図1、図2は、本発明の好適な実施例にかかる、触覚装置と呼ばれる運動伝達装置を示す図である。図1、2の詳細な構成の説明に進む前に、好適な実施例のいくつかのアイテムを説明する。
一実施例によると、本発明は、特に、例えばコンピュータ用のハンドコントローラ、ゲームコンソール、シミュレータまたは他のシステムのような、触覚装置またはフォースリフレクティング制御インタフェースシステムと呼ばれる装置用、および平行運動操作または平行運動測定システム用の運動伝達装置用の、平行運動構造を具える運動伝達装置の基礎を提供または基礎としての役割を果たす。
以下に、本発明にかかる運動伝達装置の好適な実施例を簡単に説明する。
各運動面は、対称軸に対して距離を開けて延在してもよい。
各平行運動チェーンは、ベース部材に連結され各運動面内で可動な第1アームを具えてもよい。
前記第1アームは、回転軸を中心に回転可能でもよい。
前記第1アームは、湾曲部分を具えてもよい。
前記湾曲部分は環の一部を構成しており、中央で各第1アームの回転軸と交差してもよい。
前記第1アームは、前記湾曲部分の第1の端部から延在する基部を有してもよい。
前記基部は、前記湾曲部分の第1の端部から前記湾曲部分に対して放射状に延在してもよい。
前記第1アームは、前記ベース部材から延在するマウント部材に回転可能に装着された第1の端部を有してもよい。
前記第1アームの回転軸は、前記第1アームの第1の端部を通って延在してもよい。
前記第1アームの第1の端部は、前記第1アームの基部の自由端部により提供されてもよい。
各平行運動チェーンに付属して、補助の平行運動チェーンを各運動面内で動かすためのアクチュエータが設けられてもよい。
前記アクチュエータと第1アームは、前記第1アームを動かすべく接続されてもよい。
前記アクチュエータは、前記第1アームにその湾曲部分で連結されてもよい。
前記アクチュエータは、前記付属の平行運動チェーンの運動面に垂直に延在するアクチュエータ回転軸を有してもよい。
前記アクチュエータは、当該アクチュエータの本体から延在し第1アームに1以上の摩擦係合により連結される出力シャフトと、1以上のケーブル配線とを具えてもよい。
前記アクチュエータは、各平行運動チェーンのマウント部材に装着されてもよい。
各平行運動チェーンは、前記可動部材に連結された第2アームを具えてもよい。
前記第2アームは、2以上の平行リンクバーを具えてもよい。
前記第2アームの第1の端部は前記第1アームに連結され、前記第2アームの第2の端部は前記可動部材に連結されてもよい。
前記装置はさらに、各平行運動チェーンが通って移動する各平行運動チェーン用の開口を具え各平行運動チェーンの第1アームの断面に合った寸法のハウジングを具えてもよい。
前記平行運動チェーンの1以上が、フレキシブルヒンジを具えてもよい。
前記第1アームと前記ベース部材は、フレキシブルヒンジで連結されてもよい。
前記第2アームと前記可動部材はフレキシブルヒンジで連結されてもよい。
前記第1アームと前記第2アームは、フレキシブルヒンジで連結されてもよい。
前記フレキシブルヒンジは1ピースでなるか、前記フレキシブルヒンジと1以上のベース部材、各第1アーム、各第2アーム、および可動部材が1ピースでなってもよい。
一実施例において、本発明にかかる運動伝達装置は、ユーザにフォースフィードバック情報を提供すべく触覚装置に組み込まれてもよい。
一実施例において、前記触覚は、各第1アームの穴の角度を測定するセンサを具え、前記可動部材の位置がこの測定結果に基づき算出されてもよい。
前記触覚装置はさらに、前記平行伝達構造に直列的に配列され1以上の回転自由度を提供する関節モジュールを具えてもよい。
前記関節モジュールは、触覚フィードバックを提供するよう構成されていてもよい。
前記触覚装置はさらに、人間コンピュータインタフェースに用いられる制御キー、制御ホイール、フォースグリッパ、または他の要素を具えてもよい。
前記触覚装置はさらに、可動部材の好適には関節モジュールの下に設けられたフォースセンサを具えてもよい。
