JP2008541742A - 改変された活性化特性を有する第x凝固因子ポリペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、改善された安定性および改変された活性化配列を有するヒト第X因子をコードする改変cDNA配列およびそれらの誘導体、このようなcDNA配列を含む組換え発現ベクター、ならびにこのような組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞に関する。本発明はまた、改変されていない野生型タンパク質の生物活性を有することは有するが改善された安定性を有する組換え第X因子ポリペプチドおよび誘導体、ならびにこのような組換えタンパク質およびそれらの誘導体を製造するための方法に関する。本発明はまた、このような改変されたDNAを含むヒトの遺伝子治療に使用するためのトランスファーベクターも包含する。

Description

本発明は、活性化のために第VIIIa/FIXa因子、または第VIIa/TF因子のいずれかの必要性をバイパスすることができる、第X因子ポリペプチド、具体的にはヒト第X因子およびその誘導体をコードする改変cDNA配列に関する。本発明はさらに、このような改変cDNA配列を含む組換え発現ベクター、このような組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞、改変されていない野生型タンパク質の生物活性を有することは有するが変化した活性化特性を有する組換えポリペプチドおよび誘導体、ならびにこのような組換えタンパク質およびそれらの誘導体を製造するための方法に関する。本発明はまた、ヒトの遺伝子治療に使用するための、このような改変されたDNA配列を含むトランスファーベクターも含む。
特定の型の血友病を治療するために、ビタミンK依存性タンパク質が用いられる。古典的血友病すなわち血友病Aは、遺伝性出血性疾患である。これは、X染色体連鎖の血液凝固第VIII因子の欠乏によって生じるほぼ例外なく男性に影響を与える疾患であり、10,000人あたり1〜2人の発生率を有する。X染色体異常は、本人は血友病者ではない女性キャリアーによって伝達される。血友病Aの臨床症状は、高い出血傾向である。第VIII因子濃縮製剤での治療が導入される前は、重症血友病に罹った人の平均寿命は20年未満であった。血漿由来の第VIII因子濃縮製剤、その後は組換え型第VIII因子の濃縮製剤を使用するようになってから、血友病患者の平均寿命が大幅に長くなり、患者の多くが程度の差はあるが普通の生活を送ることができるようになり、血友病患者の状況は顕著に改善された。血友病Bは、血友病Aの5分の1の有病率であり、第IX因子が機能しなかったり、または欠損していたりすることに起因するものであって、これは、血漿由来の第IX因子濃縮製剤、または組換え型の第IX因子で治療される。血友病Aと血友病Bの両方において、これらの病気を治療する上で最も深刻な医学的問題は、補充された因子に対する同種抗体の発生である。全血友病A患者の30%までが、第VIII因子に対する抗体を発生させている。FIXに対する抗体は、発生する程度が少ないが、免疫寛容導入療法の作用を比較的受け難いため、より重症な状態を伴う。
現在の凝固のモデルによれば、凝固の生理学的なきっかけは、通常血管系の外側に位置し、傷害が生じたときのみ利用可能になる組織因子(TF)の発現細胞の表面上でのTFと第VIIa因子(FVIIa)との複合体の形成にあることが示されている。第VIIa/TF因子の複合体は、第IX因子と第X因子を活性化し、最終的にはある種のトロンビンが生成する。正のフィードバックループにおいて、トロンビンは、第VIII因子と第IX因子を活性化し、それに続いて、いわゆる血液凝固カスケードの「内因性の」アームである第X因子も活性化することによって、完全な血流遮断を達成するために十分なトロンビンバーストの発生に必要なXa因子の生成が増幅される。超生理学的な濃度のFVIIaを投与することによって、第VIIIa因子と第IXa因子を必要とする経路を回避して血流遮断が達成されることが示された。第VII因子に関するcDNAのクローニング(US4,784,950)によって、血漿由来の凝固因子の代わりに組換え型を開発することが可能になった。この第VIIa因子の、高力価のFVIIIに対する阻害抗体を有する患者への投与は、1988年に初めて成功した。それ以来、第VIIa因子の適応の数は着実に増え続けており、これは、第VIIa因子が、万能な止血薬となる可能性を示している(Erhardtsen,2002)。遺憾ながら、第VIIa因子は、2時間をわずかに超える程度の血漿中半減期しか有さないため、頻繁に再投与する必要があり、このことはこのような治療を侵襲的で、極めて費用がかかるものとする。
従って、改善された凝固因子、特に止血バイパス薬(hemostatic bypassing agents )のようなものに対する必要性が引き続き存在する。止血バイパス薬とは、ある種の凝固因子が阻害抗体によって失われた、機能しなくなった、またはブロックされた患者に投与して、凝固を起こさせる物質である。このような化合物の凝固カスケードにおけるブロックを迂回する活性(止血バイパス活性)は、当該技術分野で既知の凝固分析によって測定することができる。実質的に止血バイパス薬は、失われた、機能しなくなった、またはブロックされた凝固因子の基質、または失われた、機能しなくなった、またはブロックされた凝固因子の「下流」にある凝固カスケードにおけるその他の基質を、失われた、機能しなくなった、またはブロックされた凝固因子が有効なトロンビン生成に必須でなくなるような直接的な方法で活性化する能力を有する。
また第X因子は、広範囲研究の主題でもある。
第X因子のcDNAは、特徴付けられている(Leytus等,1984,PNAS,82:3699〜3702)。第X凝固因子は、分子量58.5kDaを有するビタミンK依存性糖タンパク質であり、これは肝細胞から血漿にチモーゲンとして分泌される。最初に、第X因子は、総数488個のアミノ酸からなるシグナルペプチドと共にプレプロペプチドとして生産される。このシグナルペプチドは、小胞体に輸出される間にシグナルペプチダーゼによって切断され、プロペプチド配列は、成熟したN末端鎖のN末端における最初の11グルタミン酸残基でガンマカルボキシル化が起こった後に切断される。さらなるプロセシング工程が、Arg182とSer183との間の切断によって起こる。またこのプロセシング工程によって、トリペプチドArg180−Lys181−Arg182の欠失も付随して起こる。その結果得られた分泌された第X因子チモーゲンは、139個のアミノ酸からなるN末端軽鎖(Mr16,200)、および306個のアミノ酸からなるC末端重鎖(Mr42,000)からなり、これらはCys172とCys342とのジスルフィド架橋を介して共有結合している。さらなる翻訳後プロセシング工程は、Asp103のβ−水酸化、それに加えてN−およびO−型のグリコシル化を含む。
第VIIIa因子/第IXa因子、または第VIIa/TF因子はいずれも、生理学的条件下で、Arg234のカルボキシ末端側を切断して、Ser183からArg234までの52個のアミノ酸からなるいわゆる活性化ペプチドを遊離させることによって、活性化された血小板表面上で第X因子を活性化することができる。
