JP2008535010A - 可逆性および非可逆性の光化学機能成分を備える保護材料 - Google Patents

可逆性および非可逆性の光化学機能成分を備える保護材料 Download PDF

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Abstract

本発明は、担体と少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質とを含む保護材料に関する。前記保護材料は、担体上に少なくとも1層の不可逆的な感光層を含み、少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/または変異タンパク質が、少なくとも1層の感光層および/または他の任意の層に含まれることを特徴とする。本発明の保護材料は、偽造防止性が高く、フォトクロミック生体分子は使用可能な形態では取り外すことができず、また、フォトクロミック生体分子は大規模な顧客が利用する必要がないことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、担体とその担体上の層にある少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質とを有する材料と、その材料の化学的処理を含む製造方法と、このような材料の使用に関する。
安全工学の観点に立って、文書または日常物の真正性を保護する応用例には、適切な保護機能または認証マークの使用が含まれる。こうした安全工学の観点に立った応用例であるフォトクロミック材料の利点は、すでに認知されている。実施形態は、特許文献1等に記載されている。フォトクロミック性の識別機能は、既知の実施例では紫外線を使用することによって可視化されている。紫外線を使用するため、認証検査官の眼を適切に保護する必要がある。そのため、保護機能を識別するのに紫外線を使用することが欠点とみなされる可能性がある。同様の先行技術が、特許文献2に記載されている。ここでも保護機能を可視化するのに紫外線が利用されている。
バクテリオロドプシン含有インクという形でフォトクロミック剤を使用し、日常物の真正性を保護する方法は、特許文献3より既知である。上述の特許文献3の例7にしめせれているように、例えば普通紙または写真用紙などの日常物にフォトクロミック剤で刻印し、次いでこれをラミネートする方法が知られている。しかし、刻印にはその他の製造ステップが必要であり、保護機能の製造にかかる費用が増加する。より深刻なことには、しばしば起こりうることだが、フォトクロミック成分を有する刻印が、エンドカスタマーによって表示されたあとにしか発生しない場合、そこからセキュリティーホールが生じる可能性がある。このような場合、フォトクロミック成分が保護機能の製造者の元に残るのみならず、より大規模な顧客群に分配されるはずだからである。さらに、材料の表面からフォトクロミック塗料が除去されてから、それが他の文書を偽造するのに再利用される恐れもある。
この問題を回避するための1つの可能性が特許文献4より既知であり、ここではフォトクロミック物質は、基質そのものに組み込まれている。さらに、非特許文献1に記載の方法では、基質である石基にフォトクロミック材料が導入され、検知可能になったその基質のランダムな不均質性が読み取られ、保護用データセットとして使用されている。
しかし、標準的な担体材料を使用する代わりにフォトクロミック材料を基質に導入することにより、フォトクロミック物質の各変異体用に製造すべき基盤が別になってしまうため、製造コストが高くなる。その上、製造時には担体材料の種類が大幅に制限されてしまうが、この材料をフォトクロミック物質に適合させて、任意の効果を発揮させなければならない。
基質への導入に特有の実施形態が特許文献5に記載されており、ポリビニルアルコール(PVA)およびバクテリオロドプシン(BR)を含有する製剤が高pHに設定され、それからフィルムが作製されている。同様に、特許文献6によれば、BR含有ゲルをガラス板2枚の間で凝固させ、BR含有フィルムを作製している。
最後に、特許文献7より既知のフォトクロミック材料は、担体とその上に存在するフォトクロミック成分からなり、そのフォトクロミック成分は、バクテリオロドプシン懸濁液と、少なくとも1種類の有機窒素含有化合物と、結合剤とを含有する。
米国特許第4,927,180号明細書 米国特許第5,807,625号明細書 独国特許第199,14,702(A1)号明細書 独国特許第199,61,841号明細書 米国特許第5,346,789号明細書 米国特許第5,854,710号明細書 米国特許第5,518,858号明細書 欧州特許第0,406,850(B1)号明細書 独国特許25,30,645号明細書 国際公開03/052701(A2)号パンフレット N.N.Vsevolodov,"Biomolecular Electronics:An introduction via Photosensitive Proteins",Birkhauser,Boston,1998 D.Oesterhelt,C.Brauchle、N.Hampp、"Bacteriorhodopsin:A Biological Material for Information Processing"、Quarterly Review of Biophysics,24(1991)425‐478 "Bacteriorhodopsin as a Photochromic Retinal Protein for Optical Memories",(Chemical Review, 100(2000)1755‐1776) A.Miller,D.Oesterhelt,"Kinetic Optimization of Bacteriorhodopsin by Aspartic Acid 96 as an Internal Proton Donor",Biochim:Biophys.Acta1020(1990)57‐64 H.Otto,T.Marti,M.Holz,T.Mogi,M.Lindau,H.G.Khorana、und M.P.Heyn,Proc.Natl.Acad.Sei.USA.86(1989),p.9228−9232 T.E.Thorgeirsson,S.J.Milder,L.J.W.Miercke,M.C.Betlach,R.F.Shand,R.M.Stroud and D.S.Kliger,Biochemistry 30(1991),p.9133‐9142。 Chignell & Chignell,Biophys.Biochem.Res.Commun.62(1975)、p.136‐143 Renthal et al.,Biochemistry 22(1983),p.5‐12 Research Disclosure37254 Research Disclosure37038 Research Disclosure38957 J.Inf.Rec.Mats.,1994,Vol.22,pages 183−189
偽造の手口がより巧妙になっていることから、既知の保護材料の偽造防止性をさらに高めることが望ましい。したがって、本発明は、偽造防止性の高い保護材料を発見しようという目的に基づく。さらに、上述の既知の保護材料の欠点は取り除くべきである。
驚くべきことに、この目的は保護材料として不可逆的な感光材料を使用することによって達成し得ることがすでに明らかであり、層接合体内のフォトクロミックタンパク質または変異フォトクロミックタンパク質は保護機能として含まれる。
上述のタンパク質または変異タンパク質は多くの官能基を有する複雑な生体分子であるが、驚くべきことに、本発明の枠組みのなかでこれらのタンパク質または変異タンパク質は、製造の早い段階で保護材料に組み込まれても、生体分子としての機能が維持されることが明らかになった。予想に反して曝露プロセスは自発光の主成分の影響をさほど受けず、層接合体に含まれるフォトクロミックタンパク質および変異タンパク質は、処理に必要ではあるが、分離されたフォトクロミックタンパク質またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質に対して不可逆的な影響を及ぼし得る溶媒および化学物質の影響にも耐える。
したがって、本発明の主題は、担体と少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質とを有する保護材料であり、その保護材料は担体上に少なくとも1層の不可逆的な感光層を有することを特徴とし、その少なくとも1層の感光層および/または他の任意の層に少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/または変異タンパク質が含まれる。
フォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質(合わせて以下フォトクロミック生体分子と称す)の組入れは、保護材料の製造時に直接発生する可能性があり、直接層に入れることによって使用可能な形態ではフォトクロミック生体分子を取り外すことができない。それによって、偽造にとって応用例の重要な点が排除される。さらに、フォトクロミック生体分子は大規模な顧客群に利用される必要がない。このように、本発明によるフォトクロミック生体分子は材料の入手が困難なため、偽造者によって製造される可能性はほとんどない。また、写真または電子写真等により生成される複製はフォトクロミック的挙動を呈さないため、従来の方法によってコピーされる恐れもない。
本発明による不可逆的な感光層は、いずれも照射によって不可逆的変化が生ずると考えられており、その変化は直接または視覚的に確認され得る、あるいは当初は潜伏時にのみ現れ検知される、あるいは化学処理後にのみ視覚的に確認されると考えられる。
本発明による不可逆的な感光層においては、直接検知され得る不可逆的変化が照射によって生じる。このような感光層の実施例は、例えば破壊可能であるがゆえに照射、具体的には紫外線照射によって退色し得る色素を含む層、もしくはフォトレジスト材料または印刷版等に塗布し得る光重合可能な層等である。
本発明については、照射によって不可逆的変化が生じ、当初は潜伏時にのみ現れ検知される、あるいは化学処理後にのみ視覚的に確認される不可逆的な感光層が好適である。このような材料は、例えば感光性が高くなるほど照射強度がより低くてすむため、フォトクロミックタンパク質および/または変異タンパク質にほとんど損傷を与えない、あるいはまったく与えない。このような層を含む材料も写真材料と称す。
本保護材料の好適な実施形態では、保護材料は少なくとも1層に少なくとも1種類のフォトクロミック生体分子を有する写真材料である。具体的に好適なのは、例えば写真フィルムおよびコピー材料として既知のハロゲン化銀を基材とする写真の黒および白や、特にカラーの材料である。
本発明の枠組みのなかでは、複雑な層接合体であるとともに層が多数になるにも関わらず、その保護材料が高速処理に適するカラー写真コピー材料(印画紙等)であり、なおかつその中のハロゲン化銀乳剤が少なくとも計95モルの塩化銀を含有する場合に、特に良好な結果が達成され得ることが明らかになった。驚くべきことに、フォトクロミック生体分子、具体的にはバクテリオロドプシンは、このような層接合体に存在する物質や、このような場合に適用され、高い処理温度を介して強いられる高速処理に関して、特に安定している。写真層を含む文書は、他のいかなる文字、図柄、または色を有する高品質の表示を高速かつ経済的に、永続的に提示可能にする。このように、例えばドイツの身分証明書およびドイツのパスポートは、写真層を含む基質で作られている。
さらに本発明は、可逆的なフォトクロミック効果と、照射によって生じる不可逆的な効果との優れた組み合わせを可能にする。照射によって生じ得る表示、署名、図柄、または色はフォトクロミック的プロセスに影響を及ぼす。このプロセスは検査装置の使用/または目視によって確認可能であり、保護材料の種類が大幅に増える。
本発明による担体については、これは例えば、紙、プラスチックコート紙、厚紙、プラスチック、金属、ガラス、またはこのような材料の混合物(いわゆる「化合物」)のひとつであると考えられ、透明または非透明と考えられる。好ましくは、巻取りおよび巻出しが可能な柔軟な担体、具体的には巻上げ時に半径10cm以下になる、破れない担体と考えられる。
本発明による保護材料では、フォトクロミック生体分子は、好ましくは極めて少量で使用されるため、裸眼ではもはや見ることができず、分析によってのみ検知可能であるため、不可逆的に生じた例証の妨害を最小限にする。
しかし、より大量に使用されることもあり、このような場合は目視により確認可能である。任意の効果に基づく必要量は、一般的な試験を用いて当業者が算出し得る。目視により明確に確認されることが望ましい場合は、保護材料mあたりフォトクロミック生体分子約500 mg以上を使用すべきであり、それによって反射時に光学濃度約0.2が得られる。
このような濃度の場合、フォトクロミック生体分子により、例えばパスポート写真などの例証(表示)に相当な色かぶりが発生する。この場合、保護材料がカラー写真材料である場合は、そこに写真用の照射を施して色かぶりを相殺し、中間色である灰色の背景を作るのが好ましい。そうすれば高濃度の場合であっても、観察者はこのタンパク質固有の色には気付かず、代わりに着色された灰色のみが認識される。
本発明の好適な実施形態では、フォトクロミックタンパク質は網膜タンパク質、具体的にはバクテリオロドプシンである。バクテリオロドプシンの抽出および修飾については、本発明による目的として実施例によって説明することにするが、その実装は他の網膜タンパク質に関する類似の方法でも有効である。
タンパク質であるバクテリオロドプシンは、微生物ハロバクテリウム・サリナーラム(halobacterium salinarum)から大量に抽出されると考えられる。野生型バクテリオロドプシンは、フォトクロミック材料としての、その基本的な光化学的、物理的特性について当業者に周知であり、光によって活性化されるときに一連の環状の中間体を経る。バクテリアロドプシンに関する特性の要約は、特許文献3、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4において言及されている。あらゆる範囲のバクテリオロドプシン変異体が存在することも当業者に周知であり、これらは初期の色は野生型と同じであるが、光周期の速度に関しては、部分的に相当異なる。好適な例は、変異体BR‐D96Nである。その特性は、非特許文献5等、多くの刊行物に記載されている。
バクテリオロドプシンのフォトクロミック特性をモデル化するには、2つの状態のみ、すなわちBの状態およびMの状態を含む、高度に簡略化された光周期を用いる。
紫色のBの状態は、好ましくは可視光によって、具体的には568 nm等、波長が500〜600 nmのときに光化学的に退色されると考えられる。この退色により、バクテリオロドプシンは黄色のMの状態に形質転換される。次いで、バクテリオロドプシンは、熱緩和および/または第2の波長域の光照射により光化学的に元の状態(Bの状態)へ回復すると考えられる。このような光化学的選択肢は、例えば転換作用を促進するため保護用端末で使用され得る。好ましくは、この第2の波長域として、412 nm等、400〜450 nmの波長を用いる。図式(I):
ステップI ステップII
Bの状態(紫色) → Mの状態(黄色) → Bの状態(紫色)(I)
による全プロセス(転換サイクル)は可逆性が高く、熱的なステップIIと光化学的なステップIIのいずれによる転換サイクルについても、他のフォトクロミック物質と比較して、10を超える極めて多くの転換サイクルが可能になる。転換サイクルはそれぞれ検査操作と一致しているため、それに応じて、他のフォトクロミック物質より格段に多くの検査操作が可能になる。さらなる利点は色を変化させるために可視光の波長を利用できることであり、これによって紫外線が不要になるため、防具や特殊なランプも不要となる。さらに、いずれの転換状態も、検知可能な固有の色を有する。
照射されたバクテリオロドプシンの明白な退色も、Mの状態の期間が長くなるほど、より容易に検知され得る。一般的に、バクテリオロドプシン材料の退色の約90%は、532 nMで100 mW/cm未満の光出力により達成される。
本発明の特に好適な実施形態では、バクテリオロドプシン(BR)は、いわゆる紫膜という形態で存在する。このような形態で、バクテリオロドプシンは微生物ハロバクテリウム・サリナーラムに生じる。紫膜の形態にあるバクテリオロドプシンの製造および分離に関する技術は、特許文献8等より周知である。このような形態のバクテリオロドプシンは、上述の積極的な化学的処理の状態と比較して、熱力学的に特に安定しているが、本発明の枠組みのなかでは、特定の安定性は期待されなかった。
