JP2008535297A - 音声の自然性を改善するトランスデューサ装置 - Google Patents

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Abstract

結論として、本発明による好ましい実施形態では、音声システムは2つのラウドスピーカ(LA、LB)を含み、2つのラウドスピーカ(LA、LB)は、これらの極放射パターンの最大値が少なくとも30度異なり且つ聴取者の方向にコヒーレントな音声を発生させる方向を有するように2つのラウドスピーカ(LA、LB)を位置決めすることによって、聴取者の耳(C1)において2つのラウドスピーカ(LA、LB)のスペクトルシグネチャを遮蔽する。これらの2つの態様は合わせて聴取者の同じ耳(C1)において2つのラウドスピーカ(LA、LB)の異なる音声勾配を生じさせると共に、空間的にシフトした異なるラウドスピーカ(LA,LB)から耳(C1)に到達する情報が依然としてコヒーレントで拡散によってぼやけない。ラウドスピーカLA、LBは、同じ耳において十分に異なる音声勾配を得るように離間して配置しなければならない。
【選択図】図5

Description

本発明は、聴覚音声情報の電気音響伝送の改善のための音声システム、少なくとも2つのチャンネルにおいて電気音響伝送の改善のためのかかる音声システムを含む多チャンネル音声システム、音声システムで用いるためのスタンド、音声システムを含む単一ケーシング、及び音声システムの電気音響トランスデューサ構造体から得られた第1の信号及び第2の信号を含む記憶媒体又は伝送信号に関する。
従来技術の音声システムは、目的の音声情報の伝送品質を改善するための単一又は多チャンネルトランスデューサアレイを含む。例えば、ステレオ構成における2個のラウドスピーカボックス等のトランスデューサアレイは、聴取者に2つの類似する音声信号を提供することができる。英国特許第394,325号で開示されているように、両耳の聴取者は、耳がほぼ同時に等しいインテンシティで2つの信号を受信する場合には、2つのラウドスピーカの中間でステレオ音声源を定位することができる。従って、両耳を使う耳−脳システムの合成定位機構は、隣接する2つの物理的スピーカの中間に1つ又はそれ以上の仮想音源が存在するという印象を与える。このことは、B.C.J.Moore、「An Introduction to the Psychology of Hearing(聴覚心理学入門)」第4版、Academic、San Diego(1997年)、p232〜234で開示されている。但し、特に多チャンネルアレイに関して、伝送音声は、1つのスピーカ単独の音声よりも完全性の高い目的音声情報を有するように知覚されるが、G.Theile、「Ueber die Lokalisation im ueberlagerten Schallfeld(音場の重なりによる定位に関して)」、Dissertation、Techn.Universitat Berlin(1980年)で開示されているように、ラウドスピーカの空間−スペクトル特性が依然として検出可能であるので、かかる音システムはアレイのそれぞれのトランスデューサが定位可能であるといった問題を有し、これはこの技術の利点に悪影響を与える。
空気とインピーダンス整合がとられた全ての音声トランスデューサは、トランスデューサ構造体の物理的寸法に応じた波長を有する音声波と最も効率的に相互作用する。この作用は、周波数応答が方向と共に変化するように影響を与え、共振特性を生じさせる。結果として生じる音声波面は、いわゆるバッフルステップによって変更される。バッフルステップに関する詳細な情報は、Andy Unruhの論文「Understanding Cabinet Edge Diffraction(キャビネット縁部の回折の理解)」、Unruh Acoustics、http://www.speakerdesign.net/understand.htmlで見ることができる。トランスデューサ要素のエンクロージャ形状、更にトランスデューサ要素自体の形状による波の反射及び回折は、トランスデューサ構造体の極応答パターンをモデル化する、周波数依存の音圧差の粒子速度勾配を引き起こす。関連刊行論文には、Olson,H.F.、「Direct Radiator Loudspeaker Enclosures(直接放射体ラウドスピーカエンクロージャ)」、JAES第17巻、第1号(1969年10月)、22〜29頁、Joerg Panzer、「Far−field radiation from a source in a flat rigid baffle of finite size(有限サイズの平坦剛体バッフルにおける音源からの遠方界放射)」;New Transducers Ltd,英国Huntingdon;及びW.R.Woszcsyk「The Increase of Transducer Directivity Using Diffractive Attachments(回折アタッチメントを用いたトランスデューサの指向性の向上)」、J.Acoust.Soc.Am.補遺編1第84巻(1988年)がある。
これ以降本明細書ではトランスデューサの空間−スペクトル輪郭と呼ぶこの形状に関連する伝達関数は、スピーカアレイから前述の聴取者の鼓膜に到達する音声波形において明らかである。刊行論文G.von Bekesy(1960年)、E.G.Wever(編集者)、「Experiments in Hearing(聴覚における実験)」、New York,NY,McGraw Hillで開示されているように、観測者が関与する場合には、スペクトルシグネチャとも呼ばれるこの空間−スペクトル輪郭により定位能力がもたらされ、入力信号内に埋め込まれた結果として生じるあらゆる仮想音源の知覚品質が影響を受ける。以下において、いずれの状況においてもスペクトルシグネチャが使用されるが、実際に何を意味しているかは文脈から明らかであろう。
英国特許第394,325号公報 米国特許第5,309,518号公報 米国特許第5,949,893号公報 独国特許第19605130号公報 米国特許第4,590,333号公報 米国特許第3,424,873号公報 米国特許第4,675,906号公報 B.C.J.Moore、「An Introduction to the Psychology of Hearing(聴覚心理学入門)」第4版、Academic、San Diego(1997年) G.Theile、「Ueber die Lokalisation im ueberlagerten Schallfeld(音場の重なりによる定位に関して)」、Dissertation、Techn.Universitat Berlin(1980年) Andy Unruhの論文「Understanding Cabinet Edge Diffraction(キャビネット縁部の回折の理解)」、Unruh Acoustics、http://www.speakerdesign.net/understand.html Olson,H.F.、「Direct Radiator Loudspeaker Enclosures(直接放射体ラウドスピーカエンクロージャ)」、JAES第17巻、第1号(1969年10月)、22〜29頁 Joerg Panzer、「Far−field radiation from a source in a flat rigid baffle of finite size(有限サイズの平坦剛体バッフルにおける音源からの遠方界放射)」;New Transducers Ltd,英国Huntingdon W.R.Woszcsyk「The Increase of Transducer Directivity Using Diffractive Attachments(回折アタッチメントを用いたトランスデューサの指向性の向上)」、J.Acoust.Soc.Am.補遺編1第84巻(1988年) G.von Bekesy(1960年)、E.G.Wever(編集者)、「Experiments in Hearing(聴覚における実験)」、New York,NY,McGraw Hill B.C.J.Moore、「Interference effects and phase sensitivity in hearing(聴覚における干渉効果及び位相感度)」、Phil.Trans.R.Soc.Lond.A360:833〜858頁(2002年) Blauert, J.(1983年)、「Spatial hearing−the psychoacoustics of human sound localization(空間聴覚−人間音声定位の精神音響学)」The MIT Press,Cambridge,MA
本発明の目的は、音声トランスデューサ構造体の空間−スペクトル輪郭による目的音声の波形形状の遮蔽を低下させる音声システムを提供することである。
本発明の第1の態様は、請求項1に記載する音声システムを提供する。本発明の第2の態様は、請求項28に記載する多チャンネル音声記録システムを提供する。本発明の第3の態様は、請求項33に記載する、音声システムにおいて用いるためのスタンドを提供する。本発明の第4の態様は、請求項34で定義される単一ケーシングを提供する。本発明の第5の態様は、請求項35で定義される記憶媒体を提供する。本発明の第6の態様は、請求項36で定義される伝送信号を提供する。本発明の第7の態様は、請求項37で定義される音声システムを提供する。従属請求項においては有利な実施形態が定義される。
人間の聴覚システムは、音圧にのみ感度を有する鼓膜に到達する音声波形の振幅変動の過渡形状パターンに極めて高い感度を有し、これについては、B.C.J.Moore、「Interference effects and phase sensitivity in hearing(聴覚における干渉効果及び位相感度)」、Phil.Trans.R.Soc.Lond.A360:833〜858頁(2002年)を参照されたい。本発明は、聴覚システムの上記感度のモノラルスペクトルコーディング分解能が両耳相互相関分解能よりも低いようであるという洞察に基づいている。モノラルスペクトルコーディングは、Blauert, J.(1983年)、「Spatial hearing−the psychoacoustics of human sound localization(空間聴覚−人間音声定位の精神音響学)」The MIT Press,Cambridge,MAによって定義されている。このモノラルスペクトルコーディングは、全体的なシステムの透明性及び安定性を改善するために、トランスデューサのスペクトルシグネチャによって波形の劣化が少ないように波形を再成形する機会を提供する。ここで耳は、2つのトランスデューサ構造体の空間シグネチャにそれぞれ関連する2つの異なる空気粒子速度勾配に暴露することができる。これらの異なる空気粒子速度勾配は、互いに干渉し合い、従って、耳によって検出され難い特定のスペクトルシグネチャをもたらす。一方、鼓膜を励振する音圧波のコヒーレンスは保持される。このような、結果として生じる波形エンベロープに対するトランスデューサ構造体のスペクトルシグネチャの影響の低下によって、トランスデューサが不明瞭となり、従って、定位困難となってアレイ技術の利点をもたらす。空間的にシフトしたスペクトルシグネチャを拡散させることによって物理的音源の定位能力が抑制される場合、線形性等に関する他の技術基準は極めて決定性に乏しい。この作用は、聴覚システムがその物理的環境を主に感知するナビゲーションシステムであり、元来物理的に存在するトランスデューサから導出される仮想音源を処理するようには開発されていないといった推論に基づいている。
本発明の第1の態様による音声システムは、第1及び第2のトランスデューサ構造体を含む。通常トランスデューサ構造体は、少なくとも1つの電気音響トランスデューサ及びそのカプセル封入又はケーシング並びに任意的な導波管を含む。各トランスデューサ構造体は、単一のラウドスピーカ又は複数のラウドスピーカを備えることができる。或いは、各トランスデューサは、単一のマイクロフォン又は複数のマイクロフォンであるか、或いは単一のラウドスピーカ又は複数のラウドスピーカとすることができ、トランスデューサの他方は1つ又はそれ以上のマイクロフォンを含む。複数のラウドスピーカ又はマイクロフォンは、望ましい指向性を得るように実装することができる。これらのラウドスピーカ又はマイクロフォンは、完全な周波数帯域をカバーすることができる。或いは、複数のラウドスピーカ又はマイクロフォンは、合わせて完全な周波数帯域をカバーするように実装することができる。
