JP2008521848A - 低還元剤含有ケラチンを製造するための方法およびその製品 - Google Patents

低還元剤含有ケラチンを製造するための方法およびその製品 Download PDF

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Abstract

低還元剤含有ケラチンを製造するための方法であって、
(a)ケラチン含有出発材料中のジスルフィド(CysS−SCys)結合を、水性媒体中の還元剤を用いて開裂することによって、少なくとも90%の開裂ジスルフィド結合がCysSまたはCysSH構造を有する中間ケラチン生成物を得る工程と、
(b)9〜14のpHにおいて過剰の還元剤を取り除くことによって、少なくとも10%の比率R(ここでR=100×([CysS]+[CysSH])/([CysS]+[CysSH]+2[CysS−SCys]))を有するケラチンの水溶液または分散液を得る工程と、
(c)任意に、水を取り除くことによって、ケラチン含有分散液、粉末または顆粒を得る工程と、
を含んでなる方法が提供される。
さらに、水溶液、分散液、粉末および顆粒のごとき製品、および、得られたケラチンの、発泡体、成形品および製剤の作製における使用も提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、低還元剤含有ケラチンを製造するための方法、前記ケラチンを含有する水溶液、分散液、粉末または顆粒、および発泡体、成形品および製剤の製造における前記ケラチンの使用に関する。
羽毛は、養鶏業の重要な廃棄物であり、世界中で毎年約4万トンが産出されている。少量の羽毛は衣料品、断熱材および寝具類に使用されており、多量の羽毛は動物飼料を製造するための羽毛粉の調製に使用されるが、そのような多量の羽毛が用いられる経済的見地から興味深い用途は現在のところ不十分である。環境上の理由から、羽毛を焼却したり埋めたりすることが常に可能とは限らない。さらに、経済的用途の無い多量の廃棄羽毛は、養鶏業のごとき産業分野に深刻なごみ処理問題をもたらす。
従って、本発明の一般的な目的は、廃棄羽毛の様々な経済的に実行可能な用途を提供すること、および、廃棄羽毛をそのような用途に適したものとするための方法を提供することである。この目的は、WO03/006531で達成されている。前記文献は、ケラチン分子の部分加水分解と得られた遊離CysSH基の部分改質との組み合わせを伴う処理過程によって、改善されたケラチン含有製品を得るための方法を開示している。この部分加水分解かつ部分改質された製品は、水に分散可能であり、様々な用途に用いることができる。得られた遊離CysSH基を部分改質する処理は、還元剤を取り除く過程においてケラチンが架橋するのを防ぐために必要である。使用される条件下において不可逆であるそのような早期の架橋は、ケラチンのさらなる活用を妨げる。一方、ケラチンが完全に改質されると、もはや架橋することができなくなり、そのため、さらなる商業利用が失われることになる。改質工程が適用されない場合、還元剤を取り除く過程、例えば透析または濾過の最中にケラチンが架橋し、その結果、使用不可能な不溶性の塊である生成物が得られる。従って、部分改質は、早期架橋の防止と不活性化の防止のデリケートなバランスを必要とする。さらに、ケラチンの改質は、余分な改質処理工程と過剰の改質剤を取り除く工程とがコストを深刻に引き上げるため、不利である。
従って、溶液、分散液、粉末、顆粒などに用いられる可溶性または分散性であり尚且つ活性なケラチン含有材料を製造するための経済的に実行可能な方法が強く必要とされている。
透析または濾過工程のごとき除去工程を特定のpH範囲で実施した場合、未改質のケラチンは、早期架橋を起こすこと無く、還元剤から容易かつ完全に離れることができることが現在では分かっている。これは非常に驚くべき発見であるが、と言うのも、これまで未改質のケラチンは可溶性または分散性のままでは還元剤から分離することができないと信じられていた。改質がケラチンの精製に寄与しないほど低い程度に改質されたケラチン、例えば、10%未満の遊離CysSおよび/またはCysSH基が改質されたケラチンは、本発明の範囲内に包含される。
従って、第1の態様において、本発明は、低還元剤含有ケラチンを製造するための方法であって、
