(発明の詳細)
出願人らは本明細書において、ヒトGPR41は主に膵臓において発現され(図1参照のこと)、マウスGPR41は膵臓および膵島細胞株において発現される(図2および3参照のこと)ということを開示した。膵臓は結合組織性中隔によって小葉に分割される。小葉は、大部分は、腺房と呼ばれる外分泌細胞のブドウ状の集合体からなり、これが消化酵素を分泌する。膵臓外分泌組織内にランゲルハンス島、膵臓の内分泌要素が埋まっている。島は膵臓の1%を構成するにすぎない。島は、数種の細胞種を含み、豊富に血管新生化されている。島細胞種としては以下が挙げられる:α、β、δ、A、B、C、DおよびE。インスリンを分泌するのはβ島細胞である。
出願人らはまた本明細書において、マウスGPR41が、db/db糖尿病マウス由来の膵島細胞において、C57野生型マウス由来の島と比較してアップレギュレートされていることを開示する(図2参照のこと)。さらに、出願人らは本明細書において、GPCR GPR41のGαiおよびGα12/13とのGタンパク質共役を開示した(図4および5参照のこと)。さらに、出願人らは本明細書において、Gq/Giで同時トランスフェクトされた細胞においてGPR41アゴニストがIP3シグナル伝達を誘導することを開示する(図6参照のこと)。出願人らはさらに、本明細書において、MIN6インスリノーマ細胞を用いて、GPR41アゴニストはインスリン分泌を阻害し(図7)、経口ブドウ糖負荷試験(oGTT)を低下させる化合物の有益な効果を逆転させることを開示する(図8)。
ヒトにはいくつかの受容体の種類が存在するが、最も豊富であり、現在治療上関係のあるものはGタンパク質共役受容体(GPCR)の種類によって代表される。ヒトゲノム内にはおよそ30,000〜40,000種の遺伝子があると推定されており、これらのうちおよそ2%がGPCRをコードすると推定されている。GPCRは薬剤製品の開発にとって重要な領域に相当する:100種の既知のGPCRのうちおよそ20種から、すべての処方調合薬のおよそ60%が開発されている。
GPCRは共通の構造モチーフを共有し、これは各々が膜を貫通する7つのαへリックスを形成する、22〜24個の疎水性アミノ酸からなる7つの配列を有する(各貫通は番号によって同定される、すなわち、膜貫通−1(TM−1)、膜貫通−2(TM−2)など)。膜貫通へリックスは、細胞膜の外部、すなわち「細胞外」側で、膜貫通−2と膜貫通−3、膜貫通4と膜貫通5、および膜貫通6と膜貫通7の間のアミノ酸の鎖によって結合している(これらはそれぞれ、「細胞外」領域1、2および3(EC−1、EC−2およびEC−3)と呼ばれている)。膜貫通へリックスはまた、細胞膜の内部、すなわち「細胞内」側で、膜貫通1と膜貫通2、膜貫通3と膜貫通4、および膜貫通5と膜貫通6の間のアミノ酸の鎖によって結合している(これらはそれぞれ、「細胞内」領域1、2および3(IC−1、IC−2およびIC−3)と呼ばれている)。受容体の「カルボキシ」(「C」)末端は、細胞内の細胞内空間にあり、受容体の「アミノ」(「N」)末端は、細胞の外側の細胞外空間にある。
一般に、リガンドが受容体と結合する(受容体の「活性化」と呼ばれることも多い)際には、受容体のコンホメーションの変化があり、これが細胞内領域と細胞内「Gタンパク質」との間の共役を促進する。GPCRはGタンパク質に関して「無差別」である、すなわち、GPCRは2種以上のGタンパク質と相互作用し得るということが報告されている。Kenakin,T.,43 Life Sciences 1095(1988)参照のこと。他のGタンパク質も存在するが、現在のところ、Gq、Gs、Gi、GzおよびGoが同定されているGタンパク質である。Gタンパク質との、リガンドによって活性化されたGPCRの共役は、シグナル伝達カスケードプロセス(「シグナル伝達」と呼ばれる)を開始する。正常な状態下では、シグナル伝達は最終的に細胞の活性化または細胞の阻害をもたらす。理論に拘束されようとは思わないが、IC−3ループならびに受容体のカルボキシ末端がGタンパク質と相互作用するということが考えられる。
ホスホリパーゼC経路のいくつかの種類のGPCR、例えば、Gα15またはGα16と共役すると思われる無差別なGタンパク質(Offermanns & Simon,J Biol Chem 270:15175−80(1995))または同一経路、例えば、ホスホリパーゼCの多数の異なるGPCRと共役するよう設計されたキメラGタンパク質もある(Milligan & Rees, Trends in Pharmaceutical Sciences 20:118−24(1999))。
Gi共役型GPCRは細胞内cAMPレベルを低下させる。メラノフォア技術(下記参照)は、Gi共役型GPCRを同定するのに、また、前記のGi共役型GPCRのモジュレーターを同定するのに有用である。
生理学的条件下では、GPCRは、2種の異なるコンホメーション:「不活性」状態と「活性」状態との間の平衡状態で細胞膜中に存在する。不活性状態にある受容体は、細胞内シグナル伝達経路と結合して、生物学的応答をもたらすシグナル伝達を開始することができない。受容体コンホメーションを活性状態に変更することによって、伝達経路との結合(Gタンパク質を介する)が可能となり、生物学的応答が生じる。
受容体は、リガンドまたは薬物などの化合物によって活性状態に安定化することができる。排他的に限定するものではないが、受容体のアミノ酸配列の修飾をはじめとする最近の発見が、活性状態コンホメーションにある受容体を促進し、安定化する、リガンドまたは薬物以外の手段を提供する。これらの手段は、受容体とのリガンド結合の効果をまねることによって受容体を活性状態に効率的に安定化する。このようなリガンド独立性手段による安定化は「構成的受容体活性化」と呼ばれる。
GPR41の配列は、Sawzdargoらの文献(Sawzdargoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,239:543−547(1997))において最初に公開された。Sawzdargoらは、ヒトおよびラットガラニン受容体1(GALR1)およびラットGALR2内の保存された配列に基づく縮重プライマーを用いるPCRを用いてヒトゲノムDNAを増幅した。1種の生成物は、ヒトCD22遺伝子の3プライム領域の一部に対して100%の相同性を示すセグメントを含んでいた。Sawzdargoはこの領域においてオープンリーディングフレームを探索し、GPR40およびGPR41遺伝子を同定した。GPR41遺伝子にはイントロンがない。GPR41は、7つの膜貫通ドメイン、1つのグリコシル化部位、1つのPKCリン酸化部位、2つのPKA/PKCリン酸化部位、およびC末端ドメインに位置する1つのパルミトイル化部位を含む予測される346アミノ酸GPCRをコードする。GPR41タンパク質はGPR42と98%のアミノ酸同一性を共有するが、GALRとはほとんど類似していない。Sawzdargoらは、以前は19q13.1にマッピングされていたGPR41遺伝子はCD22の下流に位置することをさらに報告した。
GPR41はオーファン受容体として分類され、これはその受容体のリガンドが同定されていないことを意味する。近年、Brownらが、GPR41はプロピオネートおよびその他の短い鎖のカルボン酸アニオンによって活性化されるということを報告した(Brownら、J.Biol.Chem.,278:11312−11319(2003))。さらに、Brownらは、GPR41がGi/oファミリータンパク質を活性化することおよびGPR41が主に脂肪組織において発現されることを示した。
GPR41が膵臓のβ細胞において発現される本明細書の開示内容とは対照的に、WO01/61359(出願日2001年2月19日)は、GPR41は脂肪組織に限定されていると示す。さらに、WO01/61359は、GPR41を、脂肪分解を阻害する化合物のスクリーニング標的として使用できることを示す。GPR41はGiと共役しているので、このような化合物はGPR41のアゴニストである。GPR41のアゴニストはまた、WO01/61359では、例えば、脂質代謝異常および脂質代謝異常に伴われる症状、冠動脈心疾患、アテローム性動脈硬化症、血栓症または肥満症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患、卒中、II型糖尿病またはメタボリック症候群を治療するための医薬の製造において有用であると仮定されている。これは、GPR41のインバースアゴニストまたはアンタゴニストが、例えば、インスリン関連障害、例えば、糖尿病を治療するための医薬の製造において有用であるという本明細書の開示内容とは対照的である。
(定義)
受容体の周辺で発展してきた科学文献は、受容体に対する種々の作用を有するリガンドを指すためにいくつかの用語を採用してきた。明確性および整合性のために、本特許文献を通じて以下の定義を用いる。
アゴニストは、受容体と結合した際に細胞内応答を活性化する物質、例えば、リガンドまたは候補化合物を意味するものとする。細胞内応答は、例えば、GTPの膜との結合の増強またはcAMPもしくはIP3などのセカンドメッセンジャーのレベルの調節であり得る。いくつかの実施形態では、アゴニストは、受容体と結合した際に細胞内応答を活性化する(例えば、GTPγSの膜との結合を増強する、または細胞内cAMPレベルを低下させる)とは、これまでは知られていなかった物質である。いくつかの実施形態では、アゴニストは、受容体と結合した際に血糖値を低減させるとは、これまでは知られていなかった物質である。用語アゴニストはまた、受容体と結合した際に細胞内応答を、完全アゴニストが行うよりも小さい程度または範囲に活性化する物質、例えば、リガンドまたは候補化合物である部分アゴニストを含む。
アンタゴニストとは、アゴニストと同一部位で受容体と競合的に結合するが、細胞内応答を活性化せず、それによって、アゴニストによって誘発される細胞内応答を阻害できる物質、例えば、リガンドまたは候補化合物を意味するものとする。アンタゴニストは、アゴニストの不在下でのベースライン細胞内応答を下げることはない。いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、受容体と結合する際にアゴニストと競合し、細胞の応答を阻害するとは(例えば、細胞の応答がGTPγSの膜との結合または細胞内cAMPレベルの低下である場合に)、これまでは知られていなかった物質である。
抗体は、本明細書では、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を包含するものとする。用語抗体はIgG、IgA、IgD、IgEおよびIgMをさらに包含するものとする。抗体は、全抗体、例えば、一本鎖全抗体およびその抗原結合フラグメント、例えば、Fab、Fab’、F(ab)2およびF(ab’)2を含む。抗体は、天然または合成起源のいずれに由来するもの、例えば、ヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ラクダ、ロバ、ヒツジ、ウマまたはニワトリ由来であってもよい。抗体は、例えば、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15Mおよび10−15M未満の解離定数すなわちKd値の結合親和性を有し得る。本発明の抗体は、当技術分野で公知のいずれかの適した方法によって調製できる。
候補化合物は、スクリーニング技術を受け入れられる分子(例えば、化合物)を意味するものとする。用語候補化合物は、具体的には、GPR41を調節すると既に知られている化合物、例えば、既知のGPR41のアゴニストはいずれも排除する。
組成物とは、少なくとも2種の化合物または2種の成分を含む物質を意味するものとし、例えば、「薬剤組成物」は組成物である。
化合物の有効性とは、受容体結合親和性の対語として、化合物の、受容体の機能性を阻害または刺激する能力の測定結果を意味するものとする。構成的活性化受容体とは、構成的受容体活性化に付されている受容体を意味するものとする。
構成的受容体活性化とは、受容体と、その内因性リガンドまたはその化学的等価物との結合以外の手段によって、受容体を活性状態に安定化することを意味するものとする。
接触させる、または接触とは、イン・ビトロ系においてであろうとイン・ビボ系においてであろうと、少なくとも2種の部分を一緒にすることを意味するものとする。
本明細書において糖尿病とは、例えば、以下の羅列をはじめとするいずれかの方法によってなされる通常の糖尿病という診断を包含するものとする:糖尿病の症状(例えば、多尿、多飲、過食)および200mg/dl以上の随時血糖値(随時血糖は食事および飲料消費のタイミングに関わらず日中いつでも決められる);または126mg/dl以上の8時間絶食時血糖値;または水に溶解した75gの無水ブドウ糖を経口投与した2時間後の200mg/dl以上の血糖値。さらに、用語糖尿病はまた、本明細書では、米国糖尿病協会よって、100〜125mg/dlという絶食時血糖値またはブドウ糖を経口投与した2時間後の140〜199mg/dlという血糖値であると定義される「前糖尿病」状態を含む。糖尿病は、例えば、β島細胞の自己免疫破壊、β細胞アポトーシスまたは妊娠(妊娠性糖尿病)をはじめとするいくつかの条件によって促進され得る。
内因性とは、哺乳類が天然に産生する物質を意味するものとする。例えば、それだけには限らないが、用語「受容体」に関連して内因性とは、哺乳類(例えば、それだけには限らないが、ヒト)またはウイルスによって天然に産生されるものを意味するものとする。対照的に、これに関連して用語非内因性とは、哺乳類(例えば、それだけには限らないが、ヒト)またはウイルスによって天然に産生されないことを意味するものとする。例えば、それだけには限らないが、内因性型では構成的に活性でないが、操作されると構成的に活性となる受容体が最も好ましく、本明細書において「非内因性の構成的に活性化された受容体」と呼ばれる。両用語とも「イン・ビボ」および「イン・ビトロ」系の双方を説明するために使用できる。例えば、それだけには限らないが、スクリーニングアプローチにおいて、内因性または非内因性受容体はイン・ビトロスクリーニング系に関するものであり得る。
有効量とは、研究者または医師またはその他の臨床医によって探索されている組織、系または個体において、所望の生物学的応答または医薬的応答を誘発する活性化合物または薬剤組成物の量を意味する。例えば、有効用量は、インスリン関連障害を治療できる量であり得る。また、例えば、有効用量はインスリン関連障害を予防できる量であり得る。
血糖安定化化合物は、血糖値を安定化する化合物を意味するものとする。血糖の安定化は、直接であってもよいし、間接であってもよい。例えば、血糖安定化化合物は、糖尿病を患う個体において、インスリン分泌を増大させることによって血糖値を安定化できる。さらに、例えば、血糖安定化化合物は、低血糖症を患う個体において、インスリン分泌を低減させることによって血糖値を安定化できる。さらに、例えば、血糖安定化化合物は、器官または組織のグルコース感受性を増大させることによって血糖値を安定化できる。
本明細書において耐糖能障害(IGT)とは、明らかな2型糖尿病と正常耐糖能(NGT)との間の中間にあるインスリン耐性と関連している状態を示すものとする。IGTは、罹患した人の食後グルコース応答が、食後2時間の血漿血糖値によって評価され、異常であると決定される手順によって診断される。この試験では、測定された量のグルコースを患者に与え、一定間隔、通常30分毎に最初の2時間、その後は1時間毎に血糖値を測定する。「正常」または非IGT個体では、血糖値は最初の2時間の間、140mg/dl未満のレベルに上昇し、次いで急速に降下する。IGT個体では、血糖値はより高く、降下レベルがより遅い速度である。
本明細書において、予防または治療を必要とするとは、介護者(例えば、ヒトの場合には医師、看護師、ナース・プラクティショナーなど、非ヒト哺乳類をはじめとする動物の場合には獣医)によってなされる、個体または動物が治療を必要とするか治療から恩恵を受けるという判断を指す。この判断は、介護者の専門知識の領域にあるが、個体または動物が、本発明の化合物によって治療できる状態の結果として病気であるか病気になるという知識を含む種々の因子に基づいてなされる。
本明細書において個体とは、いずれかの動物、例えば、哺乳類、好ましくは、マウス、ラット、その他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類および最も好ましくは、ヒトを指す。
用語「応答する」との関連で、阻害するまたは阻害とは、化合物の不在下とは対照的に、化合物の存在下で応答が低減されるか、または妨げられることを意味するものとする。
インスリン関連障害とは、血中または器官もしくは組織でのインスリンレベルに関連している障害を意味する。本明細書において、インスリン関連障害は、例えば、少なすぎるインスリン分泌、多すぎるインスリン分泌、またはさらに、器官のインスリンに対する耐性とあいまった正常なインスリン分泌の結果であり得る。インスリン関連障害は、例えば、インスリン分泌の減少から恩恵を受ける障害、例えば、低血糖症、インスリノーマ、インスリンが増殖因子である腫瘍または加齢を含むものとする。さらに、インスリン関連障害は、例えば、血糖の上昇をもたらし、インスリン分泌の増大から恩恵を受ける障害を含むものとする。このような障害としては、例えば、インスリン抵抗性、耐糖能障害またはI型糖尿病もしくはII型糖尿病などの糖尿病が挙げられる。さらに、いくつかの実施形態では、用語インスリン関連障害は、血糖値の上昇と関連している疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、心疾患、卒中、高血圧症、シンドロームX、肥満症および末梢血管疾患を含み得る。
本明細書においてインスリン抵抗性とは、それだけには限らないが、静脈内グルコース耐性または絶食時インスリンレベルの測定をはじめとするいくつかの方法のうちのいずれかによってなされるインスリン抵抗性の通常の診断を包含するものとする。絶食時インスリンレベルの高さとインスリン抵抗性の程度との間には良好な相関があるということはよく知られている。したがって、どの正常グルコース耐性(NGT)個体がインスリン抵抗性を有するかを同定することを目的として、絶食時インスリンレベルの上昇をインスリン抵抗性の代理マーカーとして用いることができる。インスリン抵抗性という診断はまた、正常血糖グルコースクランプ試験を用いて行うこともできる。
インバースアゴニストとは、内因性型または構成的に活性化された型の受容体のいずれかと結合し、アゴニストの不在下で観察される受容体のベースライン細胞内応答を低下させる物質、例えば、リガンドまたは候補化合物を意味する。細胞内応答は、例えば、GTPの膜との結合の調節またはcAMPもしくはEP3などのセカンドメッセンジャーレベルの調節であり得る。いくつかの実施形態では、インバースアゴニストは、アゴニストの不在下で観察される受容体のベースライン細胞内応答を低下させるとは、これまでは知られていなかった物質である。
リガンドとは、内因性の、天然に存在する受容体に特異的な、内因性の、天然に存在する分子を意味するものとする。
本明細書において、用語調節するまたは調節とは、個々の活性、機能または分子の量、質、応答または作用の増大または減少を指すことを意味するものとする。GPR41モジュレーターとは、GPR41受容体を調節する物質である。
薬剤組成物とは、少なくとも1種の化合物および製薬上許容される担体を含む組成物を意味するものとする。例えば、薬剤組成物は、それによって組成物が、動物(例えば、ヒトなどの哺乳類)における指定の、有効な結果についての調査を受け入れられる、少なくとも1種の有効成分を含み得る。当業者ならば、技術者の必要性に基づいて有効成分が所望の有効な結果を有するかどうかを調べるのに適当な技術を理解し、分かるであろう。
受容体の機能性とは、それだけには限らないが、例えば、遺伝子転写を調節し、イオンの流入または流出を調節し、触媒反応を達成し、かつ/またはGタンパク質を介して活性を調節して、細胞において刺激を受け取り、作用を和らげる受容体の正常な働きを指すものとする。GPR41の機能性は、例えば、GiもしくはG12/13などのGタンパク質との結合、cAMPもしくはIP3などのセカンドメッセンジャーによるシグナル伝達(キメラGタンパク質を用いる場合)、GPR41特異的抗体との特異的結合、GPR41アゴニストまたはインバースアゴニストなどの化合物との特異的結合、インスリン分泌の調節またはイン・ビボでの血糖値の調節であり得る。
セカンドメッセンジャーとは、受容体活性化の結果として生じた細胞内応答を意味するものとする。セカンドメッセンジャーとしては、例えば、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGMP)およびCa2+が挙げられる。セカンドメッセンジャー応答は、受容体活性化を調べるために測定できる。さらに、セカンドメッセンジャー応答は、候補化合物、例えば、インバースアゴニスト、部分アゴニスト、アゴニストおよびアンタゴニストを直接同定するために測定できる。
本発明は、血糖安定化化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法に関する。本スクリーニング法を用いて、例えば、GPR41のアゴニスト、インバースアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストであり得る化合物を同定できる。
本明細書において、「GPR41」とは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは配列番号2に参照されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの機能を実質的に保持するこの配列の変異体もしくはオルソログを指す。
GPR41に対する制限された変動または改変を、その機能を破壊せずに行うことができるということは理解される。例えば、GPR41は、その他のGPR41ポリペプチド、例えば、ヒトGPR41ポリペプチドの哺乳類種オルソログ含むものとする。ヒトGPR41の種オルソログの配列はデータベースに存在し、例えば、GPR41のマウスオルソログは、GenBankにおいて受託番号XM_145470に見い出すことができ、GPR41のラットオルソログはGenBankにおいて受託番号XM_344880に見い出すことができる。さらに、GPR41はGPR41の変異体、例えば、対立遺伝子多型、スプライス変異体および保存的アミノ酸置換変異体を含む。例えば、GPR41は、野生型GPR41ポリペプチドの機能、例えば、GαiまたはGα12/13を介してシグナルを送る能力、GPR41特異的抗体と特異的に結合する能力、既知のリガンドまたはアゴニストなどの化合物と特異的に結合する能力、本明細書に開示されるアゴニストもしくはインバースアゴニスト化合物と特異的に結合する能力、またはインスリン分泌もしくは血糖値を調節する能力を実質的に保持する変異体を含む。GPR41変異体は、野生型GPR41と同レベルに機能する必要はなく、野生型GPR41のすべての機能を含む必要はない。
保存的および非保存的アミノ酸変更、ギャップおよびアミノ酸配列への挿入は、入手可能なアルゴリズムおよびBasic Local Alignment Search Tool(「BLAST」)などのプログラムを用い、デフォルト値設定を用いて参照配列と比較することができる[例えば、Karlin and Altschul,Proc Natl Acad Sci USA(1990)87:2264−8;Altschulら、J MoI Biol(1990)215:403−410;Altschulら、Nature Genetics(1993)3:266−72およびAltschulら、Nucleic Acids Res(1997)25:3389−3402参照のこと]。
全ポリペプチドの機能を実質的に保持するGPR41の断片が定義に含まれるということは理解される。例えば、GPR41のシグナル生成ドメインまたはGPR41の化合物結合ドメインを全ポリペプチドの代わりに使用できる。さらに、GPR41は、エピトープタグまたはその他の融合しているポリペプチドなどの異種配列を含んでいてもよい。さらに、GPR41は、標識、例えば、放射標識、蛍光標識または酵素標識を含んでいてもよい。
一実施形態では、本発明の方法を、配列番号2に対して99%、98%、95%、92%、90%、85%、80%または75%の配列同一性を含み、GPR42ではないポリペプチドを用いて適用できる。
いくつかの実施形態では、GPR41の前記変異体は、GPR41の非内因性の構成的に活性化された変異体である。一実施形態では、前記GPR41は哺乳類由来である。他の実施形態では、前記GPR41はヒトである。
特定の実施形態では、前記GPR41は組換え型である。特定の実施形態では、前記の接触させる工程は、GPCRを発現する宿主細胞と、または宿主細胞の膜と接触させる工程を含み、宿主細胞は受容体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、前記の接触させる工程はGPCRの既知アゴニストまたは本明細書に開示されるアゴニストの存在下で実施される。
特定の実施形態では、前記方法は、候補化合物によって引き起こされる受容体の調節を、受容体を受容体の既知モジュレーターと接触させる工程によって引き起こされる受容体の第2の調節と比較する工程をさらに含む。特定の実施形態では、前記既知モジュレーターはアゴニストである。
いくつかの実施形態では、前記調べる工程はセカンドメッセンジャーアッセイを含み、例えば、調べる工程は、前記GPCRを含む膜とのGTPγS結合の測定によるものである。特定の実施形態では、前記GTPγSを[35S]で標識する。特定の実施形態では、前記調べる工程は、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGMP)、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、MAPキナーゼ活性およびCa2+からなる群より選択されるセカンドメッセンジャーのレベルの測定によるものである。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはcAMPである。特定の実施形態では、前記のcAMPの測定は、全細胞アデニリルシクラーゼアッセイを用いて実施する。特定の実施形態では、前記のcAMPの測定は、前記GPCRを含む膜を用いて実施する。特定の実施形態では、前記調べる工程は細胞内IP3の測定によるものである。特定の実施形態では、前記調べる工程は、キメラGタンパク質、例えばGq/Giキメラの使用をさらに含む。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはMAPキナーゼ活性である。いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、CREリポーターアッセイによるものである。特定の実施形態では、前記リポーターはルシフェラーゼである。いくつかの実施形態では、前記リポーターはβ−ガラクトシダーゼである。特定の実施形態では、前記調べる工程または前記の比較する工程は細胞内Ca2+の測定によるものである。
いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、哺乳類から得た脂肪細胞によるグルコース取り込みの測定によるものである。いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、哺乳類から得た骨格筋細胞によるグルコース取り込みの測定によるものである。
特定の実施形態では、前記調べる工程は、メラノフォアアッセイの使用によるものである。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
本発明はまた、インスリン分泌のモジュレーターとして候補化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物がインスリン分泌のモジュレーターであることを示す方法に関する。例えば、GPR41の機能性を低減させる化合物、例えば、GPR41アンタゴニストまたはインバースアゴニストは、インスリン分泌の増大をもたらし得る。インスリン分泌の増大は、例えば、インスリン抵抗性を有する個体、例えば、糖尿病患者において望まれる場合がある。GPR41の機能性を増大させる化合物、例えば、GPR41アゴニストは、インスリン分泌の減少をもたらし得る。インスリン分泌の減少は、例えば、低血糖症を患う個体において望まれる場合がある。
本発明はまた、血糖濃度のモジュレーターとして候補化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖濃度のモジュレーターであることを示す方法に関する。本発明はまた、インスリン分泌のモジュレーターとして候補化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物がインスリン分泌のモジュレーターであることを示す方法に関する。例えば、GPR41の機能性を低減させる化合物、例えば、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、インスリン分泌の増大および血糖濃度の低下をもたらし得る。血糖の低下は、例えば、高血糖症を患う個体、例えば、糖尿病患者において望まれるものであり得る。GPR41の機能性を増大させる化合物、例えば、GPR41アゴニストは、インスリン分泌の減少および血糖濃度の上昇をもたらし得る。血糖の上昇は、例えば、低血糖症を患う個体において望まれる場合がある。
特定の実施形態では、前記GPR41は組換え型である。特定の実施形態では、前記接触させる工程は、GPCRを発現する宿主細胞と、または宿主細胞の膜と接触させる工程を含み、宿主細胞は受容体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、前記の接触させる工程はGPCRのアゴニストの存在下で実施される。
本発明の方法では、対照反応は、反応の特異性を示すよう実施できる。例えば、GPR41でトランスフェクトした細胞に対して偽トランスフェクト細胞を比較して、GPR41受容体との応答の特異性を示すことができる。
本発明の方法において、特定の実施形態では、前記候補化合物は、抗体またはその抗原結合性誘導体ではない。特定の実施形態では、前記の候補化合物はペプチドではない。特定の実施形態では、前記の候補化合物はポリペプチドではない。
上記のように、受容体の機能性とは、それだけには限らないが、例えば、遺伝子転写を調節し、イオンの流入または流出を調節し、触媒反応を達成し、かつ/またはGタンパク質を介して活性を調節して、細胞において刺激を受け取り、作用を和らげる受容体の正常な働きを指す。GPR41の機能性とは、例えば、GiもしくはG12/13などのGタンパク質との結合、cAMPもしくはIP3などのセカンドメッセンジャーによるシグナル伝達(キメラGタンパク質を用いる場合)、GPR41特異的抗体との特異的結合、GPR41アゴニストまたはインバースアゴニストなどの化合物との特異的結合、インスリン分泌の調節またはイン・ビボでの血糖値の調節であり得る。
本発明の方法では、調べる工程はセカンドメッセンジャーアッセイを含み得る。細胞内シグナルの開始は、例えば、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGMP)、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、MAPキナーゼまたはカルシウムなどのセカンドメッセンジャーのレベルの測定によって調べることができる。これらのセカンドメッセンジャーを測定するためのいくつかのアッセイ、例えば、cAMPアッセイ、IP3アッセイ、FLIPRアッセイ、メラノフォアアッセイまたはCREリポーターアッセイが当技術分野では周知である。さらに、セカンドメッセンジャーアッセイの例は本明細書において実施例12〜17に開示されている。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはcAMPである。その他の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはIP3である。さらなる実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはカルシウムである。
一実施形態では、前記の測定する工程は、GTPγSの、前記GPCRを含む膜との結合の測定によるものである。このようなアッセイは当技術分野では周知であり、本明細書において実施例12および14に例示される。特定の実施形態では、前記GTPγSを[35S]で標識する。
本発明はまた、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定可能な血糖安定化化合物に関する。
例えば、本発明は、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を提供する。
一実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPR41アゴニストである。例えば、前記血糖安定化化合物は以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPR41アゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるGPR41アゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから10μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから1μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから100nMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから10nMの間から選択される値であるアゴニストである。
特定の実施形態では、前記EC50を、以下からなる群より選択されるアッセイを用いて調べる:組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたHEK293細胞を用いて実施されるIP3アッセイ、および組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたメラノフォアを用いて実施されるメラノフォアアッセイ。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてEC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてEC50が10μM未満、9μM未満、8μM未満、7μM未満、6μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜10μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜1μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜100nMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜10nMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPCRに対して選択的である。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストである。例えば、前記血糖化合物は以下からなる群より選択される化合物を含み得る:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜10μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜1μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜100nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜10nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。
特定の実施形態では、前記IC50を、以下からなる群より選択されるアッセイを用いて調べる:組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたHEK293細胞を用いて実施されるIP3アッセイ、および組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたメラノフォアを用いて実施されるメラノフォアアッセイ。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてIC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてIC50が10μM未満、9μM未満、8μM未満、7μM未満、6μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるIC50が1nM〜10μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜1μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜100nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜10nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPCRに選択的である。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は経口投与可能である。いくつかの実施形態では、前記経口バイオアベイラビリティは、腹膜内投与と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも45%である。いくつかの実施形態では、前記経口バイオアベイラビリティは、腹膜内投与と比較して、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも45%である。いくつかの実施形態では、前記経口投与可能な血糖安定化化合物はさらに、血液脳関門を越えることができる。
さらに、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物がa)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定可能な方法に関する。例えば、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物がa)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される方法を提供する。さらに、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物が以下からなる群より選択される化合物を含む方法を提供する:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
本発明はまた、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物を提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示される化合物実施形態のいずれかによる少なくとも1種の化合物と、製薬上許容される担体とを混合する工程を含む薬剤組成物を製造する方法を含む。
化合物は、当業者に周知の技術を用いて、薬剤組成物に製剤できる。当業者には、本明細書に記載されるものの外の適した製薬上許容される担体が利用可能である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Edition,1980,Mack Publishing Co.,(Osloら、eds.)参照のこと。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物は、代替使用では原料のままの化学物質または純粋な化学物質として投与できることもあり得るが、予防または治療において使用するためには、化合物または有効成分が、製薬上許容される担体をさらに含む薬剤製剤または薬剤組成物として存在することが有用であり得る。
したがって、本発明は、本明細書に開示される化合物、または本発明の方法によって同定される化合物、またはその製薬上許容される塩もしくは誘導体を、1種以上のその製薬上許容される担体および/または予防成分と一緒に含む薬剤製剤をさらに提供する。担体(類)は、製剤のその他の成分と適合している、およびその受容者にとって過度に有害でないという意味で「許容される」。
薬剤製剤は、経口、直腸、鼻腔、局所(口内および舌下を含む)、膣または非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含む)投与に適したもの、または吸入もしくは吹送による投与に適した形のものを含む。
したがって、本発明の化合物は、従来のアジュバント、担体または希釈剤とともに、薬剤製剤およびその単位投与の形にすることができ、そのような形では、錠剤もしくは充填カプセル剤などの固体、または溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル、ゲルなどの液体またはそれらが充填されたカプセルとして、すべて経口使用用に、直腸投与用の坐剤の形で、または非経口(皮下を含む)使用のための滅菌注射用溶液の形で使用できる。このような薬剤組成物およびその単位投与形は、さらなる活性化合物または有効成分とともに、またはそれらを伴わずに、従来の成分を従来の割合で含み得る。このような単位投与形は、用いられる意図される一日投与量範囲に相応の、いずれかの適した有効量の有効成分を含み得る。
経口投与用には、薬剤組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液または液体の形であり得る。薬剤組成物は、特定量の有効成分を含む投与量単位の形に製造できる。このような投与量単位の例として、従来の添加物、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチまたはジャガイモデンプンを含み、結合剤、例えば、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アラビアガム、コーンスターチまたはゼラチンを含み、崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、滑沢剤、例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムを含む、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤または懸濁液がある。有効成分はまた、組成物として注射によって投与でき、例えば、生理食塩水、デキストロースまたは水を適した製薬上許容される担体として使用できる。
本発明は、ヒト宿主においてGPR41受容体を選択的に活性化する方法であって、このような治療を必要とするヒト宿主においてGPR41遺伝子産物を選択的に活性化する化合物を投与する工程を含む方法に関する。例えば、化合物はGPR41アゴニスト、例えば、2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩であり得る。
本発明は、ヒト宿主においてGPR41受容体を選択的に阻害する方法であって、このような治療を必要とするヒト宿主においてGPR41遺伝子産物を選択的に阻害する化合物を投与する工程を含む方法に関する。例えば、化合物はGPR41インバースアゴニスト、例えば、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩であり得る。
本発明は、インスリン関連障害を治療または予防することを必要とする個体において、インスリン関連障害を治療または予防する方法であって、前記個体に、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される化合物の有効量を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、低血糖症、インスリン分泌性もしくはインスリン依存性腫瘍、加齢、インスリン抵抗性、耐糖能障害または糖尿病である。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、血糖濃度の上昇と関連している症状、例えば、アテローム性動脈硬化症、心疾患、卒中、高血圧症、肥満症、シンドロームXまたは末梢血管疾患を含む。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害はII型糖尿病である。一実施形態では、投与される化合物はGPR41アゴニストを含む。一実施形態では、投与される化合物はGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含む。
一実施形態では、本方法は、前記個体に、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤の有効量を、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物の有効量と組み合わせて投与する工程をさらに含む。例えば、一実施形態では、本方法は、前記個体に、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤の有効量を、GPR41インバースアゴニストを含む薬剤組成物の有効量と組み合わせて投与する工程をさらに含む。一実施形態では、個体は哺乳類であり、他の実施形態では、個体はヒトである。
本明細書において、障害に関連して、用語「治療」とは、個々の障害と関連している1種以上の症状の重篤度の低減を意味する。したがって、障害を治療することは、一障害と関連しているすべての症状の重篤度の低減を必ずしも意味するのではなく、一障害と関連している1種以上の症状の重篤度の完全な低減を必ずしも意味しない。同様に、用語「予防」とは、個々の障害と関連している1種以上の症状の出現または発生の予防を意味するものであって、一障害の完全な予防を必ずしも意味しない。本発明の方法を用いて、例えば、低血糖症または糖尿病をはじめとするインスリン関連障害を治療できる。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物を用いる場合、用量は、広い制限内で変化し得、常として、また、医師には公知であるように、各個々の場合において個体の状態に合わせられる。例えば、治療される病気の性質および重篤度によって、患者の状態によって、使用される化合物によって、または急性もしくは慢性の病状が治療されるのか、または予防が実施されるのかによって、あるいは本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物に加えて、さらなる活性化合物が投与されるかによって変わる。本発明の代表的な用量として、約0.01mg〜約1000mg、約0.01〜約750mg、約0.01〜約500mg、0.01〜約250mg、0.01mg〜約200mg、約0.01mg〜150mg、約0.01mg〜約100mgおよび約0.01mg〜約75mgが挙げられる。特に、比較的多量が必要であると考えられる場合には、1日の間に複数回の用量、例えば、2、3または4用量を投与してもよい。適切な場合、個々の挙動に応じて、患者の医師または介護者からの必要に応じて、一日用量から上方または下方に逸脱することが必要である場合もある。
治療に用いるのに必要な、有効成分またはその活性な塩もしくは誘導体の量は、選択される個々の塩によってだけでなく、投与経路、治療される状態の性質ならびに患者の年齢および状態によっても変わり、最終的には、担当する医師または臨床医の判断となる。一般に、当業者ならば、モデル系、通常、動物モデルにおいて得られたイン・ビボデータを、別のもの、例えば、ヒトに当てはめる方法は理解している。通常、動物モデルとしては、それだけには限らないが、下記、実施例19に記載される齧歯類糖尿病モデルが挙げられる(その他の動物モデルは、Reed and Scribner in Diabetes, Obesity and Metabolism,1:75−86(1999)によって報告されている)。いくつかの状況では、これらの外挿は、単に、別のもの、例えば、哺乳類、例えば、ヒトと比較した、動物モデルの体重に基づくものであり得るが、これらの外挿は単純に体重に基づくものではなく、種々の因子を取り入れることが多い。代表的な因子として、患者の種類、年齢、体重、性別、食事および病状、疾患の重篤度、投与経路、薬理学的に考慮すべき事柄、例えば、用いられる個々の化合物の活性、有効性、薬物動態および毒性プロフィール、薬物送達システムが用いられるかどうか、急性もしくは慢性の病状が治療されるのか、または予防が実施されるのかどうか、あるいは本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物に加えて、および複合薬の一部として、さらなる活性化合物が投与されるかどうかが挙げられる。本発明の化合物および/または組成物を用いて病状を治療するための投与計画は、上に挙げたような種々の因子にしたがって選択される。したがって、用いられる実際の投与計画は、大幅に変わり得、したがって、好ましい投与計画から逸脱し得、当業者には認識されるであろうが、これらの通常の範囲の外側の投与量および投与計画を試験することができ、適切な場合には、本発明の方法において使用できる。
所望の用量は単回用量で、または適当な間隔で投与される分割用量として、例えば、1日あたり2、3または4回以上の分割用量として提示されることが好都合であり得る。この分割用量自体を、例えば、何回かの、不連続な、大まかに間隔をあけた投与にさらに分割することができる。1日用量は、特に、適当と思われる比較的多量を投与する場合には、数回、例えば、2、3または4部分の投与に分割できる。適切な場合、個体の挙動に応じて、示される1日用量から上方または下方に逸脱することが必要であり得る。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物は、多種多様な経口および非経口投与形で投与できる。当業者には明らかであろうが、以下の投与形は、有効成分として、本明細書に開示される化合物もしくは本発明の方法によって同定される化合物または本明細書に開示される化合物もしくは本発明の方法によって同定される化合物の製薬上許容される塩のいずれかを含み得る。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物から薬剤組成物を調製するには、適した製薬上許容される担体の選択は、固体、液体またはそれらの混合物であり得る。固体形製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、矯味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤またはカプセル化剤として作用し得る1種以上の物質であり得る。
散剤では、担体は、微粉化された有効成分との混合物中にある微粉化固体である。錠剤では、有効成分を、必要な結合能を有する担体と適した割合で混合し、所望の形および大きさに打錠する。
散剤および錠剤は、さまざまなパーセンテージの量の活性化合物を含み得る。散剤または錠剤中の代表的な量は、0.5〜約90パーセントの活性化合物を含み得るが、技術者ならば、この範囲の外側の量が必要である場合も認識している。散剤および錠剤に適した担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどがある。用語「調製」とは、活性化合物を、担体としてのカプセル化物質とともに製剤し、有効成分が、担体とともに、または担体を伴わずに担体によって囲まれており、したがって、それと関連しているカプセルを提供することを含むものとする。同様に、カシェ剤およびトローチ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤およびトローチ剤は、経口投与に適した固体形として使用できる。
坐剤を調製するには、低融点ワックス、例えば、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物をまず融解させ、撹拌によってのように、その中に有効成分を均一に分散させる。次いで、融解された均一な混合物を、好都合な大きさの型に注ぎ入れ、放冷し、それによって固化させる。
