JP2008515540A - 分離可能なジョイントカテーテルおよびその方法 - Google Patents

分離可能なジョイントカテーテルおよびその方法 Download PDF

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Abstract

先端搬送システムは、先端部(106)と、先端部支持構造体(104)と、先端部を先端部支持構造体に接続する溶解可能な接合部(108)とを備えている。先端部を先端部支持構造体から分離させるために、溶解用の液体が溶解可能な接合部に搬送される。溶解用の液体は、例えば酵素反応により、溶解可能な接合部と反応して、溶解可能な接合部を溶解させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、広義には、医療装置および医療方法に関するものである。より詳細に述べると、本発明は、人体内に構造体を設置する方法およびそのための装置に関するものである。
動脈瘤は血管の異常拡張の結果であり、通常は、動脈壁を脆弱化して拡張してしまえるようにする疾病、または、一般的疾病素因、または、それら両方の結果である。動脈瘤が原因で起こる動脈壁の脆弱化した領域が問題となるのは、そのような脆弱化領域が破裂するような事態に見舞われ、破裂した場合には、動脈瘤が致死的効果を生じることがあるからである。
動脈瘤の除去を目的として幾つかの処置と治療法が既に確立されている。そのような方法の1つに、動脈瘤そのものの内側にコイルを挿入することが含まれている。コイル挿入法を利用すると、コイルは動脈瘤の内部で血栓の形成すなわち血餅の形成を促進する。その後、血栓は動脈瘤を部分的に、または、完全に閉塞してしまう。この態様で、患者動脈からの血液が動脈瘤の中に流入して、その内側で循環するのが阻止される。この結果、動脈瘤部位の脆弱化した動脈壁に加えられる圧力は低減され、それとともに破裂の危険も低減される。
コイルを動脈瘤に搬送するために、コイルは搬送用カテーテルの遠位端に配置される。コイルは動脈瘤の内側に設置される。続いて、コイルは搬送用カテーテルの遠位端から分離させされる。次に、動脈瘤の内側にコイルを残存させたまま、搬送用カテーテルが引出される。
コイルは、半田を利用して搬送カテーテルの遠位端に付着される。コイルを搬送用カテーテルの遠位端から分離させるために、電流が半田に付与される。電流を付与することで半田を加熱し、十分な高温に達した時には、半田が溶融する。半田が溶融することで搬送用カテーテルの遠位端からコイルが分離する。
有効な治療となることもあるが、コイル挿入法は半田の周囲の体組織が加熱状態になって火傷をつくることがあった。更に、溶融した半田がコイルからも、搬送用カテーテルの遠位端からも分離して、患者の血管内に放出されてしまうことがあった。解剖学的構造に設置する際には、周囲の体組織を加熱してしまうことと、溶融した半田が原因で屑が出る危険は禁忌である。
先端搬送システムは、先端部と、先端部支持構造体と、先端部を先端部支持構造体に接続する溶解可能な接合部とを備えている。先端部を先端部支持構造体から分離させるために、溶解用の液体が溶解可能な接合部に搬送される。溶解用の液体は、例えば、酵素反応により、溶解可能な接合部と反応して、溶解可能な接合部を溶解させる。
溶解可能な接合部は、体温より高い温度で溶解可能な接合部を加熱しなくても、溶解用の液体によって溶解される。従って、周囲体組織を加熱したり、火傷を負わせたりする危険が無い。
更に、溶解可能な接合部は、溶解用の液体によって完全に溶解される。従って、溶解可能な接合部が屑となる危険も本質的に存在しない。
また別な実施形態では、溶解可能な接合部と溶解用の液体は生体適合性であり、例えば、患者にとって禁忌とはならない。従って、溶解可能な接合部が原因で屑が形成されても、患者に何ら禁忌となるものではない。
図面全体と詳細な説明全体にわたり、同一構成要素を示すのに共通の参照番号が使われている。
図2を参照すると、先端搬送システム100は、先端部106と、先端部支持構造体104と、先端部106を先端部支持構造体104に接続する溶解可能な接合部108とを備えている。先端部106を先端部支持構造体104から分離するために、溶解用の液体206が溶解可能な接合部108に搬送される。溶解用の液体206は、例えば酵素反応により、溶解可能な接合部108と反応し、溶解可能な接合部108を溶解させて、図4に例示されているように先端部支持構造体104から先端部106を分離させる。
より詳細に述べると、図1は本発明による先端部搬送システム100の遠位端102の断面図であり、このシステムは分離可能な接合カテーテルと呼ばれることもある。本件で使用されているように、搬送システムの近位端は操作者のハンドルを基準にして近位(ハンドルに最も近い)と言及され、搬送システムの遠位端は操作者のハンドルを基準にして遠位(ハンドルから最も遠い)と言及されている。
