JP2008527358A - 血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的相互作用によって特徴づけられる疾患及び障害の異なる形態を区別する方法及びアッセイ - Google Patents
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Abstract
Description
特に、本発明は、血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的相互作用によって特徴づけられる疾患及び障害の異なる状態又は形態を区別するため;該疾患又は障害の進行を追うため;該疾患又は障害の進行についての予測を行うため;該疾患又は障害に適した治療又は治療計画を決定するため;該治療の治療効力を決定するため;及び/又は必要が示された場合に該治療を修正するために使用可能なパラメーターを提供する方法に関する。
本発明のさらなる局面、実施態様、使用、適用及び利点は以下のさらなる説明で明らかになるだろう。
本発明は、血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的相互作用によって特徴づけられる少なくとも1種の疾患又は障害をわずらっている患者、又は前記疾患又は障害をわずらっている疑いのある患者から得た生物学的試料中の活性化vWFのレベルを用いて、血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的相互作用によって特徴づけられる疾患及び障害の異なる状態又は形態を区別し;該疾患又は障害の進行を追い;該疾患又は障害の進行について予測を行い;該疾患又は障害に適した治療を決定し;該治療の治療効力を決定し;及び/又は必要が示された場合に該治療を修正することができるという驚くべき知見に基づいている。
a)血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的相互作用によって特徴づけられる少なくとも1種の疾患又は障害をわずらっている患者、又は前記疾患又は障害をわずらっている疑いのある患者から得た少なくとも1つの生物学的試料を供給する工程;
b)前記生物学的試料中の活性化vWFの量を決定する工程;
を含み、
前記試料中の活性化vWFの量が前記疾患又は障害の異なる状態又は形態を表す。
本発明の方法で使用する生物学的試料は、好ましくはvWFを含み、さらに好ましくはvWFと血小板を含む試料である。特に、全血、血漿、血清又は他の適切な血液画分から生物学的試料を選択することができる。
本発明の方法では、試料中の活性化vWFの量(例えば、絶対量、レベル及び/又は濃度)を、活性化vWFの量についての参照値、例えば、該疾患又は障害をわずらっていない患者又は患者群から得た参照値;該疾患又は障害をわずらっている患者又は患者群から得た参照値;異なる形態の該疾患又は障害をわずらっている患者又は患者群から得た参照値と比較することができる。試料中の活性化vWFの量を同じ患者から得た(例えば、より早い時点及び/又はより遅い時点で得た)1以上のさらなる試料中のvWFの量と比較してもよい。後述する実験セクションを参照されたい。
例えば、試料中の活性化vWFの量を同試料中の非活性化vWFの量及び/又は (活性化及び非活性化)vWFの総量と比較してもよい。また、試料中の活性化vWFと非活性化vWFの量の適切な比(例えば、該試料中のvWFの総量に対する該試料中の活性化vWFのパーセンテージ)を参照値、例えば、該疾患又は障害をわずらっていない患者又は患者群から得た参照値及び/又は該疾患又は障害をわずらっている患者又は患者群から得た参照値と比較してもよい。この目的のため、それ自体既知の方法で非活性化vWFの量及び/又はvWFの総量を決定することができる。この場合もやはり後述する実験セクションを参照されたい。
使用する試料がvWFと血小板を両方とも含む場合、試料中の活性化vWFの量を同試料中の血小板数と比較してもよい。また、試料中の活性化vWFの量と試料中の血小板数の適切な比を参照値、例えば、該疾患又は障害をわずらっていない患者又は患者群から得た参照値及び/又は該疾患又は障害をわずらっている患者又は患者群から得た参照値と比較してもよい。この目的のため、それ自体既知の方法で試料の血小板数を決定することができる。この場合もやはり後述する実験セクションを参照されたい。
1つの好ましいが、限定的でない実施態様によれば、本発明の方法を用いて血小板減少性紫斑病(TTP)の異なる状態又は形態を区別し、該疾患の進行を追い、該疾患の進行について予測を行い;該疾患に適した治療又は治療計画を決定し;該疾患の治療の治療効力を決定し;及び/又は必要が示された場合に該疾患の治療を修正する。特に、この実施態様によれば、本発明の方法を用いて後天性TTPの患者と先天性TTPの患者を区別できる。実験パートで後述するように、先天形態のTTPの患者から得た試料は、後天形態のTTPの患者から得た試料より有意に多い活性化vWFを含むだろう。したがって、先天形態のTTPの患者を後天形態のTTPの患者から区別することができる(例えば、臨床医によって)。
別の好ましいが、限定でない実施態様によれば、本発明の方法を用いて、子癇前症及び/又はHELLP症候群の異なる状態又は形態を区別し、該疾患の進行を追い、該疾患の進行について予測を行い;該疾患に適した治療又は治療計画を決定し;該疾患の治療の治療効力を決定し;及び/又は必要が示された場合に該疾患の治療を修正する。例えば、この実施態様によれば、本発明の方法を用いて子癇前症の患者とHELLP症候群(子癇前症の重症形態)の患者を区別できる。この実施態様を用いて子癇前症の進行を追い、及び/又は子癇前症の進行を予測することができ、特に、子癇前症の患者がHELLPを発症するか、及び/又は子癇前症の患者がHELLPを発症する危険が高いかを予測することができる。実験パートで後述するように、HELLPの患者から得た試料は、健康な妊娠している対象から得た試料及び子癇前症の患者から得た試料より有意に多い活性化vWFを含むだろう。したがって、HELLP症候群の患者を健康な対象及び子癇前症の患者から(例えば、臨床医によって)区別することができ、子癇前症の進行を追い、及び/又は予測し、特に子癇前症の患者がHELLPを発症するかを予測でき、及び/又は子癇前症の患者がHELLPを発症する危険が高いかを決定することもできる。
[平均値]+[2xSD]
(ここで、
[平均値]=健康なボランティア群から得た試料中の活性化vWFの平均量;
[2xSD]=前記試料の標準偏差)
より高い場合、前記試料は、“増加した”又は“上昇した”レベルの活性化vWFを含むと考えることができ;
実際には、非健康患者から得た試料は、この値より有意に高い活性化vWFのレベルを含みうることが理解される(後述する実験パートの値を比較)。
本発明の方法では、それ自体既知のいずれの方法でも、例えば適切な分光光度法、クロマトグラフ法、質量スペクトル法又は他のそれ自体既知の適切な方法で活性化vWFの量を決定することができる。
しかし、活性化vWFの量は、好ましくは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる結合作用因子と生物学的試料を接触させ、場合により次に前記結合作用因子に結合している活性化vWFの量を決定することによって決定される。
これは、当業者には明らかなように、結合作用因子を含むどのような適切な結合アッセイを用いても達成することができ、例えばELISA又はRIA等の免疫吸着アッセイ;マイクロアレイの使用を含むアッセイ;カラム、(共有結合によって又は他の様式で)結合作用因子が付着したビーズ又は他の支持体を含むアフィニティー法;ビーズ又は適切な標識若しくはマーカー(例えば、蛍光マーカー)に付着した結合作用因子の使用を含むセルソーティング法(例えばFACS)の使用;及び適宜標識した結合因子の使用を含む他の方法が挙げられる。
