JP2008508265A - 抗菌性ペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗菌性活性を有する一群のペプチド様化合物に関する。該化合物は、毒、特に細菌の毒、例えばリポポリサッカライド又はリポテイコン酸に対して親和性をもまた有する。該化合物は、細菌又は真菌感染症の治療に有用な医薬を製造するために使用されることができる。該医薬は全身的に又は局所的に投与され得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラム陰性細菌及び真菌を含む微生物を抑制する又は殺す抗菌性化合物に関する。さらに、該化合物は毒、特に真菌及び細菌の毒、例えばリポポリサッカライド(LPS)又はリポテイコ酸(LTA)に対して親和性を有し、該化合物はそのような毒を抑制する又は中和することができる。さらに、本発明は該化合物の治療的及び診断的使用に関し、そして該化合物を含む薬学的組成物、及びその投与方法に関する。
近代薬学は、全世紀の半ばまでは早死の主な原因の一つであった細菌感染と戦うことにおいて非常に成功してきた。しかし、より最近では、細菌耐性の安定した増加のために、非常に効果的な抗生物質の広く普及した使用に関しますます関心が集まっている。実際、過去25年に渡って、抗生物質耐性、特に広い範囲に抗生物質化合物に対して重ねて耐性であるもの、が調査されたほとんどすべての細菌の種で増加した。一般的な耐性メカニズムによっては冒されない最も進んだタイプの抗菌剤は、その使用が多剤耐性突然変異体を選択するように見える化合物であると現在考えられている。
この発展に基づいて、農業及びヒトの医薬の両者において専門家は過去におけるよりずっとより制限的に、抗生物質を使用することを勧める。例えば軽症の感染症、特に、典型的には細菌によるものではないもの、例えば一般的な風邪、は抗生物質で治療されるべきではなく、むしろ抗生物質はもっと深刻な状態のためにとっておくべきである。さらに、完全に異なるタイプの薬学活性、好ましくは一般的な抗生物質に対する細菌耐性から独立しているなんらかの活性を有する、細菌感染を治療するための新規な化合物を開発することが必要である。
抗生物質の広まった使用が論争的に議論された状態の一つは、急性の形態、又はその慢性の状態にある中耳炎である。滲出性中耳炎(OME)、すなわち、急性の感染の症状なしに中耳における液体の存在を特徴とする中耳炎のタイプ、の患者の数が、初期の急性中耳炎(AOM)に対して抗生物質治療の導入後に劇的に増加したが、このことは抗生物質自身がOMEにおいて一つの役割を果たしていることを示唆している(Limら,Laryngoscope第92巻,278〜286ページ,1982年)。ペニシリンのような抗生物質は、局所的な免疫反応の発現(development)、例えば中耳における局所IgMの生産を妨げると考えられている(Howieら,Ann. Otol. Rhinol. Laryngol.,第85巻、補遺第25巻,18〜19ページ,1976年)。従来の抗生物質治療の別の欠点は、細菌は殺されるが、その毒はまだ活性であることである。
細菌又は真菌感染から生じるこれらの、又は他の病気の治療のために、微生物又は病原菌そのものを殺さずにむしろ、それらの毒を中和し、自然なホストの防御機構が感染の拡大を制御することを許す化合物を使用することが有利であり得ることが示唆された(ネル,「滲出性中耳炎の病因におけるエンドトキシンの役割(The Role of Endotoxin in the Pathogenesis of Otitis Media with Effusion)」,博士論文、ライデン、1999年)。同時に、この戦略は損傷された粘膜機能の速い回復を支持する。
たくさんの感染症の状態、例えば中耳炎に含まれる微生物の毒,例えば真菌の毒、特に細菌の毒、の中での主な役割は、非常に毒性の強い脂質部分、リピッドAと共役された多糖類からなる、グラム陰性細菌の細胞壁に見出されるリポポリサッカライド(LPS)の群であるエンドトキシンによって演じられる。OMEを治療するための最近の治療アプローチは、エンドトキシン又はLPSを中和する化合物を投与することである(ネル、同上)。
エンドトキシン、すなわちLPSを中和することのできる種々の化合物が、現在公知である。例えば、いくつかの抗−エンドトキシン抗体、例えばHA−IA及びE5、ヒト及び壁在性のモノクロナールIgM抗体、がそれぞれ開発されている。これらの抗体はいくつかの重度な状態、例えば敗血症ショックのある患者の生存率を改善することが示された(Ziegler等,New Engl. J. Med.,第324巻,429〜436ページ,1991年)。しかしその活性及び特異性は不十分であると考えられる。
エンドトキシンに対して活性な物質の別の群が、好中球のアズール顆粒に蓄積されている細菌透過性増強タンパク(bacterial permeability-increasing protein)(BPI)と命名されたヒトの内因性タンパクから誘導されている(Gazzano-Santoro等,「感染と免疫(Infectionand Immunity)」第60巻,第11号,4754〜4761ページ,1992年)。BPIは強いカチオン性タンパクであり、遊離のエンドトキシンを中和するだけでなく、細菌の外側の膜の透過性を高めることにより細菌細胞自体を抑制する、又は殺す。BPIは実際は効能のある天然の抗体であり、LPS及び腫瘍壊死因子(TNF)を含む他の引き金の存在により誘起される。しかし、その活性のほとんどはそれを合成する免疫細胞、すなわち多形核マクロファージと関連している。
BPIから誘導されるいくつかの組み換えタンパクもまた開発されている。例えばBPl23(Kohn等,1993)及びBPI21(Horwitz等,1996)である。それらはそれぞれ23及び21kDaの分子量を有するBPIのN末端部分を主に表す。OMEの治療におけるBPI及びBPIに由来する化合物の使用は、例えば国際公開第00/71149号パンフレットに記載されている。
抗菌性活性を有する天然化合物の別の族は、カセリシジンである。カセリシジンは呼吸器上皮細胞、胞状マクロファージ、及び他の組織により生産されるペプチドの種類である。その本来の形態では、これらの化合物は直線状、αらせん状、システインフリーのペプチド又はタンパクである。カセリシジンは、カチオンであり、非常に一定に保たれた信号配列及びプロリージョン、カセリンを含む。しかし、成熟ペプチドをエンコードするそのC末端領域は、かなりの不均一性を示す。該ペプチドは12〜80のアミノ酸を有し得る。
最も有名なヒトカセリシジンは、18kDaのカチオン性抗菌性タンパク、CAP18である。CAP18の37C末端アミノ酸、すなわちペプチドLL−37は、LPSに対する高い親和性と中和能力の原因となる領域に相当する(Sawa等,Antimicr.Agents.Chemother.第42巻,第12号,3269〜3275ページ,1998年)。CAP18又はLL−37から誘導されたいくつかの切断されたペプチドが開発され、試験された。例えばSawa(Sawa等,同上),Gutsmann(Gutsmann等,Biophys.J.第80巻,2935〜2945ページ,2001年)により開示されたもの、及び米国特許第6,040,291号において開示されているものである。一般的に、相対的に小さなペプチド、例えばCAP18が、いくつかの理由から治療効果のある化合物の有力な候補として大きなタンパクより好ましい。第一にそれらはより容易に最適化され、適合され、変性されて、それらの所望される活性及び特異性を保つ、又は増大させることができる。第二に、それらは、得ること又は合成することがより容易であり、従ってより利用しやすい。第三に、それらは配合すること及びデリバリーすることがより容易である。なぜならタンパクは、非経口的な投与後にしばしば不安定であり生物学的に利用可能ではないからである。
同時係属中の国際特許出願
PCT/NL2004/00060は、参照することにより取り込まれ、細菌及び真菌の毒、例えばLPS及びLTAに親和性を有するペプチド性の化合物を開示する。該化合物はアミノ酸配列、XKEFXRIVXRIKXFLRXLVX(以下において核アミノ酸配列と呼ばれる)を含む。ここでXは該配列のN末端部分を表す,XはK又はEである、XはQ又はEである、XはD又はRである、XはN又はEである、そしてXはC末端部分を表す;ここでコア配列の1以上のアミノ酸は誘導体化されていてもよい。配列は、N末端部分がアセチル化されている、及び/又はC末端部分がアミデート化されている、及び/又はアミノ酸配列がXKEFKRIVQRIKDFLRNLVXとは異なることをさらに特徴とする。
該特許出願はそのような化合物の製造方法についてさらに記載する。その方法は、該化合物を構成するための、アミノ酸モノマー又はオリゴマーの化学的及び酵素的ライゲーションを含む。それらは、ホスト細胞に核酸配列をトランスフェクトするためのベクターを使用してホスト細胞の化合物をエンコードする核酸配列の発現をもまた含む。アミノ酸モノマー、アミノ酸オリゴマー、又はアミノ酸類縁体又は模擬体(mimetic)のモノマー又はオリゴマーが化学的又は酵素的ライゲーション(液相中、及び/又は官能化された固相への界面において行われる)により構築されるところの、上述の請求項のいずれか1項に従う化合物の合成方法。
これらの化合物は、感染に関連する、又は感染から生じる状態の管理に有用であることが見出された。それらは、ある種の慢性感染症、例えば中耳炎の治療において慣用の抗生物質より治療的に有用であり得ることは示されていた。しかし、重度な急性の感染症の場合、抗体の投与により達成される、微生物の成長の効果的なコントロールはまだ必須と考えられている。
先行技術における努力にもかかわらず、全身又は局所的な細菌及び真菌感染を含む、感染疾患の予防処置又は治療的処置における改良に対する需要がある。本発明の目的の一つは、安全、効果的であり、かつ伝染性の微生物の効果的なコントロールをもたらす新規な治療法を提供することである。微生物耐性を容易にはもたらさない治療法を提供することは、別の目的である。