膣投与に適した製剤は、有効成分に加え、当技術分野で適当であると知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡物質またはスプレーとして提供できる。
液体形製剤としては、溶液、懸濁液およびエマルション、例えば、水または水−プロピレングリコール溶液が挙げられる。例えば、非経口用注射液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として製剤できる。注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適した分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用い、公知の技術にしたがって製剤できる。滅菌注射用製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈液または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であり得る。使用できる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌硬化油を溶媒または懸濁媒体として用いることも好都合である。この目的には、合成モノグリセリドまたはジグリセリドをはじめ、いずれの無刺激性の硬化油も使用できる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も、注射物質の調製に用途を見い出す。
したがって、本発明の化合物は、非経口投与用(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または連続注入による)に製剤でき、アンプル、プレフィルドシリンジ、小容量点滴液に入れた単位投与形で、または保存料を添加した複数回用量容器に入れて提供できる。薬剤組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションのような形をとることができ、また、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの処方用薬剤を含み得る。あるいは、有効成分は、使用前に、適したビヒクル、例えば、滅菌した、発熱物質を含まない水で構成するための、滅菌固体の無菌単離によってか、溶液からの凍結乾燥によって得られる散剤の形であり得る。
経口使用に適した水溶液は、有効成分を水に溶解することと、要望どおりに、適した着色剤、矯味剤、安定化剤および増粘剤を添加することとによって調製できる。
経口使用に適した水性懸濁液は、微粉化された有効成分を、粘稠性物質、例えば、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはその他の周知の懸濁剤とともに水に分散させることによって製造できる。
また、使用の直前に、経口投与用液体形製剤に変換されるものである固体形製剤も含まれる。このような液体形としては、溶液、懸濁液およびエマルションが挙げられる。これらの製剤は、有効成分に加え、着色剤、矯味剤、安定化剤、バッファー、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
表皮への局所投与には、本発明の化合物は、軟膏、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして製剤できる。
軟膏およびクリームは、例えば、適した増粘剤および/またはゲル化剤を添加した水性または油性基剤を用いて製剤できる。ローションは、水性または油性基剤を用いて製剤でき、一般に、1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤または着色剤を含む。
口中における局所投与に適した製剤としては、矯味付けした基剤、通常、スクロースおよびアラビアガムまたはトラガカント中の有効成分を含むトローチ剤(lozenge);不活性の基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアガム中の有効成分を含むトローチ剤(pastille);および適した液体担体中の有効成分を含むマウスウォッシュが挙げられる。
鼻腔には、従来の手段によって、例えば、点滴器、ピペットまたはスプレーを用いて、溶液または懸濁液を直接適用する。製剤は単回または複数回用量形で提供できる。点滴器またはピペットの後者の場合には、これは適当な、所定の容量の溶液または懸濁液を患者が投与することによって達成できる。スプレーの場合には、これは、例えば、定量噴霧スプレーポンプによって達成できる。
また、気道への投与は、有効成分が適した高圧ガスを含む加圧型パック中に提供されるエアゾール製剤によって達成できる。本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物またはそれらを含む薬剤組成物を、エアゾールとして、例えば、鼻エアゾールとしてまたは吸入によって投与する場合には、これは、例えば、スプレー、噴霧器、ポンプ噴霧器、吸入装置、定量吸入器または乾燥粉末吸入器を用いて実施できる。本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物をエアゾールとして投与するための製剤形は、当業者に周知のプロセスによって調製できる。これらの調製には、例えば、通常の添加物、例えば、ベンジルアルコールまたはその他の適した保存料、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、可溶化剤、分散剤その他、ならびに、適切な場合には、通常の高圧ガス(例えば、二酸化炭素、CFC類、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンまたはジクロロテトラフルオロエタンなどが挙げられる)を用い、水、水/アルコール混合物または適した生理食塩水溶液中の、本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物の溶液または分散物を使用できる。エアゾールはレシチンなどの界面活性剤を含むことが好都合であり得る。薬物の用量は、定量バルブを提供することによって制限できる。
経鼻製剤を含む、気道への投与を対象とする製剤では、一般に、化合物は、例えば、10ミクロン以下というオーダーの小さな粒径を有する。このような粒径は、当技術分野で公知の手段によって、例えば、微粒子化によって得ることができる。必要な場合には、有効成分の持続放出を与えるよう適応させた製剤を使用できる。
あるいは、有効成分は、乾燥粉末、例えば、適した粉末基剤、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体およびポリビニルピロリドン(PVP)中の化合物の粉末混合物の形で提供できる。粉末担体が鼻腔においてゲルを形成することが好都合である。粉末組成物は単位用量形で、例えば、ゼラチンの、例えば、カプセルまたはカートリッジ、または吸入器によって散剤を投与できるブリスターパックで提供できる。
薬剤製剤は単位投与形であり得る。このような形では、製剤は適当な量の有効成分を含む単位用量に分割できる。単位投与形は、パッケージが個別の量の製剤を含むパッケージングされた製剤、例えば、バイアルまたはアンプル中のパッケージングされた錠剤、カプセル剤および散剤であってもよい。また、単位投与形はカプセル剤、錠剤、カシェ剤またはトローチ剤自体であってもよく、またはパッケージングされた形のこれらのうちのいずれかの適当な数であってもよい。
経口投与用の錠剤またはカプセル剤および静脈内投与用の液体は、特に有用な組成物である。
インスリン関連障害としては、例えば、低血糖症、インスリン分泌性もしくはインスリン依存性腫瘍、加齢、インスリン抵抗性、耐糖能障害または糖尿病が挙げられる。
低血糖症は、異常に低い血糖として定義される。低血糖症は、例えば、過剰なインスリンまたは乏しい食事に起因し得る。例えば、低血糖症は、糖尿病を患う人が多すぎるインスリンを注射した場合、少なすぎる食事をとった場合に、または追加の食品をとらずに運動した場合に生じ得る。低血糖症の症状としては、例えば、神経過敏または脱力感、頭痛、かすみ目、空腹感および過剰な発汗が挙げられる。
インスリン分泌性腫瘍としては、例えば、インスリノーマが挙げられる。インスリノーマは、ランゲルハンス島と呼ばれる、膵臓の領域にあるβ細胞の腫瘍である。通常、癌性ではないが、このような腫瘍は、身体に過剰のインスリンを製造させ、低すぎる血糖値を導き得る。インスリン分泌性腫瘍の他に、インスリンを分泌しないいくつかの腫瘍が、インスリンを増殖因子として使用する場合もある。インスリンが、腫瘍によって使用される唯一の増殖因子であろうがなかろうが、身体におけるインスリン量の低下によって腫瘍の増殖を低減できる。
加齢は、年齢を重ねるにつれ生物に生じる生理学的プロセスである。カロリー制限はインスリン分泌をダウンレギュレートするが、これらの作用が、長生きに対するカロリー制限の好ましい影響の重要なメディエーターであると思う理由がある。したがって、インスリンをダウンレギュレートする戦略は、加齢のプロセスを遅らせ、長生きを延長させるのに有用であり得る。
糖尿病ならびにインスリン抵抗性および耐糖能障害などの関連症状は、本明細書において上で記載されている。
さらに、インスリン抵抗性は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の共通の特徴であり、ロシグリタゾンおよびメトホルミンなどの薬物がPCOSの治療に用いられている(Sepilian and Nagamani J.Clin.Endocrinol Metab.Oct.14,2003;Baillargeonら、Fertil.Steril.82:893−902(2004))。PCOSは、例えば、左右対称に肥大した卵巣、無月経および不妊症を特徴とする。常染色体優性条件として遺伝される。この疾患のその他の症状としては、例えば、多毛および肥満が挙げられる。ホルモン的には、PCOSは、黄体形成ホルモン、インスリンおよびアンドロゲンの分泌の増大を特徴とする。
本発明の化合物の他の適応症は、例えば、HIV感染に対する抗レトロウイルス療法によって引き起こされるような脂肪異栄養症の治療である。高活性抗レトロウイルス療法(HAART)として知られる長期のAIDS療法を受けている患者の中には、脂肪異栄養症と呼ばれる症候群を次第に発症する人もいる。症状としては、インスリン感受性、顔面、腕および脚から腹部および背中上部への脂肪の再分布、およびコレステロール変化が挙げられる。HAARTを受けている人のうち約14パーセントが、2型糖尿病を最終的に発症する。薬物ロシグリタゾンが、3ヶ月間の治療を受けたHIV陽性患者においてインスリン感受性を改善することが分かっている。患者は、インスリン感受性を測定する標準試験で約20パーセント改善され、またその全身脂肪、特に、その顔面、腕および脚の脂肪量が増加し、24パーセント増加した。比較して、プラセボを摂取している患者は、顔面、腕および脚の脂肪が2パーセント減少した。
いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、血糖濃度の上昇と関連している症状、例えば、アテローム性動脈硬化症、心疾患、卒中、高血圧症、肥満症、シンドロームXまたは末梢血管疾患を含む。
アテローム性動脈硬化症とは、脂肪物質、コレステロールおよびその他の物質の蓄積が、動脈の内層に集中するプロセスである。この集積はプラークと呼ばれる。プラークの破裂が血栓を形成させ、この血栓が心臓への血流を遮断(心臓発作)または脳への血流を遮断(卒中)し得る。米国では、心臓発作が、男性および女性双方の第1の死因であり、卒中が第3の死因である[例えば、Nature Medicine,Special Focus on Atherosclerosis,(2002)8:1209−1262を参照のこと]。異常に高レベルの循環脂質が、アテローム性動脈硬化症の発生の主要な病因である。高レベルの低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール、高レベルのトリグリセリドのまたは低レベルの高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールは独立に、アテローム性動脈硬化症および関連する病気の危険因子である。
心疾患としては、それだけには限らないが、心不全、冠不全、冠動脈疾患および高血圧症(high blood pressure)(高血圧症(hypertension))が挙げられる。末梢血管疾患とは、心臓および脳の外側の血管の疾患を指す。組織の末梢血管疾患は、血管の構造変化、例えば、炎症および組織損傷によって引き起こされる。末梢動脈疾患が一例である。末梢動脈疾患(PAD)は、冠動脈疾患および頚動脈疾患と同様の症状である。PADでは、脂肪の蓄積が動脈壁に沿って集中し、主に、脚および足へつながる動脈における血液循環に影響を及ぼす。早期においては、一般的な症状は、活動の間の脚および臀部の筋痙攣または疲労である。このような筋痙攣は、その人が静止している時には治まる。これは、「間欠性跛行」と呼ばれる。PADを患う人は、血栓の危険性のために、卒中および心臓発作による死亡の高い危険性を有する。
シンドロームXは、メタボリックシンドロームとも呼ばれ、一人の人物における一群の代謝危険因子を特徴とする。それらとしては、中心性肥満(腹部の中および腹部周辺の過剰の脂肪組織)、アテローム生成性異脂肪血症(血液脂肪障害−主に高トリグリセリドおよび低HDLコレステロール)、血圧の上昇(130/85mmHg以上)、インスリン抵抗性またはグルコース不耐性、プロトロンビン状態(例えば、血中の高フィブリノゲンまたはプラスミノゲンアクチベーター阻害剤[−1])および炎症誘発性状態(例えば、血中の高感受性C反応性タンパク質の上昇)が挙げられる。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物は、本明細書において上で記載されるように、唯一の活性な医薬品として投与できるが、それらは、例えば、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤をはじめとする1種以上の薬剤と併用してもよい。例えば、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストなどの化合物は、α−グルコシダーゼ阻害剤、アルドースレダクターゼ阻害剤、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、メグリチニド、スルホニル尿素、インスリン、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、フィブラート化合物、LDL異化促進剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、リパーゼ阻害剤、セロトニンおよび/またはノルアドレナリンリリーサーまたは再取り込み阻害剤として知られる薬物の種類に属する1種以上の薬剤と併用してもよい。
α−グルコシダーゼ阻害剤は、膵臓およびまたは小腸において、α−アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなどといった消化酵素を競合的に阻害する薬物の種類に属する。α−グルコシダーゼ阻害剤による可逆性の阻害は、デンプンおよび糖の消化を遅らせることによって、血糖値を遅延させ、減少させ、あるいは低下させる。α−グルコシダーゼ阻害剤のいくつかの代表的な例として、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオールアミン(一般名;ボグリボース)、ミグリトールおよび当技術分野で公知のα−グルコシダーゼ阻害剤がある。
アルドースレダクターゼ阻害剤の種類は、ポリオール経路において初期律速酵素を阻害し、それによって糖尿病合併症を防ぐか、抑止する薬物である。糖尿病の高血糖状態では、ポリオール経路におけるグルコースの利用が増大し、過剰のソルビトールが細胞内に蓄積し、結果として、組織毒として作用し、したがって、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症および糖尿病性腎症などの合併症の発病を惹起する。アルドースレダクターゼ阻害剤の例として、トルレスタット(tolurestat)、エパルレスタット、3,4−ジヒドロ−2,8−ジイソプロピル−3−チオキソ−2H−1,4−ベンゾキサジン−4−酢酸、2,7−ジフルオロスピロ(9H−フルオレン−9,4’−イミダゾリジン)−2’,5’−ジオン(一般名:イミレスタット(imirestat))、3−[(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)メチ]−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−1(2H)−キナゾリン酢酸(一般名:ゼナレスタット(zenarestat))、6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−2’,5’−ジオキソ−スピロ[4H−1−ベンゾピラン−4,4’−イミダゾリジン]−2−カルボキサミド(SNK−860)、ゾポルレスタット(zopolrestat)、ソルビニルおよび1−[(3−ブロモ−2−ベンゾフラニル)スルホニル]−2,4−イミダゾリジンジオン(M−16209)および当技術分野で公知のアルドースレダクターゼ阻害剤が挙げられる。
ビグアナイドは、嫌気性解糖を刺激し、末梢組織においてインスリンに対する感受性を高め、腸からのグルコース吸収を阻害し、肝臓の糖新生を抑制し、脂肪酸酸化を阻害する薬物の種類である。ビグアナイドの例として、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンおよび当技術分野で公知のビグアナイドが挙げられる。
インスリン分泌促進薬は、膵臓β細胞からのインスリンの分泌を促進する特性を有する薬物の種類に属する。インスリン分泌促進薬の例として、スルホニル尿素(SU)が挙げられる。スルホニル尿素(SU)は、インスリン分泌のシグナルを、細胞膜中のSU受容体を介して伝達することによって、膵臓β細胞からのインスリンの分泌を促進する薬物である。スルホニル尿素の例として、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、4−クロロ−N−[(1−ピロリジニルアミノ)カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド(一般名:グリコピラミド(glycopyramide))またはそのアンモニウム塩、グリベンクラミド(グリブリド)、グリクラジド、1−ブチル−3−メタニルウレア、カルブタミド、グリボヌリド(glibonuride)、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブチアゾール(glybuthiazole)、グリブゾール(glibuzole)、グリヘキサミド(glyhexamide)、グリミジン、グリピナミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、トルシクラミド(tolcyclamide)、グリメピリドおよびその他の当技術分野で公知のインスリン分泌促進薬が挙げられる。その他のインスリン分泌促進薬としては、N−[[4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル)カルボニル]−D−フェニルアラニン(ナタグリニド)、カルシウム(2S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオネート二水和物(ミチグリニド、KAD−1229)およびその他の当技術分野で公知のインスリン分泌促進薬が挙げられる。
チアゾリジンジオンは、TZDとしてより一般に知られる薬物の種類に属する。チアゾリジンジオンは、インスリンに対する細胞の感受性を高めることによって血糖を低下させる2型糖尿病のための薬物の種類である。したがって、インスリンが、エネルギーのためにグルコースを血液から細胞に移動させることができる。これらの薬物はまたHDLを高め得る。
チアゾリジンジオンの例として、ロシグリタゾン、ピオグリタゾンおよび当技術分野で公知のチアゾリジンジオンが挙げられる。レズリン(Rezulin)(トログリタゾン)は、米国におけるこの種類の最初の薬物であったが、肝臓毒性のために市場から回収された。より良い安全性プロフィールを有する現在入手可能な姉妹化合物として、アクトス(Actos)(ピオグリタゾン)およびアバンジア(Avandia)(ロシグリタゾン)が挙げられる。これらの医薬を使用するための主な禁忌症として、肝臓疾患および心不全が挙げられる。これらの薬物はまた、体液貯留の大幅な増大およびそれによる心不全の危険性の増大を引き起こし得る。
メグリチニドは、2型糖尿病の人が食事をとった直後に生じ得る血糖の急速な上昇を停止するために用いられる。例えば、レパグリニド(プランジン(Prandin))およびナタグリニド(スターリックス(Starlix))をはじめとするこれらの化合物は、スルホニル尿素医薬が働くのと同様に、膵臓によって生成されるインスリン量を増大させることによって働く。メグリチニドは食事をする前に摂取する。この種類の薬物に伴われる副作用として、低血糖、鼻炎症状をはじめとする上気道感染、頭痛、関節および背中の疼痛、悪心、下痢および便秘が挙げられる。
種々のタイプのインスリンが、どの程度早く働き始めるか(発現)、およびどの程度長期間働き続けるか(期間)に従って分類されている。現在入手可能なタイプとして、即効型、短時間作用型、中時間作用型および長時間作用型インスリンが挙げられる。予混合即効型および中時間作用型インスリンが入手可能である。例えば、70/30インスリンと呼ばれる、70%中時間作用型(NPH)と30%短時間作用型レギュラーインスリン;50/50インスリンと呼ばれる、50%中時間作用型(NPH)と50%短時間作用型レギュラーインスリン;75/25インスリンと呼ばれる、75%中時間作用型(NPH)と25%即効型ヒューマログ(Humalog)(リスプロ);ノボログミックス70/30と呼ばれる、70%中時間作用型(NPH)と30%即効型ノボログ(NovoLog)(インスリンアスパルト(aspart))。インスリンは通常、注射として皮膚の下の組織中に投与される(皮下)。インスリンポンプまたはジェットインジェクタ、医薬を皮膚に噴霧する装置によって投与してもよい。
インスリンは糖(グルコース)を細胞に入らせ、糖はそこでエネルギーのために使用される。インスリンがなければ、血糖値が身体に安全であるものを上回って上昇する。通常、即効型または短時間作用型および中時間作用型または長時間作用型インスリンは、身体が必要とする一定レベルおよび可変レベルのインスリンを提供するよう摂取する。短時間作用型インスリンは血糖値を迅速に低下させ、次いで、徐々に切れる。長時間作用型インスリンの中には、即効型または短時間作用型インスリンが切れ始めたときに、効果が出始めるものもある。新規長時間作用型インスリン、ランタス(Lantus)は、投与された後数分内に働き始め、同じ割合で約24時間働き続ける。
即効型または短時間作用型インスリンと中時間作用型または長時間作用型インスリンとの組み合わせにより、血糖値を身体にとって安全である範囲内に一日中維持するのに役立つ。したがって、膵臓がインスリンをほとんど生成しないか、全く生成しない、または経口医薬が血糖を制御しない、1型糖尿病を患う人、2型糖尿病を患う人を、インスリンを用いて治療できる。これらの人は、インスリンを、単独でまたは経口医薬とともに摂取すればよい。例えば、重篤な病気または大手術のために血糖値が高い2型糖尿病を患う人、食事および運動で血糖値を安全な範囲内に維持できない、妊娠しているか、授乳期の2型糖尿病を患う女性。1種の経口糖尿病医薬(グリブリド)しか、妊娠期間に使用するために研究されていない。
インスリンの主要な副作用は危険なまでに低い血糖値(重症低血糖症)であり得る。極めて低い血糖値は10〜15分以内に発生し得る。インスリンは、特に、すでに過体重である2型を患う人において体重増加に貢献し得る。長時間作用型インスリン使用のその他のあり得る副作用として、インスリンが注射される場所での脂肪組織の喪失(脂肪異栄養症)、稀であるが、腫脹(浮腫)を含むアレルギー反応が挙げられる。
スタチン化合物は、ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG−CoA)レダクターゼを阻害することによって、血中コレステロールレベルを低下させる薬物の種類に属する。HMG−CoAレダクターゼは、コレステロール生合成における律速酵素である。このレダクターゼを阻害するスタチンは、LDL受容体の活性をアップレギュレートすることによって血清LDL濃度を低下させ、血液からのLDLの除去に関与している。スタチン化合物の例として、ロスバスタチン、プラバスタチンおよびそのナトリウム塩、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンおよび当技術分野で公知のHMG−CoAレダクターゼが挙げられる。
スクアレン合成阻害剤は、スクアレンの合成を阻害することによって血中コレステロールレベルを低下させる薬物の種類に属する。スクアレン合成阻害剤の例として、(S)−α−[ビス[2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ)メトキシ]ホスフィニル]−3−フェノキシベンゼンブタンスルホン酸、一カリウム塩(BMS−188494)および当技術分野で公知のスクアレン合成阻害剤が挙げられる。
フィブラート化合物は、肝臓におけるトリグリセリドの合成および分泌を阻害することとリポタンパク質リパーゼを活性化することとによって血中コレステロールレベルを低下させる薬物の種類に属する。フィブラートは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体を活性化し、リポタンパク質リパーゼ発現を誘導することがわかっている。フィブラート化合物の例としては、ベザフィブラート、ベクロブラート(beclobrate)、ビニフィブラート(binifibrate)、シプロフィブラート(ciplofibrate)、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート、テオフィブラート(theofibrate)および当技術分野で公知のフィブラートが挙げられる。
