し、その後希釈HClに注ぎ、不純物をDCMで抽出した。水層はEtOAcで塩基性化し、抽出した。有機層は無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。油性残留物はDCMで処理した。分離結晶化合物12はろ過し、DCM:ヘキサン‐1:1で洗浄した。産出0.060g(28%)。
他の例となる化合物も、当業者に周知の適用または手順に記述される手順を使用して調製した。
実施例12:ヒト癌細胞株における化合物3のIN VITROでの増殖抑制活性
化合物2および3は、U.S.国立癌研究所(NCI)のDTP(開発治療プログラム)によって提供されたin vitro抗癌スクリーニング業務の一環として、60のヒト癌細胞株のパネルにおけるそれらの増殖抑制効果に対して評価した。これらの化合物は、NSCLC、白血病、大腸癌、前立腺癌、黒色腫、卵巣癌、腎臓癌、中枢神経系癌および乳癌を含むほとんどのヒト腫瘍細胞株に対して増殖抑制活性を示し、平均GI50(50%の成長阻害)値は2μM未満であった(図1)。
式Iの化合物の1つである化合物3は、GI50平均値が0.61μM〜12.3μMの阻害活性を示した。化合物3は非常に強力だが選択的な結腸、白血病、非小細胞肺癌および前立腺細胞株の阻害因子であった(図2)。白血病細胞株MOLT‐4およびCCRF‐CEMは、それぞれGI50値が16nMおよび30nMで最も阻害的であった。3つの白血病細胞株(MOLT‐4、K‐562およびCCRF‐CEM)は、GI50値がナノモルの範囲にあった。GI50値が2.88μMであった4つ目の白血病細胞株は、実際には骨髄腫培細胞株であり、他の白血病細胞株とは異なる機能が期待されるかもしれない。
実施例13:HT‐29大腸腫瘍細胞における式Iの化合物のIN VITROでの増殖抑制活性
ヒト大腸腫瘍HT‐29細胞の増殖を阻害する式Iの化合物の能力は、以下のように試験した。本実施例および後続の実施例で使用したHT‐29大腸腫瘍細胞は、2mMのL‐グルタミン(Gibco、Grand Island、NY)、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Multicell、WISENT Inc.、St‐Bruno、QC)、抗生物質‐抗真菌剤(Multicell)を添加した成長培地で単分子層として37℃の5%COの加湿インキュベーターで維持した。細胞は150mmの組織培養プレート上に移動させ、使用前にサブコンフルーエント(70〜80%)になるまで成長させた。化合物のin vitro増殖抑制活性は、6〜7日間、表1に示す様々な濃度の化合物で細胞を培養することによって評価した。この細胞増殖アッセイにおけるこれらの化合物の効果は、テトラゾリウム塩XTTをホルマザン(XTT細胞増殖キットII、Roche Applied Science、Montreal、QC)の橙色の化合物まで還元させる生細胞の能力に基づいて測定した。この実験結果は表3に示す。
表3 式Iの化合物の増殖抑制活性
Figure 2008542259
実施例14:HT‐29大腸腫瘍細胞の成長を阻害する化合物3の能力における金属器キレート化の役割の判断
金属キレート化が式Iの化合物の成長阻害活性に関与するかどうかど判断するため、外因性金属(100μMのZnCl、FeCl.4HO、FeCl.4HO、MgCl)は、対照媒体DMSO、化合物3(5μM)、または化合物13(25μM)と同時にHT‐29細胞とともに5日間培養した。化合物13(以下の構造を参照)は、化合物3ほど強力な化合物ではなく、化合物3とは構造的に密接に関係しているが、フェナントロリン環において不可欠なキレート窒素を不足している。化合物13の成長阻害は、化合物3とは異なる機序で生じると予測される。
Figure 2008542259
この実験結果を図3に示す。亜鉛(100μM)の添加によって、HT‐29細胞の成長を阻害する化合物3の能力は完全に損なわれ、それは化合物3が亜鉛のキレート剤として機能することができ、余分の亜鉛は内因性金属を不可欠な酵素からキレートするこの化合物の能力を遮断する場合があるということを示す。余分の鉄およびマグネシウムは、化合物3の活性に対して影響がなかった。どの金属も負の対照、化合物13の活性に対して影響せず、これらの金属は細胞の自力での成長に対しても効果を持たない。化合物3の活性に対する亜鉛の影響は、低濃度の化合物3(1〜2μM)、および100μMの亜鉛で最も明らかとなった。
実施例15:HT‐29大腸腫瘍細胞の成長を阻害する様々な濃度の化合物3の能力に対する銅の影響
銅のキレート化が式Iの化合物の成長阻害活性に関与するかどうかを判断するため、HT‐29細胞は、25μMのCuSO4.5HOの存在下または非存在下において、5μMまでの化合物3とともに5日間培養した。図4に示すように、25μMの外因性銅をHT‐29細胞に添加することによって、HT‐29細胞に対する化合物3の成長阻害活性は、低濃度の化合物3(2μM未満)のみで損なわれた。反対に、高濃度の化合物3(>2.5μM)では、化合物3の活性は外因性銅の添加によって有意に強化した。銅は化合物13による成長阻害、または細胞の自力での成長に対して影響を示さなかった。100μMまでの濃度の銅で同様の結果が得られた。これらの結果は、この化合物は銅のキレート剤として機能することができ、細胞毒性を有するキレート錯体を銅で形成することもできるということを示す。
実施例16:IN VITROでHT‐29大腸癌細胞の成長を阻害する化合物3の能力に対する外因性金属の影響
金属キレート化が化合物3の成長阻害活性に関与するかどうかを判断するため、様々な濃度の外因性金属は、様々な濃度の化合物3と同時にHT‐29細胞とともに5日間培養した。試験した外因性金属は、ZnCl(亜鉛)、CuSO.5HO(銅)、FeCl(鉄II)、FeCl.4HO(鉄III)、MgCl(マグネシウム)、およびCaCl.2HO(カルシウム)である。体積100μLの成長培地にあるHT‐29細胞(4×10/ウェル)は96ウェルの細胞培養プレートに播種し、37℃で一晩培養した。培地は除去し、化合物3または0.1%DMSO媒体対照とともに、図5に示すようにいくつかの濃度の金属イオンを含有する総体積100μLの成長培地と入れ替えた。37℃で5日間細胞を培養した後、細胞生存能力はXTT(ナトリウム3’‐[l(フェニルアミノ‐カルボニル)‐3,4‐テトラゾリウム]‐ビス(4‐メトキシ‐6‐ニトロ)ベンゼンスルホン酸水和物)を使用して定量した。XTT標識試薬(1mg/mL)はメーカーの使用説明書に従い電子結合試薬と混合し、50μLの混合物は100μLの成長培地で培養した細胞に直接加えた。プレートはさらに37℃で4時間さらに培養し、各ウェルの吸収度は460nmのマルチウェル分光光度計(Bio‐Tek Instruments Inc.)で測定した。データは空欄に対して調節し、DMSO対照と比較して細胞成長の%として表記した。
結果は、亜鉛(図5A)、銅(図5B)、およびより少ない程度であるが鉄(II)(図5C)によって化合物3の成長阻害活性は損なわれたが、一方、鉄(III)(図5D)、マグネシウム(図5E)およびカルシウム(図5F)は、化合物3の活性に対して影響を本質的に持たかったことを示した。銅によって、低濃度の化合物3(2μM未満)では化合物3の成長阻害活性が損なわれ、高濃度の化合物3(>2.5μM)では化合物3の活性は強化した。どの金属も、化合物3と構造的に密接に関係している負の対照、フェナントロリン環において不可欠なキレート窒素を不足している(データは示されていない)化合物13の活性に対しては影響がなかった。これらの結果は、化合物3が亜鉛、鉄(II)および銅のキレート剤として機能することができ、余分なこれらの金属の存在によって、内因性金属を不可欠な酵素からキレートする化合物3の能力が遮断される場合があるということを示す。化合物3は、細胞毒性を有する キレート錯体を銅で形成するようにも考えられる。
実施例17:IN VITROでHT‐29大腸癌細胞の成長を阻害する化合物5および7の能力に対する外因性金属の効果
細胞において金属をキレートする化合物5および7の能力を判断するため、外因性金属は様々な濃度の化合物5および7と同時に、HT‐29細胞に加えた。つまり、HT‐29細胞は様々な濃度の化合物5および7、銅(25μMのCuSO.5HO)または亜鉛(100μMのZnCl)の有無で5日間処理した。細胞生存能力は、XTTアッセイによって判断した。HT‐29細胞の成長阻害に対する銅および亜鉛の効果は、化合物5に関しては図6Aに、化合物7に関しては図6Bに示す。化合物3と同様に、亜鉛によって化合物5および7の成長阻害活性は損なわれたが、銅によって低濃度の化合物5および7でのみ活性が損なわれた。結果は、化合物5および7が亜鉛および銅のキレート剤として機能し、余分なこれらの金属の存在によって、化合物5および7の成長阻害効果が遮断されるということを示す。
実施例18:癌細胞に対する化合物3および9の選択性
式Iの化合物が正常細胞の増殖と比べて癌細胞の増殖を選択的に阻害したかを判断するため、化合物3および9に対する増殖のIC90値を正常細胞株および癌細胞株において測定した。使用した正常細胞株はPrEC(前立腺)、HMEC(胸)、およびWD8(肺線維芽細胞)細胞株で、癌細胞株はDU145(前立腺)、MDA‐MB‐435(胸)、HT‐29(結腸)である。IC90値は、対照であるドキソルビシンおよびエトポシドに関しても判断した。細胞は、実施例13において概して記述されるように培養した。様々な濃度の化合物は、細胞とともに6〜7日間培養し、増殖性細胞数はXTTアッセイを使用して測定した。癌細胞の選択性は、すべての正常細胞に対する平均IC90とすべての癌細胞株に対する平均IC90の割合をして計算した。化合物3および9の両方とも、>4のIC90率(正常/癌)であり、これらの化合物は癌細胞に対して選択的であることを示す。
Figure 2008542259
実施例19:癌細胞におけるメタロチオネイン1A遺伝子の発現を阻害する化合物3の能力
細胞において亜鉛をキレートする式Iの化合物の能力を判断するため、ヒト大腸腫瘍HT‐29細胞における亜鉛制御された遺伝子、メタロチオネイン1A(MT1A)の発現レベルに対する化合物の効果を判断した。体積10mLの成長培地にある1×10細胞のHT‐29細胞は100mmの皿に播種し、37℃で一晩培養した。培地は取り除き、35μMのZnCl、1μMまたは4μMのTPEN(NNNN‐四リン(2‐ピリジル‐メチル)エチレンジアミン)、あるいは1μMまたは4μMの化合物3、または0.1%DMSO媒体対照を含有する成長培地と入れ替えた。16時間の培養後、細胞はトリプシン処理によって分離させ、遠心分離で収集し、PBSで一度洗浄した。総RNAは、メーカーの使用説明書に従って、TRIZOL(Invitrogen、Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して抽出し、MT1AmRNAのレベルは、以下のように、比較CT法を使用してリアルタイムPCRで測定した。第一鎖cDNAは、メーカーの手順に従ってpd(N)6ランダムへキサマー(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)およびスーパースクリプト(登録商標)II逆転写酵素キット(Invitrogen)を使用して、Biometra Tpersonal Thermal Cycler(Abgene、UK)において200ngの総RNAから合成した。リアルタイムPCRは、上記の手順に従って合成した5μLのcDNA、およびABI TaqMan(登録商標)ユニバーサルPCRマスターミックスの手順に従い個々のTaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイ(ABI)を使用して、ABIプリズム7000配列検出システム(Applied Biosystems Inc.、ABI、Foster City、CA)で行った。
図7は、HT‐29細胞への亜鉛(35μM)の添加によってMT1A遺伝子の発現が増加し、一方、特定の亜鉛キレート剤TPENの添加によってMT1Aの発現が減少したことを示す。化合物3は50%以上MT1Aの発現を減少させ、不安定な細胞内の亜鉛の量を減少させることができたことを示す。したがって、化合物3は細胞において亜鉛のキレート剤として機能する。
実施例20:HT‐29細胞におけるKLF4mRNAの発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
遷移金属制御腫瘍抑制遺伝子のRNAレベルを調節する式Iの化合物の能力は、以下のようにin vitroで判断した。化合物3は、大腸腫瘍HT‐29細胞において亜鉛制御された腫瘍抑制因子KLF4mRNAの発現を増加させるその能力を判断するため試験した。 過去にKLF4の発現は細胞内の亜鉛濃度の変化によって誘導されるとみられている。HT‐29細胞は、媒体対照としてのDMSO、35μMのZnCl、1μMまたは4μMの化合物3、あるいは1μMまたは4μMのTPENとともに16時間培養し、mRNAは、実施例19に記述するように細胞から抽出した。KLF4mRNAの発現も実施例19に記述するように、比較CT法を使用してリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって分析した。化合物3は、媒体のみで処理したHT‐29細胞と比較して、HT‐29細胞においてKLF4mRNAの発現(約8倍)を誘導した(図8参照)。
実施例21:HT‐29細胞におけるKLF4タンパク質の発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
KLF4タンパク質の発現を調節する式Iの化合物の能力は、以下のように判断した。HT‐29細胞は、媒体対照(DMSO)、TPEN(4μM)、ZnCl(100μM)、または化合物3(2.5、5、7.5および10μM)で16時間処理した。細胞は溶解し、同等のタンパク質負荷を確保するため、抗KLF4抗体、またはGAPDH抗体でウエスタンブロット法を行った。図9に示すように、16時間の治療後、化合物3はHT‐29細胞においてKLF4タンパク質のレベルを増加させることができた。