第1のトランスデューサ構造体は、単軸極応答パターンの最大方向感度で延び、又はトロイダル極応答パターンの回転対称軸である第1の軸を有する。第2のトランスデューサ構造体は、単軸極応答パターンの最大方向感度で延び、又はトロイダル極応答パターンの回転対称軸である第2の軸を有する。トランスデューサは異なる極応答パターンを有することができる。極応答パターンが単軸の場合には、定義軸は応答パターンにおける最大値の方向に延びる軸である。極応答がトロイダルである場合には、定義軸は極応答パターンの回転対称軸である。トランスデューサ構造体のスペクトルシグネチャ効果を低減するようにトランスデューサ構造体を配列しなければならない以下の方法において、これらの軸の定義を明確にすることが必要とされる。トロイダル及び単軸極応答パターンは、完全な円形で、又は完全なオーディオ周波数範囲にわたって存在する必要はない。好ましくは、これらの指向性スペクトルは、同じオーダーのバッフルステップに関連する。好ましくは、バッフルステップは、ほぼ人間の頭部の寸法である約14〜23cmを超えない放射面に関連する。トランスデューサ構造体は異なる周波数において異なる最大方向感度を有する可能性があり、低周波数ではトランスデューサ構造体は全方向極応答パターンを有することができる点に留意されたい。
トランスデューサ構造体は、人間の基準聴取者の正中面と第1の音響トランスデューサ及び第2のトランスデューサの音響中心を結ぶ線との間で実質的に−30度から30度の範囲の角度を得るように位置付けられる。正中面は、刊行論文B.C.J.Moore、「An Introduction to the Psychology of Hearing(聴覚心理学入門)」第4版、Academic, San Diego(1997年)、214頁で開示されている。上記線はこれ以後、相互接続線とも呼ばれる。このことは、第1及び第2のトランスデューサの両方が正中面の同じ側又は正中面内に存在し、両方のトランスデューサと正中面との間の距離の差が角度によって定義される限度内にあることを意味する。好ましくは、相互接続線は、トランスデューサが正中面に対して実質的に等距離を有するように正中面に実質的に平行に延びる。
人間の基準聴取者は仮想上の人物である。全トランスデューサがラウドスピーカである実施形態では、実際の聴取者がこの仮想位置に存在することができる。全トランスデューサがマイクロフォンである実施形態では、実際の聴取者の頭がこの位置に存在すると考えることができる。マイクロフォンによって記録される音声は、人物がこの位置に存在していた場合にこの人物が聴取するはずのものを反映している。
第1及び第2のトランスデューサが共に単軸極応答パターン又はトロイダル極応答パターンのいずれかを有する場合には、トランスデューサは、第1の軸と第2の軸との間で実質的に70度から110度の角度を得るように更に位置付ける必要がある。トランスデューサが単軸極応答パターンを有する場合には、音声は第1又は第2の軸に実質的に沿った方向に伝播し、トランスデューサがトロイダル極応答を有する場合には音声は第1又は第2の軸に垂直な平面内で実質的に伝播する点に留意されたい。音声波の主伝播方向はまた、音声波の主粒子速度とも呼ばれる。異なる軸角度は、第1及び第2のトランスデューサにおいて異なる方向に配向された主粒子速度を生じる。好ましくは、主粒子速度の異なる方向は実質的に90度の角度を有する。
従って、両方が単軸極応答パターンを有する2つのトランスデューサを用いる場合には、2つの主粒子速度を表す2つの軸は、70度から110度の角度をなす。現実の聴取者が基準聴取者の位置に存在する場合には、両方のトランスデューサの音声面は、聴取者の耳表面上で異なる方向を有する粒子速度勾配で聴取者に到達する。後で解説することになるが、このことによって耳は、それぞれの波形におけるスペクトルシグネチャを検出できなくなり、スペクトルシグネチャによる音声のカラーライゼーションが低下するという有利な効果を有する。同様のことが、バッフルステップによって定義される異なる方向における粒子速度成分の最大値指向性を有するマイクロフォンに対して当てはまる。従って、マイクロフォンのスペクトルシグネチャによる記録音声のカラーライゼーションが低減される。
結論を述べると、異なるように配向された粒子速度勾配は、耳がモノラルスペクトルコーディングによって音声源のスペクトルシグネチャを分離するのを阻止する。或いは言い換えると、両耳相互相関も阻止されるので、2つの音響トランスデューサ構造体のスペクトルシグネチャが互いに遮蔽し合い、従って、相互作用するトランスデューサを定位することができなくなる。音声はより自然であり、スペクトルシグネチャにおいて反映されたドライバの寸法によってアイテムの聴覚寸法が制限を受けることなく、元の音声ステージの音声発生アイテムの寸法が正確に再生される。
或いは、両方がトロイダル極応答パターンを有する2つのトランスデューサを用いる場合には、回転対称軸に対して実質的に垂直に延びる最大値指向性平面は、定義範囲内の角度をなす。この場合も同様に、各平面内に指定角度を有する最大値指向性が存在するが、トロイダル極応答パターンにおける指向性が同じ平面内で発生しないように平面間の角度が保たれる。
引き続き同じ構成の極応答パターンにおいて、トランスデューサは更に、上記正中面と第1又は第2の軸のいずれかとの間で実質的に70度から110度の角度を得るように位置付ける必要がある。従って、主粒子速度の少なくとも1つは、定義範囲内で正中面に配向する必要がある。好ましくは、この角度は90度である。人間の基準聴取者の位置から見ると両方のトランスデューサが軸外に配向されている点に留意されたい。
第1の音響トランスデューサが単軸極応答パターンを有し、第2のトランスデューサがトロイダル極応答パターンを有する場合には、トランスデューサは、第1の軸と第2の軸に対して垂直な平面との間で70度から110度の角度を得るように位置付ける必要がある。この場合も同様に、単軸トランスデューサの主粒子速度は、該主粒子速度がトロイダルトランスデューサの全ての粒子速度に対して非ゼロ角度であるように平面との定義角度を有する。更に、この構成のトランスデューサは、正中面と第1の軸又は第2の軸に垂直な平面のいずれかとの間で70度から110度の角度を得るように位置付けられる。
第1及び第2のトランスデューサの極応答パターンが、基準聴取者に向けられた、軸外での単調な拡散場周波数応答と線形自由音場周波数応答の両方である条件下では、これらのトランスデューサは周波数の増加に伴い指向性の増大を生じることを満足する。第1及び第2のトランスデューサ構造体は、伝達されることになる周波数の波長に対して平坦又は凸状の膜部材を有するトランスデューサを含む。このタイプのトランスデューサ構造体は、凹状膜部材を有するトランスデューサ構造体に比べて幾つかの利点を有する。このトランスデューサ構造体に対して音声波の集束反射が少ないので、目立たない相殺干渉しか発生せず、従って、スペクトルシグネチャは不明瞭な変動を含む。その結果、極応答パターンは、高い周波数において低い指向性しか示さず、極応答パターンは、より規則的な形状を有する。このことによって、関連周波数範囲においてより平坦な軸外自由音場応答を有することが可能になる。基準聴取者が軸外位置にいるので、軸外応答が最適であることが重要である点も留意されたい。通過帯域の波長に対して凹形状膜部材を有するトランスデューサでは望ましい効果が得られないことが経験的に判っている。ケーシング外に突出する凸形膜部材は、軸外波面の相互干渉に対して最良の状態をもたらす。
ラウドスピーカシステムでは、第1及び第2のトランスデューサ構造体から発生する音声は、基準聴取者の位置において実質的に時間整合されていなければならない。異なるラウドスピーカから発生する音声波が、対応する周波数成分での実質的に等しい到着時間を有さない場合には、ラウドスピーカボックスのスペクトルシグネチャを遮蔽することによって達成された改善が無効になる可能性がある。両方の音声波は、少なくともラウドスピーカに対して共通での情報について聴取者に実質的に同じ位相情報を提供しなければならない。従って、ラウドスピーカに供給する信号は、共通部分(合成部分と呼ばれる場合が多い)及び差異部分を有することができる。合成部分は、聴取者の位置において関連周波数範囲にわたって実質的に同じ位相差を有する必要がある。
例証として、第1及び第2のトランスデューサ構造体が凸状円錐体、すなわち突出円錐体を有する同一のピストン式トランスデューサを収容する実施形態では、平坦膜部材、又は平坦もしくは凸状膜部材を有する撓み波ラウドスピーカ、或いはピストン式ラウドスピーカと撓み波ラウドスピーカ膜部材との混成組み合せを用いることも可能である。トランスデューサの音響中心と基準聴取者の位置とを結ぶ線の第1又は第2の軸に対する角度が等しい場合、最良の効果が得られる。好ましくは、2つのトランスデューサの音響中心と基準聴取者との間の距離は等しい。当然ながら、ある程度最適ではない動作が認められる場合には偏差が許容される。
第1及び第2のトランスデューサがマイクロフォンである場合には、マイクロフォンはラウドスピーカに対して逆に動作するので、同じことが当てはまる。
例えば、第1のトランスデューサ構造体がラウドスピーカボックスであり、第2のトランスデューサがマイクロフォンを含む場合には、ラウドスピーカはマイクロフォンによって記録される増幅信号を供給するのに用いられる。トランスデューサの定義位置決めは、ラウドスピーカとマイクロフォンとの間のクロストークを最小にする。これによって、マイクロフォン信号のより強い増幅が可能になる。好ましい実施形態では、トランスデューサの定義位置決め、及びバッフルステップ整合、並びにコヒーレントな軸外応答は、空間スペクトル干渉を最大にし、ラウドスピーカとマイクロフォンとの間の周波数依存クロストークを最小にする。これによってフィードバックループが安定し、目的の音声情報を遮蔽するカラーライゼーションを増加させることなく、マイクロフォン信号のより強い増幅が可能になる。
ステレオ又は多チャンネルラウドスピーカシステムにおいて再生される音声の音声品質を改善するために、従来技術において幾つかの試みがなされてきた点に留意されたい。例えば、多くのシステムは、室内全体で均一な音声分布を発生させるために、異なるように配向されたラウドスピーカを用いている。しかしながら、十分に干渉する方向を有すると同時に関連可聴周波数範囲にわたって互いに対して十分に位相コヒーレントである主粒子速度で異なるラウドスピーカ音声が耳に到達することは、これらのシステムのいずれもが達成していない。関連周波数範囲は、少なくとも2オクターブをカバーする。実際に、音声源の指向性をモノラルで検出するのに妥当な周波数範囲、すなわち約0.5から16KHzをカバーする場合に最良の効果が達せられる。
1つ又はそれ以上の音圧勾配トランスデューサ要素及び/又はトランスデューサ及び導波管を用いる場合、これらの組み合せが定義方向周波数応答をもたらし、且つ位相コヒーレンスが極線図の軸外にわたって関連周波数範囲内で十分に保持される限りは、極放射パターンを得ることができる。例えば、導波管として楕円反射器を用いることができ、又は両方のトランスデューサが共通のバッフルステップを提供する1つのエンクロージャを共有することができる。極放射パターンを単軸パターン及びトロイダルパターンとして定義するが、トランスデューサの周波数依存指向性が滑らかに傾斜しているとすると、周波数に対する実際のパターンは、例えば心臓形又は半球形等の他の形状を有することができる。これら全てのパターンは、軸に沿って明確に定義した最大値(単軸パターン)、又は中央回転対称軸の周りの平面内に配列した複数の最大値(トロイダルパターン)のいずれかを有する。
米国特許第5,309,518号は、垂直方向に配列され互いに対して異なる角度を有する少なくとも3つのラウドスピーカを含むラウドスピーカボックスを開示している。このラウドスピーカは、オーディオ周波数範囲における数オクターブにわたって動作可能であり、協働してラウドスピーカシステムに中心を置く所定の立体角をこの数オクターブにわたって実質的に一様に音声照射する。かかる構造は、指向性特性が周波数範囲全体にわたって実質的に同じになるように指向性特性を制御するのに用いられる。この従来技術は、ラウドスピーカを異なる方向に配向することを開示しているが、異なるスピーカの音声面が位相コヒーレントで且つ実質的に同じ周波数応答で聴取者に到達することを開示していない。これは、室内全体でより均一な音声分布を得るための解決策であるが、ボックス内のラウドスピーカのスペクトルシグネチャによって生成される信号歪みを低減するための解決策ではない。