結合作用因子が (共有結合によって、又は他の様式で) 付着する適切な担体(例えば、紙のストリップ、チューブ、ウェル、又は他の適切な表面若しくは媒体)の使用を通じて本発明の方法を実施することも考えられる。次に、この担体を適切な方法で適切な時間、試料に曝露した後、該担体に結合した活性化vWFの量を決定することができる。これは、例えば、結合したvWFを担体から溶出してから、溶出した活性化vWFの量を決定する、試料に曝露する前後の担体上に残存している遊離の結合部位の量を比較する、及び/又は前記担体に結合した活性化vWFの量を直接測定することによって遂行しうる。例えば、担体が該担体に結合したvWFの量を指示する(例えば、色の変化を通じて)指示手段を備えてもよいと考えられ;又は担体を適宜該担体に結合した活性化vWFの量の尺度となる信号(例えば、色の変化)を与えるようにさせうると考えられる。
非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できるいずれの適切な結合作用因子(すなわち、vWFの活性化/結合コンホメーションと、vWFの非活性化/非結合コンホメーションを区別できる結合作用因子)も使用できる。
例えば、この結合作用因子は非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できるタンパク質又はポリペプチドでよく、例えば、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる抗体;抗体の部分又はフラグメント(前記部分又はフラグメントは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる);又は抗体の1以上の部分又はフラグメントを含む、及び/又は抗体の1以上の部分又はフラグメントを構成するタンパク質又はポリペプチド(前記部分又はフラグメントの少なくとも1つは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる)でよい。
特に、前記部分又はフラグメントは可変ドメイン、例えば重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメイン、或いは重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインを両方含むScFvでよい。このような抗体とフラグメント、及びそれらを得る方法は当業者には明らかであり、例えば以下の文献を参照されたい:Roitt et al, “Immunology” (6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh (2001);及びJaneway et al, “Immunobiology” (6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York (2005)。
重鎖抗体とそれを得る方法は技術的に開示されており、例えば、一般的な背景技術として引用される以下の参考文献を参照されたい:Vrije Univwesiteit BrusselによるWO 94/04678(=EP 656 946), WO 96/34103(=EP 0 822 985)及びWO 97/49805;Vlaams Interuniversitair Institute voor BiotechnologieによるWO 97/49805;Unilever N.V.によるWO 94/25591(=EP 0 698 097)及びWO 00/43507;National Research Council of CanadaによるWO 01/90190;the Institute of AntibodiesによるWO 03/025020(=EP 1 433 793);出願人によるWO 04/062551, WO 04/041863, WO 04/041865, WO 04/041862;並びに例えばHamers-Casterman et al, Nature, Vol. 363, p. 446 (1993)及びRiechmann and Muyldermans, Journal of Immunological Methods, 231 (1999), p. 25-38。
上記参考文献でも言及されているように、天然に存在する重鎖抗体は、天然に存在する通常の4-鎖抗体(本来、重鎖と軽鎖を両方含む)中に存在する軽鎖を含まない。このため、このような天然に存在する重鎖抗体は、当該技術では“単鎖抗体”(例えばWO 02/085945参照;VLドメインに共有結合したVHドメインを含む合成ポリペプチドである、いわゆる“単鎖Fv”又は“scFv”と混同すべきでない)及び“軽鎖のない免疫グロブリン”(例えば、EP 0 656 946及びさらに上記一般的な背景技術のいくつかを参照)とも呼ばれており、この用語は、本明細書の目的では、本明細書で使用する用語“重鎖抗体”に等しいと考えるものとする。
これら参考文献でも言及されているように、天然に存在する重鎖抗体の重鎖は、CH3ドメイン、CH2ドメイン及び可変ドメインを含むが、軽鎖ドメインに加え、天然に存在する通常の4-鎖抗体の重鎖中に存在するCH1ドメインを欠いている。本明細書では、天然に存在する重鎖抗体由来の可変ドメインを“VHHドメイン”とも呼ぶ。一般に“VHドメイン”と呼ばれる通常の4-鎖抗体由来の可変ドメインと前記可変ドメインを区別するためである。
一般的に、VHHドメインは通常のVHドメインの免疫グロブリンフォールドを保持する構造を有する。しかし、VHドメインに比べてVHHドメインは、そのアミノ酸配列中(特にそのフレームワーク領域中)に、VHHドメイン内の、VHドメイン中であればVH/VLドメイン中間相を形成するであろう領域/残基をさらに疎水性にする1以上の置換を含む(上で引用した一般的な背景技術を参照されたい)。
また、上で引用した一般的な背景技術で言及されているように、重鎖抗体とVHHドメインは、それぞれ如何なる軽鎖又は軽鎖可変ドメインが存在しなくても抗原と結合できるという主要な利点を有する。このため、重鎖抗体とVHHドメインは、通常の4-鎖抗体又はその軽鎖若しくは重鎖可変ドメインより容易に得ることができ、発展させ、(特に)大規模に製造し、使用し、及び/又は支持体に結合させることができる。例えば、Hindustan Lever Limitedによる国際出願WO 01/40310には固体支持体上のVHHドメインの固定化が開示されている。
出願人による国際出願WO 04/062551(引用によって本明細書に援用する)は、vWFの種々のドメインに対する重鎖抗体及びvWFの活性化と非活性化の両形態に対する重鎖抗体、該重鎖抗体のVHHドメイン、それらに基づいたNanobodiesTM、並びにそれらを得る方法について開示している。これら重鎖抗体とVHHドメインは、本明細書で述べる方法で使うために特に適している。例えば、vWFの活性化形態に向けられた(例えば、vWFのA1ドメインの活性化形態に向けられた)WO 04/062551の重鎖抗体(又はそのVHHドメイン)を用いて本発明の試料中の活性化vWFの量を決定することができる。一方、vWFの非活性化形態に向けられた(例えば、A1ドメインの非活性化形態に向けられた)又はvWFの活性化と非活性化の両形態に向けられた(例えば、vWFのA3ドメインに向けられた)WO 04/062551の重鎖抗体(又はそのVHHドメイン又はそれに基づいたNanobodyTM)を本発明の方法で用いて、それぞれ試料中の非活性化vWFの量又は試料中のvWFの総量を決定することができる。
本発明の方法で使用可能な他のNanobodiesは、出願人の公開されていない米国仮出願60/683,474(2005年5月20日提出、名称“凝集-媒介障害の治療用NanobodiesTM”)に記載されている。
