JP2008514227A - ミオスタチンアイソフォーム - Google Patents

ミオスタチンアイソフォーム Download PDF

Info

Publication number
JP2008514227A
JP2008514227A JP2007534532A JP2007534532A JP2008514227A JP 2008514227 A JP2008514227 A JP 2008514227A JP 2007534532 A JP2007534532 A JP 2007534532A JP 2007534532 A JP2007534532 A JP 2007534532A JP 2008514227 A JP2008514227 A JP 2008514227A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polynucleotide
polypeptide
msv
muscle
sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007534532A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008514227A5 (ja
JP5335239B2 (ja
Inventor
フェレンツ・ジーンプロング
クリストファー・デイビッド・マクマホン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Orico Ltd
Original Assignee
Orico Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from NZ53569604A external-priority patent/NZ535696A/en
Application filed by Orico Ltd filed Critical Orico Ltd
Publication of JP2008514227A publication Critical patent/JP2008514227A/ja
Publication of JP2008514227A5 publication Critical patent/JP2008514227A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5335239B2 publication Critical patent/JP5335239B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/475Growth factors; Growth regulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P21/00Drugs for disorders of the muscular or neuromuscular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P21/00Drugs for disorders of the muscular or neuromuscular system
    • A61P21/02Muscle relaxants, e.g. for tetanus or cramps
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H21/00Compounds containing two or more mononucleotide units having separate phosphate or polyphosphate groups linked by saccharide radicals of nucleoside groups, e.g. nucleic acids
    • C07H21/04Compounds containing two or more mononucleotide units having separate phosphate or polyphosphate groups linked by saccharide radicals of nucleoside groups, e.g. nucleic acids with deoxyribosyl as saccharide radical
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

本発明は、筋肉成長を促進し、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を含むミオスタチンスプライス変種、該配列を含む構築物、ならびに筋肉成長を制御し、および筋組織に関連する疾患を治療するための組成物を提供する。スプライス変種は、共通配列XIFLEXQXCSILX10を含み、式中、XはIまたはLであり;XはVまたはLであり;XはY、C、GまたはSであり;XはIまたはFであり;XはFまたはLであり;XはGまたはEであり;XはEまたはVであり;XはAまたはTであり;XはAまたはVであり;およびX10は存在しないか、FまたはLである。本発明は、筋肉質量が変化した動物を同定する際の本発明の配列の使用、および筋肉質量が変化した動物を作製する選択的育種プログラムにおける使用も提供する。