米国特許第5,949,893号は、ステレオ音声を忠実に再生するためのラウドスピーカボックスを開示している。このボックスは互いから気密シールされた少なくとも2つのチャンバに分割される。ボックスの前面のスピーカは、該前面に対して垂直な方向に音声を伝播する。ボックスの上部のスピーカは、垂直方向に音声を伝播するが、その回転対称軸が垂直に配向された全方向極放射パターンを得るように、この音声はディフューザに対して反射される。このスピーカ/ディフューザの組み合せは音声を水平に伝播する。前面スピーカが追加され、スピーカ/ディフューザ組み合せによって発生した比較的均一な音声分布を変化させ、ステレオ効果を改善している。
このラウドスピーカボックスは、90度未満に配列された2つの音響トランスデューサを有するが、前面スピーカの単軸極放射パターンの最大値に配向された軸は、スピーカ/ディフューザ組み合せの極放射パターンの回転対称軸に対して垂直な平面内に位置する。聴取者に位相コヒーレントに且つ実質的に同じ周波数応答で到達する、異なるスピーカの音声波面を得るようには配慮されていない。この場合も同様に、これは、室内全体で音声のより均一な分布を得るための解決策であるが、ボックス内のラウドスピーカのスペクトルシグネチャによって生成される信号歪みを低減するための解決策ではない。
独国特許第19605130号は、2つのラウドスピーカが互いに向かうように配向される必要があることを開示している。これらの2つのラウドスピーカは、放射パターンの指向性を得るためにある角度未満に位置決めすることができる。2つよりも多いラウドスピーカが用いられる場合には、これらのラウドスピーカは、その回転対称軸が共通点で交差するように配向される。ラウドスピーカは凸錐体を有することができる。この従来技術は、交点において疑似音源又は仮想音源を作ることを目的としている。これは本発明において請求するように位置決めされた2つのラウドスピーカを開示していない。かかる疑似音源は、現実の音源がデュアルモノ又はステレオ音声を生成する場合、すなわち現実の音源が聴取者の正中面の反対側に存在する場合にのみ聴取者によって観測される。このことは、トランスデューサをマイクロフォンの同じ側に位置決めする本発明とは対照的である。更に、この従来技術の図で示されているように、ラウドスピーカは互いの近傍に位置決めされ、これによってラウドスピーカのうちの1つの音声波の多くの無制御反射が他のラウドスピーカの円錐体において発生し、コヒーレント動作が完全に無効化され、より顕著なスペクトルシグネチャが現れる。
請求項2に定義する本発明による実施形態では、第1及び第2の音響トランスデューサ構造体は、関連周波数範囲に対して、主軸又は主平面に対する緯線に沿った軸外平坦自由音場応答、及び単調な拡散場応答を有する。凹状膜部材とは対照的に、平坦又は凸状膜部材は、かかる音場を比較的容易にもたらすことができる。
請求項3に定義する本発明による実施形態では、応答パターンは全ての方向において同じ動作を得るように回転対称である。このことは、聴取区域における音声の均質性が改善され、聴取者が頭部を動かした時又は室内全体にわたり歩いた時でも音声品質における大きな変動に直面しないので有利である。
請求項4に定義する本発明による実施形態では、第1及び第2の音響トランスデューサ構造体は、同じオーダーのバッフルステップに関連するそれぞれの極応答パターンを発生させる。このことによって、トランスデューサは同じ動作を有し、トランスデューサの相互遮蔽効果が改善される。
請求項5に定義する本発明による実施形態では、バッフルステップは、ほぼ人間の頭部の寸法を有する放射面区域に関連する。このことは、相互遮蔽効果を更に改善すると考えられる。これは、トランスデューサ及び人間の頭部の両方のそれぞれのスペクトルシグネチャの相互類似性が向上したことにより、その密度がモノラルスペクトルコーディング能力の分解能を上回る更により複雑な干渉パターンが確立されたことに起因する可能性が高い。
請求項6に定義する本発明による実施形態では、第1のトランスデューサ構造体の主軸又は平面は、実質的に第2のトランスデューサ構造体の音響中心に向いている。このことは、第1及び第2のトランスデューサ構造体の主軸方向と基準聴取位置との間の角度が2つの音声トランスデューサ構造体において同一であるという利点を有する。
請求項7に定義する本発明による実施形態では、第1のトランスデューサ構造体及び第2のトランスデューサ構造体の音響中心を結ぶ線は実質的に垂直方向に延びる。このことによって、2つのトランスデューサ構造体を装着するために垂直スタンドを使用することが可能になる。スタンドの代わりに、天井から延びるロッド又はワイヤを用いることもできる。更にこの位置では、2つのトランスデューサ構造体は最小の差分音声成分しか生成せず、従って、2つの耳及び脳の合成定位効果を妨げない。
請求項8に定義する本発明による実施形態では、2つのトランスデューサ構造体の音響中心は、聴取者位置に対して同じ距離を有する。通常はこのことによって、2つの音声波が同じ距離を進むので、これらの音声波は時間整合されるようことが考慮される。ここでトランスデューサ構造体の音響中心が垂直方向にもオフセットされる場合には、同じ耳に対するトランスデューサ構造体の各々の距離は両方の耳で等しくなる。
請求項9に定義する本発明による実施形態では、第1のトランスデューサ構造体は、合わせて関連周波数範囲をカバーするように同心状に配列された複数のトランスデューサ要素を含む。完全な可聴周波数範囲をカバーするために幾つかのトランスデューサ要素を用いる場合には、同心状構成は、必要とされる位相コヒーレント波面をもたらす。クロスオーバ区域におけるスペクトルシグネチャ輪郭を防ぐために、サブウーファ又はスーパーツイータをこれらの動作範囲がそのバッフルステップをはるかに下回る条件下で追加することも可能である。
請求項10に定義する本発明による実施形態では、音声システムは、モノラルチャンネルのみにおいて、定義された位置で第1及び第2のトランスデューサ構造体を含む。2つの定義されたもの以外には更なるトランスデューサ構造体は必要とされない。当然ながら第1及び第2のトランスデューサ構造体の各々は、同心状に配列されたトランスデューサを含むことができる。また、2トランスデューサ構造体のこの構成に加えてサブウーファ又はスーパーツイータが存在してもよい。
請求項11に定義する本発明による実施形態では、位置決めするための手段は、一方の第1のトランスデューサ構造体の音響中心と人間の基準聴取者の位置とを結ぶ第1の想像線と、他方の第2のトランスデューサ構造体の音響中心と同じ人間の基準聴取者の位置とを結ぶ第2の想像線との間で、10度から170度の領域の角度を得るような互いに対する距離でトランスデューサ構造体を位置決めするように適合されている。ここで、トランスデューサ構造体は、定義角度が得られるように互いから予め設定された距離に位置決めされる。このことによって、主粒子速度ベクトルが耳全体にわたって2次元で異なる勾配を有するので、トランスデューサ構造体のスペクトルシグネチャの遮蔽が更に改善される。好ましくは、この角度は30度から120度の範囲内にある。
請求項12に定義する本発明による実施形態では、第1及び第2のトランスデューサ構造体は正中面に対して実質的に等しい垂直方向距離に位置決めされる。このことは、聴取位置において最大に異なる粒子速度勾配が得られ、これによって最大遮蔽効果がもたらされるといった利点を有する。
請求項13に定義する本発明による実施形態では、人間の基準聴取者の正中面と第1のトランスデューサ構造体及び第2のトランスデューサの音響中心を結ぶ線との間の角度が実質的にゼロ度である。ここで2つのトランスデューサ構造体はどのような両耳信号差も生じない。
請求項14に定義する本発明による実施形態では、第1及び第2のトランスデューサ構造体が両方共に単軸トロイダル極応答パターン又はトロイダル極応答パターンのいずれかを有する場合には、第1の軸と第2の軸との間の角度は実質的に90度となるように選択し、正中面と第1の軸又は第2の軸のいずれかとの間の角度は実質的に90度となるように選択する。第1のトランスデューサ構造体が単軸極応答パターンを有し、第2のトランスデューサ構造体がトロイダル極応答パターンを有する場合には、第1の軸と第2の軸に対して垂直な平面との間の角度は実質的に90度となるように選択し、正中面と第1の軸又は第2の軸に対して垂直な平面のいずれかとの間の角度は実質的に90度となるように選択する。トランスデューサ構造体のこの位置決めによって、トランスデューサ構造体の一方は正中面と実質的に平行に配向された主粒子速度ベクトルを少なくとも有し、トランスデューサ構造体の他方は、正中面に対して実質的に垂直に配向された主粒子速度ベクトルを少なくとも有する。
請求項15に定義する本発明による実施形態では、第1及び第2のトランスデューサ構造体は、平坦又は凸トランスデューサ要素を有するピストン式又は撓み波コンバータであるトランスデューサを収容する。このタイプのトランスデューサ要素は、凹錐体よりも周波数に対してより連続的に傾斜する方向応答パターンを有する。関連周波数範囲にわたるより安定した方向応答パターンによりトランスデューサのコヒーレント動作が改善され、2つの波面の最大干渉が達成される。
請求項16に定義する本発明による実施形態では、第1及び/又は第2の音響トランスデューサは、異なる周波数帯域において複数のサブ音声波を発生させるための複数の同心状膜部材をそれぞれ有する。複数の膜部材の同心性は、周波数範囲にわたるトランスデューサのコヒーレント動作を改善する。
請求項17に定義する本発明による実施形態では、第1及び/又は第2の音響トランスデューサ構造体は、それぞれ第1又は第2の軸の周囲に回転対称である。このことによって、それぞれの方向において一致した(必須ではないが、好ましくは同一)これらの構造体のスペクトルシグネチャを生じ、本発明による構造体の位置決めによって最大干渉が発生することになる。好ましくは、エンクロージャ構造体は同様の寸法及び形状、従って同様のバッフルステップを有する。
請求項18に定義する本発明による実施形態では、第1及び第2の音響トランスデューサは各々、少なくとも1つのラウドスピーカを含む。本発明の実施形態による2つのラウドスピーカボックスが位置決めされたラウドスピーカ構成では、ラウドスピーカボックスのスペクトルシグネチャは遮蔽され、従って、聴取者によって感知されないか、又は感知され難い。
請求項19に定義する本発明による実施形態では、音声システムは、同じ電気信号を第1及び第2のラウドスピーカボックスに供給するための少なくとも1つの増幅器を更に含む。使用されるラウドスピーカは、並列又は直列に接続することができる。単一のラウドスピーカが異なる位置において使用される場合には、これは容易である。異なる位置において複数の同心状ラウドスピーカが使用される場合には、同じ周波数範囲に対応するスピーカを共通クロスオーバネットワークを介して並列又は直列に相互結合することができる。
請求項20に定義する本発明による実施形態では、第1及び第2のトランスデューサ構造体は各々、少なくとも1つのマイクロフォンを含む。本発明の実施形態による2つの位置にある2つのマイクロフォンを有するマイクロフォン構成では、マイクロフォンの空間−スペクトル輪郭は、結果として生じる波形エンベロープ内で遮蔽され、従って、記録した音声に対するカラーライゼーションの低減を促進する。代替的に、いずれの極応答パターンが望ましいかに応じて、一方又は両方の位置でマイクロフォンセットを用いることも可能である。
請求項22に定義する本発明による実施形態では、音声システムは、第1のマイクロフォンによって登録された第1の信号及び第2のマイクロフォンによって登録された第2の信号を保存するためのオーディオレコーダデバイス及び記憶媒体を更に含む。これらの第1及び第2の信号を用いて、マイクロフォン配列に関して逆の配列に配置されたラウドスピーカを駆動することができる。ここで、音声を再生するラウドスピーカのスペクトルシグネチャとして元の音声を記録するために使用されたマイクロフォンの空間−スペクトル輪郭の両方が遮蔽されるので、聴取者位置でラウドスピーカ構成によって再生される音声は最小限にしか色づけされない。
