JP2008526225A - 搾乳設備 - Google Patents
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Abstract
本発明は、搾乳動作中に動物の搾乳を行うための搾乳設備に関する。この搾乳設備は、固定構造体と、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる少なくとも1つの乳頭カップを有している搾乳部材(5)と、を有している。長い乳導管(10)が搾乳部材から延びており、搾乳機に接続されるように構成されている。支持装置が、固定構造体に取り付けられている固定レール部材(18)と、アーム軸線(x)に平行に延びており、搾乳部材が取り付けられている支持アーム(17a,17b)と、を有している。支持アームは、搾乳動作中にレール部材上を自由に移動可能なようにレール部材に接続されている。
Description
本発明は、固定構造体と、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる少なくとも1つの乳頭カップを有している搾乳部材と、搾乳部材から延び、搾乳機に接続されるように構成されている少なくとも1つの長い乳導管と、固定構造体に取り付けられている固定レール部材およびアーム軸線に平行に延びており搾乳部材が取り付けられている支持アームを有する支持装置と、を有する、搾乳動作中に動物の搾乳を行うための搾乳設備に関する。
数種類の互いに異なる搾乳方法が現在知られている。搾乳方法は、搾乳作業が手作業で行われる手動搾乳か、搾乳が搾乳機によって行われる機械搾乳かで異なる。機械搾乳は、半自動である場合があり、すなわち、複数の乳頭カップが依然として手動で取り付けられ、搾乳動作の終了後、複数の乳頭から自動的に取り外される場合がある。そのような半自動搾乳は、特に多数の動物を有している搾乳設備において、現在最も頻繁に行われている方法である。最近では、完全に自動的な搾乳も用いられており、この場合、乳頭カップは、搾乳される動物の乳頭に自動的に取り付けられ、これは、もはや手作業が必要ないことを意味する。
本発明は、まず第1に、半自動の搾乳方法によって運用される設備に関する。そのような設備においては、乳頭カップの取り付けは、依然として比較的骨の折れ時間のかかる作業である。作業者は、乳頭カップを乳頭の下方の位置に移動させて、乳頭カップを乳頭へ取り付けるために、複数の乳頭カップを持ち上げなければならない。
搾乳動作中は、動物が横方向におよび縦方向に前後にいくらか動けることが好ましい。動物が搾乳室で完全に固定位置に保持されると、動物の快適さが低下し、搾乳される動物の意欲が低下する。そのため、搾乳部材が、搾乳動作中に乳頭から外れることなく動物の動きに追従できることが重要である。この問題は、従来、搾乳部材が、搾乳動作中に乳頭だけに取り付けられており、他のいかなる機械部材によっても保持されていないことによって解決されている。上述の搾乳設備では、搾乳部材は、搾乳動作中に支持アームによって保持され支持されるように、支持アームに取り付けられている。そのような解決策はいくつかの理由によって有利である。例えば、搾乳部材を、乳頭から取り外された時にも支持アームによって保持することができ、その結果、乳頭カップが汚れる場合がある床に乳頭カップが落ちるのが防止される。
特許文献1には、搾乳される動物を収容する搾乳室が開示されている。支持アームが搾乳室の囲いに取り付けられており、鉛直フレームに沿って鉛直方向に移動可能である。鉛直フレームは、支持アームを乳頭の位置に対して正しい位置に調整できるようにするために、2つのレール上を水平方向に移動可能である。
米国再発行特許第22368号明細書
本発明の目的は、搾乳部材が搾乳動作中に動物の動きに追従できるように搾乳部材を保持している支持アームを有している搾乳設備を提供することにある。
