JP2008506504A - 耐放射線ブロックコポリマーを含む医療用デバイス - Google Patents

耐放射線ブロックコポリマーを含む医療用デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、一般に、治療剤放出のためのポリマー領域を含む耐放射線医療用デバイスに関する。本発明は、また、挿入可能若しくは埋込み可能な医療用デバイスと併せて使用するための耐放射線ブロックコポリマー材料に関する。
【解決手段】 放射線滅菌された医療用デバイスは、(a)放出領域と、(b)少なくとも1つの治療剤とを含んでおり、該放出領域は、(i)低T炭化水素ポリマーブロックと、(ii)1つ又は複数の高Tポリマーブロックとを含む、耐放射線コポリマーを含む。
【選択図】 図1

Description

(発明の分野)
本発明は、一般に、治療剤放出のためのポリマー領域を含む耐放射線医療用デバイスに関する。本発明は、また、挿入可能若しくは埋込み可能な医療用デバイスとに関連して使用するための耐放射線ブロックコポリマー材料に関する。
(発明の背景)
治療剤を身体に送達するための、ポリマーベースの多数の医療用デバイスが開発されている。一部の典型的な送達戦略によれば、治療剤は、医療用デバイスにつけたポリマー運搬層内及び/又はポリマー障壁層の下に与えられる。医療用デバイスが患者の内部の所望の場所に設置された後、治療剤は、ポリマー運搬層及び/又はポリマー障壁層の性質に応じた速度で該医療用デバイスから放出される。
埋込み可能又は挿入可能な医療用デバイスを製造する際に使用するのに適した材料は、通常、卓越した生体適合性、押出し性、弾力性、成形性、良好な繊維形成特性、引張強度、耐久性などの性質の1つ又は複数を示す。さらに、デバイス材料の物理的及び化学的特徴が、治療剤の最終的な放出速度の決定に重要な役割を果たすことがある。
具体例として、ポリイソブチレンとポリスチレンとのブロックコポリマー、例えば、Pinchukらの米国特許第6545097号に記載のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロックコポリマー(SIBSコポリマー)が、埋込み可能若しくは挿入可能な薬物放出医療用デバイスで放出ポリマーとして有益であることが判明している。なお、その特許の全体を参照により本願に援用する。Pinchukらが記載しているように、SIBSコポリマー系からのパクリタキセルなどの治療剤の放出プロファイルの特徴は、これらのコポリマーがインビボで治療剤を諸部位に供給する効果的な薬物送達システムであることを明示している。
これらのコポリマーは、特に血管系内で、優れた強度、生体安定性、及び生体適合性を有するので、医療用デバイス用途に特に有用である。例えば、SIBSコポリマーは、しばしば2,000〜4,000psi以上に及ぶ高い引張強度を示し、典型的なインビボ条件下でクラック形成や他の形態の劣化に耐性を示す。これらの材料の血管適合性を含めた生体適合性は、有害な組織反応(例えば、マクロファージ活性の低下によって測定される)をほとんど誘発する傾向がないことによって証明されている。加えて、これらのポリマーは、冠動脈ステント上にコーティングとして適用されたときに該ポリマーが小血管の血栓性閉塞を最小限に抑えることができることから証明されるように、一般に、血液適合性がある。
加えて、これらのポリマーは、ポリイソブチレンブロックとポリスチレンブロックとの組合せによる、医療用デバイスで求められる多くの興味深い物理的及び化学的特性を有する。ポリイソブチレンは、低いガラス転移温度(T)を有し、室温(及び体温)で軟質且つエラストマー性である。他方、ポリスチレンは、はるかに高いTを有するので、これらの温度では硬質である。また、ポリスチレンは、本質的に熱可塑性でもあり、加工能力を広範に広げている。ポリスチレンとポリイソブチレンとの相対量に応じて、結果として得られるコポリマーを、例えば、ショア約10A程度の軟質なものからショア約100D程度の硬質のものまで、広範な硬度になるように調合することができる。
系がSIBSコポリマーを含むか、他の生体適合性ポリマーを含むかにかかわらず、これらの材料は、医療用デバイスの完成品に組み込まれた後、通常、滅菌プロセスを経る。一般的な2つの滅菌プロセスは、酸化エチレン(EtO)への曝露と照射、例えば、γ線又は電子線による照射である。ここ数十年の間、酸化エチレンを使用する滅菌は、カテーテル、機械的心臓弁、縫合糸、接着ガーゼ包帯、気管切開チューブなどの医療用デバイスの滅菌に選択される方法であった。EtO滅菌の使用に付随した主な利点は、処理温度が低いこと、及び広範な材料と適合性があることである。しかし、そのガスの毒性、その潜在的な発癌性、並びに製品及び製造環境中の残留物に関する懸念ゆえに、EtO使用が受ける規制的検査及び管理は、増加の一途をたどっており、EtO滅菌のコストを増大させ続けている。加えて、EtOは、きわめて反応性が高く、医療用デバイス中に存在する様々な治療剤と相互作用する、又は他の何らかの形で該治療剤に悪影響を及ぼす虞がある。
放射線滅菌は、γ線、X線、加速電子、又は他の手段のいずれによるにしても、医療用デバイスを滅菌する、広く使用される代替方法である。滅菌されるべき製品は、通常、所望の線量を受けるまで、Co−60若しくはCs−137源からのγ線、又は機械によって加速された電子にさらされる。毒性のある剤は関与しておらず、所望の線量を照射したという文書に基づいて製品を発売することができる。ポリマー医療用デバイスの減菌では、約1.0〜5.0Mrad(10〜50kGy)以上の典型的な放射線量が用いられる。
しかし、放射線滅菌は、分子量、鎖長、絡み合い、多分散性、分岐、ペンダント官能基、連鎖停止など、ポリマー材料の多くの重要な物理的及び化学的特性を改変することがある。これらの特性変化は、例えば、ポリマーの薬物溶出特性に影響を与え、特定の用途についてポリマーの性能を損なう虞がある。例えば、製品使用の観点から、機械的特性は、ポリマーの照射によって悪影響を受ける虞のある重要な特徴である。これらの特性には、引張強度、弾性率、衝撃強度、せん断強度、及び伸びが含まれる。
例えば、ポリマーが放射線にさらされるときには、2つの基本反応、すなわち:(1)ポリマー分子の鎖の切断(すなわち、結合のランダムな破断)、及び(2)ポリマー分子の架橋が起こり得る。架橋は、一般に、より大きな3次元ポリマー構造の形成をもたらす。他方、鎖の切断は、一般に、ポリマー分子の分子量の低下をもたらす。ポリマー材料が電離放射線にさらされたとき、一般的にこれら両方の反応が起こるが、特定のポリマー内では一方の反応が優勢であることが多い。鎖の切断の結果、超低分子量の断片、ガスの発生、及び不飽和結合が現われることがある。一般に、架橋は、初めのうちは引張強度の増大をもたらすが、線量の増加につれて、衝撃強度が低下し、ポリマーがより脆性になる。
炭素−炭素骨格をもつポリマーでは、架橋は、一般に炭素に1つ又は複数の水素原子が結合している場合に起こり、鎖の切断は、一般に四置換炭素のところで起こることが観察されている。芳香族分子を含むポリマーは、一般に脂肪族ポリマーよりも放射線劣化に対する耐性が大きく、このことは、芳香族基が直接に鎖の骨格内にあるか否かにかかわらず当てはまる。したがって、ペンダント芳香族基をもつポリスチレンと、直接にポリマー骨格内に芳香族基をもつポリイミドのいずれも、高い線量(>4000kGy)に対して比較的耐性を有する。他方、SIBSコポリマーなど、ポリイソブチレンを含むホモポリマー及びコポリマーは、一般に放射線の影響を受けやすく、特に医療用デバイスの減菌に通常使用される放射線レベル(例えば、約2.5Mrad)では、照射中に鎖の切断を起こす虞がある。一般的ないくつかの熱可塑性物質及び熱硬化物質について、伸びの低下など、放射線がポリマー特性に及ぼす影響の概要が、Karl J. Hemmerichの論文「放射線滅菌される製品のためのポリマー材料の選択(Polymer Materials Selection for Radiation-Sterilized Products)」(Medical Device & Diagnostic Industry Magazine, Feb. 2000,78-89頁)に与えられており、その論文の内容全体を参照により本願に援用する。
放射線の問題は、薄いポリマーコーティングを有する医療用デバイスで特に顕著である。このことは、SIBSコポリマーなどの放射線感受性ポリマーが、ステントやバルーンなど、拡張可能な医療用デバイスの表面上に薄いコーティングの形態で設けられる場合に特に当てはまる。例えば、放射線は、SIBSコポリマーの表面粘着性の許容不可能な増大をまねく虞があり、その表面粘着性の増大は、ポリマーが拡張されるときに(例えば、該ポリマーが拡張可能なステント若しくはバルーンの表面上のコーティングの形態である状況で)、ポリマーの欠陥を引き起こす虞がある。
さらに、SIBSコポリマーには、特別な合成課題がある。現在、SIBSコポリマーは、厳密な反応条件と低い温度とを必要とする複雑なプロセスであるリビングカチオン重合法によって合成されている。イオン(カチオン及びアニオン)重合は、通常、水分、酸素、並びに不純物の存在しない反応条件を必要とする。今日まで、限られた数のモノマーしかリビングカチオン重合法によって重合されておらず、したがってこの方法によって生成されるポリマー及びコポリマーの化学組成を多様にする能力は、限られている。さらに、一般にイオン重合に関わる実験的な厳密さは、工業用途にはコストがかかりすぎることが多く、フリーラジカル経路が好ましい。
したがって、SIBSコポリマーに類似した様々な特性(例えば、薬物放出特性及び生体安定性/生体適合性)を有するが、また、放射線によるポリマー特性の変化に対して改善された耐性を示し、且つより幅広いモノマー材料を使用してより容易に合成できるポリマーを提供することが有利である。
(発明の要旨)
従来技術の前述及び他の課題は、(a)放出領域と、(b)治療剤とを含む、放射線滅菌された医療用デバイスを提供する、本発明によって対処される。該放出領域は、(i)低T炭化水素ポリマーブロックと、(ii)高Tポリマーブロックとをさらに含む、耐放射線コポリマーを含む。
本発明は、放射線滅菌の損傷効果に耐える医療用デバイスを提供できる点で有利である。
本発明の他の利点は、治療剤の制御放出をもたらす、埋込み可能又は挿入可能な医療用デバイスを提供できることである。
本発明の他の利点は、リビングカチオン重合法によってポリイソブチレンを調製する標準的な合成方法の限界がない、生体安定性のある耐放射線ポリマー材料が提供されることである。
本発明の前述及び他の実施態様並びに利点は、以下の詳細な説明及び冒頭の特許請求の範囲を検討すれば、当業者にはすぐに明らかになる。
(発明の詳細な説明)
本発明は、血管内又は血管間医療用デバイスと併せて治療剤を送達するのに有用な耐放射線コポリマーに関する。
