JP2008527239A5 - - Google Patents

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油圧作動排気ガス弁を備えた大型2サイクルディーゼルエンジン
本発明は、エンジン内の排気ガス弁が、排気弁のそれぞれに備えられる油圧アクチュエータに、高圧の作動油を供給することによって油圧で作動する、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンに関する。
クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンは、一般に舶用推進や発電所の原動機として使用される。これらの内燃機関は、単に大きさだけでなく、他の内燃機関とは構成が異なる。2サイクルの原理および50℃で700cSt以下の粘性の重油(室温では流動しない油)を使用することから、エンジン分野では特別のクラスとなっている。
この種類の従来の多くのエンジンでは、排気ガス弁および燃料噴射システムは、エンジンのクランク軸に直接連結された回転カムによって駆動される。2サイクルエンジンでは、掃気口を使用してシリンダへの吸気を制御するが、その結果、吸気のタイミングがクランクの角度に強く関連付けられる。これにより、排気弁および燃料噴射についてのみ、柔軟な制御の可能性が残される
この種類のエンジンに対する燃料消費、信頼性、および出力の要件は極めて高い。最近では、環境の要件によって、排気ガス放出の削減に対する要求がもたらされている。これらの矛盾する場合のある要件を満たすためには、燃料噴射のタイミングと量の安全かつ柔軟な制御、また従来の回転カム駆動の排気弁および燃料噴射器とは対照的に、開閉のタイミングと排気弁の開度の安全かつ柔軟な制御が必要である。
この種類のエンジンのサイズによって、電気アクチュエータを使用して排気弁を動作させることはできない。当該の排気弁は、これらのエンジンのうちで最も大型ものでは最高450kgになりうる。
MAN B & W Diesel A/Sによる一連のMEエンジンでは、電子油圧制御の排気弁および電子油圧作動の燃料噴射を備えた、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンである。油圧システムは、エンジンの潤滑システムからの油によって動作する。潤滑油システムは、3から4バールの低圧ポンプで動作する。別の高圧型のポンプは、約200バールで潤滑油をコモンレールに供給する。コモンレールからの潤滑油は、油圧弁を介してコモンレール内の200バールの圧力を燃料ライン内で必要な最高1000バールに高める燃料油ブースタに導かれる。燃料ラインは、約90から150℃に加熱され、燃料油が流れるようになり、また適切な粘性を有するようにする。コモンレールからの潤滑油は、タイミング弁を経て油圧排気弁アクチュエータに導かれ、排気弁を動作させる。
しかし、これらのエンジンの潤滑システムからの潤滑油は、コモンレール油圧システム内で使用するには十分に清浄ではない。したがって、潤滑油は、コモンレールにポンピングできるようになる前に、5から10μm以上のあらゆる粒子を取り除くために、ろ過しなければならない。
Wartsila/Sulzer RT-flexの一連のエンジンは、電子油圧制御の排気弁および電子油圧作動の燃料噴射を備えた、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンである。弁作動用の油圧システムは、専用の油圧油によって動作する。潤滑システムは、油圧システムから完全に独立している。
EP 1 130 251では、大型2サイクルディーゼルエンジン用のコモンレールシステムのアキュムレータを提供するためのポンピング機構を開示している。このポンピング機構は、流体をアキュムレータに供給するための少なくとも2つのポンプと、動圧の構成要素を減衰させるための中間アキュムレータとを備え、それによって、各ポンプは、別個のポンプ管路を経て中間アキュムレータに接続される。3つのポンプおよび管路を使用することができ、これらの管路は、中間貯蔵部に接続された端部に逆止め弁を備える。コモンレールからそれぞれのシリンダへの燃料の流れを制御する弁は、単純な開閉弁である。
DE 103 11 493では、掃気口を制御するピストンを摺動可能に受ける掃気口を備えた、少なくとも1つのシリンダを有する大型2サイクルディーゼルエンジンを開示している。出口弁は、油圧アクチュエータによって作動して排気出口を閉じるが、油圧アクチュエータおよび燃料噴射ポンプに比例的に共通である。比例弁は、高圧流体源に接続された1つの吸気口と、油圧アクチュエータおよび燃料噴射ポンプに接続された2つの排気口とを備える。
EP 1 471 236では、自動車用エンジン、特に火花点火エンジン用の燃料供給システムおよび燃料供給方法を開示している。燃料圧力の下で燃料噴射を行うためには、クランキングから燃料の膨張を経た自立動作に至る動作範囲においてできるだけ高い圧力が必要である。直噴型内燃機関用の燃料供給システムは、高圧燃料ポンプを備えており、燃料は、高圧燃料ポンプによって加圧され、燃料噴射器からエンジンの燃焼室に直接噴射される。電気モータは、高圧燃料ポンプを補助的に駆動するように構成される。エンジンの起動時における高圧燃料ポンプの駆動または高圧燃料ポンプの駆動トルクの補助は、電気モータのような補助的な動力手段によって行われる。
GB 2 102 065では、弁の開口の結果として加圧される多量のガスを含む、空気付勢機構を開示している。圧縮されたガス量は、弁棒に固定されたキャップに作用して、弁棒の長手方向の力を用いて、弁頭が弁座に対して押圧される閉止位置に弁を付勢する。
WO0012895では、閉鎖動作を受ける置換可能な弁を減速させるためのシステムを開示している。このシステムは、筐体と、前記筐体に備えられる第1の作動油チャンバと、第1の作動油チャンバへの作動油の供給に応答して弁を移動させるためのスレーブピストンとを含む。弁の減速は、第1のチャンバにおける第2のチャンバへの作動油の放出を選択的に調節することによって達成することが可能である。第2のチャンバ内の油圧は、弁の開閉に対抗するので、弁の着座時に弁が徐々に減速される。漸進的に流量を調節して、着座中に第2のチャンバ内の油圧をほぼ一定に保つ。漸進的な流量の調節は、適切な絞りオリフィスのサイズおよび形状、またオリフィスに対する適切な絞りプロファイルを選択することによって達成することが可能である。
US 2002/0184996では、シリンダと、第1、第2、および第3のポートと、作動ピストンと、制御ピストンと、制御ばねとを含むアクチュエータを開示している。シリンダは、長手方向軸を画定し、第1および第2の端部を備える。第1のポートはシリンダの第1の端部と連通し、第2のポートはシリンダの第2の端部と連通し、第3のポートは第1端部と第2の端部との間のシリンダと連通する。作動ピストンはシリンダに配置され、長手方向軸に沿って第1および第2の方向に移動可能である。作動ピストンは、第1および第2の側面を備える。制御ピストンもシリンダ内に配置され、長手方向軸に沿って第1および第2の方向に移動可能である。制御ピストンは、第1および第2の側面を備え、制御ピストンの第1の側面は、作動ピストンの第2の側面に面する。制御ばねは、制御ピストンを第1および第2の方向のうちの少なくとも1つに付勢する。また、アクチュエータを制御する方法も提供されている。
EP 1 130 251 EP 1 471 236 GB 2 102 065 WO0012895 US 2002/0184996
