JP2008503464A - 習慣性行動の1つ以上の構成要素の改善のためのアデノシンa2aレセプターの拮抗 - Google Patents

習慣性行動の1つ以上の構成要素の改善のためのアデノシンa2aレセプターの拮抗 Download PDF

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Abstract

本発明は、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減/緩和する方法を提供する。この方法は、典型的には、習慣性行動の1以上の構成要素を緩和するのに十分な量のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストをそれを必要とする対象へ投与することを含む。また、本発明は、哺乳動物による、乱用薬物の慢性的消費、そのような消費の中止、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減するための組成物を提供する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年6月17日に出願されたUSSN 60/581,143の利益および優先権を主張する。この出願は、あらゆる目的のためにその全体が参考として援用される。
(連邦政府の支援した研究開発の下でなされる発明に対する権利に関する陳述)
この研究は、National Institute of Healthの助成金AA10030およびAA10039によって一部支援されており、University of Californiaを通したエタノールおよび物質の乱用に対する医療研究のためにCalifornia州により提供される基金によって一部支援されており、そしてDepartment of Army(DAMD 17−01−1−0803)からの助成金によって一部支援される。合衆国政府は、本発明において特定の権利を有する。
(技術分野)
本発明は、物質乱用の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストが、乱用物質の慢性的消費、または禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害することができるという発見に関する。
(発明の背景)
エタノールおよび他の「習慣性物質」の乱用は、依然として、合衆国および世界を通じて主な公衆健康問題である。薬物依存性は逃れるのが極端に困難である。これは、依存性がエタノール、アンフェタミン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、コカイン、ニコチン、オピオイド、およびフェンシクリジン等に基づくものか否かに関わらず当てはまる。従って、そのような中毒、および/またはそのような中毒に関連する1以上の行動的構成要素(例えば、欲求)を減少させ、または克服するための薬剤に対する要望が存在する。
本発明は、A2Aレセプターアンタゴニストが、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害することができるという発見に関する。該方法は、典型的には、習慣性行動の該1以上の構成要素を緩和するのに十分な量のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストをそれを必要とする対象に投与することを含む。典型的には、A2Aレセプターアンタゴニストはキサンテイン(xantheine)(例えば、カフェインまたはカフェイン誘導体)ではない。ある実施形態においては、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストは、A2Aレセプターを特異的に阻害し、他のアデノシンレセプター(例えば、A1レセプター)に対して実質的に低下した効果を有する。
従って、1つの実施形態において、本発明は、哺乳動物による乱用物質の慢性的消費、そのような慢性的消費の中止、および/またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減する方法を提供する。該方法は、典型的には、習慣性行動の1以上の構成要素を軽減するのに十分な量のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを、習慣性行動の1以上の構成要素を呈する哺乳動物に投与することを含む。ある実施形態において、A2Aレセプターアンタゴニストはカフェインではなく、および/またはカフェイン誘導体ではない。ある実施形態において、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストは、限定されるものではないが、(−)−R,S)−メフロキン、3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン(DMPX)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(MX2)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−8−(3−メトキシスチリル)−7−メチル−1−プロパルギルキサンチンホスフェート二ナトリウム塩(MSX−3)、7−メチル−8−スチリルキサンチン誘導体、SCH58261、KW−6002、アミノフリルトリアゾロ−トリアジニルアミノエチルフェノール(ZM241385)、および8−クロロスチリルカフェイン、KF17837,VR2006、イストラデフィリン、VER−11135、VER−6409、VER−6440、VER6489、VER6623、VER6947、VER7130、VER7146、VER7448、VER7835、VER8177、ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、5−アミノ−イミダゾロ−[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等を含む。ある実施形態においては、アンタゴニストはアデノシンA1Aレセプターに実質的に拮抗しない。