JP2008528116A - 往復処置シリンジ - Google Patents

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Abstract

既存のシリンジバレルやフィッティングとともに使用可能な往復型シリンジである。いくつかの実施例は、既存のシリンジバレルを2本保持可能に構成されたフレームを具える。このフレームは一方または双方のバレルのフィッティングを実現しうる。本発明はまた、それぞれ1本のシリンジバレルを用いるよう構成された2本のプランジャを具える複合プランジャを提供する。2本のプランジャは、各プランジャをバレル内へ押し込むと他方のプランジャがバレルから引っ張り出されるよう連結されている。2本のプランジャは、一方のプランジャに取り付けられ当該プランジャから対応するバレルを通り他のバレルへ回され他方のプランジャに取り付けられる、柔軟なラインで連結されている。本発明は所望のラインとプーリ機能特性を実現する様々なフレーム構成を採用することができる。別の実施例は、既存のシリンジバレルを保持するよう構成されたフレームと、当該フレームに設けられた補助アクチュエータを具える。このアクチュエータはシリンジと同様に動作し、あるいは他の操作構造を具えてもよい。この補助アクチュエータはシリンジバレルとともに使用されるよう構成されたプランジャに連結されてもよく、プランジャをバレル内に押し込むとアクチュエータが反対方向へ移動し、アクチュエータを反対方向へ動かすとプランジャがバレルから引き抜く方向に移動する。本発明はまた、様々な材料、製造方法、部品の形状および構成、特定の既存のシリンジデザインと応用例の適合を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は医療器具に関し、より具体的にはシリンジの分野に関する。
本出願は、2005年1月21日出願の米国暫定出願60/646,190「往復機能シリンジ」に関連し、これを参照としてここに組み込んでいる。シリンジは、薬剤の注射、体液の吸引、真空の作成、液体の移送などに持ちいられる。多くの複雑な医療処置において片手でシリンジを使用することは利益であり、他方の手を別のタスクに使用することができる。しかしながら、通常のシリンジでは片手で吸引は困難でおぼつかず、吸引時の精密な制御や力が消失してしまう。片手で注射も吸引も行うことができ、且つ、精密な運動制御と、高い圧力や真空を生成するのに必要な強度を具える新規なシリンジのデザインが、シリンジ技術の主流な発展形となろう。
シリンジは注射も吸引も可能であるが、ときにはプランジャがバレル側(不意の注入)または外側(不意の吸引)に動かないように、バレルに対してプランジャを固定またはロックすることが重要となる。これを防止するために、様々なロック式プランジャの設計が提案されてきた。例えばTretingakの米国特許4,386,606、Wangの米国特許4,890,626を参照されたい。これらのプランジャロックは、特に針生検処置中に吸引し真空状態を保持するのに有用である。例えば、Lian-Che Tanの米国特許5830152、Minasianの米国特許411882、Simmonsの米国特許5,891,052、Wangの米国特許4,791,937、Moranの米国特許4,874,385、Oosterhofの米国特許5,957,864を参照されたい。これらの多くは、可変の真空というよりも、一定の真空と吸引を提供する。
可変の真空を生成する片手吸引の最初の試みは、シリンジと一体となる外部器具を用いて、両手で引っ張る動作ではなく、片手の指で回すような動きでプランジャを前進または後退できるようにするものである(Taylorの米国特許3990446、Jewel Dean Randloph. 1976、「Hypodermic syringe for stabilized aspiration by one hand」)。実質的に同じ器具を提供する別の特許があり(Haber; Terry M., Smedley; William H. の米国特許5582595、1996年、Aspirating syringe having a plunger guide for a reciprocating plunger assembly)、いくつかは、従来のシリンジに適合可能なアダプタを用いる(Houghton; Frederick C.の米国特許5135511、1992年、Assembly for aspirating tissue, including adapter for syringe)。いくつかの米国特許(USP44849153 1994. Tartaglia; John A.. Medical syringe; USP4639248. Schweblin; Jean-Denis. 1987. Syringe, USP 6368308 Nerney 2002年4月9日、Syringe having forward mounted plunger control; USP4594073. Stine, Charles R. 1990年6月10日、Aspiration Syringe holder.; USP4967762 DeVeris, Jamese H. 1990年11月6日、Biopsy syringe with suction vent; USP5115816.. Lee, Peter F.. 1992年5月26日、ingle-hand controlled fine needle aspiration device; USP05469860 De Santis, Stephen A.1995年11月28日、Fine needle aspiration cytology device syringe holder.; USP5498246 Deutchman, Mark E., Deutchman Arnold H.1996年3月12日、Aspirator/ingector device with palm engagin handle.; 米国意匠337821、1993年7月27日、Tan, Henry K. Fine needle aspiration biopsy gun)は、プランジャに取り付けられた外部スライドを具え、片手で操作可能なシリンジを開示している。
上記の設計はすべて、単一のピストンと単一のプランジャを用いる点で完全に異なっている。さらに、人差し指と中指の位置は、親指と同様に、吸引から注入モードに切り替える際にシリンジ上で動かさなくてはならず、これが手術中の不安定要素となる。さらに、この器具を用いて片手で吸引すると、バレルとニードルが人差し指と薬指を越えて前進し(安定したプラットフォームが消失する)、制御や針の位置推定が大きく困難となり、処理中に不安定で予測困難となる。本発明(往復機能の、親指操作の、ダブルプランジャ型シリンジ)は、人差し指と中指の位置を固定し、唯一必要なのは親指を往復プランジャに対し横に動かすことにより、上述の問題を完全に取り除くものである。
他の特許で、より複雑な2室シリンジやダブルプランジャシリンジを開示するものがあるが、これらは通常シングルバレルを基本に2つの異なる成分を混合または処置するためのものである(USP3685514: Cheney; Paul E. 1972. Two Compartment Syringe; USP5188616: Nadal; Guy. 1993. Syringe with double plunger.)。また別に、ダブルピストン器具(USP4036232: Genese Joseph Nicholas 1977. Aspiration devise.; USP4437859: Whitehouse; Craig M., Cox; Nigel, Burt; Allan G., Snyder; Daniel R.: 1984. Hydraulic syringe drive.)が開示されているが、いずれも機械または液圧駆動による液体吸引または薬剤投与用である。