このような背景から、本発明は、燃料噴射の制御を改善した、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することを目的とする。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、前記排気弁のそれぞれに備えられる油圧弁アクチュエータと、1つ以上のアキュムレータが接続されるコモン燃料レールと、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプと、各シリンダに備えられる比例弁とを有し、前記燃料噴射器はそれぞれ前記コモン燃料レールからの燃料と共に動作し、前記比例弁は前記コモン燃料レールから前記燃料噴射器のそれぞれへの燃料の流れを調整する、エンジンを提供することによって達成される。
比例制御弁の使用によって、燃料噴射のタイミング、量、およびプロファイルをより正確かつ柔軟に制御できる。さらに、比例制御弁の使用によって、更なる装置を用いずに速度整形および先立ち噴射ができる。例えば、速度整形は、実質的に、比例弁への制御信号のみによって行われうる
本発明の別の目的は、排気弁作動の制御を改善した、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、前記排気弁のそれぞれに備えられる油圧弁アクチュエータと、1つ以上のアキュムレータが接続されるコモン燃料レールと、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプと、各シリンダに備えられる比例制御弁とを有し、前記燃料噴射器はそれぞれ前記コモン燃料レールからの燃料と共に動作し、前記比例制御弁は、前記コモン燃料レールから前記各油圧弁アクチュエータへの燃料の流れを調整する、エンジンを提供することによって達成される。
比例制御弁の使用によって、排気弁の開閉タイミングおよび開度の完全かつ柔軟な制御が提供される。さらに、排気弁の位置は、各シリンダに対して柔軟な様態で制御されるので、例えば、特定のシリンダの排気弁を圧縮行程中にわずかに開いてエンジンの始動を容易にすることができる。
本発明の別の目的は、より単純かつ柔軟な総体的油圧システムを備えた、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、前記排気弁のそれぞれに備えられる油圧弁アクチュエータと、1つ以上のアキュムレータが接続されるコモン燃料レールと、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプとを有し、前記燃料噴射器のそれぞれが前記コモンレールからの燃料と共に動作し、前記油圧弁アクチュエータは、それぞれ圧力導管を介して前記コモンレールに接続され、前記圧力導管に加熱手段が備えられる、エンジンを提供することによって達成される。
したがって、重油(heavy fuel oil: HFOとしても既知)などを油圧媒体として使用した場合に、HFOは適正な粘性に保たれる。
本発明の別の目的は、幅広い温度範囲にわたって動作することができる油圧排気弁作動システムを備えた、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、前記排気弁のそれぞれに備えられる油圧弁アクチュエータと、1つ以上のアキュムレータが接続されるコモン燃料レールと、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプとを有し、前記燃料噴射器はそれぞれ前記コモンレールからの燃料と共に動作し、油圧弁アクチュエータはそれぞれ前記コモンレールからの燃料と共に動作し、前記油圧弁アクチュエータは、異なる温度での動作、修理(例えば弁座の研削など)、製造許容差によって生じる寸法の変化を補償するための手段が備えられる、エンジンを提供することによって達成される。
したがって、油圧弁アクチュエータは、幅広い温度範囲にわたって適切な位置を取り、常に弁頭が弁座に適切に着座するようにする。
本発明の別の目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンの供給導管内の燃料の温度を制御する方法を提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンの圧力導管内の燃料の温度を制御する方法であって、前記圧力導管は、コモン燃料レールを油圧弁アクチュエータに接続し、前記圧力導管に入る燃料の温度を制御して、燃料の動作温度が変化する間にその温度勾配を所定の閾値以下に保持する、方法を提供することによって達成される。
したがって、動作温度に敏感な排気弁アクチュエータを動作させるための油圧媒体として燃料を使用することができる。
本発明の別の目的は、多種多様な油圧液体で動作することができる油圧排気弁作動システムを備えた、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、前記排気弁のそれぞれに備えられる油圧弁アクチュエータと、1つ以上のアキュムレータが接続されるコモン燃料レールと、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプとを有し、前記燃料噴射器はそれぞれ前記コモンレールからの燃料と共に動作し、前記油圧弁アクチュエータは、それぞれ油圧管路を介して前記コモンレールに接続されると共に最終的には弁のような他の油圧機器に接続され、導管とエンジンの他の油圧機器との間の接続を封止するスタティックガスケット、および前記弁アクチュエータ内のダイナミックガスケットは、鋳鉄、鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、(FPM)、共重合体(NBR)、ニトリルゴム、ポリ(ジメチルシロキサン) (SI)製のもの、またはそれらの組み合わせ、および/またはそれらの混合物によって製造される、エンジンを提供することによって達成される。
これらの材料からガスケットを選択することによって、ガスケットを傷めずに、燃料のような非専用の作動油を油圧システムで使用することができる。
本発明の別の目的は、多種多様な油圧液体で動作することができる油圧排気弁作動システムを備えた、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、前記排気弁のそれぞれに備えられる油圧弁アクチュエータと、1つ以上のアキュムレータが接続されるコモン燃料レールと、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプと、前記コモンレールから前記燃料噴射器のそれぞれに燃料を供給するための、各シリンダに備えられる供給導管および弁手段と、前記コモンレールから前記油圧弁アクチュエータのそれぞれに燃料を供給するための、各シリンダに備えられる供給導管および弁手段と、前記油圧弁アクチュエータから、燃料タンクまたは前記高圧ポンプへの吸気側に至る導管に燃料を移送するための加熱式戻り導管と、を備えるエンジンを提供することによって達成される。
したがって、低い粘性のHFOを油圧媒体として使用することができる。
本発明の別の目的は、幅広い温度範囲にわたって動作することができる油圧排気弁作動システムを備えた、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、前記排気弁のそれぞれに備えられる油圧弁アクチュエータと、1つ以上のアキュムレータが接続されるコモン燃料レールと、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプと、前記コモンレールから前記燃料噴射器のそれぞれに燃料を供給するための、各シリンダに備えられる供給導管および弁手段と、前記コモンレールから前記油圧弁アクチュエータのそれぞれに燃料を供給するための、各シリンダに備えられる供給導管および弁手段と、前記油圧弁アクチュエータから、燃料タンクまたは前記高圧ポンプへの吸気側に至る導管に燃料を移送するための戻り導管と、を備え、前記導管のうちの少なくとも1つは、動作温度の変化によって生じる前記導管の寸法変化の影響をなくすための手段を含む、エンジンを提供することによって達成される。
