JP2008534477A - 可溶化イブプロフェン - Google Patents
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Abstract
固形イブプロフェンと、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される第1の塩基とを含む混合物を提供する工程、ならびにこのイブプロフェンおよび第1の塩基を本質的に乾燥状態で反応させる工程を含む、好ましくは顆粒の形状で可溶化イブプロフェンを製造する方法。得ることのできる顆粒、ならびにそれから製造し得る医薬組成物および剤形は、水性培地中での高溶解性ならびに急速な崩壊および溶解、良好な流動性および圧縮性、急速に達成される鎮痛効果の開始によって特徴付けられる。
Description
本発明は、可溶化イブプロフェン、特に顆粒の形態の可溶化イブプロフェン、可溶化イブプロフェンを含む医薬剤形、ならびに可溶化イブプロフェンおよびイブプロフェン顆粒を製造する方法に関する。
イブプロフェンは、200mgおよび400mgの用量でのその有効性ならびに高い耐容性によって最も一般に使用される鎮痛剤の1つである。世界で製造されているイブプロフェンの量に基づくと、1年当たり約300億個の錠剤が消費されていると推測できる。利用可能な剤形は、価格がより低いことを考慮して大半が酸の形態のイブプロフェンを含む。しかし、イブプロフェンは、難溶性および高いpH依存溶解性を有する。溶解度は6.5超のpHでのみ増加するため、有効成分は胃内ではなく腸管でのみ溶解して吸収される。腸管内のpH条件次第で、生理的理由によって吸収はさらに遅れ得る。これは、摂取後1.5〜2時間に最高血中濃度を示す多くの血中濃度試験によって立証されている。鎮痛剤を摂取する場合、患者は鎮痛効果が急速に生じることを期待し、効果が遅れる場合に不必要に投与量を上げる傾向があるため、この遅延は重大な不利点である。
上記の理由のために、有効成分の微粉化または特に急速に分解するフィルムコーティング錠の開発などの薬学的方法によって、作用の発現を加速するための多くの試みが成されてきた。しかし、作用の発現は、主に腸管内のpH条件次第であるため、このような試みによって状況をあまり改善することはできなかった。腸の最上部(十二指腸)のpHは、たいていは5〜6であるが、有効成分を溶解し吸収するのに必要とされるであろう6.5超ではない。したがって、腸の下部でのみ吸収が起こることが可能である。
しかし、イブプロフェンリシン酸塩、イブプロフェンアルギン酸塩およびイブプロフェンナトリウム塩などの良好な水溶性を有するイブプロフェン塩の使用によって、明らかな改善が成された。イブプロフェン塩は胃内の酸性条件下で通常放出され、それはイブプロフェンの析出の原因となるため、吸収の著しい加速は驚くべきことである。このように加速するのは胃液の複合組成物の結果であると思われる。この複合組成物によって、イブプロフェンが著しく微細な形態で析出し、そのため十二指腸への移動の後に急速な溶解および吸収が促進される。上記の塩を用いた多くの血中濃度試験が公表されてきており、それらは臨床条件下で一貫して摂取後35〜40分で最高血中濃度となった。しかし、これらの塩は追加の工程で製造しなければならず、塩の形成は分子量を増加させる。イブプロフェンナトリウムは二水和物の形態でのみ使用できるため、256mgの塩が200mgのイブプロフェンと等しい。イブプロフェン200mgと同じ投与量とするには、イブプロフェンリシン酸塩の場合は342mg、イブプロフェンアルギン酸塩の場合は370mgを使用しなければならない。さらに、イブプロフェンの価格と比較して、ナトリウム塩は約2.8倍高価であり、リシン酸塩およびアルギン酸塩は約6倍高価である。イブプロフェンのカリウム塩は、著しく吸湿性が高く、一度も市販の錠剤には使用されたことがない。イブプロフェン鎮痛剤の非常に低い価格を考慮すると、高コストであることが、塩がほとんど商用で使用されない主たる理由であり得る。
WO89/09053では、所定の量のアルカリ金属炭酸水素塩を水性媒体中に溶解し、次いで所定の量のイブプロフェンをその炭酸水素塩組成物を含有した水性媒体中に溶解することによって、イブプロフェンのアルカリ金属塩が調製される。アルカリ金属塩は、蒸発または凍結乾燥法によって水性培地から単離され得る。この開示された方法では、大量の二酸化炭素(イブプロフェン1kg当たり110l)と激しい泡が生成し、塩を高いコストをかけて単離しなくてはならない。さらに、開示された錠剤は、コストのかかる多工程プロセスで製造しなくてはならない。当業者であれば、これらの非常に高額な製造法は、市販のイブプロフェン鎮痛剤と競争することができるイブプロフェン剤形の製造に適切ではないことが明らかである。
WO94/10994には、少なくとも1種類の酸成分および少なくとも1種類の炭酸塩成分を含む医薬上許容される発泡性カップルと均一に混和した、水溶性のイブプロフェンの医薬上許容される塩を含む、散剤または錠剤組成物が開示されており、このイブプロフェン塩の95%以上が180ミクロン〜800ミクロンの大きさの結晶を有し、精製水100ml中のこの組成物1gから形成した水溶液のpHが5.0超であるように、発泡性カップルの炭酸塩/酸の重量比は2〜6である(塩と酸成分との反応に起因するイブプロフェン析出を最小化するため)。この例示した錠剤は、ほんの6.0〜14.5重量%という量でイブプロフェンナトリウム二水和物を含有する。イブプロフェンナトリウム二水和物は、イブプロフェン900kgおよび水酸化ナトリウム185.5kgを変性アルコール3.078kg中で溶解し、塩を単離し、乾燥させることによる費用のかかる方法で調製される。
US−A−4834966には、(33〜46):(34〜51):(9〜29)の重量比でイブプロフェン、L−アルギニンおよび炭酸水素ナトリウムを含む組成物が教示されている。この開示によると、これらの組成物は、可溶性顆粒組成物の調製に有用であり、使用時に水溶液の迅速な調製を可能にするであろう。開示された顆粒は、実際さらなる賦形剤を大量に含有する。90℃でイブプロフェンおよびL−アルギニンを水と共に造粒し、次いで湿った顆粒を乾燥させ、ふるいにかけ、さらなる成分と混和することによって、これらは得られる。錠剤処方は開示されていない。US−A−6197336では、発明者らが錠剤を調製しようと試みたが、得られた錠剤はもろくて、製造および包装の間に分解しやすかったために、満足のいく結果を得ることは不可能であることを見い出した、とむしろ記載している。
US−A−6197336に記載されている急速に溶解する錠剤中で賦形剤と共に使用するための組成物は、イブプロフェン、イブプロフェン1モル当たり1.1〜1.5モルのアルギニン、0.5〜10重量%のPVP、および5〜10重量%の炭酸水素塩を含む。前記組成物は、遊星形ミキサー中において80℃で連続撹拌しながらイブプロフェンを溶解させ、次いでアルギニン、PVPおよび沸騰水を加え、この混合物を10分間撹拌し、ゆっくりとクリーム上の塊を冷却し、得られた顆粒状の塊をwhirlpool社固定オーブン中で乾燥させることによって調製される。代替の方法では、アルギニンを水中で一部溶解し、次いでイブプロフェンおよびPVPを加え、この混合物を連続撹拌しながら暖め、得られたクリーム状の塊を真空下で乾燥し、ふるいにかける。この特許では、組成物および/または錠剤の調製中に、2種以上の成分間でいくぶんの相互作用または反応が起こり得ることが記載されているが、このような相互作用の程度および種類については記載されていない。開示されている錠剤は、37℃でpH7.2のリン酸緩衝液溶液中において約10分で溶解する。イブプロフェン200mgを含有する錠剤の重量は600mgであり、このような投与量にしてはむしろ大きく、イブプロフェン400mgを含有する錠剤の重量は980mgであり、これはほとんど飲み込むことができない。さらに、多量の高価なアルギニンにより、コストを大幅に上げる必要があった。
EP0478838A1には、イブプロフェンのカルシウム塩を含有することに特徴付けられる、イブプロフェンおよび従来の賦形剤を含有する配合物が教示されている。この配合物は、イブプロフェンのナトリウム塩、カリウム塩もしくはアンモニウム塩または酸の形態のイブプロフェンも含有し得ることが好ましい。この配合物は、イブプロフェンを酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムの溶液もしくは懸濁液と処理し、この混合物を造粒し、得られた生成物を乾燥させることにより得られる。造粒の前または後に賦形剤を加えてもよい。イブプロフェンのカルシウム塩は、錠剤とするためにその性質を改良することが開示されているが、これも溶解性が低く、したがって血中濃度の急速な増加および急速な作用の発現を可能とする錠剤を製造するのに適切でない。
WO89/07439には、吸収率を制御する剤がMg(OH)2、MgOおよびAl(OH)3ならびにこれらの化合物の混合物から選択されるアルカリ化合物を含むことに特徴付けられる、カルボン酸誘導体を含む薬物の吸収率を制御するための方法が教示されている。実施例11には、700mgの錠剤重量を有し、イブプロフェン200mg、酸化マグネシウム200mgおよびいくつかのさらなる賦形剤を含有する錠剤について記載されている。
WO02/083105には、NSAID、好ましくはイブプロフェン、炭酸水素塩などの崩壊剤および溶解剤、ならびに抗析出剤を含む組成物が開示されている。この文献には、炭酸水素塩は塩の形成を促進することによって溶解度を増加させることが考えられること、および組み込まれた炭酸水素塩がイブプロフェンと反応し始めることが記載されている。したがって最も好ましい方法では、イブプロフェンを非水条件下で炭酸水素塩と混合する。その中に含まれるイブプロフェンと炭酸水素ナトリウム(モルベースで1:1)との混合物の溶解プロファイルは、イブプロフェンと比較して、0.1モルの塩酸溶液中で1時間後に溶解したイブプロフェンについて非常に僅かに改善したことのみを示す(溶解したイブプロフェンが10%に代わり15%)。
WO97/30699には、イブプロフェン薬剤と、崩壊成分と組み合わせて圧縮性充填剤成分を含む担体物質とを含む、固形の非発泡性圧縮剤形が開示されており、これにはイブプロフェン薬剤が剤形重量の35%以上の程度まで存在しており、イブプロフェン薬剤が、イブプロフェンのアルカリ金属塩と組み合わせてイブプロフェンのカルシウム塩を含有しないという条件で、剤形が6.5〜15Kpの範囲の破砕強さおよび10分未満の崩壊時間となるような量で、担体物質にアルカリ金属炭酸塩または炭酸水素塩が含まれることに特徴付けられる。全ての実施例において、イブプロフェン薬剤は、イブプロフェンナトリウム二水和物またはイブプロフェンリシン酸塩である。塩の調製については開示されていない。ナトリウム塩は、圧縮または予備造粒が特に困難であることが開示されている。圧縮前の任意の所望による前造粒段階において、水などの液体を処方に加えないことが好ましい。炭酸塩または炭酸水素塩は、圧縮性を改善するために使用されるが、利用される量は通常少なすぎて溶解性を有意に改善せず、一方実施例3におけるように炭酸塩をより多く使うと、処方が著しくアルカリ性となり、食道内をかなり損傷する原因となり得る。
WO2004/035024には、錠剤コアおよび、所望であれば、錠剤コア上の糖またはフィルムコーティングを含む、イブプロフェンナトリウムの経口投与のための非発泡錠が教示されており、この錠剤コアは、錠剤コアの重量に基づいて50〜100重量%のイブプロフェンナトリウム水和物および50〜0重量%の補助材料成分からなり、滑沢剤および崩壊剤は含まず、イブプロフェンナトリウム水和物はこの水和物の8〜16重量%の水分含有率を有する。補助材料成分は、塩基性補助材料および/または圧縮性を向上させる中性から弱酸性の充填剤を含むことが好ましい。打錠前に、所望により補助材料または補助材料の一部と共に、イブプロフェンナトリウム水和物を乾燥形態で造粒することが好ましい。酸の形態より約3倍高価な、従来法で調製されたイブプロフェンナトリウム二水和物が使用された。
米国特許第5,741,519号および同6,322,816B1号には、押出機によって製造されるイブプロフェンの固溶体が記載されている。これらの特許では、ポリマーマトリックス中のイブプロフェンの固溶体形態のイブプロフェン組成物の製造、およびこの方法によって製造されたイブプロフェン組成物を扱う。「固溶体」という用語、および有効成分が溶融したポリマー物質中で100℃以上の高温で溶解する手段は、当業者には公知である(ChiouおよびRiegelmann、J.Pharm.Sci.60(9)、(1971)1281〜1301を参照されたい。)。したがって米国特許第6,322,816B1号には、水溶性ポリマーの割合が41〜67%である実施例も記載されている。微溶性イブプロフェンの溶解度の改善は、このように水溶性ポリマーマトリックス中に有効成分を溶解することによって達成され、アルカリ補助剤による可溶化によっては達成されない。イブプロフェンを高水溶性の塩の化合物に転化することによって難溶解性の問題を解決することは含まれていない。なぜなら、例えばイブプロフェンナトリウムは吸湿性で、打錠をうまく行うことができない(1ページ、22〜25行を参照のこと。)。必要な大量の水溶性ポリマーマトリックスは、ポリマーが高価格であるため製造コストを大幅に上昇させる。記載されたイブプロフェン錠剤200mgは、約800mgという受け入れられない錠剤重量を有する。補助剤マトリックスは、水溶性ポリマー以外に炭酸塩を含む。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水性結合剤溶液によるイブプロフェンの流動層造粒が、国際公開第00/27368号に記載されている。炭酸水素ナトリウムは、水中でのイブプロフェンの溶解過程を補助するが、記載された製造条件下および記載された炭酸水素ナトリウムの量では、イブプロフェンをそのナトリウム塩に転化することはできない。
米国特許第5,262,179号には、塩の不快な味が、水溶液中の炭酸塩、リン酸一水素塩および三塩基性クエン酸塩によって隠されている、水溶性イブプロフェン塩の非発泡性水溶性組成物が開示されている。この特許の教示は、イブプロフェンの既存の塩から生じ、アルカリ補助剤によるイブプロフェンの可溶化には関知しない。アルカリ添加剤は、摂取した場合、口内でpHが唾液によってそれほど低下しないように、イブプロフェン塩の溶液を強力に緩衝する役割を有するが、5〜6のpH値ですでに溶解性が低いイブプロフェンが再析出し、口腔粘膜への刺激の原因となる。3ページ39行には、潜在的な味を隠す量では得られた水溶液は経口投与には許容しがたい高pHであるために、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属リン酸塩は使用できないことが詳細に記載されている。
米国特許第6,171,617B1号には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、およびさらなる塩基性補助剤によるイブプロフェンの造粒が記載されており、いずれの場合にも水または有機溶媒と水との混合物が使用される。発泡錠のための水分のない顆粒を大規模に得るために、製造条件下で製造バッチは真空化で24時間まで乾燥しなくてはならないことが明らかになった。水分のない条件下では例えば炭酸カリウムと反応することができること、あるいは1モルの炭酸ナトリウムおよび2モルの水による1モルのイブプロフェンの転化に伴い、炭酸ナトリウムによる転化により、イブプロフェンナトリウム・2H2O/炭酸水素ナトリウムの混合塩が得られ、乾燥をしなくても直ちに錠剤に圧縮することができることは、どこにも記載されていない。対照的に、すでに60℃の条件で炭酸水素ナトリウムは、水、CO2および炭酸ナトリウムの形成と共に熱崩壊するため、炭酸水素塩の利用が実際に何らかの価値があることは証明されていない。2種類の塩基性補助剤の利用によって、得られた可溶化イブプロフェン顆粒の溶解、圧縮性などの物理技術的特性が明らかに改善することも記載されていない。
