JP2008527996A - 癌細胞のアポトーシスのための核酸 - Google Patents

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Abstract

本明細書の開示内容は、以下のアポトーシス配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7を有する核酸に関する。また、以下のアポトーシス配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7を有する核酸を含有する組成物に関する。該組成物はさらに、製薬上許容される担体を含有してもよい。本明細書の開示内容にはまた、以下のアポトーシス配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7を有する核酸と、製薬上許容される担体とを含有する血清を癌細胞に投与することにより、癌細胞を死滅させる方法も含まれる。癌細胞は癌を有する被験体体内に存在するものでありうる。
【選択図】なし

Description

本発明は、一実施形態において、特定のアポトーシス配列を有し、かつ、健常細胞を傷つけずに、癌細胞のアポトーシスを誘発することができる核酸に関する。他の実施形態は、これらの配列を有する核酸を使用して、癌細胞においてアポトーシスを誘発する方法に関する。
癌は、体内の細胞が正常に機能せず、異常に複製し始める場合に生じる。これらの機能不全は、細胞のDNAブループリントの突然変異に起因する。
癌は、健常細胞を損傷せずに癌細胞を死滅させようと試みることによって治療される。これは癌細胞を健常細胞と区別することに依存するが、現行法ではかなり不十分にしか区別されない。
ほとんどのDNA癌研究では、癌遺伝子および癌抑制遺伝子が重点的に取り扱われている。その理由は、これらの遺伝子が異常な細胞複製と明らかな関連を有するからである。しかし、これらの遺伝子は、必ずしも、癌細胞のDNAと健常細胞のDNAとの間の区別のための最適な標的ではない。
発明の概要
本発明の一実施形態は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5、配列番号6、配列番号7の配列を有する核酸に関する。別の実施形態は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5、配列番号6、配列番号7の配列を有する核酸を含む組成物に関する。該組成物は製薬上許容される担体を含んでもよい。
さらに別の実施形態は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5、配列番号6、配列番号7の配列を有する核酸および製薬上許容される担体を含む血清を癌細胞に投与することによって癌細胞を死滅させる方法に関する。癌細胞は癌を有する被験体体内に存在するものでありうる。
詳細な説明
本発明は、一実施形態において、アポトーシス配列を有する核酸であって、健常細胞に影響せずに、癌細胞のアポトーシスを誘発できる核酸に関する。他の実施形態は、癌細胞においてアポトーシスを誘発する方法に関し、それには癌の治療が含まれる。さらに他の実施形態は、アポトーシス配列の存在を明らかにする方法に関する。
現行の癌研究では、癌遺伝子および癌抑制遺伝子が重点的に取り扱われている。それらは癌細胞において突然変異しており、正常細胞では突然変異していないことが多い。しかし、癌に関連するすべてのDNA異常性が癌遺伝子または癌抑制遺伝子中に存在するわけではない。結果として、本発明の実施形態の候補アポトーシス配列は、一般に健常細胞のトランスクリプトームには存在しないが、癌細胞のトランスクリプトーム中で認められる配列を、コンピュータでサーチすることによって突き止められた。ゲノム内のこれらの配列の位置は第一の関心事ではなかった。結果として、いくつかは癌抑制遺伝子または癌遺伝子中にあり、他のものはそうではない。しかし、そのゲノム位置に基づいて核酸配列を排除しないことによって、治療有効性の低減を招くかもしれない不必要な制限が回避される。さらに、健常なトランスクリプトーム中に正常に位置する配列を排除することによって、候補配列は正常細胞に対する毒性をほとんど有さないか、あるいは全く有さないであろう。
癌細胞の破壊および考えられる治療をさらに向上させるために、基本的に癌細胞トランスクリプトーム中にのみ位置する配列を、細胞でのアポトーシス効果に関連する配列にさらに限定した。これらの配列を「アポトーシス配列」と称する。これは、それらがアポトーシス遺伝子と必ずしも関連していることを表しているわけではなく、該アポトーシス配列自体が、核酸、例えばDNA中で具体化されると、細胞死を引き起こすことができることを表している。