LDL(低密度リポタンパク質)異化促進剤は、LDL(低密度リポタンパク質)受容体の数を増大させることによって血中コレステロールレベルを低下させる薬物の種類に属し、例として、当技術分野で公知のLDL異化促進剤が挙げられる。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は、アンジオテンシン変換酵素を阻害することによって、血糖値をある程度低下させ、ならびに、血圧を低下させる薬物の種類に属する。アンジオテンシン変換酵素の例として、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル、ラミプリル、リシノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、セロナプリル(ceronapril)、シラザプリル、エナラプリラート、ホシノプリル、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリルおよび当技術分野で公知のアンジオテンシン変換酵素阻害剤が挙げられる。
リパーゼ阻害剤としては、例えば、オーリスタット(ゼニカル(商標))などの抗肥満症化合物が挙げられる。オーリスタットは脂肪吸収を直接阻害するが、高罹患率の下痢および膨満などの不快な胃の副作用を生じる傾向がある。
他の種類の抗肥満症薬として、セロトニンおよび/またはノルアドレナリンリリーサーまたは再取り込み阻害剤が挙げられる。例えば、シブトラミン(メリディア(Meridia)(商標))を5−HT/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤と混合する。シブトラミンの主な副作用として、いくらかの患者で血圧の上昇および心拍数の増大があり得る。セロトニンリリーサー/再取り込み阻害剤フェンフルラミン(ポンジミン(Pondimin)(商標))およびデクスフェンフルラミン(レダックス(Redux)(商標))は、長期間(6ヶ月を超える)にわたって食物摂取および体重を低減させると報告されている。しかし、両製品とも、その使用に伴われる心臓弁の異常という予備的証拠が報告された後、使用が廃止された。
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物またはその製薬上許容される塩を含む薬剤組成物を、α−グルコシダーゼ阻害剤、アルドースレダクターゼ阻害剤、ビグアナイド、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、フィブラート化合物、LDL異化促進剤およびアンジオテンシン変換酵素阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種以上のメンバーと組み合わせて含む。他の実施形態では、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、プレバスタチン(prevastatin)、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチンおよびリピトール(lipitor)からなる群より選択される。
本発明によれば、組み合わせは、それぞれの有効成分をすべて一緒に、または独立に、本明細書において上で記載されたような、生理学的に許容される担体、賦形剤、結合剤、希釈液などと混合することと、混合物または混合物類を薬剤組成物として経口投与または非経口投与することとによって使用できる。化合物または化合物の混合物を、別の活性化合物とともに併用療法または併用予防として投与する場合には、治療薬を、同時に、または異なる時点で与えられる別個の薬剤組成物として製剤してもよいし、治療薬は単一の組成物として投与してもよい。
本発明はまた、血糖安定化化合物として使用するための、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物を含む医薬の製造方法を提供する。
本発明は、インスリン関連障害の治療に用いるための、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が調節されるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の調節が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物を含む医薬の製造方法をさらに提供する。
本発明は、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す、血糖安定化化合物を同定する方法に関する。
一実施形態では、前記GPR41は哺乳類由来である。他の実施形態では、前記GPR41はヒトである。
特定の実施形態では、前記GPR41は、組換え型である。特定の実施形態では、前記の接触させる工程は、GPCRを発現する宿主細胞と、または宿主細胞の膜と接触させる工程を含み、宿主細胞は受容体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、前記の接触させる工程はGPCRの既知アゴニストまたは本明細書に開示されるアゴニストの存在下で実施される。
特定の実施形態では、前記方法は、候補化合物によって引き起こされる受容体の機能性の増大を、受容体を、受容体の既知リガンドまたはアゴニストに接触させる工程によって引き起こされる受容体の機能性の第2の増大と比較する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記調べる工程はセカンドメッセンジャーアッセイを含み、例えば、調べる工程は、前記GPCRを含む膜とのGTPγS結合の測定によるものである。特定の実施形態では、前記GTPγSを[35S]で標識する。特定の実施形態では、前記調べる工程は、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGMP)、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、MAPキナーゼ活性およびCa2+からなる群より選択されるセカンドメッセンジャーのレベルの測定によるものである。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはcAMPである。特定の実施形態では、前記のcAMPの測定は、全細胞アデニリルシクラーゼアッセイを用いて実施する。特定の実施形態では、前記のcAMPの測定は、前記GPCRを含む膜を用いて実施する。特定の実施形態では、前記調べる工程は細胞内IP3の測定によるものである。特定の実施形態では、前記調べる工程は、キメラGタンパク質、例えばGq/Giキメラの使用をさらに含む。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはMAPキナーゼ活性である。いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、CREリポーターアッセイによるものである。特定の実施形態では、前記リポーターはルシフェラーゼである。いくつかの実施形態では、前記リポーターはβ−ガラクトシダーゼである。特定の実施形態では、前記調べる工程または前記の比較する工程は細胞内Ca2+の測定によるものである。
いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、哺乳類から得た脂肪細胞によるグルコース取り込みの測定によるものである。いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、哺乳類から得た骨格筋細胞によるグルコース取り込みの測定によるものである。
特定の実施形態では、前記調べる工程は、メラノフォアアッセイの使用によるものである。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
本発明はまた、インスリン分泌の阻害剤として候補化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の増大が、候補化合物がインスリン分泌の阻害剤であることを示す方法に関する。例えば、GPR41の機能性を高める化合物、例えば、GPR41アゴニストは、インスリン分泌の減少をもたらし得る。インスリン分泌の減少は、例えば、低血糖症を患う個体において望まれる場合がある。
本発明はまた、血糖濃度の上昇をもたらす候補化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖濃度の上昇をもたらすことを示す方法に関する。例えば、GPR41の機能性を高める化合物、例えば、GPR41アゴニストは、インスリン分泌の減少および血糖濃度の上昇をもたらし得る。血糖の上昇は、例えば、低血糖症を患う個体において望まれる場合がある。
特定の実施形態では、前記GPR41は組換え型である。特定の実施形態では、前記の接触させる工程は、GPCRを発現する宿主細胞と、または宿主細胞の膜と接触させる工程を含み、宿主細胞は受容体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、前記の接触させる工程をGPCRのアゴニストの存在下で実施される。
本発明の方法では、対照反応は、反応の特異性を示すよう実施できる。例えば、GPR41でトランスフェクトした細胞に対して偽トランスフェクト細胞を比較して、GPR41受容体との応答の特異性を示すことができる。
本発明の方法において、特定の実施形態では、前記候補化合物は、抗体またはその抗原結合性誘導体ではない。特定の実施形態では、前記の候補化合物はペプチドではない。特定の実施形態では、前記の候補化合物はポリペプチドではない。
本発明の方法では、調べる工程はセカンドメッセンジャーアッセイを含み得る。細胞内シグナルの開始は、例えば、セカンドメッセンジャー、例えば、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGMP)、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、MAPキナーゼまたはカルシウムのレベルの測定によって調べることができる。これらのセカンドメッセンジャーを測定するためのいくつかのアッセイ、例えば、cAMPアッセイ、IP3アッセイ、FLIPRアッセイ、メラノフォアアッセイまたはCREリポーターアッセイが当技術分野では周知である。さらに、セカンドメッセンジャーアッセイの例は本明細書において実施例12〜17に開示されている。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはcAMPである。その他の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはIP3である。さらなる実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはカルシウムである。
一実施形態では、前記の測定する工程は、GTPγSの、前記GPCRを含む膜との結合の測定によるものである。このようなアッセイは当技術分野では周知であり、本明細書において実施例12および14に例示される。特定の実施形態では、前記GTPγSを[35S]で標識する。
本発明はまた、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定可能な血糖安定化化合物に関する。
例えば、本発明は、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を提供する。
一実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPR41アゴニストである。例えば、前記血糖安定化化合物は以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPR41アゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるGPR41アゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから10μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから1μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから100nMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、EC50が1nMから10nMの間から選択される値であるアゴニストである。
特定の実施形態では、前記EC50を、以下からなる群より選択されるアッセイを用いて調べる:組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたHEK293細胞を用いて実施されるIP3アッセイ、および組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたメラノフォアを用いて実施されるメラノフォアアッセイ。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてEC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてEC50が10μM未満、9μM未満、8μM未満、7μM未満、6μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜10μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜1μMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜100nMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるEC50が1nM〜10nMの間から選択される値であるアゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPCRに対して選択的である。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は経口投与可能である。いくつかの実施形態では、前記経口バイオアベイラビリティは、腹膜内投与と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも45%である。いくつかの実施形態では、前記経口バイオアベイラビリティは、腹膜内投与と比較して、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも45%である。いくつかの実施形態では、前記経口投与可能な血糖安定化化合物はさらに、血液脳関門を越えることができる。
一実施形態では、前記血糖安定化化合物は、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
さらに、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物が、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定可能である方法に関する。例えば、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物が、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される方法を提供する。さらに、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物が以下からなる群より選択される化合物を含む方法を提供する:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
本発明はまた、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、または、それからなる薬剤組成物を提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示される化合物実施形態のいずれかによる少なくとも1種の化合物と、製薬上許容される担体とを混合する工程を含む薬剤組成物を製造する方法を含む。
化合物は、当業者に周知の技術を用いて、薬剤組成物に製剤できる。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物は、代替使用では原料のままの化学物質または純粋な化学物質として投与できることもあり得るが、予防または治療において使用するためには、化合物または有効成分が、製薬上許容される担体をさらに含む薬剤製剤または薬剤組成物として存在することが有用であり得る。
したがって、本発明は、本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物またはその製薬上許容される塩もしくは誘導体を、1種以上のその製薬上許容される担体および/または予防成分と一緒に含む薬剤製剤をさらに提供する。担体は、製剤のその他の成分と適合している、およびその受容者にとって過度に有害でないという意味で「許容される」。
薬剤製剤、投与経路および投与量は上に記載してある。
本発明は、インスリン関連障害を治療または予防することを必要とする個体において、インスリン関連障害を治療または予防する方法であって、前記個体に、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される化合物の有効量を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、低血糖症、インスリン分泌性もしくはインスリン依存性腫瘍または加齢である。一実施形態では、投与される化合物は、GPR41アゴニストを含む。一実施形態では、個体は哺乳類であり、他の実施形態では、個体はヒトである。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物は、本明細書において上で記載されるように、唯一の活性な医薬品として投与できるが、それらは、1種以上の薬剤と併用してもよい。
本発明はまた、血糖安定化化合物として使用するための、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示すという方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、または、それからなる薬剤組成物を含む医薬の製造方法を提供する。
本発明は、インスリン関連障害の治療に用いるための、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が高められるかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の増大が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物を含む医薬を製造する方法をさらに提供する。
本発明は、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す、血糖安定化化合物を同定する方法に関する。一実施形態では、前記血糖安定化化合物は、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
一実施形態では、前記GPR41は哺乳類由来である。他の実施形態では、前記GPR41はヒトである。
特定の実施形態では、前記GPR41は組換え型である。特定の実施形態では、前記の接触させる工程は、GPCRを発現する宿主細胞と、または宿主細胞の膜と接触させる工程を含み、宿主細胞は受容体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、前記の接触させる工程はGPCRの既知アゴニストまたは本明細書に開示されるアゴニストの存在下で実施される。
いくつかの実施形態では、前記調べる工程はセカンドメッセンジャーアッセイを含み、例えば、調べる工程は、前記GPCRを含む膜とのGTPγS結合の測定によるものである。特定の実施形態では、前記GTPγSを[35S]で標識する。特定の実施形態では、前記調べる工程は、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGMP)、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、MAPキナーゼ活性およびCa2+からなる群より選択されるセカンドメッセンジャーのレベルの測定によるものである。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはcAMPである。特定の実施形態では、前記のcAMPの測定は、全細胞アデニリルシクラーゼアッセイを用いて実施する。特定の実施形態では、前記のcAMPの測定は、前記GPCRを含む膜を用いて実施する。特定の実施形態では、前記調べる工程は細胞内IP3の測定によるものである。特定の実施形態では、前記調べる工程は、キメラGタンパク質、例えばGq/Giキメラの使用をさらに含む。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはMAPキナーゼ活性である。いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、CREリポーターアッセイによるものである。特定の実施形態では、前記リポーターはルシフェラーゼである。いくつかの実施形態では、前記リポーターはβ−ガラクトシダーゼである。特定の実施形態では、前記調べる工程または前記の比較する工程は細胞内Ca2+の測定によるものである。
いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、哺乳類から得た脂肪細胞によるグルコース取り込みの測定によるものである。いくつかの実施形態では、前記調べる工程は、哺乳類から得た骨格筋細胞によるグルコース取り込みの測定によるものである。
特定の実施形態では、前記調べる工程は、メラノフォアアッセイの使用によるものである。
本発明はまた、インスリン分泌の増強剤として候補化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の低減が、候補化合物がインスリン分泌の増強剤であることを示す方法に関する。例えば、GPR41の機能性を低減させる化合物、例えば、GPR41アンタゴニストまたはインバースアゴニストは、インスリン分泌の増大をもたらし得る。インスリン分泌の増大は、例えば、インスリン抵抗性を有する個体、例えば、糖尿病患者において望まれる場合がある。
本発明はまた、血糖濃度の低下をもたらす候補化合物を同定する方法であって、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖濃度の低下をもたらすことを示す方法に関する。例えば、GPR41の機能性を低下させる化合物、例えば、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、インスリン分泌の増大および血糖濃度の低下をもたらし得る。血糖の低下は、高血糖症を患う個体、例えば、糖尿病患者において望まれるものであり得る。
特定の実施形態では、前記GPR41は組換え型である。特定の実施形態では、前記接触させる工程は、GPCRを発現する宿主細胞と、または宿主細胞の膜と接触させる工程を含み、宿主細胞は受容体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、前記の接触させる工程をGPCRのアゴニストの存在下で実施する。
本発明の方法では、対照反応は、反応の特異性を示すよう実施できる。例えば、GPR41でトランスフェクトした細胞に対して偽トランスフェクト細胞を比較して、GPR41受容体への応答の特異性を示すことができる。
本発明の方法において、特定の実施形態では、前記候補化合物は、抗体またはその抗原結合性誘導体ではない。特定の実施形態では、前記の候補化合物はペプチドではない。特定の実施形態では、前記の候補化合物はポリペプチドではない。
本発明の方法では、調べる工程はセカンドメッセンジャーアッセイを含み得る。細胞内シグナルの開始は、例えば、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGMP)、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、MAPキナーゼまたはカルシウムなどのセカンドメッセンジャーのレベルの測定によって調べることができる。これらのセカンドメッセンジャーを測定するためのいくつかのアッセイ、例えば、cAMPアッセイ、IP3アッセイ、FLIPRアッセイ、メラノフォアアッセイまたはCREリポーターアッセイが当技術分野では周知である。さらに、セカンドメッセンジャーアッセイの例は本明細書において実施例12〜17に開示されている。特定の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはcAMPである。その他の実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはIP3である。さらなる実施形態では、前記セカンドメッセンジャーはカルシウムである。
一実施形態では、前記の測定する工程は、GTPγSの、前記GPCRを含む膜との結合の測定によるものである。このようなアッセイは当技術分野では周知であり、本明細書において実施例12および14に例示される。特定の実施形態では、前記GTPγSを[35S]で標識する。
本発明はまた、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定可能な血糖安定化化合物に関する。