前記の3件の特許のみが、基礎的な往復シリンジを開示しており(USP6,245,046 B1 Sibbitt, Wilmer L. Jr.: Reciprocating syringes, 2001年6月12日、USP6,962,5766 B1: Reciprocating syringes. Sibbitt, Wilmer L. Jr. 2005年11月8日発行、USP6,231,550 Laughlin, Joshua 2001年5月15日 One-handed single grip position aspiration and injection syringe)、Sibbittの特許が出願時期の優先を得ている。この往復シリンジは、機械的に連結された2つのプランジャ、プランジャ同等物、または平行な伸長部材により特徴づけられており、これらは往復(交互)方式で動作し、これにより一方のプランジャが上がると他方がプーリシステム、ギヤ、液圧、または親指の屈曲を受けた他の機構により下がる(USP6,245,046B1 Sibbitt, Wilmer L. Jr.: Reciprocating Syringes, 2001年6月12日、USP6,962,5766B1: Reciprocating syringes. Sibbitt, Wilmer L. Jr. 2005年11月8日発行)。これにより、注入と吸引のいすれでもシリンジが片手で操作可能となる。本発明は、往復シリンジデザインの改良、従来のシリンジから往復シリンジへの転化、往復シリンジの製造方法、および、往復シリンジにプランジャをロックする特定の応用例とシリンジを用いる処置の特定の含意のすべての改良を含む。
本発明は、既存のシリンジバレルと付属品に利用可能な往復シリンジを提供する。いくつかの実施例では、シリンジは、既存のシリンジバレルを2つ保持するフレームを具える。このフレームは、本発明の様々な実施例において付属品(例えばニードル)を一方あるいは双方のバレルに取り付け可能である。本発明はまた、各シリンジバレルに用いるよう構成された2つのプランジャを具えるプランジャ複合体を提供する。この2本のプランジャは、各プランジャをそのバレルにお酢と他方のプランジャがそのバレルの外側に引っ張られるように連結される。この2本のプランジャは、一方のプランジャに取り付けられこのプランジャから対応するバレルの外側から他方のバレルへとまわされ他方のプランジャに取り付けられた柔軟な線で連結することができる。本発明は、所望のラインとプーリの機能特性を実現する多様なフレーム構成を企図している。
別の実施例では、シリンジは、既存のシリンジバレルを保持するよう構成されたフレームと、当該フレームに搭載された補助アクチュエータとを具える。このようなアクチュエータはシリンジと類似のプランジャ動作をするか、他の動作構造を具える。この補助アクチュエータは、シリンジバレルとともに用いるよう構成されたプランジャに取り付けられており、プランジャをバレル内に押し込むとアクチュエータが反対側に動作し、アクチュエータを反対方向に動かすとプランジャがそのバレルに対して外側に引っ張られる。
平行動作はプランジャまたはアクチュエータの動作間の干渉の原因となり、操作者の指のスペースを圧迫するためマニュアル操作が不便になる原因となる。本発明はまた、2バレルまたは動作軸が非平行なバレルと補助アクチュエータの構成を企図している。いくつかの実施例では、2つの動作軸は互いに分かれており、プランジャ/アクチュエータの操作端部はより便利な距離だけ離れることになる。
いくつかの従来型シリンジバレルは、マーキングすなわち放出量を示すマーキングを有する。本発明のいくつかの実施例は、バレルがフレームに保持されているときにこのようなマーキングを見えるようにする光学的に透明な部分を有するフレームを具える。このような光学的に透明な部分は、フレームの切り欠き領域や、フレームの光学的透明領域(ウィンドウ)を含んでもよい。本発明はまた、様々な材料、マーキング方法、形状、特定の既存のシリンジデザインや応用例への便宜、後述する実施例を含んでいる。
以下の記載の実施例や本発明の実践により、当業者は利点や新規な特徴を理解するであろう。本発明の利点は、特に添付のクレームで指示される組合せによる手段により実現される。
シリンジは、日常的な医療や看護における必須の器具であるのみならず、工業、科学研究所、研究、家畜学などにも重要である。シリンジは、薬剤を注射したり、体液を吸引したり、真空を形成したり、液体を移送したりするのに用いられる。医学における最も共通のシリンジのデザインは、プラスチック製のバレルと、圧力または真空によりそれぞれ当該バレルの内外方向に移動される内部プランジャとを具える。プランジャの動作によりシリンジ内と外部環境の気圧差が生じ、これにより液体がシリンジの内外へと移動する。この圧力差によりシリンジの所望の効果、すなわち吸引と注射が実現する。
通常のシリンジによる注射は単純であり、手と前腕の強力な屈筋を使用する。従来のシリンジによる注射は、通常は片手で行われ、他方の手は別の必要な仕事や処置のために空けられる。この技術では、第2(人差し指)と第3(中指)の指がシリンジの指用フランジに配置され、親指がプランジャの親指レストに配置される。これらの指が用いられ、手と前腕の効力な屈筋により強力な注射が可能となる。このように片手でシリンジを操作可能とし、他方の手を別の作業に用いられるようにすることは、多くの複雑な処置において重要である。
従来型シリンジでの吸引は、必要な力と精密な制御を維持するには両手を用いる必要がある。通常、一方の手をバレルを制御するのに用い、他方の手をプランジャの親指レストを引っ張るのに用いる。この両手の技術は、手と腕の双方の筋力を使用するため、シリンジ内へ非常に強力な吸引で液体を高速に移動させることができる。この技術はシリンジの精密な制御が必要な場合や、相当な力が必要な場合に用いられる。
従来型シリンジでも片手での吸引は可能であるが、それは困難でぎこちなくなる。通常は2つの技術のうちの一方が用いられる。最初の方法は、プランジャの親指レストを第2指または第3指(人差し指または中指)で把持し、親指をシリンジの指フランジに配置する。親指を伸ばしたまま、他の指を力を入れて曲げる。これによりプランジャが引っ張られ、効果的に吸引が生じる。この方法にはいくつかの問題があり、1)シリンジの有効な精密制御が失われる(これは繊細な生体組織内に尖った針がある場合に重要となる)、2)シリンジ全体が回転してしまう、3)人間の手の寸法や強さに対するシリンジ部品のサイズにより、この方法は10ccより大きい(すなわち、20ccや60cc)シリンジにおいて非常に困難となる、4)(親指や前腕部の強力な屈筋を用いない場合の)手の弱い内在性の屈筋が生じる吸引力は、吸引が弱いものとなる。したがって、片手での方法は多くのアプリケーションにおいて不十分となる。
片手での吸引は、代替的な親指メソッドで実現することもできる。この方法では、シリンジバレルを4本の指でつまみ、親指をプランジャの親指レストの下に配置する。指でシリンジをきつく把持し、親指を伸ばすと吸引が実現する。この代替的な親指メソッドはいくつかの不都合があり、1)制御の度合いは維持されるが、指の精密な制御ではなく、前腕部の筋肉の粗い制御となる、2)親指の弱い伸筋によるため吸引力が弱く、3)手で持ち替えないと完全に吸引するのが困難であり、4)シリンジは通常オペレータの方に向いてしまい医療処置が必要な方向と反対である(自身で薬剤を注射する場合を除く)、5)親指を伸ばすと小指球の組織がシリンジで圧迫され、シリンジの針側で予期せぬぶれが生じ、制御が消失する。
いずれの技術でも、従来型シリンジの片手での吸引は困難で不安定なものであり、吸引中の制御と力の精度を欠くものである。制御を失うと、高い確率で処置が失敗し汚染される。吸引力を失うと、特に粘液の吸引速度が低下する。片手吸引では吸引力と制御が失われるため、吸引中の細かい制御と吸引中の強力な真空の生成を必要とする処置は、強さと制御を維持するために両手の使用が必要となる。精密な運動制御と、高い圧力や真空を生成するのに必要な強さを維持したまま、片手で注射と吸引の両方を行えるシリンジが、シリンジ技術の主な発展形となろう。