一実施例において、本発明にかかる運動伝達装置は、操作部材に3以上の自由度の動きを提供するマニピュレータに組み込まれてもよい。
一実施例において、本発明にかかる運動装置は、センサ素子に3以上の自由度を提供する測定システムに組み込まれてもよい。
図1、2を参照すると、本発明の好適な実施例にかかる、触覚装置と呼ばれる形態の運動伝達装置が開示されている。説明目的のためだけに、この触覚装置は、コンピュータ用のハンドコントローラなどのフォースリフレクティング制御インタフェースとして用いられるものとする。さらに、考えられる応用例は、ゲームコンソール、シミュレータその他の同等システム、平行運動マニピュレータまたは平行運動測定システム用のフォースリフレクティング制御インタフェースがある。
この好適な実施例に係る装置は、ベース部材またはベースプレート2と、可動部材4とを備える。ベース部材2と可動部材4とは、3つの運動チェーン6で連結されている。
各運動チェーン6は、第1アームまたは主アーム8と、第2アームまたは従属アーム10とを具える。第1アーム8のさらなる詳細な説明として、その動作および機能が図6、7を参照して説明されている。
第2アーム10はそれぞれ、2本のリンクバー12を具える平行四辺形として把握しうる。一端14にて、各リンクバー12は可動部材4にジョイントまたはヒンジ16で連結されている。反対の端部18にて、各リンクバー12は付属する第1アーム8の端部20にジョイントまたはヒンジ22で連結されている。
第2アームはそれぞれ、特に各リンクバー12は、両端に2の回転自由度を有する。この機能を得るために、第2アーム10と稼働部材4および付随する第1アーム8との連結は、例えばボールベアリング、すべり軸受け、フレキシブルヒンジなどのカルダニック要素または非平行な連結または結合により実現する。一実施例では、非平行回転連結または結合の場合、それぞれの軸が垂直に交差するが、これら2軸のオフセット距離は許容しうる(図12参照)。各リンクバーの最も外側の回転結合、すなわちバーを片側で可動部材に連結し、このバーの他方の側を第1アームに連結するものでは、互いに平行かつ第1アームとの回転連結軸に平行な軸を持つ必要がある。一実施例では、各リンクバーの最も内側の回転結合は、好適には最も外側の回転結合に垂直な、互いに平行な軸を有する必要がある。各リンクバーがこれらの条件を満たす必要があるため、与えられた側の各リンクバーの最も外側の回転結合の軸は一致して同じ回転する必要がある。したがって、この実施例では、この最も外側の連結が、図12に示すように共通して2以上のバーから作成される。
代替的に、第2のアーム10、特に各リングバー12は、片側に2の回転自由度を有し、反対側に3の回転自由度を有する。この機能を実現するには、第2アーム10と可動部材4および付属する第1アーム8との結合を、一端または両端で球形ボールジョイントで実現する。これにより、リンクバー12が自身の軸を中心に回転可能となり、この装置の動作においてさらなる自由度は不要となる。
第2アーム10と可動部材4および付属する第1アーム8との結合は、第2アーム10の側の共通ベースと、可動部材4および/または第1アーム8側の2以上のベースを有する連結部を具えてもよい。
しかしながら、いずれの場合でも、第2アーム10を可動部材4および付属する第1アーム8に結合するジョイント22として、例えばEP1113191A1にあるように、フレキシブルヒンジまたはヒンジ関節を用いることが好ましい。
第1アーム8、第2アーム10、ベース部材2、可動部材4のフレキシブル結合の好適な実施例が、図12を参照して後述される。
付随する第2アーム10に連結された端部20と反対の端部24にて、各第1アーム8はマウント部材26に連結され、これがベース部材2に固定的に装着され、これによりベース部材2に連結される。このマウント部材26とベース部材2もまた、1ピースとして形成されてもよい。