さらに、慣用の抗菌性治療法の望ましくない効果、例えば微生物が体内で抗菌性化合物により殺菌されたときに放出される微生物の毒の毒効果をも減少させる治療法を提供することは、本発明の目的である。本発明のこれら、及び他の目的は、以下の説明に基づいて明らかになる。
第一の特徴において、本発明は哺乳動物の細菌又は真菌感染症の予防、又は治療の処置のための医薬の製造のためにペプチド様化合物を使用する方法において、該化合物がアミノ酸配列XKEFXRIVXRIKXFLRXLVX、ここでXはN末端部分を表す、XはK又はEである、XはQ又はEである、XはD又はRである、XはN又はEである、かつXは、C末端部分を表す、を含むところの方法を提供する。コア配列のアミノ酸の1以上は場合によっては誘導化されていてもよい。さらに、N末端部分はアセチル化されている、及び/又はC末端部分はアミデート化されている、及び/又は酸配列は本来のアミノ酸配列XKEFKRIVQRIKDFLRNLVXと異なっている。
そのような化合物は驚いたことにリポポリサッカライド(LPS)又はリポテイコン酸(LTA)に親和性を有するだけでなく、抗菌性又は殺菌性活性をもまた導くことが見出された。すなわち、これらの化合物は細菌及び真菌を殺す医薬の製造において使用されることができる。該化合物は殺細菌活性及び殺真菌活性を有する。この活性のために、該化合物は、微生物毒のみを中和できる化合物で治療され得なかった病気及び状態においてさえ、抗生物質として治療的に使用されることができる。そのような病気の例は、急性の細菌性又は真菌性感染症、例えば敗血症ショック、目、肝臓、腎臓、肺、気管支、鼻若しくは前頭洞、耳、膣、尿道、皮膚、中枢神経系、心筋、脾臓、及び他の器官又は組織の急性感染症である。
さらなる特徴において、本発明は、細菌性又は真菌性の感染症に似ている、又は細菌性又は真菌性の感染症と関連のある病気及び状態の予防及び/又は治療に適する医薬に関する。
本発明のさらなる特徴は、下の詳細な説明及び添付の請求の範囲において述べられる。
驚いたことに、同時係属中の国際特許出願PCT/NL2004/00060に開示されているペプチド様化合物は、細菌及び真菌の毒、例えばリポポリサッカライド(LPS)及びリポテイコン酸(LTA)を中和するだけでなく、顕著な抗菌活性を有することが見出された。これらの化合物は核アミノ酸配列XKEFXRIVXRIKXFLRXLVXを含む。ここでXは配列のN末端部分を表し、XはK又はEであり、XはQ又はEであり、XはD又はRであり、XはN又はEであり、XはC末端部分を表す;かつここで、該コア配列のアミノ酸の1以上が誘導体化されていてもよい。さらに配列のN末端部分はアセチル化されている、及び/又はC末端部分アミデート化されている、及び/又はアミノ酸配列はXKEFKRIVQRIKDFLRNLVXと異なる。微生物の毒に対する親和性のために、該化合物は体内におけるそのような毒の存在と関連する状態を管理するために治療的に使用されることができる。しかし、その直接的な抗菌活性のためにそれらは抗生物質として又はその代わりに使用されることもできる。二元的な活性は、単独で投与されたとき、及び所望されない副作用、例えば耐性のある微生物の発生、又は体内でたくさんの細菌が殺されたときに体内に放出される微生物毒の毒効果が抑制される、又は軽減され得る他の抗生物質と組み合わせて投与されるときの両方において、これらの化合物を非常に有用にする。
本明細書、及び添付の特許請求の範囲において、用語「ここでN末端部分はアセチル化されている」は、以下の意味を有する。N末端部分が、アミドが結合した、安定化させる基、又は保護する基をえるためのカルボン酸との反応により保護されている。例えば、ペプチドをフミン酸(fumic acid)と反応させてホルミルで安定化されたペプチドを得ること;酢酸と反応させてアセチルで保護されたペプチドを得ることが可能である。さらに、ペプチドは、プロピオン酸、及び炭化水素部分Rに6までの炭素原子、さらに10まですらの炭素原子を有する他の有機酸と反応されることができる。これらの有機酸において、炭水化物基は、10までの炭素原子を有するRであり、直鎖、又は分岐、又は環状であり得、及び/又は1以上の不飽和を含み得る。さらに、アルキル鎖は例えばヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、メルカプト、及びスルホキシド基で置換されていることができる。従って、N末端部分に、以下の基、−C(O)−R’が存在することができる。又は、カルボン酸との反応の代わりに、反応はスルホン酸と行われて、対応するスルホンアミド結合を得ることもできる。従って、N末端部分に、基−SO−Rが存在し得る。又は該用語はアルキル化及びジアルキル化をもまた含むので、N末端部分には二級又は三級のアミン基−N−(R)又はN−(R)が存在し得、ここで各Rは上記の意味を有する。
さらなる実施態様において、「アセチル化」は、ペプチドとイソシアネート又はイソチオシアネートとの反応を含む。その場合、ウレア又はチオウレア、それぞれR−N−C(O)−又はR−N−C(S)−、が形成される。Rは上記で定義された通りである。
最後に、N−末端は、ペプチド合成において慣用的に導入されているが、今、除去されないところの、酸に安定なブロック基で保護されることができる。周知のブロック基はFmoc及びZ基である。
用語「C末端部分がアミデート化されている」の意味について、以下が留意される。用語「アミデート化」は、C末端として天然に存在する−OHが基―Xにより置換されることを意味する、ここでXは、(i)−NY基,Yは独立してH又はR、ここでRは上記で定義された通りである、又は2つのY−基は一緒になって、それらが結合しているN−基と共に環状部分であり得、好ましくは1つのRが存在する、(ii)−OR基、ここでRは上記で定義された通りである、又は(iii)−R基である。ペプチドアミドが好ましい、なぜならこれらは最も高い安定性を有するからである。
本発明のペプチド様化合物は、請求項1から除外された本来のアミノ酸配列に比較して、最適化された安定性を有することが見出された。
ペプチド様化合物はペプチド、例えばオリゴ又はポリペプチド、タンパク、又はペプチドから誘導された物質である。ペプチド自身を越えて、ペプチド様化合物は、ペプチドの類縁体、ペプチド誘導体、変性されたペプチド、及びペプチドコンジュゲートをもまた含む。ペプチドは、それらがアミノ酸配列を含むことを共通して有する。より正確には、ペプチドは、2以上のアミノ酸から、一の酸のアミノ基と別の酸のカルボキシル基の組み合わせにより誘導されるアミドとして定義される(メリアムウェブスター医学辞書(Merriam Webster Medical Dictionary)2001)。それに反して、ペプチド様化合物は、分子中のペプチド構造をもまた呼ぶ。典型的には、ペプチドは天然の(L−)α−アミノ酸,特にアラニン(Ala又はA),アルギニン(Arg又はR),アスパラギン(Asn又はN),アスパラギン酸(Asp又はD),システイン(Cys又はC),グルタミン(GIn又はQ),グルタミン酸(GIu又はE),グリシン(GIy又はG),ヒスチジン(His又はH),イソロイシン(Ile又はI),ロイシン(Leu又はL),リシン(Lys又はK),メチオニン(Met又はM),フェニルアラニン(Phe又はF),プロリン(Pro又はP),セリン(Ser又はS),トレオニン(Thr又はT),トリプトファン(Trp又はW),チロシン(Tyr又はY),及びバリン(VaI又はV)からなる。
ペプチドの類縁体又は機能的に同等なものはペプチド様分子であり、種類においては同じであるが、量においては必ずしも同じではない活性、特に微生物、特に細菌の毒に対する親和性を有する。例えば変性されたペプチド、ペプトイド、ペプチド類縁体又はペプチド模擬体でありえる。
変性されたペプチドは、一般的に天然物のアミノ酸に存在しない置換基又は官能基の導入によりペプチドから誘導された分子である。該用語は、分子が天然物であるか否かにかかわらず、ペプチドと他の化学的カテゴリーからの分子との反応により得られる化合物をもまた含む。例えば、ホスホリレート化、スルホネート化、及びビオチニル化されたペプチド、グリコプロテイン、及びリポプロテインはしばしば天然に見出されるが、ポリエチレングリコールで変性されたペプチドはペプチドの性質の全部ではなく一部を変化させるように設計された化学的に変性されたペプチドの例である。
ペプトイドもまた、ペプチドのようにペプチド様化合物である。それらは典型的には2以上のアミノ酸のアミドである。しかし、それらはしばしば天然のアミノ酸から直接誘導されず、むしろ化学的に合成されたL−及び/又はD−アミノ酸の種々のタイプから誘導される。
ペプチド模擬体は、その最も広い範囲では、その機能的な構造では多かれ少なかれペプチドに似ているが、その骨格に非ペプチド様結合又はD−アミノ酸をもまた含む。一般に、ペプチド模擬体は受容体と酵素との相互作用において本来のペプチドの代替品として作用する(「薬学的バイオテクノロジー(Pharmaceutical Biotechnology)」,D. J. A. Crommelin及びR. D. Sindelar編集,Harwood Academic Publishers,1997年,138ページ)。ペプチド模擬体の一種である擬似ペプチド(pseudopeptide)は、アミド結合の代わりにアミド結合等電子体を含む化合物である(同上137〜140ページ)。
本発明を実施するために使用される化合物は、ペプチド又は機能性等価物の塩、例えば薬学的に許容される酸又は塩基添加塩、及び付加物をもまた含む。それらはペプチド又は機能性等価物のマルチマー(multimer)をもまた含む。
さらに、該化合物は少なくとも1の毒、特に細菌の毒に親和性を有する。多くの感染性疾患において細菌毒、例えばグラム陰性細菌の場合リポポリサッカライド(LPS)の種類、及びグラム陽性細菌の場合リポテイコン酸が、該疾患の顕現に含まれる。これらの毒は顕著な炎症反応を誘発することができる。例えば上気道感染において、炎症は中耳又は洞の上皮の粘膜の損傷を引き起こし得、上気道の主要な防御系の一つであるところの粘膜絨毛クリアランス系(MCS)の機能障害をもたらす。真菌の又は細菌の毒への親和性は、いかなる中和能力にとっても必要条件であり、好ましくは本発明の化合物はLPS及び他の 毒に結合するだけでなく、これらの毒を中和する、又は抑制し、又はさもなければ該毒の効果を減少させる能力もまた有する。