実施例22:サイクリン依存性のキナーゼ阻害因子P21の発現に対する化合物3の効果
KLF4によって制御される遺伝子の発現に対する式Iの化合物の効果は、以下のように判断した。化合物3は、HT‐29大腸腫瘍細胞における細胞周期制御因子p21(サイクリン依存性のキナーゼ阻害因子)の発現を増加させるその能力を判断するため試験した。腫瘍抑制因子KLF4は、p21の抑制によって細胞周期停止を調節するとみられている。HT‐29細胞は、DMSO(媒体対照)、35μMのZnCl、1μMまたは4μMのTPEN、または0.5μM、1μM、4μM、または7.5μMの化合物3とともに16時間培養し、mRNAを細胞から抽出した。p21mRNAの発現は、比較CT法を使用してリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって分析した。このアッセイは、実施例19に記述される方法を使用して実施した。化合物3は媒体のみで処理されたHT‐29細胞と比較して、HT‐29細胞において30〜60倍のp21の発現を誘導した(図10参照)。
実施例23:HT‐29およびCCRF‐CEM細胞における細胞周期進行を遮断する化合物3のiN VITROでの能力
細胞周期進行を遮断する式Iの化合物の能力を試験するため、化合物3はヒト大腸腫瘍HT‐29またはヒト白血病CCRF‐CEM細胞とともに培養し、フローサイトメトリー分析を使用して細胞周期の異なる段階での細胞集団における変質を判断した。HT‐29細胞は、実施例13に記述するように維持した。本実施例および後続の実施例で使用したCCRF‐CEM細胞は、2mMのL‐グルタミン(Gibco、Grand Island、NY)、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Multicell、WISENT Inc.、St‐Bruno、QC)、抗生物質‐抗真菌剤(Multicell)を添加した成長培地で懸濁細胞として37℃の5%COの加湿インキュベーターで維持した。
アッセイは以下のように実施した。HT‐29細胞に関しては、体積10mLの成長培地にある1×10細胞は、100mmの皿に播種した。CCRF‐CEM細胞に関しては、体積10mLの成長培地にある3×10細胞は、25cmのフラスコに播種した。16時間後、図11に示すようにいくつかの濃度の化合物3(HT‐29細胞に関しては0.5μM、1μM、または5μM、CCRF‐CEM細胞に関しては0.25μM、0.5μM、または1μM)または0.1%DMSO媒体対照を含有する成長培地を添加した。24時間後、HT‐29細胞はトリプシン処理によって分離させた。両細胞型は、4分間2000rpmの遠心分離によってそれぞれ収集し、PBSで一度洗浄し、少なくとも4時間、−20℃の70%エタノールで固定した。固定細胞は、3分間1500rpmで遠心分離し、2%FNSを含有する冷たいPBSで一度洗浄し、30分間37℃で3mg/mlのリボヌクレアーゼ(Sigma)および50μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma)で処理した。染色した細胞の蛍光性は、FACScanフローサイトメーターおよびセルクエストプログラム(BD Biosciences、San Jose、CA)を使用して分析した。データは、Modfitソフトウェア(Verity software House、Topsham、ME)を使用して評価した。値は、フローサイトメトリープロットのゲート分析によって判断した。図11Aおよび11Bは、ダブレット除去後の総細胞集団の割合として示す。
結果は、化合物3による両細胞株(図11Aおよび11B)の処理によって、G相において細胞の割合が用量依存的に増加し、SおよびG/M相において細胞の割合が減少し、それは化合物3がG相での細胞周期進行において遮断を誘導したことを示した。
実施例24:CCRF‐CEMおよびMOLT4白血病細胞においてアポトーシスを誘導する化合物3のIN VITROでの能力
アポトーシスの異なる段階で細胞集団を変質させる化合物3の能力は、媒体(DMSO)、0.1μM、0.25μM、0.5μMまたは1μMの化合物3で24時間処理したCCRF‐CEM白血病細胞集団における化合物3の効果を判断することによって測定した。CCRF‐CEM細胞は播種し、実施例23に記述するように、上記の濃度の化合物3または0.1%DMSO媒体対照で処理した。24時間後、細胞は遠心分離によって収集し、成長培地において約1×10細胞/mlになるまで再懸濁した。その後、細胞は、メーカーのRAPIDアネキシンV結合手順に従い、アネキシンV‐FITCアポトーシス検出キット(ONCOGENE(登録商標)research products、MA)を使用して、アネキシンV結合およびPI染色に対して染色した。染色した細胞の蛍光性は、FACScanフローサイトメーターおよびセルクエストプログラム(BD Biosciences、San Jose、CA)を使用して分析した。データは、象限統計を得るためModfitソフトウェア(Verity software House、Topsham、ME)を使用して評価した。アネキシンVのみで染色された細胞は、初期アポトーシスであると考えられ、一方、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムの両方で染色された細胞は後期アポトーシスであると考えられた。ヨウ化プロピジウムのみで染色された細胞は非生存細胞であり、染色されないものは生存細胞である。MOLT‐4白血病細胞は同様に処理した。
化合物3の濃度を上昇させていくと、初期および後期アポトーシス細胞数が増加し、生存細胞は減少した(図12)。高濃度の化合物3(1.0μM)のみで、非生存細胞の増加が見られた。MOLT4白血病細胞においても、同様の結果が得られた(データは表示せず)。したがって、化合物3はアポトーシスを被る細胞を誘導することができた。
実施例25:ホローファイバーアッセイにおける化合物3のIN VIVOでの効果
式Iによる化合物のin vivoでの効果は、ホローファイバーアッセイにおける化合物3の効果を判断することによって試験した。本アッセイは、Deckerら、Eur.J.of Cancer、40:821‐826(2004)に記述され、以下のように、12ヒト腫瘍細胞株(胸;MDA‐MB‐231、MDA‐MB‐435、神経膠腫;U251、SF‐295、卵巣;OVCAR3、OVCAR5、結腸;COLO‐205、SW‐620、黒色腫;LOX‐IMVI、UACC‐62、および肺;NCI‐H23、NCI‐H522)を無胸腺マウスに移植することによって実施した。細胞培養は、10%FBSおよび2mMのグルタミンを含有するRPMI‐1640において培養した。細胞は標準的トリプシン処理によって採取し、再懸濁し(2〜10×10細胞/ml)、内径1mmのポリビニリデンホローファイバーへ流し入れた(500,000Da.のMW排除)。PVDFファイバーに付着した培養は、移植前に24〜48時間5%COにおいて37℃で培養した。各マウスは計6つの移植片を受け、腹膜に3つのファイバー、皮下区画に3つのファイバーが置かれ、1匹のマウスにつき3つの細胞株、各群に3匹のマウス、媒体のみで処理した対照は6匹とした。薬剤は、4日の治療において2つの異なる用量および2つの投与法(I.P.およびS.C.)で試験した。ファイバーは移植後6〜8日で収集し、細胞の生存能力はMTT法によって評価し、対照と比較して成長において50%以上の減少がある場合、薬剤は有効であるとみなした。細胞殺滅は、移植片における最初の生存能力と比較した細胞生存能力の減少によって評価した。結果は、阻害された細胞株の数×2つの部位×2つの化合物の用量×因数2=最大96に基づいて記録した。合計スコア20、SCスコア8または1つ以上の細胞株の正味の細胞殺滅を有する化合物は、陽性とみなした。
得られた結果は、表5に示すように、化合物3は22点のIPスコア、10点のSCスコア=計32点の陽性細胞殺滅を有することを示した。これらの研究は、化合物3はin vivoで数種の腫瘍細胞を死滅させるのに有効であることを実証した。
Figure 2008542259
実施例26:大腸腫瘍異種移植モデルにおける化合物3のIN VIVOでの効果
in vivoでの結腸腫瘍成長を阻害する化合物3の能力は、以下のように試験した。CD‐1雌ヌードマウス(1つの治療群につきマウス7匹、6〜7週)の腹腔内に、ヒト結腸腺癌細胞HT‐29細胞(0.1mlのPBSに3×10細胞)を注射した。媒体または50mg/kg/dの化合物3でのマウスの治療は5週間、5日の後に2日間の中断が続く7日周期で、接種(腫瘍の大きさ=20〜40mm)後5日で開始した。腫瘍の大きさは、キャリパーを使用して実験期間にわたって測定し、腫瘍の重さは動物を死亡させた後に測定した。化合物3は、腫瘍の大きさおよび重さによって測定されたように、媒体処理された対照の動物と比較して、腫瘍成長を阻害することができた(図13Aおよび13B参照)。
実施例27:肺大細胞癌異種移植モデルにおける化合粒3のIN VIVOでの効果
in vivoでの大細胞肺腫瘍成長を阻害する式Iの化合物の能力は、以下に記述するように、異種移植モデルにおける化合物3の効果を判断することによって試験した。化合物3は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン‐ポリエチレングリコール2000(DSPE‐PEG/5%モル)および卵ホスファチジルコリン(ePC/95%モル)の組成物を有する脂質ベースの製剤として試験した。製剤は次のように調製した。化合物3および脂質(ePCおよびDSPE‐PEG)の原液は、DMFにおいて調製した。その後、一定の体積の化合物3および脂質の原液は、25mg/mLの脂質濃度(ePC:DSPE‐PEG=95:5(モル%)および化合物3:総脂質率=1:10(w/w)を得るため混合した。混合物は、4時間撹拌し、窒素下で十分に乾燥させ、真空下で一晩放置した。その後、60℃に加熱したHEPES緩衝食塩水(HBS0.01M、pH=7.4)は乾燥膜を再水和するために加えた。溶液はボルテックスし、室温で48時間撹拌し、2時間半、超音波で分解した。その後、製剤は任意の遊離化合物3を除去するため、5分間1000rpmで遠心分離させた。
CD‐1雌ヌードマウス(6〜7週、1つの治療群につきマウス7匹)の腹腔内に、ヒト肺NCI‐H460細胞(0.1mlのPBSに3×10細胞)を皮下に注射した。媒体または化合物3でのマウスの治療は、実験期間中(35日間)、5日の後に2日間の中断が続く7日周期で、接種(腫瘍の大きさ=20〜40mm)後5日で開始した。マウス は、1週目は80mg/kg/dで処理し、その後、実験終了まで40mg/kg/dで処理した。腫瘍の大きさは、キャリパーを使用して実験期間にわたって測定し、腫瘍の重さは動物を死亡させた後に測定した。化合物3は、腫瘍の大きさおよび重さによって測定されたように、媒体処理された対照の動物と比較して、腫瘍成長を阻害することができた(図14Aおよび14B参照)。
実施例28:大腸腫瘍異種移植モデルにおける化合物3、5および7のIN VIVOでの効果
in vivoでの大腸腫瘍細胞成長を阻害する化合物3、5および7の能力は、実施例26に記述するように、マウス異種移植モデルにおいて試験した。化合物は、ルトロール製剤(i.p.投与)、脂質ベースの製剤ミセル(i.v.投与)、または水性製剤(i.p.投与)として試験した。媒体対照は、ルトロール対照(i.p.投与)、脂質ミセル対照(i.v.投与)、および水対照(i.p.投与)を含んだ。ルトロール製剤は、15%ルトロールおよび10%DMSOを含有した。脂質ベースの製剤および同様の製剤の組成物は、上記の実施例27に記述される。
結果は(図15)、これらの化合物によって、HT‐29細胞由来の腫瘍の大きさ(図15A)および重さ(図15B)が減少したことを示した。
実施例29:肺大細胞癌異種移植モデルにおける化合物3、5および7のIN VIVOでの効果
in vivoでの肺大細胞癌細胞成長を阻害する化合物3、5および7の能力は、
実施例27に記述するように、マウス異種移植モデルにおいて試験した。化合物は、ルトロール製剤(i.p.投与)、脂質ベースの製剤ミセル(i.v.投与)、または水性製剤(i.p.投与)として試験した。媒体対照は、ルトロール対照(i.p.投与)、脂質ミセル対照(i.v.投与)、および水対照(i.p.投与)を含んだ。ルトロール製剤は、15%ルトロールおよび10%DMSOを含有した。脂質ベースの製剤および同様の製剤の組成物は、上記の実施例27に記述される。
結果は(図16)、化合物3、5および7によってNCI‐H460細胞由来の腫瘍の大きさ(図16A)および重さ(図16B)が減少したことを示した。
実施例30:IN VIVOでのKLF4の発現を調節する化合物3の能力
HT‐29結腸腫瘍異種移植片においてKLF4の発現を調節する化合物3の能力は、以下のように判断した。10匹のCD‐1雌ヌードマウス(6〜7週)の群の背中の中央下部にヒト結腸腺癌細胞HT‐29細胞(0.1mlのPBSに3×10細胞)を皮下注射した。媒体または50mg/kg/dの化合物3でのマウスの治療は、実験期間中(35日間)、5日と2日の周期で、接種(腫瘍の大きさ=20〜40mm)後5日で開始した。治療期間後、動物は死亡させ、腫瘍は切除し、総RNAはRneasyミニキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して30mgの腫瘍組織から抽出した。KLF4mRNAの発現は、実施例19に記述されるように、比較CT法を使用してリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって分析した。化合物3は、媒体のみで処理した腫瘍異種移植片と比べて約1.5倍であり、化合物3で処理したすべてのマウスからの腫瘍異種移植片においてKLF4の発現を誘導した(図17)。