自己触媒による切断において、活性化された第X因子(Xa因子)は、その重鎖のC末端部分中のArg464のカルボキシル末端側の小さいフラグメントを切断して、それによりXaβ因子が生じる。しかしながら、Xa因子の両方の形態は同程度の触媒活性を有するため、この切断の生理学的な関連性は明らかではない。
第X因子を改変するいくつかの試みがなされている:
Wolf等,1991(JBC,266,第21巻,13726〜13730頁)は、第X因子の活性化ペプチドを欠失させ、その代わりに、ジペプチドArg−Lysで置換することによって、第X因子の活性化ペプチドの領域内に2個の新規なフューリン切断コンセンサス部位の導入が起こる。このような第X因子変異体は細胞内プロセシングの際に活性化され、それによって活性化された第X因子が分泌される。
Wolf等,1995(Blood,86,4153〜4157頁)は、Xa因子のアシル化した不活性な変異体を生産しており、これは、血漿に注入した後ゆっくり脱アシル化され、それによって第X因子の活性化が長期にわたって起こる。
Rudolph等,1997(Prot.Express and Puri.,10:373〜378)は、プロペプチド切断部位の領域における第X因子を改変したところ、Thr39をArgで置換すると、細胞培養におけるプロペプチドのプロセシングの有効性が顕著に改善されることが見出された。
Camire等,2000(Biochemistry,39 pp.14322〜14329)は、第X因子のプレプロペプチドをトロンビンのプレプロペプチドで置換することによって、細胞培養においてより高い程度のガンマカルボキシル化を達成した。しかしながら、ガンマカルボキシル化の速度は増加したが、第X因子の10〜30%がカルボキシル化されないままであった。
Rudolph等,2002(Thromb Haemost.,88:756〜62)は、活性化ペプチドが欠失した第X因子変異体を作出した。このような第X因子変異体は、補因子とは独立した方法で自己活性化されたことが観察でき、この論文では、活性化ペプチドの主要な機能は、擬似的なFX活性化を予防することであると結論付けている。
Thiec等,2003(JBC,12,10393〜10399頁)は、第X因子のGlaドメインおよび第一のEGFドメインを、FIXのそれに対応するドメインで置換することによって、このようなキメラがTF/FVIIa複合体と生産的に相互作用する能力を調査した。
WO98/38317(優先権:1997年2月27日)は、通常は第X因子を活性化しないプロテアーゼが、以下の第X因子類似体を切断し、活性化できるように、Gly228とIle235との間の天然の活性化切断部位の部位において改変された第X因子類似体を特許請求している。
WO98/38318(優先権:1997年2月27日)は、通常はFXを活性化しないプロテアーゼが改変された配列を切断可能にすることによって、上述の第X因子類似体が活性化されるように、アミノ酸Arg180〜Arg234を欠失させ、アミノ酸Gly173〜Arg179を改変した第X因子類似体を教示している。
WO01/10896(優先権:1999年8月10日)は、Glu226〜Ile235のアミノ酸のうち少なくとも1個が置換された第X因子類似体を記載している。実施例において、FIXによって誘導された活性化切断部位を導入することによって、FXIによって切断可能な第X因子変異体が生成することが示されている。
WO03/035861(優先権:2001年10月19日)は、活性化ペプチドを除去してフィブリノペプチドAのアミノ酸P10〜P1で置換した第X因子の変異体を特許請求しており、該変異体において、キメラトロンビン切断部位を作出することによって、これをトロンビンによって活性化可能な第X因子変異体にすることができる。
WO2004/005347(優先権:2002年7月03日)は、野生型の第X因子Leu−Thr−Arg−Ile−Val−Glyにおける残基P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’を、X−Pro−Arg−Ala−Y−Zに改変することによる、トロンビンによって活性化することができる第X因子の変異体を教示している。
Volkel等(2005),Mol.Biotechnol.,29(1):19〜30は、前立腺特異抗原がFX変異体を特異的に活性化するように、FX活性化ペプチドに新規のプロテアーゼによって切断される部位を導入することを教示している。
数人の著者が、活性化された第X因子(FXa)は、止血バイパス薬として使用できるかもしれないと示唆しているが(Ni等,1992(Thromb.Haemost.67:264〜271);Himmelspach等,2002(Thromb.Haemost.88:1003〜1011))、このような医薬製剤は血栓形成の可能性があり、播種性血管内凝固(DIC)を引き起こしかねないといういくつかの懸念が残っている。
非活性化チモーゲンの第X因子を治療で使用することは、ずっと安全なアプローチのようである。米国特許第4,501,731号(優先権:1983年6月27日)は、第X因子をそれ自体だけで止血バイパス薬として使用することを示唆している。WO03/006054(優先権:2001年7月10日)では、それに加えて、医薬組成物中の第X因子をFVIIaと組み合わせて、FVIIaの止血因子の有効性を相乗的に増強できることが示されている。
しかしながら、内因性の凝固経路を介した第X因子の活性化の有効性は、阻害作用を受けた患者において著しく低下するが、それに対して外因性の凝固経路(組織因子の利用可能性が制限されることによる)は、凝固の開始時のフェーズに限定されるようであるため、凝固が要求されている状況における第X因子の活性化が促進されるような方法で第X因子を改変すること、および利用可能性および/または活性が限られた補因子の必要性をバイパスすることは有利である。変異第X因子のチモーゲンは、活性化なしで生成および投与が可能であるが、凝固活性(例えばトロンビン生成)が必要な状況では、内因性および外因性の凝固経路の天然のアクチベーターを必要とすることなくより速い速度で活性化が起こるように安定でなければならない。
数人の著者が、天然でのFXの切断や活性化ではなく、プロテアーゼによって活性化することができる第X因子変異体の生産を試みたことを記載している。これらの第X因子変異体は、活性化ペプチドの欠失、および/またはArg234における切断部位の前の活性化ペプチドの配列の改変のいずれかからなり、さらに場合によりIle235を改変してもよい。また、第X因子の活性化ペプチドの主要な作用は、FXaへの自己活性化を予防することであることも示されているように(Rudolph等,2002(Thromb Haemost.,88:756〜62)、活性化ペプチドの欠失および改変を有する第X因子変異体は、時期尚早の活性化を受けやすい。従ってこのようなFX変異体を含む医薬組成物は、血栓形成の危険を伴う可能性がある。
本発明で扱われる問題の一つは、止血バイパス薬を同定することである。特に、高力価の第VIII因子インヒビターを有する患者を治療するのに用いることができる止血バイパス薬が要望されている。