上述した3件の特許は、基本的な往復シリンジ(USP6,245,046 B1, Sibbitt "Reciprocating Syringes"、2001年6月12日、USP6,962,5766B1: Reciprocating syringes. Sibbitt, Wilmer L. Jr. 2005年11月8日、USP6,231,550, Laughlin2001年5月15日"One-handed single grip position aspiration and injection syringe")を開示するものの、改良、変形、製造方法、往復シリンジのプランジャロックを事前に開示するものではない。本件特許は、往復シリンジの改良、往復シリンジの製造方法、往復シリンジへのプランジャロック取り付け方法を開示するものであり、これらはすべてシリンジ関連製品に特別密接な関係を有する。
往復シリンジは、一方のプランジャが上がると他方が下がり、プーリシステムやギヤや液圧などの機構により連結された往復(交互)動作が可能な2本のプランジャ、プランジャ同等物、または物理的に連結された平行な伸長部材に特徴づけられる。本発明は往復シリンジの製造方法、改良、特定の実施例に関する。本発明は、非平行なバレルまたは管、ストッパ/抵抗具、非対称な親指レスト、複合プランジャのプーリ駆動ラインの設計および構成、複合バレルの組立方法、複合バレルを構成する外側フレームまたはハウジング、ロックプランジャ、誘導部品、往復安全シリンジの製造方法、メンギーニ針シリンジ、および、従来型の専門的なシリンジの往復バージョンの実施例の製造方法を含む。
本発明により、片手で液体や気体を放出および吸引可能なシリンジが提供され、これは健康管理、研究、産業に応用される。本発明は、補助バレル(または管)を有するあるいは有さない内部または外部補助プランジャまたはプランジャ同等物(部材)を用いており、これらが往復プランジャのセットを構成する。機能プランジャを親指で押すと、機能シリンジが注射し、補助プランジャを親指で押し込むと、機能プランジャシリンジが吸引する。これにより人差し指と中指を吸引および注射の際に一定の位置に保持しつつ、親指のみを機能プランジャと補助プランジャ間で横に動かして吸引と注射の方向を切り替えることができる。親指の位置のみを変えればよいため結果としてシリンジは非常に安定し、指や親指や前腕部の強力な屈筋を吸引と注射の両方に用いるため、強力な吸引または圧力を導出することができる。このシリンジは片手で用いることができ、従来型のシリンジを用いるすべてのケースに使用することができる。このシリンジは、特に片手での注射/吸引が求められる医療処置において有益となる(心臓カテーテル法、緊急処置、特定種の手術、小児科および獣医処置、および片手のみ使える障害者など)。本発明は、非平行バレルまたは管を用いる往復シリンジ、ストッパ/抵抗具、非対称の親指レスト、複合プランジャのプーリ駆動ラインの設計および製造、自己回転・封止型プーリ、複合バレルの製造方法、複合バレルの構成する外部フレームまたはハウジング、ロックプランジャ、誘導部品、往復安全シリンジの製造方法を含む。
非平行プランジャ、非対称親指レスト、抵抗追加の実施例
米国特許6,245,046B1、6,962,5766B1、6,231,550は、往復プランジャ、プランジャ同等物、または往復部材の動作のための平行なバレルまたは管を開示している。この往復動作は、静的あるいは非静的なプーリシステム、ギアシステム、空気式、または人間の親指の動作により駆動する他の機械的手段を含む複数の機械的手段により有効となる。しかしながら、この往復運動にはバレルまたは管が厳密に平行である必要はなく、むしろ、上述した平行バレル/管に完全に類似する非平行トラック構成により有効となる。非平行プランジャの一例が図1に例示されている。主シリンジ101は、針フィッティング102と、プランジャのストッパ/抵抗具103と、機能バレル104と、指フランジ105と、機能プランジャ106と、対称または非対称の親指レスト107とを具える。補助シリンジは、針フィッティングを有するまたは有さない補助バレルまたは管111と、補助プランジャ上のストッパ/抵抗具112と、補助プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材用の非平行バレルまたは管113と、プランジャ間の往復機械リンク(プーリ、ギヤ、液圧、機械式)であって、本例では両プランジャに単繊維プーリ機構114が連結されているリンクと、指フランジ115と、補助プランジャ116・プランジャ同等物・または往復部材と、互いに角度118をつけて設けられた、前記バレル・管・プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材と対称または非対称の補助プランジャ117上の親指レストとを具える。
図1に示すような非平行往復シリンジは、以前に開示された平行往復シリンジと大まかに似通っているが、非平行シリンジは、2本のバレルまたは管間の角度と往復サイクルに応じて、プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材を互いに近づいたり離れたりする方向に動かすことができる。平行往復シリンジでは、往復サイクル間に、プランジャ、親指レスト、および親指が不都合に相互作用(すなわち、互いに干渉)する。非平行バレルまたは管では、2本のバレルまたは管間の角度によりプランジャ、親指レスト、および親指間の干渉が低減される。バレルを互いに張られるように角度付けすると、プランジャ間の距離が増大し、プランジャと、親指レストと、親指間の不都合な相互作用が低減する。
図1は、この有利な効果を立証するものである。主シリンジまたは機能シリンジ101は、針フィッティング102に対して従来の関係を有する。補助バレルまたは管111が主シリンジ101に角度118で取り付けられている。この角度のある位置関係により、2本のプランジャ106と116と、対応する親指レスト107、117が非平行となり、その遠位の端部が距離dだけ離れる。上述の平行バレルまたは管の往復シリンジとは異なり、この距離dは、機能バレルの直径の1/2と補助バレルまたは管の直径の1/2との合計より大きく、効果的に2本のプランジャ間および各親指レスト間の距離を増大している。この距離を大きくすることにより、2本のプランジャ・親指レスト・親指間の干渉が低減され、これにより、シリンジの円滑な動作と機能が実現する。本例で開示したような取り付け角度を用いると、平行な往復シリンジにおける干渉を低減させ、様々なダブルプランジャシリンジ(非往復シリンジを含む)における干渉を低減させることができる。
非対称の親指レスト107、117も、図1に示すように、相互干渉を低減させるのに役立っている。これらの親指レスト107、117は、その中間点において対応するプランジャ器106,116の中央線との関係が非対称である。適切な親指レストは様々な様式で形成することができ、円形、楕円形、矩形、長円形、中心からオフセットしたものやしていないもの、その他の様々な幾何学形状でもよい。一方あるいは双方の親指レストは非対称であってよい。非対称な親指レストは、本明細書中の他の場所で記載するように、プランジャロックの部品などの別の機能を持ってもよい。