ペプチド様化合物が、化合物がアミノ酸配列XKEFXRIVXRIKXFLRXLVX,ここでX1は配列のN末端部分を表す、XはK又はEである,XはQ又はEである,XはD又はRである,XはN又はEである,かつXはC末端部分を表す、を含む請求項1に記載される構造上の必要要件を満足するとき、細菌及び真菌、及び細菌の毒及び真菌の毒に対する所望されるタイプの活性が観察される。この基本的なモチーフは、天然の抗菌性タンパクCAP18又はそれ自身がCAP18から誘導されたペプチドLL−37から誘導される。
本明細書において使用されるように、N末端部分は、化合物のN末端部分又は領域を現す基、原子、又は配列、すなわち配列の中のアミド結合に含まれないコア配列の末端α−アミノ基に結合されている構造である。N末端部分は、遊離のα−アミノ基の場合単純に水素原子であり得る;又は末端のα−アミノ窒素原子に結合された化学基、例えばアシル基からなっていてもよい。それはより大きな基、例えば2以上のアミノ酸の配列、又はアミノ酸から構成されていない、又はアミノ酸のみから構成されていない化学構造を表してもよい。C末端部分は、同様に定義される。
好ましくは、該化合物は、合計で18超の、核のモチーフを規定するアミノ酸を含む。一つの実施態様において、N末端部分は、2以上のアミノ酸の配列を含む。この配列の適するメンバーであるアミノ酸の中には、I及びGがあり、好ましいN末端部分はIGである。
別の実施態様において、C末端部分もまたアミノ酸配列を含む。配列は1,2,3,4,又は4超のアミノ酸を含み得る。一つの実施態様において、C末端部分は4つのアミノ酸を含む。4つのアミノ酸の該C末端部分のC−末端終点は、ペプチドLL−37内の等価の位置におけるようにEであり得る。しかし、このC−末端終点は、Rによってもまた定義され得る。C−末端アミノ酸の隣に位置するアミノ酸は、LL−37におけるようにTであり得、又はそれはLであり得る。P及びRは、2つの残っている位置のいずれかにおけるC末端部分の4つのアミノ酸配列の2つの他の好ましいメンバーである。最も好ましくは、C末端部分は、配列PRTE及びRPLRから選択される。
さらなる実施態様において、N末端部分及びC末端部分は、合計で24個のアミノ酸を有するペプチド様構造を生み出すための上述の選択から選ばれる。現在、最も好まれる化合物の中には、ペプチド自身として、又は変性されたペプチド又は誘導化されたペプチドとして、ペプチドIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTE及びIGKEFKRIVERIKRFLRELVRPLRがある。
好ましい変形の中には、アミデート化された及び/又はアセチル化されたペプチドがある。アミデート化が特に有利であるような位置の一つは、ペプチドのC−末端である。一方、アセチル化は、好ましくはN−末端アミノ酸において行われる。現在好まれる実施態様の一つにおいて、ペプチドIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTE及びIGKEFKRIVERIKRFLRELVRPLRは共にN−末端がアセチル化され、C−末端がアミデート化されている。予備試験は、これらの変性はエクソペプチダーゼの存在下、増加された安定性を有することを示した。
該化合物は、ペプチダーゼ及び類似の化合物の製造にとって公知である方法により一般的に製造されることができる。2〜3のアミノ酸又は類似の単位、好ましくは30〜50単位以下のみを含むより小さな化合物は、反応が溶液又は懸濁物で行われる古典的なアプローチを使用するか、又は固体表面、例えばポリマー状ビーズに固定されている間にペプチドが作られるところのより近代的な固相アプローチを用いる、化学的又は酵素的ライゲーション技術により製造されることができる。より大きな化合物は、典型的には自動固相ペプチド合成装置により合成される。
あるいは化合物は公知の遺伝子工学技術により製造されることができる。もし化合物が実はペプチド又は少し変性されたペプチドであるならば、このアプローチは、特に有効である。例えば、該化合物をエンコードするDNA配列が、細胞をトランスフェクトすることのできる発現ベクトルと関連付けられる、又は組み合わされることができる。該方法の別の工程において、トランスフェクションを許す条件下、細胞をベクター及びベクター関連DNAと接触させることにより、ホスト細胞又はターゲット細胞は該DNAをトランスフェクトされる。さらなる工程において、ホスト又はターゲット細胞は該化合物の発現を許す条件下で培養される。次に、該化合物は単離されることができる。もし化合物自身がエンコード又は発現されることができないが、エンコード又は発現されることのできるペプチドと非常に類似しているならば、該方法が適用されて、該化合物が類似しているペプチドを製造し、続いて該ペプチドが化学的又は酵素的技術により変性されて該化合物を製造する1以上の工程が行われることができる。
種々のタイプのベクター、例えばウィルスベクター、リポプレックス、ポリプレックス、ミクロスフィア、ナノスフィア、デンドリマー、裸DNA、ペプチドデリバリーシステム、脂質、特にカチオン性脂質、又はそれから作られているリポソーム、ポリマー状ベクター、特にポリカチオン性ポリマーから作られているものが、この目的のために使用される。好ましいウィルスベクターの中には、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ−関連ウィルス、単純ヘルペスウィルス、及びウィロソーム(virosome)がある。好ましい非ウィルスベクターは、キトサン、SPLP、PLGAに基づくポリマーシステム、ポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリホスホアミデート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリホスファゼン、DOPE,DOTAP,及びDOTMAを含む。
本発明の化合物の製造において使用されることのできる方法のより包括的な概要は以下に記載されている。W. F. Anderson,ネイチャー、第392巻、補遺,1998年4月30日,25〜30ページ;薬学的バイオテクノロジー(Pharmaceutical Biotechnology),D. J. A.Crommelin及びR. D. Sindelar編集,ハーウッドアカデミック出版(Harwood Academic Publishers),1997年,53〜70ページ,167〜180ページ,123〜152ページ,8〜20ページ;タンパク合成:方法とプロトコル(Protein Synthesis: Methodsand Protocols),R.Martin編集,フマナ(Humana)出版,1998年,1〜442ページ;固相ペプチド合成(Solid-Phase Peptide Synthesis),G.B. Fields編集,アカデミック出版(Academic Press),1997年,1〜780ページ;アミノ酸及びペプチド合成(Amino Acid and Peptide Synthesis),オックスフォード大学出版,1997年,1〜89ページ。
ペプチド又は機能的等価物の塩は、公知の方法により製造され、該方法はペプチド又はペプトイドを薬学的に許容される酸と混合して酸添加塩を形成するか、又は薬学的に許容される塩基と混合して塩基添加塩を形成するかのいずれかを含む。酸又は塩基が薬学的に許容されるか否かは、化合物の特定の意図された使用を考慮に入れたのちに、当業者により容易に決定されることができる。例えば、インビトロでの診断組成物に許容されるすべての酸及び塩基が治療用組成物に使用されることができるわけではない。意図された用途に依存して、薬学的に許容される酸は有機酸及び無機酸、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、桂皮酸、硫酸、塩酸、臭酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、及びチオシアン酸であり、これらはペプチド及び機能的等価物の遊離のアミノ基とアンモニウム塩を形成する。ペプチド及びその機能的等価物の遊離のカルボキシル基とカルボン酸塩を形成する薬学的に許容される塩基は、エチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、及び他のモノ−、ジ−、及びトリアルキルアミン、並びにアリールアミンを含む。さらに、薬学的に許容される溶媒和物、錯体、又は付加物、例えば水和物又はエーテラート(ethurate)が含まれる。
ペプチドの好ましい変性のあるものは、合成の間、又は合成の終わりに容易に導入され得る。例えばペプチドが固相テクニックを使用して合成されるとき、N−末端アセチル化はまだ樹脂に結合されているアミノ酸配列を別のアミノ酸の代わりに酢酸と反応させることにより最後に行われることができる。
一方、C−末端のアミデート化は、固相ペプチド合成における特定の種類の樹脂、例えば市販入手可能なTentagel S AM(ラップ(Rapp)製,チュビンゲン,ドイツ)を用いて行われることができる。これらの樹脂は化学的な「手」を有しており、該手からアミデート化されたペプチドが開裂の間に放出される。これら及びペプチドを変性させるさらなる方法は当業者に公知である。
上述されたように、化合物は微生物毒、特に細菌の毒、例えばリポポリサッカライド(LPS)例えばリポテイコン酸(LTA)に親和性を有する。従って、該化合物はこれらの毒の存在が関与する状態及び病気において、予防、治療、及び診断の目的のために有利に使用されることができる。結合能力は典型的に毒の中和をもたらし、そのために該化合物はアンタゴニスト又は部分的なアンタゴニストと考えられ得る。さらに、それらは、毒を中和でき、かつ該化合物との共有又は非共有ライゲーションを通して、又は薬の担体、例えばリポソーム、ナノ又はマイクロ粒子、ナノ又はマイクロカプセル、脂質複合体、又はミセルの表面に共有結合で又は非共有結合で結合されていることを通して、これらの毒にとって特異的に標的とされ得る他の化合物のターゲッティング剤又はリガンドとして使用され得る。