本発明において、驚くべきことに、増強された止血バイパス活性を有する生物学的に活性な第X因子変異体は、追加のプロテアーゼによって切断される部位を、第X因子の重鎖中のIle235のC末端側に挿入することによって得ることができることが見出された。この追加のプロテアーゼによって切断される部位は、ヒトのタンパク質、加えてその他の哺乳動物のタンパク質から誘導することができる。
本発明の一形態は、改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体であり、ここにおいて、改変の一つはプロテアーゼのための追加の切断部位の挿入からなり、ここにおいて、この追加の切断部位は、第X因子の重鎖中のIle235のC末端側に挿入される。前記プロテアーゼにより追加の切断部位が切断されることによって、第X因子変異体の活性化が起こり、加えて、天然の切断部位が切断されることによって活性化される可能性もある。本発明の第X因子変異体は、追加の改変を有していてもよく、特に第X因子配列の他の領域における追加の改変である。従って、配列番号2で示されるように、第X因子の重鎖への挿入は、野生型配列と比較されるようなアミノ酸配列へのいくつかの改変のうちの1種であってもよい。
本発明のその他の形態において、改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体中の天然の第X因子活性化ペプチドは、天然で第X因子を活性化するプロテアーゼが、前記第X因子変異体を切断および活性化ができなくなるように改変される。これは、第X因子の活性化ペプチド配列に突然変異を導入することによって達成することもできる。突然変異としては、挿入、欠失および置換が挙げられる。好ましくは、天然で第X因子を活性化するプロテアーゼが、前記第X因子変異体を切断および活性化ができなくなり、追加の切断部位によってのみ活性化が起こるような、活性化ペプチド配列における欠失および/または置換である。
本発明の好ましい実施態様によれば、前記改変された第X因子変異体の重鎖における新規のプロテアーゼによって切断される部位は、セリンプロテアーゼによって切断可能である。より好ましくは、セリンプロテアーゼは、第IIa因子、第IXa因子、Xa因子、第XIa因子、第XIIa因子、活性化されたプロテインC、エラスターゼ、またはカリクレインからなる群より選択される。これらのセリンプロテアーゼによって認識され、切断されるアミノ酸配列は当業者既知である(例えば、第四版,Colman等.2001の“Hemostasis and Thrombosis,Basic Principles and Clinical Practice”に記載されているような、第IIa因子:34〜35頁、176頁、第IXa因子:40〜41頁、Xa因子:34〜35頁、第XIa因子:128〜129頁、第XIIa因子:194頁、aPC:34〜35頁、159頁、カリクレイン:103〜104頁であり、またはエラスターゼ(O’Reilly等,1999;Antiangiogenic activity of the cleaved conformation of the serpin antithrombin:Science,285,1926〜1928)である)。
第X因子の重鎖への挿入物は、切断に必須ではない1個またはそれ以上の追加のアミノ酸を含んでもよい。これらの追加のアミノ酸は、挿入物のN末端および/またはC末端に存在していてもよい。従って、重鎖への挿入物は、以下の式で示すことができる:
−R1−P−R2
式中、Pは、切断のためのプロテアーゼによって認識され、切断されるアミノ酸配列(すなわち切断部位)を示し、
1は、化学結合、または1個もしくはそれ以上のアミノ酸(例えば、1〜10個のアミノ酸)を示し、および
2は、化学結合、または1個もしくはそれ以上のアミノ酸(例えば、1〜5個のアミノ酸)を示す。
Pは、少なくとも3個のアミノ酸、好ましくは20個以下のアミノ酸の長さを有する。好ましくは、R1は、化学結合であるか、または1、2もしくは3個のアミノ酸からなる。さらに好ましくは、R2は、化学結合であるか、または1もしくは2個のアミノ酸からなる。最も好ましくは、新たに導入されたプロテアーゼによって切断される部位が切断された場合、切断される化学結合のC末端側のアミノ酸は、イソロイシンである。また、好ましくは、前記イソロイシンの代わりにバリンである。前記イソロイシンの代わりのその他の好ましいアミノ酸のC末端は、アラニン、セリン、またはスレオニンである。
重鎖に挿入が可能な適切なアミノ酸配列としては、これらに限定されないが、セリンプロテアーゼが認識し、切断することができる配列が挙げられ、例えば以下の表1に列挙されたような配列である:
Figure 2008541742
挿入されたアミノ酸配列(−R1−P−R2−)は、少なくとも3個のアミノ酸を包含する。好ましくは、上記切断部位を含むアミノ酸の挿入物は、3〜50個、より好ましくは4〜30個、より好ましくは4〜20個、最も好ましくは5〜15個からなる。さらに本発明は、プロテアーゼによって切断される部位のフラグメントも包含し、例えばプロテアーゼによって第IX因子から切断される部位(表1の配列番号22〜配列番号31)の一連の欠失突然変異体が挙げられ、ただし、このようなプロテアーゼによって切断される部位のフラグメントを含むFX変異体がなお切断を受けやすく、さらに該FX変異体がなお生物活性を有する場合である。
好ましい一実施態様において、追加の切断部位は、第X因子配列のIle235と、Val236との間に挿入される。あるいは、追加の切断部位は、第X因子配列のC末端に近接した2個のアミノ酸の間に挿入されてもよい。例えば、追加の切断部位は、第X因子配列のVal236と、Gly237との間に、または、Gly237と、Gly238との間に挿入されてもよい。
本発明の第X因子変異体は、生物活性を有する。本明細書で用いられる用語「生物活性」は、第X因子の活性を意味する。第X因子の活性を有するタンパク質とは、チモーゲンの形態のタンパク質がプロテアーゼでの切断によって活性化することができ、その活性型でXa因子の活性を有するタンパク質を意味する。第X因子の活性は、インビトロでの凝固分析で決定することができる。例えば、実施例4で説明されているように、第X因子の活性は、外因性の凝固経路の活性を測定するプロトロンビン時間(PT)分析で決定することができる。第X因子の活性は、サンプル中での凝固活性として示され、単位はmU/mlである。
このようにして決定された第X因子の活性は、サンプル中に存在する第X因子の抗原の量ということができ、従って生成した変異体の「特異的な活性」は、典型的には、U/mgタンパク質またはmU/μgタンパク質として示される。本発明の変異体の特異的な活性は、好ましくは、配列番号2で示されるような野生型の配列を有する組換え第X因子分子の第X因子の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%である。
本発明の第X因子変異体はさらに、止血バイパス活性を有する。この活性は、実施例4で説明されているように、FVIIIまたはFIXを枯渇させた血漿を用いて凝固活性(aPPT)を測定することによって決定することができる。このような分析における凝固活性は、好ましくは、野生型の配列を有する組換え第X因子の凝固活性より、70倍大きい、より好ましくは100倍大きい増加、最も好ましくは500倍大きい増加を示す。