例えば、本発明は、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を提供する。一実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPR41インバースアゴニストである。一実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPR41アンタゴニストである。一実施形態では、前記血糖安定化化合物は以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜10μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜1μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜100nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、IC50が1nM〜10nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。
特定の実施形態では、前記IC50を、以下からなる群より選択されるアッセイを用いて調べる:組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたHEK293細胞を用いて実施されるIP3アッセイ、および組換えGPR41ポリペプチドを発現するトランスフェクトされたメラノフォアを用いて実施されるメラノフォアアッセイ。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてIC50が10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおいてIC50が10μM未満、9μM未満、8μM未満、7μM未満、6μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるIC50が1nM〜10μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるIC50が1nM〜1μMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるIC50が1nM〜100nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は、前記アッセイにおけるIC50が1nM〜10nMの間から選択される値であるインバースアゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物はGPCRに選択的である。
いくつかの実施形態では、前記血糖安定化化合物は経口投与可能である。いくつかの実施形態では、前記経口バイオアベイラビリティは、腹膜内投与と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも45%である。いくつかの実施形態では、前記経口バイオアベイラビリティは、腹膜内投与と比較して、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも45%である。いくつかの実施形態では、前記経口投与可能な血糖安定化化合物はさらに、血液脳関門を越えることができる。
さらに、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物がa)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定可能な方法に関する。例えば、本発明は、血糖安定化化合物を同定する工程と、次いで、前記化合物を担体と混合する工程とを含む組成物の調製方法であって、前記化合物がa)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される方法を提供する。
本発明はまた、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物を提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示される化合物実施形態のいずれかによる少なくとも1種の化合物と、製薬上許容される担体とを混合する工程を含む薬剤組成物を製造する方法を含む。
薬剤製剤、投与経路および投与量は上に記載してある。
本発明は、インスリン関連障害を治療または予防することを必要とする個体において、インスリン関連障害を治療または予防する方法であって、前記個体に、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される化合物の有効量を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、インスリン抵抗性、耐糖能障害または糖尿病である。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、血糖濃度の上昇と関連している症状、例えば、アテローム性動脈硬化症、心疾患、卒中、高血圧症、肥満症、シンドロームXまたは末梢血管疾患を含む。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、II型糖尿病である。一実施形態では、投与される化合物は、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含む。
一実施形態では、本方法は、前記個体に、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤の有効量を、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とからなり、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物の有効量と組み合わせて投与する工程をさらに含む。例えば、一実施形態では、本方法は、前記個体に、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤の有効量を、GPR41インバースアゴニストを含む薬剤組成物の有効量と組み合わせて投与する工程をさらに含む。
一実施形態では、個体は哺乳類であり、他の実施形態では、個体はヒトである。
本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物は、本明細書において上で記載されるように、唯一の活性な医薬品として投与できるが、それらは、例えば、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤をはじめとする1種以上の薬剤と併用してもよい。例えば、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストなどの化合物は、α−グルコシダーゼ阻害剤、アルドースレダクターゼ阻害剤、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、メグリチニド、スルホニル尿素、インスリン、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、フィブラート化合物、LDL異化促進剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、リパーゼ阻害剤、セロトニンおよび/またはノルアドレナリンリリーサーまたは再取り込み阻害剤として知られる薬物の種類に属する1種以上の薬剤と併用してもよい。
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示される化合物または本発明の方法によって同定される化合物またはその製薬上許容される塩を含む薬剤組成物を、α−グルコシダーゼ阻害剤、アルドースレダクターゼ阻害剤、ビグアナイド、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、フィブラート化合物、LDL異化促進剤およびアンジオテンシン変換酵素阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種以上のメンバーと組み合わせて含む。他の実施形態では、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、プレバスタチン(prevastatin)、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチンおよびリピトール(lipitor)からなる群より選択される。
本発明によれば、組み合わせは、それぞれの有効成分をすべて一緒に、または独立に、本明細書において上で記載されたような、生理学的に許容される担体、賦形剤、結合剤、希釈液などと混合することと、混合物または混合物類を薬剤組成物として経口投与または非経口投与することとによって使用できる。化合物または化合物の混合物を、別の活性化合物とともに併用療法または併用予防として投与する場合には、治療薬を、同時に、または異なる時点で与えられる別個の薬剤組成物として製剤してもよいし、または治療薬を単一の組成物として与えてもよい。
本発明はまた、血糖安定化化合物として使用するための、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、または、それからなる薬剤組成物を含む医薬の製造方法を提供する。
本発明は、インスリン関連障害、例えば、インスリン抵抗性、耐糖能障害または糖尿病の治療に用いるための、a)候補化合物をGPR41と接触させる工程と、b)GPR41の機能性が低減するかどうかを調べる工程とを含み、GPR41の機能性の低減が、候補化合物が血糖安定化化合物であることを示す方法によって同定される血糖安定化化合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる薬剤組成物を含む医薬の製造方法をさらに提供する。
本発明はまた、GPR41を有効量のGPR41アゴニスト、例えば、以下からなる群より選択される群から選択される化合物と接触させる工程を含む、GPR41機能を増大する方法を提供する:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。これらの化合物の構造を以下の表1に示す。本発明はまた、GPR41を発現する細胞を、有効量のGPR41アゴニストと接触させる工程を含む、細胞においてGPR41機能を増大する方法を提供する。細胞は、例えば、個体中のものであってもよいし、または細胞は単離細胞であってもよい。
(表1)
本発明はまた、GPR41を有効量のGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニスト、例えば、以下からなる群より選択される群から選択される化合物と接触させる工程を含む、GPR41機能を低下させる方法を提供する:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。これらの化合物の構造を以下の表2に示す。本発明はまた、GPR41を発現する細胞を、有効量のGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を含む、細胞においてGPR41機能を低下させる方法を提供する。細胞は、例えば、個体中のものであってもよいし、または細胞は単離細胞であってもよい。
(表2)
本発明は、インスリン関連障害を治療または予防することを必要とする個体において、インスリン関連障害を治療または予防する方法であって、有効量のGPR41モジュレーターを投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、前記インスリン関連障害は低血糖症、インスリン分泌性もしくはインスリン依存性腫瘍または加齢である。一実施形態では、前記モジュレーターはアゴニストである。一実施形態では、前記アゴニストは、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
一実施形態では、前記インスリン関連障害は、インスリン抵抗性、耐糖能障害または糖尿病であり、前記モジュレーターは、インバースアゴニストまたはアンタゴニストである。一実施形態では、前記インスリン関連障害はII型糖尿病である。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、血糖濃度の上昇と関連している状態、例えば、アテローム性動脈硬化症、心疾患、卒中、高血圧症、肥満症、シンドロームXまたは末梢血管疾患を含む。一実施形態では、前記インバースアゴニストまたはアンタゴニストは以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
一実施形態では、前記方法は、前記個体に、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤の有効量を、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストの有効量と組み合わせて投与する工程をさらに含む。一実施形態では、個体は哺乳類であり、他の実施形態では、個体はヒトである。
本発明は、GPR41機能を増大させることによって治療可能または予防可能な障害を治療または予防することを必要とする個体に、以下からなる群より選択される化合物の有効量を投与する工程を含む、GPR41機能を増大させることによって治療可能または予防可能な障害を治療または予防する方法を提供する:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。一実施形態では、前記障害は、インスリン関連障害である。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は低血糖症、インスリン分泌性もしくはインスリン依存性腫瘍または加齢である。
本発明はまた、GPR41機能を低下させることによって治療可能または予防可能な障害を治療または予防することを必要とする個体に、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩の有効量を投与する工程を含む、GPR41機能を低下させることによって治療可能または予防可能な障害を治療または予防する方法を提供する。一実施形態では、前記障害はインスリン関連障害である。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、インスリン抵抗性、耐糖能障害または糖尿病である。一実施形態では、前記インスリン関連障害はII型糖尿病である。いくつかの実施形態では、前記インスリン関連障害は、血糖濃度の上昇と関連している状態、例えば、アテローム性動脈硬化症、心疾患、卒中、高血圧症、肥満症、シンドロームXまたは末梢血管疾患を含む。一実施形態では、前記方法は、前記個体に、糖尿病、血液脂質障害または肥満症の治療に用いられる薬剤の有効量を、有効量のGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストと組み合わせて投与する工程をさらに含む。一実施形態では、個体は哺乳類であり、他の実施形態では、個体はヒトである。
本発明はまた、血糖値を上昇させることを必要とする個体において、血糖値を上昇させる方法であって、個体に有効量のGPR41アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、前記アゴニストは、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
本発明はまた、血糖値を低下させることを必要とする個体において血糖値を低下させる方法であって、個体に有効量のGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、前記インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
さらに、本発明は、インスリン分泌を低減させることを必要とする個体において、インスリン分泌を低減させる方法であって、個体に有効量のGPR41アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、前記アゴニストは、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−フェニルエステル、シクロプロパンカルボン酸;4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2,5−ジクロロ−フェニル)−アミド、4−フラン−2−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−フラン−3−イル−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(4−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−4−(4−メチルスルファニル−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび2−メチル−4−(3−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
本発明はさらに、インスリン分泌を増大させることを必要とする個体においてインスリン分泌を増大させる方法であって、個体に有効量のGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
本発明はさらに、インスリン分泌を増大させることを必要とする個体においてインスリン分泌をグルコース依存的に増大させる方法であって、個体に有効量のGPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、GPR41インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物を含む:2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、4−(5−ビフェニル−2−イル−フラン−2−イル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−4−[5−(2−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2−クロロ−フェニル)−アミド、2−メチル−5−オキソ−4−(4−フェノキシ−フェニル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド、2−メチル−5−オキソ−4−[5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドおよび4−[5−(2,5−ジクロロ−フェニル)−フラン−2−イル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミドまたはその製薬上許容される塩。
用語「グルコース依存的に」とは、インスリン分泌が、高濃度のグルコースに応じて増大されるが低濃度のグルコースに応じては増大されないことを意味する。糖尿病の治療に用いられているいくつかの薬物は、血中グルコースレベルに関わらずインスリン分泌を増大させる。これは、これらの薬物が低血糖の状態下であってもインスリン分泌を増大させるために望ましくない。インスリンの増大は、次いで、低血糖を、時には重篤なレベルにまでさらに悪化させる。高濃度のグルコースとは、血中、または細胞周辺のグルコース濃度が正常グルコース濃度範囲よりも高いことを意味し、例えば、16.8mmol/Lは高濃度のグルコースである。低濃度のグルコースとは、血中、または細胞周辺のグルコース濃度が正常グルコース濃度範囲よりも低いこと、例えば、3.3mmol/L以下を意味する。
インスリン分泌の細胞の作用機序は、細胞内cAMPの増大である。本明細書に開示されるように、GPR41は、膵臓β島細胞で発現される。GPR41はGiと共役し、そのため、GPR41のインバースアゴニストまたはアンタゴニストは、膵臓β島細胞においてcAMPの増大をもたらし、インスリン分泌が増大する。
本発明の1つの目的は、(a)血糖安定化化合物を同定するための本発明の方法を実施する、(b)場合により、その化合物の構造を調べる、および(c)化合物または化合物の名称または構造を提供する方法に関する。さらに、本発明は、(a)血糖安定化化合物を同定するための本発明の方法を実施する、(b)場合により、その化合物の構造を調べる、(c)場合により、化合物または化合物の名称または構造を提供する、(d)その化合物を製造または合成する方法に関する。本発明はさらに、血糖安定化化合物を同定するための本発明の方法を実施する工程と、GPCRを血糖安定化化合物と接触させる工程またはGPCRの機能性を調節するのに十分な条件下で個体に血糖安定化化合物を投与する工程とを含むGPCRの機能性を調節するプロセスに関する。
本発明の他の目的は、ヒトをはじめとする組織サンプルにおいてGPR41を局在化し、定量化するための、および放射標識化合物の結合を阻害することによってGPR41リガンドを同定するための、放射イメージングにおいてだけでなく、イン・ビトロおよびイン・ビボ双方のアッセイにおいても有用である表1または表2の放射標識化合物に関する。このような放射標識化合物を含む新規GPR41アッセイを開発することが、本発明のさらなる目的である。
本発明の化合物に組み込むことができる適切な放射性核種としては、それだけには限らないが、3H(Tとも書かれる)、11C、14C、18F、125I、82Br、123I、124I、125I、131I、75Br、76Br、15O、13N、35Sおよび77Brが挙げられる。本放射標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射標識化合物の具体的な適用に応じて変わる。したがって、イン・ビトロGPR41標識および競合アッセイには、通常、3H、14C、125I、131I、35Sまたは82Brを組み込む化合物が最も有用である。放射イメージング適用には、通常、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが最も有用である。
「放射標識された」または「標識化合物」とは、少なくとも1種の放射性核種を組み込んでいる表1または表2の化合物であるということは理解される。いくつかの実施形態では、放射性核種は、3H、14C、125I、35Sおよび82Brからなる群より選択され、いくつかの実施形態では、放射性核種3Hまたは14Cである。さらに、本発明の化合物中に表されるすべての原子が、そのような原子の最もよく現われる同位元素か、より稀な放射性同位元素または非放射性同位元素のいずれであってもよいということは理解されなければならない。
本発明のそれらの化合物に適用可能なものをはじめとする放射性同位元素を有機化合物に組み込むための合成方法は、当技術分野で周知であり、放射能レベルのトリチウムを標的分子に組み込むことが挙げられ、これとしては以下が挙げられる:A.トリチウムガスを用いる触媒還元−この手順により、通常、高比放射能生成物が得られ、ハロゲン化前駆体または不飽和前駆体が必要である。B.水素化ホウ素ナトリウム[3H]を用いる還元−この手順はかなり安価であり、還元可能な官能基、例えば、アルデヒド、へトン、ラクトン、エステルなどを含む前駆体を必要とする。C.水素化アルミニウムリチウム[3H]を用いる還元−この手順はほとんど理論上の比放射能の生成物を提供する。また。還元可能な官能基、例えば、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなどを含む前駆体が必要である。D.トリチウムガス照射標識−この手順は、交換可能なプロトンを含む前駆体を、適した触媒の存在下でトリチウムガスに曝露することを含む。E.ヨウ化メチル[3H]を用いるN−メチル化−この手順は、通常、適当な前駆体を高い比活性のヨウ化メチル(3H)で処理することによって、O−メチルまたはN−メチル(3H)生成物を調製するために用いられる。通常、この方法によって、高い比活性、例えば、約80〜87Ci/mmolが可能となる。
放射能レベルの125Iを標的分子に組み込む合成方法はとしては、以下が挙げられる:A.ザントマイヤーおよび同様の反応−この手順によって、アリールまたはヘテロアリールアミンがジアゾニウム塩、例えば、テトラフルオロボレート塩に、続いて、Na125Iを用いて125I標識化合物に変換される。代表される手順が、Zhu,D.−G.と共同研究者によって、J.Ore.Chem.67:943−948(2002))に報告された。B.フェノールのオルト125ヨウ素化−この手順により、Collier,T.Lおよび共同研究者によって、J.Labelled Compd Radiopharm.,42:S264−S266(1999))に報告されるように、フェノールのオルト位置での125Iの組み込みが可能となる。C.125Iを用いるアリールおよびヘテロアリールブロミド交換−この方法は、通常、二段プロセスである。第1の工程は、例えば、トリアルキルスズハライドまたはヘキサアルキル二スズ[例えば、(CH3)3SnSn(CH3)3]の存在下、Pd触媒反応[すなわち、Pd(Ph3P)4]を用いるか、またはアリールもしくはヘテロアリールリチウムによる、アリールまたはヘテロアリールブロミドの対応するトリアルキルスズ中間体への変換である。代表される手順が、Bas,M.−Dおよび共同研究者によってJ.Labelled Compd Radiophamu.,44:S280−S282(2001))に報告された。
表1または表2の放射標識GPR41化合物は、化合物を同定/評価するためのスクリーニングアッセイに使用できる。一般論として、新規に合成または同定される化合物(すなわち、候補化合物)は、表1または表2の放射標識化合物の、GPR41受容体との結合を減少させるその能力について評価できる。したがって、候補化合物の、「表1または表2の放射標識化合物」と、GPR41受容体との結合について競合する能力は、その結合親和性と直接の相関がある。
本発明の一態様は、治療によってヒトまたは動物の身体を治療する方法において使用するための、本明細書における方法によって同定される血糖安定化化合物に関する。
