JP2008534920A - 体液の分析用の試験エレメント - Google Patents

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Abstract

被分析体が検出される検出領域(14)と、体液を試験エレメント(1)に塗布できる塗布部位(3)とを含む体液中の被分析体の同定のための分析試験エレメント(1)において、検出領域(14)が塗布部位(3)から離間しており、塗布部位(3)に塗布された体液が塗布部位(3)から少なくとも部分的に検出領域(14)へ到達する分析試験エレメント。試験エレメントは、さらに塗布部位の少なくとも部分的に隣接する汚染領域を含み、試験エレメントの汚染領域に少なくとも部分的に付着物質、好ましくはポリ酢酸ビニルが塗布され、付着物質は試験エレメントの汚染領域に付着し、かつさらに体液が試験エレメント上に少なくとも部分的に付着し、その結果、過剰に塗布された体液が汚染領域に残留するように、試験エレメントに過剰に塗布された体液と相互に作用することができる。特に本発明は使用後に貯蔵容器の中に貯蔵される試験エレメントに関する。さらに本発明はそのような試験エレメントの製造を記載する。

Description

本発明は、体液からなる濃度の同定のための分析試験エレメントに関する。さらに本発明はこのような分析試験エレメントの製造方法に関する。
体液の検査は臨床診断において、早期かつ信頼性のある病理学的状態の認識ならびに体液を標定しかつ基礎づけられたコントロールを可能にする。標定してパラメータに対応した個々の分析のために、今日しばしば数マイクロリットルないし1マイクロリットル未満までの血液が必要になる。採血のために、通常皮膚を通して、例えば被検者の指頭または耳たぶの中に、滅菌された鋭いランセットを用いて穿刺される。この方法は、血液サンプルの分析が採血直後に実施できるとき、特に好適である。
体液の化学的および生化学的分析のために専用に特化された実験室で、しかし特に固定された実験室の外部で使用するために支持体に結合された速効試験も定着している。特に開発された乾燥薬品をベースにして、このような支持体に結合された速効試験は感応性試薬の関与下にしばしば複雑な反応にもかかわらず簡単で複雑ではなく、非専門家であっても自ら実施することができる。支持体に結合された速効試験の最も傑出した例は、糖尿病患者における血糖濃度の同定のための試験ストリップである。
従来の技術
支持体に結合された速効試験のための分析試験エレメントは典型的に、被検査体液が塗布される塗布部位と、求めている被分析体が検出される検出領域とを含む。これは、いわゆるオントップ型試験ストリップまたはいわゆる毛管型試験ストリップである。オントップ型試験ストリップの場合、塗布部位は検出領域の上方にあり、必要であればフリースまたは類似物によって互いに分離されている。毛管型試験ストリップの場合、検出領域は試験ストリップの縦軸に沿って塗布部位に対してずらして塗布される。この構造は塗布部位が良好に到達可能に測定装置の外部にあり、他方、検出領域が装置内部にあり、そこで評価ユニットが良好に保護されて直接その横に配設できるように試験エレメントを位置決めできる長所を有する。試験ストリップは全濃度同定中に1つの位置にとどめることができ、かつサンプル塗布後に測定位置へ移動する必要がない。毛管作用のある試験ストリップの場合、サンプル物質は、例えば毛管、吸収性織物または毛管作用を発生するフリースのような、例えば輸送エレメントによって塗布部位から検出領域へ輸送する毛細管力によって輸送される。
分析試験エレメント、特に毛管作用を有する自己用量決定式試験ストリップの場合、しばしば測定後にまだ過剰の血液が塗布部位または毛管の外側にある。このような汚染した試験ストリップの処分のためのハンドリングは、一方で操作がしづらくかつ非衛生的であり、他方では特に病院内での環境に対する汚染リスクがある。
類似の衛生問題は、複数の分析試験エレメントを有するマガジンが測定装置の中へ挿入される、マガジン化された試験エレメントでも生じる。測定のために試験ストリップが装置から塗布位置へ運ばれる。測定後に利用した試験ストリップが再びマガジンの中に取り戻され、かつ再マガジン化される。これは利用者が各試験後に試験ストリップを処分する必要のない長所を利用者に提供する。マガジンの全ての試験ストリップが消費されたとき、マガジンは測定装置から取り外され、新規のものと交換される。利用された試験エレメントはマガジンの中に包装されて有り、かつそのため衛生的に扱って処分することができる。このシステムの欠点は、試験ストリップがその使用前に、試験ストリップを汚れと水分から保護するためにマガジンの中に封印して保管されているが、しかし利用後には試験ストリップのための個々の保管チャンバが大抵もはや密閉されることがなく、その結果、利用した試験ストリップに固着したままになる過剰に塗布された血液が時間と共に崩壊する可能性があり、かつマガジン内の開口部を通して装置、特に評価光学系またはその他の装置構成要素を汚染し得る。