請求項25に定義する本発明による実施形態では、第1の音響トランスデューサ構造体が少なくとも1つのラウドスピーカを含み、第2の音響トランスデューサが少なくとも1つのマイクロフォンを含む。一方のラウドスピーカの軸外方向極応答パターンと少なくとも1つのマイクロフォンの方向極応答とが、ラウドスピーカに供給される前にマイクロフォンによって記録された音声の増幅を向上する可能性を提供する。スピーカ及びマイクロフォン両方の45度軸外における2つのトランスデューサの軸外周波数応答の正規化は、記録されることになる音声源を発生させる基準聴取者について維持される。これによって、フィードバックループの安定性が改善され、従って、結果として生じる波面においてトランスデューサの空間−スペクトル輪郭が拡散されるので、会議システムにおける使用が可能になる。
請求項26に定義する本発明による実施形態では、ラウドスピーカは平坦又は凸状膜部材を有し、第2の音響トランスデューサは、第1の軸に一致する第2の軸を有するトロイダル極応答パターンを得るために、位相/シフトを介して配列及び相互結合した複数のマイクロフォンを含む。このシステムは、マイクロフォン組み合せの極応答パターンが、ラウドスピーカの極応答パターンの最大値で配向される軸上で実質的に垂直な平面を有するといった利点を有する。このことによって、システムのパワー応答が平坦になり、システムのフィードバック安定性が向上するので、マイクロフォン信号の増幅を最大にすることが可能になる。
請求項28に定義する本発明による実施形態では、多チャンネル音声システムは、少なくとも2つのチャンネルにおいて請求項1に記載の音声システムを含む。従って、これらのチャンネルにおいて単一のスピーカ又は全てを同じ方向に配向した幾つかのスピーカを有するスピーカボックスを用いる代わりに、ここでは実際に異なる方向に向いたスピーカが直接聴取者を向かないように位置決めされ、波面が聴取者位置においてコヒーレントになる方式で位置決め及び駆動する2つのスピーカボックスを用いる。或いは、2つのスピーカを単一のボックス内に配列することができる。実際には、異なる方向に配向された2つの均等な音声アパーチャを用いる。
請求項29に定義する本発明による実施形態では、正中面に対して横方向に変位されたステレオ音声システムの左右チャンネルは各々、2つのトランスデューサ構造体を含む。好ましくは、対応する第1又は対応する第2の音響トランスデューサは同一(従って同じバッフルステップを有する)であり、実質的に相対して配向された第1又は第2の軸を有する。言い換えると、これらのトランスデューサは互いに向かい合っている。
請求項32に定義する本発明による実施形態では、多チャンネルオーディオシステムにおける音響トランスデューサはラウドスピーカであり、サブウーファにおける信号の少なくとも一部が他のラウドスピーカにわたって分割される。従って、必要とされるパワーが少なく、室内モードから一様に抜け出る。
種々の図における同じ参照符号は同じ要素を示す。
図1は、基準聴取者に対する音声トランスデューサ構造体の位置決めを概略的に示している。図1は、仮想基準聴取者の位置と呼ばれる特定位置Pに対して2つの音声トランスデューサ構造体SA、SBの位置及び方向を定義することができる仮想直交X、Y、Z座標系を示している。音声トランスデューサ及びこれらのエンクロージャ(図1には示していない)を含む音声トランスデューサ構造体SA、SBも以下においてトランスデューサと呼ばれる。実際のトランスデューサ又は実際のトランスデューサ構造体のどちらを意味しているかは文脈から明らかになる。トランスデューサ構造体SA、SBは、1つよりも多いトランスデューサを含むことができる。トランスデューサがラウドスピーカである場合には、仮想基準聴取者は現実の聴取者とすることができる。トランスデューサがマイクロフォンである場合には、仮想基準聴取者は、マイクロフォンによって記録される信号が、記録された信号の聴取時に聴取者が存在すると予測する位置に存在する。
以下において、図1の一連の位置決め及び動作は、音声トランスデューサSA、SBがスピーカであり且つ聴取者が特定位置Pに存在すると予測する実施形態において説明する。聴取者の耳の耳介が円C1で概略的に示され、聴取者の頭部が円C2で概略的に示され、更に聴取者の正中面が円C3で概略的に示されている。図1の正中面C3は、XZ平面と平行に配列される。聴取者は、両耳を通って延び、従って正中面C3に対し垂直に延びる耳間軸IAを有する。図1では、耳間軸IAはY軸に平行に延びている。以下において、音響トランスデューサSA、SBがスピーカである第1の実施形態について説明する。ラウドスピーカの代わりにマイクロフォンが存在する逆の実施形態では、逆の推論が当てはまることは明らかであろう。或いは、音声トランスデューサSA、SBの一方がラウドスピーカであり、音声トランスデューサSA、SBの他方をマイクロフォン又はマイクロフォン構成とすることができる。
図1に示す実施形態では、1つの耳のみと、情報チャンネルを耳に伝達する2スピーカの1セットのみを示している。情報チャンネルは、両方のラウドスピーカに供給されるモノ信号を含むことができる。情報チャンネルは、共通部分を有する異なる信号を含むことができる。ステレオ配置では、図示のスピーカセットは左チャンネルのオーディオ信号を受信することができ、2つのスピーカの他のセットが右チャンネルのオーディオ信号を送信(又は放射)するために存在しなければならない。多チャンネル配置では、対応する2つのスピーカの複数のセットを設けなければならない。通常の横方向ステレオ音声の他に、共通信号に差分信号を追加することによって垂直ステレオ音声を生成することが可能である。
スピーカは、単一の音声トランスデューサを用いて完全な周波数範囲を変換することができ、又はスピーカは、2ウェイ又は3ウェイスピーカでは通常である、各々が異なる周波数帯域用の1つよりも多い音声トランスデューサを含むことができる。同じ周波数帯域用の異なるスピーカの音声トランスデューサは、あらゆる周波数帯域において請求項1に記載するように位置決めする必要がある。同じスピーカのトランスデューサの全セット又はサブセットを同心状に配列するのが好ましい。高周波数範囲及び中周波数範囲用のトランスデューサを同心状に配列するのが好ましい。本明細書ではトランスデューサをドライバとも呼ぶ。
図1に示す実施形態では、2つのトランスデューサSA及びSBはZ軸上に存在し、耳は原点Oから距離Dを置いて存在し、耳間軸はY軸に平行に延びている。トランスデューサSAは、原点Oの方向に配向され、従って、その主粒子速度ベクトルVAはZ軸上に位置し、原点Oに向いている。トランスデューサSBは、Y軸に平行な方向を有する主粒子速度ベクトルVBを得るように配向される。実際、トランスデューサSAは、特定位置Pに配向されるが、真っ直ぐではなく、ドライバSAの中心と特定位置Pにある耳中心とを結ぶ仮想線LI1と粒子速度ベクトルVAとの間に非ゼロ角度A1が存在する。トランスデューサSBは、特定位置Pに配向されるが真っ直ぐではなく、トランスデューサSBの中心と特定位置Pとを結ぶ仮想線LI2と粒子速度ベクトルVBとの間に非ゼロ角度A2が存在する。トランスデューサSAとトランスデューサSBとの間の距離により、線LI1とLI2との間の角度A3が決まる。
好ましい実施形態では、トランスデューサSAとトランスデューサSBとの間の距離は、角度A3を10度〜170度の間で得るように選択される。角度A1及びA2は、トランスデューサSA及びSBの放射パターンを考慮に入れて、音声波が特定位置Pにおいて位相コヒーレントであるように選択される。位相コヒーレントでは、音声波は、それぞれのトランスデューサSA、SBの音声周波数が関連周波数範囲にわたって実質的に一定の位相差を有して特定位置Pに到達することを意味する。好ましくは、トランスデューサSA及びSBによって放射された音声波の合成部分のインテンシティ比は実質的に1に等しい。関連周波数範囲は、トランスデューサのスペクトルシグネチャの聴覚遮蔽を得るのに必要とされる周波数範囲である。通常は、この領域は少なくとも2から5オクターブの高周波数及び中周波数範囲をカバーする。好ましくは、角度A1及びA2は30度と60度の間である。好ましくはZ軸は垂直方向に延びる。
図1は、極めて特定の実施形態のみを開示している点に留意されたい。例えば、トランスデューサSA及びSBは、必ずしも垂直線上に位置決めされる必要はない。トランスデューサSA、SBの間の相互接続線は、正中面と−20度から20度の間の範囲の角度をなすことができる。速度ベクトルVAと速度ベクトルVBとの間の角度は実質的に90度から逸脱してもよい。好ましくはこの角度は70度から110度の範囲で選択される。全体の座標系XYZは、特定位置Pの周りを回転することができる。例えば、トランスデューサSA及びSBは、特定位置Pよりも上すなわち聴取者の頭部よりも上の実質的に水平平面に存在してもよい。更に、トランスデューサSA及びSBを置き換えて、トランスデューサSAをY軸と平行な速度ベクトルVAを得るように配向し、トランスデューサSBをZ軸上の速度ベクトルを得て原点0を向くように配向することができる。第1及び/又は第2の音響トランスデューサが1つよりも多いトランスデューサを含む場合には、関連周波数範囲で作動するトランスデューサは、位相コヒーレンスを損なわずに保持するために実質的に重なり合う音響中心を得るように実質的に同心状に位置決めすべきである。
図1は、聴取者の鼻が原点又はY軸に向く必要があることを示していない点に留意されたい。トランスデューサSA及びSBの放射パターンに応じて、コヒーレント波を特定位置にだけ正確に集束させることができる。特定位置からの偏差は、異なるトランスデューサSA、SBから受信する音声波のコヒーレンス性を低下させる可能性がある。しかしながら、それでも尚、異なる配向粒子速度ベクトルは耳C1の耳介にわたって打ち消し会う粒子速度勾配を引き起こし、従って、結果として生じる干渉パターンの密度が外耳のスペクトルコーディング能力の分解能範囲の外になるので、ドライバ及び該ドライバのキャビネットのスペクトルシグネチャは大部分が遮蔽される。好ましくは、ドライバSA及びSBの放射パターンは、特定位置以外の位置では、依然として位相が情報の共通部分について実質的にコヒーレントであるように選択される。好ましくは、情報の共通部分のパワーも位置Pにおいては実質的に同じである。例えば、特定位置から始まりZ軸と平行な線に沿って正のZ方向に耳が移動する場合には、両方の音声波パワーを低下させるように両方の放射パターンを選択することができる。聴取者が別の方向に移動する場合も同じ効果が生じる。
2つのトランスデューサSA、SBは、トランスデューサSA、SBが向く方向に最大値を有し、ドライバが向いている方向に対し垂直な方向に低下する同一の単軸放射パターンを有することができる。好ましくは、放射パターンは、最大値から最小値まで漸次的に変化する。周波数が高くなると共に指向性が向上することができる。凸状で、従ってドーム形である円錐体を含むトランスデューサは、かかる放射パターンを有する。好ましくは、円錐体は、スピーカキャビネットから外に突出する。かかる放射パターンは実際に、周波数範囲にわたって位相コヒーレンスが実質的に損なわれずに保持すると共に、2つの音声波のインテンシティ比を尚も実質的に一定に保ちながら、聴取者が特定の位置から離れて移動するのを可能にする。例えば、Quad ESL 63等の静電スピーカのような平坦膜部材を有するスピーカにおいて類似しているが最適でない効果が達成される。
2つのトランスデューサSA、SBの両方又は片方は、トロイダル極放射パターンを有することができる。ここでは、ドライバの回転対称軸に対して実質的に垂直な平面内で放射パターンの最大値が発生する。これ以降では、かかる平面を最大平面と呼ぶ。かかる最大平面では、互いに対して垂直である放射パターンの最大が発生するので、かかるトランスデューサは、既に本質的にある程度の遮蔽性を有している。しかしながら本発明によれば、トランスデューサSA、SBが共にトロイダル極放射パターンを有する場合には、これらの対称軸は70度から110度の範囲の角度未満で配列され、その結果、最大平面もまたこれらの同じ角度を有する。従って、第2のトランスデューサを追加することで、他のドライバの最大平面と定義角度をなすように第2のトランスデューサの放射パターンの少なくとも1つの最大値が配向され、これによって遮蔽効果が向上する。同様にして、トランスデューサSA、SBのうちの一方が単軸極放射パターンを有し、他方がトロイダル極放射パターンを有する場合には、単軸極放射パターンの最大はトロイダル極放射パターンの最大平面と定義角度をなすように配向する必要がある。