(a)ケラチン含有出発材料中のジスルフィド結合を、水性媒体中の還元剤を用いて開裂することによって、少なくとも90%の開裂ジスルフィド結合がCysSまたはCysSH構造を有する中間ケラチン生成物を得る工程と、
(b)9〜14のpHにおいて過剰の還元剤を取り除くことによって、少なくとも10%の比率R(ここでR=100×([CysS]+[CysSH])/([CysS]+[CysSH]+2[CysS−SCys]))を有するケラチンの水溶液または分散液を得る工程と、
(c)任意に、水を取り除くことによって、ケラチン含有分散液、粉末または顆粒を得る工程と、
を含んでなる方法に関する。
米国特許第4135942の実施例1では、羽毛抽出物をpH11において還元剤(チオグリコール酸ナトリウム)で処理し、遠心分離機にかけた後、上澄みを蒸留水で透析している。これは、過剰の還元剤を、本発明のpH範囲であるpH9〜14よりもpH7(蒸留水)において取り除いていることを意味する。従って、得られるケラチンは遊離ケラチンではないが、凝固してゲル状構造を形成するダイマーおよびポリマー材料となる。従って、そのようなケラチンは、Rが少なくとも10%であるという要件を満たさない。
同じ理由から、Schrooyen et al., J. Agric. Food Chem., 48, 4326−4334は、遊離ケラチンではなく、ゲル状構造を形成する凝固したダイマーおよびポリマー材料を開示するが、前記材料は、Rが少なくとも10%であるという要件を満たさない。
本発明の重要な特徴とは、ケラチンの早期架橋を妨げること無く、従ってその反応性を維持したままで、低還元剤含有ケラチンを得るために過剰の還元剤を取り除くために必要なpH条件である。本発明で用いられるような「低還元剤含有ケラチン」という用語は、ケラチン1g当たり、10−2モル未満、好ましくは10−3モル未満、最も好ましくは10−4モル未満の還元剤を含有するケラチンを意味する。
ケラチン含有出発材料については、任意の好適なケラチン源を用いることができる。とりわけ、自然源のケラチン繊維、例えば髪の毛、羽毛、羊毛、蹄、爪、角等を用いることができる。好ましくは、少なくともβ−ケラチンを含有するケラチン源が用いられる。羽毛、とりわけ、養鶏業からの廃棄物として得られるようなニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウまたは他の家禽の羽毛は、特に好ましい出発材料である。これらのケラチン源は、他のタンパク質および/または脂肪または血液のごとき他の成分を、少量、例えば一般に(乾燥材料、例えば羽毛に基づいて)総重量の5%未満の量の量で含有していてもよい。一般に、他の成分の存在は容認され得るが、さもなければ、これらの非ケラチン成分の一部またはすべてを工程(a)の前に取り除いてもよい。ケラチン含有出発材料は、1種以上の前処理、例えば清浄、洗浄、選別、脱脂、切断、製粉、破砕、乾燥または任意のこれらの組み合わせ、に付すことが好ましい。そのような前処理は、前記出発材料を扱い易くしたり、ケラチンの開裂のごときさらなる処理工程の効率を高めたり、および/または最終的に得られるケラチン含有製品の品質を向上させることができる。あるいは、羽毛粉のごときすでに前処理されたケラチン含有出発材料、並びに、すでに単離されたケラチンまたはケラチン繊維を用いてもよい。また、自然源のケラチンまたはケラチン繊維、例えば羽毛を、前処理を全く施さずに、直接工程(a)で用いることも本発明の範囲内に包含される。
前記還元剤は、当該技術分野において周知である任意の好適な還元剤、例えば硫化物、チオール、水素化ホウ素、ホスフィンまたはこれらの組み合わせ、から選択することができる。好ましい硫化物としては、硫化ナトリウムおよび硫化アンモニウムのごときアルカリ金属硫化物が挙げられる。還元剤は、2−メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールに例示されるように、一般に有毒で悪臭を放つ物質であるため、過剰の還元剤は取り除く必要がある。