米国特許第5,104,640号明細書は、ガラス支持体上の血液のための付着手段を記載する。この場合、ポリビニルピロリドン(PVP)が添加剤として血液塗沫のアルコール固定時に使用される。血液塗沫時、血液はガラス支持体上に塗布、塗沫および検査される。すなわち塗布部位と検出領域は同じ場所にある。サンプルは可能な限り薄く塗沫され、その結果、血液は本質的にすでに付着手段なしに粘着力によってガラス支持体に付着する。PVPはこの効果を単に支援し、かつその際に薄い層の血液のみを固定する必要がある。
本発明の課題は、従来の技術の欠点ならびに冒頭に述べた問題を克服することである。塗布部位が検出領域から離間した大きい個数でコスト的に有利に製造可能の診断用試験エレメントが提供されるべきである。この場合、環境の汚染を回避するために、一回だけ試験エレメントに塗布された体液が試験エレメントに付着した状態にとどまるべきである。他方、検出領域と塗布部位の離間はサンプル輸送を必要とする。このサンプル輸送を保証するために、試験エレメントの良好な可湿潤性および体液の転送が必要である。従って本発明の課題は、この反対方向の要件を満たす試験エレメントを開発することである。特に本発明の課題は、試験エレメントが使用後に再マガジン化されるマガジンを含む測定装置の汚染を回避することである。
発明の説明
この課題は独立請求項によるシステムによって解決される。好ましい実施形態は従属請求項により生じる。本発明は使用された試験エレメントの衛生的な保管および処分を容易にする分析試験エレメントを記載する。特に本発明は、試験エレメント上に過剰に塗布された体液の崩壊を回避する付着物質が塗布され、使用後に貯蔵容器の中に貯蔵される試験エレメントに関する。この試験エレメントは、好ましくは体液を塗布、輸送および検出できる領域に流体伝導的に塗膜され、かつ測定に使用されない体液で湿潤し得る領域に付着物質を塗布することができる。この方法により体液を塗布部位から検出領域へ流すことができ、かつそこで分析濃度を同定することができる。同時に過剰に塗布された体液は付着物質と少なくとも部分的に相互に作用し、かつ試験エレメントに付着することができる。
体液中の被分析体の同定のための本発明による分析試験エレメントは、被分析体が検出される検出領域と、体液を試験エレメントに塗布できる塗布部位とを含み、検出領域は塗布部位から離間しており、塗布部位に送り込まれた体液の少なくとも一部が塗布部位から検出領域へ到達する。試験エレメントは、さらに塗布部位の少なくとも一部に隣接する汚染領域を含み、汚染領域の少なくとも一部に付着物質が塗布されている。付着物質は試験エレメントの汚染領域に付着し、かつさらに体液が試験エレメント上に少なくとも部分的に付着し、その結果、過剰に塗布された体液が試験エレメントに残留するように、試験エレメントに過剰に塗布された体液が相互に作用することもできる。特にこの場合、非揮発性である体液の成分の滞留が生じる。
体液が自発的に塗布部位に塗布後に離間した検出領域へ流れることを保証するために、例えば輸送区間が容易に体液によって湿潤されるように該輸送区間が形成されている。好ましくはそれに対して例えば親水性にコーティングされた毛管作用のある輸送エレメントが使用される。診断用の試験エレメントは、好ましくは体液を塗布部位から検出領域へ輸送するための輸送エレメントに、および体液による湿潤後に被分析体が体液中で検出できる検出領域で、体液を試験エレメントに塗布できることを保証するために、例えば塗布部位に複数の毛管作用領域を有する。そのために、例えば従来の技術の国際公開第99/29435号パンフレットに挙げられているような親水化法が可能である。可湿潤性は通常、液体が輸送エレメント中で凹面状メニスカスを有する場合で充分であり、これは湿潤角度が90°以下になる場合である。
試験エレメントのもとに診断用の支持体に結合された速効試験のあらゆる形態が理解されており、例えば国際公開第2004/064636号パンフレットおよび欧州特許第1039298号明細書に記載されているように、特にストリップ形態における速効試験、この場合は特に糖尿病患者における血糖濃度の同定のための、いわゆる試験ストリップである。試験エレメントは大抵複数の上下に重ねて塗布された、好ましくは積層または接着によって互いに連結されるフィルムから構成されている。このフィルムは通常合成樹脂から、例えばポリエステルからなる。基本フィルムは、例えば毛管を発生する間隔フィルムを接着できる、例えばいわゆる担体フィルムを形成する。毛管チャネルは、いわゆるカバーフィルムによって覆うことができる。