1つだけのラウドスピーカ又はより一般的には1つの音響トランスデューサ中心だけが存在する従来技術では、耳は、単一の音声波面のみに直面し、スピーカ及びスピーカのケーシングのスペクトルシグネチャによって歪んだ音声の発生源を特定することができる。本発明によると、外耳及びより具体的には耳の耳介が、同じ情報を表し且つ異なるように配向された主粒子速度ベクトル勾配を有する2つの音声波面を受け取る。異なるように配向されたこれらの主粒子速度ベクトル勾配、並びに共通情報の位相コヒーレンスは、2つの音声源のシグネチャを耳が検出するのを防止する。音声がより自然に聞こえ、元の音声ステージの音声発生アイテムの見かけの体積をより正確に再生し、ドライバの寸法によってこれらのアイテムの寸法が制限されない。目的音源の寸法を遮蔽しないことによって、音色及び空間コントラストの差異がより明確になり、必然的にラウドネスが上昇すると共に基本ピッチ検出が改善される。基本ピッチは、B.C.J.Moore「An Introduction to the Psychology of Hearing(聴覚心理学入門)」第4版、Academic, San Diego、(1997年)188頁に定義されている。
これ以降では、軸外方向でのトランスデューサ構造体SA、SBのそれぞれの音響中心からのベクトルを軸外ベクトルと呼ぶ。これらの軸外ベクトルが交差する人間の基準聴取者Pの位置では、平坦又は凸状膜部材トランスデューサは共通情報について位相コヒーレント波面を発生させる。コヒーレント波面とは、波面が関連の周波数範囲にわたって一定の位相差を有する波に関連し、又は該波から構成されることを意味する。コヒーレントな音声は、互いに対してコヒーレントな波成分を含み、一方、これとは対照的に、拡散音声は、周波数範囲にわたって不規則な位相差を全てが有する波からなる。
正中面の同じ側に位置決めされたラウドスピーカが異なる角度を有するが、干渉によって拡散音声を生成する従来技術では、粒子速度勾配が耳介上で異なる角度を有することができるが、音声源における無制御の干渉によって、異なるラウドスピーカからの信号のコヒーレンス性が失われ、遮蔽効果が低下する。従って、トランスデューサSA、SBは各々、少なくとも人間の基準聴取者Pが存在する位置の方向において情報の共通部分についての位相コヒーレント波を発生させる必要がある。
図2は、耳の同じ側に存在する2つのラウドスピーカを互いの音響中心に向かって配向したラウドスピーカ配列を概略的に示している。凸錐体を有するラウドスピーカのかかる位置決めは、独国特許出願第19605130号で開示されている。
ラウドスピーカL1及びL2は、それぞれ音響中心AC1及びAC2を有する。ラウドスピーカL1及びL2の単軸極放射パターンが、音響中心AC1及びAC2を通る円で示されている。ラウドスピーカL1及びL2の主粒子速度ベクトルV1及びV2はそれぞれ、音響中心AC2、AC1に配向される。耳の耳介C1は楕円C1として、耳道は円C4により様式的に示されている。耳の大きい方の寸法は線Eに沿って耳の垂直方向に発生し、耳の小さい方の寸法は、線Lに沿って耳の水平方向に発生する。1つの耳のみが示されており、従って、モノラル聴覚だけを扱う点に留意されたい。耳の寸法はかなり強調されており、達成される効果を明瞭に指摘するために概略的に耳介に限定している。耳介に対する効果は、低周波数に関連する頭部及び胴体を含む完全な外耳に当てはめて推定することができる。更に、ラウドスピーカL1及びL2にモノ信号が供給されると仮定する。
線L1E及びL1Hは、線Eとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL1の音響中心AC1とを結ぶ。線L1E及びL1Hは、耳介C1に向かうラウドスピーカL1のそれぞれの粒子速度ベクトルを示している。線L2E及びL2Hは、線Eとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL2の音響中心AC2とを結ぶ。線L2E及びL2Hは、ラウドスピーカL2のそれぞれの粒子速度ベクトルを示している。粒子速度ベクトルL1E及びL1Hによる線Eに沿った耳介C1での粒子速度勾配G1は、粒子ベクトルL2E及びL2Hによる線Eに沿った耳介C1での粒子速度勾配G2の反対方向を有する。勾配G1及びG2は、極応答パターンから生じる。ラウドスピーカL1においては、線L1Eは線L1Hよりも音響中心の近くで極応答パターンと交差する。その結果、粒子速度は、線E上で線L1Eとの交点から線L1Hに移動する時に増大する。ラウドスピーカL2において対応する推論に基づいて、粒子速度は、勾配G2で示すように線E上で線L2Hとの交点から線L2Eに移動する時に増大する。
線L1G及びL1Fは、線Lとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL1の音響中心AC1とを結ぶ。線L1G及びL1Fは、耳介C1に向かうラウドスピーカL1のそれぞれの粒子速度ベクトルを示している。線L2G及びL2Fは、線Lとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL2の音響中心AC2とを結ぶ。線L2G及びL2Fは、ラウドスピーカL2のそれぞれの粒子速度ベクトルを示している。粒子速度ベクトルL1G及びL1Fによる線Eに沿った耳介C1における粒子速度勾配G3は、粒子ベクトルL2G及びL2Fによる線Lに沿った耳介C1における粒子速度勾配G4と同じ方向を有する。勾配G3及びG4は、勾配G1及びG2と同様に極応答パターンから生じる。ラウドスピーカL1においては、線L1Fは線L1Gよりも音響中心により近傍で極応答パターンと交差する。その結果、粒子速度は、線L上で線L1Fとの交点から線L1Gに移動する時に増大する。ラウドスピーカL2では、粒子速度は、勾配G4で示すように線L上で線L2Fとの交点から線L2Gに移動する時に増大する。
勾配G3及びG4の方向が共通である結果として、位置Pと相互接続線Zとの間の距離が増大するに伴って音圧が低下することになる。このインテンシティ勾配は、音源までの距離を検出し、すなわち音源を定位するための両耳聴覚システムによって利用される。勾配が互いに打ち消し合って平面波を生じる線Eに沿った方向で聴取位置が大きく変化する可能性は極めて低い。更に、勾配G1及びG2の方向が反対であることに起因して、2つのトランスデューサが、耳によって各々が異なるようにエンコードされる、スペクトルシグネチャ関連角度伝達関数の合成を反映した明確な音色を有する1つの拡張仮想音源を生成するので、ラウドスピーカのスペクトルシグネチャは明瞭に聴取可能である。本発明は、勾配G3及びG4は相対する方向を有するべきであり、勾配G1及びG2は同じ方向に配向するべきであるという洞察に基づいている。言い換えれば、勾配G1及びG2は等しく配向された成分又は少なくとも、音声発生源に関して耳が混乱するような十分に小さな角度を有する成分を有するべきである。
両耳聴覚において同じラウドスピーカ配列を用いる場合、音響中心AC1とAC2とを結ぶ線が正中面上で垂直に延びるようにラウドスピーカを聴取者の前面に移動させなければならず、速度ベクトルV1及びV2を聴取者の正中面と実質的に平行に配向するように、ラウドスピーカL1及びL2を回転させなければならない。ここでラウドスピーカにステレオ信号を供給する場合には、通常のステレオ配列が得られる。モノ配列とは対照的に、各耳は、一方のラウドスピーカ信号のみを直接受信し、他方を頭部のバッフルを介して間接的に受信している。従って、各耳において、粒子速度勾配の1つが優勢であり、ラウドスピーカのスペクトルシグネチャに起因する大きな量の音声のカラーライゼーションを引き起こす。2つの耳における音声が異なることに起因して、耳及び脳の合成定位処理は、ラウドスピーカの中間に疑似音源を知覚するが、該音源はラウドスピーカのスペクトルシグネチャによって歪む。カラーライゼーションは、モノラル聴取によって、又はスイートスポットから離れて移動することによって容易に検出することができる。知覚したカラーレーション及び音像の曖昧性を排除するために、両耳システムには大量の処理が必要とされる。
図3は、本発明に従って耳の同じ側に存在する2つのラウドスピーカが異なる方向に配向されたラウドスピーカ配列を概略的に示している。図3は、図2に基づいており、ラウドスピーカL2の主粒子速度ベクトルV2が聴取者の正中面に対して垂直に配向されるようにラウドスピーカL2を回転している。粒子速度ベクトルV1は、依然としてラウドスピーカL2の音響中心AC2に配向される。
耳介C1に向かうラウドスピーカL1のそれぞれの粒子速度ベクトルを示す線L1A及びL1Dは、線Eとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL1の音響中心AC1とを結ぶ。耳介C1に向かうラウドスピーカL2のそれぞれの粒子速度ベクトルを示す線L2A及びL2Dは、線Eとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL2の音響中心AC2とを結ぶ。粒子速度ベクトルL1A及びL1Dによる線Eに沿った耳介C1における粒子速度勾配G5は、粒子ベクトルL2A及びL2Dによる線Eに沿った耳介C1における粒子速度勾配G6と同じ方向を有する。
耳介C1に向かうラウドスピーカL1のそれぞれの粒子速度ベクトルを示す線L1B及びL1Cは、線Lとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL1の音響中心AC1とを結ぶ。耳介C1に向かうラウドスピーカL2のそれぞれの粒子速度ベクトルを示す線L2B及びL2Cは、線Lとの耳介C1の境界線の交点とラウドスピーカL2の音響中心AC2とを結ぶ。粒子速度ベクトルL1B及びL1Cによる線Eに沿った耳介C1における粒子速度勾配G7は、粒子ベクトルL2B及びL2Cによる線Lに沿った耳介C1における粒子速度勾配G8と反対の方向を有する。
図3に示す本発明の実施形態によるラウドスピーカL1及びL2の位置決めは、耳介において、同じ方向に配向された垂直勾配と相対して配向された水平勾配とを生じる点に注目されたい。このことは、垂直勾配が相対的に配向され、且つ水平勾配が同方向を有する、図2に示す従来技術の位置決めとは対照的である。耳介において異なる方向にコヒーレントに作用する、異なって配向されたこれらの勾配によって、本発明による位置決めが従来技術の位置決めよりも遙かに色づけが少なく聞こえる理由を説明することができる。更に、勾配方向におけるこれらの差異に加えて、波面インテンシティは、位置Pと相互接続線Zとの間の距離にほとんど依存しない。ここでこの構成は、聴覚システムにおいて必然的に色づけのない拡散音場に関連する平面波を生成する。ラウドスピーカがもはや定位不能であるので、聴覚システムは音源信号から方向情報を得ることが余儀なくされる。ステレオ配置では、既に存在するセットの他に位置Pに耳がある聴取者の正中面の別の側に位置決めされた、追加の2スピーカのセットが必要とされる点に留意されたい。更に図1に関して解説したように、図3に示す配列は、単に好ましい実施形態に過ぎず、多くの代替形態が存在する。勾配G5とG6、及びG7とG8とが互いに対してある角度をなす場合に、スペクトルシグネチャがある程度不明瞭であれば、スペクトルシグネチャの遮蔽が既に得られていることは明らかである。
図2及び3では、極応答パターンが概略的に描かれており、すなわち、実際のパターンは3次元であり、周波数と共に変化する点に留意されたい。実際の極応答パターンは、使用されるランスデューサに依存する。例えば、図4では、特定の周波数範囲において上部に示しているトランスデューサは、腎臓形の単軸極応答パターンを有し、下部に示しているトランスデューサは、トロイダル極応答パターンを有する。
図4は、ピストン式の凸錐体及び単軸極放射パターンを有するトランスデューサと、凸錐体及びトロイダル極放射パターンを有する撓み波トランスデューサとを含む本発明の実施形態によるオーディオシステムを示している。撓み波トランスデューサは上下を逆にすることができる。