既に上述したように、また、以下の実験パートでさらに説明するように、本発明で決定される値をパラメーターとして用いて(例えば臨床医によって)、血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的相互作用によって特徴づけられる疾患又は障害の異なる状態又は形態を区別し;該疾患又は障害の進行を追い;該疾患又は障害の進行について予測を行い;該疾患又は障害に適した治療を決定し;該治療の治療効力を決定し;及び/又は必要が示された場合に該治療を修正することができる。このことは、本明細書の開示に基づいて臨床医のスキルの範囲内である。
本発明の方法とアッセイを例えば上記疾患及び/又は障害についての研究、及び/又は該疾患又は障害におけるvWFの役割に関する研究で使用することもできる。
本発明は、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFに結合できる結合作用因子の、血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的相互作用によって特徴づけられる疾患及び障害の異なる状態又は形態を区別するための使用、及び/又は該疾患又は障害の進行を予測するための使用;及び/又は前述した方法における使用、及び/又は上述したキットの構成要素としての使用にも関する。
前記結合作用因子は、好ましくはさらに上述した通りであり、例えば抗体又は抗体の部分若しくはフラグメント(前記抗体、部分又はフラグメントは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFに結合できる);該抗体の少なくとも1つの部分又はフラグメントを含み、及び/又は構成するタンパク質又はポリペプチド;重鎖抗体又はその部分若しくはフラグメント(前記重鎖抗体、部分又はフラグメントは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFに結合できる);該重鎖抗体の少なくとも1つの部分又はフラグメントを含み、及び/又は構成するタンパク質又はポリペプチド;NanobodyTM(前記Nanobody(ナノ抗体)は非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFに結合できる);又は1以上のNanobodiesTMを含むタンパク質又はポリペプチドでよい。
また、この目的のため、それ自体既知の方法で、1以上の医薬的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤を用いて適切な医薬形態又は医薬製剤に前記結合作用因子を組み入れ、かつ適切な治療計画に従い、適切な投与経路によって、該予防又は治療が必要な患者に治療的に有効な量で投与することができる。この場合もやはり、例えばWO 04/062551及び米国仮出願60/683,474(参照によって本明細書に援用する)を参照されたい。
本発明は、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる結合作用因子(上述したような)の、試料又は流体、特に活性化vWFと非活性化vWFを両方とも含む試料又は流体から活性化vWFを選択的に除去するための使用にも関する。試料は、特に、上述したような生物学的試料、例えば、患者から得た生物学的試料でよい。流体は、例えば、血液又は血漿のような生体液でよく、例えば患者から得てもよい。
上で参照した出願人の出願で既に述べたように、造影目的で有利にNanobodiesを使用することができる。本発明によれば、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる、特に非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できるNanobodiesを、特にin vivoイメージングのために使用して血小板に富む血栓の位置を特定できることが分かった。この目的のため、いずれの方法(例えば、米国仮出願60/683,474でNanobodiesについて述べたように)で標識した結合作用因子も使用することができる。次に、標識した結合作用因子を対象に、該対象の血液循環中に存在しうるいずれの血小板リに富む血栓を可視化するのにも適した量で投与(それ自体既知のいずれかの適切な方法、例えば、静脈内注射又は注入で循環血液中に直接導入して)後、それ自体既知のいずれかの方法、例えば、NMR、MRI、PET又はいずれかの他の非侵襲的方法(使用する標識によって決まる)を用いて前記血栓を可視化することができる。
例えば、後述するナノ抗体 AU/VWFa-11をトレーサー剤として用いて患者の脈管構造内の血栓の位置を特定することができる。血漿内を循環するVWFとは対照的に、血栓中に存在するVWFは活性な血小板結合コンホメーションで存在する。ナノ抗体AU/VWFa-11は選択的に活性VWFを認識するので、このナノ抗体は血栓中に存在するVWFを選択的に標的にするだろう。従って、ナノ抗体を適切に標識すると、ナノ抗体は血栓の位置を特異的に特定することができる。適切な標識化として、限定するものではないが、放射線医療で用いられる放射性核種(例えば、111In、67Ga、68Ga、99mTc)、磁気共鳴画像処理で用いられる標識(例えば、Gd)又は光学技術による検出用のマーカー(例えば、コロイド金)が挙げられる。
図1は、基準Nanobody(ナノ抗体)とAU/VWFa-11のwt-VWF及びリストセチン-活性化VWFに対する示差的結合性を示すグラフである。図1A/図1B:Pd-VWFをマイクロタイターウェルに固定化し(1μg/ml,4℃で一晩)、種々の濃度のビオチン化した基準Nanobody (図1A,0〜625nM)とAU/VWFa-11(図1B,0〜10nM)と共にインキュベートした。結合した抗体をHRP-結合ストレプトアビジンで検出した。図1C/図1D:Pd-VWF被覆マイクロタイターウェルを種々の濃度のwt-VWFの存在下又は非存在下(●)、或いは1mg/mlのリストセチンと予めインキュベートした(5分,室温)異なる濃度のVWFの存在下又は非存在下(○)で基準Nanobody(62.5nM,図1C)とAU/VWFa-11(1.9nM,図1D)と共にインキュベートした(基準Nanobodyでは0〜90nM、AU/VWFa-11では0〜20nM)。結合した抗体はHRP-結合ストレプトアビジンで検出した。VWFの非存在下における結合を100%に設定した。VWFの存在下における残存結合を比VWF(nM):抗体(nM)に対してプロットした。データは、3回の実験の平均±SDを示す。
血小板とフォンビルブラント因子は一緒に血液循環中に存在するが、相互作用は損傷部位でのみ起こる。これら部位において、VWFは、血小板上の露出した内皮下マトリックスとGpIb-IX-V複合体との間の分子ブリッジとして作用する。この相互作用にはVWFのA1-ドメインのGpIb-結合コンホメーションへのシフトが必要である。本明細書では、ラマ抗体の可変ドメイン(“NanobodyTM”(ナノ抗体))AU/VWFa-11はVWFの非結合コンホメーションと結合コンホメーションとを区別できることを論じる。この抗体の可変ドメインは、VWFの活性化時だけ露出されるA1ドメイン中の部位を認識する。単離されたA1ドメインに対するAU/VWFa-11の親和性は77nMであることが分かったが、フォンビルブラント病の2B型変異R1306Qの導入、又はリストセチンとのインキュベーションは結合効率を高めた。AU/VWFa-11を用いて、2B型VWDの血漿中のVWFのコンホメーション及び血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura(TTP))患者を研究した。これらの病気は異なる表現型の外観を有するが、両方とも自発的な血小板-VWF相互作用によって引き起こされる血小板減少によって特徴づけられる。2B型VWD患者及びTTP患者の血漿は、有意に増加したレベルの活性化VWFを含んでいた(それぞれ、p<0.001及びp<0.0001)。さらに、2B型VWD患者では活性化VWFと血小板数との間に逆の相関関係が見られた。先天性形態のTTPの患者由来のVWFは、後天性TTP患者由来のVWFより有意に活性化されていた(p<0.05)。結論として、AU/VWFa-11免疫吸着アッセイを用いてTTPを検出することができ、かつ後天性TTPと先天性TTPを区別することができる。AU/VWFa-11免疫吸着アッセイは、他の疾患におけるVWFの役割を調査するための手段を提供することもできるだろう。