したがって、油圧システムは、幅広い温度範囲にわたって動作することができ、導管が温度によって誘発された寸法変化による機械的なストレスを受けないようにする。
本発明の別の目的は、比例弁の新たな用途を提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンのコモン燃料レールから、前記燃料噴射器および/または燃料作動要素への燃料の流れを制御するために、比例弁を使用することによって達成される。
本発明の別の目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンのコモン燃料レールから、1つ以上の燃料作動性又は燃料消費性エンジン構成要素への燃料の流れを制御するための、電気制御弁を提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンのコモン燃料レールから、1つ以上の燃料動作の、または燃料消費の構成要素への燃料の流れを制御するための電気制御弁であって、弁筐体とソレノイドとを備え、前記ソレノイドは、前記弁筐体から熱的に隔離される、電気制御弁を提供することによって達成される。
本発明の別の目的は、エンジン停止中の油圧システムに対する循環を改善した、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンを提供することである。
この目的は、クロスヘッド型大型2サイクルディーゼルエンジンであって、載置されるシリンダフレーム及びクランク軸を支持するクランクケースフレームと、前記シリンダフレームによって担持され、それぞれが少なくとも1つ燃料噴射器及び少なくとも1つの排気弁を備える複数のシリンダと、コモン燃料レールと、エンジン動作中に、前記コモン燃料レールに高圧で燃料を供給する高圧燃料ポンプと、前記コモンレールから前記燃料噴射器のそれぞれに燃料を供給するための、各シリンダに備えられる供給導管および弁手段と、を備え、前記高圧燃料ポンプは、エンジン動作中にはクランク軸によって機械的に駆動され、エンジン停止中には電気モータによって電気的に駆動され、前記供給導管および/または前記コモンレールを通して、および/または燃料で駆動される他のエンジン構成要素を通して燃料を循環させるために低圧で燃料を供給する、エンジンを提供することによって達成される。
高圧ポンプをエンジン停止中の循環用の高圧源および低圧源の両方として使用することによって、構成要素の数が削減され、それによって、全体的な製造費および維持費は、より優位性のあるものとなる。
本発明の別の目的は、空気ばねを改善した内燃機関用の油圧作動ガス交換弁を提供することである。
この目的は、内燃機関用の油圧作動ガス交換弁であって、固定弁筺体と、着座した位置と離座した位置との間を移動可能であり、一端に弁頭を備え、対向端に自由端を備えた細長い弁棒を含む、ガス交換弁と、油圧アクチュエータであって、油圧アクチュエータに加圧作動油が供給されたときに、前記ガス交換弁を離座した位置に付勢するために、前記弁棒の前記自由端に作用するピストンを備える油圧アクチュエータと、前記弁を着座した位置に付勢する空気ばねと、を備え、前記空気ばねは、前記弁棒に固定されたシリンダであって、前記弁棒の前記自由端に向かう方向では閉じ、前記弁頭へ向かう方向では開くシリンダと、前記シリンダ内で受けるマッチング固定ピストンであって、前記弁筺体に固定され、前記シリンダとともに前記空気ばねのためのばねチャンバを形成するピストンとを備える、油圧作動ガス交換弁を提供することによって達成される。
この空気ばねの構造によって、アクチュエータからの油圧媒体がばねチャンバに入る可能性が低減される。
本発明の別の目的は、内燃機関用の改善した油圧作動ガス交換弁を提供することである。
この目的は、内燃機関用の油圧作動ガス交換弁であって、固定弁筺体と、弁を閉じる着座した位置と弁を開く離座した位置との間を移動可能であり、一端に弁頭を備え、対向端に自由端を備えた細長い弁棒を含む、ガス交換弁と、油圧弁アクチュエータであって、油圧弁アクチュエータに加圧作動油が供給されたときに、前記ガス交換弁を離座した位置に付勢するために、前記弁棒の前記自由端に作用するピストンを備える油圧弁アクチュエータと、前記ガス交換弁を着座した位置に付勢する空気ばねと、を備え、前記油圧弁アクチュエータと前記空気ばねとの反力のバランスによって、前記開方向における前記ガス交換弁の移動長さが決定される、油圧作動ガス交換弁アセンブリを提供することによって達成される。
したがって、アクチュエータは、開口行程の終わりにストロークリミッタ端を備える必要が無く、また、開口行程の終わりに高圧作動油の供給を急に遮断する必要がない。ストロークリミッタ端の削減によって、機械的負荷および衝撃が低減され、一方で、高圧作動油の急な遮断が無くなることによって、潜在的に損害を与える油圧衝撃波を回避することができる。
本発明の別の目的は、幅広い温度範囲にわたって正確に動作することができる、内燃機関のガス交換弁用の油圧アクチュエータを提供することである。
この目的は、内燃機関のガス交換弁用の油圧アクチュエータであって、固定シリンダであって、近接端と開放遠位端とを備え、弁手段によって、高圧作動油源または戻り管路に交互に接続することができる圧力チャンバを含む固定シリンダと、ピストンであって、前記主圧力チャンバ内で受ける近接端と、前記圧力チャンバが前記高圧作動油源に接続されたときに、前記弁を離座した位置に付勢するために、前記ガス交換弁の前記弁棒の自由端に作用する遠位端とを備えるピストンと、を備え、前記ピストンは、第1の部分と第2の部分とを備え、前記第1の部分は、前記遠位端から前記近接端の方に延在し、前記第2の部分は、前記近接端に配置され、前記第2の部分は、前記第1の部分を摺動可能に係合して、前記第1の部分と前記第2の部分との間に補償チャンバを形成し、ばね手段であって、前記第1の部分と第2の部分とを互いに離間するように付勢して、前記補償チャンバを広げるばね手段と、前記補償チャンバと前記圧力チャンバとの間の第1の流路であって、前記第2の部分が、前記固定シリンダの近接端における小さな所定の軸方向範囲に位置するときにだけ開口して、過剰な作動油を前記補償チャンバから排出できるようにする第1の流路と、前記補償チャンバと圧力チャンバとの間の第2の流路であって、前記補償チャンバが、前記ばね手段の作用を受けて充填されうるようにする第2の流路と、を備える油圧アクチュエータを提供することによって達成される。
補償チャンバは、軸方向におけるアクチュエータピストンの始動位置を、弁頭が弁座に適切に着座しながら適切な位置に戻るような位置にすることを確実にする。軸方向の範囲内の位置は、開口中および/または閉位置にある間の補償チャンバの容量の変化に依存する。これらの容量の変化は、サイクル中に正または負のいずれかになりうる。
本発明の別の目的は、開口行程の開始時の大きな反力に打ち勝つことができ、また、ガス交換弁が開いたときに制御された力を開口方向に与えることができる、内燃機関のガス交換弁用の油圧アクチュエータを提供することである。
