JP2008522637A - 細胞および/または組織培養における目的の生成物の増殖および合成を促進するペプチド画分 - Google Patents

細胞および/または組織培養における目的の生成物の増殖および合成を促進するペプチド画分 Download PDF

Info

Publication number
JP2008522637A
JP2008522637A JP2007546055A JP2007546055A JP2008522637A JP 2008522637 A JP2008522637 A JP 2008522637A JP 2007546055 A JP2007546055 A JP 2007546055A JP 2007546055 A JP2007546055 A JP 2007546055A JP 2008522637 A JP2008522637 A JP 2008522637A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
serum
medium
extract
culture
peptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007546055A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008522637A5 (ja
Inventor
アニー、マルク
ジャン‐ルイ、ジョルジェン
ベランジェール、ファルジュ‐アッダーニ
Original Assignee
ピエール、ファーブル、メディカマン
サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス)
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ピエール、ファーブル、メディカマン, サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) filed Critical ピエール、ファーブル、メディカマン
Publication of JP2008522637A publication Critical patent/JP2008522637A/ja
Publication of JP2008522637A5 publication Critical patent/JP2008522637A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/555Interferons [IFN]
    • C07K14/57IFN-gamma
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/04Preserving or maintaining viable microorganisms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/0018Culture media for cell or tissue culture
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/06Preparation of peptides or proteins produced by the hydrolysis of a peptide bond, e.g. hydrolysate products
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2500/00Specific components of cell culture medium
    • C12N2500/70Undefined extracts
    • C12N2500/76Undefined extracts from plants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2500/00Specific components of cell culture medium
    • C12N2500/90Serum-free medium, which may still contain naturally-sourced components
    • C12N2500/92Medium free of human- or animal-derived components

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

本発明は、細胞または組織培養培地の調製および/または補充に関する。特に、本発明は、ナタネ、とりわけナタネケークから単離されたペプチド画分を含む、無血清および/または無タンパク質細胞培養培地に関する。前記ペプチド画分を含む細胞培養物の製造方法およびその使用方法も開示される。