本発明の一態様によれば、(a)放出領域と、(b)1つ又は複数の治療剤とを含む、放射線滅菌された医療用デバイスが提供される。該放出領域は、(i)1つ又は複数の低T炭化水素ポリマーブロックと、(ii)1つ又は複数の高Tポリマーブロックとを含む、少なくとも1つの耐放射線コポリマーをさらに含む。
本発明に従って使用するための放出領域には、キャリア領域とバリア領域とが含まれる。「キャリア領域」は、治療剤をさらに含む、そこから治療剤が放出される放出領域を意味する。例えば、一部の実施態様では、キャリア領域は、医療用デバイス基材のすべて又は一部分を覆って配置される。他の実施態様では、キャリア領域は、医療用デバイス全体を構成する。
「バリア領域」は、治療剤源と目標放出部位との間に配置された、治療剤が放出される速度を制御する領域を意味する。例えば、一部の実施態様では、医療用デバイスに、治療剤源を取り囲むバリア領域が設けられる。他の実施態様では、バリア領域は、治療剤源の上に配置されており、該治療剤源が医療用デバイス基材のすべて又は一部分を覆って配置される。
したがって、様々な実施態様では、本発明に従って使用するための放出領域は、医療用デバイス基材のすべて又は一部を覆う放出層の形態である。本明細書で使用する所与の材料の「層」は、その長さ及び幅に比べてその厚さが小さい材料の領域である。本明細書で使用する層は、平面的又は共形である(例えば、その下にある基材の輪郭を呈する)必要はない。層は、不連続層(例えば、パターン層)とすることができる。本明細書では、「フィルム」、「層」、「コーティング」などの用語を交換可能に使用することがある。
本発明と関連して使用するための医療用デバイスには、治療剤の制御放出が望ましい、任意の医療用デバイスが原則的に含まれる。医療用デバイスの例には、埋込み可能又は挿入可能な医療用デバイス、例えば、カテーテル(例えば、バルーンカテーテルなどの腎カテーテル若しくは血管カテーテル)、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ)、ステント(冠血管ステント、大脳、尿道、尿管、胆管、気管、胃腸、及び食道ステントを含める)、ステントグラフト、脳動脈瘤フィルタコイル(Guglilmi着脱式コイル及び金属コイルを含める)、血管グラフト、心筋プラグ、パッチ、ペースメーカ及びペースメーカリード、心臓弁、血管弁、生検デバイス、並びに、体内に埋め込まれ、若しくは挿入され、且つ治療剤がそれらから放出される、コーティングされたいずれかの基材(例えば、ガラス、金属、ポリマー、セラミック、及びそれらの組合せを含むことができる)が含まれる。医療用デバイスの例には、さらに、治療剤を無傷の皮膚及び傷付いた皮膚(創傷を含む)に送達するためのパッチ;縫合糸、縫合糸留め具、吻合クリップ及びリング、手術部位における組織ステープル及び結紮クリップ;足首、膝、及び手部の干渉スクリュー、靭帯結合及び半月板修復用のタック、骨折固定用のロッド及びピン、頭蓋顎顔面修復用のスクリュー及びプレートなどの整形外科固定デバイス;抜歯後の抜歯窩フィラー、歯根膜手術後の組織再生誘導膜フィルムなどの歯科デバイス;並びに、軟骨、骨、皮膚、及び他のインビボ組織再生のための組織工学の足場も含まれる。
本発明の医療用デバイスには、全身的処置、又は任意の哺乳類組織若しくは臓器の局所的処置に使用される医療用デバイスが含まれる。非限定的な例には、腫瘍;心臓、冠血管系と末梢血管系(総合的に「血管系」と呼ぶ)、肺、気管、食道、脳、肝臓、腎臓、膀胱、尿道と尿管、目、腸、胃、膵臓、膣、子宮、卵巣、及び前立腺を含めた臓器;骨格筋;平滑筋;胸部;皮膚組織;軟骨;並びに骨が含まれる。
本発明と関連して使用するための医療用デバイスの具体例には、再狭窄の処置のために治療剤を血管系内に送達する血管ステントが含まれる。これらの実施態様では、放出領域は、通常、ステント基材のすべて又は一部分を覆って設けられ、通常、キャリア層の形態(その場合、治療剤が放出層内に配置される)、又はバリア層の形態(その場合、放出層が治療剤含有領域の上に配置される)である。
本明細書で使用する「処置」は、疾病若しくは状態の予防、疾病若しくは状態に随伴した症状の軽減若しくは除去、又は疾病若しくは状態の実質的若しくは完全な除去を指す。好ましい処置対象は、哺乳類の処置対象であり、ヒトの処置対象がより好ましい。
「放射線滅菌された」は、医療用デバイスが、該医療用デバイスに関係付けられた病原体を殺すのに有効な量の放射線にさらされたことを意味する。本発明の医療用デバイスを滅菌するために使用される放射線は、通常、γ線、X線、電子線などの電離放射線である。例えば、医療用デバイスのための滅菌放射線量は、通常、100,000rad〜100Mradに及ぶ。これには、例えば、100,000rad、500,000rad、1,000,000rad(1Mrad)、2.5Mrad、5Mrad、7.5Mrad、10Mrad、20Mrad、50Mrad、及び100Mrad、並びにこれらの線量のいずれか2つの間の範囲、例えば、100,000rad〜1Mrad、500,000rad〜20Mradなどが含まれ、1Mrad〜10Mradが特に有益な範囲である。
「放射線安定性コポリマー」は、前述した、使用される典型的な放射線滅菌線量(例えば、1Mrad〜10Mrad)において、該コポリマーが、その目的用途についてその性能に悪影響を及ぼす、分子量(例えば、Mw、Mn)の変化(架橋若しくは鎖の切断による)も、デバイス若しくはコーティングの機能的特性(例えば、薬物送達特性、若しくは伸び率などの機械的特性)を大きく変化させる形態の変化も、起こさないことを意味する。
本明細書で使用するポリマーは、1つ又は複数の構成単位の多数のコピーを含む、1つ又は複数の鎖を含む分子である。一般的なポリマーの一例は、ポリスチレン:
Figure 2008506504
であり、式中、nは、整数、典型的には10以上の整数、より典型的には10代、100代、1000代、又はそれ以上の整数であり、鎖の中の構成単位は、スチレンモノマー:
Figure 2008506504
に対応する(すなわち、スチレンモノマーの重合、この場合にはスチレンモノマーの付加重合に由来する、又は由来する外観を有する)。本明細書で使用するコポリマーは、少なくとも2つの異種構成単位を含むポリマーである。
本明細書で使用するポリマー「ブロック」は、10個以上の構成単位、一般に20個以上、50個以上、100個以上、200個以上、500個以上、場合によっては1000個以上もの単位の集団である。「鎖」は、10個以上の構成単位の線状(非分岐)集団(すなわち、線状ブロック)である。
前述のように、本発明の医療用デバイスは、放射線滅菌され、また、(a)1つ又は複数の低T炭化水素ポリマーブロックと、(b)1つ又は複数の高Tポリマーブロックとを含む、1つ又は複数の耐放射線コポリマーを含む。
「低Tポリマーブロック」は、示差走査熱量測定法(DSC)、動的機械分析(DMA)、又は誘電分析(DEA)を含めたいくつかの技術のいずれかによって測定される、周囲温度を下回る、より典型的には25℃を下回る、0℃を下回る、−25℃を下回る、場合によっては−50℃さえ下回る、1つ又は複数のガラス転移温度(T)を示すポリマーブロックである。「周囲温度」は、典型的には25℃〜45℃、より典型的には体温(例えば、35℃〜40℃)である。低Tポリマーブロックは、それらのガラス転移温度が低いことから、通常、周囲温度でエラストマー性である。線状又は分岐シリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサン)など、一部の低Tポリマーブロックのホモポリマーは、室温で粘稠な液体若しくはミラブルゴムであり、共有結合架橋するとエラストマー性になる。
反対に、Tが高められた、又は「高Tポリマーブロック」は、示差走査熱量測定法、動的機械分析、又は熱機械分析を含めたいくつかの技術のいずれかによって測定される、周囲温度を上回る、より典型的には50℃を上回る、60℃を上回る、70℃を上回る、80℃を上回る、90℃を上回る、場合によっては100℃さえ上回る、1つ若しく複数のガラス転移温度を示すポリマーブロックである。
したがって、1つ又は複数の低Tブロックと1つ又は複数の高Tポリマーブロックとが存在するので、本発明のコポリマーは、通常、周囲温度を下回る1つ又は複数のガラス転移温度と、周囲温度を上回る1つ又は複数のガラス転移温度とを有する。これは、通常、周囲温度で放出領域内にゴム状相と硬質相とを形成することになる。
「炭化水素ポリマーブロック」は、繰返し炭化水素単位(すなわち、炭素原子と水素原子とだけを含む繰返し単位)を含むブロックである。炭化水素ポリマーブロックは、コポリマー内に、例えば、中間ブロックとして、又は末端ブロックとして存在することができる。該ポリマーブロックは、環状、線状、及び分岐配置を含め、様々な配置で提供することができる。分岐配置には、星型配置(例えば、単一の分岐点から3本以上の鎖が出る配置)、櫛型配置(例えば、主鎖と複数の側鎖とを有する配置)、並びに樹枝状配置(例えば、樹木状(arborescent)及び超分岐ポリマー)が含まれる。(1つ又は複数の)炭化水素ポリマーブロックを形成する1つ又は複数の鎖は、例えば、(a)単一のタイプの炭化水素単位の繰返し系列、又は(b)例えば、繰返し(例えば交互)、ランダム、統計、若しくはグラジエント分布で配置された、2以上のタイプの炭化水素単位の系列を含むことができる。
本明細書で使用する「テレケリック」ポリマーは、ポリマーの各末端に1つずつの、1分子当たり少なくとも2つの官能基を含むポリマーである。ポリマーの末端上の官能基は、同一のもの(2つのヒドロキシル基など)、又は異なるもの(1つのヒドロキシル基と1つのアミノ基など)とすることができる。テレケリックポリマーの調製は、従来技術で教示されている。例えば、テレケリック星型ポリマーの調製については、FMC Corporationに譲渡された米国特許第5919870号に記載されており、その内容全体を参照により本願に援用する。
当業者には理解されるように、前のパラグラフで記載したものを含め、本明細書に記載のブロックコポリマーは、これだけに限るものではないが、溶媒の蒸発や、アルコールやアルコール/アセトン混合物などの非溶媒による沈殿とその後の乾燥などを含めた通常の技術のいずれかによって、反応混合物から回収することができる。加えて、様々なアルコール、エーテル、及びケトンが存在する状況でも、存在しない状況でも、水性媒体中での順次抽出によってコポリマーの精製を実施することができる。
低T炭化水素ポリマーブロックをそれらから選択できる、炭化水素ポリマーブロックの具体例には、オレフィンのポリマー(すなわち、単一の>C=C<二重結合を含む炭化水素モノマー)、ジオレフィンとも呼ばれるジエンのポリマー(すなわち、2つの>C=C<二重結合を含む炭化水素モノマー)、又はオレフィン及びジエン両方のポリマーを含め、アルケンのポリマーを含むブロックが含まれており、それらを以下に規定する。
