JP2008507314A - 外科用切断器具 - Google Patents

Abstract

幾何寸法のおかげで、全ての種類の組織に使用され得る外科用切断器具が提案される。大きな長さの外科用切断器具は、外管（１０）及び内管（２０）からなる。外管（１０）はその端部が外側頭部（１１）と連結される。外側頭部（１１）は横及び前方向に向けられ、２個の外側切刃（１２１’，１２１”）を備えた外側開口（１２）を有する。内管（２０）はその端部が内側頭部（２１）と連結される。内側頭部（２１）は例えば、横及び前方向に向けられ、各々が２個の内側切刃（２２１’，２２１”）を備えた３個の内側開口（２２）を有する。内管（２０）は外管（１０）内に回転可能に据え付けられる。外管（１０）内における内管（２０）の相対回転に際して、外側切刃（１２１’，１２１”）及び内側切刃（２２１’，２２１”）は、僅かな間隙をおいて伴い互いに通過する。

Description

本発明は、請求項１の前提部分に記載した外科用切断器具に関する。

非観血手術或いは内視鏡手術で使用される外科用切断器具は、例えば特許文献１から周知である。この切断器具は、一方が他方の内部へ移動すると共に、一端の端部分に所謂切断ヘッドが位置された２個の管からなり、且つ駆動タービンへの連結のための結合器が他端に配置される。端部分は前方へ開放又は閉鎖され、また洗浄流体、及び処置の間には切り離された組織が通り運ばれる前方に向けられた横方向への開口も有する。

かかる器具の管は小さな直径及び大きな長さを有しており、大きな外科創を生じさせることなく、生体への処置を許容する。処置は通常、組織に３個の開口を形成して、しかし外側に対して閉鎖された組織部分に実施される。手術部位をスクリーンで観察するためのカメラが、第１開口から生体へ挿通され、第２開口は外科用切断器具を接近させるために設けられ、またノズルが第３開口から導入される。このノズルは、洗浄流体をその時処置が行われている手術部位へ搬送するために使用される。この洗浄流体は再度、切り離された組織と共に、生体から切断具の管中心を通り取り出される。

例えば股関節、大腿骨及び骨盤での処置において手術部位を拡大するために、腱、靭帯、神経及び筋肉によって許容される範囲へ、侵襲式伸延器が使用され、或いは簡単な伸長が行われる。カメラは、手術中に外手術位をテレビモニタで表示するために使用される。

手術部位は洗浄流体によって清潔が保たれる一方で、切断器具によって切り離された部分は、洗浄流体と共に手術部位から吸引される。カメラを有し、洗浄流体が同時にそのカメラを通り手術部位へもたらされる器具も市販されている。カメラが流体搬送と組み合わされた機器は、２箇所のみの処置部位を伴い作動することを可能にする。多くの場合、カメラ及び流体搬送の組み合わせは、例えばかなり特異な手術部位の図を得るために、カメラが別の位置へ移動させられるべきであることを技術的操作理由が意味する場合には、実行上の理由で不可能である。

上記のように、本発明が属する外科用切断器具は、長管として構成される。洗浄流体は、切り離された部分と共に、内側回転管を通り吸引される。この外科用切断器具を製造する時に解決されるべき重要な問題点は、製造技術、材料の選択及び経済面である。経済的な生産で、可能な限り精密な切断器具を得ることができるように、適当な滅菌材料が加工されなければならない。通常、この器具は高価な金属合金から形成される。

外科用切断器具によって可能な限り効果的に手術するように、外科用切断器具は鋭利な切刃を有するべきである。内管の刃具及び外管の刃具を互いに近づける精度は、刃具の鋭利な刃先と合わせて、どの程度簡単に組織が切り離されるかを決定する際に重要である。外科用切断器具に要求される最も厳しい要件は、一回の同じ処置において、様々な種類の組織構造が切断され且つ取り除かれなければならないということである。脆く且つ硬い材質の切断具は、弾性繊維質又は塑性軟質物質の切断には容易に適さない。しかしながら、もし外科医が手術を効率よく且つ短時間で行わなければならないならば、これは当に外科医が望むことである。

この要件は、内管の切刃に鋸歯状刃具が備えられる限り、例えば特許文献２によって満たされる。これは、弾性組織及び硬質組織が「掴まれる」という効果を有する。しかしな
がら、この種の構成の切刃に伴う問題点が未だ残る。器具は組織を掴むと共に、組織に引っかかる傾向がある。切断器具は引っかかると、荷重がかかり過ぎた結合器の反応を介して停止してしまうか、或いは処置組織を過剰に切り取ってしまう。

従来の外科用切断器具は、前端が丸くされている。これは、丸くされた器具は組織へより簡単に導入されるという確信に基づいている。しかしながら、閉鎖片が長管に配置される時のより簡単な製造技術にも基づいている。熱成形又はつば成形等の方法が使用され得る。市場に存在するこれら外科用切断器具全ては、機械的観点及び寸法誤差の観点から不正確である。製造技術は他に何も可能にしない。また、熱成形される材料は軟質材料でなければならず、脆く或いは硬くてはいけない。硬化させられるこの種の器具を、本願発明者は知らない。

手術に際して、経験から分かるが、これは下記に記載されるような以下の欠点を有する。
・外管及び内管の軟質材料は「腐食」し兼ねない。

・材料は外科用切断器具用にニッケルがめっきされなければならず、この層が砕け落ちる危険が伴う。
・熱成形又はつば成形方法は、正確に画定された面を得ることが決してできず、また丸みつけが正確に決定され得ない。

・軟質材料からなる非円形外管内で回転する非円形硬質内管は、金属部分を磨耗させてしまい、この磨耗した金属部分は組織に残り、問題を引き起こす。
欧州特許第０５５７００４号明細書 欧州特許第０５５７０４４号明細書

本発明は、最初に述べられた種類の外科用切断器具を容易に、生体内で使用するために厳密な条件を満たすと共に、全ての種類の組織及び骨用の確かに鋭利な切断器具を外科医に提供するように改良するという目的を有する。

本目的は、請求項１の特徴を有する外科用切断器具によって達成される。本発明に係る更なる特徴は、従属請求項から明らかにされると共に、それらの効果については、以下の記載において説明される。

図面は、以下の記載において説明される好適な例証実施形態を示す。

本発明の従来技術に係る外科用切断器具は、固定された外管１０（図１）及び外管１０内で回転する内管２０（図２）からなる。切断器具全体は、この器具のために設けられた駆動機構に連結され、その結果、内管２０が殆どの場合タービン駆動装置によって駆動され、また同時に、負圧によって管状器具の中心を通る吸い込みが保証される。この機器は、小さな外科的処置のために、関節鏡治療において広く用いられている。

周知の構成では、外管１０及び外側頭部１１は一片として形成される。これはまた、内管２０及び内側頭部２１にも当てはまる。臨床的な使用では、この器具は完全に清潔で滅菌された状態が維持されなければならないので、器具の製造のために特別な合金が使用される。この材料を溶接するのに必要な技術及び材料の厚みが、管が通常一片に製造される
理由である。本発明者は、外管１０及び外側頭部１１（図３）の間、また内管２０及び内側頭部２１（図４）の間に確かな溶接を許容する方法を開発した。このようにして、頭部のために他の加工方法が可能である。

本発明に係る切断器具は、市販の製品とは大きく異なる。外側頭部１１の外側切刃１２１’及び１２１”は、接線に対して鋭角αを内方に形成する。従って、外側切刃１２１’及び１２１”は外側頭部１１の内径上に直接的に位置が定められる。良好な切断特性のために小さな切断力のみが得られることを保証するために、内側切刃２２１’及び２２１”は接線に対して鋭角βを外方に形成しており、その結果、内側切刃２２１’及び２２１”は内側頭部２１の外径上に位置が定められる。次に内側頭部２１が右方向へ回転させられる（図７）ならば、内側切刃２２１’は外側切刃１２１’のすぐ近くを通り移動する。切刃１２１，２２１の全長に沿った歯部形状の選択された寸法は、切刃１２１及び２２１が切断工程の間に一体になる傾向を有するという効果を提供する。これはまた、改善された切断特性をもたらす。なぜならば、このようにすれば実際には、切刃１２１及び２２１の間には間隙が存在しないからである。両方の切刃、すなわち外側切刃１２１’及び内側切刃２２１’の両方は、小さな切断角度を有するので、軟質、弾性、硬質又は繊維質のいかなる種類の組織又は骨であっても、きれいに切断される。同じことが、逆回転時に内側切刃２２１”及び外側切刃１２１”の間に当てはまる。

切断器具は両方の回転方向において使用され得ると共に、厳密に同じ切断特性及び切断品質で往復する。従って、小径の切断器具が使用され得る。これは特有であると共に、制限された手術状況において顕著な効果をもたらす。この例には、半月板に行われる手術がある。関節への処置のために、延伸範囲がより小さく保たれるので、腱、筋肉及び神経の過剰な延伸の危険性が低減する。

この切断器具の形状は、フライス工具が以前から使用されていた多くの部分での使用を許容する。外側切刃１２１（図３）及び内側切刃２２１（図１０）は、その全長に沿って波形形状を有する。このようにして、刃具全体が同時に使用されるところに、殆どモーメントが生じない。これにより、小さな駆動力で効果的且つ迅速に作用することが可能になる。図３に示す歯の波形形状、幅広の歯２２４及び幅狭の歯間隙２２５は、この外科用切断器具に典型的である。

上述したように、従来の切断器具は前端部が丸くされている。上述したように、提案されている外科用切断器具では、外側頭部１１及び内側頭部２１は、製造後に、外管１０及び内管２０夫々に連結される。これにより、２個の頭部１１，２１を形成するために、他の形状及び他の製造技術の使用が許容される。

本発明者は特に、外科用切断刃の円錐閉鎖を提案する。図５に示すように、外側頭部１１及び内側頭部２１のこの構成では、外側頭部１１の切刃１２１から僅かに突出する刃具角部２２２が得られる。この刃具角部２２２によって、外科医は極めて正確に切断することができる。一般的な使用では、例えば運び出される平坦な組織に穴状凹部を切るために、横方向切断角部２２２を使用する。それ故、外科医は表示器で、どれくらいの量の物質を溝の周りの面から切り取ったかが分かる。これは、手術の間に取り除かれた物質の量を予想するための基準線として大きな助けになる。表示器では、多くの経験のみで不正確にのみ相対量が確認される。従って、外科用切断器具のこの形状は、大きな危険を同時に伴うことなく、より迅速に作動することを許容する。

最近の製造技術及び軽量材料の選択によって可能にされる最も顕著な新規性は、１個、２個又は３個の内側開口２２（図１２）を備えた内側頭部の形成である。解決されるべき問題点は、内側頭部の材料強度であった。この材料は非常に強靭であるが、同時に溶接可
能でなければならない。両方の特性を有する
材料が見つけられた。２個（図１３、図１４）或いは３個（図１５）もの内側開口２２を使用する大きな利点は、洗浄流体及び組織を吸引する時に認められる。切断能力が良いほど、また切り離された物質が通り運びだされる開口が大きいほど、手術部位は清潔になり、それ故外科医の作業はより迅速且つ精確になる。

外側管頭部１１は、内側管頭部２１の全ての形態において同じままである。各内側開口は、１個、２個又は３個が存在しようとも、各々の場合で、２個の切刃２２１’，２２１”を有する。これらはまた、常に同じ構成であり、その結果、１個の内側開口（図１０、図１１、図１２）、２個の内側開口（図１３、図１４）、又は３個の内側開口（図１５）を備えた切断器具を使用して、両回転方向へ作業が行われ得る。

実際の使用においては、フライス頭部２２３（図１７）を嵌合させることも必要である。上記外科用切断器具１の効果を活用し、更にフライス工具を利用可能にさせるために、内側頭部２１の円錐閉鎖は、外科用切断器具１のフライス頭部２２３として構成される。この配置は、削り取られた物質が内側開口２２のすぐ近くを通過すると共に、そこで吸い上げられるという効果を有する。このフライス頭部２２３は、複数のフライス歯を備えた「蓋」として構成される。最も多い可能な数のフライス歯が好ましい。

蓋としてのフライス頭部２２３の構成は、提案された外科用切断器具は極度に小さい間隙を伴い作動するという事実と合わせて、軟質部分がフライス頭部２２３の周りに巻き付かないという効果を有する。これは、フライス頭部２２３が完全に前方につないでないように外側頭部１１が構成されるならば、この用途で従来のフライス工具がしばしば有する最も深刻な問題の一つである。図８及び図９に示すように、外側管頭部１１は常に、フライス頭部２３３が装備されたこの内側頭部２１の使用においてでさえも、同じままである。

試験から明らかにされたところでは、駆動される内管２０の同じ回転速度において、すばらしい切断性能が得られた。また、本発明に従って、特にフライス頭部２２３（図１７）を備えた内側頭部２１が装備された器具は、従来の器具よりもかなり少ない力が適用されればよい。実際の使用において見られる更なる効果は：
・提案された切断器具はより迅速な作業を許容し、従って経済的な理由だけでなく、従来の器具よりも優れている。

・提案された切断器具は（内側頭部２１にフライス頭部２２３を備えていない）刃具として、また（内側頭部２１にフライス頭部２２３を備えた）フライス刃として使用され得る。多くの周知の器具を必要とし、従って手術の間に器具が変更されることを必要とする部分で作動するために両方の器具が使用されるように、使用領域は重なる。

・切断形状寸法の選択された形状は、器具の組織への導入の間における外傷の危険性を低減させる。
・丸形歯は周知の器具の尖頭歯よりもかなり頑丈である。

・内側頭部２１の円錐構成は、ドリルとしても使用されることを可能にする。
・管（内管２０及び外管１０）から独立する頭部（内側頭部２１及び外側頭部１１）の製造は、器具の直径とは関わりなく、小さく且つ常に等しい誤差を許容する。

結合要素を備えた外管を示す図。 結合要素を備えた内管を示す図。 外管を示す縦断面図。 内管を示す縦断面図。 組み立てられた外管及び内管を示す縦断面図。 組み立てられた外管及び内管を示すＡ−Ａ線視断面図。 組み立てられた外管及び内管を示すＡ−Ａ線視断面図。 外側頭部を示す縦断面図。 外側頭部を示すＢ−Ｂ線視断面図。 内側頭部を示す縦断面図。 １個の内側開口を備えた内側頭部を示すＣ−Ｃ線視断面図。 １個又は２個の内側開口を備えた内側頭部を示す図。 ９０度回転させられた１個又は２個の内側開口を備えた内側頭部を示す図。 ２個の内側開口を備えた内側頭部を示すＤ−Ｄ線視断面図。 ３個の内側開口を備えた内側頭部を示すＤ−Ｄ線視断面図。 ３個の内側開口を備えた内側頭部を示す三次元図。 １個又は２個の内側開口及び先端にフライスヘッドを備えた内側頭部を示す図。

符号の説明

１…外科用切断器具、２…端部、３…結合器、１０…外管、１１…外側頭部、１２…外側開口、１２１…外側切刃、２０…内管、２１…内側頭部、２２…内側開口、２２１…内側切刃、２２２…刃具角部、２２３…フライス頭部、２２４…歯、２２５…歯間隙。

Claims (9)

1. 長尺状の外科用切断器具は、外管（１０）及び内管（２０）からなり、該外管（１０）はその端部（２）が外側頭部（１１）と連結され、該外側頭部（１１）は横及び前方向に向けられ、少なくとも２個の外側切刃（１２１’，１２１”）を備えた少なくとも１個の外側開口（１２）を有し、該内管（２０）はその端部（２）が内側頭部（２１）と連結され、該内側頭部（２１）は横及び前方向に向けられ、少なくとも２個の内側切刃（２２１’，２２１”）を備えた少なくとも１個の内側開口（２２）を有しており、該内管（２０）は該外管（１０）内に回転可能に据え付けられ、該外管（１０）内における該内管（２０）の相対回転に際して、該外側切刃（１２１’，１２１”）及び該内側切刃（２２１’，２２１”）は、僅かな間隙をおいて伴い互いに通過する外科用切断器具において、該外側切刃（１２１’，１２１”）は接線に対して内方に１０〜９０度の鋭角αを形成すると共に全長に沿って波形形状をなして延出し、該内側切刃（２２１’，２２１”）は接線に対して外方に１０〜９０度の鋭角βを形成すると共に全長に沿って波形形状をなして延出することを特徴とする外科用切断器具。
2. 前記外側頭部（１１）及び前記内側頭部（２１）は前記端部を閉塞するために球形状を形成することを特徴とする請求項１に記載の切断器具。
3. 前記外側頭部（１１）及び前記内側頭部（２１）は前記端部を閉塞するために円錐形状を形成することを特徴とする請求項１に記載の切断器具。
4. 前記内側頭部（２１）は、２個の内側切刃（２２１’，２２１”）を各々備えた２個の内側開口（２２’，２２”）を有することを特徴とする請求項１又は２に記載の切断器具。
5. 前記内側頭部（２１）は、２個の内側切刃（２２１’，２２１”）を各々備えた２個の内側開口（２２’，２２”）を有することを特徴とする請求項１又は３に記載の切断器具。
6. 前記内側頭部（２１）は、２個の内側切刃（２２１’，２２１”）を各々備えた３個の内側開口（２２’，２２”，２２’”）を有することを特徴とする請求項１又は２に記載の切断器具。
7. 前記内側頭部（２１）は、２個の内側切刃（２２１’，２２１”）を各々備えた３個の内側開口（２２’，２２” ，２２’”）を有することを特徴とする請求項１又は３に記載
   の切断器具。
8. 前記内側頭部（２１）は端部にフライス頭部（２２３）を有することを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１項に記載の切断器具。
9. 直立歯（２２４）は歯間隙（２２５）よりも少なくとも２倍幅が広いことを特徴とする請求項１に記載の切断器具。

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