Description

発明の背景
本発明は、細胞または組織培養培地の補充の分野に関する。より詳細には、本発明は、ナタネ、特にナタネケークから単離されたペプチド画分を含む無血清および/または無タンパク質細胞培養培地に関する。本発明はまた、これらのペプチド画分を含んでなる細胞培養方法およびその使用方法にも関する。
生細胞の存在が知られるようになって以来、細胞培養の種類及び技法は増え続け、多様化し続けてきた。
当初、細胞培養には、血漿、血清または胚抽出物などの未定義の培地が使用されていた。最初に定義された培地が出現したのは1950年台半ばであり、この培地は、塩類およびグルコースのほかに、細胞が合成できなかった様々なアミノ酸やビタミン類を含んでいた。
より最近になって、与えられた全てのアミノ酸の中で、L−グルタミンが、主としてプリンおよびピリミジン合成を可能にするための、エネルギー源ならびに炭素および窒素源として重要な役割を担っていることが示された。しかしながら、第一の欠点は、グルタミンが遊離アミノ酸形態では安定でなく、アンモニウムイオンとピログルタミン酸とに分解する傾向を有するという点にある。穀物加水分解物の使用に基づく、この問題に対する解決策が、QUEST INTERNATIONALにより出願された特許出願WO96/26266によって提供されている。
一般に、細胞および組織、特に動物細胞は、栄養培地(基本または基礎培地と呼ばれる)内でin vitroで培養され、この栄養培地には5%〜20%の血清、一般にはウシ胎仔血清、すなわちFCSが補充される。
しかしながら、このような血清の使用には他の欠点、例えば、i)後に排除しなければならない動物タンパク質の導入、ii)真菌類、細菌類、ウイルス類またはプリオン類などの汚染物質の潜在的な導入、およびiii)変動的な品質および高い費用、がある。
更に、特に医薬品における牛海綿状脳症(BSE)の危険性を制限するために、国内外の法律は、動物起源の生成物の使用を近い将来禁止することを見込んでいる。
これらの欠点の中で、汚染物質の導入という危険性が最も問題であり、無血清培地、すなわちSFMの使用が促進されてきた。しかしながら、今日使用されるいくつかのSFMは依然として、ペプトンと、動物由来の加水分解物とを含有しており、故に、先に定義された汚染の危険性の点で完全には満足できるものではない。
動物起源の物質を含まないSFMに関し、それらは、一般にはタンパク質が豊富な出発材料、例えばコメ(WO98/15614;WO99/57246)またはコムギなどの穀物出発材料に由来する。使用される他の出発材料の例としては、ダイズ(WO01/23527;WO00/03000)、またはキュウリ(WO99/47648)も挙げられる。しかしながら、このような培地は、入手するのに比較的費用がかかり、一般には、食品用途などの他の用途で使用可能な高いタンパク質ポテンシャルを有する出発材料に由来する。故に、動物由来の生成物を全く含まず、かつ安価である、または最低限でもその価値がごく僅かでも活用されている、および/または活用可能である出発材料に由来する培地を開発することが必要とされている。
本発明は、血清を含まず、かつ初期タンパク質含量が低い植物出発材料から得られる培地を提案することによって、この従来技術の欠点を克服することを提案する。
より詳細には、本発明は、無血清in vitro細胞または組織培養培地を調製および/または補充するためのペプチド抽出物の使用であって、該抽出物が植物出発材料の連続分画によって得られるものであり、該植物出発材料がナタネ(rapeseed)からなるものである、使用に関する。
「無血清培地」との用語は、動物起源の血清、例えばFCS、FBS(ウシ胎仔血清)またはあらゆる類似の血清を含まない培地を意味すると理解するべきである。
今日、細胞培養から得られる大部分の生成物は、モノクローナル抗体、ウイルスおよび組み換えタンパク質である。産業的観点からすると、今日もっとも広く培養されている細胞は、組織からの細胞の他に、または毒物学における動物モデルの代わりとして、ハイブリドーマ、VERO細胞(アフリカミドリザル腎細胞)、BHK細胞(ベビーハムスター腎臓)、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣)、NS0細胞、またはバキュロウイルスに感染したツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞である。ハイブリドーマは、モノクローナル抗体生成細胞であり、一方、VEROおよびCHO細胞は、一般に、ウイルスまたは組み換えタンパク質の産生に用いられる。もちろん、この例示は何らの制限でもなく、本発明はいかなる種類の細胞に関連してもよい。
非制限的な例として、次の組織も挙げられる:軟骨、筋細胞、皮膚、骨細胞、腱、胚性細胞、人工器官。
本発明の第一の特徴は、まさに油生成植物、最も詳細にはナタネの使用に基づく。実際、今日まで使用されてきた穀物や他の出発材料とは違い、この種子は、特に、脂質が豊富であると共に、タンパク質が少ない。これらの理由により、当業者は、今まで、ナタネを使用して培地を調製しようとはしなかった。その理由は、この目的のためには、タンパク質が豊富な出発材料を優先的に使用することが必要であると認識されていたからである。
全く驚くべきことに、そして従来技術における先入観に反して、無血清および/または無タンパク質の培養培地を調製するためにナタネを使用することが可能であることが証明された。更に驚くべきことに、ナタネ由来のペプチド抽出物を含むこのような培地により、培養に付された細胞または組織の最終濃度が著しく増加するだけでなく、培養中の細胞により、1つ以上の目的分子の特定産生率が増大し得ることも証明された。
更に、このような細胞または組織の最終濃度の増加が、栄養学的効果のみに関連するものではないという事実も証明された。
好ましい態様によれば、本発明は、上述のような抽出物の使用に関し、前記ペプチド抽出物が、細胞または組織の濃度の増加、および/または前記細胞の寿命の延長、および/または1つ以上の目的分子の特定産生率に関する機能を発揮するものであり、該機能が、構成アミノ酸組成だけでなく、ペプチド形態での前記アミノ酸の組成によっても制約されることを特徴とする。
この特に好ましい効果は、基本組成の培地によって得られる効果との比較により立証された。基本組成とはすなわち、遊離アミノ酸からなると共に、本発明による抽出物ではアミノ酸がペプチド形態であるという事実を除き、本発明の主題であるペプチド抽出物の組成と全ての点において同一である組成である。この点は、後述の実施例によってより明確に立証される。
一般に、今まで使用されてきた培地は、エネルギー源として、ならびに炭素および窒素源として細胞が必要とする栄養素、特にアミノ酸を細胞または組織に与えることによって調製されてきたことが従来技術から明らかになる。これらのアミノ酸は、一般には培地中に、主として遊離アミノ酸形態で存在している。アミノ酸の中には、ジペプチドまたはトリペプチド形態のものも存在し、それ故、それらアミノ酸は液体培地中で十分に安定である(WO96/26266)。
本発明は、全く驚くべきことに、本発明の主題である、ナタネ由来の出発材料の連続分画によって得られるペプチド抽出物が、培養中の細胞または組織の増殖を促進し、それらを生存状態に保つことを助ける機能を発揮することを示している。実際、後述の実施例からより明らかになるように、各アミノ酸が同量の場合、細胞または組織の濃度の増大、より詳細には寿命の延長、および1つ以上の目的分子の特定産生率の増大が観察されるためには、各アミノ酸がペプチド形態であることが必要であると示された。本発明は、遊離アミノ酸量のみならず、ペプチド、好ましくはジ−、トリ−、テトラ−またはペンタペプチドの所定の組成にも基づいていると考えられる。
いかなる理論にも拘束されるものではないが、本発明の主題である抽出物は、増殖に関して積極的な役割を果たすだけでなく、アポトーシスの誘発の低減に関する役割をも担うようである。
別の態様によれば、本発明は、無タンパク質in vitro細胞または組織培養培地を調製および/または補充するためのペプチド抽出物の使用に関し、該抽出物は植物出発材料の連続分画によって得られるものであり、該植物出発材料はナタネからなるものである。
上述の無血清培地と同様に、上述のようなペプチド抽出物の使用は、前記ペプチド抽出物が、細胞または組織濃度の増加、および/または細胞の寿命の延長、および/または1つ以上の目的分子の特定産生率に関する機能を発揮するものであり、該機能が、構成アミノ酸組成だけでなく、ペプチド形態での前記アミノ酸の組成にも制約されることを特徴とする。
「無タンパク質」という表現は、タンパク質を全く含まない培地ではなく、動物起源のタンパク質を全く含まない培地を意味すると理解するべきである。この表現には、とりわけ、ADCF(動物由来成分を含まない(animal derived component free))または「動物タンパク質を含まない」という名称が包含される。
実際、タンパク質の存在は、一般に、細胞または組織の増殖に必要である。重要な点は、上述のように、動物起源のタンパク質が存在しないことである。このような培地により、動物起源である分子、またはこのような分子の一部による汚染のあらゆる危険性を、無血清培地よりもはるかに強く排除することができる。
好ましい実施態様によれば、本発明は上述のような使用に関し、前記使用は、植物出発材料がナタネケークからなることを特徴とする。
「ケーク」との用語は、油生成種実が油抽出の目的で処理されるときに得られる固形残渣を意味すると理解するべきである(Petit Larousse Illustre, 1989, page 975の定義)。故に、本発明の1つの利点は、使用する出発材料の費用が安いことにある。実際、ケークは、全ての油生成穀物において、油産業によって得られた(今まではあまり価値を与えられていなかった)副産物である。故に、本発明は、油産業廃棄物の価値を回復し、高めるための手法を提供する。
本発明の主題であるペプチド抽出物は、好ましくはナタネケークの加水分解によって得られる。このような抽出物を得るための分画法が開発されてきた。図1は、好ましい方法のフローシート図である。もちろん、当業者に明らかである本方法のいかなる修正も本発明の一部である。
より詳細には、本方法は、各々、以下の工程に相当する6つの連続する工程を含んでなる。
工程1:タンパク質抽出
本工程の目的は、ナタネタンパク質の濃縮物を製造し、ナタネタンパク質が豊富な出発材料(ナタネケーク中30%〜40%に対して、タンパク質物質70%〜80%(固形分比))を得ることである。
工程2:加水分解
本工程の目的は、前記タンパク質を加水分解し、ペプチドからなる溶液を得ることである。