被分析体によって、検出領域で検出化学物質と反応する体液の成分が意味されており、その結果、一定量以上の被分析体からの反応を測定配列の中で測定することができる。好ましい一実施形態において被分析体として血糖を検出領域で検出し、そこから血糖濃度を算出するためにサンプル液として血液が使用される。
血液のほかに体液として間質液およびその他の身体固有の液体も可能である。同様に被分析体例えば血糖だけでなく、複数の被分析体例えばグルコースおよびHbA1cも検出し、これを体液例えば血液からも複数の体液例えば血液および間質液の混合物から実施することも可能である。
検出領域で被分析体が検出化学物質に反応し、かつ1つの測定信号を発生することができる。この測定信号は、例えばそこから体液内の被分析体の濃度を同定するために、検出ユニットによって検出することができる。これはフォトオプティカル試験ストリップの場合、例えば変色とすることができ、電気化学システムの場合は、例えば1つの電流信号が発生される。さらに検出領域の中に検出化学物質がなく、例えば光学寛解測定および/または透過測定によって求める被分析体の濃度が同定されることも可能である。
塗布部位は、そこで体液が利用者によって試験エレメントに塗布される箇所を表す。そこから体液が例えば毛管力を介して検出領域へ転送される。塗布部位は検出領域から離間している。分析試験エレメントは、体液を塗布部位から検出領域へ輸送する輸送エレメントを含むことができる。
好ましくは付着物質が体液によって汚染し得る領域、いわゆる汚染領域に塗布される。この汚染領域は、過剰に塗布される体液例えば血液が特に試験エレメントへ塗布中に到達できる領域を表す。汚染領域は少なくとも部分的に塗布部位に隣接する。汚染領域は、複数の関連性のない部分領域、例えば複数の側面を例えば担体フィルムの下側およびカバーフィルムの上側のような塗布部位の横に含むことができる。輸送エレメントがあるとき、付着物質は輸送エレメントの横またはそれに沿って設けることができる。切断部での乾燥した血液の崩壊の危険性は、特により多い過剰の血液がある場合およびこのような大きい液滴がその空間的拡張に基づき担体フィルムまたはカバーフィルムまで延伸し、その結果、液滴が付着物質と接触することが保証されている場合に生じるので、付着物質は必ずしも必要ではない。輸送エレメントが毛管である場合、例えば付着物質は毛管周りに塗布することができる。
輸送エレメントの構造について種々の実施形態が考えられる。例えば輸送エレメントは毛管を有することができる。輸送エレメントは、好ましくは毛管チャネルまたは毛管ギャップを有することができ、しかしまた一種の芯またはフリースを使用することもできる。輸送エレメントは専用の部材、例えば付加的な毛管とすることができ、または分析試験エレメントの中に、例えば溝の形態でまたは担体フィルム上に毛管溝を有する間隔フィルムが塗布され、かつその上にカバーフィルムが塗布される場合に形成される毛管チャネルとして組み込むことができる。さらに輸送エレメントは特殊の層によってコーティングすることができる。例えば体液の輸送を改善するために親水化することができる。付加的または択一的に液体の輸送を検出領域で支援するために負圧を使用することができる。
検出領域は同様に輸送エレメントとして用いられ、かつ汚れに対する保護になり、ならびに体液の特定の部分例えば赤血球を血液から分離し、および/またはいわゆる体液の拡散によって検出領域内の体液の一様な分布を生ぜしめることに用いることができる一種のフリースで覆うことができる。フリースは直接検出領域の上方におくことができ、かつ塗布部位は、例えばオントップ型試験ストリップの場合はフリースの上側にある。従ってこの種の試験エレメントの場合、サンプル輸送は試験ストリップの縦軸に対して垂直に実施される。しかしまたフリースは、特に毛管型試験ストリップの場合、側方にずらして検出領域または塗布部位におくこともできる。この場合フリースは例えば検出領域の上に、塗布部位の下に、または両方の領域のあいだにおくことができる。
付着物質のもとに、過剰に塗布された体液、特に血液および間質液または類似物が体液の乾燥後に分析試験エレメントに残留し、かつ特に例えば機械負荷時に分析試験エレメントの取扱い中、利用後の例えば保管中、特に利用した試験エレメントのマガジン内での再マガジン化時または処分時に崩壊しないことを生ぜしめる物質が理解される。好ましくは体液の水性成分は付着物質を溶解し、その結果、付着物質と体液が混合される。この混合物は液体の蒸発によって、例えば約10〜20分の期間中に乾燥し、かつ乾燥した物質はそれに結合した体液と分析試験エレメントに付着する。乾燥時間は、もちろん環境気候、特に環境温度および空気湿度に左右され、これらのパラメータに応じて大幅に変動し得る。もちろんサンプル液との接触直後に試験エレメントへのサンプルの付着を保証する付着物質も考えられる。