さらに、この米国特許の実施例1の実装から、製造条件下で炭酸水素ナトリウムが、二酸化炭素および水および炭酸ナトリウムを形成しながら完全に制御されていない形で崩壊し、均一な生成物を得ることができないことが明らかになった。実施例2の条件下では、60℃より下からの温度で乾燥を行わなくてはならず、その結果この乾燥法は24時間続けられる。この特許に対応する可溶化イブプロフェンナトリウムは、酸の存在下で結果として不安定な発泡錠となるために、水を完全に除去しなくてはならない。したがって非常に長い乾燥時間によって、この特許からは経済的に競争力のある発泡錠を製造することができない。実施例3に対応する転化について、同じ否定的な観察がなされた。
米国特許第5,631,296A号には、90.0〜99.0重量%のS(+)−イブプロフェンと、塩基性無機塩、希釈したアルカリ金属水酸化物溶液、およびこれらの混合物からなる群から選択された0.1〜10重量%の塩基性化合物とを含む、S(+)−イブプロフェンペレット剤が開示されている。実施例1において、1モルのS(+)−イブプロフェンに、僅か0.04モルの炭酸ナトリウムが使用されている。この非常に低い量によって、pH7.2の緩衝液中における溶解の改善は確かに可能であり、アルカリ補助剤を加えなくてもイブプロフェンはすでに急速に溶解するであろう。しかし、指定したアルカリ量は実質的に低すぎて、in vivo条件下でより急速なイブプロフェン血中濃度とはならない。指定された量では、胃内でのこのような薬剤の消化によって薬物形態に作用する相当の量の胃液を全く中和できない。この米国特許は、急速な血中濃度上昇(低いTmax値)を伴う、特に低コストのイブプロフェン薬物形態を提供する目的を有しておらず、むしろS(+)−イブプロフェンの使用による有効なS(+)−鏡像異性体の生体利用率(AUC=血中濃度曲線下面積)の上昇を実現した。
米国特許第5,445,827A号は、完全に溶解する発泡性イブプロフェン製剤およびそれらの調製方法に関する。この特許は、効率的で安価な方法の不溶性イブプロフェンからのまさに水溶性イブプロフェン顆粒(の調製)について記載する目的を有していなかった。請求項1によれば、この特許はもっぱら、無水イブプロフェンナトリウムに関し、過剰の炭酸水素ナトリウム(1モルのイブプロフェンナトリウム当たり19.4モル)を、イブプロフェンナトリウム溶液およびPVPと共に100°で流動層中に噴霧する。引き続き炭酸ナトリウムを水に溶解し、同様に顆粒に噴霧する。22キロのイブプロフェンナトリウムの造粒のために、130キロの水を噴霧しなくてはならず、これは顆粒の製造のために、1モルのイブプロフェンナトリウムを72.2モルの水で処理することを意味する。イブプロフェンナトリウムは、非常に吸湿性が高く、一般に二水和物として存在する。しかし、記載された方法では、最初に得られるのは二水和物である。無水形態にするために、非常に手間をかけて乾燥しなくてはならない。イブプロフェン発泡錠のこの製造法は、経済的に競争的できない。無水イブプロフェンナトリウムは、この米国特許に記載の大量の補助剤と共に圧縮できるのみであり、さもないと打錠機への粘着性が非常に高いことも示される。
米国特許出願公開第0055107A1号には、医薬活性剤およびその医薬活性剤の塩を含む医薬組成物が記載されているが、この組成物は加水分解されたセルロースを含有せず、この医薬活性剤が弱酸性または弱塩基性であるという条件がある。一例として、イブプロフェンが挙げられているが、溶液を乾燥した後にイブプロフェンとイブプロフェンのカリウム塩との混合物が生じるように、水酸化カリウムとの水溶液中で50%まで中和されることが好ましい。イブプロフェン酸とイブプロフェン塩とのこのような混合物の製造は、非常に手間がかかり、このような混合物は50%の可溶化イブプロフェンしか含有しないという不都合を有する。イブプロフェンの急速な吸収を実現するために、胃液の存在下で有効成分が可溶化塩形態で完全に存在することが非常に重要である。
したがって、急速な作用の発現を実現するが、それにもかかわらずイブプロフェンの酸の形態を含む剤形に対して競争力のある価格で製造することができる、イブプロフェン剤形に対する大きな需要がいまだに存在する。
要約すれば、上記の従来技術に関する文献において、難溶解性イブプロフェンから高水溶性イブプロフェン顆粒を製造するための、商業的に納得でき安価な方法は提供されていない。追加の工程における非常に高価な方法で、イブプロフェン塩が第1にイブプロフェンから製造され、またはリシン塩およびアルギニン塩などのイブプロフェンの非常に高価な塩が使用され、またはイブプロフェンは高価な水溶性ポリマーの融解中に押出工程によって溶解する。ほとんどの場合はイブプロフェンの急速な作用の発現は保障されず、ほとんどの場合は高額すぎる錠剤の製造コストによりイブプロフェンのフィルム錠剤の製造コストとの競争力がない。しかし、必要であればイブプロフェンと共に高水溶性補助剤を加えるなかで、特に少なくとも2種類のアルカリ補助剤の転化によって生成される、特に可溶化イブプロフェン顆粒については記載されておらず、またはこのような可溶化イブプロフェン化合物の圧縮性などの特に当業者には驚きである物理技術的利点については参照されていない。WO2004/035024を除いて、水分含有量の重要性でさえ、または無水または水和の可溶化イブプロフェンに関するか否かについて述べられていない。
本発明の目的は、イブプロフェンの可溶化形態を製造するための新規でより経済的な方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、イブプロフェンの可溶化形態のための、非常に効率的な方法で顆粒の製造を容易にする新規な方法を提供することである。
本発明の他の目的は、血中濃度の急速な上昇および鎮痛作用の急速な開始を実現する、イブプロフェンをベースとした新規な顆粒および他の医薬剤形、特に経口剤形を提供することである。
このような目的に従って、固形イブプロフェンと、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択された第1の塩基とを含む混合物を提供する工程、ならびに本質的に乾燥状態でこのイブプロフェンとこの塩基を反応させる工程を伴う、好ましくは顆粒として可溶化イブプロフェンを製造する方法が開示され、特許請求される。この方法は、乾燥させずにさらに直接加工が可能なイブプロフェンの形成をもたらす。さらに、前記方法により得られる新規な可溶化イブプロフェン顆粒、ならびに前記顆粒を含む新規な医薬剤形が提供される。
本質的に乾燥状態でイブプロフェンを塩基と反応させることによる1つの工程で可溶化イブプロフェンを直接得ることができることが、驚いたことに見い出された。さらに、この得られた可溶化イブプロフェンは通常乾燥させる必要がないが、直接の使用、または例えば錠剤へのさらなる加工に適切である。本発明の可溶化イブプロフェンは、顆粒の形態を有することが好ましい。
これと対照的に、イブプロフェンナトリウムまたはイブプロフェンカリウムの従来の調製および造粒は、イブプロフェンおよび塩基の溶解による水性媒体中での塩の調製、そこからの塩の単離、可能であれば塩の乾燥および造粒、および顆粒の乾燥を通常含めた多工程プロセスである。そのうえ、このような塩の造粒は実現困難であるのに対して、本発明の方法により、直接にさらに加工が可能な可溶化イブプロフェン顆粒を容易に得ることができる。
さらに、本発明の方法は、水溶性賦形剤を反応混合物に組む込むことを可能にし、および純粋なイブプロフェンナトリウム塩またはイブプロフェンカリウム塩の形態、および高水溶性賦形剤との物理的混合物の形態の両方の、この方法で得たイブプロフェンおよびイブプロフェン顆粒は、流動性および錠剤圧縮性などのその物理技術的特性に関して優れていることが驚いたことに見い出された。本特許請求の範囲を制限することは望まないが、このような差違は、複数の塩基が使用され、混晶も形成し得る場合は、異なる多形および/または非晶形の存在に少なくとも部分的に起因し得ると考えられている。
さらに、本発明の方法および得ることのできる顆粒の特性は、塩基の選択および組合せ、水溶性賦形剤の組込みおよび加える水の量によって、所望により非常に多様であり得る。
特に、本発明は、好ましくは顆粒の形態で可溶化イブプロフェンを製造する方法を提供するものであり、この方法は、固形イブプロフェンと、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸ナトリウム一水和物、N−メチルグルコサミン、グリシン酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される第1の塩基とを含む混合物を提供する工程、ならびに本質的に乾燥状態でこのイブプロフェンおよびこの塩基を反応させる工程を含む。
この混合物は、イブプロフェン1モル当たり0.5〜1.5モル、好ましくは0.5〜1.2モル、最も好ましくは0.9〜1.2モルの第1の塩基を含むことが好ましい。上記で定義した第1の塩基に加えて、この混合物は、他の塩基性化合物を含み得る。塩基性化合物の全量は、イブプロフェン1モル当たり、少なくとも0.8モル、好ましくは0.8〜1.5モルの塩基性化合物であることが好ましい。この混合物は、イブプロフェン1モル当たり少なくとも0.8モルの第1の塩基を含むことがさらに好ましい。
20ミリモルのイブプロフェンに対応する可溶化イブプロフェン顆粒の量が、100mlの水中で6〜12の、および好ましくは7〜10のpH値を有するように、1種または複数の塩基の量を調節することが好ましい。
本発明の範囲において、「可溶化イブプロフェン」という用語は、イブプロフェンの少なくとも一部が塩の形態で存在する、イブプロフェンの水溶性形態を意味する。別途指示しない限り、「イブプロフェン」は、ラセミ酸形態の2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸を示す。「三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム」という用語は、その水和物を含めた、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム一カリウムおよびリン酸一ナトリウム二カリウムを包含し、リン酸三ナトリウムおよびリン酸三カリウムが好ましい。
イブプロフェンおよび前記1種または複数の塩基性化合物は、本質的に乾燥状態で反応する。本明細書で使用する場合、「本質的に乾燥状態で」または「本質的に乾燥形態で」とは、水和物を形成するのに必要な量を、イブプロフェン1モル当たり、2モルを超える量、好ましくは1モルを超える量の遊離水の非存在下でこの方法が行われることを意味することが好ましい。すなわちこの混合物は、固形水和物を形成するのに必要な量を、イブプロフェン1モル当たり2モル超を超えない量の水を含むことが好ましい。水和物を形成するのに必要な量として、イブプロフェン1モル当たり0.5モル超を超える量で遊離水を加えず、または水和物を形成するのに必要な量だけ、遊離水を加えることがさらに好ましい。
特に、この混合物は、イブプロフェン1モル当たり2.5モル未満の水を含み、イブプロフェン1モル当たり、好ましくは0.1〜2、さらに好ましくは0.1〜1.2モルの水を含む。他の好ましい実施形態では、この方法は、イブプロフェン1モル当たり、1モル超、好ましくは0.5モルの遊離水の非存在下で、または遊離水が完全にない状態で行われる。
イブプロフェンと反応混合物に含まれる1種または複数の塩基性化合物との反応後に、水を加えることが好ましい。
水を加えることによって、反応を加速でき、かつ/または可溶化イブプロフェンを吸湿性がより少ない水和した形態に転化することができる。特に、イブプロフェンと1種または複数のナトリウム含有塩基との反応生成物は通常、イブプロフェン1モル当たり約2モルまでの水を含有する安定した水和物を形成する。本発明の方法は、得られた可溶化イブプロフェンまたはイブプロフェン顆粒は、使用またはさらなる加工の前に通常乾燥を必要としない、固体で乾燥した生成物であるという利点を有する。
例えば、1モルの水溶性賦形剤および0.8モルの水の存在下での、0.95モルの水酸化ナトリウムと0.1モルの水酸化カリウムとの反応は、さらに乾燥させる必要のない可溶化イブプロフェンをもたらす。
また、例えば1モルのイブプロフェンを、0.95モルの炭酸ナトリウム、0.1モルの炭酸カリウム、1モルのグリシンおよび0.3モルの塩化カリウムと激しく混合し、約50℃に暖め、イブプロフェン1モル当たり2.1モルの水を加えた場合、次いでこれによってさらに錠剤に加工することのできる易流動性で完全に乾燥した高水溶性イブプロフェン化合物となる。
成分の乾式混合の後に水を直接加えた場合、この混合物は暖める必要がなく、記述した高水溶性乾燥イブプロフェン顆粒へと問題なく転化される。対照的に1モルのイブプロフェンの混合物を、0.9モルの炭酸カリウムおよび0.15モルの水酸化カリウムと共に温めた場合、高水溶性のイブプロフェン微顆粒が、約50〜60℃の温度で短時間、例えば約1時間以内で形成する。イブプロフェン1モル当たり0.3モルの水(約1.5%)を撹拌しながら加えた場合、この混合物は、驚いたことに20分以内に高水溶性イブプロフェン顆粒に転化する。それにもかかわらず、驚いたことにこの塊は固形粉末または微顆粒として残る。
さらに、エタノール、特にイソプロパノールなどの脂肪族C1〜C4アルコール、アセトンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、非水の造粒液体を少量利用することが好都合である場合があり得る。利用する量は、イブプロフェン1モル当たり、0.5モルを超えないことが好ましく、0.25モルを超えないことがさらに好ましく、遊離水および非水の造粒液体の全量は、イブプロフェン1モル当たり、2.5モルを超えないことが好ましい。しかし、非水の造粒液体の非存在下で、本発明の方法を行うことが一般に好ましい。他の好ましい実施形態によれば、本質的に水の非存在下ではあるが、上記で定義した非水溶液の存在下で反応は行われる。
好ましい一実施形態は、第1の塩基が、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウムまたはグリシン酸カリウムからなる群から選択される、本発明による方法である。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、反応する混合物は、2種以上、好ましくは3種の塩基性化合物を含む。さらに好ましくは、反応混合物は、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウムおよびグリシン酸カリウムからなる群から選択された第1の塩基、ならびに水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウムからなる群から選択される第2の塩基を含む。
本発明の方法のさらに他の好ましい実施形態では、反応混合物は、0.1Mの水溶液もしくは分散液として少なくともpH7.5〜10の塩基を含む。この塩基は、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、アルギニンおよびリシンからなる群から選択されることが好ましい。
対照的に、第1の塩基として使用される塩基は、0.1モルの水溶液中で11.0超のpHを有する。
本発明によるさらに好ましい方法では、反応混合物は、少なくとも1種類のナトリウム含有塩基および少なくとも1種類のカリウム含有塩基を含む。ナトリウム含有塩基およびカリウム含有塩基は、1:20〜20:1のモル比で、さらに好ましくは1:9〜9:1のモル比で存在することが好ましい。このような塩基は、水酸化物含有塩基および炭酸塩含有塩基から選択されることが好ましい。
特に好ましい例によると、反応混合物は、1種または複数の塩基性化合物として、水酸化カリウムまたは炭酸カリウムと共に水酸化ナトリウムを含み、イブプロフェン1モル当たり、さらに好ましくは少なくとも0.5モル、よりさらに好ましくは少なくとも0.9モルの水酸化ナトリウムを含む。