ここで図1を参照すると、先端搬送システム100はワイヤ104が溶解可能な接合部108により先端部106に接続されているが、溶解可能な接合部のことを、先端部106をワイヤ104に接続するための手段と呼称することもある。先端搬送部材100は管腔112が設けられた鞘部材110を更に備えている。この実施形態では、ワイヤ104、先端部106、および、溶解可能な接合部108が鞘部材110の管腔112の内部に配置されている。図1では、鞘部材110は後退する前の状態が例示されており、すなわち、近位方向114に移動する前の状態が例示されている。
一例では、ワイヤ104は中実であるが、可撓性の円筒状ロッドおよび先端部106はコイルである。図1に例示されているように、先端部106には屈曲部116が設けられて、動脈瘤の内側に先端部106を固定するのを容易にしている。しかしながら、先端部106は、円形、巻線状、楕円形、螺旋系、または、それ以外の形状などの多数の形状のうちのいずれかの形状で形成される。
更に、先端部106は形状記憶材料で形成されていてもよい。この実施形態によると、先端部106は鞘部材110の内側に拘束されており、鞘部材110を後退させて先端部106を露出させると、先端部106が記憶した形状を呈する。
更にまた、先端部106は重合体で形成されてもよい。この実施形態によると、バンド107は時にはリングと呼ばれることもあり、金属や、室温の加硫剤シリコン(RTV)中の硫酸バリウムなどのような金属粉末スラリーからできているが、先端部106上に形成されて、X線、放射線透視術、MRI、または、それ以外の画像化技術を利用して視認できるような放射線不透過性の先端部106を作成する。バンド107は、また別な実施形態として、磁気材料で形成されていてもよい。更にまた、高周波コイルが先端部106上に設置されて、例えば、メドトロニック・インコーポレーディッド(Medtronic, Inc.)の一事業部であるメドトロニック・サージカル・テクノロジーズ(Medtronic Surgical Navigation Technologies)によって開発された、見えない測点への画像誘導外科手術技術と併用することができる。
溶解可能な接合部108は溶解することができる。より詳細に述べると、鞘部材110の管腔112の中を通して付与された溶解用の液体と溶解可能な接合部108が接触すると溶解可能な接合部108が溶解するが、管腔112は、場合によっては、溶解用の液体を搬送するために手段と呼称されることがある。
溶解可能な接合部108は先端部106をワイヤ104に接続する。一実施形態では、溶解可能な接合部108は円筒状であるか、または、円盤状である。この実施形態によると、溶解可能な接合部108はワイヤ104の延長部であり、例えば、ワイヤ104の外径に等しい外径を有している。従って、溶解可能な接合部108は先端部106とワイヤ104の間に位置しており、これら両部材は、溶解可能な接合部108によって、互いから離隔されている。ワイヤ104は先端部支持構造体と呼称されることがある。
また別な実施形態では、溶解可能な接合部108はテープであり、テープはフィルムまたはシートと呼ばれることもある。この実施形態によると、溶解可能な接合部108は先端部106の外面106OSと、ワイヤ104の外面104OSの周囲に巻かれている。従って、先端部106はワイヤ104と当接接触状態にあるが、ワイヤ104からは離隔されていてもよい。
一実施形態では、溶解可能な接合部108は中実であり、穴なしの無孔性固体と呼ばれることもある。しかしながら、他の実施形態では、溶解可能な接合部108は半固体である。半固体としては、溶解可能な接合部108は、(1)例えば、綿飴に構造が似ている多数の緩い繊維から形成されており、(2)穴あき状で、または、(3)例えば、スポンジに構造が似ている多数の細孔が設けられている。一実施形態では、溶解可能な接合部108を半固体として形成することにより、溶解可能な接合部108の融解可能性は最大限にされるが、それは、溶解用の液体と接触させるための溶解可能な接合部108の表面積が最大だからである。
或る特定の実施形態では、溶解可能な接合部108は重合体であり、溶解用の液体は酵素であり、このような酵素は酵素反応により重合体を溶解する。酵素が行う反応は、酵素反応と呼称されることもあるが、一種の化学反応であって、酵素などの蛋白質分子が反応のための触媒として作用して生理的温度で反応を高速で起こせるようにする場である基質分子の合成または分解に関与している。酵素そのものは酵素反応によって消費されもしないし、破壊されもしない。