体液中の被分析体の同定のための本来の測定過程は、上記の過程に左右されない。すなわち乾燥時間もまったく測定サイクルに必要となる時間に影響しない。この方法は、むしろ例えば測定後に分析試験エレメントが再びマガジン内に戻して輸送され、そこで再マガジン化されるように構成される。測定サイクルは、通常、上述の乾燥時間より明らかに短くなる。すなわちマガジンの中への試験ストリップの戻り移送時に、場合により過剰の血液はまだ乾燥されていない。利用された試験ストリップがマガジン内に保管される一方、過剰の血液が試験ストリップで乾燥され、かつ乾燥した血液が崩壊し、かつ装置部分、光学系または環境を汚染し得ることを阻止する。
好ましくは、少量のサンプル液が測定のために提供されるようにすることができるので、このようにサンプルの一部が付着物質と相互に作用することができ、かつ検出領域に到達しないので、付着物質は塗布部位および/または輸送エレメント上に塗布されない。さらに付着物質がサンプルと共に検出領域に到達し、かつ測定が不利に影響することも可能である。付着物質が検出領域内にある場合、検出化学物質の塗布または乾燥薬品の固定および/または可付着性または測定自体が不利になり得る。
ところが付着物質が、例えばより簡単な製造によって特に塗布部位、輸送エレメントおよび/または検出領域に塗布された場合、好ましくは付着物質が測定過程に負の影響を与えないように該付着物質が選択される。分析システムはそれに対応して調整され、例えば必要なサンプル体積の増加の必要性を受け入れることができるように調整される。
前記付着物質は、これが体液と試験エレメントとのあいだの接着結合を構築することによって、好ましくは吸収性の比容なしに乾燥した過剰に塗布された体液、特に血液の溶離を阻止できる物質である。例えば血液の水性成分は接着性の物質を溶解し、これが体液の乾燥後に担体物質と体液の一定の接触を生じる。付着物質は、好ましくは毛管と塗布部位でサンプル液周りに競合し得る毛管作用を発生しない。付着物質は塗布部位で毛管に対して特に時間遅延で作用し、その結果、初めに検出領域がサンプルで充填され、かつ過剰に塗布された液体のみが付着物質によって結合される。好ましくは、付着物質がサンプルへ作用する力は少なくともサンプル塗布の直後にサンプルが検出領域の中に輸送される毛管力よりも明らかに小さくなり、その結果、この方法により初めに検出領域が充填され、かつ過剰に塗布された体液のみが付着物質と試験エレメントに付着することが保証される。
吸収性の比容なしの本発明による付着物質の代わりに、吸収性の物質例えば一種の海綿または粗い表面が使用されるような場合、この物質はその毛管作用と試験ストリップ毛管または塗布部位に対する必要な空間的近傍によってこれらと競合し得、サンプルの少なくとも一部が検出領域の充填過程中に吸収性の物質によって吸収されるので、必要なサンプル体積の増大を引き起こす。
付着物質は、好ましくは試験ストリップの生産中に塗布され、その際に付着層が後続のプロセス工程でかつハンドリングおよび輸送中に曲げ、捩りまたは摩耗のような機械的応力によって除去されないように機械的に安定して試験エレメントに連結されている。付着物質に結合した乾燥した過剰の体液は、好ましくは該体液が乾燥した後で、この体液が利用者によるハンドリング中、試験ストリップの処分中および特に再マガジン化中に試験エレメントに残留するように安定して試験エレメントに付着しなければならない。試験エレメントへの付着物質の結合および試験エレメントでの付着物質との相互作用による乾燥した過剰の体液の結合は、例えば物理的および/または化学的性質とすることができる。これは、例えば共有結合、水素橋結合および類似体とすることができる。例えば付着物質は液体と接触して膨張し、かつ体液の蒸発中に試験エレメントに付着する接着性塊状物を形成する。
付着物質は、好ましくは水溶性接着剤の成分を含む。好適な付着物質は、例えばデキストリンまたは生ゴムを含有する。付着物質の特に好適な成分としてポリ酢酸ビニル(PVAc)が挙げられている。例えば分析試験エレメントへ約60μmの層厚を有するPVAc35重量%を有する水溶性分散剤が塗布される。それに続き分散剤が約70°で約30秒間乾燥され、その後試験エレメント上に厚さ約17μmの乾燥した層が生じる。PVAcは、例えばヴァッカー社の商品名ビナパス(Vinnapas)(登録商標)のもとに入手でき、典型的なグラム分子量は1000〜100000g/molである。付着物質は、例えばドクターブレード、スプレー、浸漬、印刷、例えばスクリーン印刷またはタンポン印刷または注入によって塗布することができる。デキストリンは同様に付着物質として使用することができるが、但し、非常に乾燥した条件でデキストリンの機能適性が明らかに減少することに注意する必要がある。これは、例えば試験ストリップが利用された後に、使用前に貯蔵されていた貯蔵容器の同じチャンバの中で再マガジン化される場合に重要になる。なんとなれば通常検出化学物質が検出領域で水分に敏感であるので、利用前の検出領域に対して乾燥した環境を保証するための乾燥剤を含有するからである。これは付着剤の選択時に有利に考慮される。