VWFとGpIb/IX/V複合体との間の相互作用は、両成分の特異的領域によって媒介される:VWF残基1238〜1481(いわゆるA1ドメイン)はGpIbαとの残基1〜290の相互作用部位を含む3。この複合体の構造は原子レベルで解析されているが4、この相互作用に関して不明なままの問題もある。例えば、VWFとGpIbαが血液循環中に一緒に存在するという概念にもかかわらず、正常な状態下ではその相互作用が生じない。対照的に、単離された組換えA1ドメインはGpIbαへの自発的な結合を示す。明らかに、その多量体環境における非結合態様から結合態様のVWF A1ドメインへのシフトは複合体形成を誘導するために必要である4。しかし、この活性化工程の分子的根拠はあまり知られていない。
2B型VWD及びTTPは異なる表現型の外観と関連するが、これらは、循環するVWF多量体の少なくとも一部が活性コンホメーションで存在するであろうということが共通している。リストセチン依存性の血小板凝集を測定することで活性化VWFの存在を決定できる。しかし、この方法は感受性が低く、VWF抗原が低いときは使えない。本明細書では、固定化されたVWFを認識するが天然のVWFを認識しないラマ-由来のモノクロナール抗体の可変ドメインが記載され、この抗体の可変ドメインが、VWFの活性化によって露出されるようになるVWFのA1ドメイン内のエピトープを認識することを示唆している。引き続きこの抗体の可変ドメインを用いて2B型VWD患者とTTP患者の血漿試料中の活性化VWFの存在をモニターした。この分析は、両患者群の循環中では活性化VWFのレベルが正常な個体に比べて2〜10倍上昇していることを明らかにした。
タンパク質と抗体:
記載されたように組換えGpIbα(残基1〜290)を発現させ、精製した4。GpIbα抗体(2D4)は、H. Deckmyn博士(Kortrijk, Belgium)から親切にも提供されたものである。ボトロセチンはKordia研究室供給(Leiden, The Nethrelands)から購入した。血漿由来の(pd)-VWFを凍結沈降物(Haemate P 250 IE, Behringwerke AG, Marburg, Germany)から記載通りに精製した21。ウシ血清アルブミン及びヒト胎盤コラーゲンIII型はSigumaから得、ヒトアルブミン(Fraction V)はMP Biochemicals(Irvine, CA USA)から得た。VWFに対するポリクロナール抗体とVWFに対するHRP-結合抗体はDakocytomation(Glostrup, Denmark)から得た。
wt-VWFとVWF/R1306Qをコードする発現ベクターpNUTの構築は以前に記載された22-24。VWF/A1(1261〜1468)とVWF/A1(1261〜1468)-R1306Qを発現ベクターpPIC9にクローン化し、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)で過剰発現させた4。フォワードプライマー5'-GGATCCCAGGAGCCGGGAGGCCTGGTGG-3'及びリバースプライマー5'-GCGGCCGCCCCCGGGCCCACAGTGACTTG-3'でPCR産物を生成することによってpNUT-VWF/A1(1238〜1481)を構築した。この際、pNUT-VWFを鋳型として使用した。配列解析後、C-末端の6-ヒスチジンタグを含むBamHI-NotI消化pNUTベクターにBamHI-NotIフラグメントを連結した。ベイビーハムスターの腎臓細胞(プロペプチドの正確な除去のためのフューリンも過剰発現している)内でwt-VWF、VWF/R1306Q及びVWF/A1(1238〜1481)を安定的に発現させた22。記載された通りに無血清条件培地から全長タンパク質を精製した25。Ni2+/NTAクロマトグラフィーを用いて発現培地からVWF/A1(1238〜1481)を精製した4。VWF/A1(1261〜1468)とVWF/A1(1261〜1468)-R1306Qをピキア・パストリスで発現させてヘパリンセファロース上で精製後、ゲルろ過した4。SDS-PAGEによる分析は、すべての組換えタンパク質が均質に精製されたことを示した。以前に記載されている通りに0.1% SDS、1% アガロースゲル電気泳動を用いてwt-VWFとVWF/R1306Qの多量体構造を解析した。
高分子量の多量体を含むwt-VWF調製物で免疫してラマ抗体を産生させた。免疫及びライブラリー構築は記載されたように行った27。抗体の可変ドメインの選択のため、Maxisorpマイクロタイタープレート(NUNC, Denmark)のウェルを50mMのNaHCO3緩衝液中5μg/mlのVWF/A1(1238〜1481)で被覆した(pH 9.6, 4℃で一晩)。洗浄後、1%のカゼインを含むPBS(PBS-C)で室温にて3時間ウェルをブロッキングし、ファージと共にインキュベートした(室温で2時間)。ウェルをPBSで10回洗浄し、結合したファージを0.2Mのグリシン緩衝液(pH 2.4, 室温で20分)で溶出した。溶出されたファージを指数関数的に増殖している大腸菌TG1細胞に加え28、細胞をLB-アンピシリン上に蒔いた。第2ラウンドでは、ファージを10μg/mlの組換えwt-VWFに再懸濁させた後、VWF/A1(1238〜1481)被覆マイクロタイターウェル中でインキュベーションした。ウェルを30分10μg/mlのwt-VWFで7回洗浄し、結合したファージを溶出してTG-1細胞を感染させた。TG-1細胞培養に1mMのイソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシドを添加して発現を誘導し(OD600nm=0.5)、記載されたようにペリプラズムタンパク質を抽出し29、被覆VWF/A1(1238〜1481)(2μg/ml)への結合について分析した。ポリクロナールウサギ-抗-ラマ抗体(Dakocytomation)とHRP-結合ヤギ-抗-ウサギ抗体(Ablynx, Zwijnaard, Belgium)で結合を検出した。すべてのポジティブクローンのDNAをHinfIで消化し、異なるHinfIパターンのクローンを用いて大腸菌の非サプレッサー株、WK-6細胞を形質転換させた27。ペリプラズム試料を記載されたように調製し、Ni2+/NTA樹脂を用いて抗体の可変ドメインを均質に精製した。
AU/VWFa-11と活性化VWFとの相互作用の特異性を免疫吸着アッセイで評価した。このアッセイでは、精製したpd-VWF(3.7nM)をマイクロタイターウェル(Costar, Cambridge MA, USA)に固定化した。3%のBSAと0.1%のTween-20を含むPBSで37℃にて1時間ウェルをブロッキングし、種々の濃度の基準Nanobody(WO 04/062551に従う)とPBS中のビオチン化AU/VWFa-11(0〜625nM)と共に37℃で1時間インキュベートした。HRP-結合ストレプトアビジンで抗体の可変ドメインの結合をモニターし、半最大結合時の抗体濃度を決定した。これら濃度を競合アッセイで用い、pd-VWF被覆ウェルを指示濃度のwt-VWF又は1mg/mlのリストセチンとプレインキュベートした(室温で5分)wt-VWFの非存在下又は存在下の抗体とインキュベートした(基準Nanobodyについては0〜115nMの可溶性VWF及びAU/VWFa-11については0〜38nM)。洗浄後、ウェルをHRP-結合ストレプトアビジン(Dakocytomation, Denmark)とインキュベートし、基質としてo-フェニレンジアミン(OPD)を用いてHRP-活性を測定することで結合を検出した。