本発明に係る好ましい改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体は、天然に存在する第X因子の活性化切断ペプチドの配列内に改変を含む第X因子変異体と比較して増強された止血バイパス活性を有する第X因子変異体であり、ここにおいて、前記改変は、天然には第X因子配列のこの領域を切断しないプロテアーゼの切断部位を示し、それにより、前記追加の切断部位が切断されると、前記第X因子変異体が活性化される。
本発明のその他の形態は、止血バイパス薬の生産方法であり、本方法は、プロテアーゼによって切断される部位を、第X因子のアミノ酸配列の重鎖に挿入することを含む。好ましくは、この切断部位は、Ile235のC末端側に挿入される。この方法の好ましい実施態様は、本明細書で説明されている第X因子変異体の好ましい実施態様に対応する。
本発明はさらに、本願で説明されているような改変されたヒト第X因子をコードするポリヌクレオチドに関する。用語「ポリヌクレオチド」は、一般的に、あらゆるポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを意味し、これらは、改変されていないRNAもしくはDNAでもよいし、または改変されたRNAもしくはDNAでもよい。ポリヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖DNA、または一本鎖もしくは二本鎖RNAのいずれでもよい。また本明細書で用いられる用語「ポリヌクレオチド」は、1種またはそれ以上の改変された塩基、および/または通常ではない塩基、例えばイノシンを含むDNAまたはRNAも含む。当然のことながら、当業者既知の多くの有用な目的に合うようにDNAおよびRNAに様々な改変をなすことが可能である。本明細書で用いられる用語「ポリヌクレオチド」は、このようなポリヌクレオチドの化学的、酵素的または代謝的に改変された形態を包含し、加えて、ウイルスおよび細胞(例えば単純細胞および複雑細胞)に特徴的なDNAおよびRNAの化学的な形態も包含する。
当業者であれば、当然ながら、遺伝子コードの縮重のために、所定のポリペプチドは、様々なポリヌクレオチドによってコードされる可能性がある。これらの「変異体」は本発明に包含される。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、分離されたポリヌクレオチドである。用語「分離された」ポリヌクレオチドは、他の核酸配列、例えばこれらに限定されないが、他の染色体DNAおよび余分な染色体DNAおよびRNAから実質的に遊離のポリヌクレオチドを意味する。分離されたポリヌクレオチドは、宿主細胞から精製してもよい。分離されたポリヌクレオチドを得るために、当業者既知の従来の核酸精製法が使用可能である。またこの用語は、組換えポリヌクレオチドや化学合成されたポリヌクレオチドも含む。
本発明のさらにその他の形態は、本発明に係るポリヌクレオチドを含むプラスミドまたはベクターである。好ましくは、プラスミドまたはベクターは発現ベクターである。格別な実施態様において、ベクターは、ヒトの遺伝子治療に使用するためのトランスファーベクターである。
本発明のさらにその他の形態は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のプラスミドもしくはベクターを含む宿主細胞である。
本発明の宿主細胞は、ヒト第X因子の改変された相同体の生産方法で用いることが可能であり、これも本発明の一部である。このような方法は、以下を含む:
a)本発明の宿主細胞を、ヒト第X因子の改変された相同体が発現されるような条件下で培養すること;および
b)場合により、該宿主細胞または培地からヒト第X因子の改変された相同体を回収すること。
グリコシル化、またはその他の翻訳後修飾の程度と位置は、選択された宿主細胞と宿主細胞の環境の特徴に応じて変動し得る。特異アミノ酸の配列について言及する場合、このような配列の翻訳後修飾は本願に包含される。
本願で用いられる「第X因子」は、非活性型からなる生成物(第X因子)を意味する。「第X因子」は、上記の定義において、天然型のヒト第X因子のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。また「第X因子」は、わずかに改変されたアミノ酸配列を有するタンパク質、例えばN末端にアミノ酸欠失または付加を含む改変されたN末端を有するタンパク質も含み、ただしこのようなタンパク質が、実質的にXa因子の活性を保持する場合である。また「第X因子」は、上記の定義において、個体ごとに存在し、発生する可能性がある天然の対立遺伝子変異も含む。「第X因子」はさらに、上記の定義において、第X因子の変異体を含む。このような変異体は、1個またはそれ以上のアミノ酸残基に関して野生型の配列とは異なる。このような差異の例としては、Nおよび/もしくはC末端における1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基(例えば1〜10個のアミノ酸残基)のトランケーション、またはNおよび/もしくはC末端における1個もしくはそれ以上の追加の残基の付加、例えばN末端におけるメチオニン残基の付加、加えて保存的アミノ酸置換、すなわち類似の特徴を持ったアミノ酸のグループ、例えば(1)小さいアミノ酸、(2)酸性アミノ酸、(3)極性アミノ酸、(4)塩基性アミノ酸、(5)疎水性アミノ酸、(6)芳香族アミノ酸の中で行われる置換が挙げられる。表2に、このような保存的置換の例を示す。
Figure 2008541742
用語「組換え」は、例えば、遺伝子工学技術によって変異体が宿主生物中に生産されることを意味する。
企画された変異体の発現
適切な宿主細胞における高レベルでの組換えタンパク質生産は、上述の改変cDNAを、組換え発現ベクター中の適切な調節因子を共に含む効率的な転写単位へ構築することを必要とし、このような転写単位は、当業者既知の方法に従って様々な発現系で増殖させることができる。効率的な転写調節因子の構成要素は、それらの天然の宿主としてウイルスを有する動物細胞から、または動物細胞の染色体DNAから誘導することができる。好ましくは、シミアンウイルス40、アデノウイルス、BKポリオーマウイルス、ヒトサイトメガロウイルスから誘導されたプロモーター−エンハンサーの組み合わせ、またはラウス肉腫ウイルスのロングターミナルリピート、または例えばベータ−アクチンもしくはGRP78のような動物細胞中で構成的に強く転写された遺伝子を含むプロモーター−エンハンサーの組み合わせを用いることができる。cDNAから転写された安定な高レベルのmRNAを達成するために、転写単位は、その3’近位部分に転写終結ポリアデニル化配列をコードするDNA領域を含む方がよい。好ましくは、この配列は、シミアンウイルス40初期転写領域、ウサギベータ−グロビン遺伝子、またはヒト組織プラスミノゲン活性化因子遺伝子から誘導される。