診断において、該化合物は、生理学的流動体、例えば血液、血漿、血清、粘膜上皮、例えば呼吸管をライニングする粘液の中、又はその存在が病理学的な状態から生じる流動体、例えば滲出性中耳炎において中耳にみられる液体中に存在する細菌の毒の検出又は量の定量に使用され得る。この使用のために、該化合物は、インビトロで使用されるべき診断キット又は患者に投与され得る診断組成物に取り込まれ得る。この使用のために、選択肢は、本発明の化合物をキレート化剤と結合させ、次に適切な管視システムにより検出可能な同位体ラベルと複合化されることである。
好ましい使用において、該化合物は活性医薬物質として投与されて、真菌及び細菌の感染症、及び体内における真菌及び細菌の毒の存在に関連する病気及び状態を予防する又は治療する。上述されたように、急性又は慢性の感染症の治療には、慣用の抗生物質のある種の欠点及び制限、例えば耐性の誘起、及び耐性細菌の変種の選択、患者の自然な防御系の機能低下、元々粘膜に棲みついている細菌の機能低下、細菌が殺されたとき大量の細菌の毒の放出等がある。さらに、毒、特に細菌の毒の存在、及び微生物自体の存在しないことがおもな原因である症状及び病気があり得る。例えばOMEにおいては、中耳における毒の局所的鬱滞が、急性感染症の症状の不存在においてさえ、病気の発現にかなり貢献し得る。
しかし、該化合物は、顕著な抗菌活性をもまた有するので、該化合物は体を感染させている微生物の数を実際に減らすことが本質的である症状、例えば重度な急性感染症においてさえ使用されることができる。この点において、微生物の毒のみを中和することができる化合物で治療されることのできなかった病気及び状態においてさえ、該化合物は他の抗生物質に取って変わり又は補完することができる、そのような病気の例は、急性の細菌性又は真菌性の感染症、例えば敗血症ショック、目、肝臓、腎臓、肺、気管支、鼻又は前頭洞、耳、膣、尿道、皮膚、中枢神経系、心筋、脾臓、又は他の組織及び器官の急性感染症である。感染に関連する特に重度な症状は敗血症ショックである。
これらのすべての症状において、抗生物質薬ではなく、細菌の毒を中和できる物質で治療することが勧められる。この目的のために、本発明の化合物は特に有利である、なぜならそれらは最も関連のある微生物毒、例えばグラム陰性細菌の場合はリポポリサッカライド(LPS)を、そしてグラム陽性細菌の場合は、リポテイコン酸(LTA)に対して高い結合及び中和活性を示すからである。その治療のために、本発明の化合物が特に好ましい上気道の感染において、これらの細菌の生産物は中耳又は洞における炎症反応を誘起し、上気道の上皮の粘膜損傷を誘発することができる。含まれる毒を中和することは、粘膜絨毛クリアランス系(MCS)の損傷を含む粘膜の損傷が予防され、コントロールされ、又は減らされ、このようにして自然の防御系を強くすることを許す。OMEを含むそれらの症状においては、生きている細菌の細胞の顕著な数がない場合でさえ、細菌の毒が主な問題であり、本発明の化合物の例えば直接中耳への投与に依存する治療が主要な治療アプローチであり得る。しかし、他の気道の感染症、例えば急性又は慢性の副鼻腔炎、又は急性又は慢性の耳炎において、該化合物は正常な粘膜機能、及びその天然の防御系の回復に非常に有用であり得る。
より一般的に言うと、本発明の化合物は、ストレプトコッカス ニューモニア(Streptococcus pneumoniae),ヘモフィルス インフルエンザ(Haemophilus influenzae),モラクセラカタラーリス(Moraxella catarrhalis)、A群β−ヘモリティック ストレプトコッチ(A β-hemolytic streptococci)、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、グラム陰性エンテリック バシリ(gram-negative enteric bacilli)、ストレプトコッカス パイロジェンス(Streptococcus pyrogenes)、大腸菌、グラム陰性菌、土壌細菌(Pseudomonas sp)を含む感染性細菌にある、及びそれらから発生する症状の予防及び治療において有用な剤である。
本発明の化合物で予防される、又は処理される感染症は、本当はプランクトン性、すなわちその習慣行動が個々の微生物有機体のものであるところの微生物により引き起こされ得る。もしプランクトン性の微生物が、例えば哺乳動物の生理学的流動体、例えば血液を感染させるならば、それらは該哺乳動物の体中を血流で輸送され得る。
少なくとも部分的にプランクトン性の微生物により引き起こされ得る全身的又は全身化した感染症は、急性又は慢性の真菌の感染症、例えば放線菌症、分芽菌症、ノカルジア症、酵母菌症、スポロトリクム病、スポロトリクム病、コクシジオイデス病、及びアスペルギルス症、並びに急性又は慢性の細菌感染症、例えば炭疽,破傷風,壊疽、ボツリヌス中毒、リステリア症、チフス、在郷軍人病、コレラ、黄熱病等を含む。急性の重度の全身感染症は、敗血症ショックと関連する。敗血症ショックは生命を脅かす敗血症の重篤な形態であり、血流中におけるたくさんのグラム陰性細菌及びその毒の存在から通常生じ、さらに器官及び組織への減少された血流、低血圧、臓器機能不全、損傷された精神状態、そしてしばしば複数の器官の機能停止を特徴とし、しばしば免疫無防備状態の人間を冒す。
しかし、より最近、多くの感染症の病気及び状態もまた、通常バイオフィルムと呼ばれる固着性のコミュニティ(sessile community)を形成する微生物により少なくとも部分的に引き起こされることが見出された。これは、多くの全身的、特に、たくさんのより局所化された感染症の両方にとって正しい。本明細書において使用されるように、バイオフィルムは、微生物的に誘導された固着性のコミュニティであって、基層又は界面に、又は互いに結合され、それらが生産した細胞外ポリマー状物質のマトリックスに埋め込まれており、成長速度及び遺伝子転写に関して変化された表現型を示す細胞を特徴とする固着性コミュニティである。通常、細胞外のマトリックスは、非常に水和された、主にアニオン性のマトリックスポリマーを含む。バイオフィルムは、表面及び界面に接着することができる;実際、接着は細胞外マトリックスの生産及び前にプランクトン性微生物であったものの、その固着性の発現型への転化をコントロールする遺伝子の発現の引き金となり得る。
固着性の微生物及びそのバイオフィルムは多くの感染性病気において主要な役割を果たしており、それらのいくつかについては、このことはたくさんの証拠により支持されていると信じられている。これらの病気の中には、例えば歯周炎、自然弁心内膜炎、嚢胞、慢性の細菌前立腺、気管支炎、肺炎、副鼻腔炎、虫歯、慢性扁桃腺炎、心内膜炎、壊死性筋膜炎、筋骨格系感染症、髄膜炎、急性胆管炎、腎臓結石感染症、及び中耳炎がある。多分、多くの他の、特に体の特定領域又は器管を含む局所的な感染症、例えば肝臓、脾臓、歯周組織、目、腎臓、皮膚、膣、尿道、又は心臓の感染症、もまた固着の微生物を含む。
請求項1で定義されたペプチド様化合物の活性の研究において、こららの化合物もまた固着性バイオフィルム形成性微生物に対して活性であることが今見出された。すなわち、それらはそのような微生物に関連する、又は微生物の固着状態を含む病気の予防又は治療に有用な化合物である。例えば、ある種の表面、例えばPVCにバイオフィルムを形成できるある種の微生物、例えばシュードモナス プチーダ(Pseudomonas putida)は、標準のバイオフィルムアッセイにおいてバイオフィルムを形成することを抑制し、予防されることができた。
本発明の化合物が少なくとも約0.001μM、より好ましくは少なくとも約0.01μM、さらにより好ましくは少なくとも約0.1μMの濃度で存在しているとき、抑制効果が達成され得る。さらに好ましい実施態様において、該化合物の濃度は約0.1〜約100μMである。しかし、バイオフィルムに接触する流動体のタイプ及び量、及び関与する特定の微生物に依存して、これらの濃度は適合され得る。
さらに、本発明の化合物は、そうでなければマイクロフィルム形成を形成できる微生物によるバイオフィルムの形成を防ぐだけでなく、すでに形成されたマイクロフィルムに対しても活性であることが見出された。その濃度に依存して、本発明の化合物は、例えば標準のバイオフィルムアッセイにおいて検出可能であるように、バイオフィルムを分断させる、又は分解することができる。繰り返しになるが、該化合物の濃度は、バイオフィルムと接触する流動体のタイプ及び量、及び関与する特定の微生物を考慮に入れて選択されるべきである。例えば、約0.001μMもの低い濃度は、前もって形成されたバイオフィルムへの破壊的影響を有し得ることが見出された。すなわち、該化合物の濃度は、少なくとも約0.001μMであるように選択されることが好ましい。他の好ましい濃度はそれぞれ少なくとも約0.01μM,0.1μM,1μM,10μM及び100μMである。
バイオフィルム感染からの特定のリスクは、診断又は治療の目的に関わらず、ヒト又は他の哺乳動物の体への医療機器の挿入又は移植から生じる。例えば、バイオフィルムの関与は、コンタクトレンズ、心臓弁、静脈カテーテル、泌尿器カテーテル、子宮内デバイス、縫合糸、代用血管(vascular graft)、血管短絡(vascular shunt)、腹膜透析デバイス、人工陰茎、及び整形外科の人工器官からの感染に対して示された。すなわち、そのようなデバイスからの感染を防ぐ又は管理するために、本発明の化合物を使用することは別の好ましい実施態様である。