例えば、低T炭化水素ポリマーブロックは、2つのオレフィン(エチレン及びプロピレン)と、1つ又は複数のジエン(例えば、ビニルノルボルネン又はエチリデンノルボルネン)とから形成される単位を含む、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンモノマー)コポリマーブロックを含むことができ、それらの単位は、以下の構造で示される:
Figure 2008506504
商業的に調製されたEPDMコポリマーブロックには、Exxon−Mobilから市販のVistalon(商標)ポリマーが含まれる。EPDMコポリマーの合成は、バナジウム、チタン、ジルコニウム、及びメタロセンベースの均一触媒組成物を使用するチーグラーナッタ(Ziegler-Natta)重合による調製を含め、当該技術分野で周知である。EPDMコポリマーの調製の詳細は、ExxonMobil Chemical Patents Inc.に譲渡された米国特許第6486278号に与えられており、その特許の内容全体を参照により本願に援用する。合成は、通常、エチレン、1つ又は複数のオレフィンモノマー、及び1つ又は複数の環状ジオレフィンモノマーと、触媒活性剤及び触媒から調製される触媒組成物とを、溶液重合法によって接触させるものである。
プロピレン及びエチレンに加えて、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどのC〜C20α−オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、ノルボルネン、アルキル置換ノルボルネン、アルケニル置換ノルボルネンなどの拘束環型環状モノオレフィンを含めた広範なオレフィンが、EPDMの調製に使用するのに適している。
ジエンモノマー、又はEPDMコポリマーのジオレフィン成分は、1)1,3−シクロペンタジエンなど、単環の脂環式ジエン、2)テトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、シクロアルケニル、及び、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−シクロドデセンなどのシクロアルキリデンノルボルネンなど、多環の脂環式縮合/架橋環ジエン、並びに、3)アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、アリルシクロデセン、及びビニルシクロドデセンなど、シクロアルケニル置換アルケンを含め、約6〜約15個の炭素原子を有する1つ又は複数の環状ジオレフィンの混合物とすることができる。
他の例として、低T炭化水素ポリマーブロックは、以下のポリジエン及びポリオレフィンブロック、並びにそれらの水素化形態などの変異体を含むことができる:
Figure 2008506504
Figure 2008506504
低T炭化水素ポリマーブロックは、また、これだけに限るものではないが、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、3−エテニル−1,6−ヘプタジエン、5−エチル−1,3,5−ヘプタトリエン、5−メチル−1,3−シクロヘプタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、アントラセン、及びクロロプレンなどを含め、共役ジエンモノマーから形成することもできる。本発明は、また、これらのモノマーから形成されるポリマーブロックの水素化形態も含む。
前述の低T炭化水素ポリマーブロックと同様に、高Tポリマーブロックは、コポリマー内に、例えば、中間ブロックとして、又は末端ブロックとして存在することができる。高Tポリマーブロックは、環状、線状、及び分岐配置を含め、様々な配置で提供することができる。分岐配置には、星型配置(例えば、単一の分岐点から3本以上の鎖が出る配置)、櫛型配置(例えば、主鎖と複数の分岐側鎖とを有する配置)、並びに樹枝状配置(例えば、樹木状及び超分岐ポリマー)が含まれる。高Tポリマーブロックは、例えば、単一のタイプの単位の繰返し系列や、繰返し(例えば、交互)、ランダム、統計、若しくはグラジエント分布にある、2以上のタイプの単位の系列などを含むことができる。
高Tポリマーブロックをそれらから選択できる、高Tポリマーブロックの具体例には、様々なビニル芳香族モノマー、他のビニルモノマー、他の芳香族モノマー、メタクリルモノマー、及びアクリルモノマーから形成される(若しくはそれらから形成されたような外観を有する)、ホモポリマー及びコポリマーブロックが含まれる。多数の具体例を以下に列挙する。T値は、列挙されるモノマー単位のホモポリマーについて公表されている値である。
ビニル芳香族モノマーは、非置換モノマー、ビニル置換モノマー、及び環置換モノマーを含め、芳香族部分とビニル部分とを有するモノマーである。いくつかの具体的なビニル芳香族モノマーは、次の通り:(a)アタクチックスチレン(T100℃)、アイソタクチックスチレン(T100℃)、2−ビニルナフタレン(T151℃)などの非置換ビニル芳香族、(b)メチルスチレンなどのビニル置換芳香族、(c)以下を含めた環置換ビニル芳香族(i)3−メチルスチレン(T97℃)、4−メチルスチレン(T97℃)、2,4−ジメチルスチレン(T112℃)、2,5−ジメチルスチレン(T143℃)、3,5−ジメチルスチレン(T104℃)、2,4,6−トリメチルスチレン(T162℃)、4−tert−ブチルスチレン(T127℃)などの環アルキル化ビニル芳香族(ring−alkylated vinyl aromatics)、(ii)4−メトキシスチレン(T113℃)、4−エトキシスチレン(T86℃)などの環アルコキシル化ビニル芳香族(ring−alkoxylated vinyl aromatics)、(iii)2−クロロスチレン(T119℃)、3−クロロスチレン(T90℃)、4−クロロスチレン(T110℃)、2,6−ジクロロスチレン(T167℃)、4−ブロモスチレン(T118℃)、4−フルオロスチレン(T95℃)などの環ハロゲン化ビニル芳香族(ring−halogenated vinyl aromatics)、及び(iv)4−アセトキシスチレン(T116℃)などのエステル置換ビニル芳香族。
他の具体的なビニルモノマーには、(a)ビニルアルコール(T85℃)、(b)安息香酸ビニル(T71℃)、4−tert−ブチル安息香酸ビニル(T101℃)、シクロヘキサン酸ビニル(T76℃)、ピバル酸ビニル(T86℃)、トリフルオロ酢酸ビニル(T46℃)、ビニルブチラール(T49℃)などのビニルエステル、(c)2−ビニルピリジン(T104℃)、4−ビニルピリジン(T142℃)、ビニルカルバゾール(T227℃)などのビニルアミン、(d)塩化ビニル(T81℃)、フッ化ビニル(T40℃)などのハロゲン化ビニル、(e)tert−ブチルビニルエーテル(T88℃)やシクロヘキシルビニルエーテル(T81℃)などのアルキルビニルエーテル、及び(f)1−ビニル−2−ピロリドン(T54℃)、ビニルフェロセン(T189℃)などの他のビニル化合物が含まれる。
ビニル芳香族以外の具体的な芳香族モノマーには、アセナフタレン(T214℃)及びインデン(T85℃)が含まれる。
具体的なメタクリルモノマーには、(a)メタクリル酸(T228℃)、(b)メタクリル酸ナトリウム(T310℃)などのメタクリル酸塩、(c)メタクリル酸無水物(T159℃)、(d)以下を含むメタクリル酸エステル(メタクリレート)(i)アタクチックメタクリル酸メチル(T105〜120℃)、シンジオタクチックメタクリル酸メチル(T115℃)、メタクリル酸エチル(T65℃)、メタクリル酸イソプロピル(T81℃)、メタクリル酸イソブチル(T53℃)、メタクリル酸t−ブチル(T118℃)、メタクリル酸シクロヘキシル(T92℃)などのメタクリル酸アルキル、(ii)メタクリル酸ベンジル(T54℃)など、芳香族メタクリル酸アルキルを含めた、メタクリル酸フェニル(T110℃)などの芳香族メタクリル酸エステル、(iii)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(T57℃)、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(T76℃)などのメタクリル酸ヒドロキシアルキル、(iv)メタクリル酸イソボルニル(T110℃)及びメタクリル酸トリメチルシリル(T68℃)を含め、他のメタクリレート、並びに(e)メタクリロニトリル(T120℃)を含めた他のメタクリル酸誘導体が含まれる。
具体的なアクリルモノマーには、(a)アクリル酸(T105℃)、その無水物、及びアクリル酸カリウム(T194℃)やアクリル酸ナトリウム(T230℃)などの塩の形態、(b)アクリル酸tert−ブチル(T43〜107℃)(T193℃)、アクリル酸ヘキシル(T57℃)、アクリル酸イソボルニル(T94℃)など、特定のアクリル酸エステル、(c)アクリルアミド(T165℃)、N−イソプロピルアクリルアミド(T85〜130℃)、N,Nジメチルアクリルアミド(T89℃)などのアクリル酸アミド、並びに(d)アクリロニトリル(T125℃)を含めた他のアクリル酸誘導体が含まれる。
特に有益な一部の実施態様では、本発明で使用するためのブロックコポリマーは、次の一般構造:BAB若しくはABA(トリブロック)、B(AB)n若しくはA(BA)n(交互ブロック)、又はX−(AB)n若しくはX−(BA)n(ジブロック、トリブロック、及び他のラジアルブロックコポリマーを含める)のうちの1つを有しており、式中、Aは、低Tブロックであり、Bは、高Tブロックであり、nは、正の整数であり、Xは、開始シード分子である。ブロックコポリマーが式X−(AB)n若しくはX−(BA)nであって、n=1の場合、得られる構造は、しばしばジブロックと呼ばれ、n=2の場合、構造は、トリブロックと呼ばれ(このようなポリマーを記述する際、シード分子Xなどの小さいエンティティの存在を無視するのが一般的である)、n=3以上の場合、これらの構造は、一般に星型ブロックコポリマーと呼ばれる。
ブロックコポリマーの好ましい一群は、(a)以上に列挙した例を含めた、炭化水素ポリマー中間ブロック又は主鎖と、(b)例えばポリスチレン又はポリ(メタクリル酸アルキル)のブロック例とすることのできる、1つ又は複数の高T末端ブロック若しくは側鎖とを有する。