Description

本発明は、ミオスタチンの新規なスプライス変種の同定に基づく。特に、本発明は、筋肉の成長およびミオスタチン活性を調節または制御するミオスタチンのスプライス変種の使用に基づく。
ミオスタチン(すなわちGDF−8)は、筋肉成長の負の制御因子であり、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)のスーパーファミリーに構造的に関係している(Mcpherronら、1997a)。より具体的には、ミオスタチンは、魚類から哺乳類に至る広範囲の種における発育中の、および成体の生活における骨格筋の強力な負の制御因子である(McpherronおよびLee、1997)。ミオスタチンは、それ自体の発現をある機構を介して制御していることが知られているが、その機構は現在のところ不完全にしか解明されていない(Berryら、2002;Spillerら2002;Rebbapragadaら、2003)。
ミオスタチンタンパク質は、最初、N末端に分泌シグナル配列、フューリンエンドプロテアーゼのタンパク質プロセシングシグナル(RSRR)およびC末端領域に「システインノット」構造の形成を容易にする9つの保存されたシステイン残基を有する375アミノ酸前駆体分子として翻訳される。ミオスタチンは、N末端、すなわち「潜伏関連ペプチド」(LAP)および2量化して活性ミオスタチン分子を形成する成熟C末端ドメインを遊離させるArg266でのフューリンエンドプロテアーゼ切断により活性化される。プロセシングの後、不活性な複合体中で、LAPペプチドのホモダイマーは、成熟ミオスタチンのホモダイマーに非共有結合で結合したままである(Leeら、2001)。他のタンパク質、例えば、フォリスタチン、タイチンキャップ、GDFP1、フォリスタチン関連遺伝子およびhSGTも、潜在ミオスタチン複合体に結合して、その分泌および活性化を制御することが知られている(Leeら2001;Nicolasら、2002;Hillら、2002;Hillら、2003;Wangら、2003)。
ミオスタチンは、アポトーシスを誘起したり、または筋肉タンパク質崩壊を起こさせる刺激になることなく、筋芽細胞の増殖および分化を阻害することが示されている(Thomasら、2000;Langleyら、2002;Riosら、2001;Taylorら、2001)。ミオスタチンに対するノックアウトマウスは、その全身にわたって非常に増加した筋肉質量を有する。ミオスタチンnullマウスは正常マウスよりも約30%大きい体重を有し、かつ筋線維過形成および肥大に基づく、個々の筋肉重量における2〜3倍の増加を示す。ミオスタチンにおける自然変異が、ベルジャンブルーおよびピエモンテ牛種などの「ダブルマッスルド(double muscled)」表現型の原因であると確認されている(McPherronら、1997b;Kambadurら、1997;Grobetら、1997)。
ミオスタチンは多くの他の生物学的過程にも関連している。例えば、ノックアウトトランスジェニックマウスは、骨形成に役割を示す皮質性骨構造が変化している(Hamrick 2003)。さらに、ミオスタチンはグルコースおよび脂肪の代謝に関与していることが示されており、それ故、ミオスタチンは、2型糖尿病および肥満に密接に結びついている可能性がある(McPherronおよびLee、2002)。
これらの効果に従って、ミオスタチンは、HIV、癌、長期にわたる病臥、または筋ジストロフィーに冒された個体に見られるような筋肉消耗または筋萎縮と関連する多数の障害と結びつけられてきた(Gonzalez−Cadavidら、1998;Langleyら、2004;Zachwiejaら、1999;Bogdanovichら、2002)。ミオスタチンのin vivo投与は悪液質、すなわち癌および敗血症に関連する重症型の筋肉消耗を誘起することが示された(Zimmersら、2002)。さらに、グルココルチコイド誘起筋萎縮におけるミオスタチンの上方制御が観察されている(Maら、2003)。ミオスタチン発現における変化は、他の条件、例えば、心損傷後の心筋細胞における上方制御、および再生筋肉における下方制御で示されている(Sharmaら、1999)。
入手し得る情報にもかかわらず、ミオスタチン遺伝子の産生物による生物学的過程の分子制御における複雑性は不完全な理解に留まっている。筋肉の成長と分化、組織再生の制御におけるミオスタチンの役割を考慮すれば、ミオスタチンが役割を演じるこれらの、および他の過程に介入する改良された組成物および方法に対する必要性が明らかにある。本発明は、新規な生物活性ミオスタチンスプライス変種を提供することにより、これらの必要性を一部満たし、他の関連する利点も提供する。
一態様において、本発明は、式:
I F L E X Q X C S I L X10
(式中、XはIまたはLであり、XはVまたはLであり、XはY、C、GまたはSであり、XはIまたはFであり、XはFまたはLであり、XはGまたはEであり、XはEまたはVであり、XはAまたはTであり、XはAまたはVであり、およびX10は存在しないか、FまたはLである)
を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。
単離されたポリペプチドは、
(a)配列番号48〜95のいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)(a)のポリペプチドのフラグメントまたは変種を含むポリペプチド、および
(c)(a)のポリペプチドと95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリペプチド
から選択することもできる。
本発明による単離されたポリペプチドは、配列番号48〜95のいずれか1つのアミノ酸配列または少なくとも80%の配列同一性を有するその変種も含み、該ペプチドは筋芽細胞の成長を促進することができる。
本発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列またはそれに相補的な配列を含む単離されたポリヌクレオチドも提供する。
本発明による単離されたポリヌクレオチドは、
(a)配列番号1から47、または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(b)(a)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド、
(c)(a)のポリヌクレオチドと95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(d)(a)から(c)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、および
(e)(a)から(c)のいずれか1つの逆相補鎖
から選択することができる。
単離されたポリヌクレオチドは、筋芽細胞の成長を促進することができるペプチドをコードする配列番号1から47もしくは96のいずれか1つのヌクレオチド配列または80%の配列同一性を有するその変種を含む。
本発明は、本発明によるポリヌクレオチド配列を含むベクターも提供する。該ベクターは発現ベクターであり、作動可能に結合した、
(a)プロモーター配列、
(b)本発明によるポリヌクレオチド、および
(c)遺伝子終止配列
を含むことができる。
ポリヌクレオチドは、センス方向またはアンチセンス方向のいずれであってもよい。
そのようなベクターを含む宿主細胞も、本発明によるベクターを含有する1つまたは複数の細胞を含む宿主動物と共に含まれる。
本発明は、
(a)請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド、
(b)請求項4から6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、
(c)請求項7から11のいずれか一項に記載のベクター、
(d)(a)の変種のフラグメント、
(e)(b)のいずれか1つの相補鎖、
(f)(b)の逆相補鎖、および
(g)(b)、(e)または(f)のいずれか1つのアンチセンスポリヌクレオチド
のいずれか1つの化合物を含む、筋肉の成長を制御する組成物も提供する。
その組成物は、RNAiまたはsiRNAなどの干渉RNA分子を含むアンチセンスポリヌクレオチドを含むことができる。
本発明は、
(a)本発明によるポリペプチド、
(b)本発明によるポリペプチドまたはその相補的配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(c)(i)配列番号1から47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(ii)(i)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド、
(iii)(i)のポリヌクレオチドに95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、および
(iv)(i)から(iii)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
からなる群から選択されたポリヌクレオチド、
(d)(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター、
(e)発現ベクターである、(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター、
(f)作動可能に結合した、プロモーター、(b)または(c)のポリヌクレオチドおよび遺伝子終止配列を含むベクター、および
(g)(b)または(c)によるポリペプチド産生物の発現を阻害または実質的に損なうことができるアンチセンスポリヌクレオチド
からなる群から選択された組成物を投与することを含む、筋肉の成長を制御する方法も提供する。
本発明は、
(a)本発明によるポリペプチド、
(b)本発明によるポリペプチドまたはその相補的配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(c)(i)配列番号1から47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(ii)(i)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド、
(iii)(i)のポリヌクレオチドに95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、および
(iv)(i)から(iii)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
からなる群から選択されたポリヌクレオチド、
(d)(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター、
(e)発現ベクターである、(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター、
(f)作動可能に結合した、プロモーター、(b)または(c)のポリヌクレオチドおよび遺伝子終止配列を含むベクター、および
(g)(b)または(c)によるポリペプチド産生物の発現を阻害または実質的に損なうことができるアンチセンスポリヌクレオチド
からなる群から選択された組成物を投与することを含む、筋肉組織に関連する疾患を治療する方法も提供する。
その方法は、筋萎縮症に関連していて、筋ジストロフィー、筋悪液質、筋萎縮症、筋肥大、疾患関連筋萎縮症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)からなる群から選択することができる状態を含む筋組織関連疾患を治療するものであってよい。その方法は、癌またはHIV/AIDSに関連する疾患関連筋肉消耗の治療も含む。
疾患は、梗塞を含むものなど心筋に関連する疾患を含む。
本発明は、
(a)請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、またはそれに相補的な配列、
(b)(i)配列番号1から47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(ii)(i)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド、
(iii)(i)のポリヌクレオチドに95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、および
(iv)(i)から(iii)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
からなる群からなる群から選択されたポリヌクレオチド、
(c)(a)または(b)によるポリペプチド産生物の発現を阻害または実質的に損なうことができるアンチセンスポリヌクレオチド、および
(d)干渉RNA分子
からなる群から選択されたポリヌクレオチドに特異的に結合することができる組成物を含む、MSV遺伝子発現の調節因子も提供する。
MSV遺伝子の調節因子は、RNAiまたはsiRNA分子などのアンチセンスポリヌクレオチドを含むことができる。
本発明は、患者における筋組織関連疾患を治療するための、本発明による調節因子を前記患者に投与することを含む方法も提供する。疾患は、筋萎縮症であってよく、筋ジストロフィー、筋悪液質、筋萎縮症、筋肥大、疾患関連筋萎縮症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)からなる群から選択することができる。疾患は、癌またはHIV/AIDSに関連する筋肉消耗を含む疾患関連筋萎縮症であってもよい。
疾患は、心筋に関連していてもよく、梗塞を含む。
本発明は、MSVプロペプチドを活性MSVペプチドにするタンパク質分解処理をプロペプチド変換酵素が変化させるのに十分な条件下に十分な時間、MSVプロペプチドとプロペプチド変換酵素とを接触させること、およびそれによりMSV活性を調節することを含むMSV活性を調節する方法も提供する。
接触工程は、MSVプロペプチドを、フューリンエンドプロテアーゼなどの変換酵素のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させることをさらに含む。
本発明は、MSVプロペプチドを活性MSVペプチドにするタンパク質分解処理をプロペプチド変換酵素が変化させるのに十分な条件下に十分な時間、筋組織に関連する疾患を有し、MSVプロペプチドを含む対象者にプロペプチド変換酵素を投与すること、およびそれにより疾患を治療することを含む筋組織に関連する疾患を治療する方法も提供する。
投与工程は、MSVプロペプチドを、フューリンエンドプロテアーゼなどの変換酵素のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させることをさらに含むことができる。
本発明の方法は、筋萎縮症に関連する疾患の治療を目的にすることができ、筋ジストロフィー、筋悪液質、萎縮症、肥大、疾患関連筋萎縮症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)のいずれから選択することもできる。方法は、癌またはHIV/AIDSと関連する筋肉消耗を含む疾患関連筋萎縮症の治療を目的にすることもできる。
前記の方法は、梗塞を含む心筋に関連する疾患の治療を目的にすることもできる。
本発明は、本発明による組成物;本発明によるMSV遺伝子発現調節因子;プロペプチド変換酵素またはフューリンエンドプロテアーゼなどのプロペプチド変換酵素のアゴニストもしくはアンタゴニストのいずれか1つを、前記動物に投与することを含む動物の筋肉成長を制御する方法も提供する。
前記の方法は、増加した筋肉質量を有する動物を作製するために使用することもできる。
本発明は、
i)動物から試料を得る工程、
ii)配列番号1から47または96のいずれか1つの配列を有するポリヌクレオチド、配列番号1から47もしくは96に95%、90%、80%もしくは70%の相同性を有するポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメントもしくは変種からの遺伝子発現レベルを定量する工程、
iii)遺伝子発現レベルを平均と比較する工程、および
iv)前記動物の筋肉質量を予測する工程
を含む、動物における筋肉質量を予測する方法も提供する。
遺伝子発現レベルは、RT−PCRまたはノーザンブロット分析を含む、ポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下での核酸ハイブリッド形成を含む方法により定量することができる。
本発明は、
i)動物から試料を得る工程、
ii)配列番号48から95のいずれか1つの配列を有するポリペプチド、配列番号48から95のいずれか1つに95%、90%、80%もしくは70%の相同性を有するポリペプチド、またはそれらのフラグメントもしくは変種の量を定量する工程、
iii)ポリペプチドの量を平均と比較する工程、および
iv)前記動物の筋肉質量を予測する工程
を含む、動物における筋肉質量を予測する方法も提供する。
ポリペプチドの量は、ELISAまたはウェスタンブロット分析を含む、前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体によるポリペプチドの検出を含む方法により定量することができる。
本発明は、
i)上記の方法により筋肉質量が増加していると予測される1頭または複数の動物を選択する工程、および
ii)増加した筋肉質量を有するように選択した1頭または複数の動物を繁殖させて、増加した筋肉質量を有する1頭または複数の子孫を作製する工程
を含む、動物の1頭または複数の子孫の筋肉質量を増加させる方法も提供する。
前記の方法は、ヒツジ、ウシ、シカ、家禽、シチメンチョウ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、またはヒトから選択された動物に実施することができる。
本発明は、
(a)配列番号48から95のいずれか1つの配列、または
(b)配列番号48から95のいずれか1つに95%、90%、80%もしくは70%の配列同一性を有する配列
を有するポリペプチドに優先的に結合する、タンパク質も提供する。
前記のタンパク質は、抗体;非哺乳類の抗体;細菌免疫タンパク質;または当該分野において知られている任意の他のクラスの結合性タンパク質、配列番号48から95のいずれか1つの配列を有するポリペプチド、もしくは配列番号48から95のいずれか1つに95%、90%、80%もしくは70%の配列同一性を有するポリペプチドに結合することができるような任意のタンパク質から誘導されるフラグメントもしくは誘導体のいずれか1つから選択することができる。非哺乳類の抗体はサメのIgNARクラスであってよい。細菌免疫タンパク質はイー・コリのIMM7免疫タンパク質であってよい。
ここで次の図を参照して、本発明をさらに説明することにする。
本発明は、ある実施形態において、ミオスタチン遺伝子発現の過程における選択的スプライシングの予想外の生成物である機能的で生物活性なミオスタチン変種mRNA分子の驚異的発見に関する。以下にさらに詳細に説明するように、ミオスタチンをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)中のおよびそれに隣接するヌクレオチド配列に特異的なフランキングPCRプライマーを、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)で使用した。この戦略を、そのようにして得られた反応生成物のそれに続くクローニングおよび配列決定に合わせて使用して、321アミノ酸のポリペプチド(配列番号48)をコードする966ヌクレオチドのORF(配列番号1)を有する新規な予想外のヒツジミオスタチンスプライス変種(oMSV)を同定した。この新規な966ntミオスタチンスプライス変種ORFは、以前に同定されたヒツジミオスタチンORF(1128ヌクレオチド)と容易に識別できる。DNA配列情報およびoMSVを初めて同定するための本明細書に記載するクローニング戦略に基づいて、予期しない新規なウシのミオスタチンスプライス変種オルソログも、ヘレフォード/フリージアン交配動物の骨格筋から同定された(bMSVh/f、配列番号5および52)。以下にも説明するように、その後、多数のその他の哺乳動物種からの他のミオスタチンスプライス変種オルソログが、本明細書に開示したようにして、ミオスタチン遺伝子配列中の選択的スプライス部位の決定により同定された。
「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボ核酸またはリボ核酸のポリマーを意味するものと理解すべきで、DNA、RNA、cDNA、ゲノムDNA、組換えDNA、天然または人工的ヌクレオシドまたはヌクレオチドから調製した核酸分子、およびポリヌクレオチドのすべての他の既知の形態を含む、一本鎖および二本鎖両方のポリマーを含むと理解すべきである。ポリヌクレオチドは、天然に生ずる資源から単離し、組換えもしくは分子生物学的技法を使用して生成させ、または合成的に生成させることができる。ポリヌクレオチドは、全遺伝子またはその任意の一部を含んでいてよく、オープンリーディングフレームを含まなくてもよい。
本発明において、配列S’−CGTATT−3’に対して、相補鎖および逆相補鎖も含まれ、それらは次のようであろう:
相補鎖:3’GCATAA−5’
逆相補鎖:3’AATACG−5’
本発明によるすべてのポリヌクレオチドの使用には、任意のおよびすべてのオープンリーディングフレームが含まれる。オープンリーディングフレームは、当該分野において知られている技法を使用して構築することができる。これらの技法には、知られている開始および終止コドンを同定するポリヌクレオチド配列の分析が含まれる。この機能を実施することができる多くのコンピュータソフトウェアプログラムが、当該分野において知られている。
「ポリペプチド」は、ペプチド結合により共有結合で連結した天然産および/または人工のアミノ酸のポリマーを意味すると理解すべきである。ポリペプチドには、天然産の資源から単離されたポリペプチド、組換え技法を使用して作製されたポリペプチド、または合成的に作製されたポリペプチドが含まれる。リーダー配列すなわちプロ配列を含むポリペプチド、または翻訳後修飾を受けるポリペプチドは、ポリペプチドの定義の内に入ることを意味していることを認識すべきである。
「フラグメントまたは変種」という用語は、1つもしくは複数のヌクレオチドまたは1つもしくは複数のアミノ酸の置換、挿入または欠失により修飾されているが、未修飾の配列または部分配列と実質的に同じ活性または機能を有する任意のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列もしくは部分配列を意味すると理解すべきである。ポリペプチドまたはポリヌクレオチド変種は、報告のあるポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、少なくとも70%の類似性(好ましくは70%の配列同一性)、80%の類似性(好ましくは80%の配列同一性)、85%の類似性(好ましくは85%の配列同一性)、およびより好ましくは90%の類似性(より好ましくは90%の配列同一性)を、報告のあるポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、より好ましくは、95%の類似性(より好ましくは95%の配列同一性)、およびさらにより好ましくは、98%の類似性(さらにより好ましくは98%の配列同一性)を有する。当該分野において知られているように、2つの上記生体ポリマー、例えば、2つのポリペプチドの間の「類似性」は、ポリペプチドのアミノ酸配列およびそれへの保存されたアミノ酸置換物を第2のポリペプチドのアミノ酸配列と比較することにより決定される。本発明のポリペプチドをコードする核酸分子のフラグメントまたは部分を、全長ポリヌクレオチドを合成するために使用することができる。本明細書で使用する「相同性%」は、2つ以上のポリペプチドを配列比較し、それらの配列を、National Institutes of Health/NCBIデータベース(メリーランド州Bethesda;インターネット:>www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi−bin/BLAST/nph−newblastを参照されたい)により提供されるデフォルトの重みづけにより、配列ギャップおよび配列ギャップミスマッチに重みづけをするギャップつきBLASTアルゴリズム(例えば、Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389(1997))を使用して分析したときに、配列中で対応するアミノ酸残基位置に位置する同一アミノ酸のパーセンテージを意味する。
変種は保存的置換を含むことが好ましい。「保存的置換」とは、アミノ酸が、類似の性質を有する他のアミノ酸で置換され、ペプチド化学の当業者が、ポリペプチドの2次構造および疎水性親水性指標の性質は実質的に不変であると予想するような置換のことである。一般的に、アミノ酸置換は、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性における類似性に基づいてなされる。例えば、陰性に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ、陽性に荷電したアミノ酸にはリジンおよびアルギニンが挙げられ、類似の親水性値を有する非荷電の極性ヘッド基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、およびバリン;グリシン、およびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが挙げられる。保存的変化を示すことができるアミノ酸の他の群には、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。