各第1アーム8は、各第1アーム8が対応するマウント部材26すなわちベース部材2に対して回転または回動可能なように、対応するマウント部材26と連結されている。好適な実施例において、各第1アーム8は、対応するマウント部材26とそれぞれの端部24を通って延在する回動シャフトによって、対応するマウント部材26に連結されている。
マウント部材26はベース部材2から、当該ベース部材の面にほぼ垂直方向に延在する。部分28がベース部材2に取り付けられている部分28と反対側の自由端部20の間の部分は、第1アームが連結されており、各いマウント部材26に回転アクチュエータ32が取り付けられている。
回転アクチュエータ32は、例えば、標準的なDCモータまたはブラシレスモータである。トルク出力や運動チェーン6の所望の動作に必要な電力消費を低減させるべく、本発明は図6乃至12により詳細に開示するシングルステージ伝導装置を用いる。
各アクチュエータ32は、各マウント部材26を通って延びる回転出力シャフト34を具えている。各出力シャフト34はそれぞれ第1アーム8に連結され同じ動きをする。出力シャフト34と第1アーム8の連結部の好適な実施例が、図8乃至10に開示されている。
例えば電位差計、光学エンコーダ、磁気エンコーダなどの第1アームの角度位置を検出する手段またはユニットが、出力シャフト34または角度情報を提供するのに適したアクチュエータ32の他の部分(例えばロータ)に好適に設けられている。
図1から看取できるように、好適な実施例はハウジング35を具える。ハウジング35はベース部材2に取り付けられているか、下側にベース部材2を具えている。
このハウジング35は、第1アームを案内する3つの開口36を具える。第1アームの設計と動作のために、後に詳細に説明するが、各開口36は、各第1アームが通って案内される方向で見た場合に、通って案内する第1アームの部分の断面より僅かに大きな断面を有する。動作時に第1アーム8の動きが事実上真っ直ぐに開口36の領域を占めるため、開口36がこのように設計されている。したがって、開口36の断面は、可能な限り第1アーム8の断面に近いように設計される。ここで、「可能な限り近い」とは、第1アーム8が実質的に嵌合したり開口の縁(すなわち、開口36を規定するハウジング35の部分)の全部に接触したりして第1アーム8の動作が例えば摩擦により影響を受けないということである。
例えば、第1アームの断面が四角または円形である場合、開口36の断面もそれぞれ少し大きな四角または円形である。これにより、ハウジング35内の部品のカバーが向上し、装置全体の内部要素の故障の原因となる異物(例えば埃、水滴、湿気、小片等)がハウジング35に入るのを防ぐか低減される。さらに、ユーザが負傷するリスク(例えば、指を挟んだり捻ること)が低減される。
図示しないさらに好適な実施例では、開口36に弾性の従順な(compliant)リングまたはコーティングが設けられ、これらがそれぞれ、アームの動きに(実質的に)影響を及ぼさないが第1アーム8とハウジング35間の液体シーリングが達成されるように第1アーム8と接触する。液体シーリングは、以下の方法により実現してもよい(図示せず)。
図3乃至5を参照すると、本発明の好適な実施例に係る構成であって、本発明に係る第1アーム、マウント部材26、アクチュエータ32が説明されている。
ここで、理解を進めるべくある注意点を述べる。本発明の装置や従来の運動伝達装置は、その可動部材の可能な動きや可動部材の自由度に関し、それぞれ対称中心を有する。
ベース部材と可動部材間に連結された運動チェーンは、ある動作面内で動く。特に、通常は運動チェーンの第1または主アーム、すなわちベース部材に連結された運動チェーンの部分は、各運動面内で動作する。
運動チェーンの第2アーム、すなわち運動チェーンの可動部材に連結された部分の動きは、通常は異なる面または運動空間内で生じる。
対称中心は、一実施例では、ベース部材の中心を通る垂直線が対象中心と交差するように配置される。説明のためだけに、以下の好適な実施例ではこの関係が成立するものとする。しかしながら、対称軸の他の関係または位置もまた可能である。