音響トランスデューサ構造体SAは、ピストン式凸錐体及びケーシングB1、B2を有するドライバLAを含む。図示の実施形態では、ドライバLAのケーシングは、一方端でドライバLAを保持し、他端で少なくとも部分的に開口している円柱部分B2を含む。例えば反対側の端部は完全に開口しているか、又は孔を備える。加えて又はその代わりに、孔は、反対端の側壁に備えてもよい。円柱部分B2は、該円柱ボックスB2が堅固にクランプされるような寸法の矩形断面を有するボックスB1内に配列される。円柱ボックスB2の相対する側と矩形ボックスB1の隣接する壁との間に自由空間が存在し、これによって、音声は2つのボックスB1とB2との間の自由空間内を進むことができ、前面放射バスレフポートが得られる。音声の4つの進行経路のうちの1つを矢印TPSで示している。かかる構造は極めてコンパクトで、剛性があり単純で、すなわち、ボックスB1の閉鎖端から延びる単一のねじ(図示していない)によってドライバLAを固定することができる。極放射パターンの最大値又は主粒子速度ベクトルを矢印VAで示している。このような凸錐体を有するピストン式ドライバは、米国特許第4,590,333号により公知である。
音響トランスデューサ構造体SBは、撓み波ドライバを含み、このようなものは、米国特許第3,424,873号により公知である。撓み波ドライバLBは、トロイダル極放射パターンを有し、従って、この放射パターンの最大値は、ドライバLBの回転対称軸AXBに対して垂直な平面内に実質的に配向される。矢印VBはこの平面内に位置する4つのベクトルを示している。
例証として、2つのラウドスピーカLA及びLBのシステムが垂直方向に配列される。好ましくはベクトルVA及び軸AXBは同じ線上に位置決めされるが、ドライバLA、LBが共に聴取者の正中面の同じ側に存在する限りはオフセットが許容される。ドライバLA及びLBは、異なるボックスB1、B2、及びSB内にそれぞれ保持され、該ボックスは垂直スタンド(図示していない)によってそれぞれの所定位置に保持されるか、又は単一ケーシングに組み込むことができる。
図4から明らかなように、ドライバLAを有する音響トランスデューサ構造体SAの単軸極放射パターンの最大値方向は、ドライバLBを有する音響トランスデューサ構造体SBのトロイダル極放射パターンの最大値方向が位置する平面に対して実質的に垂直に配列される。
単軸極放射パターンを有するドライバLAは、ドライバLBの回転対称軸AXBに対して回転対称軸が実質的に垂直に延びるトロイダル極放射パターンを有するドライバと交換することができる。その結果、2つのトロイダル極放射パターンの最大の平面が、互いに対して実質的に垂直に延びる。或いは、トロイダル極放射パターンを有するドライバLBは、ベクトルVAに対して実質的に垂直に延びる方向に最大値がある単軸極放射パターンを有するドライバと交換することができる。
本発明による実施形態を用いて達成可能な顕著な効果をもたらす実際の配置において、聴取者の耳が、ベクトルVA及び軸AXBが位置する結合線を起点として3から約10メートルの範囲にあった場合には、ドライバLAとLBとの間の垂直方向距離は1から3メートルの範囲にあった。ドライバが全く存在しない場合には、音声は明瞭に聞こえたが、聴取位置の距離を延ばすと、正確な音像の損失がなく、且つ室内音響によって次第に影響を受けることがなく、目的音声の位置決めは極めて広範なものであった。
この場合も同様に、図4に示す実施形態は単に好ましい実施形態に過ぎず、図1に関して論じたように多くの代替物が存在する点に留意されたい。主題は、2つの構造体SA及びSBの極放射パターンの最大値が、少なくとも30度異なり且つ2つのラウドスピーカに共通の情報について聴取者方向に同位相でコヒーレントな音声を発生させる重なり合わない方向を有するように2つの構造体を位置決めすることによって、聴取者の耳において構造体SA及びSBのスペクトルシグネチャが遮蔽されることである。これらの2つの態様は合わせて聴取者の同じ耳において異なるドライバLA、LBの異なる音声勾配を生じさせ、一方、異なるドライバLA,LBから耳に到達する情報は、依然として位相コヒーレントであり、無制御の干渉によってぼやけることがない。
図5は、本発明による2つのオーディオシステムの配置を概略的に示している。
オーディオシステムS1は、音響トランスデューサ構造体SA1及び音響トランスデューサ構造体SB1を含む。音声トランスデューサ構造体SA1は、凸錐体を有し、矢印VA1で示された方向に最大値が配向された単軸極放射パターンを有するトランスデューサTA1を含む。トランスデューサTA1に供給され、又はこれから受信する信号は、DA1で形式的に示されている。音声トランスデューサ構造体SB1は、凸錐体を有し矢印VB1で図示されている方向に最大値が配向された単軸極放射パターンを有するトランスデューサTB1を含む。トランスデューサTB1に供給され、又はこれから受信する信号は、DB1で形式的に示されている。矢印VA1とVB1との間の角度は実質的に90度である。
オーディオシステムS2は、音響トランスデューサ構造体SA2及び音響トランスデューサ構造体SB2を含む。音声トランスデューサ構造体SA2は、凸錐体を有し、矢印VA2で図示された方向に最大値が配向された単軸極放射パターンを有するトランスデューサTA2を含む。トランスデューサTA2に供給され、又はこれから受信する信号は、DA2で形式的に示されている。音声トランスデューサ構造体SB2は、凸錐体を有し、矢印VB2で図示された方向に最大値が配向された単軸極放射パターンを有するトランスデューサTB2を含む。トランスデューサTB2に供給され、又はこれから受信する信号は、DB2で形式的に示されている。矢印VA2とVB2との間の角度は実質的に90度である。
オーディオシステムS1及びS2は、聴取者の前面で聴取者の正中面の左側にシステムS1と、該正中面の右側にシステムS2とを配列する。多チャンネルシステム(ステレオシステムも備える)では、左チャンネル信号をシステムS1に供給し、又はシステム1から受信し、右チャンネル信号をシステムS2に供給し、又はシステム2から受信する。トランスデューサの音響中心を相互に結ぶ相互接続線が実質的に垂直方向に延びる場合には、トランスデューサの音響中心と正中面との距離は等しく、全てのトランスデューサが等しい場合には、好ましくは同じ左信号をトランスデューサTA1及びTB1に供給し、同じ右信号をトランスデューサTA2及びTB2に供給する。トランスデューサがマイクロフォンである図示のシステムを用いて信号が記録される場合、信号は、記録された情報を再生するはずのシステムの対応するトランスデューサに供給される。実際には記録情報は、記録媒体に記録することができ、また直接送信又は同報通信することもできる。トランスデューサがラウドスピーカである場合には、聴取者の頭部は全てのトランスデューサに対して等距離に存在するのが好ましい。しかしながら、選択した極放射パターンによって、頭部の位置は、この最適位置(スイートスポットと呼ばれることが多い)から比較的遠く離れて移動することができ、このことは、通常の多チャンネルシステムとは対照的である。言い換えれば、音声像は通常の配置よりも空間内でより安定している。
好ましくは、4つのトランスデューサTA1、TB1、TA2、TB2は、聴取者の正中面に対して実質的に垂直に延びる実質的に垂直な同じ平面内に存在する。矢印VA1及びVA2は共に下方に配向される。矢印VB1及びVB2は共に水平方向に配向され、互いに向き合う。好ましくは、矢印VA1、VA2はそれぞれトランスデューサVB1、VB2の音響中心に向いているが、オフセットは許容される。例えば、トランスデューサTA1及びTA2は、トランスデューサTB1及びTB2よりも正中面に対して長い距離を有することができる。更に、請求項に記載され且つ図1に関して検討された、最適位置に対するトランスデューサの位置決めに関する公差は許容されるが、それでも尚、望ましい効果により従来技術を上回る改善が示される点に留意されたい。
図示の多チャンネルシステムでは、トランスデューサがラウドスピーカである場合、更に、任意的なサブウーファSWが存在してもよい。
単一のドライバの代わりに、音響トランスデューサ構造体当たりに複数のドライバを用いる場合、ドライバは、関連周波数範囲を変換する範囲である限り、音声の位相コヒーレンス性を維持するために同心状に位置決めされることが好ましい。或いはシステムは、相互に相補的な周波数帯域を有するサブシステムに細分化することができる。これらのサブシステムは、該サブシステムの相互位置が請求項1の仕様に従う限り、必ずしも同軸又は同一に位置決めする必要はない。
図4及び図5に示すシステムにおいてラウドスピーカが用いられる場合、異なるチャンネルの信号を異なるシステムS1及びS2に供給する必要はない。2つのシステムにモノ信号を供給する場合、少量のカラーライゼーションしか有さない音声を生成し、安定した音声像を生成するシステムアレイを備える。このアレイは、2つよりも多いシステムS1、S2を含むことができる。例えば、鉄道駅のプラットフォーム又は劇場の舞台上では、図4に示す複数のシステムをプラットフォームに沿って一列に位置決めし、最終的にシステムS1及びS2で終端する。かかる配置では、聴取者の位置及び移動方向が全く影響を及ぼさないので、かかるシステムは、スピーチの明瞭度の改善をもたらす。かかる複数の音声システムはまた、例えばサラウンド音声を発生させるためにそれぞれ異なる信号チャンネルに接続することができる。同様に、このことは本発明による複数のマイクロフォンシステムにおいても当てはまる。
システムS1及びS2に供給する信号は必ずしも同一である必要はなく、これらの信号が共通部分すなわち合成信号を有することで十分である点に更に留意されたい。
図6は、本発明によるマイクロフォン配列によって発生された信号を示すブロック図である。ブロックS1は、本発明の実施形態に従ってマイクロフォンを位置決めしたマイクロフォン配列を含むことができる。例えば、マイクロフォンは図1、4、又は5に関して解説したように位置決めすることができる。マイクロフォンを如何に位置決めすべきか、更に単軸及び/又はトロイダル極放射パターンを得るためにどのタイプのマイクロフォンを用いるべきかについては公知である。幾つかの実施例が、米国特許第4,675,906号で開示されている。
マイクロフォンを図5の左側のシステムS1に示すように配列し、マイクロフォンが信号DA1及びDB1を供給すると仮定する。処理回路SDは信号DA1及びDB1を受信し、処理済み信号DA1’及びDB1’を供給する。処理回路SBTは、入力信号DA1及びDB1を増幅する増幅器を含むことができる。処理済み信号DA1’及びDB1’は、例えばCD、SACD、DVD等の記録媒体(図示していない)上に別個のトラックとして記録することができる。或いは、2つの処理済み信号DA1’及びDB1’は送信又は同報通信することができる。これらの信号を用いて、図7に関して論じたように対応して位置決めされた2つのラウドスピーカを駆動することができる。
処理済み信号DA1’及びDB1’を更に処理して、本発明によるラウドスピーカセットの両方のラウドスピーカを同じ信号で駆動する、又は従来技術配置のラウドスピーカボックスを駆動するのに用いる単一の信号を得ることができる。
図7は、本発明によるラウドスピーカ構成によって発生した信号を示すブロック図である。増幅器ブロックAMPは、図6に示すシステムを用いて発生させた、記憶装置媒体から読み取ることができ、又は同報通信を介して受信することができる入力信号DA1’及びDB1’を増幅するための増幅器を備える。ラウドスピーカを図5の右にあるシステムS2に示すように配列すると仮定し、増幅された入力信号DA2及びDB2がシステムS2に提供される。
或いは、ラウドスピーカに供給される信号DA2及びDB2は同じ信号とすることができる。モノ信号又は多チャンネル信号のチャンネルを表す信号を処理して、異なる信号を得ることが可能であり、これは、合成信号の等しい到着時間を得るためにスピーカが実質的に等距離でない場合には、特に重要である。