この目的は、内燃機関のガス交換弁用の油圧アクチュエータであって、固定シリンダであって、前記固定シリンダ内のポートを介して高圧作動油源または戻り導管に交互に接続できる圧力チャンバを含む固定シリンダと、圧力チャンバにおいて受けるピストンであって、前記圧力チャンバが前記高圧作動油源に接続されたときに、前記ガス交換弁を離座した位置に付勢するために、前記ガス交換弁の前記弁棒の自由端に作用するピストンと、を備え、前記ピストンは、前記ガス交換弁が着座している引き込み位置と、前記ガス交換弁が開いている伸長位置との間を軸方向に移動可能であり、前記ピストンは、前記引き込み位置と所定の中間位置との間に位置するときに、前記圧力チャンバ内の前記加圧作動油が、前記ピストンを前記伸長位置の方へ付勢する、第1の有効領域を有し、前記ピストンは、前記中間位置と前記伸長位置との間に位置するときに、前記圧力チャンバ内の前記加圧作動油が、前記ピストンを前記伸長位置の方へ付勢する、前記第1の有効領域よりも小さい第2の有効領域を有する、油圧アクチュエータを提供することによって達成される。
第1および第2の有効なピストン領域組み合わされた動作、すなわち、高圧流体が作用するピストンの領域全体による動作は、ガス交換弁の開口動作の開始期間中に大きなアクチュエータ力をもたらし、一方で、第2の有効ピストン領域のみによる作用は、ガス交換弁の開口動作の残りの過程を十分に制御されたものとする。
大型2サイクルディーゼルエンジン、ならびにその動作方法の更なる目的、機能、利点、および特性は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
詳細な説明
本説明の以下の詳細部分において、図面に示される例示的な実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明によるエンジン1の図である。本エンジンは、低速2サイクルクロスヘッド型ディーゼルエンジンであり、船舶の推進エンジンまたは発電所の原動機とすることが可能性である。これらのエンジンは、一般に直列で6から16のシリンダを有する。エンジンは、クランク軸3のための主軸受を備えた台板2から組み立てられる。台板は、利用可能な生産設備に従って、好適なサイズの部分に分割される。台板には、溶接設計のA形クランクケースフレーム4が載置される。シリンダフレーム5は、クランクケースフレーム4の上部に載置される。控えボルト(図示せず)は、台板をシリンダフレームに接続し、構造物を互いに保持する。シリンダ6は、シリンダフレーム5によって担持される。
図2は、内燃機関のシリンダ6の図である。シリンダ6は単流型であり、エアボックス8内に位置する掃気口7を有し、エアボックスには、掃気受9(図1)からターボ過給機10(図1)で加圧された掃気が供給される。クロスヘッド(図示せず)は、ピストン棒14をクランク軸3に接続する(図1)。
排気弁11は、シリンダカバー12内のシリンダ上部中央に載置される。膨張行程の終わりに、エンジンのピストン13が掃気口7を過ぎて下降する前に排気弁11が開くことによって、ピストン13の上の燃焼室15内の燃焼ガスが、排気受17に開口する排気流路16を通って流出し、燃焼室15内の圧力が軽減される。排気弁11は、ピストン13が上向きに動く間に、例えば、以降の燃焼に所望の有効な圧縮比に依存することが可能である調整可能なモーメントで、再び閉じる。閉口動作中に、排気弁は、空気ばね18によって上方向へ駆動される。
弁11の耐久性および利点、燃焼室内の状態の正確な制御、それによるエンジンの効率を考慮して、排気弁11を好都合に極めて正確に制御することが可能である。
排気弁11は、油圧駆動アクチュエータ19によって開口される。作動油(燃料)は、圧力導管20を介して供給される。圧力導管20は、アクチュエータ19上の吸気ポートを、コンソール22によって支持されるディストリビュータブロック21の上面の制御ポートと接続する。戻り導管43は、アクチュエータ19上の排出口を、ディストリビュータブロック21の上面の戻りポートに接続する。
シリンダ6のそれぞれは、環状導管(図示せず)によって接続される、2つまたは3つの燃料噴射器23(1つだけ図示する)を備える。燃料は、ディストリビュータブロック21から燃料噴射器23へ、供給導管24を介して供給される。燃料噴射器23は、戻り導管49を介してディストリビュータブロック21上の戻りポートに接続される。
コンソール22は、供給管路およびコモン燃料レール(図3の40、図2には示さず)に通じる戻り導管に接続される。
ディストリビュータブロック21は、比例制御弁25を担持する。比例制御弁は、ディストリビュータブロック21の上部のポートと、コンソール22(図示せず)内の戻り導管(図3の43)およびコモン燃料レール40(図3)との接続を制御する。
コンソール22では、コモン燃料レール40から分岐した流路41(図3)が、比例制御弁25上の吸気ポートへ加圧作動油を移動させる。
コモン燃料レール40(図3)内の燃料は、弁アクチュエータ19を駆動し、燃料噴射器23に供給するための作動油として使用される。コモンレール40内の圧力は、エンジン1の運転速度や負荷状態のような動作状態に従って変化する。一般に、コモン燃料レール40内の圧力は、600から2000バールの範囲で変化する。
エンジン1のシリンダ5のそれぞれは、電子制御装置26に関連付けられ、ワイヤー27を介して全体的な同期信号および制御信号を受信して、とりわけワイヤー28を介して比例制御弁25に電子制御信号を送信する。シリンダごとに1つの制御ユニット26を用いるか、または複数のシリンダを同じ制御ユニット(図示せず)と関連付けることが可能である。制御ユニット26は、全てのシリンダに共通の統括制御ユニット(図示せず)から信号を受信することも可能である。
図3を参照する。図3は、エンジン1の油圧システムおよび潤滑システムを概略的に示す図である。油圧システムは、燃料噴射システムおよび排気弁作動システムの両方の役割を果たす。
潤滑システムは、潤滑タンクと、フィルタと、電動低圧ポンプとを備える。潤滑システムは、油圧システムから完全に独立している。
油圧システムは、一般に、水乳化および非水乳化の重油(HFO: heavy fuel oil)である燃料で動作する。NOxの放出を低減するために、しばしば水をHFOに乳化させる。乳化作用は、別個の乳化ユニット(図示せず)で行われる。エンジン動作用の燃料は、加熱タンク29内に貯蔵される。燃料には、一般に、50℃で500から700cStの粘性であり、室温では流動しない、いわゆる重油(HFO)が使用される。タンク内のHFOは、実質的に常に、すなわちエンジン停止中でも約50℃に保たれる。一般に、本タイプのエンジンを備えた船舶は、発電設備(Genset)、すなわち、船舶に、また主エンジンの停止中にその主エンジンに電力と熱を供給する、より小型のディーゼルエンジンを備える。
HFOは、加熱タンクから、フィルタすなわち遠心器30および予熱器31に導かれる。予熱器31を出たHFOの温度は、動作状態およびHFOのグレードに従って制御される。エンジン停止中に、HFOを油圧システムを通じて低圧で循環させるときに、HFOの温度は45から60℃の範囲に保たれる。エンジン運転中に、予熱器31を出たHFOの温度は、HFOの粘性に従って、90から150℃の範囲に保たれる。センサー(図示せず)は、予熱器31のすぐ下流(または別の好適な場所)のHFOの粘性を測定する。予熱器31を出たHFOの温度は、一般に、測定地点において、10から20cStの範囲の粘性になるように制御される。
叉状中間導管32は、予熱器を、高圧燃料ポンプ33および補助低圧循環ポンプ34の両方に接続する。逆止め弁35は、逆流を防ぐように、各ポンプの下流の導管に配置される。