本発明の好適な実施形態では、少なくとも1種類のバクテリオロドプシン機能変異体および/または少なくとも1種類のバクテリオロドプシン誘導体化変異体および/または少なくとも1種類のバクテリオロドプシン発色団の変異体および/または少なくとも1種類のバクテリオロドプシン配列変異体を使用する。これらの変異体には、例えば検査操作の要件に対し柔軟に適合できるようになり、特に、本発明による保護材料への組み込みによって生じ得る特性の変化を修正可能にする。さらに、これらの変異体を偽造するのは困難であるため、保護性が高まる。図式(I)による容易に検知可能な保護機能は別として、特許文献3のcol.3l.54〜col.4l.30に記載されているような、いわゆる高保護機能を提供することと、これらの保護機能により、保護性に関して最高レベルの要件を引き続き満たすシステムが使用しやすくなることも、これらの変異体の特殊性である。
少なくとも2種類のバクテリオロドプシン変異体を使用することによって解析が二次元的に実施できるようになるため、有利な効果が得られる。
バクテリオロドプシン機能変異体により、吸光スペクトルおよび/または光周期が野生型バクテリオロドプシンと異なるのはどの変異体か、また、遺伝的修飾法を用いて得ることができるのはどの変異体か、具体的に理解されるようになる。既知の機能変異体、例えばD96N変異体においては、アスパラギン酸が96の位置でアスパラギンと交換される。このようなバクテリオロドプシン機能変異体その他については、非特許文献6、非特許文献7に記載されている。
バクテリオロドプシン誘導体化変異体により、分子の共有結合において野生型バクテリオロドプシンと異なるのはどの変異体か、具体的に理解されるようになる。例えば、これらバクテリオロドプシン分子には、その分子量を増加させて質量で識別できるようにする、あるいはバクテリオロドプシン分子を着色してその吸収スペクトルを変えるという役目がある。好ましくは、それは蛍光分子または燐光分子であり、バクテリオロドプシンに結合したルミネセンスを観察可能にする。このルミネセンスの放出は、さらなる保護機能である。放出位置を適切に選択することによって、バクテリオロドプシン材料が未退色の状態の場合に、ルミネセンスを抑制すると考えられる。ルミネセンスの抑制は、初期のバクテリオロドプシン吸収の位置と蛍光材料および燐光材料の放出位置が強く重なった場合に達成される。この場合、バクテリオロドプシン材料が放出光子を吸収するため、裸眼ではルミネセンスが見えない。ルミネセンスは、バクテリオロドプシン材料が光化学的に退色されるときにのみ、可視化される。
同様に、バクテリオロドプシン材料は、ポリマーにも共有結合し得る。カップリング反応は、例えば非特許文献8および非特許文献9により実行され得る。
連結分子はバクテリオロドプシンに結合され、そこにさらなる化合物が結合し得る。本発明による目的に応じて結合され得る分子は、バクテリオロドプシンの分子量を増加させて、質量分析においてこのような分子を識別可能にするのに役立つ。
バクテリオロドプシン発色団の変異体により、他の分子、いわゆるレチナールアナログ分子由来のレチニリデン発色団との距離および交換について、野生型バクテリオロドプシンと異なるのはどの変異体か、具体的に理解され得る。レチナール類似分子は、リシン216を介してバクテリオロドプシンと共有結合すると考えられる。
バクテリオロドプシン配列変異体により、1個以上のアミノ酸の喪失または交換または追加を介して野生型バクテリオロドプシンと異なるのはどの変異体か、具体的に理解され得るが、光周期にはさほど影響を及ぼさない。バクテリオロドプシン配列変異体は、例えばD36Cまたはアミノ酸がN末端またはC末端と結合する変異体である。上述の修飾された変異体を組み合わせることによって、新規の好適な変異体が作製されるため、多種多様なバクテリオロドプシン剤の製造が可能になる。可能性のある「コード」が膨大であるため、これまで使用できていたのは可能性のある全生成「コード」のごく一部のみである。特定のシーケンスによるコーディング法が既知であっても、偽造しようにもこれまでどのコードが使用されたかに関する情報が欠けている。
バクテリオロドプシン剤は、従来の非フォトクロミック色素および/または蛍光色素、および/またはさらなるフォトクロミック色素およびバクテリオロドプシンをさらに含むと考えられる。バクテリオロドプシンとの混合により、色素または蛍光色素は保護用標識内でゆがむと考えられる。このような実施形態では、紫外線および可視光の使用がさらに利便性を高めると考えられる。
前述の通り、レチナール発色団を交換することによって、バクテリオロドプシン変異体製造の可能性が生ずる。こうして光物理的特性が改変され、好ましくはジヒドロレチナールまたは4‐ケトレチナールが使用されると考えられる。
適用されるバクテリオロドプシン材料の組成については、微量分析による配列決定法を用いてバクテリオロドプシン材料のアミノ酸配列を全体的または部分的に決定または測定することによって、あるいは特定の抗体と反応させる免疫法によって、試験し得る。
本発明の好適な実施形態では、この保護材料はバクテリオロドプシン変異体と、意図的に変化させたアミノ酸配列(この配列の変化は光物理的特性に影響を及ぼさない)および/または化学的に結合した分子とを含む。上のバクテリオロドプシン変異体を2種類以上組み合わせたものは、特に好適である。
本発明のさらなる実施形態では、フォトクロミック生体分子はバクテリオロドプシンであり、この生体分子内では、a)野生型バクテリオロドプシンに関して、タンパク質である紫膜の形成に必要な領域は不変である、またはb)野生型バクテリオロドプシンに関して、ポリペプチド鎖のループおよび/またはC末端および/またはN末端で少なくとも1個のアミノ酸について、欠失、付加、挿入、および/または置換を含む交換が行われ、バクテリオロドプシンのフォトクロミック機能を変化させないこのアミノ酸交換は、フォトクロミック領域によって決定される。
このように、バクテリオロドプシンにおいて特徴化されたアミノ酸は、好ましくはC末端に付加される。
さらに、バクテリオロドプシン変異体が少なくとも1種類のシステインおよび/または野生型と異なる光周期を含む、あるいは初期の色が野生型と異なっている場合は好適である。
バクテリオロドプシンを挿入するため、例えば水またはアルコールベースの溶剤などの有機溶媒が、溶媒として使用されると考えられる。
バクテリオロドプシンの形態として好適な紫膜以外に、本発明による保護材料はさらに可溶性の形態でのバクテリオロドプシンをさらに含むと考えられる。
可溶性の形態でのバクテリオロドプシンは、例えば大腸菌等の宿主においてバクテリオロドプシン遺伝子を発現させ、アルデヒドレチナール添加によりこの遺伝子を再構成することによって入手し得る。さらに、脂質を除去することによって紫膜からバクテリオロドプシンを得られる可能性がある。この点に関しては、例えば紫膜懸濁液(OD570<5)を水または1%Triton-X 100緩衝液に添加し、微小プローブを用いて連続的に超音波処理を行う。遠心沈殿後に得られた界面活性物質には、可溶性の形態のバクテリオロドプシンが含まれる。
本発明の好適な実施形態では、この保護材料は紫外線吸収物質を含む。これらの紫外線吸収物質を、フォトクロミック生体物質を含む層の内部、特に好適にはこの層上に含むことが有利であることは周知である。上記は、層接合体における位置がフォトクロミック生体分子を含む層よりも担体から離れた位置にあることを意味する。適切な化合物は、非特許文献10のpart 8(1995)p.292、非特許文献11のpart IV、V、VI、VII、X、XI、およびXIII(1995)、p.84 et seqq.、および非特許文献12のpart VI、VIII、IX、and X(1996),p.607 and 610 et seqq.に示されている。本発明による紫外線吸収物質含有保護材料は、公然と実施される識別および紫外線により励起される蛍光色素を含む識別に関しても、特に好適である。
この保護材料をラミネートする、具体的には透明なプラスチックフィルムによりこれを実行することによって、偽造防止性がさらに高まり、環境の影響に対する保護性も高められる。ラミネーションは片面に施されると考えられるが、両面のラミネーションによって保護性が高められる。ラミネートにより識別材料の主面を一部のみまたは正確に一致させて被覆し得るが、特に高保護性については、ラミネートフィルムを重ね合わせ、その重なった端部を溶接または接着させることによって達成される。本発明の範囲内では、フォトクロミック生体分子を含む層接合体の固着性がやや低いゆえに、材料を破壊せずにラミネートされたフィルムを取り除くことが実質的には不可能であるため、それ自体が既知であるラミネーション効果は、本発明による材料に特に独特であることが明らかになった。