この目的は、支持アームが搾乳動作中にレール部材上を自由に移動可能なように、支持アームがレール部材に接続されていることを特徴とする、最初に述べた搾乳設備によって達成される。そのような設備によって、支持アームに取り付けられている搾乳部材は自由に移動することができ、したがって、動物の、レール部材に平行な動きに追従することができる。したがって、本発明によれば、搾乳部材が支持アームに取り付けられており、その結果、搾乳動作が終了した時に搾乳部材が床に落ちるおそれがない搾乳設備が提供される。さらに、支持アームに常に取り付けられている搾乳部材の扱いが多くの方法で容易になる。
本発明の一実施態様によれば、固定構造体は、1頭または2頭以上の搾乳される動物を受け入れるように構成されている搾乳室を有している。搾乳室は、第1の高さの搾乳室床を有しており、レール部材は第1の高さの下の第2の高さの所で延びていてよい。そのようにすることで、レール部材を、完全に動物から届かない範囲に位置させることができる。さらに、搾乳部材が動物の乳頭に取り付けられる時にレール部材が搾乳者のじゃまにならないようにすることができる。
本発明の他の実施態様によれば、固定構造体は第1の高さと第2の高さの下の第3の高さに位置しているピット床を有しているピット領域を有している。この場合、固定構造体は実質的に搾乳室床とピット床との間を延びている壁を有しており、レール部材はこの壁に取り付けられていてよい。
本発明の他の実施態様によれば、支持アームは搾乳動作中に搾乳される動物の両後ろ脚の間を延びるように構成されている。したがって、搾乳部材は動物の、横方向の動きに追従することができる。
本発明の他の実施態様によれば、レール部材は、実質的に水平なレール軸線に平行に延びており、この場合、支持アームは、搾乳動作中、乳頭カップが乳頭に取り付けられている時にレール軸線に沿って自由に移動可能である。支持アームは、アーム軸線とレール軸線とが、少なくとも搾乳動作中に実質的に一定の角度をなすようにレール部材に接続されているのが有利である。この角度は例えば、ほぼ直角であってよい。ただし、支持アームは、搾乳動作が終了した後で角度が変更されるように、水平面内で回転可能である。
本発明の他の実施態様によれば、搾乳部材は、搾乳動作中、アーム軸線に沿って自由に移動可能である。そのようにすることで、搾乳部材は、レール軸線の方向に垂直な方向にも自由に移動可能である。その結果、搾乳部材は、動物がどの方向に移動した時にも、動物に追従することができる。支持アームは、レール部材に比較的近い、内側の第1の位置と、レール部材から比較的遠い、外側の第2の位置とを実現し、搾乳部材は内側の第1の位置と外側の第2の位置との間を移動可能であるのが有利である。
本発明の他の実施態様によれば、搾乳設備は、搾乳動作が終了した時に搾乳部材を乳頭から取り外すように構成されている取り外し装置を有しており、この取り外し装置は、搾乳部材を外側の第2の位置から内側の第1の位置に移動させるように構成されている。その結果、搾乳部材は、搾乳部材を乳頭から取り外す時に、支持アームから取り外されることなく、支持アームに沿って移動することができる。
本発明の他の実施態様によれば、支持装置は、レール部材にスライド可能に取り付けられている取り付け装置も有しており、支持アームは、少なくとも休止位置と搾乳動作位置に位置することができるように、取り付け装置に対して移動可能なように取り付け装置に接続されている。取り付け装置に対する支持アームのそのような移動は、任意の面内、例えば、水平面内または鉛直面内での回転として実行されてよい。搾乳部材は、支持アームが休止位置にある時に内側の第1の端部に位置し、支持アームが搾乳動作位置にある時に外側の第2の位置に位置するように構成されているのが有利である。搾乳部材は、休止位置と搾乳動作位置にある支持アームに取り付けられているのが有利である。その結果、搾乳部材を、支持アームに常に取り付けておくことができる。
本発明の他の実施態様によれば、搾乳部材は、支持アーム上をアーム軸線に沿って自由に移動可能なように支持アームに取り付けられている。搾乳部材は、搾乳部材を保持し、アーム軸線に沿って移動可能なように支持アームに取り付けられているスライド部材を有しているのが有利である。搾乳部材は、アーム軸線に対してある角度をなして延びているピボット軸線を中心としてピボット運動可能であってよい。この角度は、例えば実質的に直角であってよい。