エンジン動作中に、高圧燃料ポンプ33は、歯車37を介してクランク軸3上の歯車36によって駆動される。これによって、高圧燃料ポンプ33は、1000から1500バールの呼び圧力を発生するが、この圧力は、動作状態によって600から2000バールの範囲を変動する場合がある。
エンジン停止中に、補助低圧循環ポンプ34は、電気モータ38によって駆動される。これによって、エンジン停止中には、油圧システムを介してHFOを循環させるための、約3から10バールの圧力が与えられる。
コモン燃料レール40は、全てのシリンダに沿って延在し、シリンダ6への接続(図3には示さず)は、コモンレールから延びる短い上向きの線で表す。
図3に示されるシリンダ6は、コモンレール40から分岐して、比例制御弁25の吸気ポートに至る供給管路41を介してHFOが供給される。供給導管41は、複数の流体アキュムレータ42を備え、このアキュムレータは、比例制御弁25が開いているときにほとんどの流体量を供給し、比例制御弁25が閉じている間、コモンレール40から事後供給される。
圧力導管20は、比例制御弁25の2つの排気ポートのうちの1つを、油圧アクチュエータ19の吸気ポートに接続する。供給導管24は、2つの排気ポートのうちのもう一方を、燃料噴射器23に接続する。比例制御弁25上の2つの制御ポートは、ディストリビュータブロック内の流路を介してディストリビュータブロックの上面のそれぞれの排出ポートに接続される。比例制御弁25は、使用した作動油(HFO)の戻り導管43に接続される2つのタンクポートも有する。
比例制御弁25は、3つの位置(ポジション)を有するソレノイド駆動スプール弁である。ソレノイド44は、ワイヤー28を介して制御ユニット26(図2)から制御信号を受信する。ソレノイド44は、その間にセラミックプレート45を備えた比例制御弁25の筐体に搭載され、比例制御弁25からソレノイド44を熱的に隔離する。比例制御弁25は、エンジン運転中は150℃以上に達する場合がある。この構造によって、高感度ソレノイド44を過熱から保護する。別の実施形態(図示せず)によれば、ソレノイド44は、断熱スペーサを経て弁筺体に取り付けられる
ソレノイド44が作動しない中央位置では、比例制御弁25の吸気ポートは閉じられ、比例制御弁25の2つの排気ポートは戻り導管43に接続される。ソレノイドが作動して弁スプールを左側(図3の左側)に付勢するときに、比例制御弁の吸気ポートは、圧力導管20に接続され、アクチュエータ19が排気弁11を開くように、高圧のHFOが圧力導管20に移動する。この位置では、供給導管24が戻り導管43に接続される。ソレノイド44が作動して弁スプールを右側(図3の右側)に付勢するときに、比例制御弁25の吸気ポートは、供給導管24に接続され、燃料噴射器23が燃焼室15に燃料を噴射するように、高圧のHFOが供給導管24に移動する。この位置では、圧力導管20が戻り導管43に接続される。燃料噴射のタイミング、噴射される燃料の量、および燃料噴射パターンの形状は、比例弁によって制御される。更なる好適な実施形態によれば(図示せず)、コモン燃料レールから燃料噴射器への燃料の流れは、オン/オフ型の弁によって制御される。このオン/オフ型の弁は、油圧アクチュエータを出入りする流れを制御する弁とは別個の弁とすることが可能である。アクチュエータを出入りする流れを制御するこの別個の弁も、オン/オフ型の弁とすることが可能である。
従来の燃料リミッタ46は、圧力導管24内に配置される。これは、過剰な量のHFOがシリンダに入らないようにし、また比例制御弁25が誤って長く開き過ぎないようにするためである
戻り管路43内の圧力は、2から3バール高い圧力に保持され、空気が油圧システムに浸透しないようにし、また水乳化HFOに含まれる水が蒸気泡を形成しないようにする。戻り導管43への下流端部の圧力制御弁47は、所定の最小超過気圧が戻り導管43内で保持されるようにする。戻り導管43内の超過気圧は、3から10バールであることが好ましい。アキュムレータすなわち膨張容器48は、戻り導管43に接続され、比例制御弁25が位置を変えたときに生じうる、圧力変動を吸収する。
第2の戻り導管49は、燃料噴射器23の排気ポートを戻り導管43に接続する。圧力制御弁47の下流では、戻り導管43が、使用したHFOを予熱器31に供給してサイクルを完了させる。
予熱器31の出口からコモンレール40へ、および比例制御弁25を経てコモンレール40から油圧弁アクチュエータ19および燃料噴射器23へHFOを移送する導管は、図3に加熱コイルで表される加熱手段を備える。導管は、例えば、蒸気トレースまたは電気加熱要素によって、それらの全長に沿って加熱することができる。これらの導管の加熱は、予熱器から下流に移動させるときに、高温のHFOの熱損失を低減する役目をする。エンジン動作中に、燃料噴射器および油圧弁アクチュエータに向かう導管内のHFOの温度は、使用するHFOの粘性に依存するが、ほぼ150℃に保たれる。圧力導管20および供給導管24のような、それらの長さ方向の一部で平行に走る隣接する導管は、共通の加熱手段(図示せず)を備えることができる。
戻り管路43および49も、上述のものと同じタイプの加熱手段を備える。戻り管路内のHFOの温度はあまり重要でなく、加熱手段を較正して、HFOの温度が50℃を下回らないようにする。
エンジン停止中に、循環ポンプ34によって(3から10バールの比較的低圧で)油圧システムを通じてHFOを循環させて、空気が油圧システム内に取り込まれないようにし、またHFOの局所的な冷却および硬化が生じないようにする。予熱器31を出た油の温度は、エンジン停止中には約50℃に設定され、HFOの固化を回避する。
循環中に燃料噴射器23および油圧アクチュエータ19にHFOを送るために、比例制御弁は、定期的にその位置(ポジション)を変える。別の実施形態によれば、比例制御弁のための第4のバイパス位置(図示せず)を備える。この位置では、比例制御弁は、燃料噴射器および油圧弁アクチュエータに同時に開口する。さらに別の実施形態(図示せず)によれば、HFOがコモンレールから燃料噴射器および油圧弁アクチュエータに同時に流れることができるように、別個のバイパス弁を備える。
加熱圧力導管20は、循環中の50℃からエンジン動作中の約150℃の範囲の温度で動作できるような手段を備える。エンジン停止時および停止後のHFOの温度が約50℃から約150℃に上昇するとき、熱膨張によって圧力導管20の長さが長くなり、その逆の場合も同様である。
図5に示されるように、圧力導管20は、1つ以上のU型区間50を備えるが、このU型区間の柔軟性によって、動作温度差による長さの変化を吸収することができる。この代わりに、またはこれと組み合わせて、圧力導管20および低温および高温の両方で動作しなければならない他の導管の各部は、図6に示されるように、2つのブラケット51と52との間に、軸方向には固定されないように支持されてもよい。ブラケットのそれぞれは、半径方向に固定されるが軸方向には移動できるように圧力導管20の端部を受ける、ブッシュ53を含む。Oリング54、または類似した、鋳鉄、鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、(FPM)、共重合体(NBR)、ニトリルゴム、ポリ(ジメチルシロキサン) (Si)製の、または類似した材料のガスケットによって、導管の端部とブッシュとの間の実質的に密閉した封止を確保する。導管20の対抗する自由端にかかる圧力は、互いにバランスを取る。導管20の軸方向長さの変化は、導管の端部を固定せずに支持することによって吸収される。
油圧システム内のガスケットは、鋳鉄、鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、(FPM)、共重合体(NBR)、ニトリルゴム、ポリ(ジメチルシロキサン) (SI)製のもの、それらの混合物、または類似した材料の群から選択して、油圧システムの構成要素間の実質的に密閉した封止を確保する。特定のガスケットを、図9を参照して下述する。