フォトクロミック生体分子を有する層は、写真材料用の通常既知の層添加物を含み、質の高い流延、固着性、および耐擦傷性を達成すると考えられる。結合剤等、水の他には特に不活性のゼラチン、蛍光テンサイド類またはマノキソール等の界面活性物質、およびポリスチレンスルホン酸(PSS)等の粘性調整剤である。
本発明による保護材料は通常結合剤を含み、これは製造時に硬化剤、具体的には即効性の硬化剤添加により硬化され、本法においてのみ化学的処理時には高温に抵抗性を示す。フォトクロミック生体分子の存在下では、結合剤の総量との関係上、硬化剤の量を相当増量させ、フォトクロミック生体分子をもたない材料と比較して、層の安定性を同等にしなければならないことが明らかになっている。好ましくは、本発明による保護材料は結合剤1 gあたり硬化剤を少なくとも0.05 g、特に結合剤1 gあたり硬化剤0.1 g以上を含有する。
フォトクロミック生体分子を含む隣接層に関して、製造時にも完成材料の形でも、例えば通常非水溶性物質の挿入に使用されるような溶媒がほとんど存在しない場合に有利であることが分かっている。この場合、この物質を溶媒としてではなく、分散剤またはエミュルゲートとして使用する、あるいは可能であれば水溶性化合物を使用することによって有機溶媒の量を可能な限り減量した場合、層接合体へ組み込まれても、フォトクロミック活性はほとんど影響を受けない。
本発明によるフォトクロミック生体分子は保護材料の1層以上に存在すると考えられるが、驚くべきことに、フォトクロミック生体分子が担体のより近くに配置され、そのため層接合体の大部分によって被覆されている場合に、その活性が高くなることが示されている。フォトクロミック生体分子を含む層は、特に好ましくは、担体上に直接配置されている、もしくは担体から1層分のみ離れて配置されていて、実質的な成分として結合剤を含む。
その屈光性のスイッチング挙動を改善するため、以下の物質の1つを単独または他の層、好ましくはBR層に隣接する層、特にBR層それ自体と組み合わせて混合することが有利であることが分かっている。その物質とは、有機アミン類、アンモニウム化合物、ペプチド、アミノ酸、および上記化合物の化学的誘導体、好ましくは芳香族およびアルカンのアミン誘導体、具体的には一級アミノ群、二級アミノ群、三級アミノ群、または四級アミノ群に関する物質であり、特に好適はトリエタノールアミン、アルキルアミン、diaminotolene(ジアミノトルエン)、ベタイン、セリン、スレオニン、システイン、リシン、アルギニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、ポリエチレンアミン、アミノヒドロキシピリジン、およびアミノメトキシピリジンである。アルギニンは特に好適である。上述の物質によって特にフォトクロミック挙動という状況への依存度が減少し、相対湿度が低くてもフォトクロミズムを評価できるようになる。本発明による保護材料のフォトクロミズムは、好ましくは相対湿度30〜100%の範囲で測定可能となり、また、この挙動は前述の物質を使用することによってコントロールし得る。写真の保護材料において使用する場合、材料が十分乾燥されることで溶接可能となり、次いで安定性が得られるという利点がある。
さらなる利点は、化学的処理中に生産される現像剤の酸化生成物に反応する物質を含む、本発明による保護材料により達成され得る。マスクを形成するカラーカプラーおよび無色のカプラー等以外にこれらに属するのは、具体的には写真材料の当業者には既知のスカベンジャーである。驚くべきことに、このような物質により、フォトクロミック活性は増加され得る。好ましくは、現像剤の酸化生成物に反応するこれらの物質が、フォトクロミック生体分子を含む層内または層上、特に層上で使用され、好ましくは各層がこのような物質の0.03〜0.5 g/m、特に0.1〜0.25 g/mに使用される。フォトクロミック効果にとって高濃度であることは有利であるが、層間の固着性に影響を及ぼさないためにも、その量は過度に増やすべきではない。当業者は通常の試験によって最適な量を入手し得る。
本発明の好適な実施形態では、バリア層は、現像剤の酸化生成物対して可能な限り不浸透性を示すフォトクロミック生体分子を含む層上に配列される。これは、例えば現像剤の酸化生成物に反応する上述の物質のうち少なくとも1種類を含むバリア層によって達成され得るが、例えば結合剤およびバリア層を特に強力に硬化することによっても、膨張や膨張による現像剤の拡散が避けられる。
識別材料の安定性に関して厳格な要件が作成されるが、細菌感染または真菌感染と関連する安定性についても同じことが言える。これはそのような識別材料には手で触れることが多いため、容易に汚染され得るからである。しかし、既知の殺菌剤および防黴剤を本発明による保護材料に無制限に使用することはできない。驚くべきことに、既知の殺菌剤および防黴剤のなかにはフォトクロミック活性を大幅に減少させるものがあることが明らかになった。しかし、試験によって適切な殺生剤を選択することは容易であり、試験対象の物質を本発明による保護材料に添加し、その材料を60℃の温度に48時間曝露させる。相対湿度はコントロールしない。続いて、フォトクロミズムおよびサイクル数を測定する。掲げた目的に関するストレス試験後も依然として十分に検出可能なフォトクロミック活性を有する材料は本発明による保護材料に適しており、このように試験された殺生剤はその使用目的に適している。
本発明の目的は、担体と少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質とを有する保護材料の製造方法でもあり、その保護材料は担体上に少なくとも1層の不可逆的な感光層を有することを特徴とし、少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/または変異タンパク質が少なくとも1層の感光層および/またはその他の任意の層に含まれていて、その1層および複数層が流動可能な調剤、特に水溶剤として、担体上にそれぞれ塗布される。
いかなる既知の方法によっても、例えば塗布および擦過等によっても応用例はそれぞれ実行可能であるが、好ましくは、写真材料に関して周知のように、連続的な流延法、具体的にはカスケードおよびカーテンキャスティングによって実行する。具体的には、数層、特に全層を同時に担体上に塗布することが好ましい。連続的な流延により、極めて均一な層が可能となり、フォトクロミック生体物質の層接合体への導入により生じた層の固着問題が、非連続的な方法と比較して格段に減少し得ることが示されている。また、驚くべきことに、この連続的な流延によって層がきれいに分離され、フォトクロミック活性が改善されることから、フォトクロミック生体分子を有する層が、活性を減少させ得る他の層の化合物を一切含まないことが分かった。粘性および表面張力などの流延パラメータは、一般的方法による任意の流延および流延速度に適用可能である。流延速度約50 m/分およびカスケードキャスターの使用について、カーテンキャスターを使用し、流延速度300 m/分以上のときに、例えば流延溶液の粘性等は、300 cPa以上の粘性と比較して、80〜120 cPaの間が適切であることが示された。フォトクロミック生体分子を有する調剤(流延溶液)のpHは、好ましくは4〜7、特に5〜5.5である。
本発明のさらなる実施形態では、この保護材料は2段階で製造される。第1段階では、フォトクロミック生体分子を含む層にのみ担体が提供される。これは、このように基質化された担体には、製造会社で直接大量生産し得る等の利点があると考えられる。製造は、先行技術に関する上述の既知の方法で、固定された担体上のフォトクロミック生体分子を有する調剤の流延によって実行されると考えられる。しかし、この方法を連続的な流延法に変えて、合理的な大量生産のみを可能にすることはできない。流延溶液を設定しようしたにも関わらず、フォトクロミック生体分子を含む調剤を直接かつ連続的に流延して、担体上の流延の質を満足できるものにすることはできなかった。少なくとも1種類の結合剤を含む層を担体とフォトクロミック生体分子を含む層との間に追加的に導入して、担体の連続的な被覆が可能になった。このような中間層は、その材料が全層とともに、ゆえに少なくとも1層の不可逆的な感光層も一緒に流延される場合には不要である。この同時流延については、好ましくはカスケード装置およびカーテンキャスティング装置を使用する。これらの装置は層を含む材料と同じくらい多くの流延スロットを含む流延ヘッドを提供されるが、また、2つ以上の流延ヘッドが連続して配列され、必要な数のスロットを合わせて備えると考えられる。本発明の範囲内では、1つの工程は、1層以上の層とともに流延されるウェブ(巻取紙状の巻出しとその乾燥と理解される。延伸物乾燥後、さらなる流延と下流での延伸物乾燥により、途切れることなく第2工程が可能になる。しかし、乾燥させた材料が初回またはその後の工程後に巻き取られる可能性もある。したがって、乾燥させた伸展物は、その後の1工程以上において、さらなる層とともに流延されると考えられる。さらなる工程が企図された場合、前回の工程時にさらなる層が仕上げ層として塗布され、それがさらなる工程で塗布された1層および複数層に対してそれぞれ接着層および仲介層として作用していて、好ましくは少なくとも1種類の結合剤および/または少なくとも1種類の増粘剤、特に増粘剤を備えることが有利であることが分かっている。