一例として、アポトーシス配列は多数の遺伝子中に存在するDNA突然変異と対応していてよい。すべてのこれらの遺伝子の発現が同時に妨害されると、大規模なタンパク質欠乏のせいで細胞は窒息死または飢餓する。これは、アポトーシスと通常に関連しているプログラム細胞死とは異なる。
本発明のアポトーシス配列を有する核酸は、癌細胞のアポトーシスを種々の様式で誘発できる。まず、環境からの摂取および/または細胞内生産によって癌細胞内に該アポトーシス配列核酸を導入する。次に、該アポトーシス配列核酸は、例えば相同mRNAとハイブリダイズすることによって細胞によるタンパク質生産を妨害する。これは、とりわけ、アンチセンス効果、サイレンシング効果、または妨害の効果を生じさせうる。該アポトーシス配列は健常細胞には出現しないので、該アポトーシス配列核酸を健常細胞内に導入しても、影響をほとんど有さないか、全く有さないはずである。
アポトーシス配列核酸には、DNA、特に一本鎖DNAが含まれる。RNAを使用してもよいが、安定性および分解の懸念のせいで、それは癌細胞の外側からの摂取より、例えばプラスミド由来の細胞内生産がより好適である。アポトーシス配列核酸は、特に癌細胞の外側から導入される場合に、例えばメチル化または他の分子とのコンジュゲーションによって修飾して、他の理由の中でも特に、摂取、それらが活性でありうる細胞領域への輸送、またはタンパク質生産の妨害に関する活性を促進することができる。
アポトーシス配列は、1つのRNA転写産物中の単一出現とは対照的な、癌RNA転写物、特に異なる遺伝子由来の転写産物中の頻繁(routine)かつ反復性の出現に基づいて選択してもよい。これは、複数の遺伝子(multiple genes)中の共通の突然変異を特定できるアポトーシス配列を選択する。さらに、そのようなアポトーシス配列の機能は単一遺伝子の発現レベルに依存的ではなく、その代わりに複数の発現レベルの恩恵を受けるであろう。これは、アポトーシス配列が広範な癌細胞に影響することを可能にする。正常細胞に対する低レベルまたは無存在レベルの損傷とともに、これは、比較的少数の癌細胞、例えば血液中の転移細胞しか有さないサンプル中でさえも、癌細胞の特定および特異的破壊を可能にする。
さらに、複数の遺伝子中のアポトーシス配列の反復出現によって、これらの遺伝子由来のタンパク質生産の同時破壊が可能になる。例えば、癌細胞死はリボソームタンパク質の欠乏に起因する。
該アポトーシス配列が複数の遺伝子中に反復して出現するのと同一の様式で、それらは複数の癌タイプにおいても反復して出現する。該アポトーシス配列は癌タイプ特異的ではないが、各配列は、単一の癌タイプにおいて、および/または個別の一被験体において他よりも高い存在を有してよい。結果として、例えば治療によって癌細胞の破壊を試みる前に、被験体またはサンプルに関する癌プロファイルを開発することが望ましい。このプロファイリングは、20mLの血液サンプルおよびRT−PCRプライマーとしての該アポトーシス配列を使用して容易に行うことができる。アポトーシス配列をプライマーとして使用する1つの方法を図5に示す。生検および他のサンプルを使用してよいが、通常は必要とされない。例えば、アポトーシス配列の存在は、被験体の血液の転移癌細胞において検出することができ、そして、それは被験体
の腫瘍におけるそれらの存在を保証する。
本発明の代表的なアポトーシス配列を表1に示す。表中に記載のIDナンバーは、本明細書全体にわたって、例えば図面に記載の実験において、これらの配列を参照する場合に使用される。アポトーシス配列はすべてが特定の長さである必要はないが、表1のアポトーシス配列はすべて17塩基対長であり、特異性をもたらすが、機能を促進する。
Figure 2008527996
特定の実施形態では、1種以上のアポトーシス配列を核酸、例えばDNA中で提供してよく、それを使用して、癌細胞のアポトーシスを誘発する。アポトーシス配列核酸を生理的に許容される担体、例えばPNASまたはPBSまたはCSF溶液中で提供して、アポトーシス配列血清を形成してよい。この血清を癌細胞に投与してよい。例えば、それを血液または脊椎に直接投与してよい。体重に基づく通常の投与量の表1からの各アポトーシス配列DNAを数匹のマウスに投与し、該通常の投与量の10倍を5匹のマウスに投与した。通常のDNA投与は体重1kgあたり5mgであり、PBSまたはCSF 1mLあたりDNA10mgの割合で混合した。
複数遺伝子(Multi-Gene)の態様