本発明の方法の他の特に好ましい例によると、反応混合物は、1種または複数の塩基性化合物として、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと共に炭酸カリウムを含み、イブプロフェン1モル当たり、さらに好ましくは少なくとも0.75モル、よりさらに好ましくは少なくとも0.85モルの炭酸カリウムを含む。
反応混合物は、好ましくは充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤および抗析出剤からなる群から選択される、1種または複数の医薬上許容される賦形剤も含むことが好ましい。
中性で水溶性の賦形剤は、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、尿素;リン酸またはクエン酸の二ナトリウムもしくは二カリウム;ソルビトール、キシリトール、および/またはマンニトールなどのヘキソース;ポリマー化合物、好ましくは非架橋ポリビニルピロリドンなどの水性可溶性ポリマー、例えばPovidone K25〜K90;およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロースなどのセルロース誘導体、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、パルミチン酸サッカロースなどのサッカロース脂肪酸エステル、グリシン、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。好ましい賦形剤は、グリシンおよび/または塩化カリウムである。中性で水溶性の賦形剤としてグリシン酸ナトリウムまたはグリシン酸カリウムを使用することも好ましい。グリシン酸ナトリウムまたはグリシン酸カリウムは、グリシンを適切なナトリウム塩基および/またはカリウム塩基と反応させることによって系内で調製することができる。
反応混合物が1〜20%、好ましくは1〜15%、さらに好ましくは1〜9%、最も好ましくは4〜7重量%のポリマー化合物を含むことが一般に好ましい。他の好ましい実施形態では、混合物は、0〜4重量%の、さらに好ましくは0〜3重量%のポリマー化合物を含む。特に、反応混合物は、0〜9重量%の、好ましくは1〜9重量%のポリビニルピロリドンを含む。本明細書において規定されたこれらおよび他の重量パーセントは、他に示されなければ、混合物の全重量に基づく。
反応は、20〜95℃の温度で、好ましくは20〜85℃の温度で、さらに好ましくは20〜65℃の温度で有利に行われ得るが、より高い温度も可能である。本発明の方法は通常、弱い発熱性から強い発熱性である。反応を開始または加速するために、反応混合物を、例えば約35〜50℃に加熱することが有用である場合があり得る。しかし、水酸化物または水酸化物の混合物を使用する場合、特に大きいバッチの場合は、むしろ冷却が必要となる、または望ましい場合があり得る。
本発明の方法は、驚いたことに、経口医薬品剤形の製造に通常使用される任意の装置で行うことができる。加熱および冷却を必要としない特に単純な場合は、イブプロフェンおよび塩基(または複数の塩基)を、従来の混合容器に入れ、所望の顆粒が得られるまで混合する。例えば、イブプロフェンを0.4モルの炭酸ナトリウム、0.8モルの炭酸カリウムおよび0.3モルの水と激しく混合した場合、反応混合物の温度は約40℃に上昇し、イブプロフェンの可溶化が約30分以内に完了する。可溶化イブプロフェンの乾燥は必要ない。
前記混合容器は、イブプロフェンと塩基性化合物との反応を簡便に制御するために、前記容器中での混合物の冷却および/または加熱のための手段を含み得る。混合容器は、インペラーおよびチョッパーを備えていることが好ましい。
あるいは、イブプロフェンと、1種または複数の塩基と、所望による賦形剤との混合物は、最初に、好ましくはインペラーおよびチョッパーを備え得る混合容器中で処理することができ、次いで顆粒構造をより大きくするために、すでに可溶化されたイブプロフェンはさらに流動層造粒機内で処理される。
例えば、0.4モルの水酸化ナトリウム、0.4モルの炭酸ナトリウム、0.3モルのリン酸三カリウム、0.8モルのグリシンおよび1.8モルの水を10分間撹拌する。1モルのイブプロフェンおよび5%(w/w)のPovidone K25を、混合容器に加えることができ、全ての混合物をインペラーおよびチョッパーで約1時間処理する。混合物は、常に乾燥状態と流動性を保つ。1時間後に可溶化が完了し、イブプロフェン400mgに対応する得られた顆粒の量は、30秒未満で完全に水中で溶解する。顆粒を流動層造粒機に移動し、例えば粗い顆粒を得るためにPovidone K90の7%(w/w)水溶液で処理することができ、次いでこれは特に容易に錠剤コアに圧縮することができる。
さらに適切な方法は、イブプロフェンと、1種または複数の塩基と、所望による賦形剤との混合物を圧密化することである。
本発明の好ましい実施形態によれば、顆粒を得るために混合物を反応後に粉砕する。圧密化された混合物を、それ自体公知の方法で所望の顆粒に粉砕することができる。従来のコンパクター、例えば、ローラーコンパクター(乾式コンパクター)または錠剤への圧縮(スラッギング)により圧密化を行うことができる。コンパクトまたは錠剤は、適切なスクリーン、例えば回転スクリーン上で分解することができる。当業者には全くの驚きであるが、例えば1モルのイブプロフェンと1.05モルの炭酸カリウムとの圧密化の間に、圧密化に伴って起こる機械的応力およびそれによって生成する熱は、完全に水溶性である完全に乾燥した可溶化イブプロフェン顆粒を得るのに十分であることが見い出された。
記載した方法によって得られる可溶化イブプロフェン顆粒は、有利な構造特性を有する。特に好ましいのは、イブプロフェンの混合したナトリウム塩およびカリウム塩を含む可溶化イブプロフェン顆粒である。
本発明による可溶化イブプロフェン顆粒の他の特定の特に好ましい形態は、約0.95モルの水酸化ナトリウム、約0.05モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウム、約0.5モルのグリシン、約0.3モルの塩化カリウム、1モルのイブプロフェンに関して約10重量%の非架橋ポリビニルピロリドン、1モルのイブプロフェンに関して約2重量%のパルミチン酸サッカロース、および所望により1.2モルまでの、好ましくは約0.8モルの水との混合物中で、20〜85℃の温度で、1モルのイブプロフェンが反応する場合に得られる顆粒である。
本発明による可溶化イブプロフェン顆粒の他の特定の特に好ましい形態は、約0.95モルの水酸化ナトリウム、約0.05モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウム、約0.7モルのグリシン、約0.5モルの塩化カリウム、1モルのイブプロフェンに関して約6重量%の非架橋ポリビニルピロリドン、1モルのイブプロフェンに関して約2重量%のラウリル硫酸ナトリウム、および所望により1.2モルまでの、好ましくは約0.8モルの水との混合物中で、20〜85℃の温度で、1モルのイブプロフェンが反応する場合に得られる顆粒である。
約0.9モルの炭酸カリウム、約0.1モルの炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム、1モルのイブプロフェンに関して約10重量%の非架橋ポリビニルピロリドン、1モルのイブプロフェンに関して約2重量%のラウリル硫酸ナトリウム、および含有されていないことが好ましい最大0.3モルまでの水との混合物中で、20〜65℃の温度で、1モルのイブプロフェンが反応する場合に得られる可溶化イブプロフェン顆粒も好ましい。
約0.9モルの炭酸カリウム、約0.1モルの炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム、1モルのイブプロフェンに関して約5重量%の非架橋ポリビニルピロリドン、1モルのイブプロフェンに関して約2重量%のパルミチン酸サッカロース、および含有されていないことが好ましい最大0.3モルまでの水との混合物中で、20〜65℃の温度で、1モルのイブプロフェンが反応する場合に得られる可溶化イブプロフェン顆粒も好ましい。
本発明の他の態様は、本発明の方法によって調製された可溶化イブプロフェンまたは可溶化イブプロフェン顆粒を含む医薬組成物である。この医薬組成物は、可溶化イブプロフェンまたはイブプロフェン顆粒に加えて、炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい塩基性化合物も含み得る。この医薬組成物は、イブプロフェンをベースとした組成物には、通常1種または複数の医薬上許容される賦形剤も含み得る。医薬組成物は、錠剤、フィルムコーティング錠、糖衣錠、サシェ剤またはカプセル剤などの医薬剤形であることが好ましい。サシェ剤またはカプセル剤は、上記で定義した1種または複数の医薬上許容される賦形剤を所望により組み合わせて、可溶化イブプロフェンまたはイブプロフェン顆粒で充填される。
炭酸水素カリウムおよび炭酸水素ナトリウムは、可溶化工程の後に、例えば錠剤のための最終混合物に加えるべきである。本発明の可溶化イブプロフェン顆粒の製造における、補助剤としての炭酸水素塩、特に炭酸水素ナトリウムの使用は、これらが熱崩壊し、したがって炭酸ナトリウム、CO2および水を形成するため、一般に好ましくない。
本発明により得られた可溶化イブプロフェンおよびイブプロフェン顆粒は、少なくとも従来得られたイブプロフェン塩によって実現されたのと同じ速さでまたはより急速に、血中濃度の急速な上昇および急速な作用の発現を実現することが、驚いたことに見い出された。さらに本発明の顆粒は、特定の顆粒しだいで、水溶性、溶解速度、過飽和溶液の安定性、生体利用率、圧縮性、流動性、そこから調製された錠剤の硬度などの、様々なさらなる特性において優れていること、および改良された特性を有する適切な剤形に加工することができることが見い出された。
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、前記混合容器は押出機であり、この方法は連続で行われることが好ましい。本発明による方法の特に好ましい変形形態では、前記方法は押出造粒機で行われる。
この方法は、連続法であることが好ましい。従来の押出造粒機、好ましくは二軸スクリュー押出機は、活性成分と、アルカリ成分と水溶性賦形剤とのための1つまたは複数の重量供給装置、バレル(円筒)、スクリュー、スクリュー軸、バレルヒーター/クーラーシステム、出口ダイ、ならびに場合により押出物カッターを含む。押出造粒機は、スクリュー形状、回転速度およびスクリュー軸に取り付けるスクリュー要素の選択によって、複合圧力および成形温度の自由な変化を実現する。必要であれば、使用目的によってバレルを種々な長さの組み合わせで使用することができ、その温度も所望により制御できる。
スクリューの回転速度によって、押出造粒機中の材料の平均滞留時間は、約30〜120秒である。材料は通常、0.5mmから数センチメートルの直径を有する出口ダイを通して放出される。円筒状ロープの形状の塊の放出が好ましい。押出しされる塊の温度によって、即時にまたは短い冷却時間の後に材料を粉砕することができる。
利用する特定の製造方法、1種または複数の塩基の選択、温度、粒径、賦形剤の存在、加える水量などによって、反応時間は一般に数秒未満から数時間に変化させることができる。押出造粒機工程は、約30〜120秒の可溶化の反応時間であることが好ましい。可溶化の程度は、例えば約100gの水中にイブプロフェン400mgに対応する可溶化材料の試料を置くことによって、時々点検することができる。難溶性のイブプロフェンは、造粒の始めには表面を浮遊する。可溶化が進むと共に、イブプロフェン結晶の湿潤性が向上する。溶解せず残るイブプロフェンがなくなると可溶化が完了する。顆粒が、充填剤などの難溶性の賦形剤を含有しない場合は、可溶化の完了後に澄明な溶液が一般に形成される。
本発明の特定の可溶化工程は、例えば水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを、好ましくは他の塩基と共に利用することによって実現できる。水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムまたはK2CO3を単独で、あるいは他の塩基と共に利用することによって、可溶化工程を加速することができる。水酸化物との反応は、特に急速で高発熱性であり、等モル量の水を生成し、塩基が存在する場合は共に存在する塩基の反応を加速する。
イブプロフェン1モル当たり僅かに0〜1モルの水の存在下での、イブプロフェンと、固形の水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムとの直接反応(可溶化)は、これまで従来技術において記載されてはこなかった。そこから生成する中和熱は高いので、約10キロのバッチサイズで、さらなる加熱なしで混合物中にすでに約100℃の撹拌温度が生成する。より大きなバッチでは、温度はさらに強く上昇して、混合物は変色する場合があり、イブプロフェンからの分解生成物が形成し得る。例えば500キロの製造サイズのバッチでは、生産担当者を重大な危険に曝し、生成物の完全な崩壊につながり得る、爆発性の非常に危険で制御不能な熱反応を考慮に入れなければならない。この従来技術の問題は、イブプロフェンの可溶化反応のために押出造粒機を連続運転で使用することによって、本発明により初めて解決された。本発明により提供される、イブプロフェンと水酸化アルカリとの本質的に乾燥状態での直接の制御された反応は、当業者には従前には可能な反応経路として認識されていなかった。本発明によると、発せられる中和熱は、例えば、(a)押出機のバレルの冷却によって、および/または(b)押出しの間のイブプロフェンの結晶格子の融解による熱エネルギーの消費によって放出される。