Biacore 2000システム(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を用いて、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance(SPR))結合研究を行った。供給業者(Biacore AB, Uppsala, Sweden)が指示している通りにアミン-カップリングキットを用いてCM5センサーチップ上にAU/VWFa-11を固定化した。VWFのA3ドメインを認識するナノ抗体、V128Hを対照として用いた。V128H被覆チャンネルへの結合に対してVWF/A1(1238〜1281)、VWF/A1(1261〜1468)及びVWF/A1(1261〜1468)-R1306Q(2B型突然変異)のAU/VWFa-11被覆チャンネルへの結合を補正した。VWF構成物の固定化Nanobodiesへの結合は150mMのNaCl、25nMのHepes、0.005%のTween-20(pH 7.4)中25℃で5μl/分の流速にて行った。引き続き50mMのトリエチルアミンとギ酸緩衝液(10mMのNaHCO2と150mMのNaCl pH 2.0)を施して表面の再生を行った。
50mMのNaHCO3(pH 9.6)中、マイクロタイターウェル(Nunclon, NUNC, Denmark)で4℃にて一晩wt-VWF(37nM)を固定化した。PBS中0.5%のPVPで室温にて1時間ウェルをブロッキングし、1.25μMのAU/VWFa-11又は基準Nanobodyとインキュベートした(室温で1時間)。PBSで3回洗浄後、GpIb-IX-V複合体を発現するCHO-細胞(Lopez博士からの提供、0.1%のBSAを含むDMEM中1x105個の細胞)を基準Nanobody又はAU/VWFa-11(1.25μM)の存在下又は非存在下で固定化VWFに結合させた(37℃で90分)。ウェルを洗浄し、溶解緩衝液(1%のTriton-X-100中3mg/mlのPNP, 50mMの酢酸, pH 5.0)に希釈したp-ニトロフェニルホスフェート(PNP, Sigma)を基質として用いてCHO-細胞の内因性のアルカリ性ホスファターゼ活性を測定することによって細胞の結合を検出した。
先行する10日の間アスピリン又は他の非ステロイド性抗炎症薬の摂取をしなかった健康なボランティアから採取した全血でIII型コラーゲン上の潅流を行い、50μg/mlのPPACK(H-D-Phe-Pro-Arg-クロロメチルケトン, Bachem, Torrence, CA USA)及び20U/mlの五糖の0.1容中に潅流した。Thermanoxカバーガラス(NUNC, Denmark)をコラーゲンIII型で被覆し30、全血をカバーガラス上で5分1600秒-1にて潅流した。VWF被覆カバーガラス上の潅流は記載通りに30、再構成した血液で1600秒-1のせん断速度で行った。潅流後、該スライドを洗浄し、固定化および染色し30、OPTIMAS 6.0ソフトウェアによるコンピューター利用解析で血小板の付着を評価した(Dutch Vision Systems BV, Breda,The Netherlands)。すべての潅流を3回行った。
Vacutainerシステムを用いて3.1%のクエン酸塩中に健康ドナー(n=9)、2B型VWDの患者(n=10)及び後天性TTPの患者(n=12)又は先天性TTPの患者(n=5)の血漿試料を収集した。血小板減少を伴う常染色体遺伝性出血障害、高リストセチン誘導血小板凝集及びゲル電気泳動で高い多量体のVWF多量体の非存在という典型的パターンのファミリーで2B型VWDが診断された。後天性血栓性血小板減少性紫斑病の患者は血小板減少、クームス(Coombs)陰性溶血性貧血及び末梢血中の断片化赤血球の存在によって特徴づけられる。溶血性貧血及び血小板減少の他の原因を排除し、すべての患者を血漿交換によって治療した。血漿交換に対する応答をすべての患者で観察した。治療前に血漿試料を採取し、これら試料中にADAMTS-13活性が存在しないことが分かった。先天性型TTPの5人の患者の血漿試料は親切にJ.P. Girma(Hospital de Bicetre, Paris, France)によって提供された血小板不足血漿(PPP)を等分して-80℃で凍結させた。正常なプール血漿(NPP)として、40人の健康なドナーのPPPをプールして小分けして-80℃にて貯蔵した。すべての患者に、科学目的のために血液をサンプリングすることについてインフォームドコンセントを与えた。
前に記載した通りにVWF抗原レベルを定量化した26。マイクロタイターウェル(Maxisorb, NUNC, Denmark)を50mMのNaHCO3(pH 9.6)中5μg/mlのAU/VWFa-11で4℃にて一晩被覆し、3%のBSAと0.1%のTween-20を含むPBSで37℃にて30分ブロッキングした。0.1%のTween-20を含むPBSで3回洗浄し、wt-VWF又はVWF-R1306Qを含む培養基、又は血漿試料と共にインキュベートした(37℃で1時間)。すべての試料をPBSで希釈して0.23〜1.85nMのVWF濃度にした。PBS-Tweenで3回洗浄後、プレートをHRP-結合ポリクロナール抗-VWF(1.3μg/ml)とPBS中37℃で1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tweenで3回洗浄し、基質としてo-フェニレンジアミン(Merck, Germany)を用いてHRP-活性を測定することで結合を検出した。各ELISAで正常なプール血漿(NPP)を標準物質として用いた。下記の式1を用いて種々の血漿試料の傾きを、NPP結合について見られる傾きと比較した。式1で計算される係数を活性化係数とした。
(傾き試料/傾きNPP)=活性化係数(式1)
AU/VWFa-11免疫吸着アッセイの実験内変動を決定するため、1つのマイクロタイタープレートのAU/VWFa-11被覆ウェルを1つの試料(正常な個体番号7)と共に10回インキュベートした。さらに、試料番号7を10回の異なる実験で測定して実験間変動を決定した。標準物質としてNPPを用いて活性化係数を計算した。実験内変動は7.1%であり、異なる実験間の変動は13.7%だった。
データ解析と統計:
Graph Pad Prism(ウィンドウズ(登録商標)用のGraphPad Prismバージョン4, GraphPad Software,San Diego, CA)を用いてSPRデータ及びAU/VWFa-11免疫吸着アッセイデータの解析を行った。データを標準偏差と共に平均として表現した。異なる患者群間でウエルチ(Welch)補正をした独立t-検定(un-paired t-test)を行って活性化VWFの平均レベルを比較した。p<0.05を有意と考えた。
ナノ抗体AU/VWFa-11はVWFの活性コンホメーションを特異的に認識する:
活性化VWFを優先的に認識するが、未変性VWFを認識しない抗体を得るため、UL-VWF(20サブユニットを超える多量体サイズ)を含む精製VW調製物でラマを免疫した。続いて、この動物の抗体レパートリーをクローン化し、ファージ-ディスプレイ法によりモノクロナール抗体の可変ドメインをその固定化VWFに結合する能力について選択した。この手順で単離された抗-VWF抗体の可変ドメインを固定化組換えA1フラグメントへの結合についてスクリーニングした。得られた可変ドメインのうち、さらなる解析のため、AU/VWFa-11及び基準Nanobodyの2つを選択した。天然VWFとリストセチン-活性化VWFとを区別するその能力について両ドメインをモニターした。この目的のため、精製組換えwt-VWFをマイクロタイターウェルに固定化した。この手順は該分子内のコンホメーションの変化をもたらし、活性化VWFに特異的な抗体の結合を可能にする。予想されるように、どちらのピオチン化抗体も用量依存様式及び飽和様式で固定化されたVWFに結合した。50%最大結合は、基準Nanobodyでは62.5nMで得られ、AU/VWFa-11では1.9nMで得られた(図1A/B)。これら濃度を競合アッセイで用い、種々濃度の可溶性wt-VWF又はリストセチンとプレインキュベートしたwt-VWFの存在下で該抗体の結合を調べた(図1B)。等モル濃度の両競合相手の存在は、ビオチン化した基準Nanobodyの結合を±90%減じた。対照的に、ビオチン化したAU/VWFa-11の結合は20倍モル過剰のwt-VWFの存在下でも影響を受けなかったが、リストセチン-活性化VWFは用量依存様式で結合を阻害した。明らかにAU/VWFa-11は少なくとも部分的に活性化コンホメーションであるVWFを選択的に認識する可能性を有する。