図4は、油圧システムの別の好適な実施形態の図である。本実施形態は、図3に示される実施形態と実質的に同じであるが、高圧ポンプ33は、エンジン停止中のHFOの循環用の低圧ポンプとしての機能も果たす。この実施形態では、中央制御装置によって制御されるクラッチ56、歯車37と高圧ポンプ33との間に設けられる。エンジン動作中には、クラッチ56が接続され、高圧ポンプ33がクランク軸3によって駆動される。エンジンス停止中は、クラッチ56は切り離される。中央制御装置によって制御される別のクラッチ55が、高圧ポンプ33と電気モータ38'との間に設けられる。クラッチ55は、エンジン動作中には切り離され、エンジン停止中に接続される。電気モータ38'は、エンジン動作中よりも非常に遅い運転速度で、エンジン停止中に高圧ポンプ33を駆動し、HFOを3から10バールで循環させるための十分な圧力を供給する。
図7から11を参照する。アクチュエータ19および空気ばね18の好適な実施形態を以下に詳述する。
排気弁11は、弁頭58から直立する弁棒57を有する。弁棒57の上端部は空気圧シリンダ59を支持する。空気圧シリンダ59は、固定ピストン60を圧力封止してその上を長手方向に移動できるように、弁棒57にしっかりと固定される。固定ピストン60は、ばね筐体61の一部である。固定ピストン60の上には、加圧給気源(図示せず)に接続されたばねチャンバ62があり、ばねチャンバ62を、例えば4.5バールの超過気圧の所定の最小圧力で加圧空気を満たした状態にする。3から10バールのような、他の空気圧を使用することもできる。最小圧力は、空気ばねの所望のばね特性に基づいて選択される。複数の異なるシリンダ上には、ばねチャンバを相互接続することが可能であるが、各ばねチャンバは、加圧給気源において逆止め弁63によって別々に遮断されることが好ましい。ばねチャンバ62内の加圧空気は、空気圧シリンダ59への永続的な上向きの力を発生させる。上向きの力は、空気圧シリンダ59が下方向へ移動して、逆止め弁63によって流出を防いだばねチャンバ62内の空気を圧縮するときに増加する。
ばね筐体61は、空気ばね18の周辺およびその上にキャビティ64を画定する。キャビティ64は、キャビティが大気圧となるように、ドレイン65に接続される。アクチュエータ19から漏れたあらゆる燃料は、キャビティ64に入り、ドレイン65を経て排出される。ばね構造は、油(HFO)が漏れてばねチャンバ62に入りにくくするが、これは、空気圧シリンダ59が、漏れた油をその上に流して、ばねチャンバ62に入るリスクを冒さずにキャビティ64の底部に下るようにさせる傘を形成するからである。このことは、漏れた油(HFO)は、漏れた油がさらに空気圧システム内に浸入したときに、チャンバの内部に蓄積してばねを硬くするか、または空気導管を遮断する可能性があることから、重要である。
図7および9を参照する。油圧弁アクチュエータ19は、筐体61の上部が支持するシリンダ66から構成される。ピストン67は、シリンダ66内の中央穴内で受けられる。中央穴は、シリンダ66の最上部で閉じており、シリンダ66の底部に開口している。中央穴は、筐体61内の穴68と同軸的に構成される。ピストン67の上端部(近接端)は中央穴内で受けられ、ピストン67の遠位端は弁棒57の上部に作用する。
主圧力チャンバ69は、シリンダ66とピストン67の上部との間に画定される。作動油(HFO)は、ポート70を経て油圧弁アクチュエータに供給され、そこから放出される。ポート70は、主圧力チャンバ69の下に配置され、シリンダ66とピストン67の中間区間との間に画定される、中間圧力チャンバ71に開口する。ポート70は、比例制御弁によって制御され、圧力導管20および戻り導管43と交互に接続される。図面には一例としてオン/オフ型の弁25'が示されているが、その代わりに比例型の弁を使用することができる。副圧力チャンバ73は、ピストン67の拡大直径区間74および対応する中央穴の拡大直径区間によって画定される。状況に応じて、キャビティ64に入る漏れた油の量を低減するために、ガスケット68'を、拡大直径区間74とシリンダ66との間に備えることができる。副圧力チャンバ73には、油圧アクチュエータ19の開口行程の最初の間に、ピストン67内の凹部75によって形成される軸方向流路75を介して中間チャンバ71から高圧のHFOが供給される。開口工程中の所定の中間位置において、軸方向流路75は、シリンダ67上の制御レッジ76によって閉じられている。同時に、現在拡大直径区間74の上縁部がポート77の上縁部の下に位置するので、ポート77は、副圧力チャンバ73を戻り管路43と接続する。油圧アクチュエータ19の開口行程の最初の間に、燃焼室15内の圧力によって、弁頭58には大きな力が作用するが、拡大直径区間74は、そのような力に対抗することに役立つ。ピストン67の所定の中間位置において、副チャンバ73への高圧流体の供給が中断され、副圧力チャンバはポート77を経て通気する。これで燃焼室15内の圧力が下がり、拡大直径区間74の動作はそれ以上不要である。
図8は、排気弁の代表的な開口プロファイルの図である。フェーズI(開口動作の開始)には、燃焼室15内の圧力に打ち勝ち、比較的重い排気弁11を加速するために、油圧アクチュエータ19からの大きな力が必要である。このフェーズ中に、油圧アクチュエータ19には、最も大きな力を供給することが必要である。しかし、制御弁25または25'の急激な開口によって生じる油圧の衝撃波を回避しなければならない。フェーズIIでは、排気弁11は全開位置に到達し、この区間では、排気弁11は、好ましくは互いに接触するあらゆる物体がない状態で、停止するまで緩やかに減速しなければならない。フェーズIIIでは、排気弁11の戻り動作緩やかに開始しなければならず、制御弁25または25'の急激な開閉による油圧波を回避しなければならない。最後のフェーズIVでは、金属物が互いに接触することから、弁座への弁頭58の穏やかで正確な着座が最も重要である。したがって、質量加速度を最小にし、弁頭の弁座への衝突を回避するために、排気弁11およびピストン67を徐々に減速することが重要である。排気弁11の適切な開口プロファイルは、本発明に従って幾通りかの方法で得ることができる。その1つの方法は、油圧シリンダ(図示せず)のような排気弁用の単純な油圧アクチュエータを使用するものであり、比例制御弁の適切な制御と組み合わせられる。この場合、適切な開口プロファイルを確実に得るために、アクチュエータ排気弁に加える適切な力と抵抗は、事実上専ら比例制御弁の開度によって得られる。別の方法は、本願明細書に記載された油圧アクチュエータおよび弁ばねを使用するものであり、オン/オフ型の制御弁によって得られる、排気弁に対する適切な開口プロファイルを可能にする固有の特性を利用する。固有の特性を有するアクチュエータは、比例弁と組み合わせることもできる。
排気弁が開いたときに、比例制御弁25高圧流体をポート70に供給し、主、中間、および副圧力チャンバが加圧される。主および副圧力チャンバ内の高圧作動油によって、ピストン67の下方向への加圧が生じる。