還元の条件、すなわち、ケラチン含有出発材料の濃度、還元剤、緩衝液、pH、温度および時間は、十分な歩留まりのケラチンが得られるように選択されることが好ましい。その場合、CysS−SCys結合の好ましくは少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも40%が開裂される(すなわち、通常は還元による、ケラチン内の分子間および分子内ジスルフィド基の開裂)。開裂の条件は、下記に特定されるようなものが選択されることがさらに好ましい。
水性媒体中の還元剤の濃度、例えばアルカリ金属硫化物または硫化アンモニウムの濃度は、0.05M〜1.0Mであることが好ましい。ケラチンが開裂されるpHは、アルカリ性、すなわち、7よりも高いpH、好ましくは14以下のpHである。
しかしながら、少なくとも10のpHにおいて、硫化物の解離平衡は、HSよりも強い還元要素であるS2−へと移行するため、開裂は、少なくとも8、好ましくは少なくとも9、最も好ましくは少なくとも10であるアルカリ性のpHにおいて行われることが好ましい。
ケラチンが還元される温度は、好ましくは少なくとも20℃である。しかしながら、好ましくはより高い温度、例えば好ましくは少なくとも30℃、さらに好ましくは約50〜80℃、しかし好ましくは100℃以下の温度が開裂に用いられる。
ケラチン開裂工程の時間は、主に、所定の開裂条件下において、ジスルフィドの所望の開裂度が得られるように選択される。一般に、開裂には10分間〜24時間かかる。
従って、当業者は、ケラチン開裂のための条件を実験的に最適化することによって、少なくとも所望の度合いのケラチンジスルフィド開裂を得る。
本発明の方法において、ケラチンは改質されないことが好ましい。従って、ケラチンの開裂ジスルフィド結合の好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%、最良では100%がCysSHまたはCysSという構造を有する。
開裂され且つ部分加水分解されたケラチンから製造されたケラチン含有製品が所要の物理的および化学的性質を有するように、ケラチンアミド結合をある程度まで加水分解してもよい。加水分解は、ケラチン分子内のペプチド結合の開裂を意味する。従って、開裂され且つ部分加水分解されたケラチンの分子量の分布は、以下のように定義することができる。開裂され且つ任意に部分加水分解されたケラチンは、本質的に1〜11kDa、とりわけ3〜10.4kDaの分子量を有することが好ましい。この場合、「本質的に」とは、部分加水分解されたケラチン成分中に存在するケラチン分子の少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が上記範囲内に分子量(WO03/006531で求められるような分子量)を有することを意味すると理解される。
このようにして得られた中間ケラチン生成物は、含有する還元剤、多くの場合、還元剤から発生した硫化物イオンを、できるだけ少なくしなければならない。このため、混合物を、除去工程、例えば沈殿、遠心分離、透析または限外濾過またはナノ濾過のごとき濾過に付すことによってケラチンを還元剤と分離させることによって、好ましくはケラチン1g当たり10−2モル未満の還元剤を含有するケラチンを得る。好ましくは、ケラチンは、ケラチン1g当たり10−3モル未満の還元剤を含有し、最も好ましくは10−4モル未満の還元剤を含有し、できれば還元剤を全く含有しない。
この除去工程、とりわけ透析または濾過工程は、9〜14、好ましくは10〜13、最も好ましくは10〜12.5の狭いpH範囲内で行われることが極めて重要である。
透析方法は、例えばhandbook of C.M.Mohr et al.,;Membrane applications and research in food processing;Noyes Data Corporation, New Jersey, USAに記載されているような方法である。
濾過方法としては、例えばhandbook of C.M.Mohr et al.,;Membrane applications and research in food processing;Noyes Data Corporation, New Jersey, USAに記載されているようなナノ濾過および限外濾過が挙げられる。