図3は、本発明では用いないが従来例で公知の構成の第1アームを示す。この図3は従来例の構成であり、第1アームの空間配置を示すものである。しかしながら、本発明の第1アーム8は従来技術で公知のものではないことを理解されたい。
各第1アーム8は、図3にてそれぞれ点線で示す運動面38内で動く。図示するように、第1アームは、各動作面38が、ベース部材を通って、ここではベース部材の中心を通り垂直に延在する共通の線または軸40(「対称軸」と称す)に交差する。本実施例では、交差または対称軸は、可動部材4が取り得る動作(図示せず)または可動部材の自由度に関する対称の中心を通り右へ延びる。
従来技術の構成は、本発明では用いられない。むしろ、本発明によると、第1アームと、これに沿って、対応するマウント部材26とアクチュエータ32が図4に示す構成で配置されている。
特に、1以上の第1アーム8が、その運動面が、図3に示す動作面38と比較すると、垂直方向にオフセットしており運動面44となっている。これが図4に矢印46で示されている。
さらに、第1アーム8は、それぞれの回転軸が運動面44内で内側またはベース部材2の中心42の方へ移動されて配置されている。これが図4に矢印50で示されている。
各第1アーム8を上述のように配置すると、図5に示す好適な実施例のようになる。
結果として、本発明により位置決めされる各アームの運動面44は、運動面の共通の対称軸と交差しないが、これに関連する空間に延在し、すなわち運動面44と対称軸の間には距離d>0がある。
換言すれば、本発明において運動面44に第1アームが交差する場所、および本発明の方法または別の方法で配置される別の第1アームの運動面38/44は、これらの共通の対称軸と交差しない線を形成するが、これに対し離れるように延在し、面と交差する線と対称軸との間の距離がd>0となる。したがって、図5の実施例では、各運動面44はすべて、本発明により間隔を開けて配置されている。
これにより、特に第1アーム8の回転軸とベース部材2または対称軸の中心との間が狭まるため、よりコンパクトな設計となる。結果として、本発明に係る装置が占める横方向の空間は従来技術に比べて少なくなり、例えば小さなハウジングに適用可能となる。
第1アームの動作の有効半径が当該第1アームの半径長さと等しい典型的な触覚デスクトップ装置では、本発明により横方向の空間が直径で2割ほど小さくなり、表面に関すると、本発明により4割ほど小さくなる。
本発明に係る第1アーム8および装置内での構成の好適な実施例を、図6、7を用いて説明する。
第1アーム8は、ここでは環の一部をなす湾曲部分52を有する。この湾曲部分52の曲率に拘わらず、第1アーム8の回転中心は湾曲部分52の端部を接続する仮想の線の中心と一致するかほぼ一致することが望ましい。図6、7の実施例では、湾曲部分52の中心はさらに、この湾曲部分52の曲率を有する仮想の環の中心(中央)に対応し、この環形が湾曲部分52の異なる曲率の部分にも存在する。
第1アーム8の基部56は、湾曲部分52の第1の端部58から延在し、回転可能にマウント部材26に連結されており、基部56と基部上のマウント部材26との連結箇所は、第1アーム8の回転中心54を規定する。好適な実施例では、基部56は真っ直ぐな部分となっている。しかしながら、この基部56は湾曲部分を具えてもよい。
図6、7の実施例は、任意に、湾曲部分52の第2の端部62から延在する第1アーム8の端部60を具えてもよい。この端部60は、湾曲部分52と各第2アーム10を例えばヒンジで連結する。特に、フレキシブリヒンジの場合、ヒンジの端部58は1ピースとして形成され、あるいは一体的に形成される部材として製造される。さらなる好適な実施例では端部60がなく、湾曲部分52と第2アーム10が直接連結されている。ここで、この連結にヒンジを用いる場合はヒンジと湾曲部分52の第2の端部62、および/またはヒンジと第2アーム10とは、1ピースから形成してもよい。