続いてcDNAは、第X因子変異体を発現させるために適切な宿主細胞系のゲノムに統合される。好ましくは、この細胞系は、正しいフォールディング、Gla−ドメイン合成、ジスルフィド結合形成、アスパラギン結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化、およびその他の翻訳後修飾、加えて培地への分泌が確実に行われるように、脊椎動物起源の動物細胞系であるとよい。その他の翻訳後修飾の例としては、新生のポリペプチド鎖の水酸化、およびタンパク質分解プロセシングが挙げられる。使用可能な細胞系の例としては、サルCOS−細胞、マウスL−細胞、マウスC127−細胞、ハムスターBHK−21細胞、ヒト胎児腎臓293細胞が挙げられ、選択的にはハムスターCHO−細胞である。
対応するcDNAをコードする組換え発現ベクターは、いくつもの様々な方法で動物細胞系に導入することができる。例えば組換え発現ベクターは、種々の動物ウイルスをベースとしたベクターから作出することができる。この例としては、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルスをベースとするベクターが挙げられ、好ましくはウシパピローマウイルスをベースとするベクターである。
また対応するDNAをコードする転写単位は、組換えDNAがそれらのゲノムに統合された特異的な細胞クローンの分離を容易にするために、これらの細胞中で優勢な選択マーカーとして機能し得るその他の組換え遺伝子と共に動物細胞に導入することもできる。このタイプの優勢な選択マーカー遺伝子の例としては、ゲネチシン(G418)耐性を付与するTn5アミノ配糖体ホスホトランスフェラーゼ、ハイグロマイシン耐性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、およびピューロマイシン耐性を付与するピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼが挙げられる。このような選択マーカーをコードする組換え発現ベクターは、所望のタンパク質のcDNAをコードするベクターと同じベクターに存在していてもよいし、または同時に導入されて宿主細胞のゲノムに統合された別個のベクターにコードされていてもよく、この場合、異なる転写単位との間に強固な物理的な結合が生じることが多い。
所望のタンパク質のcDNAと共に使用可能なその他のタイプの選択マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)をコードする様々な転写単位に基づく。このタイプの遺伝子を、内因性のdhfr活性が欠けている細胞、選択的にはCHO−細胞(DUKX−B11、DG−44)に導入した後、これらをヌクレオシドが存在しない培地で増殖させることができる。このような培地の例としては、ヒポキサンチン、チミジンおよびグリシン不含のHamF12が挙げられる。これらのdhfr−遺伝子は、同じベクターまたは異なるベクターのいずれかに連結させて、凝固因子のcDNA転写単位と共に上記のタイプのCHO−細胞に導入することができ、このようにして組換えタンパク質を生産するdhfr陽性細胞系を作出することができる。
上記の細胞系を細胞毒性のdhfr阻害剤メトトレキセートの存在下で増殖させた場合、新しいメトトレキセート耐性の細胞系が発生すると予想される。これらの細胞系は、増幅された多数の連結されたdhfrおよび所望のタンパク質の転写単位のために高率で組換えタンパク質を生産する。これらの細胞系を高濃度のメトトレキセート(1〜10000nM)中で増殖させる場合、極めて高率で所望のタンパク質を生産する新しい細胞系を取得することができる。
上記の所望のタンパク質を生産する細胞系は、懸濁培養で、または様々な固体支持体上でのいずれかによってラージスケールで増殖させることができる。これらの支持体の例としては、デキストランまたはコラーゲンマトリックスベースのマイクロキャリアー、または中空糸または様々なセラミック材料の形態の固体支持体が挙げられる。細胞の懸濁培養で、またはマイクロキャリアー上で増殖させる場合、上記の細胞系の培養は、バッチ培養、または長期間にわたり調整培地を連続生産する潅流培養のいずれかで行うことができる。従って本発明によれば、上記の細胞系は、所望の組換えタンパク質を生産するための工業的なプロセスの開発に十分適している。
組換えタンパク質は上記のタイプの分泌細胞の培地中に蓄積し、これらは、様々な生化学的方法やクロマトグラフィー法によって濃縮して精製することができ、このような方法としては、細胞培地中に含まれる所望のタンパク質とおよびその他の物質との大きさ、電荷、疎水性、溶解性、特異的な親和性などの差を利用する方法が挙げられる。
このような精製法の例としては、固体支持体に固定したモノクローナル抗体への組換えタンパク質の吸着が挙げられる。上記タンパク質を脱着させた後、上記の特性に基づく様々なクロマトグラフィー技術によってさらに精製してもよい。
本発明の改変された生物学的に活性な第X因子変異体は、80%以上の純度に精製することが好ましく、より好ましくは95%以上の純度に精製することであり、特に好ましくは、高分子、特に他のタンパク質および核酸の汚染に対して99.9%より高い純度を有し、感染性のおよび発熱性の物質を含まない製薬的に純粋な状態である。好ましくは、本発明の分離または精製された改変された生物学的に活性な第X因子変異体は、他のポリペプチドを実質的に含まない。
本発明で説明される組換えタンパク質は、治療用途のための医薬調製物に製剤化することができる。精製されたタンパク質は、従来の生理学的に適合する水性緩衝溶液に溶解させてもよく、それに場合により医薬調製物を提供するための医薬添加剤を添加してもよい。
このような製薬キャリアーおよび添加剤、加えて適切な医薬製剤は、当技術分野でよく知られている(例えば、“Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins”,Frokjaer等,Taylor&Francis(2000)、または“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,第三版,Kibbe等,Pharmaceutical Press(2000)を参照)。特に、本発明のポリペプチド変異体を含む医薬組成物は、凍結乾燥した形態、または安定な可溶性の形態に製剤化してもよい。本ポリペプチド変異体は、当技術分野で既知の様々な手法によって凍結乾燥することができる。凍結乾燥製剤は、滅菌注射用水または滅菌生理食塩水のような1種またはそれ以上の製薬上許容できる希釈剤の添加によって使用前に再溶解される。
本組成物の製剤は、製薬的に適切なあらゆる投与手段によって個体に送達される。あらゆる便利な経路によって本組成物を投与するのに使用可能な様々な送達システムが既知である。選択的には、本発明の組成物は全身投与される。全身投与で使用するために、本発明の第X因子変異体は、従来の方法に従って、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、大脳内、肺内、鼻腔内、または経皮)、または経腸(例えば、経口、経膣または直腸)送達用に製剤化される。最も選択的な投与経路は、静脈内投与である。このような製剤は、持続点滴またはボーラス注射によって投与することができる。遅延放出システムを包含する製剤もある。