例えば、溶解可能な接合部108は、架橋結合式などのヒアルロン酸であり、溶解用の液体は溶液中に有効量の酵素ヒアルロニダーゼを含有している生理学的緩衝液である。ヒアルロニダーゼの類似物には次のようなものがある。例えば、ヒアルロノグルコサミニダーゼ、ヒアルロノグルコシダーゼ、コンドロイチナーゼ、コンドロイチナーゼIなどである。このような酵素の全部についての蛋白質番号は EC 3.2.1.35 である。
ヒアルロニダーゼは体内に正常に存在している物質であるように、有害ではないが、人間の漿液や唾液中に含有されている。多様なヒアルロニダーゼごとに幾つもの人間の遺伝子が存在し、そのうちの HYAL1(HYAL壱)は人体漿液中に見られるヒアルロニダーゼの形質についての遺伝子である。ヒアルロニダーゼは白内障外科手術のために目に投与される麻酔効果を高める共通因子として、更に、組織移植後の浮腫を防止する治療薬として医学的に使用される。
ヒアルロニダーゼの市場で購入できる形態のものは、米国食品医薬品局(FDA)の認可を受けており、ヴィトラーゼ(Vitrase)の商品名で市場に出ているが、その用途は、皮下注射などのような注射薬の分散を向上させることにある。
安全についての懸念は、ヒアルロニダーゼに対して摂取前から既に拒否反応を示す可能性のある人がおり、または、ヒアルロニダーゼに対して過敏な人がおり、従って、繰り返し服用することに対して反作用を示すかもしれない点であることに留意しなければならない。このような可能性を判定するのに、先端搬送システム100を使用する数日前に「皮膚を刺す」試験が実施されて、アレルギーが原因でヒアルロニダーゼの使用がその患者にとっては禁忌であることを検証することができる。
更に、人体の血流中でヒアルロニダーゼは迅速に不活性化される。人血は、ヒアルロニダーゼの循環する抑制因子を何種類か含んでおり、そのうちの幾つかは既に認識されている(遺伝子が分かっている)。ヘパリンはヒアルロニダーゼの不活性化体であることも分かっている。
一実施形態では、接合部108の溶解速度はヒアルロン酸がどのように調剤されているか(例えば、どれくらいの量がエステル化されるか)で決まるが、これは当業者なら本件の開示に鑑みて理解できると思われる。実例を挙げると、接合部108のヒアルロン酸のエステル化は、接合部108が数分で溶解してしまうように調剤される。接合部108の持久率(取り回しと挿入にかかる時間)と、どれくらい迅速に接合部108が酵素により溶解されるかということとの間で折り合いをつける必要があることを当業者なら理解するだろう。
一実施形態では、溶解用の液体の作用を高め、溶解作用の速度を上げるために、溶解用の液体は酸の溶液で、例えば、溶解用の液のpHが3.5から4.0などのような酸性レベルに設定されたものである。ヒアルロニダーゼが投与される緩衝液は、このような強い酸性pHを示すように調剤される。この実施形態では、緩衝液は酸性緩衝液と呼称されることもある。
しかしながら、ヒアルロニダーゼが投与される緩衝液は、例えば7.0などのような中性pHを示すように調剤されてもよい。この実施形態によれば、緩衝液は生理学的緩衝液と呼ばれることもある。
実例を挙げると、先端部106が設けられた先端搬送システム100の遠位端102は例えば頸動脈のような動脈の中に通すことで動脈瘤の中に操作して入れられる。鞘部材110を後退させて、すなわち、近位方向114に移動させて、先端部106の包みを外して露出させる。
図2および図3は、図1の先端搬送システム100の遠位端が、後続の段階で先端部106を配備中であるのを例示した断面図と斜視図である。ここで、図2および図3を一緒に参照すると、鞘部材110が既に後退させられて、先端部106を露出させている。より詳細に述べると、鞘部材110を後退させた結果、鞘部材110の遠位端202が溶解可能な接合部108に隣接した位置にある。
鞘部材110の内側円筒面110ISとワイヤ104の外側面104OSは環状の空間204を画定する。溶解用の液体206が先端搬送システム100の近位端208の環状空間204に注入される。本件開示に鑑みて、溶解用の液206を環状の空間204に注入するにあたり、先端搬送システム100のハンドルのポートを通して溶解用の液体206を注入するといったような多数の周知の液体注入技術のうちのいずれか1つを利用して実施することができる。
溶解用の液体206は、環状空間204に注入すると、環状空間204の中を遠位方向に流動し、溶解可能な接合部108に接触する。溶解用の液体206が酵素の作用により溶解可能な接合部108と反応して溶解可能な接合部108を溶解させる。一実施形態では、体温で、溶解用の液体206は短時間で溶解可能な接合部108を溶解させるが、この時間は具体的には、数分間のうちであったり、またそうでなければ、実施中の特定の処置について容認できる長さの時間のうちに溶解する。
溶解可能な接合部108は溶解用の液体206によって溶解されるが、体温より高い温度に溶解可能な接合部108を加熱することはない。従って、周囲体組織を加熱したり、火傷を負わせる危険がない。