本発明の他の実施態様によれば、支持アームは第1のアーム部材と、搾乳部材を保持している第2のアーム部材と、を有しており、第1のアーム部材は第2のアーム部材内に嵌め込み式に挿入可能であり、第2のアーム部材は第1のアーム部材上をアーム軸線に沿って移動可能である。そのような支持アームによっても、搾乳部材をアーム軸線に沿って自由にさらに移動できるようにすることができる。このようにして、搾乳部材は、第2のアーム部材と一緒に、第1のアーム部材に対して自由に移動可能である。搾乳部材は、第2のアーム部材に対して、例えばスライド部材によっても移動可能であるのが有利であるが、そうである必要はない。
本発明の他の実施態様によれば、支持アームは、第1のアームと第2のアームとを有しており、第1のアームと第2のアームとの両方がアーム軸線に平行に延びている。そのような2つのアームを支持アームに設けることによって、支持アームの強度を向上させることができる。スライド部材は、アーム軸線に沿って移動可能なように第1のアームと第2のアームに取り付けられていてもよい。
本発明の他の実施態様によれば、第1のアームと第2のアームとの両方が、取り付け装置に接続されている各第1のアーム部材と、搾乳部材を保持している各第2のアーム部材とを有しており、第1のアーム部材は第2のアーム部材内に嵌め込み式に挿入可能であり、第2のアーム部材は第1のアーム部材のそれぞれ一方の上をアーム軸線に平行に移動可能である
以下、本発明を、様々な好適な実施形態によって、本明細書に添付されている図面を参照して、より詳細に説明する。
図1から4は、搾乳動作中に動物の搾乳を行う搾乳装置1を有している搾乳設備の第1の実施形態を示している。搾乳装置1は、搾乳区画の形態の固定構造体2内に設けられている。搾乳区画は、搾乳される少なくとも1頭の動物を受け入れる少なくとも1つの搾乳室3を有している。搾乳区画は、任意の好ましい構成で配置されている多数の搾乳室3または搾乳ボックスを有していてもよい。各搾乳室3は、それぞれの搾乳動作中にそれぞれの動物の搾乳のために、実質的に水平な搾乳室床3’上の第1の高さの所に1頭または2頭以上の動物を収容するように構成されている。固定構造体2は、第3の高さの、実質的に水平なピット床4’と、少なくとも実質的に搾乳室床3’とピット床4’との間を延びている鉛直な壁13とを有しているピット領域4も有している。
搾乳装置1は、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる少なくとも1つの乳頭カップ6を有している搾乳部材5を有している。開示する複数の実施形態では、搾乳部材5はクロウ7と4つの乳頭カップ6とを有している。各乳頭カップ6は、短い各乳導管8を介してクロウ7に接続されている。各乳頭カップ6は各乳頭を受け入れるための内部空間を形成しており、乳頭カップ6の内部空間に乳頭を導入できるようにするための上側開口9を有している。短い各乳導管8は、図1に示しているように、乳頭カップ6が動物の乳頭に取り付けられておらず、クロウが実質的に水平な位置にある時にも、開口9が実質的に上方に向けられた位置に乳頭カップ6が保持されるような剛性を有している。図1からわかるように、短い各乳導管8は乳頭カップ6の外面の上側部分の所でそれぞれの乳頭カップ6に取り付けられている。短い各乳導管8は、クロウ7に接続されている実質的にまっすぐな第1の部分と、それぞれの乳頭カップ6に接続されている実質的にまっすぐな第2の部分とを有している。まっすぐな第1の部分は、まっすぐな第2の部分に対してほぼ垂直である。図1に示している位置では、まっすぐな第1の部分は実質的に鉛直に延びており、まっすぐな第2の部分は実質的に水平に延びている。長い乳導管10が搾乳部材5から延びている。図1〜4に示している実施形態では、長い乳導管10はクロウ7に取り付けられ、クロウ7から延びている。長い乳導管10は、それ自体公知の手法で搾乳機(不図示)に接続されるように構成されている。ただし、在来の手法の各乳頭カップ6は、脈動導管(不図示)を介してパルセータ(不図示)に接続されている脈動チャンバ(不図示)を有しており、脈動導管は、独立した導管である場合もあり、短い乳導管8および/または長い乳導管10と一体の導管である場合もある。