従来の往復シリンジのいくつかは、動作時に抵抗が少なく機能が制限されており、プランジャが自動的あるいは少ない力で動き、これが装置の機能不全の原因となる。ストッパ103が少なからぬ抵抗または静止摩擦を生じプランジャの動きを抑えるため、意図しない小さな力は通常機能プランジャ106の問題とならない。しかしながら、従来の往復シリンジの補助プランジャ117は、自発的な動きや極小さな力に対抗する適切な抵抗を生じないのが普通である。これは器具の不安定性や機能不全の原因となり、プーリ機構の場合には、駆動ラインの緩みを生じる。本発明のいくつかの実施例では、補助プランジャ116に抵抗機構112を設けることによりこれを防止している。図示する実施例では、従来型のシリンジストッパが所望の抵抗を提供する。別の実施例では、この抵抗機構は不完全ストッパ(空気式ストッパが不要な場合)、またはリング、バンド、隆起、またはプランジャか補助バレルまたは管のライニングに取り付けられた他の形状であってよい。この抵抗機構は、ラバー、ラバー性質を有する合成プラスチック、発泡体、または所望の抵抗を生じる機械的機構などの、弾力的または圧縮伸長可能な材料を具えてもよい。(米国特許6,231,550にあるように)補助プランジャに取り付けられた完全または非完全バンドによりシリンジバレルの外側に固定された補助プランジャまたはプランジャ同等物の場合、抵抗機構は機能シリンジの外面、補助プランジャまたはドライバの保持バンド、補助プランジャの内面、シリンジの指フランジの補助プランジャのトラック間にあってもよい。本発明にかかる抵抗装置は、不用意な動きを低減し駆動ラインの弛みを防止し、制御された動きを最適化かつ円滑にすることにより、往復シリンジおよび関連デバイスの機能を著しく向上させ、一般に2本のプランジャ、2本のプランジャ同等物、2本の往復駆動装置に適用可能である。
プーリ/駆動ライン/複合プランジャの実施例
往復シリンジのいくつかのデザインは、2本のプランジャまたはプランジャ同等物を機械的に連結するプーリ機構を具え、これら2つの部材が往復方式で動作する。図2は、典型的なプーリ駆動ライン−複合プランジャの概略図であり、ここでは複合プランジャと称する。この複合プランジャは、主プランジャ202と、補助プランジャまたはプランジャ同等物212と、駆動ライン205と、プランジャ204,214内での駆動ラインへの取り付け部とを具えている。この取り付け範囲が、プランジャ201、211のストッパ端部204、214へと描かれているが、プーリ装置における2つのバレルまたは管間のプーリシステムの特定の構成や大きさによりプランジャのどの部分にあってもよい。プランジャ202、212はさらに親指レスト203、213を具えている。
いくつかの実施例では、プランジャは別々の部品、すなわち従来のシリンジ部品または特別に成型された部品を具えてもよい。いくつかの実施例の駆動ラインは、連続的な円柱形繊維または様々な方法でプランジャに取り付けられた別の連続的な材料を具えてもよい。この駆動ラインはプランジャに溶接または接着することができる。この駆動ラインは、穴またはノッチを通してプランジャに設けられてもよく、また駆動ラインは穴やノッチを通して引っ張れないように固定されてもよく、これは例えば緊結、溶接、接着、あるいは熱や他の機械的手段により駆動ラインを曲げることで達成してもよい。駆動ラインは、機械式クランプでプランジャに締結されてもよい。このプランジャはフック、リング、鳩目、スロット、キーホール構造(スロットと穴の組合せ)、雌雄のフィッティング、圧縮機構、または駆動ラインを緊結、溶接、屈曲、摩擦、運動、雌雄係合により結合しうる他の類似の構造を具えてもよい。駆動ラインとプランジャは相補的な部品(例えば鍵と鍵穴のような雌雄構造)を有してもよく、これらの部品を合わせたときに例えば連結部をともに押し合うかスロットへ押しつけ引くことにより結合する。これらの連結部は、各部品を製造してからプランジャおよび/またはラインに取り付けるか内部に組み込んでもよく、部品製造時(すなわち、成型または押出成型時)に一体成型してもよい。
この複合プランジャは、1つの一体型部品として成型してもよい。適切なプラスチックを選択すると、駆動ラインを含む複合プランジャ全体、主プランジャ、および補助プランジャを一体型部品として射出成型できる。代替的に、適切な耐熱性の駆動ラインを型内に配置し、その周りに2本のプランジャを成型し、結果としてプランジャと駆動ラインを一体機器として熱融着させてもよい。プランジャ自体は中実、軸支(多くの従来型シリンジのように)、円柱状、中空、またはバレルおよび/または管のデザインを充足する限りにおいて他の多くの幾何学形状であってもよい。
自己回転およびライン保持型プーリの実施例
往復シリンジのプーリ機構は、通常2本のバレルまたは管の間に設けられ、プランジャの動作時に駆動ラインの表面の摩擦を低減する。このようなプーリは多くの形態をとることができるが、米国特許6,245,046B1に記載の静的バージョンが経済的かつ実践的だと思われる。どのプーリ機構を用いる場合にも、駆動ラインが緩んだ場合でも駆動ラインが軌道内に保持されることが重要である。駆動ラインの緩みは、シリンジの組立時や、プランジャを引っ張るときに生じうる。緩んだ状態の駆動ラインはプーリ機構から外れる場合がある。プランジャを押し込んで駆動ラインに再びテンションがかかるとき、駆動ラインがプーリに対して正しく配列されていない場合、調整不良となり、所望の動作への抵抗が増え、正しく機能しなくなる。
この問題の解決策が図3に示されている。往復シリンジ301の指フランジを通る断面図は、主バレル302と、補助バレル303と、プーリ304と、駆動ライン302とを示している。静的あるいは動的プーリ304が、主バレル302と補助バレル303の接合点に設けられている。このプーリは、従来型バレルの表面であって、バレル成型時またはバレルを包含するフレームにより形成される平滑な接触面307であり、溝308あるいは同じ目的の隆起と溝309によりにより駆動ラインの位置を制御する。事前の構成では、プーリは、本来のバレル壁部の高さ305かそれより上である。駆動ラインが緩んだ状態では、駆動ラインはプーリから外れ、その後駆動ラインにテンションを掛けても正しい再配置に失敗する。
本発明のいくつかの実施例では、自動装填プーリ(self-threading pulley)を用いることによりこの問題を予め回避している。この自動装填プーリは、2本のバレルの接合面を周囲の面より低くし、駆動ラインにテンションが加わったときに漏斗効果(funnel effect)が生じて駆動ラインが適切なプーリの位置に収まるようにする。単純な自動装填プーリの実施例が、図3(a,b)に示されている。自動装填プーリ装置を備える往復シリンジ311の指フランジを通る断面図には、主バレル312と、補助バレルまたは管313と、本来のバレル壁部315より下のレベルの静的あるいは動的プーリ314と、駆動ライン316とが示されている。この静的または動的の自動装填プーリは、本来のバレル壁部またはフレーム315の下のレベルに設けることができ(あるいは、単純にシリンジ表面の隣接する領域より低い)、ここで漏斗効果が生じ、駆動ラインを正しい位置へと機械的に移動させる。シリンジ中央線の自動装填プーリ装置の面を通るさらなる断面図は、(1)屈曲あるいは斜めのバレル注射壁317と、(2)屈曲したバレル注射壁318の凹部溝と、(3)傾斜したバレル注射壁319の凹部溝とで構成される自動装填プーリの表面を通る駆動ラインを示している。他の構成もまた可能であり、横方向に高い面と低い中心線の面とを設け、いずれも駆動ラインにテンションがかけられた場合に駆動ラインを所望のプーリ面またはトラックに導くようにする。これらの自動装填プーリは、静的であっても動的であってもよい。代替的に、プーリ面はほぼ平坦または半柱状とすることができ、この場合は溝が不要である。
駆動ラインは、完全に、あるいは部分的に保持バンド、ガイド、あるいはプーリポイントで軌道に収められて取り巻かれあるいは包含され、これらのいずれも望まない駆動ラインの移動を防止する。このようなライン保持プーリは、しかしながら、自動装填プーリより組立が難しい。自動装填プーリとライン保持型プーリは、器具の組立時間を減らすことができ、機能不全の可能性を低減させることができる。同様に自己回転・保持型プーリは回転シリンジ以外にも機械的応用例がある。
フレームベース往復シリンジの実施例
往復シリンジの複合バレルは、従来のシリンジバレルの製造と同様に製造することができる。射出成型はプラスチックや他の射出可能な成型材料の製造に有効な方法である。主バレル、指フランジ、補助バレルまたは管を含む複合バレル全体は、1ピースに射出成型可能である。複合バレル全体専用の型により複合バレルの組立が不要となり、製造コストが低減する。シリンジの部品は正確に合致して完全に圧力/真空を保つ必要があるため、この型の寸法状の許容度は非常に厳密でなければならない。また、通常は往復シリンジのサイズや種類が異なるごとに専用の型が必要となる。
フレームベースの往復シリンジは、上述した製造方法(相互に嵌合する相補的な部品を接着や溶着で組み立てる工程を含み、1または複数のピースに射出形成を行う)の代替例となる。フレームは、選択的に、不可欠の従来型シリンジバレルに完全あるは部分的に周囲に取り付けられた一体型の補助バレルまたは管で構成することができる。このフレームは、補助バレルまたは管に前記シリンジバレルを確実に固定し、複合バレルを構成しうる。このようなフレームまたはハウジングは、恒久的あるいは一時的な固定、開放可能なクランプ、剛性のある受動フィッティング、ヒンジ型封入装置(hinged enclosure device)、柔軟な、プラスチックの、剛性のある、ラバー、あるいは従来型バレルを適合可能な弾性部品、剛性のフレームワーク(補助バレルまたは管となりうる)内への拘束、のこぎり状のロック機構、他の機械的機構を具えてもよく、従来型シリンジをフレームに接着して得られる主バレルを補助バレルまたは管に対して固定することができる。フレームベース構造は、従来型シリンジを必要に応じて取り替え(再利用可能な往復フレーム)、あるいは代替的に、シリンジに恒久的に固定して使い捨て可能な往復シリンジを構成してもよい。
プーリを具える往復シリンジの場合、プーリ器具はフレーム上にあってもよく、代替例では、ギア、液圧、ラックアンドピニオン器具であってもよく、これらはさらにフレームの一部をなしてもよい。外部フレームのアプローチの特別な利益は、実質的に従来のシリンジを使い捨て可能あるいは再利用可能な往復シリンジにすることにあり、多くの既存のシリンジの往復バージョンを容易かつ安価に作成でき、フレームの型を用いると、シリンジバレル自体を高価で厳密に成型する場合よりも安価に製造することができる。これにより、ガラス、プラスチック、および他の特別な材料を含むまったく異なる材料で往復シリンジを組み立てることができる。
図4は、このようなフレームの概略図である。本実施例のフレームは、接着あるいは溶着される2つの本質的な鏡像の半分を含んでいる。これらはクリップ、保持バンド、ロック具、嵌合部材、または既存のシリンジの周りに成形して合わせることができる。フレームまたはハウジングのパーツは、実施例に示すようにシリンジを含んでもよい。このフレームはまた、完全に囲むのではなく、より簡単に単一ピースとして形成するようシリンジを保持してもよい。図4に示す例では、別のシリンジバレルまたはバレルの一部からなる補助バレルまたは管が、フレームまたはハウジング内に挿入される。この補助バレルはまた、外因性のバレルを挿入するより、ハウジングの一部をなしてもよい。フレームまたはハウジングが従来型シリンジの針フィッティングや指フランジに適合する合致点があるが、他の剛体のデザインも可能であり理解される。
図4は、従来型シリンジから往復シリンジを作成するためのフレームまたはハウジングの片割れを斜め上から見た図である。図示する実施例では、シリンジバレルと補助バレルまたは管を互いに強固に保持する限りにおいて、2つのパーツは同一または鏡像である必要はない。このフレームまたはハウジングは単一の部品で構成してもよく、シリンジホルダとして、ただし1本のバレルの代わりに主バレルと補助バレルまたは管とを実現し、あるいはフレームまたはハウジングに補助バレルまたは管を組み込んでもよい。図4は、主シリンジバレル401用の特定のハウジングと、シリンジの針フィッティング402に適した開口の例を示している。この材料は透明/半透明であってもよく、つや消しまたは不透明として収容されたシリンジ403のマーキングを露出する切り欠きを設けてもよい。このフレームは、指が互いに近くなるよう形成されてもよく、すなわち指グリップ404を設けてもよい。ハウジング405を補助バレルまたは管用に設け(このハウジングは、当該ハウジングと一体型のバレルまたは管を具えてもよい)、補助プランジャまたはプランジャ同等物が動かせるようにしてもよく、選択的に指グリップ406を設けてもよい。このフレームは静的または動的プーリ(別の実施例ではギヤや空気式トラック)、指フランジ408、フレームまたはハウジング内に配置されたシリンジバレルの指フランジを適合し固定する固定スリット409、フレーム部品を接着、固着、挟着、嵌合、他の方法で接着する接着ポイント410を具える。このフレームまたはハウジングは、強度に必要な材料のみとしてスケルトン型にしてもよく、またプラスチックや金属、ガラス、および/または複合材などの様々な材料で製造することができる。
他のデザインのフレームまたはハウジングも予期されるが、すべて主バレルと補助バレルまたは管の関連位置を固定するものである。他のデザイン上の変更は、主と補助バレルまたは管の平行または非平行な関係を含み、このフレームまたはハウジングで実現することができる。図5は、従来型シリンジを主シリンジ502とし、補助バレルまたは管を針フィッティング503を取り除いた従来の小さなシリンジで実現するフレームまたはハウジング501を示す概略図であり、2本のプランジャは駆動ラインとプーリ機構504で機械的にリンクされている。
図13(a,b,c)は、複合バレルの構成のバリエーションを示す概略図である。図13aは、従来型または非従来型シリンジを挿入して上述した保持具で固定可能な1ピース型フレームである。このフレームは、主シリンジバレル用のハウジング1301と、シリンジの針フィッティング用の開口1302と、シリンジのボリュームマーキングを露出する切り欠き部1303と、指グリップ用の切り欠き部1304と、機能または非機能補助駆動シリンジバレル用のハウジング1305と、指グリップ用の切り欠き部1306と、静的または動的プーリ1307と、指フランジ1308と、シリンジバレルの指フランジ用の固定スリット1309と、主および補助シリンジバレルをホルダ内に保持するロック機構1310とを具える。
図13bは、主シリンジのみが装填され補助バレルはフレームに一体構成されている1ピース型フレームの概略図である。このフレームは、一体型の補助バレルと主シリンジバレル用のハウジング1321と、シリンジの針フィッティング用の開口1322と、シリンジのボリュームマーキングを露出する切り欠き部1323と、指グリップ用の切り欠き部1324と、非機能補助駆動シリンジの内部バレル1325と、補助バレルの外側面1326と、静的または動的プーリ1327と、指フランジ1328と、主シリンジバレルの指フランジ用の固定スリット1329と、主シリンジをホルダに保持するロック機構1330とを具える。
図13cは、主および補助バレルが一体構成されている1ピース型複合バレルの概略図である。この1ピース型バレルは、一体型の主および補助バレル1341と、シリンジの針フィッティング1342と、主シリンジバレルの内側部分1343と、主バレルの外側面1344と、非機能補助駆動シリンジの内部バレル1345と、この補助バレルの外側面1346と、静的または動的プーリ1347と、指フランジ1348とを具える。これらの実施例の補助バレルはすべて、針またはカテーテルのフィッティングを具えてもよい(図示せず)。他のデザインのフレームで、ロックまたは固定機構に応じて平行に挿入または非平行の挿入方向で従来のバレルをフレームに固定してもよい。
プランジャロック付き往復シリンジの実施例