反応成分、例えばイブプロフェン、1種または複数の塩基、水、および好ましくはさらなる水溶性補助剤を、好ましくは重量供給装置を使用して連続押出造粒機に供給する。塩基の水溶液の熱および結果として生じる中和熱によって、イブプロフェンの自発的な可溶化をほぼもたらし、用いられた冷却法によって、可溶化材料は顆粒として、または冷却によって数秒以内に固体に転化する静止分散液として送達される。イブプロフェンのための、新規で、的確で、安価な可溶化工程の典型的な実施形態において、イブプロフェン1モル当たり、0.95モルの水酸化ナトリウム、0.05モルの水酸化カリウム、水溶性補助剤として0.7モルのグリシン、0.7モルの塩化カリウム、15.5%のPovidoneおよび2.5%のラウリル硫酸ナトリウム(それぞれの場合、前記パーセントは1モルのイブプロフェン重量に基づく)、および0.75モルの水が使用される。好ましい実施形態では、直径約1mmの水酸化ナトリウムの固体ペレット剤を、グリシン、塩化カリウム、Povidone K25、ラウリル硫酸ナトリウム、および水と共に押出機中に供給し、水および水酸化ナトリウムの溶液が発する熱と、回転スクリューによって、数秒内に溶液または懸濁液に混合される。これは、続いて供給されたイブプロフェンと再び自発的に反応し、高水溶性イブプロフェン化合物が形成される。イブプロフェン化合物は、加えた水および水酸化アルカリとの中和により形成された水と共に固形水和物を形成し、これはあらかじめ乾燥させずに、例えば錠剤にさらに加工することができる。加える水の量は、イブプロフェン1モル当たり、好ましくは水0〜1.5モルであり、さらに好ましくは0.6〜1モルである。有利には、前記方法の実施形態により使用される水酸化カリウムは、供給される水中でのその高溶解性によって、溶解されることができる。しかし、水酸化ナトリウムなどの固形物質としても供給することができる。水酸化アルカリ(1種類または2種類の)は、所望である場合、本明細書に開示する他のアルカリ補助剤を加えて、イブプロフェン1モル当たり1.2モルまでの全量で使用することができる。イブプロフェン1モル当たり、0.8〜0.95モルの水酸化ナトリウム、および0.02〜0.3モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウムの、水酸化アルカリの混合物が好ましい。グリシン、塩化カリウム、Povidone K25、ラウリル硫酸ナトリウム、尿素、ヘキソースなどの水溶性補助剤の使用、特にグリシンおよび/または塩化カリウムおよびPovidone(登録商標)K25の使用が好ましい。これらの可溶性賦形剤の量は、イブプロフェン1モル当たり、0〜20モル、好ましくは0.25〜4モル、最も好ましくは0.5〜1.5モルである。イブプロフェン1モル当たり、0〜1.5モルの量で水を加える。イブプロフェンと1種または複数の水酸化物との中和反応によって、すでに水が形成していることを、同時に考慮しなくてはならない。0.1モルの溶液中で少なくとも11のpH値を有する言及した塩基性補助剤との関連で、さらなる可溶化が可能である。例えば、1モルのイブプロフェンと、1.1モルの炭酸カリウムおよび0〜0.2モルの水との反応が好ましい。0.5〜1.5モルの、好ましくは0.8〜1.2モルの塩基の指定限界との関連で、中性で水溶性の賦形剤として加える1種または複数のポリマー化合物の全量が、全混合物の1〜15、好ましくは1〜9重量%に対応する量に対応するという条件で、それぞれの場合、イブプロフェン1モル当たり、0〜20モルの、好ましくは0.25モル〜4モルの、最も好ましくは0.5〜1.5モルの水溶性補助剤である。水の量は、イブプロフェン1モル当たり、0〜2.5モルの範囲であることが好ましい。押出機によって、多数のさらなるイブプロフェン可溶化反応が容易に可能である。カリウムを含有する塩基性賦形剤が使用される場合、イブプロフェンの転化に伴い中和水を生成しない塩基性補助剤(例えば、炭酸カリウム、グリシン酸カリウム)が好ましく、加える水の量は、イブプロフェン1モル当たり、0〜0.5、好ましくは0.3モルまでの範囲に維持される。乾燥した可溶化イブプロフェン顆粒がこのように形成され、これは易流動性でさらに乾燥させる必要がない。ナトリウムを含有する塩基性補助剤を可溶化のために主として使用する場合、押出機工程において水酸化ナトリウムが好ましい。この場合、イブプロフェン1モル当たり0〜1モルの範囲の量で水を加えることが好ましい。再び易流動性で乾燥した可溶化顆粒がこのように形成される。これらは水和物の形成によって中和水または加えた水を結合させる。そのため、このような顆粒は通常乾燥させる必要がない。
水溶性補助剤は、第1に1種または複数のアルカリ補助剤と共に供給することができるが、イブプロフェンと共に押出機に供給することも、または押出機内での熱による可溶化の直後にビスコース塊に加えることもできる。イブプロフェンの供給前に1種または複数のアルカリ補助剤と共に加えることが好ましい。可溶化イブプロフェン化合物の製造コストは、驚くべき簡易な製造方法と最も安価な補助剤の使用によって非常に低い。生成した化合物を乾燥工程なしですぐに、例えば錠剤コアに加工することができるという事実によって、さらなるコストが不要となる。ほぼ塵がない圧縮性で易流動性の顆粒が生成するように、単軸スクリューセグメントを選択することができる。適切なノズルによって可溶化塊がより低い程度に冷却された場合、例えば幅5cmおよび高さ0.5mmの直径のスパゲッティ様のトレースまたは帯を押し出すことができ、これは空気冷却によって数秒後に固化し、次いですぐによく構成された顆粒に粉砕することができる。
好ましくは2種以上のアルカリ補助剤、および必要であればさらなる水溶性補助剤の添加によるイブプロフェンの転化によって、イブプロフェンのカリウム塩およびナトリウム塩より非常に優れた良好な物理技術的特性を有する水溶性イブプロフェン顆粒が生成する。例えば1モルのイブプロフェンが0.95モルの水酸化ナトリウムおよび0.2モルのグリシンと反応した場合、DSC、TGA、粉末X線およびIRにおいて劇的な変化を示す(図1〜13の説明を参照のこと。)他に例を見ない新規なイブプロフェン化合物が生成する。すでにグリシンのトレースは、DSCサーモグラムに強力な効果を有する。イブプロフェンナトリウムの従前の鋭い融解ピークは消え、約175℃のピークおよび162℃のショルダーを有する広い融解領域が現れる。脱水に必要な熱は大幅に減少する。明らかに、グリシンを添加して、可溶化イブプロフェンナトリウム/グリシン混晶が形成される。粉末X線回折パターン(図8〜10を参照のこと。)によって、これは固化したアモルファス塊ではないことがはっきりと証明される。イブプロフェンナトリウム二水和物と比較して、押出工程にグリシンを加えることによって、3つの明確な新しいバンド14.6、21.8および25.3°(2θ)をもたらした。イブプロフェンナトリウム二水和物のパターンに付加的なピークを、図中で星によって示す。このような新しいバンドを、押出工程における不完全な反応のために潜在的に存在し得るイブプロフェンのための回折と比較した(2θ)。未反応のイブプロフェンの存在の証拠はもはや見い出されなかった。
IR分光法は、主に水酸化ナトリウムで溶解したイブプロフェンの結晶構造に、グリシンの添加が強力な効果を有することを示す別の優れた指標である。全てのグリシンを含有する押出物において、1597cm−1および1335cm−1周辺で、使用された賦形剤、中間生成物のグリシン酸ナトリウム(押出工程において形成される可能性のある)、イブプロフェン酸、またはイブプロフェンナトリウム二水和物の振動吸収に割り当てることのできない2つの新しい明確なピークが見られた(図11〜13を参照のこと)。
分光法によって証明された本発明によるグリシンを含む可溶化イブプロフェン顆粒の結晶構造における違いも、明らかにその物理技術的特性に現れる。新規な、経済的で実質的に安価な方法でイブプロフェンナトリウムを製造することは、本発明の実際の意義ではないが、急速な血中濃度上昇を伴う新規なイブプロフェン薬物形態の経済的な製造のために重要なイブプロフェンナトリウムの非常に好ましくない技術的特性を、補助剤の添加によって達成することは本発明の実際の意義である。無水イブプロフェンナトリウムは、非常に乏しい圧縮性と打錠機への極端な粘着性のために、実際的に加工をすることができない吸湿性粉末である。約25%の相対湿度においてでさえも、この塩は急速に2モルの水を取り込んで、二水和物を形成する。しかし、イブプロフェンナトリウム二水和物も、直接錠剤へと加工できない。まず補助剤と混合し、乾燥圧密化または水による造粒および乾燥によって、打錠できる顆粒に転化させなければならない(例えば、導入部に記載した特許出願のWO97/30699およびWO2004/035024を参照されたい。)。したがって、例えば易流動性を有する本発明の可溶化イブプロフェン顆粒を、イブプロフェンナトリウムより3倍安価なイブプロフェン(1モル)から、1モルの水酸化ナトリウム、1モルのグリシンおよび1.0モルの水と共に、押出機によって製造することができる。このイブプロフェン顆粒は、乾燥させずに錠剤に直接圧縮することができる。この錠剤の重量は333mgであり、イブプロフェン200mgを含有し、10.5mmの直径を有する。錠剤の平均硬度は55Nであり、破砕性は0.5%未満である(100rpm)。水中の錠剤崩壊時間は4.8分である(ヨーロッパ薬局方による崩壊試験)。75mgのグリシン(1モル)と混合したイブプロフェンナトリウム二水和物(1モル)から製造された比較錠剤は、製造法に適した錠剤に圧縮することができない。実現した硬度は20〜25Nであり、錠剤はキャッピングを示し、破砕性試験の結果は容認できない。したがって、グリシンをイブプロフェンナトリウムの結晶格子に直接組み込むこと、および水和物中における水のいくぶん弱い結合などのそれと結びつく結晶特性(図4〜6を参照されたい。)によって、当業者には完全に驚きである方法で圧縮性が向上されることは非常に明らかである。(実施例16a)。
押出工程の間に加える適切な添加補助剤によって、本発明による可溶化イブプロフェン顆粒の圧縮性は、さらに最適化することができる。ここで特に、Povidone K25、塩化カリウム、二酸化ケイ素、尿素、リン酸水素二カリウム、マンニトール、およびラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤などの、錠剤の製造において通常使用される補助剤は価値があることを、それ自体が証明した。選択した補助剤および押出工程によって、非常に圧縮性の強い可溶化イブプロフェン顆粒を直接に都合のよいコストで製造できることは当業者には予期できないことである。直径10.5mmの錠剤コアは、キャッピング傾向がなく、130Nを超える硬度を実現する。この顆粒は、1時間に600,000個をこえる錠剤を製造する高性能打錠機に適切である。押出機工程のための本発明の顆粒は、イブプロフェン1モル当たり、0.8モル〜1.2モルの水酸化ナトリウム、0〜0.3モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウムまたはリン酸三カリウム、0.2〜2モルのグリシン、0〜1モルの塩化カリウム、5〜20%のPovidone K25(イブプロフェン1モルの重量に関して)、1〜4%のラウリル硫酸ナトリウム(イブプロフェン1モルの重量に関して)、0〜1.5モルの水を含有し、イブプロフェン1モル当たり、0.9〜1.05モルの水酸化ナトリウム、0.05〜0.15モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウム、0.4〜1モルのグリシン、0.25〜0.7モルの塩化カリウム、10〜15%のPovidone K25、1.5〜3%ラウリル硫酸ナトリウムおよび0.6〜1.2モルの水を含有することが好ましい。
錠剤は、摂取後に酸性の胃液に曝されるために、可溶化イブプロフェン塩がさらなる塩基性補助剤に保護されることは有利である。このような追加の塩基性補助剤は、酸性条件下での錠剤の溶解過程および溶解したイブプロフェンの過飽和を補助する。したがって、0.1モルの水溶液として11超のpH値を有する言及した塩基性補助剤によるイブプロフェンの可溶化の後に直接に、押出機中にあるうちに、あるいは打錠工程の前の最終的なブレンドに、さらなる塩基性補助剤を加えることができる。これには、特に、0.1モルの溶液として最大10.0のpHを有する、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二カリウム、リン酸二ナトリウム、クエン酸二ナトリウムが適切である。当然ながら、全てのさらなる通常の打錠補助剤も、特に最終混合物に加えることができる。これらは、一般に錠剤の硬度を増加させる微結晶性セルロース、架橋ポリビニルピロリドンなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、二酸化ケイ素、タルクなどの滑沢剤および流動性改善剤などの補助剤であり、特に、尿素、ベタイン一水和物、硫酸カリウム、酢酸カリウムおよびヘキソース(マンニトールおよびソルビトールなど)などの、錠剤の溶解過程を向上させる高水溶性補助剤である。
上記で詳しく例示した押出工程において、水酸化ナトリウムをイブプロフェンの可溶化のために使用することが好ましい。イブプロフェン1モル当たり約2モルの水の量で直接打錠できる形成された可溶化イブプロフェン顆粒は、吸湿性ではない。しかし、さらに顆粒の打錠特性および溶解特性を最適化したい場合は、言及した量で少量の水酸化カリウムおよび/または炭酸カリウムを加えることが有利である。加えるアルカリ性カリウム塩の量によって、可溶化顆粒の溶解速度をさらに速めることができる。0.3モル以上の炭酸カリウムまたは水酸化カリウムでは、可溶化顆粒は、ますます吸湿性が高くなり、フィルム錠剤はPPチューブなどのより密封した包装材料で包装しなくてはならない。1:1の水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合比を実現すれば(例えば、0.5モルのKOHおよび0.5モルのNaOH)、イブプロフェンの可溶化で形成した水によって顆粒は粘着性となり、錠剤に圧縮する前に乾燥しなくてはならない。この状況は、水酸化カリウムを炭酸カリウムと交換することによって再び最適化することができる。押出機中で例えば0.5モルの炭酸カリウム、0.5モルの水酸化ナトリウムのイブプロフェンの可溶化において、炭酸カリウムの使用によって水は形成されない。その結果、流動性のある高水溶性乾燥イブプロフェン顆粒の連続造粒がいまや再び可能になる。
炭酸カリウムの量を、イブプロフェン1モル当たり例えば1モルまで増加し、0〜0.2モルの水を、必要であればラウリル硫酸ナトリウム、Povidone K25などのさらなる補助剤と共に押出機に供給した場合、非常に高水溶性である可溶化イブプロフェン顆粒が、すでに約60℃の温度で形成される。この顆粒の構造および流動性を改善したい場合は、0.9モルの炭酸カリウムおよび0.1〜0.2モルの水酸化ナトリウムまたはNa2CO3を使用することが有利である。選択した条件下で、選択したナトリウム部分によって、押し出されたイブプロフェン顆粒の全構造を大幅に改善させる粘着性の可溶化部分が明らかに生成される。圧縮性、パンチへの粘着性、溶解速度および吸湿などの、可溶化顆粒の物理技術的特性ならびに物理化学的性は、好ましくはナトリウムおよびカリウムの2種類のアルカリ成分を混合することによって個別調製することができる。直接的に連続した造粒過程において、最も単純な公知の補助剤を使用して、このような効率的な方法で最適なイブプロフェン顆粒を作製することができることは当業者には明らかに驚きであった。顆粒として水中で溶解しまたは錠剤とし飲み込まれるこのようなイブプロフェン顆粒は、イブプロフェンの急速な血中濃度上昇をもたらす。
好ましくは0.8〜1.2モルの炭酸カリウムならびに0〜0.4モルのNaOHおよび/またはNa2CO3、必要であればPovidone K25および/または界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムまたはモノステアリン酸サッカロースなど)などのさらなる補助剤からの本発明のイブプロフェンの可溶化顆粒は、必要であれば加熱および冷却可能な、適切な湿潤混合容器中で、可溶化顆粒に転化することもできる。可溶化は、50〜60℃の温度で集中的に撹拌しながら、水を加えずに進行する。イブプロフェン1モル当たり0.2モルの量の微量の水を加えた場合(イブプロフェン206mg当たり約3.5mg)、反応は30分以内に終了する。このような反応は、特許文献においてこれまで記載されてはこなかった。炭酸カリウム、炭酸水素カリウムまたは水酸化カリウム溶液との中和による、水溶液中でのイブプロフェンカリウムの典型的な製造とは、これは基本的に異なる。当業者が驚いたことには、実質的に乾燥状態で40〜55℃の温度で、したがって明らかにイブプロフェンの融点(約75℃)より下の温度で、全ての可溶工程が進行することである。必要であれば、完全な可溶化の後に、乾式圧密化または湿式造粒などの適切な方法によって、より粗い顆粒構造に転化することができる形成された微顆粒は、当業者を完全に驚かせる。相対湿度が35%未満の室内で、それらは、技術的に利用することのできる最も速い打錠の速さにおいても、予期しない非常に硬い錠剤に圧縮することができる。直径10.5mmおよび重量約350mgでイブプロフェン200mgを含有する丸い両凸錠剤は、100〜180Nの硬度を有する。しかしながら、このような錠剤は、崩壊試験器中で37℃の水中で1分以内に溶解する。水性コーティングによって問題なく製造したフィルム錠剤は、2〜2分半の崩壊時間を示す。セルロースおよび超崩壊剤などの高価な補助剤を添加せずには可能ではなかったこのような極端な機械的安定性、極端に良好な圧縮性および溶解速度を有する錠剤は、これまで製造されたことはなく、または特許文献に記載されたことがない。このような錠剤は、高価なイブプロフェンリシン酸塩およびイブプロフェンアルギン酸塩錠剤より有意により速く崩壊し、より急速な血中濃度をもたらすが、それらは安価なイブプロフェンおよび炭酸カリウムなどの非常に安価な補助剤によって、製造コストを少なくとも50%低下させる。本発明によるこの可溶化イブプロフェン顆粒の極端に良好な圧縮性、および特に溶解速度は、当業者にとって完全に予想外である。フィルム錠剤も、PPチューブ、Alu/Aluブリスターなどの適切な包装材料中において、応力条件下、40℃/75%の相対湿度で、化学的および物理的に完全に安定している。