このようにして得られたケラチンは可溶性または分散性であり、反応性である。従って、ケラチンは、水溶液または分散液の形態で得られる。同時に、ケラチンはまだ活性であり、遊離CysSHおよび/またはCysS基を含有する。これらの基が、必要に応じてケラチンを架橋させる。この反応性は、比率Rとして表される。この場合、Rは、商である100×([CysS]+[CysSH])/([CysS]+[CysSH]+2[CysS−SCys])を表す。Rは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも40%である。
本発明の任意の態様において、開裂されたケラチンを、さらなる処理工程に付すことによって、例えば、不要な成分および/または物質を得られたケラチン生成物から取り除いてもよい。前記さらなる処理工程は、改質、架橋、さらなる精製を含んでいてもよい。前記不要な成分および物質の例としては、残留しているケラチン出発材料、高分子量ケラチン成分、低分子量ケラチン成分、いずれかの処理工程からの反応物質および/または副生成物、および/または他の不純物または不要な成分が挙げられる。そのような成分または物質を取り除くための好適な手法の例としては、洗浄、沈殿、透析、濾過および遠心分離が挙げられる。
また、使用目的に応じて、ケラチン生成物を、1種以上のさらなる物質、添加剤、成分などと組み合わせまたは混ぜ合わせてもよい。その一部の例として、顔料、塩、抗菌剤、洗剤および可塑剤が挙げられるが、これらに限定される分けではない。
そのようなさらなる処理および/またはさらなる成分の添加は、エンドユーザーによって実施されてもよいことは明らかである。これも、本発明の範囲内に包含される。
本発明による組成物は、ケラチンの水溶液または分散液の形態であることが多い。そのような溶液または分散液は、好ましくは1リットル当たり少なくとも10gのケラチン、さらに好ましくは1リットル当たり50gよりも多いケラチンを含有する。一般に、そのような溶液または分散液は、1リットル当たり約100g以上のケラチンを含有する。これらの溶液および分散液は、化学的な意味でも物理的な意味でも安定している。従って、化学的な意味において、貯蔵期間中に厄介な(さらなる)架橋が起こることは無い。本発明の溶液または分散液を安定化させるために、当該技術分野において周知である添加剤を用いてもよい。長期にわたって貯蔵するため、または、より便利に運搬するために、本発明の組成物は、固体、好ましくは分散性粉末または顆粒の形態であってもよい。固体の形成を補助するための添加剤の使用を含む、乾燥および/または造粒のための通常の方法を適用することができる。
本発明のさらなる態様は、本発明の低還元剤含有ケラチンをケラチン源として用いてケラチン含有製品を製造するための方法に関する。好ましいケラチン含有製品は、本発明の低還元剤含有ケラチンの溶液または分散液を成形することによって製造される。
好ましい実施態様において、ケラチン含有製品は、本発明の低還元剤含有ケラチンの溶液または分散液から成形されたフィルムまたはコーティングである。また、ケラチン含有製品は、発泡体の製造に使用してもよいし、繊維を紡糸するためのスピニングドープに使用してもよい。
本発明のケラチンは、先述の従来技術において述べた用途を含む、当該技術分野において周知であるケラチン含有製品のための任意の用途に用いることができる。一般に、これらの用途において、本発明のケラチン由来製品は、機械的安定性のごとき改善された機械的特性、改善された物理的および化学的安定性、および良好なフィルム形成性といった好ましい特性を与えるが、好ましい特性はそれらに限定される分けではない。従って、本発明のケラチンの非制限的な使用の一部として、フィルム、繊維、コーティング等における使用、またはそれらの作製における使用;(生分解性)包装材料における使用、またはその製造における使用;例えば薬剤のごとき活性物質のための放出制御製剤のごとき製剤における使用;除草剤、殺虫剤または他の殺生物剤のごとき農薬;調味料;香料;等;乳剤、分散液または他の多相系の調製における使用;充填剤、ゲル化剤、結合剤、膨化剤、造粒剤、離型剤、マトリクス材、乳化剤、安定剤または他の製剤における使用;抗酸化剤としての使用;抗菌剤としての使用、等が挙げられる。