実施例31:IN VIVOでのP21の発現を調節する化合物3の能力
in vivoでのP21の発現を調節する化合物3の能力は、実施例26に記述するように、HT‐29結腸腫瘍異種移植モデルを使用して判断した。p21mRNAの発現は、実施例30に記載するように、比較CT法を使用してリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって分析した。化合物3は、媒体のみで処理した腫瘍異種移植片と比べて、化合物3で処理したすべてのマウスからの腫瘍異種移植片においてp21の発現を誘導した(図18)。
実施例32:IN VIVOでのサイクリンD1の発現を調節する化合物3の能力
サイクリンD1の発現を調節する化合物3の能力は、実施例26に記述するように、HT‐29結腸腫瘍異種移植モデルを使用して判断した。サイクリンD1mRNAの発現は、実施例30に記載するように、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって分析した。化合物3は、媒体のみで処理した腫瘍異種移植片と比べて、化合物3で処理したマウスからの腫瘍異種移植片においてサイクリンD1の発現を一貫して減少させた(図19)。この実験結果は、実施例30および31に記述するように、KLF4およびP21発現に対するin vivoでの化合物3の効果に関して記述した結果ともに、図20に示す。
実施例33:化合物の亜急性毒性試験
式Iの化合物の亜急性毒性を試験するため、雌マウスに化合物を注射し、死亡率、行動、外観、体重の変化に基づいて毒性を評価した。つまり、体重が約0.020kgのICR正常雌マウス(5〜6週齢;n=33)に100mg/kgおよび50mg/kgの様々な化合物または媒体のみ(ルトロール(M68、微粉末))を注射した。3匹ずつのICR雌マウスの群に、1日2回、4.0mg/mlの各化合物の1回250μLの腹腔内(i.p.)注射を(100mg/kg)を1週間(群I)、または1日2回、2.0mg/mlの各化合物の1回250μLの腹腔内(i.p.)注射を(50mg/kg)を1週間(対照群)与えた。
試験する化合物は、4.0mg/mlおよび2.0mg/mlの濃度で、1週間に十分な量を調製した。つまり、50mgの各化合物は、1.25mlの100%DMSOに溶解し、6.25mlのルトロール(水中に30%)および5mlの水で希釈し、水中15%ルトロールにおいて4mg/mlの化合物の溶液を調製した。次に、4mlの各調製液は4mlの水中15%ルトロールでさらに希釈し、2.0mg/mlの各化合物の溶液を得た。媒体対照溶液に関しては、8mlの水中15%ルトロールを調製した。4.0mg/mlおよび2.0mg/mlの濃度の化合物はおよび媒体対照は、上述のように投与した。毒性は死亡率、行動、外観、体重の変化に基づいて評価し、表6に示す。
表6:亜急性毒性試験
Figure 2008542259
実施例34:HT‐29細胞における化合物3のIN VITROでの細胞内局在性
癌細胞における式Iの化合物の細胞内局在性は、以下のように判断した。化合物3は本質的に蛍光性であるため、HT‐29大腸腫瘍細胞において蛍光顕微鏡法によって癌細胞におけるその細胞内局在性を調べることは可能であった。細胞は5分間(図21A)または4時間(図21Bおよび21C)10または25μMの化合物3で処理し、PBSで一度洗浄し、10分間3.7%ホルムアルデヒド/PBSで固定し、再度3回洗浄し、サイトシールを付けた。画像は励起フィルターが360〜370nmのZeissレーザースキャン蛍光顕微鏡で得た。結果を図21A〜Cに示す。図21Aおよび21Bに関しては、蛍光像を微分干渉コントラスト画像に重ねた。図21BおよびCは同じ画像である。化合物3は治療から5分以内で細胞に入り込み、細胞核および細胞質へ均等に分布したが、HT‐29細胞の原形質膜から除外された(図21A)。4時間の治療までに、化合物3は主に細胞核(核周辺領域)の外側に局在したが、一部はまだ細胞核内に位置していた(図21Bおよび21C)。
実施例35:IN VITROでDNAを切断する化合物3の能力
化合物3は、銅および還元剤であるアスコルビン酸の存在下においてin vitroでプラスミドDNAを切断するその能力に対して試験した。実験は、10mMのNaHPO/NaHPOバッファ(pH6.7)、1μgの超螺旋プラスミドDNA、100μMのアスコルビン酸、25μMの薬剤化合物(または媒体)、および10μMのCuSO.5HOを含有する計20μLにおいて行った。反応混合物は37℃で30分間培養し、反応を止めるため1μlの0.1MのEDTAを加えた。DNAローディングバッファーを加え、反応は、臭化エチジウムを含有する1%アガロースゲルにおいて80Vで80分行った。化合物3および陽性対照である1,10‐フェナントロリン(OP)は両方ともプラスミドDNAを切断することができ、超螺旋型および開環型を低分子量のDNA断片に変換した。非キレート化合物13、および媒体対照DMSOは、DNAを切断できなかった(図22A)。化合物3もOPも、銅または還元剤の非存在下においてNDAを切断できなかった。
銅以外のイオンでも十分であるかを判断するため、DNA切断反応を亜鉛または鉄の存在下でも実施した。反応は、25μMのCuSO.5HO、ZnCl、またはFeCl.4HOの存在下で、上記のように行った。亜鉛も鉄も、化合物3での切断反応において銅と換えることができた(図22B)。アスコルビン酸の存在下での銅のみで、環状DNAを開ける超螺旋DNAの比率を変更することができることに注意する。
化合物3が有効となる、化合物と銅の比率を判断するため、図22Aのように反応を行った。図23で示すように、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、および1:1という化合物3と銅の比率は、10μMの一定のCu濃度を維持し、化合物3の濃度を変化させることによって得られた。1:1.5、1:2、1:2.5、および1:3という化合物3とCuの比率は、10μMの化合物3の一定の濃度を維持し、銅の濃度を変化することによって得られた。化合物3は銅に対して1.5:1より大きい比率である場合DNAを効果的に切断し、1:1、1:2、1:2.5という比率では切断できなかった。しかしながら、化合物3は1:3という比率でも切断できた(図22C)。これらの結果により、形成される銅‐化合物3錯体の種類、および最も細胞毒性を有するものに関しての目安が得られた。
他の式Iの化合物、化合物5、7、9および13でも、銅に対する2.5:1の比率で、DNAを切断するそれらの能力に関して試験した(図23)。示された化合物3:銅の比率、さらに化合物3の非存在下での銅の濃度は、上述のようにDNA切断アッセイで使用した。化合物9および12もDNAを切断できるとみられた。
実施例36:HT‐29大腸腫瘍細胞における式Iの化合物のIN VITROでの増殖抑制活性
ヒト大腸腫瘍HT‐29細胞の増殖を阻害する式Iの化合物の能力は、実施例13の記述のように試験した。本実験の結果を表7に示す。
Figure 2008542259
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実施例37:式Iの化合物のIN VITROおよびIN VIVOでの効果
金属転写因子‐1(MTF‐1)は、亜鉛による活性化によって構成的に発現する転写因子であり、金属応答配列と結合することによって標的遺伝子を制御する。低酸素誘導性酸化的ストレスおよび細胞内貯蔵からの亜鉛放出後の急速に増殖する腫瘍細胞の低酸素微環境におけるMTF‐1の活性化は、腫瘍の成長および進行に関与している。Kr(upsion)ppel様因子4(KLF4)は、Sp/KLF族転写因子の一員であり、GCボックスおよびCACCCボックスのDNA配列と結合することによって標的遺伝子を制御する。KLF4は、p21waf1/cip1の活性化およびサイクリンD1プロモーターと結合する正の制御因子Sp1を無効にすることによるサイクリンD1発現の抑制などの機序による、細胞成長の負の制御因子である。KLF4の腫瘍抑制の役割は、T細胞白血病、消化器、膀胱および前立腺の癌において認められる。MTF‐1、Sp1およびKLF4による自己制御能は、KLF4の上流の正の制御因子である。MTF‐1を下方制御する一連の新規の小分子が開発され、それらのin vitroおよびin vivoでの抗腫瘍活性は選別されている。式Iの化合物は、図24で示すようにリガンドベースの構造設計による3000以上のイミダゾール‐フェナントロリン構造から選択された。
in vitroおよびin vivoでの細胞成長阻害に対する式Iの化合物の効果は、前記の実施例に記述する方法によって分析した。実施例12で示すように、非経口の化合物3による細胞成長阻害は、国立癌研究所の60‐培養細胞株アッセイおよびによって選別し、白血病、非小細胞癌、大腸癌、腎臓癌および前立腺癌のパネルは、特に化合物3に敏感であった。試験したすべての培養細胞株の平均GI50は、図2で示すように0.62μMであった。
実施例25に示すように、化合物3による細胞成長阻害は、国立癌研究所のホローファイバーアッセイによってin vivoで選別した。少なくとも皮下での8点または任意の培養細胞株の細胞殺滅がある20点以上の総合点は、有意な活性抗癌化合物とみなした。化合物3は、上の表5に示すように、皮下での10点および正の細胞殺滅がある総合点32点を示した。
腫瘍細胞成長阻害は、異なる癌細胞型における式Iの化合物によって、癌細胞増殖アッセイにおいてはin vitroで見られ、ホローファイバーアッセイおよびマウス腫瘍異種移植モデルにおいてはin vivoで見られた。
実施例38:ヒト癌細胞株における細胞成長阻害およびKLF4遺伝子発現を調節する式Iの化合物のIN VITROでの能力
式Iの化合物による細胞成長阻害IC50(μM)は、XTT細胞増殖アッセイによって様々な癌細胞型に関して試験した。低ミクロモルまたはミクロモル以下のIC50は、表8に示すように、異なる癌の種類において見られた。黒色腫細胞株K‐MEL‐2に対する以下に示される式Iの化合物の成長阻害効果は、Lorus Therapeutics Inc.によって再現可能であった。
乳癌細胞株MDA‐MB‐435における式Iの化合物のIC50値は、表8に示すように0.2μM〜0.6μMであった。
式Iの化合物によって誘導されるKLF4の遺伝子発現レベルは、RT‐PCRによって様々な癌細胞型に対しても調べた。化合物で処理された細胞におけるKLF4の倍変化は、「1」とする個々の細胞型の媒体対照で処理された細胞におけるKLF4発現を基準にして示された。KLF4発現の増加は、表8にも示すように異なる癌の種類において見られた。遺伝子発現の研究は、乳癌細胞株MDA‐MB‐435の遺伝子発現パターンは他の乳房の腫瘍株よりも、黒色腫細胞株のパターンと酷似していることを明らかにした(Rossら(2000)Nat Genet、24(3):227‐233)。さらに、雌SCIDマウスの乳腺脂肪体に移植したMDA‐MB‐435の異種移植片は、色素系と一致する免疫組織化学的染色を示した(Ellison G、Klinowska T、Westwood RF、Docter E、French T、Fox
Fox JC(2002)MoI Pathol、55(5):294‐299)。乳癌細胞株MDA‐MB‐435は、他の乳癌細胞株とは異なって機能することが予想されるかもしれない。
Figure 2008542259
実施例39:肺大細胞癌および大腸腫瘍異種移植モデルにおける式Iの化合物のIN VIVOでの効果
マウス異種移植モデルにおける式Iの化合物による腫瘍成長阻害を図25に示す。非小細胞肺癌(H460)(図25A)および結腸腺癌(HT‐29)(図25B)に対する投与法およびスケジュールの研究、非小細胞肺癌(H460)に対する最小有効量(図25C)、および非小細胞肺癌(H460)における式Iの最適化した化合物の効果(図25D)。
実施例40:IN VITROでHT‐29細胞の成長を阻害する化合物3の能力に対する外因性金属の効果
亜鉛減少誘導の細胞成長阻害を図26に示す。HT‐29細胞の化合物3媒介の細胞成長阻害に対する金属イオン補給剤の効果は、XTT細胞増殖アッセイによって調べた。細胞成長阻害は、図26Aおよび26Bに示すように亜鉛のみで完全に覆された。
実施例41:HT‐29細胞における細胞周期進行を遮断する化合物3および化合物7のIN VITROでの能力
細胞周期解析は、図27Aに示すように化合物3で処理したHT‐29細胞、または図27Bに示すように化合物7で処理したHT‐29細胞においてフローサイトメトリーによって評価した。G1/S相での細胞周期停止は治療後に見られた。
実施例42:金属をキレートする式Iの化合物のIN VITROでの能力
化合物3および化合物7の金属キレート化の性質を図28に示す。in vitroでの4(2‐ビリジルアゾ)レゾルシノール(PAR)金属結合アッセイは、PARと結合するZnおよびCu+2は化合物3によって弱まったことを示し、化合物3のin vitroでのZnおよびCu+2をキレートする性質が示された。結果を図28A(ZnCl)、28B(CuCl)および28C(FeCl)に示す。in vitroでの4(2‐ビリジルアゾ)レゾルシノール(PAR)亜鉛結合アッセイは、以下のように行った。三重ウェルの96ウェルプレート(Sarstedt、Newton、NC)に、0.2Mのトリス‐HCl、pH7.5における体積10μLの指定された最終濃度のZnClを10μLの80%アセトニトリル‐20%DMSO媒体対照とともに、または80% アセトニトリル‐20% DMSOに溶解した指定された最終濃度式Iの化合物とともに、室温で15分培養した。その後、0.2Mのトリス‐HCl、pH7.5における200μMの最終濃度での80μLのPARを加え、PAR‐Zn+2錯体の着色を500nmのマルチウェル分光光度計(Bio‐Tek Instruments Inc.)で測定した。