本発明のさらなる主題は、このように担体上に少なくとも2層を有する材料であり、少なくとも1層が少なくとも1種類のフォトクロミック生体分子を含んでいて、この層と担体の間に少なくともさらなる1層が配列されることによって担体およびフォトクロミック生体分子のぬれが改善され、結果としてこの層の固着性が改善されることを特徴とする。このように均一に被覆された材料には線条等の流延エラーがほとんどないか、あるいはまったく認められない。担体とフォトクロミック生体分子を含む層との間の少なくとも1層の層が、好ましくは少なくとも1種類の結合剤、具体的には不活性のゼラチンおよび/または少なくとも1種類の増粘剤および/または少なくとも1種類の湿潤剤等、硬化性の結合剤を含む。この材料は、その後連続的に流延されなければ硬化する可能性があるため、上述の層、好ましくは使用される結合剤に適する別の硬化層に硬化剤を添加する。特に、写真材料として既知の即効性の硬化剤を硬化剤として使用するのが好ましい。
しかし、本発明の範囲内では、好適には、上述の通り得られた材料を硬化せずに、上述の通り、担体からもっとも離れた最上層として、さらなる接着層および仲介層とともに提供する。このような材料は、それぞれ第2工程およびその後の工程の基盤として本発明によるフォトクロミック保護材料を得るのに適していることは著明である。
本発明のさらなる主題は、このように担体と少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質を含む保護材料の製造法であり、担体上の保護材料は、少なくとも1層の不可逆的な感光層を有していて、その少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/または変異タンパク質が、その少なくとも1層の感光層および/または他の任意の層に含まれていて、1回、2回、またはそれ以上の工程において連続的に塗布されることを特徴とする。
本発明の1つの主題は、本発明による保護材料の化学的処理法でもあり、その処理は、その材料の性質に基づいて実行されることを特徴とする。驚くべきことに、このような処理が、対応するフォトクロミック生体分子をもたない材料に関する周知の方法により実行される可能性があることが明らかになった。写真材料に関するその処理は通常、現像、漂白、固定、および安定化および/またはすすぎを含み、漂白と固定はしばしば1回の処理工程で実行される可能性がある。
しかし、本発明の範囲内では、現像はそのフォトクロミック的挙動を変化させ、具体的には、フォトクロミック活性を減少させる恐れがあることが明らかになった。しかし、この好ましくない効果も、例えば現像の温度および時間など、特定の処理パラメータ等を有する処理作業において利用される可能性があり、特定の方法でどの処理がフォトクロミック的挙動を変化させるのか導出されると考えられる。このような試験は、当業者によって容易に実行され得る。このように規定された加工条件が機密とされ、知っているのがごく一部の少人数のサブ集団である場合は、精巧に偽造された材料であっても、偽造者は類型に基づいて処理することができないため、合法的に製造処理された材料と異なってしまうので、さらに保護性が高まると考えられる。
本発明の好適な実施形態では、フォトクロミック生体分子をもたない材料の類型に基づくこのような一般的条件に対して処理条件が様々であり、その結果フォトクロミック生体分子の変化が測定可能になっている。本発明による材料が、ハロゲン化銀を基材とするフォトクロミック生体分子を含む印画紙等である場合、好ましくは、ミニラボおよびビッグラボに関する既知のタイプとは異なる方法を使用して処理し、その結果フォトクロミック活性の変化を測定可能にする。
好ましくは、通常の現像条件を変更して、処理の有害な影響を低減させ、フォトクロミック生体分子の色、構造、および機能を大きく変化させることなく、可能な限り高いフォトクロミック活性を達成する。このように、処理をしても、十分量のフォトクロミック生体分子を有する材料に求められる要件によっては明確な色調の変化は検知可能であり、視覚的にも認識され得る。
したがって、特定のN含有化合物を単独で、または少なくとも1回の処理浴と組み合わせて添加することが有利であることが分かっている。上述の好適な層添加物は以下の通りである。有機アミン類、アンモニウム化合物、ペプチド、アミノ酸、および上記化合物の化学的誘導体、具体的には一級アミノ群、二級アミノ群、三級アミノ群、四級アミノ群に関する物質であり、特に好ましくはトリエタノールアミン、アルキルアミン、diaminotolene(ジアミノトルエン)、ベタイン、セリン、スレオニン、システイン、リシン、アルギニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、ポリエチレンアミン、アミノヒドロキシピリジン、およびアミノメトキシピリジンである。特に好適はアルギニンである。これらの添加物は、例えば最初の処理工程の前に材料をこのような化合物の水溶液に誘導する等によって材料を浸漬したのちに処理されると考えられる。しかし、これらの添加物は、1種類以上の処理浴に添加される可能性もある。特に好ましくは、最終浴によって上述の化合物を組み込むことであり、この最終浴は安定化浴または単純な水浴と考えられる。このような添加物により、スイッチング挙動が明らかに改善されることから、色調変化の速度に対し意図的に影響を及ぼせるようになる。好ましくは、アルギニンおよびトリエタノールアミン等、1種類以上の処理浴で上記化合物を組み合わせて使用することも可能である。
フォトクロミック的スイッチング挙動の改善に関するさらに好適な方法として、処理浴で一般的に使用される塩類、具体的には現像剤、特に対イオンとして炭酸カリウム等のカリウム原子をしばしば有する緩衝物質を、カリウムイオンを有する緩衝物質と交換すべきであることが分かっている。
さらに、可能な限り処理浴には有機溶媒を入れないようにするのが有利であると分かっているため、少なくとも1種類以上、または全ての処理浴中の総溶媒量に関して、少なくとも水を20 重量%、具体的には少なくとも50重量%、特に好適には少なくとも80重量%、可能であれば100重量%の割合で使用する。有機溶媒を避けることができない場合は、好ましくは、特にBRに適合していて、簡単な処理検査によって容易に識別し得る溶媒を使用する。
好ましくは、少なくとも1種類の殺菌性および/または少なくとも1種類の殺真菌性の成分を少なくとも1種類の処理浴、具体的には最終安定化浴に添加する。
本発明の主題は、個別化可能な文書において本発明による保護材料を処理済みまたは未処理の形態で使用することでもある。このような文書においては、例えば偽造防止、物品の移動、身分証明書、パスポート、本人確認、ビザ、および保護に関するその他の文書の領域において、保護に関する要件が増えている。
本発明による保護機能を付与された製品は、簡便な方法で偽造から保護される。フォトクロミック機能は、目視検査および/または機器検査により製品を確認する。
アクセス権または部屋や機器を使用する権限に対する認証の役割を果たす個別化可能な文書、カードシステム、または異なるアイテムは、本発明による機能により容易に得られる。ここでは、その機能は視覚的に認識可能または視覚的に認識不可能なフォトクロミズムを機器で確認したあとの認証に関するものと考えられる。
文書、カードシステム、または本発明による機能を含む製品は、その機能に関する照射状態の変化の結果として、目視のみならず、色調の変化や吸収の変化を検出する機器によっても検査し得る。例えば、このようなことは、本機能に対する様々な発光ダイオードまたは他の光源の照射および光ダイオードを介する反射光または透過光の検出または他の検出機器によって起こり得る。例えば、本材料は、緑色または黄色の範囲で最大に発光する発光ダイオードの照射により、その色を紫から黄色に変える。この変化は、材料表面全体に照射されない場合、具体的には照射部分の写真材料がわずかな色合いを帯びている、または照射および処理によって色合いを帯びることによって、色調の変化とともにフォトクロミック生体分子の色もそれぞれ検出可能かつ視覚的に認識可能になった場合に容易に認識され得る。さらなる援助がなくても、使用された調剤に基づいて数秒〜数分後に紫色に回復し、最初の状態が再構築される。あるいは、紫色は青色の範囲で最大に発光する発光ダイオードの照射によって、瞬時に再構築され得る。検査に関する技術的手間はほとんどない。使用者は裸眼で色調の変化を追跡することができるが、測定プロセスは、好ましくは、機械的に実施する。