本発明の放出領域は、任意で、前述のコポリマーに加えて補助ポリマーを含む。様々なポリマーが、本発明の放出領域で補助ポリマーとして使用するために利用可能である。例えば、補助ポリマーを、ホモポリマー又はコポリマー(交互、ランダム、統計、グラジエント、及びブロックコポリマーを含める)とすることができ、環状、線状、又は分岐(例えば、ポリマーが星型、櫛型、若しくは樹枝状構造を有する)とすることができ、天然又は合成のものとすることができ、熱可塑性又は熱硬化性のものとすることができる。本発明を実施するための補助ポリマーは、例えば、次から選択することができる:ポリアクリル酸を含めたポリカルボン酸ポリマー及びコポリマー;アセタールポリマー及びコポリマー;アクリレート及びメタクリレートポリマー並びにコポリマー(例えば、メタクリル酸n−ブチル);酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロハン、レーヨン、三酢酸レーヨン、及びカルボキシメチルセルロースやヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテルを含めた、セルロースポリマー及びコポリマー;ポリオキシメチレンポリマー及びコポリマー;ポリエーテルブロックイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミドなど、ポリイミドポリマー及びコポリマー;ポリアリールスルホン及びポリエーテルスルホンを含めた、ポリスルホンポリマー及びコポリマー;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリカプロラクタム、及びポリアクリルアミドを含めた、ポリアミドポリマー及びコポリマー;アルキド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂、及びエポキシド樹脂を含めた樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋したもの、その他);ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなどのポリハロゲン化ビニル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル、ポリスチレンなどのビニル芳香族ポリマー及びコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレンコポリマー(例えば、Kraton(登録商標)Gシリーズポリマーとして市販のポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレン−イソプレンコポリマー(例えば、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、及びスチレン−イソブチレンコポリマー(例えば、SIBSなどのポリイソブチレン−ポリスチレンブロックコポリマー)を含めたビニル芳香族−炭化水素コポリマー、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、並びにポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステルを含めたビニルモノマーのポリマー及びコポリマー;ポリベンゾイミダゾール;イオノマー;ポリエチレンオキシド(PEO)を含めたポリアルキルオキシドポリマー及びコポリマー;ラクチド(乳酸、並びにd−ラクチド、l−ラクチド、及びメソ−ラクチドを含める)、ε−カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含める)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、パラジオキサノン、炭酸トリメチレン(及びそのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、及び6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オンのポリマー並びにコポリマーなど、ポリテレフタル酸エチレン及び脂肪族ポリエステルを含めた、ポリエステル(ポリ乳酸とポリカプロラクトンとのコポリマーが、一具体例である);ポリフェニレンエーテルなどのポリアリールエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンを含めた、ポリエーテルポリマー及びコポリマー;ポリフェニレンサルファイト;ポリイソシアナート;ポリプロピレン、ポリエチレン(低密度及び高密度、低分子量及び高分子量)、ポリブチレン(ポリブト−1−エン、ポリイソブチレンなど)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレーン(santoprene))、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ−4−メチル−ペン−1−エン、エチレン−αオレフィンコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーなどのポリアルキレンを含めた、ポリオレフィンポリマー及びコポリマー;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、変性エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含めた、フッ素化ポリマー及びコポリマー;シリコーンポリマー及びコポリマー;ポリウレタン;p−キシリレンポリマー;ポリイミノカーボネート;ポリエチレンオキシド−ポリ乳酸コポリマーなどのコポリ(エーテル−エステル);ポリホスファジン;シュウ酸ポリアルキレン;ポリオキサアミド(polyoxaamide)及びポリオキサエステル(polyoxaester)(アミン及び/又はアミド基を含有するものを含める);ポリオルトエステル;フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、デンプン、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを含めた、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、及び脂肪酸(並びにそれらのエステル)などのバイオポリマー;並びにこれらのブレンド及びコポリマー。
多数の技術が、本発明のポリマー放出領域を形成するために利用可能である。例えば、選択されたコポリマーが(あれば補助ポリマーも)熱可塑性の特徴を有する場合、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、紡績、真空成形、及びカレンダ加工、並びに、様々な長さのシート、繊維、ロッド、チューブ、及び他の断面プロファイルへの押出しを含め、標準的な様々な熱可塑性加工技術を使用してポリマー放出領域を形成することができる。
前述及び他の技術を使用して、デバイス全体又はデバイスの一部分を製造することができる。例えば、前述の技術を使用してステント全体を押し出すことができる。他の例として、既存のステント上にコーティング層を押し出すことによってコーティング層を設けることができる。他の例として、コーティングをその下のステント本体とともに共押出しすることができる。
治療剤が加工温度で安定な場合、該治療剤をコポリマーと組み合わせてから熱可塑性加工して、治療剤含有キャリア領域を作り出すことができる。治療剤が加工温度で安定でない場合、それでも、例えば後述するように、治療剤を後で導入することによってキャリア領域を形成することができる。
ポリマー放出領域は、また、初めにコポリマーが(あれば補助ポリマーも)溶媒に溶解又は分散され、続いて得られる混合物を使用してポリマー放出領域を形成するという、溶媒ベースの技術を使用して形成することもできる。
溶媒ベースの技術が使用される場合、選択される溶媒系は、1つ又は複数の溶媒種を含む。溶媒系が、コポリマーにとって、また含まれる場合補助ポリマー及び治療剤にとっても、適した溶媒であることが好ましい。溶媒系を作り上げる特定の溶媒種は、また、乾燥速度及び表面張力を含めた他の特徴に基づいて選択することもできる。
好ましい溶媒ベースの技術には、これだけに限るものではないが、溶媒キャスティング法、スピンコーティング法、ウェブコーティング法、溶媒噴霧法、ディッピング法、気中懸濁を含めた機械的懸濁によるコーティングに関わる技術、インクジェット法、静電法、及びこれらのプロセスの組合せが含まれる。
多くの実施態様では、溶媒と、コポリマーと、あれば補助ポリマーとを含む混合物が基材に適用されて、放出領域を形成する。例えば、基材は、放出層がそれに適用されるステントなどの埋込み可能又は挿入可能な医療用デバイスのすべて又は一部分とすることができる。他方で、基材を、また、例えば、溶媒除去後にポリマー放出領域がそこから取り外されるテンプレートとすることもできる。そのようなテンプレートベースの技術は、特に、テンプレート基材から容易に取り外すことのできる、シート、チューブ、シリンダなど、単純な物体を形成するのに特に適している。
他の技術、例えば、繊維形成法では、ポリマー放出領域は、基材又はテンプレートの補助なしに形成される。
適切な場合、以上に列挙したような技術を繰り返し、又は組み合わせて、放出層を所望の厚さに積み重ねることができる。放出層の厚さは、他の方法でも同様に、多様なものにすることができる。例えば、好ましい一プロセスである溶媒噴霧では、スプレー流量を増加させること、コーティングされるべき基材とスプレーノズルとの間の運動を減速させること、繰り返し通過させることなどを含め、コーティングプロセスパラメータの修正によってコーティング厚を増大させることができる。
キャリア領域が(例えば、バリア領域ではなく)形成される場合、望むなら、治療剤を、ポリマー/溶媒混合物に溶解又は分散させ、それによってキャリア領域とともに同時構築することができる。他方、他の実施態様では、治療剤を溶媒に溶解又は分散させることができ、得られる溶液を、例えば前述の塗布技術(例えば、ディッピング、噴霧など)の1つ又は複数を使用して、予め形成されたポリマー領域と接触させることができる。
他方、バリア層は、例えば、コポリマーと、あれば補助ポリマーとが初めに溶媒に溶解又は分散され、続いて得られる混合物を使用してバリア層を形成するという、前述のような溶媒ベースの技術を使用して、治療剤含有領域を覆って形成される。バリア層は、例えば、治療剤の拡散を遅らせて、例えばデバイス又はデバイスの一部分が埋込み部位若しくは挿入部位にさらされた直後に治療剤の多くが放出されるバースト現象を防ぐ作用をする、境界層の役割を果たす。
一部の実施態様では、バリア領域の下の治療剤含有領域は、本明細書の他の場所に記載したような1つ又は複数のポリマーを含む(これらの実施態様では、バリア領域のポリマー組成物は、その下にある治療剤含有領域のポリマー組成物と同一でも同一でなくてもよい)。したがって、治療剤含有領域を、やはり前述のような溶媒ベースの技術(例えば、ディッピング、噴霧など)を使用して構築することができる。他の諸実施態様では、バリア層の下の治療剤含有領域は、関係付けられたポリマーなしに構築される。この場合、単純に治療剤を溶媒若しくは液体に溶解又は分散させることができ、結果として得られる溶液/分散液を、例えば前述の適用技術の1つ又は複数を使用して、やはり基材と接触させることができる。