更に、溶解可能な接合部108は溶解用の液体206によって完全に溶解される。従って、溶解可能な接合部108が原因で屑が生じる危険は本質的に皆無である。
また別な実施形態では、溶解可能な接合部108と溶解用の液体206は生体適合性であり、例えば、患者に対して禁忌ではない。従って、可溶性接合部108が原因で屑が形成される場合でも、患者に対する適応阻害は全くない。
図4は、図2の先端搬送システム100が先端部106を配備する後続の段階にあるのを例示した断面図である。ここで図2および図4を一緒に参照すると、溶解用の液体206は既に溶解可能な接合部108を溶解してしまっている。従って、先端部106はワイヤ104から分離状態にある。分離されてしまうと、先端搬送装置100は、ワイヤ104と鞘部材110を保持したまま患者の体外に引出され、搬送装置の配備位置であったところに先端部106を残留させる。
一実施形態では、先端搬送システム100は神経カテーテルまたは神経血管カテーテルであり、先端部106は神経血管動脈瘤などのような動脈瘤の内側に配備されるコイルである。先端部106は動脈瘤の内側の血栓形成、すなわち、血餅形成を促進する。血栓は部分的に、または、完全に動脈瘤を閉塞する。この態様で、患者の動脈(または血管)からの血液が動脈瘤の中に流入して、その内側で循環するのが阻止される。その結果、動脈瘤の部位の脆弱化した動脈壁に加えられる圧力が低減され、破壊の危険も同様に低減される。
また別な実施形態では、先端部106は、例えば、細胞成長媒体のような生体適合性の組織の足場を含んでいる。先端部106は、組織の足場の中またはその上にニューロンやニューロン前駆体のような細胞を更に含んでいる。
この実施形態によれば、先端部106は、例えば、頸動脈の中を通して脳の内部に設置されて配備される。配備が完了してしまうと、先端部106の細胞で、生体活性物質と呼称されることもある細胞が周囲の脳組織に拡散する。この態様で、細胞の存命は最大限に高められ、細胞はより長い期間にわたって搬送される。
特定の一実施形態では、パーキンソン病、ハンチントン病、発作、または、それ以外の神経置換や神経修復に対する適応症の治療のために神経細胞を脳を移植するにあたり、先端部106を使用する。
これ以外の実施形態では、先端部106は薬剤を含有している。例えば、先端部106は或る期間に亘って薬剤(1種類または複数種類)を放出する。実例を挙げると、先端部106が溶解して薬剤を放出する。また別な実施形態では、先端部106は、長時間にわたる薬剤の拡散源となる薬剤の懸濁床を含有している。先端部106は、例えば、頸動脈の中を通って脳の各領域に搬送される。
特殊な一実施形態では、先端部106は中脳黒質または視床下核に搬送される。先端部106はドーパミンを含有しており、先端部は上述のような領域に搬送されて、パーキンソン病の治療に利用される。
また別な特殊な実施形態では、先端部106は痙攣場所に搬送される。先端部106はフェニトインやカルバマゼピンなどのような抗痙攣薬を含有しており、先端部は添加治療のための場所に搬送される。
また別な特殊な実施形態では、先端部106は手術が実施できない脳腫瘍の部位に搬送される。先端部106はブレオマイシン、フロウラシル(5-FU)、フロクスリジン(FUDR)、ドクソルビシンなどのような化学療法薬を含有しており、先端部は腫瘍治療のための部位に搬送される。
また別な特殊な実施形態では、先端部106は脊髄、中脳中心灰白質、視床、および/または、運動皮質などのような脳痛緩和部位(単数または複数)に搬送される。先端部106は各種オピオドを含有しており、これらは痛み緩和部位(単数または複数)に搬送されて痛みの治療に利用される。
また別な実施形態では、先端部106は、糖尿病を患っている患者の皮下部位または腹部部位に搬送される。先端部106は膵島または膵ベータ細胞などのようなインシュリン生成細胞を含有する組織の足場を含んでいる。
図5および図6は、本発明のまた別な実施形態による先端搬送システム500の遠位端502の断面図および斜視図である。
ここで図5および図6を一緒に参照すると、先端搬送システム500は、溶解可能な接合部508によって先端部506に接続されている管材504を備えている。先端搬送システム500は溶解可能な膜510を更に備えている。
図示のように、管材504には管腔512が、先端部506には管腔514が、溶解可能な接合部508には管腔516がそれぞれ設けられている。溶解可能な膜510は溶解可能な接合部518の管腔516を横断して延び、溶解可能な接合部508において溶解用の液体の流れを制限する。例えば、溶解可能な膜510は図6に例示されているように穴あきであり、或る種の流体が溶解可能な膜510を横断して流れることができるようになっている。