そのようなものとして、本発明のケラチンは、例えば、食品または食品技術の分野;医薬品および動物用薬品;化粧品;農薬の分野;接着剤;塗料または他の被覆剤;包装材料;洗剤のごとき洗浄剤;農業に利用することができる。想定される本発明のケラチンの具体的な使用としては、粉末洗剤または他の洗剤のごとき顆粒、粉末などのための被覆剤または結合剤としての使用;工業用および家庭用汎用接着剤における使用;木材、紙、板紙または成形繊維のための結合剤または接着剤としての使用;工業用および家庭用の水性塗料系および/またはインク系(ただしこれらに限定されるわけでは無い)をはじめとする被覆剤における結合剤としての使用;抗酸化剤としての使用;カプセル化および/またはコーティング技術における使用;例えば家畜飼料および化粧品における抗菌剤としての使用が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
以下、本発明を下記図面および実施例によってさらに詳しく説明する。
図1はケラチンの反応性を示す図である。
図2はケラチンサンプルのSDS−アガロース特性を示す図である。
図1は、ジアフィルトレーション処理の最中のケラチンの反応性の測定結果を示す。(様々な遊離硫化物レベルと相関する)ジアフィルトレーション処理における様々な段階において、サンプルを採取し、ケラチン中のCysS−SCysブリッジおよび遊離CysSH基のレベルを求めた。(式R=100×([CysS]+[CysSH])/([CysS]+[CysSH]+2[CysS−SCys])を用いた)R値も、ジアフィルトレーションにおける様々な段階において示されている。図1は、遊離システインのレベルおよびCysS−SCysジスルフィドブリッジのレベルはジアフィルトレーションの最中にあまり変動しないことを示しており、これは、ケラチンの反応性がこの処理の間中、維持されることを意味している。
図2は、溶解処理およびそれに続くジアフィルトレーション処理における異なる段階におけるケラチンサンプルのSDS−アガロースゲルを示す。1は、ニワトリの羽毛の溶解後のケラチン(100mMの硫化物)を表す。2は、pH10の水による透析後のケラチン(1)を表す。3は、50mMの硫化物におけるジアフィルトレーション後のケラチンを表す。4は、25mMの硫化物におけるジアフィルトレーション後のケラチンを表す。5は、1mMの硫化物におけるジアフィルトレーション後のケラチンを表す。
実施例1
ニワトリの羽毛(40g/l)を、100mMのNaSに、60℃およびpH11.5において1時間溶解させた。この溶解処理の後、得られたケラチン混合物を、カットオフ値が5kDaである膜を用いて限外濾過した。限界濾過処理の最中、pHが10〜11である水を用いて、ケラチン溶液をジアフィルトレートした。限界濾過処理における異なる時点においてサンプルを採取し、ケラチンの反応性を求めた。これは、CysS−SCysブリッジの量および遊離CysSH基の量を測定することによって行った(図1)。
CysS−SCysブリッジの含有量はNTSB分析を用いて測定し、CysSH基の含有量はDTNB(Ellman’s reagens)分析を用いて測定した。このことは、P.Schrooyen, Feather keratins; modification and film formation, thesis University of Twente (1999)、page 29に記載されている。本実施例は、ジアフィルトレーション処理の間中、ケラチンの反応性は一定のままであるので、活性の低下が生じることはない。
実施例2
溶解処理およびジアフィルトレーション処理におけるケラチンの早期架橋は未然に防がなければならない。従って、ニワトリの羽毛(40g/l)を、100mMのNaSに、60℃およびpH11.5において1時間溶解させた。この溶解処理の後、得られたケラチン混合物を、カットオフ値が5kDaである膜を用いて限外濾過した。限界濾過処理の最中、pHが10〜11である水およびカットオフ値が5kDaである限外濾過膜を用いて、ケラチン溶液をジアフィルトレートした。異なる時点においてケラチンサンプルを採取し、A.C.Alting et al., J.Agric.Food Chem., 48, 5001−5007(2000)によって説明されているようにSDS−アガロースゲル電気泳動法を用いて、架橋(大きな共有結合凝集体の発生)を測定した。図2に、この実験の結果を示す。