放出領域が溶媒ベースの技術を使用して形成される場合、溶媒を除去するために、塗布後に乾燥されることが好ましい。通常、放出領域は、さらに、乾燥プロセス中に、その下にある表面と共形になる。
「治療剤」、「医薬として活性な剤」、「医薬として活性な物質」、「薬物」、及び他の関連用語は、本明細書では交換可能に使用されることがあり、それらには、遺伝子治療剤、非遺伝子治療剤、及び細胞が含まれる。治療剤は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。治療剤は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。治療剤は、例えば、非イオン性のものとすることができ、又はアニオン性且つ/若しくはカチオン性の性質のものとすることができる。
本発明と関連して使用するための例示的な非遺伝子治療剤には、(a)ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、PPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)などの抗血栓剤、(b)デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、メサラミンなどの抗炎症剤、(c)パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を阻止できるモノクローナル抗体、チミジンキナーゼ阻害剤などの抗悪性腫瘍剤/抗増殖剤/アンチマイオチック剤(anti−miotic agents)、(d)リドカイン、ブピバカイン、ロピバカインなどの麻酔剤、(e)D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗剤、抗トロンビン抗体、抗血小板薬受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、マダニ抗血小板ペプチドなどの抗凝固剤、(f)成長因子、転写活性化因子、翻訳促進因子などの血管細胞成長促進因子、(g)成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗剤、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素とから成る2機能性分子、抗体と細胞毒素とから成る2機能性分子などの血管細胞成長阻害剤、(h)プロテインキナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チロホスチン(tyrphostin)、ゲニステイン、キノキサリン)、(i)プロスタサイクリン類似体、(j)コレステロール降下剤、(k)アンジオポエチン、(l)トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド、ニトロフラントインなどの抗菌剤、(m)細胞毒性剤、細胞増殖抑制剤、及び細胞増殖作用因子、(n)血管拡張剤、(o)内在性血管作動性機構に干渉する剤、(p)モノクローナル抗体など、白血球動員の阻害剤、(q)サイトカイン、(r)ホルモン、並びに(s)ゲルダナマイシンを含めた、HSP90タンパク質(すなわち、熱ショックタンパク質(Heat Shock Protein)、これは、分子シャペロン若しくはハウスキーピングタンパク質であり、細胞の成長及び生存をつかさどる他のクライアントタンパク質/シグナル伝達タンパク質の安定性及び機能のために必要である)の阻害剤が含まれる。
好ましい非遺伝子治療剤には、数ある中でも特に、パクリタキセル、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、Epo D、デキサメタゾン、エストラジオール、ハロフジノン、シロスタゾール、ゲルダナマイシン、ABT−578(Abbott Laboratories)、トラピジル、リプロスチン(liprostin)、アクチノマイシンD、Resten−NG、Ap−17、アブシキシマブ、クロピドグレル、及びリドグレルが含まれる。
本発明と関連して使用するための例示的な遺伝子治療剤には、様々なタンパク質、すなわち:(a)アンチセンスRNA、(b)欠陥若しくは欠損した内在性分子を置き換えるためのtRNA又はrRNA、(c)酸性及び塩基性線維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、内皮分裂促進成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α及びβ、血小板由来内皮成長因子、血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞成長因子、インスリン様成長因子などの成長因子を含めた、血管新生因子及び他の因子、(d)CD阻害剤を含めた細胞周期阻害剤、並びに(e)チミジンキナーゼ(「TK」)及び細胞増殖に干渉するのに有用な他の剤をコードする、アンチセンスDNA及びRNA並びにDNA(並びにそれらのタンパク質自体)が含まれる。やはり関心があるのは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6(Vgr−1)、BMP−7(OP−1)、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、及びBMP−16を含めた骨形成タンパク質(「BMP」)ファミリーをコードするDNAである。現時点で好ましいBMPは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、及びBMP−7のいずれかである。これらの二量体タンパク質は、ホモ二量体、ヘテロ二量体、若しくはそれらの組合せとして、単独で、又は他の分子とともに提供することができる。代替的に、又は追加的に、BMPの上流若しくは下流効果を誘発可能な分子を提供することもできる。そのような分子には、「ヘッジホッグ(hedgehog)」タンパク質、又はそれらをコードするDNAのいずれかが含まれる。
遺伝子治療剤の送達のためのベクターには、アデノウイルス、guttedアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、αウイルス(セムリキ森林(Semliki Forest)、シンドビス(Sindbis)など)、レンチウイルス、単純疱疹ウイルス、複製能のあるウイルス(例えば、ONYX−015)、ハイブリッドベクターなどのウイルスベクター;並びに、人工染色体及びミニ染色体、プラスミドDNAベクター(例えば、pCOR)、カチオン性ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI))、グラフトコポリマー(例えば、ポリエーテル−PEI及びポリエチレンオキシド−PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)などの中性ポリマー、SP1017(SUPRATEK)、カチオン性脂質などの脂質、リポソーム、リポプレックス、ナノ粒子、ミクロ粒子などの非ウイルスベクターが含まれ、タンパク質形質導入ドメイン(PTD)などの標的配列の有無を問わない。
本発明と関連して使用するための細胞には、全骨髄、骨髄由来の単核細胞、前駆細胞(例えば、内皮前駆細胞)、幹細胞(例えば、間葉、造血、神経)、多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、衛星細胞、周皮細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、若しくはマクロファージを含めたヒト由来(自己若しくは同種間)の細胞、又は動物、細菌、若しくは菌源由来(異種間)の細胞が含まれ、望むなら、対象とするタンパク質を送達するようにこれらを遺伝子操作することもできる。
以上に列挙したものを必ずしも除くわけではないが、血管治療計画のための候補として、例えば、再狭窄を標的とする剤として、多数の治療剤が確認されている。そのような剤は、本発明を実施するのに有用であり、それらには、次の1つ又は複数が含まれる:(a)ジルチアゼムやクレンチアゼムなどのベンゾチアザピン、ニフェジピン、アムロジピン、ニカルダピンなどのジヒドロピリジン、及びベラパミルなどのフェニルアルキルアミンを含めた、Caチャネル遮断剤、(b)ケタンセリンやナフチドロフリルなどの5−HT拮抗剤、及びフルオキセチンなどの5−HT取込み阻害剤を含めた、セロトニン経路調節因子、(c)シロスタゾールやジピリダモールなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、フォルスコリンなどのアデニル酸/グアニル酸シクラーゼ刺激剤、及びアデノシン類似体を含めた、環状ヌクレオチド経路剤、(d)プラゾシンやブナゾシンなどのα拮抗剤、プロプラノロールなどのβ拮抗剤、及びラベタロールやカルベジロールなどのα/β拮抗剤を含めた、カテコールアミン調節因子、(e)エンドセリン受容体拮抗剤、(f)ニトログリセリン、二硝酸イソソルビドや亜硝酸アミルなどの有機硝酸エステル/亜硝酸エステル、ニトロプルシドナトリウムなどの無機ニトロソ化合物、モルシドミンやリンシドミンなどのシドノンイミン、ジアゼニウムジオレート(diazenium diolate)及びアルカンジアミンのNO付加物などのノノエート(nonoate)、低分子量のS−ニトロソ化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオン、及びN−アセチルペニシラミンのS−ニトロソ誘導体)、高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖類、合成ポリマー/オリゴマー、及び天然ポリマー/オリゴマーのS−ニトロソ誘導体)を含むS−ニトロソ化合物、並びにC−ニトロソ化合物、O−ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物及びL−アルギニンを含めた一酸化窒素供与体/放出分子、(g)シラザプリル、フォシノプリル、エナラプリルなどのACE阻害剤、(h)サララシンやロサルチン(losartin)などのATII−受容体拮抗剤、(i)アルブミンやポリエチレンオキシドなどの血小板粘着阻害剤、(j)シロスタゾール、アスピリン、チエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)、並びに、アブシキシマブ、エピチフィバチド(epitifibatide)、チロフィバンなどのGP