アミノ酸は、その側基の性質によって分類することができる。非極性のアルキル側基を有するアミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンが挙げられる。セリンおよびトレオニンは側基にヒドロキシル基を有し、ヒドロキシル基は極性であり、水素結合できるので、これらのアミノ酸は親水性である。硫黄基はメチオニンおよびシステインに見出される。カルボン酸基はアスパラギン酸およびグルタミン酸の側基の部分であり、カルボン酸基の酸性のゆえに、そのアミノ酸は極性であるばかりでなく、溶液中で陰性に荷電することができる。グルタミンおよびアスパラギンは、側基がアミド基を含むことを除いてグルタミン酸およびアスパラギン酸に類似している。リジン、アルギニン、およびヒスチジンは側基に1つまたは複数のアミノ基を有し、それがプロトンを受け取ることができるので、これらのアミノ酸は塩基として作用する。芳香族基は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンの側基に見出すことができる。チロシンは、そのヒドロキシル基のために極性であるが、トリプトファンおよびフェニルアラニンは非極性である。変種は、もう1つの選択肢として、非保存的変化を含むこともできる。
少なくとも1つの置換、付加、挿入、または欠失のあるMSV変種は、本明細書に記載し、また当該分野において知られている変異誘起法によって作製することができる。MSV変種または誘導体をコードするポリヌクレオチド配列におけるそのような修飾は、オリゴヌクレオチドを標的とした部位特異的変異誘起などの標準的変異誘起技法を使用して導入することができる。天然のアミノ酸配列の変更は、多数の従来の方法のいずれかによって達成することができる。変異は、天然配列のフラグメントへの連結を可能にする制限部位が隣接している変異配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することにより、特定の遺伝子座に導入することができる。連結後に生成した再構成された配列は、所望のアミノ酸挿入、置換、または欠失を有する類似体をコードしている。あるいは、本明細書に詳細に記載し、また当該分野において知られているように、所定のコドンを置換、欠失、または挿入により変更することができる、オリゴヌクレオチドを標的とした部位特異的変異誘起手順は、変更したコードするポリオリゴヌクレオチドを提供するために使用することができる。本発明において使用するためのMSVポリペプチドは、本明細書に記載したように、全長MSVポリペプチドの一部もしくはフラグメントまたは切り詰めたMSVポリペプチドであってよい。本明細書においてさらに詳細に説明したように、切り詰めたMSVポリペプチドは、MSVポリペプチドの全長版に満たないいかなるMSVポリペプチドの分子であってもよい。本明細書において使用する「欠失」は、当業者に理解されている通常の意味を有し、例えば、本明細書において提供する切り詰めた分子の場合のように、対応する全長分子に比較して、末端からまたは非末端領域から、配列の1つまたは複数の部分を欠く分子を指すことができる。MSVポリペプチドの一部分またはフラグメントまたは切り詰めた形態は、約320、300、275、250、225、 200、175、170、160、155、150、149、148、147、146、145、144、143、142、141、140、139、138、137、135、130、125、120、115、100、95、90、85、80、75、70、65、60、65、50、45、40、35、35、25、20、15アミノ酸未満の任意の数のアミノ酸を有することができる。
ペプチド配列の3次元構造を非常に正確に予測できるソフトウェアが使用可能であることも認識すべきである(Bradely、2005)。それ故、当業者は、そのようなソフトウェアを使用して、ペプチド配列の変異のペプチド配列の構造に対する効果、したがって、ペプチド活性に対する何らかの有りそうな効果を予測することが可能であろう。そのような変異も本発明の範囲内に組み込む。
ポリヌクレオチドのフラグメントは、ストリンジェントな条件で配列番号1〜7のいずれか1つの配列に特異的にハイブリダイズする、十分な長さのポリヌクレオチドフラグメントも含む。「ストリンジェントな条件」の例には、65℃、5×SSC、0.2%SDSでのプレハイブリダイゼーション;65℃、5×SSC、0.2%SDS、一晩でのハイブリッド形成の実施;各々65℃、1×SSC、0.1%SDS、30分間の2回の洗浄;それに続く各々65℃、0.2×SSC、0.1%SDSでやはり30分間の2回のさらなる洗浄が挙げられる。
ポリペプチドフラグメントには、筋肉成長を促進する活性を保持するフラグメントも含まれる。このフラグメントは、変更された活性、すなわち、適当な対照ポリペプチド(例えば、全長ポリペプチド)に対して統計的に有意なように増大または減少した活性、例えば、フラグメントが細胞に導入され、または発現したときに、筋肉成長を促進する能力が上昇する結果になるような(例えば、統計的有意性をもって)増強された活性を有することができる。あるいは、フラグメントは、機能における統計的に有意な減少、例えば、優勢な負の効果として顕在化する変更された活性を有することができる。本発明によるペプチドが筋肉成長を促進することができるかどうかの決定は、本明細書に記載したペプチドの存在または不存在下に筋芽細胞を成長させることにより試験することができる。筋芽細胞の成長の増大は、ペプチドが筋肉成長促進活性をもつことを示す。適当な細胞ラインは、マウスC12筋芽細胞(ATCC番号:CRL−1772)であってよいが、しかし、本明細書に記載した始原のヒツジまたはヒト筋芽細胞などの任意の適当な筋芽細胞の細胞ラインを使用することができるということは理解されるであろう。
本明細書において使用する「単離された」という用語は、MSVポリペプチドまたはそれをコードするポリヌクレオチドなどの分子を、その天然の供給源、環境または生物的環境から取り出すこと(例えば、無傷の細胞という供給源からタンパク質を取り出すこと)を指す。また、本明細書において使用する「精製した」という用語は、MSVポリペプチドまたはそれをコードするポリヌクレオチドが、例えば、組換え宿主細胞培養の精製産物として、または非組換え供給源からの精製産物として、他のポリヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチドを本質的に伴わないということを意味する。「単離された」ポリペプチドは、それ故、その本来の環境から取り出されたものである。そのようなポリペプチドは、少なくとも約70%、75%、80%、85%または90%純粋、少なくとも約95%純粋、または少なくとも約99%純粋であることが、例えば、上記の純度が調製物中に存在する検出可能なMSVポリペプチドまたはそれをコードするポリヌクレオチドを他の検出可能なポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドと比較したときのパーセンテージを指す場合に、好ましい。本明細書において使用する「実質的に精製された」または「実質的に単離された」という用語は、特異的抗体またはリガンドを用いるアフィニティクロマトグラフィーなど通常の方法を使用して除去できる既知のタンパク質の存在は例外として、他のポリヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチドを本質的に伴わないMSVポリペプチドまたはそれをコードするポリヌクレオチドなどの分子を含む混合物を意味し、かつ、その実質的に精製されたまたは実質的に単離されたMSVポリペプチドまたはそれをコードするポリヌクレオチドが、本明細書に記載したその生化学的特徴を保持しているか、またはその検出可能な機能的生物活性の少なくとも1つを保持していることを意味する。
「遺伝子発現」は、転写開始、DNAの一区域のmRNAへの転写、およびmRNAのポリペプチドへの翻訳を意味すると理解すべきである。「遺伝子発現の調節因子」は、遺伝子発現における増加または減少を、統計的に有意なように惹起することができ、かつ、遺伝子発現経路のどこかのポイントで作用することができる任意の化合物として定義される。
「筋肉成長」は、筋細胞の分裂および/または分化を意味すると理解すべきであり、任意の前駆細胞の分裂および/または分化、そのような細胞相互の融合、および/または存在する筋線維との融合を含み、この用語はまた、より高いタンパク質含有量およびより大きい筋線維量(筋線維肥大)に至る筋線維に増加したタンパク質合成も含む。
「タンパク質活性調節因子」は、タンパク質活性または機能(例えば、ミオスタチン生物活性)を、統計的に有意なように増大または減少させることができる作用剤、化合物または組成物を意味すると理解すべきである。
本明細書で開示したミオスタチンスプライス変種(MSV)は、選択的スプライシング事象の結果であると考えられる。図1に示したように、標準的ミオスタチン前駆体mRNAはミオスタチン遺伝子の3つのエクソンすべてのポリヌクレオチド配列を含むように転写され得る。3つのエクソンは、スプライスドナーおよびアクセプター部位、SD1およびSA1、ならびにSD2およびSA2によってそれぞれ結合されている。2つのイントロン、1つはSD1とSA1との間、もう1つはSD2とSA2との間であるが、それらの除去は標準的ミオスタチンmRNAを生ずる。翻訳開始部位は、エクソン1に位置し、終止コドンはエクソン3に入って途中約3分の1に位置していて、そのことは通常エクソン3の中に大きな3’非翻訳領域があることを意味している。
本明細書で初めて開示したように、ミオスタチン遺伝子発現の途中で、SD3とSA3との間またはSD2とSA3との間(図1)で余分なスプライシング事象が起こる過程によって、選択的スプライシング事象も起こって、標準的エクソン3の正常に翻訳される部分の大部分が切り取られて、エクソン3の正常では翻訳されない3’部分で置き換えられることが惹起されることがある。この予想外の事象は、MSVタンパク質が翻訳され得る新規なオープンリーディングフレームを創出する。
その結果生成するMSVポリペプチド、ヒツジMSV(oMSV;配列番号48)およびウシMSV(bMSV;配列番号52)は、天然ミオスタチンポリペプチドと最初の257アミノ酸を共有するが、独自の64アミノ酸C末端を有する(ヒツジoMSV65、配列番号49、およびウシbMSV、配列番号52)。mRNAレベルで、MSVのORF独自の3’末端が195ヌクレオチド相違していることに注目することが大切である。MSVタンパク質中の257位におけるバリン残基は標準的ミオスタチン配列中において完全に一致して同一であり、その理由は、スプライシング部位が、MSVの翻訳された配列の一部であるバリン残基に対するヌクレオチドトリプレットのコーディングに丁度そこで先行していることである。それ故、スプライスは、実際には65アミノ酸フラグメントを生ずる結果となり、その64アミノ酸だけが標準的ミオスタチン配列と異なる。
同定された選択的スプライス部位に基づいて、次の配列も確立されている:ウシ(bt)(ウシ(Bos taurus);b1(bt)MSV65、配列番号6および53;b2(bt)MSV65、配列番号9および56、b3(bt)MSV65、配列番号a2および59およびb4(bt)MSV65、配列番号15および62)、ウシ(bi)(コブウシ(Bos indicus)b(bi)MSV65、配列番号18および65)、ウシ(bg)(ヤク(Bos grunniens)、b(bg)MSV65配列番号21および68)、ブタ(ブタ(Sus scrofa)、pMSV68、配列番号24および71)、ヒト(ホモサピエンス、h1MSV38、配列番号27および74ならびにh2MSV38、配列番号77)、チンパンジー(ナミチンパンジー(Pan troglodytes)、chMSV38、配列番号33および80)、イヌ(イエイヌ(Canis familiaris)、d1MSV36、配列番号36および83、ならびにd2MSV36、配列番号39および86、ならびにd3MSV36、配列番号42および89)、およびネコ(イエネコ(Felis catus)、caMSV38、配列番号45および92)。
同定されている配列の比較を図15に示す。ブタの配列(pMSV68、配列番号71)は余分な3アミノ酸残基を有して、合計68になることは注目すべきである。さらにヒト、チンパンジー、およびネコはすべて切り詰められており38アミノ酸残基のみを備えている。イヌの配列はさらに短く、36だけのアミノ酸長である。
種々の配列の分析により、多数の多形も同定されている。2つのヒト異形が同定されており、1位にグリシン残基を有するh1MSV38(配列番号74)、および1位にバリン残基を有するh2MSV38(配列番号77)がある。イヌでは、3つの多形が同定されている;26位にイソロイシン残基を、28位にフェニルアラニンを有するd1MSV36(配列番号83)、26位にイソロイシンの代わりにフェニルアラニン残基を有するd2MSV36(配列番号86)、および28位にフェニルアラニンの代わりにロイシンを有するd3MSV36(配列番号89)である。
ウシでも、4つの別々の多形が同定されている。(家畜種ウシ)b1(bt)MSV65(配列番号53)は、21位にフェニルアラニンを、34位にグルタミン酸を、および48位にグルタミンを有し;b2(bt)MSV65(配列番号56)は、21位にロイシンを、34位にバリンを、および48位にグルタミンを有し;b3(bt)MSV65(配列番号59)は、21位にロイシンを、34位にグルタミン酸を、および48位にグルタミンを有し;およびb4(bt)MSV65(配列番号62)は、21位にフェニルアラニンを、34位にグルタミン酸を、および48位にセリンを有する。
それ故、本発明は、下に並べたようなウシ、ヒツジ、ブタ、ヒト、チンパンジー、イヌおよびネコのMSVポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列(多形を含む)を含む。
Figure 2008514227
Figure 2008514227
本発明のポリヌクレオチドはベクターに導入することができる。ベクターは、本発明による配列を、宿主細胞への導入および/またはその中での維持を助けるプラスミドおよび/またはウィルスに導入することを含むことを意図している。適当なベクターは当該分野において知られており、発現ベクターを含む。発現ベクターには、特定の宿主細胞中で目的のタンパク質を特異的に発現させるためのベクターが含まれる。通常、そのようなベクターには、作動可能に結合したプロモーター配列、目的のポリヌクレオチドおよび遺伝子終止を含み、プロモーターが目的のポリヌクレオチドの遺伝子発現を生じさせ、一方遺伝子終止が転写を終止させることを意味する。遺伝子発現に有効に作用する適当なプロモーターは、当該分野におい周知であり、ミオスタチンプロモーターを含んでよいが、これに限定はされない。宿主細胞は原核細胞または真核細胞のいずれも含むことができる。真核細胞はin vivoにあってもよく、始原のまたは組換えの細胞ラインであってよい。
本発明の新規なポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドに基づく組成物も考慮される。1つまたは2つ以上の組成物を、ミオスタチンを制御するために、または筋肉成長を制御するために使用することができる。筋肉成長の制御は、筋肉の成長および/または発達の速度における何らかの変化を含み、かつ任意の筋前駆細胞の成長および/または分化を含むことを意図している。これは、前駆筋細胞が分裂する速度におけるいかなる変化、および前駆筋細胞が分化する速度におけるいかなる変化をも含む。変化は増大または減少のいずれでもよい。
組成物は、配列番号1から47もしくは96のいずれか1つを含む本発明によるポリヌクレオチド配列、上記ポリヌクレオチドのいずれか1つに95%、90%、80%もしくは75%の相同性を有するポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメントもしくは変種を含んでいてよい。配列は、ミオスタチンプロモーターまたは任意の他の適当なプロモーターのいずれかのプロモーターの制御下にある適当なベクター中への導入によって細胞中に導入することができる。プロモーターは本発明によるMSVタンパク質の発現を起こさせ、それにより細胞中における遺伝子発現およびMSV活性の両方を増大させることに使用することができる。
組成物は、本発明によるポリヌクレオチドの相補鎖、逆相補鎖、またはアンチセンスポリヌクレオチドも含むことができる。
組成物は、配列番号48から95のいずれか1つを含む本発明によるポリペプチド配列、上記ポリペプチドのいずれか1つに95%、90%、80%もしくは75%の相同性を有するポリペプチドも含んでいてよい。ペプチドは、対象者に投与するために適当な組成物中に直接導入してよい。適当な組成物は、経口または局所投与、吸入、注射による投与または他の適当な形態のための組成物を含むことができる。
配列の相同性は、配列をアラインして一致する残基数を定量することにより定量することができる。配列同一性を定量するための多くのコンピュータアルゴリズム、例えば、ポリヌクレオチド配列間の相同性を定量するためのBLASTN、およびポリペプチド配列間の相同性を定量するためのBLASTPが、当該分野において知られている。
組成物はMSV活性の調節因子も含んでいてよい。これは、MSV遺伝子発現の調節因子またはMSVタンパク質活性の調節因子を含んでいてよい。
MSV発現の調節因子は、本発明によるポリヌクレオチドに特異的に結合して、MSV遺伝子発現の速度に影響を与えることができる化合物であってよい。遺伝子発現における変化は、細胞または対象者におけるMSVタンパク質の増加または減少のいずれかによって決定することができる。MSV発現の調節因子はMSVプロモーターに特異的に結合することができて、それにより遺伝子転写が開始される速度に影響を与えることができる。あるいは、MSV遺伝子発現の調節因子はMSV遺伝子またはMSV mRNAに結合して、遺伝子が発現する速度に直接影響することもできる。MSV遺伝子発現の調節因子はMSV遺伝子に結合して、例えば、相同性の組換えによって配列中に変化を導入することもできて、配列中の変化は遺伝子が発現する速度に影響することができるか、またはMSVタンパク質の活性を変化させることができる。配列における変更は、生成するポリペプチド中におけるアミノ酸変更、挿入または欠失を生じてもよく生じなくてもよいヌクレオチド変更、挿入または欠失を含む。変更の例には、切り詰められたポリペプチドが生成するような終止コドンの挿入、または1つまたは2つ以上のアミノ酸残基が変更されるような1つまたは2つ以上のコドンの変更を挙げることができる。あるいは、変異は野生型MSV遺伝子の区域欠失またはMSV遺伝子中への区域導入であってもよい。そのような変更をなすための技法は当該分野において周知である。さらに、そのような変更をMSV遺伝子に導入して、それからMSV活性における変化を、例えば、実施例に記載した筋芽細胞増殖を使用して試験することは、当業者の領域内である。
あるいは、MSV発現の調節因子はRNAプロセシング工程を変更することにより作用することができる。それにより、RNAプロセシングの調節因子はミオスタチンのMSVに対する比を変更するであろう。RNA転写の調節因子は、RNAプロセシングの調節因子と一緒に使用して、天然RNA分子が転写される速度およびその結果生ずるMSV量の両者を制御することができる。例えば、RNAiまたはsiRNA技法を使用して、標準的ミオスタチンとMSVとの比を変更することができる。それを行うときに、例えば、ミオスタチンの筋肉成長に対する阻害効果を減少させることができ、同時にMSVの筋肉成長増強効果を増大させることができる。干渉RNA分子の効果は、MSVペプチドの量における減少により立証することができる。
MSV遺伝子発現は、転写および/または翻訳に干渉するポリヌクレオチドを導入することにより改変することもできる。例えば、アンチセンスポリヌクレオチドを導入することができ、それにはアンチセンス発現ベクター、アンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチド、アンチセンスホスホロチオエートオリゴデオキシリボヌクレオチド、アンチセンスオリゴリボヌクレオチド、アンチセンスホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、またはアンチセンスポリヌクレオチドの有効性を増強する化学修飾の使用を含む当該分野において知られているいかなる他の手段が含まれてもよい。
いかなるアンチセンスポリヌクレオチドも目的のポリヌクレオチドに100%相補的である必要はなくて、遺伝子またはmRNAに結合して、他の遺伝子の発現を実質的に妨げることなく、遺伝子発現を妨げるのに十分な相同性を有することを必要とするだけであることは理解されるであろう。5’非翻訳領域を含む、遺伝子に相補的であるポリヌクレオチドは、MSVタンパク質の翻訳を妨げるために使用することができることも理解されるであろう。同様に、これらの相補的ポリヌクレオチドは、100%相補的である必要はなくて、他の遺伝子の翻訳を実質的に妨げることなく、mRNAに結合して、翻訳を妨げるのに十分であることが必要なのである。
遺伝子発現の調節は、当該分野において知られているように干渉RNA分子の使用を含むこともでき、またRNA干渉(RNAi)および低分子干渉RNA(siRNA)を含む。
干渉RNAの使用は当該分野において今や周知であって、本発明で開示された配列を考慮すれば、適当な干渉RNAを設計し、試験することができる。治療的RNA干渉の使用は、当該分野において知られていて(Uprichard、2005)、選択的スプライシングを変更するエクソン特異的干渉RNA(Celolto、2002)の使用である。
遺伝子発現の調節は、触媒的RNA分子すなわちリボザイムの使用によっても達成することができる。そのようなリボザイムは、特異的に標的とするRNA分子と対になるように設計することができることが当該分野において知られている。リボザイムは標的とするRNAに結合して分解する。
遺伝子発現の調節およびRNAプロセシングの、当該分野において知られているいかなる他の技法も、MSV遺伝子発現の調節に使用することができる。
組成物はMSV活性の調節因子も含んでよい。組成物中のMSV活性の調節因子は、MSVの筋肉成長を促進する能力を増大または減少させることができる。MSVの調節因子は、本発明によるポリペプチドの優勢阻害変種を含んでよい。優勢阻害効果は、変種が野生型タンパク質の生理学的活性を遮断するように作用する場合に生ずる。この効果は、優勢阻害タンパク質が受容体に結合はするがそれを活性化せず、一方では野生型タンパク質の結合も防止することにより生じ得る。あるいは、優勢阻害変種は、野生型タンパク質に直接結合して不活性化することにより作用し得る。このように、本発明のポリヌクレオチドは、適当な組成物を作製するために使用することができ、またはMSV遺伝子発現を制御して、それにより筋肉成長を制御する適当な組成物をデザインするために使用することができる。そのような技法は、細胞内、例えば、始原のまたはトランスフォームされた細胞内におけるMSV遺伝子発現を制御するために、または動物内における筋肉成長を制御するために使用することができる。
MSV活性の調節因子は、プロペプチドのタンパク質分解プロセシングの調節因子を含むこともできる。そのような調節因子は、プロペプチド変換酵素、例えば、フューリンエンドペプチダーゼ、またはプロペプチド変換酵素のアゴニストもしくはアンタゴニストを含むことができる。
本発明の1つまたは2つ以上の組成物の1つの可能性は、筋細胞の成長および/または分化を促進または阻害することである。筋細胞は始原のまたはトランスフォームされた細胞ラインのいずれかであってよく、あるいは細胞が宿主動物のin vivoの細胞であってもよい。適当な宿主動物には、ヒツジ、ウシ、シカ、家禽類、ブタ、魚類、ウマ、マウス、ラットまたはヒトを挙げることができる。
本発明の1つまたは2つ以上の組成物は、筋組織に関連する疾患の治療に使用することもできる。筋組織に関連する疾患には、正常な筋組織に比較して筋組織中の変化を含むいかなる疾患または医学的状態も含まれる。そのような変化は筋肉質量における増加もしくは減少を、または筋線維における増加もしくは減少を示すことがある。そのような疾患には、筋ジストロフィー、筋悪液質、筋萎縮症、筋肥大、および癌またはHIVなどの疾患に関連する筋肉消耗、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)が挙げられる。梗塞を含む心筋肉成長に関連する疾患もまた考慮される。そのような疾患を診断するための適当な方法は、当該分野において周知であり、被験者の身体的検査または筋肉もしくは他の身体試料のより詳細な分析の両方を含むことができる。上で列記したような疾患または類似の疾患は適当な臨床医ならば診断することができる。
組成物は、任意の適当な形態で投与することができ、その形態は、経口、局所、吸入、注射または当該分野において知られているいかなる他の適当な投与形態も含むことができる。組成物は、状態における改善に効果がある十分な時間および量で適用することができる。
同様に、トランスジェニック動物を作製するために1つまたは2つ以上の組成物を使用することができる。筋肉質量の増加を有するトランスジェニック動物を作製するために、組成物を使用することができる。適当な動物には、ヒツジ、ウシ、シカ、家禽類、ブタ、魚類、ウマ、マウス、ラットまたはヒトを挙げることができる。トランスジェニック動物を作製するために多くの技法が当該分野において知られていて、任意の適当な方法を使用することができる。
本発明の他の応用は、動物の筋肉質量を予測することであってもよい。それを行うためには、試料を動物から得る。代表的な量のMSVを含む何らかの身体試料が適当であり、試料には、血液試料、生検試料、または筋肉組織試料を挙げることができる。次に、MSV遺伝子発現、またはMSVタンパク質のレベルを求めるために、試料を分析する。遺伝子発現またはタンパク質量を測定するために多くの技法が当該分野において知られている。例えば、遺伝子発現は、定量的RT−PCRまたはノーザンブロット分析を使用して分析することができる。タンパク質含有量はELISA[酵素結合免疫吸着アッセイ]またはウェスタンブロット分析を使用して定量することができる。そのような適当な方法も、例えば、どのようなテキストにも、例えば、マニアティス(Molecular Cloning、第2版、Cold spring Habor Laboratory Press、1989年)にも出ているような方法も使用することができる。
次に、MSV遺伝子発現のレベル、またはMSVタンパク質の量を、平均と比較する。MSV遺伝子発現の平均レベルは、平均的筋肉質量の動物の試料から得た平均レベルである。同様に、MSVタンパク質の平均量は、平均的筋肉質量の動物の試料で測定されたタンパク質の量である。
平均と比較したMSV遺伝子発現またはMSVタンパク質の増加したレベルは、動物の筋肉質量が平均を超える筋肉質量を有すると予測されるであろうということを意味する。平均と比較したMSV遺伝子発現またはMSVタンパク質の減少したレベルは、筋肉質量が平均未満であると予測されるであろうということを意味する。
この方法は、増加または減少した筋肉質量を有する子孫を作出する品種改良プログラムに含めるべき動物を選抜するために使用することができる。