付着物質が使用する合成樹脂フィルムに良好に付着することに注意する必要がある。これは、例えばPVAc、デキストリンまたは生ゴムの場合であり、これらは良好に好ましく使用するポリエステルフィルムに結合する。付着物質としてデキストリンを使用する場合、例えば約120μmの層厚を有する10%濃度水性分散剤が塗布され、かつ乾燥される。
本発明のもう1つの目的は、体液中の被分析体の検出のための検出領域と、塗布部位に塗布される体液の少なくとも一部が塗布部位から検出領域へ到達する検出領域が塗布部位から離間した試験エレメントに体液を塗布できる塗布部位と、少なくとも部分的に塗布部位に隣接する汚染領域とを含有する体液中の被分析体の同定のための分析試験エレメントの製造に関する。付着物質を有する分析試験エレメントの製造方法は、例えば次の工程を含む。
1.体液が試験エレメント上に少なくとも部分的に付着し、その結果、過剰に塗布された体液が汚染領域に残留するように、付着物質が試験エレメントに過剰に塗布された体液と相互に作用することができる汚染領域が少なくとも部分的に合成樹脂からなり、かつ担体フィルムおよび/またはカバーフィルムに配置されており、その結果、付着物質が少なくとも部分的に汚染領域の合成樹脂に付着する汚染領域への付着物質の塗布工程、
2.担体フィルムおよび/またはカバーフィルム上での付着物質の乾燥工程、ならびに
3.分析試験エレメントへの担体フィルムおよびカバーフィルムの接合工程。
この塗布は完全に、つまり全面的にフィルムの全面積にまたはその一部のみにも施すことができる。試験ストリップが例えば間隔フィルムによってまたは間隔フィルムなしでも、毛管がその中間に形成される担体フィルムおよびカバーフィルムからなる場合、好ましくは担体フィルムの下側およびカバーフィルムの上側に付着物質によって被覆され、担体フィルムの上側がカバーフィルムの下側に対向し、それによって両方のフィルムのあいだに形成される毛管が付着物質によって被覆されないように担体フィルムおよびカバーフィルムが取り付けられている。担体フィルムは上側におよび/またはカバーフィルムは下側に少なくとも部分的に親水性にコーティングすることができる。担体フィルムまたはカバーフィルムは塗布部位の領域に凹所を有することができ、それによって親水性コーティングが近接し易く、かつ開放して置かれており、その結果、体液は容易に親水性層に塗布することができる。凹所は、例えば両方のフィルムの一方の打抜きによって両方のフィルム相互の接着前に発生させることができる。これは、例えば付着物質をカバーフィルムの上側におよび担体フィルムの下側に大面積に塗布できる長所を有し、塗布部位を遮蔽する必要がない。それに続く、例えばカバーフィルムの打抜は塗布部位の親水性層を露出する。
付着物質の塗布後に、例えば70℃で30秒間乾燥される。それに続きフィルムは通常のように分析試験エレメントで処理することができる。すなわち分析試験エレメント上への付着物質の塗布のプロセスは、分析試験エレメントの製造のための通常の生産プロセスを中断せず、フィルム、特に担体フィルムおよびカバーフィルムが前処理にかけられる前置されたプロセス工程である。乾燥後にはコーティングされたフィルムが通常の製造プロセスを通過できるほど付着物質が機械的に安定している。
カバーフィルムが無く、かつ好ましくは単層である分析試験エレメントの場合、試験ストリップの製造方法は次の工程を含むことができる:
− 付着物質が少なくとも部分的にフィルムの合成樹脂に付着し、体液が試験エレメントに少なくとも部分的に付着し、その結果、過剰に塗布された体液が汚染領域に残留するように、付着物質が試験エレメント上に過剰に塗布された体液と相互に作用することを可能にする、汚染領域に少なくとも部分的に合成樹脂からなる担体フィルムの汚染領域への付着物質の塗布工程、
− 担体フィルム上での付着物質の乾燥工程、
− この工程が付着物質の塗布の前および後に実施できる担体フィルムの検出領域上の試薬の塗布工程。
付着物質は、好ましくは担体上側へ完全に担体フィルムの全面積にまたはその部分に塗布される。検出領域は、例えば付着物質に塗布することができ、または該検出領域は担体フィルムの領域に塗布することができ、それらの上に付着物質はない。例えば担体フィルム上の付着物質への試薬の塗布が実施され、または少なくとも検出領域の一部は付着物質で覆われない。