これらの結果から、ジアフィルトレーション処理の最中に重度の架橋は生じないということが結論付けられる。
実施例3
10.5リットルのニワトリの羽毛(420グラム)を、100mMのNaSに、60℃およびpH11.5において溶解させた。1時間溶解させた後、(カットオフ値が2kDaである)限外濾過膜およびpHが11.5である水を用いて、ケラチン混合物をジアフィルトレート(700%)することによって、過剰の硫化物を取り除いた。ジアフィルトレートしたケラチン溶液を、3リットルの容量(7.6%ケラチンw/w)まで濃縮した。その後、この最終ケラチン濃縮溶液を凍結乾燥させて、219グラムの乾燥ケラチン粉末を得た。
ケラチンの反応性を示す図である。 ケラチンサンプルのSDS−アガロース特性を示す図である。

Claims (10)

  1. 低還元剤含有ケラチンを製造するための方法であって、
    (a)ケラチン含有出発材料中のジスルフィド結合を、水性媒体中の還元剤を用いて開裂することによって、少なくとも90%の開裂ジスルフィド結合がCysSまたはCysSH構造を有する中間ケラチン生成物を得る工程と、
    (b)9〜14のpHにおいて過剰の還元剤を取り除くことによって、少なくとも10%の比率R(ここでR=100×([CysS]+[CysSH])/([CysS]+[CysSH]+2[CysS−SCys]))を有するケラチンの水溶液または分散液を得る工程と、
    (c)任意に、水を取り除くことによって、ケラチン含有分散液、粉末または顆粒を得る工程と、
    を含んでなる前記方法。
  2. 工程(b)は、10〜13のpH、好ましくは10〜12.5のpHにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記還元剤は、無機塩基と、金属硫化物および硫化アンモニウムから選択される硫化物とを含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記無機塩基は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムの水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩から選択される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 前記無機塩基は、水酸化ナトリウムである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記硫化物は、硫化アンモニウムまたはアルカリ硫化物であり、好ましくは硫化ナトリウムである、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
  7. 前記過剰の還元剤は、透析または濾過によって、好ましくは限外濾過によって取り除かれる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
  8. 少なくとも10g/lのケラチンを含んでなる水溶液もしくは分散液、またケラチンを含んでなる固体粉末もしくは顆粒であって、前記ケラチンは、少なくとも10%の比率R(ここでR=100×([CysS]+[CysSH])/([CysS]+[CysSH]+2[CysS−SCys]))を有し、かつ、ケラチン1g当たり10−2モル未満の還元剤を含有する、ことを特徴とする前記水溶液、分散液、固体粉体または顆粒。
  9. フィルム、被膜、生分解性包装材料および繊維といった発泡体または成形品の作製に、または活性物質の放出制御製剤のための製剤の調製、乳剤、分散液または多相水溶液系の調製に、または充填剤、ゲル化剤、結合剤、膨化剤、造粒剤、離型剤、マトリクス材、乳化剤、安定剤、抗酸化剤または抗菌剤における、請求項8に記載の水溶液、分散液、粉末または顆粒の使用。
  10. 純粋な改質されていないケラチンを製造するための、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法の使用。
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