本発明の他の態様は、治療によってヒトまたは動物の身体の、インスリン関連障害を治療する方法において使用するための、本明細書における方法によって同定される血糖安定化化合物に関する。本発明の他の態様は、インスリン関連障害を治療する方法であって、前記症状を患う被験体に、本明細書における方法によって同定される血糖安定化化合物の治療上有効な量を投与する工程を含む方法に関する。
本発明の一態様は、インスリン関連障害を治療する方法であって、前記症状を患う被験体に、本明細書における方法によって同定される血糖安定化化合物の治療上有効な量を、例えば、薬剤組成物の形で投与する工程を含む方法に関する。本発明の他の態様は、治療によるヒトまたは動物の身体のインスリン関連障害を治療する方法において使用するための、本明細書における方法によって同定される血糖安定化化合物に関する。
出願人らは、本発明の実施形態のいずれかから1種以上の候補化合物のいずれかを排除する権利を留保する。出願人らはまた、本発明の実施形態のいずれかから1種以上のモジュレーターのいずれかを排除する権利を留保する。出願人らは、本発明の実施形態のいずれかから、インスリン関連障害のいずれか、または血糖濃度の上昇と関連している症状のいずれかを排除する権利をさらに留保する。
開示される受容体および方法のその他の使用は、とりわけ、本特許文書の概説に基づいて当業者に明らかとなる。
以下の実施例は、本発明を例示するために示すものであって、いずれかの方法に含まれるよう意図されない。
実施例は本発明をさらに明確にするために提供するが、本発明をこれらの実施例の細目に制限するものではない。
(実施例1)
ヒト成人および胎児組織におけるヒトGPR41発現のドットブロット解析
この実施例では、ヒトGPR41の発現レベルを、ドットブロットを用いていくつかのヒト成人および胎児組織において調べた。
ヒト成人および胎児組織mRNAを含むドットブロットは、Clontech(BD Bioscience,Palo Alto,CA)から購入した。ブロット上の組織mRNAの順序は以下である:A1=全脳、A2=扁桃体、A3=尾状核、A4=小脳、A5=大脳皮質、A6=前頭皮質、A7=海馬、A8=延髄、B1=後頭皮質、B2=被殻、B3=黒質、B4=側頭皮質、B5=視床、B6=側坐核、B7=脊髄、C1=心臓、C2=大動脈、C3=骨格筋、C4=結腸、C5=膀胱、C6=子宮、C7=前立腺、C8=胃、D1=精巣、D2=卵巣、D3=膵臓、D4=下垂体、D5=副腎、D6=甲状腺、D7=唾液腺、D8=乳腺、E1=腎臓、E2=肝臓、E3=小腸、E4=脾臓、E5=胸腺、E6=末梢白血球、E7=リンパ節、E8=骨髄、F1=虫垂、F2=肺、F3=気管、F4=胎盤、G1=胎児脳、G2=胎児心臓、G3=胎児腎臓、G4=胎児肝臓、G5=胎児脾臓、G6=胎児胸腺、G7=胎児肺。ブロットは、Clontechによって推奨される条件下でClontech「Express Hyb」を用いてGPR41プローブとハイブリダイズさせた。
(実施例2)
マウス組織および細胞におけるGPR41発現のRT−PCRおよびタックマン(Taqman)解析
この実施例では、マウスGPR41の発現レベルを、RT−PCRアッセイおよびタックマン(Taqman)定量的PCRアッセイを用い、いくつかのマウス細胞種および組織において調べた。図2で示されるように、マウスGPR41の最高レベルの発現は膵臓および膵島細胞において観察された。さらに、図2で示されるように、GPR41は、野生型およびob/obマウスと比較して、db/dbマウス由来の膵島においてアップレギュレートされた。
マウス組織におけるGPR41発現を、以下のプライマーを用いるRT−PCRによって評価した:
マウス組織cDNAは、BioRad iScript cDNA合成キットを用い、Clontechから購入した市販のポリA RNAから合成した。インスリン産生膵臓β細胞株(NIT−1、βTC−6およびMIN−6)をはじめとするマウス細胞株由来のcDNAは、トリアゾール(Invitrogen)を用いて単離した全RNAから調製した。
図2の下部パネルに示されるタックマン(Taqman)定量的PCR実験のために、5mLのポリプロピレン試験管中に、1×タックマン(Taqman)スーパーミックスを作製した。フォワードおよびリバースプライマーを加え、300nM最終濃度とし、適当量のプローブを加えて最終濃度200nMとした。ウェルあたりの総容量は20μLであった。2μLはcDNAとし、その他の18μLはスーパーミックスおよびヌクレアーゼ不含水とした。
プライマーはProligoに発注し、プローブはABIによって合成した。プライマーおよびプローブの配列は以下である。
用いたサーモサイクラー条件を、以下の表(表3)に示す。
*50℃で2分維持は、最適なAmpErase UNG活性にとって必要である。
**95℃で10分維持は、AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ活性化にとって必要である。
(実施例3)
マウスGPR41 RNアーゼ保護アッセイ
この実施例では、マウスGPR41の発現レベルを、RNアーゼ保護アッセイを用い、いくつかのマウス細胞種および組織において調べた。図3で示されるように、マウスGPR41の最高レベルの発現は、膵島、およびMIN6、マウスインスリノーマ細胞株、NIT−1およびβTC−6をはじめとする膵島細胞株において観察された。
マウス組織RNAは商業的に入手した(Clontech)。RNA単離に用いた細胞(図中に示される)は、ATCCによって提供される膵臓細胞株(NIT−1:ATCC CRL−2055およびβTC−6:ATCC CRL−11506)であるか、Stony BrookのSUNYのJeffrey Pessinから入手した(MIN−6)。RNAはトリアゾール試薬(Invitrogen)を用い、製造業者の使用説明書に従って単離した。
手短に言えば、マウスGPR41の257bp断片を、pCR II TOPOクローニングベクター(Invitrogen)にクローニングした。プラスミドを、Xho1を用いて線状化し、Sephaglass Bandprepキット(Amersham)を用いてゲル精製した。断片をゲル精製した後、SP6 RNAポリメラーゼを用いるイン・ビトロ転写によってリボプローブを作製した(Ambion Maxiscriptキット)。プローブをアクリルアミドゲル電気泳動によって精製し、20μgの全RNAと47℃で一晩ハイブリダイズした。翌日、ハイブリッドを、Rnアーゼで消化し、5%アクリルアミドゲルに流し、結果を検出した(Ambion,RPA IIIキット)。イン・ビトロ転写およびRPA反応のすべての手順は、製造業者の使用説明書に従った。
RPAプローブについてのマウスGPR41配列
RPAプローブについてのマウスGPR41プライマー
(実施例4)
GPR41のG−アルファi共役
この実施例では、GPR41の、G−アルファi(Gαi)との共役を、GqGiキメラを用いて調べた。GPR41の機能は、以下に記載するようにIP3アッセイを用いて測定した。
Gq/GiでトランスフェクトされたHEK293細胞において発現されるGPR41のIP3アッセイ
細胞内IP3蓄積アッセイを、GRP41およびGq/Giキメラの双方のための発現プラスミドで一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞を用いて実施した(Gq/Giキメラの構造については、実施例13を参照のこと)。このアッセイのためにトランスフェクションに用いたDNAは、哺乳類発現ベクターpCMVにクローニングされたGPR41およびGPR41(k)、ならびに発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen)にクローニングされたGq/GiキメラcDNAであった。GPR41(k)は、アミノ酸224がリジンに突然変異しているGPR41の単一アミノ酸変異である。
トランスフェクションはリポフェクタミントランスフェクション試薬(Invitrogen)を用い、製造業者の推奨に従って実施した。手短に言えば、1日目に細胞を96ウェルプレートに3×106個細胞/プレートの密度でプレーティングした。翌日、各プレートのDNA/リポフェクタミン混合物を以下の通りに調製した:OPTI−MEM(Gibco)25μL中、3ウェルあたり1μLのDNA(40ngのpCMV−GPR41)または2μLのDNA(20ngのpcDNA−Gq/Giと混合したpCMV−GPR41)を、OPTI−MEM25μL中、2μLのリポフェクタミン試薬と穏やかに混合し、得られた溶液を室温で30分間インキュベートした。OPTI−MEM96μLを最終容積150μLとなるよう添加した。次いで、細胞を100μL/ウェルのPBSで1回洗浄し、次いで、DNA−リポフェクタミン混合物をプレートに穏やかに加えた(50μL/ウェル)。次いで、細胞を、5%CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で4時間インキュベートした。トランスフェクション試薬に通常の細胞培地を加えた。次いで、細胞を37℃/5%CO2で一晩インキュベートした。
3日目に、ウェルから通常の増殖培地を注意深く除去し、0.4uCiの[3H]−ミオ−イノシトール(Perkin−Elmer)を含有するイノシトール不含/血清不含DMEM(Gibco)100μLで置換した。細胞を、5%CO2を用いて37℃で一晩インキュベートした。4日目に、[3H]−ミオ−イノシトール含有標識培地を除去し、10μMパルギリン(Sigma)および10mM塩化リチウム(Sigma)を含有するイノシトール不含/血清不含DMEM100μLで置換した。細胞を37℃/5%CO2で1時間インキュベートした。次いで、溶液を注意深く除去し、ウェルあたり160μLの氷冷0.1Mギ酸を細胞に加えた。プレートを−80℃で少なくとも1時間インキュベートすることによって細胞を溶解した。
AG1−X8ホルメート樹脂(Bio−Rad)でのクロマトグラフィーを用いて細胞溶解物からのIP3の分離を実施した。Multiscreenフィルタープレート(Millipore)の各ウェルあたり、400μLのホルメート樹脂スラリー(水1mL中、0.1gの樹脂)を加えた。ウェルから水を抜き、次いで、Millipore濾過ユニットを用いて樹脂を200μLの水で洗浄した。溶解した細胞を含むプレートを解凍し、溶解物を、ホルメート樹脂を含むMultiscreenフィルタープレートに移した。プレートを室温で10分間インキュベートし、次いで、濾過ユニットを用いフィルタープレートから溶解物の水を抜いた。プレートを水9200μL/ウェル)で4回洗浄し、完全に水を抜いた。次いで、樹脂に溶出バッファーを加え(180μL/ウェル)、プレートを室温で5分間インキュベートした。溶出液を、真空マニホールドを用いて96ウェルコレクションプレートに流し入れ、Optiphase HiSafe3シンチレーションカクテル(Perkin−Elmer)5mlを含むシンチレーションバイアルに移し、Wallacシンチレーションカウンターでカウントした。
(実施例5)
GPR41のG−アルファ12/13共役
この実施例では、GPR41の、G−アルファ12/13(Gα12/13)との共役を、以下に記載されるcAMPアッセイを用いて調べた。
手短に言えば、以下の通りに実験を実施した:X軸に示される、示したCMVによって駆動される発現プラスミドを、以下のキメラのうちの1種とともに用いて、293細胞をトランスフェクトした:(a)「対照」:親CMV発現プラスミド、(b)「Gs/G12キメラ」:C末端の11個のアミノ酸をG12のC末端の対応するものと入れ替えたヒトGsをコードするCMV−Gs/G12プラスミド、または(c)「Gs/G13キメラ」:C末端の11個のアミノ酸をG13のC末端の対応するものと入れ替えたヒトGsをコードするCMV−Gs/G13プラスミド。24時間後、cAMPレベルについて、以下に記載される「Flash Plate」キットを用いて細胞を分析した。
細胞ベースのアッセイのために設計された、Flash Plate(商標)アデニリルシクラーゼキット(New England Nuclear;カタログ番号SMP004A)を、粗原形質膜を用いて使用するために改変した。Flash Plateウェルは、シンチラントコーティングを含み、これはまたcAMPを認識する特異的抗体も含んでいた。ウェル中に生じたcAMPを、放射活性cAMPトレーサーの、cAMP抗体との結合についての直接競合によって定量化した。以下は、GPR41を発現する全細胞においてcAMPレベルの変化を測定するための簡単なプロトコールである。
トランスフェクトされた細胞を、一過性トランスフェクションの約24時間後に回収した。培地を注意深く吸引して除去し、廃棄した。5mlの細胞解離バッファーを各プレートに加えた。細胞をプレートからピペットで取り出し、細胞懸濁液を50mlのコニカル遠心管に回収した。次いで、細胞を室温、1,100rpmで5分間遠心分離した。細胞ペレットを、1/2容積のPBSおよび1/2容積の刺激バッファーからなる適当な容積のアッセイバッファー(約3ml/プレート)に注意深く再懸濁した。次いで、血球算定器を用いて細胞をカウントし、さらなるアッセイバッファーを、適当な数の細胞となるよう加えた(最終容積約50μl/ウェル)。
cAMP標準および検出バッファー(11mlの検出バッファーに対して1μCiのトレーサー[125I]cAMP(50μl)を含む)を、製造業者の使用説明書に従って調製、維持した。適当なウェルに50μlのcAMP標準を加え、続いて、96ウェルプレートのウェルH11およびH12に50μlのPBSを加えることによってアッセイを開始した。すべての標準ウェルに50mlの刺激バッファーを加えた。適当なウェルに細胞を加えた。ホルスコリンをアッセイバッファーで2×ストックに希釈し、次いで、50μl/ウェルで細胞に加え、室温で60分間インキュベートした。トレーサーcAMPを含有する100μlの検出ミックスをウェルに加えた。次いで、プレートをさらに2時間インキュベートし、続いて、Wallac MicroBetaシンチレーションカウンターにおいてカウントした。次いで、各アッセイプレート内に含まれる標準cAMP曲線からcAMP/ウェルの値を推定した。
(実施例6)
GPR41モジュレーターの同定
この実施例では、GPR41アゴニストを、アフリカツメガエルメラノフォアにおいてスクリーニングプロトコールを用いて同定した。
メラノフォア技術
メラノフォアは、下等脊椎動物において見られる皮膚細胞である。それらはメラノソームと呼ばれる色素性オルガネラを含む。メラノフォアは、G−タンパク質共役受容体(GPCR)活性化の際に、これらのメラノソームを微小管ネットワークに沿って再分配できる。この色素移動の結果は、細胞の外見が明るくなることまたは暗くなることである。メラノフォアでは、Gi共役受容体の活性化に起因する細胞内cAMPレベルの低下が、メラノソームを細胞の中心へ移動させ、その結果、色が劇的に明るくなる。次いで、cAMPレベルが上がると、Gs共役受容体の活性化に続いて、メラノソームが再分配され、細胞が再度暗く見える。Gq共役受容体の活性化に起因するジアシルグリセロールレベルの上昇もまた、この再分配を誘導し得る。さらに、この技術は特定の受容体チロシンキナーゼの研究にも適している。メラノフォアの応答は、受容体活性化の数分内に起こり、単純な、確固たる色の変化をもたらす。この応答は、従来の吸光度マイクロプレートリーダーまたは中程度のビデオイメージングシステムを用いて容易に検出できる。メラノフォアは、その他の皮膚細胞とは異なり、神経冠に由来し、シグナル伝達タンパク質の完全補体を発現するようである。特に、この細胞は、極めて広範囲のGタンパク質を発現し、その結果、ほとんどすべてのGPCRを機能的に発現できる。
メラノフォアを利用して、化合物、例えば、GPCRと結合し、かつ/またはGPCRを活性化する天然リガンドを同定できる。この方法は、特異的な刺激に応じて、その色素を分散または凝集できる色素細胞株の試験細胞を導入することと、GPCRをコードする外来クローンを発現させることとによって実施できる。色素配置の初期状態は、例えば、メラトニン、MSHまたは光を用いて設定できる。次いで、試験細胞をキメラ化合物と接触させ、細胞における色素配置が、色素配置の初期状態から変化したかどうかを調べる。候補化合物、例えば、それだけには限らないが、GPCRと共役しているリガンドによる色素細胞の分散は、ペトリディッシュ上で暗く見え、他方、色素細胞の凝集は明るく見える。
材料および方法は、米国特許第5,462,856号および米国特許第6,051,386号の開示内容に従い、以下の通りである。これらの特許開示内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
メラノフォアを、ヒトGPR41のコード配列を含むプラスミドを用いてエレクトロポレーションによってトランスフェクトした。この細胞を96ウェルプレートにプレーティングした。トランスフェクションの48時間後、各プレートの細胞の半分を、10nMメラトニンで処理した。メラトニンは、メラノフォアにおいて内因性Gi共役受容体を活性化し、それらにその色素を凝集させる。残りの半分の細胞を血清不含培地0.7X L−15(Gibco)に移した。1時間後、血清不含培地中の細胞は色素が分散された状態のままであったが、メラトニン処理した細胞は色素が凝集した状態であった。この時点で、140,000〜150,000種の有機小分子化合物を含む専売化合物ライブラリーに由来する種々の化合物で細胞を処理した。GRP41が化合物と結合する場合には、メラノフォアは、化合物に応じて色の変化を受けると期待される。受容体はGiと共役できるので、色素が分散された細胞は用量依存的な色素凝集を受けた。
(実施例7)
Gq/Gi同時トランスフェクト細胞におけるGPR41アゴニストの有効性
この実施例では、キメラGアルファGq/Giを用いて同時トランスフェクトしたHEK293細胞において、選択したGPR41アゴニスト2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド(図6中、CPD1)およびシクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール4−イル−フェニルエステル(図5中、CPD2)の有効性を試験した。
トランスフェクションは、リポフェクタミントランスフェクション試薬(Invitrogen)を用い、製造業者の推奨に従って実施した。手短に言えば、1日目に、細胞を、4×106個細胞/プレートという密度で96ウェルプレートにプレーティングした。翌日、各プレートのDNA/リポフェクタミン混合物を以下の通りに調製した:DME(Gibco)200μL中、8ウェルあたり2.5μLのDNA(250ngのpCMV−GPR41またはpCMVブランクベクター)および2.5μLのDNA(250ngのpcDNA3.1−Gq/Gi)を、DME200μL中、2.5μLのリポフェクタミン試薬と穏やかに混合し、得られた溶液を室温で30分間インキュベートした。増殖培地を細胞から吸引して除去し、55μl/ウェルのDMEを加えた。次いで、DNA−リポフェクタミン混合物を、プレートに穏やかに加えた(45μL/ウェル)。次いで、細胞を、5%CO2を含む加湿雰囲気下、37℃で4時間インキュベートした。トランスフェクション試薬に通常の細胞増殖培地を加えた。次いで、細胞を37℃/5%CO2で一晩インキュベートした。
3日目に、ウェルから通常の増殖培地を注意深く除去し、0.4uCiの[3H]−ミオ−イノシトール(Perkin−Elmer)を含有するイノシトール不含/血清不含DMEM(Gibco)100μLで置換した。細胞を、5%CO2を用いて37℃で一晩インキュベートした。4日目に、[3H]−ミオ−イノシトール含有標識培地を除去し、10μMパルギリン(Sigma)および10mM塩化リチウム(Sigma)を含有し、化合物を含むか含まないイノシトール不含/血清不含DMEM100μLで置換した。細胞を37℃/5%CO2で1時間インキュベートした。次いで、溶液を注意深く除去し、ウェルあたり160μLの氷冷0.1Mギ酸を細胞に加えた。プレートを−80℃で少なくとも1時間インキュベートすることによって細胞を溶解した。
AG1−X8ホルメート樹脂(Bio−Rad)でのクロマトグラフィーを用いて細胞溶解物からのIP3の分離を実施した。Multiscreenフィルタープレート(Millipore)の各ウェルあたり、400μLのホルメート樹脂スラリー(水1mL中、0.1gの樹脂)を加えた。ウェルから水を抜き、次いで、Millipore濾過ユニットを用いて樹脂を200μLの水で洗浄した。溶解した細胞を含むプレートを解凍し、溶解物を、ホルメート樹脂を含むMultiscreenフィルタープレートに移した。プレートを室温で10分間インキュベートし、次いで、濾過ユニットを用いフィルタープレートから溶解物の水を抜いた。プレートを水(200μL/ウェル)で4回洗浄し、完全に水を抜いた。次いで、樹脂に溶出バッファーを加え(180μL/ウェル)、プレートを室温で5分間インキュベートした。溶出液を、真空マニホールドを用いて96ウェルコレクションプレートに流し入れ、60μlをWhatman Unifilter GF/C96ウェルプレート(Perkin Elemer 1450−525)に移し、50μlのOptima Gold(Perkin Elmer)を加えた。カウントはWallacシンチレーションカウンターで実施した。
(実施例8)
GPR41アゴニストは、MIN6インスリノーマ細胞におけるインスリン分泌を阻害する
この実施例では、選択したGPR41アゴニスト、シクロプロパンカルボン酸(CPC)を、インスリノーマ細胞株におけるインスリン分泌に対するその効果についてアッセイした。
マウスインスリノーマ株、MIN6を、マルチウェル組織培養ディッシュにプレーティングし、15%ウシ胎児血清を補給したダルベッコの最小必須培地(DMEM)で2日間培養した。この細胞を低グルコース(10mg/dl)クレブス−リンガー重炭酸塩バッファー中でリンスし、数時間断食状態におき、その後、300mg/dlグルコースおよび対象の化合物:グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)およびシクロプロパンカルボン酸(CPC)を用いて30分のチャレンジを行った。GLP−1、7−36アミド、インスリン分泌の既知阻害剤は、Sigmaから購入し、25nM濃度で用い、CPCはAldrichから購入し、5μMまたは1μMで使用した。グルコースのみ(10mg/dlと300mg/dlの双方)を含む対照ウェルは比較のために流した。グルコースチャレンジから得た上清を回収し、凍結した。これらは、インスリンについてELISA(Crystal Chem,Inc)によって評価した。
(実施例9)
経口ブドウ糖負荷試験
アゴニスト、アンタゴニストまたはインバースアゴニストなどのGPR41モジュレーターは、経口グルコース投与が試験された後の血漿グルコースに対するその効果について試験できる。
例えば、67日齢の雄のC57bl/6マウスを18時間断食させ、無作為にグループ化し、選択した用量のGPR41モジュレーターで、またはビヒクル(80%PEG、10%Tween80および10%エタノールを含むPET)を与えることができる。GPR41モジュレーターは、経管栄養ニードル(経口、100μlの容量)を介して経口的に送達する。GPR41モジュレーターまたはビヒクルの投与の30分後、マウスに、デキストロースを3g/kg用量で経口投与する。血糖のレベルは、Glucometer Elite XL(Bayer)を用いて数回の時点で測定する。
グルコース耐性はまた、グルコースの腹腔内送達を用いて試験できる。例えば、68日齢の雄のC57B1/6マウスを、18時間断食させた後、100mg/kgのGPR41モジュレーターで、またはPETビヒクルで処理する。GPR41モジュレーターまたはビヒクルの投与の30分後、マウスにデキストロースを2g/kg用量で腹腔内投与する。選択した時点でGlucometer Elite XL (Bayer)を用いて血糖のレベルを測定する。
(実施例10)
GPR41アゴニストは、経口ブドウ糖負荷試験(oGTT)を低下させる化合物の有益な効果を逆転させる
oGTTにおいて血糖を低下させる効果を有する化合物、2004年1月14日に出願されたWO2004/065380A1では化合物B111と呼ばれる、(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−{6−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピペリジン−l−イル]−5−ニトロ−ピリミジン−4−イル}−アミンを単独か、または本明細書に開示されるGPR41アゴニスト化合物4とともに用いた。図8に示されるように、GPR41アゴニストは、化合物B111の血糖低下効果を逆転させ、血漿グルコースの上昇を引き起こした。これらの結果は、GPR41アンタゴニストまたはインバースアゴニストは血糖低下効果を有し得るということを示す。
oGTTのために、雄のC57bl/6マウスを約18時間断食させ、無作為にグループ化し、図8に示される化合物を示した用量で、またはビヒクル(80%PEG、10%Tween80および10%エタノールを含むPET)を与えた。示した化合物は、経管栄養ニードル(経口、100μlの容量)を介して経口的に送達した。化合物(類)またはビヒクルの投与の30分後、マウスに、デキストロースを3g/kg用量で経口投与した。Glucometer Elite XL(Bayer)を用いて数回の時点で血糖のレベルを測定した。
(実施例11)
化合物合成
本明細書に開示される化合物は市販されているか、または当技術分野で公知の手順によって調製した。例えば、化合物1[すなわち、2−メチル−4−(4−ニトロ−フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−キノリン−3−カルボン酸o−トリルアミド]は、ASINEX Ltd.5 Gabrichevskogo St.Bldg 8,Moscow 123367,Russiaから購入し、化合物2(シクロプロパンカルボン酸4−[1,2,3]チアジアゾール4−イル−フェニルエステル)は、Tripos,Inc.,1699 South Hanley Road,St.Louis,MO 63144−2319から購入し、化合物3(シクロプロパンカルボン酸)は、Sigma−Aldrich,3050 Spruce St.,St.Louis,MO 63103から購入した。化合物4〜9は、当技術分野で公知の方法、例えば、Carroll,ら、Journal of Medicinal Chemistry47:3180−3192(2004)によって本質的に記載されるジヒドロピリジンの3成分Hantzschジヒドロピリジン合成(例えば、化合物をイソプロパノール中で18〜36時間還流に加熱すること)によって調製した。本発明の特定の化合物を調製するための一般的な反応スキームを以下に示す:
本明細書に開示される特定の化合物はまた、カップリング工程、例えば、スズキカップリング工程を必要とした。スズキカップリング反応は、当技術分野では周知であり、種々の条件および変法、例えば、Snieckus,ら、Journal of Organic Chemistry 56:3763−3768(1991)による手順が報告されている。一般的な反応を以下に示す:
(実施例12)
GPCR活性化を調べるためのアッセイ
ヒトGPCRの活性化を評価するためには種々のアプローチが利用可能である。以下は例示的なものであり、当業者ならば、技術者の必要性にとって優先的に有益である技術を調べる能力があると考えられる。
1.膜結合アッセイ:[35S]GTPγSアッセイ
Gタンパク質共役受容体が活性状態にある場合には、リガンド結合または構成的活性化のいずれかの結果として、受容体はGタンパク質と共役し、GDPの放出とその後のGTPのGタンパク質への結合とを刺激する。Gタンパク質受容体複合体のαサブユニットは、GTPアーゼとして作用し、GTPをGDPに穏やかに加水分解し、通常、その時点で、受容体は不活性化される。活性化された受容体は、GDPをGTPと交換し続ける。加水分解可能でないGTP類似体、[35S]GTPγSを利用して、[35S]GTPγSの、活性化された受容体を発現する膜との結合の増強を実証できる。活性化を測定するために[35S]GTPγS結合を用いることの利点は、(a)すべてのGタンパク質共役受容体に一般的に適用できる、(b)膜表面で近位にあり、これによって細胞内カスケートに影響を及ぼす分子をあまり拾い上げないということである。
このアッセイは、[35S]GTPγSの、関連受容体を発現する膜との結合を刺激するGタンパク質共役受容体の能力を利用する。したがって、このアッセイは、候補化合物を、内因性GPCRおよび非内因性の構成的に活性化されたGPCRに対してスクリーニングする直接同定法において使用できる。このアッセイは一般的なものであり、すべてのGタンパク質共役受容体での薬物発見に適用される。
[35S]GTPγSアッセイは、20mM HEPESおよび1〜約20mMの間のMgCl2(この量は結果の最適化のために調整できるが、20mMが好ましい)pH7.4、約0.3〜約1.2nMの間の[35S]GTPγS(この量は結果の最適化のために調整できるが、1.2が好ましい)を含む結合バッファーおよび12.5〜75μgの膜タンパク質(例えば、GPR41を発現する293細胞;この量は結果の最適化のために調整できる)および10μM GDP(この量は最適化のために変更できる)中で1時間インキュベートする。次いで、コムギ胚芽凝集素ビーズ(25μl;Amersham)を加え、混合物をさらに30分間室温でインキュベートした。次いで、試験管を1500×gで5分間、室温で遠心分離し、次いで、シンチレーションカウンターにおいてカウントした。
2.アデニリルシクラーゼ
細胞ベースのアッセイのために設計された、Flash Plate(商標)アデニリルシクラーゼキット(New England Nuclear;カタログ番号SMP004A)は、粗原形質膜を用いて使用するために改変できる。Flash Plateウェルは、シンチラントコーティングを含むことができ、これはまたcAMPを認識する特異的抗体も含む。ウェル中に生じたcAMPは、放射活性cAMPトレーサーの、cAMP抗体との結合についての直接競合によって定量化できる。以下は、受容体を発現する全細胞においてcAMPレベルの変化を測定するための簡単なプロトコールである。
トランスフェクトされた細胞を、一過性トランスフェクションの約24時間後に回収する。培地を注意深く吸引して除去し、廃棄する。各ディッシュの細胞に10mlのPBSを穏やかに加え、続いて注意深く吸引する。各プレートに1mlのSigma細胞解離バッファーおよび3mlのPBSを加える。細胞をプレートからピペットで取り出し、細胞懸濁液を50mlのコニカル遠心管に回収する。次いで、細胞を室温、1,100rpmで5分間遠心分離する。細胞ペレットを適当な容積のPBS(約3ml/プレート)に注意深く再懸濁する。次いで、血球算定器を用いて細胞をカウントし、適当な数の細胞とするようさらなるPBSを加える(約50μl/ウェルの最終容積とする)。
cAMP標準および検出バッファー(11mlの検出バッファーに対して1μCiのトレーサー[125I]cAMP(50μl)を含む)を、製造業者の使用説明書に従って調製、維持する。アッセイバッファーは、スクリーニングのために新しく調製し、50μlの刺激バッファー、3μlの候補化合物(12μM最終アッセイ濃度)および50μlの細胞を含む。アッセイバッファーは、使用するまで氷上で保存する。アッセイは、例えば、96ウェルプレートで実施することが好ましく、適当なウェルに50μlのcAMP標準を加え、続いて、ウェルH11およびH12に50μlのPBSAを加えることによって開始する。すべてのウェルに50mlの刺激バッファーを加える。3μlの化合物溶液を分注可能なピンツールを用いて、適当なウェルにDMSO(または選択した候補化合物)を加え、12μM候補化合物の最終アッセイ濃度および100μl全アッセイ容積とする。次いで、ウェルに細胞を加え、室温で60分間インキュベートする。次いで、ウェルにトレーサーcAMPを含む100μlの検出ミックスを加える。次いで、プレートをさらに2時間インキュベートし、続いて、Wallac MicroBetaシンチレーションカウンターにおいてカウントする。次いで、各アッセイプレート内に含まれる標準cAMP曲線からcAMP/ウェルの値を推定する。
3.Gi共役型標的GPCRについての細胞ベースのcAMP
TSHRは、Gs共役型GPCRであり、活性化するとcAMPの蓄積を引き起こす。TSHRは、アミノ酸残基623を突然変異させること(すなわち、アラニン残基をイソロイシン残基に変更すること)によって構成的に活性化できる。Gi共役型受容体は、アデニリルシクラーゼを阻害し、したがって、cAMP生成レベルを低下させると期待され、このため、cAMPレベルの評価が興味深いものとなり得る。Gi共役型受容体の活性化の指標としてcAMP生成の減少を測定するための有効な技術は、「シグナル増強剤」として非内因性の構成的に活性化されたTSHR(TSHR−A6231)(または内因性の構成的に活性なGs共役型受容体)を、Gi結合型標的GPCRと同時トランスフェクトし、cAMPのベースラインレベルを確立することによって達成できる。内因性または非内因性型のGi共役型受容体を作製したら、標的GPCRをシグナル増強剤とともに同時トランスフェクトし、スクリーニングに使用できるのはこの物質である。いくつかの実施形態では、このアプローチを、Gi共役型受容体に対する候補化合物の直接同定に用いることが好ましい。Gi共役型GPCRについては、このアプローチを用いる場合には、標的GPCRのインバースアゴニストがcAMPシグナルを増大させ、アゴニストがcAMPシグナルを減少させることは留意されたい。
1日目に、2×104個の293細胞/ウェルをプレーティングする。2日目に、2本の反応試験管を調製する(各試験管についての以下の割合はプレートあたりである):試験管Aは、血清不含DMEM(Irvine Scientific,Irvine,CA)1.2ml中、全部で4μgのDNA(例えば、pCMVベクター;突然変異THSR(TSHR−A623I)を含むpCMVベクター;TSHR−A623IおよびGPCRなど)に対して、哺乳類細胞にトランスフェクトされた各受容体の2μgDNAを混合することによって調製する;試験管Bは、血清不含DMEM1.2ml中に、120μlのリポフェクタミン(Gibco BRL)を混合することによって調製する。次いで、試験管AおよびBを反転させること(数回)によって混合し、続いて、室温で30〜45分間インキュベートする。混合物は「トランスフェクション混合物」と呼ぶ。プレーティングした293細胞を、1×PBSで洗浄し、続いて、10mlの血清不含DMEMを加える。次いで、2.4mlのトランスフェクション混合物を細胞に加え、続いて、37℃/5%CO2で4時間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合物を吸引によって除去し、続いて、25mlのDMEM/10%ウシ胎児血清を加える。次いで、細胞を37℃/5%CO2でインキュベートする。24時間インキュベートした後、細胞を回収し、分析のために使用する。
Flash Plate(商標)アデニリルシクラーゼキット(New England Nuclear;カタログ番号SMP004A)は細胞ベースのアッセイのために設計されているが、当業者の必要性に応じて粗原形質膜を用いて使用するために改変できる。Flash Plateウェルは、シンチラントコーティングを含み、これはまたcAMPを認識する特異的抗体も含む。ウェル中に生じたcAMPは、放射活性cAMPトレーサーの、cAMP抗体への結合についての直接競合によって定量化できる。以下は、対象の受容体を発現する全細胞においてcAMPレベルの変化を測定するための簡単なプロトコールである。
トランスフェクトされた細胞を、一過性トランスフェクションの約24時間後に回収する。培地を注意深く吸引して除去し、廃棄する。各ディッシュの細胞に10mlのPBSを穏やかに加え、続いて注意深く吸引する。各プレートに1mlのSigma細胞解離バッファーおよび3mlのPBSを加える。細胞をプレートからピペットで取り出し、細胞懸濁液を50mlのコニカル遠心管に回収する。次いで、細胞を、1,100rpmで5分間、室温で遠心分離する。細胞ペレットを、適当な容積(約3ml/プレート)のPBSに注意深く再懸濁する。次いで、血球算定器を用いて細胞をカウントし、適当な数の細胞とするようさらなるPBSを加える(約50μl/ウェルの最終容積とする)。
cAMP標準および検出バッファー(11mlの検出バッファーに対して1μCiのトレーサー[125I]cAMP(50μl)を含む)を、製造業者の使用説明書に従って調製、維持する。アッセイバッファーは、スクリーニングのために新しく調製しなくてはならず、50μlの刺激バッファー、3μlの候補化合物(12μM最終アッセイ濃度)および50μlの細胞を含む。アッセイバッファーは、使用するまで氷上で保存できる。アッセイは、適当なウェルに50μlのcAMP標準を加え、続いて、ウェルH−11およびH12に50μlのPBSAを加えることによって開始できる。すべてのウェルに50μlの刺激バッファーを加える。3μlの化合物溶液を分注可能なピンツールを用いて、適当なウェルに選択した化合物(例えば、TSH)を加え、12μM候補化合物の最終アッセイ濃度および100μl全アッセイ容積とする。次いで、ウェルに細胞を加え、室温で60分間インキュベートする。次いで、ウェルにトレーサーcAMPを含む100μlの検出ミックスを加える。次いで、プレートをさらに2時間インキュベートし、続いて、Wallac MicroBetaシンチレーションカウンターにおいてカウントする。次いで、各アッセイプレート内に含まれる標準cAMP曲線からcAMP/ウェルの値を推定する。
4.リポーターベースのアッセイ
a.CRE−LUCリポーターアッセイ(Gs結合型受容体)
ウェルあたり2×104個細胞という密度で96ウェルプレートに293または293T細胞をプレーティングし、翌日、製造業者の使用説明書に従ってリポフェクタミン試薬(BRL)を用いてトランスフェクトする。DNA/脂質混合物は、以下の通りに、各6ウェルトランスフェクションのために調製する:DMEM100μl中、260ngのプラスミドDNAを、DMEM100μl中、2μlの脂質(260ngのプラスミドDNAは、200ngの8×CRE−Lucリポータープラスミドと、内因性受容体または非内因性受容体を含む50ngのpCMVまたはpCMV単独と、10ngのGPRS発現プラスミド(pcDNA3中GPRS)(Invitrogen)とからなる)と穏やかに混合する。8×CRE−Lucリポータープラスミドは、以下の通りに調製する:ベクターSRIF−β−galは、pβgal−ベーシックベクター(Clontech)中BglV−HindIII部位でラットソマトスタチンプロモーター(−71/+51)をクローニングすることによって得る。アデノウイルス鋳型AdpCF126CCRE8から、PCRによってcAMP応答エレメントの8個のコピーを得(その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Suzukiら、Hum Gene Ther 7:1883−1893(1996)を参照のこと)、SRIF−β−galベクターにKpn−BglV部位でクローニングし、その結果、8×CRE−β−galリポーターベクターが得られる。8×CRE−Lucリポータープラスミドは、ルシフェラーゼ遺伝子を含む8×CRE−β−galリポーターベクター中のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を、pGL3−ベーシックベクター(Promega)からHindIII−BamHI部位で得られるものと置換することによって作製する。室温で30分インキュベートした後、DNA/脂質混合物を400μlのDMEMで希釈し、各ウェルに100μlの希釈した混合物を加える。細胞培養インキュベーター中で4時間インキュベートした後、各ウェルに10%FCSを含むDMEM100μlを加える。翌日、トランスフェクトされた細胞を200μl/ウェルの10%FCSを含むDMEMで交換する。8時間後、ウェルを、PBSで1回洗浄した後、フェノールレッドを含まない100μl/ウェルのDMEMに交換する。翌日、LucLite(商標)リポーター遺伝子アッセイキット(Packard)を用い、製造業者の使用説明書に従ってルシフェラーゼ活性を測定し、1450MicroBeta(商標)シンチレーションおよび蛍光カウンター(Wallac)で読み取る。
b.AP1リポーターアッセイ(Gq結合型受容体)
Gq刺激を検出する方法は、Gq依存性ホスホリパーゼCの、そのプロモーター中にAP1エレメントを含む遺伝子の活性化を引き起こす公知の特性によるものである。Pathdetect(商標)AP−1 cis−Reporting System(Stratagene、カタログ番号219073)を、リン酸カルシウム沈殿物の成分が410ng pAP1−Luc、80ng pCMV受容体発現プラスミドおよび20ng CMV−SEAPであるという点以外は、上記で、CREBリポーターアッセイに関して示されるプロトコールに従って使用できる。
c.SRF−LUCリポーターアッセイ(Gq結合型受容体)
Gq刺激を検出する一方法は、Gq依存性ホスホリパーゼCの、そのプロモーター中に血清応答因子を含む遺伝子の活性化を引き起こす公知の特性によるものである。Pathdetect(商標)SRF−Luc−Reporting System(Stratagene)を用いて、例えば、COS7細胞においてGq共役型活性についてアッセイできる。哺乳類トランスフェクション(商標)キット(Stratagene、カタログ番号200285)を用い、製造業者の使用説明書に従い、システムのプラスミド成分および内因性または非内因性GPCRをコードする示した発現プラスミドで細胞をトランスフェクトする。手短に言えば、410ng SRF−Luc、80ng pCMV−受容体発現プラスミドおよび20ng CMV−SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド;アルカリホスファターゼ活性は、サンプル間のトランスフェクション効率のばらつきを抑えるためにトランスフェクトされた細胞の培地で測定する)を、製造業者の使用説明書の通りに、リン酸カルシウム沈殿物中で混合する。沈殿物の半量を、96ウェルプレートの3つのウェルに等しく分配し、細胞を血清不含培地上で24時間維持する。最後の5時間は、細胞を、例えば、1μMの候補化合物とともにインキュベートする。次いで、細胞を溶解し、Luclite(商標)キット(Packard、カタログ番号6016911)および「Trilux 1450 Microbeta」液体シンチレーションおよび蛍光カウンター(Wallac)を製造業者の使用説明書の通り用いてルシフェラーゼ活性についてアッセイする。データは、GraphPad Prism(商標)2.0a(GraphPad Software Inc.)を用いて分析できる。
d.細胞内IP3蓄積アッセイ(Gq結合型受容体)
1日目に、対象の受容体(内因性または非内因性)を含む細胞を、通常、1×105個細胞/ウェル(ただし、数は最適化できる)で、24ウェルプレートにプレーティングできる。2日目に、50μl血清不含DMEM中0.25μgDNA/ウェルと、50μl血清不含DMEM中2μlリポフェクタミン/ウェルとをまず混合することによって、細胞をトランスフェクトできる。この溶液を穏やかに混合し、室温で15〜30分間インキュベートする。細胞を0.5mlPBSで洗浄し、400μlの血清不含培地をトランスフェクション培地と混合し、細胞に加える。次いで、細胞を37℃/5%CO2で3〜4時間インキュベートし、次いで、トランスフェクション培地を除去し、1ml/ウェルの通常の増殖培地で置換する。3日目に、細胞を3H−ミオ−イノシトールで標識する。手短に言えば、培地を除去し、細胞をPBS0.5mlで洗浄する。次いで、0.5mlのイノシトール不含/血清不含培地(GIBCO BRL)/ウェルを、0.25μCiの3H−ミオ−イノシトール/ウェルとともに加え、細胞を37℃/5%CO2で16〜18時間一晩インキュベートする。4日目に、細胞をPBS0.5mlで洗浄し、イノシトール不含/血清不含培地、10μMパルギリン、10mM塩化リチウムを含有する0.45mlのアッセイ培地、またはセロトニン受容体を含む対照構築物を用いる場合には、0.4mlのアッセイ培地および10μMの最終濃度のために50μlの10×ケタンセリン(ket)を加える。次いで、細胞を、37℃で30分間インキュベートする。次いで、PBS0.5mlで細胞を洗浄し、200μlの新鮮/氷冷停止溶液(1M KOH、18mMホウ酸Na、3.8mM EDTA)/ウェルを加える。この溶液を、5〜10分間または細胞が溶解するまで氷上で維持し、次いで、200μlの新鮮/氷冷中和溶液(7.5%HCL)で中和する。次いで、溶解物を1.5mlのエッペンドルフ試験管に移し、1mlのクロロホルム/メタノール(1:2)/試験管を加える。この溶液を15秒間ボルテックス処理し、上相をBiorad AGl−X8(商標)陰イオン交換樹脂(100〜200メッシュ)に適用する。まず、樹脂を1:1.25W/Vで水で洗浄し、0.9mlの上相をカラムに載せる。カラムを5mMミオ−イノシトール10mlで洗浄し、5mMホウ酸Na/60mMホウ酸Na10mlで洗浄する。イノシトールトリスホスフェートを、0.1Mギ酸/1Mホウ酸アンモニウム2mlを含むシンチレーションカクテル10mlを含むシンチレーションバイアルに溶出して入れる。カラムを、0.1Mギ酸/3Mホウ酸アンモニウム10mlで洗浄し、ddH2Oで2回リンスすることによって再生し、水中、4℃で保存する。
(実施例13)
融合タンパク質調製
a.GPCR:Gs融合構築物
GPCR−Gタンパク質融合構築物の設計は、以下のように達成できる:ラットGタンパク質Gsαの5’および3’の両末端(長い形;Itoh, H.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.83:3776(1986))を、そこにHindIII配列を含むよう設計する。正しい配列(フランキングHindIII配列を含む)を確認した後、そのベクターのHindIII制限部位を用いてサブクローニングすることによって、pcDNA3.1(−)(Invitrogen、カタログ番号V795−20)に全配列を入れる。pcDNA3.1(−)にサブクローニングした後に、Gsα配列の正しい方向を調べる。次いで、HindIII配列にラットGsα遺伝子を含む改変されたpcDNA3.1(−)を確認し、ここで、このベクターを「ユニバーサル」Gsαタンパク質ベクターとして利用できる。pcDNA3.1(−)ベクターは、HindIII部位の上流に、種々の周知の制限部位を含み、したがって、Gsタンパク質の上流に、対象の受容体のコード配列を挿入する能力を提供することが有益である。この同様のアプローチを用いて、その他の「ユニバーサル」Gタンパク質ベクターを作製でき、また、もちろん、当業者に公知のその他の市販ベクターまたは専売ベクターも使用できる。重要な基準は、GPCRの配列が上流にあり、Gタンパク質のものとインフレームであるということである。
b.Gq(6アミノ酸欠失)/Gi融合構築物
Gq(欠失)/Gi融合構築物の設計は、以下の通り達成できる:GαqサブユニットのN末端の6個のアミノ酸(TLESIMの配列(配列番号11)を有するアミノ酸2〜7)を欠失させ、配列EYNLV(配列番号12)を有するC末端の5個のアミノ酸を、配列DCGLF(配列番号13)を有するGαiタンパク質の対応するアミノ酸で置換する。この融合構築物は、以下のプライマー:
ならびに鋳型として血球凝集素タグを含むマウスGαq野生型版を含むプラスミド63313を用いてPCRによって得られる。下側のカップ中のヌクレオチドはスペーサーとして含まれる。
TaqPlus Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて、工程2〜4を35回反復する以下のサイクルによって増幅する:95℃で2分間、95℃で20秒間、56℃で20秒間、72℃で2分間および72℃で7分間。PCR産物は、pCRII−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングし、ABI Big Dyeターミネーターキット(P.E.Biosystems)を用いて配列決定できる。融合構築物の配列を含むTOPOクローンから得たインサートを、2段階クローニングプロセスによってHindIII/BamHI部位で発現ベクターpcDNA3.1(+)に入れることができる。また、2002年9月6日にWO02068600として公開されたPCT出願番号PCT/US02/05625も参照のこと。なお、その開示内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
(実施例14)
[35S]GTPγSアッセイ
A.膜調製
いくつかの実施形態では、例えば、アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストなどの候補化合物の同定に用いるための、対象の標的GPCRを含む膜は以下の通り調製する:
a.材料
「膜スクレープバッファー(Membrane Scrape Buffer)」は、20mM HEPESおよび10mM EDTAからなり、pH7.4;「膜洗浄バッファー」は、20mM HEPESおよび0.1mM EDTAからなり、pH7.4;「結合バッファー」は、20mM HEPES、100mM NaClおよび10mM MgCl2からなり、pH7.4である。
b.手順
すべての材料は、手順を通じて氷上で維持する。まず、コンフルエントな単層細胞から培地を吸引し、続いて、10mlの冷PBSでリンスし、続いて、吸引する。その後、5mlの膜スクレープバッファーを加えて細胞を掻き取り、これに続いて、細胞抽出物を50mlの遠心管に移す(4℃、20,000rpmで17分間遠心分離する)。その後、上清を吸引し、ペレットを30mlの膜洗浄バッファーに再懸濁し、続いて、4℃、20,000rpmで17分間遠心分離する。次いで、上清を吸引し、ペレットを結合バッファーに再懸濁する。次いで、これをBrinkmanポリトロン(商標)ホモジナイザーを用いてホモジナイズする(すべての材料が懸濁液になるまで15〜20秒間つぶす)。本明細書においてこれは「膜タンパク質」と呼ばれる。
ブラッドフォードタンパク質アッセイ
ホモジナイズした後、ブラッドフォードタンパク質アッセイを用いて膜のタンパク質濃度を調べ(タンパク質は、約1.5mg/mlに希釈してもよく、後で使用するために、分注し、凍結する(−80℃)。凍結する場合には、使用するためのプロトコールは以下の通りである:アッセイ当日に、凍結された膜タンパク質を室温で解凍し、続いて、ボルテックス処理し、次いで、ポリトロンで約12×1000rpmで約5〜10秒間ホモジナイズする。複数の調製物のために、ホモジナイザーは、異なる調製物のホモジネーションの間に十分に浄化しなくてはならないということは留意されたい)。
a.材料
結合バッファー(上記の通り);ブラッドフォード色素試薬;ブラッドフォードタンパク質標準を、製造業者の使用説明書にしたがって用いる(Biorad、カタログ番号500−0006)。
b.手順
一方は膜を、一方は対照として「ブランク」を含む2連の試験管を調製する。各試験管は、800μlの結合バッファーを含む。その後、10μlのブラッドフォードタンパク質標準(1mg/ml)を各試験管に加え、次いで、10μlの膜タンパク質を一方の試験管だけに加える(ブランクには加えない)。その後、各試験管に200μlのブラッドフォード色素試薬を加え、続いて、各試験管をボルテックス処理する。5分後、試験管を再度ボルテックス処理し、中の材料をキュベットに移す。波長595でCECIL3041分光光度計を用いてキュベットを読み取る。
同定アッセイ
a.材料
GDPバッファーは、37.5mlの結合バッファーと2mgのGDP(Sigma、カタログ番号G−7127)とからなり、その後、結合バッファーで一連の希釈を行い、0.2μM GDPを得る(各ウェル中のGDPの最終濃度は0.1μM GDPである)。候補化合物を含む各ウェルは、100μl GDPバッファー(最終濃度、0.1μM GDP)、結合バッファー中50μlの膜タンパク質および結合バッファー中50μlの[35S]GTPγS(0.6nM)(10mlの結合バッファーあたり2.5μl[35S]GTPγS)からなる200μlの最終容積を有する。
b.手順