本発明によるもう1つの可能な分析試験エレメントの製造方法は、以下の工程を含むことができる:担体フィルムへの、好ましくは担体上側の検出領域および通常は担体フィルムの小さい領域への塗布、検出領域の少なくとも一部が付着物質によって覆われない担体フィルムへの付着物質の塗布と、それに続く分析試験エレメントの担体フィルム上での付着物質の乾燥。構造化されたコーティングは、例えば検出領域の少なくとも一部を遮蔽するマスクを有するスクリーン印刷法によって、または対応する凹所を有する押圧棒を有するタンポン印刷によって実現することができる。
本発明のもう1つの実施形態において、1つまたは複数の分析試験エレメントが利用者に貯蔵容器(マガジン)の中に提供され、その際に試験エレメント上へ付着物質が塗布されており、その結果、過剰に塗布された体液が汚染領域に残留する。例えば付着物質が塗布された1つまたは複数の本発明による試験エレメントは貯蔵容器の中に貯蔵され、かつ分析試験エレメントは使用後に同じマガジンの中または別のマガジンの中に貯蔵される(再マガジン化)。
分析試験エレメント用の大抵のマガジンの場合は、試験ストリップが利用前に封止され、かつ密閉包装されて該試験ストリップ周りに環境の影響から保護されている。試験ストリップの利用のために封印が開かれ、かつ試験ストリップは利用後に、該試験ストリップが再マガジン化される場合、開放されたチャンバ内に有る。このようなシステムの場合、乾燥された過剰に塗布された体液による汚染を阻止するために、利用された試験ストリップは再マガジン化後に同様に再び同一のマガジンまたは別のマガジンの中に密閉包装されなければならず、これは高い技術的費用を意味する。分析試験エレメントへの付着物質への付着物質の本発明による塗布は、付着物質が試験エレメントの汚染領域に付着し、かつさらに体液が試験エレメント上に少なくとも部分的に付着し、その結果、過剰に塗布された体液が汚染領域に残留するように試験エレメント上に過剰に塗布された体液を相互に作用することができるので、そのために技術的に簡単な解決策を提供する。従って本発明による分析試験エレメントは、特に試験ストリップが使用後に再マガジン化されるシステムに使用されることに好適である。好ましくは同様にサンプル塗布直後にサンプルの付着を保証する付着物質が使用される。この方法により、再マガジン化に使用される試験ストリップの輸送中の装置の汚染を阻止することができる。
本発明のもう1つの実施形態において、体液から被分析体の同定のためのシステムは、1つまたは複数の分析試験エレメントならびにこの試験エレメントのための貯蔵容器(マガジン)を含み、試験エレメントが使用後に貯蔵容器の中に貯蔵される。さらにこのシステムは、好ましくは検出領域を評価でき、かつそこから被分析体の濃度を同定できる評価ユニットを有する測定装置を含む。
図1は、1つのカバーフィルム2および1つの担体フィルム(見えず)を含む分析試験エレメント1の一例を示す。カバーフィルム2は、体液が塗布される塗布部位に凹所3を有し、この凹所は、凹所3の中で親水性中間層4が近接できることを生ぜしめる。製造中に先行する作業工程で付着物質によりコーティングされた、例えば幅7mmのストリップ7が複数の関連する試験エレメントを有するテープ、カバーフィルム2の上側へかつ必要であれば第2のストリップが汚染領域内の担体フィルムの下側へ試験エレメントの尖端に積層される。それに続き、試験エレメントバンドは個々の試験エレメントに個別化される。周縁区間は個別化の前および後に輪郭5に沿って打ち抜かれ、かつそのほかは血液塗布溝3の領域で例えば幅2.8mmの血液付着剤ストリップを有する個別試験ストリップが残る。残留区間6は投棄される。
図2は、展開図で表した凹所3を有する本発明による分析試験エレメント1を示す。特に塗布部位のマーキングに用いることができるV字形溝の形態の凹所3が取り込まれた担体フィルム10上に毛管活性チャネル12の輪郭および高さ(間隔フィルム11の厚さに相当)を決定する間隔フィルム11がある。間隔フィルム11は、例えば活性炭が接着剤物質に混加された両面接着式接着テープからなる。この間隔フィルム11上へカバーフィルム2、検出領域14ならびに保護フィルム16が置かれる。凹所3および検出領域14は、毛管活性ゾーン12が非断続的に自由に凹所3上にある凹所3の角部から検出領域14の対向する自由角部にまで達するように狭く並べて取り付けられる。毛管活性チャネル12の形状を決定する間隔フィルム11の中の凹所は、カバーフィルム2および検出領域14よりも多少長く保持されており、その結果、全般的に幅数ミリメートルの被覆されないギャップが残り、このギャップから毛管活性ゾーン12のサンプル液の充填時に空気を逃がすことができる。このギャップは保護フィルム16によっても覆われずに残り、それによって該ギャップの機能が保証された状態にとどまる。保護フィルム16は、間隔フィルム11の接着テープの露出する領域が周囲からの対象物と試験エレメントの望ましくない接着が生じることを阻止するものである。取り囲む凹所3の周囲に、特にカバーフィルム2の上側ならびに担体フィルム10の下側に汚染領域がある。本発明により少なくとも前記領域の一部の中に付着物質が塗布されている。好ましくはカバーフィルム2の全上側にならびに担体フィルム10の全下側に付着物質が塗布され、その際に毛管チャネル12に近接できかつ付着物質が無いことを凹所3が保証する。