IIb/IIIa阻害剤を含めた、血小板凝集阻害剤、(k)ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストラン、β−シクロデキストリンテトラデカ硫酸エステルなどのヘパリノイド、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D−phe−L−プロピル−L−arg−クロロメチルケトン)、アルガトロバンなどのトロンビン阻害剤、アンチスタチンやTAP(マダニ抗凝固ペプチド)などのFXa阻害剤、ワルファリンなどのビタミンK阻害剤、並びに活性化プロテインCを含めた、凝固経路調節因子、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、スルフィンピラゾンなどのシクロオキシゲナーゼ経路阻害剤、(m)デキサメタゾン、プレドニゾロン、メトプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなどの天然及び合成コルチコステロイド、(n)ノルジヒドログアヤレチック酸やコーヒー酸などのリポキシゲナーゼ経路阻害剤、(o)ロイコトリエン受容体拮抗剤、(p)E−セレクチン及びP−セレクチンの拮抗剤、(q)VCAM−1及びICAM−1相互作用の阻害剤、(r)PGE1やPGI2などのプロスタグランジン、及びシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロスト、ベラプロストなどのプロスタサイクリン類似体を含めた、プロスタグランジン及びそれらの類似体、(s)ビスホスホネートを含めたマクロファージ活性化抑制剤、(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、セリバスタチンなどのHMG−CoA還元酵素阻害剤、(u)魚油及びω−3脂肪酸、(v)プロブコール、ビタミンC及びE、エブセレン、トランス−レチノイン酸、SOD模倣体などのフリーラジカル捕捉剤/酸化防止剤、(w)bFGF抗体やキメラ融合タンパク質などのFGF経路剤、トラピジルなどのPDGF受容体拮抗剤、アンギオペプチンやオクレオチドなどのソマトスタチン類似体を含めたIGF経路剤、ポリアニオン性剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、TGF−β抗体などのTGF−β経路剤、EGF抗体、受容体拮抗剤、キメラ融合タンパク質などのEGF経路剤、サリドマイドやそれらの類似体などのTNF−α経路剤、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベン、リドグレルなどのトロンボキサンA2(TXA2)経路調節因子、並びにチロホスチン、ゲニステイン、キノキサリン誘導体などのタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含めた、様々な成長因子に影響を及ぼす剤、(x)マリマスタット、イロマスタット、メタスタットなどのMMP経路阻害剤、(y)サイトカラシンBなどの細胞運動阻害剤、(z)プリン類似体(例えば、塩素化プリンヌクレオシド類似体である、6−メルカプトプリン若しくはクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビン及び5−フルオロウラシル)、メトトレキセートなどの抗代謝剤、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソ尿素、シスプラチン、微小管動態に影響を及ぼす剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、Epo D、パクリタキセル、及びエポチロン)、カスパーゼ活性化剤、プロテアソーム阻害剤、血管形成阻害剤(例えば、エンドスタチン、アンギオスタチン、及びスクアラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドール、並びにスラミンを含めた、抗増殖/抗悪性腫瘍剤、(aa)ハロフジノン若しくは他のキナゾリノン誘導体やトラニラストなどのマトリックス付着/組織化経路阻害剤、(bb)VEGF及びRGDペプチドなどの内皮化促進因子、並びに(cc)ペントキシフィリンなどの血流調節因子。
本発明を実施するのに有用な他の多数の治療剤については、また、NeoRx Corporationに譲渡された米国特許第5733925号に開示されており、その開示の全体を参照により本願に援用する。
治療剤には、また、その十分な量が悪性組織や前立腺組織などの望ましくない組織の壊死(死)をもたらすことになる、除去剤(ablation agent)も含まれる。その例には、浸透ストレス生成剤、例えば、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩;有機溶媒、特に、高濃度では有毒であるが、より低い濃度では良好な耐容性のある、エタノールなどの有機溶媒;フリーラジカル生成剤、例えば、過酸化水素、過酸化カリウム、又は組織中でフリーラジカルを形成できる他の剤;水酸化ナトリウムなどの塩基性剤;酢酸やギ酸などの酸性剤;コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、プロナーゼ、パパインなどの酵素;次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化カリウムなどの酸化剤;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒドなどの組織固定剤;並びにゲンピン(gengpin)などの自然に存在する凝固剤が含まれる。
本発明の投薬形態と併せて広範な治療剤ローディングを使用することができ、医薬として有効な量は、当業者には容易に決定されるが、最終的には、例えば、処置されるべき状態、治療剤自体の性質、該投薬形態が導入される組織などに応じて決まる。
当業者には理解されるように、放出領域に使用される放出プロファイルは、例えば、放出領域の化学組成を変えることによって(例えば、コポリマーの化学組成を変化させること、1つ又は複数の補助ポリマーをコポリマーとブレンドすることなどによって)、且つ/又は放出領域若しくは周囲領域の物理的な構造を変化させることによって(例えば、1つ又は複数のポリマーを含む別個のバリア層を追加することなどによって)、修正することができる。
例えば、本発明の様々な態様によれば、医療用デバイスの放出領域に使用される放出プロファイルは、これだけに限るものではないが、数ある中でも特に、(a)コポリマー内の(1つ又は複数の)低Tポリマーブロック及び/又は高Tポリマーブロックの組成を変化させる、したがって、例えば、該コポリマーの生体安定性、親水性、及び/又は疎水性を変化させる方法、(b)低T若しくは高Tポリマーブロック及び/又は他のポリマーブロックの分子量を変化させる方法、(c)(1つ又は複数の)低Tポリマーブロックと(1つ又は複数の)高Tポリマーブロックとの比を変化させる方法、(d)ポリマー内の低Tポリマーブロック及び高Tポリマーブロック(例えば、中間ブロック対末端ブロック)の分布を変化させる方法、並びに/或いは(e)コポリマーの構造を変化させる方法(例えば、線状コポリマー対分岐コポリマー)を含め、いくつかの方法で修正することができる。
医療用デバイスの放出領域に関係した放出プロファイルは、また、キャリア領域及びバリア領域の数、順番、厚さ、又は位置を互いに対して変化させることによって修正することもできる。例えば、放出プロファイルは、放出領域の厚さを変えることによって修正することができる。さらに、多数の放出領域を使用して放出プロファイルを修正することもでき、例えば、(a)本発明のコポリマーを含有するバリア層を、本発明のコポリマーと治療剤とを含有するキャリア層の上に配置することができ、(b)同一又は異なる含有量の(例えば、異なるポリマー及び/又は治療剤含有量の)本発明の多数のキャリア層を、中間にバリア層を用いて/用いずに、互いに積み重ねることができ、(c)様々な組成の本発明の多数のキャリア層を互いに横方向に配置することができるなどである。加えて、キャリア領域が使用される場合、治療剤の放出を制御するためにキャリア領域内に治療剤濃度勾配を確立することもできる。
したがって、本発明の特定の実施態様では、治療用の放出剤の薬物放出速度は、コポリマーの全体的な親水性が増減されるように(又は、逆から見れば、全体的な疎水性が増減されるように)本発明のブロックコポリマーの親水性/疎水性比を変化させることによって制御される。当業者には理解されるように、比は、いくつかの方法で変化させることができる。
一部の態様では、ブロックコポリマーの親水性は、以上で高Tポリマーブロックの調製について具体的に列挙した親水性モノマーの多数の例を含め、メタクリル酸ヒドロキシエチルや他のモノマーなど、1つ又は複数の親水性モノマーでコポリマーを形成することによって増大させることができる。代替的な実施態様では、得られるコポリマーの疎水性は、1つ又は複数の疎水性モノマーでコポリマーを形成することによって増大される。これだけに限るものではないが、上記で高Tポリマーブロックの調製について具体的に列挙した疎水性モノマーの多数の例を含めたメタクリル酸メチル又は他のモノマーを含め、いくつかの疎水性モノマーのいずれか1つ又は複数を使用することができる。
あるモノマーが主に親水性であるか疎水性であるかは、当業者には容易に識別されるが、親水性又は疎水性の特徴を有し、本発明で使用するのに適しており、且つ本発明の物質の親水性及び/又は疎水性特徴を調節するために使用できる様々なモノマーは、これだけに限るものではないが、次によって例示される:(1)以下を含めた疎水性モノマー:非置換ビニル芳香族、ビニル置換芳香族、及び環置換ビニル芳香族を含めたビニル芳香族モノマー;ビニルエステル、ハロゲン化ビニル、アルキルビニルエーテル、及び1−ビニル−2−ピロリドンやビニルフェロセンなどの他のビニル化合物;アセナフタレン及びインデンを含めた、ビニル芳香族以外の芳香族モノマー;アクリル酸アルキル、アクリル酸アリールアルキル、アクリル酸アルコキシアルキル、アクリル酸ハロアルキル、及びアクリル酸シアノアルキルを含めたアクリルモノマー;メタクリル酸エステル(メタクリレート)、及びメタクリロニトリルを含む他のメタクリル酸誘導体を含めた、メタクリルモノマー;アクリル酸エステル、及びアクリロニトリル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸アミノアルキルを含む他のアクリル酸誘導体を含めた、アクリルモノマー;エチレン、アイソタクチックプロピレン、4−メチルペンテン、1−オクタデセン、及びテトラフルオロエチレンを含めたアルケンベースのモノマー、並びに他の不飽和炭化水素モノマー;環状エーテルモノマー;アクリレート及びメタクリレート以外のエーテルモノマー;並びにε−カプロラクトンを含めた他のモノマー、並びに(2)以下を含めた親水性モノマー:ビニルアミン、アルキルビニルエーテル、及び他のビニル化合物;メタクリル酸及びメタクリル酸塩を含めたメタクリルモノマー;アクリル酸、その無水物、その塩の形態、及びアクリル酸アミドなど、アクリルモノマー;メチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルモノマー;並びに酸化エチレンなどの環状エーテルモノマー。