ここでも、使用する方法は従来の方法である。アルカラーゼ(Alcalase(登録商標))は微生物起源の酵素調製物であり、これを使用すると、結果的に動物起源の生物学的要素が伝達される危険性がない(動物細胞に対して病原性のウイルス、プリオンなど)。加水分解時間:5時間、T°=60℃、pH=9、酵素濃度/基質濃度比=1/10。加水分解物の遊離アミノ酸含量:4質量%。
工程3:酸沈殿(pH4)
本工程は、加水分解物中に存在する「大きな」分子、本質的には大きなタンパク質およびペプチドを取り除くことを目的とし、それにより、後続のろ過工程中の目詰まりを低減することができる。
工程4:3kDaのカットオフ閾値を有する膜を用いた限外ろ過
本工程の目的は、3000Daよりも大きいサイズの分子(タンニンなどのフェノール化合物およびポリペプチド)を取り除くことにより、小ペプチドを回収することである。使用する方法は、加水分解物に含有される小ペプチドを富化するための従来の膜を使った方法である。
工程5:500Daのカットオフ閾値を有する膜を用いたナノろ過
この目的は、工程4の後に得られた小ペプチド溶液中の遊離アミノ酸量を低減し、同溶液を脱塩化することにより、混合物の浸透圧モル濃度を低減することである。従来の脱塩化法が使用される。塩濃度が80%低下することにより、工程5においてペプチドをそれらの電荷に応じてより良好に分画することができる。
工程6:1kDaのカットオフ閾値を有する膜を用いた限外ろ過
本工程は、小ペプチドをそれらのサイズおよび電荷に従って分画することを含む。
本工程は、植物加水分解物に含有されるペプチドをそれらのサイズおよび電荷に従って分画するための、限外ろ過膜の使用に基づくという意味において特に有利である。透過物(permeate)と比べ、本発明によるペプチド抽出物に相当する最終残留物(retentate)は、酸性アミノ酸を含有するペプチド含量がより高く、塩基性アミノ酸を含有するペプチド含量がより低い。
上述の方法は1つの実施態様の例証としてのみ記載したものであり、何らの制限を加えるものでもないことに留意すべきである。この実施態様におけるいかなる修正または改良も本発明の一部と考えるべきである。
本発明の主題であるペプチド抽出物をより十分に特徴付けるために、幾つかの試験およびアッセイを実施している。その詳細なプロトコルおよび結果を以下の実施例において提示する。しかしながら、本発明において使用されるペプチド抽出物は、少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%の窒素物質からなることを特徴とすることが明らかである。
「窒素物質」という表現は、本明細書では、アミノ酸からなるあらゆる物質を示すことを意図しており、アミノ酸は遊離形態であり得るか、またはペプチドもしくはタンパク質として結合され得る。
タンパク質含量が低い油生成植物、より詳細にはナタネからの窒素物質のこのような濃縮物は、上述の方法により得られる。この特徴は、培養培地を補充するための植物抽出物の大部分がはるかに低い窒素物質含量を有するという意味において、非常に有利である。例として、QUEST INTERNATIONALにより出願された特許出願(WO96/26266)に記載された穀物由来の抽出物は、ダイズ抽出物54%、コムギ抽出物75%およびコメ抽出物69%の各窒素物質含量を有する。
故に、本発明は、使用するペプチド抽出物の窒素物質含量が高いという点で、従来技術とは異なる。
更に、前記窒素物質は幾つかの遊離アミノ酸を含むが、主として非常に小さなペプチドからなることも本発明者らによって証明された。プロトコルおよび結果については、後述の実施例を参照されたい。
より詳細には、本発明による使用は、前記窒素物質が約50%〜約60%のペプチドからなるものであり、これらのペプチドが500ダルトン未満の分子サイズを有することを特徴とする。
一般に、500ダルトン未満のペプチドは、主にジ−、トリ−、テトラ−またはペンタペプチドの形態をなすことが認められる。実際、アミノ酸の平均モル質量は約150g/モルであり、最も低いモル質量はグリシンの75.1g/モルに相当し、最も高いモル質量はトリプトファンの204.2g/モルに相当する。
本発明の更なる態様によれば、前記使用は、前記窒素物質が約20%〜約30%のペプチドからなるものであり、これらのペプチドが500ダルトン〜1000ダルトンの分子サイズを有することを特徴とする。
やはり本発明の主題であるペプチド抽出物を特徴付けるために、前記抽出物の酸性アミノ酸含量が高いことが証明された。
故に、より詳細には、本発明は上述のような使用に関し、前記抽出物が20モル%〜40モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸ならびに/またはそれら各々のアミドを含むことを特徴とする。
最後に、本発明は、前記ペプチド抽出物が1質量%未満のフェノール化合物を含むことを特徴とする。
より詳細には、前記ペプチド抽出物は、以下の全アミノ酸組成を有する。
Figure 2008522637
上述の表に記載されたパーセンテージは平均であり、その測定方法は実施例において明確に詳述されている。様々な好ましい濃度も同実施例に例証される。
好ましい実施態様によれば、本発明による使用は、前記細胞が真核細胞、好ましくは動物細胞からなることを特徴とする。
好ましい真核細胞の非限定的な例として、当業界で使用される細胞、例えばCHO、BHK、NS0、PER C6、VERO、HEK293などの細胞が挙げられる。
別の態様によれば、本発明は、上述のようなペプチド抽出物を補充要素として使用することに限定されず、無血清培養培地にも関する。
より詳細には、本発明は、上述のようなペプチド抽出物の使用によって得られるか、またはそれを含む、無血清細胞または組織培養培地に関する。
上述のように、培養培地は、好ましくは所望の培養の種類に応じて選択された「基礎」培地からなり、これに、血清または加水分解物などの他の補充物が添加される。本発明の主題である培養培地は、添加された抽出物、すなわち、上述のような油生成植物、より詳細にはナタネに由来する抽出物の性質そのものによって区別される。
故に、使用される「基礎」培地は、所望の培養の種類によって異なる。非限定的な例としては、次の培地が挙げられる:RPMI(Roswell Park Memorial Institute)、MEM(最小必須培地(Minimum Essential Medium))、Iscove’s IMDM(Iscove’s Modified Dulbecco’s 培地)、Ham’s、NCTC、TC100、Graceなど。
実際、本発明による抽出物は溶液の形態で使用され、その溶液中、これら同ペプチド抽出物の濃度は、所望する培養の種類に応じて異なる。非限定的な例として、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)型細胞の培養の場合、好ましい濃度は、2g/l〜6g/l程度であり、好ましくは4g/lである。後述の実施例から明らかになるように、濃度が低いと十分ではなく、濃度が高いと細胞の増殖の阻害や、潜在的には細胞アポトーシスにつながる。
後述の実施例の場合、使用される参照培地は、RPMI 1640培地(SIGMA−ALDRICH)である。
1つの実施態様によれば、本発明による培地は、ビタミン類、無機塩類、遊離アミノ酸類、有機酸類および/または糖類をさらに含んでなる。
本発明はまた、細胞または組織のバルク培養のための、本発明による培養培地の使用も包含する。
本発明の別の態様によれば、血清を含まないだけでなく、タンパク質をも含まない、すなわち先に説明したように動物タンパク質をも含まない培養培地も包含される。
本発明の主題はまた、上述のようなペプチド抽出物の使用によって得られるか、またはそれを含む無タンパク質細胞または組織培養培地である。
無血清培地に関して上述したのと同様に、1つの実施態様によれば、本発明による無タンパク質培養培地も、ビタミン類、無機塩類、遊離アミノ酸類、有機酸類および/または糖類を含むことができる。
本発明はまた、細胞または組織のバルク培養のための、本発明による無タンパク質培養培地の使用も包含する。
別の実施態様によれば、本発明は、in vitro細胞または組織培養の方法に関する。本方法の実際の工程に関し、非限定的な例としては、i)非常に小さいスケールでの静置モード培養(96ウェルプレート)、ii)僅かに大きいスケールでの静的モード培養(25cm、75cmおよび175cm培養フラスコ)、そしてiii)大きなスケールでの攪拌モード培養(制御されたエルレンマイヤーフラスコ、スピナーおよび細胞培養器)が挙げられる。より詳細には、当業者に既知のあらゆる従来技法を用いて播種を行うことができる。
より詳細には、本発明は、血清を含まない培地におけるin vitro細胞または組織培養の方法に関し、植物出発材料の連続分画によって得られたペプチド抽出物を含む培地中に前記細胞または組織を播種することからなり、前記植物出発材料はナタネからなるものである。
1つの実施態様は、上述の分画法を実施することにより、列挙した特性を有する抽出物を得ることからなる。
より詳細には、本発明による方法は、前記出発材料がナタネケークからなることを特徴とする。
更に詳細には、本発明による方法は、前記抽出物が少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%の窒素物質からなることを特徴とする。
より詳細には、本発明による方法は、前記窒素物質が、500ダルトン未満の分子サイズを有する約50%〜約60%のペプチドからなることを特徴とする。
更に詳細には、本発明による方法は、前記窒素物質が、500ダルトン〜1000ダルトンの分子サイズを有する約20%〜約30%のペプチドからなることを特徴とする。
好ましくは、本発明による方法は、前記抽出物が、20モル%〜40モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに/またはそれら各々のアミドを含むことを特徴とする。
最後に、更に好ましくは、本発明による方法は、前記抽出物が以下の全アミノ酸組成を有することを特徴とする。
Figure 2008522637
上述のような培養培地と同様に、本発明の別の態様は、in vitro細胞または組織培養の方法に関し、該方法は無タンパク質培地内で行われる。
より詳細には、無タンパク質培地におけるin vitro細胞または組織培養の方法は、植物出発材料の連続分画によって得られたペプチド抽出物を含む培地中に前記細胞または組織を播種することからなり、前記植物出発材料はナタネからなるものである。
無血清培地内での培養方法と同様に、無タンパク質培地内での本培養方法は、前記出発材料がナタネケークからなることを特徴とする。