このような顆粒は、密封したサシェ剤またはスティックパックを充填するのにすばらしく適切なでもある。さらに小量の甘味料および適切な香気を顆粒に加える。イブプロフェン200mgを含有する混合物は、150mlの水中において20℃で約10秒以内に溶解する。イブプロフェンの可溶化のために加えられる低量のアルカリ炭酸塩(約150mg)のために、その味はすばらしく、ほとんど純水と見分けることができない。
アルカリ炭酸塩などの塩基性補助剤をイブプロフェンおよびイブプロフェン塩に加えることができることを、この特許文献においてすでに繰り返し説明してきた。しかし、記述されていないのは、極端に簡便な、炭酸ナトリウムならびに/または炭酸カリウムならびに/またはリン酸三ナトリウムおよびリン酸三カリウムなどのさらなるアルカリ補助剤による、イブプロフェンの乾燥転化である。少なくとも2種類のアルカリ補助剤の混合物が好ましい。なぜならこれによって可溶化顆粒の驚くべき明確な物理化学的および物理技術的特性を実現できるからである。要約すれば、イブプロフェンを、好ましくは水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムで、必要であればさらなる水溶性補助剤で転化した場合は、次にそれによって発せられる高い中和熱のために連続押出造粒を用いることが最も好ましい。炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムおよび/またはリン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムなどの、より少ない反応性アルカリ補助剤、ならびに必要であればさらなる適切な水溶性補助剤による、イブプロフェンの好ましい転化のために、押出機と同様に、より低いその中和熱によって、チョッパーおよびインペラー付きの湿潤混合容器または加熱と冷却が可能なインペラーおよびチョッパー付き真空混合容器などの典型的な装置も使用できる。可溶化反応は、通常冷却も加熱もせずに穏やかな条件下で行うことができる。
1モルのイブプロフェン、0.95モルの水酸化ナトリウム、0.05モルの水酸化カリウム、0.5モルのグリシン、0.4モルの塩化カリウムおよび0.75モルの水からなる本発明の新規なイブプロフェン化合物は、直径10.5mmで80〜130Nの硬度の錠剤コアに直接圧縮することができる。イブプロフェンナトリウムおよび言及した補助剤の比較混合物は、僅か30〜40Nの硬度のキャッピングを有する錠剤コアを示す。イブプロフェンナトリウム自体は、全く錠剤に圧縮できない。約30〜40Nの硬度の錠剤を得るためには、錠剤圧縮前に、Povidone K25などの結合剤を加えて材料を乾式圧密化しなくてはならない。
塩基としての炭酸カリウムおよび/またはさらなる言及した0.1モルの溶液中でpH11超のアルカリ性賦形剤の使用は、通常穏やかな条件下で冷却せずに可溶化反応を行うことができる利点を有する。さらに、イブプロフェンが少なくとも等モル量の炭酸塩と反応する場合、重量減少は見られない。すなわち二酸化炭素は放出されず、炭酸塩は明らかに対応する炭酸水素塩に転化する。顆粒中の炭酸水素塩の存在は、胃液中の溶解の改善と安定化に有利である。驚いたことに、このような顆粒はイブプロフェン塩および炭酸水素塩の単純な物理的混合物より優れていることが見い出され、これは、炭酸水素塩がイブプロフェンとの反応によって形成され、しがたって可溶化イブプロフェンとの均質混合物中に存在するという事実のためである可能性があり、これはイブプロフェン塩および炭酸水素塩の単純な造粒によっては実現することができない。
本発明の好ましい実施形態によれば、イブプロフェンは、2種以上の塩基と反応し得る。したがって、イブプロフェンとの混合物は、少なくとも第2の塩基および所望によりさらなる塩基を含有し得る。第2の塩基および所望によるさらなる塩基は、前述の塩基から選択し得る。しかし特に、0.1M溶液もしくは分散液として水中に溶解または分散する場合に、少なくとも7.5のpHを実現するように十分にアルカリ性である任意の塩基が、第2のもしくはさらなる塩基として適切である。第2のもしくはさらなる塩基としての使用に適切な医薬上許容される塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸二カリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、マロン酸二ナトリウム、マロン酸二カリウム、コハク酸二ナトリウム、コハク酸二カリウム、リンゴ酸二ナトリウム、リンゴ酸二カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウムならびにN−メチルグルコサミンが挙げられる。好ましくは、第2のもしくはさらなる塩基は、0.1M溶液もしくは分散液として水中に溶解または分散した場合、少なくとも9.0のpHを有するものであり得る。さらに好ましくは、第2のもしくはさらなる塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、N−メチルグルコサミンからなる群から選択され得る。
このようなアルカリ補助剤は、0.1モル溶液もしくは分散液として水中に溶解または分散した場合に、pH11を有する。それらはイブプロフェンの記載した可溶化に最も好ましい。しかし、胃内に見い出される塩酸に対する錠剤の緩衝能を高めるために、少量の炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムも、最終的な錠剤混合物に加えることができる。pH値が11未満であるさらなる言及した塩基性補助剤は、仮にそうであるならば、可溶化反応がすでに起こっている場合のみに使用されることが最も好ましい。これは押出機内への供給によって行うことができ、または言及した塩基性補助剤の1種もしくは数種を可溶化後に湿潤混合容器内で生成物に加える。
したがって好ましい一態様によれば、反応混合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウム、ならびに三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウムからなる群から選択される2種以上の塩基を含み得る。他の好ましい態様では、反応混合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウム、ならびに三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウムからなる群から選択される1種または複数の塩基に加えて、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムからなる群から選択される少なくとも1種類の塩基を含み得る。存在する場合は、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムを、イブプロフェン1モル当たり、0.05〜0.7モル、さらに好ましくは0.1〜0.5モル、最も好ましくは0.1〜0.3モル、例えば約0.2モルの全量で使用することが好ましい。
さらに好ましい実施形態では、反応混合物は、唯一の塩基として水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを含み得る。この実施形態において、1種または複数の水酸化物およびイブプロフェンを、等モル量で使用し得ることが好ましい。イブプロフェンのナトリウム塩および/またはカリウム塩が、理論的にはこの可溶化反応において形成されるべきであるが、通常得られるイブプロフェン塩と様々な特性において有意に異なる改善された顆粒が得られる。さらに、本発明の方法は、従来得られる塩を造粒するという難しさを回避する。特に連続押出造粒機によって生成する可溶化イブプロフェン塩は、押出機からの放出後に従来生成される顆粒より高い容積密度を示し、そのためにすでに本質的によりよく圧縮することができる。さらに、押出機への粉末の供給と共に運ばれる空気が、最小の気泡の形態で可溶化押出物中に含まれている。増加した空隙率を有する顆粒は、概ねより大きい圧縮性を示すことは当業者には公知である。多孔質構造(5〜30μmの空隙)は、ラスター電子顕微鏡によって明らかに検証される。
しかし下記で説明する通り、反応混合物は、好ましくは非架橋ポリビニルピロリドン、グリシン、塩化カリウムおよび界面活性剤などの好ましい賦形剤を含有する。
さらに好ましい態様は、1種または複数のカリウム含有塩基、炭酸カリウムをもっぱら使用する方法に関する。1種または複数の塩基およびイブプロフェンをほぼ等モル量使用することが好ましい。イブプロフェンカリウムは、市場では入手できず、調製および造粒および/または打錠が難しい。大規模製造のために適切な方法は、当技術分野で説明されてこなかった。これとは対照的に、本発明の方法は、イブプロフェンをカリウム含有塩基と反応させて、同じ工程で、例えば20〜25℃、最大30%の相対湿度で、錠剤に圧縮するのにすばらしく適切である顆粒を得る簡便で経済的な方法を提供する。好ましくは滑沢剤、例えば約1%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを含有し得る、得られた錠剤は、通常水中において約1.0分で、またはヨーロッパ薬局方による37℃、100rpmにおける人工胃液中での溶解試験で1.5〜2分で溶解する。
本発明は、所望によりイブプロフェンの部分的または完全な可溶化を可能にする。可溶化の程度は、利用される塩基の量に大半がよっている。一般に、イブプロフェンを完全に可溶化することが好ましい。炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムの場合、概ね1モルで2モルのイブプロフェンを完全に可溶化するのに十分である。他方、1種または複数の塩基を過剰に利用することができ、未反応の過剰な量は顆粒中に賦形剤として存在する。
塩基性補助剤は、2つの群に分けられる。0.1モルの溶液もしくは分散液として水中で少なくとも11.0のpH値を有する言及したアルカリ補助剤と共に可溶化が起こる。水中で0.1モルの溶液もしくは分散液として少なくとも7.5のpHで、11.0未満のpH値を有するさらなる塩基性補助剤を、直接押出機に、造粒容器に、または最終混合物に可溶化後に加えることができる。
利用される塩基の全量は、一般にイブプロフェン1モル当たり、0.7〜4.0モル、好ましくは0.8〜3.0モル、さらに好ましくは0.9〜2.5モルの範囲である。しかし、100mlの水中に置いた場合、2ミリモルのイブプロフェンに対応する顆粒量のpHが6〜12、好ましくは7〜10であるような量で、塩基が存在するべきではない。特に極端な強塩基(すなわち0.1M溶液もしくは分散液として水中に溶解または分散した場合、少なくとも11.0のpHを実現する塩基)が使用される場合、最も好ましくは、利用する塩基の量は、イブプロフェン1モル当たり、通常約0.7〜1.2モル、例えば0.95〜1.1であろう。
強塩基は通常、イブプロフェンに固形で混和される。しかし、グリシン酸ナトリウムおよびグリシン酸カリウムも、グリシンを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基、好ましくは水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムと反応させることによって、系内で調製され得る。イブプロフェンおよびもしあればさらなる成分を加える前に、グリシンを塩基と反応させることが好ましい。
利用する特定の方法によって、小さい粒径のイブプロフェンおよび塩基を使用することが、可溶化反応を促進させるために適切であり得る。篩分析により決定する場合、イブプロフェン粒子の少なくとも95%が、100μm未満の粒径を有し、および/または塩基の粒子の少なくとも95%が150μm未満、好ましくは75μm未満の粒径を有し得ることは有利である。イブプロフェンが、DIN66144の定義による60μm未満の平均粒径を有することが好ましい。しかし顆粒を、例えば押出機で製造する場合は、小さい粒径のイブプロフェンおよび塩基を使用することは必要とされない。
可溶化される混合物は、所望により従来の賦形剤、特に経口剤形において従来使用されている賦形剤も含有し得る。あるいは、賦形剤または賦形剤の一部を、可溶化イブプロフェン顆粒の生成後に加えてもよい。賦形剤の反応混合物への組み込みは、例えば、流動性を改善し、吸湿性を減少させ、打錠特性を改善し、顆粒および錠剤の溶解速度を改善する。したがって混合物は、所望により充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤および抗析出剤を含有し得る。適切な充填剤は、好ましくは、水溶性で、0.1Mの水溶液もしくは分散液として5.0〜7.0のpHを有する中性から酸性の物質であり得る。例えば、サッカロースなどの糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトールおよびマルチトールなどのヘキソース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび塩化マグネシウムなどの塩、グリシン、200から20,000の分子量を有するポリエチレングリコール(例えば、PEG6000)、グリセロールおよびプロピレングリコールである。適切な充填剤の例には、微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)などが挙げられる。適切な崩壊剤の好ましい例には、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカルボキシメチルスターチナトリウムが挙げられる。適切な流動促進剤の好ましい例は、二酸化ケイ素およびタルクである。適切な抗析出剤は、可溶化顆粒が胃液中に入った場合に、イブプロフェンの過飽和および/または析出の遅延を安定化させることができる、保護コロイド、界面活性剤などの全ての物質であり、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、非架橋ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、モノパルミチン酸サッカロース、モノステアリン酸サッカロース、および12超のHLB比を有する他の界面活性剤である。ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸などの滑沢剤も、反応混合物に組み込み得るが、反応後に可溶化顆粒に加えることが好ましい。
反応混合物は、混合物の全重量に対して、好ましくは約50%までの、さらに好ましくは約40%までの、最も好ましくは約30%(w/w)までの賦形剤を含有し得る。存在する場合は、賦形剤の量は、通常少なくとも約1%(w/w)である。しかし、反応混合物はまた、賦形剤を全く含まなくてもよい。
抗析出剤は、好ましくは反応混合物に組み込み得る、特に好ましい賦形剤である。このような剤は、可溶化イブプロフェン顆粒の溶解後に胃内の酸性条件下で形成され得るイブプロフェンの析出を遅らせる。特に好ましい抗析出剤は、非架橋ポリビニルピロリドンであり、好ましくは約0.01〜0.3:1、さらに好ましくは約0.05:1〜0.2:1、最も好ましくは約0.1:1〜0.15:1のPVP/イブプロフェン重量比で反応混合物中に含まれ得る。反応混合物中に好ましくは組み込まれ得るさらなる好ましい抗析出剤は界面活性剤であり、特に12超のHLB比を有する界面活性剤である。可溶化イブプロフェン顆粒が炭酸塩または炭酸水素塩を含有している場合、胃内で放出される二酸化炭素と共に気泡を形成する傾向があり、それによって錠剤または顆粒の周りに塩基性の微小環境が形成され、これがさらなる胃液の浸透を遅らせるため、それらは特に有利である。これによって十二指腸内での特に急速な吸収および特に血中濃度の急速な上昇が可能となる。