溶解可能な接合部508は溶解することができる。より詳細に述べると、溶解可能な接合部508は、管腔512の中を通して供与される溶解用の液体と接触すると溶解するが、管腔512のことを溶解用の液体を搬送するための手段と呼称することもある。
溶解可能な接合部508は先端部506を管材504に接続している。従って、管材504は先端部支持構造体と呼称されることがある。一実施形態では、図5の溶解可能な接合部508は、管腔516が設けられている点を例外として、図1の溶解可能な接合部108に類似している。例えば、溶解可能な接合部508はヒアルロン酸であり、溶解用の液体は溶液中に有効量の酵素ヒアルロニダーゼを含有している生理学的緩衝液である。
一実施形態では、先端部506は開口部の開存性を維持するために使用される重合体管材である。特殊な一実施形態では、先端部506は閉塞部を横断する心室内の血液分流路として使用されて水頭症の治療を行うための重合体管材である。より詳細に述べると、先端部506は第3心室と脚間層との間の開口部の開存性を保ち、従って、髄液が閉塞部を横断して流動することができるようにすることで、第3心室から圧力を除去する。
この実施形態によれば、バンド507はリングと呼称されることもあり、金属や、室温の加硫剤シリコン(RTV)中の硫酸バリウムなどのような金属粉末スラリーからできているが、先端部506上に形成されて、X線、放射線透視術、MRI、または、それ以外の画像化技術を利用して視認できるような放射線不透過性の先端部506を作成する。バンド507はまた別な実施形態として磁気材料から形成されていてもよい。更にまた、高周波コイルが先端部506上に設置されて、例えば、メドトロニック・インコーポレーディッド(Medtronic, Inc.)の一事業部であるメドトロニック・サージカル・テクノロジーズ(Medtronic Surgical Navigation Technologies)によって開発された、見えない測点への画像誘導外科手術技術と併用することができる。
実例を挙げると、先端部506を備えている先端搬送システム500の遠位端502は、例えば、クモ膜下空間や頭蓋に設けた穿頭孔などの中を通して第3心室と脚間層の間の開口部に操作して入れられる。
ここで図5を参照すると、溶解用の液体518は先端搬送システム500の近位端520で管材504の管腔512の中に注入される。本件開示に鑑みて、管材504の管腔512の中に溶解用の液体518を注入するにあたり、先端搬送システム500のハンドルのポートを通して溶解用の液体518を注入するといったような多数の周知の液体注入技術を利用することができることを、当業者なら理解するだろう。
溶解用の液体518は、管材504の管腔512に注入すると、管材504の管腔512の中を通って遠位方向に流動して溶解可能な接合部508に接触する。溶解用の液体518は酵素の作用により可溶性接合部508と反応して、溶解可能な接合部508を溶解させる。一実施形態では、体温で、溶解用の液体518は短時間のうちに溶解可能な接合部508を溶解させるが、この時間は具体的には、数分間のうちであったり、またそうでなければ、実施中の特定の処置について容認できる長さの時間のうちに溶解する。溶解用の液体518は図2の溶解用の液体206に類似している、または、それと同じである。
溶解可能な接合部508は溶解用の液体518によって溶解されるが、体温より高い温度に溶解可能な接合部508を加熱することはない。従って、周囲体組織を加熱したり、火傷を負わせる危険がない。
更に、溶解可能な接合部508は溶解用の液体518によって完全に溶解される。従って、溶解可能な接合部508が原因で屑が生じる危険は本質的に皆無である。
また別な実施形態では、溶解可能な接合部508と溶解用の液体518は生体適合性であり、例えば、患者に対して禁忌ではない。従って、可溶性接合部508が原因で屑が形成される場合でも、患者に対する適応阻害は全くない。
溶解可能な膜518は溶解可能な接合部508への溶解用の液体518の供給を向上させる。詳細に述べると、溶解可能な膜510は溶解可能な接合部508において溶解用の液体518の流れを制限する。従って、溶解可能な膜510は溶解可能な接合部508に必要な溶解用の液体518の量を最小限に抑える。しかしながら、溶解可能な膜510は任意であり、一実施形態では、この膜は形成されていない。
一実施形態によると、溶解可能な膜510は溶解可能な接合部508と同じ素材で形成される。例えば、溶解可能な膜510と溶解可能な接合部508は一体で、すなわち、同一部材の異なる構成要素であり、それ以外に複数の別個の部材片が寄集めで接続されたものではない。しかしながら、また別な実施形態では、溶解可能な膜510と溶解可能な接合部508は別個の部材片が一緒に接続されて構成されている。