搾乳装置1は支持装置15も有している。支持装置15は、取り付け装置16と支持アーム17a,17bとを有している。支持アーム17a,17bは、細長い形状を有しており、アーム軸線xに平行に延びている。取り付け装置16は、固定構造体2に取り付けられるように構成されている。開示する複数の実施形態では、固定構造体2はレール部材18を有しており、レール部材18は、搾乳室3の外側に設けられており、搾乳室3に隣接して搾乳室3の下方で、実質的に鉛直な壁13に取り付けられている。レール部材18は、第1の高さと第3の高さとの間の第2の高さの所の、水平な、または実質的に水平なレール軸線rに平行に、すなわちレール軸線rに沿って延びている。ただし、レール軸線rを、水平線に対して傾斜させることもできる。取り付け装置16は、少なくとも搾乳動作中にレール軸線rに沿ってレール部材18上を自由に移動可能なようにレール部材18に取り付けられている。
支持アーム17a,17bは接続部材19を介して取り付け装置16に接続されている。支持アーム17a,17bは取り付け装置16に対して移動可能である。開示する複数の実施形態では、支持アーム17a,17bは取り付け装置16に対して鉛直面内で回転可能である。支持アーム17a,17bは、接続部材19の回転継ぎ手19’によって、このように回転できるようになっている。このように、接続部材19は、回転継ぎ手19’によって取り付け装置16に取り付けられている。
搾乳部材5は、支持アーム17a,17bに取り付けられており、同時に、アーム軸線xに沿って自由に移動可能である。2つの方法でこのように移動可能にすることができる。搾乳部材5を、支持アーム17a,17b上をアーム軸線xに沿って移動させることができる。この場合、搾乳装置1は、搾乳部材5を保持しアーム軸線xに沿って移動させることができるスライド部材20を有していてよい。より具体的には、複数の図からわかるように、スライド部材20は、クロウ7に取り付けられ、スライド部材20上に設けられている2つのフランジ部材22を通って延びている相応の2つの穴を通って延びている2つのピン21を介して、クロウ7を保持している。クロウ7はピン21によってスライド部材22に対してピボット運動可能である。より具体的には、クロウ7はピン21に平行に延びるピボット軸線pを中心としてピボット運動可能である。開示している複数の実施形態では、ピボット軸線pはアーム軸線xに対して実質的に直角に延びている。フランジ部材22を外側に曲げることによってクロウ7と搾乳部材5をスライド部材20から容易に取り外せるように、フランジ部材22は、弾性的に曲げることができるようになっている。
支持アーム17a,17bは、取り付け装置に接続されている第1のアーム部材17a’,17b’と、搾乳部材5を保持している第2のアーム部材17a’’,17b’’とを有している。第2のアーム部材17a’’,17b’’が移動可能となり、第1のアーム部材17a’,17b’上をアーム軸線xに沿って自由に移動可能となるように、第1のアーム部材17a’,17b’を第2のアーム部材17a’’,17b’’内に嵌め込み式に挿入可能であるという構成によっても搾乳部材5を移動可能にすることができる。支持アーム17a,17bは、取り付け装置16に接続されている内側端部と、反対側の外側端部とを有している。したがって、搾乳部材5を、支持アーム17a,17b上を、図4に示している、内側端部の近傍の、内側の第1の位置と、図1に示している、外側端部の近傍の、外側の第2の位置との間を移動させることができる。さらに、支持アーム17a,17bは、少なくとも図4に示している休止位置と図1に示している搾乳動作位置とに位置させることができるようにするために、取り付け装置16に対して移動可能なように、上述のように、取り付け装置16に接続されている。