本発明の改変された生物学的に活性な第X因子変異体は、治療上有効な用量で患者に投与され、ここにおいて、治療上有効な用量は、許容できない副作用を生じる用量に達することなく、所望の効果を生じさせる、治療しようとする疾患または適応の重症度または拡散を予防したり、または減少させたりするのに十分な用量を意味する。的確な用量は、例えば適応症、製剤、投与様式などの多くの要因に依存し、それぞれの適応症については前臨床試験および臨床試験で決定する必要がある。
本発明の医薬組成物は、単独で投与してもよいし、または他の治療剤と併用して投与してもよい。このような物質は、同一の医薬の一成分として組み入れることができる。
本発明のその他の形態は、血液凝固障害を治療または予防する医薬を製造するための、本明細書で説明されているようなヒト第X因子の改変された相同体、本発明のポリヌクレオチド、本発明のプラスミドまたはベクター、または本発明の宿主細胞の使用である。血液凝固障害としては、これらに限定されないが、血友病A、血友病B、またはFVII/FVIIa欠損症が挙げられる。好ましくは、これらの病気は、それぞれの凝固因子に対する自己免疫抗体によって引き起こされるか、または、それにより先天性の形態が悪化するものである。特定の実施態様において、治療しようとする患者は、第VIII因子に対する阻害抗体を有する。好ましくは、このような治療は、ヒトの遺伝子治療を含む。
本発明はまた、血液凝固障害に罹った個体、例えば血友病A、血友病BまたはFVII/FVIIa欠損症に罹った個体の治療方法に関し、好ましくは、これらの病気は、それぞれの凝固因子に対する自己免疫抗体によって引き起こされるか、または、それにより先天性の形態が悪化するものである。本方法は、前記個体に、本明細書で説明されているようなヒト第X因子の改変された相同体の有効量を投与することを含む。その他の実施態様において、本方法は、前記個体に、有効量の本発明のポリヌクレオチド、または本発明のプラスミドもしくはベクターを投与することを含む。あるいは、本方法は、前記個体に、本明細書で説明されている本発明の宿主細胞の有効量を投与することを含んでもよい。
表および図面の説明
図1:
実施例1で説明されているような、コンストラクトpFX619によってコードされたFX変異体の挿入されたプロテアーゼによって切断される部位をコードする核酸配列の概略図である。
図2:
FX野生型、および新たに導入されたプロテアーゼによって切断される部位を有するFX変異体の概略図である。番号は、配列番号2のアミノ酸の番号付けを参考にしており、活性化ペプチドは、Arg182〜Ile235のアミノ酸配列と定義される。第IX因子から誘導された外来の活性化配列は、太字で図示した。下線で示したアミノ酸は点突然変異を意味し、このような点突然変異は、それぞれの第X因子の分子の、それぞれテナーゼ複合体および第VIIa因子/組織因子による活性化を不可能にする。コンストラクト「pFX−532」は、野生型の第X因子配列に相当する。
図3:
野生型第X因子のヌクレオチド配列およびタンパク質配列である。
実施例1:発現プラスミドの構築
第X因子のコード配列を、PCRによって、プライマーWe1292およびWe1293(配列番号3および4)を用いて、ヒト肝臓cDNAライブラリー(アンビオン(Ambion))から増幅した。プライマーWe1354およびWe1355(配列番号5および6)を用いた二回目のPCRサイクルにおいて、制限エンドヌクレアーゼNheIのための切断部位を5’末端に導入し、制限エンドヌクレアーゼNotIのための切断部位をフラグメントの3’末端に導入した。次に、PCRフラグメントを、pIRESpuro3(BDバイオサイエンス(BD Biosciences))のNheI/NotI部位に挿入した。得られたプラスミドを、pFX−445と命名した。
プロペプチドのプロセシングを改善するために、39番目のアミノ酸スレオニン(配列番号2)を、アルギニンで置換することによって切断部位を改善した(Rudolph等,1997(Protein Expression and Purification 10:373〜378))。そのために、pFX−445を、標準的な方法に従って(クイックチェンジXL(QuickChange XL)部位特異的変異誘発キット,ストラタジーン(Stratagene))、オリゴヌクレオチドWe1482およびWe1483(配列番号7および8)を用いて部位特異的変異誘発で処理した。得られたプラスミドを、pFX−532と命名した。
以下で説明される全ての突然変異を、市販の変異誘発キット(クイックチェンジXL部位特異的変異誘発キット,ストラタジーン)を用いて行った。pFX−532をベースとして、第XIa因子切断部位を含むコンストラクトを作製した。オリゴヌクレオチドWe1444およびWe1445(配列番号9および10)を用いた置換変異誘発により、第X因子の活性化領域の8個のアミノ酸(配列番号2のアミノ酸225〜233)が、FIXの活性化領域からの8個のアミノ酸で置換されたプラスミドpFX−535を得た(図3)。
オリゴヌクレオチドWe1561aおよびWe1562a(配列番号11および12)を用いた挿入による変異誘発により、第X因子アミノ酸235位と236位との間にFIX活性化領域の10個のアミノ酸からなる挿入物を含むプラスミドpFX−619を得た(配列番号2)。
pFX−532におけるオリゴヌクレオチドWe1567およびWe1568(配列番号13および14)を用いた部位特異的変異誘発を用いて、プラスミドpFX−641を作製した。これは、第X因子活性化ペプチド内に2種の突然変異、Leu232AspおよびThr233Aspを含んでおり、それによって、活性化が不可能な第X因子の分子が得られた。同様に、プライマーWe1587およびWe1588(配列番号15および16)をプラスミドpFX−619に適用することによって、プラスミドpFX−635を作製した(図2)。
実施例2:改変された第X因子の分子のトランスフェクションおよび発現
このプラスミドを、E.coliTOP10(インビトロジェン(Invitrogeusing))中で増殖させ、標準的なプロトコール(キアゲン(Qiagen))を用いて精製した。HEK293細胞を、リポフェクトアミン2000試薬(インビトロジェン)を用いてトランスフェクションし、無血清培地(インビトロジェンの293エクスプレス(293 Express))中で、50ng/mlビタミンKおよび4μg/mlピューロマイシンの存在下で増殖させた。トランスフェクションから約4週間後に、生化学的な特徴付けのために上清を回収した。
実施例3:組換え第X因子変異体の特徴付け
第X因子変異体の発現を、第X因子に対するモノクローナル抗体を用いた定量ELISAによって制御した。その後、組換えタンパク質の完全性を、SDS−PAGEとウェスタンブロッティングによって解析した。サンプルを、還元条件下と非還元条件下で解析した。血漿の第X因子を、天然型の分子量コントロールとして利用した。Xa因子を用いて、自己活性化の場合におけるあらゆる活性化された組換え第X因子変異体を検出し、比較した。ウェスタンブロットで目視で観察して、全ての組換え第X因子変異体が、正しい分子量の約58kDaで発現し、血漿の第X因子の相当する位置に移動した。還元した場合、組換え第X因子変異体は、約40kDaの重鎖(HC)と、約20kDaの軽鎖(LC)に分解する。58kDaのバンドは、プロセシングされていない一つの鎖(one−chain:OC)の第X因子を示す。ウェスタンブロットでは、Xa因子も第X因子の凝集体も検出されなかった。