図3〜6は、分析試験エレメント1が使用後に貯蔵(再マガジン化)される貯蔵容器20の一例である。貯蔵容器は測定装置の中に挿入される(図示せず)。測定の実施のために検出領域14を含む試験エレメント1が装置によって貯蔵容器20から塗布位置へ移送され、かつ体液の塗布後に必要であればそこで分析するために第2の測定位置へ移動される。測定後に使用された試験エレメントが再び貯蔵容器の中に引き戻される。試験ストリップ1上に本発明により汚染領域内に付着物質が塗布され、その結果、過剰に塗布された体液が分析試験エレメントに残留し、かつ装置内部を汚染しない。付着物質を使用せずに、例えば乾燥した血液を試験エレメントから溶解し、かつ介入開口部23または送出開口部25を通して装置内部へ到達することもできる。
貯蔵容器20は合成樹脂からなる円筒形の射出成形部品として形成されたドラムマガジン21によって構成される。ガイドチャンバ22はその中に円周方向に配分して配設され、かつ軸線方向に貫通して駆動ユニット24のための前面側の介入開口部23と、対向する送出開口部25とのあいだに延伸する。ドラムマガジン21は、駆動ユニット24の送り軸内の送出される試験エレメントの一列に並ぶ位置決めのための図示しないステッピング機構のための周縁噛合機構27を有する中心孔26を有する。半径方向外側へシフトして乾燥剤29の収容のための軸線方向の袋穴28が配置されている。有害な環境の影響から保護するためにガイドチャンバ22は前面側(図示しない)で封止フィルムによって密閉されている。
図3および4に示した実施形態において、試験ストリップ1はより良好なガイドのためにキャリッジ30の中に保持されており、このキャリッジは各ガイドチャンバ22の中に引出状に長手方向に移動可能である。キャリッジ30は試験ストリップ1の端部区間を把持し、かつ該キャリッジとラッチ31を介して連結されている。個別押棒32との形状嵌合式カップリングのために駆動体としてキャリッジ30の個々の保持爪33が設けられている。この配列によって測定の実施のための試験エレメントの送出および再マガジン化のために(利用された)試験ストリップの回収が可能である。
図5および6に示した実施例において試験ストリップ1は、往復運動のための前記キャリッジ30にしたがって駆動体として個々の保持爪33を介して個々の駆動押棒と形状嵌合式に連結可能である。試験ストリップ1への運動伝達のために駆動押棒として弾性クリップ40が設けられている。もちろん、従来の技術で充分に知られているように、試験ストリップの支承のために任意に多くの他の方式も考えられる。このシステムは、本発明によりマガジンおよび/または試験エレメント輸送の特殊の実施形態に制限されていない。
1つのカバーフィルム2および1つの担体フィルム(見えず)を含む分析試験エレメント1の一例を示す。 展開図で表した凹所3を有する本発明による分析試験エレメント1を示す。 分析試験エレメント1が使用後に貯蔵(再マガジン化)される貯蔵容器20の一例である。 分析試験エレメント1が使用後に貯蔵(再マガジン化)される貯蔵容器20の一例である。 分析試験エレメント1が使用後に貯蔵(再マガジン化)される貯蔵容器20の一例である。 分析試験エレメント1が使用後に貯蔵(再マガジン化)される貯蔵容器20の一例である。

Claims (20)

  1. 体液中の被分析体の同定のための分析試験エレメントであって、
    − 体液中の被分析体の検出のための検出領域と、
    − 検出領域が塗布部位から離間しており、塗布部位に送り込まれた体液の少なくとも一部が塗布部位から検出領域へ輸送できるように塗布部位が検出領域に連結された体液を試験エレメントに塗布できる塗布部位と、
    − 塗布部位の少なくとも一部に隣接する汚染領域とを含み、
    汚染領域の少なくとも一部に付着物質が塗布されており、この付着物質が試験エレメントの汚染領域に付着し、かつさらに試験エレメントに送り込まれた体液が試験エレメント上で少なくとも部分的に付着するように、試験エレメントに塗布された体液が相互に作用することができることを特徴とする分析試験エレメント。
  2. 付着物質が体液の非揮発性成分を分析試験エレメントに結合する請求項1記載の分析試験エレメント。
  3. 体液が体液の乾燥後に付着物質に付着する請求項1または2記載の分析試験エレメント。