図8A及び図8Bは、共通の構造体上に装着されたマイクロフォンとラウドスピーカの組み合せを概略的に示しており、これは、両方のトランスデューサに合同のバッフルステップを提供し、両方のトランスデューサに同等のパワー応答及び制御された同等の圧力勾配傾斜を保証する。図8Aは、ラウドスピーカC、そのケーシングENC、及び4つのマイクロフォンMA、MA’、MB、MB’の組み合せの側面図であり、図8Bはその平面図である。ラウドスピーカCは、低/中音スピーカLS1と同心状に配列したツイータLS2を含む。両方のスピーカLS1、LS2は、ケーシングENCから突出する凸錐体を有する。両方のスピーカは、矢印VCで示すように最大値が配向された単軸極放射パターンを有する。マイクロフォンは、矢印VA±Bで示すように、矢印VCに対して実質的に垂直な平面内でトロイダル極放射パターンを得るように配列される。図示の4つのマイクロフォンの構成は、これ自体が米国特許第4,675,906号によって公知である。マイクロフォンMA、MA’、MB、MB’からの信号が処理され増幅されて、ラウドスピーカCを駆動する。マイクロフォンMA、MA’、MB、MB’の極放射パターンの最大値方向がラウドスピーカCの極パターンの最大値方向VCに対して実質的に垂直な平面内に配向され、両方のトランスデューサが、同等のバッフルステップを有する回転対称のコヒーレント線音源として動作するので、これらのトランスデューサの方向周波数応答の粗さは、耳によってもはや分解することができない極めて稠密な最小値及び最大値の連続体を有する波面パターンに干渉することになり、ラウドスピーカCによってマイクロフォンMA、MA’、MB、MB’上に生成される音声の影響は、室内音響によるラウドスピーカからマイクロフォンへの反響フィードバックとして最小である。その結果、より少ないカラーライゼーションしか発生しないので、従来技術のシステムにおけるよりも大きい、増幅器の増幅係数を選択することができる。
任意的なエンクロージャOENCは、ユーザがマイクロフォンを音響的にシールドすることができるのを阻止する。このエンクロージャOENCは、ラウドスピーカC及びマイクロフォンMA、MA’、MB、MB’をシールド又は損傷するのを阻止する開口構造とすることができる。側壁があまり開口されない場合、図4に示す音響トランスデューサ構造体に関して解説したようにバスポートとしてエンクロージャを用いることもできる。当然ながら、側壁は、音声がマイクロフォンMA、MA’、MB、MB’に到達することができる程十分にマイクロフォンMA、MA’、MB、MB’の周囲で開口している必要がある。一例として、ケーシングENCの断面を円形とし、ケーシングOENCの断面を矩形とすることができる。矩形は、円を堅固にクランプするような寸法を有する。マイクロフォンMA、MA’、MB、MB’の位置でケーシングENCに陥凹部を設けると、ケーシングOENCの寸法を最小にすることができる。好ましくは、陥凹部は円形であり、マイクロフォンMA、MA’、MB、MB’はケーシングENCからもはや突出することはない。
かかるシステムは、有利には、会議システムにおいて用いることができ、この場合、通常はベクトルVCが垂直方向を向くが、マイクロフォン及びラウドスピーカ両方の最適化された軸外は全ての聴取者に向けるのが好ましい。凸状ラウドスピーカLSは、ベクトルVCの周囲のより一様に広がった極放射パターンを提供し、このパターンは、凹ラウドスピーカよりもスピーチに関連する周波数範囲にわたって変化が少ない。このことは、実施可能な高い増幅係数と共にスピーチの理解性を改善する。会議システムを用いて、マイクロフォンMA、MA’、MB、MB’が受信した音声を局所的に増幅し、増幅した音声をスピーカCに供給することができる。また会議システムを用いて、ローカルで参加している会議参加者の音声を捕捉し、これをリモートで参加している会議参加者が存在する場所の遠隔ラウドスピーカに伝送することもできる。リモートで参加している会議参加者の音声はラウドスピーカCに供給される。
別の関心のある用途は、図5のトランスデューサ構造体SA1、SA2、SB1、SB2のうちの少なくとも1つを図8A及び8Bに関して論じたラウドスピーカとマイクロフォンとの組み合せで置き換えることである。ここでマイクロフォンは、音声(スピーチとすることができる)を遠隔場所に同報通信するために電話システムと結合することができる。遠隔場所からの音声は、ラウドスピーカ/マイクロフォン組み合せに供給される。好ましくは、2つの対向する音響構造体はラウドスピーカとマイクロフォンとの組み合せなどを有する。例えば、domotica等における他の用途が可能である。
図9は、マイクロフォン信号を用いて図8のスピーカを駆動するための回路のブロック図を示している。減算器1は、マイクロフォンMA及びMA’の信号を減算し、差分信号SWAを得る。減算器2は、マイクロフォンMB及びMB’の信号を減算し、差分信号SWBを得る。信号SWAを+45度を超えて位相シフトして信号PAを得て、信号SWBを−45度を超えて位相シフトして信号PBを得る。他の位相シフトが実施可能であり、重要なことは、SWA及びSWBの位相が互いに対して90度を超えてシフトされることである。信号PA及びPBを加えて増幅器6に供給される信号SABを得る。増幅信号SABは従来の方式でラウドスピーカCに供給される。しかしながら、その代わりに増幅信号は、遠隔場所におけるラウドスピーカに供給することができる。好ましくは、マイクロフォンは感圧エレクトレットトランスデューサである。
結論として、本発明による好ましい実施形態では、音声システムは2つのラウドスピーカLA、LBを含み、該2つのラウドスピーカLA、LBは、これらの極放射パターンの最大値が少なくとも30度異なり且つ2つのラウドスピーカに供給される信号の共通部分について聴取者の方向に位相コヒーレントな音声を発生させる方向を有するように2つのラウドスピーカLA、LBを位置決めすることによって、聴取者の耳C1において2つのラウドスピーカのスペクトルシグネチャを遮蔽する。更に、両方のラウドスピーカLA、LBは、(基準)聴取者の正中面の同じ側又は正中面内に存在する。ラウドスピーカLA、LBは、同じ耳において十分異なるラウドスピーカLA、LBの音声勾配を得るように離間して配置すべきである。これらの態様は合わせて、聴取者の同じ耳C1において2つのラウドスピーカLA、LBの異なる音声勾配を引き起こすと共に、異なるラウドスピーカLA、LBから耳C1に到達する情報は依然としてコヒーレントで拡散によってぼやけない。
本発明による別の実施形態では、マイクロフォンがラウドスピーカに対して逆作動するので、マイクロフォンは、該マイクロフォンの極応答パターンのバッフルステップ定義の最大値が少なくとも30度異なり且つ基準聴取者位置と呼ばれる基準位置に投影された音声がコヒーレントな動作を有する方向を有するように位置決めすることができる。
上述の実施形態は本発明を限定するものではなく例証であり、当業者であれば添付の請求項の範囲を逸脱することなく、ヘッドフォン、マルチメディア−シアタ−PA−TV−及びPCスピーカ、ページングシステム、ユニバーサルHRTFコーディングマイクロフォン、マイクロフォン及びラウドスピーカアレイ、並びにこれらの組み合せ等の別の実施形態を設計することが可能になる点に留意されたい。上述のトランスデューサは分割膜部材を有することができる。
請求項において、括弧間に挿入したいかなる参照符号も請求項を限定するものと解釈すべきではない。動詞「含む」及びその活用形の使用は、請求項に記載したもの以外の要素又は段階が存在することを除外するものではない。要素の前にある冠詞「a」又は「an」は、複数のかかる要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を含むハードウェアを用いて、又は適切にプログラムしたコンピュータを用いて実装することができる。幾つかの手段を列挙しているデバイスの請求項では、これらの手段の幾つかは1つの同じハードウェアアイテムによって具現化することができる。ある特定の手段を互いに異なる従属請求項において記載している単なる事実は、これらの手段の組み合せを用いては利益をもたらすことができないことを表すものではない。
基準聴取者に対する音声トランスデューサ構造体の位置決めを示す概略図である。 耳の同じ側に存在する2つのラウドスピーカを互いの音響中心に向けて配向したラウドスピーカ構成を示す概略図である。 本発明に従って耳の同じ側に存在する2つのラウドスピーカを異なる方向に配向したラウドスピーカ構成を示す概略図である。 ピストン式凸錐体及び単軸放射パターンを有するラウドスピーカと、トロイダル極パターンを有する撓み波ラウドスピーカとを含む、本発明の実施形態によるオーディオシステムを示す概略図である。 本発明による2オーディオシステムの配置を示す概略図である。 本発明によるマイクロフォン構成によって発生させた信号を表すブロック図である。 本発明によるラウドスピーカ構成によって発生させた信号を表すブロック図である。 マイクロフォンとラウドスピーカの組み合せを示す概略図である。 マイクロフォンとラウドスピーカの組み合せを示す概略図である。 マイクロフォン信号によって図8のスピーカを駆動するための回路のブロック図である。
符号の説明
S1 オーディオシステム
SA1 音響トランスデューサ構造体
TA1 トランスデューサ
DA1 送受信信号
VA1 極放射パターンの最大値方向

Claims (38)

  1. 音声システムにおいて、
    指向性に関連する少なくとも1つの周波数範囲内の少なくとも1つの情報チャンネルにおいて、
    第1の音響トランスデューサ構造体(SA)が単軸極応答パターンの最大方向感度において延びるか又はトロイダル極応答パターンの回転対称軸である第1の軸(VA)を有し、
    第2の音響トランスデューサ構造体(SB)が単軸極応答パターンの最大方向感度において延びるか又はトロイダル極応答パターンの回転対称軸である第2の軸(VB)を有し、
    前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)が伝送波長に対して平坦又は凸状の膜部材を有する、
    厳密に2つの前記音響トランスデューサ構造体(SA、SB)の少なくとも1つのペアと、
    前記第1及び前記第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)の両方が人間の基準聴取者(C2)の正中面(C3)の同じ側か又は該正中面(C3)上に存在している場合には、前記正中面(C3)と、前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)及び前記第2の音響トランスデューサ構造体(SB)の音響中心(AC、BC)を結ぶ線(Z)との間で実質的に−30度から30度の角度、
    前記第1及び第2のトランスデューサ構造体(SA、SB)が共に単軸極応答パターン又はトロイダル極応答パターンのいずれかを有する場合には、前記第1の軸(VA)と前記第2の軸(VB)との間で実質的に70度から110度の角度、及び前記正中面(C3)と前記第1又は第2の軸(VA、VB)のいずれかとの間で実質的に70度から110度の角度、
    前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)が単軸極応答パターンを有し且つ前記第2のトランスデューサ構造体(SB)がトロイダル極応答パターン(SB)を有する場合には、前記第1の軸(VA)と前記第2の軸(VB)に対して垂直な平面との間で70度から110度の角度、及び前記正中面(C3)と前記第1の軸(VA)又は前記第2の軸(VB)に対して垂直な前記平面のいずれかとの間で70度から110度の角度、
    を得るように前記音響トランスデューサ構造体(SA、SB)を配向する手段と、
    を備え、
    前記人間の基準聴取者(C2)の位置Pが、前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)の最大方向感度のそれぞれの主軸及び/又は平面に対して軸外にあり、
    前記音声システムには更に、
    前記トランスデューサ構造体(SA、SB)から受信され、又は該トランスデューサ構造体(SA、SB)に供給される電気信号を処理(SBT;AMP)する手段、
    が設けられ、
    前記トランスデューサ構造体がラウドスピーカ(L1、L2)である場合、前記配向手段及び前記処理手段(AMP)が、前記ラウドスピーカ(L1、L2)に共通である少なくとも前記情報に対して前記位置(P)において実質的に位相コヒーレントな音声波を得るように適合されている、
    ことを特徴とする音声システム。