実施例43:HT‐29細胞における金属感受性遺伝子の発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
個々の金属特異性キレート剤と比較して、HT‐29細胞における金属感受性遺伝子の発現の変化は、図29A、29Bおよび29Cに示すようにRT‐PCRによって調べた。
亜鉛貯蔵タンパク質メタロチオネイン1A(MT1A)(図29A)、銅輸送体、SLC31A1としても知られるCtr1(図29B)および鉄輸送体トランスフェリン受容体1(TfR1)(図29C)の発現に対する化合物3および化合物7での治療の効果は測定し、それぞれ周知の亜鉛キレート剤TPEN、銅キレート剤テトラミンおよび鉄キレート剤DFOと比較した。Cu+2のin vitroでのキレート化に関わらず、化合物3での治療後の銅感受性遺伝子の増加は一時的なものであった。対照的に、亜鉛感受性遺伝子における持続的な減少は、化合物3での治療の有意な結果として細胞内の亜鉛減少を示した。
実施例44:IN VIVOでのMTF‐1およびサイクリンD1の発現を調節する式Iの化合物の能力
HT‐29大腸癌異種移植組織における亜鉛感受性の転写因子MTF‐1と細胞周期の制御因子サイクリンD1発現の間の相関を図30に示す。サイクリンD1遺伝子プロモーター領域(図30Aに示す)における推定のMTF‐1結合DNA配列の存在に基づき、異種移植組織におけるMTF‐1およびサイクリンD1の発現レベルは、組織RNA抽出物を使用してRT‐PCRによって調べた。MTF‐1発現の減少は、図30Bに示すように化合物3、図30Cに示すように化合物7で、サイクリンD1発現の減少と相関した。
実施例45:IN VITROでMTF‐1およびサイクリンD1の発現を調節する化合物3の能力
HT‐29細胞におけるMTF‐1とサイクリンD1の遺伝子発現の間の相関を図31に示す。RT‐PCRによって測定した、MTF‐1(図31A)およびサイクリンD1(図31B)発現における時間依存性の減少は、化合物3での治療後に見られた。サイクリンD1(図31D)発現の減少は、siRNAによるMTF‐1遺伝子ノックダウンの後に見られた。siRNAによるMTF‐1遺伝子ノックダウンの後のMTF‐1レベルを図31Cに示す。
MTF‐1の発現および活性は、式Iの化合物によって減少した。MTF‐1の下方制御は、サイクリンD1発現の減少と相関した。
実施例46:IN VITROでKLF4結合活性を調節する化合物3の能力
腫瘍抑制因子KLF4の誘導を引き起こすMTF‐1発現の減少を図32に示す。KLF4遺伝子プロモーター領域上の部位に結合する重複転写因子(図32Aに示す)に基づき、MTF‐1結合は、他のKLF4誘導因子であるSp1およびKLF4の結合増加を助ける場合がある。HT‐29細胞核抽出物からのSp1(図32B)およびKLF4(図32C)のDNA結合活性の増加は、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)によって示された。
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)は以下のように行った。HT‐29細胞からの核抽出物(各実験群において100mmの培養皿に10細胞)は、核抽出物イオンキット(Panomics、Redwood City、CA)を使用して調製した。
EMSAアッセイは、メーカーの使用説明書に従い、KLF4およびSp1 EMSA「ゲルシフト」キット(Panomics)を使用して行った。つまり、5μgの核抽出物は各結合反応に使用した。30分の結合反応後、サンプルは4℃、120Vで6%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、BrightStaR(登録商標)‐Plus正荷電ナイロン膜に移動した。膜上のビオチンで標識プローブは、ECL検出システム(Panomics)を使用して可視化した。
MTF‐1活性の減少は、正の制御因子であるSpIおよびKLF4自己制御能によるKLF4の誘導を助ける。
実施例47:IN VITROでサイクリンD1プロモーターと結合するKLF4を調節する化合物3の能力
HT‐29細胞においてサイクリンD1の抑制を引き起こすKLF4発現の減少を図33に示す。サイクリンD1遺伝子プロモーター領域(図33A)上の部位に結合する重複転写因子に基づき、負の制御因子KLF4の結合増加は、正の制御因子 Sp1の結合に取って代わる場合がある。サイクリンD1プロモーターとのin vivoでのKLF4およびSp1結合は、クロマチン免疫沈降アッセイ(ChIP)によって示された。KLF4結合の増加およびSp1結合の減少は、化合物3での治療後に見られた。
クロマチン免疫沈降沈殿(ChIP)は以下のように行った。HT‐29細胞からの細胞溶解物(各実験群における3つの15cm培養プレートに5.5×10細胞)は、指定された実験の最後に調製し、ChIPアッセイは、メーカーの使用説明書に従って抗‐KLF4および抗Sp1抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc.)およびChIP‐ITTMキット(Active Motif、Carlsbad、CA)を使用して行った。5’プライマー(5’‐CGGACTACAGGGGCAA‐3’)[SEQ ID NO:1]および3プライマー(5’‐GCTCCAGGACTTTGCA‐3’)[SEQ ID NO:2]であるサイクリンD1プロモーターの‐231から‐92領域を含むプライマーは、Invitrogenにおいて合成した。
サイクリンD1プロモーターとのKLF4(負の制御因子)結合の減少は、Sp1(正の制御因子)結合を阻害し、サイクリンD1発現を抑制する。
実施例48:HT‐29細胞における細胞成長を阻害し、KLF4の発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
HT‐29細胞成長におけるKLF4発現の有意性を図34に示す。RT‐PCRで測定したKLF4遺伝子発現は、siRNAによるKLF4遺伝子の有効なノックダウンを示した(図34A)。XTTアッセイで測定した細胞増殖は、siRNAによるKLF4遺伝子のノックダウン後の化合物3媒介の細胞成長阻害の損失を示した(図34B)。
低分子干渉RNA(siRNA)トランスフェクションは以下のように行った。予め指定されたMTF‐1siRNA(ID#15734)(Ambion、Austin、TX)は、内因性MTF‐1mRNAを分解するために使用した。同様に、予め指定されたKLF4siRNA(ID#115492)(Ambion、Austin、TX)は、内因性KLF4mRNAを分解するために使用した。非特異的な二本鎖RNAである、
(5’R(CUAGGGUAGACGAUGAGAG)d(TT)3’)[SEQ ID NO:3]および
(3’d(TT)R(GAUCCCAUCUGCUACUCUC)5’)[SEQ ID NO:4]
は、無関係の遺伝子の配列に基づいて、Qiagen (Cambridge、MA)において合成した。HT‐29細胞(35mmの培養皿に3×10細胞)は、Lipofectamine(登録商標)2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、メーカーの使用説明書に従い、指定された濃度のsiRNAまたはスクランブルRNA対照で6時間トランスフェクトした。培養期間の最後では、トランスフェクション培地に完全な成長培地を添加し、指定された実験の前に細胞を37℃で24時間培養した。
実施例49:CD‐1ヌードマウスにおけるヒト肺大細胞癌(H460)の成長に対する式Iの化合物の効果
ヒト肺大細胞癌(H460)のマウス異種移植モデルにおける式Iの化合物による腫瘍成長阻害は、上記の実施例で記述するように実施した。結果を図35に示す。
実施例50:式Iの化合物による亜鉛イオンのIN VITROでのキレート化
in vitroにおいて亜鉛イオンで化合物3のキレート化の性質を判断するため、異なる濃度の化合物3とともにZnClを前培養した後、亜鉛感受性の蛍光染料Zinquinを使用して、遊離亜鉛イオンを蛍光分光分析によって測定した(図36)。2μMのZnClは、リン酸緩衝食塩水(PBS)において指示された濃度の化合物3とともに培養し、その後、10μMの最終濃度のZinquinを30分間加えた。亜鉛結合後のZinquinの蛍光性は、364nmの励起および485nmの発光波長でFluoroskan Ascent発光蛍光分光計において測定した。
Zinquinの蛍光性の用量依存的減少が見られ、亜鉛イオンでの化合物3のキレート化の結果として、Zinquinとの程度の少ない亜鉛イオン結合が示された。FeClおよびCuSOでの同様の実験は、Zinquinの蛍光性を示さず、亜鉛イオンのみに対するZinquinの蛍光性の特異性を示した。
実施例51:式Iの化合物での治療後のIN VITROでのHT‐29細胞における細胞内の亜鉛イオンのキレート化
細胞内の亜鉛イオンでの化合物3のキレート化の性質を判断するため、35μMのZnClが最初から組み込まれているHT‐29細胞、または最初から組み込まれていないHT‐29細胞を化合物3、周知の亜鉛キレート剤TPENまたは媒体対照(DMSO)で処理し、前記の実施例に記述するようにZinquinの蛍光性を測定することによって、細胞内の遊離亜鉛を判断した。HT‐29細胞(4×10細胞/群)は、35μMのZnClで20分間前処理し、その後、指示された濃度の化合物3またはTPENおよび10μMのZinquinを37℃で30分間加え、蛍光数を測定した(図37A)。HT‐29細胞における内因性亜鉛イオンのキレート化の測定に関して、HT‐29細胞(1.5×10細胞/群)は、指示された濃度の化合物3および10μMのZinquinで37℃で30分間処理し、蛍光数を測定した(図37B)。
最初から組み込まれている亜鉛および内因性亜鉛レベルの両方の用量依存的減少は、化合物3またはTPENでの治療後に見られた。
実施例52:IN VITROでのHT‐29細胞における亜鉛のキレート化およびメタロチオネイン1A遺伝子の発現に対する式Iの化合物の効果
化合物3での治療後の細胞内の亜鉛レベルの減少を確認するため、亜鉛貯蔵タンパク質メタロチオネイン1A(MT1A)の遺伝子発現の変化を細胞内の亜鉛状態マーカーとして測定した。
以下のように、HT‐29細胞は1μMの化合物3で指示された時間処理し、MT1A遺伝子発現を以下のように測定した。総RNAはトリゾール法を使用して抽出し、遺伝子発現レベルは定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)によって測定した。MT1A遺伝子発現は、同じサンプルにおいてβ‐アクチン遺伝子発現で正規化した。MT1Aの倍変化は、DMSO対照のMT1Aレベルに対して、個々の時点で示された。MT1A遺伝子発現の減少は、図38Aに示すように8時間の治療後にはっきりと見られた。
MT1A遺伝子発現が細胞内の亜鉛レベルを反映したことを検証するため、HT‐29細胞を、1μMの化合物3、35μMのZnClまたは化合物3とZnClの併用で16時間処理した(図38B)。MT1A遺伝子発現は、上述のようにRT‐PCRで判断した。MT1A遺伝子発現は、ZnClで処理した細胞における細胞内の亜鉛イオンの増加に反応して上昇した。化合物3での治療後に細胞内の亜鉛減少へ反応したMT1A発現の減少は、亜鉛補給物の添加によって逆転した(図38B)。
実施例53:IN VITROでのHT‐29細胞における亜鉛キレート化およびKr(upsion)ppel様因子4(KLF4)遺伝子の発現に対する式Iの化合物の効果
化合物3での治療後の亜鉛減少によるKLF4遺伝子発現の変化は、以下のようにRT‐PCRによって判断した。HT‐29細胞は、指示された時間、1μMの化合物3で処理(図39A)、またはHT‐29細胞は1μMの化合物3、35μMのZnClまたは化合物3とZnClの併用で16時間処理した(図39B)。総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した。
KLF4の時間依存的増加は、1μMの化合物3でHT‐29細胞を4時間治療した後に見られ、最大増加は16時間の時点であった(図39A)。KLF4遺伝子発現の増加は亜鉛補給物の添加によって逆転し(図39B)、細胞内の亜鉛状態に反応したKLF4遺伝子発現の変更の有意性が示された。
実施例54:IN VITROでのHT‐29細胞における亜鉛感受性金属応答配列(MRE)結合転写因子1(MTF1)の遺伝子発現およびDNA結合活性に対する式Iの化合物の効果
MTF‐1の遺伝子発現は、1μMの化合物3でHT‐29細胞を指示された時間治療した後、RT‐PCRによって調べた。MTF‐1発現の減少は、化合物3での8時間の治療の後に見られた(図40A)。
培養の早期にMTF‐1活性の変化を検証するため、MTF‐1遺伝子発現が有意に減少する前に、以下のように、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)によって、化合物3で4時間処理したHT‐29細胞の核抽出物において、MTF‐1核転座およびDNA結合活性を判断した(図40B)。HT‐29細胞は、DMSO、35μMのZnCl(陽性対照)および1μMの化合物3で4時間処理した。核タンパク質は抽出し、ビオチンで標識MTF‐1結合オリゴヌクレオチドプローブとともに培養した。MTF‐1結合による標識プローブの遅延運動性は、バンドシフトとして見られた(図40B)。3つのシフトバンド(黒い矢印)はレーン1に見られ(DMSO)、MTF‐1の構造性DNA結合パターンが示された。亜鉛で処理した群では、2つのさらなるシフトバンド(白い矢印)が見られ(レーン3)、亜鉛依存性のMTF‐1活性の増加が示された。亜鉛活性化シフトバンドは、化合物3で処理した(レーン5)において見られず、亜鉛依存性のMTF‐1活性は化合物3によって増加しなかったことが示された。余分の非標識プローブは、核抽出物におけるMTF‐1と結合する標識プローブと競争するレーン2、4および6において加え、それぞれ、レーン1、3および5におけるMTF‐1結合シフトバンドの特異性が示された。