本発明による保護機能は、好ましくは保護用標識を備え、例えば写真の層接合体を介して容易に構築し、極めて複雑な形態を維持し得る。照射により保護用標識の色が変わり、照射後約30〜60分の短時間および/または青色の波長域の光照射により、本来の紫色に回復する。
本発明による材料は、高度なコピー防止機能も提供する。身分証等のこのような保護材料を写真コピー機で複写した場合、操作中に光照射によって感光性バクテリオロドプシン材料が退色し、この状態が写しにおいて不可逆的に固まる。これによってその写しが原本と異なっていることが明白に確認し得る。この効果を活用するには、フォトクロミック生体分子量を大きくして、視認できるようにすべきである。コピー防止効果は一種のフォトクロミック生体分子である紫色に曝露されることによってさらに増強され、そのフォトクロミック生体分子がMの状態へ移行するときにのみ可視化される図柄である。
本発明の好適な実施形態は、発明特定事項から推論され得る。
カラー写真材料の実施例は、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーポジフィルム、カラー印画紙、およびカラー拡散転写法または銀退色法に関するカラー感光材料である。概略は、非特許文献11および非特許文献12に記載されている。
写真材料は担体からなり、担体上に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層が塗布される。具体的には、薄い膜および箔が担体に適する。担体材料と、その前面および後面に塗布される支持層の概略は、非特許文献10のpart 1(1995)、p.285および非特許文献12のpart XV(1996)、p.627に示されている。
カラー写真材料は、通常少なくとも1層の赤色感光性、緑色感光性、および青色感光性のハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ含み、必要ならば中間層および保護層を含む。
写真材料の種類によっては、その層は別の方法で配列され得る。これは最も重要な製品として示される。
カラーネガフィルムおよびカラーリバーサルフィルムなどのカラー写真フィルムは、その担体上に以下の順で、すなわち青色〜緑色をカップリングする2層または3層の赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層、紫色をカップリングする2層または3層の緑色感光性ハロゲン化銀乳剤層、および黄色をカップリングする2層または3層の青色感光性ハロゲン化銀乳剤層を有する。分光感度が等しい層はその写真感度が異なっていて、一般的には部分層の感度が低いほど、感度の高い部分層よりも担体近くに配列される。
黄色フィルター層は、通常、緑色感光層と青色感光層との間に配列され、青色光がその下の層に達するのを防ぐ。
層の配置が異なる可能性と、それが写真の特徴に及ぼす影響については、非特許文献13および非特許文献12のpart 11(1996)p.624に記載されている。
一般的にカラー写真フィルムよりも格段に感度が低いカラー印画紙は、担体上に以下の順で、すなわち通常、黄色をカップリングする青色感光性ハロゲン化銀乳剤層、紫色をカップリングする緑色感光性ハロゲン化銀乳剤層、青色〜緑色をカップリングする赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層を有する。黄色フィルター層は省略されると考えられる。
感光層の数および配置は、特定の結果を達するために逸脱されると考えられる。例えば、すべての高感度層を組み合わせて写真フィルムに層パケットを作成し、すべての低感度層を組み合わせて別の層パケットを作成して、感度を高める(特許文献9)。
写真乳剤層の成分は、実質的には結合剤、ハロゲン化銀粒子、およびカラーカプラーである。
適切な結合剤に関する情報は、非特許文献10のpart 2(1995),p.286および非特許文献10のpart 15(1995),p.89、および非特許文献12のpart II.A(1996),p.598に示されている。
適切なハロゲン化銀乳剤、その製造、熟成、安定化、および分光増感剤を含む分光増感に関する情報は、非特許文献10のpart 3(1995),p.286、非特許文献11のpart XV(1995),p.89、および非特許文献12のpart V.A(1995),p.603に示されている。
写真材料およびカメラの感度は、通常ヨウ臭化銀乳剤を含み、必要であれば、低割合の塩化銀も含む。写真のカップリング材料は、60モル%までのAgBrを有する塩化臭化銀乳剤または95モル%を超えるAgClを有する塩化臭化銀乳剤のいずれかを含む。
カラーカプラーに関する情報は、非特許文献10のpart 4(1995),p.288、非特許文献11のpart II(1995),p.80、非特許文献12のpart X.B(1996),p.616に示されている。カプラーおよびカラー現像剤の酸化生成物から形成される色素の最大吸収範囲は、好ましくは以下の通りである。すなわち、黄色カプラー430〜460 nm、紫色カプラー540〜560 nm、青色〜緑色カプラー630〜700 nmである。
カラー写真フィルムでは、現像剤の酸化生成物との反応時に化合物を放出し、現像抑制剤を分離させるDIRカプラー等、写真的に有効である化合物を使用して、感度、粒状性、鮮鋭度、および色分離性を改善する。
このような化合物、具体的にはカプラーに関する情報は、非特許文献10のpart 5(1995),p.290、非特許文献11のpart XIV(1995),p.86、および非特許文献12のpart X.C(1996),p.618に示されている。
この層の疎水性のカラーカプラーの大半および他の疎水性成分は、高温で煮沸される溶媒中で通常溶解または分散される。これらの溶解物または分散物は、水溶性結合剤(通常ゼラチン溶液)中で乳化され、層乾燥後、液体微粒子として層に存在する(直径0.05〜0.8 um)。
高温で煮沸される適切な有機溶媒、写真材料の層への組込み法、さらには化学物質の写真層への組込み法については、非特許文献10のpart 6(1995),p.292に示されている。
一般的に様々な分光感度の層間に配列される非感光性中間層は、1つの感光層から異なる分光感度を有する別の感光層への、現像剤の酸化生成物の好ましくない分散を防ぐ手段を含む。
適切な化合物(無色カプラー、スカベンチャー、またはEOP(現像剤の酸化生成物)キャッチャーについては、非特許文献10のpart 7(1995),p.292、非特許文献11のpart III(1995),p.84、および非特許文献12のpart X.D(1996),p.621 et seqq.に記載されている。
写真材料は、蛍光増白剤、充填剤、スクリーン染料、ホルマリンキャッチャー剤、光防御剤、酸化防止剤、Dmin(最小濃度)部の色素、軟化剤(格子)、殺生剤、および添加物も含んでいて、カプラーおよびカラー色素の安定性を改善し、色のかぶりを低減し、黄変その他を抑制すると考えられる。適切な化合物は、非特許文献10のpart 8(1995)p.292、非特許文献11のpart IV、V、VI、VII、X、XI、およびXIII(1995),p.84 et seqq.、非特許文献12のpart VI、VIII、IX、およびX(1996),p.607およびp.610 et seqq.に示されている。
カラー写真材料の層は通常硬化され、例えば使用される結合剤、好ましくはゼラチン等を適切な化学的方法によって架橋させる。
適切な硬化剤物質は、非特許文献10のpart 9(1995),p.294、非特許文献11のpart XII(1995),p.86、および非特許文献12のpart II.B(1996),p.599に示されている。
イメージ的に照射したのち、カラー写真材料はその性質に応じて様々な方法により処理される。したがって、方法、必要とされる化合物、および代表的な材料に関する詳細は、非特許文献10のpart 10(1995),p.294、非特許文献11のpart XVIからXXIII(1995)p.95 et seqq.、および非特許文献12のpart XVIII、XLX、およびXX(1995),p.630 et seqq.に示されている。