これに関して、一部の好ましい実施態様では、本発明は、繰返し(例えば交互)、ランダム、統計、若しくはグラジエント分布で配置された、酸化エチレンのホモポリマー鎖(PEO)、ビニルピロリドンのホモポリマー鎖(PVP)、又はこれらの組合せを含むコポリマー鎖を含めた、1つ又は複数の親水性鎖を含む末端ブロックを有するトリブロックコポリマーを含む、コーティング、又はコーティングを有する医療用デバイスを含む。他の好ましい諸実施態様では、末端ブロックは、繰返し(例えば、交互)、ランダム、統計、若しくはグラジエント分布で配置された、ポリメタクリル酸メチルのホモポリマー鎖(PMMA)、ポリスチレンのホモポリマー鎖、これらの組合せを含むコポリマー鎖など、1つ又は複数の疎水性ポリマーを含む鎖を含む。末端ブロックは、また、所望の薬物拡散/放出特性を示す、親水性モノマーと疎水性モノマーとの組合せを使用することもできる。親水性及び/又は疎水性モノマーは、これだけに限るものではないが、以上で高Tポリマーブロックの調製について具体的に列挙した多数のモノマーを含め、様々なモノマー種から選択することができる。
特定の実施態様では、薬物放出速度は、本発明の放出層内の疎水性ポリマー又は親水性ポリマーと本明細書に記載のコポリマーとをブレンドし、それによって、それぞれ該放出層の疎水性又は親水性を増大させることによって制御される。例示的な一実施態様では、本発明は、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、ポリ(2−ビニルピリジン)(PVP)、これらの物質の組合せなど、親水性ポリマーとブレンドされた、本発明によるトリブロックコポリマーを含むブレンドを提供する。トリブロックグラフトコポリマーは、好ましい実施態様では、ポリオレフィン又はEPDMなどのポリジエンの中間ブロックと、ポリスチレンコポリマーの末端ブロックとを含む。
当業者には理解されるように、本発明のコポリマーは、イオン的な方法、特に、アゾビス(イソブチロニトリル)開始型若しくは過酸化物開始型プロセスなどのラジカル重合方法、及び金属触媒による原子移動ラジカル重合(ATRP)、安定フリーラジカル重合(SFRP)、窒素酸化物媒介プロセス(NMP)、変性移動(例えば、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)プロセスなど、制御/「リビング」ラジカル重合を含め、公知の方法に従って合成することができる。これらの方法は、文献に非常に詳細に記載されており、例えば、Pyun及びMatyjaszewskiの論文「制御/「リビング」ラジカル重合を使用したナノコンポジット有機/無機ハイブリッド材料の合成(Synthesis of Nanocomposite Organic/Inorganic Hybrid Materials Using Controlled/"Living" Radical Polymerization)」(Chem.Mater.,13:3436-3448(2001))に記載されており、その内容全体を参照により本願に援用する。
ATRPを介したモノマー(後述のスキームのM)の重合では、ラジカルは、ハロゲン化アルキル(後述のスキームのRX)などの有機ハロゲン化合物と、遷移金属錯体(後述のスキームのMet+n)とのレドックス反応によって生成される。ラジカルは、これで成長できるが、遷移金属触媒の酸化型によって急速に非活性化される。通常使用される開始剤は、α−ハロエステル(例えば、2−ボロイソ酪酸エチル(ethyl 2−boroisobutyrate)若しくは2−ブロモプロピオン酸メチル)、又はハロゲン化ベンジル(例えば、臭化1−フェニルエチル及び臭化ベンジル)である。Ruベース(例えば、グラブス(Grubbs)触媒)、Cuベース、Feベースの系など、広範な遷移金属錯体が使用される。Cuベースの系の場合、通常、2,2’−ビピリジンや脂肪族アミンなどのリガンドを使用して、様々なATRP触媒の溶解度及び活性を制御する。典型的なATRPメカニズムは、以下のスキームによって示される:
Figure 2008506504
本発明の医療用デバイスのコポリマーは、例えば、(a)末端にフリーラジカルを有する低Tブロックを含むマクロ開始剤を提供するステップと、(b)モノマーの存在下でフリーラジカル重合反応を実施するステップとを含む、フリーラジカルプロセスによって合成することができる。
主鎖と複数の側鎖とを有する高Tポリマーブロックを合成することが望ましい諸実施態様では、(i)側鎖を含み、フリーラジカル重合可能な末端基を有するマクロモノマーと、(ii)フリーラジカル重合可能なコモノマー、又はそれぞれ重合可能な不飽和基を含む複数のコモノマーの組合せとの存在下で、重合を進めることができる。末端基が末端不飽和であり、重合可能なコモノマーが不飽和モノマーであることが好ましい。
本発明のポリマーは、また、例えば、アクリレートモノマー(例えば、アクリル酸エチル)を重合してポリアクリレートマクロ開始剤を形成するために使用される、ジメチル−2,6−ヘプタンジオアートなどの二官能性フリーラジカル開始剤を使用して合成することもできる。
本明細書で使用する「マクロモノマー」は、1つの反応基を、しばしば末端基として有しており、その反応基によってモノマー分子として作用でき、最終マクロ分子の鎖に単一のモノマー単位だけを提供する、マクロ分子、一般的にはポリマーである。各マクロモノマー分子は、該マクロモノマー分子中の1つのモノマー単位だけの反応によって、最終ポリマーの主鎖に結合される。マクロモノマーの単独重合又は共重合が、櫛型若しくはグラフトポリマーをもたらす。例えば、鎖の末端に重合可能な二重結合を有する長鎖ビニルポリマー又はオリゴマー(本明細書で使用するオリゴマーは、2〜9個の構成単位を含むポリマーである)は、マクロモノマーである。
一般的に使用されているいくつかのフリーラジカル開始剤化合物の例には、ヒドロペルオキシド、過酸化ジアセチル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジ−ベンゾイルなどの過酸化物、並びに、アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾ化合物、過安息香酸第三級ブチル、過酸化ジクミル、及び過硫酸カリウムが含まれる。
マクロ開始剤の例には、末端にフリーラジカルを有するEPDMが含まれる。一部の実施態様では、マクロ開始剤は、2−ブロモイソ酪酸末端基をもたらすように反応された単官能性又は二官能性ポリオレフィン化合物である。
マクロモノマーの例には、それぞれが重合可能な末端基、例えば、メタクリル酸アルキル末端のポリスチレンなど、末端不飽和をもたらす基を含む、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチルが含まれる。
コモノマーの例には、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルエステル、スチレンなどの重合可能な不飽和基をそれぞれ含む、不飽和モノマー、又は複数のモノマーの組合せが含まれる。
(実施例1)
EPDM系ブロックコポリマーの合成
1.EPDMマクロ開始剤の合成
低T炭化水素ポリマーブロックを、前述のように、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンモノマー)コポリマーブロック(例えば、Exxon-Mobilから市販のVistalon(商標)ポリマー)から調製する。EPDMブロックコポリマーは、エチレン、プロピレン、及びジエンターモノマーブロック、この場合はエチリデンノルボルネンを含む。ジエンモノマーを9−BBN(9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)でヒドロホウ素化し、続いて過酸化水素と反応させることによって、EPDMの上に末端官能基を形成する。アルケンのヒドロホウ素化は、一般に、次のように、BHによってエチリデンノルボルネンモノマーの二重結合を攻撃して、4員環の遷移状態(++)を形成するものである:
Figure 2008506504
過酸化物の添加は、遷移状態をアルコールへと分解し、ヒドロキシル末端官能基をもたらす。次いで、ヒドロキシル基を臭化2−ブロモイソブチリルと反応させて、図1に示したように、ブロモエステル末端官能基をもつEPDM(EPDMマクロ開始剤)を形成する。
2.ポリスチレン−ポリ(EPDM)−ポリスチレンブロックコポリマーの合成
公知の技術を使用してスチレン−EPDM−スチレン系ブロックコポリマーを合成して、ポリスチレン側鎖をもつEPDM炭化水素骨格を形成する。このEPDMマクロ開始剤を使用して、公表されているATRP重合のための方法に従ってスチレンを重合させる。得られるコポリマーは、EPDM分子の、組み込まれたノルボルネンモノマー中の二重結合に由来する、いくつかのポリスチレン側鎖を含む。櫛型構造を有する、得られるブロックコポリマーの図が、図2に示されている。
(実施例2)
ポリオレフィン系グラフトコポリマーの合成
低T炭化水素ポリマーブロックを、FMC Lithium(米国ノースカロライナ州
Gastonia)から官能化された末端基をもつpoLichelic(商標)ポリマーとして市販されているものなど、官能化されたポリジエン及びポリオレフィンブロックから調製する。例えば、以下のポリオレフィンのジオール及びトリオールを使用して、本発明のポリマー材料及びデバイスを形成する。
Figure 2008506504
これらの物質を別々の実験で使用して、低T炭化水素中間ブロックと、ポリスチレン末端ブロックなどの高Tポリマー末端ブロックとを有する、線状A−B−Aトリブロックコポリマーを得る。初めに、ジ−ヒドロキシ末端のポリ(オレフィン)と臭化2−ブロモ−イソブチリルとを反応させることによって、ポリオレフィンコポリマーを調製する。これで、2つのα−ブロモエステル基をもつマクロ開始剤が形成される。これらの基を使用して、原子移動ラジカル重合法又は他の制御/リビングラジカル重合方法を介してトリブロックコポリマーを形成するためのスチレンの重合を開始することができる。図3、図4、及び図5は、本発明の様々な実施態様による3つの線状ポリスチレン−ポリオレフィン−ポリスチレントリブロックコポリマーの形成を概略的に示す。また、以上に列挙した、これらのジオール及びトリオールを使用して、トリブロックポリマーを生成するための、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、カプロラクタムなどの環状モノマーの開環重合を開始することもできる。
さらに、ハイブリッド無機/有機構造を有する三官能性ポリオレフィンを使用して、構造SiMe−(BA)の3本腕星型コポリマーを作り出す。ヒドロキシル官能基を有する三官能性SiMeコアポリオレフィンを臭化2−ブロモ−イソブチリルと反応させて、図6に概略的に示される、α−ブロモエステル基を有するマクロ開始剤を作り出す。