プランジャロックは、従来型のシリンジで不意の注射またはシリンジ内の液体漏出を防止するために、あるいはシリンジ内の圧力または真空をいじするために用いられている。従来型のプランジャロックは、従来型シリンジと同じように往復シリンジでも機能する。しかしながら、往復シリンジにおいて機械的にリンクされたプランジャでは、プランジャロックの機会がユニークである。従来のプランジャロックは通常、(1)プランジャの親指レストとシリンジバレル間に配置される固いスペーサ器具(通常はプランジャを固定して押し込めないようにする)、(2)シリンジバレルとプランジャを固定の位置で機械的に固定する保持具(プランジャの押し込みと引っ張りの双方を防止する)、(3)プランジャまたはバレルにフィッティングがありプランジャを回すか部品を操作するとプランジャがバレルに係合してロックするロックプランジャ、のいずれかである。従来のシリンジは補助プランジャがないため、これらのロック装置はすべて主プランジャに作用する。
往復シリンジでは、主プランジャは補助プランジャまたはプランジャ装置に機械的に結合されているため、補助プランジャを制御すると主プランジャも制御することとなる。したがって、往復シリンジは、特にロック機構を主プランジャの代わりに補助プランジャまたはプランジャ同等物に適用しうる点でユニークである。したがって、既存のプランジャロック機構を補助プランジャに適用して主プランジャを制御することができる。
往復シリンジの重要な利用法は、様々な処置における真空生成である。往復シリンジで真空を生成する場合、補助プランジャを親指で押し下げ、これにより主プランジャで吸引がなされる。吸引中は補助プランジャが押し下げられるため、補助プランジャの親指レストが指フランジを具える複合バレルに近づき、ロック機構を生じるユニークな機会となる。この構成では、ロック機構は、親指レストが補助プランジャに近くなり、親指が複合シリンジバレルに近づくと、プランジャのロック機構が複合バレルの対応する機構と嵌合し、結果として補助プランジャを複合バレルにロックする。主プランジャが補助プランジャに往復方式で機械的にリンクしているため、補助プランジャを複合バレルに固定すると、主プランジャが吸引モードで固定され、一定の真空が生じる。これは特に針生検の吸引に有用である。
この補助プランジャを複合バレルにロックする機構は、フック、リング、鳩目、圧縮機構または類似の器具によりプランジャを締め複合バレルを締める機構、雌雄のコネクタ(または他の相補コネクタ)であって雌雄のコネクタを互いに押すと連結あるいは反対に開放するコネクタ、補助プランジャを回転させると作動する複合バレルとプランジャのロック機構を含む。
補助プランジャまたはプランジャと往復シリンジをロックする方法の特に有利な点は、非対称の親指レストと往復シリンジがプランジャを回転可能としつつ方向性を決定可能なことである。往復シリンジにおけるプランジャの方向性は、プーリが1点でプランジャに連結されることにより生じ、駆動ラインにテンションがかかり、連結点がプーリ側に位置し、これにより非対称な親指レストが予期できる位置に配置される。この利点を具えるロック機構が図6に示されている。
親指レスト602は非対称であり(正面図が図6a、側面図が図6b)、プランジャ本体601に取り付けられ、保持バンプまたは突出部603または表面テクスチャによりロック機構に保持されるが、これは機能的に必要なものではない。ロック機構606の側面図を図6cに示す。このロック機構606は、バレルまたは管の壁部に連結された指フランジと一体型またはこれに取り付けられている。このロック機構606は、ルーフ部と、非対称の親指レストに合致するスペースとを具え、保持バンプまたは突起を嵌合する保持エッジ607を具える。非対称な親指レストとプランジャが回転されると(図6d)、親指レスト608は、指フランジ605のロック機構にロックされる。図6eは吸引前の往復シリンジを示し、補助プランジャ609が完全に引き戻されている。図6fは補助プランジャ610が押し込まれた状態の往復シリンジの側面図であり、シリンジは完全に吸引(真空)モードである。図6gは非対称親指レストを回転させ指フランジのロッキング部材にロック611させた往復シリンジであり、駆動ライン612も回転している。ここで駆動ラインにエネルギが蓄えられ、これにより親指で簡単に圧迫すると、補助プランジャが自動的に回転し、ニュートラル位置に戻り、補助プランジャが戻され、真空が開放される。
ワイヤやカテーテルを誘導する往復シリンジの実施例
ワイヤやカテーテルを誘導するのによく針が用いられる。しかしながら、真空を用いずに針を正確な場所に配置するのは困難であり、特に静脈など液体の流圧が弱い場合にはなおさらである。往復シリンジは片手用シリンジであるため、真空が望まれる医療処置には血管または腹腔ワイヤおよびカテーテルを配置するのに理想的である。現在利用可能な誘導シリンジの往復バージョンは、本明細書の他の場所で実施例として開示される。
従来型の処置シリンジを往復処置シリンジに転化する例は、この場合、往復型誘導シリンジが図14に示されている。従来型誘導シリンジが、補助バレルまたは管と、駆動ラインを有する補助プランジャを加えることにより、往復型安全シリンジに転化される。本実施例では、従来型の湯道シリンジは主シリンジ1401としてフレーム内に導入されている。これは誘導シリンジの針フィッティング1402と、ワイヤが貫通可能で漏斗形状面と角度付けされたバレルを有する雌の誘導フィッティング1403(他の誘導機構を同様の方式で利用してもよい)と、気体や液体の移動を防ぐ任意の隔膜またはバルブを有するプランジャ内の誘導ワイヤ用の出口管腔1404とを具える。この往復シリンジはさらに、気体や液体の移動を防ぐ隔膜を有するあるいは有さない、主安全シリンジのストッパ/抵抗具1405と、誘導ワイヤ管腔1408と、機能プランジャ1409と、対称または非対称の親指レスト1410と、管腔を通るガスや気体の移動を防ぐ任意の隔膜またはバルブを有するプランジャの誘導ワイヤ用の入口管腔1411と、針フィッティングを有するあるいは有さない補助バレルまたは管1421と、補助プランジャのストッパ/抵抗具1422と、補助プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材用のバレルまたは管1423と、プランジャ間の往復機械リンク(プーリ、ギヤ、液圧、または機構)1424であってこの場合は両方のプランジャに取り付けられた単繊維プーリ機構と、指フランジ1425と、補助プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材1426と、補助プランジャの対称または非対称の親指レスト1427とを具える。様々な誘導シリンジを同様に往復誘導シリンジに転化することができる。代替的に、多くの往復シリンジと同様に、複合誘導シリンジバレル全体を1ピースに製造してもよいし、複数ピースとして組み立ててもよい。
代替的に、往復シリンジは、適切な針フィッティングを有する誘導シリンジに変形してもよい。このような体内誘導フィッティングの玲が、図7(a,b)に示されている。図7aは、ストレートショット往復誘導針(straight shot reciprocating introducer)の側面図である。図7bは、サイドアクセス往復誘導針の側面図である。両バージョンともに、往復シリンジ用のフィッティング701と、当該フィッティングを誘導針702に連結して誘導針に真空を生じさせる連結部と、誘導針703と、ラインまたはワイヤを誘導針に接続する誘導ポート704と、真空の消失を防ぐ任意の気密膜、環状シール、葉状器官(leaflet)と、漏斗または他のシール705と(代替的に、これは誘導フィッティングに適合するプラグで置換することができる)、誘導針にアクセス可能な誘導フィッティング706と、誘導針に接続されるワイヤまたはカテーテル707とを具える。これらの誘導フィッティングは同様に他の様々な形態であってもよいが、基本的に血液や液体の戻りがあるまで往復シリンジに真空がかけられ、その後ワイヤまたはラインが誘導ポートに連結される。