次に、ナノ抗体 AU/VWFa-11とVWFのA1ドメインとの相互作用を詳細に調査した。まず、AU/VWFa-11とVWF/A1(1238〜1481)との相互作用をSPR分析を用いて定量様式でモニターした。種々濃度のVWF/A1(1238〜1481)(0〜500nM)を固定化AU/VWFa-11(0.08pmol/mm2)上で流速20μl/分にて潅流した。VWF/A1(1238〜1481)は用量依存様式、飽和様式及び可逆様式で固定化Nanobodyと会合した(図2A)。単離されたA1ドメインの固定化AU/VWFa-11への結合の平衡に基づく解析により、77nMという親和定数が明らかになった。別のアプローチでは、A1ドメインの3つの変種:VWF/A1(1238〜1481)(A1ドメインのフランキング領域を含む)、VWF/A1(1261〜1468)(該フランキング領域を欠いている)及びVWF/A1(1261〜1468)-R1306Q(2B型変異 Arg1306→Glnを含有)へのNanobody AU/VWFa-11の結合を比較した。3つすべてのVWF/A1ドメインをAU/VWFa-11被覆(0.12pmol/mm2)CM5センサーチップ上で流速5μl/分にて潅流し、Nanobodyを結合させた(図2B)。AU/VWFa-11被覆チップ上でのVWF/A1(1261〜1468)の潅流は、VWF/A1(1238〜1481)の潅流より高いシグナルという結果になった。さらに、VWF/A1(1261〜1468)-R1306QはVWF/A1(1261〜1468)より効率的に結合した。これらの結果は、確かにNanobody AU/VWFa-11のエピトープの露出がA1ドメインの活性化に依ることを示唆しうる。
リストセチン、VWFの固定化、又は2B型VWD変異によって誘導されるコンホメーションがGpIbαへの結合を促進し、かつこのコンホメーションはAU/VWFa-11によっても特異的に認識される。従って、AU/VWFa-11とGpIbαはA1ドメインの同様の領域に結合するという可能性を考えた。このことをまず静的付着アッセイで試験した。このアッセイでは、GpIb-IX-V複合体を発現するCHO-細胞を上記基準Nanobody又はNanobody AU/VWFa-11の存在下又は非存在下で固定化wt-VWFに結合させた。予測されるように、CHO-細胞は効率的に固定化VWFに結合し(図3A)、VWFの固定化がGpIb-結合コンホメーションへのシフトを誘導することを確証する。この相互作用は1.25μMの基準Nanobodyによって部分的に阻害された(59%まで)。対照的に、1.25μMのAU/VWFa-11の存在下でさえ、CHO-細胞の固定化VWFへの結合は影響を受けないままであり、AU/VWFa-11の結合部位はGpIbαの結合部位とは異なることを示唆している。
GpIbαへのVWFの結合に及ぼす両ナノ抗体の影響は流れ条件下で異なりうるので、その潅流アッセイでの影響を研究した。ヒト全血を高いせん断(1600秒-1)でコラーゲンIII型表面上で潅流した。この条件下、血小板の付着はVWFとGpIbαとの相互作用に完全に依存する31。ナノ抗体の非存在下では、この条件の結果、血小板被覆67.8±8.3%(n=3)となった(図3B)。基準Nanobodyの存在は、血小板被覆の減少と関連した(31.3nM及び125nM抗体の存在下、それぞれ49.8±4.5%及び24.9±3.1%)(図3C)。対照的に、625nMの抗体AU/VWFa-11の存在下でさえ、血小板被覆は、抗体AU/VWFa-11が存在しない場合と同様だった(73.3±4.4%、図3D)。さらに、AU/VWFa-11の存在下、VWF-表面への血小板の付着は影響を受けないままだった(図3E/3F)。これらのデータはGpIbαと抗体AU/VWFa-11はA1ドメインの異なる領域に結合するという観点と適合しうる。
GpIbαとナノ抗体 AU/VWFa-11はVWFの異なる部位に結合するが、両方とも、例えば固定化、リストセチン又は2B型VWD変異によって誘導される活性化形態のVWFだけを認識することが共通している。このユニークな特徴が、この抗体を溶液中の活性化VWFの検出のために使用できるようにする。第1例として、組換えwt-VWF及び組換えVWF/R1306Qの固定化ナノ抗体AU/VWFa-11への結合を比較した。そこで、この特定のナノ抗体をマイクロタイターウェルに固定化し、リストセチンの非存在下及び存在下で、種々の濃度(0〜3.7nM)のwt-VWF及びVWF/R1306Qとインキュベートした。引き続きVWFに対するHRP-結合ポリクロナール抗体を用いて、結合したVWFの量をモニターした。wt-VWFに関し、いくらかの結合を観察できたが、吸光度値は0.3未満のままだった(図4)。リストセチンを添加すると、結合が大いに増加し、吸光度の6倍の増加で表される(1.85まで)。この差を曲線の開始直線部のそれぞれの傾きを計算することによって数量化した。これは、VWF/リストセチンの傾きがwt-VWFのみの傾きに比べて2.7倍に増えることを明らかにした。wt-VWFと比較した傾きの同様の増加がリストセチンの非存在下でのVWF/R1306Qで観察された(図4)。さらに、この増加は、リストセチンの存在下でさらに増強されることはなかった。このアッセイは明らかに活性コンホメーションのA1ドメインを含む循環しているVWFを検出するための有用な手段を提供する。
ナノ抗体 AU/VWFa-11は溶液中の活性なVWFの検出で特に有効であったので、このナノ抗体が患者の血漿中の活性なVWFの検出のために使用できるかどうか試験した。まず、以前に2B型として定義された患者の血漿を解析し、正常な個体群も同様に解析した。基準として正常なプール血漿(NPP)を使用した(「材料及び方法」参照)。NPPについて得られた吸光度値は低いままであり(図5A)、その傾きを1とした。正常な各個体についても、低い吸光度しか検出されず、正常な個体の血漿中の低量の活性VWFを示唆している(図5A)。NPPと比較した平均の傾きは0.70±0.13だった(n=9;図5B)。対照的に、2B型VWD患者の血漿では、非常に増加した吸光度値によって示されるように(図5A)、高量の活性VWFを定量できた。その平均の傾きを計算すると8.4±4.5だった(n=10;正常な個体に比しp=0.0006;図5B)。従って、このアッセイは、実際、患者の血漿中の活性なVWFの存在を解析するために有用であると考えられる。
興味深いことに、2B型VWD患者の血漿中のVWFについて決定される活性化係数はかなり変動した(1.95〜14.0)。正常な個体の血漿中ではこの変動は見られなかった(0.51〜0.89)。2B型突然変異を含むVWFは自発的に血小板に結合し、血小板とVWFの両方のクリアランスを高めることとなる。従って、循環中のVWFの相対的な活性化は血小板-VWF複合体の形成に影響を与える可能性を考えた。この問題を取り扱うため、種々の血漿試料中の血小板数を測定し、この数を活性化係数に対してプロットした。これらのパラメーター間には強い逆相関が見られた(図5C、p<0.003、R2=0.7401)。