一般に、星形のポリマーを生成する方法は、2つある。1つは、反応性官能基を備えた同一の中心コアに所与の数の直鎖を連結させることができ(「アームファースト(arm first)」方法)、又は多方向で重合を開始可能な多官能性コアから分岐を成長させることができる(「コアファースト(core first)」方法)。三官能性SiMeコアポリオレフィンは、米国特許第6362284号に記載されている、保護された官能基を有する市販のアニオン性開始剤(FMC Lithium、米国ノースカロライナ州Gastonia)を使用する「アームファースト」方法など、既知の方法に従って生成することができる。なお、その特許の全体を参照により本願に援用する。「アームファースト」方法によれば、単官能性のヒドロキシ保護された開始剤を使用して、通常はブタジエン又はイソプレンを、例えばカップリング/結合剤としてメチルトリクロロシランを用いて重合させる。リビングポリマー鎖末端は、メチルトリクロロシラン上のシリルクロロ基と反応して、3本腕星型ポリマーを生成する。米国特許第6362284号に記載のように、ヒドロキシ官能基は、保護基の脱保護(加水分解)によって形成される。
図7に示されるように、マクロ開始剤は、α−ブロモエステル基を含む反応性末端基を有するポリオレフィン腕をもつ、三官能性SiMeコアを含む。コポリマーは、標準的な原子移動ラジカル重合条件下で、マクロ開始剤をスチレンコモノマーで重合させることによって形成される。ポリスチレン外鎖に結合されたポリオレフィン内鎖長をもつ、SiMe三官能性コアを含む代表的な最終3本腕星型構造が、図8に示されている。
望ましければ、図9に示したように、前述したこれらのヒドロキシ保護されたポリオレフィン腕をメチルトリクロロシラン以外の様々なシリコーンカップリング剤と結合させて、多腕ブロックコポリマーを提供することもできる。様々な塩化シリコーンカップリング剤が、Gelest Corporationを通じて入手可能である。図9に示したように、ビス(メチルジクロロシリル)エタンをカップリング剤として使用することができる。リビングポリマー鎖末端は、ビス(メチルジクロロシリル)エタン上のシリルクロロ基と反応して、ヒドロキシ官能末端基をもつ4本腕星型ポリオレフィンコポリマーを生成し、その際、該コポリマーが中心コア内に2つのシリコーン原子を有する。米国特許第6362284号に記載のように、ヒドロキシ官能基は、保護基の脱保護(加水分解)によって形成される。
本明細書では様々な実施態様を具体的に示し、記載したが、本発明の修正形態及び変形形態が、以上の教示の対象であり、本発明の趣旨及び意図される範囲から逸脱することなく冒頭の特許請求の範囲内にあることが理解されよう。
ヒドロキシル末端官能基を有するEPDM分子と臭化2−ブロモ−イソブチリルとを反応させて、ブロモエステル末端官能基をもつEPDM(EPDMマクロ開始剤)を形成することによる、EPDMマクロ開始剤の合成を示す略図である。 標準的な制御/リビングラジカル重合条件下でのEPDMマクロ開始剤とスチレンモノマーとの重合反応による、櫛型構造を有し、ポリ(EPDM)−グラフト−ポリスチレンを含む、ブロックコポリマーの合成を示す略図である。 市販のテレケリックポリオレフィンを使用する、ポリスチレン末端ブロックとポリオレフィン中間ブロックとを含む本発明の医療用デバイスのためのトリブロックコポリマーの合成を示す略図である。 市販のテレケリックポリオレフィンを使用する、ポリスチレン末端ブロックとポリオレフィン中間ブロックとを含む本発明の医療用デバイスのためのトリブロックコポリマーの合成を示す略図である。 市販のテレケリックポリオレフィンを使用する、ポリスチレン末端ブロックとポリオレフィン中間ブロックとを含む本発明の医療用デバイスのためのトリブロックコポリマーの合成を示す略図である。 ヒドロキシル官能基を有するハイブリッド有機/無機SiMeポリオレフィン分子と臭化2−ブロモ−イソブチリルとを反応させて、該ポリオレフィン分子の末端にα−ブロモエステル末端基を形成することによる、該ポリオレフィン分子からのマクロ開始剤の合成を示す略図である。 3本腕星型コポリマーをそれから生長させることのできる、図6の3官能性マクロ開始剤の構造を示す略図である。 高Tコポリマー外鎖(例えば、外側の実線セグメントによって示されるポリスチレン)にそれぞれ結合した低T炭化水素の内鎖(例えば、波状セグメントによって示されるポリオレフィン)をもつ、3官能性コア(例えば、内側の実線によって示されるSiMeコア)を含む、例示的な3本腕星型コポリマーを示す図である。 塩化シリコーン(silicone chloride)カップリング剤を使用して生成される例示的な多腕ブロックコポリマーを示す図である。具体的には、ヒドロキシ官能性末端基をもつ、コアに2つのシリコーン原子を含む4本腕星型ポリオレフィンコポリマーが、概略的に示されている。

Claims (27)

  1. (a)放出領域と、(b)少なくとも1つの治療剤とを含む放射線安定性医療用デバイスであって、前記放出領域が放射線安定性コポリマーを含んでおり、前記放射線安定性コポリマーが、(i)低T炭化水素ポリマーブロックと、(ii)1つ以上の高Tポリマーブロックとをさらに含む、前記デバイス。
  2. 前記コポリマーが、低T炭化水素ポリマー中間ブロックと、複数の高Tポリマー末端ブロックとを含む、請求項1記載のデバイス。
  3. 前記コポリマーがトリブロックコポリマーである、請求項1記載のデバイス。
  4. 前記コポリマーが星型コポリマーである、請求項1記載のデバイス。
  5. 前記コポリマーが樹枝状コポリマーである、請求項1記載のデバイス。
  6. 前記コポリマーが、低T炭化水素ポリマー主鎖と、複数の高Tポリマー側鎖とを含む櫛型コポリマーである、請求項1記載のデバイス。
  7. 前記炭化水素ブロックがポリオレフィンブロックである、請求項1記載のデバイス。
  8. 前記炭化水素ブロックがポリジエンブロックである、請求項1記載のデバイス。
  9. 前記炭化水素ブロックがポリ(オレフィン−co−ジエン)ブロックである、請求項1記載のデバイス。
  10. 前記炭化水素ブロックが、ポリ(オレフィン−co−ジエン)ブロックであって、オレフィンがエチレン及びプロピレンの一方又は両方を含み、ジエンがビニルノルボルネン又はエチリデンノルボルネンを含む、請求項1記載のデバイス。
  11. 前記高Tブロックが、ポリ(ビニル芳香族)ブロック、ポリ(メタクリル酸アルキル)ブロック、及びポリ(ビニルピリジン)ブロックから成る群から選択される、請求項1記載のデバイス。
  12. 前記高Tブロックがポリスチレンを含む、請求項1記載のデバイス。
  13. 前記放出領域が、前記治療剤を含むキャリア領域である、請求項1記載のデバイス。
  14. 前記放出領域が、前記治療剤を含む治療剤含有領域の上に配置されたバリア領域である、請求項1記載のデバイス。
  15. 前記放出領域が、前記医療用デバイスのすべて又は一部を覆うコーティング層の形態である、請求項1記載のデバイス。
  16. 前記医療用デバイスが、埋込み可能又は挿入可能な医療用デバイスである、請求項1記載のデバイス。
  17. 前記埋込み可能又は挿入可能な医療用デバイスが、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ、ステント、ステントグラフト、血管グラフト、血管パッチ、及びシャントから選択される、請求項1記載のデバイス。
  18. 前記埋込み可能又は挿入可能な医療用デバイスが、冠血管系、末梢血管系、食道、気管、結腸、胆管、尿路、前立腺、又は脳に埋め込まれる又は挿入されるように適合される、請求項1記載のデバイス。
  19. 前記治療剤が、抗血栓剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗遊走剤、細胞外マトリックス産生及び形成に影響を及ぼす剤、抗悪性腫瘍剤、抗有糸分裂剤、麻酔剤、抗凝固剤、血管細胞成長促進因子、血管細胞成長阻害剤、コレステロール降下剤、血管拡張剤、並びに内在性血管作動性機構に干渉する剤から成る群のうちの1つ又は複数から選択される、請求項1記載のデバイス。
  20. 前記コポリマーが、(a)末端にフリーラジカルを有する低T炭化水素ブロックを含むマクロ開始剤を提供するステップと、(b)フリーラジカル重合可能な末端基をそれぞれ有する前記末端ブロックを含むマクロモノマーの存在下で、フリーラジカル重合反応を実施するステップとを含む方法によって製造される、請求項2記載のデバイス。
  21. 前記マクロモノマーが、ポリスチレンブロック、ポリエチレンオキシドブロック、ポリビニルピロリドンブロック、ポリアルキルメタクリレートブロック、又はそれらの組合せを含む、請求項20記載のデバイス。
  22. 前記マクロ開始剤が、末端にフリーラジカルを有するポリオレフィン又はポリジエンである、請求項20記載のデバイス。
  23. 前記フリーラジカル重合反応が、さらに、ビニルアミンモノマー、アルキルビニルエーテルモノマー、メタクリル酸及びメタクリル酸塩モノマー、アクリル酸モノマー、アクリル酸アミドモノマー、アルキルビニルエーテルモノマー、環状エーテルモノマーから選択される1つ以上の親水性モノマー、或いは、ビニル芳香族モノマー、ビニルエステルモノマー、ハロゲン化ビニルモノマー、アルキルビニルエーテルモノマー、1−ビニル−2−ピロリドンモノマー、ビニルフェロセンモノマー、アセナフタレンモノマー、インデンモノマー、アクリル酸アルキルモノマー、アクリル酸アリールアルキルモノマー、アクリル酸アルコキシアルキルモノマー、アクリル酸ハロアルキルモノマー、アクリル酸シアノアルキルモノマー、メタクリル酸アルキルモノマー、メタクリル酸アミノアルキルモノマー、メタクリロニトリルモノマー、アクリロニトリルモノマー、エチレンモノマー、アイソタクチックプロピレンモノマー、4−メチルペンテンモノマー、1−オクタデセンモノマー、テトラフルオロエチレンモノマー、環状エーテルモノマー、エーテルモノマー、及びε−カプロラクトンモノマーから選択される1つ以上の疎水性モノマーの存在下で実施される、請求項20記載のデバイス。
  24. 請求項1記載の医療用デバイスを形成する方法であって、(a)(i)溶媒系と(ii)前記コポリマーとを含む溶液を提供するステップと、(b)前記溶液から前記溶媒系を除去することによって前記溶液から前記放出領域を形成するステップとを含む、前記方法。
  25. 前記溶液が、溶解又は分散した形態の治療剤をさらに含む、請求項24記載の方法。
  26. 前記溶液が、前記治療剤を含む治療剤含有領域を覆って塗布される、請求項24記載の方法。
  27. 前記放出領域が、噴霧プロセスを含む技術によって形成される、請求項24記載の方法。
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