ピストン67(第1のピストン部分)は、ピストンキャップ78(第2のピストン部分)を備える。ピストン67の上部(近接端)は、ピストンキャップ78を摺動可能に係合し、ピストン67とピストンキャップ78との間には補償チャンバ79が形成される。好適な実施形態によれば、ピストンキャップ78は、ピストン67の上部全体に収まる。なお、ピストンキャップ78は、ピストン67の上部の内側(図示せず)に収まるように構成することも可能である。ばね80は、補償チャンバ79を広げるようにピストン67とピストンキャップ78とを互いに離れる方向に付勢する。補償チャンバ79と主圧力チャンバ69との間には、第1の流路が備えられる。第1の流路は、ピストンキャップ78の収容穴に収まる弁部材81を含む。ばね80は、ピストンキャップ78の方へ弁部材81を上方向に付勢する。別の実施形態(図示せず)によれば、ピストンキャップ78および弁部材81を上方向に付勢するための、別個のばねを備えることが可能である。これによって、どちらかの要素に加えられた力を、互いに独立して調整することができる。
弁部材81は、弁部材81が収容穴内の上部位置にある場合を除いて、補償チャンバ79を主圧力チャンバ69と接続する、軸方向の穴82と、2つの半径方向の穴83および84とを備える。この上部位置(図9および図12)では、穴84の開口部は、収容穴の壁によって隠されるので、第1の流路は閉じている。第1の流路は、ピストン67が上部位置にあり、ピストンキャップ78が、補償チャンバ79内の過剰な量の作動油により、主圧力チャンバ69の上部に必要以上に近づいて配置されたときに、補償チャンバ79から過剰な作動油を逃がすことができる役目をする。この状況(図10および11)では、弁部材81がシリンダ66の端面当接し、弁部材81は、ピストンキャップ78に対して下方に移動するので、弁頭58が弁座に載置されるまで、補償チャンバ79が排出できるように、第1の流路が開口する。したがって、第1の流路は、ピストンキャップ部分が、シリンダ66の上端部(近接端)において、小さな所定の軸方向の範囲に位置する。
第2の流路は、補償チャンバ79と中間圧力チャンバ71との間に存在する。好適な実施形態によれば、第2の流路は、ピストン67とピストンキャップ78との間の環状隙間85によって形成される。環状隙間85は狭いので、第2の流路には比較的高い流動抵抗がある。第2の流路によって、補償チャンバ79は、ばね80の作用を受けて補充することができる。補償チャンバの適切な充填流量は、ばね80の力および流路85の抵抗に対する適切な特性を選択することによって得られる。
高い流れ絞りを有する通気導管86は、シリンダ66の上部に備えられ、減衰チャンバ87によって形成される主圧力チャンバ69の上部を戻り導管43と接続する。
ピストンキャップ78は、ピストンの上部に向かって直径が増加する、軸方向に先細にした外周を有する。先細区間は、ポート70が中央穴に開口する位置の真上に中央穴から延在する、内方へ突出する環状フランジ88と協働する。先細区間は、環状フランジ88とともに、ピストンの位置によってサイズが変化する狭環状隙間89を形成する。作動油は、環状隙間89を介して加圧して、中間圧力チャンバ71から主圧力チャンバ69に流さなければならない。これによって、中間圧力チャンバ71と主圧力チャンバ69との間に圧力降下が生じる。圧力降下は、環状隙間89のサイズが減少したときに増加し、また流量の増加とともに漸進的に増加するので、ピストン67の速度が速くなるのを抑える。先細区間は、環状隙間89が、開口行程の終わりに向かって小さくなるように寸法が定められる。したがって、油圧液体の供給圧力が比較的高い場合であっても、ピストン67の速度は、行程の終わりに向かって効果的に制限される。先細区間は、図9から11に示されるように、わずかに外方へ湾曲したプロファイルであるが、円錐台、わずかに内方へ湾曲したプロファイル、それらの組み合わせ、またはあらゆる所望の所定のプロファイルも可能である。当該のプロファイルは、試験、コンピュータシミュレーション、または弁アクチュエータの最適な動特性に対して、どのくらい大きな流れ絞りが行程に沿って各位置になければならないのかを示す、解析的手法によって決定することが可能である。先細区間は、その後にしかるべく構成することが可能である。
アクチュエータ19の下向きの力および空気ばね18の上向きの力は、往路行程の終わりにおいてバランスがとられる。すなわち、ピストン67および排気弁11は、それら自身によって停止することになる(図8のフェーズII参照)。ピストンおよび排気弁を停止させるには、高圧HFOの供給を遮断することも、ストロークリミッタも不要である。HFOの供給を急に遮断する必要ないので、特に油圧システム全体にストレスを与える油圧の衝撃波が存在しない。ストロークリミッタが存在しないことで、機械的負荷および衝撃がより少なくなる。
油圧アクチュエータ19に供給される圧力、および空気ばね18に供給される圧力を制御して、排気弁11が適切な開位置に到達するようにする。アクチュエータ19および空気ばね18は、それらが開位置において、相対するバランス力に容易に到達するように寸法が定められる
フランジ88とピストンキャップ78の先細区間との間の流路は、ピストン67が全開位置に近づいたときに狭くなる。狭ギャップは、ピストン67の動作に関する減衰効果を有する。したがって、ピストンは、オーバーシュートや以降の振動がほとんどまたは全く無い状態で停止する。
ピストン67は、空気ばね18の作用を受けて引き込み位置に戻る。油圧アクチュエータ19は、シリンダ66の上部(近接端)における減衰チャンバ87の形態でストロークダンパーエンドを備える。ピストンキャップ78の上部は、ごくわずかな隙間で減衰チャンバ87に収まるように寸法が定められ、第2のピストン部分78の上部が減衰チャンバに入り込むときに、戻り行程にあるピストン67および排気弁11の運動エネルギの大部分は、環状隙間90によって形成されたごくわずかな隙間を通じて、油圧液体を減衰チャンバ87の外に押し出すことによって吸収され、弁頭58は、緩やかに弁座に着座する。
ポート70と主圧力チャンバ69との間の流路の流動抵抗は、ピストン67のそれぞれの位置において主圧力チャンバ69に必要な圧力に従って、先細区間の設計を変更することによって調整する。したがって、圧力弁アクチュエータ19を、圧力が変動する高圧源によって適切に動作させることができる。比較的に低い供給圧力、弁の加速度遅くする。結果的に、電子制御装置26は、タイミングおよび長さを弁開口に連続的に適応させて、高圧作動油の供給における圧力の変化を補償する。供給圧力が比較的に低いとき、電子制御装置26は、比例制御弁25に比較的早く開口して比較的長く開口したままにするように命令して、排気弁が、燃焼室内のガスを適切に排出するために十分に長い時間開くようにする。供給圧力が比較的高いときはその逆である。
シリンダ66は、暖かい作動油がアクチュエータを通じて循環して、戻り導管43に戻ることができる、通気および再循環導管86を備える。これは、エンジンの停止中に弁を動作温度に保っておくことに好都合であり、さらに有効な脱気機能を提供する。
〔油圧弁の動作〕
排気弁11の閉位置では、ピストンキャップ78は、弁部材81が許容する位置の範囲内で、減衰チャンバ87内部にその上部が入った位置にある。図10は、第1の流路が開いた状態である、ピストンキャップ87の可能な最高位置を示す図である。図12は、弁部材81が閉じた状態である、ピストンキャップ78の可能な最低位置を示す図である。その位置の範囲内では、ピストンキャップ78の上部と減衰チャンバ87の壁との間に狭環状隙間90が常に存在する。
排気弁11は、比例制御弁25(別の実施形態によれば、比例弁の代わりに、オン/オフ型弁25'またはサーボ弁のような他のタイプの弁を使用することができる)からポート70(図10)へ高圧媒体(HFOまたは燃料油)を供給することによって開かれる。ここから、油圧媒体は、環状隙間89および環状隙間90を経て主圧力チャンバ69および減衰チャンバ87に入り、ピストン67を下方向に付勢する圧力を蓄積する。また、作動油は、ポート70から中間チャンバ71に入り、また軸方向流路75を経て副圧力チャンバ73に入る。したがって、拡大直径区間74に作用する圧力は、ピストン67を下方向に付勢する力に加えられる。