好ましくは反応混合物に組み込まれ得るさらに好ましい賦形剤は、グリシンである。これはイブプロフェンの可溶化を容易にし、得られた顆粒の圧縮性および溶解性を改善する。上記で開示されているように、グリシンも、塩基と共に使用されて系内でグリシン酸塩を形成するが、グリシンはまた過剰に存在しても好ましい。さらに、イブプロフェンのグリシン酸塩との反応は、理論的にはグリシンを形成する。反応混合物は、イブプロフェン1モル当たり、好ましくは0.3〜2.0モルの、さらに好ましくは0.2〜1.5モルの、よりさらに好ましくは0.7〜1.3モルの、最も好ましくは0.4〜1.0モルのグリシンを含有する。
最終医薬剤形は、錠剤またはフィルムコーティング錠の形態で、剤形の全重量に対して好ましくは0〜40%の、さらに好ましくは5〜15%の賦形剤を含有し得る。サシェ剤またはスティックパック中に充填された顆粒の場合、剤形の全重量に対して0〜95%の、好ましくは5〜50%(w/w)の賦形剤である。
本発明により得られる可溶化イブプロフェン顆粒は、微粒子画分を結合させるために、少量の水性の造粒液体、例えばPovidone K17〜K90などの非架橋ポリビニルピロリドンの5〜20%(w/w)溶液と共に噴霧し得る。この溶液は、顆粒の圧縮性を改善し、かつ/または錠剤パンチへの粘着を防ぐ、さらなる従来の水溶性および非水溶性補助剤を含有し得ることが好ましい。
本発明は、上記の方法により得られる可溶化イブプロフェン顆粒にも関する。好ましい実施形態は、この方法の上記の説明から明らかである。特に好ましい態様は、イブプロフェンの混合したナトリウム塩およびカリウム塩を含む可溶化イブプロフェン顆粒に関する。
本発明により得られる最終医薬剤形は、剤形の全重量に対して0〜95%の、好ましくは3〜40%の、さらに好ましくは約5〜80%(w/w)の賦形剤を含有し得る。
本発明の顆粒および医薬剤形は、とりわけ、水性培地および胃液中での高溶解性ならびに急速な崩壊および溶解、易流動性および圧縮性、急速に達成される鎮痛効果の開始、良好な打錠特性などにより際立っている。
新規な可溶化イブプロフェン顆粒は、例えば、錠剤、フィルムコーティング錠、糖衣錠、サシェ剤またはスティックパックに充填される顆粒、カプセル剤、坐薬、直径0.1〜2.0mmの即効性で胃抵抗性の持続放出プロファイルを有するペレット剤、当技術分野で周知の手順を用いる坐薬などの固体剤形に処方することができる。新規な可溶化イブプロフェンは、さらなる薬剤と組み合わせることができる。例えば、抗ヒスタミン剤、うっ血除去薬、制酸剤、鎮痛剤、去痰剤、麻酔剤およびこれらの組合せと共に、新規なイブプロフェンを含有する固体剤形である。適切な薬剤は、例えば、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニルアミン、フェニルプロパノールアミン、塩酸フェニレフリン、塩酸プソイドエフェドリン、アセトアミノフェン、コデインおよびアスコルビン酸ナトリウムである。イブプロフェンの投与量は、50、100、200、400、600および800mgである。
Mettler DSC20を、インジウムで較正した(8〜10mg、純度99.999%、推定される融解開始156.6℃、および融解熱(28.4J/g)。特に明記しない限り、全ての試料は、12ml/分で窒素によってパージした。様々な加熱速度の影響を、12ml/分で窒素によってパージしながら、ピンホールのある40μLアルミニウム密封パンを備えたMettler DSC20(Mettler−Toledo)を用いて研究した。機器制御およびデータ分析は、STARソフトウェア(ヴァージョン8.1、Mettler−Toledo)で行った。熱流量および時定数を、インジウムで決定した。インジウム、鉛、および亜鉛を用いて3点温度較正を行った。
IRのために、ATR3反射ダイヤモンドウィンドウを備えたThermo Nicolet Avatar370IR分光計上で試料を走査した。IR分析のために、各試料の一部をATRウィンドウに「そのまま」置いた。試料とウィンドウとの接触を高めるために、Durasamplerの圧力アプリケータをねじ込みによって圧力をかけた。
X線回折計は、Solvias AG(Basel、Swiss)で行った。CuKα放射を備えたBruker D8 Advance(Instrument Nr.G.16.SYS.S013)を使用した。標準的測定条件:チューブパワー35kV/45mA、ステップサイズ0.017°(2θ)、ステップタイム105±5秒、走査範囲2°〜50°(2θ)、(印刷範囲は異なり得る)、発散スリットを変数V12に設定、試料を回転、検出器Vantec1、開口角度3°、チャンネル#360±10。ディフラクトグラムのy軸(カウントまたはCPS)は、全強度(/秒)を示さないが、値強度/#活性検出器チャンネル(/秒)を表示す。試料保持器:シリコン単結晶、試料の大きさ、深さ/直径:1.0mm/12mmまたは0.5mm/12mmまたは0.1mm/12mm。
特に明記しない限り、全ての試料は分析前に粉砕機で粉砕してある。
本発明を下記の実施例によりさらに例示する。実施例では、Povidone(登録商標)K17〜K90は非架橋ポリビニルピロリドンを示し、アエロジルは二酸化ケイ素を示す。反応が押出機内で行われ、したがって粒径が重要ではない実施例29および36を除いて、イブプロフェンおよび塩基は下記の粒径を利用した。イブプロフェン粒子の少なくとも95%が100μm未満の粒径を有し、塩基粒子の少なくとも95%が150μm未満の粒径を有していた。
実施例に従って製造される錠剤形態は、所望であれば、糖衣および/またはフィルムコーティングでコーティングすることができることが好ましい。コーティング材料として、一般に全ての通常の種類の糖衣およびフィルムコーティング材料が適切である。錠剤コアに関連しているコーティングの量は、糖衣の場合15〜50%で、フィルムコーティングの場合は、一般に1〜10%、好ましくは2.5〜5%で変動することができる。
(実施例1〜15)
表1に要約した実施例は、加熱および冷却可能な混合容器内で行われた。
表1に要約した実施例は、加熱および冷却可能な混合容器内で行われた。
得られた全ての顆粒は、利用したイブプロフェンの完全な可溶化と、得られた可溶化形態が優れた水溶性であることを示した。ヨーロッパ薬局方に従って、37℃、パドルの速さ100rpmで、1gの顆粒を900mlの水中に入れることによって、溶解装置のタイプ2中での溶解速度を測定した。有効成分は、全ての場合において60秒以内で溶解した。利用したイブプロフェンの酸の形態と対照的に、全ての顆粒は直ぐに濡れ、溶解容器の底に沈んだ。溶解が10〜30秒以内で完了した実施例3〜5、11、12において、特に急速な溶解が観察された。実施例1、7、10〜13、14では、溶解時間は、25〜60秒の範囲であった。カリウム含有塩基が比較的高い画分の使用は、一般に生成物の水溶性を向上させた。しかし、高いカリウム含量は通常、25℃および75%の相対湿度でデシケーター中に保管された場合、20%w/wを超える水を吸収する吸湿性顆粒をもたらす。他方、ナトリウム含有塩基から全てがまたは大部分が得られた顆粒は、実施例1、2、7、9、13、14に例示されるように、このような条件の下で大幅に変化しなかった。カリウム含有塩基または高水溶性KClの少ない画分の使用は、実施例2、5、6に例示されるように、ナトリウム含有塩基をもっぱら使用したものと比べて溶解速度が改善され、一方25℃および75%の相対湿度のデシケーター中における水の吸収は、約0〜4%w/wであった。
高いカリウム含量を有する顆粒の高い吸湿性にも関わらず、このような顆粒は、驚いたことにさらなる打錠賦形剤なしに100N超の破砕強さを有する錠剤に圧縮することができた。このような顆粒から得られた直径10.5mmの丸い両凸錠剤は、その高い硬度に関わらず、ヨーロッパ薬局方に従って決定すると1.5〜3分の崩壊時間を有した。ナトリウム含有塩基によって得た、またはナトリウム含有塩基と、グリシン、KClなどの水溶性賦形剤との組合せによって得た顆粒は、約75〜110Nの破砕強さを有し、崩壊時間が約5〜7分の錠剤を可能にした。イブプロフェン1モル当たり約0.2〜0.3モルのカリウム含有塩基の使用は、破砕強さを80〜100Nに、崩壊時間を3〜4分に改善した。
上記の結果は、本発明が可溶化イブプロフェンの改善された顆粒の製造および改善された剤形へのさらなる加工を、非常に経済的な方法で可能にすることを例示する。さらにそれらの結果は、塩基材料、それらの相対量および賦形剤の添加を正しく選択することによって所望の通り特性を修飾することができることを例示する。
(実施例16)
(実施例16)
a)イブプロフェン6.18kg(30モル)、グリシン2.25(30モル)および粉砕した水酸化ナトリウム1.2kg(30モル)を、混合容器中で混合した。激しく撹拌した混合物の温度は、20分以内に68℃に上昇し、その間この混合物は粘性塊に変化した。塊1gの試料は37℃で100mlの水中において35秒以内で溶解し、したがって可溶化が完了したことを示した。5分以内に、水540gを暖かい塊に加え、ゆっくりと撹拌している間に、その塊は10分以内に粗い顆粒に変化した。約60℃でさらに15分後に、1.5mmのメッシュサイズを有するスクリーンで顆粒を篩過した。105℃、30分間で得られた顆粒(顆粒A)の乾燥減量は11.2%w/wであった。顆粒試料を25℃、75%の相対湿度のデシケーター中で2ヶ月間保存することによって、僅か0.3%w/wの水の吸収となった。顆粒の一部を、60℃で乾燥減量(105℃、30分)が6.3%w/w(顆粒B)となるまで乾燥炉中で乾燥した。顆粒Aおよび顆粒Bを、それぞれ1.5%w/wステアリン酸マグネシウムと混合し、340mgの錠剤重量を有する丸い2平面錠剤に圧縮した。両方の顆粒は、容易に打錠できた。
b)市販のイブプロフェンナトリウム二水和物(Shasun)2.64kg(10モル)を、グリシン750gと混合した。混合物の水分含有率は、105℃、30分間の乾燥減量として測定して10.9%w/wであった。混合物の一部を、乾燥減量が6.1%w/wとなるまで60℃で乾燥炉内において乾燥した。乾燥していないおよび一部乾燥した混合物を、それぞれ1.5%w/wステアリン酸マグネシウムと混合し、混合物CおよびDをそれぞれ得て、次いでそれらを10mmの直径および340mgの錠剤重量を有する丸い2平面錠剤に圧縮した。混合物Cは、打錠が非常に困難であり、錠剤のいくつかはキャッピングを示した。混合物Dの打錠は、さらに困難であり、キャッピングがない錠剤を得ることはほとんど不可能であった。
c)表2に要約したデータから明らかなように、本発明により得た顆粒AおよびBは、従来法の物理的混合物から得たものより非常に硬い錠剤の製造を可能にした。さらに、このより高い硬度は崩壊特性を損なわなかったが、混合物CおよびDから製造した錠剤よりも、崩壊がさらに急速であることが見い出された。造粒においてイブプロフェンが完全に反応すると(溶解試験およびまたX線粉末回折によって確認されたように)、顆粒と物理的混合物の化学組成は、理論的には同じであるはずである。したがって物理的混合物と比較した場合、顆粒およびそれから製造された錠剤の挙動および特性において観察された大きな差異は、顆粒の有意な構造上の差異の結果であるように思われる。したがって、本発明によるイブプロフェンおよび塩基の造粒は、急速に溶解する顆粒および錠剤、ならびに改良された圧縮挙動、錠剤硬度、崩壊、溶解などの改良された特性を有する異なる生成物の、さらにより経済的な製造方法を提供する。
イブプロフェン206kg(1,000モル)を、粉砕した水酸化ナトリウム16kg(400モル)、炭酸ナトリウム47.7kg(450モル)、炭酸カリウム13.8kg(100モル)、10kgのPovidone K25およびモノステアリン酸サッカロース7kgと、混合容器中で激しく混合した。混合物の温度は約50℃に上昇し、僅かに粘着性のある顆粒が30分以内に形成した。顆粒1gの試料は、100mlの水中において37℃で25秒以内に溶解した。可溶化顆粒を流動層造粒機に移し、約30℃での吸気温度100lの水と共に散布した。得られた顆粒の水分含有率は、70℃で30分以内の乾燥減量として測定して8.8%w/wであった。顆粒を25℃および75%の相対湿度のデシケーター内で3ヶ月間保存することによって、2.8%(w/w)の水の吸収となった。
流動層造粒機で得られた顆粒を、1.5%ステアリン酸マグネシウムと混合し、10.5mmの直径を有し、200mgイブプロフェンに対応する量の有効成分を含有する錠剤に圧縮した。錠剤硬度は、60N〜85Nであり、水中での崩壊時間は4.5分であった。
(実施例18)
(実施例18)
水酸化ナトリウム280g(7.0モル)、水酸化カリウム168g(3.0モル)およびグリシン750g(10モル)を、混合容器内で激しく撹拌した。弱い発熱下で分散液が形成した。次いでイブプロフェン2.06kg(10モル)を10分以内に数回に分けて加えた。反応混合物の温度は約45℃に上昇し、可塑性塊が形成した。この塊が水中で完全に可溶性であるため、イブプロフェンは完全に可溶化したことがわかった。可溶化が完了した後、180g(10モル)の水を塊に加えた。
得られた顆粒状生成物は、イブプロフェンと水酸化物との反応で形成された水を考慮すると、10.5%w/wに対応する360gの理論上の水分含有量を有した。105℃(60分)での生成物の乾燥減量は、調製直後は8.8%w/wであり、密封した容器に保管後は、乾燥減量は1日後に5.8%w/wに、2日後は4.7%w/wに減少した。このように得られた生成物を、重量増加が一定になるまで(7日)、25℃および75%の相対湿度でデシケーター中においてさらに保管すると、0.8%w/wの水の吸収となった。したがってこの生成物は、105℃で60分間の乾燥減量として測定して、わずか5.5%w/wの水分含有率を有した。上記のデシケーターの条件下では通常数パーセントの水を吸収する、非常に吸湿性の高いカリウム塩の含量を考慮すると、この結果は最も驚くことであった。
医薬技術において、圧縮性および流動性に影響を与える緩く結合した水の含量は、通常特に興味深い。したがって、乾燥減量は通常105℃ではなく70〜80℃の温度で決定される。驚いたことに、得られた顆粒は、70℃で僅か2.4%w/wの乾燥減量を有し、これはさらにこの生成物の新規で有利な特性を例示し、形成した顆粒状混合物は結晶水を強く結合させることができたことを示す。この特別な水の結合は、新規な可溶化イブプロフェンは、イブプロフェンナトリウム二水和物、イブプロフェンカリウムおよびグリシンの単純な物理的混合物と同一ではないことを裏付けた。
(実施例19)
(実施例19)
イブプロフェン200kg(970モル)および炭酸カリウム140kg(1013モル)および15kgのPovidone K25を混合し、ローラーコンパクター(Bepex roller)の漏斗に連続して充填した。圧密化の間の圧力および発熱の作用によって、2.5mmの篩にかけることができる水溶性の塊が形成した。空調のある製造室(20〜25℃、20%の相対湿度)内で、篩にかけた生成物を錠剤に圧縮した。錠剤は、710mgの錠剤重量およびイブプロフェン400mgに対応する有効成分含量を有した。長円の形状の錠剤の硬度は80N、37℃での水中の崩壊時間は約1.5分であった。
(実施例20)
(実施例20)
イブプロフェン412kg(1997モル)、炭酸ナトリウム84.8kg(800モル)、炭酸カリウム82.8kg(599モル)、40kgのPovidone K25、二酸化ケイ素9kg、モノステアリン酸サッカロース7kg、および粉砕した水酸化ナトリウム16kg(400モル)を、混合容器に導入し、激しく混合した。120分以内に、温度は49℃に上昇し、粉末が顆粒に凝集した。顆粒1gの試料は、100mlの水中において37℃で30秒以内に溶解した。水を加えずに熱による可溶化が起こった。