多数の遺伝子が各アポトーシス配列と関連している場合がある。時には、何百ものmRNA転写産物が単一のアポトーシス配列を含有する。多数の遺伝子におけるこれらのアポトーシス配列の共通の出現は、癌性突然変異でありうるが、現在理解されていない。しかし、複数の遺伝子におけるこの共通性は、該アポトーシス配列の癌細胞識別能およびそれらのアポトーシス能を促進しうる。
該候補アポトーシス配列のほとんどは、癌との関連性が現在知られていない遺伝子中に存在するが、癌において重要であることが知られている遺伝子中に存在するものもある。これらの配列は、SNP、潜在スプライシングおよび他の遺伝的欠損となって現れることがよくある。例えば、図1はリンホトキシンβ受容体(LTBR)遺伝子において認められるアポトーシス配列を示す。
図1は、同一の点突然変異が異なるタイプの癌を有する異なる被験体の同じ遺伝子中に存在することを示す。具体的には、図1は、8種の異なる癌細胞株および6種の異なる癌タイプ由来のLTBR mRNA間のアライメントの一部分を示す。それは、対応する健常なLTBR mRNAに対してマップされている。図1で示されるように、8種の癌LTBRは、互いに、ならびに健常なLTBRとわずかに異なる。しかし、6959bpの位置では、癌LTBRは同一の変化を有し、各々はグアニン(G)を欠き、同じアポトーシス配列、CCTGAGCAAACCTGAGC(配列番号6)が生じている。
図2は、同一のアポトーシス配列が、異なる突然変異、異なる遺伝子、異なる被験体、および異なるタイプの癌の共通の領域に起因しうることを示す。具体的には、図2は、4種の異なる癌細胞株および4種の異なる癌タイプ由来のmRNA間のアライメントの一部分を示す。それは、種々の遺伝子由来の対応する健常なmRNAとアライメントされている。全体のアライメントは遺伝子ごとに異なるが、各々は共通の領域を有し、それによりアポトーシス配列、CGCATGCGTGGCCACCA(配列番号7)が生じている。
図1および図2に示されるアポトーシス配列は、それらが出現する遺伝子間で、あるいはこれらの遺伝子が発現される組織において、いかなる共通の機能性にも依存しない。さらに、該配列はいずれも、健常なヒトのトランスクリプトームでは認められていない。したがって、図面に示される遺伝子由来の転写産物だけでなく、任意のmRNA転写産物中のこれらの配列の存在は、宿主細胞中の癌の存在についての指標となるであろう。
アポトーシス配列は、多数の遺伝子および多数の癌で共通でありうる。このことは、それらが、すべての癌細胞株または癌被験体に存在することを意味しない。したがって、どのアポトーシス配列が被験体の個別の癌に対応するかを知ることが望ましい。そして、該配列を使用して、適切なアポトーシス配列血清を作製することができる。これを図7で説明する。その場合、すべての癌細胞を根絶するために単一の癌が複数の血清を必要とする場合がある。図7は、さらに、癌タイプ間のアポトーシス配列の重複を示す。1つの血清が多数のタイプの癌に対して有効であるからといって、2人の癌被験体が同一の癌突然変異を有すると推定すべきではない。このフレキシビリティーは、現行の化学療法の固定された標的化に対してアポトーシス配列の血清を優位にする。
候補アポトーシス配列のコンピュータによる特定
本発明のアポトーシス配列は、専売ソフトウェアおよび、癌性および健常細胞および組織についての遺伝情報の記録に基づく公共データベースの情報を使用して単離された。具体的には、専売ソフトウェアおよびスーパーコンピュータを使用して、癌細胞株由来のmRNAデータの任意の一部分をすべての健常細胞株由来のすべての利用可能なmRNAデータと比較した。それは図3で図示される通りである。候補アポトーシス配列をコンピュータによって特定した後、癌細胞識別およびアポトーシス効果に関してそれらをin vitroで試験する。
コンピュータ解析によって、図3に示されるスクリーニング方法に基づいて、種々の癌タイプに関する候補アポトーシス配列セットが得られる。1タイプの癌を他のタイプより優先してよい。これは、コンピュータが、優先癌タイプにおいて少なくとも1回出現していることが既知の候補のみを示すよう要求することにより行われる。これは細胞株またはcDNAライブラリー名称によって決定される。この情報を示す一例を図4に提供する。表6は、結腸癌が優先癌タイプである場合の上位候補を示す。公共データベースは、任意の癌タイプに関してそのような表の作成を可能にするために十分に堅牢である。表6は、さらに、該配列を含有していることが知られている種々の癌、および該配列を含有することが知られている複数の遺伝子を示す。
複数遺伝子または単一遺伝子のアポトーシス配列