  2. 前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)は、前記関連周波数範囲に対して、単調な拡散場応答を有し、前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)の最大方向感度の主軸及び/又は平面に対する緯線に沿って軸外平坦自由音場応答を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  3. 前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)が回転対称極応答パターンを有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の音声システム。
  4. 前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)が、同じオーダーのバッフルステップから導出された極応答パターンを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  5. 前記バッフルステップは、人間の頭部のオーダーの寸法を有する空気カップリング面に関連する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の音声システム。
  6. 前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)の主軸又は平面は、実質的に前記第2のトランスデューサ構造体(SB)の音響中心(BC)に向いている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  7. 前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)及び前記第2の音響トランスデューサ構造体(SB)の音響中心(AC、BC)を結ぶ前記線が実質的に垂直方向に延びる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  8. 前記配向手段が、前記音響中心(AC、BC)と前記位置(P)との間で同じ距離を得るように適合されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  9. 前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)が、前記周波数範囲を合わせてカバーするように同心状に配列された複数のトランスデューサを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  10. モノフォニックチャンネルにおいて前記第1のトランスデューサ構造体(SA)と前記第2の音響トランスデューサ構造体(SB)だけを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  11. 位置決めするための手段は、一方の前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)の音響中心(AC)と前記人間の基準聴取者の位置(P)とを結ぶ第1の想像線と、他方の前記第2の音響トランスデューサ構造体(SB)の音響中心(SB)と同じ前記位置(P)とを結ぶ第2の想像線との間で、10度から170度の領域の角度を得るような互いに対する距離で前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)を位置決めするように適合されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  12. 前記第1のトランスデューサ構造体(SA)及び前記第2の音響トランスデューサ構造体(SB)が、前記正中面(C3)に対して実質的に等しい垂直方向距離に位置決めされる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  13. 前記人間の基準聴取者の正中面(C3)と前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)及び前記第2の音響トランスデューサ構造体(SB)の音響中心(AC、BC)を結ぶ前記線との間の角度が実質的にゼロ度である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  14. 前記第1及び前記第2のトランスデューサ構造体(SA、SB)が両方共に単軸トロイダル極応答パターン又はトロイダル極応答パターンのいずれかを有する場合には、前記第1の軸(VA)と前記第2の軸(VB)との間の角度が実質的に90度であり、前記正中面(C3)と前記第1又は第2の軸(VA、VB)のいずれかとの間の角度が実質的に90度であり、
    前記第1の音響トランスデューサ(SA)が単軸極応答パターンを有し、前記第2のトランスデューサ構造体(SB)がトロイダル極応答パターンを有する場合には、前記第1の軸(VA)と前記第2の軸(VB)に対して垂直な平面との間の角度が実質的に90度であり、前記正中面(C3)と前記第1の軸(VA)又は前記第2の軸(VB)に対して垂直な平面のいずれかとの間の角度が実質的に90度である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  15. 前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)が、平坦膜部材又は凸状膜部材を有するピストン式又は撓み波コンバータであるトランスデューサから選択されたトランスデューサ(L1、L2)を含み、前記凸状膜部材が前記構造体から突出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  16. 前記第1及び/又は第2の音響トランスデューサ(L1、L2)が、異なる周波数帯域において複数のサブ音声波を発生させるための複数の同心状膜部材をそれぞれ有する、
    ことを特徴とする請求項15に記載の音声システム。
  17. 前記第1及び/又は第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)が、それぞれ前記第1又は第2の軸(VA、VB)の周りに回転対称である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  18. 前記第1及び前記第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)が各々、少なくとも1つのラウドスピーカ(L1、L2)を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  19. 同じ電気信号を前記第1及び前記第2の音響トランスデューサ(L1、L2)に供給するための少なくとも1つの増幅器(AMP)、
    を更に含む請求項18に記載の音声システム。
  20. 前記第1及び第2の音響トランスデューサ構造体(SA、SB)が各々、少なくとも1つのマイクロフォンを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  21. 前記第1のトランスデューサ構造体(SA)が単一の第1のマイクロフォンであり、前記第2の音響トランスデューサ構造体(SB)が単一の第2のマイクロフォンである、
    ことを特徴とする請求項20に記載の音声システム。
  22. 前記第1のマイクロフォンによって登録された第1の信号(DA1)と前記第2のマイクロフォンによって登録された第2の信号(DB1)を保存するためのオーディオレコーダデバイス(S1)及び記憶媒体(SB)を更に含む、
    請求項21に記載の音声システム。
  23. 増幅された第1の信号(DA2)を前記第1のラウドスピーカ(L1)に供給し、増幅された第2の信号(DB2)を前記第2のラウドスピーカ(L2)に供給するための増幅器(AMP)、
    を更に含む、
    請求項18に記載の音声システム。
  24. 前記第1及び第2のラウドスピーカ(L1、L2)の配置が請求項18に記載されたマイクロフォンの配置と逆である、
    ことを特徴とする請求項23に記載の音声システム。
  25. 前記第1の音響トランスデューサ構造体(SA)が少なくとも1つのラウドスピーカ(C)を含み、前記第2の音響トランスデューサが少なくとも1つのマイクロフォン(MA、MA’、MB、MB’)を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  26. 前記ラウドスピーカ(C)が平坦又は凸状膜部材を有し、前記第2の音響トランスデューサが、前記第1の軸(VC)に実質的に一致する第2の軸(VC)を有するトロイダル極応答パターンを得るために、位相シフトネットワーク(1、2、3、4、5)を介して配列及び相互接続された複数のマイクロフォン(MA、MA’、MB、MB’)を含む、
    ことを特徴とする請求項25に記載の音声システム。
  27. 前記第1又は第2のトランスデューサ構造体(SA、SB)の少なくとも1つが、壁又は天板の一部であるか、或いは壁又は天板に組み込まれる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声システム。
  28. 少なくとも2つのチャンネル(S1、S2)において請求項1に記載の音声システムを含む多チャンネル音声システム。
  29. 左チャンネル及び右チャンネルを含むステレオシステムであり、各々が、請求項1に記載の第1の音声システム(S1)と、請求項1に記載の第2の音声システム(S2)とをそれぞれ含み、横方向に変位されて前記正中面(C3)の異なる側に存在する、
    請求項28に記載の多チャンネル音声システム。
  30. 対応する前記第1又は第2のトランスデューサ構造体(SA、SB)が同一であり、且つ実質的に相対して配向された第1又は第2の軸(VA、VB)を有する、
    ことを特徴とする請求項29に記載の多チャンネル音声システム。
  31. 実質的に相対して配向された第1又は第2の軸(VA、VB)を有する前記対応する第1又は第2のトランスデューサ構造体(SA、SB)が、互いの音響中心(AC、BC)に向けられる、
    ことを特徴とする請求項30に記載の多チャンネル音声システム。
  32. サブウーファチャンネル用信号が、他のラウドスピーカ(L1、L2)にわたって分割される、
    ことを特徴とする請求項23に記載の多チャンネル音声システム。
  33. 請求項7に記載された前記システムにおいて用いるためのスタンドであって、該スタンドは使用時には実質的に垂直方向に延びており、実質的に垂直に延びる第1の軸(VA)を有する前記第1のトランスデューサ構造体(SA)を保持するために第1のホルダを有し、実質的に水平に延びる第2の軸(VB)を有する前記第2のトランスデューサ構造体(SB)を保持するために第2のホルダに向かって配向されている、
    ことを特徴とするスタンド。
  34. 請求項1に記載の前記第1及び前記第2のトランスデューサ構造体(SA、SB)を含む単一ケーシング。
  35. 請求項22で定義された第1の信号(DA1)及び第2の信号(DA2)を含む記憶媒体(SB)。
  36. 請求項22で定義された第1の信号(DA1’)及び第2の信号(DB1’)を含む伝送信号。
  37. 単軸極応答パターンの最大方向感度において延びる第1の軸(VC)を有するラウドスピーカ(C)と、
    単軸極応答パターンの最大方向感度において延びるか又はトロイダル極応答パターンの回転対称軸である第2の軸(AX2)を有するマイクロフォン装置(MA、MA’、MB、MB’)と、
    前記第1の軸(VC)と前記第2の軸(AX2)に対し垂直な平面との間で70度から110度の角度を得るように前記ラウドスピーカ及び前記マイクロフォン装置(MA、MA’、MB、MB’)を配向する手段と、
    を含む音声システム。
  38. 前記ラウドスピーカ(C)が平坦又は凸状膜部材を有し、前記第2の音響トランスデューサが、前記第1の軸(VC)に一致する前記第2の軸(AX2)を有するトロイダル極応答パターンを得るように配列された4つのマイクロフォンを含む、
    ことを特徴とする請求項37に記載の音声システム。
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