血漿中の活性VWFの存在について解析した第2群の患者はADAMTS-13活性を欠く患者であり、臨床的にTTPと明示された患者である。2つの群を区別することができた:1群はADAMTS-13を先天的に欠損している患者として定義され(n=5)、第2群はADAMTS-13の後天性欠損を有した(n=12)。正常な個体群に比し(上記参照)、後天性ADAMTS-13欠損を有する患者はその血漿中の活性VWFのレベルが上昇しているようだった。平均の傾きを計算すると1.52±0.40で(p<0.0001)、正常な個体群に比べて有意に高い。先天性ADAMTS-13欠損の患者もその血漿中に活性VWFを含んでいた。興味深いことに、活性VWFの量(傾き=5.85±3.3)が正常な個体に比べて増加するのみならず(p<0.03)、後天性ADAMTS-13欠損患者に比べても増加していた(p<0.05)。さらに、正常な個体及び2つの患者群のそれぞれの間では傾きの値は重ならなかった。このことは、後天性ADAMTS-13欠損と先天性ADAMTS-13欠損を迅速に区別できるという点で、このアッセイがADAMTS-13欠損の診断に有用でありうることを示唆している。
血小板減少によって特徴づけられる第3の病的状態はHELLP症候群(溶血、高い肝臓酵素と低い血小板(Haemolysis, Elevated Liver enzymes and Low Platelets))である。VWF抗原レベルは正常な妊娠中に増加し、また子癇前症及び子癇前症の重症形態であると考えられるHELLP(溶血、高い肝臓酵素と低い血小板)をわずらう患者ではさらに増加する。HELLPは消耗的な血小板減少によって特徴づけられ、母親と新生児の罹患率及び死亡率について危険である。正常な妊娠対照(n=9)、子癇前症の患者(n=6)及びHELLP症候群の患者(n=44)についての免疫吸着アッセイでAU/VWFa-11へのVWFの結合を分析した。子癇前症の患者について計算した活性化係数は、健康な妊娠対照に比べて有意には増加していなかった。しかしながら、HELLP症候群を患う患者においては活性化VWFのレベルは正常な妊娠対照に比べて有意に増加し(p<0.0001)、子癇前症の患者に比べて有意に増加していた(P<0.0001)。VWF-活性化係数は、同一試料で測定したVWF抗原レベルとVWFリストセチン補因子活性の両方と有意に相関した(スピアマンの順位相関係数0.908、p<0.0001)。
損傷した血管壁への血小板の付着の際、VWFは露出した内皮下マトリックスとGpIb-IX-V複合体との間の分子ブリッジとして機能する。GpIbαとVWFのA1ドメインとの間の相互作用には、非結合態様から結合態様へのシフトによる活性化が必要である。2B型VWDやTTP等の種々の病的状態下では、VWFと血小板との間の自発的な相互作用が生じるが、従来、血漿中でこのような活性化VWF分子の存在を直接検出するためのアッセイは開発されていなかった。本明細書では、静止状態のVWFと活性化状態のVWFを区別できる抗体とその可変ドメインを開示する。この抗体を用いて、2B型VWD及びTTPの患者の血漿中で活性化VWFが循環することが示された。
VWFのGpIb-結合コンホメーションとGpIb-非結合コンホメーションを区別できるであろう抗体を開発するため、組換えwt-VWFでラマを免疫した。ラマは、かなりの比率の機能性免疫グロブリンを、軽鎖を欠く重鎖のホモダイマーとして産生する32。この抗体は小さく(16kD)、その対する抗原と特異的に、かつ対する抗原に対して高い親和性で反応すると報告されている27。さらに、ライブラリーを作製してファージディスプレイ法を用いて多くの抗体をスクリーニングすることが比較的容易である。この手順によりナノ抗体、AU/VWFa-11が得られ、このナノ抗体はVWFをリストセチンとプレインキュベートした場合、A1ドメインを特異的に認識することが分かった(図1)。2B型VWD変異、R1306Qを導入した場合も、VWFのA1ドメイン中のAU/VWFa-11の結合部位が露出された(図2B及び図4)。Dumasらは33、R1306Q変異がコンホメーションの変化を誘発し、結果としてGpIbとの強く、自発的な相互作用をもたらすモデルを示した。このことは、VWFがGpIb結合コンホメーションのときだけ露出される領域にAU/VWFa-11が結合することを示唆しうる。
AU/VWFa-11の結合部位をさらに同定するための試みでは、該抗体ドメインへの2種の異なるA1ドメインの結合を研究した。抗体の選択で用いたA1ドメイン、VWF/A1(1238〜1481)は該A1ドメインのN-末端及びC-末端フランキングペプチドも含有している。SPR分析は、これらフランキングペプチドの除去がAU/VWFa-11に対する結合部位の露出を改善することを明らかにした(図2B)。AU/VWFa-11はVWFのGpIb-結合コンホメーションに特異的なので、この結果は、A1ドメインのフランキング領域が非結合コンホメーションから結合コンホメーションへのシフトの役割を果たすことを示唆している。これらの結果は、フランキングペプチドがGpIbαとVWFとの間の相互作用に影響を与えることを示唆しているNakayamaらの報告34と一致する。
GpIb-結合コンホメーションVWFと非結合コンホメーションのVWFを区別するAU/VWFa-11のユニークな特徴のため、AU/VWFa-11は、健康な抗体とAU/VWFa-11は2B型VWD及びTTPをわずらう患者の血漿中のVWFを研究することができる。健康な個体とNPPの血漿は、固定化AU/VWFa-11へのVWFのほんの僅かな結合しか示さず、循環しているVWFの大部分が非結合コンホメーションであることを示唆している。いくらかの残存結合が見られ、生理的状態下でさえ小割合のVWF分子が活性化コンホメーションで循環することを示している。
これらの2つの表現型的に異なる疾患は、両方とも自発的な血小板-VWF相互作用によって生じる血小板減少によって特徴づけられる。両疾患では、正常個体に比べて活性化VWFの有意な増加が見られた(図5及び6)。さらに、2B型VWD患者の血漿中のVWFについて測定した活性化と血小板数の間には逆相関関係が見られた(図5C)。これは血小板減少の発症における活性化VWFの直接的な役割を示している。
興味深いことに、AU/VWFa-11を先天性TTPの患者由来の血漿とインキュベートすると、活性化係数が正常な個体に比べて有意に上昇するのみならず、後天性TTPの患者に比べても上昇することが明らかになった。病院に入院時、血漿交換により治療する前に後天性TTPの患者の血漿試料を収集した。この時点では、微小血管中で見られる血小板に富む血栓中にかなりの部分の活性化VWFが存在しうるだろう。このことが、後天性TTPと先天性TTPとの間の活性化VWFのレベルの差異を説明できるだろう。他方、後天性TTPと先天性TTPの異なる分子的背景もVWFの活性化の差異を説明できるだろう。さらに研究を行わなければならないが、AU/VWFa-11免疫吸着アッセイは後天性TTPと先天性TTPを区別するための有用な手段のようである。
要約すると、本明細書で述べる新しいNanobody(ナノ抗体)はVWFの静止状態と活性化状態を区別することができる。AU/VWFa-11免疫吸着アッセイは血漿中の活性化VWFの検出を可能にし、このため該アッセイは異なる疾患におけるVWFの役割を調査するための非常に有用な手段である。
Claims (22)
- 血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的な相互作用で特徴づけられる疾患及び障害の異なる状態又は形態を区別し、及び/又は該疾患又は障害の進行を予測するための方法であって、
a)血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的な相互作用で特徴づけられる少なくとも1種の疾患又は障害をわずらっている患者、又は前記疾患又は障害をわずらっていると疑われる患者から得た少なくとも1つの生物学的試料を供給する工程;
b)前記生物学的試料中の活性化vWFの量を決定する工程;