ピストン67への複合力が、空気ばね18内および燃焼室15内の圧力からの反力を超えるときに、排気弁11が開き始める。開口動作の開始中に、環状隙間90を介した減衰チャンバ87への制限された流れによって、減衰チャンバ内にゆっくりと圧力が蓄積されるので、開口動作の開始は、激しい加速や油圧の衝撃波の無いスムーズなものになる(図8のフェーズI参照)。
排気弁11が部分的に開口したとき、燃焼室15内の圧力および排気弁11の開口を完了させるのに必要な力は、著しく低下する。このステージにおいて、ピストン67に作用する下向きの力は、制御レッジ(control ledge)76によって作動油の副圧力チャンバへの流れを遮断し、同時に、ポート77を介して戻り導管43副圧力チャンバ73接続することによって低減される。戻り導管43を副圧力チャンバ73に接続することによって、残りの開口行程中に、拡大する副圧力チャンバ73に戻り導管43からの作動油を供給することができ、軸方向流路75内および副圧力チャンバ73内のキャビテーションを回避することができる。
排気弁11の開口が増加するときに、間隙89の流量範囲が減少する。それによって、主圧力チャンバ69内および補償チャンバ79内の圧力が徐々に減少する。同時に空気ばね18内の圧力も徐々に増加するので、油圧媒体と空気媒体とによって及ぼされる力のバランスが完全に取れるまで、排気弁11の速度は徐々に減少する。相対する流体圧力が徐々に変化するので、排気弁11およびピストン67は、いかなる油圧の衝撃波または機械的な当接も無く、スムーズに減速されて完全に停止する(図8のフェーズII参照)。全開位置に近い排気弁11のあらゆる振動運動は、間隙89の特に低減された流量範囲の減衰効果によって低減される。
弁部材81は、排気弁11の開口期間中に、ばね80の力によって、ピストンキャップ89の下側に近接する。補償チャンバ79内に閉じ込められている作動油の量は、ピストンキャップ78の所定の位置を確保する。中間圧力チャンバ71と主圧力チャンバ69との間の圧力差、およびばね80の力が、ピストンキャップ78を上方向に付勢することによって、少量の作動油が、ピストンキャップとピストンとの間の環状間隙85を経て補償チャンバ79に吸引される。ガス交換弁11が完全に開いた位置では、主圧力チャンバ69内および中間圧力チャンバ71内の圧力は等しく、ばね80だけがピストンキャップ78を上方向に付勢する。排気弁11の開口中および完全に開いた期間中の補償チャンバの補充によって、ピストンキャップ78をピストン67に対してゆっくりと上方向に移動させる。
排気弁11は、比例制御弁25が位置を変えてポート70を戻り導管43に接続するときに、再び閉じる。空気ばね18の押し上げ力は、主圧力チャンバ69から環状隙間89経由で戻り導管43に作動油を入らせる。環状隙間89内の小さな流量範囲は、ピストン67の上方向への動作中に、環状間隙89の流量範囲を徐々に増加させることによって制御される速度を徐々に増加させて、戻り行程の柔軟な開始を確保する(図8のフェーズIIIを参照)。主圧力チャンバ69内の圧力は中間チャンバ71内よりも高いので、環状間隙85経由の排出によって、補償チャンバ79はが幾分縮小することになる。副圧力チャンバ73内の作動油は、その後段が、軸方向流路75、中間チャンバ71、ポート70および戻り導管43を経て拡大直径区間74によって覆われるときに、ポート77を経て排出される。
閉口動作の最終的な段階では、ピストンキャップ78が減衰チャンバ87に入り込むことによって、形成された環状間隙90は、減衰チャンバ内に閉じ込められた作動油に対する利用可能な流量範囲を減じる。環状隙間90を経て減衰チャンバ87に内に閉じ込められた作動油は、減衰チャンバから外に出され、それに相当する補償チャンバ79内の圧力を増加させて、ピストン67への制動力としての役割を果たすことによって、ピストンを減速させる(図8のフェーズIVを参照)。補償チャンバ79内の圧力の増加によって、ある程度の作動油が、チャンバから環状間隙85を経て排出される。したがって、弁頭58の弁座への着座速度は、排気弁11が閉じる直前に、環状間隙90の流量範囲によって概ね決定される。通気導管86および環状隙間85は、減衰チャンバ87からの流出にわずかに寄与する。
排気弁11の開口期間中に補償チャンバ79が完全に拡大した場合、ピストンキャップ78は、それが減衰チャンバ87に入り込むときに、わずかに高い位置を取る。これによって、弁部材81は、シリンダ66の端部(減衰チャンバの底部)に接触し、第1の流路を開いて、ピストンキャップ78が適切な位置(図10)を取ることができるように、補償チャンバ79から作動油を排出する(図11)。
排気弁11の戻り行程中に補償チャンバ79が完全に収縮した場合、ピストンキャップ78は減衰チャンバ87に入り込むが、わずかに低い位置を取り、弁部材81はシリンダの端部と接触しない(図12)。次の開口期間まで、ばね80は、ピストンキャップ78を上方向へ付勢する。したがって、補償チャンバ79は、弁部材81がシリンダ66の端部と接触するまで(図13)、環状間隙85経由で失われた量の作動油を受け取ることになり、ピストンキャップ78は、その軸方向の範囲内の実質的に中央の位置を取る。
補償チャンバ79と組み合わせたピストンキャップ78の動作によって、油圧アクチュエータ19は、異なる温度、修理、すなわち弁座の研削、および製造許容差によって生じる寸法変化を自動的に補う。したがって、弁頭58は、常に緩やかかつ正確に弁座に着座する。
本発明の一実施形態によれば、油圧アクチュエータ19は、補償チャンバ無しで、図7に示されるようにすることもできる。本実施形態は、例えば、標準的な作動油を30から60℃で動作する作動油として使用したときに、寸法変化がそれほど重要でないエンジンに導入することができる。
本発明は、例証のために詳述したが、当該の詳細は単にその目的のためのものであり、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく変更できると理解されたい。
シリンダカバーを備えた2サイクルクロスヘッドエンジンにおける、シリンダの概略の正面図である。 図1に示されるエンジンにおける、シリンダの概略の断面図である。 図1に示されるエンジンの油圧および潤滑システムを図表示した図である。 図3に示される油圧および潤滑システムを図表示した別の実施形態である。 本願明細書において有用な圧力管の断面図である。 本願明細書において有用な代替的圧力管の別の断面図である。 弁が着座してピストンが引き込み位置にある、図2のシリンダにおける油圧作動排気弁の第1の実施形態の長手方向断面図である。 本発明による排気弁アクチュエータの代表的な開口プロファイルを示す図である。 ピストンが部分的に伸長位置にある、図7に示されるアクチュエータの拡大断面図である。 ピストンが引き込み位置にあり、ピストンキャップがその軸方向範囲における最も高い位置にある、図9と同じ視点の図である。 ピストンが実質的に引き込み位置にあり、ピストンキャップが実質的にその軸方向範囲における最も高い位置にある、アクチュエータ上部の詳細図である。 ピストンが引き込み位置にあり、ピストンキャップが実質的にその軸方向範囲における最も低い位置にある、アクチュエータ上部の詳細図である。 ピストンが引き込み位置にあり、ピストンキャップが実質的にその軸方向範囲における中間位置にある、アクチュエータ上部の詳細図である。
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