陽性対照であるZnClで処理した群において見られた運動性シフトバンドと比較して、運動性シフトの有意な変化は化合物3で処理された細胞において見られず、亜鉛依存性のMTF‐1活性は化合物3での治療後に増加しなかったことが確認された。
実施例55:HT‐29細胞におけるKLF4の対抗者であるKr(upsion)ppel様因子5(KLF5)の遺伝子発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
KLF4および5は、KLF族転写因子の近似する2つの員であるが、KLF5は細胞増殖を刺激し、一方、KLF4は細胞成長を阻害する(Ghalebら(2005)Cell Res.15(2):92‐96)。KLF4および5は同様のGC‐リッチDNA共通配列と結合するが、反対の転写活性を示す。KLF4は、KLF4プロモーターにおけるGC‐リッチ領域と結合することによって自己の遺伝子を自動的に活性化することができるが、一方、KLF5は、同じDNA要素と結合することによってKLF4転写を抑制する(Dangら(2002)Nucleic Acids Res.30(13):2736‐2741)。
KLF4の誘導に関して、MTF‐1発現/活性の減少の結果を検証するため、MTF‐1標的siRNAを使用してMTF‐1mRNAを分解し、MTF‐1、KLF4およびKLF5の遺伝子発現を以下のようにRT‐PCRによって測定した。HT‐29細胞は、Lipofectamine2000試薬を使用して、100nMのMTF‐1siRNAで6時間トランスフェクトした。トランスフェクション培地を正常成長培地と入れ替え、18時間培養した後、総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した。MTF‐1遺伝子特異的siRNAの使用によってMTF‐1翻訳を阻害した後、KLF5遺伝子の発現減少が見られたが、KLF4発現は増加した(図41A)。
化合物3での経時的治療後のKLF5遺伝子発現の減少も、以下のように判断した。HT‐29細胞は、1μMの化合物3で指示された時間処理した(図41B)。 総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した。上述の結果と一致して、KLF5遺伝子発現の減少も、1μMの化合物3での4時間の治療後にHT‐29細胞において見られた(図41B)。
実施例56:HT‐29細胞における細胞周期調節タンパク質P21遺伝子およびタンパク質発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
p21遺伝子およびタンパク質の発現は、化合物3での治療後に調べた。1μMの化合物3で処理したHT‐29細胞におけるp21の遺伝子発現は、以下のように指示された時間に判断した。
総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した(図42A)。細胞溶解物におけるp21タンパク質のレベルは、ELISAによって(図42B)以下のように測定した。HT‐29細胞は、20μMのMG‐132(プロテアソーム阻害剤)の存在下または非存在下で1μMの化合物3で指示された時間処理した。
p21の遺伝子発現減少は、4時間の化合物3での治療後にRT‐PCRによって見られた(図42A)が、p21タンパク質発現の同程度の増加は、ウエスタンブロット分析(データは表示せず)または酵素免疫測定法(ELISA)のいずれによっても見られなかった(図42B)。しかしながら、p21タンパク質レベルの増加は、HT‐29細胞がプロテアソーム阻害剤MG‐132の存在下で化合物3とともに培養した場合に見られ、p21遺伝子発現の有意な増加にもかかわらず、p21タンパク質が急速に分解されたことが示された。
実施例57:細胞周期調節タンパク質サイクリンD1の発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
化合物3での治療後のサイクリンD1の遺伝子およびタンパク質発現は、それぞれ図43Aおよび43Bにおいて示すように、以下のようにRT‐PCRおよびエスタンブロット法によって判断した。HT‐29細胞は1μMの化合物3で指示された時間処理した。総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した。HT‐29細胞溶解物におけるサイクリンD1タンパク質発現は、SDS‐PAGE、それに続くエスタンブロット法によって判断した。
サイクリンD1の遺伝子(図43A)およびタンパク質(図43B)レベルの両方における減少は、化合物3での8時間の治療後に見られた。
実施例58:腫瘍抑制遺伝子、早期成長反応タンパク質‐1(EGR‐1)の発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
Sp1のように、Egr‐1も亜鉛フィンガーDNA結合ドメインとの転写因子であり、標的化遺伝子の制御プロモーター領域におけるGC‐リッチ配列を認識する(Al‐Sarrajら(2005)J.Cell Biochem.94(1):153‐167)。Egr‐1遺伝子発現の変化は、以下のように、RT‐PCRによって化合物3で処理したHT‐29細胞において見られた(図44A)。HT‐29細胞は、1μMの化合物3で指示された時間処理した。総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した。亜鉛補給物の効果を判断するため、HT‐29細胞を1μMの化合物3、35μMのZnCl、または化合物3とZnClの併用で8時間処理した。Egr‐1遺伝子発現はRT‐PCRで判断した(図44B)。
Egr‐1遺伝子発現における有意な増加は、図44Aに示すように化合物3での治療後、早くて2時間で見られ、図44Bに示すように亜鉛補給物の添加によって可逆であった。
実施例59:HT‐29細胞における遺伝子発現を調節する化合物3および化合物7のIN VITROでの能力
化合物3および化合物7に反応した遺伝子発現パターンは、以下のようにRT‐PCRで検証した(図45)。HT‐29細胞は、1μMの化合物3または化合物7で8時間処理した。総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した。関連する遺伝子の同様の発現が見られた。
実施例60:HT‐29大腸癌異種移植モデルにおけるKLF4およびサイクリンD1の遺伝子発現を調節する化合物3の能力
in vivoでのKLF4およびサイクリンD1発現における化合物3媒介の変化の効果を調べるため、媒体対照(ルトロール)および化合物3で処理したHT‐29大腸癌細胞を移植したマウスの異種移植組織における個々の遺伝子の発現をRT‐PCRで分析した(図46)。つまり、以下のように、化合物3での14日間の治療後のHT‐29異種移植組織におけるKLF4およびサイクリンD1遺伝子発現を測定した。HT‐29細胞を皮下移植したマウスは、媒体対照(i.p.投与)または100mg/kgの化合物3(i.p.投与)で14日間処理した(各群n=6)。総RNAは抽出し、遺伝子発現レベルをRT‐PCRで判断した。KLF4およびサイクリンD1遺伝子発現は、同じサンプルにおいてβ‐アクチン遺伝子発現で正規化した。KLF4およびサイクリンD1における倍変化は、ルトロールで処理した6匹の対照マウスからの個々の遺伝子発現の平均に対して示された。
in vitroでのHT‐29培養細胞株における発現パターンと一致して、KLF4遺伝子発現の増加およびサイクリンD1遺伝子発現の減少は、in vivoで見られた(図46)。
実施例61:亜鉛貯蔵タンパク質メタロチオネインからの亜鉛をキレートする化合物3のIN VITROでの能力
細胞内の亜鉛は、1分子につき7または8つの亜鉛を貯蔵する貯蔵タンパク質メタロチオネイン(MT)と緩く結合した不安定なプールとして存在する。不安定な亜鉛プールは、完全活性化のために亜鉛との可逆的結合を必要とする酵素または転写因子に亜鉛を提供する(Tapiero and Tew(2003)Biomed Pharmacother、57(9):399‐411)。MTから亜鉛を除去する化合物3の効率性を調べた。>95%のMTにおいて1分子につき7つまでの亜鉛を有するMT‐1aおよびMT‐2eを主に含有するウサギの肝臓から分離したMT‐1は、Alexis Biochemicals(Lausen、Switzerland)から購入した。MTにおける亜鉛の含有量は、前の実施例に記述するように、4(2‐ビリジルアゾ)レゾルシノール(PAR)比色亜鉛アッセイを使用して、in vitroで測定した。PAR‐亜鉛イオン錯体形成後のPARの吸収度における変化は、500nmで測定した(Dinkova‐Kostovaら(2005)Biochemistry、44(18):6889‐6899)。in vitroで化合物3によるMT‐1からの亜鉛のキレート化を判断するため、体積100mlの0.2Mトリス‐HCl、pH7.5における25μMのMT‐1を96ウェルプレートに加えた。80%アセトニトリル/20%DMSOにおける化合物3(0.15〜60μM)を室温で15分間MT‐1に加えた。PAR(0.2Mトリス‐HCl、pH7.5において200μM)を加え、PAR‐亜鉛錯体の着色を、図47に示すように500nmのマルチウェル分光光度計で測定した。
25μMのMTのPAR吸収度における用量依存的減少は、化合物3の用量の増加に伴い、in vitroでの治療後に見られ(図47)、細胞内の不安定な亜鉛プールからの化合物3による亜鉛の除去が証明された。
実施例62:MTF‐1DNA結合活性を生じさせる化合物3のIN VITROでの能力
亜鉛フィンガーを含有する転写因子である金属応答配列(MRE)結合転写因子(MTF‐1)のDNA結合活性を不活性化する化合物3の効率性を調べた。亜鉛のMTF‐1の活性化亜鉛フィンガーとの可逆的結合は、MTF‐1の核転座およびMTF‐1のMREとの最大結合に必要とされる(LichtlenおよびSchaffner(2001)Bioessays、23(11):1010‐1017)。
HT‐29細胞は、35μMのZnClで4時間処理し、亜鉛で処理された細胞からの核抽出物(亜鉛活性化MTF‐1)は、in vitroで化合物3で処理し、MTF‐1のMRE配列とのDNA結合活性は電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)(Panomics、Redwood City、CA)によって試験した。in vitroでの化合物4によるMTF‐1DNA結合の不活性化を図48Aに示す。
細胞における化合物3によるMTF‐1の不活性化を調べるため、HT‐29細胞は化合物3で1〜4時間処理し、核抽出物におけるMTF‐1のDNA結合活性はEMSAで試験した。MTF‐1活性の有意な減少は、化合物3でのHT‐29細胞の治療後4時間で見られた(図48B)。
実施例63:HT‐29細胞におけるMTF‐1DNA結合活性を調節する化合物3の能力
MTF‐1標的化遺伝子のプロモーター領域、細胞周期制御遺伝子サイクリンD1とのMTF‐1結合の減少を調べるため、HT‐29細胞は化合物3で16時間処理し、サイクリンD1プロモーターとのMTF‐1結合は、クロマチン免疫沈降アッセイ(ChIP)(Active Motif、Carlsbad、CA)によって試験した。化合物3での16時間の治療の終了時、細胞は1%ホルムアルデヒドで架橋転写因子およびそれらの標的クロマチンに固定した。クロマチン錯体はせん断され、MTF‐1で結合したクロマチンはMTF‐1に対する抗体(Santacruz Biotechnology Inc.)によって破壊した。架橋は逆転し、MTF‐1関連DNAはサイクリンD1プロモーターの‐231〜‐92領域を含むプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。5’プライマー(5’‐CGGACTACAGGGGCAAS’)[SEQ ID NO:1]および3’プライマー(5’‐GCTCCAGGACTTTGCA‐S’)[SEQ ID NO:2]は、Invitrogenにおいて合成した。サイクリンD1プロモーターとのMTF‐1結合の増加は、図49に示すように35μMのZnClでの治療後に見られ、サイクリンD1がMTF‐1標的化遺伝子であることが示された。基礎レベルのMTF‐1結合と比較して、化合物3後にサイクリンD1プロモーターとのMTF‐1結合の減少が見られ、化合物3がMTF‐1による構造性のサイクリンD1遺伝子転写活性化を阻害したことが示された(図49)。
実施例64:IN VITROでのHT‐29細胞における亜鉛キレート化およびサイクリンD1遺伝子の発現に対する式Iの化合物の効果
特にG1/S相に関連する、実施例23及び41に示すように化合物3媒介の細胞周期停止に関与する細胞周期制御経路を検証するため、G1/S位相進行の主要な細胞周期制御因子サイクリンD1の発現を調べた。RT‐PCRで測定によると、サイクリンD1遺伝子発現は、1μMの化合物3でのHT‐29細胞の16時間の治療の後、有意に減少し、25μMのZnClの存在下で逆転し、サイクリンD1発現の減少は亜鉛減少の結果であったことが確認された(図50A)。サイクリンD1のタンパク質発現の減少は、SDS‐PAGE、それに続くウエスタンブロット法によっても確認された(図50B)。さらに、他の種類のサイクリンの発現の測定によって、サイクリンEの発現の減少が確認された(図50B)。
実施例65:IN VITROでのHT‐29細胞におけるMTF‐1の遺伝子発現に対する式Iの化合物の効果
亜鉛減少に対する細胞反応を評価するため、亜鉛感受性の転写因子MTF‐1の遺伝子発現を調べた。RT‐PCRで測定すると、MTF‐1の遺伝子発現の有意な減少(図51)は1μMの化合物3でHT‐29細胞を8時間治療した後に見られ、それは亜鉛補給物の添加によって回復し、化合物3での治療によるMTF‐1の発現減少は亜鉛減少の結果であったことが確認された。
HT‐29細胞は、ZnClで処理し、サイクリンD1遺伝子の発現をRT‐PCRで測定した。遺伝子発現の倍変化は、対照細胞におけるサイクリンD1遺伝子の発現に対して示された。サイクリンD1遺伝子の発現減少は、MTF‐1の活性化因子として亜鉛での細胞の治療後に見られた(図51B)。
対照またはMTF‐1siRNAで処理したHT‐29細胞は、ZnClで、またはZnClなしで処理し、サイクリンD1遺伝子の発現をRT‐PCRで測定した。遺伝子発現の倍変化は、対照群においてはトランスフェクションなしで対照細胞のサイクリンD1遺伝子の発現に対して示され、トランスフェクション群では非特異性siRNAトランスフェクト細胞におけるサイクリンD1遺伝子の発現に対して示された。サイクリンD1発現の亜鉛依存性増加は、MTF‐1遺伝子が化合物3の添加の前にsiRNAによって分解された時になくなった(図51C)。
実施例66:SIRNA媒体MTF‐1ノックダウンによるHT‐29細胞におけるKLF4の発現を調節する化合物3のIN VITROでの能力
KLF4誘導に対するMTF‐1発現の減少の有意性を評価するため、化合物3での治療に反応によるKLF4遺伝子発現は、MTF‐1siRNAでトランスフェクトしたHT‐29細胞においてRT‐PCRで測定した。KLF4遺伝子発現の倍変化は、媒体対照で処理した非特異的siRNAでトランスフェクトした細胞におけるKLF4発現に対して示された。KLF4の基本的発現遺伝子は、MTF‐1遺伝子ノックダウンの後、有意に減少し、構造性のMTF‐1依存的KLF4遺伝子転写が示された(図52)。しかしながら、KLF4遺伝子発現は、siRNAによるMTF‐1遺伝子のノックダウンにかかわらず、化合物3での治療の後、増加し続け(図52)、化合物3での治療によるKLF4遺伝子のMTF‐1に依存しない活性化が示唆された。
実施例67:H‐460非小細胞肺癌細胞におけるKLF4、KLF2およびKLF6遺伝子の発現に対する式Iの化合物のIN VITROでの効果
他の潜在的な腫瘍抑制因子であるKLF2(肺KLF)(Wangら(2005)ONCOGENE、22(24):3878‐3885)およびKLF6(Itoら(2004)Cancer Res、64(11):3838‐3843)の発現レベルは、非小細胞癌細胞株であるH‐460において評価した。対照H−460細胞におけるKLF2、4および6の発現は、RT‐PCRで測定した。遺伝子発現は、「1」とするKLF4発現に対して示された(図53A)。KLF4発現が最も高く、「1」とするKLF4発現に対して、KLF2および6の0.05および0.3倍のみの発現が検出された(図53A)。
媒体対照または2.5μMの化合物3または化合物7で処理したH‐460細胞におけるKLF2、4および6の発現は、RT‐PCRで測定した。遺伝子発現は、「1」とする媒体対照で処理した群における個々の遺伝子発現に対して示された。化合物3または化合物7での治療も、最も有意に変化した遺伝子としてKLF4の増加を示した(図53B)。
実施例68:大腸癌異種移植モデルにおける化合物3のIN VIVOでの効果およびMTF1、サイクリンD1およびKLF4の発現の調節
化合物3の腫瘍抑制効果は、化合物3で処理したHT‐29を移植した無胸腺マウス(図54A)において評価し、HT‐29異種移植組織におけるMTF‐1、KLF4およびサイクリンD1の遺伝子発現と相関させた(図54B)。CD‐1無胸腺ヌードマウス(各群4匹)は、HT‐29細胞(0.1mLのPBSに3×10細胞)を皮下に注射した。腫瘍細胞の接種後5日目から5日間、200μLの媒体対照または100mg/kgの化合物3をマウスの腹腔内に注射し、その後10日間の間隔をあけ、それを2周期(第1周期の注射は5日目〜9日目、第2周期の注射は20日目〜24日目)行った。腫瘍の大きさは、キャリパーを使用して治療の期間中測定した(図54A)。マウスは、腫瘍細胞の接種後34日目に死亡させた。腫瘍組織は切除し、直ちに凍結し、RNA抽出および遺伝子発現をRT‐PCRで分析するまで−80℃で保存した(図54B)。遺伝子発現の倍変化は、ルトロール媒体対照を注射した4匹の対照マウスの平均値に対して示された。
腫瘍の大きさにおける有意な減少は、媒体対照を注射したマウスに比べて、化合物3で処理したマウスにおいて見られた(図54A)。異種移植組織における遺伝子発現の分析も、媒体対照を注射した群に比べて、化合物3で処理したマウスにおいてKLF4の有意な増加およびMTF‐1およびサイクリンD1の遺伝子発現の減少を示した(図54B)。
実施例69:HT‐29細胞におけるMT1A、MTF1、サイクリンD1およびKLF4の発現を調節する化合物3および化合物7のIN VITROでの能力
MT1A(図55A)、MTF‐1(図55B)、サイクリンD1(図55C)およびKLF4(図55D)の遺伝子発現を調節する式Iの化合物の能力は、RT‐PCRで判断した。HT‐29細胞は、1μMの化合物3または化合物7、35μMのZnCl、化合物3とZnClの併用、または化合物7とZnClの併用で8〜16時間処理した。個々の遺伝子発現は、同じサンプルにおいてβ‐アクチン遺伝子発現で正規化した。遺伝子発現の倍変化は、DMSO対照の個々の遺伝子レベルに対して示された。1μMの化合物3で見られたように、MT1A、MTF‐1およびサイクリンD1の発現減少およびKLF4の発現増加は、化合物7でも検出された。遺伝子発現変化が細胞内の亜鉛枯渇の結果であることを強調するように、化合物3または化合物7の治療後のMT1A(8時間)(図55A)、MTF‐1(8時間)(図55B)およびサイクリンD1(8時間)(図55C)の減少およびKLF4(16時間)(図55D)の増加は、亜鉛補給物の添加によって逆転した。
実施例70:IN VITROでの化合物3および化合物64による遷移金属イオンのキレート化
化合物64の金属キレート化の性質および異なる金属イオンに対する相対的親和力は前記の実施例に記述する手順を使用して、4(2‐ビリジルアゾ)レゾルシノール(PAR)比色亜鉛アッセイで評価し、in vitroでの化合物3の効果と比較した。ZnCl(図56A)、CuCl(図56B)またはFeCl(図56C)の指示された最終濃度は、80%アセトニトリル‐20%DMSO媒体対照または200μMの式Iの化合物とともに培養した。PAR‐金属イオン錯体の着色は、500nmのマルチウェル分光光度計で測定した。
亜鉛または銅それぞれの用量を増加させて添加した後のPAR‐Zn2+(図56A)およびPAR‐Cu2+(図56B)の吸収度における用量依存的増加は、化合物3および化合物64の存在によってなくなり、Zn2+およびCu2+との結合に対してPARと競合する化合物のキレート化の性質が示された。PAR‐Fe2+の用量依存的着色は、化合物の添加によって受ける影響は少なく(図56C)、化合物3および化合物64は両方ともFe2+よりZn2+およびCu2+を優先することが示された。
実施例71:HT‐29細胞におけるMT1A、MTF‐1、サイクリンD1およびKLF4の遺伝子発現を調節する化合物64のIN VITROでの能力
HT‐29細胞におけるMT1A(図57A)、MTF‐1(図57B)、サイクリンD1(図57C)およびKLF4(図57D)の遺伝子発現に対する化合物3および化合物64の効果は、RT‐PCRで判断した。HT‐29細胞は、1μMの化合物3または化合物64、35μMのZnCl、化合物3とZnClの併用、または化合物64とZnClの併用で8〜16時間処理した。個々の遺伝子発現は、同じサンプルにおいてβ‐アクチン遺伝子発現で正規化した。遺伝子発現の倍変化は、DMSO対照の個々の遺伝子レベルに対して示された。
1μMの化合物3で見られたように、MT1A、MTF‐1およびサイクリンD1の発現減少およびKLF4の発現増加は、化合物64でも検出された。化合物3または化合物64での治療後のMT1A(8時間)(図57A)、MTF‐1(8時間)(図57B)およびサイクリンD1(8時間)(図57C)の減少およびKLF4(1時間)(図57D)の増加は、亜鉛補給物の添加によって逆転した。
公開された特許出願を含むすべての特許、出版物の開示および本明細書で参照されるデータベース登録は、各当該個々の特許、出版物、およびデータベース登録が特別そして個別に参照することにより組み込まれるように指示されているのと同じ程度に、全体として参照することにより特別に組み込まれる。
本発明はある特定の実施例を参照して記述されているが、その様々な変更は、本明細書に添付される請求項で要約されるように、発明の精神と範囲から逸脱することなく当業者とって明らかである。
本発明のこれらおよび他の特徴は、付図を参照する以下の詳細な説明においてより明らかとなる。
in vitroでの多数の癌細胞株における化合物2および化合物3の増殖に対するGI50値の平均値及び中央値を示す。 in vitroでの多数の癌細胞株の増殖に対する化合物3の効果を示す。 in vitroでのHT‐29細胞の成長を阻害する化合物3および化合物13の能力に対する金属イオンの効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞の成長を阻害する化合物3の能力に対する銅イオンの効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞の成長を阻害する化合物3の能力に対する金属イオンの効果を表す。(A)亜鉛イオンの効果、(B)銅イオンの効果、(C)鉄(II)イオンの効果、(D)鉄(III)イオンの効果、(E)マグネシウムイオンの効果、および(F)カルシウムイオンの効果。 in vitroでのHT‐29細胞の成長を阻害する化合物5(A)および化合物7(B)の能力に対する銅または亜鉛イオンの効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞におけるメタロチオネイン遺伝子mRNAの発現に対する化合物3の効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞におけるKLF4mRNAの発現に対する化合物3の効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞におけるKLF4タンパク質の発現に対する化合物3の効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞におけるp21 mRNAの発現に対する化合物3の効果を表す。
in vitroでのHT‐29細胞(A)およびCCRF‐CEM細胞(B)において細胞周期進行を阻止する化合物3の能力を表す。 in vitroでのCCRF‐CEM細胞においてアポトーシスを誘導する化合物3の能力を示す。 結腸腺癌異種移植モデルにおいて腫瘍の大きさ(A)および腫瘍の重さ(B)を減少させる化合物3の能力を表す。 肺大細胞癌異種移植モデルにおいて腫瘍の大きさ(A)および腫瘍の重さ(B)を減少させる化合物3の能力を表す。 結腸腺癌異種移植モデルにおいて腫瘍の大きさ(A)および腫瘍の重さ(B)を減少させる化合物3、5および7の能力を表す。 肺癌異種移植モデルにおいて腫瘍の大きさ(A)および腫瘍の重さ(B)を減少させる化合物3、5および7の能力を表す。 結腸腺癌異種移植モデルからの腫瘍におけるin vivoのKLF4 mRNAレベルに対する化合物3の効果を表す。 結腸腺癌異種移植モデルからの腫瘍におけるin vivoのp21 mRNAレベルに対する化合物3の効果を表す。 結腸腺癌異種移植モデル(A)からの腫瘍におけるin vivoのサイクリンD1 mRNAレベルに対する化合物3の効果を表す。 結腸腺癌異種移植モデルにおけるKLF4、p21およびサイクリンD1 mRNAレベルに対する化合物3の効果の比較を表す。
in vitroでのHT‐29細胞における化合物3の細胞内局在を表す。(A) 化合物3で5分間処理した細胞、(B)および(C)4時間処理した細胞。(A)および(B)では、微分干渉コントラスト画像は蛍光像で重ね撮りした(B)および(C)は同一画像。 (A)金属イオンの存在下、(B)銅、亜鉛または鉄(II)イオンの存在下、および(C)様々な量の銅の存在下でDNAを切断する化合物3および13の化合物の能力を表す。 DNAを切断する化合物3、5、7、9、12および13の能力を表す。 式Iの化合物の開発を示す。 非小細胞肺癌異種移植モデル(A)および 結腸腺癌異種移植モデル(B)において腫瘍成長を阻害する化合物3および7の能力、 非小細胞肺癌異種移植モデル(C)において腫瘍成長阻害する化合物7の能力、および 非小細胞肺癌異種移植モデル(D)において腫瘍成長阻害する化合物7、63、64、69、72、73、74、18および78の能力を表す。 化合物3媒介の細胞成長阻害、Zn+2、Cu+2とFe+2(A)およびFe+3、Ca+2とMg+2(B)に対する金属イオン補給の効果を表す。 化合物3(A)および化合物7(B)で処理したHT‐29細胞における細胞周期解析を表す。 ZnCl(A)、CuCl(B)およびFeCl(C)の存在下におけるin vitroでの化合物3および化合物7の金属キレート化の性質を現す。 化合物3、化合物7または個々の金属特異性キレート剤で処理したHT‐29細胞における、金属感受性の遺伝子、亜鉛感受性の遺伝子メタロチオネイン1A(A)、銅感受性の銅輸送体1(B)および鉄感受性のトランスフェリン受容体1(C)の発現の変化を表す。 サイクリンD1遺伝子プロモーター(A)におけるMTF‐1結合DNA配列および化合物3(B)および化合物7(C)で処理したHT‐29大腸癌異種移植組織におけるMTF‐1およびサイクリンD1の発現レベルを表す。