本発明は、本発明によるポリペプチドの任意の1つに優先的に結合することができるポリペプチドも提供する。多くのそのようなポリペプチドが当該分野において知られていて、抗体;非哺乳動物抗体、例えば、サメのIgNARクラスの抗体;細菌の免疫タンパク質、例えば、イー・コリの免疫タンパク質IMM7、または当該分野において知られている任意の他のクラスの結合性タンパク質が挙げられるが、これらに限定はされない。本明細書で開示した配列が与えられれば、当業者は、本発明のポリペプチドに選択的に結合するポリペプチドを得るために、そのようなポリペプチドを作製することができ、または既知の結合性ポリペプチドのライブラリーをスクリーニングすることができるであろう。ハイブリドーマ細胞の作製を含め、いかにして抗体を作製することができるかの例は、Eryl LiddellおよびCryerまたはJavoisに見出される。ポリペプチドが、選択的結合活性を与えるようなポリペプチドからのフラグメント、例えば、抗体の可変ドメインを含むことは理解されるであろう。
実験:
ヒツジMSVの新規なC末端配列の生物学的機能を探索するために、65アミノ酸ペプチド(配列番号49)をイー・コリ中で組換えタンパク質として発現させ(組換えヒツジミオスタチンスプライス変種65(roMSV65)と称する)、その機能を筋細胞培養系で試験した。
ノーザンブロット分析は、組織から単離した全体としてのMSV mRNA種またはpoly(A)+RNAを同定するために実施した。ヒツジMSVがヒツジ骨格筋でRT−PCRにより最初に同定されたので、RNA全体をノーザンブロット分析するために半腱様筋から単離し、続いて放射性標識DNAプローブのリボソームRNA関連非特異的結合を排除してmRNA含有率を高めるために、poly(A)+RNAを精製した。最初に、エクソン1/2に相補的なプローブを使用した。図2に示したように、このEx1/2プローブは、2.9kbで標準的ミオスタチンmRNAに、およびMSVを同定するより大きい4.5kbのmRNA種に対応する2本のバンドを検出した。標準的ミオスタチンおよびMSVのmRNAは同じエクソン1および2の配列を共有するので、この結果は期待される2つの陽性ハイブリッド形成シグナルと矛盾しない。MSV mRNAを標準的ミオスタチンと分離して同定するために、標準的ミオスタチンのポリアデニル化部位の3’UTR配列下流に相同性の2つのプローブを使用した。標準的ミオスタチンmRNAはポリアデニル化シグナルに非常に隣接して終止するので、これらのプローブは標準的ミオスタチンmRNA(2.9kb)にハイブリダイズしないはずである。期待したように、これらのハイブリッド形成シグナルは、両方のプローブで同じ4.5kbサイズで検出され、それがMSV mRNAに対応することを示唆した(MSV1および2、図2)。このノーザンブロット分析により、ヒツジ筋肉中のヒツジミオスタチン遺伝子から転写された2つのmRNA種の存在が確認された。小さい方の2.9kbのmRNA種は標準的ミオスタチンに対応しており、一方大きい方の4.5kbのmRNA種はMSVの同定になる。
図3に示したように、65アミノ酸ペプチド(roMSV65;配列番号49)は、C12筋芽細胞(図3a)および始原ヒツジ筋芽細胞(図3B)に加えたときに、用量に依存して筋芽細胞の成長を促進することができる。このことにより、MSVが筋細胞成長の促進剤またはミオスタチンに対するアンタゴニストとして作用していることが確認される。
MSVペプチドが筋肉発達を促進するか否かを調べるために、C12筋芽細胞を分化の途中でroMSV65により処理して、次に初期および晩期の筋芽細胞分化の分子マーカーであるミオゲニンおよびミオスタチン重鎖タンパク質のレベルをウェスタンブロット法により測定した。興味あることに、roMSV65は用量に依存してC12筋管中のミオゲニンタンパク質レベルを増加させることが見出された(図4)。このことは、roMSV65が、最終分化プログラムに関連する筋肉特異的遺伝子の誘起の原因になる塩基性ヘリックス−ループ−ヘリックス型転写因子であるミオゲニンの上方制御により、筋芽細胞分化も誘起することを示す(Montarrasら、1991年)。ミオスタチンは、Smad3により媒介される機構によりミオゲニン、MyoDおよびp21を下方制御することにより筋芽細胞分化を阻害する(McCroskeryら、2003年;Jouliaら、2003年;Langleyら、2002年)。ここで、MSV65がC12筋管中のミオゲニンレベルを反対方向に制御することによりミオスタチンを相殺することが示された。
ミオシン重鎖(MHC)タンパク質は、筋線維の収縮性のユニットであるサルコメアの必須の構造構成要素である。230kDaのこれらの大きなタンパク質は、最終分化した単核筋芽細胞の融合により形成されて筋肉組織の筋線維中にある筋管中で大量に発現する。図5に示したように、発生ミオシン重鎖(dMHC)タンパク質発現はC12筋管中でroMSV処理に反応して大きく上方制御される。興味あることに、0.1および1μg/mlのroMSV65濃度で、未処理の対照に比較して、dMHC存在比でそれぞれ18から20倍の増加がある。しかしながら、最高のroMSV65用量(10μg/ml)で、dMHC存在比における2倍の増加が検出されただけであった。これらのデータは、roMSV65はMHCタンパク質合成の上方制御により筋線維肥大を誘起できる可能性があることを示唆する。MHC上方制御が何故濃度依存性でないのかは不明で、10μg/mlでの結果は単なるアーチファクトである可能性がある。MHC発現の原因となる分子的経路は、今後確認すべきことである。このことにより、MSVが筋芽細胞の分化を促進できるだけでなく、細胞が筋線維に分化することも促進していることが確認される。
筋肉発達の間、筋芽細胞は最初に筋発生中に細胞分裂を経て後に細胞周期から離脱する。細胞周期から離脱すると、筋芽細胞は筋管に分化し始める。細胞周期の進行およびその終止は、サイクリン依存性キナーゼおよびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CDK/CKI)複合体により制御される。ミオスタチンは、p21cip1およびCdk2タンパク質レベルの調節を通じて筋芽細胞のG1からSへの移行およびG2からMへの移行を制御することが示されている。Cdk2を下方発現するのと同様に、ミオスタチンは、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤p21の上方制御もして、それにより、G1からS期への進行を促進するサイクリン/CDK複合体を不活性化する(Thomasら、2000年)。
図6に示したように、ウェスタンブロット分析により、roMSV65は、p21発現に対して成熟ミオスタチンと反対の効果を有する、増殖中のC12筋芽細胞内のp21タンパク質レベルを用量依存的に減少させることが明らかにされた。p21の低めのレベルでG1期からS期へ、およびG2期からM期への細胞周期の進行が可能になり、細胞複製が促進される。このことにより、成熟ミオスタチンおよびMSVは、同じ下流の標的分子p21であるが、それを異なった方法で制御することが確認される。この発見は、MSVはミオスタチンの生物活性の天然に生ずるアンタゴニストであるという仮説と一致する。
roMSVの分裂誘起活性は、細胞増殖の正の分子マーカーである増殖中の細胞の核抗原(PCNA)で確認される。PCNAタンパク質発現の高めのレベルは、細胞周期のDNA複製期に入っている細胞数が多いことに関連している。図7に示したように、roMSV65で処理したC12筋芽細胞のウェスタンイムノブロットは、PCNAタンパク質レベルにおける濃度依存性増加を示した。
MSVがミオスタチン活性を制御することができることをさらに確認するために、C12増殖アッセイにおけるroMSV65のミオスタチンを打ち負かす能力を試験した。図9に示したように、roMSV65は、1.5μg/mlのミオスタチン濃度において1:20(ミオスタチン:roMSV65)モル比で、ミオスタチンにより阻害された筋芽細胞増殖を回復させることができた(図9)。これらのデータにより、MSV65は成熟ミオスタチンのアンタゴニストとして作用していることが確認される。
これらのデータにより、MSV65は筋肉成長および分化を促進することができ、かつミオスタチンの阻害的効果を制御すなわち妨害することができることが確認される。
MSVのタンパク質分解プロセシング
選択的スプライシングの間に正常ミオスタチンmRNAから切り出されたフラグメントは、Arg266における正常な触媒的切断部位を含む。しかしながら、フューリンエンドペプチダーゼを含むプロペプチド変換酵素(PC1〜7)による強力な(KERK/RXXR)切断部位が271位から274位に存在することが決定されている(Steiner、1998年)。フューリンタンパク質前駆体変換酵素(PC)には(K/R)−(X)−(K/R)↓共通モチーフがなければならない(ここで、n=0、2、4、または6、およびXはアミノ酸であるが、通常Cysではない)(Seidah、1999年、Seidah、1997年)。TGF−βファミリーにもっと共通的なのはR−X−K/R−Rモチーフであり、その場合、KおよびRは互換性であるが、R−X−K/R−R配列が最適である(Dubois、2001年)。274位における切断は、ヒツジおよびウシ配列から47アミノ酸C末端成熟MSVフラグメント(ヒツジ:oMSV47、配列番号50およびウシ:bMSV47、配列番号54)を遊離させるであろう。ブタの配列の切断は50アミノ酸のフラグメント(pMSV50、配列番号72)の遊離という結果を生じ、ヒト、チンパンジーおよびネコに対しては20アミノ酸フラグメント(h1〜2MSV20、配列番号75おおよび78;chMSV20、配列番号81;およびcaMSV20、配列番号93)、およびイヌの配列からは18アミノ酸ペプチド(d1〜3MSV18、配列番号84、87、および90)が遊離される。成熟C末端ペプチドの存在は、MSV47ペプチドに対する抗体を使用して確認された(図8C)。
図10に示したように、組換えヒツジMSV47(roMSV47)はマウスC12筋芽細胞の増殖を促進する。図10の細胞複製曲線は、約0.1〜0.5μg/mlの濃度で最大増殖増強活性に達する特徴的なroMSV47タンパク質への用量応答を示す。roMSV47処理の結果は筋芽細胞増殖における2倍を超える増加である。
12増殖アッセイにおいてミオスタチンに打ち勝つroMSV47の能力は、図11に示す。roMSV47は、1.5μg/mlのミオスタチン濃度において1:1(標準的ミオスタチン:roMSV47)モル比で、ミオスタチンにより阻害された筋芽細胞増殖を回復させることができた。この回復は、ミオスタチンにより阻害された増殖からの回復にミオスタチン:roMSV65のモル比1:20が必要であったroMSV65に対して見られたものより大である。これらのデータはMSV47が成熟ミオスタチンの強力なアンタゴニストとして作用することを示す。
ミオスタチンのMSVに対する1:10のモル比が、図11において増殖を回復させることに何故無効であるかは不明であり、ミオスタチンのrhMSV38に対するモル比1:10がミオスタチンの作用に拮抗するだけでなく、対照の増殖を越えて増殖を増大させること(図13)を考慮すると、これは誤った観察であると推測される。あるいは、roMSV47はrhMSV38よりも長いペプチドであり、2つの推定αヘリックスを有していて(rhMSV38の1つに対して)、長いペプチドは、立体障害のために高濃度では、同族の受容体に対するミオスタチンの作用に同じように効果的に拮抗することができないということはあり得る。
組換えヒツジMSV47(roMSV47)および組換えヒトMSV38(rhMSV38)筋芽細胞増殖を促進する能力を図12に示す。図12AはroMSV47およびrhMSV38のマウスC12筋芽細胞の80時間にわたる増殖に対する効果を示し、一方図12Bはヒト筋芽細胞の96時間にわたる増殖に対する効果を示す。これらの結果から、1つの種のMSVが異なる種の筋芽細胞に対して活性であること、およびより重要なこととして、成熟ペプチドが活性で、ヒト筋芽細胞増殖を促進することができて、ペプチドがヒトならびに他の動物の筋肉疾患の治療に対する治療的活性を提供することを示すことがわかる。図12は、roMSV47が活性なので、切断後にLAPペプチドと共に残る先行する新規な18アミノ酸は増殖にとって必要ではないことも示す。
ヒト始原筋芽細胞増殖アッセイにおいてミオスタチンに打ち勝つrhMSV38の能力を図13に示す。最初の4本の棒グラフは、rhMSV38が用量に依存してヒト始原筋芽細胞の増殖を促進できることを示す。中央の5本の棒グラフは、rhMSV38が、ミオスタチン処理を受けない対照に対する回復を越えて、ヒト筋芽細胞の増殖に対するミオスタチンの阻害的効果に打ち勝つことができることを示す。図13の最後の2本の棒グラフで示したように、rhMSV38の1×モル比で、ミオスタチンの濃度が2倍でも回復が達成された。これらの結果は、hMSV38がヒト筋肉に対して活性であり、筋肉成長および発達に対するミオスタチンの阻害効果を相殺することができることをさらに示す。
増殖を促進することおよびミオスタチンの作用に拮抗することに加えて、ミオスタチンの発現に対するMSVの効果も研究した。図14は、MSV(roMSV47)が、増殖しているマウスC12筋芽細胞で、慢性的にも(接種から48時間)急性的にも(48時間から54時間までの6時間)ミオスタチンの発現を抑制することを示す(図14)。これらのデータは、単にミオスタチンに対して競合するよりも、ミオスタチンの効果を直接相殺し、かつミオスタチンの発現を直接制御するように作用するMSVの作用を支持する。
機能的ドメイン
種々の配列の比較を、示した種々のフラグメントと共に図15に示す。コンピュータシミュレーションによる分析(GCGソフトウェア)を使用する配列の分析は、成熟ペプチド中に、6アミノ酸残基リンカーにより分離された2つのαヘリックスの存在を予測した。興味あることに、ヒト、チンパンジー、ネコおよびイヌはすべて第1αヘリックスのみを含み、一方ウシ、ヒツジおよびブタはすべて両方のαヘリックスを含む。ヒト、チンパンジー、ネコおよびイヌはすべて第1αヘリックスのみを含むので、これは、第1αヘリックスがMSVペプチドの成長促進活性の原因である可能性があることを意味する。これを支持するのは、比較において、推定αヘリックス中に残基のより大なる保存があるという事実である(第1ヘリックス中に58%および第2ヘリックス中に89%)。MSVの生物活性ドメインを同定するための努力において、多数の組換えおよび合成ペプチドが作製された。組換えαヘリックス1(MSVα1、配列番号51)および組換えαヘリックス2(MSVα2、配列番号98)を作製した。第3リンカーペプチド(MSVL18、配列番号100)も第1αヘリックスのC末端6残基、リンカー6残基、および第2αヘリックスのN末端6残基を含んで構築した。
MSVα1が筋肉増殖を促進することができるか否かを試験するために、マウスC12筋芽細胞をペプチドの存在下に成長させた。図16に示したように、MSVα1は用量に依存してC12細胞の成長を大いに促進した。C12の増殖に対するMSVα1、MSVα2、MSVL18およびroMSV47の効果の比較を図17に示す。roMSV47およびMSVα1は両方とも用量に依存してC12細胞の成長を促進することができたが、一方MSVα2およびMSVL18は効果がなかった。
これらの結果は、MSVの筋肉成長促進活性が第1αヘリックスに位置していることを示す。さらに、MSV47およびMSV65の両方とも活性であったので、それはこのαヘリックスを含むいかなるペプチドも筋促進活性を有するであろうということを意味している。
図14に示した配列のアラインメントは、第1αヘリックスについて共通配列:
IIFLEVXIQFCSILGETAL
が決定されることを可能にする。
さらに、同定された種々の配列および種々の多形を比較することにより、第1αヘリックスの基本配列に対する式を確立することができて、それは次の通りである:
I F L E X Q X C S I L X10
式中、XはIまたはLであり;XはVまたはLであり;XはY、C、GまたはSであり;XはIまたはFであり;XはFまたはLであり;XはGまたはEであり;XはEまたはVであり;XはAまたはTであり;XはAまたはVであり;およびX10は存在しないか、FまたはLである。
第1αヘリックス中の全アミノ酸残基のイオン電荷が配列のすべてに対して一貫したパターンを有することも注目すべきである。すなわち、置換がある場合、異なったアミノ酸が電荷において同様であることが見出されている。例外は17番残基であって、そこではヒツジおよびウシの両者が極性残基ではなく疎水性残基を有する。それ故、ペプチドの活性を実質的に変化させることなく、その位置のイオン電荷を保持して、配列をさらに変更することは可能であろう。そのような変更は本発明の範囲内に組み込まれることは理解されるであろう。19アミノ酸αヘリックスについてのイオン電荷は次の通りである:
H H H H A H P H P H P P H H P A P/H H H
(式中、H=疎水性、P=極性、A=酸性、B=塩基性)。
癌が誘起した筋肉消耗
MSVは、in vitroで、ミオスタチンのその作用に拮抗すること、および筋肉成長を促進することにおいて有効であることが示されている。それ故、MSVは、筋肉消耗状態のための治療または予防のための良い候補であると思われる。これを試験する目的で、癌悪液質のラットモデルにおける筋肉消耗に対するroMSV47の効果を試験した。
この検討においては、21匹の雄ラット(3カ月齢)を無作為に各群7匹の3群に配分した。第1群には無菌食塩水を腹腔内に注射し(非癌対照)、第2および第3群には100μlのAH130腫瘍を腹腔内に接種した(Baracosら、1995年)。第1および第2群には、6日間毎日2回無菌食塩水を皮下注射し、一方第3群には、6日間毎日2回1μg/g体質量でroMSV47を皮下注射した。第6日にラットを殺して、死亡時に、各ラットの右後肢から骨格筋(大腿二頭筋、腓腹筋、前脛骨筋、大腿四頭筋、足底筋およびヒラメ筋)を切除して、湿質量を第0日の初期体質量に対するパーセントとして表した。
図18に示したように、癌により誘起された全身性の骨格筋消耗は20%減少した。それ故、これらのデータは、roMSV47がin vivoで有効であり、癌悪液質における筋肉消耗の重症度を減少させることができることを示す。
クレアチンキナーゼはATPとクレアチンとの間の高エネルギーリン酸エステル基の可逆的移動の触媒となり、代謝要求の増大した状態における骨格筋および心筋中の重要なエネルギー発生酵素である(WyssおよびKaddurah−Daouk、2000年)。筋肉が損傷したとき、しばしばCKが血中に遊離するので、それ故、CK濃度の増大は、心筋梗塞後および筋ジストロフィー中に起こる損傷のマーカーとして使用されてきた(WyssおよびKaddurah−Daouk、2000年)。しかしながら、癌期中の骨格筋においては、CKの発現は低下することが見出されている(BuckおよびChojkier、1996年)。
図19に示したように、AH130細胞を接種しなかった対照ラットに比較して、治療しなかったAH130ラットにおいて、CKのレベルが低下した。しかしながら、roMSV47での治療は、CK濃度を非癌対照のCK濃度に一部回復させている。
これらの結果は、MSVが病的状態における筋肉消耗を防止することができることを示す。AH130は極端に攻撃的な癌モデルで、それは非常に短期間(日)に重症の悪液質を誘起することにも留意すべきである。MSVがそのような急速な筋肉消耗を抑制することができたということは非常に驚異的で、それ故、MSVは攻撃性のより低い他の癌および筋肉消耗状態において有効であるらしく思われる。
ベルジャンブルー:
ミオスタチンにおける欠失が、ウシのベルジャンブルー種で観察される、通常ダブルマッスルと称せられる筋肥大の原因であることが見出されている。ベルジャンブルー牛は、成熟ミオスタチンのコード領域中に、フレームシフトおよびエクソン3中の早発の終止コドンの原因になる11bp欠失を有することが示されていて、その結果ミオスタチン活性が消滅する。ベルジャン牛のMSV(bMSVbb)も単離され、キャラクタライズされている(配列番号96および95)。bMSVbb遺伝子(配列番号96)は、bMSV(配列番号5)のヌクレオチド749〜770の間に21ヌクレオチド欠失を含む。bMSVbbタンパク質(配列番号95)はアミノ酸長314で、bMSV(配列番号52)より7アミノ酸短い。しかしながら、7アミノ酸欠失は独自の65アミノ酸C末端ペプチド内では起こらず、それ故、bMSV65(配列番号53)およびbMSV47(配列番号54)は、正常ウシとベルジャンブルー種の間で同一である。独自の65アミノ酸C末端ペプチドの保存は、MSVタンパク質の機能的重要性を示す。
ヒツジMSVのプロペプチド(N末端)領域および成熟(C末端)領域に特異的なオリゴペプチドを使用して、2つのMSV特異的ポリクローナル抗体をウサギで発生させた。オリゴペプチドの局所化は、フューリンエンドペプチダーゼを含むプロペプチド変換酵素(PC1〜7)によるKERKアミノ酸モチーフでの前駆体MSVの提案されているプロセシングに基づく(Steiner、1998年)。MSVプロペプチド特異的抗体(MPSA)はMSV前駆体(37kDa)およびプロペプチド(29kDa)を同定することができる。成熟MSV特異的抗体(MMSA)は、前駆体(37kDa)および成熟(5.4kDaモノマーまたは推定11kDaホモダイマー)MSVを検出することができる。MPSAを使用するウェスタンイムノブロット法は、ヒツジ骨格筋および脳中にMSVの前駆体およびプロペプチドを一貫して検出するが、しかしそれらの比はこれらの組織で相違する(図8A)。このことは、プロペプチドプロセシングの効率が筋肉と脳で大きく相違していることを示唆している可能性がある。
PSAは、ヒト、ブタ、マウス、およびラットの筋肉および/または脳で、MSVオルソログも同定した。ウェスタンブロットには他の免疫反応性のバンドがあり、それはMSV前駆体すなわちMSVタンパク質の共有結合で連結した複合体の切断生成物である可能性がある(Jiangら、2004年)。MMSAはヒツジ筋肉および脳で前駆タンパク質を同定するが、しかし成熟モノマー(5.4kDa)またはホモダイマー(11kDa)のいずれも検出されない(図8B)。
図8Bはヒトおよびラットの筋肉中の成熟MSVのホモダイマーに対応する11〜12kDaに免疫反応性のバンドも示す。このことはMSVタンパク質発現およびプロセシングがヒツジおよびウシ以外の種においても起こることを示す。MMSAはある範囲のヒツジ血清試料中の成熟MSVタンパク質を同定した(図8c)。これらのデータは、
1)成熟MSVタンパク質は血液に分泌されて他のペプチドホルモンと同様に循環することができる、および
2)成熟MSVのホモダイマーは血液中に存在することができる
ことを示す。
データを総合すると、MSVはin vitroにおいて筋芽細胞複製および分化における成熟ミオスタチンの強力なアンタゴニストであり、in vivoで癌筋肉悪液質を減少させることができることが示された。MSVタンパク質はヒツジおよび他の種(ウシ、ヒト、ブタ、ラットおよびマウス)の筋肉中に検出されていて、それらの存在比は性および種々の生理学的状態で異なる。成熟MSVはヒツジにおける循環中にも存在する。さらに、oMSVおよびhMSVの両方とも異種の細胞で活性であることが示された。これらの特徴によりMSVは、筋肉成長、再生を増強し、筋ジストロフィーに対処し、身体組成、骨およびグルコース代謝を変化させるための有用な組成物になる。さらに、損傷後の脳および脊髄再生を促進できる可能性がある。
実験手順:
ヒツジおよびウシMSVの同定およびクローニング
ヒツジMSV:
ミオスタチンcDNA(ミオスタチンメッセンジャーRNAの相補的DNA配列)のオープンリーディングフレーム(ORF)周辺の側方PCRプライマーを使用して、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により、ヒツジミオスタチンスプライス変種を最初に同定した。順方向プライマー(5’−TCAGACTGGGCAGGCATTAACG−3’、配列番号101)は5’非翻訳領域(UTR)に、逆方法プライマー(5’−GCATATGGAGTTTTAAGACCA−3’、配列番号102)は離れた3’UTRに位置した。PCR反応は、2μlのヒツジ筋肉cDNA(Texel種ヒツジの半腱様筋のmRNAから逆転写した)をテンプレートとして、増幅前変性のために94℃の温度で2分間、それから45サイクルの、94℃で30秒間、55℃で1分間、および72℃で2分間で実施した。PCR産物は、Perfect Prepキット(Eppendorf、ドイツ所在)を使用してゲルで精製し、pGEM−T Easyイー・コリプラスミドベクターに、メーカーの使用説明(Promega、米国所在)に従って、クローニングした。プラスミドクローンはpFJ106/3と命名して、挿入物をWaikato DNA Sequencing Facility(Hamilton、ニュージーランド所在)において、T7およびSp6プライマーから双方向塩基配列決定により分析した。pFJ106/3の完全な挿入物はGSG/SeqLabソフトウェア(Accelrys Inc.米国所在、配列番号1)で再構築した。
次に、完成した配列をミオスタチンの標準的cDNA配列(GenBank受入番号:AF019622)とアラインした。アラインメントにより、ヌクレオチド1(エクソン1における翻訳開始部位ATG)からヌクレオチド770(エクソン3)まで、435番目のヌクレオチドの位置における唯一の非表現突然変異(G→A遷移)を例外として、標準的ミオスタチンcDNAとの100%の配列同一性が明らかになった。さらに、アラインメントにより、195ヌクレオチドの新規な翻訳DNA領域および新規な翻訳終止部位(TAA)が同定された。DNA配列分析から、クローンpFJ106/3は、標準的ヒツジミオスタチンmRNAのエクソン3配列内の潜在性イントロンの選択的スプライシングにより生じた新規なヒツジミオスタチンのイソ型を同定したと結論した。新規ミオスタチンイソ型はヒツジミオシンスプライス変種(oMSV)と命名した。oMSV(配列番号1)の配列同定は、oMSVの全長ORFの4つの独立クローンのRT−PCR増幅、クローニングおよび塩基配列決定により確認された。
標準的ヒツジミオスタチンcDNAの3’UTRのさらなるクローニングおよび配列決定により、ヌクレオチド768におけるスプライシング部位の位置、潜在性イントロンのコンセンサススプライシングドナー(SD3、GT)およびアクセプター(SA3、AG)部位が同定された(図1)。