を含み、前記試料中の活性化vWFの量が、前記疾患又は障害の異なる状態又は形態の指標となる、前記方法。 - 生物学的試料がvWFを含む試料である、請求項1に記載の方法。
- 生物学的試料がvWFと血小板とを含む試料である、請求項2に記載の方法。
- 生物学的試料が全血、血漿、血清又は他の適切な血液画分から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 試料中の活性化vWFの量と前記試料中の血小板数を両方とも決定し、場合により両者を相互に比較する、請求項3又は4に記載の方法。
- 血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的な相互作用で特徴づけられる前記疾患及び障害が、以下の疾患及び障害:
血小板減少性紫斑病(TTP)、子癇前症、HELLP症候群、2型フォンビルブラント病;DIC(びまん性細胞内血液凝固)又は敗血症;悪性高血圧症;抗リン脂質症候群;発癌物質全般への暴露;血小板濃縮物による血小板輸血後(灌流のため);
から成る群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 - 血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的な相互作用で特徴づけられる前記疾患が血小板減少性紫斑病(TTP)であり、後天性TTPの患者と先天性TTPの患者を区別するために使用される、請求項6に記載の方法。
- 血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的な相互作用で特徴づけられる前記疾患が子癇前症又はHELLP症候群であり、子癇前症の患者とHELLP症候群の患者を区別するために使用される、請求項6に記載の方法。
- 血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的な相互作用で特徴づけられる前記疾患が子癇前症であり、前記子癇前症の進行を予測し、特にHELLPを発症するであろう子癇前症の患者を予測し、及び/又は患者がHELLPを発症する危険が高いかを決定する、請求項6に記載の方法。
- 生物学的試料を、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる結合作用因子と接触させ、場合により前記結合作用因子に結合した活性化vWFの量を決定することによって、活性化vWFの量を決定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 結合作用因子が、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できるタンパク質又はポリペプチドである、請求項10に記載の方法。
- 結合作用因子が、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる抗体;非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる、抗体の部分又はフラグメント;又は抗体の1以上の部分又はフラグメントを含むタンパク質又はポリペプチドであって前記部分またはフラグメントの少なくとも1つは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる前記タンパク質又はポリペプチド、である、請求項11に記載の方法。
- 結合作用因子が、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる重鎖抗体;重鎖抗体の部分又はフラグメントであって非活性化VWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる前記部分又はフラグメント;又は重鎖抗体の1以上の部分又はフラグメントを含むタンパク質又はポリペプチドであって前記部分又はフラグメントの少なくとも1つは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる前記タンパク質又はポリペプチド、である、請求項12に記載の方法。
- 結合作用因子が、抗体の非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる可変ドメイン;又は1以上の可変ドメインを含むタンパク質又はポリペプチドであって前記可変ドメインの少なくとも1つは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる前記タンパク質又はポリペプチド、である、請求項12又は13に記載の方法。
- 可変ドメインの少なくとも1つが重鎖可変ドメインである、請求項12、13又は14に記載の方法。
- 可変ドメインの少なくとも1つが重鎖抗体の可変ドメインである、請求項12、13、14又は15に記載の方法。
- 結合作用因子が、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できるナノ抗体;又は1以上のナノ抗体を含むタンパク質又はポリペプチドであって、前記ナノ抗体の少なくとも1つは非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる前記タンパク質又はポリペプチドである、請求項10〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 結合作用因子が重鎖抗体AU/VWFa-11;前記重鎖抗体AU/VWFa-11の部分又はフラグメント、特に前記重鎖抗体AU/VWFa-11の可変ドメイン;又は前記重鎖抗体AU/VWFa-11の1以上の部分又はフラグメントを含むタンパク質又はポリペプチド、特に前記重鎖抗体AU/VWFa-11の少なくとも1つの可変ドメインを含むタンパク質又はポリペプチドである、請求項10〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 結合作用因子の使用を含む免疫吸着アッセイによって活性化vWFの量が決定される、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 結合作用因子が適切な支持体上に固定化されている、請求項10〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 試料中の活性化vWFの量を決定するためのキットであって、非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる少なくとも1種の作用因子を含み;場合により、前記試料中の(活性化及び非活性化)vWFの総量を決定するための手段;及び/又は前記試料中の血小板数を決定するための手段;及び/又は使用説明書;及び/又はそれ自体既知の結合アッセイ用キットの1以上の構成部品、要素又は成分を含んでよく;
場合により適切なパッケージ又は容器に包装されていてもよい、前記キット。 - 非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる抗体、抗体の部分若しくはフラグメントであって非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる前記部分若しくはフラグメント、又は、抗体の部分若しくはフラグメントを含むタンパク質若しくはポリペプチドであって前記部分若しくはフラグメントが非活性化vWFの存在下で特異的に活性化vWFと結合できる前記ンパク質若しくはポリペプチドの、血小板減少及び/又はフォンビルブラント因子(vWF)と血小板との間の自発的な相互作用で特徴づけられる疾患及び障害の異なる状態又は形態を区別し、及び/又は該疾患又は障害の進行を予測するための使用及び/又は前記区別及び/又は前記予測を行う方法における使用。
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