超微顆粒を流動層造粒機に移し、粉末画分を結合させるためにグリシンの9%w/w水溶液200kgと共に噴霧した。吸気温度は35℃であった。得られた顆粒はほぼ無塵で、水分含有率は6%w/wであった(70℃で30分以内の乾燥減量として測定)。次いで、顆粒を微結晶性セルロース25kgおよびステアリン酸マグネシウム7kgと15分間混合し、この混合物を、約720mgの錠剤重量および400mgのイブプロフェンと等しい有効成分含量を有する両凸錠剤に圧縮した。錠剤の硬度は90〜100Nで、水中の崩壊時間は、ヨーロッパ薬局方に従って測定すると6.5〜8.5分であった。
(実施例21)
(実施例21)
a)1モルの水酸化ナトリウム(40g)を2.1モルの水37.8g中に分散させた。1.33モルのグリシンをこの混合物に加えた。ほぼ澄明な溶液が3分以内に形成し、それに1モルのイブプロフェン(206g)を撹拌しながら何回かに分けて加えた。混合物は3分以内に乾燥粉末に変化した。反応温度は28℃を超えて上昇しなかった。得られた粉末は、乾燥させる必要がなく、適切な剤形の製造に直接使用することができる。1モルの水が反応中に形成することを考慮すると、粉末の理論的水分含有率は14.6%w/wに達するはずである。しかし、調製直後に得られた粉末を105℃で重量が一定になるまで乾燥させると、僅か12.45%w/wの重量減少という結果となった。調製直後にこの粉末をデシケーター中に25℃および75%の相対湿度で保管すると、24時間以内に2.7%w/wの重量減少となり、その後重量は一定を保った。当初得られた粉末を密封した容器に7日間保管し、次いで105℃で乾燥させると、僅か9.6%w/wの重量減少となり、さらに2.85%の水、全体で5%の水が顆粒中に強力に結合していることが示された。これと対照的に、水溶液から従来法で得たイブプロフェンナトリウム二水和物は、105℃で8分以内に完全にその結晶水(13.6%w/w)を失う。
(実施例22)
(実施例22)
2軸スクリュー押出機の第1のバレルセグメントに、NaOH38.1kgと、二酸化ケイ素1.0kgと、グリシン60.0kg、塩化カリウム29.76kg、20.0kgのPovidone K25、およびラウリル硫酸ナトリウム5.0kgの粉末混合物とからなる混合物を、1時間当たり39.1kgで重量測定して供給する。第2のバレルセグメントに、1時間当たり水17.5kgおよびKOH2kgからなる19.5kgの溶液をギヤポンプで供給する。第4のセグメントに、1時間当たり200kgのイブプロフェンを重量測定して供給し、バレルの第4および第5のセグメントは80℃に保つ。バレルの第6〜第9セグメントで、塊を40℃に冷却する。完全に可溶化した塊を、直径約8mmのロープの形態で放出する。材料は固体の結晶状態であり、直ちにメッシュサイズ5.0mmおよび2.0mmの篩を通して粉砕する。この密顆粒は0.1〜2.0mmの粒径を有する。この顆粒373.4kgを、炭酸水素カリウム40kgおよびステアリン酸0.5kgと15分間ブレンドする。最終ブレンドを、10.5mmの直径およびイブプロフェン200mgを含有した413.5mgの錠剤重量を有する両凸錠剤に圧縮する。この錠剤は完全に滑らかな表面、高い機械的安定性および90.5Nの平均硬度を有する。水中の37℃での崩壊時間は4.5〜5.5分である。
(実施例23)
(実施例23)
2軸スクリュー押出機のバレルの第1セグメントに、1時間当たり、2.5%の二酸化ケイ素を含有する水酸化ナトリウム3.91kgの混合物を、第2の重量供給装置によって、1時間当たりグリシン8.0kg、塩化カリウム4.96kg、2.5kgのPovidone K25およびラウリル硫酸ナトリウム0.3kgの混合物を別々に供給する。バレルの第2のセグメントに、ギヤポンプで水1.74kgおよび炭酸カリウム0.49kgの溶液を1時間以内で供給する。第3の部分の温度は60℃である。第4のセグメントに、1時間当たりイブプロフェン20kgを供給する。バレルの第4および第5のセグメントの温度は80℃である。次の3つのセグメントの温度は60℃に下がり、スリットダイを85℃に保つ。白い懸濁液が5cm/1mmの寸法のテープの形状でダイから放出する。このテープは25℃の冷却用空気によりコンベヤベルト上で5秒以内に固化し、10秒後に0.1〜2.0mmの粒度分布の顆粒に粉砕することができる。この顆粒を流動層造粒機に移し、100kgの顆粒をPovidone K90の5%w/w水溶液20.5kgと共に噴霧した。吸気温度は40℃であった。得られた顆粒は、ほぼ無塵で、8.8w/wの水分含有率を有した(105℃で30分以内の乾燥減量)。次いで顆粒100kgをステアリン酸1.0kgと混合した。最終混合物を、80〜110Nの錠剤硬度を有し、水中の崩壊時間がヨーロッパ薬局方に従って測定すると4.0〜4.8分である両凸錠剤に圧縮した。錠剤コアを実施例25に正確に従ってコーティングした。溶解プロファイルについては、図14、15を参照されたい。
(実施例24)
(実施例24)
新規な連続押出機/造粒技術の利点を証明するために、第1のバレルセグメントに1時間当たりNaOH4kg=100モルを、第2のセグメントに1時間当たり水18kg=100モルを、および第4のセグメントに1時間当たりイブプロフェン20.6kg=100モルを正確に供給する。第4および第5のセグメントを75℃に調節する。イブプロフェンとNaOHとの発熱反応によって加熱は事実上必要ない。第6から第8のバレルセグメントでは、塊を約40℃に冷却する。第9および第10のバレルセグメントの領域では、特別な混合スクリューによって、形成したイブプロフェンナトリウム二水和物を造粒し密度を高める。放出された可溶化材料は、さらに約15秒間コンベヤベルト上で冷却され、1.75mmメッシュサイズの篩にかけられる。カールフィッシャー法によって決定された顆粒の水分含有率は、13.5%である(理論的には13.6%)。真密度は1.18g/cm3である。本発明による顆粒は、イブプロフェンナトリウム・2H2Oの全ての分析的な基準を満たす。この新規な材料は、水中での中和とその後の乾燥によって製造された、購入可能なイブプロフェンナトリウム・2H2Oよりも良好である。高密度化した新規な押出しされたイブプロフェンナトリウム二水和物は、易流動性で高圧縮性である。これは25から35Nの硬度を有する10.5mmの丸い両凸錠剤に圧縮することができる。打錠機への粘着特性およびキャッピングの傾向は減少する。このような結果は、NaOHまたはNaHCO3/Na2CO3との中和によって古典的に製造されたイブプロフェンナトリウム二水和物では達成できない。DSCサーモグラムおよびX線回折パターンは、購入したイブプロフェンナトリウム二水和物の標準試料と事実上同一である(図2、8、11を参照されたい。)。
(実施例25)
(実施例25)
回転するコーティングパン中で、実施例22に従って得た413.5mgの錠剤重量(200mgのイブプロフェン当量を含有する)を有する丸い両凸錠剤413.5kgを45℃まで加熱し、次いで下記を含む75kgのコーティング水性分散液1でコーティングする。
OpadryII85F Clear(登録商標)(Colorcon Limited、Dartford Kent DA26QD、England)13.5kg
赤色酸化鉄 0.6kg
二酸化チタン 0.9kg
水 60kg
75kg
コーティングパラメーター
吸気温度 70℃
生成物温度 35〜45℃
OpadryII85F Clear(登録商標)(Colorcon Limited、Dartford Kent DA26QD、England)13.5kg
赤色酸化鉄 0.6kg
二酸化チタン 0.9kg
水 60kg
75kg
コーティングパラメーター
吸気温度 70℃
生成物温度 35〜45℃
約2.5時間のコーティング時間後に、同一の空気条件下でフィルムコーティング錠を20分間乾燥する。ヨーロッパ薬局方に従った37℃の水中でのフィルムコーティング錠の崩壊時間は、
フィルムコーティング錠: 5.5〜6.5分である。
フィルムコーティング錠を口内に入れると、典型的なイブプロフェンの味が5〜10秒後に現れる。
コーティング分散液2:
Eudragit E PO(Degussa、Rohm GmbH D−64275Darmstadt) 0.8kg
ドデシル硫酸ナトリウム 0.08kg
ステアリン酸 0.12kg
サッカリンナトリウム 0.08kg
タルク 0.4kg
赤色酸化鉄 0.06kg
水 14.0kg
15.5kg
フィルムコーティング錠を、同一条件下でコーティング分散液2と共に1時間以内で噴霧する。コーティング分散液1および2を有するフィルムコーティング錠の崩壊時間はほとんど変わらない。これらの錠剤は、水中において37℃で6.0〜7.0分以内に崩壊する。口内で典型的なイブプロフェンの味が現れる時間は、約40〜50秒に有意に延長される。甘味料をコーティング分散液1および/またはコーティング分散液2に入れることができる。コーティング分散液2にさらに香味付けすることが可能である。溶解プロファイルについては、図14、15を参照されたい。
コーティング分散液1の代わりに、他の周知の典型的なコーティング分散液を、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンなどのポリマーと共に使用することができた。
(実施例26)
フィルムコーティング錠: 5.5〜6.5分である。
フィルムコーティング錠を口内に入れると、典型的なイブプロフェンの味が5〜10秒後に現れる。
コーティング分散液2:
Eudragit E PO(Degussa、Rohm GmbH D−64275Darmstadt) 0.8kg
ドデシル硫酸ナトリウム 0.08kg
ステアリン酸 0.12kg
サッカリンナトリウム 0.08kg
タルク 0.4kg
赤色酸化鉄 0.06kg
水 14.0kg
15.5kg
フィルムコーティング錠を、同一条件下でコーティング分散液2と共に1時間以内で噴霧する。コーティング分散液1および2を有するフィルムコーティング錠の崩壊時間はほとんど変わらない。これらの錠剤は、水中において37℃で6.0〜7.0分以内に崩壊する。口内で典型的なイブプロフェンの味が現れる時間は、約40〜50秒に有意に延長される。甘味料をコーティング分散液1および/またはコーティング分散液2に入れることができる。コーティング分散液2にさらに香味付けすることが可能である。溶解プロファイルについては、図14、15を参照されたい。
コーティング分散液1の代わりに、他の周知の典型的なコーティング分散液を、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンなどのポリマーと共に使用することができた。
(実施例26)
ジャケット(加熱および冷却用)、インペラーおよびチョッパーを備えた造粒機に、イブプロフェン200kg、炭酸カリウム150kg、炭酸ナトリウム5kgおよび16.0kgのPovidone K25を充填する。10分間ブレンドした後、この粉末ブレンドを生成物温度が38℃となるまで加熱する。穏やかに撹拌しながら水3kg(0.8%)を加える。60分間の撹拌後に、熱による可溶化が完了し、1gの顆粒が100mlの水中において37℃で10秒以内に容易に溶解する。
この顆粒を1.25mmの篩にかけ、次いで外部潤滑系(流体化ステアリン酸マグネシウム)で直径10.5mmおよび錠剤重量371mgの両凸錠剤コアに圧縮する。
20℃/25%相対湿度の室内条件下で、錠剤は容易に120〜150Nの硬度に圧縮することができる。水中の崩壊時間は40〜65秒である。錠剤コアを実施例25に従ってコーティング懸濁液1および2で、重量383mgのフィルムコーティング錠剤に(200mgのイブプロフェンを含有)コーティングする。37℃での水中の崩壊時間は2.5分である。pH7.2での0.1MのHClおよびUSP緩衝液中のフィルムコーティング錠の溶解プロファイルを図14、15に示す。
(実施例27)
(実施例27)
実施例23、25、26で得たフィルムコーティング錠からのイブプロフェンの放出を、現在のヨーロッパ薬局方の記載によるパドル法で下記の2種類の培地中で試験した。
−0.1Mの塩酸(人工胃液、pH1.2)1000ml
−0.2MのKH2PO4水溶液50mlおよび0.2MのNaOH水溶液34.7mlから生成し、水を加えて1000mlにしたUSP緩衝液(pH7.2)1000ml
−0.1Mの塩酸(人工胃液、pH1.2)1000ml
−0.2MのKH2PO4水溶液50mlおよび0.2MのNaOH水溶液34.7mlから生成し、水を加えて1000mlにしたUSP緩衝液(pH7.2)1000ml
図14に、パドル法によって0.1MのHCl中で150rpm、37℃で測定した溶解プロファイルを示す。試料(実施例23、25、26)を、すでに溶解したイブプロフェンを含有するイブプロフェン軟ゼラチンカプセル剤と比較した(Spalt Liqua)。
図15に、人工腸液中で同じ装置を用いて測定した同じ試料を示す(USP緩衝液、pH7.2、50rpm、37℃、パドル法)。
イブプロフェンは、強いpH依存性溶解度の有機酸である。pH1〜5の範囲で、溶解度は大幅に0.1g/lを下回る。pH6〜7で、塩の形成の結果として溶解度は強力に増加する。in vitroの放出をpH7.2で測定する場合(約20g/lの溶解度)、全ての試料が20分後に約100%のイブプロフェン放出を示すことは驚くことではない。本発明による3種類の全てのフィルムコーティング錠が、軟ゼラチンカプセル剤より急速にイブプロフェンを放出することは、一般に注目すべきである。
試料23と25の比較によって、最終ブレンドにKHCO3を加えることは溶解を加速することが明らかとなる。K2CO3との反応による可溶化イブプロフェンを含有する新規なフィルムコーティング錠剤である実施例26は、イブプロフェンを卓越した速さで放出する。
本発明によるフィルムコーティング錠23、25、26の、イブプロフェン軟ゼラチンカプセル剤を超える利点は、pH1.2の溶解試験で特に明らかになる。本発明の錠剤は、この条件下で非常に過飽和な溶液を形成する傾向がある。約7分後に曲線が下がるのは、イブプロフェンの段階的な結晶化の結果である。過飽和の程度が、in vivo条件下で重要な役割を果たし、それは急速な吸収および鎮痛作用の急速な開始のために重要な条件であると考えられている。
(実施例28)
(実施例28)
押出機バレルの第1のセグメントに、1時間当たり炭酸カリウム15kg、炭酸ナトリウム0.5kg、および1.6kgのPovidone K25の混合物を供給する。第3のセグメントに、1時間当たりイブプロフェン20kgを供給する。第3および第4のセグメントを75℃に加熱し、第6から第9のセグメントでは塊を40℃に冷却する。2.0mmメッシュサイズの篩を通して数秒以内に粉砕することができる可塑性塊が放出される。水をまったく加えずに、高水溶性イブプロフェン顆粒が形成する。
篩にかけた顆粒を1%ステアリン酸マグネシウムとブレンドし、その混合物375mg(200mgイブプロフェンを含有)をHPMCカプセル剤(サイズ1)に充填する。カプセル剤の37℃の水中での崩壊後、顆粒は30秒以内で溶解する。
(実施例29)
(実施例29)
実施例28による可溶化顆粒371mgを、炭酸水素ナトリウム50mg、アスパルテーム3mg、グレープフルーツフレーバー10mgおよびステアリン酸マグネシウム3mgと混合する。このブレンド437mgをaluスティックパックに充填する。1個のスティックパックの中身は、撹拌せずに20℃の100mlの水中で20秒以内に溶解する。可溶化イブプロフェン粒子は、浮揚性となり溶解する。CO2の超微粒気泡を含有する粒子マトリックスが、押出工程中に形成された。
Claims (64)
- 可溶化イブプロフェン、好ましくは顆粒の形態の可溶化イブプロフェンを製造する方法であって、固形イブプロフェンと、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択された第1の塩基とを含む混合物を得、本質的に乾燥状態で当該イブプロフェンと当該第1の塩基を反応させることを含む、方法。
- 混合物がイブプロフェン1モル当たり0.5ないし1.2モルの第1の塩基を含むところの、請求項1記載の方法。