ヒアルロン酸などのような、溶解可能な接合部508と同じ素材の溶解可能な膜510を形成することにより、溶解可能な膜510は、溶解用の液体518と接触すると、溶解可能な接合部518と同時に溶解する。
図7は、図5の先端搬送システムの遠位端502が先端部506を配備する後続の段階にあるのを例示した断面図である。ここで図5および図7を一緒に参照すると、溶解用の液体518は溶解可能な接合部508と溶解可能な膜510を既に溶解してしまっている。従って、先端部506は管材504から分離状態にある。管材504を備えている先端搬送システム500は、分離されてしまうと、患者の体外に引出され、搬送システムが配備されていた場所、例えば、開口部の中に先端部506を残存させる。配備が完了してしまうと、髄液などの液体が先端部506の管腔514の中を通って流動する。
本件開示は、本発明による具体的な実施形態を提示している。構造、寸法、素材の種類、製造プロセスの各種変更例などのような無数の変更は、明細書により明示して提示されたものであれ、明細書によって暗示されただけのものであれ、或いは、全く暗示されていないものであれ、本件開示を見た当業者であれば実施することができる。
本発明の一実施形態による先端搬送システムの遠位端の断面図である。 図1の先端搬送システムの遠位端が後続の段階で先端部を配備中であるのを例示した断面図である。 図1の先端搬送システムの遠位端が後続の段階で先端部を配備中であるのを例示した斜視図である。 図2の先端搬送システムの遠位端が先端部を配備する後続の段階であるのを例示した断面図である。 本発明のまた別な実施形態による先端搬送システムの遠位端の断面図である。 本発明のまた別な実施形態による先端搬送システムの遠位端の斜視図である。 図6の先端搬送システムの遠位端が先端部を配備する後続の段階であるのを例示した断面図である。

Claims (44)

  1. 構造体であって、
    先端部と、
    先端部支持構造体と、
    先端部を先端部支持構造体に接続する溶解可能な接合部とを備え、
    溶解可能な接合部に溶解用の液体を供与することで、酵素反応により溶解可能な接合部を溶解させることを特徴とする、構造体。
  2. 管腔が設けられた鞘部材を更に備えており、前記先端部支持構造体と前記溶解可能な接合部は管腔内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  3. 前記先端部は屈曲部を有することを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  4. 前記先端部は、円形、巻線形、楕円形、螺旋形からなるグループから選択された形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  5. 前記先端部は形状記憶材料を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  6. 前記溶解可能な接合部は形状が円筒状であることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  7. 前記溶解可能な接合部は前記先端支持構造体の延長部であることを特徴とする、請求項6に記載の構造体。
  8. 前記先端部と前記先端支持構造体は前記溶解可能な接合部によって互いから離隔されていることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  9. 前記先端支持構造体はワイヤであることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  10. 前記溶解可能な接合部は、テープを含むことを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  11. 前記溶解可能な接合部は前記先端部の外側面と前記先端支持構造体の外側面の周囲を包囲していることを特徴とする、請求項10に記載の構造体。
  12. 前記先端部は前記先端部支持構造体と当接接触状態にあることを特徴とする、請求項10に記載の構造体。