上述のように、いくつかのアポトーシス配列の複数遺伝子の態様は、タンパク質欠乏による癌細胞死を促進する。しかし、該アポトーシス配列が単一遺伝子に出現する事例もあり、この遺伝子をノックアウトすると細胞死が引き起こされる。そのような事例では、これらの遺伝子中の癌突然変異は癌細胞を特定しかつ区別するための手段を提供し(すなわち癌遺伝子のように機能し)、ならびに癌細胞に対してアポトーシスを強制するメカニズムを提供する(すなわちアポトーシス遺伝子のように機能する)。単一遺伝子における治療上の重要性についてのこの二様性は非常に珍しいが、いくつかの癌細胞の死を誘発する際に特に有用なアポトーシス配列を明らかにする。
表2は、表1のアポトーシス配列に関する追加の情報を示す。具体的には、表2は、それらの複数遺伝子または単一遺伝子マッピングについての特徴付けを提供する。単一遺伝子のアポトーシス配列の場合、公認のNational Institutes of Health(NIH)遺伝子名称が提供される。マップされた遺伝子に付与されている一般的な別名および、マップされた遺伝子と類似であり、該アポトーシス配列を同様に含有する遺伝子が同時に提供され、括弧内に示される。後者の場合、これらの遺伝子のほとんどはNIHによって予測され、まだ特徴付けされていない。
Figure 2008527996
in vitro癌細胞識別についての実験室での試験
表6の候補アポトーシス配列の癌細胞識別能は、癌細胞におけるそれらの存在および健常細胞における不存在に関して試験された。この試験の一般法を図5に示す。試験は、9mmの切除された腫瘍および異なる時点で被験体Rから採取された血液サンプル20mLおよび被験体H由来の血液サンプル20mLを使用して行われた。被験体Rは転移結腸癌を有するヒト女性患者であった。被験体Hは同様に転移結腸癌を有するヒト男性患者であった。複数遺伝子の、一対多数の態様のアポトーシス配列は、生検に加えて血液サンプル中でさえ、転移癌細胞の検出を可能にするために十分な感度を提供する。それは図6に示される通りである。この感度のために、該試験で使用される健常対照サンプルは慎重に選択しなければならない。さもなければ健常細胞であると考えられる細胞において癌が検出されることがありうる。したがって、血管壁のように、通常は癌と関連しない組織由来の健常対照サンプルを使用してよい。
表3は、表6のアポトーシス配列を有するプライマー、3種の癌サンプル、および血管壁の健常対照サンプルを使用したシングルプライミングRT−PCRの結果を示す。表3のプラス記号は配列の存在を示し、マイナス記号は配列の不存在を示す。健常対照サンプル中で認められる配列を候補アポトーシス配列のプールから除き、他の配列が以後の細胞死試験に利用される。
Figure 2008527996
Figure 2008527996
Figure 2008527996
in vitroでの癌細胞死試験
ある候補アポトーシス配列が健常細胞と癌細胞を識別する能力を示したら、次いで該癌細胞を死滅させるその能力を確立してよい。健常細胞と癌細胞を識別する配列の能力は、それが該癌細胞を死滅させることができることを必ずしも意味しない。ほとんどの候補アポトーシス配列を使用して、癌細胞における多数の遺伝子をノックアウトするか、あるいはそれらの発現を別の様式で妨害することができるが、これは該細胞を死滅させるために十分ではないかもしれない。したがって、識別のみが可能で、候補アポトーシス配列になる配列の数と、癌細胞を識別し、かつ死滅させることができ、ゆえに真にアポトーシス配列である配列の数の間に重大な不一致(attrition)が存在するかもしれない。
以後の細胞死試験のために、表3の20個の候補アポトーシス配列を選択した。選択されたアポトーシス配列をホスホロチオエート化DNAとし、市販の脂質に封入した。該脂質はin vitroアンチセンスDNA試験用の標準トランスフェクション技術である。得られたアポトーシス配列血清を、被験体Rから取り出された腫瘍から培養された細胞培養物に投与した。表4はその結果を示し、その結果には、健常および癌細胞死のパーセンテージが含まれる。空白は、相当量の健常細胞および癌細胞の両者が死滅した結果を示す。
Figure 2008527996
表5は、最低の健常細胞死パーセンテージに基づいて表4から選択された最終アポトーシス配列を示す。表3中の癌細胞死を生じさせるすべての配列は、いくらかの健常細胞死を生じさせる証拠をも示したが、該表に示されるような低い細胞死パーセンテージを決定するのは困難なことである。
Figure 2008527996
in vivoマウス試験
健常細胞の死は毒性を直接反映するものであるため、15匹のマウスに種々のアポトーシス配列血清用量を投与した。該血清は表1および表5のアポトーシス配列を有する短い一本鎖DNAから作成した。体重1kgあたりDNA5mgに基づく一回量の各血清を3匹のマウスに投与した。これは各マウスに関してDNA約0.2mgに相当した。