多くのアンギオキャス(angiocath)針は、誘導針に接続された外部カテーテルを有する。これらの針の多くはセーフティバージョンとなっており、使用後に誘導針を内部収納する。しかしながら、往復シリンジは片手で安定なシリンジであるため、シリンジに導入針が設けられた真空発生源の誘導針として用いることができる。完全に従来と同様に、血管に到達したら、カテーテルを針から血管内または体内へ押し出す。このシリンジのプランジャロックバージョンもまた、この利用に有効である。セーフティバージョンの往復シリンジも、導入針に適合かのうである。
往復安全シリンジの実施例
安全シリンジの往復バージョンを、本明細書中の他の箇所で記載したフレームベースのアプローチを用いて製造できる。往復型安全シリンジ構成の一例が図8にあり、従来の安全シリンジに、補助バレルまたは管と駆動ラインを有する補助プランジャとを加えることにより往復型安全シリンジへと変更している。この実施例では、従来型の安全シリンジは主シリンジ801として導入されている。これは安全シリンジ上の針フィッティング802と、他の機構も利用可能であるが、針フィッティングのハウジングを有する雌の安全フィッティング803と、プランジャの雄の安全フィッティング804とを具える。図8は、主安全シリンジのプランジャのストッパ/抵抗具805と、再利用を防止するためのプランジャのスナップオフ器具806と、安全シリンジの機能バレル807と、指フランジ808と、機能プランジャ809と、対称または非対称親指レスト810と、針フィッティングを有するあるいは有さない補助バレルまたは管821と、補助プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材用のバレルまたは管823と、プランジャ間の往復機械リンク(プーリ、ギヤ、液圧、機構)824であって本例では両方のプランジャに取り付けられた単繊維プーリと、指フランジ825と、補助プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材826と、補助プランジャの対称または非対称の親指レスト827とを描いている。
往復型メンギーニ針シリンジの実施例
メンギーニ針シリンジは、針がシリンジと一体構成された生検針であり、針のスタイレットは実際にシリンジのプランジャと一体構成されている。米国特許4619272を参照されたい。既存のおよび将来のメンギーニ針シリンジは、本明細書中他の箇所で記載したフレームベース方法を用いて製造することができる。
往復型のメンギーニシリンジの製造法の実施例が図10に示されており、ここで従来型のメンギーニ針シリンジが、補助バレルまたは管と、駆動ラインを有する補助プランジャとを追加することにより往復型メンギーニ針シリンジに転化されている。本実施例では、従来型のメンギーニ針シリンジは主シリンジ1001として導入されている。これは、メンギーニ針シリンジの針フィッティング1002と、(他の機構も利用可能であるが)針フィッティングハウジング内のメンギーニ針スタイレット用トラック1003と、プランジャのメンギーニ針スタイレット1004とを具える。このシリンジはさらに、主メンギーニ針シリンジのプランジャのストッパ/抵抗具1005と、再利用を防止するかプランジャの位置をロックするスナップオフまたはロック器具1006と、メンギーニ針シリンジの機能バレル1007と、指フランジ1008と、機能プランジャ1009と、対称または非対称の親指レスト1010と、メンギーニ針シリンジの生検針部1011と、針フィッティングを有するか有さない補助バレルまたは管1021と、補助プランジャのストッパ/抵抗具1022と、補助プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材用のバレルまたは管1023と、プランジャ間の往復機構リンク1024(プーリ、ギヤ、液圧、機構)であって本例では両方のプランジャに取り付けられた単繊維プーリ機構と、補助プランジャ・プランジャ同等物・または往復部材1026と、補助プランジャの対称または非対称の親指レスト1027とを具える。上述した複合バレルはすべて、往復型メンギーニ針シリンジに利用することができる。
ダブル往復シリンジの実施例
特定の応用例では、2本の機能シリンジを有する往復型シリンジが利益となりうる。応用例として、吸引すべき何かと別の注射すべき何かがある場合や、特定の二重サイクル携帯型ピストンポンプがある。フレームベースの方法を用いて、すべての既存のおよび未来のシリンジのダブル往復バージョンを製造可能である。図11は、2本の機能シリンジとバレルが往復方式で接合されている状態を示す。ハウジングまたはフレーム1101が複合バレルを構成しており、針またはカテーテルフィッティングを有する第1の従来型シリンジとプランジャがフレームに装着され、針またはカテーテルフィッティングを有する第2の従来型シリンジとプランジャがフレームに装着されている。これらのシリンジの容量は同じであってもよいし、違ってもよい。シリンジの一方あるいは双方が、特別なシリンジであってもよい。
高圧往復型シリンジの実施例
特定の応用例では、高圧に耐える往復シリンジが利点となり、例えば、血管造影や他の放射線およびイメージング処置の注射液の迅速な投与などである。フレームベース法を用いて、すべての高圧シリンジの往復バージョンを製造可能である。図12は、高速・高圧注射用の高圧シリンジの玲であり、高圧機能シリンジと、適切な変形プランジャとを具えている。ハウジングまたはフレームまたは一体型複合バレルが、複合バレル1201と、フレームに搭載された高圧バレルおよびプランジャ1202と、フレームに搭載された補助バレルおよびプランジャ1203とを具えている。このプランジャは、適切に構成された親指レスト1204と、指フランジ1205とを具えてもよい。
上述および引用したした特定の寸法や装備は単に本発明の特定の実施例を説明するためのものである。本発明の実施には、異なる寸法や特性の要素も含まれる。本発明の範囲は、添付のクレームにより規定される。
図1は、非平行な傾斜バレルまたは管、ストッパ/抵抗具、および非対称の親指受けを有する、本発明にかかる往復シリンジを示す概略図である。 図2は、本発明にかかるプーリ駆動線と複合プランジャの概略図である。 図3(a,b)は、本発明にかかる自動装填型(self-threading)プーリの概略図である。 図4は、複合バレルの基部として外部フレームまたはハウジングを具える、本発明にかかるシリンジ装置の概略図である。 図5は、図4に示す組み立てられたシリンジ装置の概略図である。 図6は、本発明にかかるロッキングプランジャ構造の概略図である。 図7は、ワイヤやカテーテルに適した本発明にかかる内部誘導部品の概略図である。 図8は、本発明にかかる往復安全シリンジの概略図である。 図9は、本発明にかかる往復安全シリンジの概略図である。 図10は、本発明にかかる往復メンギーニ(Menghini)針シリンジの概略図である。 図11は、2つの機能バレルと針カテーテル部品を具える、本発明にかかる往復シリンジの概略図である。 図12は、他の拘束高圧噴射と比較するのに適した、本発明にかかる高圧往復シリンジの概略図である。 図13(a,b,c)は、本発明にかかる複合バレルのバリエーションの概略図である。 図14は、本発明にかかる往復誘導シリンジの概略図である。

Claims (26)

  1. 往復型シリンジであって:
    a.第1のシリンジバレルを保持するのに適した第1の受け部(401)および第2のシリンジバレルを保持するのに適した第2の受け部(405)を有するフレームと、
    b.前記第1の受け部に保持されたシリンジバレルに用いるのに適した第1のプランジャ(106)と、前記第2の受け部に保持されたシリンジバレルに用いるのに適した第2のプランジャ(116)とを有する複合プランジャ(504)とを具え、前記第1および第2のプランジャが、前記第1のプランジャを前記第1のバレル内へ入る方向に動かすと前記第2のプランジャが前記第2のバレルから出る方向へ動き、前記第2のプランジャを前記第2のバレル内へ入る方向に動かすと前記第1のプランジャが前記第1のバレルから出る方向へ動くように連結されていることを特徴とする往復シリンジ。