RT‐PCRで測定した、HT‐29細胞における化合物3治療後のMTF‐1(A)およびサイクリンD1(B)発現、およびsiRNAによるMTF‐1遺伝子ノックダウン後のMTF‐1発現(C)およびサイクリンD1発現(D)。 KLF4遺伝子プロモーター(A)上の転写因子結合部位、および化合物3で処理したHT‐29細胞におけるSpI(B)およびKLF4(C)のDNA結合活性を表す。 サイクリンD1遺伝子プロモーター(A)上の転写因子結合部位、およびクロマチン免疫沈降アッセイによるHT‐29細胞における化合物3治療後のサイクリンD1プロモーターへのin vivoのKLF4およびSpI結合(B)を表す。 RT‐PCRで測定されたKLF4遺伝子発現(A)および細胞増殖(B)に対するHT‐29細胞における化合物3の効果およびsiRNAによるKLF4遺伝子のノックダウンを表す。 肺大細胞癌異種移植モデルにおいて腫瘍細胞成長を阻害する化合物7、41、42、50、52、53、54、55および4の能力を表す。 亜鉛感受性の 染料Zinquinを使用して、in vitroで亜鉛イオンをキレートする化合物3の能力を表す。 ZnClで予め組み込んだ(A)または予め組み込んでいない(B)(内因性亜鉛イオン)HT‐29細胞においてin vitroで亜鉛イオンをキレートする化合物3の能力を表す。 経時的(A)および亜鉛補給物での治療後(B)のin vitroでのHT‐29細胞における金属感受性遺伝子、亜鉛感受性遺伝子メタロチオネイン1Aの発現に対する化合物3の効果を表す。 経時的(A)および亜鉛補給物での治療後(B)のin vitroでのHT‐29細胞における金属感受性の腫瘍抑制因子KLF4の発現に対する化合物3の効果を表す。 経時的なin vitroでのHT‐29細胞における亜鉛感受性の金属応答配列(MRE)結合転写因子1(MTF‐1)の発現に対する化合物3の効果を表す。
MTF‐1、KLF5およびKLF4の発現に対する、in vitroでのHT‐29細胞におけるsiRNA治療によるMTF‐1遺伝子ノックダウンの効果(A)、および経時的なin vitroでのHT‐29細胞におけるKLF5の発現に対する化合物3の効果(B)を表す。 mRNAレベル(A)およびタンパク質レベル(B)の、経時的なin vitroでのHT‐29細胞における細胞周期調節タンパク質p21の発現に対する化合物3の効果を表す。 mRNAレベル(A)およびタンパク質レベル(B)の、経時的なin vitroでのHT‐29細胞におけるサイクリンD1の発現に対する化合物3の効果を表す。 経時的(A)および亜鉛補給物での治療後(B)のin vitroでのHT‐29細胞における腫瘍抑制遺伝子、早期成長応答タンパク質(EGR‐1)の発現に対する化合物3の効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞におけるMT1A、MTF‐1、KLF4、KLF5、p21、サイクリンD1およびErg‐1の遺伝子発現レベルに対する化合物3および化合物7の効果を表す。 マウスからのHT‐29大腸癌異種移植組織におけるKLF4およびサイクリンD1の遺伝子発現レベルに対する化合物3のin vivoでの効果を表す。 in vitroでの亜鉛貯蔵タンパク質メタロチオネイン1(MT‐1)から亜鉛をキレートする化合物3の能力を表す。 in vitroでの化合物3による治療後の亜鉛活性化MTF‐1のDNA結合活性の不活性化(A)およびin vitroでのHT‐29細胞における化合物3によるMTF‐1のDNA結合活性の不活性化(B)を表す。 クロマチン免疫沈降アッセイ(ChIP)による、サイクリンD1プロモーター領域へのHT‐29細胞におけるMTF‐1のDNA結合活性を減少させる化合物3の能力を表す。 in vitroでのHT‐29細胞におけるサイクリンD1の遺伝子発現に対する化合物3および亜鉛補給物の効果(A)、およびサイクリンD1および他のサイクリンのタンパク質レベルに対する化合物3の効果(B)を表す。
in vitroでのHT‐29細胞における、MTF‐1の発現に対する化合物3および亜鉛補給物の効果(A)、サイクリンD1の発現に対する亜鉛補給物の効果(B)、およびサイクリンD1の発現に対する亜鉛補給物およびsiRNAによるMTF‐1遺伝子ノックダウンの効果(C)を表す。 in vitroでのHT‐29細胞における、KLF4の発現に対する化合物3およびsiRNAによるMTF‐1遺伝子ノックダウンの効果を表す。 in vitroでのHT‐29細胞におけるKLF4、KLF2およびKLF6の遺伝子発現レベルの比較(A)およびin vitroでのH‐460癌細胞におけるKLF4、KLF2およびKLF6の発現対する化合物3および化合物7の効果(B)を表す。 結腸腺癌異種移植モデルにおける腫瘍の大きさを減少させる化合物3の能力(A)および結腸腺癌異種移植モデルからの腫瘍におけるin vivoでのMTF‐1、サイクリンD1およびKLF4 mRNAレベルに対する効果(B)を表す。 MT1A(A)、MTF‐1(B)、サイクリンD1(C)およびKLF4(D)に対するin vitroでのHT‐29細胞におけるmRNAレベルに対する化合物3、化合物7および亜鉛補給物の効果を表す。 ZnCl(A)、CuCl(B)およびFeCl(C)の存在下におけるin vitroでの化合物3および化合物64の金属キレート化の性質を現す。 MT1A(A)、MTF‐1(B)、サイクリンD1(C)およびKLF4(D)のための、in vitroでのHT‐29細胞におけるmRNAレベルに対する化合物3、化合物64および亜鉛補給物の効果を表す。

Claims (54)

  1. 必要とする被検体の癌細胞の増殖を阻害する際に使用するための、式(I)の化合物、
    Figure 2008542259
    またはその塩であって、
    式中、R1、R2、R3、R4、R6およびR7は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ニトロ、シアノ、または‐S(O)1‐2R(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロサイクル、または置換ヘテロアリールである)から単独で選択され、
    R5は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、‐CH‐アリール、‐CH‐ヘテロアリールである、
    式(I)の化合物、またはその塩。
  2. 前記癌が白血病、前立腺癌、非小細胞肺癌、腎臓癌、膀胱癌および消化管癌の群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記消化管癌が大腸癌または結腸直腸癌である、請求項2に記載の化合物。
  4. 前記癌が白血病、前立腺癌、非小細胞肺癌または大腸癌である、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記癌が白血病である、請求項4に記載の化合物。
  6. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはC‐C14アリールであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、C‐C14アリールで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐C14アリール、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたC‐C14アリール、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはポリシクロアルキルであり、および
    R7がHである、
    請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  7. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはフェニルであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはシクロペンチルであり、
    R6が水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、フェニル、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはアダマンタンであり、および
    R7がHである、
    請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  8. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、R5がC‐C水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6がC‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  9. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、R5が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6がC‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、およびR7がHである、
    請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  10. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
    R5が水素であり、
    R6がC‐Cアルキルまたはアダマンタンであり、および
    R7がHである、
    請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  11. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、
    R5がC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、R6が水素、C‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  12. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、R5がC‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cヘテロシクロアルキルであり、および
    R7がHである、
    請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  13. 前記化合物が以下の群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
  14. 癌細胞においてアポトーシスを誘導する際に使用するための、式(I)の化合物、
    Figure 2008542259
    またはその塩であって、
    式中、R1、R2、R3、R4、R6およびR7は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ニトロ、シアノ、または‐S(O)1‐2R(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロサイクル、または置換ヘテロアリールである)から単独で選択され、
    R5は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、‐CH‐アリール、‐CH‐ヘテロアリールである、
    式(I)の化合物、またはその塩。
  15. 前記癌細胞が白血病細胞、前立腺癌細胞、非小細胞肺癌細胞、腎臓癌細胞、膀胱癌細胞および消化管癌細胞の群から選択される、請求項14に記載の化合物。
  16. 前記消化管癌細胞が大腸癌細胞または結腸直腸癌細胞である、請求項15に記載の化合物。
  17. 前記癌細胞が白血病細胞、前立腺癌細胞、非小細胞肺癌細胞または大腸癌細胞である、請求項14に記載の化合物。
  18. 前記癌細胞が白血病細胞である、請求項17に記載の化合物。
  19. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはC‐C14アリールであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、C‐C14アリールで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐C14アリール、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたC‐C14アリール、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、および
    R7がHである、
    請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
  20. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはフェニルであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはシクロペンチルであり、R6が水素、ハロゲン、C‐C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、フェニル、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキルまたはアダマンタンであり、および
    R7がHである、
    請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
  21. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