図2からわかるように、支持アーム17a,17bは第1の支持アーム17aと第2の支持アーム17bとを有していてもよい。乳頭カップ6と短い乳導管8は図2には示されていない。第1の支持アーム17aと第2の支持アーム17bとの両方は互いに対して、かつアーム軸線xに対して平行に延びている。第1の支持アーム17aと第2の支持アーム17bとの両方は、内側端部で接続部材19を介して取り付け装置16に接続されている。第1の支持アーム17aと第2の支持アーム17bとは、外側端部で接続ロッド25を介して互いに接続されている。長い乳導管10は、支持アーム17a,17bのそばを延びており、第1の実施形態では、長い乳導管10は第1の支持アーム17aと第2の支持アーム17bとの間を延びている。スライド部材20は、アーム軸線xに沿って移動可能なように第1の支持アーム17aと第2の支持アーム17bとに取り付けられている。第1の支持アーム17aと第2の支持アーム17bとの両方は、取り付け装置19に接続されている各第1のアーム部材17a’,17b’と、搾乳部材5を保持している各第2のアーム部材17a’’,17b’’とを有している。第2のアーム部材17a’’,17b’’が第1のアーム部材17a’、17b’上をアーム軸線xに平行に移動可能なように、第1のアーム部材17a’,17b’は、第2のアーム部材17a’’、17b’’内に嵌め込み式に挿入可能になっている。
搾乳装置1は、搾乳動作の終了後に搾乳部材を取り外すために設けられている取り外し装置30も有している。取り外し装置30は、固定構造体2に、より具体的には壁13に取り付けられている取り外し部材31を有している。ただし、取り外し部材31を、例えば取り付け装置16に取り付けることもできる。開示している複数の実施形態では、取り外し部材31は回転モータを有している。取り外し部材31は、代わりに、空気圧シリンダまたは油圧シリンダのようなリニア駆動装置を有していてもよい。さらに、取り外し装置30はガイド部材32と、ワイヤ、鎖等のような線33とを有している。線33は、取り外し部材31と搾乳部材5との間を延びており、取り外し部材31と搾乳部材5とに接続されている。ガイド部材32は、接続部材19に取り付けられており、支持アーム17a,17bに対して固定されている。ガイド部材は、取り外し部材31への線33の接続点の水平方向位置と、搾乳部材5への線33の接続点の水平方向位置との間にある水平方向位置に位置している。
上述のように、図1は、搾乳部材が支持アームの外側端部の所に位置し、乳頭カップ6を動物(不図示)の乳頭に取り付けることができる搾乳動作位置にある搾乳装置1を示している。図3は、搾乳部材5が支持アーム17a,17b上、すなわち第2のアーム部材17a’’,17b’’上を、支持アーム17a,17bの外側端部から離れ、内側端部に向かって移動させられた中間位置にある搾乳装置1を示している。図3に示している中間位置では、第2のアーム部材17a’’,17b’’も、支持アーム17a,17bの内側端部に向かって第1の支持部材上を移動させられている。図4は、搾乳部材5が支持アーム17a,17bの内側端部の所に位置している休止位置にある搾乳装置1を示している。
搾乳動作中、搾乳装置1が搾乳動作位置にある時に、すなわち乳頭カップ6が乳頭に取り付けられる時に、取り付け装置16を、上述のように、支持アーム17a,17bおよび搾乳部材5と一緒にレール部材18上を自由に移動させることができる。しかし、搾乳装置1が休止位置と中間位置にある時にも、取り付け装置16を、支持アーム17a,17bと搾乳部材5と一緒に、レール部材18に沿って自由に移動させることができる。
さらに、休止位置では、支持アーム17a,17bが搾乳室3の完全に外側に、または搾乳室3の少なくとも実質的に完全に外側に位置するように、搾乳支持アーム17a,17bは鉛直面内で取り付け装置16に対して回転させられている。支持アーム17a,17bのこの回転は、搾乳部材5と長い乳導管10との重心が、回転継ぎ手19’によって定められる回転点の、水平方向に外側に位置することになるので、重力によって行われる。代替として、または付加的に、搾乳装置は、搾乳動作位置から休止位置への支持アーム17a,17bの動きを促進するように支持アーム17a,17bに作用する力を発生する力発生部材38を有していてもよい。その結果、この場合、力発生部材38は、搾乳部材5が外側の第2の位置から内側の第1の位置へ移動した時に、支持アーム17a,17b、搾乳部材5、スライド部材20、および長い乳導管10の重量に打ち勝ち、支持アームを、図1に示している搾乳動作位置から図4に示している休止位置へ回転させることができる。力発生部材38は、電気モータ、空気圧シリンダまたは油圧シリンダ、またはばねのような、力を発生する任意の適切な部材を有していてよい。例えば、ばねは、図1に示しているように回転継ぎ手19’に組み込まれている渦巻きばねであってよく、または、支持アーム17a,17bに作用するコイルばねであってもよい。