oMSVのORFは321アミノ酸タンパク質(配列番号48)をコードしている。アミノ酸1から257は標準的ミオスタチンプロペプチドすなわちLAP配列と同一である。しかしながら、アミノ酸257から321(65aa)は、標準的ミオスタチンタンパク質とは類似でないoMSVの新規なC末端ポリペプチド配列を形成する。タンパク質配列およびoMSV特異的抗体を使用するウェスタンブロット分析により、321aa全長oMSVタンパク質がKERKモチーフに続くアミノ酸275でプロセスされて274aaのoMSVプロペプチドすなわちLAPおよび47aa成熟oMSVポリペプチドを生ずることが示唆される。
ウシMSV:
ウシミオスタチンスプライス変種(bMSV)を、RT−PCR、およびそれに続く全長ORFのクローニングおよび塩基配列決定により同定した。順方向プライマー(5’−ACCATGGAAAAACTCCAAATCTTT−3’、配列番号103)は、ウシミオスタチンの翻訳開始部位に、逆方向プライマー(5’−GTCATCGTCATCTTTCATCCTAAAAGCTGCAGT−3’、配列番号104)はbMSVの予測された翻訳終止部位に位置した。PCR反応は、2μlのウシ筋肉cDNA(ヘレフォード/フリージアン交配種またはダブルマッスルベルジャンブルー牛の胎児半腱様筋mRNAから逆転写した)をテンプレートとして、増幅前変性のために94℃の温度で2分間、それから45サイクルの、94℃で30秒間、55℃で30秒間、および68℃で1分間で実施した。PCR産物は、Perfect Prepキット(Eppendorf、ドイツ所在)を使用してゲルで精製し、pMT/V5−His−TOPOプラスミドベクターに、メーカーの使用説明(Invitrogen、カリフォルニア州所在)に従って、クローニングした。挿入物をWaikato DNA Sequencing Facility(Hamilton、ニュージーランド所在)において、MTF1およびBGHプライマーから双方向塩基配列決定により分析した。完全な挿入物の配列はGSG/SeqLabソフトウェアで構築した(配列番号4)。
完成した配列bMSV(配列番号4)をミオスタチンの標準的cDNA配列(GenBank受入番号:AF019620)とアラインした。アラインメントにより、ヌクレオチド1(エクソン1における翻訳開始部位ATG)からヌクレオチド770(エクソン3)までの、ヘレフォード/フリージアン交配種の標準的ミオスタチンcDNAとの100%のDNA配列同一性、およびベルジャンブルー牛の標準的ミオスタチンcDNAとのヌクレオチド1(エクソン1中の翻訳開始部位ATG)からヌクレオチド749(エクソン3)までの100%のDNA配列同一性が明らかになった。アラインメントにより、両ウシ種における195ヌクレオチドの新規翻訳DNA領域および新規翻訳終止部位(TAA)も同定された。
全長ヘレフォード/フリージアン交配種配列(配列番号5)とベルジャンブルー配列(配列番号96)とのアラインメントにより、bMSVのベルジャンブルーイソ型におけるヌクレオチド749〜770に位置する21ヌクレオチドの欠失が同定された。新規ウシミオスタチンスプライス変種(bMSV)は、それらの種に従ってヘレフォード/フリージアン交配種ウシミオスタチンスプライス変種(bMSVh/f、配列番号5)およびベルジャンブルーウシミオスタチンスプライス変種(bMSVbb、配列番号96)と命名した。bMSVの配列同定は、bMSVの全長ORFの2つの独立クローンのRT−PCR増幅、クローニングおよび塩基配列決定ならびに選択的スプライシング部位をまたぐ部分配列により確認した。bMSVcDNAとウシミオスタチン遺伝子のゲノム配列(GenBank受入番号:AF320998)とのアラインメントにより、潜在性イントロンのコンセンサススプライシングドナー部位(SD3:GT)およびアクセプター部位(SA3:AG)が同定された(図1)。
bMSVh/fのORFは321アミノ酸タンパク質(配列番号52)をコードしているが、bMSVbbのORFは7aa短い314aaタンパク質(配列番号95)をコードしている。しかしタンパク質配列の残部は、調べた2つの種において完全な相同性を示した。興味あることに、独自の65aa C末端ペプチド(配列番号53)がbMSVbbに保存され、それはこのタンパク質配列領域の機能的重要性を示す可能性がある。bMSVh/f中のアミノ酸1から257(配列番号52)およびbbMSVbb中のアミノ酸1から250(配列番号95)は、標準的ミオスタチンプロペプチドすなわちLAP配列と同じである。しかしながら、bMSVh/f中の257から321(65aa)(配列番号52)およびbMSVbb中の250から314(配列番号95)は、標準的ウシミオスタチンタンパク質に類似でない新規なbMSVのC末端ポリペプチド配列を表す。oMSV特異的抗体を使用するタンパク質配列およびウェスタンブロット分析は、321aa全長bMSVh/f(314aa全長bMSVbb)タンパク質がRERKモチーフに続くアミノ酸275(268)でプロセスされて274aa bMSVh/f(267aa bMSVbb)プロペプチドすなわちLAPおよび同じ47aa成熟bMSVh/fまたはbMSVbbポリペプチド(配列番号54)を生ずることができることを示唆する。
ヒツジMSVのノーザンブロット分析
ヒツジMSVのサイズおよび存在比を確認するために、mRNAノーザンブロット分析を使用した。6頭の成体雄Romneyヒツジの凍結半腱様筋をTrizol試薬(Invitrogen、カリフォルニア州所在)中氷上で、UltraTurraxホモジナイザー(Janke & Kunkel GmbH、ドイツ所在)を使用して13,500rpmで30秒間ホモジナイズした。残屑を10,000gで10分間の遠心分離により除去して、全RNAをメーカー(Invitrogen、カリフォルニア州所在)の実施要領に従って単離した。RNAをジエチルピロカーボネート処理した水に再懸濁して、全RNA濃度を260nmで吸光度を測定することにより定量した。約600マイクログラムの全RNAをプールして、ポリ(A)+RNAをmRNA精製キット(Amersham Bioscience、英国所在)を使用し、メーカーの使用説明に従って精製した。全体の10マイクログラムおよびポリ(A)+RNAの5マイクログラムを1.2%ホルムアルデヒド−アガロースゲルで分離し、次に非荷電ナイロン膜(Hybond−N、Amersham Biosciences、英国)に、毛管作用により移した。膜は紫外線照射を使用して架橋し、メチレンブルーで染色してRNAの完全性および移行の均一性を検証した。
標準的ヒツジミオスタチンおよびMSV mRNA種をノーザンブロットで同定するために、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使用して、特異的DNAプローブを作製した。ヒツジ骨格筋からの5マイクログラムの全RNAを、Superscript II Pre−Amplificationキット(Invitrogen、カリフォルニア州所在)をメーカーの実施要領に従って使用して、逆転写した。PCRは、2μlで逆転写反応(94℃で30秒間、55℃で1分間、および72℃で2分間)の35サイクルおよび72℃で5分間の最後の伸長で実施した。ヒツジミオスタチンのエクソン1/2に相同性のオリゴヌクレオチドプライマーは5’−ATGCAAAAACTGCAAATCTCTG−3’(配列番号116)(順方向、nt1〜22)および5’−ATCAATGCTCTGCCAAATACC−3’(配列番号117)(逆方向、nt601〜621)であった。2つのプライマー対を、ヒツジミオスタチン遺伝子の遠隔3’非翻訳領域(3’UTR)に相補的な配列を有するmRNA種を同定するために使用した。これらのプローブは、MSV1およびMSV2と呼ばれ、標準的ヒツジミオスタチンmRNA(2.9kb)にハイブリダイズできなかった。PCRプライマーは次の通りであった:5’−GCAAGGGTATATGGTCCTAGAG−3’エクソン1/2 OMSV P1(配列番号118)(順方向、nt2911〜2932、MSV1)、5’−CACCAGAGAGAATTAGTCACTG−3’(配列番号119)(逆方向、nt3177〜3198、MSV1)、5’−TAAAAGTCTGGGTCAGCAG−3’(配列番号120)(順方向、nt3461〜3479、MSV2)および5’−GCAAAATAGGGGGGGAAATG−3’(配列番号121)(逆方向、nt3731〜3750、MSV2)。放射性標識cDNAプローブは、[α−32P]dCTPおよびRediprimeII Labeling Kit(Amersham Biosciences、英国所在)をメーカーの使用説明に従って使用して調製した。膜はChurch and Gilbert緩衝液(0.5M NaHPO pH7.2、7%SDS、1mM EDTA)中55℃で2時間プレハイブリダイズした。この膜を新鮮Church and Gilbert緩衝液中で適当な放射性標識プローブと55℃で一晩ハイブリダイズさせた。ハイブリッド形成に続いて、それらを2×SSC/0.5%SDS、1×SSC/0.5%SDS、および0.2×SSC/0.5%SDSの各々の中55℃で15分間洗浄し、BioMax X線フィルム(Eastman Kodak社、Rochester、ニューヨーク州所在)に−80℃で露光させた。デンシトメーター(GS800、BioRad Laboratories、Hercules、カリフォルニア州所在)およびQuantity Oneソフトウェア(BioRad)を使用して、オートラジオグラフをスキャンした。ブロットは0.5%SDSを使用して80℃でストリップし、オートラジオグラフィーでチェックし、それから再度プローブにかけた。
筋芽細胞の増殖および分化に対する組換えMSVの効果
MSVタンパク質の組換え発現および精製
MSVタンパク質の生物学的効果を試験するために、次の組換えペプチドを作製した:ヒツジMSV65(aa257〜321)、ウシMSV47(aa275〜321)、ヒツジMSVα1ヘリックス(aa275〜293)、ヒツジMSV連結配列(aa287〜305)、ヒツジMSVα2ヘリックス(aa300〜321)、ヒトMSV38(aa257〜298)。各々に対する適当なDNA挿入物をイー・コリでクローニングし、組換えタンパク質として発現させて精製した。ヒトまたはヒツジ(Romney)骨格筋のプールしたcDNAを、テンプレートとして使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりMSV DNAを増幅した。PCR産物は、次の順方向および逆方向のプライマーをそれぞれ使用して得た:
ヒツジMSV65(aa257〜321)5’−CACCGTGCATTTTTACACTCCTCCCT−3’(配列番号122)、5’−TTATTTCATCCTAAAAGCTGCAG−3’(配列番号123);ヒツジMSV47(aa275〜321)5’−CACCATCATTTTTCTAGAGGTCTAC−3’(配列番号124)、5’−TTATTTCATCCTAAAAGCTGCAG−3’(配列番号125);ヒツジMSVα1ヘリックス(aa275〜297)5’−CACCATCATTTTTCTAGAGGTCTAC−3’(配列番号106)、5’−TTATGACTGCCTTTTAAACACAGC−3’(配列番号107);ヒツジMSV連結配列(aa287〜306)5’−CACCATACTTGGAGAAGCTGTGTTT−3’(配列番号126)、5’−TTAGAAATTTTGACAAAAATGAAT−3’(配列番号127);ヒツジMSVα2ヘリックス(aa298〜321)5’−CACCAAAAGTATTCATTTTTGTCAA−3’(配列番号128)、5’−TTATTTCATCCTAAAAGCTGCAG−3’(配列番号129);ヒトMSV38(aa257〜298)5’−CACCGTGCATTTTCCTACACCTCCA−3’(配列番号130)、5’−TTAAGATAATGCAGTTTCTCCAAG−3’(配列番号131)。
PCRは、2μlのヒツジ筋肉cDNAを使用して、増幅前変性として94℃で2分間、次に35〜45サイクルの、94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で30秒間で実施した。
PCR産物は、Perfect Prepキット(Eppendorf、ドイツ所在)を使用してゲルで精製し、pET100/D−TOPO(Invitrogen、カリフォルニア州所在)イー・コリタンパク質発現ベクターに、メーカーの使用説明に従ってクローニングした。タンパク質発現構築物は、エンテロキナーゼ切断部位、XpressエピトープおよびポリHis配列を含む36アミノ酸N末端タグを含む。生じたプラスミドDNA構築物を、配列同一性を確認するために、Waikato DNA Sequencing Facility(Hamilton、ニュージーランド所在)で配列決定した。25ナノグラムのプラスミドをBL21A1または化学的コンピテントタンパク質発現イー・コリ株であるBL21Starイー・コリ(Invitrogen、カリフォルニア州所在)にトランスフォームして、メーカーの実施要領(Invitrogen、カリフォルニア州所在)に従って、タンパク質発現のパイロット実験を実施した。誘起されたBL21StarまたはBL21A1イー・コリ細胞抽出物中に組換えタンパク質の発現を確認するために、マウスモノクローナル抗Xpress−HRP抗体(Invitrogen、カリフォルニア州所在)および/またはウサギポリクローナル抗MSV65または抗MSV47抗体(Functional Muscle Genomic Group、AgResearch、ニュージーランド所在)を使用するウェスタンブロット分析を使用した。組換えタンパク質のより高い収率を与えるイー・コリ宿主を大規模発現のために選択した。
組換えタンパク質の大規模な発現のために、100μg/mlのカルベニシリン(Promega、カリフォルニア州所在)で補充した1リットルのTerrific Broth(Sigma、ミズーリ州所在)に、前記タンパク質発現イー・コリ株の一晩培養液100mlを接種した。BL21A1イー・コリに対して1mM IPTGおよび0.20%アラビノースを、またはBL21Starイー・コリに対して1mM IPTGを、BL21A1イー・コリに対しては0.4OD600またはBL21Starイー・コリに対しては0.80OD600の密度で、培地に添加することにより、タンパク質発現を誘起した。37℃で4時間250rpmで振盪して、細胞に組換えタンパク質を発現させた。培地を4℃、6000×gで15分間遠心分離にかけることにより、タンパク質を発現している細胞を捕集して、蒸留水で洗浄した。次にイー・コリ細胞を−80℃で凍結した。翌日、25mlの溶解緩衝液(25mM NaHPOでpH8.0、500mM NaCl、250μlプロテアーゼ阻害剤[P8849、Sigma、ミズーリ州所在])中に細胞(5g)を溶解し、回転円板上4℃で30分間混合した。次に溶解物をドライアイス/エタノール浴中で凍結/解凍した。溶解物は氷水に漬けて、超音波処理を強度80で、中間に1分間の中断をおいて1分に1秒間の集中照射で10回行い、次に、18ゲージのニードルに通してゲノムDNAを破壊した。細胞破片は、4℃、16000×gで20分間遠心分離にかけることにより除去して、上清を3mlのNi−NTAアガロース樹脂と共に4℃で1時間穏やかに振盪してインキュベートした。溶解物/樹脂混合物をカラムにかけて、溶解物を貫流させた。残留した樹脂は10mlの洗浄緩衝液(25mM NaHPOでpH7.0、500mM NaCl、20mMイミダゾール)で4回洗浄した。
組換えタンパク質は、5mlの溶離緩衝液(25mM NaHPOでpH7.0、500mM NaCl、250mMイミダゾール)で樹脂から溶離して、SnakeSkin透析管中(MWCO 3,500、Pierce、イリノイ州所在)で、500mlの透析緩衝液(20mMトリスHClでpH7.0、150mM NaCl)に対して4℃で一晩透析した。次に、エンドトキシンを除去するために、タンパク質を25μlのポリミキシン(BioRad)と混合し、回転円板上で一晩インキュベートした。カラムを使用して試料からポリミキシンを除去し、得られたタンパク質を透析緩衝液(20mMトリスHClでpH7.0、150mM NaCl)中でさらに2回透析した。エンドトキシンを含まない組換えタンパク質は、0.22μmフィルターユニット(MillexGS、Millipore、アイルランド所在)を通してろ過滅菌した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA、Sigma、ミズーリ州所在)タンパク質アッセイを使用して定量した。組換えタンパク質のサイズ、純度および同定は、ウェスタンブロット分析およびSDS−PAGEとそれに続くクーマシーブリリアントブルー染色により検証し、その生物活性はマウスC12またはヒト始原筋芽細胞増殖アッセイで試験した。
12マウスまたは始原ヒツジ筋芽細胞を使用する増殖アッセイ
MSVが筋細胞の増殖を促進することを示すために、C12マウスおよび始原ヒツジ筋芽細胞を使用した。96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)で、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた200μlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen、カリフォルニア州所在)中に、筋芽細胞を、ウェル当たり1000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、0、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3または10μg/mlのoMSV65を含むDMEM10%FBS試験培地で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを各ウェルに添加して、室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計を使用して655nmで吸光度を測定した(図3aおよび3b)。吸光度対細胞数のプロットは、知りたい範囲で直線的であることが見出された(1cm当たり4000から30000細胞、Oliverら、1989年)。
roMSV65処理して増殖中のC12筋芽細胞におけるp21およびPCNAの発現
roMSV65が筋細胞の細胞周期を制御していることをさらに示すために、2つの分子マーカー、すなわちp21およびPCNAを使用した。p21は周期依存性のキナーゼ阻害剤であり、それはG1終止を誘起することにより細胞周期の進行を制御して、Cdksを不活性化することにより、または増殖性細胞核抗原(PCNA)の活性を阻害することによりS期への移行を遮断する。したがって、p21タンパク質発現の減少は、細胞増殖速度の増大を示すことができる。PCNAは細胞増殖の正のマーカーである。それは、細胞周期におけるDNA複製中のDNAポリメラーゼδのサブユニットである。PCNAタンパク質発現のレベルの高まりは、細胞周期のDNA複製期へ移行する細胞数の高まりに随伴している。
12筋芽細胞は、直径10cmの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた10mlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen、カリフォルニア州所在)中で、1cm当たり3000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。試験培地、すなわち0.1、1、または10μg/mlのoMSV65で補充し、10%FBSを含むDMEMで、培地を置換した(n=3)。次にプレートを37℃、5%COで48時間インキュベートした。細胞をトリプシン処理によりプレートから剥離し、リン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)で洗浄して、100μlの溶解緩衝液(10mM Hepes pH7.9、1.5mM MgCl、10mM KCl、0.5%NP40、50mlの緩衝液当たり1錠のComplete protease inhibitor[Roche Diagnostics、米国])に再懸濁した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA、Sigma、ミズーリ州所在)タンパク質アッセイを使用して測定した。全タンパク質の20μgをSDS−PAGE(12%)により分離して、エレクトロブロッティングによってニトロセルロース膜に移した。ブロットは、均等な移行を確認するためにPonceau S染色液で染色した。ブロットをTBST緩衝液で洗浄後、それらを少なくとも1時間TBST/5%脱脂乳中でブロッキングし、次に1:1000希釈マウスモノクローナル抗p21(BD Pharmigen)または1:500希釈ウサギポリクローナル抗PCNA(sc−7907、Santa Cruz)1次抗体と4℃で一晩インキュベートした。膜をTBSTで洗浄し(5×5分)、1:2000希釈ウサギ抗マウスIgG−HRP(P0161、DAKO)または1:2000希釈ヤギ抗ウサギIgG−HRP(P0448、DAKO)2次抗体のいずれかと、室温で1時間インキュベートした。膜を再びTBSTで洗浄して(5×5分)、強化化学発光で発光させた。バンド強度は、GS800デンシトメーター(BioRad、米国所在)で測定した。
roMSV65処理分化C12筋管における発生ミオシン重鎖(dMHC)およびミオゲニンタンパク質発現:
roMSV65が筋芽細胞分化または筋管肥大を制御するかどうかを調べるために、C12筋管培養を使用した。ミオゲニンおよびdMHCのような十分確立された初期および晩期のミオゲニン分化の分子マーカーのレベルを、roMHC65タンパク質の存在下または不存在下に測定した。
12筋芽細胞を、直径10cmの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた10mlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen、カリフォルニア州所在)中で、1cm当たり25,000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。
筋芽細胞の分化を検討するために、培地を、試験培地、すなわち0、0.1、1、または10μg/mlのoMSV65で補充し、2%ウマ血清を含むDMEMによって、各濃度について3つの複製で置換した(n=3)。37℃、5%COで72時間プレートをインキュベートした。
細胞をトリプシン処理によりプレートから剥離し、リン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)で洗浄して、200μlの溶解緩衝液(10mM HepesでpH7.9、1.5mM MgCl、10mM KCl、0.5%NP40、50mlの緩衝液当たり1錠のComplete protease inhibitor[Roche Diagnostics、米国])に再懸濁した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA、Sigma、ミズーリ州所在)タンパク質アッセイを使用して測定した。全タンパク質の20μgをSDS−PAGE(MHCには8%またはミオゲニンには12%)により分離して、エレクトロブロッティングによってニトロセルロース膜に移した。ブロットは、均等な移行を確認するためにPonceau S染色液で染色した。ブロットをTBST緩衝液で洗浄後、それらを少なくとも1時間、ミオゲニンに対してはTBST/5%脱脂乳中に、またはdMHCおよびMHCに対しては1%PVP−10、1%PEG4000、0.3%BSA、0.1%Tween20で補充したTBS緩衝液中でブロッキングし、それから次の1次抗体と4℃で一晩インキュベートした:1:1000希釈ウサギポリクローナル抗ミオゲニン抗体(sc−576、Santa Cruz Biotechnology、カリフォルニア州所在)、1:500希釈マウスモノクローナル抗ラットdMHC抗体(Novocastra Laboratories、Newcastle upon Tyne 英国所在)。膜をTBSTで洗浄し(5×5分)、1:2000希釈ウサギ抗マウスIgG−HRP(P0161、DAKO)または1:2000希釈ヤギ抗ウサギIgG−HRP(P0448、DAKO)2次抗体のいずれかと、室温で1時間インキュベートした。膜を再びTBSTで洗浄して(5×5分)、強化化学発光で発光させた。バンド強度は、GS800デンシトメーター(BioRad、カリフォルニア州所在)で測定した。
oMSV65は標準的ミオスタチンと競合する
roMSV65と標準的ミオスタチンとの競合は、C12マウス筋芽細胞で実施した。筋芽細胞は、96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた200μlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen、カリフォルニア州所在)中で、ウェル当たり1000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、添加したタンパク質を含まない;1.5または2.5μg/mlの組換えミオスタチンを単独で含む、およびそれにroMSV65を1、2、4、10、20のモル比で組み合わせて含む;ならびにミオスタチンなしで前記と同量のroMSV65含むDMEM10%FBS試験培地で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを、各ウェルに添加して室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計(VersaMax、Molecular Devices、カリフォルニア州所在)を使用して655nmで吸光度を測定した。
MSV特異的抗体ならびに組織および血液中のMSVタンパク質検出のためのその使用
MSVタンパク質を特異的に検出および定量的に測定するために、2つのポリクローナル抗MSV抗体をウサギで生成させた。
ヒツジMSVのC末端に位置するオリゴペプチドを合成、精製して、免疫するために、Auspep(Parkville、オーストラリア所在)によりキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合した。オリゴペプチドのアミノ酸配列は、CYTPPYGQWIFHKERK(aa260〜274(配列番号1、MSV−FJ1)およびCKRQSKSIHFGQNFK(aa294〜307(配列番号1、MSV−FJ3)であった。地方動物倫理委員会(Ruakura Research Centre、Hamilton、ニュージーランド所在)の承認を得て、2頭の雌ニュージーランド白色ウサギに各抗原を別々に注射した。最初の注射は、フロイント完全アジュバント中の等量の200μgの試験ペプチドからなり、続いて4週間の間隔でフロイント不完全アジュバント中の2本のブースターを注射した。次にウサギから採血して、凝血させるために採血チューブを室温で4時間放置し、血清を4℃、1000×gで30分間の遠心により分離した。血清は精製するまで−80℃で保存した。