実施例4:ヒト第X因子、第VIII因子および第IX因子を欠いた血漿中、ならびにヒトインヒビター血漿中の、組換え第X因子変異体のインビトロ活性の調査
外因性の凝固経路の活性を測定するプロトロンビン時間(PT)分析で、第X因子の活性を決定した。第X因子を欠いた血漿100μlを、第X因子変異体の細胞培養上清100μlまたは精製したタンパク質と混合した。37℃で60秒インキュベートした後、この混合物に、ヒト血漿由来のトロンボプラスチン、CaCl2およびリン脂質を含むトロンボレル(Thromborel;デイド・ベーリング(Dade Behring))200μlを添加し、シュニットガー&グロス(Schnittger&Gross)の凝固タイマーを用いることによって凝固時間を秒で測定した。第X因子の活性を決定するために、この分析を血漿の第X因子標準を用いて較正した。突然変異した第X因子pFX−641の細胞培養上清は、この分析のネガティブコントロールとしての機能を果たすことができる。この突然変異体は、野生型の第X因子活性化ペプチド内に機能しない切断部位を包含し、これはpFX635中のものと同様である。予想通りに、この突然変異体を、216.4U/mlの第X因子に相当する抗原レベルで試験したところ、凝固活性は、0.5mU/mlにしかならなかった。
pFX532から誘導された組換え野生型の第X因子、ならびにpFX535、pFX619およびpFX635から誘導された第X因子変異体を精製し、抗原を、2.8〜4.3U/mlの範囲の濃度の第X因子の抗原に特異的な抗体を用いたELISAによって測定した。Xa因子による第X因子測定の混乱を取り除くために、発色分析(デイド・ベーリング)によってXa因子を測定した。いずれの精製した第X因子変異体も、Xa因子を0.028〜0.051mU/mlのレベルでしか含まず(表3)、第X因子測定を有意に妨害することはなかった。
発現された第X因子変異体を互いに比較するために、第X因子の凝固活性を測定し、約1.5mU/mlに調整した。試験された全ての変異体は機能的に活性であり、1.48〜1.72mU/mlの凝固活性が生じた(表3)。
FVIIIおよびFIXが欠けた血漿中の組換え第X因子変異体の機能性を、内因性の凝固カスケードの活性を測定するための活性化部分プロトロンビン時間(aPPT)で試験した。FVIIIまたはFIXが枯渇した血漿100μlを、第X因子変異体の細胞培養上清100μl、または精製したタンパク質と混合した。37℃で6分間インキュベートした後、SiO2、リン脂質および40mMのNaClを含むパトロンプティン(Pa
thromptin,デイド・ベーリング)100μl、ならびに25mMのCaCl2(100μl)を添加して、凝固反応を開始させた。シュニットガー&グロスの凝固タイマーを用いることによって、凝固時間を秒で測定した。活性を、標準的なヒト血漿と比較して、それぞれの凝固するFXの等量として表した。
組換え野生型の第X因子の凝固活性は、予想通りに、第VIII因子を枯渇させた血漿ではわずか6.6mU/mlであり、FIXを枯渇させた血漿ではわずか5.8mU/mlであった。それに対して、第X因子変異体の凝固活性は、第VIII因子を枯渇させた血漿では、423.7〜8545.8mU/mlの範囲であり、FIXを枯渇させた血漿では、272.3mIU/ml〜4620.2mIU/mlの範囲であった。これは、挿入された第XIa因子の切断部位の機能性が、FXを、凝固活性を有する止血バイパス薬に変化させることを実証する(表3)。
驚くべきことに、そして全ての組換え第X因子変異体を第X因子の凝固活性に調整したにもかかわらず、pFX−619およびpFX635から誘導された第X因子変異体はそれぞれ8545.8mU/mlおよび2692.0mU/mlの強い凝固活性を引き起こし、一方pFX535から誘導された第X因子変異体の凝固活性は、FVIIIを枯渇させた血漿において、423.7にしかならなかった(表2)。pFX−619およびpFX−635において、新規の第IX因子の活性化配列が、重鎖のアミノ酸末端部分のIle235のC末端側に挿入されているが、第X因子の完全な活性化ペプチド配列を維持しているという点で、pFX619およびpFX635から誘導された変異体はpFX535とは異なる。pFX535から誘導された第X因子変異体は、WO01/10896に記載されている野生型のFX活性化ペプチドの領域内のIle235のN末端側に挿入された新規の第IX因子の活性化配列を有する第X因子変異体に相当し、それに対してpFX619およびpFX635は、本発明の第X因子変異体である。興味深いことに、pFX619およびpFX635によってコードされた第X因子変異体も、FIXを枯渇させた血漿中で、それぞれ4620.2mU/mlおよび1644.8mU/mlの強い凝固活性を引き起こしたが、一方で、pFX535から誘導された第X因子変異体の凝固活性は272.3mU/mlにしかならず、これは、それぞれFVIIIまたはFIXを枯渇させた血漿に基づくFVIIIまたはFIXの凝固分析で得られた結果を裏付けている。
(表2)。
さらに、血友病A患者由来のFVIIIインヒビターを含む血漿を用いて機能的な活性の測定を行った。患者の血漿には、1mlあたり約300ベセスダ単位のFVIIIインヒビターが含まれていた。上述のようにして、aPPTで凝固を測定し、サンプルを第X因子の凝固に調整した。
サンプルの緩衝液コントロールを標準の希釈に用いたところ、試験サンプルの凝固時間は156.5秒になり、組換え野生型の第X因子の凝固時間は111.4秒になった。FVIIIまたはFIXを枯渇させた血漿に基づく、FVIIIまたはFIXの凝固分析の驚くべき結果を確認したところ、pFX619およびpFX635から誘導された第X因子変異体は、FVIII阻害抗体を含む血漿に基づくFEIBA分析において、第X因子変異体pFX535を用いた場合に得られたそれぞれの凝固時間51.1秒よりも有意に短い、33.7および38.4秒の凝固時間の結果になった。
総合すると、第X因子変異体は、止血バイパス薬として機能的に活性であること、およびこれらの第X因子変異体は、第VIII因子に対するインヒビターを含む血友病A患者の血漿において凝固活性を示すことが示された。我々が驚いたことに、第VIII因子および第IX因子を枯渇させた血漿において、同じ第X因子の凝固等量に調整した場合、pFX619およびpFX635によってコードされた第X因子変異体は、pFX535によってコードされた第X因子変異体と比較してかなり強い凝固活性を示した。
Figure 2008541742
実施例5:モノクローナル抗体アフィニティークロマトグラフィーによる組換え第X因子変異体の精製
組換え第X因子変異体pFX635の精製で精製したあらゆる第X因子変異体の実施例に代えた。第X因子に特異的なモノクローナル抗体FX−13(ZLBベーリング)を、CNBr活性化セファロースにカップリングした。得られた親和性樹脂をファルマシア(Pharmacia)XK16クロマトグラフィーカラムに注入し、直径1.6cm、高さ1.8cmの親和性マトリックスを形成し、ゲル3.6mlを得た。この親和性マトリックスを、2.5MのNaCl、10mMのリン酸水素二ナトリウム塩中で保存した。使用前に、このゲルを、ゲル体積の10倍の20mMのトリ−クエン酸ナトリウム、0.15MのNaCl(HClでpH7.0にした)で平衡化した。
100mIU/mlより多くの第X因子−抗原を含む細胞培養上清を、平衡緩衝液2〜4L中でヴィスキング(VISKING)チューブ(タイプ32/36)を用いて、4〜8℃で一晩透析した。
親和性ゲルに、透析した上清70mlを1ml/分の流速でローディングした。ゲルを10倍量の平衡緩衝液で洗浄し、その後、0.1Mグリシン(HClでpH2.5にした)で溶離させた。溶離した物質をNaOHで中和し、1.0MのNaClおよび0.1mg/mlカプリル酸ナトリウムで安定化した。
流出した分画からの、および溶離した物質からの第X因子変異体pFX635の細胞培養上清由来のサンプルを、SDS−PAGE、それに続いて銀染色で解析した。58kDaのタンパク質バンドを、上述の方法で精製した。58kDaのバンドは、第X因子変異体635と類似しており、これは、抗第X因子抗体をプローブとして用いたウェスタンブロッティングで確認された通りであった。
実施例1で説明されているような、コンストラクトpFX619によってコードされたFX変異体の挿入されたプロテアーゼによって切断される部位をコードする核酸配列の概略図である。 FX野生型、および新たに導入されたプロテアーゼによって切断される部位を有するFX変異体の概略図である。 野生型第X因子のヌクレオチド配列およびタンパク質配列である。 図3−1の続きである。 図3−2の続きである。

Claims (24)

  1. 改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体であって、改変の一つは、プロテアーゼによって切断される部位が追加で挿入されることからなり、追加の切断部位は、第X因子の重鎖中のIle235のC末端側に挿入される、上記変異体。
  2. プロテアーゼによって追加の切断部位が切断されると、活性化が起こる、請求項1に記載の改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体。
  3. プロテアーゼは、天然には第X因子を活性化しない、請求項1または2に記載の改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体。
  4. 天然で第X因子を活性化するプロテアーゼによって第X因子変異体をもはや切断および活性化ができなくなるように、天然の第X因子活性化ペプチドが改変される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体。
  5. 挿入されたプロテアーゼによって切断される部位によって、セリンプロテアーゼによる改変された第X因子変異体の活性化が可能になる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体。
  6. 挿入されたプロテアーゼによって切断される配列は、第IIa因子、第IXa因子、第Xa因子、第XIa因子、第XIIa因子、活性化されたプロテインC、エラスターゼ、またはカリクレインによる改変された第X因子変異体の活性化を可能にする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体。
  7. 挿入された切断される部位は、少なくとも3個のアミノ酸を包含する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体。
  8. 第X因子変異体は、天然に存在する第X因子の切断される活性化ペプチド配列内に改変を含む第X因子変異体と比較して、増強された止血バイパス活性を有しており、この改変は、天然には第X因子配列のこの領域を切断しないプロテアーゼのプロセシング部位を表し、追加の切断部位が切断されると第X因子変異体が活性化される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の改変された生物学的に活性な組換え第X因子変異体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の生物学的に活性な組換え第X因子変異体をコードするポリヌクレオチド。
  10. 請求項9に記載の核酸を含むプラスミドまたはベクター。
  11. 発現ベクターである、請求項10に記載のプラスミドまたはベクター。
  12. ヒトの遺伝子治療に使用するためのトランスファーベクターである、請求項10に記載のプラスミドまたはベクター。
  13. 請求項9に記載のポリヌクレオチド、または請求項10〜12のいずれか一項に記載のプラスミドもしくはベクターを含む宿主細胞。
  14. 請求項13に記載の宿主細胞を、改変された組換え第X因子変異体を発現するような条件下で培養すること;および、
    場合により、該宿主細胞または培地から改変された組換え第X因子変異体を回収すること、
    を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の生物学的に活性な組換え第X因子変異体の生産方法。
  15. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の生物学的に活性な組換え第X因子変異体、請求項9に記載のポリヌクレオチド、または請求項10〜12のいずれか一項に記載のプラスミドまたはベクターを含む医薬組成物。
  16. 血液凝固障害を治療または予防する医薬を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の生物学的に活性な組換え第X因子変異体、請求項9に記載のポリヌクレオチド、請求項10〜12のいずれか一項に記載のプラスミドもしくはベクター、または請求項14に記載の宿主細胞の使用。
  17. 血液凝固障害は、血友病Aである、請求項16に記載の使用。
  18. 血友病Aは、FVIIIに対する自己抗体によって引き起こされるか、または悪化する、請求項17に記載の使用。
  19. 血液凝固障害は、血友病Bである、請求項16に記載の使用。
  20. 血友病Bは、FIXに対する自己抗体によって引き起こされるか、または、悪化する、請求項19に記載の使用。
  21. 血液凝固障害は、FVIIおよび/またはFVIIa欠損症である、請求項16に記載の使用。
  22. FVIIおよび/またはFVIIa欠損症は、FVIIおよび/またはFVIIaに対する自己抗体によって引き起こされるか、または悪化する、請求項21に記載の使用。
  23. 治療は、ヒトの遺伝子治療を含む、請求項16〜22のいずれか一項に記載の使用。
  24. 凝血を促進する特性を有する医薬を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の生物学的に活性な組換え第X因子変異体、請求項9に記載のポリヌクレオチド、請求項10〜12のいずれか一項に記載のプラスミドもしくはベクター、または請求項13に記載の宿主細胞の使用。
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