  4. 汚染領域が少なくとも部分的に合成樹脂からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  5. 付着物質が合成樹脂に付着することができる請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  6. 付着物質が本質的に吸収性の比容をもたない請求項1〜5のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  7. 付着物質が塗布部位自体には塗布されない請求項1〜6のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  8. 分析試験エレメントが、塗布部位と検出領域を流動的に連結し、かつ体液を塗布部位から検出領域へ輸送する輸送エレメントを含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  9. 輸送エレメントが親水性にコーティングされている請求項8記載の分析試験エレメント。
  10. 付着物質が水溶性接着剤の成分を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  11. 付着物質がポリ酢酸ビニルを含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  12. 付着物質がデキストリンまたは生ゴムを含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  13. 分析試験エレメントが担体フィルムおよびカバーフィルムを含み、担体フィルムが下側でかつカバーフィルムが上側で少なくとも部分的に付着物質によって被覆され、かつ担体フィルムの上側がカバーフィルムの下側に対向している請求項1〜12のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  14. 担体フィルムが上側でおよび/またはカバーフィルムが下側で少なくとも部分的に親水性に被覆される請求項13記載の分析試験エレメント。
  15. 試験エレメントに送り込まれた体液が体液の乾燥後に試験エレメントに付着する付着物質としての請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析試験エレメントへ塗布するためのポリ酢酸ビニルの使用。
  16. 担体フィルムおよびカバーフィルムと、体液中の被分析体の検出のための検出領域と、試験エレメントに体液を塗布できる塗布部位と、少なくとも部分的に塗布部位に隣接する汚染領域とを含む体液中の被分析体の同定のための分析試験エレメントの製造方法であって、
    1.体液が試験エレメントに塗布されるとき、この体液が少なくとも部分的に付着し、その結果、体液が汚染領域に残留するように、付着物質が試験エレメントに塗布された体液と相互に作用することができ、汚染領域が少なくとも部分的に担体フィルムおよび/またはカバーフィルムに配置されており、その結果、付着物質が少なくとも部分的に汚染領域に付着する汚染領域への付着物質の塗布工程と、
    2.担体フィルムおよび/またはカバーフィルム上での付着物質の乾燥工程と、
    3.分析試験エレメントへの担体フィルムおよびカバーフィルムの接合工程とを含む方法。
  17. 担体と、被分析体の検出のために必要な試薬を含む検出領域と、検出領域が塗布部位から離間し、かつ塗布部位に送り込まれた体液の少なくとも一部が塗布部位から検出領域へ輸送できるように検出領域が塗布部位に連結された試験エレメントに体液が塗布される塗布部位と、塗布部位に隣接する担体上の汚染領域とを含む体液中の被分析体の同定のための分析試験エレメントの製造方法であって、
    − 付着物質が少なくとも部分的に担体に付着し、かつ体液が試験エレメントに少なくとも部分的に付着し、その結果、塗布された体液が汚染領域に残留するように、付着物質が試験エレメント上に塗布された体液と相互に作用することができる担体の汚染領域への付着物質の塗布工程と、
    − 担体上の付着物質の乾燥工程と、
    − この工程が付着物質の塗布の前および後に実施できる担体の検出領域への試薬の塗布工程とを含む方法。
  18. 請求項1記載の1つまたは複数の分析試験エレメントを備える貯蔵容器。
  19. 分析試験エレメントが使用後に貯蔵容器の中に貯蔵される請求項18記載の貯蔵容器。
  20. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の1つまたは複数の分析試験エレメントを含むシステムならびに試験エレメントが使用後に貯蔵容器の中に貯蔵される請求項19記載の貯蔵容器。
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