免疫グロブリンG(IgG)は2段階で精製した。まず、それは硫酸アンモニウム沈殿により濃縮し、さらにプロテインAカラムを使用して精製した。簡単に述べると、10mlの血清をpH8.0の100mMトリスにより1:1で希釈し、氷上で連続的に攪拌しながら、固体(NHSOを最終濃度5%(m/v)になるまで加えた。氷上で30分間インキュベーション後、溶液を4℃、2000×gで5分間遠心分離にかけ、透明な上清をビーカーに移した。固体(NHSOを上記と同様に加えて(NHSO濃度を50%(m/v)に増加させた。その溶液を氷上で30分間インキュベートして、沈殿したタンパク質を4℃、2000×gで5分間遠心分離にかけた。タンパク質ペレットをpH8.0の0.1Mトリス10ml中に再溶解して、平衡させたプロテインAカラム(P9424、Sigma、米国所在)に負荷した。pH8.0の0.1Mグリシン20mlでカラムを洗浄し、pH4.0の0.1Mグリシン10mlで、続いてpH3.0の0.1Mグリシン10mlでIgGをカラムから溶離させた。0.5mlずつの分画を捕集して、氷上でpH8.0の1Mトリス100μlと混合した。
タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイ(Sigma、米国所在)を使用して各分画で測定した。タンパク質を含む分画をプールして2リットルの0.1M NaHCO、0.5M NaClに対して透析した。透析後、BCAタンパク質アッセイ(Sigma、米国所在)を使用してタンパク質濃度を定量し、IgGを凍結損傷から保護するために、抗体溶液をグリセロールと1:1で混合し、−20℃で貯蔵した。精製したIgGは、ウェスタンイムノブロット法における1次抗体として、一連の希釈液(1:300から1:30,000)を使用して試験した。
これら2つのMSV特異的抗体は、ヒツジ、ウシおよびことによると他の種における前駆体(37kDa)、プロペプチド(29kDa)、および成熟(5.4kDa)MSVタンパク質の検出を可能にする。この抗体は、ウェスタンブロット法、免疫沈殿、組織化学、細胞化学およびELISAアッセイで、複雑なタンパク質抽出物、細胞、組織および血液試料中のMSVタンパク質を、比較して測定、局在化および定量化するために使用することができる。
抗体の特異性を調べるために、ウェスタンブロット法を使用した。簡単に述べると、100mgの組織(例えば筋肉または脳)を1.0mlの溶解緩衝液(pH7.9の10mM Hepes、1.5mM MgCl、10mM KCl、0.5%NP40、50mlの緩衝液当たり1錠のComplete[Roche Diagnostics、米国]プロテアーゼ阻害剤)中、氷上、13,500rpmで30秒間ホモジナイズした。ホモジネートを4℃、10,000×gで5分間遠心分離にかけて組織破片を除去した。上清のタンパク質濃度を、ビシンコニン酸(BCA、Sigma、ミズーリ州所在)タンパク質アッセイを使用してBSA標準で測定した。タンパク質抽出物は3×Laemmli試料(6%SDS、15%の2−メルカプトエタノール、30%グリセロール、pH6.8の187.5mMトリス、0.05%ブロモフェノールブルー)緩衝液と2:1で混合して、沸騰水中で5分間インキュベートした。全タンパク質の20μgをSDS−PAGE(成熟MSVには15%またはMSVプロペプチドには10%)により分離して、エレクトロブロッティングによりニトロセルロース膜に移した。血液試料に対しては、血清を無菌水および3×Laemmli試料緩衝液と1:1:1で混合して、沸騰水中で5分間インキュベートした。2μlの無希釈血清に等価の血清タンパク質を15%SDS−PAGEにより分離して、エレクトロブロッティングによりニトロセルロース膜に移した。均等なローディングを確認するために、ブロットをPonceau S染色液で染色した。ブロットをTBST緩衝液で洗浄後、それらを少なくとも1時間、1%PVP−10、1%PEG4000、0.3%BSA、0.1%Tween20で補充したTBS緩衝液中でブロッキングし、それからMSV特異的1次抗体(MPSAまたはMMSA)と、上記ブロッキング緩衝液中に1:1000希釈して4℃で一晩インキュベートした。膜をTBSTで洗浄し(5×5分)、1:5000希釈ヤギ抗ウサギIgG抗体−HRP(P0448、DAKO)2次抗体と、室温で2時間インキュベートした。膜を再びTBSTで洗浄して(5×5分)、強化化学発光で発光させた。
MSVフラグメントの効果
ヒツジMSV47のクローニング、発現および精製:
oMSV47の筋芽細胞増殖に対する生物学的影響を試験するために、oMSV47をクローニングし、イー・コリで組換えタンパク質として発現させて精製した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりoMSV47を増幅させるためのテンプレートとして、プールしたヒツジ(Romney)骨格筋cDNAを使用した。次の順方向および逆方向プライマーでPCR産物を得た:
5’−CACCATCATTTTTCTAGAGGTCTAC−3’(配列番号106)および
5’−TTATTTCATCCTAAAAGCTGCAG−3(配列番号107)。PCRは、2μlのヒツジ筋肉cDNAで、Pfx Platinum Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen、カリフォルニア州所在)を使用して、増幅前変性のために94℃の温度で2分間、それから40サイクルの、94℃で15秒間、55℃で30秒間、および68℃で30秒間で実施した。
PCR産物は、Perfect Prepキット(Eppendorf、ドイツ所在)を使用してゲルで精製し、pET100/D−TOPO(Invitrogen、カリフォルニア州所在)イー・コリタンパク質発現ベクターに、メーカーの使用説明に従って、クローニングした。タンパク質発現構築物は、エンテロキナーゼ切断部位、XpressエピトープおよびヘキサHis配列を含む36アミノ酸N末端タグを含む。生成pFJMSV47.3/8プラスミドDNA構築物をWaikato DNA Sequencing Facility(Hamilton、ニュージーランド所在)において配列決定して、配列同一性を確認した。46ngのpFJMSV47.3/8プラスミドDNAでBL21Star化学的コンピテントタンパク質発現イー・コリ株(Invitrogen、カリフォルニア州所在)を形質転換して、メーカーの実施要領(Invitrogen、カリフォルニア州所在)に従って、タンパク質発現のパイロット実験を実施した。マウスモノクローナル抗Xpress−HRP抗体(Invitrogen、カリフォルニア州所在)および抗MSV−ウサギポリクローナル抗体(Agresearch)を使用するウェスタンブロット分析により、IPTGに誘起されたBL21Starイー・コリ細胞抽出物中のroMSV47タンパク質の発現を確認した。
oMSV47組換えタンパク質の大規模な発現のために、3.6リットルのTerrific Broth(Sigma、ミズーリ州所在)を100μg/mlのカルベニシリン(Invitrogen、カリフォルニア州所在)および1%グルコースで補充して、それにタンパク質発現イー・コリ株の一晩培養物400mlを接種した。0.8OD600の密度でIPTGを培養培地に添加することにより(1mMの最終濃度で)、タンパク質発現を誘起し、37℃、250rpmで4時間振盪して、細胞に組換えタンパク質を発現させた。培地を4℃、5000×gで10分間遠心分離にかけることにより、タンパク質を発現している細胞を捕集して、蒸留水で洗浄した。イー・コリ細胞は100mlの溶解緩衝液(6MグアニジンHCl、pH7.8の20mM NaHPO、500mM NaCl、5mM 2−メルカプトエタノール、Completeプロテアーゼ阻害剤[Roche Diagnostic、米国所在])に溶解し、氷上で超音波処理して細胞を完全に溶解させた。イー・コリ細胞溶解物は18ゲージのニードルに5回通してゲノムDNAを破壊した。細胞破片を、4℃、3000×gで15分間の遠心分離により除去した。次に溶解物を5mlのNi−NTAアガロース樹脂と共に室温で1時間穏やかに振盪してインキュベートした。樹脂を細胞溶解物から分離して、10mlの変性結合緩衝液(8M尿素、pH7.8の20mM NaHPO、500mM NaCl、5mM 2−メルカプトエタノール)で2回洗浄した。樹脂は、変性洗浄緩衝液(8M尿素、pH6.0の20mM NaHPO、500mM NaCl、5mM 2−メルカプトエタノール)でさらに4回洗浄した。
組換えタンパク質は、10mlの変性溶離緩衝液(8M尿素、pH4.0の20mM NaHPO、500mM NaCl、5mM β−メルカプトエタノール)で樹脂から溶離させて、SnakeSkin透析管中(MWCO 3,500、Pierce、イリノイ州所在)で、500容の透析緩衝液(pH8.5の20mMトリスHCl、150mM NaCl)に対して4℃で24時間透析した。透析したタンパク質のタンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA、Sigma、ミズーリ州所在)タンパク質アッセイを使用して定量した。組換えタンパク質のサイズ、純度および同定は、ウェスタンブロット分析により検証し、その生物活性はマウスC12筋芽細胞増殖アッセイで試験した。
12マウスおよび始原ヒツジ筋芽細胞を使用する増殖アッセイ:
roMSV47が筋細胞の増殖を促進することを示すために、C12マウスおよび始原ヒツジ筋芽細胞を使用した。筋芽細胞は、96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen、カリフォルニア州所在)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた200μlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen)中で、ウェル当たり1000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、0、0.01、0.1、1または10μg/mlのoMSV47を含むDMEM10%FBS試験培地で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで60時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを各ウェルに添加して、室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計を使用して655nmで吸光度を測定した(図9)。吸光度対細胞数のプロットは、知りたい範囲で直線的であることが見出された(1cm当たり4000から30000細胞、Oliverら、1989年)。
roMSV47/標準的ミオスタチン競合アッセイ:
roMSV47と標準的ミオスタチンとの競合は、C12マウス筋芽細胞で実施した。筋芽細胞は、96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen、カリフォルニア州所在)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた200μlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen)中で、ウェル当たり1000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、添加したタンパク質を含まない、1.5μg/mlの組換えウシミオスタチンを単独でならびにroMSV47を1、5および10のモル比で組み合わせて含む、ならびにミオスタチンなしで同量のroMSV47を含むDMEM10%FBS試験培地で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで60時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)緩衝液で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを各ウェルに添加して室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計(VersaMax、Molecular Devices、カリフォルニア州所在)を使用して655nmで吸光度を測定した。
roMSV47、roMSVα1、roMSVα2、roMSVL18、rhMSV38のC12マウス筋芽細胞増殖に対する効果
MSVペプチドそれぞれが筋細胞の増殖を促進することを示すために、C12マウス筋芽細胞を使用した。筋芽細胞は、96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen、カリフォルニア州所在)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた200μlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen)中で、ウェル当たり1000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、0、0.01、0.1、1、5または10μg/mlのそれぞれのペプチドを含むDMEM2.5%FBS試験培地で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで80時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを各ウェルに添加して、室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計(VersaMax、Molecular Devices、カリフォルニア州所在)を使用して655nmで吸光度を測定した。
rhMSV38およびroMSV47はヒト始原筋芽細胞を刺激して増殖させる
rhMSV38およびroMSV47がヒト骨格筋細胞を刺激して複製することができることを示すために、それらを増殖アッセイで試験した。ヒト骨格筋細胞(Cambrex、オーストラリア所在)は、96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Cambrex、オーストラリア所在)で補充した200μlの骨格筋基礎培地(Cambrex、オーストラリア所在)中で、ウェル当たり2000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。5%胎児ウシ血清(FBS、Invitrogen、カリフォルニア州所在)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させ、各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、0、0.1、1、5または10μg/mlのrhMSV38またはroMSV47タンパク質を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen、カリフォルニア州所在)で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで96時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを各ウェルに添加して、室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計(VersaMax、Molecular Devices、カリフォルニア州所在)を使用して655nmで吸光度を測定した。
roMSV47は、マウスC12筋芽細胞の増殖アッセイで成熟ミオスタチンに打ち勝つ
筋芽細胞は、96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen、カリフォルニア州所在)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた200μlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen)中で、ウェル当たり1000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、添加したタンパク質を含まない、1.5μg/mlの組換えミオスタチンを単独でならびにroMSV47を1、5および10のモル比で組み合わせて含む、ならびにミオスタチンなしで同量のroMSV47を含むDMEM10%FBS試験培地で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで69時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)緩衝液で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを各ウェルに添加して室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計(VersaMax、Molecular Devices、カリフォルニア州所在)を使用して655nmで吸光度を測定した。
rhMSV38は、ヒト始原筋芽細胞の増殖アッセイで成熟ミオスタチンに打ち勝つ
ヒト骨格筋筋芽細胞(Cambrex、オーストラリア所在)を、96ウェルの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Cambrex、オーストラリア所在)で補充した200μlの骨格筋基本培地(Cambrex、オーストラリア所在)中で、ウェル当たり2000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。5%胎児ウシ血清(FBS、Invitrogen、カリフォルニア州所在)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた、添加したタンパク質を含まない、1.5または3.0μg/mlの組換えウシ成熟ミオスタチンを単独でおよびrhMSV38をミオスタチンに対して0.3、1、3、10のモル比で組み合わせて含む、ならびにミオスタチンなしで同量のrhMSV38含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen)で、各試験培地について8複製の(n=8)セミランダム配置で、培地を置換した。プレートを37℃、5%COで48時間インキュベートしてから、培地を除去した。ウェルを200μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、Oxoid、英国所在)緩衝液で洗浄し、100μlの10%ホルムアルデヒド、0.9%NaCl溶液で少なくとも1時間固定した。次に固定液を除去して、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中1%のメチレンブルー染色液100μlを各ウェルに添加して、室温で30分間インキュベートした。過剰の染色液は、ホウ酸緩衝液で4回続けて洗浄することにより除去した。メチレンブルーを、100μlの1:1(v/v)エタノール/0.1HClの添加により細胞から溶出させた。プレートを穏やかに振盪して、マイクロプレート光度計(VersaMax、Molecular Devices、カリフォルニア州所在)を使用して655nmで吸光度を測定した。
roMSV47は、C12マウス筋芽細胞におけるミオスタチンmRNA発現を急性的におよび慢性的に下方制御する
12筋芽細胞は、直径10cmの組織培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク所在)に、胎児ウシ血清(FBS、10%v/v、Invitrogen、カリフォルニア州所在)、ペニシリン(1×10IU/l、Sigma、St Louis、ミズーリ州、米国所在)およびストレプトマイシン(100mg/l、Sigma)で補充し、pH指示薬としてフェノールレッド(7.22nmol/l)を含むNaHCOで緩衝させた10mlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen)中で、1cm当たり3000細胞の細胞密度で播種し、5%CO、37℃で一晩インキュベートした。8プレートの1セット(慢性処置、「A」と命名した)に対して、培地を試験培地、すなわち0または10μg/mlのoMSV47で補充し、2.5%FBSを含むDMEMで置換した(n=4)。次にプレート「A」を37℃、5%COで48時間インキュベートした。他の8プレートの1セット(急性処置、「B」と命名した)については、プレート培地を2.5%FBSを含むDMEMで置換して、37℃、5%COで48時間インキュベートし、続いて新鮮な試験培地、すなわち0または10μg/mlのoMSV47で補充し、2.5%FBSを含むDMEMで置換した(n=4)。次に、プレート「B」を37℃、5%COで6時間インキュベートした。処理をした後、プレートを10mlのPBS緩衝液中で洗浄し、細胞を2mlのトリゾール試薬で補集した。メーカー(Invitrogen、カリフォルニア州所在)の手順書に従って、全RNAをトリゾール試薬で単離した。RNAをジエチルピロカーボネートで処理した水に再懸濁して、全RNA濃度を260nmの吸光度を測定することにより(Nanodrop Spectrophotometer、デラウェア州、米国所在)定量した。5μgの全RNAを、Superscript III Pre−Amplificationキット(Invitrogen、カリフォルニア州所在)を使用して、メーカーの手順書に従って逆転写した。マウスミオスタチン(nt715〜796)のエクソン2/3境界にまたがる範囲を含むオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。順方向プライマー:5’−GCTGTAACCTTCCCAGGACC−3’(配列番号132)および逆方向プライマー:5’−GGGACCTCTTGGGTGTGTCT−3’(配列番号133)。PCRは、各LightCycler反応に対して次のマスター混合物と2.5μlの逆転写酵素反応液で実施した:4.5μlの水、0.5μlの10μMプライマーおよび2.0μlのLightCycler FastStart DNA Master plus SYBR Green I試薬(Roche Diagnostics)。マウス筋肉の逆転写酵素反応液の一連の希釈液を標準として使用した。次の実験実施手順を使用した:変性(95℃で5分間)、増幅(95℃で5秒間、62℃で10秒間、72℃で20秒間、単回蛍光測定、50サイクル)、LightCycler 2.0 PCR機(Roche Diagnostics)での溶融曲線(連続的に蛍光測定しながら毎秒0.1℃の加熱速度で60〜95℃)。標準曲線(Roche Diagnostics)を使用して、Lightcyclerソフトウェアにより、任意単位の濃度を計算した。
11.癌が誘起した悪液質の期間における筋肉質量に対するMSVの影響
腹水肝癌130(AH130)はVicki Baracos博士(アルバータ大学、Edmonton、アルバータ州、カナダ所在)からのギフトとして入手し、50%DMSOおよび10%BSAの溶液で液体窒素中クライオバイアルに入れて保存した。一定分量を取り出して解凍し、3匹のドナーラットの各々に1mlを腹腔中に注射して、7日間増殖させた。ラットはCO窒息とそれに続く頸椎脱臼により殺した。腹水を回収して、100μlを14匹のレシピエント雄ラット(280±6g)の各々の腹腔内に注射した。等量の食塩水を7匹の対照ラットの腹腔内に注射した。AH130腫瘍を接種した14匹のラットのうち7匹に毎日2回、roMSV47を、1μg/g体質量の用量で無菌食塩水により希釈して1mlの容量にして皮下注射した。腫瘍を接種した残りの7匹のラットおよび7匹の対照ラットには、各々毎日2回、1mlの無菌食塩水を皮下注射した。腫瘍の成長は6日間進行させるに任せて、その時点ですべてのラットを上記のようにして殺した。死亡時に各ラットから血液試料を心臓穿刺により採取して、抗凝血剤としてEDTAを含むチューブに入れた。血清を回収して、一定分量をクレアチンキナーゼ(CK)アッセイのために−20℃で凍結保存した。腹腔内の腹水は注射器で取り出し、容量を記録した。右後肢の6カ所の筋肉(大腿二頭筋、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋および大腿四頭筋)を切り出して、それらの質量を記録した。
AH130実験における骨格筋の質量は、初期体重(d0)に対する比率として合計して表し、データは対照ラット(腫瘍を接種しなかったラット)の筋肉質量と比較して表した。
クレアチンキナーゼアッセイ
CK−NACは市販キット(Randox laboratories Ltd、英国所在)でアッセイした。反応容量は、アッセイを96ウェルのマイクロタイタープレートで実施できるように比例的に規模を縮小して、試料は3重にアッセイして(CK−NAC)、メーカーの取扱い説明に従って1分当たりのU/L変化として読み取った。
アッセイ、増殖および競合の検討は、スチューデントt検定またはGenstat8.0(1)の統計ソフトウェアパッケージによるANOVAを使用して分析した。
前出の記載が、既知の同等物を有する構成物全体または構成要素を参照している場合には、そのような同等物を個々に説明したかのように本明細書に組み込む。
本発明を、実施例により、およびその可能な実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく改良および/または変更を行うことができることは理解されるべきである。
参考文献
Baracos VE, C DeVivo, DHR Hoyle and AL Goldberg. Activation of the ATP-ubiquitin-proteasome pathway in skeletal muscle of cachectic rats bearing a hepatoma. Am J Physiol 268:E996-E1006, 1995.