より詳細には、本発明による方法は、前記抽出物が少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%の窒素物質からなることを特徴とする。
更に詳細には、本発明による方法は、前記窒素物質が、500ダルトン未満の分子サイズを有する約50%〜約60%のペプチドからなることを特徴とする。
好ましくは、本発明による方法は、前記窒素物質が、500ダルトン〜1000ダルトンの分子サイズを有する約20%〜約30%のペプチドからなることを特徴とする。
更に好ましくは、本発明による方法は、前記抽出物が、20モル%〜40モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに/またはそれら各々のアミドを含むことを特徴とする。
より詳細には、本発明による方法は、前記抽出物が以下の全アミノ酸組成を有することを特徴とする。
Figure 2008522637
最後に、本発明の最終の態様によれば、有血清培地を本発明による培地に適応させることに関して、特に有利な特性が証明された。実際、当業者に既知の様々な理由、例えば、(i)遺伝子改変(トランスフェクション)により新たな細胞系が得られる、(ii)血清を含有する培地における凍結およびその後の解凍中の細胞生存率が高くなる、(iii)増殖が増大する、および(iv)せん断力に対する細胞の抵抗が大きくなる、などの理由により、有血清培地内で培養を開始し、程度の差はあるが迅速に、血清を含まない培地および/または無タンパク質培地内にこの培養物を移すことは有利であり得る。細胞がそれらの負荷となる、大半の場合にはそれらにとって致命的であるこのような変化に耐えるという困難を強いられるために、このような移行は実施するのが困難であることが知られている。このような負荷を回避するために、血清濃度が順に低下する培地内に細胞を徐々に移行して、新たな無血清培地に細胞を徐々に適応させる。このような期間は適応期間と呼ばれており、比較的長く、かつ単調である。
全く驚くべきことに、本発明者らは、本発明の主題であるペプチド画分を含有する無血清培地内に培養物を急激に移行しても、この負荷を回避することができることを示した。本発明のこの特性は、以下の実施例および図面から明らかになる。
故に、本発明は、有血清培地におけるin vitro培養を、無血清培地における培養に直接的に移行する方法に関し、該方法は、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、本明細書中に記載されるような無血清培地中に前記細胞および/または組織を直接的に播種することからなる。
更に別の有利な態様によれば、本発明は、有血清培地におけるin vitro培養を、無血清培地における培養に適応させる方法に関し、該方法は、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、血清濃度が順に低下する培地中に前記細胞および/または組織を段階的に播種することからなる。
本発明は、以下の4つの工程を含むことを特徴とする上述のような適応方法を包含する:
−工程1:有血清培地75%/無血清培地+ペプチド抽出物25%、
−工程2:有血清培地50%/無血清培地+ペプチド抽出物50%、
−工程3:有血清培地25%/無血清培地+ペプチド抽出物75%、および
−工程4:無血清培地+ペプチド抽出物100%。
別の態様によれば、本発明の主題は、有血清培地におけるin vitro培養を、無タンパク質培地における培養に直接的に移行するための方法であり、該方法は、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、本明細書で説明される無タンパク質培地中に前記細胞および/または組織を直接的に播種することからなる。
更なる実施態様によれば、本発明は、有血清培地におけるin vitro培養を、無タンパク質培地における培養に適応させるための方法であって、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、血清濃度が順に低下する培地中に前記細胞および/または組織を段階的に播種することからなる方法を包含する。
より詳細には、本発明による適応方法は、以下の4つの工程を含むことを特徴とする:
−工程1:有血清培地75%/無血清培地+ペプチド抽出物25%、
−工程2:有血清培地50%/無血清培地+ペプチド抽出物50%、
−工程3:有血清培地25%/無血清培地+ペプチド抽出物75%、および
−工程4:無血清培地+ペプチド抽出物100%。
最後に、最終の態様によれば、本発明の主題は、有血清培地におけるin vitro培養を、無タンパク質培地における培養に適応させるための方法であり、該方法は以下の工程を含んでなる:
−工程1: 本発明の主題である方法を実施する工程、
−工程2: 無血清培地から細胞および/または組織を回収する工程、ならびに
−工程3: 前記細胞および/または組織を無タンパク質培地中に直接的に播種する工程。
本発明の利点は、以下の実施例および図面によって証明される。
実施例1:本発明の主題であるペプチド抽出物を生成するための方法に関するプロトコル
後述のプロトコルは図1に例証されている。より詳細には、本実施例は、好ましい実施態様の1つに従って、全ての工程を繰り返し、それらの詳細を提供する。当業者に明らかな変形を本方法に導入してもよいことは明らかである。
工程1:ナタネタンパク質抽出物に関するプロトコル
本工程に関して行われるプロトコルを、下記のスキームに表す。
Figure 2008522637
使用する植物タンパク質は、脱油された工業用穀粉(meal)であり、これは油産業(Novance(フランス、コンピエーニュ(Compiegne)))からの残渣であり、35重量%の窒素物質を含有する。この基質から開始し、水酸化ナトリウムを用いた抽出およびタンパク質の等電pH(pH4)での酸沈殿により、タンパク質濃縮物を調製する(窒素物質75%)。
ナタネケークから濃縮物を得る方法により得られた総タンパク質収率は約28%である。
得られた濃縮物の組成は以下の通りである(表1を参照)。
Figure 2008522637
工程2:ナタネケークタンパク質濃縮物の加水分解に関するプロトコル
細菌起源の酵素調製物であるアルカラーゼ(Alcalase)2.4L(登録商標)を、酵素濃度/基質濃度比=1/10で使用する。
サーモスタットで温度調節された(60℃)攪拌反応器内で、アルカラーゼ(Alcalase)2.4L(登録商標)(NovoNordisk(デンマーク、バウスヴェア(Bagsvaerd)))の作用により、pHを調節しつつ(水酸化ナトリウムを添加することによってpH9を維持)、濃縮物を酵素的に加水分解する。28%の加水分解度(pHスタット技法)に相当する5時間の加水分解後、酵素の不活性化(90℃で10分間)により反応を停止させる。
工程3:酸沈殿(pH4)
次いで、工程2の最後で得られた加水分解物のpHを4まで低下させて、大きな分子を沈殿させ、上澄み中のペプチドを濃縮する。この新たな工程により、後続のろ過工程中の目詰まりの原因となる大きな分子を排除し、比較的小さなペプチドを濃縮することができる。
工程4:カットオフ閾値が3kDaである膜を用いた限外ろ過
本工程の目的は、3000Daよりも大きいサイズの分子を排除することによって、小ペプチドを精製することである(フェノール化合物+ポリペプチド)。
本プロセスは、3000g/モル未満の理論モル質量のペプチドを濃縮するために、従来の再生セルロース膜を使用する。
工程5:カットオフ閾値が500Daである膜を用いたナノろ過
本工程の目的は、工程4の後に得られた小ペプチド溶液中の遊離アミノ酸量を低減し、同溶液を脱塩化して、混合物の浸透圧モル濃度を低下させることである。
この分離工程は、ポリアミド/ポリスルホン複合フィルムからなる膜を用い、結果的に塩濃度が80%低下し、それにより、次の工程6において、電荷に応じたペプチドの分画がより良好に行われる。
工程6:カットオフ閾値が1kDaである膜を用いた限外ろ過
本目的は、小ペプチドをそれらのサイズおよび電荷に応じて分画することである。
それらのサイズだけでなく、電荷にも応じて、膜が使用される条件の関数として、工程5の後に回収したペプチドを分画するために、従来の再生セルロース膜を使用する。それらペプチドのモル質量は、理論的には500g/モル〜3000g/モルであるべきである。
本工程の実現により、2つの画分が生成される:
−理論的には1000g/モル未満のモル質量を有するペプチドを本質的に含有する透過物、
−この透過物と比較して、第一には酸性アミノ酸を含有するペプチド含量が高く、第二には塩基性アミノ酸を含有するペプチド含量が低い残留物。
本発明の主題であるペプチド抽出物は、上述のような方法を実施することによって得られた残留物からなる。
無論、修正も導入することができる。非限定的な例として、9の代わりに、工程5および6中にpHを4に調節するか、あるいは工程5を省くことも想定できる。
実施例2:本発明の主題である抽出物を特徴付けるために実施されるプロトコル
2.1 ケルダール法による窒素アッセイ
・試薬
−鉱化触媒(17% NaSO;1.5% CuSO.5 HO;1.5%塩類):Prolabo,22550−293
−1N HSO:Labosi A4715891
−35% H: Labosi,A4823251
−40% NaOH:Merck,191537
−HBO:Labosi,A4703851
・材料
−Vapodest 4 titramatic自動ケルダール装置:Gerhardt GmbH&Co.KG(ドイツ、ボン(Bonn))
−645 Multi−dosimat自動滴定システム:Metrohm(スイス、ヘリザウ(Herisau))
−Kjeldatherm(登録商標)KT 12 S 鉱化ブロック:Gerhardt GmbH&Co.KG(ドイツ、ボン(Bonn))。
・アッセイプロトコル
タンパク質含量は、ケルダール法によって測定された。このアッセイ方法は、有機窒素を、硫酸アンモニウム(NHSO形態をなす無機窒素へ転換することに基づくものである。本アッセイは、Vapodest 4Sを用いて自動的に行われる。各試料について、分析を二回行うことによって平均値を算出することができる。減算後、試料に実際含有される窒素全体の値を得るために、ブランクについてもアッセイを行うことが必要である。
結果は、以下の式に従って、質量による窒素濃度として表される:窒素量(g/l)=(V−V0)×N×14/E、
V:試料を滴定するのに必要なHSO容量(単位:ml)、
=ブランクを滴定するのに必要なHSO容量(単位:ml)、
N:HSO溶液力価(mol/l)、
E:試料のサイズ(単位:mgまたはml)。
タンパク質のパーセンテージは、これらタンパク質の窒素含量(16%)から算出されたナタネタンパク質の転換係数(6.25)それ自体を用いて得られる:タンパク質量=6.25×窒素量。本発明の主題である抽出物の%タンパク質が約90%であるということがこの計算から明らかになる(以下の表2を参照)。
2.2.ペプチドの酸加水分解およびアミノ酸のアッセイ
・試薬
−水中50%(w/v)のトリクロロ酢酸:Prolabo,20734.295
−クロロギ酸9−フルオレニルメチル(FMOC−C1):OSI,A4700.792
−アセトニトリル2.5mg/ml:Fluka,23184
−o−フタルアルデヒド(OPA):Fluka,79760
−3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA):Sigma,M−6750
−1mlの0.4Nホウ酸塩緩衝液(pH10.5)中、各化合物(OPAおよび3−MPA)10mg:Hewlett−Packard,5061−3339
−アミノ酸混合物の標準溶液:Sigma,AA−S−18
−2N NaOH溶液:Fluka,72071
−6N HCl:Labosi,A4715801
溶離液:
溶媒A:20mMの酢酸ナトリウム。0.024%(v/v)のトリエチルアミン(OSI,28 745.296)と0.5%(v/v)のテトラヒドロフラン(OSI,28 556.293)とを含有する3HO(OSI,27652.298)。この混合物を、酢酸(OSI,20 104.298)を用いてpH7.2に調節する。
溶媒B:酢酸を用いてpH7.2に調節された100mMの酢酸ナトリウム緩衝液(OSI,27 652.298)20%(v/v)、アセトニトリル40%(v/v)およびメタノール(Prolabo,20 865.322)40%(v/v)。
・材料
−0.22μmの単回用フィルタ:Schleicher&Schuell(ドイツ、ダッセル(Dassel))
−インキュベータモデル700:Memmert(ドイツ、シュワバッハ(Schwabach))
−Hypersil C18カラム:Interchim,H5 C18−20R(フランス、モンリュソン(Montlucon))
−HP 1090クロマトグラフィシステム:Hewlett Packard(米国、パロアルト(Palo Alto))。
・方法
ペプチド画分の酸加水分解を事前に行い、遊離アミノ酸の均一な混合物を得る。1gまたは1mlの試料をストッパー付き試験管内に置く。次いで、4mlの塩酸(6N)を添加し、試験管を密封する前に窒素雰囲気下に置く。その後、インキュベータ内で110℃にて24時間加水分解を行う。冷却後、4N水酸化ナトリウムを添加することにより、加水分解物をpHが約6になるように中和する。最終的に、0.22μmのシリンジフィルタで試料をろ過する。
酸加水分解の不利点は、トリプトファンを破壊すること、およびグルタミンとアスパラギンがグルタミン酸とアスパラギン酸にそれぞれ転換されることである。トリプトファン分析は、アルカリ加水分解後、イオン交換クロマトグラフィにより行うことができる(Hugli T.E. et al., 1972, Determination of the tryptophan content of proteins by ion exchange chromatography of alkaline hydrolysates, Ibid.,247,2828-2834)。ナタネ中のトリプトファン量がごく僅かであることを考慮し(Godon B., 1996, Les methodes courantes de laboratoire pour la separation et l’analyse des proteines vegetales [Current laboratory methods for the separation and analysis of plant proteins]. In: publisher Lavoisier. Proteines vegetales [Plant proteins], 65-80)、このアミノ酸は分析しない。グルタミンおよびアスパラギンに関し、それらの定量を、GlxおよびAsx(Glx=Gln+Glu,Asx=Asn+Asp)形態をなす対応する酸性アミノ酸と積分する。
・プロトコル
アミノ酸およびアラニル−グルタミンおよびグリシル−グルタミンジペプチドを、o−フタルアルデヒド(OPA)およびクロロギ酸9−フルオレニルメチル(FMOC)の存在下で誘導体化した後、逆相液体クロマトグラフィによりアッセイする。誘導体化の原理は以下の通りである。第1級アミノ酸をOPAおよび3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)の存在下に置き、UV範囲(338nm)において高度に蛍光性であると共に吸収性であるイソインドールを得る(Godel et al., 1992, Automated amino acid analysis using combined OPA and FMOC-C1 precolumn derivatization, LC-GC INTL., 5, 44-49)。
同じ原理に従って、FMOCの存在下で第2級アミノ酸を誘導体化し、UV範囲(262nm)において高度に蛍光性であると共に吸収性である誘導体を得る。検出閾値は、100pmol程度である。
Hewlett Packard HP 1090液体クロマトグラフィシステムを使用して、試料を自動的に誘導体化する。まず、3μlの試料を1.5μlの2N NaOHで中和し、完全に誘導体化する。次いで、全体を、6.0μlの0.4Nホウ酸塩緩衝液、2.5μlのOPA+3−MPA溶液および2.5μlのFMOC溶液と混合する。混合を15分間続けて誘導体化させる。最終的に、全体をHypersil C18分離カラム上に射出する。溶離溶媒は、100%の溶液A(17分間)、次いで40%の溶液Aと60%の溶液B(1分間)、および最後に100%の溶液B(7分間)から構成される。アミノ酸をそれらの極性に従って分離する。最も極性の高いものが分析開始時にカラムから分離し、最も極性の低いものが分析終了時に分離する。それらがカラムから分離すると、第1級アミノ酸およびジペプチドが338nmのUV検出器を用いて検出され、第2級アミノ酸が262nmのUV検出器を用いて検出される。総分析時間は25分である。
遊離アミノ酸量の測定は、酸加水分解工程が存在しないことを除いて、同じプロトコルに従って行われる。
試料分析前、17個のアミノ酸を0.25mM、0.5mMおよび2.5mMの各濃度で含有する3つの溶液を誘導体化し、2N NaOHで事前に中和することなく射出する。得られたプロファイルは、各アミノ酸についての標準範囲を確立するのに役立ち、これにより、ピーク積分後に試料に含有される各アミノ酸の濃度を測定することができる(Hewlett Packardシステム)。
2.3.固形分のアッセイ
試料(1g〜5g)を、一定質量が得られるまでインキュベータ内で105℃に保つことによって水分含量を測定した。
2.4.サイズ排除クロマトグラフィによるペプチドのサイズの測定
・材料
−SuperdexペプチドHR 10/30カラム(7000−200Da):Amersham Biosciences(スウェーデン、ウプサラ(Uppsala))
−0.22μmのMinisart RC 25フィルタ:Sartorius(ドイツ、ゲッティンゲン(Goettingen))
−真空ろ過装置、焼結ガラス漏斗SM 16309:Sartorius(ドイツ、ゲッティンゲン(Goettingen))
−BioCAD(登録商標)700クロマトグラフィシステム:Applied Biosystems(米国、フォスターシティ(Foster City))
−画分収集器モデル203B:Gilson(米国、ミドルトン(Middleton))
・方法
操作条件は以下の通りである:
−溶離剤:0.45μmでろ過したACN/HO/TFA(40/60/0.1−v/v/v)
−ヘリウムで脱気した溶媒:5ml/分
−溶離剤流速:0.6ml/分
−カラム温度:周囲温度(25℃)
−検出:214nmのUV
−射出容量:50μl
−分析時間:45分
カラムを、既知のモル質量のペプチドを用いて事前に較正する。モル質量の対数を残留時間の関数としてプロッティングすることにより、2つの直線が得られた。分子のモル質量(MM)と、カラム上でのそれらの残留時間との関係を測定することにより、様々な画分内に含有されるペプチドのサイズに応じた分布を画定することができる。
2.5.フェノール化合物のアッセイ
画分内のフェノール化合物量をシナピン酸当量として推定した。モル質量224g/モルのシナピン酸(Sigma,D 7927)を参照として使用した。その理由は、Naczk M. et al., 1992, Recovery of rapeseed tannins by various solvent systems, Food Chem., 45, 51-54によれば、シナピン酸が、ナタネケークに主として存在する(70%〜90%)フェノール酸であるからである。
検出波長が一定である(この場合は310nmであり、この酸についての最大吸収波長に相当する)ことを除いて、サイズ排除HPLCで使用されたものと同じクロマトグラフィ条件を使用して較正および測定を行った。(Sakakibara H. et al., 2003, Simultaneous determination of all polyphenols in vegetables, fruits and teas, J. Agric. Food Chem., 51, 571-581)。各画分におけるフェノール化合物の量は、シナピン酸当量のmg/固形分100gで表した。遊離フェノール化合物の含量は、較正曲線を確立するのに使用される標準のものと同じ残留時間(34分〜37分)を有するピーク下面積比を算出することによって推定した。
実施例2の結果を下記の表に示す。
ペプチド抽出物の窒素性物質およびフェノール物質の組成
(表2を参照)
Figure 2008522637
ペプチドサイズ分布(ペプチド物質全体に対する)
(表3参照)
Figure 2008522637
ペプチド抽出物のアミノ酸組成(3回の分析)
(表4参照)
Figure 2008522637
以下の実施例4〜9においてはいずれも、本文において特に指示のない限り、以下の培地においてCHO−C5細胞を用いて培養を行った:
参照培地(o)=RPMI 1640(Sigma)+BITS+ET+グルタミン;
目的の培地(Δ)=参照培地+本発明によるペプチド抽出物4g/l。
実施例3:滅菌ろ過の効果
使用する培養システムは、125mlのエルレンマイヤーフラスコ(Vu=25ml)からなる。
0.22μmでの滅菌ろ過により、1回(中抜きの記号)もしくは3回(塗りつぶした記号)滅菌した参照培地(o)または目的の培地(Δ)中で、CHO−C5細胞を培養した。
得られた結果を図2に示す。
0.22μmでのろ過を行っても、本発明によるペプチド抽出物の効果が低下しないことが後者から明らかになる。
実施例4:本発明によるペプチド抽出物の「凍結防止」効果
(表5を参照)
使用する培養システムは、静置培養フラスコからなる。
Figure 2008522637
本発明による抽出物の存在下で凍結された細胞の良好な回復が観察される。この特性は、実際、例えば保存や輸送のために細胞をしばしば凍結させ、次いで解凍するという意味において特に有利である。
実施例5:本発明による抽出物の濃度が最大細胞密度に及ぼす影響
使用する培養システムは、96ウェルプレート(Vu=200μl)からなる。Cellscreen装置(Innovatis)を用いて成長を行った。
得られた結果を図3に示す。
これらの結果は、4g/lの濃度が最良の結果をもたらすものであることを示している。濃度が高すぎると成長が阻害される。いかなる理論に拘束されることも望まないが、本発明者らは、阻害剤または毒性化合物の濃度が活性剤の好ましい効果を無効にし得るという仮説を提唱する。
実施例6:様々な細胞の適応に関するアッセイ
6.1.10%の血清を含む培地から、本発明による抽出物を含有する無血清培地への移行
使用した培養システムは、静置培養フラスコからなる。
6.1.1.VERO細胞(付着細胞)
使用した基礎培地はαMEMである。実施した適応は、急激な適応である。得られた結果を図4に示す。
曲線(Δ)で例証されるVERO細胞の連続継代培養(successive passage)は、本発明による抽出物の存在下での適応を表している。曲線(o)は、抽出物の不存在下での細胞の適応を示している。D0からD17まで、FCSを10%から1%へと低下させる。D17で、FCSを急激に取り除き、混合物(本発明によるペプチド抽出物、BITS、ET、Q)と交換する。D36で、BITSを取り除く。
得られた結果から、本発明によるペプチド抽出物の不存在下において適応が不可能であることが明らかになる(細胞は2継代(passage)以内に死亡する)。前記抽出物およびBITSの存在下では、細胞の適応は迅速である(第3継代で成長の回復)。この同抽出物の存在下、および動物タンパク質の不存在下(無タンパク質培地)では、適応はわずかに困難となるが、依然として可能である。
BITSおよびペプチド抽出物の存在下、および血清の不存在下で、VERO細胞は依然として接着性である。BITSを取り除くと、これらの細胞は依然として接着性ではあるが、その程度は低下する(トリプシン処理に必要な時間が大幅に低減される)。
6.1.2.ハイブリドーマ(懸濁細胞)
使用する基礎培地はRPMIである。
急激な適応
急激な適応の場合、FCSを混合物(ペプチド抽出物+BITS+ET+Q)と急激に置換すると、細胞死が迅速に観察される。
穏やかな適応
ハイブリドーマ細胞の連続継代培養が実施された。得られた結果を図5に示す。同図において、曲線(Δ)は、本発明による抽出物の存在下での適応を示し、曲線(o)は、本発明による抽出物の不存在下での細胞の適応を示す。D0からD17まで、FCSを10%から1%まで低下させる。D17からD35まで、FCSを徐々に取り除き、混合物(ペプチド抽出物、BITS、ET、Q)と交換する。D47で、BITSを取り除く。
得られた結果は、ペプチド抽出物の不存在下において適応が不可能であることを示している(細胞は、25%/75%混合物において2継代以内に死亡する)。抽出物およびBITSの存在下、および血清の不存在下で、ハイブリドーマは正しく適応する(第4継代で回復)。動物タンパク質(BITS)を取り除くと、細胞が直ちに死亡する。
6.1.3.CHO K1 dhfr (CHO DUXB11)(懸濁細胞)
使用した基礎培地は、αMEM+リボ核酸およびデオキシリボ核酸である。
急激な適応
ハイブリドーマ細胞の場合と同じ観察が報告される(データは示さず)。
穏やかな適応
CHO K1 dhfr細胞の数種の連続継代培養が実施された。得られた結果を図6に示す。同図において、曲線(Δ)は、ペプチド抽出物の存在下での適応を示し、一方、曲線(o)は、ペプチド抽出物の不存在下での細胞の適応を示す。D0からD12まで、FCSを10%から2%まで低下させる。D12からD40まで、FCSを徐々に取り除き、混合物(ペプチド抽出物、BITS、ET、Q)と交換する。D40で、BITSを取り除く。
これらの結果から、ペプチド抽出物の不存在下においては適応が不可能であることが明らかとなる(細胞は、25%/75%混合物において3継代内で死亡する)。ペプチド抽出物およびBITSの存在下、および血清の不存在下で、CHO K1細胞は正しく適応する(第1継代で回復)。動物タンパク質(BITS)を取り除くと、成長が緩慢になり、適応するのに時間がかかる(約6継代)が、前記適応は依然として可能である。
6.2.(参照の)無血清培地からの、ペプチド抽出物を含む無血清培地(目的の培地、または動物起源のタンパク質を含まない目的の培地)への移行
6.2.1.CHO C5の連続継代培養(懸濁細胞)
使用する培養システムは、静置培養フラスコからなる。CHO C5細胞の数種の連続継代培養を、参照培地(O)、目的の培地(Δ)および動物タンパク質を含まない目的の培地(x)において実施した。参照培地について得られた結果を図7Aに示す。目的の培地について得られた結果に関し図7Bに示す。
これらの図から、目的の培地に対する細胞の適応およびペプチド抽出物の好ましい効果が少なくとも7継代にわたって保持されることが明らかになる。同様に、動物タンパク質を含まない培地内での細胞の増殖により、少なくとも7継代にわたって参照培地に観察されるものと近似する細胞濃度が得られる。
本発明による無タンパク質培地は、細胞を維持するための常套の培地として使用可能であると結論付けることができ、細胞を(参照培地の場合の2日毎に代えて)3日毎に移行するだけでよいため一層そうである。
6.2.2.長期培養の動態(懸濁細胞)
使用した培養システムは500mlのスピナー(Vu=160ml)である。
事前適応なしに実施したCHO C5細胞培養の過程にわたる生細胞濃度の変化を図8に示す。より詳細には、同図は、参照培地(o)、BITSを含まない参照培地(−)、目的の培地(Δ)およびBITSを含まない目的の培地(x)における培養について例証している。
得られた結果から、参照培地は、動物タンパク質を取り除くと、もはや細胞を成長させないことが明らかに分かる。目的の培地によれば、最大濃度を事実上倍増させることができる。更に、培地の持続期間(生細胞が事実上完全に消滅する前)は3倍になる。
目的の培地は、動物タンパク質を取り除いても成長させることができる。動物タンパク質の不存在下、およびペプチド抽出物の存在下では、最大細胞濃度は向上しないが、培養物の寿命は、参照培地と比べて係数2だけ増大する。
実施例7:ペプチド抽出物がインターフェロンの特定産生率に及ぼす影響
使用した培養システムは、2リットルの細胞培養器(使用可能容量Vu=1.21)からなる。
図9は、参照培地(o)および目的の培地(Δ)内でのCHO C5細胞の成長動態を示す。
図10は、参照培地(o)および目的の培地(Δ)内での同CHO C5細胞によるIFN(γインターフェロン)産生の動態に関して示す。
最後に、図11は、参照培地(点線)および目的の培地(実線)内でのCHO C5細胞による特定のインターフェロン産生率を例証する。
→ペプチド抽出物が生細胞に与える好ましい効果は、反応器のスケールで確認される(3.3)。
→最終IFN産生の大幅な増加(5.3)が認められる。
→この増加は、生細胞の増加だけでなく、特定産生率の増大(最大値が事実上倍増)の組み合わせた結果であり得る。
実施例8:構成アミノ酸組成だけではなく、ペプチド形態をなす前記アミノ酸の組成にも関連する機能の実証
使用する培養システムは、500mlのスピナー(Vu=160ml)からなる。
図12は、スピナー、参照培地(o)、遊離アミノ酸を補充した参照培地(x)および目的の培地(Δ)内で培養されたCHO C5生細胞の動態を表す。遊離アミノ酸は、ペプチド抽出物に存在する全アミノ酸に相当する(ペプチドおよび遊離形態)。
ペプチド抽出物に存在するペプチド形態のアミノ酸と同じ比率でアミノ酸を添加しても、生細胞濃度を増加することはできない。一方、培養物の寿命に関する好ましい効果が認められる。個々のアミノ酸の組成は、使用するペプチド抽出物のペプチド混合物の組成と同等であり、細胞を生存状態に保つことに寄与する(3 参照培地との比較)。
ぺプチド抽出物は、生細胞母集団の倍増により、その量を増加させるだけでなく、細胞の生存率も向上させる(この場合に得られた最大細胞濃度を基準点として用いると、参照培地+遊離アミノ酸に比して時間が50%長くなる)。これらの結果は、全体的なアミノ酸組成のみに関連する効果によってのみ生じるのではないようである。それらは、本発明によるペプチド抽出物における特定の組成を有する幾つかのペプチドの存在に起因する「成長因子」効果によっても得られる。
図1は、本発明によるペプチド抽出物を得るための方法の実施態様のフローシートである。 図2は、本発明による抽出物に対する滅菌ろ過の効果を示す。 図3は、本発明による抽出物の濃度が最大細胞密度に及ぼす影響を、ヒストグラム形式で示す。 図4は、有血清培地から、本発明の抽出物を含む無血清培地および無タンパク質培地への、VERO細胞の適応を例証する。 図5は、有血清培地から、本発明による抽出物を含む無血清培地への、ハイブリドーマ型細胞の適応を例証する。 図6は、有血清培地から、本発明の抽出物を含む無血清培地および無タンパク質培地への、CHO K1 dhfr細胞の適応を例証する。 図7Aは、無血清培地から、本発明による抽出物を含む無血清培地および無タンパク質培地への、CHO C5細胞の適応を例証する。 図7Bは、無血清培地から、本発明による抽出物を含む無血清培地および無タンパク質培地への、CHO C5細胞の適応を例証する。 図8は、CHO C5細胞の長期培養過程にわたる生細胞の濃度変化を示す。 図9は、本発明による抽出物が、培養されたCHO C5細胞によるインターフェロンの特定産生率に及ぼす影響を例証する。 図10は、本発明による抽出物が、培養されたCHO C5細胞によるインターフェロンの特定産生率に及ぼす影響を例証する。 図11は、本発明による抽出物が、培養されたCHO C5細胞によるインターフェロンの特定産生率に及ぼす影響を例証する。 図12は、本発明による抽出物の機能が、構成アミノ酸組成だけではなく、ペプチド形態での前記アミノ酸の組成にも関連することを実証する。

Claims (38)

  1. 無血清in vitro細胞または組織培養培地を調製および/または補充するためのペプチド抽出物の使用であって、該抽出物が植物出発材料の連続分画によって得られるものであり、該植物出発材料がナタネからなるものである、使用。
  2. 無タンパク質in vitro細胞または組織培養培地を調製および/または補充するためのペプチド抽出物の使用であって、該抽出物が植物出発材料の連続分画によって得られるものであり、該植物出発材料がナタネからなるものである、使用。
  3. 前記ペプチド抽出物が、細胞または組織濃度の増加、および/または前記細胞の寿命の延長、および/または1つ以上の目的分子の特定産生率に関する機能を発揮するものであり、該機能が、構成アミノ酸組成だけでなく、ペプチド形態での前記アミノ酸の組成にも制約されるものである、請求項1または2に記載の使用。
  4. 前記植物出発材料がナタネケークからなるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 前記ペプチド抽出物が、少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%の窒素物質からなるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
  6. 前記窒素物質が、500ダルトン未満の分子サイズを有する約50%〜約60%のペプチドからなるものである、請求項5に記載の使用。
  7. 前記窒素物質が、500ダルトン〜1000ダルトンの分子サイズを有する約20%〜約30%のペプチドからなるものである、請求項5または6に記載の使用。
  8. 前記抽出物が、20モル%〜40モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに/またはそれら各々のアミドを含むものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記ペプチド抽出物が、1質量%未満のフェノール化合物を含むものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
  10. 前記ペプチド抽出物が、以下の全アミノ酸組成:
    Figure 2008522637
    を有するものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
  11. 細胞を培養するための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用であって、前記細胞が、真核細胞、好ましくは動物細胞からなるものである、使用。
  12. 請求項1および3〜11のいずれか一項に記載のペプチド抽出物の使用によって得られる、無血清細胞または組織培養培地。
  13. ビタミン類、無機塩類、遊離アミノ酸類、有機酸類および/または糖類をさらに含んでなる、請求項12に記載の培養培地。
  14. 細胞または組織のバルク培養のための、請求項12または13に記載の培養培地の使用。
  15. 請求項2〜11のいずれか一項に記載のペプチド抽出物の使用によって得られる、無タンパク質細胞または組織培養培地。
  16. ビタミン類、無機塩類、遊離アミノ酸類、有機酸類および/または糖類をさらに含んでなる、請求項15に記載の培養培地。
  17. 細胞または組織のバルク培養のための、請求項15または16に記載の培養培地の使用。
  18. 血清を含まない培地におけるin vitro細胞または組織培養の方法であって、植物出発材料の連続分画によって得られるペプチド抽出物を含む培地中に前記細胞または組織を播種することからなり、前記植物出発材料がナタネからなるものである、方法。
  19. 前記植物出発材料がナタネケークからなるものである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記抽出物が、少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%の窒素物質からなるものである、請求項18または19に記載の方法。
  21. 前記窒素物質が、500ダルトン未満の分子サイズを有する約50%〜約60%のペプチドからなるものである、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記窒素物質が、500ダルトン〜1000ダルトンの分子サイズを有する約20%〜約30%のペプチドからなるものである、請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記抽出物が、20モル%〜40モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに/またはそれら各々のアミドを含むものである、請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記抽出物が、以下の全アミノ酸組成:
    Figure 2008522637
    を有するものである、請求項18〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 無タンパク質培地におけるin vitro細胞または組織培養の方法であって、植物出発材料の連続分画によって得られるペプチド抽出物を含む培地中に前記細胞または組織を播種することからなり、前記植物出発材料がナタネからなるものである、方法。
  26. 前記植物出発材料がナタネケークからなるものである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記抽出物が、少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%の窒素物質からなるものである、請求項25または26に記載の方法。
  28. 前記窒素物質が、500ダルトン未満の分子サイズを有する約50%〜約60%のペプチドからなるものである、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記窒素物質が、500ダルトン〜1000ダルトンの分子サイズを有する約20%〜約30%のペプチドからなるものである、請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記抽出物が、20モル%〜40モル%のアスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに/またはそれら各々のアミドを含むものである、請求項25〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記抽出物が以下の全アミノ酸組成:
    Figure 2008522637
    を有するものである、請求項25〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 有血清培地におけるin vitro培養を、無血清培地における培養へ直接的に移行するための方法であって、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、これを、請求項12または13に記載の培地中に直接的に播種することからなる、方法。
  33. 有血清培地におけるin vitro培養を、無血清培地における培養に適応させるための方法であって、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、これを、請求項12または13に記載の培地中に段階的に播種することからなり、該培地の血清濃度が順に低下するものである、方法。
  34. 以下の4つの工程:
    −工程1:有血清培地75%/無血清培地+ペプチド抽出物25%、
    −工程2:有血清培地50%/無血清培地+ペプチド抽出物50%、
    −工程3:有血清培地25%/無血清培地+ペプチド抽出物75%、および
    −工程4:無血清培地+ペプチド抽出物100%、
    を含んでなる、請求項33に記載の適応方法。
  35. 有血清培地におけるin vitro培養を、無タンパク質培地における培養へ直接的に移行するための方法であって、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、これを、請求項15または16に記載の培地中に直接的に播種することからなる、方法。
  36. 有血清培地におけるin vitro培養を、無タンパク質培地における培養に適応させるための方法であって、前記有血清培地から前記細胞および/または組織を回収し、これを、請求項15または16に記載の培地中に段階的に播種することからなり、該培地の血清濃度が順に低下するものである、方法。
  37. 以下の4つの工程:
    −工程1:有血清培地75%/無血清培地+ペプチド抽出物25%、
    −工程2:有血清培地50%/無血清培地+ペプチド抽出物50%、
    −工程3:有血清培地25%/無血清培地+ペプチド抽出物75%、および
    −工程4:無血清培地+ペプチド抽出物100%、
    を含んでなる、請求項36に記載の適応方法。
  38. 有血清培地におけるin vitro培養を、無タンパク質培地における培養に適応させるための方法であって、以下の工程:
    −工程1:請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法を実施する工程、
    −工程2:前記無血清培地から前記細胞および/または組織を回収する工程、ならびに
    −工程3:前記細胞および/または組織を、無タンパク質培地内へ直接的に播種する工程
    を含んでなる、方法。
JP2007546055A 2004-12-14 2005-12-14 細胞および/または組織培養における目的の生成物の増殖および合成を促進するペプチド画分 Pending JP2008522637A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR0413250A FR2879214A1 (fr) 2004-12-14 2004-12-14 Fractions peptidiques favorisant la croissance et la synthese de produit(s) d'interet en culture de cellules et/ou de tissus
PCT/EP2005/056782 WO2006064020A1 (fr) 2004-12-14 2005-12-14 Fractions peptidiques favorisant la croissance et la synthese de produit(s) d'interet en culture de cellules et/ou de tissus