    R5が水素、C‐C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、R6がC‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、およびR7がHである、請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
  22. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、R5が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6がC‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
  23. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、R5が水素であり、
    R6がC‐Cアルキルまたはアダマンタンであり、
    R7がHである、
    請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
  24. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC1‐C4アルコキシであり、
    R5がC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、C‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
  25. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、
    R5がC‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cヘテロシクロアルキルであり、およびR7がHである、
    請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
  26. 前記化合物が以下の群から選択される、請求項14から18のいずれかに記載の化合物。
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
  27. 細胞において遷移金属イオンをキレートする際に使用するための、式(I)の化合物、
    Figure 2008542259
    またはその塩であって、
    式中、R1、R2、R3、R4、R6およびR7は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ニトロ、シアノ、または‐S(O)1‐2R(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロサイクル、または置換ヘテロアリールである)から単独で選択され、
    R5は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、‐CH‐アリール、‐CH‐ヘテロアリールである、
    式(I)の化合物、またはその塩。
  28. 前記遷移金属イオンが亜鉛イオン、鉄イオンまたは銅イオンである、請求項27に記載の化合物。
  29. 前記遷移金属イオンが亜鉛イオンである、請求項27または28に記載の化合物。
  30. 前記遷移金属イオンが銅イオンである、請求項27または28に記載の化合物。
  31. 前記細胞がin vivoである、請求項27から30のいずれかに記載の化合物。
  32. 前記細胞がin vitroである、請求項27から30のいずれかに記載の化合物。
  33. 前記細胞が癌細胞である、請求項27から32のいずれかに記載の化合物。
  34. 前記癌細胞が白血病細胞、前立腺癌細胞、非小細胞肺腫瘍細胞、腎臓癌細胞、膀胱癌細胞および消化管癌細胞の群から選択される、請求項33に記載の化合物。
  35. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはC‐C14アリールであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、C‐C14アリールで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐C14アリール、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたC‐C14アリール、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはポリシクロアルキルであり、および
    R7がHである、
    請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
  36. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはフェニルであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはシクロペンチルであり、
    R6が水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、フェニル、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキルまたはアダマンタンであり、および
    R7がHである、
    請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
  37. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6がC‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
  38. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6がC‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
  39. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
    R5が水素であり、
    R6がC‐Cアルキルまたはアダマンタンであり、および
    R7がHである、
    請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
  40. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、
    R5がC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、C‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
  41. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、
    R5がC‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cヘテロシクロアルキルであり、
    R7がHである、
    請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
  42. 前記化合物が以下の群から選択される、請求項27から34のいずれかに記載の化合物。
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
  43. 癌細胞においてKr(upsion)ppel様因子4(KLF4)の発現を増加させる際に使用するための、式(I)の化合物、
    Figure 2008542259
    またはその塩であって、
    式中、R1、R2、R3、R4、R6およびR7は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低アルキル、置換低アルキル、低アルケニル、置換低アルケニル、低アルキニル、置換低アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、置換ヘテロサイクル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ニトロ、シアノ、または‐S(O)1‐2R(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロサイクル、ヘテロアリール、置換ヘテロサイクル、または置換ヘテロアリールである)から単独で選択され、
    R5は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、‐CH‐アリール、‐CH‐ヘテロアリールであり、
    式Iの前記化合物がKLFの発現を増加させることができる、
    式(I)の化合物、またはその塩。
  44. 前記癌細胞が白血病細胞、膀胱癌細胞および消化管癌細胞の群から選択される、請求項43に記載の化合物。
  45. 前記消化管癌細胞が大腸癌細胞または結腸直腸癌細胞である、請求項44に記載の化合物。
  46. 前記癌細胞が白血病細胞である、請求項43から45に記載の化合物。
  47. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはC‐C14アリールであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、C‐C14アリールで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐C14アリール、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたC‐C14アリール、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキル、またはポリシクロアルキルであり、および
    R7がHである、
    請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
  48. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルコキシ、またはフェニルであり、
    R5が水素、C‐C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはシクロペンチルであり、
    R6が水素、ハロゲン、C‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、フェニル、C‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cヘテロシクロアルキルまたはアダマンタンであり、および
    R7がHである、
    請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
  49. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐C‐Cアルキルであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6がC‐Cアルキル、ヘテロ原子がNであるC‐Cヘテロシクロアルキルで置換されたC‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
  50. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
    R5が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6がC‐Cアルキル、アダマンタン、フェニル、またはC‐Cアルキルまたはハロで置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
  51. R1、R2、R3、R4が単独で水素、ハロゲン、またはC‐Cアルキルであり、
    R5が水素であり、
    R6がC‐Cアルキルまたはアダマンタンであり、および
    R7がHである、
    請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
  52. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、
    R5がC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、C‐Cアルキル、アダマンタン、またはC‐Cアルキルまたはハロで任意に置換されたフェニルであり、および
    R7がHである、
    請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
  53. R1、R2、R3、R4が単独で水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cアルコキシであり、
    R5がC‐Cアルキル、フェニルで置換されたC‐Cアルキル、またはC‐Cシクロアルキルであり、
    R6が水素、C‐Cアルキル、またはC‐Cヘテロシクロアルキルであり、および
    R7がHである、
    請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
  54. 前記化合物が以下の群から選択される、請求項43から46のいずれかに記載の化合物。
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
    Figure 2008542259
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