(実施例)
本実施例で使用したバクテリオロドプシン懸濁液(BR懸濁液)は、マールブルグ大学Dr.Hampp.氏より提供された。1mg中の濃度に関する情報については、使用したバクテリオロドプシンの量を参考にする。
瞬時の処理作業に適する適切なカラー写真記録材料は、ポリエチレンで両面を被覆された紙由来の層担体上に以下の層およびカスケードキャスターを指示された順に塗布することによって製造した。量は、いずれも1mとした。ハロゲン化銀の塗布に関しては、これに対応する量のAgNO3を示す。
層接合体101
層1a:表1による(支持層1)
ゼラチン 1.84 g
層1b:(基質層)
表1によるゼラチン
表1によるBR懸濁液
層1c:表1による(支持層2)
増粘剤VM‐1 0.05 g
層2:(青色感光層)
AgNO 0.39 g由来の青感光性ハロゲン化銀乳剤(99.4モル%の塩化物、0.06モル%の臭化物、平均粒径0.85 um)
ゼラチン0.94 g
黄色カプラーGB‐1 0.375 g
黄色カプラーGB‐2 0.125 g
ジブチルフタレート(DBP) 0.30 g
安定化剤ST‐1 0.10 g
層3:(中間層)
ゼラチン1.24 g
表1によるBR懸濁液
EOPキャッチャーSC‐1 0.155 g
EOPキャッチャーSC‐2 0.028 g
DBP 0.155 g
リン酸トリクレジル(TCP) 0.028 g
層4:(緑感光層)
AgNO 0.18 g由来の緑色感光性ハロゲン化銀乳剤(99.9モル%の塩化物、0.1モル%の臭化物、平均粒径0.48 um)。
ゼラチン0.75 g
表1による紫色カプラー0.14 g
安定化剤ST‐2 0.15g
安定化剤ST‐3 0.20 g
TCP 0.186 g
層5:(紫外線防止層)
ゼラチン 1.13 g
紫外線吸収体UV‐1 0.40g
紫外線吸収体UV‐2 0.70 g
EOPキャッチャーSC‐1 0.125 g
EOPキャッチャーSC‐2 0.021 g
DBP 0.125 g
TCP 0.021 g
層6:(赤色感光層)
AgNO 0.3g由来の赤色感光性ハロゲン化銀乳剤(99.7モル%の塩化物、0.3モル%の臭化物、平均粒径0.48 um)
ゼラチン0.73 g
青色〜緑色カプラーBG‐1 0.35 g
TCP0.35 g
層7:(紫外線層)
ゼラチン0.45 g
紫外線吸収体UV‐1 0.148 g
紫外線吸収体UV‐2 0.026 g
EOPキャッチャーSC‐1 0.05 g
DBP 0.05 g
層8:(保護層)
ゼラチン0.62 g
蛍光増白剤WT‐1 0.059 g
シリコーン油 1.20 ml
ポリメタクリル酸メチル由来の充填剤 2.50 mg
平均粒径0.8 um
層9:(硬化層)
増粘剤VM‐1 0.113 g
表1による硬化剤H‐1
層接合体101において、以下の化合物を使用する:
Figure 2008535010

Figure 2008535010

Figure 2008535010

Figure 2008535010
表1に示した通り、他の層接合体は101と異なる。層接合体101および層接合体102については、層1bおよび層1a〜層1をそれぞれ最初に担体に塗布して材料を乾燥させ、残りの層は別の工程で塗布した。しかし、層接合体103〜105は、1工程で流延した。
Figure 2008535010
層接合体106はフォトクロミック生体分子を含まない写真コピー材料であるため、フォトクロミック的挙動を呈さない。流延の質、層の固着性、および耐擦傷性は、処理済みおよび未処理のいずれにおいても極めて良好である。
層接合体103は、基質層1bにBR懸濁液が含まれている点のみ、層接合体106と異なっている。流延の質はやはり優れているが、層の固着性および耐擦傷性は極めて低い要件しか満たしておらず、結果として層接合体がはがれる恐れがある。したがって、このような材料は、短時間の処理にはあまり適さない。
層接合体103に含まれるゼラチンの量は層接合体106に含まれるゼラチンの量と同じであるが、層接合体104の硬化剤の量の平均は、通常結合剤にのみに適合される層接合体103の量と比較して、その量の2倍以上まで増加した。驚くべきことに、この層の固着性は格段に改善され、耐擦傷性が増加した。
層接合体105は、BR懸濁液を層3に導入したという点で層接合体104と異なっている。層の固着性および耐擦傷性は、層接合体105では引っかき試験中にすぐに黄色層上に層損傷が生じ、層接合体104の基材層上ではそれが生じなかったことを除けば、層接合体104と同等であった。
層接合体101および層接合体102は別の製造法によって作製され、最初の工程ではBR懸濁液をその担体材料の代用とし、別の工程ではその担体上で残りの層接合体を流延した。最初の工程は、例えばその担体材料の製造者によって直接実行することも可能であり、そうすることによってこの生体分子の普及を制限し、フォトクロミック生体分子をその担体の代用として、本発明による保護材料としてではなく、別の目的でこれを使用し得る。
驚くべきことに、層接合体101の第1工程による流延の質が極めて不十分であったのは、カスケードキャスティングによって連続的に流延したときのみであったが、事前試験では一般的な摩擦キャスターにより質の高い流延が得られた。流延の質不良は明らかな線条によって確認可能であり、第2工程後もやはり目視できたことから、このように製造された材料が受け入れられるのは、質に関する極めて低レベルの要件のみである。質の高い流延を実行できるのは、支持層1aおよび支持層1bを用いて、BR懸濁液に含まれた層を組み込んだ場合のみである。固着性および耐擦傷性に関しては、層接合体104とも同等である。
(化学的処理)
全試料について、以下の通り、短時間の処理により加工した。処理浴、処理時間、および処理温度の内訳をそれぞれ示す。
a)カラー現像剤、27秒、39℃
DEHX溶液(ジエチルヒドロキシルアミン、85重量%、水溶液) 35ml
亜硫酸ナトリウム 0.5g
CD3(基盤) 31 g
ジエチレングリコール 30 ml
蛍光増白剤 7 g
無水マレイン酸重合物50重量%、水溶液 15 ml
炭酸カリウム 100 g
KOHを用いてpHを13.5に設定し、5リットルまで水を充填する。
b)漂白‐固定浴、27秒、35℃
チオ硫酸アンモニウム溶液、58重量% 100 ml
二硫化ナトリウム 15 g
アンモニウム‐鉄EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、48重量% 100 ml
1000 mlまで水を充填し、アンモニアまたは酢酸を用いてpHを6.0に設定する。
c)安定化浴、54秒、33℃
水 900 ml
亜硫酸ナトリウム 2 g
ヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウム塩 4 g
安息香酸ナトリウム 0.5 g
1000 mlまで水を充填し、酢酸を用いてpHを7.0に設定する。
d)乾燥
標本化は、AgfaPhoto Minilab d.lab 2型で行った。
層接合体101〜層接合体106のフォトクロミズム特性について、マールブルグ大学で開発した検査装置(端末)にて試験を行った。この試験について、本材料は640 mのLED光により1秒間に数回退色し、405 nmのLED光で元に戻った。次いで、フォトクロミック反応効率を示す相対的平均測定値「Delta‐PC」は、少なくとも50とし、安全な状態を区別でいるようにする。この結果は、標準的処理による「フォトクロミズム反応効果Delta‐PC」に基づいて説明される。しかし、処理試験については、安定化浴に4重量%のアルギニンが含まれるという差異を利用して、繰り返し行った。今回得られた結果は、「アルギニンによるフォトクロミズム反応効果「Delta‐PC」に基づいて、表2に示されている。
固着性およびキャスティングの質がそれぞれ不良であったため、その分は層接合体101および層接合体103を評価しなかった。
Figure 2008535010
これらの結果から、驚くべきことに、層接合体へ組み入れたにも関わらず、本発明による材料が独特のフォトクロミック効果を呈し、保護機能としての使用に適していることと、担体と層接合体との間にBR懸濁液を挿入した場合にこの効果が特に大きいことと、アルギニンによる処理によりその効果が格段に改善され、特に担体と層接合体との間にBR懸濁液をした場合に、これらの材料により明確な効果が発揮されることは明白である。
(処理用変型体)