搾乳装置1が休止位置にある時に、搾乳者は、乳頭カップ6を動物の乳頭に容易に取り付けることができる。それから、搾乳者は乳頭カップ6のうちの2つを把持して、それらを、前方に、すなわち搾乳室3の外側の位置から動物の乳房と乳頭の下方に移動させることができる。この移動は、支持アーム17a,17bを、回転継ぎ手19’を中心として回転させ、搾乳部材5をアーム軸線xに沿って移動させることによって行うことができる。この位置で、乳頭カップ6を各乳頭上にわずかに持ち上げることができる。その後、搾乳動作中に動物の搾乳を行うことができる。搾乳動作が終了すると、取り外し装置30が作動させられ、この時、搾乳部材5は乳頭から引き戻され、内側の第1の位置まで後方に移動させられる。この位置で、搾乳部材5と長い乳導管との重心が、回転継ぎ手19’の外側に位置し、その結果、支持アームは、場合によっては力発生部材38によって支援されて回転して図4に示す休止位置に戻る。
図5は、支持アーム17a,17bが、第1のアーム部材17a’、17b’と第2のアーム部材17a’’、17b’’に加えて中間の第3のアーム部材17a’’’,17b’’’を有している点で第1の実施形態と異なる第2の実施形態を示している。第1のアーム部材17a’,17b’は、中間のアーム部材17a’’’、17b’’’内に嵌め込み式に挿入可能であり、中間のアーム部材17a’’’、17b’’’内をアーム軸線xに沿って自由に移動可能であり、中間アーム部材17a’’’,17b’’’は、第2のアーム部材17a’’、17b’’内に嵌め込み式に挿入可能であり、第2のアーム部材17a’’、17b’’内をアーム軸線xに沿って自由に移動可能である。そのような嵌め込み式の支持アーム17a,17bによって、支持アーム17a,17bの全ストロークを、従来技術に比べてさらに長くすることができる。代替として、または付加的に、スライド部材20を省略してもよく、その場合、搾乳部材5は外側の第2のアーム部材17a’’、17b’’に固定されるように取り付けられる。後者の場合でも、第2のアーム部材17a’’,17b’’が第1のアーム部材17a’,17b’および/または中間のアーム部材17a’’’,17b’’’に対して移動可能であるので、搾乳部材5をアーム軸線xに沿って自由に移動させることができる。ただし、支持アーム17a,17bは、4つ以上のそのような嵌め込み式のアーム部材を有していてもよい。
支持アーム17a,17bは、搾乳される動物の両後ろ脚の間を延びるように構成してもよい。その場合、搾乳部材5は、取り付け装置16がレール部材18上を自由に移動できる構成のおかげで、搾乳動作中の動物の横方向のどのような動きにも追従することができる。搾乳部材5は、搾乳部材5が支持アーム17a,17bに沿って自由に移動できる構成のおかげで、搾乳動作中の動物の縦方向の前後のどのような動きにも追従することができる。後者の動きは、第2のアーム部材17a’’,17b’’上をスライド可能なスライド部材および/または第1のアーム部材17a’,17b’上をスライド可能な第2のアーム部材17a’’,17b’’によって可能になっている。
レール部材18を搾乳室3に対して、レール部材18が、搾乳される動物の後ろまたは搾乳される動物の横を延びるように取り付けてもよい。どちらの場合も、搾乳部材5の、動物に対する横方向および/または縦方向の動きが可能となる。