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008522637A true JP2008522637A (ja) 2008-07-03
JP2008522637A5 JP2008522637A5 (ja) 2009-02-05

Family

ID=34954268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007546055A Pending JP2008522637A (ja) 2004-12-14 2005-12-14 細胞および/または組織培養における目的の生成物の増殖および合成を促進するペプチド画分

Country Status (14)

Country Link
US (2) US7993923B2 (ja)
EP (1) EP1824963A1 (ja)
JP (1) JP2008522637A (ja)
KR (1) KR20070107680A (ja)
CN (1) CN101084304A (ja)
AU (1) AU2005315612A1 (ja)
BR (1) BRPI0518634A2 (ja)
CA (1) CA2590693A1 (ja)
FR (1) FR2879214A1 (ja)
IL (1) IL183711A0 (ja)
MX (1) MX2007007154A (ja)
NO (1) NO20073483L (ja)
RU (1) RU2007126855A (ja)
WO (1) WO2006064020A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102533634A (zh) * 2012-02-22 2012-07-04 江阴剑桥生物技术有限公司 Cho细胞无血清无蛋白化学培养基
CN104560893B (zh) * 2015-01-30 2017-11-14 肇庆大华农生物药品有限公司 一种用于培养病毒的培养基及其制备方法
CN105548449A (zh) * 2016-01-21 2016-05-04 同济大学 一种沼液中游离氨基酸的检测方法
FR3123569B1 (fr) * 2021-06-07 2024-04-26 Lyster Hydrolysat de tourteau de colza, procédé de préparation et utilisation en alimentaire et en cosmétique notamment pour traiter le vieillissement cutané et dépigmenter la peau

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69608668T2 (de) * 1995-02-23 2001-02-01 Quest Int Peptide für gewebe- und zellkulturmedien
WO1999057246A1 (en) * 1998-05-01 1999-11-11 Life Technologies, Inc. Animal cell culture media comprising non-animal or plant-derived nutrients
AT409379B (de) * 1999-06-02 2002-07-25 Baxter Ag Medium zur protein- und serumfreien kultivierung von zellen
EP1453948A2 (en) * 2001-11-28 2004-09-08 Sandoz Gmbh Cell culture process

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006064020A1 (fr) 2006-06-22
US20120088303A1 (en) 2012-04-12
CN101084304A (zh) 2007-12-05
AU2005315612A1 (en) 2006-06-22
IL183711A0 (en) 2007-09-20
EP1824963A1 (fr) 2007-08-29
KR20070107680A (ko) 2007-11-07
MX2007007154A (es) 2007-08-14
FR2879214A1 (fr) 2006-06-16
NO20073483L (no) 2007-09-14
CA2590693A1 (fr) 2006-06-22
US7993923B2 (en) 2011-08-09
RU2007126855A (ru) 2009-01-27
US20090124010A1 (en) 2009-05-14
BRPI0518634A2 (pt) 2008-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU703484B2 (en) Peptides for tissue and cell culture media
JP6698681B2 (ja) 糖タンパク質のグリカン含量のレベルを操作するためのプロセス
US9388447B2 (en) Method for culturing mammalian cells to improve recombinant protein production
US5741705A (en) Method for in vitro cell growth of eucaryotic cells using low molecular weight peptides
US20130189737A1 (en) Dipeptides to enhance yield and viability from cell cultures
JP2012518409A (ja) タンパク質の組み合わせを含有する細胞培養培地
EP2766383B1 (en) Peptides from fish gelatine
WO2011075686A2 (en) Methods & compositions comprising heat shock proteins
KR20170051527A (ko) 소형 펩티드를 포함하는 세포 배양 배지
KR20130056853A (ko) 단백질 제조 개선을 위한 방법 및 조성물
JP2013536683A (ja) 真核細胞のための培養培地
JP6732660B2 (ja) 組換えタンパク質の高マンノースグリコフォーム含有量を操作するためのオルニチン代謝の調節
JP2008522637A (ja) 細胞および/または組織培養における目的の生成物の増殖および合成を促進するペプチド画分
CN115537442A (zh) 一种蛋黄磷酸肽及其高效富集制备方法与应用
KR20160113710A (ko) 관류 배지
Durrani et al. Non-animal peptone for serum free cultivation of recombinant mammalian and animal cells
WO2023225687A1 (en) Cultured meat production with supplemented serum-free media including unhydrolyzed plant protein
JP2023538881A (ja) タンパク質の製造方法
Yoo Fractionation of non-animal protein hydrolysates for use in Chinese Hamster Ovary cell media
JPWO2020252082A5 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081127

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110726

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111026

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120126

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120622