種々の実施形態において、それはエタノール、オピエート、カンナビノイド、ニコチン、刺激体等であり得る。種々の実施形態において、乱用物質はモルフィン、ヘロイン、マリファナ、ハシーシ、コカイン、アンフェタミン等であり得る。ある実施形態において、乱用物質はエタノールである。種々の実施形態において、習慣性行動の構成要素は乱用物質の慢性的自己投与、および/または乱用物質に対する欲求、および/または乱用物質に対する欲求行動の復帰である。ある実施形態において、哺乳動物は、乱用物質の慢性的消費をおこなう哺乳動物である。ある実施形態において、哺乳動物は乱用物質の慢性的消費を中止した哺乳動物である。ある実施形態において、哺乳動物は禁断症状の1以上の徴候を経験している哺乳動物である。ある実施形態において、哺乳動物はヒト、例えば、パーキンソン病に罹っていないヒトである。種々の実施形態において、アンタゴニストは(例えば、経口投与、鼻投与、直腸投与、腹腔内投与、血管内注射、皮下注射、経皮投与、吸入投与、筋肉内注射などの経路によって)全身投与される。典型的には、アンタゴニストは単位投与処方として、例えば、時間放出処方として処方される。ある実施形態において、該方法は、さらに、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストと組み合わせてドーパミンD2レセプターのアンタゴニストまたはアゴニストを投与することを含む。D2レセプターアンタゴニストまたはアゴニストはA2Aレセプターアンタゴニストの前、間または後に投与することができる。適当なD2レセプターとしては、限定されるものではないが、ブタクラモール、クロルプロマジン、ドムペリドン、フルフェナジン、ハロペリドール、ヘテロアリールピペリジン、メトクロプラミド、オランザピン、ペロスピロン塩酸塩水和物、フェノチアジン、ピモジド、ケチアピン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、ジプラシドン、ゾテピン等が挙げられる。
また、本発明は、哺乳動物による、乱用薬物の慢性的消費、そのような消費の中止、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減するための組成物を提供する。該組成物は、典型的には、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニスト;およびドーパミンD2レセプターアンタゴニストを含む。適当なA2Aレセプターアンタゴニストおよび/またはD2レセプターアンタゴニストとしては、限定されるものではないが前記したものが挙げられる。
また、哺乳動物による乱用物質の慢性的消費、そのような消費の中止、および/またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減するためのキットが提供される。該キットは、典型的には、1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを含有する容器、ここに、1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストの少なくとも1つはカフェインおよび/またはカフェイン誘導体ではなく;および哺乳動物における物質乱用の治療において、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストの使用を教示する指示材料を含む。適当なA2Aレセプターアンタゴニストとしては、限定されるものではないが、前記したものが挙げられる。種々の実施形態において、アンタゴニストはアデノシンA1Aレセプターに実質的に拮抗しない。種々の実施形態において、乱用物質としては、限定されるものではないが、エタノール、オピエート、カンナビノイド、ニコチン、刺激体、モルフィン、ヘロイン、マリファナ、ハシーシ、コカイン、アンフェタミン等が挙げられる。習慣性行動の種々の構成要素としては、限定されるものではないが、乱用物質の慢性的自己投与、乱用物質に対する欲求、乱用物質についての欲求行動の復帰等が挙げられる。ある実施形態において、アンタゴニストは経口投与、鼻投与、直腸投与、腹腔内注射、血管内注射、皮下注射、経皮投与、吸入投与、筋肉内注射等のような経路によって投与するために処方される。種々の実施形態において、アンタゴニストは単位投与処方として、例えば、時間放出処方として処方される。
また、乱用物質の慢性的消費に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害する薬剤についてスクリーニングする方法も提供される。該方法は、典型的には、1以上のテスト因子を供し;次いで、アデノシンA2Aレセプター発現またはその活性を阻害する能力についてテスト因子をスクリーニングすることを含み、ここに、アデノシンA2Aレセプターの発現または活性の阻害は、該1以上のテスト因子が、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害するための候補剤であることを示す。ある実施形態においては、該スクリーニングは、A2Aレセプターに結合する能力についてテスト因子をスクリーニングし、および所望により、さらに、乱用物質のオペラント自己投与を阻害する能力についてテスト因子をスクリーニングすることを含む。ある実施形態においては、該スクリーニングは、乱用物質についての欲求行動の復帰を阻害する能力についてテスト因子をさらにスクリーニングすることを含む。ある実施形態において、乱用物質はエタノール、オピエート、カンナビノイド、ニコチン、および刺激体よりなる群から選択される。ある実施形態において、乱用物質はモルフィン、ヘロイン、マリファナ、ハシーシ、コカイン、アンフェタミン等よりなる群から選択される。