- 混合物がイブプロフェン1モル当たり少なくとも0.8モル、好ましくは0.8ないし1.5モルの1つまたは複数の第1の塩基を含むところの、請求項1または2記載の方法。
- 該混合物が、付加的に、イブプロフェン1モル当たり1モルを超えない、固形水和物を形成するのに必要な量を超えない量の水を含むところの、上記した請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 該混合物が、イブプロフェン1モル当たり2.5モル未満の水、好ましくはイブプロフェン1モル当たり0.1ないし2モル、より好ましくは0.1ないし1.2モルの水を含むところの、上記した請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 第1の塩基が水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウム、グリシン酸カリウムおよびその混合物からなる群から選択されるところの、上記した請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物が2種またはそれ以上の塩基性化合物を含むところの、上記した請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 第1の塩基が水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、グリシン酸ナトリウムおよびグリシン酸カリウムからなる群より選択され、該混合物が水酸化カリウム、炭酸ナトリウムならびに三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウムからなる群より選択される第2の塩基を含むところの、請求項7記載の方法。
- 混合物が0.1Mの水溶液もしくは分散液として少なくとも1つのpH7.5〜10の塩基を含むところの、上記した請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 塩基がクエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、アルギニンおよびリシンからなる群から選択されるところの、請求項9記載の方法。
- 混合物が少なくとも1つのナトリウム含有塩基および少なくとも1つのカリウム含有塩基を含むところの、請求項7ないし10のいずれか一項に記載の方法。
- ナトリウム含有塩基およびカリウム含有塩基が1:20ないし20:1、好ましくは1:9ないし9:1のモル比で存在するところの、請求項11記載の方法。
- ナトリウム含有塩基およびカリウム含有塩基が水酸化物含有塩基および炭酸塩含有塩基から選択されるところの、請求項11または12記載の方法。
- 混合物が水酸化ナトリウムを水酸化カリウムまたは炭酸カリウムと組み合わせて含むところの、請求項11ないし13のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物が、イブプロフェン1モル当たり、少なくとも0.5モル、好ましくは少なくとも0.9モルの水酸化ナトリウムを含むところの、上記した請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物が炭酸カリウムを炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと組み合わせて含むところの、請求項11ないし13のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物が、イブプロフェン1モル当たり、少なくとも0.75モル、好ましくは少なくとも0.85モルの炭酸カリウムを含むところの、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物が、付加的に、1つまたは複数の医薬上許容される賦形剤を含むところの、請求項1ないし17のいずれか一項に記載の方法。
- 1つまたは複数の賦形剤が、充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤および抗析出剤からなる群から選択されるところの、請求項18記載の方法。
- 混合物が、水中にて約7のpHを示し、37℃の水中にて少なくとも5%(w/w)、好ましくは少なくとも10%(w/w)、最も好ましくは少なくとも15%(w/w)の溶解度を示す1つまたは複数の中性で水溶性の賦形剤を含むところの、請求項18または19記載の方法。
- 混合物が、イブプロフェン1モル当たり、20モルまでの、好ましくは0.25ないし4モルの、より好ましくは0.5ないし1.5モルの1つまたは複数の中性で水溶性の賦形剤を含むところの、請求項19記載の方法。
- 1つまたは複数の中性で水溶性の賦形剤が、塩化カリウム、マンニトール、ポリマー化合物、非架橋ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、微結晶性セルロース、テンシド、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミチン酸サッカロース、グリシンおよびその混合物からなる群から選択されるところの、請求項20または21記載の方法。
- 混合物がグリシン酸ナトリウムまたはグリシン酸カリウムを含むところの、請求項22記載の方法。
- グリシン酸ナトリウムまたはグリシン酸カリウムがグリシンを塩基と反応させることによって系内で調製されるところの、請求項23記載の方法。
- 混合物が、該混合物の総重量に基づいて、1ないし15重量%、好ましくは1ないし9重量%、より好ましくは4ないし7重量%のポリマー化合物を含むところの、請求項1ないし24のいずれか一項に記載の方法。
- 反応が、20ないし95℃、好ましくは20ないし85℃、より好ましくは20ないし65℃の温度で実施されるところの、請求項1ないし25のいずれか一項に記載の方法。
- イブプロフェンと、該混合物中に含まれる1つまたは複数の塩基性化合物とを反応させた後に、水が添加されるところの、請求項4ないし26のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物を反応後に粉砕し、顆粒を得るところの、請求項1ないし27のいずれか一項に記載の方法。
- 反応が混合容器中にて実施されるところの、請求項1ないし28のいずれか一項に記載の方法。
- 混合容器が該容器中にて混合物を冷却および/または加熱するための手段を含むところの、請求項29記載の方法。
- 混合容器が押出機であるところの、請求項30または31記載の方法。
- 第1の塩基が水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、グリシン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択されるところの、請求項31記載の方法。
- 第1の塩基が水酸化ナトリウムを含むところの、請求項31または32記載の方法。
- 混合物が、イブプロフェン1モル当たり、0.9ないし1.2モルの第1の塩基を含むところの、請求項32または33記載の方法。
- 混合物が水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合物を含むところの、請求項31ないし34のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物が、付加的に、グリシンを含むところの、請求項1ないし35のいずれか一項に記載の方法。
- 混合物が、イブプロフェン1モル当たり、0.2ないし1.5モル、好ましくは0.7ないし1.3モル、より好ましくは0.4ないし1.0モルのグリシンを含むところの、請求項36記載の方法。
- 混合物が、付加的に、0ないし9重量%、好ましくは1ないし9重量%のポリビニルピロリドンを含むところの、請求項30ないし36のいずれか一項に記載の方法。
- イブプロフェン1モル当たりで、約0.95モルの水酸化ナトリウムおよび約0.05モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウムのいずれかと;約0.5モルのグリシン;約0.3モルの塩化カリウム;およびイブプロフェン1モルに対して約10重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;およびイブプロフェン1モルに対して約2重量%のパルミチン酸サッカロース;および任意に1.2モルまでの、好ましくは約0.8モルの水との反応が、20ないし85℃の温度でなされるところの、請求項1記載の方法。
- イブプロフェン1モル当たりで、約0.95モルの水酸化ナトリウムおよび約0.05モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウムのいずれかと;約0.7モルのグリシン;約0.5モルの塩化カリウム;およびイブプロフェン1モルに対して約6重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;およびイブプロフェン1モルに対して2重量%のラウリル硫酸ナトリウム;および任意に1.2モルまでの、好ましくは約0.8モルの水との反応が、20ないし85℃の温度でなされるところの、請求項1記載の方法。
- 第1の塩基が炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムならびにその混合物からなる群より選択されるところの、請求項1記載の方法。
- 混合物が、イブプロフェン1モル当たり、0.8ないし1.2モルの炭酸カリウムおよび0ないし0.4モルの炭酸ナトリウムを含むところの、請求項39記載の方法。
- 反応が、本質的に、水の不在下でなされるところの、請求項41または42記載の方法。
- 混合物が、付加的に、脂肪族C1〜C4アルコール、アセトンおよびその混合物からなる群から選択される非水性液体を含むところの、請求項43記載の方法。
- アルコールがイソプロピルアルコールであるところの、請求項44記載の方法。
- 混合物が、イブプロフェン1モル当たり、0.5モル未満の非水性液体を含むところの、請求項44または45記載の方法。
- 反応混合物が、イブプロフェン1モル当たり、0.1ないし0.3モルの水を含むところの、請求項41または42記載の方法。
- 反応が40ないし60℃、好ましくは50ないし60℃の温度でなされるところの、請求項41ないし47のいずれか一項に記載の方法。
- イブプロフェン1モル当たりで、約0.9モルの炭酸カリウムおよび約0.1モルの炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムのいずれかと;イブプロフェン1モルに対して約10重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;イブプロフェン1モルに対して約2重量%のラウリル硫酸ナトリウム;および最大0.3モルまでの、好ましくは水不含の反応が、20ないし65℃の温度でなされるところの、請求項41記載の方法。
- イブプロフェン1モル当たりで、約0.9モルの炭酸カリウムおよび約0.1モルの炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムのいずれかと;イブプロフェン1モルに対して約5重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;イブプロフェン1モルに対して約2重量%のパルミチン酸サッカロース;および最大0.3モルまでの、好ましくは水不含の反応が、20ないし65℃の温度でなされるところの、請求項41記載の方法。
- 請求項1ないし50のいずれか一項に記載の方法に従って得ることができる、好ましくは顆粒の形態の、可溶化イブプロフェン。
- 1モルのイブプロフェンを、約0.95モルの水酸化ナトリウムおよび約0.05モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウムのいずれかと;約0.5モルのグリシン;約0.3モルの塩化カリウム;およびイブプロフェン1モルに対して約10重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;イブプロフェン1モルに対して約2重量%のパルミチン酸サッカロース;および任意に1.2モルまでの、好ましくは約0.8モルの水の混合物と、20ないし85℃の温度で反応させることで得られる、請求項51記載の可溶化イブプロフェン。
- 1モルのイブプロフェンを、約0.95モルの水酸化ナトリウムおよび約0.05モルの水酸化カリウムまたは炭酸カリウムのいずれかと;約0.7モルのグリシン;約0.5モルの塩化カリウム;およびイブプロフェン1モルに対して約6重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;イブプロフェン1モルに対して約2重量%のラウリル硫酸ナトリウム;および任意に1.2モルまでの、好ましくは約0.8モルの水の混合物と、20ないし85℃の温度で反応させることで得られる、請求項51記載の可溶化イブプロフェン。
- 1モルのイブプロフェンを、約0.9モルの炭酸カリウムおよび約0.1モルの炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムのいずれかと;イブプロフェン1モルに対して約10重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;イブプロフェン1モルに対して約2重量%のラウリル硫酸ナトリウム;および最大0.3モルまでの、好ましくは水不含の混合物と、20ないし65℃の温度で反応させることで得られる、請求項51記載の可溶化イブプロフェン。
- 1モルのイブプロフェンを、約0.9モルの炭酸カリウムおよび約0.1モルの炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムのいずれかと;イブプロフェン1モルに対して約5重量%の非架橋ポリビニルピロリドン;イブプロフェン1モルに対して約2重量%のパルミチン酸サッカロース;および最大0.3モルまでの、好ましくは水不含の混合物と、20ないし65℃の温度で反応させることで得られる、請求項51記載の可溶化イブプロフェン。
- 粉末X−線回折パターンにて以下の2シータでのピーク:14.6、21,8および25.3°により特徴付けられる、可溶化イブプロフェン。
- 本質的に、図9で示される粉末X−線回折パターンを有する、請求項56記載の可溶化イブプロフェン。
- IRスペクトルにて、以下のピーク:約1597cm−1および約1336cm−1で特徴付けられる、可溶化イブプロフェン。
- 本質的に、図12で示されるIRスペクトルを有する、請求項58記載の可溶化イブプロフェン。
- グリシンを含む、請求項56ないし59のいずれか一項に記載の可溶化イブプロフェン。
- 請求項51ないし60のいずれか一項に記載の可溶化イブプロフェンを含む、医薬組成物。
- 付加的に、炭酸水素ナトリウムおよび/またはカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、三塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウムならびにその混合物からなる群より選択される塩基性化合物を含む、請求項61記載の医薬組成物。
- さらに、1種または複数の医薬上許容される賦形剤を含む、請求項60ないし62のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 錠剤、フィルムコート錠、糖衣錠、サッシェまたはカプセルの形態である、請求項60ないし63のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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