層接合体102は、表3による変型201〜変型206に基づいて処理した。
Figure 2008535010
表2による結果についても、上述の処理、変型体206および「Delta‐PC」(アルギニンなし)を使用した。変型体201〜変型体205は、カラー現像剤浴の組成が異なっている。変型体201については、炭酸ナトリウムと交換されたため、この変型体には炭酸カリウムが含まれていて、NaOHを用いてpHを設定した。変型体202については、ジエチレングリコールを省略し、変型体203については、変型体201と変型体202の測定値を合わせた。変型体204については、ジエチレングリコールを同量のトリエタノールと交換し、変型体205は変型体201と変型体204の測定値を組み合わせたものである。このようにして得られた結果は、「Delta‐PC」(アルギニンなし)欄に示す。試験は、安定化浴には4重量%のアルギニンが含まれているという差異を利用して、繰り返し行った。このようにして得られた結果は、表3の「安定化浴中4重量%のアルギニンによる「Delta‐PC」欄に示す。さらなる試験において、安定化浴を4重量%アルギニン含有水と交換した。このようにして得られた結果は、表3の潅水(すすぎ)における4重量%アルギニンによる「Delta‐PC」欄に示す。表3から、最良の結果は変型体203から得られると考えられるため、溶媒は用いず、カリウムイオンの代わりにナトリウムイオンを用いた。しかし、処理用化学物質は、しばしば濃縮溶液として運搬および貯蔵されるため、頻繁な不可逆的沈殿物を避けるのに有機溶媒の添加がしばしば不可欠になる。このような場合、変型体204および変型体205は優れた溶液であり、トリエタノールアミンにより示した例では、フォトクロミック生体分子との適合性に乏しい有機溶媒は、適合可能な別のフォトクロミック生体分子と交換した。アルギニンによる処理はフォトクロミック的挙動において独特の改善が得られ、安定化浴の代わりに潅水を実行した場合、特に著明に改善される。試験201〜試験206は、安定化浴および水浴にはそれぞれ4重量%アルギニンの代わりに2重量%アルギニンが含まれていているという差異を利用して、211〜216として、繰り返し行った。その結果は、表4に要約する。
さらなる試験201〜試験206は、安定化浴および水浴にそれぞれ4重量%のアルギニンの代わりに1重量%のアルギニンが含まれているという差異を利用して、繰り返し行った。その結果は、表5に示す。
アルギニンが4重量%よりも低い量で作用する表3〜表5の比較から、この量が最大効果に関して好適であることが示される。
Figure 2008535010
Figure 2008535010

Claims (21)

  1. 担体と少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質とを有していて、前記担体上に少なくとも1層の不可逆的な感光層を有していて、少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/または変異タンパク質が少なくとも1層の感光層および/または他の任意の層に含まれていていることを特徴とする保護材料。
  2. 前記材料がカラー写真コピー材料であることを特徴とする、請求項1に記載の保護材料。
  3. 前記材料に含まれるハロゲン化銀乳剤が少なくとも計95モル%の塩化銀を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の保護材料。
  4. 前記材料が識別材料であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の保護材料。
  5. フォトクロミック物質が網膜タンパク質であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の保護材料。
  6. フォトクロミック物質がバクテリオロドプシンであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の保護材料。
  7. 前記フォトクロミック物質を含む前記層の内部および/または前記層上に紫外線吸収物質が含まれることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の保護材料。
  8. 前記フォトクロミック物質を含む前記層が前記担体上に直接配列され、1層のみによって前記担体から分離されることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の保護材料。
  9. 有機アミン類、アンモニウム化合物、ペプチド、アミノ酸、および前記化合物の化学的誘導体の化合物群より単独の物質または配合した物質を含むことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の保護材料。
  10. トリエタノールアミン、アルキルアミン、diaminotolene(ジアミノトルエン)、ベタイン、セリン、スレオニン、システイン、リシン、アルギニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、ポリエチレンアミン、アミノヒドロキシピリジン、およびアミノメトキシピリジンの化合物群より単独の物質または配合した物質を含むことを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の保護材料。
  11. 前記1層および前記複数層が、流動可能な調剤としてそれぞれ前記担体上に塗布されることを特徴とする、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の保護材料の製造方法。
  12. 層に含まれる担体と少なくとも1種類のフォトクロミックタンパク質および/またはフォトクロミックタンパク質の変異タンパク質を有し、前記材料がさらなる層からなると考えられていて、前記1層および前記複数層がそれぞれ連続的な流延作業によって製造されることを特徴とする、材料の製造法。
  13. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の材料が製造されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 担体上に直接層を有し、結合剤および/または増粘剤を備えていて、上に層を含み、フォトクロミック生体分子を備える材料を製造する、請求項12に記載の方法。
  15. 担体上に直接層を有していて、層上に結合剤および/または増粘剤を備えていて、フォトクロミック生体分子を含んでいる材料。
  16. 前記フォトクロミック層上にさらなる層として固着層を備えることを特徴とする、請求項15に記載の材料。
  17. 前記処理が前記材料の性質に基づいて実行されることを特徴とする、請求項1に記載の化学的処理に関する方法。
  18. 前記処理が現像、漂白、固定、安定化、および/またはすすぎを含み、漂白および固定が1回の処理工程においても実行されると考えられることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 少なくとも1種類の処理液中に、有機アミン類、アンモニウム化合物、ペプチド、アミノ酸、および上記化合物の化学的誘導体より少なくとも1種類の処理液が、有機アミン類、アンモニウム化合物、ペプチド、アミノ酸、および上記化合物の化学的誘導体の化合物群の単独の物質または配合した物質を含むことを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の方法。
  20. 少なくとも1種類の処理液中に、トリエタノールアミン、アルキルアミン、diaminotolene(ジアミノトルエン)、ベタイン、セリン、スレオニン、システイン、リシン、アルギニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、ポリエチレンアミン、アミノヒドロキシピリジン、およびアミノメトキシピリジンの化合物群より単独の物質または配合した物質を含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 保護に関する要件の増加に伴う個別化可能な文書に関して、処理済みまたは未処理の形態での、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の保護材料の使用。
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