Bogdanovich S, Krag TO, Barton ER, Morris LD, Whittemore LA, Ahima RS, Khurana TS. (2002) Functional improvement of dystrophic muscle by myostatin blockade. Nature 420: 418-21.

Bradley, P., Misura, K.M.S. and Baker, D. (2005) Toward High-Resolution de Novo Structure Prediction for Small Proteins. Science 309, 1868 -1871.

Buck M and M Chojkier. Muscle wasting and dedifferentiation induced by oxidative stress in a murine model of cachexia is prevented by inhibitors of nitric oxide synthesis and antioxidants. EMBO J 15: 1753-1765, 1996.

Celolto, A.M. and Graveley B.R. (2002) Exon- specific RNAi: A tool for dissecting the functional relevance of alternate splicing. RNA 8:718-724.

Dubois CM, Blanchette F, Laprise MH, Leduc R, Grondin F, Seidah NG (2001) Evidence that furin is an authentic transforming growth factor-beta1-converting enzyme. Am J Pathol 158:305-16.

Dubois CM, Blanchette F, Laprise MH, Leduc R, Grondin F, Seidah NG. (2001) Evidence that furin is an authentic transforming growth factor-beta1-converting enzyme. Am J Pathol 158: 305-16.

Gonzalez-Cadavid NF, Taylor WE, Yarasheski K, Sinha-Hikim I, Ma K, Ezzat S, Shen R, Lalani R, Asa S, Mamita M, Nair G, Arver S, Bhasin S. (1998) Organization of the human myostatin gene and expression in healthy men and HIV-infected men with muscle wasting. Proc Natl Acad Sci USA 95: 14938-43.

Grobet L, Martin LJ, Poncelet D, et al. (1997) A deletion in the bovine myostatin gene causes the double-muscled phenotype in cattle. Nat Genet 17:71-74.

Hamrick MW (2003) Increased bone mineral density in the femora of GDF8 knockout mice. Anat Rec 272A(1): 388-91.

Hill JJ, Davies MV, Pearson AA, et al. (2002) The myostatin propeptide and the follistatin-related gene are inhibitory binding proteins of myostatin in normal serum. J Biol Chem 277: 40735-40741.

Hill JJ, Qiu Y, Hewick RM. (2003) Regulation of myostatin in vivo by growth and differentiation factor-associated serum protein-1: a novel protein with protease inhibitor and follistatin domains. Mol Endocrinol 17: 1144-1154.

Jiang MS, Liang LF, Wang S, Ratovitski T, Holmstrom J, Barker C, Stotish R. (2004) Characterization and identification of the inhibitory domain of GDF-8 propeptide. Biochem Biophys Res Commun 315: 525-31.


Joulia D, Bernardi H, Garandel V, Rabenoelina F, Vernus B, Cabello G. (2003) Mechanisms involved in the inhibition of myoblast proliferation and differentiation by myostatin. Exp Cell Res 286: 263-75.

Kambadur, R., Sharma, M., Smith, T.P. and Bass, J.J. (1997) Mutations in myostatin (GDF-8) in double muscled Belgian Blue and Piedmontese Cattle. Genome Res 7: 910-916.

Langley B, Thomas M, Bishop A, et al. (2002) Myostatin inhibits myoblast differentiation by down-regulating MyoD expression. J Biol Chem 277: 49831-49840.

Langley B, Thomas M, McFarlane C, Gilmour S, Sharma M, Kambadur R. (2004) Myostatin inhibits rhabdomyosarcoma cell proliferation through an Rb-independent pathway. Oncogene 23: 524-34.

Lee SJ, McPherron AC. (2001) Regulation of myostatin activity and muscle growth. Proc Natl Acad Sci USA 98: 9306-9311.

Ma K, Mallidis C, Bhasin S, Mahabadi V, Artaza J, Gonzalez-Cadavid N, Arias J, Salehian B. (2003) Glucocorticoid-induced skeletal muscle atrophy is associated with upregulation of myostatin gene expression. Am J Physiol Endocrinol Metab 285: E363-E371.

McCroskery S, Thomas M, Maxwell L, Sharma M, Kambadur R. (2003) Myostatin negatively regulates satellite cell activation and self-renewal. J Cell Biol 162: 1135-47.

McPherron AC, Lawler AM, Lee SJ. (1997) Regulation of skeletal muscle mass in mice by a new TGF-beta superfamily member. Nature 387: 83-90.

McPherron AC, Lee SJ. (1997) Double muscling in cattle due to mutations in the myostatin gene. Proc Natl Acad Sci USA 94:12457-12461.

McPherron AC, Lee SJ (2002) Suppression of body fat accumulation in myostatin-deficient mice. J Clin Invest 109: 595-601.

Montarras D, Chelly J, Bober E, Arnold H, Ott MO, Gros F, Pinset C.(1991) Developmental patterns in the expression of Myf5, MyoD, myogenin, and MRF4
during myogenesis. New Biol 3: 592-600.

Nicholas G, Thomas M, Langley B, et al. (2002) Titin-cap associates with, and regulates secretion of, myostatin. J Cell Physiol 193: 120-131.

Oliver MH, Harrison NK, Bishop JE, Cole PJ, Laurent GJ. (1989) A rapid and convenient assay for counting cells cultured in microwell plates: application for assessment of growth factors. J Cell Sci 92: 513-518.

Rebbapragada A, Benchabane H, Wrana JL, Celeste AJ, Attisano L. (2003) Myostatin signals through a transforming growth factor beta-like signaling pathway to block adipogenesis. Mol Cell Biol 23: 7230-42.

Rios R, Carneiro I, Arce VM, Devesa J. (2001) Myostatin regulates cell survival during C2C12 myogenesis. Biochem Biophys Res Commun 280: 561-566.

Seidah NG, Chretien M (1997) Eukaryotic protein processing: endoproteolysis of precursor proteins. Curr Opin Biotechnol 8:602-7.

Seidah NG, Chretien M (1999) Proprotein and prohormone convertases: a family of subtilases generating diverse bioactive polypeptides. Brain Res 848:45-62.

Sharma M, Kambadur R, Matthews KG, Somers WG, Devlin GP, Conaglen JV, Fowke PJ, Bass JJ. (1999) Myostatin, a transforming growth factor-beta superfamily member, is expressed in heart muscle and is upregulated in cardiomyocytes after infarct. J Cell Physiol 180:1-9.

Spiller MP, Kambadur R, Jeanplong F, Thomas M, Martyn JK, Bass JJ, Sharma M. (2002) The myostatin gene is a downstream target gene of basic helix-loop-helix transcription factor MyoD. Mol Cell Biol 22: 7066-82.

Steiner FD (1998) The protein convertases. Curr Opin Chem Biol 2:31-39.

Taylor WE, Bashin S, Artaza J, et al. (2001) Myostatin inhibits cell proliferation and protein synthesis in C2C12 muscle cells. Am J Physiol Endocrinol Metab 280: E221-E228.

Thies RS, Chen T, Davies MV, Tomkinson KN, Pearson AA, Shakey QA, Wolfman NM. (2001) GDF-8 propeptide binds to GDF-8 and antagonizes biological activity by
inhibiting GDF-8 receptor binding. Growth Factors 18:251-9.

Thomas M, Langley B, Berry C, et al. (2000) Myostatin, a negative regulator of muscle growth, functions by inhibiting myoblast proliferation. J Biol Chem 275: 40235-40243.

Uprichard, S.L. (In Press) The therapeutic potential of RNA interference. Febs letters.

Wang H, Zhang Q, Zhu D. (2003) hSGT interacts with tha N-terminal region of myostatin. Biochem Biophys Res Commun 311: 877-883.

Wyss M and R Kaddurah-Daouk. Creatine and creatinine metabolism. Physiological Reviews 80: 1107-1213, 2000.

Yang J, Ratovitski T, Brady JP, Solomon MB, Wells KD, Wall RJ. (2001) Expression of myostatin pro domain results in muscular transgenic mice. Mol Reprod Dev 60: 351-61.

Zachwieja JJ, Smith SR, Sinha-Hikim I, Gonzalez-Cadavid N, Bhasin S (1999) Plasma myostatin-immunoreactive protein is increased after prolonged bed rest with low-dose T3 administration. J Gravit Physiol 6: 11-5.

Zimmers TA, Davies MV, Koniaris LG, Haynes P, Esquela AF, Tomkinson KN, McPherron AC, Wolfman NM, Lee SJ. (2002) Induction of cachexia in mice by systemically administered myostatin. Science 296:1486-s8.
ミオスタチン遺伝子、ならびに標準的mRNAおよび変異mRNA(oMSV、bMSVh/fおよびbMSVbb)を生成させるRNAスプライシングの模式的表示を示す図である。 エクソン1および2の境界を越えて伸びるプローブ(Ex1/2)および標準的ミオスタチンのポリアデニル化部位を越えてヒツジミオスタチン遺伝子の3’−UTRに相補的なプローブ(MSV1およびMSV2と命名)を使用して、標準的ヒツジミオスタチン(Mstn)およびMSV mRNAの存在を検出するノーザンブロットを示す図である。これらのデータは、2つのmRNA種が、両方のmRNA種に共通のプローブ配列が使用されたときに、検出されたことを示す。しかしながら、標準的ミオスタチンのポリアデニル化部位の3’−UTRに遠位であるが、MSVの長い方の3’−UTR内にある領域に特異的なプローブを使用したときに、単一のmRNA種のみが存在した(A=ポリアデニル化RNA、T=RNA全体)。これらのデータは、ヒツジMSVタンパク質が4.5kbのmRNA分子によってコードされていることを示唆する。 マウスC12筋芽細胞(3A)およびヒツジ始原筋芽細胞(3B)の増殖に対する組換えヒツジMSV65タンパク質の効果を示す図である。筋芽細胞は、roMSV65を濃度を増加させて存在させ(0から10μg/ml)、72時間増殖させた。細胞増殖はメチレンブルーアッセイにより定量した(655nmにおける光学密度で)。値は平均±SEM(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)である。 分化したC12筋管中のミオゲニンタンパク質の量(平均±SEM)に対する組換えヒツジMSV65タンパク質の効果を示す図である。筋芽細胞は、MSV65を濃度を増加させて存在させ(0、0.1、1、10μg/ml、n=3)、またはそれを存在させずに(対照、n=3)、72時間分化させた。全タンパク質を細胞から抽出し、ミオゲニンの存在比をウェスタンブロット分析により定量した(p<0.1、**p<0.01)。 12筋管中の発性ミオシン重鎖(dMHC)タンパク質発現量に対する組換えヒツジMSV65の効果を示す図である。筋芽細胞は、分化培地中で、0、0.1、1および10μg/ml(n=3)のroMSV65で72時間処理し、dMHCタンパク質レベルを、筋細胞から抽出した全タンパク質についてウェスタンブロット分析を使用して検出した。値は平均±SEMSEM(***p<0.001)である。 増殖中のC12筋芽細胞におけるp21タンパク質量レベル(平均±SEM)に対する組換えヒツジMSV65の効果を示す図である。筋芽細胞は、roMSV65を濃度を増加させて存在させ(0、0.1、1および10μg/ml、n=3)、またはそれを存在させずに(対照、n=2)、48時間成長させた。全タンパク質を細胞から抽出し、p21のレベルをウェスタンブロット分析により定量した(p<0.05、**p<0.01)。 増殖中のC12筋芽細胞における増殖細胞核抗原(PCNA)タンパク質量レベル(平均±SEM)に対する組換えヒツジMSV65の効果を示す図である。筋芽細胞は、oMSV65を濃度を増加させて存在させ(0、0.1、1および10μg/ml、n=3)、またはそれを存在させずに(対照、n=2)、48時間成長させた。全タンパク質を細胞から抽出し、PCNAのレベルをウェスタンブロット分析により定量した(p<0.1、**p<0.05)。 ウェスタンイムノブロットを使用する、種々の種の組織中のMSVタンパク質の同定を示す図である。タンパク質試料は、10%(8A)または15%(8B、C)SDS−PAGEにより分離して、ニトロセルロース膜に移行させた。ブロットを、プロペプチド特異的(8A)または成熟MSV特異的ポリクローナル抗体(8BおよびC)でプロービングした。ヒツジにおける前駆体(37kDa)、プロペプチド(29kDa)および推定成熟型の2量体(11kDa)のMSVタンパク質の予想されるサイズを矢印で示す。 使用した略記号:hypoth−視床下部、hu−ヒト、sh−ヒツジ、mo−マウス(8A、B)、mo−月(8C)、UN−栄養不良の、y−年、♀−雌、♂−雄 ミオスタチン(Mstn)およびroMSV65で、およびそれらなしで指示したように処理したマウスC12筋芽細胞の48時間増殖の平均(±SEM)を示す図である。これらのデータは、roMSV65が、第1にマウス筋芽細胞の増殖を促進したこと、第2に始原ヒト筋芽細胞増殖のミオスタチン誘起阻害に打ち勝って、回復を越える増殖を促進したことを示す。roMSV65の用量は、アッセイの第2部で使用する1.5μg/mlMstnに対するモル比(x)で表す。不等号は有意性を示す(a、b P<0.1)。記号およびアステリスクは、各群におけるT字バーに対する有意性を示す(P<0.1、P<0.05、n=8)。 マウスC12筋芽細胞の増殖に対するroMSV47タンパク質の効果を示す図である。筋芽細胞はroMSV47を濃度を増加させて(1〜10,000ng/ml)存在させ、60時間成長させた。細胞の増殖はメチレンブルーアッセイにより定量した(665nmにおける吸光度)。ダガーおよびアステリスクは時間0からの有意な差を示す(P<0.1、***P<0.001)。 ミオスタチン(Mstn)およびroMSV47で、およびそれらなしで指示したように処理したマウスC12筋芽細胞の69時間の増殖の平均(±SEM)を示す図である。roMSV47の用量は、アッセイの第2部で使用する1.5μg/mlMstnに対するモル比(x)で表してある。不等号は有意性を示す(a、b P<0.001)。アステリスクは、各群におけるT字バーに対する有意性を示す(**P<0.01、***P<0.001、n=8)。 Aは、マウスC12筋芽細胞の80時間にわたる増殖に対するroMSV47およびrhMSV38の効果を示す図である。Bは、ヒト筋芽細胞の96時間にわたる増殖に対するroMSV47およびrhMSV38の効果を示す図である(n=8)。細胞の増殖はメチレンブルーアッセイにより定量した(665nmにおける吸光度)。記号は対照(0μg/ml MSV)からの有意性を示し(NS=有意性なし、P<0.1、P<0.05、***P<0.001)、特定の濃度に対してアステリスクが1つだけ使用されている場合、その有意性はroMSV47およびrhMSV38の両方に適用される。 ミオスタチン(Mstn)およびrhMSV38で、およびそれらなしで指示したように処理した始原ヒト筋芽細胞の48時間の増殖の平均(±SEM)を示す図である。rhMSV38の用量は、第2部で使用する1.5μg/mlMstn、または第3部で使用する3μg/mlMstnに対するモル比(x)で表してある。不等号は有意性を示す(a、b P<0.1、a、c P<0.01)。アステリスクは、各群におけるT字バーに対する有意性を示す(**P<0.01、***P<0.001、n=8)。 2.5%のウシ胎児血清で補充したDMEM培地で48時間成長させたC12筋芽細胞の別々の集団において、roMSV47(MSV)で、およびそれなしで処理したマウスC12筋芽細胞を長期間(接種から48時間、n=4)または短期で6時間(48時間から54時間まで、n=4)増殖させる間に、リアルタイムPCRにより定量したミオスタチン発現の平均(±SEM)を示す図である。アステリスクは、対照からの有意な差を示す(Con、P<0.05、***P<0.001)。 MSVの推定生物活性ドメインを示す図である。in silico分析(GCGソフトウェア、Accelrys Inc.、San Diego、カリフォルニア州、米国所在)は、ウシ(家畜ウシ)、ヒツジおよびブタMSV配列における2つのαヘリックスを予測した。対照的に、示したその他の種において、ペプチド配列は、第1のαヘリックスのC末端で終止している。推定タンパク質分解的切断部位(R−(R/K)↑X−I)をコンセンサス配列の下に示すが、それはペプチドC末端を矢印のところで切断するタンパク質前駆体変換酵素SKI−Iにより認識される部位と一致した(SeidahおよびChretien、1999年)。双方向矢印およびそれに付随する表示は、本明細書で開示したように合成されたかまたは組換えで発現させて試験したペプチドの同定を示す(s=合成された、r=イー・コリ中で組換えにより発現させた、h=ヒトの、o=ヒツジの、soMSVP18=推定切断部位に先行する18アミノ酸、roMSVL18=第1ヘリックスのC末端6アミノ酸から第2αヘリックス中の最初のN末端6アミノ酸を含むまでの18アミノ酸リンカー)。ヘリックス中のアミノ酸のイオン電荷は、α−ヘリックス1が掲載したすべての配列に対して一貫したパターンを有し、アミノ酸が相違するところで、それらのアミノ酸は同一の電荷を有することを示している。例外はヒツジおよびウシMSVで、それらはαヘリックス1の残基17(図15の35位)で、極性(T)よりも疎水性(A)残基を有していた。イオン電荷の一貫したパターンは、αヘリックス2に対しても明らかであった(αヘリックス1は塩基性残基を有さず、αヘリックス2は酸性残基を有しない(H=疎水性、P=極性、A=酸性、B=塩基性))。 ヒツジMSVの第1アルファヘリックス(roMSVα1)で、その量を増加させて処理したマウスC12筋芽細胞の72時間増殖の平均(±SEM)を示す図である(n=8)。細胞の増殖はメチレンブルーアッセイにより定量した(655nmにおける吸光度)。アステリスクは、対照からの有意性を示す(roMSVα1無添加、**P<0.01、***P<0.001)。 roMSV47、roMSVα1、roMSVα2およびroMSVL18で、それらの量を増加させて処理したマウスC12筋芽細胞の80時間増殖の平均(±SEM)を示す図である(n=8)。細胞の増殖はメチレンブルーアッセイにより定量した(655nmにおける吸光度)。アステリスクは、対照からの有意性を示す(ペプチド無添加、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。 AH130腫瘍を注射されたラットにおける筋肉消耗度に対する組換えヒツジ(ro)MSV47タンパク質の効果を示す図である。ラットは第0日に無菌食塩水を接種し(対照、n=7)、2群に100μlのAH130を腹腔内に注射し第6日に殺した。対照およびAH130処理ラットの1群(AH130対照、n=7)に、6日間毎日2回無菌食塩水を皮下注射し、一方AH130接種ラットの第2群には1μgのroMSV47/g体質量を毎日2回皮下注射した(n=7)。大腿二頭筋、腓腹筋、前脛骨筋、大腿四頭筋、足底筋およびヒラメ筋の合計湿潤質量からの筋肉質量を、初期体質量に対する比率(%)として非癌対照に比較して表した。アステリスクは、AH130癌対照からの有意差があることを示す(P<0.05)。 AH130腫瘍を担持するラットにおいて、クレアチンキナーゼ(CK)平均濃度が、対照ラットに比較して、第6日に低下していたことを示す図である。対照的に、AH130腫瘍を担持するが、6日間毎日2回roMSV47(MSV)を注射した(1μg/g体質量、皮下注射)ラットにおいては、CK濃度はそれほど顕著に低下しなかった。不等号は有意性を示す(a、b P<0.01;a、c P<0.01;b、c P<0.05)。

Claims (59)