図6は、第1の端部位置にある第1アーム8を示し、図7は第2の端部位置にある第1アームを示す。これらの端部間の移動は、第1アーム8の回転により達成される。これらの図から分かるように、第1アーム8の移動は、湾曲部分52の部分がハウジング34の領域をこの位置では線形移動と考えられるように通るように移動する。このため、ハウジング34の開口36は湾曲部分52の(最大)断面に適合する大きさを有する。
いくつかの応用例では、第1アームの好適な実施例は、特に湾曲部分52により、第1アーム8の最適以下(sub-optimal)のトーションと曲げ強さを有する。この場合、湾曲部分52の適切な断面は補償に利用される。さらに、第1アーム8と第2アーム10の距離を回転中心54より狭めたり、等しくしたり、広げたりして連結して、第2アームの可動範囲への影響を測定する。これは端部60の適切な設計、すなわち湾曲部54の第2の端部62から回転中心54または反対方向へ延在させることにより達成される。
第1アーム8を移動させる好適な実施例が、図8乃至10を参照して以下に開示されている。
図示しない好適な実施例では、アクチュエータ32の出力シャフト34と湾曲部分52とは摩擦接触または嵌合している。好適には、出力シャフト34と湾曲部分52との摩擦により、出力シャフト34の回転が十分に(望ましくは常に)湾曲部分52に伝達され、したがって第1アーム8に伝達される。出力シャフト34の回転により第1アーム8が動作し、これにより運動チェーン6全体が動く。出力シャフト34と第1アーム8の係合を向上すべく、出力シャフト34自体またはその上に形成されたコーティングが高い摩擦係数を有するようにする。追加的あるいは代替的に、湾曲部分52の一部が出力シャフト34またはその上に形成されたコーティングと接触し、高い摩擦係数を有するようにしてもよい。
さらに、出力シャフト34と第1アーム8が互いに付勢するようにしてもよい。これはモータの重力によるトルク損失を補償し、例えば、さらにこれらの摩擦係合を向上する。この付勢は、例えば、出力シャフト34に第1アーム8の方向に作用する力をかけ、および/または逆も同様にして実現する。これは例えばフレキシブルベアリングおよび/または弾性バネ部材で達成できる。したがって、これは本発明の他の様々な実施例に適用してもよい。
さらなる図示しない実施例では、アクチュエータ32の出力シャフト34が歯車、ギヤ、ギヤホイールとして形成されるか波形面を有し、他方で湾曲部分52の部分はこの出力シャフトと係合する補完的な面が形成されている。これにより、第1アーム8と出力シャフト34の滑りが防止あるいは低減される。
図8乃至10に示す好適な実施例では、出力シャフト34と第1アーム8の連結が、ケーブルまたはワイヤを用いている。
図8の好適な実施例では、第1のアーム8にケーブル64が設けられている。このケーブル64や後述するさらなるケーブルをそれぞれ用いる代わりに、歯付のベルトやギヤ伝達部を用いてもよい。
ケーブル64は、基部56から湾曲部52の外側面から第2の端部62の方を見た場合に、出力シャフト34を越えて基部56から湾曲部分52に沿って湾曲部分52の位置まで延在する。ケーブル64の両端部66,68は第1アーム8に固定的に取り付けられている。
第1アームと出力シャフト34を連結するには、図8の右側に示すように、ケーブル64を少なくとも出力シャフト34の周囲に巻く。
ケーブル64と出力シャフト34間で十分な摩擦を得るには、ケーブル64を締めるか緊張させる必要がある。このため、クランプ70、72を用いて、ケーブル64の端部66,68をそれぞれ第1アーム8に取り付ける。
出力シャフト34と第1アーム8の係合を向上すべく、出力シャフト34自身またはその上に形成されたコーティングが、高い摩擦係数を有する。追加的または代替的に、ケーブル64の出力シャフト34と接触する部品またはその上のコーティングが、高い摩擦係数を有してもよい。
図9の好適な実施例は、本質的に図8の実施例に対応し、以下の差異以外や類似点などは再び説明されない。