候補化合物は96ウェルプレート形式を用いてスクリーニングできる(これらは−80℃で凍結できる)。膜タンパク質(または対照として、標的GPCRを除く発現ベクターを含む膜)を、懸濁液になるまで短時間ホモジナイズする。タンパク質濃度は、上で示されるブラッドフォードタンパク質アッセイを用いて測定する。膜タンパク質(および対照)を、結合バッファーで0.25mg/mlに希釈する(最終アッセイ濃度、12.5μg/ウェル)。その後、Wallac Scintistrip(商標)(Wallac)の各ウェルに、100μl GDPバッファーを加える。5μlピンツールを用いて、5μlの候補化合物をこのようなウェル中に移す(すなわち、全アッセイ容積200μl中の5μlは1:40比であり、候補化合物の最終スクリーニング濃度は10μMである)。再度、混入を避けるために、各移動工程後に、ピンツールを、水(1×)、エタノール(1×)および水(2×)を含む3種のリザーバーでリンスしなければならず、過剰の液体は、各リンス後にツールから振り落とし、紙およびキムワイプで乾燥させなければならない。その後、各ウェルに50μlの膜タンパク質を加え(標的GPCRを含まない膜を含む対照ウェルも用いる)、室温で5〜10分間プレインキュベートする。その後、各ウェルに、結合バッファー中、[35S]GTPγS(0.6nM)50μlを加え、続いて、振盪機にて、室温で60分間インキュベートする(プレートはホイルで覆う)。次いで、プレートを、22℃、4000RPMで15分間回転させることによってアッセイを停止する。8チャンネルマニホールドでプレートを吸引し、プレートカバーで密閉する。Wallac1450で設定「プロトコール37」を用いてプレートを読み取る(製造業者の使用説明書の通り)。
(実施例15)
サイクリックAMPアッセイ
候補化合物、例えば、アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを同定するための他のアッセイアプローチは、シクラーゼベースのアッセイを用いることによって達成できる。このアッセイアプローチは、直接同定に加え、上記の実施例において示されるような[35S]GTPγSアプローチからの結果の確認を提供する独立アプローチとして利用できる。
候補化合物を、対象の受容体に対するインバースアゴニストおよびアゴニストとして直接同定するために、以下のプロトコールに従って、改変Flash Plate(商標)アデニリルシクラーゼキット(New England Nuclear、カタログ番号SMP004A)を利用できる。
トランスフェクションの約3日後にトランスフェクトした細胞を回収する。20mM HEPES、pH7.4および10mM MgCl2を含むバッファーに懸濁した細胞のホモジナイゼーションによって膜を調製する。ホモジナイゼーションは、Brinkmanポリトロン(商標)を用いて氷上で約10秒間実施する。得られたホモジネートを4℃、49,000Xgで15分間遠心分離する。次いで、得られたペレットを、20mM HEPES、pH7.4および0.1mM EDTAを含むバッファーに再懸濁し、10秒間ホモジナイズし、続いて、4℃、49,000xgで15分間遠心分離する。次いで、得られたペレットを、使用するまで−80℃で保存する。直接同定スクリーニングの当日、膜ペレットを室温で徐々に解凍し、20mM HEPES、pH7.4および10mM MgCl2を含むバッファーに再懸濁し、最終タンパク質濃度を0.60mg/mlとする(再懸濁した膜は、使用するまで氷上におく)。
cAMP標準および検出バッファー(11mlの検出バッファーに対して2μCiのトレーサー[125I]cAMP(100μl)を含む)を、製造業者の使用説明書に従って調製、維持する。アッセイバッファーはスクリーニングのために新しく調製し、20mM HEPES、pH7.4、10mM MgCl2、20mMホスポクレアチン(phospocreatine)(Sigma)、0.1ユニット/mlクレアチンホスホキナーゼ(Sigma)、50μM GTP(Sigma)および0.2mM ATP(Sigma)を含む。その後、アッセイバッファーは、使用するまで氷上で保存する。
例えば、96ウェルプレートウェルに、40μl膜タンパク質(30μg/ウェル)および50μlのアッセイバッファーとともに候補化合物を加える(3μl/ウェル、12μM最終アッセイ濃度)。次いで、この混合物を、穏やかに振盪しながら、室温で30分間インキュベートする。
インキュベートした後、各ウェルに100μlの検出バッファーを加え、続いて、2〜24時間インキュベートする。次いで、Wallac MicroBeta(商標)プレートリーダーで、「プロトコール31」を用いてプレートをカウントする(製造業者の使用説明書の通り)。
(実施例16)
細胞内カルシウム濃度を測定するための蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)アッセイ
それぞれのクローン株に由来する、標的受容体(実験用)およびpCMV(陰性対照)によって安定にトランスフェクトされた細胞を、翌日アッセイするために、5.5×104個細胞/完全培養培地(10%FBS、2mM L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウムを含むDMEM)を含むウェルで、ポリ−D−リジン前処理96ウェルプレート(Becton−Dickinson、356640)に播種する。GPR41はGi共役型であるので、GPR41を含む細胞は、Gα15、Gα16またはキメラGq/Giαサブユニットをさらに含み得る。しかし、GPR41はまた、Gα12/13とも共役するので(実施例5および図5参照のこと)、Gα15、Gα16またはキメラGq/Giαサブユニットなどの無差別のGタンパク質は、検出可能なカルシウム流出を引き起こすのに必要ではない場合がある。Fluo4−AM(Molecular Probe、F14202)インキュベーションバッファーストックを調製するために、DMSO467μlおよびプルロニックアシッド(Pluoronic acid)(Molecular Probe、P3000)467μlに1mgのFluo4−AMを溶解し、−20℃で1ヶ月保存できる1mMストック溶液とする。Fluo4−AMは蛍光カルシウム指示色素である。
候補化合物は洗浄バッファー(1×HBSS/2.5mM プロベニシド(Probenicid)/20mM HEPES、pH7.4)中に調製する。
アッセイ時に、ウェルから培養培地を除去し、細胞に100μlの4μM Fluo4−AM/2.5mMプロベニシド(Probenicid)(Sigma、P8761)/20mM HEPES/完全培地を、pH7.4にて加える。37℃/5%CO2で60分間のインキュベーションを開始することが可能である。
1時間インキュベートした後、Fluo4−AMインキュベーションバッファーを除去し、100μlの洗浄バッファーで細胞を2回洗浄する。各ウェルには100μlの洗浄バッファーを残す。このプレートを37℃/5%CO2で60分間インキュベーターに戻す。
FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー;Molecular Device)を、30秒目に50μlの候補化合物を加え、候補化合物によって誘発される細胞内カルシウム濃度([Ca2+])の一時的な変化をさらに150秒間記録するようプログラムする。総蛍光変化カウントを用い、FLIPRソフトウェアを用いてアゴニスト活性を求める。機器ソフトウェアは蛍光読み取り値を標準化し、相当する初期読み取り値をゼロとする。
前述のものは、安定にトランスフェクトされた細胞を用いるアゴニスト活性のためのFLIPRアッセイを提供するが、当業者ならば、アンタゴニスト活性を特性決定するためにアッセイを容易に改変できる。また前記の当業者には容易に理解されるであろうが、あるいは、一過性にトランスフェクトされた細胞を用いてもよい。
(実施例17)
MAPキナーゼアッセイ
MAPキナーゼ(マイトジェン活性化キナーゼ)をモニターして、受容体活性化を評価できる。MAPキナーゼは、いくつかのアプローチによって検出できる。1つのアプローチは、リン酸化されていない(不活性)か、またはリン酸化されている(活性)のいずれかのリン酸化状態の評価に基づくものである。リン酸化されたタンパク質は、SDS−PAGEにおいてより遅い移動性を有し、したがって、ウエスタンブロッティングを用いて刺激されていないタンパク質と比較できる。あるいは、リン酸化されたタンパク質に特異的な抗体も入手可能であり(New England Biolabs)、これを用いて、リン酸化されたキナーゼの増加を検出できる。いずれの方法においても、細胞を候補化合物で刺激し、次いで、Laemmliバッファーで抽出する。可溶性画分をSDS−PAGEゲルに適用し、タンパク質をニトロセルロースまたはイモビリン(Immobilin)に電気泳動的に移す。標準ウエスタンブロッティング技術によって免疫反応性バンドを検出する。可視的または化学発光シグナルをフィルム上に記録し、デンシトメトリーによって定量化できる。
他のアプローチは、リン酸化アッセイによるMAPキナーゼ活性の評価に基づくものである。細胞を候補化合物で刺激し、可溶性抽出物を調製する。この抽出物を、γ−32P−ATP、ATP再生系およびMAPキナーゼの特異的基質、例えば、インスリンによって調節される、リン酸化された熱および酸安定性タンパク質、すなわち、PHAS−Iとともに30℃で10分間インキュベートする。H3PO4の添加によって反応を終結させ、サンプルを氷に移す。アリコートをWhatman P81クロマトグラフィーペーパー上にスポッティングし、これがリン酸化されたタンパク質を保持する。クロマトグラフィーペーパーを洗浄し、32Pについてカウントし、これは液体シンチレーションカウンターで行う。あるいは、細胞抽出物をγ−32P−ATP、ATP再生系およびストレプトアビジンによってフィルター支持体と結合しているビオチン化ミエリン塩基性タンパク質とともにインキュベートする。ミエリン塩基性タンパク質は、活性化MAPキナーゼの基質である。リン酸化反応は、30℃で10分間実施する。次いで、抽出物をフィルターを通して吸引することができ、これが、リン酸化されたミエリン塩基性タンパク質を保持する。フィルターを洗浄し、液体シンチレーションカウンティングによって32Pについてカウントする。
(実施例18)
受容体結合アッセイ
本明細書に記載した方法に加え、候補化合物を評価するための他の手段は、GPR41受容体に対する結合親和性を調べることによるものである。この種のアッセイは、通常、GPR41受容体に対する放射標識リガンドを必要とする。GPR41受容体の既知リガンドおよびその放射標識の使用に加え、本明細書に開示されるGPR41アゴニスト化合物を放射性同位元素で標識し、候補化合物の、GPR41受容体に対する親和性を評価するアッセイにおいて使用できる。
放射標識GPR41化合物、例えば、本明細書に開示されるGPR41アゴニストは、化合物を同定/評価するためのスクリーニングアッセイにおいて使用できる。一般論として、新規に合成されるか同定される化合物(すなわち、候補化合物)は、放射標識GPR41アゴニストのGPR41受容体との結合を減少させるその能力について評価できる。したがって、GPR41受容体との結合について、放射標識GPR41アゴニストと競合する能力は、候補化合物のGPR41受容体に対する結合親和性と直接的に相関がある。
GPR41の受容体結合を調べるためのアッセイプロトコール
A.GPR41受容体調製
本明細書において記載されるように、例えば、HEK293細胞(ヒト腎臓、ATCC)を、GPR41を用いて一過性かつ安定にトランスフェクトできる。例えば、293細胞を、10μgのヒトGPR41受容体および60μlのリポフェクタミンを用いて(15cmディッシュあたり)一過性にトランスフェクトし、培地交換をし、ディッシュ中で24時間増殖させることができる(75%コンフルエンシー)。10ml/ディッシュのHepes−EDTAバッファー(20mM Hepes+10mM EDTA、pH7.4)を用いて細胞を回収する。次いで、Beckman Coulter遠心機において、細胞を1700rpmで20分間遠心分離する(JA−25.50ローター)。続いて、ペレットを、20mM Hepes+1mM EDTA、pH 7.4に再懸濁し、50ml Dounceホモジナイザーを用いてホモジナイズし、再度遠心分離する。上清を除去した後、ペレットを、結合アッセイにおいて使用するまで−80℃で保存する。アッセイにおいて用いる場合には、膜を氷上で20分間解凍し、次いで、10mLのインキュベーションバッファー(20mM Hepes、1mM MgCl2、100mM NaCl、pH7.4)を加える。次いで、膜をボルテックス処理し、粗膜ペレットを再懸濁させ、Brinkmann PT−3100ポリトロンホモジナイザーを用い、設定6で15秒間ホモジナイズする。BRLブラッドフォードタンパク質アッセイを用いて膜タンパク質の濃度を求める。
B.結合アッセイ
全結合のためには、適当に希釈した膜50μlの全容積を、96ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレートに加え(50mM Tris HCl(pH7.4)、10mM MgCl2および1mM EDTAを含有するアッセイバッファーで希釈;5〜50μgタンパク質)、続いて、100μlのアッセイバッファーおよび50μlの放射標識GPR41アゴニストに加えた。非特異的結合のためには、100μlの代わりに50μlのアッセイバッファーを加え、さらに50μlの10μM冷GPR41を加え、その後、50μlの放射標識GPR41アゴニストを加える。次いで、プレートを室温で60〜120分間インキュベートする。アッセイプレートを、Brandell96ウェルプレート収穫器をつけたMicroplate Devices GF/C Unifilter濾過プレートによって濾過し、続いて、0.9% NaClを含有する冷50mM TrisHCl、pH7.4で洗浄することによって、結合反応を終結させる。次いで、濾過プレートの底を密閉し、各ウェルに50μlのOptiphase Supermixを加え、プレートの上部を密閉し、Trilux MicroBetaシンチレーションカウンターにおいてプレートをカウントする。化合物競合研究には、適当なウェルに、100μlのアッセイバッファーを加える代わりに、100μlの適当に希釈した候補化合物を加え、続いて、50μlの放射標識GPR41アゴニストを加える。
C.算出
候補化合物は、まず、1および0.1μMでアッセイし、次いで、中間の用量が放射標識GPR41アゴニスト結合の約50%の阻害を引き起こすよう(すなわち、IC50)選択された濃度の範囲でアッセイする。候補化合物の不在下での特異的結合(Bo)は、全結合(BT)から非特異的結合(NSB)を引いた差であり、同様に特異的結合(候補化合物の存在下での)(B)は、置換結合(BD)から非特異的結合(NSB)を引いた差である。IC50は、阻害応答曲線、B/Bo%対候補化合物濃度のロジット−ログプロットから求める。
Kiは、ChengおよびPrustoff変換によって算出する:
Ki =IC50/(1+[L]/KD)
(式中、[L]は、アッセイに用いた放射標識GPR41アゴニストの濃度であり、KDは同一結合条件下で独立に求められた放射標識GPR41アゴニストの解離定数である。
(実施例19)
齧歯類糖尿病モデル
肥満症およびインスリン抵抗性を伴う2型糖尿病の齧歯類モデルを開発した。疾患の病態生理学を理解するために、また候補治療化合物を試験するために、マウスにおけるdb/dbおよびob/ob[Diabetes(1982)31:1〜6を参照のこと]ならびにズッカーラットにおけるfa/faなどの遺伝モデルを開発した[Diabetes(1983)32:830−838;Annu Rep Sankyo Res Lab(1994)46:1−57]。Jackson Laboratoryによって開発されたホモ接合体動物、C57BL/KsJ−db/dbマウスは、肥満症、高血糖性、高インスリン性およびインスリン抵抗性であるのに対し[J Clin Invest(1990)85:962−967]、ヘテロ接合体は痩せた、正常血糖である。db/dbモデルでは、マウスは、年齢とともに徐々にインスリノペニア(insulinopenia)、糖レベルが十分に制御されない場合にヒト2型糖尿病の後期に一般的に観察される特徴を発症する。このモデルは、ヒト2型糖尿病のものに似ているために、本発明の化合物を、それだけには限らないが、血漿グルコースおよびトリグリセリドの低減をはじめとする活性について試験する。ズッカー(fa/fa)ラットは重篤な肥満症、高インスリン性およびインスリン抵抗性であり{Coleman,Diabetes(1982)31:1;E Shafrir in Diabetes Mellitus,H Rifkin and D Porte,Jr,Eds[Elsevier Science Publishing Co,New York,ed.4,(1990)299−340頁]}、fa/fa突然変異は、マウスdb突然変異のラット等価物であり得る[Friedmanら、Cell(1992)69:217−220;Truettら、Proc Natl Acad Sci USA(1991)88:7806]。Tubby(tub/tub)マウスは、深刻な高血糖症を伴わない、肥満症、中程度のインスリン抵抗性および高インスリン血症を特徴とする[Colemanら、Heredity(1990)81:424]。
本発明は、上記の齧歯類糖尿病モデルのいずれかまたはすべてにおいて、2型糖尿病またはその他の好ましいインスリン関連障害または先に記載した脂質代謝の障害を患うヒトにおいて、その他の哺乳類に基づくモデルにおいて、インスリン抵抗性および高血糖症を低減するためのGPR41モジュレーターの使用を包含する。血漿グルコースおよびインスリンレベル、ならびに、それだけには限らないが、血漿遊離脂肪酸およびトリグリセリドをはじめとするその他の因子を試験できる。
GPR41モジュレーターの抗高血糖活性についてのイン・ビボアッセイ
遺伝子操作された肥満の糖尿病マウス(db/db)(雄、7〜9週齢)を、標準実験室条件、22℃、50%相対湿度下で飼育し(7〜9匹/ケージ)、Purina齧歯類用固形飼料および水を無制限という食餌で維持した。処理の前に、各動物の尾静脈から血液を採取し、One Touch Basic Glucose Monitor System(Lifescan)を用いて血糖濃度を調べる。血漿グルコールレベルが250〜500mg/dlの間のマウスを用いる。各処理群は、研究の開始時に、各群における平均グルコースレベルが同等であるように分配される7匹のマウスからなる。db/dbマウスには、イソフラン麻酔を用いて挿入したマイクロ浸透圧ポンプによって投薬し、本発明の化合物、生理食塩水または無関係の化合物をマウスに皮下的に(s.c.)提供する。その後、血液を周期的に尾静脈からサンプリングし、血糖濃度について分析する。Studentのt検定を用いて、(生理食塩水処理に対して対象の化合物を比較して)群間の有意差を判断する。
前述のものは例示のために提供するものであって制限するものではない。2型糖尿病のその他の例示的齧歯類モデルが記載されている[Moller DE,Nature(2001)414:821−7およびその中の参照文献ならびにReed MJら、Diabetes,Obesity and Metabolism(1999)1:75−86およびその中の参照文献、これらの各々の開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる]。
(実施例20)
マウスアテローム性動脈硬化症モデル
アディポネクチン遺伝子をノックアウトすることによって作製されたアディポネクチン依存性マウスは、アテローム性動脈硬化症になりやすく、インスリン抵抗性になりやすいことがわかっている。このマウスはまた、虚血性心疾患の適したモデルである[Matsuda, Mら、J Biol Chem(2002)Julyおよびその中に引用される参照文献、これらの開示内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる]。
アディポネクチンノックアウトマウスを、標準実験室条件、22℃、50%相対湿度下で飼育する(7〜9匹/ケージ)。マウスには、イソフラン麻酔を用いて挿入したマイクロ浸透圧ポンプによって投薬し、本発明の化合物、生理食塩水または無関係の化合物をマウスに皮下的に(s.c.)提供する。新生内膜肥厚および虚血性心疾患を、種々の時間間隔で屠殺した種々の群のマウスについて調べる。Studentのt検定を用いて、(生理食塩水処理に対して注目する化合物を比較して)群間の有意差を判断する。
前述のアテローム性動脈硬化症のマウスモデルは例示のために提供するものであって制限するものではない。さらなる例として、アポリポタンパク質E依存性マウスもアテローム性動脈硬化症になりやすいことがわかっている[Plump ASら、Cell(1992)71:343−353;その開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる]。
使用できる他のモデルとして、C57BL/6Jマウス、食餌誘導性動脈硬化病変形成を起こしやすいことが知られている近交系における、食餌誘導性アテローム性動脈硬化症のものがある。このモデルは、当業者にはよく知られている[Kamada Nら、J Atheroscler Thromb(2001)8:1−6;Garber DWら、J Lipid Res(2001)42:545−52;Smith JDら、J Intern Med(1997)242:99−109;これらの各々の開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる]。
(実施例21)
HDL−コレステロールおよびアテローム性動脈硬化症のイン・ビボブタモデル
対象の化合物の、高い総コレステロール/HDL−コレステロール比およびそれに関連する症状の予防または治療における医薬としての有用性を、例えば、総コレステロール対HDL−コレステロールの比の低下における、HDLコレステロールの上昇における、またはイン・ビボブタモデルにおけるアテローム性動脈硬化症からの保護における化合物の活性によって実証する。ブタは、ほとんどのその他の動物モデルよりもより密接にヒトの生理学、特に、脂質代謝を反映するので、動物モデルとして用いられる。制限しようとするものではない例示的イン・ビボブタモデルを以下に示す。
ヨークシャーアルビノブタ(体重25.5±4kg)に、2%コレステロールおよび20%牛脂を補給した標準固形飼料からなる飽和脂肪酸が豊富な、コレステロールが豊富な(SFA−CHO)食餌(1kg固形飼料35kg−1ブタ体重)を50日間与える[Royo Tら、European Journal of Clinical Investigation(2000)30:843−52]。飽和脂肪酸対不飽和脂肪酸比は、標準ブタ用固形飼料中の0.6からSFA−CHO食餌中の1.12に改変する。動物を2群にわけ、一方の群(n=8)にはSFA−CHO食餌を与え、プラセボで処理し、もう一方の群(n−8)にはSFA−CHO食餌を与え、モジュレーター(3.0mg kg−1)で処理する。対照動物には標準固形飼料を50日間与える。血液サンプルを、ベースライン(動物を収容した2日後)および食餌を開始して50日後に採取する。血中脂質を分析する。動物は屠殺し、剖検する。
あるいは、前述の分析は、各々異なる用量の対象の化合物で処理された複数の群を含む。用量としては、例えば、0.1mg kg−1、0.3mg kg−1、1.0mg kg−1、3.0mg kg−1、10mg kg−1、30mg kg−1および100mg kg−1が挙げられる。あるいは、前述の分析は、複数の時点、例えば、10週、20週、30週、40週および50週で実施する。
HDL−コレステロール
血液をクエン酸三ナトリウム中に採取する(3.8%、1:10)。遠心分離(1200g15分)した後に血漿を得、直ちに処理する。自動分析器Kodak Ektachem DTシステム(Eastman Kodak Company,Rochester,NY,USA)を用いて、総コレステロール、HDL−コレステロールおよびLDL−コレステロールを測定する。範囲を上回るパラメーター値を有するサンプルは、製造業者によって供給される溶液で希釈し、次いで、再分析する。総コレステロール/HDL−コレステロール比を調べる。群間でHDL−コレステロールレベルの比較を行う。群間で総コレステロール/HDL−コレステロール比の比較を行う。
対象の化合物の投与での、HDL−コレステロールの上昇または総コレステロール/HDL−コレステロール比の減少は、化合物が上記の有用性を有することを示すと取る。
アテローム性動脈硬化症
胸部大動脈および腹部大動脈を無傷で採取し、腹側面に沿って縦方向に切開し、組織学的検査ならびに脂質組成および合成研究のために、胸部大動脈および腹部大動脈中の標準部位からサンプルを切り出した後に中性緩衝ホルマリンで固定する。固定した後、大動脈全体をスダンIVで染色し、ピンで平坦に固定し、コンピュータ化画像解析システム(Image Pro Plus;Media Cybernetics,Silver Spring,MD)と接続したTVカメラでデジタル画像を撮り、動脈硬化病変と関連している大動脈表面のパーセンテージを調べる[Gerrity RGら、Diabetes(2001)50:1654−65;Cornhill JFら、Arteriosclerosis,ThrombosisおよびVascular Biology(1985)5:415−26;これらの開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる]。群間で動脈硬化病変と関連している大動脈表面のパーセンテージの比較を行う。
対象の化合物の投与での動脈硬化病変と関連している大動脈表面のパーセンテージの減少は、化合物が上記の有用性を有することを示すと取る。
血漿遊離脂肪酸
前述のイン・ビボブタモデルは、それだけには限らないが、血漿遊離脂肪酸の低下における化合物の活性に対応するために容易に改変されるということは当業者には容易に明らかであろう。
当業者ならば認識するであろうが、本明細書に示される例示的実施例への種々の改変、付加、置換および変法を、本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができ、したがって、それらは本発明の範囲内と考えられる。それだけには限らないが、刊行物ならびに仮および正規の特許出願をはじめとする上記で参照されるすべての文書は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。