図1〜5に示している両実施形態では、レール部材18は搾乳室床3’の第1の高さの下方で延びている。しかし、レール部材18をさまざまな異なる形態に構成してもよく、図6〜9に示しているようにさまざまな異なる位置で延びていてもよい。例えば、レール部材18は、図6、7、および9に示しているように、部分的にまたは完全に、第2の高さの位置、または第1の高さの上方で延びていてもよい。レール部材18は、図6と9とに示しているように、壁13と搾乳室床3’によって形成されているコーナ内に組み込まれていてもよい。レール部材18は、図7に示しているように、シート部材39の後ろに隠され、および/または保護されていてもよい。レール部材18の断面形状は様々であってよい。レール部材の断面形状の延びの形態は、図1〜5と7に示しているように実質的に鉛直に延びている形態と、図8に示しているように実質的に水平に延びている形態との間で変化していてもよい。図6と9は、断面形状が傾斜して延びている形態を示している。
本発明は、開示する実施形態には限定されず、請求項の範囲内で変更したり修正したりすることができる。支持アーム17a,17bが、図2に示しているように平行な2つの支持アーム17a,17bを有する代わりに、1つのアームだけが備えられていてもよい。開示している複数の実施形態では、搾乳部材5はクロウ7を有している。しかし、搾乳部材5は複数の乳頭カップ6と各乳頭カップ6用の長い各乳導管10を有していてもよく、その場合、いわゆる1/4搾乳が可能なように、長い乳導管10は各乳頭カップ6に直接接続されている。
Claims (19)
- 固定構造体(2)と、
搾乳される動物の乳頭に取り付けられる少なくとも1つの乳頭カップ(6)を有する搾乳部材(5)と、
前記搾乳部材(5)から延びており、搾乳機に接続されるように構成されている少なくとも1つの長い乳導管(10)と、
支持装置(15)と、
を有し、
前記支持装置(15)は、
前記固定構造体(2)に取り付けられている固定レール部材(18)と、
アーム軸線(x)に平行に延びており、前記搾乳部材(5)が取り付けられている支持アーム(17a,17b)と、
を有する、搾乳動作中に動物の搾乳を行うための搾乳設備において、
前記支持アーム(17a,17b)は、該支持アーム(17a,17b)が、搾乳動作中に前記レール部材(18)上を自由に移動可能なように、前記レール部材(18)に接続されていることを特徴とする搾乳設備。 - 前記固定構造体(2)は、1頭または2頭以上の搾乳される動物を受け入れるように構成されている搾乳室(3)を有することを特徴とする、請求項1に記載の搾乳設備。
- 前記搾乳室(3)は、第1の高さに位置している搾乳室床(3’)を有し、前記レール部材(18)は前記第1の高さの下の第2の高さの所で延びていることを特徴とする、請求項2に記載の搾乳設備。
- 前記固定構造体(2)は、前記第1の高さおよび前記第2の高さの下の第3の高さに位置しているピット床(4’)を有するピット領域(4)を有することを特徴とする、請求項3に記載の搾乳設備。
- 前記固定構造体(2)は、実質的に前記搾乳室床(3’)と前記ピット床(4’)との間を延びている壁(13)を有し、前記レール部材(18)は前記壁(13)に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の搾乳設備。
- 前記支持アーム(17a,17b)は、搾乳動作中に搾乳される動物の両後ろ脚の間を延びるように構成されていることを特徴とする、請求項2から4のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記レール部材(18)は、実質的に水平なレール軸線(r)に平行に延びていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記支持アーム(17a,17b)は、前記アーム軸線(x)と前記レール軸線(r)とが、少なくとも搾乳動作中に実質的に一定の角度をなすように前記レール部材(18)に接続されていることを特徴とする、請求項7に記載の搾乳設備。