図9に示すように、スプリング74が、ケーブル64の端部66と、第1アーム8の基部56に設けられたサポート76との間に設けられている。このスプリング74は、ケーブル64が確実に出力シャフト34に取り付けられるようにケーブル64を常に付勢または緊張させている。これにより一方で出力シャフト34を、他方でケーブル64すなわち第1アーム8の係合を確実にしている。弾性緊張手段は図9に示すように螺旋牽引スプリングであってもよいが、他の弾性部材(例えば螺旋圧縮スプリング、梁要素、膜組織等)を用いてもよい。
図10に示す好適な実施例は、本質的に図8、9の実施例に対応しており、以下の差異以外や類似点などは再び説明されない。
図10(右側)に示すように、ケーブル64は出力シャフト34に、例えば半田付け、溶接、接着剤、クランプ等により固定されている。これによりさらに、出力シャフト34とケーブル64すなわち出力シャフト34と第1アーム8が確実に固く連結される。
図11に示す好適な実施例は本質的に図8乃至10の実施例に対応するが、以下の差異以外や類似点などは再び説明されない。
ケーブル64aの一端66aは、第1アーム8の基部56に連結されており、これは図10、11の実施例におけるケーブル64の端部66と同様であり、すなわちスプリング74がケーブル64の端部66aと第1アーム8の基部に設けられたサポート76との間に設けられている。さらに、ケーブル64aはスリッピングキャプスタン77の周囲に1回以上巻かれている。これにより、キャプスタンの摩擦によりアクチュエータから見た場合にケーブル強度が高くなり、小さな張力が(したがって小さな弾性要素も)可能となる。
図11のようにキャプスタンを用いることは、図8乃至10の実施例にも適用可能である。
代替的に、端部66aは、図8乃至10と同じような方法で基部に取り付けられてもよい。
ケーブル64aの別の端部78は、例えば半田付け、溶接、接着、クランプなどにより、出力シャフト34に固定的に取り付けられている。
ケーブル64aは、出力シャフト34の周りに巻き取り方向に巻かれている。
図9,10の実施例のケーブル64の端部68が第1アーム8に取り付けられているのと同じように、ケーブル64bの一端68aは、第1アーム8の湾曲部分52に取り付けられている。
ケーブル64bの他方の端部80は、例えば半田付け、溶接、クランプなどにより、出力シャフト34に固定的に取り付けられている。
ケーブル64bもまた出力シャフト34に巻かれているが、同じ巻き取り方向の反対側から開始している。
結果として、出力シャフト34の回転により、ケーブル64aが出力シャフト34から解かれて、ケーブル64bが出力シャフト34に巻かれ、逆もまた同様である。これにより本発明の装置をいくぶんか細くすることができる。
ケーブル64a、64bと出力シャフト34との結合は、特にすべりの危険性と改良された摩擦により、第1アーム8と出力シャフト34の結合品質を向上させる。
代替的に、ケーブル64a、64bの端部78、80は、端部78、89を出力シャフト34に固定するのではなく、上述したようにケーブル64a、64bを出力シャフト34に巻き付けることにより出力シャフト34に取り付けて、少なくともケーブル64a、64bの一方をシャフト34を通る通路をその長軸に垂直に通しその端部78、78を互いに結合させてもよい。
上記の実施例はすべて、基部を湾曲部分に付ける上記構成へと結合手段を変更してもよく、湾曲部を基部に付ける上記構成へと結合手段を変更してもよい。
図8乃至11に記載の原理は、しかしながら、本発明の種類の運動伝達装置に適用可能であるだけではない。むしろ、この原理と基礎をなす教示は、一般用語で、基部と湾曲部と端部を具える運動伝達部材の運動伝達を提供するものである。上述した第1アームの基部、湾曲部、端部に関する詳細はここでも適用される。
この運動伝達部材は、基部を通って延びる回転軸を有する一方、前記端部は例えば第2アーム10などのさらなる部材に伝達される運動を提供するよう構成されている。
湾曲部分は、運動伝達部材の回転軸から離れており、基部を介して回転軸とリンクされている。したがって、運動伝達部材がその回転軸の周りで回転すると、湾曲部材が回転し、逆もまた同様である。
この湾曲部分は回転アクチュエータ、電気モータ、出力シャフトなどの回転生成装置またはユニットに連結されるよう構成されている。この湾曲部分と、第1アーム8とアクチュエータ32を組み合わせた上述したいずれかの実施例に組み込まれた装置と組合せるのが望ましい。
好適な実施例は触覚装置、マニピュレータ、測定システムの形態をとる。
触覚装置の場合、可動部材4はハンドルと連結される。マニピュレータの場合、可動部材4は操作部材と連結される。測定システムの場合、第1アームはセンサ素子に取り付けられ、可動部材の位置が測定結果に基づいて算出される。図1において、ハンドルと、操作部材と、センサエレメントが符号82が指定された要素により描かれている。
本発明にかかる触覚装置の実施例は、上述した実施例のいずれかの本発明にかかる装置を備えている。このような触覚装置は、触覚の検知とコンピュータアプリケーション等の相互作用を制御するアクティブインタフェースとして用いることができる。触覚装置は、動作中にユーザにフォースフィードバック情報および/または生成する力を提供する。本発明にかかる触覚またはフォースフィードバック装置は、並進3自由度(three translational degrees of freedom)を実現する。さらに、本発明の運動伝達装置に連続的に結合された回転型関節モジュール82により3までの回転自由度が実現される。回転は、関節モジュール82と可動部材の回転結合82により実現されてもよい。ユーザは、関節モジュール82または関節モジュール82の頂部に設けられたハンドルの手段により触覚装置と相互作用を行う。好適には、関節モジュールは触覚フィードバックを行うよう構成されている。
本発明の触覚装置はさらに、各第1アーム8の開口角度を測定するセンサと、この測定結果に基づいて可動部材4の位置を算出するプロセッサとを具える。また、制御キー、制御ホイール、フォースグリッパまたは人間とコンピュータのインタフェースに用いる他の要素、および/または可動部材の好適には関節モジュール82の下に設けられたフォースセンサとを具える。
本発明の運動伝達装置の実施例を組み込んだ、本発明に係るマニピュレータは、グリッパに並進3自由度と1の回転自由度を提供する。平行運動チェーン6は、並進3自由度を可動部材4に提供する。グリッパアセンブリなどの操作部材82は、この操作部材82がベース部材2に対して回転可能なように、可動部材4に直列的に連結されている。これは、回転結合84および/または可動部材4の回転軸が構造全体の垂直軸の回転を可能とすることにより実現する。
さらなる実施例では、本発明にかかるマニピュレータはまた、各方向への力またはトルクを検出するフォースセンサを具える。明確に、本発明のマニピュレータは他の種類のグリッパ、部品または他のエンドエフェクタを具えてもよい。
本発明にかかる例えば座標を測定する測定システムは、プローブまたはセンサ素子82に並進3自由度を提供する本発明に係る運動伝達装置が組み込まれている。ここで、回転結合84は省略してもよい。
図12は、第1と第2のアーム8、10および/または第2アーム10と可動部材4との弾性結合の実施例を示す図である。ここで、第2アーム10は3本のリンクバー12を具え、その端部が図14に示されている。リンクバー12の端部は、第1アーム8または可動部材4に3つの弾性ヒンジまたは弾性ヒンジ関節86で連結されている。これらの弾性ヒンジ86は、個別の部材として構成してもよいし、リンクバー12とともに1ピースで構成してもよい。1ピースで構成する実施例の場合、弾性ヒンジ86は材料のテーパリングで形成してもよい。
本発明を特定の実施例を参照して説明したが、添付のクレームはこれらの実施例に限定されるものではなく、むしろこの分野の当業者が公正にその範囲内にあるとする本発明の様々な変形例や変更例が含まれると解すべきである。