本発明の化合物が由来するところの天然のタンパク及びペプチド、例えばCAP18及びLL−37に対して、本発明の化合物の特に有利な点は、所望されない抗炎症性活性の低い程度である。この活性は、例えば増殖、分化、及びサイトカイニンのような抗炎症媒体をエンコードする遺伝子の発現を含む種々の細胞過程に関連する。サイトカイニンは、炎症の直接の媒体であり、多くの免疫学的反応の進行及び方向に影響を与える。サイトカイニン生産における収支の混乱は、いくつかの病気の状態における決定的な因子として広く認識されている。滲出性中耳炎又は副鼻腔炎のような状態において、この収支は既に乱されている。T細胞の増殖もまたこの状況では好ましくない。なぜならこの状態において、これは、すでに制御不能である免疫反応をさらに刺激するからである。
すなわち、該化合物は薬学的組成物において有利に使用される。本発明に従うと、そのような薬学的組成物は、該化合物自身としてもまた提供される。本明細書において使用されるように、用語「薬学的組成物」は、治療効果のある、及び診断上の組成物、並びにそのような組成物を含む医薬品及び診断法を意味する。治療効果のある組成物及び医薬品は、改良が所望される哺乳動物の病気及び他の症状の予防又は治療に使用される。診断法及び診断上の組成物は、そのような病気の診断にインビボ及びインビトロで使用される。
典型的には、そのような医薬品又は組成物は、活性成分として少なくとも1つの本発明の化合物及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体又は添加物を含む。
一つの実施態様において、医薬品は、請求項1に記載された化合物の同じ群から選択され得る別の活性成分を含む。又は、他の化合物は他の群に属する。それは例えば抗生物活性又は抗真菌活性を有するが、異なる作用の機構を有することが公知である化合物であり得る。さらなる実施態様においては、他の化合物は同じ医薬品に取り込まれないが、別の配合物として一緒に投与される。
さらに、該化合物はヒト又は動物に投与されることができるように加工され、成形される。本明細書において使用されるように、担体又は添加剤は、投与するのに安定であって、適する投与形態に化合物を配合するためのビヒクル又は助剤物質として使用されることができる任意の薬学的に許容される物質、又は実質的な薬学的活性を有しない物質の混合物である。薬学的に許容される添加剤の例は、当業者に公知であり、主要な薬局方のモノグラフに見られることができる。
一つの実施態様において、該組成物は、非経口的な注射、点滴、灌注、好ましくは血管注射、例えば静脈注射、又は動脈内注射のためだけでなく、筋肉内の、皮下の、病巣内の、腹腔内の、局所領域の、又は非経口的な投与の他のルートのためにもまた配合され加工される。別の好ましい実施態様において、組成物は、上気道、例えば中耳の感染した粘膜に直接投与される。これらの投与ルートのための他の医薬品の配合を支配する同じ原理が、そのような組成物の調製方法を当業者に教示する。例えば、非経口投与形態の必要条件の一つが、その無菌性である。他の必要条件はすべての主要な薬局方、例えばUSP24のモノグラフ「試験及びアッセイのための一般的必要条件。1.注射」、1775〜1777ページに記載されている。非経口的な配合の安定性を高めるために、乾燥された投薬形態を提供することが必要であり得、該投薬形態は、投与されることができる前に再構築されなければならない。そのような投薬形態の例は、凍結乾燥された又は凍結乾燥された配合物である。適切には、本発明の組成物は、ムコ多糖類加水分解性の溶媒(mucolytic solvent)をもまた含み得る。
本発明の化合物を非経口的にコントロールされた放出投与形態として投与して、頻繁な注射を回避し、治療の有効性及び簡便性を改善することが所望され得る。そのような蓄積配合(depot formulation)を調製するための種々の方法が公知である。徐放(prolonged release)は固体インプラント、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロ粒子、マイクロカプセル、エマルジョン、懸濁物、油性溶液、リポソーム、又は類似の構造により提供され得る。
感染した粘膜に局所的に投与されるべき組成物の場合、投与のサイトにおける延長された局所的保持時間を提供する性質を有する配合物を付与して、医薬品の有効性を増加させることが有用であり得る。この目的を達成するために、粘膜付着性の添加剤が配合物に取り込まれ得る。そのような機能性添加剤は当業者に公知である。それらは、ポリマー例えばポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースを含むセルロースエーテル、澱粉、キトサン等を含む。適切に又は、本発明の組成物はムコ多糖類分解性の溶媒をもまた含み得る。特にムコ多糖類分解性の溶媒は、本発明のペプチド様化合物の粘膜、例えば気道への透過性に影響を与えるために使用される。適切な溶媒は、公知のムコ制御又はムコ多糖類分解性の剤、例えば、N−アセチルシステイン、S−カルボキシメチルシステイン、ブロモヘキシン、アンブロキシル、DNA分解酵素、エルドシュタイン(erdosteine)、食塩水溶液、及びネソシュタイン(nesosteine)を含み得る。好ましくは、ブロモヘキシンが使用される。
最も広い定義において非経口的な配合物の調製に特に有用であるさらなる添加剤は、溶媒、共溶媒、及び液体又は半固体の担体、例えば無菌水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、脂肪族オイル、短及び中ぐらいの鎖のトリグリセリド、レシチン、ポリオキシエチレンひまし油誘導体;オスモル及びpHを調節するための物質、例えば糖、特にグルコース、糖アルコール、特にマンニトール、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、アセテート、ホスフェート、リン酸、塩酸、水酸化ナトリウム等;安定化剤、抗酸化剤、及び保存剤、例えばアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、又は亜硫酸水素ナトリウム、EDTA、ベンジルアルコール等;他の添加剤及び凍結乾燥の助剤、例えばアルブミン、デキストラン等である。
同様に、本発明の化合物を経粘膜的な投与形態で投与することが有利であり得る。投与のこのルートは非侵襲(noninvasive)であり、患者にやさしく、同時に、特に本発明の化合物が消化器系の液体中で安定ではない、又は胃から効果的に吸収されるには大きすぎるならば、経口投与と比較して一般的に、本発明の化合物の改善された生物学的利用能(bioavailability)をもたらす。経粘膜的な投与は例えば鼻、頬、舌下腺、歯肉、又は膣の投与形態により可能である。これらの投与形態は、公知の技術により調製されることができる;それらは配合されて、点鼻剤又はスプレー、インサート、フィルム、パッチ、ゲル、軟膏、又はタブレットであることができる。好ましくは、経粘膜投与形態に使用される添加剤は、粘膜付着性を付与する1以上の物質をもまた含み、すなわち投与形態と吸着のサイトとの接触時間を長くし、そのことにより吸着の度合いを潜在的に増加させる。
又は、薬学的組成物は経口投与のために設計され、それに応じて加工されていてもよい。適する経口の投与形態は、タブレット、ハードカプセル、ソフトカプセル、粉末、顆粒、経口的に崩れる投与形態、シロップ、点滴薬、懸濁物、発泡性タブレット、噛み砕けるタブレット、オーラルフィルム、凍結乾燥された投与形態、徐放性投与形態、制御された放出の投与形態を含む。好ましい実施態様の一つにおいて、経口投与形態は、胃の酸性でありかつタンパク質分解性の環境からの化合物の保護を付与する、経腸的に被覆された固体投与形態である。
さらなる実施態様において、化合物は、定量噴霧吸入器(metered dose inhaler)、ネブライザー、エアゾールスプレー、又は乾燥粉末吸入器を使用して、肺ルートを経て投与される。適切な配合物は、公知の方法及び技術により製造されることができる。経皮的、直腸、又は眼球投与も、ある場合には実行可能であり得る。
進んだドラッグデリバリー、又は本発明の化合物をより効果的にデリバリーすることを目標とする方法を使用することが有利であることができる。例えば、投与の経口的なルートが選択されるならば、適切な投与形態は、該化合物の利用性を高める任意の物質又は物質の混合物であり得る生物学的利用能を高める剤を含み得る。これは、例えば酵素阻害剤又は抗酸化剤による、例えば分解からの化合物の保護により行われ得る。より好ましくは、該高める剤は、典型的には粘膜であるところの吸収障壁の透過性を高めることにより、該化合物の生物学的利用能の増加させる。透過促進剤は、種々の機構により作用することができる;あるものは粘膜の流動性を高め、他は、粘膜細胞間の溝の連結点を開ける、又は広くする。さらに他は、粘膜細胞層を被覆する粘膜の粘度を下げる。好ましい生物学的利用能の増加剤には、両親媒性物質、例えばコリン酸誘導体、リン脂質、エタノール、脂肪酸、オレイン酸、脂肪酸誘導体、EDTA、カーボマー、ポリカルボフィル、及びキトサンがある。
該化合物の抗菌活性及び抗真菌活性を利用すると、保存剤を含まないか、又は減らされた量においてのみ含む医薬品の製造のためにそれらを使用することが選択肢である。「減らされた量」により、活性成分以外の同じ成分を含む組成物である、対応する偽薬組成物を効果的に保存するために必要とされる保存剤の含有量より保存剤の含有量が低いことが意味される。
組成物が効果的に保存されているかは、適切な試験、例えば保存有効性のための試験(例えばUSP<51>)で決められることができる。該試験では、生成物のカテゴリーに依存して5つの攻撃微生物が規定された時間間隔で試験される。適切なシリーズで行われれば、そのような試験は、ある組成物、例えば上述のような、ある組成物に対応する医薬なしの組成物、に特異的な保存剤の最小の有効濃度を決めるためにもまた行われることができる。
例えば、特定の偽薬組成物をソルビン酸で効果的に保存するために、保存剤は少なくとも約0.1%(重量/体積)の濃度で存在しなければならないことが見出され得る。この場合、請求項1に記載された化合物を含む参照組成物は、かなりより低い濃度、例えば約0.05%(重量/体積)以下でソルビン酸を含むことができた。別の実施態様において、保存剤の濃度は、対応する偽薬組成物を効果的に保存するために必要とされる濃度の約5分の1以下、より好ましくは約10分の1以下であるように選択される。
以下の実施例は、本明細書に提示された実施態様にその範囲を制限することではなく、本発明をさらに説明することを意図されている。
実施例1:化合物の合成
それぞれが24のアミノ酸を含む以下のペプチド様化合物、本明細書においてP60,P60.4,P60.Ac,及びP60.4Acとコード化される、は、自動マルチプルペプチドシンセサイザー(SyroII,MultiSyntech,ウィッテン、ドイツ)で固相方法により合成された。P60及びP60.4については、ポリエチレングリコールとポリスチレンのグラフトポリマーであるTentagel S AC(Rapp製,チュビンゲン、ドイツ)が樹脂として使用された(0.2m当量搭載、粒子サイズ90μm)。P60.Ac及びP60.4Acについては、Tentagel S AMが使用され、それはC末端がアミデート化されたペプチドを生産する。繰り返しのカップリングは、6倍モル過剰(樹脂搭載に基づいて)のNMP中の適当なFmocアミノ酸の0.60M溶液、6倍モル過剰のNMP中の0.67MのPyBOP、及び12倍モル過剰のNMP中のNMM2/1(体積/体積)を反応容器に添加することにより行われる。側鎖の保護は以下のように行われた:D,E,S,TについてはtBu;KについてはBoc;N,QについてはTrt、及びRについてはPmcである。Fmocの脱保護は、3倍のピペリジン/NMP1/4(体積/体積)を各反応容器に添加することにより行われた。カップリング及び脱保護の時間はそれぞれ45分及び3回3分であった。カップリング及びFmoc脱保護後の洗浄はNMPで6回行われた。
P60.Ac及びP60.4Acについては、ペプチドが樹脂にまだ結合されている間に、N−末端アセチル化が酢酸で行われた。合成後、ペプチド化樹脂は、NMP,ジクロロメタン、ジクロロメタン/エーテル1/1(体積/体積)及びエーテルでそれぞれ十分洗浄され、空気乾燥された。ペプチド化樹脂は、次に切断され、側鎖はTFA/水95/5(体積/体積)中(10μモルのペプチドにつき1.5ml)、2.5時間、脱保護化され、樹脂は濾過により除去され、ペプチドはTFA溶液からエーテル/ペンタン1/1(体積/体積)(10μモルのペプチドにつき10ml)で沈殿化された。溶液は1時間、−20℃において冷却され、沈殿されたペプチドは遠心分離により単離された(−20℃、2,500g、10分)。錠剤の粉末化、10mlのエーテル/ペンタン1/1(体積/体積)でのボルテックス、及び同じ方法による単離の後、ペプチドは室温において1時間空気乾燥された。ペプチドは2mlの水又は2mlの10体積%の酢酸に溶解され、溶液は液体窒素中で約5分間凍結され、次に遠心分離されている間に凍結乾燥された(1,300rpm,8〜16時間)。ペプチドの分析はRP−HPLC及びMaldi−Tof質量分光計で行われた。
化合物のアミノ酸配列は以下の通りであった
P60 IGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTE
P60.Ac IGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTE
P60.4 IGKEFKRIVERIKRFLRELVRPLR
P60.4Ac IGKEFKRIVERIKRFLRELVRPLR
添え字Acは、ペプチドがN−末端的にアセチル化されていること、及びC−末端的にアミデート化されていることを表す。
実施例2:毒の中和
実施例1に従って製造された化合物は、細菌の毒LPSを中和するその能力についてリムルスアメーバー細胞ライセート(LAL)アッセイ及び全血液アッセイ(WB assay)で試験された。LTA中和もまた、全血アッセイで測定された。ペプチドLL−37は、陽性コントロールとして使用された。それによって50%LPSが中和されるところのペプチド濃度がペプチドの活性の尺度として使用された。これらの濃度値は、表1の通りであった。各アッセイにおける化合物間の相違は統計的に有意ではなかった。まとめると、本発明の試験された化合物はネイティブの抗菌性ペプチドLL−37とおよそ同じ程度の抗毒活性を示した。
Figure 2008508265
実施例3:化合物による免疫学的細胞活性
実施例1に従って製造された化合物が、エリスポット、T−細胞増殖、ERK−活性化及び好中球遊走性アッセイを用いることにより、治療的に所望されない免疫学的活性について試験された。エリスポットアッセイは、医薬品、化学物質又は他の化合物のインビトロでのサイトカイニン分泌の効果を測定して、そうすることによりインビボでの免疫機能へのその推定上の修飾作用効果についてのデータを提供するために使用される。アッセイの結果はIFN−ガンマに対する陽性反応のフラクションとして与えられる。ERK−(細胞外シグナル関連キナーゼ(extracellular signal-related kinases))−1/2はMAP−キナーゼシグナル経路の一部である。MAP−キナーゼシグナル経路は、増殖、分化、及び抗炎症性媒体、例えばサイトカイニンをエンコードする遺伝子の発現を含む種々の細胞過程に含まれることが示されている。サイトカイニンは、抗炎症の直接的な媒体であり、多くの免疫学的反応の進行及び方向に影響を与える。サイトカイニン生産におけるバランスの混乱は、いくつかの病気の状態における決定的な因子として広く認識されている。滲出性中耳炎及び副鼻腔炎のような症状の場合には、既にこのバランスが乱されている。T細胞の増殖もまた、この状況において有利ではない、なぜならこれはすでに制御不能である免疫反応をもまた刺激するからである。従って、本発明の化合物は、サイトカイニン生産、T細胞増殖、ERK活性化又は好中球の遊走性を刺激しないことが望ましい。
T細胞の増殖のために、150,000の抹消血単核細胞(PBMC)が、150μlのIMDMコンプリートの最終体積で、96ウェルの丸底プレート(Costar Inc.ケンブリッジ、マサチューセッツ州)で、10μg/mlの本化合物の存在下又は不存在下で5日間培養された。陽性コントロールとして、PBMCが25U/mlの組み換えIL−2の存在下培養された。培養の最終の20時間の間、PBMCが[3H]チミジン(0.5μCi/ウェル)でパルス標識され、その後、3Hの取り込みが液体シンチレーション計数により測定された。エリスポット分析によるT細胞サイトカイニンIFN及びIL−10の検出のために、1.5×10PBMCが、種々の濃度の合成ペプチドの不存在下、又は存在下、0.5mlのIMDMコンプリート(complete)中で培養された。陽性コントロールとして、PBMCは10μg/mlのポークウィードマイトジェン(PWM)により刺激された。培養の48時間後、PBMCはウェルを暖かいIMDMで静かにすすいで、非付着性の細胞を集めることにより採取された。該非付着性細胞は大量のIMDM中で洗浄された。次に、PBMCは、抗体で予め被覆されたELISAプレート上で平板培養され、2%のプールされたヒトAB血清を補強されたIMDM中で37℃、5%COにおいて5時間培養された。その後、プレートは製造業者(U−CyTech,ユトレヒト,オランダ)のプロトコルに従って発現された(developed)。スポットがオリンパスの顕微鏡で数えられ、オリンパスマイクロイメージ4.0ソフトウェア(パエス(Paes)ネダーランド、ゼーターブード(Zoeterwoude),オランダ)で分析された。最終結果は陽性刺激インデックスのフラクションとして表される(陽性:>2)
ERK−1/2活性化は、粘表皮肺腫瘍細胞線NCI−H292(ATCC,ロックビル,メリーランド州)からの細胞で試験された。該細胞線は24又は6ウェル組織培養プレートで、2mMのL−グルタミン(Bio Wittaker,ウォーカーズビル,メリーランド州)、200U/mlペニシリン(Bio Wittaker),200μg/mlストレプトマイシン(Bio Wittaker)及び10%(体積/体積)の熱不活性化されたウシ胎児血清(Gibco)を補強されたRPMI1640培地(Gibco,グランドアイランド,ニューヨーク州)中で培養された。コンフルエンスの近くに到達した後、細胞は血清フリーの培地で終夜培養された。次に細胞は、指示された刺激で15分間刺激された。細胞ライセートは、ライシスバッファー(0.5%[体積/体積]トリトンX−100,0.1Mトリス−HClpH7.4,100mMのNaCl,1mMのMgCl,1mMのNaVO,最小完全プロテアーゼインヒビターカクテル[ベーリンガー、マンハイム,ロシュ、バーゼル、スイス])を用いて製造された。試料は10%グリシンベースのゲル上でSDS−PAGEに付され、溶解されたタンパクはポリビニリデンジフロライド(PVDF)膜に移された。非特異的な結合部位はPBS/0.05%Tween−20/1%カゼインによりブロックされた。ブロットが、ホスホリル化されたERK−1/2(ニューイングランドバイオラボ、ビバリー、マサチューセッツ州)に対して、次にホースラディッシュ過酸化酵素が結合された抗ウサギIgG抗体に対してウサギポリクロナール抗体とインキュベートされた。エンハンストケモルミネッセント(ECL)ウェスタンブロッティング検出システム(アメルシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)、ウプサラ、スエーデン)が免疫反応性を明らかにするために使用された。
好中球遊走性は、抹消血から単離された好中球で、パーコル(Percoll)密度遠心分離(密度:1.082g/ml)を用いて測定された。細胞は、遊走培地(20mMのN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPESバッファー)HEPES、132mMのNaCl、6mMのKCl,1.2mMのKHPO,1mMのMgSO,5.5mMのグルコース,0.1mMのCaCl及び血清フリーのRPMIで1:1に希釈された0.5%(重量/体積)のヒト血清アルブミン[オランダ赤十字輸血サービス中央研究所(CLB),アムステルダム、オランダ])中で2.5×10細胞/mlの濃度で再懸濁された。該化合物の遊走活性は変形されたボイデンカマー(Boyden Camber)テクニックを用いて評価された。簡単に述べると、HEPESバッファー中で希釈された26μlの刺激剤が、低いほうのコンパートメントのウェルに添加され、50μlの好中球懸濁物(2.5×l0細胞/ml)が上の方のコンパートメントに添加された。コンパートメントは2つのフィルターにより分離されている:0.45μmの孔サイズを有する下の方のフィルター(ミリポアプロダクツ,ベドフォード,マサチューセッツ州)及び8μmの孔サイズを有する上の方のフィルター(ザートリウスフィルター,サンフランシスコ,カルフォルニア州)。90分間、37℃におけるインキュベーションの後、上のフィルターは取り除かれ、エタノール−ブタノール((80:20,体積/体積)中で固定され、ウェイガート溶液で染色された。好中球遊走活性を測定するために、好中球は、6ランダムハイパワーフィールド(×400)で数えられ、陽性コントロール(10−8MのN−ホルミルメチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(FMLP、シグマ)と比較した、膜上の好中球の百分率が計算された。
結果は表2に与えられる。まとめると、本発明の試験された化合物は、特にP60.4は、非常に低い、天然のペプチドLL−37より低い免疫反応を誘起した。それらは低いERK−活性を示し、実質的に全く好中球遊走性を示さなかった。
Figure 2008508265
実施例4:インビボの許容性
化合物P60.4Acが、実施例1に従って合成され、インビボでのその許容性について試験された。より具体的には、皮膚及び目の炎症を起こす能力がウサギで評価され、耳毒性がモルモットで調べられた。さらに、その全身毒性が静脈投与後に評価された。
皮膚及び目の炎症試験のために、3匹のウサギが0.5mlのリン酸塩でバッファーされたペプチド溶液(2mg/ml)に暴露され、半密封ドレッシング(semi-occlusive dressing)を用いて、摘まれた皮膚の上に4時間施与された。暴露から1,24,48,及び72時間後に観察された。リン酸塩でバッファーされた(pH7.5)ペプチド溶液(2mg/ml)、0.1mlの単独試料が3匹のウサギのそれぞれの片目の中へと点滴されて、急性目炎症/腐食の研究を行った。点滴から1,24,48,及び72時間後に観察が行われた。
その結果、皮膚の炎症は検出可能ではなかった。ペプチド溶液の目への点滴は、結膜の赤くなることをもたらし、結膜は点滴から24時間以内に完全に溶解した。
P60.4Acの全身毒性は、ラットにおける単独及び反復投与毒性調査において評価された。ペプチドは投与量を増加させながら、毎日静脈注射で投与された。この相において、最大対容量(Maximum Tolerated Dose(MTD))が定められた。反復投与毒性(repeated dose toxicity)もまたMTD相において調べられた。投与量を拡大する相において、9匹のラットが3つの群に分けられ、2日間、0.4、2又は8mg/kg/日を与えられた。臨床的な兆候は投与の日、及び投与の1日後に1日2回記録され、体重は、はじめの投与の前及び投与から1日後に記録された。MTD相において、5匹のメス及び5匹のオスのラットが続く5日間、8mg/kg/日を与えられた。臨床的な兆候は、投与の日に1日2回記録され、体重は1日目、及び6日目に記録された。検体検査調査は、検死の前に行われた。肉眼検査は、MTD相の終わりに行われた。
その結果、全身的投与量拡大調査では、死亡は起きなかった。さらに臨床上の兆候及び体重に明らかな偏差は認められなかった。MTD相の間にもまた、死亡は起きず、明らかなペプチドに関連する知見は臨床上の兆候、体重、血液学、及び臨床上の生化学的パラメーター及び肉眼による検査において認められなかった。
実施例5:聴器毒性(ototoxity)
ペプチドP60.4−Acの聴器毒性を評価するために、このペプチドはモルモット(HsdPoc:DH;ハーラン(Harlan),ホルスト(Horst),オランダ)で試験された。外因的な耳の病変のない、7匹の健康なオスのアルビノのモルモット(500〜1200g)がこの調査において使用された。動物は40mg/kgのケタミン(ユーロベットアニマルヘルスB.V.,ブラデル,オランダ)及び10mg/kgのロンパン(rompun)(バイエルA.G.、レバークゼン、ドイツ)の腹腔内注射で麻酔をかけられた。対照の聴覚試験が行われた後、鼓胞(auditory bulla)が外科的に開けられ、スポンゴスタン(spongostan)の小片を正円窓膜(RWM)に施与し、そして種々の溶液(約10μl)がスポンゴスタン上に添加された。皮膚が縫合され、追加の聴覚試験が行われた。RWM上の施与は右耳で行われ、左の耳は未処置のままであった。1匹の動物がPBSを最初の偽薬溶液(偽薬1)として与えられ、別の動物は第二の偽薬溶液(偽薬II)を与えられた。第二の偽薬溶液は、等張 [NaCl]であり、かつ保存された[0.02%ベンズアルコニウムクロライド及び0.1%NaEDTA]20mMのホスフェートバッファー溶液(pH5.5)中の7%のマクロゴール10000であった。2匹のモルモットが、試験[39]の陽性コントロールとして機能するシスプラチン(PBS中で0.66mg/ml、シグマケミカルズ,ツビユンドレヒト、オランダ、から得られる)を与えられた。ペプチドP60.4−Ac(2mg/ml)は、1匹の動物においてPBS溶液(配合物I)において試験され、他の2匹の動物において第二の偽薬(配合物II)に相当するバッファーにおいて試験された。
医薬の投与前、及び手術の直後、そして3,7,14及び22日後に、コンピューターに基づくシグナルアベレージングシステム(タッカー−デービステクノロジー、アラチュア、フロリダ州、米国)を使用して聴性脳幹反応(ABR)が行われた。モルモットは麻酔にかけられ、インサートイヤホーンが外耳道に入れられた。皮下電極が、頭頂(活性)の上に、そして同じ側の胞(bulla)(参照)の上に置かれた。接地電極は首の筋肉の上に置かれた。ABRは、電気的に遮蔽された、二重壁の、電波遮蔽された音の部屋の中で、1kHzにおける10ミリ秒のトーンバーストに対する反応において記録された。刺激の強さが測定され、dBとして表された。ABR閾値は、反復可能な、視覚的に検出可能な反応を引き出すことのできる最も低い強さと定義された。処置後のABR閾値が、処置前のABR閾値と比較された。
その結果、コントロールとして使用されたPBSの正円窓施与は、手術後22日において閾値の変化をもたらさなかった。配合バッファーは22日後に、2dBの閾値の変化をもたらした。一方、シスプラチンはそれぞれ−49dB及び−64dBの閾値の変化を誘起したが、それは重大な聴覚の損失を意味する(表3)。実験のこの部分は聴器毒性調査の陽性コントロールとして機能した。PBS中のペプチドP60.4−Ac(2mg/ml)は、手術から22日後に−7dBの閾値の変化を誘起した。P60.4−Acを配合物IIとして与えられた両方の動物は1dBの閾値の変化を生み出した。
Figure 2008508265
値はdBで表した手術前とのΔを表す
PBS
等張[NaCl]かつ保存された[0.02%ベンズアルコニウムクロライド及び0.1%のNaEDTA]20mMホスフェートバッファー溶液(pH5.5)中の7%マクロゴール10.000
不良配線のために、信頼できない測定
実施例6:抗菌性活性
化合物P60.4Acが、実施例1に従って製造され、ネジ蓋付の10mlガラス瓶へと無菌濾過により殺菌された。保存剤は添加されなかった。別途、対応する偽薬溶液、すなわち化合物P60.4Ac以外の同じ成分を有する溶液が調製された。抗菌活性のための試験を行うために2つの調製物のそれぞれから試料が引き出された。その結果、化合物P60.4Acを含む溶液は、細菌の成長を阻害する、又は細菌の数を減らしさえすることが見出されたが、対応する偽薬溶液は抗菌性活性を示さなかった。
実施例7:抗菌性活性
P60.4−Ac及びLL−37のインビトロでの抗細菌及び抗真菌活性は、R.Hancockの「カチオン性抗菌性ペプチドのための修正されたMIC法」[13]の修正版に従って、96ウェルのマイクロタイタープレートで、微量希釈感受性試験(microdilution susceptibility test)による最小発育阻止濃度(MIC)として測定された。抗細菌活性は、参照株大腸菌ATCC8739,シュードモナス アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)ATCC9027について試験された。抗真菌活性は、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)ATCC10231及びアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)ATCC14406について評価された。抗菌性活性アッセイは、種々の濃度のP60.4Ac及びLL−37を用いて行われ、細菌又は真菌の成長への効果を比較した。抗細菌活性は37℃においてトリプチケースソイブロスで対数期培養された細菌を使用して調べられた。培養物は10mMのリン酸ナトリウムバッファーpH7.4で希釈されて、約5.0×I0CFU/mlを与えた。10μlの希釈された試験株が96ウェルプレートに移され、100μlの種々のペプチド濃度が各ウェルに添加された。プレートは37℃において24時間インキュベーションされ、次にライトボックス上で目視検査により成長に得点をつけた。次にそれらはさらに24時間インキュベーションに戻され、その後成長について再評価される。酵母株Cアルビカンは上記のように調製された。サブローデキストロース寒天プレート上で、20〜25℃において、6〜10日間、又は十分な胞子形成が起きるまで培養された糸状菌A.ニガーが胞子懸濁物(spore suspension)として使用された。胞子はスクラッピングにより収穫され、もし必要であれば濃度は最終濃度5×l0CFU/mlに調節された。
すなわち、P60.4−Acの抗菌性活性は、2つのグラム陰性株、及び真菌C.アルビカンス及びA.ニガーに対して評価され、LL−37と比較された。各ペプチドについてのMIC値が表4に与えられる。P60.4−Acは、グラム陰性株、大腸菌、及びP.アエルギノーサに対して同等以上の活性を示した。ある場合には、殺菌活性もまた両方のペプチドについて測定された。P60.4−Acは、C.アルビカンスに対して6μMのMICを示し、18μMにおいて十分殺菌性があるだろう。18μMにおけるP60.4−Acは、24時間Aニガー胞子の発芽を阻止したが、LL−37はA.ニガーに対して活性を示さない。
実施例8:バイオフィルム形成の阻害
化合物P60.4Acは、実施例1に従って製造され、シュードモナス プチーダPCL1445のバイオフィルム形成の阻害剤としての有効性を試験された。標準的なPVCバイオフィルムアッセイが使用され、該アッセイにおいてバイオフィルムはマイクロたいたープレートのウェルのポリ塩化ビニル表面上で形成される。ウェル中のP.プチーダ懸濁物に、P60.4Acの溶液(0.9μM及び9μM)が添加され、10時間インキュベートされた。その結果、9μMにおけるP60.4Acがバイオフィルム形成を、ペプチドなしのバッファー溶液に比較して90%超阻害するが、0.9μMは、約50%の減少をもたらすことが見出された
実施例9:形成されたバイオフィルムの阻害
化合物P60.4Acが実施例1に従って製造され、シュードモナス プチーダのバイオフィルムの分解におけるその有効性が試験された。実施例7におけるように、標準的なPVCバイオフィルムアッセイを使用してバイオフィルムが形成された。バイオフィルムは、7時間に渡ってP.プチーダPCL1445懸濁物からマイクロタイタープレートのウェルで形成することを許された。その後、種々の量のP60.4Ac、並びに対照、すなわちDMSO、及び緩衝液処理された媒体溶液、M63がそれぞれ,添加された。18時間のインキュベーションの後、バイオフィルムは595nmにおけるその光学密度(OD595)により評価された。その結果、DMSOは、M63と比較してOD595の少しの減少しかもたらさなかったが、P60.4Acは、その濃度に依存してバイオフィルムをかなり破壊した。
図1は、種々のモル濃度Pの60.4Ac(棒グラフ1〜5)、DMSO,及びM63に対するOD595値を示す。
Figure 2008508265
a MICは、37℃における24又は48時間のインキュベーション後に細菌の目に見える成長を阻害したペプチドの最低濃度として定義された。結果は3つの独立した測定の平均値である。
b 18μMにおける殺菌剤
c 6μMにおける殺菌剤
d 細菌発育抑制
e 生きている微生物の回収はされなかった。すべてのウェルにおける成長は明らかに目に見えたからである。
f 18μMにおいて殺菌可能、6μMにおいて菌増殖抑制
種々のモル濃度のP60.4Ac(棒グラフ1〜5)、DMSO,及びM63に対するOD595値を示す。

Claims (26)

  1. 哺乳動物の細菌又は真菌感染症の予防処置又は治療処置のための医薬の製造のためにペプチド様化合物を使用する方法において、
    該化合物がアミノ酸配列XKEFXRIVXRIKXFLRXLVXを含み、
    ここで
    はN末端部分を表す、
    はK又はEである、
    はQ又はEである、
    はD又はRである、
    はN又はEである、
    はC末端部分を表す、
    コア配列の1つ以上のアミノ酸は場合によって誘導体化されていてもよく、かつ
    (a)N末端部分はアセチル化されている、及び/又は
    (b)C末端部分はアミデート化されている、及び/又は
    (c)アミノ酸配列はXKEFKRIVQRIKDFLRNLVXと異なっている、
    方法。
  2. N末端部分Xがアミノ酸I及び/又はGを含む、請求項1に記載の方法。
  3. C末端部分Xが、少なくとも4つのアミノ酸又はアミノ酸誘導体の配列を含む、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  4. C末端部分Xが、PRTE及びRPLRから選択されたアミノ酸配列を含み、前記配列のアミノ酸の1つ以上が場合により誘導体化されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 化合物が、24個のアミノ酸又はその誘導体の配列を有するペプチドに類似しており、前記配列はIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTE及びIGKEFKRIVERIKRFLRELVRPLRから選択され、かつ1つ以上のアミノ酸が場合により誘導体化されていてもよい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. N末端がアセチル化されており、かつC末端がアミデート化されている、請求項5に記載の方法。
  7. 細菌又は真菌感染症がプランクトン性の微生物により引き起こされているところの、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 細菌又は真菌感染症が、急性又は慢性の全身感染症であるところの、請求項7に記載の方法。
  9. 全身感染症が敗血症ショックと結びついているところの、請求項7又は8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 哺乳動物の免疫系が病気又は投薬により抑制されているところの、請求項7又は8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 細菌又は真菌感染症が、固着性であることができかつバイオフィルムを形成することのできる微生物により引き起こされているところの、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  12. 細菌又は真菌感染症が急性又は慢性の、局所的又は局部的な感染症であるところの、請求項11に記載の方法。
  13. 局所的又は局部的感染症が、中耳炎、気管支炎、肺炎、又は副鼻腔炎、又はその他の下気道若しくは上気道又は呼吸器系の感染症であるところの、請求項12に記載に方法。
  14. 哺乳動物が嚢胞性線維症に罹患しているところの、請求項12又は13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 哺乳動物の免疫系が病気又は投薬により抑制されているところの、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 局所的又は局部的感染症が、肝臓、脾臓、歯周組織、目、腎臓、皮膚、膣、尿道、又は心臓の感染症であるところの、請求項12に記載の方法。
  17. 局所的又は局部的感染症が、心臓弁、静脈カテーテル、導尿カテーテル、コンタクトレンズ、スピーチボタン、中耳腔換気用チューブ、子宮内デバイス、又は人工骨、その他の医療用デバイスの哺乳動物への移植又は挿入に関連するところの、請求項16に記載の方法。
  18. 哺乳動物が、アミノ酸配列XKEFXRIVXRIKXFLRXLVXを含むペプチド様化合物以外のさらなる抗菌剤又は抗真菌剤で同時に治療されるところの、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法、ここで
    はN末端部分を表す、
    はK又はEである、
    はQ又はEである、
    はD又はRである、
    はN又はEである、
    は、C末端部分を表す、
    コア配列の1以上のアミノ酸が場合により誘導体化されていてもよい。
  19. さらなる抗菌剤又は抗真菌剤が、一つの医薬の中でペプチド様化合物と組み合わされているところの、請求項18に記載の方法。
  20. 細菌又は真菌感染症が、アミノ酸配列XKEFXRIVXRIKXFLRXLVXを含むペプチド様化合物ではない活性成分を含む医薬で同時に治療されないところの、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法、ここで
    はN末端部分を表す、
    はK又はEである、
    はQ又はEである、
    はD又はRである、
    はN又はEである、
    は、C末端部分を表す、
    コア配列の1以上のアミノ酸が場合により誘導体化されていてもよい。
  21. 医薬が1以上の薬学的に許容される担体又は添加剤を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 医薬が、非経口的投与、好ましくは血管注射、筋肉注射、皮下注射、又は病巣内注射、のために、配合され、加工され、及び適合されているところの、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 医薬が、感染された部位又は組織の粘膜への局所的投与のために、灌注液体、点耳剤、点鼻剤、エアロゾル、粉末アエロゾル、噴霧用液体、ゲル、懸濁物、又は粘膜付着性投与形態、又はその他の形で配合され、加工され、及び適合されているところの、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  24. 医薬がドラッグターゲッティング剤、生物学的利用能増強剤、及び/又は制御されたデリバリー剤をさらに含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 医薬が少なくとも1の保存剤をさらに含み、かつ該保存剤の含有量が対応する偽薬組成物を有効に保存するために必要とされる含有量より低いところの、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 医薬が実質的に保存剤を含まないところの、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
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