マウスの行動に明らかな変化がない数週間の後、体重1kgあたりDNA50mgに基づく各血清の用量を5匹のマウスに投与した。これは各マウスに関してDNA約2mgに相当した。やはり、数週間後にマウスの行動の明らかな変化は観察されなかった。
ゆえに、体重1kgあたりDNA約5mg〜50mgの範囲のアポトーシス配列血清の用量を投与することは安全であると思われる。体重1kgあたりDNA約25mg以下に用量を制限してもよい。そのような血清に関して、最後の5匹の被験マウスに10×用量の等価物を投与し、副作用は全くなかった。マウスはヒトに関する標準的な毒性モデルであるため、これらの投与量は、ヒトへの投与に関して同様に適切であろう。
アポトーシス配列血清
表1および表5のすべてのアポトーシス配列はマウスにおいて明らかな副作用または毒性を示さなかったが、一方、図7は4種の残りのアポトーシス配列血清を示す。これらの各血清は、癌細胞、例えばヒト被験体の癌細胞に、単独で、あるいは1種以上の追加の血清と組み合わせて投与してよい。ヒト被験体に投与する場合、それらを、他の薬物療法薬、例えば化学療法薬および放射線療法薬、または他の治療、例えば腫瘍を除去するための外科手術、あるいは腫瘍もしくはその血液供給内へのまたは腫瘍付近への注射と組み合わせてもよい。図7の血清は任意のタイプの癌細胞に投与してよいが、それらは、結腸癌細胞死の誘発に関して高い有効性を示すであろう。その理由は、それらが、結腸癌候補アポトーシス配列を優先的に選択するスクリーニングにおいて最初に特定されたからである。
平均的なヒトに関するアポトーシス配列血清についての典型的な低用量には約300mgのホスホロチオエート化DNAを含ませることができ、高用量には約1500mgを含ませてよい。該血清は毎週投与してよい。それは複数のアポトーシス配列核酸を含んでよい。投与は、癌の追加の徴候が検出されなくなるまで継続してよく、癌の徴候が再発したら再開してよい。腫瘍マーカー、例えば該アポトーシス配列に対応するマーカーを、各投与後に測定することができ、その結果、投与される血清を調節してよい。
1種以上のアポトーシス配列血清をあるヒト被験体に投与するための完全な投与方式およびプロトコルの一例は、以下のステップを含むことができる。第一に、アポトーシス配列を有するcGMPホスホチオエート化DNA約300mgを任意の市販の供給元に注文するか、あるいは調製する。それを脱塩するか、あるいはHPLC精製する。該ホスホロチオエート化DNAは、凍結乾燥形式で−20℃で保存された場合、かなり安定である。それは4℃で保存された場合、1週間安定である。第二に、滅菌PBS(リン酸緩衝生理食塩液)または人工CSF(脳脊髄液)を準備する。第三に、300mgのホスホロチオエート化DNAを30mLの滅菌PBSまたは人工CSFとともに調製して、アポトーシス配列血清を形成させる。これらを、4℃でnutatorで穏やかに振とうするか、あるいは4℃でピペットで穏やかに出し入れすることによって混合する。最後に、該アポトーシス配列血清を、30分間の緩徐なIV点滴によって被験体に投与する。
各アポトーシス配列血清は、48時間後にはもはや体内で検出できないはずである。癌細胞に対する効果は投与の24時間以内に検出可能である。
該アポトーシス配列血清は、健常組織に対する影響、例えば肝臓毒性をほとんどまたは全く有さない。
アポトーシス癌血清の速度およびコスト
1種以上のアポトーシス配列血清の複数回の用量を使用して、癌細胞を死滅させることができるが、被験体の中には、癌寛解を誘発するためにわずか一回量で有効な被験体もある。任意の事象において、本発明のアポトーシス配列血清に関連するコストは、慣行の癌治療と比べて低コストでありうる。例えば、上記投与プロトコルを使用して、17塩基長のアポトーシス配列を有する300mgのcGMPホスホロチオエート化DNAは、その脱塩形式で3500ドルで、HPLCによって少なくとも90%純度を有する場合は4000ドルで、およびHPLCによって少なくとも95%純度を有する場合は4500ドルで入手できる。数回の用量に関して十分なPBSまたはCSFは約200ドルで入手できる。この一回量のアポトーシス配列血清は、わずか3500〜4700ドルの範囲のコストしかかからない。
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LTBR遺伝子中に認められる本発明の実施形態に記載のアポトーシス配列を示す。それは健常細胞トランスクリプトーム由来のmRNAに対してアライメントされている。一塩基多型(SNP)の位置が示されている。 6種の異なる癌細胞株および4種の異なる癌タイプ由来の本発明の実施形態に記載のアポトーシス配列を示す。それは17種の異なる遺伝子由来の対応する健常mRNAに対してアライメントされている。 アポトーシス配列の候補を発見する方法を示す。 複数の癌細胞株における図2のアポトーシス配列を示す。配列の単離のためのPCR条件がさらに示される。 アポトーシス配列プライマー、例えば本発明の実施形態に記載のアポトーシス配列を有するプライマーを使用する、シングルプライミングPCRのための方法を示す。 種々のアポトーシス配列プライマーの候補に関し、健常なヒトおよび2人の癌被験体の腫瘍または血液サンプル由来のcDNAに関してゲル上で分析されたシングルプライミングPCRの結果を示す。本発明のアポトーシス配列プライマーには、番号5、8、9、11、14、60および66によって特定されるプライマーが含まれる。 4種のユニークな癌突然変異を有する癌細胞を根絶するために、実施例の実施形態において本発明の4種のアポトーシス配列核酸、例えばDNAをどのように組み合わせてよいかを図示する。

Claims (20)

  1. 以下の配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7からなる群より選択される配列を有する核酸。
  2. DNAを含んでなる、請求項1に記載の核酸。
  3. 一本鎖DNAを含んでなる、請求項2に記載の核酸。
  4. 以下の配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7からなる群より選択される配列を有する核酸;および
    製薬上許容される担体
    を含んでなる組成物。
  5. 核酸がDNAを含む、請求項4に記載の組成物。
  6. 核酸が一本鎖DNAを含む、請求項3に記載の組成物。
  7. 以下の配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7からなる群より選択される配列を有する、少なくとも1種の追加の核酸を含んでなる、請求項4に記載の組成物。
  8. 化学療法薬または放射線療法薬をさらに含んでなる、請求項4に記載の組成物。
  9. 液体担体と、約0.17mg/mL〜1.7mg/mLの濃度の核酸とを含んでなる、請求項4に記載の組成物。
  10. 約10mg/mLの濃度の核酸を含んでなる、請求項4に記載の組成物。
  11. 製薬上許容される担体が、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)または人工脳脊髄液(CSF)を含む、請求項4に記載の組成物。
  12. 以下の配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7からなる群より選択される配列を有する核酸;および
    製薬上許容される担体
    を含有する血清を癌細胞に投与するステップを含む、癌細胞を死滅させる方法。
  13. 癌細胞が癌を有する被験体体内に存在するものである、請求項12に記載の方法。
  14. 以下の配列:配列番号2、配列番号3、配列番号4、および配列番号5からなる群より選択される配列を有する第2の核酸も含有する血清を投与することを含む、請求項12に記載の方法。
  15. 以下の配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7からなる群より選択される第2の配列を有する第2の血清を癌細胞に投与するステップを含む、請求項12に記載の方法。
  16. 前記核酸を、約5mg〜50mg核酸/kg被験体の用量で投与することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  17. 前記核酸を、癌細胞を死滅させるのに有効な量であるが、約25mg核酸/kg被験体よりも少ない用量で投与することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  18. 前記血清を毎週投与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  19. 前記血清の核酸の配列を有する核酸を含有する癌細胞について被験体を試験するステップ、および該配列が存在する場合に血清を投与するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  20. 投与ステップが静脈内点滴による投与を含む、請求項12に記載の方法。
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