- 前記搾乳部材(5)は、搾乳動作中に、前記アーム軸線(x)に沿って自由に移動可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記支持アーム(17a,17b)は、前記レール部材(18)に比較的近い、内側の第1の位置と、前記レール部材(18)から比較的遠い、外側の第2の位置とを実現し、前記搾乳部材は前記内側の第1の位置と前記外側の第2の位置との間を自由に移動可能であることを特徴とする、請求項9に記載の搾乳設備。
- 搾乳動作が終了した時に前記搾乳部材(5)を乳頭から取り外すように構成されている取り外し装置(30)を有し、該取り外し装置(30)は、前記搾乳部材(5)を前記外側の第2の位置から前記内側の第1の位置に移動させるように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の搾乳設備。
- 前記支持装置(15)は、前記レール部材(18)にスライド可能に取り付けられている取り付け装置(16)も有し、前記支持アーム(17a,17b)は、少なくとも休止位置と搾乳動作位置に位置することができるように、前記取り付け装置(16)に対して移動可能なように前記取り付け装置(16)に接続されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記搾乳部材(5)は、前記支持アーム(17a,17b)が前記休止位置にある時に前記内側の第1の端部に位置し、前記支持アーム(17a,17b)が前記搾乳動作位置にある時に前記外側の第2の位置に位置するように構成されていることを特徴とする、請求項10および12に記載の搾乳設備。
- 前記搾乳部材(5)は、前記休止位置と前記搾乳動作位置にある前記支持アーム(17a,17b)に取り付けられていることを特徴とする、請求項12および13のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記搾乳部材(5)は、該搾乳部材(5)が前記支持アーム(17a,17b)上を前記アーム軸線(x)に沿って自由に移動可能なように前記支持アーム(17a,17b)に取り付けられていることを特徴とする、請求項9から14のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記搾乳部材(5)を保持し、前記アーム軸線(x)に沿って移動可能なように前記支持アームに取り付けられているスライド部材(20)を有することを特徴とする、請求項9から15のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記支持アーム(17a,17b)は第1のアーム部材(17a’,17b’)と、前記搾乳部材(5)を保持している第2のアーム部材(17a’’,17b’’)と、を有し、前記第1のアーム部材(17a’,17b’)は前記第2のアーム部材(17a’’,17b’’)内に嵌め込み式に挿入可能であり、前記第2のアーム部材(17a’’,17b’’)は前記第1のアーム部材(17a’,17b’)上を前記アーム軸線(x)に沿って移動可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記支持アーム(17a,17b)は、第1の支持アーム(17a)と、第2の支持アーム(17b)と、を有し、前記第1の支持アームと前記第2の支持アームとの両方が前記アーム軸線(x)に平行に延びていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の搾乳設備。
- 前記第1の支持アーム(17a)と前記第2の支持アーム(17b)との両方は、前記取り付け装置(16)に接続されている各第1のアーム部材(17a’,17b’)と、前記搾乳部材(5)を保持している各第2のアーム部材(17a’’,17b’’)と、を有し、前記第1のアーム部材(17a’,17b’)は前記第2のアーム部材(17a’’,17b’’)内に嵌め込み式に挿入可能であり、前記第2のアーム部材(17a’’,17b’’)は前記第1のアーム部材(17a’,17b)のそれぞれ一方の上を前記アーム軸線(x)に平行に移動可能であることを特徴とする、請求項17に記載の搾乳設備。
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