  13. 前記溶解可能な接合部は、穴なしの無孔性固体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  14. 前記溶解可能な接合部は、半固体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  15. 前記溶解可能な接合部は、多数の緩い繊維から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  16. 前記溶解可能な接合部は穴あきであることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  17. 前記溶解可能な接合部には多数の細孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  18. 前記溶解可能な接合部は重合体を含んでおり、前記溶解用の液体は酵素を含んでおり、酵素は重合体を溶解することを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  19. 前記重合体としてはヒアルロン酸を含んでおり、前記酵素としてはヒアルロニダーゼを含んでいることを特徴とする、請求項18に記載の構造体。
  20. 前記先端部はコイルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  21. 前記先端部は生体適合性の組織の足場と生体活性物質を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  22. 前記生体活性物質は神経細胞を含むことを特徴とする、請求項21に記載の構造体。
  23. 前記生体活性物質はインシュリン生成細胞を含むことを特徴とする、請求項21に記載の構造体。
  24. 前記先端部には薬剤が含有されることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  25. 前記薬剤はドーパミンを含むことを特徴とする、請求項24に記載の構造体。
  26. 前記薬剤は抗痙攣薬を含むことを特徴とする、請求項24に記載の構造体。
  27. 前記薬剤は化学療法薬を含むことを特徴とする、請求項24に記載の構造体。
  28. 前記薬剤はオピオドを含むことを特徴とする、請求項24に記載の構造体。
  29. 前記先端部構造体は、管腔が設けられた管材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  30. 前記溶解用の溶液は前記管材の前記管腔の中を通して搬送されることを特徴とする、請求項29に記載の構造体。
  31. 前記溶解可能な接合部は管腔を備えており、前記構造体はこの管腔を横断して延びる溶解可能な膜を更に備えている、請求項1に記載の構造体。
  32. 前記先端部は管材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
  33. 前記管材は、開口部の開存性を維持するように重合体管材を含むことを特徴とする、請求項32に記載の構造体。
  34. 先端部を先端部支持構造体に接続する溶解可能な接合部に溶解用の液体を搬送する段階を含んでおり、溶解用の液体は酵素反応により、溶解可能な接合部を溶解させて、先端部を先端部支持構造体から分離させるようにしたことを特徴とする、方法。
  35. 前記先端部を動脈瘤の内側に設置する段階を更に含んでいる、請求項34に記載の方法。
  36. 前記先端部はコイルを含むことを特徴とする、請求項35に記載の方法。
  37. 前記先端部を開口部の中に設置する段階を更に含んでいる、請求項34に記載の方法。
  38. 前記先端部は管材を含むことを特徴とする、請求項37に記載の方法。
  39. 溶解可能な接合部に溶解用の液体を搬送する前記段階は、前記先端部支持構造体の外面と鞘部材の内面によって定められた環状の空間の中に前記溶解用の液体を注入する段階を含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  40. 溶解可能な接合部に溶解用の液体を搬送する前記段階は、前記先端部支持構造体の管腔の中に前記溶解用の液体を注入する段階を含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  41. 前記溶解可能な接合部で前記溶解用の液体の流れを制限する段階を更に含んでいる、請求項40に記載の方法。
  42. 前記溶解用の液体の前記流れは、溶解可能な膜によって前記溶解可能な接合部で制限されることを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  43. 前記溶解用の液体は、前記溶解可能な膜を溶解させることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
  44. 構造体であって、
    先端部を先端部支持構造体に接続する手段と、
    溶解用の液体を接続する手段に搬送する手段とを備え、
    溶解用の液体は酵素反応により接続する手段を溶解させて、先端部を先端部支持構造体から分離させるようにしたことを特徴とする、構造体。
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