  1. 式:
    I F L E X Q X C S I L X
    10
    [式中、XはIまたはLであり;XはVまたはLであり;XはY、C、GまたはSであり;XはIまたはFであり;XはFまたはLであり;XはGまたはEであり;XはEまたはVであり;XはAまたはTであり;XはAまたはVであり;およびX10は存在しないか、FまたはLである]
    で示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  2. (a)配列番号48−95のいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (b)(a)のポリペプチドのフラグメントまたは変種を含むポリペプチド;および
    (c)(a)のポリペプチドと95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリペプチド
    から選択される、単離されたポリペプチド。
  3. 配列番号48−95のいずれか1つのアミノ酸配列または少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドであって、筋芽細胞増殖促進能を有するところの、単離されたポリペプチド。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列またはそれに相補的な配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  5. (a)配列番号1ないし47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
    (b)(a)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド;
    (c)(a)のポリヌクレオチドと95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
    (d)(a)ないし(c)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;および
    (e)(a)ないし(c)のいずれか1つの逆相補鎖
    から選択される、単離されたポリヌクレオチド。
  6. 配列番号1ないし47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列あるいは筋芽細胞増殖促進能を有するペプチドをコードする80%の配列同一性を有するその変種を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  7. 請求項4ないし6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を含む、ベクター。
  8. 発現ベクターである、請求項7記載のベクター。
  9. 作動可能な結合にて、
    (a)プロモーター配列;
    (b)請求項4ないし6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド;および
    (c)遺伝子終止配列
    を含む、請求項7または請求項8記載のベクター。
  10. ポリヌクレオチドがセンス方向にある、請求項9記載のベクター。
  11. ポリヌクレオチドがアンチセンス方向にある、請求項9記載のベクター。
  12. 請求項7ないし11のいずれか一項に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  13. 請求項7ないし11のいずれか一項に記載のベクターを含有する、1つまたは複数の細胞を含む、宿主動物。
  14. (a)請求項1ないし3のいずれか一項に記載のポリペプチド;
    (b)請求項4ないし6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド;
    (c)請求項7ないし11のいずれか一項に記載のベクター;
    (d)(a)のフラグメントまたは変種;
    (e)(b)のいずれか1つの相補鎖;
    (f)(b)の逆相補鎖;および
    (g)(b)、(e)または(f)のいずれか1つのアンチセンスポリヌクレオチド
    のいずれか1つの化合物を含む、筋肉の成長を制御する組成物。
  15. 化合物がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項14記載の組成物。
  16. 化合物が干渉RNA分子である、請求項14または請求項15記載の組成物。
  17. 化合物がRNAiまたはsiRNAである、請求項16記載の組成物。
  18. (a)請求項1ないし3のいずれか1つに記載のポリペプチド;
    (b)請求項1ないし3のいずれか1つに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列またはそれに相補的な配列を含むポリヌクレオチド;
    (c)(i)配列番号1ないし47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
    (ii)(i)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド;
    (iii)(i)のポリヌクレオチドに対して95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;および
    (iv)(i)ないし(iii)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
    からなる群から選択されるポリヌクレオチド;
    (d)(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター;
    (e)発現ベクターであるところの、(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター;
    (f)作動可能に結合した、プロモーター、(b)または(c)のポリヌクレオチドおよび遺伝子終止配列を含むベクター;および
    (g)(b)または(c)によるポリペプチド産物の発現を阻害または実質的に損なうことができるアンチセンスポリヌクレオチド
    からなる群から選択された組成物を投与することを含む、筋肉の成長を制御する方法。
  19. (a)請求項1ないし3のいずれか1つに記載のポリペプチド;
    (b)請求項1ないし3のいずれか1つに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列またはそれに相補的な配列を含むポリヌクレオチド;
    (c)(i)配列番号1ないし47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
    (ii)(i)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド;
    (iii)(i)のポリヌクレオチドに対して95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;および
    (iv)(i)ないし(iii)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
    からなる群から選択されるポリヌクレオチド;
    (d)(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター;
    (e)発現ベクターであるところの、(b)または(c)のポリヌクレオチドを含むベクター;
    (f)作動可能に結合した、プロモーター、(b)または(c)のポリヌクレオチドおよび遺伝子終止配列を含むベクター;および
    (g)(b)または(c)によるポリペプチド産物の発現を阻害または実質的に損なうことができるアンチセンスポリヌクレオチド
    からなる群から選択された組成物を投与することを含む、筋肉組織に関連する疾患の治療方法。
  20. 筋肉組織に関連する疾患が筋萎縮に付随する症状を含むところの、請求項19記載の方法。
  21. 筋萎縮に付随する症状が筋ジストロフィー、筋悪液質、筋萎縮症、筋肥大、疾患関連筋萎縮症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)からなる群から選択されるところの、請求項20記載の方法。
  22. 疾患関連筋萎縮症が癌またはHIV/AIDSに関連する筋肉消耗を含むところの、請求項21記載の方法。
  23. 筋肉組織に関連する疾患が心筋に関連する疾患を含むところの、請求項19記載の方法。
  24. 心筋に関連する疾患が梗塞を含むところの、請求項23記載の方法。
  25. (a)請求項1ないし3のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、またはそれに相補的な配列;
    (b)(i)配列番号1ないし47または96のいずれか1つのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
    (ii)(i)のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変種を含むポリヌクレオチド;
    (iii)(i)のポリヌクレオチドに対して95%、90%、80%または70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;および
    (iv)(i)ないし(iii)のいずれか1つの相補鎖であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
    からなる群からなる群から選択されるポリヌクレオチド;
    (c)(a)または(b)によるポリペプチド産物の発現を阻害または実質的に損なうことができるアンチセンスポリヌクレオチド;および
    (d)干渉RNA分子
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドに特異的に結合することのできる組成物を含む、MSV遺伝子発現の調節因子。
  26. アンチセンスポリヌクレオチドを含む、請求項25記載のMSV遺伝子発現の調節因子。
  27. 化合物がRNAiまたはsiRNA分子であるところの、請求項25記載のMSV遺伝子発現の調節因子。
  28. 請求項25ないし27のいずれか一項に記載の調節因子を患者に投与することを含む、該患者における筋肉組織に関連する疾患の治療方法。
  29. 筋肉組織に関連する疾患が筋萎縮に付随する疾患であるところの、請求項29記載の方法。
  30. 筋萎縮に付随する疾患が筋ジストロフィー、筋悪液質、筋萎縮症、筋肥大、疾患関連筋萎縮症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)からなる群から選択されるところの、請求項29記載の方法。
  31. 疾患関連筋萎縮症が癌またはHIV/AIDSに関連する筋肉消耗を含むところの、請求項30記載の方法。
  32. 筋肉組織に関連する疾患が心筋に関連する疾患を含むところの、請求項28記載の方法。
  33. 心筋に関連する疾患が梗塞を含むところの、請求項32記載の方法。
  34. プロペプチド変換酵素がMSVプロペプチドの活性MSVペプチドへの蛋白分解性プロセッシングを改変させるのに十分な条件下で十分な時間、MSVプロペプチドをプロペプチド変換酵素と接触させ、それによりMSV活性を調節することを含む、MSV活性の調節方法。
  35. 接触工程が、MSVプロペプチドを変換酵素のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させることを含む、請求項34記載の方法。
  36. プロペプチド変換酵素がフューリンエンドプロテアーゼを含むところの、請求項34または請求項35記載の方法。
  37. 筋肉組織関連の疾患を有し、MSVプロペプチドを含む対象に、プロペプチド変換酵素がMSVプロペプチドの活性MSVペプチドへの蛋白分解性プロセッシングを改変させるのに十分な条件下で十分な時間、該変換酵素を該対象に投与することを含む、筋肉組織に関連する疾患の治療方法。
  38. 投与工程が、MSVプロペプチドを変換酵素のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させることをさらに含むところの、請求項37記載の方法。
  39. プロペプチド変換酵素がフューリンエンドプロテアーゼであるところの、請求項37または請求項38記載の方法。
  40. 筋肉組織に関連する疾患が筋萎縮に付随する疾患であるところの、請求項37ないし39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 筋萎縮に付随する疾患が筋ジストロフィー、筋悪液質、萎縮症、肥大、疾患関連筋萎縮症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)のいずれから選択されるところの、請求項40記載の方法。
  42. 疾患関連筋萎縮症が癌またはHIV/AIDSと関連する筋肉消耗を含むところの、請求項41記載の方法。
  43. 筋肉組織に関連する疾患が心筋に関連する疾患であるところの、請求項37ないし39のいずれか一項に記載の方法。
  44. 心筋に関連する疾患が梗塞を含むところの、請求項43記載の方法。
  45. 請求項14ないし17のいずれか一項に記載の組成物;請求項25ないし27のいずれか一項に記載のMSV遺伝子発現の調節因子;プロペプチド変換酵素あるいはプロペプチド変換酵素のアゴニストもしくはアンタゴニストのいずれか1つを、動物に投与することを含む、該動物の筋肉成長を制御する方法。
  46. プロペプチド変換酵素がフューリンエンドプロテアーゼであるところの、請求項45記載の方法。
  47. 動物が筋肉増量しているところの、請求項45または請求項46記載の方法。
  48. i)動物から試料を得る工程、
    ii)配列番号1ないし47または96のいずれか1つの配列を有するポリヌクレオチド、配列番号1ないし47もしくは96に対して95%、90%、80%もしくは70%の同一性を有するポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメントもしくは変種からの遺伝子発現レベルを測定する工程、
    iii)遺伝子発現レベルを平均と比較する工程、および
    iv)該動物の筋肉量を予測する工程
    を含む、動物における筋肉量を予測する方法。
  49. 遺伝子発現のレベルが、ポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下で、核酸をハイブリダイズすることを含む方法により測定されるところの、請求項48記載の方法。
  50. 遺伝子発現のレベルがRT−PCRまたはノーザンブロット分析を用いて測定されるところの、請求項48または請求項49記載の方法。
  51. i)動物から試料を得る工程、
    ii)配列番号48ないし95のいずれか1つの配列を有するポリペプチド、配列番号48ないし95のいずれか1つと95%、90%、80%もしくは70%の同一性を有するポリペプチド、またはそれらのフラグメントもしくは変種の量を測定する工程、
    iii)ポリペプチドの量を平均量と比較する工程、および
    iv)該動物の筋肉量を予測する工程
    を含む、動物における筋肉量の予測方法。
  52. ポリペプチドの量が該ポリペプチドに特異的に結合する抗体を用いて該ポリペプチドを検出することを含む方法により測定されるところの、請求項51記載の方法。
  53. ポリペプチドの量がELISAまたはウェスタンブロット分析を用いて測定されるところの、請求項51または請求項52記載の方法。
  54. i)請求項48ないし53のいずれか1つの方法により筋肉量が増加している予測される1または複数の動物を選択する工程、および
    ii)筋肉量の増加した1または複数の動物を選択して繁殖させて、筋肉量の増加した1または複数の子孫を生成する工程
    を含む、動物の1または複数の子孫の筋肉量を増加させる方法。
  55. 動物が、ヒツジ、ウシ、シカ、家禽、シチメンチョウ、ブタ、ウマ、マウス、ラットまたはヒトから選択されるところの、請求項54記載の方法。
  56. (a)配列番号48ないし95のいずれか1つの配列、または
    (b)配列番号48ないし95のいずれか1つと95%、90%、80%もしくは70%の配列同一性を有する配列
    を有するポリペプチドに優先的に結合する、タンパク質。
  57. タンパク質が、抗体;非哺乳類の抗体;細菌免疫タンパク質;または当該分野において知られている任意の他のクラスの結合性タンパク質、配列番号47ないし95のいずれか1つの配列を有するポリペプチド、もしくは配列番号47ないし95のいずれか1つに95%、90%もしくは70%の配列同一性を有するポリペプチドに結合することができるようなタンパク質から誘導されるフラグメントもしくは誘導体のいずれか1つから選択されるところの、請求項56記載のタンパク質。
  58. 非哺乳類の抗体がサメから由来のIgNARクラスの抗体であるところの、請求項57記載のタンパク質。
  59. 細菌免疫タンパク質がイー・コリから由来のIMM7免疫タンパク質であるところの、請求項57記載のタンパク質。
JP2007534532A 2004-09-30 2005-09-30 ミオスタチンアイソフォーム Expired - Fee Related JP5335239B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
NZ535696 2004-09-30
NZ53569604A NZ535696A (en) 2004-09-30 2004-09-30 Myostatin splice variants ( MSV )
NZ53839605 2005-02-22
NZ538396 2005-02-22
PCT/NZ2005/000250 WO2006036074A1 (en) 2004-09-30 2005-09-30 Myostatin isoform

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2008514227A true JP2008514227A (ja) 2008-05-08
JP2008514227A5 JP2008514227A5 (ja) 2008-10-23
JP5335239B2 JP5335239B2 (ja) 2013-11-06

Family

ID=36119161

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007534532A Expired - Fee Related JP5335239B2 (ja) 2004-09-30 2005-09-30 ミオスタチンアイソフォーム

Country Status (6)

Country Link
US (2) US20080118487A1 (ja)
EP (1) EP1799709B1 (ja)
JP (1) JP5335239B2 (ja)
AT (1) ATE552272T1 (ja)
CA (1) CA2582940A1 (ja)
WO (1) WO2006036074A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100898149B1 (ko) 2007-04-05 2009-05-19 주식회사 에스엔피 제네틱스 소의 근내지방도와 연관되어 있는 티틴-캡 다형성
JP2016521283A (ja) 2013-05-06 2016-07-21 スカラー ロック インコーポレイテッドScholar Rock,Inc. 成長因子モジュレーションのための組成物および方法
WO2019195679A1 (en) * 2018-04-06 2019-10-10 Intrexon Corporation Tilapia with enhanced growth characteristics
CA3131959A1 (en) 2019-03-01 2020-09-10 Knc Laboratories Co., Ltd. Inhibition of myostatin signal by myostatin splice variant-derived protein and utilization thereof
CN115201474A (zh) * 2022-08-12 2022-10-18 万华普曼生物工程有限公司 一种新型冠状病毒抗体的快速检测试剂盒及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002504326A (ja) * 1998-02-19 2002-02-12 バイオスター インコーポレイティド 脊椎動物被験体における免疫学的ミオスタチン調節法
JP2004504826A (ja) * 2000-07-27 2004-02-19 ザ ジョーンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン プロミオスタチンペプチドおよびその使用法
WO2004024890A2 (en) * 2002-09-16 2004-03-25 The Johns Hopkins University Metalloprotease activation of myostatin, and methods of modulating myostatin activity

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4179337A (en) 1973-07-20 1979-12-18 Davis Frank F Non-immunogenic polypeptides
US4487325A (en) 1982-07-06 1984-12-11 Owens-Illinois, Inc. Crown closures and containers
US5874409A (en) * 1995-06-07 1999-02-23 La Jolla Pharmaceutical Company APL immunoreactive peptides, conjugates thereof and methods of treatment for APL antibody-mediated pathologies
AU6274298A (en) 1997-02-05 1998-08-25 Johns Hopkins University School Of Medicine, The Growth differentiation factor-8
US6656475B1 (en) * 1997-08-01 2003-12-02 The Johns Hopkins University School Of Medicine Growth differentiation factor receptors, agonists and antagonists thereof, and methods of using same
AU778470B2 (en) 1999-07-20 2004-12-09 Pharmexa A/S Method for down-regulating GDF-8 activity
EP1593689A3 (en) 2000-01-18 2006-04-05 Ovita Limited Myostatin and mimetics thereof
EP1523557A2 (en) 2002-07-24 2005-04-20 Intercell AG Antigens encoded by alternative reading frame from pathogenic viruses
NZ529860A (en) * 2003-11-28 2006-10-27 Ovita Ltd Muscle growth regulator mighty and use in promoting muscle mass and treating muscle wasting diseases
US7371726B2 (en) * 2003-12-31 2008-05-13 Schering-Plough Animal Health Corporation Neutralizing GDF8 epitope-based growth enhancing vaccine
NZ538097A (en) 2005-02-07 2006-07-28 Ovita Ltd Method and compositions for improving wound healing
US20070190056A1 (en) 2006-02-07 2007-08-16 Ravi Kambadur Muscle regeneration compositions and uses therefor
CA2693378C (en) * 2006-08-03 2020-04-14 Orico Limited Myostatin antagonists

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002504326A (ja) * 1998-02-19 2002-02-12 バイオスター インコーポレイティド 脊椎動物被験体における免疫学的ミオスタチン調節法
JP2004504826A (ja) * 2000-07-27 2004-02-19 ザ ジョーンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン プロミオスタチンペプチドおよびその使用法
WO2004024890A2 (en) * 2002-09-16 2004-03-25 The Johns Hopkins University Metalloprotease activation of myostatin, and methods of modulating myostatin activity

Non-Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6011022743; Genome Res. Vol.7, 1997, p.910-915 *
JPN6011022746; Genet.Sel.Evol. Vol.35, 2003, p.103-118 *
JPN6011022750; Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.95, 1998, p.14938-14943 *
JPN6011022753; J.Biol.Chem. Vol.272, No.33, 1997, p.20545-20554 *
JPN6011022754; Mol.Cell.Biochem. Vol.220, 2001, p.31-37 *

Also Published As

Publication number Publication date
US8455448B2 (en) 2013-06-04
WO2006036074A1 (en) 2006-04-06
ATE552272T1 (de) 2012-04-15
JP5335239B2 (ja) 2013-11-06
EP1799709A1 (en) 2007-06-27
EP1799709B1 (en) 2012-04-04
US20080118487A1 (en) 2008-05-22
US20110258712A1 (en) 2011-10-20
EP1799709A4 (en) 2008-11-12
CA2582940A1 (en) 2006-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2625316T3 (es) Neuquinasa, una proteína corriente abajo de neuregulina
KR100728405B1 (ko) Nogo 유전자의 뉴클레오티드와 단백질 서열 및 이들에기초한 방법
JP4333862B2 (ja) 後根神経節におけるヒトナトリウムチャンネルの調節
DK2548579T3 (en) TARGET OBJECTIVE OF VEGF-B REGULATION OF FATTY ACID TRANSPORTERS FOR MODULATING HUMAN DISEASES
US7550435B2 (en) Method of modifying glucose activity using polypeptides selectively expressed in fat tissue
US8455448B2 (en) Myostatin isoform
KR20080028888A (ko) 신규 생리 물질 nesfatin과 그 관련 물질, 및그들의 용도
JP2008237022A (ja) 非小細胞肺がんの予防・治療剤および診断薬
JP2006518214A (ja) 神経障害および疾患の診断および処置のための遺伝子マーカー、組成物およびその利用
CA2634363A1 (en) Novel application of apelin
US6635616B2 (en) Laminin 15
NZ535696A (en) Myostatin splice variants ( MSV )
US20040076965A1 (en) MIA-2 protein
JP2008538111A (ja) Limミネラル化タンパク質−1(lmp−1)による骨誘導の機構
JP2003500011A (ja) シンデスモスおよびその利用法
JP2000300263A (ja) 血管新生に関連するタンパク質「410」および「new」、ならびに該タンパク質をコードする遺伝子
JP4445291B2 (ja) 新規タンパク質およびそのdna
JP4435476B2 (ja) 体重増加抑制剤
WO2006010619A1 (en) Method for diagnosing and treating bone-related diseases
KR20030064271A (ko) 신규한 g 단백질 시그날링 조절인자인 rgs18을암호화하는 핵산, 및 이의 용도
US20030186304A1 (en) Novel disease-associated gene and use thereof
JP2005151826A (ja) C1qtnf5の用途
EP1799247A1 (en) Method for diagnosing and treating bone-related diseases
CA2397901A1 (en) Cbp86, a sperm specific protein
WO2005025590A2 (en) Use of a dg280 protein product for preventing and treating metabolic disorders

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080902

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080902

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110510

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110810

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110817

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110909

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120309

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120410

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120810

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20120810

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20121030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121218

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130318

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130326

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130417

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130424

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130520

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130527

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130528

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20130528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5335239

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees