JP2008524235A - オクトレオチド化合物の徐放性送達処方物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ソマトトルピンおよび/またはソマトスタチンに関連する疾患の治療のためのオクトレオチド徐放性送達系に関する。本発明の徐放性送達系には、オクトレオチド化合物を含む流動性組成物およびオクトレオチド化合物を含む埋没物(implant)が含まれる。流動性組成物を組織に注射することができ、注射の際に凝固して固体またはゲルの一体化した埋没物になる。流動性組成物は、生分解性熱可塑性ポリマー、有機液体、およびオクトレオチド化合物を含む。

Description

(発明の分野)
本発明は、オクトレオチド化合物によって改善される疾患の治療のためのオクトレオチド徐放性送達系に関する。本発明の徐放性送達系には、オクトレオチドを含む流動性組成物およびオクトレオチドを含む埋没物(implant)が含まれる。
(発明の背景)
ソマトスタチンおよびソマトトロピンに関連する全ての不調(malcondition)の治療が本発明の範囲内であるが、糖尿病に起因する眼疾患の考察が特に重要である。
糖尿病性網膜症:ソマトスタチンに関連する不調の1つの治療は、糖尿病性網膜症の治療に関する。糖尿病性網膜症は、25歳と74歳との間の患者の失明の主な原因である。糖尿病性網膜症は、米国で毎年12,000〜24,000症例の新たな失明の原因であると推定されている。
糖尿病性網膜症は、以下の2つのカテゴリーに分類される:非増殖性糖尿病性網膜症および増殖性糖尿病性網膜症。非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR)は、網膜内微細動脈瘤、出血、神経線維層梗塞、硬性白斑、および微小血管異常によって特徴づけられる。増殖性網膜症(PDR)は、円板またはより周辺の網膜血管から生じる新血管形成によって特徴づけられる。
黄斑浮腫は、非増殖性網膜症(NPDR)における視力喪失の主な原因である。黄斑浮腫は、毛細管中の微細動脈瘤からの局所性血管漏洩およびびまん性血管漏洩に起因する。
増殖性糖尿病性網膜症における網膜新血管形成の病因の理解は不完全である。現在の理論は、網膜の虚血性および低酸素性領域によって産生された血管新生因子(例えば、血管内皮成長因子、血小板由来成長因子、および塩基性線維芽細胞成長因子)の役割に注目している。内因性低酸素症誘導性血管新生因子が網膜血管からの血管新生増殖を駆動すると考えられている。
糖尿病性網膜症の医学的治療:最近の研究結果により、オクトレオチドが2つの異なる糖尿病性網膜症の徴候に有効であることが示唆されている。第1の徴候は、高リスクの増殖性網膜症患者における硝子体出血および視力喪失を軽減することである(Boehm,B.O.ら、1998)。別の糖尿病性眼徴候には、疾患が初期段階の患者が含まれる(Grant,M.B.ら、2000)。これには、非増殖性(NPDR)および初期増殖性糖尿病性網膜症(ePDR)が含まれる。
内因性ソマトスタチンおよび/またはソマトトロピンに関連する疾患の治療のためにSandostatin(登録商標)が開発された。この1つの形態は、SandostatinLAR(登録商標)デポーであり、これは、オクトレオチドを含む微粒子の徐放性組成物である。別の形態は、Sandostatin(登録商標)注射剤として商標登録されているオクトレオチドの注射用水溶液である。
最近、Sandostatin(登録商標)注射剤は、糖尿病性網膜症の治療薬として研究されている。オクトレオチドを使用した糖尿病性網膜症の有効な治療には、200μgと5,000μgとの間の1日量のSandostatin(登録商標)注射剤を1日に複数回皮下注射することが必要であった(Grant,M.B.ら、2000)。しかし、注射体積が大きいこと、血中レベルに顕著なばらつきがあること、血中レベルが持続しないこと、1日に複数回注射すること、および作用の持続時間が短いことなどの問題により、この様式における使用は困難である。したがって、これらの副作用を最小にしながら糖尿病性網膜症を治療するためにより高く且つより一貫したレベルのオクトレオチド(または別のソマトスタチンアナログ)が得られる生成物が必要である。
年齢関連黄斑変性:ソマトスタチンに関連する不調の第2の治療は、年齢関連黄斑変性(AMD)の治療に関する。AMDには、乾燥型および湿潤型が含まれる。湿潤型AMDは、高齢者の実質的な視力喪失に関与する。Framinghamの眼研究により、52〜64歳の患者の全AMD種の全有病率は1.2%であり、75〜85歳の患者では19.7%に増加することが明らかとなった。Beaver Damの眼研究により、75歳以上の患者の有病率は36.8%であることが明らかとなった。AMDにおける視力喪失の拡大および疾患の進行は、非常に変動する。AMDの原因は知られていない。しかし、遺伝因子、栄養因子、血流力学的因子、変性因子、および光毒性病因学的因子について調査中である。乾燥型および湿潤型は、全く異なる疾患であり得る。
脈絡膜新血管形成の治療:湿潤型AMDには以下の2つの治療法が存在する:レーザー手術および光線力学療法。しかし、いずれの治療でも治癒しない。各治療は、視力低下速度を遅延するかさらなる視力喪失を停止させることができる。治療にもかかわらず、疾患および視力の喪失が進行し得る。
レーザー手術は、脆弱な漏出性の血管を破壊するための熱アルゴンレーザーの使用を含む。高エネルギーレーザービームは、新規の血管を破壊し、さらなる視力の喪失を防止することが直接の目的である。しかし、この種のレーザー治療はまた、周辺の健康な組織を破壊し、視力をいくらか失い得る。ほんの一握りの湿潤型AMD患者のみが、レーザー手術の候補者である。
光線力学療法は、さらにより一般的な治療である。これは、ベルテポルフィン(光増感剤)の添加およびその後の非熱線の網膜への適用を含む。光によってベルテポルフィン分子が活性化されて、異常な血管が破壊される。ベルテポルフィンは静脈内注射され、体内を循環し、眼の新血管中に閉じ込められる。ベルテポルフィンは、新血管内の内皮細胞によって取り込まれる。次に、罹患眼を、689nmの光に約90秒間曝露する。光は薬物を活性化し、それにより、活性酸素種(スーパーオキシドが含まれる)が生成される。活性化薬物は、新規の血管を破壊し、視力低下速度を遅延させる。治療薬を、通常、3ヶ月間隔またはそれを超える間隔で投与する。
レーザー手術と異なり、ベルテポルフィンは、周辺の健康な組織を破壊しない。この薬物は光によって活性化されるので、治療から5日間は直射日光または明るい室内照明に皮膚または眼を曝露することを避けることが患者にとって重要である。光線力学療法は比較的痛みが少なく、典型的には、診療所にて約20分間で実施される。光線力学療法は視力喪失速度を遅延させるが、視力喪失を停止させることや、進行性ADMによって既に損傷した眼に視力を回復させることはなく、治療結果はしばしば一過性である。光線力学療法は、湿潤型AMDの標準的な治療法ではない。
CNV病変の最も一般的な原因はAMDであるが、CNV病変の発症は、多数の他の眼疾患および容態(病的近視、推定眼ヒストプラズマ症候群(presumed ocular histoplasmosis syndrome)、および網膜色素線条が含まれるが、これらに限定されない)に関連する。
オクトレオチドは、SSTR−2A、SSTR−3、およびSSTR−5受容体サブタイプに優先的に結合するソマトスタチンアナログである(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7)。オクトレオチドの薬学的処方物(すなわち、Sandostatin(登録商標)注射剤およびSandostatin LAR(登録商標))は、先端巨大症(下垂体による成長ホルモンの過剰な産生)の治療薬として承認されている。これらの製品は、カルチノイド症候群および血管作動性腸管ペプチド(VIP)腫瘍に関連する下痢の対症療法薬として承認されている。オクトレオチドは、「適応外」でも多数使用されている(化学療法誘導性下痢、グレーブス眼病、膵炎、出血性食道静脈瘤、および肝硬変患者における門脈体循環シャント術に関連する腹水の治療が含まれる)。
オクトレオチドおよび他のソマトスタチンアナログが抗血管形成性を示すことが何年にもわたって認識されている。これらの抗血管新生効果は、SSTR−2AおよびSSTR−3(新生血管内皮細胞中で優先的に発現される2つの受容体サブタイプ)の活性化によって媒介されると考えられている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献8;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7;非特許文献9)。さらに、ソマトスタチンアナログによるSSTR−2AおよびSSTR−3の活性化により、内皮細胞の増殖および移動の両方が阻害される。
SSTR−2AおよびSSTR−3に対する直接的な効果は、ソマトスタチンアナログが血管形成を阻害する基本的機構であると考えられる。しかし、ソマトスタチンアナログの抗血管形成活性は、間接的機構にも関与し得る。例えば、ソマトスタチンは、下垂体による成長ホルモン(GH)の産生を阻害し、それにより、インスリン様成長ホルモン(IGF−1)(血管形成において許容的または促進的役割を果たすようである)が減少する。最後に、一定の組織では、ソマトスタチンアナログは、内因性血管形成因子(血管内皮成長因子(VEGF)など)の産生を阻害すると考えられている。したがって、ソマトスタチンアナログの抗血管形成性は、長年にわたって広く認識されている。
過去10年にわたり、薬学的研究は、ソマトスタチンアナログの受容体選択性の改良に集中していた。眼科用薬開発分野では、SSTR−2AおよびSSTR−3の受容体サブタイプに、より強固且つ選択的に結合するアナログを作製することが目的であった。等価に重要な目的は、ソマトスタチンアナログの生物学的利用能を増加させることである。生物学的利用能を改善するための1つのアプローチは、数週間にわたって血流にソマトスタチンペプチドアナログを常に放出する徐放性デポー処方物を作製することである。現在市販されている唯一の徐放性ソマトスタチンアナログは、Sandostatin(登録商標)LARであり、これは、1ヶ月の放出プロフィールが得られる。この製品および他のミクロスフェアベースの製品は、主に、その生物学的利用能が比較的低いことが、使用を制限している。
Barnett,P.ら、Endocrine(2003)20(3)255−264 Benali,N.ら、Digestion(2000)62(補遺1)27−32 Culler,M.D.ら、Ann.Endocrinol(2002)63(2)Cahier3,255−2512 McKreage,K.ら、Drugs(2003)63:2473−2499 Moller,L.N.ら、Biochemica at Biophysica Acta(2003)1616、1−84 Patel,Y.C.ら、Frontiers in Neuroendocrinology(1999)20,157−198 Spraul,C.W.ら、Graefe’s Ach Clin Exp Ophthalmol(2003)240,227−231 Lambooij,A.C.ら、Investigative Ophthalmology & Visual Science(2000)41(8)2329−2335 Woltering,E.A.ら、Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals(2003)18,601−609
したがって、オクトレオチドおよび他のソマトスタチンアナログの生物学的利用能が増加した製品を開発する必要がある。特に、生物学的利用能が低くなく、放出動態が不十分でなく、注射部位に有毒でなく、注射体積が比較的大きくなく、且つ放出持続時間が不都合に短くないソマトスタチンアナログの徐放性処方物を開発する必要がある。
(発明の概要)
本発明は、約14日間〜約3ヶ月間の持続時間でオクトレオチドを送達することができるオクトレオチド徐放性送達系に関する。オクトレオチド徐放性送達系には、オクトレオチドを徐放させるための流動性組成物およびゲルまたは固体の埋没物が含まれる。埋没物は、流動性組成物から生成される。好ましい実施形態では、オクトレオチド徐放性送達系により、生物学的利用能が非常に高く、永続的組織損傷リスクが最小であり、本質的に筋肉壊死リスクがないことによって特徴づけられる、in situでの1ヶ月および3ヶ月の放出プロフィールが得られる。
本発明のオクトレオチド徐放性送達系とSandostatinLAR(登録商標)製品との直接的比較を、前臨床試験および臨床試験で何回か行った。全ての場合、本発明のオクトレオチド徐放性送達系は、SandostatinLAR(登録商標)製品と比較して、オクトレオチドの生物学的利用能が有意に高い。さらに、本発明の徐放性送達系の注射直後の血中レベルが治療範囲であるのに対して、SandostatinLAR(登録商標)は、オクトレオチド放出前に特徴的な遅滞期を示した。最後に、本発明の徐放性送達系が組織をほとんどまたは全く壊死させない一方で、SandostatinLAR(登録商標)製品は、組織を有意に壊死させる。
本発明は、オクトレオチド徐放性送達系に関する。この送達系には、流動性組成物および制御徐放性埋没物が含まれる。本発明の流動性組成物は、生分解性熱可塑性ポリマー、生体適合性極性非プロトン性有機液体、およびオクトレオチドを含む。本発明の流動性組成物を、水、体液、または他の水性媒体との接触によって本発明の埋没物に変形させることができる。1つの実施形態では、流動性組成物を、体内に注射し、その際に、in situで本発明の固体またはゲルの埋没物に変形する。
流動性組成物および埋没物の熱可塑性ポリマーは、水性媒体または体液に少なくとも実質的に不溶性を示し、好ましくは、これらの溶媒に本質的に完全に不溶性を示す。熱可塑性ポリマーは、エステル基、無水物基、炭酸基、アミド基、ウレタン基、尿素基、エーテル基、エステルアミド基、アセタール基、ケタール基、オルソ炭酸基、および酵素反応または加水分解反応によって加水分解することができる(すなわち、この加水分解作用によって生分解可能である)任意の他の有機官能基などの基によって結合した反復単量体単位のホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーであり得る。好ましい熱可塑性ポリマー、ポリエステルは、1つまたは複数のヒドロキシカルボン酸残基単位またはジオールおよびジカルボン酸残基単位から構成することができ、異なる残基の分布は、ランダムであるか、塊であるか、対合するか、連続することが可能である。
生分解性熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、好ましいポリエステルには、任意選択的に第3のモノアルコール成分またはポリオール成分が組み込まれた、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、そのコポリマー、そのターポリマー、またはその任意の組み合わせが含まれる。より好ましくは、生分解性熱可塑性ポリマーは、任意選択的に第3のモノアルコール成分またはポリオール成分が組み込まれたポリラクチド、ポリグリコリド、そのコポリマー、そのターポリマー、またはその任意の組み合わせである。より好ましくは、適切な生分解性熱可塑性ポリマーは、末端カルボキシル基を有する50/50ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)(以下、PLG)であるか、末端カルボキシル基を有する75/25もしくは85/15PLG、または1つもしくは複数のアルコール単位またはポリオール単位を使用して形成させたPLGである。モノアルコールまたはポリオールがポリエステルに組み込まれた場合、このモノアルコールまたはポリオールは、ポリマー鎖の第3の共有結合成分を構成する。モノアルコールが組み込まれた場合、ポリエステルのカルボン末端は、モノアルコールでエステル化される。ポリオールが組み込まれた場合、その鎖が伸長され、任意選択的に、ポリエステルが分岐する。ポリオールは、ポリオールの複数の水酸基部分から伸長したポリエステル鎖とのポリエステル重合点として機能し、これらの水酸基部分が、ポリエステル鎖のカルボキシル基によってエステル化される。ジオールを使用する実施形態について、ポリエステルは、両エステル化水酸基から伸長したポリエステル鎖を有する直鎖である。トリオールまたはより多価のポリオールを使用する実施形態について、ポリエステルは、直鎖であり得るか、エステル化水酸基から伸長したポリエステル鎖が分岐し得る。ポリオールの例には、脂肪族および芳香族のジオール、サッカリド(グルコース、ラクトース、マルトース、ソルビトールなど)、トリオール(グリセロール、脂肪酸など)、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオールなどが含まれる。
生分解性熱可塑性ポリマーが水性媒体または体液に少なくとも実質的に不溶性を示す場合、生分解性熱可塑性ポリマーは、任意の適切な量で存在し得る。生分解性熱可塑性ポリマーは、流動性組成物の約10重量%〜約95重量%で存在するか、好ましくは、流動性組成物の約20重量%〜約70重量%で存在するか、より好ましくは、流動性組成物の約30重量%〜約60重量%で存在する。好ましくは、生分解性熱可塑性ポリマーの平均分子量は、約10,000〜約45,000ダルトン、より好ましくは約15,000〜約35,000ダルトンである。
本発明の流動性組成物はまた、生体適合性極性非プロトン性有機液体を含む。生体適合性極性非プロトン性液体は、アミド、エステル、炭酸塩、ケトン、エーテル、スルホニル、または雰囲気温度で液体であり、極性であり、且つ非プロトン性である任意の他の有機化合物であり得る。生体適合性極性非プロトン性有機液体は、体液に対して非常にわずかな可溶性から全ての比率での完全な溶解性までを示し得る。有機液体は、一般に、水性媒体および体液と類似の溶解性プロフィールを有する一方で、体液は、典型的には、水性媒体よりも高い親油性を示す。したがって、水性媒体に不溶性を示すくつかの有機液体は、少なくともわずかに体液に可溶性を示す。有機液体のこれらの例は、本発明の有機液体の定義内に含まれる。
好ましくは、生体適合性極性非プロトン性液体は、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、カプロラクタム、トリアセチン、またはその任意の組み合わせである。より好ましくは、生体適合性極性非プロトン性液体は、N−メチル−2−ピロリドンである。好ましくは、極性非プロトン性有機液体は、組成物の約30重量%〜約80重量%で存在するか、組成物の約40重量%〜約60重量%で存在する。
本発明の流動性組成物はまた、ソマトスタチン様の性質を有するオリゴペプチドであるオクトレオチド化合物(以下、オクトレオチド)を含む。オクトレオチドは、流動性化合物中に少なくとも0.1重量%の濃度で存在し、その上限は、流動性組成物内のペプチドの分散性の限度である。好ましくは、濃度は、流動性組成物の約0.5重量%〜約20重量%、より好ましくは、流動性組成物の約1重量%〜約15重量%である。
好ましくは、本発明の流動性組成物を、注射可能な送達系として処方する。流動性組成物の体積は、好ましくは、約0.20mL〜約2.0mL、好ましくは0.30mL〜1.0mLである。注射可能な組成物を、好ましくは、1ヶ月に約1回、3ヶ月に約1回、4ヶ月に約1回、6ヶ月に約1回投与するために処方する。好ましくは、流動性組成物は、患者への注射に適切な液体またはゲルの組成物である。
賦形剤、放出調整剤(release modifier)、可塑剤、増孔剤、ゲル化液、不活性増量剤、および他の成分を、本発明のオクトレオチド徐放性送達系内に含めることもできる。流動性組成物の投与の際、これらのさらなる成分のうちのいくつか(ゲル化液および放出調整剤など)は埋没物と共に留まる一方で、他の成分(増孔剤など)は、個別に分散し、そして/または有機液体と共に拡散する。
本発明はまた、流動性組成物の形成方法に関する。本方法は、生分解性熱可塑性ポリマー、生体適合性極性非プロトン性液体、およびオクトレオチドを任意の順序で混合する工程を含む。これらの成分、その性質、および好ましい量は、上記の通りである。制御放出埋没物として使用するための流動性組成物を形成するのに十分な期間混合する。好ましくは、生体適合性熱可塑性ポリマーおよび生体適合性極性非プロトン性有機液体を混合して混合物を形成し、次いで、混合物をオクトレオチドと組み合わせて流動性組成物を形成させる。好ましくは、流動性組成物は、オクトレオチドおよび生分解性熱可塑性ポリマーを含む有機液体の溶液または分散液、特に好ましくは溶液である。流動性組成物は、好ましくは、有効量の生分解性熱可塑性ポリマー、有効量の生体適合性極性非プロトン性有機液体、および有効量のオクトレオチドを含む。これらの成分、好ましい成分、その性質、および好ましい量は、上記の通りである。
本発明はまた、生きた患者におけるin situでの生分解性埋没物の形成方法に関する。本方法は、本発明の流動性組成物を患者の体内に注射する工程と、生体適合性極性非プロトン性液体を消散させて、固体またはゲルの生分解性埋没物を生成する工程とを含む。好ましくは、固体またはゲルの生分解性埋没物は、患者の体内で埋没物が生分解するにつれて、拡散、侵食、または拡散と侵食との組み合わせによって有効量のオクトレオチドを放出する。
本発明はまた、オクトレオチドによって改善、治癒、または防止される哺乳動物疾患を治療または予防する方法に関する。本方法は、このような治療または防止を必要とする患者(好ましくは、ヒト患者)に有効量の本発明の流動性組成物を投与する工程を含む。詳細には、疾患は、成長ホルモンに関連する問題に関連する病因を有する疾患(インスリン、グルカゴン、および/またはソマトスタチン経路に関連する不均衡または不調に関する疾患が含まれる)であり得る。特に、疾患は、糖尿病に関連する疾患であり、心臓の容態(condition)、眼の容態、腎臓の容態が含まれるが、これら限定されない。詳細には、これらの疾患には、眼の容態に関する疾患(糖尿病性網膜症および増殖性眼疾患など)が含まれる。
本発明はまた、キットに関する。キットは、第1の容器および第2の容器を含む。第1の容器は、生分解性熱可塑性ポリマーおよび生体適合性極性非プロトン性有機液体の組成物を含む。第2の容器は、オクトレオチドを含む。これらの成分、その性質、および好ましい量は、上記の通りである。好ましくは、第1の容器はシリンジであり、第2の容器はシリンジである。さらに、オクトレオチドは、凍結乾燥されていることが好ましい。キットは、好ましくは、説明書を含み得る。好ましくは、第1の容器を、第2の容器に接続することができる。より好ましくは、第1の容器および第2の容器を、互いに直接接続されるようにそれぞれ構成する。
本発明はまた、固体またはゲルの埋没物に関する。固体またはゲルの埋没物は、少なくとも生体適合性熱可塑性ポリマーおよびオクトレオチドから構成され、体液に実質的に不溶性を示す。オクトレオチド自体が体液に少なくともいくらか可溶性を示す一方で、実質的に不溶性を示す埋没物内でのその隔離により、体内でゆっくりと徐放される。
固体埋没物は、固体マトリックスまたは固体微小孔性マトリックスを有する一方で、ゲルの埋没物はゼラチン質のマトリックスを有する。マトリックスは、皮膚に取り囲まれたコアであり得る。微小孔性である場合、コアは、好ましくは、直径約1〜約1000ミクロンの孔を含む。微小孔性である場合、表皮は、好ましくは、コアの孔の直径よりも小さい直径の孔を含む。さらに、表皮の孔が、表皮がコアと比較して機能的に非多孔質であるようなサイズであることが好ましい。
固体またはゲルの埋没物は、任意選択的に、上記の賦形剤として機能することができるか、オクトレオチドの可塑剤、徐放プロフィール調整剤、乳化剤、および/または隔離キャリアとして機能することができる1つまたは複数の生体適合性有機物質を含み得る。
生体適合性有機液体はまた、埋没物の有機物質としての機能を果たすことができ、そして/または可塑剤、調整剤、乳化剤または隔離キャリアなどのさらなる機能を提供することができる。主な有機液体が混合剤、可溶化剤、または分散剤として作用し、補足的有機液体または液体が流動性組成物および埋没物内にさらなる機能を与えるような2つまたはそれを超える有機液体が流動性組成物中に存在し得る。あるいは、少なくとも他の成分のための混合剤、可溶化剤、または分散剤として作用することができ、さらなる機能も与えることができる1つの有機液体が存在し得る。第2またはさらなる成分として、さらなる種類の生分解性有機液体が典型的には流動性組成物と組み合わされ、そして、投与された流動性組成物が凝固した場合に埋没物と共に留まり得る。
可塑剤としての機能を果たす場合、生体適合性有機物質は、埋没物に可撓性、柔軟性、成形性、および薬物放出変動性などの性質を与える。調整剤としての機能を果たす場合、生体適合性有機物質はまた、埋没物にオクトレオチド放出変動性を与える。典型的には、可塑剤がオクトレオチド放出速度を増加させる一方で、調整剤はオクトレオチド放出速度を遅延させる。また、可塑剤および速度調整剤として機能するこれら2種の有機物質は、構造が重複し得る。
乳化剤としての機能を果たす場合、生体適合性有機物質の少なくとも一部により、流動性組成物内および埋没物内のオクトレオチドが均一な混合物を得ることができる。
隔離キャリアとしての機能を果たす場合、生体適合性有機物質は、オクトレオチドの分子またはナノ粒子をカプセル化するか、隔離するか、そうでなければ取り囲んで、その少なくとも一部のバースト(burst)を防止し、流動性組成物および埋没物の他の成分による分解からオクトレオチドを隔離するように機能する。
任意選択的に固体またはゲルの埋没物中に留まる生体適合性有機物質の量は、好ましくは、少量(0重量%(またはほとんど無視できる量)から組成物の約20重量%までなど)である。さらに、固体またはゲルの埋没物中に任意選択的存在する生体適合性有機物質の量は、経時的に減少することが好ましい。
(定義)
本特許出願で示す用語および句は、他で示さない限り、当業者にとって通常の意味を有する。このような通常の意味を、当該分野でのその使用を参照するか、Webster’s New World Dictionary,Simon & Schuster,publishers,New York,N.Y.,1995;The American Heritage Dictionary of the English Language,Houghton Mifflin,Boston MA,1981;Hawley’s Condensed Chemical Dictionary 14th edition,I.Sax,editor,Wiley Europe,2002などの一般辞書および科学分野の辞書を参照することによって得ることができる。
一定の用語の以下の説明は、網羅的であるよりはむしろ例示であることを意味する。これらの用語は、当該分野で使用されるその一般的な意味を有し、さらに、以下の説明事項を含む。
用語「および/または」は、この用語が関連する項目のうちのいずれか1つ、項目の任意の組み合わせ、または項目の全てを意味する。
本明細書中で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上明確に別の事項を示さない限り、複数形が含まれる。したがって、例えば、「処方物」には、このような処方物の複数形が含まれ、それにより、化合物Xの処方物には、化合物Xの複数の処方物が含まれる。
用語「アミノ酸」は、D型またはL型の天然アミノ酸(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびVal)および非天然アミノ酸(例えば、ホスホセリン、ホスホスレオニン、ホスホチロシン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート;馬尿酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、スタチン、l,2,3,4,−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、シトルリン、α−メチル−アラニン、パラ−ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパグリルグリシン、ザルコシン、およびtert−ブチルグリシン)を意味する。この用語はまた、従来のアミノ保護基(例えば、アセチルまたはベンジルオキシカルボニル)を保有する天然および非天然アミノ酸ならびにカルボキシ末端(例えば、(C1〜C6)アルキル、フェニルもしくはベンジルエステルもしくはアミドまたはα−メチルベンジルアミドとして)を保護された天然および非天然アミノ酸を含む。他の適切なアミノおよびカルボキシ保護基は当業者に公知である(例えば、Greene,T.W.;Wutz,P.G.M.“Protecting Groups In Organic Synthesis”second edition,1991,New York,John Wiley & sons,Inc.およびその参考文献を参照のこと)。
用語「生体適合性」は、適用する材料、物質、化合物、分子、ポリマー、または系によって、妥当な用量および比率で投与した動物に深刻な毒性をもたらさないか、深刻な生物学的有害反応を引き起こさないか、または致死性をもたらさないことを意味する。
用語「生分解性」は、材料、物質、化合物、分子、ポリマー、または系が、哺乳動物によって吸収または排泄することができる化学単位への代謝のための加水分解、酵素、または他の哺乳動物の生物学的過程によって切断、酸化、加水分解、または破壊されることを意味する。
用語「生体侵食性(bioerodable)」は、材料、物質、化合物、分子、ポリマー、または系が哺乳動物の生物学的過程によって分解されるか機械的に除去されて新規の表面が露呈することを意味する。
本明細書中で使用される、用語「流動性」は、「流動性」組成物が加圧下で患者の体内に輸送される能力をいう。例えば、流動性組成物は、水のように粘度が低く、シリンジを用いて患者に皮下注射することができる。あるいは、流動性組成物は、ゲルのような高粘度を示し、高圧のシリンジ、カニューレ、およびニードルなどの高圧輸送デバイスによって患者に投与することができる。組成物の患者に注射される能力は、典型的には、組成物の粘度に依存する。したがって、組成物は水のような低粘度からゲルのような高粘度までの範囲の適切な粘度を有し、その結果、組成物を輸送デバイス(例えば、シリンジ)によって患者の体内に強制的に投与することができる。
本明細書中で使用される、「ゲル」は、ゼラチン、ゼリー様、またはコロイドの性質を有する物質である。Concise Chemical and Technical Dictionary,4th Enlarged Ed.,Chemical Publishing Co.,Inc.,p.567,NY,NY(1986)。
用語「複素環式芳香族」は、複素環式芳香族構造の核内に炭素および1つまたは複数の窒素原子および/または酸素原子および/または硫黄原子を含む任意の芳香族化合物または芳香族部分をいう。複素環式芳香族化合物は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドールチアゾール、ピロール、オキサゾール、または類似の化合物などによって示される芳香族性を示す。
用語「複素環式」は、その環状構造中に1つまたは複数の窒素原子および/または酸素原子および/または硫黄原子を含む任意の環式有機化合物をいう。複素環式化合物は、飽和または不飽和であってよいが、芳香族ではない。
本明細書中で使用される、「液体」は、剪断応力下で連続変形を受ける物質である。Concise Chemical and Technical Dictionary,4th Enlarged Ed.,Chemical Publishing Co.,Inc.,p.707,NY,NY(1986)。
用語「オクトレオチド」は、以下のオクトレオチドの部(39頁)に記載されている。
用語「ペプチド」は、2〜約50個のアミノ酸の配列(例えば、上記定義の配列)またはペプチジル残基を示している。配列は、直鎖または環状のいずれでもよい。例えば、環状ペプチドを調製することができるか、配列中の2つのシステイン間のジスルフィド架橋の形成に起因し得る。好ましくは、ペプチドは、3〜30個または5〜20個のアミノ酸を含む。ペプチド誘導体を、米国特許出願番号4,612,302号、同4,853,371号、および同4,684,620号に開示のように調製するか、または本明細書中の以下に記載の実施例に記載のように調製することができる。本明細書中に詳細に引用されているペプチド配列は、左側にアミノ末端および右側にカルボキシ末端が記載されている。
用語「ポリマー」は、1つまたは複数の反復化学官能基によって互いに共有結合した1つまたは複数の反復単量体残基の分子を意味する。この用語には、直鎖、分岐鎖、スター、ランダム、ブロック、およびグラフトなどの全てのポリマー形態が含まれる。この用語には、単一の単量体から形成されたホモポリマー、2つまたはそれを超える単量体から形成されたコポリマー、3つまたはそれを超えるポリマーから形成されたターポリマー、および3つを超える単量体から形成されたポリマーが含まれる。異なるポリマー形態はまた、1つを超える反復共有結合官能基を有し得る。
用語「ポリエステル」は、少なくとも一部が、結合基−OC(=O)−または−C(=O)O−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリ無水物」は、少なくとも一部が、結合基−C(=O)−O−C(=O)−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリカーボネート」は、少なくとも一部が、結合基−OC(=O)O−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリウレタン」は、少なくとも一部が、結合基−NHC(=O)O−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリ尿素」は、少なくとも一部が、結合基−NHC(=O)NH−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリアミド」は、少なくとも一部が、結合基−C(=O)NH−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリエーテル」は、少なくとも一部が、結合基−O−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリアセタール」は、少なくとも一部が、結合基−CHR−O−CHR−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「ポリケタール」は、少なくとも一部が、結合基−CR−O−CR−の単量体反復を含むポリマーをいう。
用語「サッカリド」は、任意の糖または他の炭水化物、特に、単一の糖または炭水化物
をいう。サッカリドは、生細胞の不可欠な構造成分および動物のエネルギー源である。この用語には、小分子を有する単糖および高分子物質が含まれる。サッカリドは、サッカリドが含むモノサッカリドの数によって分類される。
用語「表皮」および用語表皮の「コア」およびコアマトリックスは、マトリックスの断面がマトリックスの外面と内部との間の識別可能な線引き(delineation)を示すことを意味する。外面は表皮であり、内部はコアである。
用語「熱可塑性」は、ポリマーに適用される場合、ポリマーが加熱時の融解および冷却時の固化を繰り返すことを意味する。この用語は、ポリマー分子間に架橋が存在しないかわずかに存在することを示す。この用語は、ポリマーが加熱時または類似の反応過程の適用時に硬化するか実質的に架橋し、加熱および冷却時にもはや融解−固化サイクルを受けないことを示す用語「熱硬化性」と対比されるべきである。
(発明の説明)
本発明は、オクトレオチド徐放性送達系に関する。徐放性送達系には、本発明の流動性組成物およびゲルまたは固体の埋没物が含まれる。送達系により、オクトレオチドがin situで徐放される。本発明の流動性組成物は、その使用によって徐放されて、本発明の埋没物が生成される。埋没物の体積は小さく、オクトレオチドが長期間放出される。流動性組成物により、in situでの埋没物の皮下処方が可能であり、組織の壊死がほとんどないか全くない。本発明のin situ埋没物は、本発明の埋没物がSandostatinLAR(登録商標)埋没物と比較してオクトレオチドをより高く且つより長く持続する血中レベルで送達されるという点で、徐放性SandostatinLAR(登録商標)埋没物と比較して驚くべき結果を示す。これはまた、SandostatinLAR(登録商標)埋没物と比較して、組織への刺激が驚くほど低い。
本発明の流動性組成物は、生分解性で少なくとも実質的に水不溶性の熱可塑性ポリマーと、生体適合性極性非プロトン性有機液体と、オクトレオチドとの組み合わせである。極性非プロトン性有機液体は、体液に実質的な不溶性から全ての比率での完全な溶解性までの範囲の溶解性を示す。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、1つまたは複数のヒドロキシカルボン酸または1つまたは複数のジオールおよびジカルボン酸の熱可塑性ポリマーである。特に好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、およびジカプロラクトンなどの1つもしくは複数のヒドロキシルカルボキシル二量体のポリエステルである。
特定の好ましい生分解性熱可塑性ポリマーおよび極性非プロトン性溶媒;熱可塑性ポリマー、極性非プロトン性有機液体、オクトレオチドの濃度、熱可塑性ポリマーの分子量;ならびに本明細書中に記載の固体埋没物成分の重量またはモル範囲は例示である。これらは、他の生分解性熱可塑性ポリマーおよび極性非プロトン性有機液体;熱可塑性ポリマー、極性非プロトン性液体、オクトレオチドの他の濃度、または熱可塑性ポリマーの分子量;ならびに固体埋没物内の成分を排除しない。
本発明は、制御徐放性埋没物を得るために用いるのに適切な流動性組成物、流動性組成物の形成方法、流動性組成物、流動性組成物から形成された生分解性徐放性固体またはゲルの埋没物の使用方法、in situでの生分解性埋没物の形成方法、生分解性埋没物の使用による疾患の治療方法、および流動性組成物を含むキットに関する。好ましくは、流動性組成物を使用して、動物中にin situで形成される生分解性または生体侵食性多孔質埋没物を得ることができる。
流動性組成物は、生体適合性極性非プロトン性有機液体およびオクトレオチドと組み合わせた生分解性熱可塑性ポリマーから構成される。生分解性熱可塑性ポリマーは、水性媒体および/または体液に実質的に不溶性を示し、患者の体内で生体適合性、生分解性、および/または生体侵食性を示す。流動性組成物を、液体またはゲルとして組織に投与し、in situで埋没物を形成することができる。あるいは、埋没物を、流動性組成物と水性媒体との組み合わせによってex vivoで形成することができる。この実施形態では、予め形成された埋没物を、患者に外科的に投与することができる。いずれかの実施形態では、流動性組成物が体液、水性媒体、または水と接触した時の流動性組成物からの有機液体の消散、分散、または浸出の際に熱可塑性ポリマーが凝固または固化して固体またはゲルの埋没物を形成する。凝固または固化により、オクトレオチド、賦形剤、および有機物質などの流動性組成物の他の成分が巻き込まれて捕捉され、これらが、ゲル化または固化した埋没物マトリックス内に分散されるようになる。流動性組成物は生体適合性を示し、埋没物のポリマーマトリックスによって埋没物部位で組織が実質的に刺激または壊死を引き起こさない。埋没物は、徐放レベルのオクトレオチドを患者に持続して送達させる。好ましくは、流動性組成物は、患者(例えば、ヒト)への注射に適切な液体またはゲルであり得る。
本発明により、驚いたことに、オクトレオチドの徐放性処方物の生物学的利用能が改良される。本発明によれば、オクトレオチドの徐放により、任意の組織(特に、眼組織)で起こる任意の異常な細胞増殖(新血管形成、線維症、リンパ増殖、先端巨大症、および/または新生物成長(カルチノイド症候群など)が含まれる)の阻害が可能である。眼組織の場合、オクトレオチドの有効性を最大にしても比較的高い生物学的利用能を得ることができ、このことは、(1)血液網膜関門によって眼組織への浸透が制限され、そして、(2)網膜絡膜組織中でのソマトスタチン受容体の活性化にはより高い用量でより高い徐放レベルのオクトレオチドが必要であり得るからである。
さらに、本発明は、(a)注射体積が比較的小さく、(b)注射部位での局所組織許容が改善され、(c)筋肉内注射よりもむしろ皮下注射(すなわち、眼内注射)を使用する機会が得られ、(d)他の製品と比較して注射頻度が少ない。
SandostatinLAR(登録商標)製品と比較して本発明の生物学的利用能および薬物動態が大きく異なる根拠は完全に理解されていない。しかし、SandostatinLAR(登録商標)製品を筋肉内注射し、筋壊死および極めて急性の炎症によって特徴づけられる激しい組織反応を誘発することを認めることができなかった。種々の動物種から採取した筋肉内注射部位の肉眼的試験および微視的試験により、SandostatinLAR(登録商標)デポー製品周囲の広範な神経向性浸潤が明らかとなる。SandostatinLAR(登録商標)製品についての新医薬品承認審査概要では、この現象については言及されていない。しかし、ラット、ウサギ、およびイヌで実施した複数の実験では、試験した全サンプルでこれらの変化が認められている。さらに、SandostatinLAR(登録商標)製品を慢性的にIM(筋肉内)注射する癌専門医および内分泌専門医は、この製品によって殿筋組織を慢性的に瘢痕化させる重篤な組織反応を起こすことを認めている。したがって、データは、Sandostatin(登録商標)LARデポーを生成するためのSandostatinLAR(登録商標)製品の慢性投与が注射部位の有害反応に関連することを示し、この有害反応は、患者に望ましくなく、特に、糖尿病患者または成人性黄斑変性(AMD)を罹患している高齢患者で望ましくない。
Sandostatin(登録商標)デポーを取り囲む重篤な組織反応は、痛みおよび瘢痕化を産生するだけでなく、不十分な薬物動態(7〜10日間遅滞する)および非常に低い生物学的利用能にも寄与し得る。比較すると、本発明のオクトレオチド徐放性送達系を、皮下組織に注射することができる。同用量のオクトレオチドでは、動物およびヒトで行った実験により、本発明の流動性組成物がSandostatinLAR(登録商標)製品と比較してはるかに高い生物学的利用能が得られ、組織反応を引き起こさず、遅滞期がないことが繰り返し示された。
本発明によれば、オクトレオチド徐放性送達系により、任意のソマトスタチン応答性の疾患または病を治療するために使用したオクトレオチドの有効性、安全性、および利便性が増大するいくつかの利点が得られる。これには、非眼疾患および眼疾患が含まれる。本発明は、特に、増殖性眼疾患の治療、最も詳細には、眼の新血管疾患の治療に有用である。このような疾患の例には、それぞれ糖尿病性網膜症および年齢関連黄斑変性で起こる網膜または脈絡膜新血管形成が含まれるが、これらに限定されない。
他の徐放性薬物送達テクノロジー由来の処方物との比較により、オクトレオチド徐放性送達系により、(a)バーストが最小の優れた放出動態が得られ、(b)薬物放出の持続時間が増加し、注射頻度が低くなり、(c)生物学的利用能が顕著に改良され、(d)注射体積の小ささによって局所組織耐性が改善され、(e)筋肉内注射よりもむしろ皮下注射を使用することができる。まとめると、これらの特徴は、オクトレオチド徐放性送達系を非常に便利にする。
(生分解性熱可塑性ポリマー)
本発明の流動性組成物を、固体の生分解性熱可塑性ポリマーと、オクトレオチドと、生体適合性極性非プロトン性有機液体との組み合わせによって生成する。流動性組成物を、シリンジおよびニードルによって治療を必要とする患者に投与することができる。生分解性熱可塑性ポリマーが体液に少なくとも実質的に不溶性を示す場合、任意の適切な生分解性熱可塑性ポリマーを使用することができる。
本発明で使用した生体適合性生分解性熱可塑性ポリマーを、種々のポリマー鎖を形成する単量体、または架橋基によって連結された単量体単位から作製することができる。熱可塑性ポリマーは、エステル基、アミド基、ウレタン基、無水物基、カーボネート基、尿素基、エステルアミド基、アセタール基、ケタール基、オルソ炭酸基、および酵素反応または加水分解反応によって加水分解することができる(すなわち、この加水分解作用によって生分解可能である)任意の他の有機官能基などの基によって結合した単量体単位を含むポリマー鎖または骨格から構成される。熱可塑性ポリマーは、通常、骨格結合基を形成する反応基を含む出発単量体の反応によって形成される。例えば、アルコールおよびカルボン酸は、エステル結合基を形成する。イソシアネートおよびアミンまたはアルコールは、それぞれ、尿素またはウレタン結合基を形成する。
ポリマーおよびその分解生成物が生体適合性である場合、特定の官能基を有する任意の脂肪族、芳香族、またはアリールアルキルの出発単量体を本発明にしたがって使用して、本発明の熱可塑性ポリマーを作製することができる。単量体または熱可塑性ポリマーの形成で使用される単量体は、1つまたは複数の独自性(identity)を示し得る。得られた熱可塑性ポリマーは、1つの単量体、ジオールおよび二価酸などを使用した場合は1つの単量体組から形成されたホモポリマー、または2つまたはそれを超えるか、3つまたはそれを超えるか、3つを超える単量体または単量体組から形成されたコポリマー、ターポリマー、またはマルチポリマーである。このような出発単量体の生体適合性の詳細は、当該分野で公知である。
本発明で有用な熱可塑性ポリマーは、水性媒体および体液に実質的に不溶性を示し、好ましくは、このような媒体および流動物に本質的に完全に不溶性を示す。これらはまた、水に対する全比率での完全な溶解から不溶までの範囲の水溶性を有する選択された有機液体に溶解または分散することができる。熱可塑性ポリマーはまた、生体適合性である。
本発明の流動性組成物中で使用される場合、有機液体と組み合わせた熱可塑性ポリマーにより、流動性組成物の粘度が熱可塑性ポリマーの分子量および濃度に応じて水のような低粘度からペーストのような高粘度まで変化する。典型的には、ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマーの約10重量%〜約95%、より好ましくは約20重量%〜約70%、最も好ましくは約30重量%〜約65%含まれる。
本発明によれば、生分解性の生体適合性熱可塑性ポリマーは、直鎖ポリマーであり得るか、分岐ポリマーであり得るか、その組み合わせであり得る。本発明にしたがって、任意の選択肢を利用可能である。分岐熱可塑性ポリマーを得るために、出発単量体のいくつかの画分は、少なくとも三官能性、好ましくは多官能性であり得る。この多官能性により、得られたポリマー鎖の少なくともいくつかが分岐する。例えば、選択したポリマーがそのポリマー骨格に沿ってエステル結合基を含む場合、出発単量体は、通常、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の環状二量体、ヒドロキシカルボン酸の環状三量体、ジオール、またはジカルボン酸である。したがって、分岐熱可塑性ポリマーを得る場合、少なくとも多官能性の出発単量体(トリオールまたはトリカルボン酸など)のいくつかの画分を、重合される単量体の組み合わせ内に含めて、本発明で使用される熱可塑性ポリマーを形成する。さらに、本発明のポリマーは、1ポリマー分子あたり1つを超える多官能性単位、典型的には、重合反応の化学量論に応じて多数の多官能性単位を組み込むことができる。本発明のポリマーはまた、任意選択的に、1ポリマー分子あたり少なくとも1つの多官能性単位を組み込むこともできる。1つのポリマー分子中に1つの多官能性単位が組み込まれた場合、いわゆる星形ポリマーまたは分岐ポリマーが形成される。
本発明によれば、好ましい熱可塑性ポリマーを、ヒドロキシカルボン酸などの単量体またはその二量体から形成することができる。あるいは、熱可塑性ポリマーを、ジカルボン酸およびジオールから形成することができる。分岐ポリエステルが望ましい場合、ジヒドロキシカルボン酸などの分岐単量体が第1の出発単量体種と共に含まれるか、トリオールおよび/またはトリカルボン酸が第2の出発単量体種と共に含まれるであろう。同様に、分岐ポリエステルまたは星形ポリエステルが望ましい場合、トリオール、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオール(ソルビトールまたはグルコースなど)を、第1の出発単量体種と共に含めることができる。同一の論理的根拠がポリアミドに適用されるであろう。トリアミドおよび/または三酸塩基(triacid)は、ジアミンおよびジカルボン酸の出発単量体と共に含まれるであろう。アミノジカルボン酸、ジアミノカルボン酸、またはトリアミドは、第2の出発単量体種(アミノ酸)と共に含まれるであろう。ポリマーおよびその分解生成物が生体適合性を示す場合、特定の官能基を有する任意の脂肪族、芳香族、またはアリールアルキル出発単量体を使用して、本発明の分岐熱可塑性ポリマーを作製することができる。このような出発単量体の生体適合性の詳細は、当該分野で公知である。
本発明の生体適合性熱可塑性ポリマーを作製するために使用される単量体により、熱可塑性生体適合性生分解性ポリマーまたはコポリマーが生成される。本発明の生体適合性熱可塑性分岐ポリマーとしての使用に適切な熱可塑性生体適合性生分解性ポリマーの例には、ポリエステル、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルソカーボネート、ポリオルソエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸)、および上記材料のコポリマー、ターポリマー、または組み合わせもしくは混合物が含まれる。このような生体適合性生分解生熱可塑性ポリマーの適切な例は、例えば、米国特許第4,938,763号;同第5,278,201号;同第5,324,519号;同第5,702,716号;同第5,744,153号;同第5,990,194号;同第6,461,631号;および同第6,565,874号に開示されている。
本発明のポリマー組成物には、組成物の生分解特性を望ましくなく妨害しない限り、本発明のポリマーと他の生体適合性ポリマーとのポリマーブレンドも含まれ得る。本発明のポリマーとこのような他のポリマーとのブレンドにより、ターゲティングされた薬物送達に望ましい正確な放出プロフィールまたは眼埋没物などの埋没物に望ましい正確な生分解速度においてさらにより高い可撓性を得ることができる。
本発明の好ましい生体適合性熱可塑性ポリマーまたはコポリマーは、結晶化度が低く、疎水性がより高いものである。これらのポリマーおよびコポリマーは、水素結合度の高い高結晶質のポリマー(ポリグリコリドなど)よりも生体適合性有機液体への溶解性が高い。所望の溶解性パラメーターを有する好ましい材料は、可溶性を増大するためにより多くの無定形領域を得るためのポリラクチド、ポリカプロラクトン、およびこれらのグリコリドとのコポリマーである。一般に、生体適合性生分解生熱可塑性ポリマーは、有機液体に実質的に可溶性を示し、それにより、50〜60重量%までが固体の溶液、分散液、または混合物を得ることができる。好ましくは、本発明で使用されるポリマーは、有機液体に本質的に完全な溶解性を示し、それにより、85〜98重量%までが固体の溶液、分散液、または混合物を得ることができる。ポリマーはまた、少なくとも実質的に水に不溶性を示し、それにより、水1mLあたり0.1gのポリマーが水に溶解または分散する。好ましくは、本発明で使用されるポリマーは、水に本質的に完全に不溶性を示し、水1mLあたり0.001gのポリマーが水に溶解または分散する。この好ましいレベルでは、完全な水混和性有機液体を有する流動性組成物は、固体埋没物にほとんど即座に変形する。
任意選択的に、送達系はまた、非ポリマー材料と一定量の熱可塑性ポリマーとの組み合わせを含み得る。より一貫したオクトレオチド徐放性送達系を得るために、非ポリマー材料と熱可塑性ポリマーとの組み合わせを調整およびデザインすることができる。
本発明で有用な非ポリマー材料は、生分解性を示し、水および体液に実質的に不溶性を示し、動物の体内で生分解性および/または生体侵食性を示すものである。非ポリマー材料は、有機液体中で少なくとも部分的に溶解することができる。いくつかの有機液体または他の添加物を含む本発明の流動性組成物では、非ポリマー材料はまた、流動性組成物の体液との接触時の流動性組成物からの有機液体成分の消散、分散、または浸出の際に、非ポリマー材料が凝固または固化して固体またはゲルの埋没物を形成することができる。非ポリマー材料を含む埋没物の全実施形態のマトリックスは、ゼラチン状から可塑性および成形可能まで、硬い高密度の固体までの範囲の一貫性を有する。
送達系で使用することができる非ポリマー材料には、一般に、上記特徴を有する任意の材料が含まれる。有用な非ポリマー材料の例には、ステロール(コレステロール、スチグマステロール、β−シストステロール、およびエストラジオールなど)、コレステリルエステル(コレステリルステアレートなど)、C18〜C36モノ、ジ、およびトリグリセリド(モノオレイン酸グリセリル、モノリノレン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノドコサン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノジセノン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリル、ジドコサン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、トリドコサン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリデセノン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、およびその混合物など)、スクロース脂肪酸エステル(ジステアリン酸スクロースおよびパルミチン酸スクロースなど)、ソルビタン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、およびトリステアリン酸ソルビタンなど)、C16〜C18脂肪アルコール(セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、およびセトステアリルアルコールなど)、脂肪アルコールと脂肪酸とのエステル(パルミチン酸セチルおよびパルミチン酸セテアリルなど)、脂肪酸無水物(ステアリン酸無水物など)、リン脂質(ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、およびそのリゾ誘導体(lysoderivative)が含まれる)、スフィンゴシンおよびその誘導体、スフィンゴミエリン(spingomyelin)(ステアリルスフィンゴミエリン、パルミトイルスフィンゴミエリン、およびトリコサニルスフィンゴミエリンなど)、セラミド(ステアリルセラミドおよびパルミトイルセラミドなど)、グリコスフィンゴ脂質、ラノリンおよびラノリンアルコール、ならびにその組み合わせおよび混合物が含まれる。好ましい非ポリマー材料には、コレステロール、モノステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、ステアリン酸無水物、モノオレイン酸グリセリル、モノリノレン酸グリセリル、およびアセチル化モノグリセリドが含まれる。
ポリマー材料および非ポリマー材料を選択および/または組み合わせて、埋没物部位内での生分解速度、生体侵食速度、および/または生体吸収速度を制御することができる。一般に、埋没物マトリックスは、約1週間〜約12ヶ月または1週間〜約4ヶ月にわたって破壊する。
(熱可塑性ポリマーの分子量)
本発明で使用されるポリマーの分子量は、埋没物からのオクトレオチドの放出速度に影響を与え得る。これらの条件下で、ポリマーの分子量が増加するにつれて、系からのオクトレオチド放出速度が減少する。この現象を、オクトレオチドの制御放出のための系の形成で有利に使用することができる。比較的迅速なオクトレオチド放出のために、低分子量のポリマーを選択して所望の放出速度を得ることができる。比較的長期間にわたるオクトレオチドの放出のために、より高い分子量のポリマーを選択することができる。したがって、オクトレオチド徐放性送達系を、選択された期間にわたるオクトレオチド放出に至適なポリマー分子量範囲を使用して生成することができる。
任意の種々の方法によってポリマーの分子量を変化させることができる。方法の選択を、典型的には、ポリマー組成物の型によって行う。例えば、加水分解によって生分解性を示す熱可塑性ポリマーを使用する場合、高圧蒸気滅菌装置などにおいて、加水分解の制御によって分子量を変化させることができる。典型的には、重合度を、例えば、反応基の数および型ならびに反応時間の変化によって制御することができる。
熱可塑性ポリマーの分子量および/または固有粘度の制御は、埋没物の形成および性能に関与する要因である。一般に、より高い分子量およびより高い固有粘度を有する熱可塑性ポリマーにより、より低い分解速度を有し、それにより、持続時間がより長い埋没物が得られる。送達系の配合後の熱可塑性ポリマーの分子量の変化および変動(fluxuation)により、所望されるか予想される分解速度および持続時間と実質的に異なる分解速度および持続時間を示す埋没物が形成される。
本発明で有用な熱可塑性ポリマーの平均分子量は、約1キロダルトン(kD)〜約1,000kD、好ましくは、約2kD〜約500kD、より好ましくは、約5kD〜約200kD、最も好ましくは、約5kD〜約100kDの範囲である。分子量を、固有粘度(「I.V.」と略され、単位はdl/gである)によっても示すこともできる。一般に、熱可塑性ポリマーの固有粘度は、その分子量および分解時間の基準である(例えば、固有粘度がより高い熱可塑性ポリマーは、分子量がより高く、分解時間がより長い)。好ましくは、熱可塑性ポリマーの分子量は、固有粘度によって示す場合、約0.05dL/g〜約2.0dL/g(クロロホルム中で測定)、より好ましくは、約0.01dL/g〜約1.5dL/gである。
(好ましいポリエステルの特徴)
本発明の流動性組成物の好ましい熱可塑性生分解性ポリマーはポリエステルである。一般に、ポリエステルは、異なる単位の分布が、ランダムであるか、塊であるか、対合するか、または連続する、1つまたは複数のヒドロキシカルボン酸残基単位から構成され得る。あるいは、ポリエステルは、1つまたは複数のジオールおよび1つまたは複数のジカルボン酸から構成され得る。分布は、ポリエステルを合成するために使用される出発材料および合成過程に依存する。ブロックまたは連続様式で分布する異なる対合単位から構成されるポリエステルの例は、ポリ(ラクチド−コグリコリド)である。ランダム様式で分布する異なる非対合単位から構成されるポリエステルの例は、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である。適切な生分解性熱可塑性ポリエステルの他の例には、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、そのコポリマー、そのターポリマー、およびその任意の組み合わせが含まれる。好ましくは、適切な生分解性熱可塑性ポリエステルは、ポリラクチド、ポリグリコリド、そのコポリマー、そのターポリマー、またはその任意の組み合わせである。
ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)の末端基は、重合方法に依って、水酸基、カルボキシル基、またはエステル基のいずれかであり得る。乳酸またはグリコール酸の重縮合により、末端に水酸基およびカルボキシル基を有するポリマーが得られる。水、乳酸、またはグリコール酸を使用した環状ラクチドまたはグリコリド単量体の開環重合により、これらの同一の末端基を有するポリマーが得られる。しかし、メタノール、エタノール、または1−ドデカノールなどの一官能性アルコールを使用した環状単量体の開環により、1つの水酸基および1つのエステル末端基を有するポリマーが得られる。グルコース、1,6−ヘキサンジオールまたはポリエチレングリコールなどのポリオールを使用した環状単量体の開環重合により、末端水酸基のみを有するポリマーが得られる。ヒドロキシカルボン酸およびポリオールの二量体のこのような重合は、ポリマーの鎖伸長である。ポリオールは、ポリマーのエステル部分として組み込まれた水酸基から成長したポリマー鎖を有する中心縮合点(central condensation point)として作用する。ポリオールは、2〜30炭素長のジオール、トリオール、テトラオール、ペンタオール、またはヘキサオールであり得る。例には、サッカリド、還元サッカリド(ソルビトールなど)、ジオール(ヘキサン−1,6−ジオールなど)、トリオール(グリセロールまたは還元脂肪酸など)、および類似のポリオールが含まれる。一般に、アルコールまたはポリオールと共重合するポリエステルにより、埋没物の持続時間がより長くなる。
流動性組成物中に存在する好ましい生分解性熱可塑性ポリエステルの型、分子量、および量は、典型的には、制御された徐放性埋没物の所望の性質に依存する。例えば、生分解性熱可塑性ポリエステルの型、分子量、および量は、制御された徐放性埋没物からオクトレオチドが放出する時間に影響を与え得る。詳細には、本発明の1つの実施形態では、組成物を使用して、オクトレオチドの1ヶ月徐放性送達系を処方することができる。このような実施形態では、生分解性熱可塑性ポリエステルは、末端カルボキシル基を有する50/50、55/45、75/25、85/15、90/10、または95/5ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)、好ましくは、末端カルボキシル基を有する50/50ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)であり、組成物中に約20重量%〜約70重量%存在し、平均分子量が、約15,000〜約45,000、約23,000〜約45,000、または約20,000〜約40,000であり得る。
本発明の別の実施形態では、オクトレオチドの3ヶ月徐放性送達系を得るために流動性組成物を処方することができる。このような実施形態では、生分解性熱可塑性ポリエステルは、末端カルボキシル基を持たない50/50、55/45、75/25、85/15、90/10、または95/5ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)、好ましくは、末端カルボキシル基を持たない75/25ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)であり、組成物の約20重量%〜約70重量%で存在し、平均分子量が、約20,000〜約40,000または約15,000〜約25,000であり得るか、1,6−ヘキサンジオール鎖増量剤を含み、流動性組成物の重量百分率が約20重量%〜約70重量%であり、平均分子量が15,000〜約30,000である85/15ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)であり得る。任意選択的に、末端カルボキシル基を有する任意のポリエステルを、ジオール部分を使用して伸長することができる。
(極性非プロトン性有機溶媒)
本発明の流動性組成物での使用に適切な有機液体は生体適合性を示し、水性媒体、体液、または水に一定範囲の溶解性を示す。この範囲には、有機液体と水性媒体、体液、または水との最初の接触時の全濃度での完全な不溶から最初の接触時の全濃度での完全な溶解までの範囲が含まれる。
有機液体の水への可溶性または不溶性を本発明の溶解性のガイドとして使用することができる場合、その水溶性または体液への不溶性は、典型的には、水へのその可溶性または不溶性によって変化する。水と比較して、体液は、生理的塩、脂質、およびタンパク質などを含み、有機液体に対する溶媒和能力が異なる。この現象は、水に対して生理食塩水によって示される古典的な「塩析」特性と類似する。体液は、水と比較して類似の変動性が認められるが、「塩析」因子と対照的に、体液は、典型的には、ほとんどの有機液体の溶媒和能力は水よりも高い。このより高い能力は、水と比較して体液の親油性が高いことに一部起因し、体液の動的特徴に一部起因する。生きている生物では、体液は静的ではなく、むしろ、生物全体を移動している。さらに、体液は、体液の内容物が除去されるように生物の組織によって除去または浄化される。結果として、生体組織中の体液は、水に完全な不溶性を示す有機液体を除去するか、溶媒和するか、消散する。
水、水性媒体、および体液の間の上記で理解されている溶解性の相違にしたがって、本発明で使用される有機液体は、2種が最初に組み合わされている場合、水に完全に不溶性から完全に溶解性までの範囲を示し得る。好ましくは、有機液体は、水に少なくともわずかに溶解性を示すか、より好ましくは中程度の溶解性を示すか、特により好ましくは高度に溶解性を示すか、最も好ましくは全ての濃度で溶解性を示す。水性媒体および体液への有機液体の対応する溶解性は、水溶性によって示される傾向をたどる傾向がある。体液では、有機液体の溶解性は、水の溶解性よりも高い傾向がある。
体液に不溶性からわずかな溶解性までを示す有機液体を徐放性送達系の任意の実施形態で使用する場合、これにより、数秒から数週間または数ヵ月までの範囲の期間にわたって移植送達系に水が浸透される。この過程は、オクトレオチドの送達速度を増減させることができ、流動性組成物の場合、凝固速度または固化速度に影響を与える。体液に中程度の溶解性から非常に高い溶解性までを示す有機液体を送達系の任意の実施形態で使用する場合、数分から数日間の期間にわたって体液中に拡散する。拡散速度は、オクトレオチドの送達速度を増減させることができる。溶解性の高い有機液体を使用する場合、これらは、数秒から数時間の期間にわたって送達系から拡散される。いくつかの環境下で、この急速な拡散は、いわゆるバースト効果を少なくとも一部担う。バースト効果は短命であるが、送達系の移植時にオクトレオチドが急速に放出され、その後にオクトレオチドが長期間徐放される。
本発明の送達系で使用される有機液体には、雰囲気温度および生理学的温度で液体であるか少なくとも流動性を示す脂肪族、アリール、およびアリールアルキルの直鎖、環状、および分岐有機化合物が含まれ、アルコール、アルコキシル化アルコール、ケトン、エーテル、重合エーテル、アミド、エステル、カーボネート、スルホキシド、スルホン、生体組織と適合する任意の他の官能基およびその任意の組み合わせを含む。有機液体は、好ましくは、極性非プロトン性有機溶媒または極性プロトン性有機溶媒である。好ましくは、有機液体の分子量は、約30〜約1000の範囲である。
水性流体または体液に少なくともわずかに溶解性を示す好ましい生体適合性有機液体には、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、C〜C15アルコール、ジオール、トリオール、およびテトラオール(エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ブタノールなど)、C〜C15アルキルケトン(アセトン、ジエチルケトン、およびメチルエチルケトンなど)、C〜C15エステルならびにモノ、ジ、およびトリカルボン酸のアルキルエステル(酢酸2−エチルオキシエチル(2−ethyoxyethyl acetate)、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酪酸エチル、マロン酸ジエチル、グルコン酸ジエチル(diethyl glutonate)、クエン酸トリブチル、コハク酸ジエチル、トリブチリン、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、シュウ酸ジメチル、クエン酸ジメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、およびトリ酢酸グリセリルなど)、C〜C15アミド(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびカプロラクタムなど)C〜C20エーテル(テトラヒドロフランまたはソルケタールなど)、tween、トリアセチン、デシルメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、オレイン酸、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、N−メチル−2−ピロリドン、カルボン酸とアルキルアルコールとのエステル(炭酸プロピレン、炭酸エチレン、および炭酸ジメチルなど)、アルキルケトン(アセトンおよびメチルエチルケトンなど)、アルコール(ソルケタール、グリセロールフォーマル(glycerol formal)、およびグリコフロールなど)、ジアルキルアミド(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、およびジメチルスルホンなど)、ラクトン(ε−カプロラクトンおよびブチロラクトンなど)、環状アルキルアミド(カプロラクタムなど)、トリアセチンおよびジアセチン、芳香族アミン(N,N−ジメチル−m−トルアミドなど)、ならびにその組み合わせが含まれる。好ましい溶媒には、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、炭酸プロピレン、ソルケタール、トリアセチン、グリセロールフォーマル、イソプロピリデングリコール、およびグリコフロールが含まれる。
他の好ましい有機液体は、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ジプロピレングリコール、トリブチリン、オレイン酸エチル、グリセリン、グリコフラール(glycofural)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、およびクエン酸トリエチルである。最も好ましい溶媒は、その溶媒和能力およびその適合性により、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、トリアセチン、および炭酸プロピレンである。
以下に詳述するように、流動性組成物中に存在する生体適合性有機液体の型および量は、典型的には、制御された徐放性埋没物の所望の性質に依存する。好ましくは、流動性組成物は、約0.001重量%〜約90重量%、より好ましくは約5重量%〜約70重量%、最も好ましくは5〜60重量%の有機液体を含む。
有機液体への生分解性熱可塑性ポリマーの溶解性は、その結晶化度、その親水性、水素結合、および分子量に応じて異なる。低分子量ポリマーは、通常、高分子量ポリマーよりも有機液体に容易に溶解する。結果として、種々の有機液体への熱可塑性ポリマーの溶解濃度は、極性の型およびその分子量に応じて異なる。さらに、熱可塑性ポリマーの分子量が高いほど低分子量材料よりも溶液粘度が高くなる傾向がある。
有機液体が本発明の流動性組成物の一部を形成する場合、有機液体は、生体組織への徐放性送達系の容易な非外科的配置が可能なだけではない。流動性組成物のin situ形成埋没物への変形も容易にする。本発明を制限することを意味しないが、流動性組成物の変形は、流動性組成物から周辺の体液および組織への有機液体の消散および周辺組織から流動性組成物への体液の注入の結果であると考えられる。変形時に、流動性組成物内の熱可塑性ポリマーおよび有機液体が、ポリマーが豊富な領域および少ない領域に分配されると考えられる。
本発明の流動性組成物のために、本発明の有機液体中の熱可塑性ポリマーの濃度は、約0.01g/mL・有機液体から飽和濃度までの範囲である。典型的には、飽和濃度は、固体の80〜95重量%の範囲であるか、有機液体1mLあたり約1gmとすると、有機液体1mLあたり4〜ほぼ5gmの範囲である。
ゆっくり凝固する傾向があるポリマーについて、溶媒混合物を使用して、凝固速度を増大させることができる。本質的に、溶媒混合物の一方の液体成分はポリマーの良好な溶媒であり、溶媒混合物の他方の液体成分はより不十分であるか非溶媒である。2つの液体を、ポリマーが依然として可溶性を示すが沈殿し、生理学的環境下で水などの非溶媒の量がわずかに増加するような比率で混合する。必然的に、溶媒系は、ポリマーおよび水の両方に混和性を示さなければならい。このような二元溶媒系の例は、N−メチルピロリドンおよびエタノールの使用である。NMP/ポリマー溶液へのエタノールの添加により、その凝固速度が増大する。
本発明の形成された埋没物について、有機液体の存在により、以下の性質を得るために役立ち得る:可塑化、形成性、可撓性、均一性の増減、生物活性因子の放出速度の増減、浸出、埋没物への体液の流入の促進または遅延、患者の安心、ならびに熱可塑性ポリマーおよび生物活性因子の適合性など。一般に、形成された埋没物中の有機液体の濃度は、約0.001重量%〜30重量%もの範囲であり得る。一般に、この濃度は、形成された埋没物の流動性組成物への逆戻りを引き起こす量未満である。また、熱可塑性ポリマーを溶解する実質的能力未満を示すように有機液体を優先的に選択することができる。
有機液体などの添加物が埋没物中に維持される場合、埋没物の柔軟性を、その寿命の間、実質的に維持することができる。このような添加物はまた、熱可塑性ポリマーの可塑剤として作用することもでき、少なくとも一部が埋没物中に残存し得る。これらの性質を有する1つのこのような添加物は、低水溶性から水不溶性までの有機液体である。これらの柔軟性および可塑性を付与するこのような有機液体を、唯一の有機液体として送達系に含めるか、中程度から高い水溶性を示す有機液体に加えて含めることができる。
低水溶性または水不溶性の有機液体(水中にわずか5重量%しか含まない水溶液を形成する有機液体など)は、柔軟性可塑成分として機能し、さらに、本発明の流動性組成物の実施形態の溶媒和成分として作用することができる。このような有機液体は、熱可塑性ポリマーの可塑剤として作用することができる。有機液体がこれらの性質を有する場合、有機液体は、「可塑剤」と呼ばれる有機液体の多数の下位集団である。可塑剤は、移植した場合に患者をより快適にするように埋没物組成物の柔軟性および成形性に影響を与える。さらに、可塑剤は、埋没物組成物に組み込まれた可塑剤の性質によって速度を増減することができるようにオクトレオチドの徐放速度に影響を与える。一般に、可塑剤として作用する有機液体は、固体またはゲルの熱可塑性マトリックス内の分子の移動を容易にすると考えられる。可塑化能力により、柔軟性および容易な成形性が得られるようにマトリックスのポリマー分子が相互に移動することができる。可塑化能力により、いくつかの状況で、徐放速度が正または負の影響を受けるようにオクトレオチドを容易に移動させることもできる。
(高水溶性有機液体)
中程度から高い水溶性を示す有機液体を、一般に、本発明の流動性組成物中で使用することができ、特に、柔軟性が埋没物形成後に問題とされない場合に使用することができる。高水溶性有機液体の使用により、流動性組成物の直接挿入によって作製された埋没物の物理的特徴を有する埋没物が得られる。
本発明の流動性組成物中の中程度から高い水溶性を示す有機液体の使用により、流動性組成物中への他の成分の完全な組み合わせおよび混合を容易にする。有機液体は、ex vivo形成埋没物の固体またはゲルの均一性および柔軟性を促進し、その結果、このような埋没物を適切な切り口またはトロカール配置部分に容易に挿入することができる。
有用な高水溶性有機液体には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)および2−ピロリドン、C〜C10アルカン酸(酢酸および乳酸など)、ヒドロキシ酸のエステル(乳酸メチルおよびクエン酸アルキルなど)、ポリカルボン酸のモノエステル(モノメチルコハク酸およびモノメチルクエン酸など)、エーテルアルコール(グリコフロール、グリセロールフォーマル、イソプロピリデングリコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソロン−4メタノールなど)、ソルケタール、ジアルキルアミド(ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなど)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルスルホン、ラクトン(ε−カプロラクトンおよびブチロラクトンなど)、環状アルキルアミド(カプロラクタムなど)、ならびにその混合物および組み合わせが含まれる。好ましい有機液体には、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、グリコフロール、グリセロールフォーマル、およびイソプロピリデングリコールが含まれる。
(低水溶性有機液体/溶媒)
上記のように、低水溶性または非水溶性を示す有機液体(以下、低/非液体)を、徐放性送達系で使用することもできる。好ましくは、柔軟性を維持した埋没物を有すること、押し出し可能であること、および長期間放出されることなどが望ましい場合、低/非液体を使用する。例えば、生物活性因子の放出速度は、低/非液体の使用によるいくつかの環境下で影響を受け得る。典型的には、このような環境は、埋没物生成物内の有機液体の保持および可塑剤または速度調整因子としてのその機能を含む。
低溶解性または非溶解性の有機液体の例には、カルボン酸とアリールアルコールとのエステル(安息香酸ベンジルなど)、C〜C10アルキルアルコール、C〜CアルキルC〜Cアルカン酸、カルボン酸とアルキルアルコールとのエステル(炭酸プロピレン、炭酸エチレン、および炭酸ジメチルなど)、モノ、ジ、およびトリカルボン酸のアルキルエステル(酢酸2−エチルオキシエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、マロン酸ジエチル、グルコン酸ジエチル、クエン酸トリブチル、コハク酸ジエチル、トリブチリン、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、シュウ酸ジメチル、クエン酸ジメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、およびトリ酢酸グリセリルなど)、アルキルケトン(メチルエチルケトンなど)、ならびに水にいくらかの溶解性を示す有機液体を含む他のカルボニル、エーテル、カルボン酸エステル、アミド、およびヒドロキシが含まれる。生体適合性および薬学的な許容性により、炭酸プロピレン、酢酸エチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、およびトリ酢酸グリセリルが好ましい。
さらに、マトリックス形成材料が種々の溶解度を得られる上記の高溶解性有機液体と低溶解性または非溶解性有機液体との混合物を使用して、埋没物の寿命、生物活性因子の放出速度、および他の特徴を変化させることができる。例には、N−メチルピロリドンのみよりも疎水性の高い溶媒が得られる、N−メチルピロリドンと炭酸プロピレンとの組み合わせ、およびN−メチルピロリドンのみよりも親水性の高い溶媒が得られるN−メチルピロリドンとポリエチレングリコールとの組み合わせが含まれる。
組成物中に含めるための有機液体は、生体適合性を示すべきである。生体適合性は、組成物から有機液体が分散または拡散するにつれて、有機液体によって埋没物部位周辺の組織が実質的に刺激または壊死しないことを意味する。
(好ましい流動性組成物のための有機液体)
熱可塑性ポリマーを組み込んだ好ましい流動性組成物のために、適切な極性非プロトン性溶媒が全ての比率での完全な溶解性から非常にわずかな溶解性のみまでの範囲内で体液溶解性を示す場合、任意の適切な極性非プロトン性有機液体を使用することができる。適切な極性非プロトン性有機液体は、例えば、Aldrich Handbook of Fine Chemicals and Laboratory Equipment,Milwaukee,WI(2000);米国特許第5,324,519号;同第4,938,763号;同第5,702,716号;同第5,744,153号;および同第5,990,194号に開示されている。適切な極性非プロトン性液体は、流動性組成物が凝固または固化するように、体液に経時的に拡散するようにすべきである。拡散は、急速であってもゆっくりであってもよい。生分解性ポリマーのための極性非プロトン性液体が非毒性であるか生体適合性を示すことも好ましい。
極性非プロトン性有機液体は、好ましくは、生体適合性を示す。適切な極性非プロトン性有機液体の例には、アミド基、エステル基、炭酸基、ケトン基、エーテル基、スルホニル基、またはその組み合わせを有するものが含まれる。例は、上記の通りである。
好ましくは、極性非プロトン性有機液体は、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、カプロラクタム、トリアセチン、またはその任意の組み合わせであり得る。より好ましくは、極性非プロトン性有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドンであり得る。
種々の極性非プロトン性液体中の生分解性熱可塑性ポリエステルの溶解性は、その結晶化度、その結晶化度、その親水性、水素結合、および分子量に応じて異なる。したがって、全ての生分解性熱可塑性ポリエステルが同一の極性非プロトン性有機液体中に同程度に溶解するわけではないが、各生分解性熱可塑性ポリマーまたはコポリマーは、その適切な極性非プロトン性溶媒中に溶解性を示すべきである。ポリマーの分子量が低いほど、通常、高分子量ポリマーよりも液体中に容易に溶解する。結果として、種々の液体へのポリマーの溶解濃度は、ポリマーの型およびその分子量に応じて異なる。逆に、ポリマーの分子量が高いほど、通常、非常に低分子量のポリマーよりも迅速に凝固または固化する傾向がある。さらに、ポリマーの分子量が高いほど低分子量材料よりも溶液粘度が高くなる傾向がある。
例えば、乳酸の縮合によって形成された低分子量ポリ乳酸は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解して73重量%の溶液が得られ、この溶液は、依然として23ゲージのシリンジニードル中を容易に流れるのに対して、DL−ラクチドのさらなる重合によって形成されたより高い分子量のポリ(DL−ラクチド)(DL−PLA)は、NMPに溶解した場合に、たった50重量%で同一の溶液粘度になる。より高い分子量のポリマー溶液は、水に入れた直後に凝固する。低分子量のポリマー溶液は、より高い濃度でさえも、水に入れた場合に非常にゆっくりと凝固する傾向がある。
非常に高濃度の高分子量ポリマーを含む溶液は、時折、より希薄な溶液よりもゆっくりと凝固または固化することも見出された。高濃度のポリマーは、ポリマーマトリックス内からの溶媒の拡散を妨害し、それにより、マトリックスへの水の浸透を防止し、ポリマー鎖が沈殿し得ると考えられる。したがって、ポリマー溶液から溶媒が拡散し、水が溶媒内に浸透してポリマーが凝固する至適濃度が存在する。
熱可塑性ポリエステルを組み込んだ本発明の好ましい流動性組成物のための極性非プロトン性有機液体の濃度および種は、典型的には、制御放出埋没物の所望の性質に従う。例えば、生体適合性極性非プロトン性溶媒の種および量は、制御放出埋没物からオクトレオチドが放出される時間に影響を与え得る。詳細には、本発明の1つの実施形態では、流動性組成物を使用して、オクトレオチドの1ヶ月送達系を処方することができる。このような実施形態では、生体適合性極性非プロトン性溶媒は、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドンであり、好ましくは、組成物の約30重量%〜約60重量%で存在し得る。あるいは、本発明の別の実施形態では、組成物を使用して、オクトレオチドの3ヶ月送達系を処方することができる。このような実施形態では、生体適合性極性非プロトン性溶媒は、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドンであり、好ましくは、組成物の約20重量%〜約60重量%で存在し得る。
(オクトレオチド)
オクトレオチドは、ペプチド配列Phe−Cys−Phe−Trp−Lys−Thr−Cysの公知のオリゴヌクレオチドである。オクトレオチドには、典型的に、システイン間のジスルフィド結合が含まれ、フェニルアラニン(Phe)およびトリプトファン(Trp)はD型であるが、そのL型も含まれ得る。C末端システインがカルボキシルとして終結し得るか、アルキルアミン、ジアルキルアミン、またはヒドロキシアルキルアミンなどの有機アミンでアミド化することができる。好ましくは、アミド化基は、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルプロピルアミンである。C末端システインを、さらなるアミノ酸単位(トレオニン(Thr)、セリン(Ser)、またはチロシン(Thy)など)でアミド化することもでき、C末端システインについて記載のように、得られたアミド化アミノ酸のC末端は、カルボキシルであり得るかアミド化することができる。好ましいアミド化アミノ酸基はトレオニンである。ペプチド配列を、N末端でグリコシル化することもできる。グリコシル化基は、ガラクトシル基、グルコシル基、グルコシル−フルクトシル基、および他のジサッカリジシルグリコシル化基であり得る。
オクトレオチドを、トリプトファン単位およびリジン単位の塩基性側鎖によってその非中和塩基性形態か、または有機酸もしくは無機酸の塩として投与することができる。例には、対イオン(gegenion)(対イオン(counter−ion))が酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、マロン酸塩、塩化物、硫酸塩、臭化物、および他の薬学的に許容可能な有機酸および無機酸の対イオンであるオクトレオチド塩が含まれる。マロン酸、クエン酸、イタコン酸、アジピン酸、ならびに4〜40個の炭素原子のジ、トリ、およびテトラカルボン酸などの複数のカルボン酸基を有する有機酸が好ましい。
好ましくは、オクトレオチドを、使用前に凍結乾燥させる。典型的には、オクトレオチドを、水溶液に溶解し、濾過滅菌し、シリンジ中で凍結乾燥させることができる。別の過程では、熱可塑性ポリマー/有機溶液を、第2のシリンジに充填することができる。次いで、2つのシリンジを連結し、熱可塑性ポリマー、有機液体、およびオクトレオチドが有効に混合して流動性組成物を形成するまで、内容物を、2シリンジ間で前後させることができる。流動性組成物を、一方のシリンジに引き込むことができる。次いで、2つのシリンジの連結を外し、流動性組成物を含むシリンジにニードルを取り付けることができる。次いで、流動性組成物を、ニードルを介して体内に注射することができる。例えば、米国特許第5,324,519号;同第4,938,763号;同第5,702,716号;同第5,744,153号;および同第5,990,194号または本明細書中に記載のように、流動性組成物を処方し、患者に投与することができる。一旦投与されると、有機液体が消散し、残存するポリマーがゲル化または固化し、マトリックス構造が形成される。有機液体は消散し、ポリマーが固化して、マトリックス内にオクトレオチドが捕捉または閉じ込められる。
本発明の埋没物からのオクトレオチドの放出は、一体化したポリマーデバイスからの薬物放出と同様の一般規則に従う。オクトレオチドの放出は、埋没物のサイズおよび形状、埋没物内へのオクトレオチドの充填、オクトレオチドおよび特定のポリマーに関する透過因子、ならびにポリマーの分解の影響を受け得る。送達のために選択されたオクトレオチド量に応じて、当業者は、上記パラメーターを調整して、所望の放出速度および放出持続時間を得ることができる。
本発明の徐放性送達系に組み込まれたオクトレオチドの量は、所望の放出プロフィール、生物学的効果に必要なオクトレオチドの濃度、および治療のためにオクトレオチドが放出される必要がある期間に依存する。シリンジニードルを介した注射に許容可能な溶液または分散液の粘度の上限を除き、徐放送達系に組み込まれるオクトレオチド量に上限はない。徐放性送達系に組み込まれるオクトレオチドの下限は、オクトレオチドの活性および治療に必要な期間に依存する。詳細には、本発明の1つの実施形態では、オクトレオチドが1ヶ月放出されるように徐放性送達系を処方することができる。このような実施形態では、オクトレオチドは、好ましくは、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは、約8重量%〜約15重量%で存在し得る。あるいは、本発明の別の実施形態では、オクトレオチドが3ヶ月放出されるように徐放性送達系を処方することができる。このような実施形態では、オクトレオチドは、好ましくは、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは、約8重量%〜約15重量%で存在し得る。流動性組成物から形成されたゲルまたは固体の埋没物は、埋没物がオクトレオチドを有効に使い果たすまで、制御された速度でそのマトリックス内に含まれるオクトレオチドを放出する。
(アジュバントおよびキャリア)
徐放性送達系は、埋没物マトリックスからのオクトレオチドの徐放速度を変化させるための放出速度調整因子を含み得る。放出速度調整因子の使用により、放出速度調整因子を使用しない埋没物マトリックスからのオクトレオチドの放出と比較して、数桁規模の範囲(例えば、1〜10〜100)(好ましくは、10倍までの変化)で、オクトレオチド放出を増減させることができる。
徐放性送達系への疎水性ヘプタン酸エチルなどの疎水性放出速度調整因子の添加、および流動性組成物と体液との相互作用を介した埋没物マトリックスの形成により、オクトレオチドの放出速度を遅延させることができる。ポリエチレングリコールなどの疎水性放出速度調整因子により、オクトレオチド放出を増加させることができる。有効量の放出速度調整因子と組み合わせたポリマーの分子量の適切な選択により、埋没物マトリックスからのオクトレオチドの放出速度および放出範囲を、例えば、比較的大きいものから比較的小さいものに変化させることができる。
有用な放出速度調整因子には、例えば、水溶性、水混和性、または水不溶性を示す(すなわち、親水性から疎水性まで)有機物質が含まれる。
放出速度調整因子は、好ましくは、分子が固体または高粘度状態でさえも相互に滑らかに滑るポリマー分子および他の分子の可撓性および能力を増加させると考えられる有機化合物である。このような有機化合物は、好ましくは、疎水性領域および親水性領域を含む。放出速度調整因子は、徐放性送達系を処方するために使用されるポリマーと有機液体との組み合わせに適合することが好ましい。放出速度調整因子が薬学的に許容可能な物質であることがさらに好ましい。
有用な放出速度調整因子には、例えば、脂肪酸、トリグリセリド、他の疎水性化合物、有機液体、可塑化化合物、および親水性化合物が含まれる。適切な放出速度調整因子には、例えば、モノ、ジ、およびトリカルボン酸のエステル(酢酸2−エチルオキシエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、シュウ酸ジメチル、クエン酸ジメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、トリ酢酸グリセリル、セバシン酸ジ(n−ブチル)(di(n−butyl)sebecate)など)、ポリヒドロキシアルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、およびソルビトールなど)、脂肪酸、グリセロールのトリエステル(トリグリセリド、エポキシド化ダイズ油、および他のエポキシド化植物油など)、ステロール(コレステロールなど)、アルコール(C〜C12アルカノールおよび2−エトキシエタノールなど)が含まれる。放出速度調整因子を、単独または他のこのような薬剤と組み合わせて使用することができる。放出速度調整因子の適切な組み合わせには、例えば、グリセリン/プロピレングリコール、ソルビトール/グリセリン、エチレンオキシド/プロピレンオキシド、およびブチレングリコール/アジピン酸などが含まれる。好ましい放出速度調整因子には、クエン酸ジメチル、クエン酸トリエチル、ヘプタン酸エチル、グリセリン、およびヘキサンジオールが含まれる。
流動性組成物中に含まれる放出速度調整因子の量は、埋没物マトリックスからのオクトレオチドの所望の放出速度に応じて変化する。好ましくは、徐放性送達系は、約0.5〜30重量%、好ましくは、約5〜10重量%の放出速度調整因子を含む。
キャリア、詳細には隔離キャリアとして作用させるために、他の固体アジュバントを、任意選択的に、徐放性送達系と組み合わせることもできる。これらには、デンプン、スクロース、ラクトース、セルロース、糖、マンニトール、マルチトール、デキストラン、ソルビトール、デンプン、寒天、アルギン酸塩、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成もしくは半合成ポリマーもしくはグリセリド、および/またはポリビニルピロリドンなどの添加物または賦形剤が含まれる。
さらなるアジュバントには、オイル(ラッカセイ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、およびオリーブ油など)および脂肪酸のエステル(オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリド、およびアセチル化脂肪酸グリセリドなど)が含まれ得る。アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、グリセロール、およびプロピレングリコールなどであるが、これらに限定されない)も含まれる。エーテル(ポリ(エチレングリコール)などであるが、これらに限定されない)、石油炭化水素(鉱物油および石油など)を、処方物中に使用することができる。ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースも含めることができる。これらの化合物は、オクトレオチドのコーティングおよびそれによる有機溶媒および流動性組成物の他の成分とのその接触の防止によって隔離キャリアとしての機能を果たすことができる。隔離キャリアとして、これらの化合物はまた、in situでの流動性組成物の凝固に関連するバースト効果を低下させるのにも役立つ。
任意選択的に、他の化合物(安定剤、抗菌薬、抗酸化剤、pH調整剤、生物学的利用能調整剤、およびこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない)を含める。乳化剤および界面活性剤(脂肪酸または非イオン性界面活性剤(天然または合成の極性オイルが含まれる)、脂肪酸エステル、ポリオールエーテル、およびモノ、ジ、トリグリセリドなど)も含めることができる。
(埋没物)
本発明の埋没物を形成する場合、埋没物は、固体またはゲルの物理的状態を有する。固体実施形態は、指での圧搾(すなわち、小さな力)によって収縮または湾曲することができないように硬いか、指での圧搾によって圧縮されるか元の形状に動くことができるように可撓性を示すか屈曲することができる。ゲル実施形態は、一貫してゼリー様であり、加圧下で流動し得る。熱可塑性ポリマーは、これらの実施形態中で、単一の固体またはゲルに完全性を付与し、移植時に生物活性因子の制御放出が可能にするためのマトリックスとして機能する。
熱可塑性ポリマーマトリックスは、好ましくは、固体マトリックスであり、特に好ましくは微小孔性である。微小孔性固体マトリックスの1つの実施形態では、表皮に囲まれたコアが存在する。コアは、好ましくは、直径が約1〜約1000ミクロンの孔を含む。表皮は、好ましくは、コアの孔よりも小さな直径の孔を含む。さらに、表皮の孔は、好ましくは、コアと比較して表皮が機能的に非多孔質であるようなサイズである。
埋没物の全成分が生分解性を示すか、体液によって埋没物から一掃されるか身体から排除することができるので、埋没物は最終的には消滅する。典型的には、埋没物成分は、オクトレオチドが本質的に完全に放出された後に生分解または消滅を完了する。熱可塑性ポリマーの構造、その分子量、埋没物の密度および空隙率、ならびに埋没物の体内の位置は、全て生分解速度および消滅速度に影響を与える。
埋没物は、典型的には、患者の皮下で形成される。埋没物は、患者を楽にするにように、注射時に適所で成形することができる。埋没物の体積は、典型的には、0.25mL〜2または3mLのサイズであり得る。
(治療用途)
驚くべきことに、本発明の徐放性送達系がSandostatinLAR(登録商標)製品よりも有効にオクトレオチドを送達することが発見された。詳細には、以下の実施例に示すように、本発明の徐放性送達系を使用して得られた血中オクトレオチドレベルは、SandostatinLAR(登録商標)製品によって得られた血中オクトレオチドレベルと比較してヒトで長期間にわたってより高く、ヒトにおける3ヶ月の時点でも、SandostatinLAR(登録商標)製品について文献で報告されている値と比較して高い。
本発明の多くの利点(例えば、バーストが最小の優れた放出動態、低い注射頻度での薬物放出の持続時間の増加、顕著に改良された生物学的利用能、小さな注射体積による改良された局所組織耐性、および筋肉内注射よりもむしろ皮下注射が使用できること)は、眼疾患の治療に有用である。これには、過剰な細胞増殖に関与する眼疾患(新血管形成眼疾患(年齢関連黄斑変性で生じる脈絡膜新血管形成、および糖尿病性網膜症で生じる網膜新血管形成など)が含まれるが、これらに限定されない)が含まれる。
一般に、ソマトスタチンまたはソマトスタチンアナログの投与によって改善、治療、治癒、または防止することができる任意の疾患を、本発明の流動性組成物の投与によって治療することができる。これらの疾患は、成長ホルモンまたはソマトトロピンの分泌過多、インスリン、グルカゴン、および/またはソマトトロピンを含む経路の不均衡、ソマトスタチンおよび/またはソマトスタチン受容体を含む不均衡または不調、ならびに胃腸の不快感に関連する不調に少なくとも部分的に基づく疾患に関連する。以下の特定の不調は、このような疾患の例である。これらの全てを、有効量のオクトレオチドが送達されるように処方された本発明の流動性組成物の適切且つ有効な投与によって治療することができる。これらの不調には、以下が含まれる。
a.カルチノイド症候群および血管作動性腸管ペプチド(VIP)腫瘍に関連する下痢の症状の制御;
b.神経内分泌腫瘍の治療;
c.先端巨大症;
d.化学療法誘導性下痢に関連する下痢症候の制御;
e.膵炎;
f.出血性食道静脈瘤;
g.門脈大静脈シャント術に関連する液体貯留の治療;
h.過敏性腸症候群;
i.抗痙攣薬投与;
j.糖尿病合併症リスクが軽減された糖尿病患者における後期糖化生成物(AGE)(例えば、ヘモグロビンA1C)形成の減少;
k.新血管増殖性眼疾患(特定の例を、以下の個別のリストに示す);
l.他の増殖性眼疾患型(特定の例を、以下の個別のリストに示す)。
本発明の流動性組成物によって治療することができる血管新生増殖性眼疾患の例には、以下が含まれる。
a.糖尿病性網膜症患者における網膜新血管形成(関連する黄斑浮腫、前網膜出血、網膜剥離を罹患しているかしていない);
b.未熟児の網膜症患者などの場合の網膜新血管形成;
c.湿潤型の年齢関連黄斑変性患者の脈絡膜新血管形成(黄斑浮腫、出血、網膜剥離を罹患しているかしていない)
d.年齢関連黄斑変性以外の眼疾患および全身疾患を罹患した患者における脈絡膜新血管形成;
e.角膜新血管形成。
本発明の流動性組成物によって治療することができる増殖性眼疾患の例には、以下が含まれる。
a.線維芽細胞の増殖:増殖性硝子体網膜症または翼状片;
b.自己免疫性容態および炎症性容態:眼窩周囲および/または眼内リンパ球増殖を伴うグレーブス眼病;
c.視神経炎;リンパ球または単球の細胞増殖によって引き起こされる任意の型のぶどう膜炎、虹彩毛様体炎、または強膜炎;
d.血液リンパ系新生物:眼内リンパ腫または白血病;
e.固形腫瘍:網膜芽細胞腫、メラノーマ、横紋筋肉腫、胚芽性肉腫、転移性悪性固形腫瘍、または任意の他の悪性もしくは良性眼内腫瘍;任意の眼の発癌性新血管形成。
本発明の流動性組成物によって治療することができる糖尿病性眼疾患の例には、以下が含まれる。
a.非増殖性網膜症;
b.初期増殖性非高リスク網膜症;
c.増殖網膜症;
d.光凝固術が失敗した患者の重症網膜症;
e.糖尿病性黄斑浮腫(嚢胞様(custoid)黄斑浮腫が含まれる)。
糖尿病性眼容態を治療するための流動性組成物の使用には、独立型療法および他の治療との組み合わせが含まれる。例には、以下が含まれる。
a.レーザ光凝固療法;
b.局所注射ステロイド(任意のステロイド化合物の硝子体内、眼球後、結膜下、およびテノン下注射が含まれる)。
本発明の流動性組成物を、AMDなどの多数の眼疾患および症候群に関連するCNVを治療するための独立型療法として使用することもできる。このような不調には、例えば、以下が含まれる。
a.湿潤型年齢関連黄斑変性「AMD」(主要な古典的AMD、最小の古典的AMD、および潜在性AMDサブタイプ)。AMDは、CNV病原に関連する主な疾患である。
b.CNV病変は眼の他の容態でも発症する:病的近視、網膜色素線条症、推定眼ヒストプラズマ症候群(POHS)、漿液性脈絡膜炎、視覚性頭部ドルーゼン(optic head drusen)、特発性中心性漿液性脈絡膜症、レチナール眼欠損症、ベスト病、滲出液を含む網膜色素変性症、蛇行性脈絡膜炎、ベーチェット症候群、慢性ぶどう膜炎、急性多発性斑状色素上皮症、散弾網脈絡膜炎(birdshot chorioretinopathy)、脈絡膜破裂、虚血性視神経症、慢性網膜剥離、後眼部硝子体眼房の他の容態。
本発明の流動性組成物を、以下の組み合わせなどの他の治療と組み合わせたCNV病変治療としても使用することができる。
a.光線力学療法(例えば、ベルテポルフィン(Visudyne,QLT,Inc.)、SnET2(エチオプルプリン(etiopurpurin)、Miravant,Inc.);
b.局所注射抗血管新生薬。例えば、硝子体内または結膜下抗VEGF薬:Macugen/Eyetech,Pharmaceuticals,Inc;Lucentis/Genentech,Inc.;およびVEGF Trap/Regeneron Pharmaceuticals,Inc.;
c.結膜下注射として投与される局所注射血管新生抑制(angiostatic)ステロイド(例えば、アネコルタブ、Retanne/Alcon);または眼組織に局所投与される任意の副腎皮質ステロイド(例えば、トリアムシノロン);
d.CNVの全身性治療薬(スクアラミン(Genaera,Inc)および他の全身投与抗血管形成薬(例えば、アバスチン)など)。
オクトレオチドを使用した治療による改善、防止、または治癒に感受性を示すさらなる不調には、甲状腺疾患の眼への疾病顕在化(すなわち、グレーブス病、橋本甲状腺炎、または甲状腺機能亢進症の他の原因)が含まれる(引例Krassas,G.E.ら、1998;Pasquali,D.ら、2002を参照のこと)。甲状腺関連眼疾患の治療における流動性組成物の使用には、独立型療法としての使用および他の治療薬(ステロイドおよび他の全身性免疫抑制薬など)と組み合わせた使用が含まれる。
本発明の流動性組成物を使用して治療可能なさらなる不調には、膿疱様黄斑浮腫(Kuijpers,R.ら、1998;Rothnova,A.ら、2002)および視神経を圧迫する下垂体腺腫に関連する視野欠損(例えば、先端巨大症)(McKreage,K.ら、2003)が含まれる。
(投薬量)
投与される流動性組成物量は、典型的には、制御放出埋没物の所望の性質に依存する。例えば、流動性組成物量は、制御放出埋没物からオクトレオチドが放出される時間に影響を与え得る。詳細には、本発明の1つの実施形態では、組成物を使用して、オクトレオチドの1ヶ月送達系を処方することができる。このような実施形態では、約0.20mL〜約0.40mLの流動性組成物を投与することができる。あるいは、本発明の別の実施形態では、組成物を使用して、オクトレオチドの3ヶ月送達系を処方することができる。このような実施形態では、約0.75mL〜約1.0mLの流動性組成物を投与することができる。
流動性組成物および得られた埋没物内のオクトレオチド量は、治療される疾患、所望される持続時間の長さ、および埋没物の生物学的利用能プロフィールに依存する。一般に、有効量は、患者の担当医の判断および知識の範囲内である。投与ガイドラインは、増殖性および非増殖性の眼疾患のために適用される約100〜5000μgのオクトレオチドの用量範囲を含む。このような1ヶ月にわたる徐放送達に有効な典型的な流動性組成物は、流動性組成物の総体積の1mLあたり約5〜約100mgのオクトレオチドを含む。注射体積は、埋没物あたり0.2〜1.5mLの範囲である。このような3ヶ月にわたる徐放送達に有効な典型的な流動性組成物は、流動性組成物の総体積の1mLあたり約12〜約30mgのオクトレオチドを含む。注射体積は、埋没物あたり0.75〜1.0mLの範囲である。ポリマー処方物は、上記で考察のように、より長く徐放するための主な要因である。
全ての刊行物、特許、および特許書類は、個別に参考として援用されるように、本明細書中で参考として援用される。本発明は、以下の非限定的な実施例を使用してここに例示する。
以下の実施例は、流動性組成物としてのオクトレオチドと組み合わせたポリ(ラクチド−コグリコリド)およびN−メチルピロリドンのATRIGEL(登録商標)処方物を使用する。
以下の実施例では、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドは、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物をいう。ATRIGEL(登録商標)は、QLT−USA,Fort Collins,COの登録商標である。これらの実施例で使用した特定の形態のATRIGEL(登録商標)製品を実施例に示す。他で示さない限り、ATRIGEL(登録商標)製品は、有機溶媒N−メチル−2−ピロリドンに含まれる熱可塑性ポリマーであるポリ(ラクチド−コグリコリド)(PLG)または熱可塑性ポリマーであるポリ(1,6−ヘキサンジオールで伸長したラクチド−コグリコリド)(PLGH)である。SandostatinLAR(登録商標)は、SandostatinLAR(登録商標)製品を示すのに使用する。SandostatinLAR(登録商標)は、Novartis AG,Basel,Switzerlandの登録商標である。
ソマトスタチンに関する問題を解決するための初期の試みおよびソマトスタチンに関する問題に起因する制限または欠如は大きな欠点をもたらした。SandostatinLAR(登録商標)製品は、ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)の微粒子中にカプセル化されたオクトレオチドの30日デポー懸濁液である。オクトレオチドの微粒子を不活性キャリアに懸濁し、この懸濁液を体内に注射して微粒子埋没物を形成させることができる。このSandostatinLAR(登録商標)デポーは、多数の欠点を有する。これらには、a)遅滞期が7〜10日間の不十分な薬物動態、b)低生物学的利用能、c)IM投与経路に大きな注射体積が必要であること、d)注射部位の組織反応が重篤であること(筋肉の壊死、好中球浸潤に伴う急性炎症)、e)慢性的使用に伴う瘢痕形成、およびf)頻繁なニードルの目詰まりによる調製および投与の困難さが含まれる。
上記欠点によって有用性が制限され、いくつかの場合、その全ての臨床用途におけるSandostatinLAR(登録商標)製品の製品性能に悪影響を及ばす。上記欠点は、特に、眼疾患の場合の制限である。特に重要には、オクトレオチドを使用した糖尿病性網膜症の有効な治療には、総1日量が200μgと5,000μgとの間のSandostatin溶液を1日に複数回注射することが必要である(引例部の引例を参照のこと:Boem,B.O.ら、2001;Grant,M.B.ら、2000;Grant,M.B.ら、2002)。実際、徐放性デポーであるSandostatinLAR(登録商標)製品が糖尿病性網膜症を有効に治療するために薬物を十分に曝露するかどうかは明らかではない。
本発明の流動性組成物は、生物学的利用能、薬物動態、安全性、および利便性におけるこれらの問題を解決する。以下に証明するように、本発明の流動性組成物により、より高い生物学的利用能、増強された放出動態、より小さな注射体積、およびIM投与経路よりもむしろ皮下または硝子体内投与経路を使用する機会(1mLを超えるSandostatinLAR(登録商標)製品は、筋肉内注射しなければならない)が得られる。本発明の流動性組成物の送達体積は、SandostatinLAR(登録商標)製品の体積の1/10にすぎない。
以下に示す臨床結果による証明に加えて、本発明の流動性組成物は、遅滞期がなく、治療血漿レベルが持続し、標的組織(眼の新生血管など)への曝露時間が潜在的に長い。1ヶ月および3ヶ月流動性組成物により、これらの欠点ならびに現在流通しているソマトスタチンアナログおよび開発中の関連製品のいくつかの他の欠点に取り組む別の薬物送達テクノロジーが得られる。
これらの問題を解決するための本発明の流動性組成物を使用したアプローチの利点には、以下が含まれる:a)迅速な治療反応(遅滞期なし)、b)皮下注射(患者に優しい)、c)痛みが少ないこと、d)筋肉の損傷および瘢痕がないこと、e)使用ニードルのゲージが小さいこと、f)低体積−SandostatinLAR(登録商標)製品の1/10、g)投与が容易なこと、h)調製が迅速且つ容易であること、i)ニードルの目詰まりがないこと、およびj)8週目までに除去可能なこと(ミクロスフェアと異なる)。
さらに、網膜および脈絡膜の新血管形成のための3ヶ月流動性組成物の適用の利点には、以下が含まれる。
a)他の医療品と比較して眼科製品のより厳しい製品要件を満たすこと、
b)血管成長の阻害に必要なオクトレオチドがより曝露されること、
c)SandostatinLAR(登録商標)と比較して生物学的利用能がはるかに高いこと、
d)遅滞期なし−時間のずれが無く即座に治療レベルが得られること、
e)非常に安全−注射部位反応の最小化が重要である、
f)IM注射よりもむしろ皮下注射が行えること(SandostatinLAR(登録商標)製品の体積の約1/10)、
g)筋肉の損傷または瘢痕がなく、化膿または深部組織感染のリスクが無視できること、
h)調製および投与が便利であること。
結果として、本発明の流動性組成物により、オクトレオチドが得られる他の公知の送達系と比較してより優れた薬物動態およびより高い生物学的利用能が得られる。これらの特徴は、特定の適用(すなわち、任意のソマトスタチン応答疾患)と無関係に改良されている。しかし、これらの速度の改良は、眼への適用で使用される場合に首尾のよい製品を得るために必要であり得る。血液眼関門の透過および眼組織中の新血管形成の遮断のためにより高く且つより一定の治療レベルが必要であるからである。
流動性組成物により、多くに適用するために有効性を改良することができる持続的治療レベルが得られるが、前眼部および後眼部中の病的新血管形成を有効に阻害する必要があり得る。
流動性組成物により、あまり頻繁に注射しなくてよい安全でより便利な製品が得られる。これらの特長は、全ての適用に影響を与える。
以下の実施例にまとめたデータは、SandostatinLAR(登録商標)製品と比較して本発明の流動性組成物の生物学的利用能がはるかに高いことを示す。複数の前臨床研究で2つの製品を並行して試験し、第1相で安全性および薬学的研究を行った。データは、遅滞期が存在しないことを示す。SandostatinLAR(登録商標)製品と対照的に、流動性組成物により、時間のずれがなく直ちに治療レベルに達する。
さらに、添付書類にまとめたデータはまた、SandostatinLAR(登録商標)製品と比較して本発明の流動性組成物の注射体積がはるかに小さいことを示す。この理由のために、本発明の流動性組成物を、筋肉内注射よりもむしろ皮下注射を使用して投与することができる。この相違は、患者の利便性をはるかに超える問題である。実際、ラット、ウサギ、およびイヌで行った実験では、本発明者らは、SandostatinLAR(登録商標)製品の筋肉内注射により、筋肉の壊死および好中球浸潤に伴う急性炎症(無菌性膿瘍)によって特徴づけられる重篤な急性組織反応を起こすことを繰り返し見出した。これらの所見は、SandostatinLAR(登録商標)製品を使用した臨床経験によって裏付けられる。この製品は、先端巨大症およびカルチノイド症候群などの慢性容態の治療を受けた患者の臀部の筋肉の喪失および瘢痕を生じることが周知である。流動性組成物を皮下注射によって投与することができるという事実は、化膿または深部組織感染のリスクが無視できることを意味する。糖尿病性網膜症患者は感染症に感受性を示すので、このことは、糖尿病性網膜症の臨床的状況で有利である。
(実施例1)
雄ラットにおける単回皮下投与後の12%クエン酸オクトレオチドを含む4つのATRIGEL(登録商標)処方物の84日放出動態の評価。
(要約)
本研究の意図および第1の目的は、埋没物の回収およびその後の逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)を使用して、ラットに皮下(SC)投与した12%クエン酸オクトレオチドを含む4つの改変ATRIGEL(登録商標)処方物の84日放出動態を評価することであった。第2の目的は、オクトレオチドの血漿分析のために採血することであった。最後の目的は、組織反応について試験部位を巨視的に評価し、被験物質(TA)の特徴を試験することであった。
この84日研究では、処理群あたり30匹のラットを用いた120匹の雄ラットにおいて4つのATRIGEL(登録商標)処方物を試験した。0日目に、各動物に、約12mgのクエン酸オクトレオチドを含む適切なTAの100μL(およそ)のSC注射を、胸郭背側(DT)領域に1回行った。1、7、21、35、56、および84日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させ(5mLまで)、その後にCOによって安楽死させた。血漿オクトレオチドレベルを、ABC Laboratories,Inc.(Columbia,MO)の液体クロマトグラフィ/質量分析/質量分析(LC/MS/MS)によって分析した。その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。
データは、群II((50%85/15PLG(InV0.25)および50%NMP)に懸濁した12%クエン酸オクトレオチド)は低バースト(18.4%)および遅い放出速度(84日目で88.6%放出)が得られることを証明した。全ての被験物質は、1日目に10.2%〜30.2%の範囲の低いバーストであった。群IV(85/15 PLGHと65/35PLGポリマーとのブレンドを使用して処方した12%オクトレオチド)は、最も低いバースト(10.2%)を示す一方で、85/15 PLGHとPLGポリマーとのブレンドを使用して処方した群IIIは、最も高いバーストを示した(30.2%)。全ての被験物質は、オクトレオチドの徐放を示し、群IIは最も遅い放出速度を示した(84日目で88.66%放出)。群IおよびIIの血漿オクトレオチド分析により、1日目(tmax)に最大血漿オクトレオチド濃度(Cmax)に到達し、その後に、比較的安定したレベルまで段階的に低下することが示された。Cmaxは、群IおよびIIでそれぞれ114.4ng/mLおよび176.1ng/mLであった。両群は、研究を通して、治療血漿レベル(0.3ng/mL)(Marbach,P.,Briner U.,Lemaire M.,Schweitzer A.and Terasaki T.,From Somatostatin to Sandostatin:Pharmacodynamics and Pharmacokinetics,Metabolism,Vol 41,No.9,Suppl.2(September),1992:pp7−10)よりも高いレベルを維持した。1日目の全群での組織の刺激は最小から軽度であり、21日目まで刺激が減少した。この研究結果は、ポリマー負荷が高く且つ固有粘度の低いポリマー賦形剤を使用したATRIGEL(登録商標)オクトレオチド処方物によってオクトレオチドの許容可能な3ヶ月送達が得られることを示す。これらの実施例で明確にすべき点は、クエン酸オクトレオチドが酢酸オクトレオチド+クエン酸を示すことである。
(序論)
オクトレオチドは、Novartisから販売されている合成8アミノ酸ペプチドである。オクトレオチドは、主に、成長ホルモンの分泌過多に起因する先端巨大症の治療に適用されており、転移カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド産生腫瘍の症状の制御に適用されている。現在の臨床処方物は、毎日の皮下注射剤(Sandostatin(登録商標))または1回の1ヶ月徐放性筋肉内デポー(SandostatinLAR(登録商標)(長期作用性放出))として投与される。1ヶ月デポー製品は、薬物がグルコースおよびポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)(PLG)ポリマーから調製されたミクロスフェア中にカプセル化された微粒子処方物である。
ATRIGEL(登録商標)薬物送達系は、液体として注射することができる生分解性ポリマー送達系である。処方物の注射の際、ポリマーは固化して薬物をカプセル化する。生分解過程が開始されるにつれて、薬物はゆっくりと放出される。この送達系型からの薬物の放出速度を、ポリマーの型および分子量ならびに構成された製品の薬物負荷によって制御することができる。したがって、系を、患者の必要を満たすように調整することができる。
(材料と方法)
これは、ラットにSC注射した4つの改変ATRIGEL(登録商標)処方物から送達されるオクトレオチドの84日放出動態を決定するためにデザインされたin vivoでの研究における単回用量である。
巨大なデータベースが文献中で利用可能であるので、ラットはSC注射に許容可能なモデルである。この手順は、ヒトでの使用で予想される投与経路を再現する。生きた生物で起こる放出動態を再現する組織培養技術は利用不可能である。広範囲にわたってポリマー系を試験し、巨大な情報データベースをその安全のためにアーカイブする。本研究で有意な疼痛反応は予想されなかった。別の方法を助言されなかった。
全ての百分率は重量対重量(w/w)であり、全ての固有粘度(InV)は、dL/g単位である。この報告で明確にすべき点は、クエン酸オクトレオチドが酢酸オクトレオチド+クエン酸を示すことである。
(被験物質の識別表示)
1.(45%65/35PLG(InV0.36)および55%NMP)に懸濁した12%クエン酸オクトレオチド。
2.(50%85/15PLGH(InV0.25)および50%NMP)に懸濁した12%クエン酸オクトレオチド。
3.(25%85/15PLGH(InV0.25)+25% 85/15PLG(InV0.22)および50%NMP)に懸濁した12%クエン酸オクトレオチド。
4.(30%85/15PLGH(InV0.25)+20% 65/35PLG(InV0.36)および50%NMP)に懸濁した12%クエン酸オクトレオチド。
コントロール:適用せず。
製造者の情報
Figure 2008524235
(処方物の調製)
A.ポリマー溶液の調製
既知量の各ポリマー固体を20mLの各シンチレーションバイアルに秤量することによってポリマーストック溶液を調製した。既知量のNMPを各ポリマーに添加し、混合物をジャーミルに入れた。バイアルを一晩混合し、視覚的に透明なポリマー溶液を生成した。各溶液中のポリマーおよびNMPの重量を、以下の表にする。
Figure 2008524235
B.酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物の調製
酢酸オクトレオチドとクエン酸との混合物を、3.5006gの酢酸オクトレオチドおよび0.6595gのクエン酸を33mLのHPLC用水に溶解することによって調製した。全ての固体が溶解するまで溶液を撹拌した。上記で使用した重量は、オクトレオチドのクエン酸に対する1:1の比の計算値から導いた。溶液を−86℃で1時間凍結し、2日間凍結乾燥させた。2.4307gの酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物を40mLのシンチレーションバイアルに秤量することによって溶液を満たした薬物シリンジを調製した。約13.5gのHPLC用水をビーカーに秤量した。40mLバイアルを、秤の上におき、ゼロに合わせ(tared to zero)、13.4994gになるまでバイアルに水を添加した。
C.A−Bシリンジの調製
研究の各群のために7つのシリンジ対を調製した。各シリンジ対は、約635.5mgの処方物を含んでいた。Bシリンジ(薬物を含む)を、500mgの酢酸オクトレオチド+クエン酸充填溶液の1.25mL BDオスシリンジ(male syringe)へのピペッティングによって調製した。Bシリンジを、559.2mgのポリマーストック溶液の1mLメスシリンジ(female syringe)への秤量によって調製した。シリンジに秤量した各成分の量および各処方物中の酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物の重量%を以下に列挙する。
Figure 2008524235
(実験デザイン)
この84日研究では、処理群あたり30匹のラットを用いた120匹の雄ラットにおいて4つのATRIGEL(登録商標)処方物を試験した。0日目に、各動物に、約12mgのクエン酸オクトレオチドを含む適切なTAの100μL(およそ)のSC注射を、胸郭背側(DT)領域に1回行った。1、7、21、35、56、および84日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させ(5mLまで)、その後にCOによって安楽死させた。血漿オクトレオチドレベルを、ABC Laboratories,Inc.(Columbia,MO)のLC/MS/MSによって分析した。その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。
Figure 2008524235
(実験手順)
研究期間は84日間続いた。12.0mgのクエン酸オクトレオチドを使用した。一般的なイソフルラン麻酔下で、各ラットを、うつ伏せにし(sternal recumbency)、そのDT領域の毛を剃り、注射部位をイソプロパノールで拭き取った。各動物のDT領域に100μLの適切なTAを1回SC注射した。一連の研究中に、明白な毒性の徴候および任意の異常の存在(発赤、出血、腫脹、排泄物(discharge)、紫斑、およびTA排出が含まれる)について動物を観察した。投与時および終了時に体重を測定した。
1、7、21、35、56、および84日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた。採血後、各ラットをCOで安楽死させ、埋没物を回収した。試験部位の代表的な写真を撮り、埋没物の沈殿特性を報告した。埋没物を、乾燥したラベル付バイアルに入れた。本研究で平均および標準偏差のみを使用した。一連の本研究中にプロトコールを修正しなかった。
(結果と考察)
一連の研究中に記録され明白な毒性の所見により、0日目の各群のいくつかのケージで下痢が証明された。1日目に、群IIIおよびIVで軟便が認められた。試験部位の所見は、全ての群において主に7日目までTA部位がほとんど発赤および紫斑が認められた。全群のいくつかの動物が、2日目から6日目まで注射部位に黒色領域が認められ、28日目まで薄片状の痂皮が認められた。
表1−1および図1は、埋没物回収データを示す。データは、全群で、10.2%(群IV)〜30.2%(群III)の範囲の低いバーストが証明された。全処方物がオクトレオチドを段階的に放出し、群IIの放出が最も低かった(投与後84日目での総薬物負荷は88.6%)。低InVの群II(50%およびInV0.25)対群I(45%およびInV0.36)との高ポリマー負荷の組み合わせは、群II処方物の遅延放出に寄与し得る。
Figure 2008524235
群IVで使用したポリマーは、群Iで使用したポリマー(65/35 PLGH、InV0.36)と群II(85/15 PLGH、InV0.25)で使用したポリマーとの2:3の比での組み合わせであった。これらの3つの群の間の比較により、群IIが最も遅い放出速度を示し、群Iが最も速い放出速度を示すことが示された。興味深いことに、ブレンド群(群IV)の放出速度は、群IとIIとの間であり、1日目でのバーストが最も低かった。群IIとIIIとの間の比較により、85/15 PLGH(InV0.25)ゲルへの85/15 PLG(InV0.25)へのブレンドが処方物からのオクトレオチドの放出速度を増加させることが示唆された。
表1−2および図2は、群IおよびIIにおける各ラットのオクトレオチド血漿レベルを示す。第1日目に、群I(114.4ng/mL)および群II(176.1ng/mL)の平均血漿オクトレオチドCmaxに到達した。放出プロフィールが好ましいので、群IおよびIIのみを血漿分析のために選択した。
Figure 2008524235
(結論)
データは、群II(50% 85/15PLG(InV0.25)/50%NMPに懸濁した12%酢酸オクトレオチド)により、オクトレオチドの低バースト(18.4%)および低放出速度(84日目で88.6%放出)が得られることを証明した。全ての被験物質で1日目のバーストが低く、10.2%〜30.2%の範囲であった。群IV(85/15 PLGHと65/35PLGポリマーとのブレンドを使用して処方した12%オクトレオチド)は、最も低いバースト(10.2%)を示す一方で、85/15 PLGHとPLGポリマーとのブレンドを使用して処方した群IIIは、最も高いバーストを示した(30.2%)。全ての被験物質は、オクトレオチドの徐放を示し、群IIは最も遅い放出速度を示した(84日目で88.6%放出)。群IおよびIIの血漿オクトレオチド分析により、1日目(tmax)に最大血漿オクトレオチド濃度(Cmax)に到達し、その後に、比較的安定したレベルまで段階的に低下することが示された。Cmaxは、群IおよびIIでそれぞれ114.4ng/mLおよび176.1ng/mLであった。両群は、研究を通して、治療血漿レベル(0.3ng/mL)よりも高いレベルを維持した(P.Marbach,ら、“From Somatostatin to Sandostatin:Pharmacodymanics and Pharmacokinetics”,Metabolism,1992,41(9,supp.2),pp.7−10)。1日目の全群での組織の刺激は最小から軽度であり、21日目まで刺激が減少した。この研究結果は、ポリマー負荷が高く且つ固有粘度の低いポリマー賦形剤を使用したATRIGEL(登録商標)オクトレオチド処方物によってオクトレオチドの許容可能な3ヶ月送達が得られることを示す。これらの実施例で明確にすべき点は、クエン酸オクトレオチドが酢酸オクトレオチド+クエン酸を示すことである。
(実施例2)
雄ラットにおける単回皮下投与後の6つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の85日放出動態の評価。
(要約)
本研究の意図および第1の目的は、埋没物の回収およびその後の逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)を使用して、ラットに皮下(SC)投与した6つの改変ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の85日放出動態を評価することであった。第2の目的は、さらに可能なオクトレオチドの血漿分析のために採血することであった。最後の目的は、組織反応について試験部位を巨視的に評価し、被験物質(TA)の特徴を試験することであった。
この85日研究では、処理群あたり30匹のラットを用いた180匹の雄ラットにおいて6つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を試験した。0日目に、群I、III、IV、V、およびVIに、約9.6mgのオクトレオチドを含む適切なTAの100μL(およそ)のSC注射を、胸郭背側(DT)領域に1回行った。群IIに、約12mgのオクトレオチドを含む処方物の100μL(およそ)のSC注射をDT領域に1回行った。1、7、21、35、56、および85日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた(5mLまで)。採血後、各動物をCOによって安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。血漿オクトレオチドレベルを、ABC Laboratories(Columbia,MO)の液体クロマトグラフィ/質量分析/質量分析(LC/MS/MS)によって分析した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。
データは、85/15PLGH(InV0.25)ポリマー溶液への65/35PLG(InV0.36)のブレンドを使用して調製したATRIGEL(登録商標)送達系(群III、IV、およびV)により許容可能に低い初期バーストおよび85日間にわたるオクトレオチドの放出速度が得られることを示す。しかし、ブレンド比は、これらの群の間の放出にほとんど影響を及ぼさない。逆に、85/15PLGH(InV0.25)への50/50PLGH(InV0.30)のブレンドにより、オクトレオチドの放出速度が非常に増加した(群VI)。12%(群I)から15%(群II)までの薬物負荷の増加によって類似の放出プロフィールが得られる一方で、群IIは群I(27.2±3.6%)に対して1日目でわずかに低いバーストを示し(20.7±2.1%)、35日目までにより低い放出を示し、さらに、35日後により速いオクトレオチドの放出速度を示した。
群Iおよび群IIの薬物動態(PK)分析により、投与から24時間後にオクトレオチドの血漿濃度が最大レベル(Cmax)に到達することが示された。血漿オクトレオチドレベルは、最初の21日間で減少し、その後に、比較的安定したレベルで維持された。両群は、研究を通して、治療血漿オクトレオチドレベル(0.3ng/mL)(Marbach,P.,Briner U.,Lemaire M.,Schweitzer A.and Terasaki T.,From Somatostatin to Sandostatin:Pharmacodynamics and Pharmacokinetics,Metabolism,Vol 41,No.9,Suppl.2(September),1992:pp7−10)よりも高かった。群Iの血漿レベルは、1日目にCmax(149.8±29.8ng/mL)に到達し、85日目に最も低いオクトレオチドレベル(3.4±0.7ng/mL)が認められた。群IIの血漿レベルは、1日目にCmax(141.4±58.6ng/mL)に到達し、85日目に最も低いオクトレオチドレベル(3.5±0.3ng/mL)が認められた。群I〜IIIおよびVI由来の1匹または2匹の動物で1日目に最小紅斑が認められ、群I〜IVのいくつかの動物に埋没物上の皮膚にわずかな発赤が認められた。7日目に、群IIおよびIIIの1匹の動物および群IVの5匹のラットの埋没物部位に外部痂皮が認められた。
(序論)
オクトレオチドは、Novartisから販売されている合成8アミノ酸ペプチドである。オクトレオチドは、主に、成長ホルモンの分泌過多に起因する先端巨大症の治療に適用されており、転移カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド産生腫瘍の症状の制御に適用されている。現在の臨床処方物は、毎日の皮下注射剤(Sandostatin(登録商標))または1回の1ヶ月徐放性筋肉内デポー(SandostatinLAR(登録商標)(長期作用性放出))として投与される。1ヶ月デポー製品は、薬物がグルコースおよびポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)(PLG)ポリマーから調製されたミクロスフェア中にカプセル化された微粒子処方物である。
ATRIGEL(登録商標)薬物送達系は、液体として注射することができる生分解性ポリマー送達系である。処方物の注射の際、ポリマーは固化して薬物をカプセル化する。生分解過程が開始されるにつれて、薬物はゆっくりと放出される。この送達系型からの薬物の放出速度を、ポリマーの型および分子量ならびに構成された製品の薬物負荷によって制御することができる。したがって、系を、患者の必要を満たすように調整することができる。
(材料と方法)
これは、ラットにSC投与した6つの改変ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の85日放出動態を決定するためにデザインされたin vivoでの研究における単回用量である。全ての百分率は重量対重量(w/w)であり、全ての固有粘度(InV)は、dL/g単位である。
被験物質の識別表示
1.12%オクトレオチド+クエン酸を含む(50%85/15PLGH(InV0.25)および50%NMP)。
2.15%オクトレオチド+クエン酸を含む(50%85/15PLGH(InV0.25)および50%NMP)。
3.12%オクトレオチド+クエン酸を含む(35%85/15PLGH(InV0.25)+20%65/35PLG(InV0.36)および50%NMP)。
4.12%オクトレオチド+クエン酸を含む(35%85/15PLGH(InV0.25)+15%65/35PLG(InV0.36)および50%NMP)。
5.12%オクトレオチド+クエン酸を含む(20%85/15PLGH(InV0.25)+30%65/35PLG(InV0.36)および50%NMP)。
6.12%オクトレオチド+クエン酸を含む(30%85/15PLGH(InV0.25)+20%50/50PLGH(InV0.30)および50%NMP)。
コントロール:適用せず。
(製造者の情報)
Figure 2008524235
(処方物の調製)
A.ポリマー溶液の調製
既知量の各ポリマー固体を20mLの各シンチレーションバイアルに秤量することによってポリマーストック溶液を調製した。既知量のNMPを各ポリマーに添加し、混合物をジャーミルに入れた。バイアルを一晩混合し、視覚的に透明なポリマー溶液を生成した。ポリマー溶液を全てγ照射した。
B.酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物の調製
酢酸オクトレオチドとクエン酸との混合物を、3.5006gの酢酸オクトレオチドおよび0.6595gのクエン酸を33mLのHPLC用水に溶解することによって調製した。全ての固体が溶解するまで溶液を撹拌した。上記で使用した重量は、オクトレオチドのクエン酸に対する1:1の比の計算値から導いた。溶液を、7つの個別のシンチレーションバイアルに分割し、−86℃で1時間凍結し、2日間凍結乾燥させた。
C.A−Bシリンジの調製
本研究において、群IIのために7つのシリンジ対を調製し、残りの群のために6つのシリンジ対を調製した。「B」シリンジ(オスシリンジ)を、ストック溶液を1.25mLのBDシリンジに秤量し、その後に24時間凍結乾燥させることによって調製した。「A」シリンジ(メスシリンジ)を、ポリマー溶液を1mLメスシリンジに秤量することによって調製した。オクトレオチドストック溶液を、3.8999gの酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物を容量フラスコに秤量し、その後にHPLC水で25mLにすることによって調製した。オクトレオチドストック溶液の最終濃度は、156mg/mLであった。群IIにおける各オスシリンジは、112.5mg薬物混合物を含んでいた。残りの群は、各オスシリンジ中に102.0mgを含んでいた。群IIにおける各メスシリンジは、637.5mgのポリマーゲルを含んでおり、他の群は、748.0mgのポリマーゲルを含んでいた。
(実験デザイン)
この85日研究では、処理群あたり30匹のラットを用いた180匹の雄ラットにおいて6つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を試験した。0日目に、群I、III、IV、V、およびVIに、約9.6mgのオクトレオチドを含む適切なTAの100μL(およそ)のSC注射を、胸郭背側(DT)領域に1回行った。群IIに、約12mgのオクトレオチドを含む処方物の100μL(およそ)のSC注射を、DT領域に1回行った。1、7、21、35、56、および85日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた(5mLまで)。採血後、各動物をCOによって安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。血漿オクトレオチドレベルを、ABC Laboratories(Columbia,MO)のLC/MS/MSによって分析した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。
Figure 2008524235
(実験手順)
研究期間は85日間続いた。9.6mgまたは12.0mgのオクトレオチドを使用した。一般的なイソフルラン麻酔下で、各ラットを、うつ伏せにし、そのDT領域の毛を剃り、注射部位をイソプロパノールで拭き取った。各動物のDT領域に100μLの適切なTAを1回SC注射した。一連の研究中に、明白な毒性の徴候および任意の異常の存在(発赤、出血、腫脹、排泄物、紫斑、およびTA排出が含まれる)について動物を観察した。投与時および終了時に体重を測定した。
1、7、21、35、56、および85日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた。採血後、各ラットをCOで安楽死させ、埋没物を回収した。試験部位の代表的な写真を撮り、埋没物の沈殿特性を報告した。埋没物を、乾燥したラベル付バイアルに入れた。
本研究で平均および標準偏差を使用した。一連の本研究中にプロトコールを修正しなかった。
(結果と考察)
一連の研究中に記録され明白な毒性の所見により、1日目の全群で軟便が証明された。試験部位の所見は、全ての群において主に7日目までTA部位に発赤および紫斑が認められ、少数の腫脹が認められた。動物は、主に2日目から14日目まで注射部位に薄片状の痂皮が認められた。
表2−1は、各測定点で各処方物から放出されたオクトレオチドの比率を示す。データは、全被験物質が1日目に15.6%〜27.5%の範囲の低いバーストを示す一方で、群I〜Vが85日間にわたる研究にわたってオクトレオチドを徐放することが証明された。全処方物の平均オクトレオチド放出を、図3に示す。
Figure 2008524235
Figure 2008524235
群IおよびIIの血漿オクトレオチドレベルを、分析のために選択した。群IおよびIIの血漿オクトレオチドレベルを分析し、表2−2に要約した。これらの2群の平均血漿レベルを、図4に示す。
Figure 2008524235
(結論)
本研究を、85/15PLGHのみを含むATRIGEL(登録商標)処方物、3つの異なるレベル(12、13.5、および15%)の65/35PLGと処方物とのブレンド、および50/50PLGHと処方物とのブレンドからのオクトレオチド放出と比較した。85/15PLGH処方物中の12%および15%の2つの異なる薬物負荷も比較した。埋没物回収データは、全ての処方物が1日目に15.6%〜27.5%の範囲の許容可能な低い初期バーストを有することを示した。15% 65/35PLG(群IV)とのポリマーブレンドは、最も低い初期バースト(15.6%)を示すにもかかわらず、3つの65/35ブレンドの間で有意な相違は認められないようであった。薬物負荷が異なる85/15PLGHおよび50/50PLGHブレンドの処方物も類似の初期バースト値を示すが、65/35PLGブレンドよりもわずかに高い。全ての被験物質は、85日間にわたるオクトレオチドの徐放を示し、12%および15%の薬物を負荷した85/15PLGH処方物と65/35PLGブレンドとの間で全累積放出速度がわずかに異なるのみである。しかし、50/50PLGHを含む処方物(群VI)は、他の処方物よりも高い全放出速度を示した。この効果は、疎水性がより高く、且つ分解がより遅い65/35PLG材料と比較してより親水性が高く且つ分解が速い50/50PLGHポリマーに基づいて、いくらかの範囲で予想された。
節約のために、群Iおよび群IIの動物のみについて血漿オクトレオチド濃度分析を行った。データは、投与から24時間以内に最大血漿オクトレオチド濃度(Cmax)に到達することを示した。血漿オクトレオチド濃度は、7日目までに有意に減少し、21日目〜85日目まで比較的安定なレベルを維持した。2つの処方物は、研究を通してほとんど同一の血漿濃度を示し、このことは、埋没物回収放出データの類似性を反映している。
巨視的評価によって判断した組織刺激は、全群について無しから最小であった。群I、II、III、およびVI由来の1匹または2匹の動物は、1日目に最小の紅斑が生じ、群I〜IV中のいくつかの動物の埋没物上の皮膚にわずかな発赤が認められた。7日目に、群IIおよびIIIの1匹の動物および群IVの5匹のラットの埋没物部位に外部痂皮が認められた。
要するに、本研究の結果は、酢酸オクトレオチド/クエン酸塩を含む85/15PLGH ATRIGEL(登録商標)処方物への異なるレベルの65/35PLGポリマーのブレンドが放出特性にほとんど影響を与えないことを示す。しかし、同一の処方物へのより親水性が高く且つ分解が速い50/50PLGHポリマーのブレンドにより、オクトレオチド放出がより速くなる。また、12%〜15%の薬物混合物の濃度の変化は、85/15PLGHポリマーを含む処方物の放出特性に大きな影響を与えないようであった。
(実施例3)
オスラットにおける単回皮下投与後の3つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の99日放出動態の評価。
(要約)
本研究の意図および第1の目的は、埋没物の回収およびその後の逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)を使用して、ラットに皮下(SC)投与した3つの改変ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の99日放出動態を評価することであった。第2の目的は、オクトレオチドの血漿分析のために採血することであった。第3の目的は、組織反応について試験部位を巨視的に評価し、被験物質(TA)の特徴を試験することであった。
この99日研究では、処理群あたり45匹のラットを用いた135匹の雄ラットにおいて3つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を試験した。0日目に、約12mg、13.5mg、または15mgのオクトレオチドを含む処方物の100μL(およそ)のSC注射を、各ラットの胸郭背側(DT)領域に1回行った。1、4、7、14、28、60、75、90、および99日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた(5mLまで)。採血後、各動物をCOによって安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。血漿を、ABC Laboratories(Columbia,MO)の液体クロマトグラフィ/質量分析/質量分析(LC/MS/MS)によってオクトレオチド含有量について分析した。
データは、全ての被験物質が1日目に10%未満のバーストを示し、90日目に類似の遅延放出(slow release)を示すことを証明している。28日目以降、群I(50% 85/15PLGH(InV0.27)および50%NMP)に懸濁した12%酢酸オクトレオチド+クエン酸)は、最も遅い放出を示した。他方では、群III(50% 85/15PLGH(InV0.27)および50%NMP)に懸濁した15%酢酸オクトレオチド+クエン酸)により、最も速いオクトレオチドの放出速度が証明された。全ての群は、1日目に最大血漿オクトレオチド濃度(Cmax)に到達した。群IIおよびIIIは、群Iに対して1日目の血漿オクトレオチドレベルがわずかに高かった(19.0±8.2ng/mLに対してそれぞれ24.6±5.6ng/mL、23.7±9.6ng/mL)。全群は、研究を通して、治療血漿オクトレオチドレベル(0.3ng/mL)(Marbach,P.,Briner U.,Lemaire M.,Schweitzer A.and Terasaki T.,From Somatostatin to Sandostatin:Pharmacodynamics and Pharmacokinetics,Metabolism,Vol 41,No.9,Suppl.2(September),1992:pp7−10)よりも高かった。組織刺激は最小であり、いくつかの症例で14日目まで最小の組織刺激が認められた。
(序論)
オクトレオチドは、Novartisから販売されている合成8アミノ酸ペプチドである。オクトレオチドは、主に、成長ホルモンの分泌過多に起因する先端巨大症の治療に適用されており、転移カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド産生腫瘍の症状の制御に適用されている。現在の臨床処方物は、毎日の皮下注射剤(Sandostatin(登録商標))または1回の1ヶ月徐放性筋肉内デポー(SandostatinLAR(登録商標)(長期作用性放出))として投与される。1ヶ月デポー製品は、薬物がグルコースおよびポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)(PLG)ポリマーから調製されたミクロスフェア中にカプセル化された微粒子処方物である。
ATRIGEL(登録商標)薬物送達系は、液体として注射することができる生分解性ポリマー送達系である。処方物の注射の際、ポリマーは固化して薬物をカプセル化する。生分解過程が開始されるにつれて、薬物はゆっくりと放出される。この送達系型からの薬物の放出速度を、ポリマーの型および分子量ならびに構成された製品の薬物負荷によって制御することができる。したがって、系を、患者の必要を満たすように調整することができる。
(材料と方法)
これは、ラットにSC投与した3つの改変ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の99日放出動態を決定するためにデザインされたin vivoでの研究における単回用量である。全ての百分率は重量対重量(w/w)であり、全ての固有粘度(InV)は、dL/g単位である。
被験物質の識別表示
1.(50% 85/15PLGH(InV0.27)および50%NMP)に懸濁した12%クエン酸オクトレオチド。
2.(50% 85/15PLGH(InV0.27)および50%NMP)に懸濁した13.5%クエン酸オクトレオチド。
3.(50%85/15PLGH(InV0.27)および50%NMP)に懸濁した15%クエン酸オクトレオチド。
コントロール被験物質:本研究でコントロールは使用していない。
(製造者の情報)
Figure 2008524235
(処方物の調製)
A.ポリマー溶液の調製
既知量の各ポリマー固体を20mLの各シンチレーションバイアルに秤量することによってポリマーストック溶液を調製した。既知量のNMPを各ポリマーに添加し、混合物をジャーミルに入れた。視覚的に透明なポリマー溶液が生成されるまで、バイアルを一晩混合した。ポリマー溶液を全て(γ)照射した。
B.酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物の調製
酢酸オクトレオチドとクエン酸との混合物を、3.5002gの酢酸オクトレオチドおよび0.6604gのクエン酸を30mLのHPLC用水に溶解することによって調製した。全ての固体が溶解するまで溶液を撹拌した。上記で使用した重量は、オクトレオチドのクエン酸に対する1:1の比の計算値から導いた。溶液を、5つの個別のシンチレーションバイアルに分割し、−86℃で1時間凍結し、2日間凍結乾燥させた。
C.A−Bシリンジの調製
各群IIのために7つのシリンジ対(各対あたり960mgの処方物)を使用した。「B」シリンジ(オスシリンジ)を、オクトレオチドストック溶液を1.25mLのBDシリンジにピペッティングし、その後に24時間凍結乾燥させることによって調製した。Aシリンジ(メスシリンジ)を、ポリマー溶液を1mLメスシリンジに秤量することによって調製した。
(実験デザイン)
この99日研究では、処理群あたり45匹のラットを用いた135匹の雄ラットにおいて3つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を試験した。0日目に、約12mg、13.5mg、または15mgのオクトレオチドを含む処方物の100μL(およそ)のSC注射を、各ラットのDT領域に1回行った。1、4、7、14、28、60、75、90、および99日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた(5mLまで)。採血後、各動物をCOによって安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。血漿を、ABC Laboratories(Columbia,MO)のLC/MS/MSによってオクトレオチド含有量について分析した。
Figure 2008524235
(実験手順)
研究期間は99日間続いた。12mg、13.5mg、または15mgのオクトレオチドを使用した。一般的なイソフルラン麻酔下で、各ラットを、うつ伏せにし、そのDT領域の毛を剃り、注射部位をイソプロパノールで拭き取った。各動物のDT領域に100μLの適切なTAを1回SC注射した。一連の研究中に、明白な毒性の徴候および任意の異常の存在(発赤、出血、腫脹、排泄物、紫斑、およびTA排出が含まれる)について動物を観察した。投与時および終了時に体重を測定した。
1、4、7、14、28、60、75、90、および99日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた。採血後、各ラットをCOで安楽死させ、埋没物を回収した。試験部位の代表的な写真を撮り、埋没物の沈殿特性を報告した。埋没物を、乾燥したラベル付バイアルに入れた。本研究で平均および標準偏差を使用した。
(プロトコールの修正)
一連の本研究中に2つのプロトコールの修正を行った。本プロトコールでは、14、28、60、および90日目に、組織病理学的評価のために埋没物周辺の約2cm×2cmの皮膚領域を回収するという手順であった。最終プロトコールに示すように、不注意で14日目に埋没物周辺の皮膚組織サンプルを回収しなかった。28、60、および90日目に、組織サンプルを回収し、処理した。第2の修正では、組織学的スライドを、組織病理学のために分析しなかった。組織回収手順によって埋没物周辺の脂肪組織を除去し、それにより、病理学者は、脂肪組織の障害による皮膚組織を分析することができなかった。明確にすべき点は、最終プロトコールに示すように、全被験物質を0.25よりもむしろ0.27の固有粘度を使用して処方したことである。これらの変更の結果として、研究に悪影響は及ぼされなかった。
(結果と考察)
一連の研究中に明確な毒性は特に認められなかった。試験部位の所見は、全ての群において2日目までTA部位にいくつかの発赤および紫斑が認められた。
表3−1は、各処方物から放出されたオクトレオチドの比率を示す。最初のバースト(1日目のオクトレオチドの放出)は、群I、II、およびIIIでそれぞれ6.1%、6.3%、および6.9%であった。全ての処方物は、99日目までに約95%〜97%のオクトレオチドを放出した。全処方物の平均オクトレオチド放出を、図5に示す。
Figure 2008524235
表3−2は、全群の血漿オクトレオチドレベルを要約している。平均血漿レベルを、図6に示す。全群は、1日目にCmaxに到達した。群I〜IIIのCmaxは、それぞれ19.0±8.2ng/mL、24.6±5.6ng/mL、および23.7±9.6ng/mLである。群I〜IIIの濃度曲線下面積(AUC0〜99日目)は、それぞれ、818.7ng・日/mL、654.65ng・日/mL、および893.44ng・日/mLである。群I〜IIIについての用量正規化AUC0〜99日目は、それぞれ、65.06、53.22、および54.51ng・日/mLである。
Figure 2008524235
Figure 2008524235
(結論)
本研究を、異なるポリマー供給者から得たわずかに分子量が高い85/15PLGHから調製したATRIGEL(登録商標)系中の3つの異なる濃度(12、13.5、および15%w/w)の酢酸オクトレオチド/クエン酸を含む処方物の放出特性を比較した。埋没物回収データは、全ての処方物が1日目に6.1%〜6.9%の範囲の非常に低い初期バーストを有することを示した。これらは、酢酸オクトレオチド/クエン酸混合物を含む任意のATRIGEL(登録商標)処方物を使用して今日までに得た最も低い初期バースト値である。3つの処方物の間の相違は非常に小さいが、薬物濃度が高いほど初期バーストはわずかに高くなる傾向があるようである。28日目頃まで、3つの処方物の累積放出速度の相違もほとんどない。28日目〜60日目に、処方物の薬物混合物濃度がより高いほど、全薬物放出速度が速くなり、特に、群IIIでは、15%酢酸オクトレオチド/クエン酸塩を含む処方物で全薬物放出速度が速くなるようである。しかし、60日目に、この処方物の累積放出は90.6%に到達し、速度は減少し始めた。これらのデータにより、薬物混合物濃度が高いほど、薬物が溶解して埋没物から放出されるので、基質がより多孔質になることが示唆される。埋没物が多孔質なほど、約90%の薬物が放出されるまでの残存薬物の放出は速くなる。
血漿分析由来のデータは、3つ全ての処方物で最大血漿オクトレオチド濃度(Cmax)が1日目に達成されることを示した。しかし、3つの処方物の初期薬物バーストが非常に低いので、3つ全ての処方物のCmax値は認められた最も低い濃度であり、それにより、任意のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物と掛け離れている。値は、19.0±8.2ng/mL〜24.6±5.6ng/mLの範囲であり、3つの処方物で大きな相違はなかった。血漿オクトレオチドレベルは、4日目までに減少し、60日目まで比較的安定なレベルを維持した。この後、埋没物回収データで認められた放出速度の減少から予想されるように、3つ全ての処方物は、99日目まで血漿オクトレオチド濃度が段階的に減少した。
巨視的評価によって判断した組織刺激は、全群について無しから最小であった。認められたほとんどの刺激は1日目であり、14日目までに極端な例がいくつか存在した。
要するに、本研究の結果は、12%〜15%酢酸オクトレオチド/クエン酸混合物を含む50% 85/15PLGH(0.27InV)および50%NMP溶液を含むATRIGEL(登録商標)処方物によって低い初期薬物バースト(6〜7%)および99日間にわたるオクトレオチドの徐放が得られることを示す。処方物中の薬物混合物が高いほど薬物の全放出がより速くなるようである。しかし、Absorbable Polymers Technologies,Inc.の分子量がわずかにより高い85/15PLGHポリマーを有する全処方物から非常に望ましい放出特性が得られる。
(実施例4)
雄ウサギにおける単回皮下注射後のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドの90日の薬物動態研究および薬力学研究。
(要約)
本研究の意図は、ウサギにおける皮下(SC)注射後の3ヶ月ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の薬物放出プロフィール、薬物動態(PK)、および薬力学(PD)を決定することであった。本研究の主な目的は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の単回注射後のウサギ血漿中のオクトレオチドの90日PKおよびPDを決定することであった。第2の目的は、埋没物の回収およびその後の逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)を使用して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドの放出動態を決定することであった。第3の目的は、種々の測定点でのウサギ血清由来のインスリン様成長因子−1(IGF−1)レベルを決定することであった。さらなる目的は、組織反応について試験部位を巨視的に評価し、被験物質(TA)の特徴を試験することであった。
この90日研究では、5匹のオスウサギにおいて1つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を試験した。0日目に、約90mgのオクトレオチドを含む処方物の0.86mL(およそ)のSC注射を、各ウサギの胸郭背側(DT)領域に1回行った。−7、−2、0、(投与前)、0.3、1、7、14、21、28、43、49、59、および76日目に、5匹のウサギの耳動脈の中央または耳静脈の側方から出血させた(6mLまで)。血清および血漿を抽出し、IGF−1分析およびオクトレオチド分析によってそれぞれ分析した。90日目に、各動物を麻酔し、心穿刺によって出血させた。採血後、各動物を安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。血漿オクトレオチドレベルを、ABC Laboratories(Columbia,MO)の液体クロマトグラフィ−質量分析/質量分析(LC−MS/MS)によって分析した。血清IGF−1レベルを、Esoterix Center for Clinical Trials(Calabasas Hills,CA)の競合結合放射免疫アッセイ(RIA)によって測定した。
ウサギにおける最大平均血清オクトレオチドレベル(Cmax)は、投与から24時間後に113.4±165.2ng/mLに到達した。血漿オクトレオチドレベルは、76日目まで17.5±3.6ng/mL超で比較的安定した状態を維持した。90日目まで、血漿オクトレオチドレベルは、2.5±.2ng/mLに減少した。投与前(109.7±33.7ng/mL)から投与から7時間後(70.6±34.3ng/mL)までIGF−1レベル実質的抑制(35.6%)が認められた。42日目に最も低いIGF−1レベル(55.2±20.3ng/mL)が認められた。一連の研究中に肉眼的所見からいかなる組織刺激も認められなかった。要約すると、ウサギ血漿オクトレオチドは、研究を通して、0.3ng/mLを超える治療レベルを維持した(Marbachら、From Somatostatin to Sandostatin:Pharmacodynamics and Pharmacokinetics,Metabolism,Vol 41,No.9,Suppl.2(Sept),1992:pp7−10)。これに対して、IGF−1レベルは抑制され、この投薬量での有効性が示された。
(序論)
オクトレオチドは、Novartisから販売されている合成8アミノ酸ペプチドである。オクトレオチドは、主に、成長ホルモンの分泌過多に起因する先端巨大症の治療に適用されており、転移カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド産生腫瘍の症状の制御に適用されている。現在の臨床処方物は、毎日の皮下注射剤(Sandostatin(登録商標))または1回の1ヶ月徐放性筋肉内デポー(SandostatinLAR(登録商標)(長期作用性放出))として投与される。1ヶ月デポー製品は、薬物がグルコースおよびポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)(PLG)ポリマーから調製されたミクロスフェア中にカプセル化された微粒子処方物である。
ATRIGEL(登録商標)薬物送達系は、液体として注射することができる生分解性ポリマー送達系である。処方物の注射の際、ポリマーは固化して薬物をカプセル化する。生分解過程が開始されるにつれて、薬物はゆっくりと放出される。この送達系型からの薬物の放出速度を、ポリマーの型および分子量ならびに構成された製品の薬物負荷によって制御することができる。したがって、系を、患者の必要を満たすように調整することができる。
(材料と方法)
これは、ウサギにSC投与した1つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の90日放出動態、PK、およびPDを決定するためにデザインされたin vivoでの研究における単回用量である。固有粘度(InV)は、dL/g単位であり、処方物を、A/B混合によって混合した。
被験物質の識別表示:1.90mgオクトレオチドを含む(50% 85/15PLGH(InV0.27)/50%NMP);コントロール被験物質:本研究でコントロールは使用していない。
Figure 2008524235
(処方物の調製)
既知量のポリマー固体を20mLの各シンチレーションバイアルに秤量することによってポリマーストック溶液を調製した。既知量のNMPをポリマーに添加し、混合物をジャーミルに入れた。バイアルを少なくとも一晩混合し、視覚的に透明なポリマー溶液を生成した。ポリマー溶液をγ照射した。
A.酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物の調製
酢酸オクトレオチドとクエン酸との混合物を、1.6000gの酢酸オクトレオチドおよび0.3014gのクエン酸を16.32mLのHPLC用水に溶解することによって調製した。全ての固体が溶解するまで溶液を撹拌した。上記で使用した重量は、オクトレオチドのクエン酸に対する1:1の比の計算値から導いた。溶液を、4つの個別のシンチレーションバイアルに分割し、−86℃で1時間凍結し、2日間凍結乾燥させた。
B.A−Bシリンジの調製
10のシリンジ対(各対あたり899mgの処方物)を調製した。シリンジ対1−5を用いてウサギに注射した。Bシリンジ(オスシリンジ)を、から約1.000gのオクトレオチドストック溶液(13.5%オクトレオチド粉末)を3mLシリンジに秤量し、その後に48時間凍結乾燥させることによって調製した。Aシリンジ(メスシリンジ)を、〜約764.3mgのポリマー溶液を3mLメスシリンジに秤量することによって調製した。
(実験デザイン)
この90日研究では、5匹の雄ウサギにおいて1つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を試験した。0日目に、約90mgのオクトレオチドを含む処方物の0.86mL(およそ)のSC注射を、各ウサギの胸郭背側(DT)領域に1回行った。−7、−2、0、(投与前)、0.3、1、7、14、21、28、43、49、59、および76日目に、5匹のウサギの耳動脈の中央または耳静脈の側方から出血させた(6mLまで)。血清および血漿を抽出し、IGF−1分析およびオクトレオチド分析によってそれぞれ分析した。90日目に、各動物を麻酔し、心穿刺によって出血させた。採血後、各動物を安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。血漿オクトレオチドレベルを、ABC Laboratories(Columbia,MO)のLC/MS/MSによって分析した。血清IGF−1レベルを、Esoterix Center for Clinical Trials(Calabasas Hills,CA)の競合結合放射免疫アッセイ(RIA)によって測定した。
Figure 2008524235
(実験手順)
研究期間は90日間続いた。90mgのオクトレオチドを使用した。一般的なイソフルラン麻酔下で、各ウサギを、うつ伏せにし、そのDT領域の毛を剃り、注射部位をイソプロパノールで拭き取った。各動物のDT領域に0.86mL(およそ)のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドを1回SC注射した。一連の研究中に、明白な毒性の徴候について動物を観察した。0〜7日目、14、21、28、および42日目に、任意の異常の存在(発赤、出血、腫脹、排泄物、紫斑、およびTA排出が含まれる)について動物を観察した。採血時(0.3日目を除く)および終了時に体重を測定した。
採血前にウサギを約12時間絶食させた。採血直前に、中央の頭蓋背側領域への0.2mg/kgのマレイン酸アセプロマジンのSC投与によってウサギを落ち着かせた。−7、−2、0、(投与前)、0.3、1、7、14、21、28、43、49、59、および76日目に、耳動脈の中央または耳静脈の側方から血清分離管(〜約2mLの血液)およびヘパリンナトリウム管(〜約4mLの血液)に採血した。血清を抽出し、凍結し、IGF−1分析のためにEsoterix Endocrinologyに輸送した。血漿を抽出し、凍結し、オクトレオチド分析のためにABC Laboratoriesに輸送した。90日目に、各動物を麻酔し、心穿刺によって出血させた。採血後、各ラットを安楽死させ、秤量し、埋没物を回収した。試験部位の代表的な写真を撮り、埋没物の沈殿特性を報告した。埋没物を、乾燥したラベル付バイアルに入れた。埋没物周辺の皮膚組織サンプルを回収した。本研究で平均および標準偏差を使用した。
(結果と考察)
一連の研究中の明確な毒性および試験部位の所見は、注目されるものではなかった。処方物の標的注射体積は、860μL(0.86mL)であった。注射重量は、759.0μL〜782.7μLの範囲であった。表4−1は、90日目の埋没物回収データを反映している。データは、ウサギに投与したオクトレオチドの1.7%が、投与から90日間デポー中に維持されることを示した。
Figure 2008524235
表4−2は、約90mgのオクトレオチドを投与された5匹のウサギの血漿オクトレオチド濃度を含む。定量限度(BQL:0.5ng/mLオクトレオチド)未満でアッセイされた血漿オクトレオチドレベルを、0ng/mLのオクトレオチド濃度に割り当てた。平均血漿濃度は、投与から24時間後に最大(113.4±165.2ng/mL)に到達し、その後76日目まで17.5±3.6ng/mL超で残存した。血漿オクトレオチドレベルは、90日目に2.5±2.2ng/mLに減少した。濃度曲線下面積(AUC0〜90)は、2518.6ng・日/mLであり、用量正規化AUC0〜90は、27.98ng・日/mLである。各血漿濃度および平均血漿濃度を、図7に示す。
Figure 2008524235
各血清IGF−1データおよび平均血清IGF−1データを、表4−3に列挙し、図8にグラフ化している。投与前IGF−1レベルは、111.6±30.2ng/mL(−7日目)、101.0±38.5ng/mL(−2日目)、および114.6±38.1ng/mL(0日目)であった。平均投与前IGF−1レベルは、109.7±33.69ng/mLである。平均IGF−1レベルは、投与から7時間後に70.6±34.3ng/mLに減少し、42日目に最も低いIGF−1レベル(55.2±20.3ng/mL)に到達した。IGF−1レベルは、76日目まで80.8±14.7ng/mL未満に維持され(投与前レベルに対して26.3%抑制)、その後、90日目に105.8±22.1ng/mLにゆっくり増加した。概して、血清IGF−1レベルは、投与から7時間後に大幅に低下し、研究を通して抑制されたままであった。
Figure 2008524235
図9は、平均ウサギPKデータとPDデータとの間の相関関係を示す。90日間の研究を通して、ウサギ血漿オクトレオチドレベルは、0.3ng/mL超(治療レベル)に維持された。これに対して、IGF−1レベルは抑制され、この投薬量での有効性が示された。
(結論)
PKデータは、初期に薬物が処方物からバーストし、その後90日間徐放することを示した。全動物において1日目に最大(113.4±165.2)血漿オクトレオチド濃度(Cmax)が記録された。7日目から76日目まで、血漿オクトレオチド濃度は、17.5〜31.9ng/mLの範囲の比較的安定なレベルが得られた。しかし、90日目まで、血漿オクトレオチド濃度は2.5±2.2ng/mLの平均値まで減少し、このことは、放出速度の減少が可能であることを示す。
埋没物回収データは、ウサギに投与したオクトレオチドのたった1.7%しか投与から90日間デポー中に維持されないことを示した。この埋没物中の残存薬物レベルの低さは、研究終了時に得たより低い血漿オクトレオチドレベルと相関する。
個別および平均の血漿IGF−1濃度についてのデータは、最初の7日以内にIGF−1レベルが実質的に抑制され、28日目に最大抑制が達成されるまで段階的に増加することを示す。しかし、IGF−1レベルは56日目までゆっくり増加し始め、90日目までに投与前レベルに戻った。本研究については、平均オクトレオチド濃度(PK)とIGF−1レベル(PD)とが相関するようであった。血漿IGF−1濃度は、処方物の投与後急激に減少し、高い血漿オクトレオチドレベルが得られた。本研究において血漿オクトレオチド濃度が減少した後、IGF−1レベルが増加し始め、このことは、2パラメーター間の良好な相関関係を示す。
90日目の巨視的評価によっていかなる組織刺激も認められなかった。さらに、一連の研究中に組織刺激の肉眼的所見は認められなかった。
要するに、本研究の結果は、ウサギにSC注射した場合、12%酢酸オクトレオチド/クエン酸混合物を含む50% 85/15PLGH(0.27InV)および50%NMP溶液を含むATRIGEL(登録商標)処方物により、オクトレオチドが90日間徐放されることを示す。IGF−1データは、投与前濃度と比較して投与後レベルが実質的に減少しているので、放出オクトレオチドが生物学的に活性であることを示す。しかし、90日目までの投与前の値へのIGF−1の回復は、ウサギモデルにおいて有効性を維持するためには、より高い濃度のオクトレオチドがより後期に必要であり得ることを示す。
(実施例5)
雄ラットにおける単回皮下注射後のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の21日間の放出および吸収研究。
(要約)
本研究の意図は、ラットにおける皮下(SC)投与された種々のポリマーおよび溶媒を含む5つのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の1日目および21日目の放出動態を評価することであった。主な目的は、埋没物の回収およびその後の逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)を使用して、5つの改変ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドの1日目および21日目の放出プロフィールを決定することであった。第2の目的は、組織反応について試験部位を巨視的に評価し、被験物質(TA)の特徴を試験することであった。
この21日研究では、処理群あたり10匹のラットを用いた50匹の雄ラットにおいて5つのATRIGEL(登録商標)処方物を試験した。0日目に、約15mgのオクトレオチドを含む処方物の100μL(およそ)のSC注射を、各ラットの胸郭背側(DT)領域に1回行った。1日目および21日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた(5mLまで)。血漿を抽出し、ABC Laboratoriesによってオクトレオチド含有量について分析した。採血後、ラットをCOによって安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的血漿SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。
15%オクトレオチド薬物粉末と共に5つのATRIGEL(登録商標)処方物を負荷し、送達系で85/15PLGH(InV0.25〜0.28)を使用した。群I、II、III、およびVで使用した未処理のポリマーをAlkermesから購入し、群IVのポリマーを、Adsorbable Polymer Technologie(APT)から購入した。群II((InV0.25)を含む50%NMP+1.4%CHCl)、III((InV0.28)を含む50%NMP)、およびV((InV0.25)を含む50%NMP)は、1日目および21日目に類似のオクトレオチド放出プロフィールを示した。表5に証明するように、群IIの処方物への塩化メチレンの添加および群IIIのわずかにより高い固有粘度により、初期バーストを減少させることやオクトレオチド放出速度を変化させることがなかった。群IおよびIVは、1日目および21日目に他の群よりも約10%低いオクトレオチドを放出した。データにより、ポリマー(群I)の精製(溶解および沈殿)によってオクトレオチドの放出速度が大幅に減少することが示唆される。TAに対する組織反応は、わずかであった。
(序論)
オクトレオチドは、Novartisから販売されている合成8アミノ酸ペプチドである。オクトレオチドは、主に、成長ホルモンの分泌過多に起因する先端巨大症の治療に適用されており、転移カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド産生腫瘍の症状の制御に適用されている。現在の臨床処方物は、毎日の皮下注射剤(Sandostatin(登録商標))または1回の1ヶ月徐放性筋肉内デポー(SandostatinLAR(登録商標)(長期作用性放出))として投与される。1ヶ月デポー製品は、薬物がグルコースおよびポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)(PLG)ポリマーから調製されたミクロスフェア中にカプセル化された微粒子処方物である。
ATRIGEL(登録商標)薬物送達系は、液体として注射することができる生分解性ポリマー送達系である。処方物の注射の際、ポリマーは固化して薬物をカプセル化する。生分解過程が開始されるにつれて、薬物はゆっくりと放出される。この送達系型からの薬物の放出速度を、ポリマーの型および分子量ならびに構成された製品の薬物負荷によって制御することができる。したがって、系を、患者の要求を満たすように調整することができる。
これは、ラットにSC注射した5つの改変ATRIGEL(登録商標)処方物の1日目および21日目の放出動態を決定するためにデザインされたin vivoでの研究における単回用量である。全ての百分率は重量対重量(w/w)であり、全ての固有粘度(InV)は、dL/g単位である。
(被験物質の識別)
1.15%酢酸オクトレオチド+クエン酸(OTCA)を含む再沈殿(または精製)50%Alermes 85/15PLGH(InV0.25)を含む50%NMP。
2.15%OTCAを含む50%Alkermes 85/15PLGH(InV0.25)を含む50%NMP+1.4%CHCl
3.15%OTCAを含む50%Alkermes 85/15PLGH(InV0.28)を含む50%NMP。
4.15%OTCAを含む50%ATP 85/15PLGH(InV0.27)を含む50%NMP。
5.15%OTCAを含む50%Alkermes 85/15PLGH(InV0.25)を含む50%NMP。
コントロール被験物質:本研究でコントロールは使用していない。
Figure 2008524235
(処方物の調製)
A.精製85/15PLGH(InV0.25)の調製
Alkermesから購入した約48.25gの85/15PLGH(InV0.25)を、ガラスジャーに秤量し、100mLの塩化メチレンを添加した。視覚的に透明なポリマー溶液が生成されるまで、ジャーをジャーミルに入れた。連続的に撹拌しながら500mLのメタノールにポリマー溶液をゆっくり添加して、ポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを、200mLおよび100mLのメタノールでそれぞれリンスした。精製ポリマーを、室温の真空オーブンに1日入れて溶媒を除去した。約40.29gのポリマーを回収した。
B.ポリマー溶液の調製
既知量の各ポリマー固体を20mLの各シンチレーションバイアルに秤量することによってポリマーストック溶液を調製した。既知量のNMPを各ポリマーに添加し、混合物をジャーミルに入れた。群IIについては、1.4%(全ゲルに対してw/w)の塩化メチレンを溶液に添加した。一晩または視覚的に透明なポリマー溶液が生成されるまで、バイアルを混合した。ポリマー溶液を全てγ照射した。
C.酢酸オクトレオチド+クエン酸混合物の調製
酢酸オクトレオチドとクエン酸との混合物を、4.0002gの酢酸オクトレオチドおよび0.7550gのクエン酸を30mLのHPLC用水に溶解することによって調製した。全ての固体が溶解するまで溶液を撹拌した。上記で使用した重量は、オクトレオチドのクエン酸に対する1:1の比の計算値から導いた。溶液を、5つの個別のシンチレーションバイアルに分割し、−86℃で1時間凍結し、2日間凍結乾燥させた。
D.A−Bシリンジの調製
Bシリンジ(オスシリンジ)を、500mgのオクトレオチドストック溶液を1.25LのBDシリンジにピペッティングし、その後に24時間凍結乾燥させることによって調製した。ストック溶液を、1.3508gのオクトレオチド+クエン酸混合物を4.6537gのHPLC用水に溶解することによって調製し、22.5%(w/w)のストック溶液を作製した。Aシリンジ(メスシリンジ)を、637.5mgのポリマー溶液を1mLメスシリンジに秤量することによって調製した。
(実験デザイン)
この21日研究では、処理群あたり10匹のラットを用いた50匹の雄ラットにおいて5つのATRIGEL(登録商標)処方物を試験した。0日目に、約15mgのオクトレオチドを含む処方物の100μL(およそ)のSC注射を、各ラットのDT領域に1回行った。1日目および21日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた(5mLまで)。血漿を抽出し、ABC Laboratoriesによってオクトレオチド含有量について分析した。採血後、ラットをCOによって安楽死させ、その後のRP−HPLC分析のためにTAを回収して、そのオクトレオチド含有量を決定した。各TAと比較した巨視的血漿SC組織反応を、埋没物および周辺組織の肉眼的試験によって評価した。
Figure 2008524235
(実験手順)
研究期間は21日間続いた。15.0mgのOTCAを使用した。一般的なイソフルラン麻酔下で、各ウサギを、うつ伏せにし、そのDT領域の毛を剃り、注射部位をイソプロパノールで拭き取った。各動物のDT領域に、19ゲージの薄壁ニードルを介して100μLの適切なTAを1回SC注射した。一連の研究中に、明白な毒性の徴候について動物を観察した。0〜7日目、14、および21日目に、任意の異常の存在(発赤、出血、腫脹、排泄物、紫斑、およびTA排出が含まれる)について動物を観察した。投与時および終了時に体重を測定した。
1日目および21日目に、群あたり5匹のラットを麻酔し、心穿刺によって出血させた。採血後、動物をCOで安楽死させ、埋没物を回収した。試験部位の代表的な写真を撮り、埋没物の沈殿特性を報告した。埋没物を、乾燥したラベル付バイアルに入れた。
本研究で平均および標準偏差を使用した。一連の本研究中にプロトコールを修正しなかった。
(結果と考察)
一連の研究中に記録された明確な毒性は、注目されるものではなかった。試験部位の観察により、3日目から6日目までに群IIおよびVの試験部位に痂皮形成が認められた。
本研究のための標的用量は、処方物100μL(100mg)であった。各群由来の平均注射重量は、群Iについては91.8±17.9mg、群IIについては101.9±10.3mg、群IIIについては90.7±21.7mg、群IVについては99.8±23.4mg、および群Vについては83.1±17.1mgであった。本研究が埋没物回収研究であったので、注射重量を記録し、各TAの注射量は、研究結果に悪影響を及ぼすことなく広範囲であり得る。図5−1および図10は、1日目および21日目の各処方物から放出されたオクトレオチドの比率を示す。
Figure 2008524235
(結論)
本研究を、異なる供給者から得た85/15PLGHポリマーを含むATRIGEL(登録商標)処方物からのオクトレオチド放出と比較した。また、異なる分子量の85/15PLGHポリマー、添加した溶媒、および修正調製技術を、放出特性について評価した。埋没物回収データは、Absorbable Polymers Technologies,Inc.のポリマー(群IV、InV0.27)から1日目に最も低い初期バーストが得られ、21日目までに最も低いオクトレオチドの累積放出が得られることを示した。Alkermesから得た類似の分子量のポリマー(群III、InV0.28)から21日目により高い初期バーストおよび累積放出が得られ、2つのポリマー間の分子量以外の相違を示した。しかし、分子量または固有粘度は、同一供給者の85/15ポリマーで異なっていた。21日目のポリマーの累積放出に相違はないにもかかわらず、固有粘度0.25のAlkermesポリマーから固有粘度0.28の同一ポリマーよりも高い初期バーストが得られた。したがって、分子量は、初期薬物バーストの制御における有意な因子である。初期薬物バーストおよび累積放出の制御における別の重要な因子は、ポリマー調製技術である。修正調製技術を使用して作製されたAlkermesポリマー(群I)は、標準的な手順によって調製された同一固有粘度のポリマー(群V)よりもはるかに低いバーストを示した(19.2%に対して10.5%)。ポリマー処方物の1つへの同量の別の溶媒(塩化メチレン)の添加により、初期薬物バーストに大きな変化はなかった。
試験部位の巨視的評価によって決定された種々の処方物の組織刺激効果は、無しから最小であった。1日目に、群IIの2匹の動物で最小の紅斑および浮腫が認められた。21日目に、群IIの2匹の動物に最小の血管拡張が認められた。21日目に、群IVの1匹の動物および群Vの3匹の動物に最小の血管拡張が認められた。他の巨視的組織所見は記録されなかった。
埋没物回収データから種々の処方物の放出特性に関する情報が十分に得られたと確定されたので、血漿サンプルをオクトレオチド濃度について分析しなかった。
要約すると、15%w/wの酢酸オクトレオチド/クエン酸混合物を有するATRIGEL(登録商標)処方物は、許容可能な組織反応および薬物放出特性が得られるようである。また、ポリマーの分子量または固有粘度が初期薬物バーストの制御における極めて重要な因子であるようである。しかし、ポリマー調製過程およびポリマー供給者は、ATRIGEL(登録商標)処方物からの初期バーストおよび累積放出の両方の制御においてさらにより重要な因子のようである。
(実施例6)
健康な男性被験体におけるATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)とSandostatin LAR(登録商標)1ヶ月デポー(20mg)との薬物動態、薬力学、および安全性についての無作為、単回用量、非盲検、および単一施設での10週間の比較研究。
(序論の要約)
本研究の意図および第1の目的は、オクトレオチドの血漿濃度によって評価したATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)とSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)との薬物動態を比較することであった。第2の目的は、IGF−1の血漿濃度によって評価したATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)とSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)との薬力学を比較することであった。最後の目的は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血漿レベル、総チロキシンおよび遊離チロキシン(T)、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴン、胆嚢超音波、ECG、臨床検査の結果、ならびに有害事象のモニタリングによって決定したATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)およびSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)の安全性を評価することであった。
(研究デザインおよび方法の要約)
健康な男性被験体におけるATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)およびSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)のPK/PD、内分泌腺プロフィール、および安全性の無作為、単回用量、非盲検、および単一施設での10週間の比較研究を行った。1日目に、20人の健康な男性被験体に、単回用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)および単回用量のSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)を投与した。健康な男性被験体は、18歳と40歳との間(表示年齢が含まれる)であった。各被験体は、正常な病歴を示したか、研究前の臨床検査により正常であるか臨床的有意性がなかった。1ヶ月皮下デポーATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを、腹部に皮下注射した。以下に詳述するように、薬物動態学、薬力学、安全性、および許容性の評価を行った。
(安全性および許容性)
同時に報告された有害事象、身体検査、生命徴候、ECG、および日常的な臨床試験(血液学、生化学、尿検査)、注射部位の評価、胆嚢の超音波およびTSHの測定、総Tおよび遊離T、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴンによって安全性を評価した。1日目(投与前)および投与から24日後、ならびに投与から3、7、14、21、28、および70日目に収集したデータから血清TSH、総Tおよび遊離T、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴンをまとめ、2つの処置の間の結果を比較した。
(薬物動態学的方法)
23のサンプルを、一連の研究中(70日間)に各被験体から回収し、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)またはSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)を投与した被験体におけるオクトレオチドの薬物動態学を決定した。各血漿オクトレオチドプロフィールに基づいて、以下の薬物動態学パラメーターを、以下の非コンパートメント法(non−compartment method)を使用して導いた:tLag、Cmax、tmax、AUC0〜24、およびAUC0〜t。λ、t1/2、およびAUC0〜infの値は計算できなかった。各パラメーターを、治療型によってまとめた。
(薬力学的方法)
70日間にわたって回収されたサンプルについて血清IGF−1レベルをまとめ、2つの処置の間の結果を比較した。
(統計的方法)
SAS GLM手順内の対数変換の分散分析(ANOVA)を使用して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg(試験)後のオクトレオチドのCmax、AUC0〜24、およびAUC0〜tを、SandostatinLAR(登録商標)20mg(基準)投与後と比較した。統計模型は、処置に起因するばらつきを説明する因子を含んでいた。各パラメーターについての平均対数変換終点の相違を、これらの相違についての90%信頼区間(CI)と共に予想した。同様に、SAS GLM手順内の対数変換のANOVAを使用して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg(試験)後の各終点での血清IGF−1濃度を、SandostatinLAR(登録商標)20mg(基準)後と比較した。統計模型は、処置に起因するばらつきを説明する因子を含んでいた。各測定点についての平均対数変換終点の相違を、これらの相違についての90%信頼区間(CI)と共に予想した。
(結果の要約)
(安全性および許容性の結果)
研究中に、死亡および重篤な有害事象(AE)は認められなかった。20人の被験体によって全部で101の治療中に発生したAEが報告され、そのうちの80のAEが軽度であり、21のAEが中程度であった。61AE(総数の60.4%)がATRIGEL(登録商標)20mgの投与後に10人の被験体で認められ、40AE(総数の39.6%)が、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後に9人の被験体で認められた。被験体19は、研究を通して、いかなるAEも報告されなかった。ATRIGEL(登録商標)20mg投与後の52AEおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の28AEは、「確実に(certainly)、ほぼ確実に(probably)/恐らく(likely)または恐らく(possibly)」治療に関連すると考えられた。
最も一般的なAEは、16人の被験体の注射部位の23の紅斑を伴う注射部位に関しており、その強度は、軽度から中程度までの範囲であった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後に10人の被験体中で15症例が認められたのに対し、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後に6人の被験体中で8症例が認められた。ATRIGEL(登録商標)処方物投与後に66%の中程度の強度の紅斑症例(10人の被験体中で10AE)が報告されたのに対し、Sandostatin(登録商標)LAR製品の投与後ではたった1症例であった。10人の被験体でs.c.注射部位に触診できる塊が報告され、そのほとんどがATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後に起こった(8人の被験体中8AE)。局所許容性に関するAEは、いかなる全身の不調と関連しなかった。臀部深部へのSandostatinLAR(登録商標)20mgのi.m.注射と比較したATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のより高い頻度の局所許容性AEは、投与の様式および位置に関連したかもしれない。
他の一般的に報告されているAEは、胃腸管への影響(下痢、腹部不快感、腹部膨満、鼓腸、および軟便)に関していた。これらは、オクトレオチドを使用した以前の研究から予想され、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の両処置でそれぞれ類似していた((6人の被験体中に12AE)および(7人の被験体中に10AE))。他の全身AEはまた、両処置について頻度が類似しているようでもあった。
ECG、生命徴候、または胆嚢超音波評価において臨床的に有意な異常は認められなかった。Atrigel/オクトレオチド20mgを投与された被験体の40%(4/10)およびSandostatinLAR(登録商標)を投与された被験体の50%(5/10)で胆泥が報告された。しかし、70日目の研究後試験で全ての胆嚢は正常であった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgのs.c.注射から15分後、9人の被験体が中程度の紅斑を示し、1人の被験体が重篤な紅斑を示した。注射から8時間後までに、9人の被験体で紅斑が消失し、1人の被験体が軽度の紅斑を示した。35日目までに、全被験体の紅斑症状が完全に消失した。SandostatinLAR(登録商標)20mgのi.m.注射から15分後に、2人の被験体が軽度の紅斑を生じ、他の8人の被験体には紅斑が存在しなかった。注射からの8時間後までに、9人の被験体で紅斑が消失し、1人の被験体が軽度の紅斑を示した。7日目までに、42日目の軽度の紅斑の1症例を除き、全被験体の紅斑症状は存在しなかった。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の被験体のたった20%と比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与前および3日目の被験体の80%で正常範囲未満であった。総T濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の0%と比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与から3日目の被験体の30%で正常範囲未満であった。4人の被験体について、各グルカゴン濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与前または7日目、3日目に正常範囲未満であった。15人の被験体の51症例で、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与された被験体の57%(29/51)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgを投与された被験体の43%(22/51)でインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の18症例(29症例のうち)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgでの治療後の10症例(22症例のうち)で、7日目またはそれ以前にインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の初期事象数が多いほど、より高いオクトレオチドの初期濃度に関連したかもしれない。研究後評価前に程なく正常に戻る範囲を超えた全濃度および正常範囲外の逸脱がないことは、臨床的に有意であると考えられた。
(薬物動態学の結果)
38.4ng/mLおよび1.9ng/mLの平均ピーク血漿オクトレオチド濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の3.0時間および312.0時間の中央値で達成された。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後のCmaxの規模および時間の相違は、注射直後のオクトレオチドの初期バースト/パルス送達に起因していた。平均AUC0〜24は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgについてそれぞれ353.2±142.4ng/mLおよび1.8±4.1ng/mLであった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgについてのAUC0〜tの平均値は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの5倍を超えることが見出され、これは、新規の製品を有するオクトレオチドへの曝露の程度が改善されたことを示す。CmaxおよびAUC0〜tの比較に基づいて、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のオクトレオチドへの曝露は、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して統計的に有意に高いことが見出された。
Figure 2008524235
(薬力学の結果)
平均IGF−1濃度は、投与前の約95ng/mLから7日目の約50mg/mL(ベースラインから約50%変化)に減少し、その後、1日目のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与から49日目に投与前レベル付近まで回復する。SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の平均IGF−1濃度は、投与前の約80ng/mLから14日目の約50ng/mL(ベースラインから約38%変化)の最小レベルに減少し、その後、56日目に投与前レベル付近まで回復する。4時間後、21、49、56、および70日目の名目上の(nominal)時間でのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のIGF−1レベルは、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して統計的に有意に高かった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与から24時間後および7日目のIGF−1レベルは、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後のIGF−1レベルと比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg処置後で統計的に有意に低かった。従来の信頼区間アプローチに基づいた全ての他の統計的比較は、決定的でなかった。これらの結果により、決定的な結論が導かれるのにサンプルサイズが十分な規模でないことが示唆される。
(結論の要約)
一般に、処置は十分許容されるものであった。研究中に、死亡および重篤な有害事象は認められなかった。全部で101の治療中に発生したAEが存在し、そのうちの80のAEが軽度であった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後に10人の被験体で61のAEが認められ、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後に9人の被験体で40のAEが認められた。最も一般的に報告されたAEは、注射部位の紅斑、注射部位の小結節、および下痢であった。
52AEは、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgに「確実に、恐らく、またはほぼ確実に」関連し、28AEは、SandostatinLAR(登録商標)20mgに「確実に、恐らく、またはほぼ確実に」関連していた。
注射部位の紅斑は、最も一般的に報告されたAEであり、16人の被験体で23AEが処置に関連して起こり、これらの事象のうちの10人の被験体における15AEがATRIGEL(登録商標)投与後に起こった。注射部位の小結節(全部で12AE)(ATRIGEL(登録商標)投与後の8被験体で9AE)および下痢(全部で12AE)も処置後に一般的に報告されたAEであった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後、被験体は、投与から35日後に紅斑が完全に消失した。研究を通して、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後に、常に7人を超える被験体の紅斑症状が存在しなかった。
ECGまたは生命徴候において臨床的に有意な異常は認められなかった。胆嚢超音波評価中に臨床的に有意な異常は同定されなかった。多数の被験体で胆泥が報告されたが、70日目の研究後試験で全ての胆嚢は正常であった。
TSHは、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与前および3日目の被験体の80%で正常範囲未満であった。総T濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の0%と比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与された3日目の被験体の30%で正常範囲未満であった。4人の被験体について、各グルカゴン濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与前または7日目、3日目に正常範囲未満であった。
15人の被験体の51症例で、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与された被験体の57%(29/51)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgを投与された被験体の43%(22/51)でインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の18症例(29症例のうち)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgでの治療後の10症例(22症例のうち)で、7日目またはそれ以前にインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の初期事象数が多いほど、より高いオクトレオチドの初期濃度に関連したかもしれない。
研究後評価前に程なく正常に戻る範囲を超えた全濃度および正常範囲外の逸脱がないことは、臨床的に有意であると考えられた。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の高く(38.4ng/mL)且つ初期(3.0時間)の値Cmaxは、投与時のオクトレオチドの初期バースト/パルス送達に起因していた。この影響は、AUC0〜24の値で比較すると、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgが約200倍であった。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgについてのAUC0〜tの平均値は、SandostatinLAR(登録商標)20mgのほぼ5倍を超えることが見出され、これは、新規の製品を有するオクトレオチドへの曝露の程度が改善されたことを示す。CmaxおよびAUC0〜tの比較に基づいて、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のオクトレオチドへの曝露は、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して統計的に有意に高いことが見出され、tmaxも、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgが統計的に有意に速く起こることが見出された。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の平均IGF−1濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後のIGF−1濃度と比較して、ベースラインからより大きな規模(約12%高い)およびより急速に(7日間)で減少した。IGF−1に対するATRIGEL(登録商標)のより大きな効果は、オクトレオチドの初期バーストに起因し得る。しかし、ほとんどの測定点で、IGF−1レベルの統計的比較は決定的ではなく、2つの処置で認められたIGF−1レベルに関して決定的な結論が導かれるのにサンプルサイズが十分な規模でないことが示唆される。
Figure 2008524235
Figure 2008524235
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1.研究の序論
1.1 目的
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドは、転移カルチノイド腫瘍(カルチノイド症候群)に関連する下痢および潮紅エピソードの長期治療のために開発された製品である。現在、オクトレオチド治療を受けている転移カルチノイド症候群患者は、治療レベルに到達させるために、Sandostatinの毎日の皮下(s.c.)注射と共にSandostatinLAR(登録商標)デポーの筋肉内(i.m.)注射を受けている。前臨床研究において注射の際にオクトレオチドの「バースト」が放出されるので、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド製品の放出プロフィールは、新規の製品と異なる。本研究は、2つの異なる20mgの持続放出送達処方物(ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドおよびSandostatinLAR(登録商標)デポー)の治療用量の開始時間を比較する。
1.2 オクトレオチドの臨床用途
オクトレオチドは、米国および欧州で長年利用可能であり、転移カルチノイド腫瘍に関連する症状(すなわち、潮紅および下痢)および血管作動性腸管ペプチド(VIP)産生腫瘍に関連する症状(すなわち、水様下痢)を治療するために適用されている。さらに、オクトレオチドは、先端巨大症患者のGHおよびIGF−1(ソマトメジンC)レベルを実質的に低下させる。オクトレオチドは、現在、SandostatinLAR(登録商標)注射剤として毎日のs.c.注射で利用可能であるか、SandostatinLAR(登録商標)デポーとして月毎のi.m.注射で利用可能である。
オクトレオチドは、環状オクタペプチドの酢酸塩である。これは、天然ホルモン(ソマトスタチン)と類似の薬理作用を有する長期作用型ペプチドである。これは、ソマトスタチンよりも成長ホルモン(GH)、グルカゴン、およびインスリン放出のさらにより強いインヒビターである。ソマトスタチンと同様に、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)に対する黄体形成ホルモン(LH)応答を抑制し、内蔵血流を減少させ、セロトニン、ガストリン、VIP、セクレチン、モチリン、および膵臓ポリペプチドの放出を阻害する。オクトレオチドは、一般に、十分に許容される。最も一般的に認められる副作用は、腹部不快感、軟便または下痢、軽度吸収不良、鼓腸、および吐気である。長期オクトレオチド治療に伴うコレステロール結石の発症は、最も重篤な副作用である。オクトレオチド治療は、インスリンおよびグルカゴンレベルを低下させ、グルコース恒常性に影響を与え得る。
1.3 ATRIGEL(登録商標)送達系の臨床用途
ATRIGEL(登録商標)送達系は、生体適合性キャリアに溶解した生分解性ポリマーからなる。処方物は、所望の放出時間枠および送達される薬物の性質に基づく。ATRIGEL(登録商標)送達系は、現在、FDA承認薬であるELIGARD(商標)(酢酸ロイプロリドの1ヶ月、3ヶ月、および4ヶ月皮下デポー処方物)およびATRIGEL(登録商標)(歯周ポケットに適用される塩酸ドキシサイクリン(doxycycline hyclate))中で使用されている。これらの製品を使用した臨床研究および市販後試験により、ATRIGEL(登録商標)送達系自体が十分に許容され、組み込まれた薬物をデザインした投与期間にわたって一貫して徐放することが証明されている。
1.4 ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドを使用した非臨床結果
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドの潜在的な毒性、毒物動態学、局所刺激、オクトレオチド放出動態、および薬力学を、前臨床動物研究で調査した。ラット、ウサギ、イヌ、およびサルにおけるATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドを使用した5つのGLPおよび11の非GLPの非臨床試験を完了した。これらの研究結果により、注射部位にわずかな紅斑および浮腫のみが認められたが、安全性が立証された。さらに、予想オクトレオチド放出および内分泌腺応答が認められた(血漿オクトレオチドレベルは治療レベルを超え、血清IGF−1レベルは研究を通して抑制された)。
まとめると、ATRIGEL(登録商標)送達系および製剤原料であるオクトレオチドを使用した前臨床試験および臨床安全性試験により、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド製品は好ましい安全性プロフィールを有することが示唆される。この研究は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)またはSandstatinLAR(登録商標)デポー(20mg)の投与後の健康な男性被験体に対する安全性、薬物動態学、および薬力学/内分泌腺プロフィールを比較している。
2.研究目的
1.血漿オクトレオチド濃度によって評価したATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)のPKとSandostatinLAR(登録商標)デポー(20mg)のPKとを比較すること。
2.血漿IGF−1濃度によって評価したATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)のPDとSandostatinLAR(登録商標)デポー(20mg)のPDとを比較すること。
3.甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血漿レベル、総チロキシンおよび遊離チロキシン(T)、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴン、胆嚢超音波、ECG、臨床検査の結果、ならびに有害事象のモニタリングによって決定したATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)およびSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)の安全性を評価すること。
3.調査計画
3.1 全研究デザイン
これは、健康な男性被験体におけるATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)およびSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)のPK/PD、内分泌腺プロフィール、および安全性の無作為、単回用量、非盲検、および単一施設での10週間の比較研究であった。1日目に、20人の健康な男性被験体に、単回用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)および単回用量のSandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)を投与した。各被験体は、1治療群のみに参加した。
被験体がその告知同意を行った後、被験体は、薬物投与研究の4週間前以内にスクリーニングのために臨床施設に入院した。被験体は、スクリーニングの24時間前にアルコールおよび喫煙を控える必要があった。
スクリーニングは、面接および以下の評価項目からなる:a)人工統計学(性別、生年月日、年齢、身長、フレームサイズ、肘の幅、民族)、b)病歴、c)社会史(現在のアルコール摂取量、カフェイン摂取量、および喫煙状態)、d)以前の服用薬および併用薬のチェック、e)心電図(ECG)、f)身体検査(身長、体重、血圧(BP)、心拍数、呼吸数、および体温)、およびg)臨床試験(血液学、臨床化学、尿検査、ウイルス学(B型肝炎表面抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体、C型肝炎抗体)、尿中乱用薬物(DOA)のスクリーニング、およびアルコール呼気検査(ABT))。
スクリーニングの首尾の良い完了後、被験体を無作為化し、研究に参加させた。研究の主要部分は、処置の割り当てのみが異なる同一デザインの2つの投与計画からなる。
0日目:来院6時間前に水以外を絶食した被験体を、投与前日に臨床施設に入院させた。入院時に以下の手順を行った:1)臨床試験(血液学、生化学、および尿検査)、2)DOA、3)ECG、および4)胆嚢超音波。
ボランティアが依然として研究の試験対象者基準および試験除外基準を確実に満たすかどうかを評価し、首尾のよいボランティアを無作為化して、単回用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド(1ヶ月デポー、20mg)またはSandostatinLAR(登録商標)(1ヶ月デポー、20mg)のいずれかを投与した。被験体は、2日目の午前中に最後の血液サンプルを採取するまで、1日目の23時から絶食する必要があった。水は制限せず、グルコース飲料を摂取した。
1日目:1日目に、投与前に、被験体の生命徴候(体温、仰臥位のBP、HR、および呼吸数)を測定した。投与前に血液サンプルを採取し、オクトレオチド、IGF−1、TSH、および総Tおよび遊離Tを定量した。空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴンのための血液サンプルも採取した。注射部位の評価も完了した。
被験体に、単回用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド(1ヶ月デポー、20mg)またはSandostatinLAR(登録商標)(1ヶ月デポー、20mg)のいずれかを投与した。投与後、被験体は、PK/PDのための血液サンプルの回収のためならびに臨床所見、ECG、生命徴候の測定、および有害事象の回収による安全性のモニタリングのために施設に約24時間滞在した。投与から15分後および30分後、投与から4時間後まで1時間毎、ならびに投与から8、12、16、および24時間後に注射部位の評価を行った。1日目の投与から最初の8時間およびその後の投与から24時間後までの4時間毎に、オクトレオチドおよびTSH、総Tおよび遊離T、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴンの分析のために血液サンプルを採取した。投与から24時間後までの4時間毎に(すなわち、投与から4、8、12、16、20、および24時間後)、IGF−1サンプルを採取した。
3、7、14、21、28、35、42、49、56、および70日目:被験体に、3、7、14、21、28、35、42、49、56、および70日目の午前中の来院の24時間前からアルコールおよび喫煙を控え、3、7、14、および21日目の午前中の来院から2時間前ならびに28および70日目の午前中の来院の6時間前から絶食する(水を除く)ように指導した。オクトレオチド分析およびIGF−1分析のための血液サンプルを、3、7、14、21、28、35、42、49、56、および70日目に回収した。3、7、14、21、28、および70日目に回収したサンプルについて、TSH、総Tおよび遊離T、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴンの分析を行った。臨床所見、注射部位の評価、生命徴候の測定、および有害事象の回収によって安全性をモニタリングした。さらに、28および70日目に、被験体にECG分析を受けさせ、臨床化学および血液学パネルを行うために胆嚢超音波および血液を取った。尿検査のために尿も回収した。午前中の各来院時に無作為なアルコール呼気検査を行い、併用薬を再調査した。70日目の午前中の来院時に最終安全性評価または研究後の医学的評価を行った。
3.2 研究デザインの考察:研究デザインは、研究のために提示した目的を達成するのに適切なようであった。
3.3 研究集団の選択
健康な被験体を、Medeval Limitedボランティアパネルから採用した。20人の男性ボランティアを、本研究に参加させた。研究被験体を、病歴ならびにスクリーニング面接および試験の所見に基づいた治験者の判断によって研究に参加させた。各被験体は、全研究期間参加すると予想された。各被験体を、以下の基準に基づいた研究に参加させた。
3.3.1 試験対象患者基準
1.被験体は、告知同意書を読み、署名した。
2.被験体は、18〜40歳の健康な男性であった。
3.被験体は、言葉および/または書面での指示に従い、指定した研究日にセンターに戻って来ることができた。
4.被験体は、病歴、身体検査(身長、体重、および生命徴候が含まれる)、および研究所での評価に基づいて、いかなる臨床的に有意な異常(すなわち、Medevalの正常範囲内の臨床結果および医師による臨床的に有意であると認められない場合)も無かった。
3.4 処置
3.4.1 投与処置
処置間で被験体を1:1に分割する以前に作成した無作為化計画によって決定された単回用量のs.c.ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド(1ヶ月デポー、20mg)およびi.m.Sandostatin LAR(登録商標)デポー(1ヶ月デポー、20mg)を被験体に投与した。
3.4.2 治験薬の正体
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド(AL3928.01)は、2つの個別の滅菌シリンジで供給され、これらを投与直前に混合した。一方のシリンジは、ポリマー処方物を含み、他方はオクトレオチドペプチドを含んでいた。シリンジを、シリンジ上のLuer−Lok(登録商標)連結部を介して連結し、均一な混合物が得られるまで処方物をシリンジ間で行き来させた。混合および投与中に喪失するので、20mgのオクトレオチドを含む約0.2mLの処方物を確実に送達させるために、ポリマー溶液および薬物を過剰に供給した。
SandostatinLAR(登録商標)デポー(20mg)は、投与直前に混合される2つの個別の滅菌バイアルで供給された。一方のバイアルは、生分解性グルコース星形ポリマー(D,L−乳酸とグリコール酸とのコポリマー)のミクロスフェア内に均一に分散されたオクトレオチドを含み、他方のバイアルは、滅菌希釈剤(注射用水)を含んでいた。
Figure 2008524235
被験物質を、使用するまで、安全な管理区域の冷蔵室に2〜8℃(通常の冷蔵室の温度)で保存した。全ての製品を、薬剤師によって在庫および調剤記録をつける適切な警備下で維持した。
3.4.3 被験体の治療群への割り当て方法
各被験体が首尾よくスクリーニングを終了し、研究参加に適切であることが見出された後にのみ、無作為な番号を配分した。スクリーニングのための来院から無作為化した数字の配分まで、被験体を、そのイニシャルおよび生年月日によって区別した。
3.4.4 研究における用量の選択
現在患者に投与されている薬物(SandostatinLAR(登録商標)デポー(20mg))との標準比較として、健康なボランティアに投与するためのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド(20mg)を選択した。
3.4.5 各被験体についての用量の選択およびタイミング
以前に作成した無作為化計画に従って、s.c.ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドまたはi.m.Sandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)を被験体に投与した。1日目の8:00と10:00との間に研究薬物を被験体に投与した。
3.4.6 盲検:本研究を、非盲検様式で行った。
3.5 臨床分析
血清TSH、総Tおよび遊離T、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴン
血清TSH、総Tおよび遊離T、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴンのサンプルを、1日目(投与前)ならびに投与から24時間後、3、7、14、21、28、および70日目に回収した。記述統計学を使用して結果をまとめた。
血液学:2mLの全血サンプルを、スクリーニング時、−1日目、投与から24時間後、ならびに28および70日目に採取し、以下の試験を実施するために5mL EDTA管に移した。
Figure 2008524235
生化学:7mLまたは10mL(スクリーニング時)の全血サンプルを、スクリーニング時、−1日目、投与から24時間後、ならびに28および70日目に採取し、以下の試験を実施するためにZ10管に移した。
Figure 2008524235
尿検査:25mLまたは2×25mL(スクリーニング時)の尿サンプルを、以下の試験を行うために、クリーニング時、−1日目、投与から24時間後、ならびに28および70日目に採取した。
Figure 2008524235
ウイルス学:スクリーニング時のみに以下の試験を行った:ウイルス学(血清サンプル)、B型肝炎表面抗原、C型肝炎抗体、HIV1、およびHIV2抗体。
薬物スクリーニング:全被験体から呼気サンプルを採取してスクリーニング時にABTを使用してアルコールの乱用について試験し、−1日目、3、7、14、21、28、35、42、49、および56日目に無作為な被験体からサンプルを採取した。
以下の試験を使用して、スクリーニング時および−1日目に尿薬物乱用試験を行った。スクリーニング時に、臨床病理施設においてSYVA試験キットを使用して尿サンプルを試験し、−1日目に、SYVA RAPID試験キットまたはTriageキットを使用してサンプルを試験した。以下の薬物を、以下について試験した。
Figure 2008524235
以下のサンプル体積を、上に列挙した試験のために採取した。
a)血液学:2mLの血液サンプルをEDTA管に移す。
b)生化学(スクリーニング)(ウイルス学が含まれる):10mLの血液サンプルを未処理の管に入れる。
c)生化学(投与前):7mLの血液サンプルを未処理の管に入れる。
d)尿検査:20mLの尿サンプルを一般的な容器(universal container)に入れる。
e)乱用薬物:20mLの尿サンプルを一般的な容器に入れる。
説明のつかない異常な臨床検査値の場合、試験を繰り返し、値が正常範囲に戻るまでか、異常について適切に説明されるまで追跡した。
薬物濃度の測定:一連の研究中に各被験体から23サンプルを回収し、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)またはSandstatinLAR(登録商標)デポー(20mg)を投与した被験体におけるオクトレオチドの薬物動態を決定した。1日目(投与前ならびに投与から1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、および24時間後)ならびに3、7、14、21、28、35、42、49、56、および70日目に、EDTA管を使用して、約3mLサンプルを回収した。各血液の実際の回収時間を記録した。
薬力学的測定:1日目(投与前ならびに投与から4、8、12、16、20、および24時間後)ならびに3、7、14、21、28、35、42、49、56、および70日目に、血清IGF−1レベルのためのサンプルを回収した。記述統計学を使用して結果をまとめた。
薬物動態的データ:標準的なモデル非依存性法による薬物動態学的分析を、WinNonlin(商標)Professional Version 4.0を使用して、Medeval Limitedの薬物動態学部門の薬物動態学者によって行った。薬物投与後の実際の採血時間を使用して、以下の薬物動態パラメーターを決定した。
a)認められた最大血漿濃度(Cmax)、
b)認められたCmaxの対応する時間(tmax)、
c)吸収開始前の時間(tlag)、
d)投与から0〜24時間後の血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0〜24)、
e)投与後の0から最後の定量可能な測定点までの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0〜t)、
f)時間0から無限の定量可能な測定点までの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0〜inf)、
g)見かけ血漿末期速度定数(K)、および
h)消失半減期(t1/2)。
maxおよびtmaxを、各ボランティアの各投与期間についての血漿プロフィールによって同定した。最も高い濃度のデータポイントの座標として値を取った。最初の定量可能な薬物濃度の直前の測定点としてttagを同定した。AUC0〜24およびAUC0〜tを、線形台形公式を使用して計算した。
各血漿濃度を、各採取時間、N、相加平均(平均)、SD、CV(%)、中央値、最小値、および最大値を使用した各処置についてまとめた。任意の各測定点での平均濃度を、各値の少なくとも2/3がこの測定点で定量される場合のみ計算した。これらの平均値の計算のために、アッセイの定量限度(BLQ)未満の値をゼロに設定した。
各線形および対数線形血漿濃度−時間プロフィールを、実際の採取時間を使用して得た。平均(+SD)線形および対数線形血漿濃度プロフィールも得た。平均値を計算できない場合、プロッティングのために値を欠測値に設定した。全ての導いた各薬物動態パラメーターを、添付の報告書に列挙し、各処置についてまとめた。
薬力学的データ:1日目(投与前ならびに投与から4、8、12、16、20、および24時間後)ならびに3、7、14、21、28、35、42、49、56、および70日目に、血清IGF−1濃度を測定した。記述統計学を使用して結果をまとめ、平均血清IGF−1濃度−時間プロフィールをプロットした。
サンプルサイズ:本研究のためのサンプルサイズを正式な統計的方法によって決定しなかったが、本研究の目的に取り組むための妥当なサイズと思われた。各群の10人の被験体は、s.c.ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポー(20mg)およびi.m.Sandostatin LAR(登録商標)デポー(20mg)の安全性、許容性、薬物動態学、および薬力学の評価に十分と思われた。
薬物動態パラメーター:各血漿オクトレオチド濃度を、n、相加平均、SD、CV(%)、中央値、最小値、最大値、および95%信頼区間(CI)の記述統計学によってまとめた。記述統計学計算のために、全BLQ値をゼロに設定した。任意の時点で、1/3またはそれを超える被験体がBLQ値を有する場合、その測定点の記述統計学を計算しなかった。
薬物動態パラメーターを、被験体および処置によって列挙し、n、相加平均、SD、CV(%)、中央値、最小値、最大値、および95%CIの記述統計学を使用してまとめた。n、中央値、最小値、および最大値のみを、tmaxについて報告した。
SAS GLM手順内の対数変換の分散分析(ANOVA)を使用して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg(試験)投与後のオクトレオチドの薬物動態パラメーターCmax、AUC0〜24、およびAUC0〜tを、SandostatinLAR(登録商標)20mg(基準)投与後のオクトレオチドのCmax、AUC0〜24、およびAUC0〜tと比較した。統計模型は、処置に起因するばらつきを説明する因子を含んでいた。平均対数変換終点の相違を、これらの相違についての90%CIと共に予想した。LSMEANSステートメントを使用して、この手順を行った。結果を、逆変換して(back−transformed)、相乗平均比(試験/基準)の推定値および各薬物動態パラメーターについての対応する90%CIを得た。
各被験体についてのtmaxの相違(試験−基準)におけるSASでのUNIVARIATE手順を使用したノンパラメトリックウィルコクスン順位和検定を使用してtmaxを分析した。5%レベルで統計的に有意と見なした。
薬力学パラメーター:各血清IGF−1濃度を、n、相加平均、SD、CV(%)、中央値、最小値、最大値、および95%CIの記述統計学によってまとめた。記述統計学の計算のために、BLQ値を、定量限界値の半分に設定した。任意の時点で、1/3またはそれを超える被験体がBLQ値を有する場合、その測定点の記述統計学を計算しなかった。
SAS GLM手順内の対数変換のANOVAを使用して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg(試験)投与後の各正常測定点での血清IGF−1濃度を、SandostatinLAR(登録商標)20mg(基準)投与後のオクトレオチドの血清IGF−1濃度と比較した。統計模型は、処置に起因するばらつきを説明する因子を含んでいた。平均対数変換終点の相違を、これらの相違についての90%CIと共に予想した。LSMEANSステートメントを使用して、この手順を行った。結果を、逆変換して、相乗平均比(試験/基準)の推定値および各測定点での関連する90%CIを得た。
3.8 研究または計画された分析の実施の変化
SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後、血漿オクトレオチドレベルは、ほとんどのプロフィールについてBLQであった。これにより、通常は分析から排除される埋もれたBLQ値を、代わりにゼロに設定し、薬物動態学的分析のデータセットの一部として使用した。濃度時間プロフィールの性質により、λおよびその後のt1/2およびAUC0〜∞は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の全ての被験体について計算することができなかった。1/3を超える濃度がBLQである場合、投与から480、648、および816時間後のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの血漿オクトレオチドの要約統計量を計算した。同様に、1/3を超える濃度がBLQである場合、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与から1、2、3、4、6、49、および144時間後の要約統計量を計算した。SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の平均線形および対数線形濃度−時間プロフィールについて、全ての濃度がBLQである場合、要約統計量は、投与から5、7、8、12、16、20、および24時間後の測定点で平均値ゼロをプロットした。SandostatinLAR(登録商標)20mgを投与した被験体においてたった2つの値しか利用できなかったので、AUC0〜24の統計学的比較を行うことができなかった。
4. 研究被験体
4.1 被験体の性質:研究に参加した被験体の性質を、図11に示す。
5.安全性の評価
被験体についての関係資料は、8項および対応する表に含まれている。
5.1 注射部位の評価
SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の紅斑の罹患率がより高いようであった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgのs.c.注射から15分後、9人の被験体に中程度の紅斑が生じ、1人の被験体に重篤な紅斑が生じた。注射から8時間後までに、9人の被験体の紅斑が消失し、1人の被験体の紅斑が軽度であった。35日目までに、全被験体は、紅斑が完全に消失した。
SandostatinLAR(登録商標)20mgのi.m.注射から15分後、2人の被験体が軽度の紅斑を生じ、他の8人の被験体には紅斑が存在しなかった。注射からの8時間後までに、9人の被験体で紅斑が消失し、1人の被験体が軽度の紅斑を示した。7日目までに、42日目の軽度の紅斑の1症例を除き、全被験体の紅斑は存在しなかった。研究を通して、研究を通して、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後に、常に7人を超える被験体の紅斑症状が存在しなかった。
5.2 TSH、および総T4および遊離T4
2つの処置(各被験体群への単回s.c.用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび単回i.m.用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与)後の平均(+SE)線形血漿TSH濃度−時間プロフィールを、図12に示す。TSH、総Tおよび遊離Tの内分泌腺評価の要約統計量を、8項、表6−26〜6−28に示す。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後、平均TSH濃度は、投与前の1.4mU/Lから0.37mU/Lに急速に減少し、その後、7日目に投与前レベルに戻るようであった。SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の平均TSH濃度は、1.1mU/Lから0.89mU/Lまでわずかに減少したが、7日後の平均濃度は投与前レベルよりも高かった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後、2日目のTSH濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の被験体のたった10%(1/10)と比較して、被験体の80%(8/10)が0.5mU/Lの下限をわずかに下回った。3日目に、TSH濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg処置後の患者の20%(2/10)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgの処置後の患者の10%(1/10)で下限を下回った。TSH濃度は、14、21、および28日目の被験体12(ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg)で、5.0mU/Lの上限を超えた。
平均総T濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の65.33μg/Lの平均投与前レベルから3日目の54.7μg/Lの最小値までわずかに減少し、その後、21日目まで投与前レベル付近に戻った。SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後、総T濃度は、投与前の70.6μg/Lから投与から14日後の56.3μg/Lまで徐々に減少するようであった。70日目まで投与前レベルへの回復は認められなかった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の総T濃度は、被験体の30%(3/10)についての3日目の45μg/Lの正常範囲未満であった。SandostatinLAR(登録商標)20mgでの処置後、70日目の被験体2および14日目の被験体14の総T濃度のみが正常範囲未満であった。図13のデータは、各被験体群への単回s.c.用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび単回i.m.用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の平均(+SE)総T濃度−時間プロフィールを示す。
2つの処置後の平均(+SE)線形血漿遊離T濃度−時間プロフィールを、図14に示す。平均遊離T濃度は、量処置後にわずかに減少し、その後徐々に増加した。各濃度が正常範囲外であることが明らかである評価は2つしかなかった。遊離T濃は、被験体1(ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg)の3日目および被験体19(SandostatinLAR(登録商標)20mg)の14日目で9.1pmol/L未満であった。
正常範囲外のTSH、総T、および遊離Tの濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mgを投与した被験体2、10、14、16、および19で1回認められたことを除き、ほとんどがATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与した被験体で測定された。正常範囲外のTSH、総T、および遊離Tの測定値は、臨床的に有意ではなかった。
5.3 空腹時グルコース、インスリン、およびグルカゴン
空腹時グルコース、インスリン、およびグルカゴンの内分泌腺評価の要約統計量を測定し、評価した。空腹時グルコース、インスリン、およびグルカゴンの平均(+SD)濃度を、以下の表6−3に示す。平均空腹時グルコース値は、研究を通して、ATRIGEL(登録商標)およびSandostatinLAR(登録商標)処置後に類似していた。空腹時グルコースについては、各評価で正常範囲を超えることも下回ることもなかった。ATRIGEL(登録商標)およびSandostatinLAR(登録商標)処置についてのインスリンの平均投与前レベルは、それぞれ5.12および5.10mIU/Lであった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後の平均濃度は、2日目に2.96mIU/Lの最小値に減少し、その後、21日目にほぼ投与前レベルに戻るようであった。SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の平均インスリンレベルは、2日目に3.64mIU/Lに減少し、70日目の研究後の医学的調査(medical)まで、この値と投与前レベルとの間を上下するようであった。インスリンの各評価により、51症例のうち、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の57%(29/51)およびSandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の43%(22/51)で2.5mIU/Lの正常範囲未満に濃度が低下することが明らかとなった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後の18症例(29症例のうち)およびSandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の10症例(22症例のうち)において、インスリンは、7日目またはそれ以前に正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後のより早期の事象の数が多いほど、この処置後の初期オクトレオチド濃度は高くなるかもしれない。平均グルカゴン濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)での処置後7日目に、それぞれ、64.1および74.2pg/mLの最小レベルに到達し、その後、14日後に約83pg/mLの投与前レベルに戻った。4人に被験体について、各グルカゴン濃度は、7日目またはそれ以前に50pg/mLの正常範囲未満に減少し、これは、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与した被験体の30%(3/10)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgを投与した被験体の10%(1/10)で起こった。正常範囲外の空腹時グルコース、インスリン、およびグルカゴンの測定値は、臨床的に有意ではなかった。
Figure 2008524235
5.4 臨床検査的評価
全部で、正常範囲外である実験値が189個存在し、そのうちの155個を、臨床的有意性なしと分類した。33個の異常な結果(ATRIGEL(登録商標)処置群の17個およびSandostatinLAR(登録商標)処置群についての16個)を、原因不明であるので潜在的に臨床的に有意と分類した。
5.5 安全性の結論
1)一般に、処置は十分許容されるものであった。研究中に、死亡および重篤な有害事象は認められなかった。
2)全部で101の治療中に発生したAEが存在し、そのうちの80AEが軽度であり、21AEが中程度の強さであった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後に10人の被験体で61のAEが認められ、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後に9人の被験体で40のAEが認められた。最も一般的に報告されたAEは、注射部位の紅斑、注射部位の小結節、および下痢であった。
3)52AEは、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgに「確実に、恐らく、またはほぼ確実に」関連し、28AEは、SandostatinLAR(登録商標)20mgに「確実に、恐らく、またはほぼ確実に」関連していた。
4)注射部位の紅斑は、最も一般的に報告されたAEであり、16人の被験体で23AEが処置に関連して起こり、これらの事象のうちの10人の被験体における15AEがATRIGEL(登録商標)20mg投与後に起こった。注射部位の小結節(全部で12AE)(ATRIGEL(登録商標)20mg投与後の8被験体で9AE)および下痢(全部で12AE)も処置後に一般的に報告されたAEであった。
5)ECGまたは生命徴候において臨床的に有意な異常は認められなかった。
6)胆嚢超音波評価中に臨床的に有意な異常は同定されなかった。多数の被験体で胆泥が報告され、この胆泥は治療群で等しく分布していた。70日目の研究後試験で全ての胆嚢は正常であった。
7)SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の紅斑の罹患率がより高いようであった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後、35日目から紅斑症状が完全に消失した。SandostatinLAR(登録商標)20mgの処置後、研究を通して、常に7人を超える被験体の紅斑症状が存在しなかった。
8)TSHは、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の被験体のたった20%と比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与前および3日目の被験体の80%で正常範囲未満であった。総T濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の0%と比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与から3日目の被験体の30%で正常範囲未満であった。4人の被験体について、各グルカゴン濃度は、7日目またはそれ以前に50pg/mLの正常範囲未満に減少し、これらの被験体の30%(3/10)は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与されていた。
9)15人の被験体の51症例で、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与された被験体の57%(29/51)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgを投与された被験体の43%(22/51)でインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の18症例(29症例のうち)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgでの治療後の10症例(22症例のうち)で、7日目またはそれ以前にインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の事象数が多いかより早いほど、この処理後により高いオクトレオチドの初期濃度に関連したかもしれない。研究後評価前に程なく正常に戻る範囲を超えた全濃度および正常範囲外の逸脱がないことは、臨床的に有意であると考えられた。
10)臨床検査的測定は、反復の際または研究後評価前に程なく正常範囲内に戻る未知の原因に起因する33の潜在的に臨床的に有意な変化を示した。
6.薬物動態学的評価および薬力学的評価
6.1 分析されたデータセット
6.1.1 薬物動態的データセット
薬物動態学的分析集団は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgまたはSandostatinLAR(登録商標)20mgに少なくとも1回曝露された20人の被験体からなる。被験体8は、前処置後のAEによって離脱し、被験体108に代わった。
6.1.2 薬力学データセット
薬力学的分析集団は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgまたはSandostatinLAR(登録商標)20mgに少なくとも1回曝露された20人の被験体からなり、70日目まで被験体からIGF−1評価のためのサンプルを採取した。被験体8は、前処置後のAEによって離脱し、被験体108に代わった。
6.2 薬物動態学の結果
平均(+SD)対数線形血漿オクトレオチド濃度−時間プロフィール(0〜48時間)および(0〜35日)を図15に示し、平均(+SD)線形および対数線形血漿オクトレオチドプロフィールを図17および18に示す。各オクトレオチド薬物動態パラメーターおよび要約を、8項の表6−32.1および6−32.2に要約する。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後、平均血漿オクトレオチド濃度は急速に増加し、3時間の期間中央値後に約35ng/mLのピークレベルに到達し、その後、48時間までに急激に減少し、その後、よりゆっくり減少した。このパターンは、投与の際の初期バーストまたはパルスおよびその後のデポー部位からのオクトレオチドの遅延放出と一致した。ほとんどの測定点についてのSandostatin(登録商標)LAR20mgの平均濃度は、BLQまたはほぼBLQであった。2日目からの低レベルにより、デポー部位から循環へのオクトレオチドの遅延放出が示唆される。
薬物動態パラメーターの要約を表6−4に示す。
Figure 2008524235
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後のオクトレオチド吸収に遅延時間が存在しないが、SandostatinLAR(登録商標)20mgの処置後には0.50時間の遅延時間の中央値および144.00時間の最大値が存在していた。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の3.0時間および312.0時間の期間中央値で、それぞれ38.4ng/mLおよび1.9ng/mLの平均ピーク血漿オクトレオチド濃度を達成した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のより高く且つより早いCmax値は、オクトレオチドの初期バースト/パルス送達に起因した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの平均AUC0〜t値は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの5倍を超えることが見出され、新規の製品を有するオクトレオチドへの曝露がより高いことを示す。注射直後のオクトレオチドのバースト効果を、2つの製品のAUC0〜24の間の相違で示す(ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgについては353.2±142.4ng/mLおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgについては1.8±4.1ng/mL)。
6.3 薬力学の結果
平均(+SD)血清IGF−1濃度−時間プロフィール(0〜14日目)および(14〜70日目)を、図16に示す。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後、平均IGF−1濃度は、投与前の〜約95ng/mLから7日目の〜約50ng/mL(ベースラインから約50%変化)に減少し、その後、平均濃度は徐々に増加し、49日目に投与前レベル付近まで戻った。SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の平均IGF−1濃度は、投与前の〜約80ng/mLから14日目の〜約50ng/mL(ベースラインから約38%変化)の最小レベルに減少し、その後、56日目に投与前レベル付近まで戻った。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のIGF−1の分泌阻害は、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して規模が大きいようであった。
6.4 統計結果
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgについての薬物動態パラメーター(Cmax、AUC0〜t、およびtmax)の統計的分析の比較を、以下の表6−5に示す。
Figure 2008524235
maxおよびAUC0〜tの90%CI処置比較に基づいて、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与により、SandostatinLAR(登録商標)20mg処置と比較して、オクトレオチド曝露が統計的に有意に高くなった。tmaxは、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgで統計的に有意により速いことが見出された。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの各測定点での薬力学パラメーター(IGF−1)の統計的分析の比較を、表6−6に示す。
Figure 2008524235
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後、IGF−1レベルは、4時間後、21、49、56、および70日目の名目上の(nominal)時間で、基準療法(SandostatinLAR(登録商標)20mg)より統計的に有意に高かった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与から24時間後および7日目のIGF−1レベルは、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後のIGF−1レベルと比較して、統計的に有意に低かった。従来の信頼区間アプローチに基づいた全ての他の統計的比較は、決定的でなかった。90%信頼区間は、生物学的等価試験についてFDAによって設定された下限または上限(80〜125%)のいずれかを超えた。
7.考察および総合的な結論
これは、健康な男性被験体におけるATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド1ヶ月デポーとSandostatin LAR(登録商標)1ヶ月デポー20mgとの薬物動態、薬力学、および安全性についての第1相、無作為、単回用量、非盲検の比較研究であった。本研究の主な目的は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgとSandostatin LAR(登録商標)20mgとの薬物動態学的特徴および薬力学的特徴を比較し、安全性および許容性を評価することであった。薬物動態学および薬力学を、オクトレオチドおよびIGF−1の血漿濃度によって評価し、安全性を、TSHの血漿レベル、総T、遊離T、空腹時のグルコース、インスリン、およびグルカゴン、胆嚢超音波、ECG、臨床検査の結果、生命徴候、ならびに有害事象のモニタリングによって決定した。
一般に、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチドおよびSandostatinLAR(登録商標)の投与は、本研究で被験体に十分に許容された。有害事象は、観察または時折の併用薬の投与以外の治療は必要なかった。被験体によっては、有害事象を完全に解決するために、計画された研究後の医学的評価を超えてより長期間追跡する必要があった。19人の被験体について、全部で101の治療中に発生したAEが報告された。61AE(総数の60.4%)がs.c.ATRIGEL(登録商標)20mgデポー処置後に10人の被験体で認められ、40AE(総数の39.6%)が、SandostatinLAR(登録商標)20mgデポーのi.m.投与後に9人の被験体で認められた。被験体19は、研究を通して、いかなるAEも報告されなかった。
最も一般的なAEは、注射部位に関連していた。16人の被験体の注射部位に23の紅斑が存在し、その強度は、軽度から中程度までの範囲であった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後に10人の被験体中で15症例が認められたのに対し、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後に6人の被験体中で8症例が認められた。ATRIGEL(登録商標)20mg投与後のほとんどのAEが中程度の強度であるのに対し(10人の被験体中で10AE)、SandostatinLAR(登録商標)20mgを使用したAEは1症例で中程度であった。10人の被験体でs.c.注射部位に触診できる塊も報告され、そのほとんどがATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後に報告された(8人の被験体中9AE)。局所許容性に関するAEは、いかなる全身の不調と関連しなかった。i.m.SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較したs.c.ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のより高い頻度の局所許容性AEは、投与の様式および位置に関連したかもしれない。
他の一般的に報告されているAEは、胃腸管への影響(下痢、腹部不快感、腹部膨満、鼓腸、および軟便)に関していた。これらは、オクトレオチドを使用した以前の研究から予想され、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の両処置でそれぞれ類似していた((6人の被験体中に12AE)および(7人の被験体中に11AE))。他の全身AEはまた、両処置について頻度が類似しているようであった。
ECG、生命徴候、胆嚢超音波評価、注射部位の評価、および内分泌腺プロフィールにおいて臨床的に有意な異常は認められなかった。臨床検査的測定は、反復の際または投与終了までもしくは遅くとも治療後に程なく正常に戻る未知の原因に起因する35の潜在的に臨床的に有意な変化を示した。胆嚢超音波評価により、各処置群にて類似の被験体数で胆泥が明らかとなった。しかし、70日目の研究後試験で全ての胆嚢は正常であった。注射部位の評価により、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後、被験体は35日後に紅斑の症状が完全に消失し、SandostatinLAR(登録商標)20mg処置については、常に7人を超える被験体の紅斑症状が存在しなかった。
いくつかの被験体について、TSH、総T、および遊離Tの各濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の特に早期に正常範囲未満であることが認められた。4人の被験体(そのうちの3人はATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与した)について、グルカゴンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与した被験体では、7日目またはそれ以前に、3/4の被験体のグルカゴンが正常範囲未満であった。これは、この処置由来のオクトレオチドの初期バーストに依存していたかもしれない。15人の被験体の51症例(ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与された被験体の57%(29/51)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgを投与された被験体の43%(22/51))で、インスリンが正常範囲未満に減少した。範囲を超えた全濃度は、研究後評価前に程なく正常に戻った。内分泌腺への効果はオクトレオチドを使用した前の研究から予想され、正常範囲外の逸脱がないことは、臨床的に有意であると考えられた。
38.4ng/mLおよび1.9ng/mLの平均ピーク血漿オクトレオチド濃度は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよびSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の3.0時間および312.0時間の中央値で達成された。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後のCmaxの規模および時間の相違は、オクトレオチドの初期バースト/パルス送達に起因していた。この効果は、AUC0〜24の値で比較すると、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgで約200倍であった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgについてのAUC0〜tの平均値は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの5倍を超えることが見出され、これは、新規の製品を有するオクトレオチドへの曝露の程度が改善されたことを示す。CmaxおよびAUC0〜tの比較に基づいて、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のオクトレオチドへの曝露は、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して統計的に有意に高いことが見出された。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の平均IGF−1濃度は、7日目にベースラインから約45ng/mL減少し(ベースラインから約50%変化)、その後、49日目に投与前レベル付近まで回復した。SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後の平均IGF−1濃度は、14日目にベースラインから約30ng/mL減少し(ベースラインから約38%変化)、その後、56日目に投与前レベル付近まで回復した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のIGF−1の分泌阻害は、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して規模が大きいようであった。IGF−1放出に対するATRIGEL(登録商標)のより高い効果は、新規のデバイスの注射後のオクトレオチドの初期バーストに関連し得る。ほとんどの測定点で、従来の信頼区間アプローチに基づいたIGF−1レベルの統計的比較は決定的でなかった。これらの結果により、2つの処置を使用して認められたIGF−1レベルに関して、決定的な結論が導かれるのにサンプルサイズが十分な規模でないことが示唆される。
最終結論
要するに、一般に、処置は十分許容されるものであった。研究中に、死亡および重篤な有害事象は認められなかった。全部で101の治療中に発生したAEが存在し、そのうちの80のAEが軽度であり、21のAEが中程度であった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与後に10人の被験体で61のAEが認められ、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後に9人の被験体で40のAEが認められた。最も一般的に報告されたAEは、注射部位の紅斑、注射部位の小結節、および下痢であった。
52AEは、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgに「確実に、恐らく、またはほぼ確実に」関連し、28AEは、SandostatinLAR(登録商標)20mgに「確実に、恐らく、またはほぼ確実に」関連していた。注射部位の紅斑は、最も一般的に報告されたAEであり、16人の被験体で23AEが処置に関連して起こり、これらの事象のうちの10人の被験体における15AEがATRIGEL(登録商標)20mg投与後に起こった。注射部位の小結節(全部で12AE)(ATRIGEL(登録商標)20mg投与後の8被験体で9AE)および下痢(全部で12AE)も処置後に一般的に報告されたAEであった。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後、被験体は、投与から35日後に紅斑が完全に消失した。研究を通して、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後に、常に7人を超える被験体の紅斑症状が存在しなかった。ECGまたは生命徴候において臨床的に有意な異常は認められなかった。
胆嚢超音波評価中に臨床的に有意な異常は同定されなかった。多数の被験体で胆泥が報告されたが、70日目の研究後試験で全ての胆嚢は正常であった。
TSHは、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の被験体のたった20%と比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgの投与前および3日目の被験体の80%で正常範囲未満であった。総T濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の0%と比較して、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与された3日目の被験体の30%で正常範囲未満であった。4人の被験体について、各グルカゴン濃度は、7日目またはそれ以前に50pg/mLの正常範囲未満に減少し、これらの被験体の30%(3/10)は、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与されていた。
15人の被験体の51症例で、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgを投与された被験体の57%(29/51)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgを投与された被験体の43%(22/51)でインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の18症例(29症例のうち)およびSandostatinLAR(登録商標)20mgでの治療後の10症例(22症例のうち)で、7日目またはそれ以前にインスリンが正常範囲未満に減少した。ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の事象数が多いかより早いほど、この処理後により高いオクトレオチドの初期濃度に関連したかもしれない。研究後評価前に程なく正常に戻る範囲を超えた全濃度および正常範囲外の逸脱がないことは、臨床的に有意であると考えられた。
臨床検査的測定は、反復の際または研究後評価前に程なく正常範囲内に戻る未知の原因に起因する33の潜在的に臨床的に有意な変化を示した。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の高く(38.4ng/mL)且つ初期(3.0時間)の値Cmaxは、投与時のオクトレオチドの初期バースト/パルス送達に起因していた。この効果は、AUC0〜24の値で比較すると、SandostatinLAR(登録商標)20mg処置と比較するとATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg処置が約200倍であった。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgについてのAUC0〜tの平均値は、SandostatinLAR(登録商標)20mgのほぼ5倍を超えることが見出され、これは、新規の製品を有するオクトレオチドへの曝露の程度が改善されたことを示す。CmaxおよびAUC0〜tの比較に基づいて、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後のオクトレオチドへの曝露は、SandostatinLAR(登録商標)20mgと比較して統計的に有意に高いことが見出され、tmaxも、ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgが統計的に有意に速く起こることが見出された。
ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mg投与後の平均IGF−1濃度は、SandostatinLAR(登録商標)20mg投与後のIGF−1濃度と比較して、ベースラインからより大きな規模(約12%高い)およびより急速に(7日間)で減少した。IGF−1に対するATRIGEL(登録商標)のより大きな効果は、オクトレオチドの初期バーストに起因し得る。しかし、ほとんどの測定点で、IGF−1レベルの統計的比較は決定的ではなく、2つの処置で認められたIGF−1レベルに関して決定的な結論が導かれるのにサンプルサイズが十分な規模でないことが示唆される。
8.表形式データ
8.1 実施例6のための表
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(実施例7)
ウサギの硝子体内(intravitreally)またはテノン下(sub−tenon)間隙に投与されたオクトレオチド/ATRIGEL(登録商標)徐放性処方物の評価
オクトレオチド(天然ホルモン(ソマトスタチン)と類似の薬理作用を有する長期作用型オクタペプチド)は、網膜および脈絡膜新血管形成の潜在的な治療薬である。高分子生分解性in situ形成埋没物(ATRIGEL(登録商標)処方物)は、オクトレオチドの徐放のために開発された。ウサギの眼の硝子体内またはテノン下間隙に投与された埋没物の許容性および後眼部へのオクトレオチドの放出を、本明細書中に報告する。
パートA:
方法:皮下組織中で90日の放出プロフィールを示した12%オクトレオチド/ATRIGEL処方物および等価なブランクATRIGEL処方物または生理食塩水を、ニュージーランド白ウサギの硝子体内(IVT)またはテノン下(ST)間隙に投与した。120日目までの眼圧のモニタリングおよび眼科試験によって許容性を評価した。組織病理学のために、注射から30、90、および120日後に眼球を回収した。異なる測定点で回収した眼組織および埋没物中のオクトレオチド濃度を、LC−MS/MSによって決定した。
処方物:本実施例で使用した処方物は、12%オクトレオチドを含む50%85/15%PLGHP0.27を含むNMPであった。オクトレオチドを含まないコントロール処方物も使用した。3ヶ月(3−mo)処方物を使用して、例えば、カルチノイド症候群および先端巨大症を処置した。
結果:30個の眼の10%で、オクトレオチド/ATRIGEL処方物およびブランクATRIGEL処方物の両方のテノン下注射は、結膜の腫脹および鬱血に関連しており、これらは1週間後に解決された。手順に関連する眼の10%未満の白内障を除いて、硝子体内投与後に副作用は認められなかった。オクトレオチド/ATRIGEL処方物は、皮下注射後の20%と比較して、硝子体内およびテノン下投与後にそれぞれ18%および22%の24時間放出を示した。放出速度は、注射から45日後の硝子体内およびテノン下の埋没物から放出されたオクトレオチドの約50%および75%で、ゼロ次速度過程に適合していた。生体分布の結果は、網膜および脈絡膜中のオクトレオチド濃度が硝子体内投与後に類似するのに対して、網膜濃度はテノン下埋没物を使用した眼内脈絡膜中の濃度の約10倍であることを示した。
結論:ATRIGEL送達系は、眼内で十分に許容され、オクトレオチドを網膜および脈絡膜に有効に送達させることができる。硝子体内またはテノン下埋没物からのオクトレオチド放出は、皮下埋没物で認められた放出と一致した。
パートB:
注射手順:投与のために以下のように眼を調製した。投与の約20分前に、眼を、1〜2滴の1%トロピカミドおよび1〜2滴の2.5%塩酸フェニレフリンで希釈した。投与の約5分前に、眼を、眼科用Betadine溶液で湿らせた。5分後、滅菌生理食塩水を用いてBetadineを眼から洗い流した。0.5%塩酸プロパラカイン(1〜2滴)を、各眼に送達させた。
硝子体内投与手順:1日目に、処置群の表に記載のように、各眼に、25μLの被験物質、コントロール物質、または生理食塩水を硝子体内注射した。テフロン(登録商標)プランジャおよび25ゲージの鋭い金属ハブニードルを備えたHamilton50μLガラスシリンジを使用して、硝子体内注射した。各注射について、ニードルを、レンズを避けるためにニードルの斜面を下および後方に向けながら、背側直筋に対して側頭側(角膜輪部よりも約2〜3mm後方)の結膜部位から導入した。被験物質およびコントロール物質を、硝子質のほぼ中央に単回ボーラスで注射した。注射後にニードルを回転させながらニードルを除去した。
テノン下の投与手順:1日目に、処置群の表(表7−1)に記載のように、適切な眼に、被験物質(オクトレオチドATRIGEL(登録商標))または2つのコントロール物質(0.9%NaClまたはATRIGEL(登録商標))のうちの1つを含む100μLのテノン嚢下注射を行った。テフロン(登録商標)プランジャおよび尖っていない湾曲した22ゲージのテノン下カニューレを備えたHamilton250μLガラスシリンジを使用して注射した。各注射のために、20ゲージの鋭いニードルを用いて、四分円の背側側頭側の角膜輪部の3mm後部および背側直筋付着部の側頭側に合わせ穴を作製し、医師は、埋没物が視神経付近の強膜の後面に配置されるように、テノン下間隙の後方にカニューレを誘導した。
全ての注射後、投与前後のシリンジの重量を記録した。注射時間も記録した。被験物質を、異なる測定点で適切な眼から外植し、20mLのシンチレーションバイアルに入れ、−70℃で保存し、下記のように処理した。
OTCA Atrigel(登録商標)処方物の抽出方法:
1)OTCA/ATRIEL(登録商標)埋没物を、ラベル付シンチレーションバイアルに回収した。2)回収した埋没物を、冷凍庫で−70℃にて少なくとも1時間凍結させた。3)一旦凍結されると、サンプルを、少なくとも4時間または乾燥するまで凍結乾燥させた。4)溶解を補助するために、抽出前にサンプルを細かく切り刻んだ。5)5mLの抽出溶液(70:30のDMSO:メタノール+1%PEI)を、マイクロピペットを使用して各サンプルに添加した。6)全サンプルを、オービタルシェーカーにて37℃で一晩混合した(200rpm)。7)一晩のインキュベーション後、サンプルを、室温で10分間超音波処理した。8)全サンプルを、孔サイズが0.2μmの膜による濾過によって明澄化した。9)1mLの濾過物を、4mLの希釈溶媒(1:1 ACN:水)で希釈した。10)相分離が認められなくなるまでサンプルをボルテックスした。11)希釈した抽出物を、孔サイズが0.2μmの膜によって濾過し、HPLCバイアルに直接入れ、蓋をした。12)全抽出物を、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって、オクトレオチド含有量について分析した。
(HPLC法および条件)
Figure 2008524235
皮下注射後のオクトレオチドAtrigel(登録商標)の24時間放出(比較のため)
図19は、オクトレオチドATRIGEL(登録商標)SC注射の重量分布を示す。図20は、SC埋没物からのオクトレオチドATRIGEL(登録商標)の持続放出を示す。表7−2は、SC注射後のATRIGEL(登録商標)埋没物からのオクトレオチドの持続放出の結果を示す。
Figure 2008524235
ニュージーランド白ウサギにおけるIvtまたはテノン下注射後のオクトレオチドの分布および安全性の4ヶ月にわたる評価
図21は、IVTおよびST埋没物からのオクトレオチドATRIGEL(登録商標)の放出結果を示す。表7−3は、対応する研究結果を示す。
Figure 2008524235
(実施例8)
OTCAの皮下サイズ対バースト
本研究のために以下の「1ヶ月」処方物を使用した:12%OTCAを含む20%85/15PLGHp(InV0.27)、30%の50/50PLGH(InV0.30)を含むNMP。100μLのHamiltonシリンジおよび19Gの特殊な薄肉ニードルを全注射のために使用した。埋没物サイズ:100μL、50μL、25μL、10μL。
表8−1は、異なる埋没物サイズについてのバースト率を示す。
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(実施例9)
オクトレオチド処方物
オクトレオチドを、いくつかの異なる方法によって患者に送達させることができる。徐放性処方物中でオクトレオチドを送達することができるいくつかの処方物を本実施例に記載する。表9−1は、臨床研究のための7つのオクトレオチド処方物を特定する。
Figure 2008524235
表9−2は、7つのオクトレオチド処方物のための送達系成分を列挙している。これらの各送達系を、同一様式で調製する。ポリマーおよびN−メチル−ピロリドン(NMP)を正確な比率で秤量し、溶液が形成されるまで撹拌する。次いで、溶液を、充填重量を厳格に制御しながらメスルアーロック末端を有するシリンジに充填する。次いで、このシリンジを、パウチまたはトレイなどの第2のパッケージに入れ、密封する。
Figure 2008524235
次いで、パッケージしたシリンジを、γ線照射によって滅菌する。典型的には、18〜28キログレイの線量でこれを行う。線量は、所望の滅菌が保証されるのに十分でなければならないが、この線量を使用して認められる分子量よりもポリマーの分子量が減少するほど高くてはならない。最終パッケージは、その成分の無菌を維持し、パッケージ内への水の移行を制限しなければならない。
表9−3は、同一の7つのオクトレオチド処方物のための薬物シリンジの成分を列挙する。これらの各薬物シリンジを同一様式で調製する。酢酸オクトレオチドおよびクエン酸の大量の水溶液を調製する。溶液を濾過滅菌し、(充填重量を厳格に制御しながら)オスルアーロック末端を有するシリンジバレルに充填し、蓋をする。次いで、充填したシリンジを凍結乾燥させて、シリンジ中の乾燥ケーキが得られる。シリンジに栓をする。濾過から栓をするまでの全工程を無菌で行って、シリンジの内容物を確実に無菌にする。次いで、充填したシリンジを、パウチまたはトレイなどの第2のパッケージに入れ、密封する。
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表9−4は、7つの処方物についての患者に送達することができる名目上の成分を列挙している。これは、薬物シリンジと送達シリンジとの連結および実際の処方物を構成させるためのシリンジ成分の前後通過の結果である。生成物を、オスルアーロック末端を有するシリンジ中に保持し、シリンジを切り離す。次いで、シリンジにニードルを取り付け、シリンジ成分を皮下注射することができる。材料がシリンジ中およびニードル中に保持されるので、材料の総送達量は、充填したシリンジ中の量よりも少ないであろう。
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処方物GのためのポリマーはBoehringer Ingelheim製であり、モノマー含有量が非常に低くなるように製造者によって精製されていた。全ての他のポリマーを、メタノール中でのジクロロメタンの沈殿によって精製する。これらのポリマーを、QLT USAによって合成し、精製する。
(参考文献)
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本明細書中に引用または言及した全ての特許および刊行物は、本発明の当業者のレベルを示し、それぞれのこのような引用した特許または刊行物は、その全体が個別に参考として援用されているかその全体が本明細書中に記載されているのと同一の範囲で本明細書中で参考として援用される。出願人は、任意のこのような引用特許または刊行物由来の任意および全ての材料および情報を本明細書に物理的に組み込む権利を留保する。
本明細書中に記載の特定の方法および組成物は、好ましい実施形態の代表および例示であり、本発明の範囲を制限することを意図しない。当業者によって本明細書を検討し、他の目的、態様、および実施形態が得られ、これらは、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神の範囲内である。本発明の範囲および精神を逸脱することなく、本明細書中に開示の発明に対する種々の置換形態(substitution)および修正形態を得ることができることが当業者に容易に明らかである。本明細書中に本質的に特に開示されていない任意の要素または制限の不在下で、本明細書中に例として記載した発明を適切に実施することができる。本明細書通に例として記載した方法および過程を、工程の異なる順序で実施することができ、本明細書中または特許請求の範囲に示した工程の順序に必ずしも制限されない。
図1:ラットにおける皮下注射後のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の84日放出プロフィールを示す図である。黒塗り円・・・群I:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(45% 65/35PLG(InV0.36)および55%NMP);灰色の円・・・群II:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(50% 85/15PLGH(InV0.25)および55%NMP);灰色の逆三角形・・・群III:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(25% 85/15PLGH(InV0.25)+25% 85/15PLG(InV0.25)および50%NMP);および黒塗り逆三角形・・・群IV:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(30% 85/15PLGH(InV0.25)+20% 65/35PLG(InV0.36)および50%NMP)。 図2:ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の皮下注射後のラットにおけるオクトレオチドの平均血漿レベル(群IおよびII)を示す図である。黒塗り円・・・群I:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む45% 65/35PLG(InV0.36)/55%NMP;および白抜き円・・・群II:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む50% 85/15PLGH(InV0.25)/50%NMP。 図3:ATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の85日放出プロフィールを示す図である。黒塗り円・・・群I:12%オクトレオチド+クエン酸を含む50% 85/15PLGH(InV0.25);灰色の逆三角形・・・群II:15%オクトレオチド+クエン酸を含む50% 85/15PLGH(InV0.25);灰色の四角形・・・群III:12%オクトレオチド+クエン酸を含む20% 85/15PLGH(InV0.25)+30% 65/35PLG(InV0.37);白抜き菱形・・・群IV:12%オクトレオチド+クエン酸を含む30% 85/15PLGH(InV0.25)+20% 65/35PLG(InV0.37);黒塗り三角形・・・群V:12%オクトレオチド+クエン酸を含む35% 85/15PLGH(InV0.25)+15% 65/35PLG(InV0.37);および灰色の円・・・群VI:12%オクトレオチド+クエン酸を含む30% 85/15PLGH(InV0.25)+20% 50/50PLGH(InV0.30)。 図4:ラットにおける血漿オクトレオチドレベル(群IおよびII)を示す図である。黒塗り円・・・群I:12%オクトレオチド+クエン酸を含む50% 85/15PLGH(InV0.25)/50%NMP;および白抜き円・・・群II:15%オクトレオチド+クエン酸を含む50% 85/15PLGH(InV0.25)/50%NMP。 図5:ラットにおける皮下投与後のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の99日放出プロフィールを示す図である。黒塗り円・・・群I:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(50% 85/15PLGH(InV0.27)/50%NMP);灰色の円・・・群II:13.5%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(50% 85/15PLGH(InV0.27)/50%NMP);灰色の逆三角形・・・群III:15%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(50% 85/15PLGH(InV0.27)/50%NMP);および基準。 図6:ラットにおける皮下投与後のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の薬物動態プロフィールを示す図である。黒塗り円・・・群I:12%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(50% 85/15PLGH(InV0.27)/50%NMP);灰色の円・・・群II:13.5%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(50% 85/15PLGH(InV0.27)/50%NMP);および灰色の逆三角形・・・群III:15%酢酸オクトレオチド+クエン酸を含む(50% 85/15PLGH(InV0.27)/50%NMP)。 図7:90mgのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を皮下注射したウサギにおける血漿オクトレオチド濃度を示す図である。黒塗り円・・・ウサギ1:ID番号3516;灰色の円・・・ウサギ2:ID番号3517;灰色の逆三角形・・・ウサギ3:ID番号3518;灰色の逆三角形・・・ウサギ4:ID番号3519;灰色の四角形・・・ウサギ5:ID番号3520;および黒塗り菱形・・・平均血漿レベル。 図8:90mgのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を皮下注射したウサギにおける血漿IGF−1レベルを示す図である。灰色の四角形・・・ウサギ1:ID番号3516;灰色の円・・・ウサギ2:ID番号3517;灰色の逆三角形・・・ウサギ3:ID番号3518;灰色の四角形・・・ウサギ4:ID番号3519;灰色の三角形・・・ウサギ5:ID番号3520;および黒塗り円・・・平均IGF−1レベル。 図9:90mgのATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物を皮下注射したウサギにおけるPKとPDとの間の相関関係を示す図である。黒塗り円・・・ウサギ平均オクトレオチドレベルおよび灰色の四角形・・・ウサギ平均IGF−1レベル。 図10:ラットにおける皮下注射後のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド処方物の放出プロフィールを示す図である。黒塗り円・・・群I:15%OCTAを含む50Alkermes修飾ポリマープロセス85/15PLGH(InV0.25);白抜き円・・・群II:15%OCTAを含む50% 85/15PLGH(InV0.25)Alkermes+1.4%CHCl;黒塗り逆三角形・・・群III:15%OCTAを含む50% 85/15PLGH(InV0.28)、Alkermes;白抜き逆三角形・・・群IV:15%OCTAを含む50% 85/15PLGH(InV0.27)、ATP;および黒塗り四角形・・・群V:15%OCTAを含む50% 85/15PLGH(InV0.25)、Alkermes;。 図11:本研究に参加した被験体の性質を示す図である。 図12:単回皮下用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび単回筋肉内用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの個別の被験体群への投与後の平均(+SE)TSH濃度−時間プロフィールを示す図である。 図13:単回皮下用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび単回筋肉内用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの個別の被験体群への投与後の平均(+SE)総T濃度−時間プロフィールを示す図である。 図14:単回皮下用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび単回筋肉内用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの個別の被験体群への投与後の平均(+SE)遊離T濃度−時間プロフィールを示す図である。 図15:単回皮下用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび単回筋肉内用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの個別の被験体群への投与後の平均(+SD)線形(0〜48時間)(図15(a))および(0〜35日)(図15(b))血漿オクトレオチド濃度−時間プロフィールを示す図である。 図16:単回皮下用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび筋肉内用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの個別の被験体群への投与後の平均(+SD)線形血清IGF−1濃度−時間プロフィール(0〜14日)(図16(a))および(14〜70日)(図16(b))血漿オクトレオチドを示す図である;薬力学データ。 図17:単回皮下用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび筋肉内用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の平均線形(図17(a))および対数−線形(図17(b))(+SD)血漿オクトレオチド(0〜48時間)プロフィールを示す図である;薬力学データ。 図18:単回皮下用量のATRIGEL(登録商標)/オクトレオチド20mgおよび筋肉内用量のSandostatinLAR(登録商標)20mgの投与後の平均線形(図18(a))および対数−線形(図18(b))(+SD)血漿オクトレオチドプロフィールを示す図である。 図19:ACF05−049オクトレオチドATRIGEL(登録商標)皮下注射の重量分布を示す図である。 皮下埋没物からのオクトレオチドATRIGEL(登録商標)放出の拡大を示す図である。 ACF05−036およびBTC(NP050812)由来の結果:IVTおよびST埋没物からのオクトレオチドATRIGEL(登録商標)の放出を示す図である。

Claims (31)

  1. 流動性組成物であって、
    (a)体液に少なくとも実質的に不溶性を示す生分解性熱可塑性ポリマー、
    (b)生体適合性極性非プロトン性有機液体、および
    (c)オクトレオチド
    を含む、流動性組成物。
  2. 前記有機液体が、アミド、エステル、炭酸塩、ケトン、エーテル、およびスルホニルからなる群から選択され、前記生体適合性極性非プロトン性液体が水性媒体または体液に不溶性から全ての比率での完全な溶解性までの範囲の溶解性を示す、請求項1に記載の流動性組成物。
  3. 前記生分解性熱可塑性ポリマーが1つまたは複数のヒドロキシカルボン酸のポリエステルであるか、1つまたは複数のジオールと1つまたは複数のジカルボン酸とを組み合わせたポリエステルである、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記ヒドロキシカルボン酸が二量体形態である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記ポリエステルが、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、そのコポリマー、そのターポリマー、またはその任意の組み合わせである、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記生分解性熱可塑性ポリエステルが、末端カルボキシル基を有する50/50、55/45、75/25、85/15、90/10、または95/5ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)であるか、末端カルボキシル基を持たない50/50、55/45、75/25、85/15、90/10、または95/5ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)であり、任意選択的に、該末端カルボキシル基を持たないポリエステルがジオールで伸長される、請求項3に記載の組成物。
  7. 前記生分解性熱可塑性ポリエステルが、前記組成物の約20重量%〜約90重量%または約30重量%〜約70重量%で存在し、任意選択的に、該生分解性熱可塑性ポリエステルの平均分子量が、約15,000〜約45,000ダルトン、好ましくは約20,000〜約40,000ダルトンである、請求項3に記載の組成物。
  8. 前記生体適合性極性非プロトン性液体が、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、カプロラクタム、トリアセチン、またはその任意の組み合わせであり、好ましくは、該生体適合性極性非プロトン性液体が、N−メチル−2−ピロリドンである、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記生体適合性極性非プロトン性液体が、前記組成物の約10重量%〜約90重量%で存在するか、好ましくは、該生体適合性極性非プロトン性液体が、該組成物の約30重量%〜約70重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記オクトレオチドが、前記組成物の約0.001重量%〜約10重量%で存在するか、好ましくは、該オクトレオチドが、該組成物の約1重量%〜約8重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
  11. 注射可能な皮下処方物であり、任意選択的に、体積が約0.20mL〜約2mLであるか、好ましくは、体積が約0.30mL〜約1mLである、請求項1に記載の組成物。
  12. 1ヶ月に約1回の投与のために処方されているか、好ましくは、3ヶ月に約1回の投与のために処方されているか、より好ましくは、4ヶ月に約1回〜6ヶ月に約1回の投与のために処方されている、請求項11に記載の組成物。
  13. 制御放出埋没物(implant)として使用するための流動性組成物を形成する方法であって、
    (a)水性媒体または体液に少なくとも実質的に不溶性を示す生分解性熱可塑性ポリマー、
    (b)生体適合性極性非プロトン性液体、および
    (c)オクトレオチド
    を任意の順序で混合する工程を含み、
    該混合を、制御放出埋没物として使用するための流動性組成物を形成するのに十分な期間行う方法。
  14. 前記生体適合性熱可塑性ポリマーおよび前記生体適合性極性非プロトン性液体を混合して混合物を形成させ、該混合物を前記オクトレオチドと混合して前記流動性組成物を形成する、請求項13に記載の方法。
  15. 患者の体内にin situで形成された生分解性埋没物であって、
    (a)請求項1に記載の組成物を該患者の体内に注射すること、および
    (b)生体適合性極性非プロトン性液体を消散させて(dissipate)、固体またはゲルの生分解性埋没物を生成すること
    を含む工程によって形成された、生分解性埋没物。
  16. 前記組成物が、有効量の生分解性熱可塑性ポリマー、有効量の生体適合性極性非プロトン性液体、および有効量のオクトレオチドを含み、前記固体埋没物が、患者の体内で該固体埋没物が生分解する時に、有効量のオクトレオチドを長期間放出し、任意選択的に、該患者がヒトである、請求項15に記載の生分解性埋没物。
  17. 生きている患者の体内にin situで生分解性埋没物を形成する方法であって、
    (a)請求項1に記載の流動性組成物を該患者の体内に注射する工程と、
    (b)生体適合性極性非プロトン性液体を消散させて、固体またはゲルの生分解性埋没物を生成する工程と
    を含む、方法。
  18. 前記固体生分解性埋没物が、前記患者の体内で該埋没物が生分解するにつれて、拡散、侵食、または拡散と侵食との組み合わせによって有効量のオクトレオチドを放出する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記オクトレオチドが塩の形態であり、該塩の対イオン(gegenion)が、薬学的に許容可能な有機酸または無機酸に由来するか、好ましくは、該対イオンが、ポリカルボン酸である、請求項1に記載の流動性組成物。
  20. 皮下注射された場合に組織壊死が最小である性質を有する、請求項1に記載の流動性組成物。
  21. キットであって、
    (a)体液および生体適合性極性非プロトン性液体に少なくとも実質的に不溶性を示す生分解性熱可塑性ポリマーを含む組成物を含む第1の容器、および
    (b)オクトレオチドを含む第2の容器
    を含み、任意選択的に、該第1の容器がシリンジであり、任意選択的に、該第2の容器がシリンジであり、任意選択的に、該オクトレオチドが凍結乾燥されており、任意選択的に、該キットが、さらに、説明書を含み、任意選択的に、該第1の容器を該第2の容器に接続することができるか、任意選択的に、該第1の容器および該第2の容器が、互いに直接接続されるようにそれぞれ構成されている、キット。
  22. 埋没物であって、
    (a)水性媒体または体液に少なくとも実質的に不溶性を示す生体適合性熱可塑性ポリマー、および
    (b)オクトレオチド
    を含み、該埋没物が、固体またはゲルの一体化構造を有する、埋没物。
  23. 前記埋没物が、固体またはゼラチン状のマトリックスを有し、該マトリックスが、表皮に取り囲まれたコアである、請求項22に記載の埋没物。
  24. 前記埋没物が固体であり、且つ微小孔性である、請求項23に記載の埋没物。
  25. 体液に非常にわずかな可溶性から全ての比率での完全な可溶性までを示し、熱可塑性ポリエステルの少なくとも一部が少なくとも部分的に溶解する生体適合性有機液体をさらに含み、任意選択的に、該生体適合性有機液体の量が、前記埋没物の総重量の約5重量%未満であり、任意選択的に、該生体適合性有機液体の量が、経時的に減少する、請求項22に記載の固体埋没物。
  26. 前記コアが、直径約1〜1000ミクロンの孔を含み、任意選択的に、表皮が、該コアの孔の直径よりも小さい直径の孔を含み、任意選択的に、該表皮の孔が、該表皮が該コアと比較して機能的に非多孔質であるようなサイズである、請求項24に記載の固体埋没物。
  27. 実質的に線形である累積放出プロフィールを有する、請求項1に記載の流動性組成物。
  28. ソマトスタチン分泌過多、胃腸症候群に関連する不調(malcondition)、インスリン、グルカゴン、またはソマトトロピン経路の不均衡、機能亢進、機能低下に関連する不調、またはソマトトロピンまたはソマトスタチンの受容体機能に関連する不調を有する患者を処置する方法であって、少なくとも実質的に水不溶性を示す生分解性熱可塑性ポリマーおよび生体適合性極性非プロトン性有機液体と組み合わせた有効量のオクトレオチドを該患者に投与する工程を含み、好ましくは、該不調が、糖尿病、心血管不全または心血管の異常な活動(performance)、血管障害、カルチノイド症候群、ソマトスタチンまたはソマトスタチン受容体に関連する癌に関連するか、より好ましくは、該不調が、増殖性眼疾患、新生血管増殖性眼疾患、または糖尿病性眼疾患に関連する、方法。
  29. 糖尿病性網膜症患者の治療方法であって、患者に、少なくとも実質的に水不溶性を示す生分解性熱可塑性ポリマーおよび生体適合性極性非プロトン性有機液体と組み合わせた有効量のオクトレオチドを投与する工程を含む、方法。
  30. カルチノイド症候群患者の治療方法であって、患者に、少なくとも実質的に水不溶性を示す生分解性熱可塑性ポリマーおよび生体適合性極性非プロトン性有機液体と組み合わせた有効量のオクトレオチドを投与する工程を含む、方法。
  31. 前記不調の治療のために指定された別の公知の薬学的化合物との併用療法をさらに含む、請求項28に記載の患者の治療方法。
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