  2. 請求項1の往復シリンジにおいて、前記第1のおよび第2のプランジャがライン(114)で連結されているとともに、前記フレームがプーリ(304)を規定しており、このプーリは前記第1のプランジャが前記第1のバレルに入り前記第2のプランジャが前記第2のバレルに入る場合に前記ラインが通過するよう配置されていることを特徴とする往復シリンジ。
  3. 請求項2の往復シリンジにおいて、前記プーリは、前記ラインが上を通過する面(314)を具えることを特徴とする往復シリンジ。
  4. 請求項3の往復シリンジにおいて、前記プーリは、前記面内の溝を具え、この溝はいずれかの前記プランジャを対応するバレルに対して入る方向に動かすときに前記ライン(114)をスライド可能に通すよう構成されていることを特徴とする往復シリンジ。
  5. 請求項3の往復シリンジにおいて、前記面が、当該面を横切る前記ライン用の経路長さを規定しており、当該経路長さは、最も短い経路長さを規定する前記経路から前記ライン(114)が遠くに移動するに伴い前記経路における可能な経路長さの範囲が滑らかに増加するように、前記面を横切る前記ラインがとる経路に依存することを特徴とする往復シリンジ。
  6. 請求項5の往復シリンジにおいて、前記面がさらに、当該面内に溝を規定しており、前記溝を通る経路の経路長さが最も短く、前記溝はいずれかのプランジャが対応するバレル内へ入る方向に動いたときに前記ラインをスライド可能に収めることを特徴とする往復シリンジ。
  7. 請求項1の往復シリンジにおいて、前記第1のシリンジバレルは前記第1のプランジャが前記第1のバレル内での動作方向に沿った第1の軸を規定するとともに、前記第2のシリンジバレルは前記第2のプランジャが前記第2のバレル内での動作方向に沿った第2の軸を規定しており、前記第1の軸は前記第2の軸と平行でないことを特徴とする往復シリンジ。
  8. 請求項7の往復シリンジにおいて、前記第1の軸と第2の軸との間隔は、前記第1および第2のバレルの針側の端部近傍の方が、前記第1および第2のバレルのプランジャ側の端部より短いことを特徴とする往復シリンジ。
  9. 請求項1の往復シリンジにおいて、前記フレームが前記第1の受け部に対応する位置に光学的に透明な部分を規定しており、前記第1のバレルのマーキングが前記光学的に透明な部分を通して見えることを特徴とする往復シリンジ。
  10. 請求項9の往復シリンジにおいて、前記光学的に透明な部分は、前記フレームの開放部分か、前記フレームの光学的に透明なウィンドウを含むことを特徴とする往復シリンジ。
  11. 請求項9の往復シリンジにおいて、前記フレームが前記第2の受け部に対応する位置に第2の光学的に透明な部分を規定しており、前記第2のバレルのマーキングが前記第2の光学的に透明な部分を通して見えることを特徴とする往復シリンジ。
  12. 請求項1の往復シリンジにおいて、前記第1のプランジャが前記フレームのロック機構(607)に係合する形状を有しており、このロック機構により前記プランジャの動きが、(a)前記第1のバレルに関して内側へ、(b)前記第1のバレルに関して外側へ、のいずれか1以上において実質的に妨げられることを特徴とする往復シリンジ。
  13. 請求項1の往復シリンジにおいて、前記第1のバレルは誘導針シリンジのバレルであるとともに、前記第1のプランジャが誘導針ワイヤを通す出口管腔を具えることを特徴とする往復シリンジ。
  14. 往復シリンジであって:
    a.第1のシリンジバレルを保持するのに適した第1の受け部(401)を有するフレームと、
    b.前記第1の受け部に保持される第1のシリンジバレルに用いるのに適した第1のプランジャと、
    c.前記フレームにスライド可能に設けられ人間の手で操作するのに適した補助アクチュエータ(117)と、
    d.前記補助アクチュエータが前記第1のプランジャと連結されており、前記第1のプランジャを前記第1のバレルに入る方向に動かすと前記補助アクチュエータが動作方向に動き、前記補助アクチュエータを動作方向と反対に動かすと前記第1のプランジャが前記第1のバレルから出る方向へ動くことを特徴とする往復シリンジ。
  15. 請求項14の往復シリンジにおいて、前記第1のプランジャと前記補助アクチュエータがライン(114)で連結されているとともに、前記フレームがプーリを規定しており、このプーリは前記第1のプランジャが前記第1のバレルに入った場合に前記ラインが通過するよう配置されていることを特徴とする往復シリンジ。
  16. 請求項15の往復シリンジにおいて、前記プーリは、前記ラインが上を通過する面(314)を具えることを特徴とする往復シリンジ。
  17. 請求項16の往復シリンジにおいて、前記プーリは、前記面内の溝を具え、この溝は前記第1のプランジャを前記第1のバレルに入る方向に動かすか前記補助アクチュエータをその動作方向と反対方向に動かすときに前記ラインをスライド可能に通すよう構成されていることを特徴とする往復シリンジ。
  18. 請求項16の往復シリンジにおいて、前記面が、当該面を横切る前記ライン用の経路長さを規定しており、当該経路長さは、最も短い経路長さを規定する前記経路から前記ラインが遠くに移動するに伴い前記経路における可能な経路長さの範囲が滑らかに増加するように、前記面を横切る前記ラインがとる経路に依存することを特徴とする往復シリンジ。
  19. 請求項18の往復シリンジにおいて、前記面がさらに、当該面内に溝を規定しており、前記溝を通る経路の経路長さが最も短く、前記溝は前記第1のプランジャが前記第1のバレル内へ入る方向に動くか前記補助アクチュエータがその動作方向と反対方向に動いたときに前記ラインをスライド可能に収めることを特徴とする往復シリンジ。
  20. 請求項14の往復シリンジにおいて、前記第1のシリンジバレルは前記第1のプランジャが前記第1のバレル内での動作方向に沿った第1の軸を規定し、この第1の軸は前記アクチュエータの動作方向と平行でないことを特徴とする往復シリンジ。
  21. 請求項20の往復シリンジにおいて、第1の軸と前記アクチュエータの動作方向との間隔は、前記第1のバレルの針側の端部近傍の方が、前記第1のバレルの第1のプランジャ側の端部より短いことを特徴とする往復シリンジ。
  22. 請求項14の往復シリンジにおいて、前記フレームが前記第1の受け部に対応する位置に光学的に透明な部分を規定しており、前記第1のバレルのマーキングが前記光学的に透明な部分を通して見えることを特徴とする往復シリンジ。
  23. 請求項22の往復シリンジにおいて、前記光学的に透明な部分は、前記フレームの開放部分か、前記フレームの光学的に透明なウィンドウを含むことを特徴とする往復シリンジ。
  24. 請求項14の往復シリンジにおいて、前記第1のプランジャが前記フレームのロック機構に係合する形状を有しており、このロック機構により前記第1のプランジャの動きが、(a)前記第1のバレルに関して内側へ、(b)前記第1のバレルに関して外側へ、のいずれか1以上において実質的に妨げられることを特徴とする往復シリンジ。
  25. 請求項14の往復シリンジにおいて、前記補助アクチュエータが前記フレームのロック機構に係合する形状を有しており、このロック機構により前記補助アクチュエータの動きが、(a)動作方向へ、(b)動作方向と反対へ、のいずれか1以上において実質的に妨げられることを特徴とする往復シリンジ。
  26. 請求項14の往復シリンジにおいて、前記第1のバレルは誘導針シリンジのバレルであるとともに、前記第1のプランジャが誘導針ワイヤを通す出口管腔を具えることを特徴とする往復シリンジ。
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