また、本発明は、乱用物質の慢性的消費に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害する剤についてスクリーニングする方法を提供し、ここに、該方法は1以上の推定アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを供し;次いで、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害する能力についてテスト因子をスクリーニングすることを含む。ある実施形態において、該スクリーニングが乱用物質のオペラント自己投与を阻害する能力についてテスト因子をスクリーニングすることを含む。ある実施形態において、該スクリーニングは、乱用物質に対する欲求行動の復帰を阻害する能力についてテスト因子をさらにスクリーニングすることを含む。乱用物質は、限定されるものではないが、本明細書中に記載された乱用物質のいずれかを含むことができる。
ある例においては、本明細書中に記載した実施形態のいずれにおいても、A2Aレセプターアンタゴニストの代わりにアデノシンA2Aレセプターアゴニストを利用することができると考えられる。
(定義)
用語「物質乱用」とは、物質、一般的には、天然の化学物質の、一般的に該物質の意図した使用を考慮すると不適切であると考えられるような使用をいう。物質乱用は今日の世界では極端に広くひろまりつつある。事実、多くの人が、物質乱用の問題は蔓延している考えている。物質乱用がより広くひろまるようになるにつれ、そのような物質乱用のもたらす壊滅的な影響は社会のメンバーに対して益々明らかとなる。物質乱用のもたらす壊滅的な影響がかつてないほど認識されてきた結果、社会は、そのような物質乱用を妨げ、治療するための方法を求め始める。
用語「乱用物質」とは、典型的には、精神活性であって、耐性および/または中毒を誘導する物質をいう。乱用物質は、限定されるものではないが、刺激体(例えば、コカイン、アンフェタミン)、オピエート(例えば、モルフィン、ヘロイン)、カンナビノイド(例えば、マリファナ、ハシーシ)、ニコチン、アルコール、ドーパミンD2レセプターにおいてアゴニスト活性を媒介する物質等を含む。乱用物質は、限定されるものではないが、習慣性薬物を含む。習慣性過剰消費の場合には、食物、糖等は乱用物質と考えることができる。
「ドーパミンレセプターアンタゴニスト」とは、そのレセプターの同族リガンドに応答してドーパミンレセプターによって媒介される活性を低下させ、またはブロックする物質をいう。従って、例えば、ドーパミンレセプターアンタゴニストは、ドーパミンレセプターおよび関連経路によって媒介されるドーパミンの活性を低下させ、または無くするであろう。アンタゴニストの活性は、例えば、レセプターをブロックすることによって、またはレセプターの立体配置またはレセプターの活性を改変することによって、レセプターにおいて直接的であり得る。アンタゴニストの活性もまた、レセプター活性を媒介する代謝経路における他の地点(例えば、1以上の第二のメッセンジャー、キナーゼ等)におけるものであり得る。
「アデノシンA2aレセプターアンタゴニスト」とは、そのレセプターの同族リガンドに応答してアデノシンA2aレセプターによって媒介される活性を低下させ、またはブロックする物質をいう。アンタゴニストの活性は、例えば、レセプターをブロックすることによって、またはレセプターの立体配置またはレセプターの活性を改変することによって、レセプターにおいて直接的であり得る。アンタゴニストの活性は、レセプター活性を媒介する代謝経路における他の地点(例えば、1以上の第二のメッセンジャー、キナーゼ等)におけるものでもあり得る。
語句「と組み合わされて」は、アデノシンA2AレセプターアンタゴニストおよびドーパミンD2レセプターアンタゴニストの使用を参照して用いる場合、A2AアンタゴニストおよびD2アンタゴニストは、生物に対するそれらの生理学的活性において少なくともいくらかの順番に重複があるように投与されることを示している。従って、A2AアンタゴニストおよびD2アンタゴニストは同時におよび/または順次に投与することができる。引き続いての投与においては、第二の投与される薬剤が投与されるか、あるいは生物において活性となっている場合に、第一の投与される薬剤が生物に対していくらか生理学的な改変を発揮している限り、第二の剤の投与前にいくらかの実質的な遅延(例えば、数分または数時間または数日さえ)さえあり得る。
語句「実質的にレセプターに拮抗しない」は、例えば、レセプター(例えば、アデノシンA1Aレセプター)に対する剤のインパクトに言及して用いられる場合、該剤が、例えば、同族または他の「作動的」リガンドに応答して、50%を超えて、レセプターの活性を低下させないことを示し、好ましくは、活性は20%を超えて低下せず、より好ましくは活性は10%を超えて低下せず、最も好ましくは活性は5%または1%を超えて低下しない。
(発明の詳細な説明)
本発明は、アデノシンA2Aレセプターのアンタゴニストが、物質に対する(例えば、乱用物質に対する)中毒に関連する行動の1以上の構成要素を阻害(低下またはブロック)できるという発見に関する。例えば、アデノシンA2Aアンタゴニストの全身投与によるA2Aレセプターの阻害が、乱用物質(例えば、エタノール)のオペラント自己投与をブロックするのは驚くべき発見であった。加えて、アデノシンが欲求行動(オペラント自己投与)の復帰を媒介し、およびこれは全身投与されるA2Aアンタゴニストによってやはりブロックされることが示された。復帰は、アルコール、または乱用の他の物質に対する欲求または中毒のより直接的な尺度であると考えられる。加えて、ヘロインに対して中毒となったラットの脳中の側座核へ直接的に投与されたA2Aアンタゴニストは、静脈への自己注射によるヘロイン自己投与の復帰を妨げることが示された。側座核は習慣的薬物に対する欲求を媒介すると推定される脳領域である。対照的にアデノシンA1レセプターアンタゴニストはこの意味においては効果的でないように見える。
従って、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)による、乱用物質の慢性的消費またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減する方法を提供し、ここに、該方法は習慣性行動(例えば欲求、欲求行動、不安、慢性自己投与等)の1以上の構成要素を緩和するのに十分な量の1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを哺乳動物に投与することを含む。典型的には、A2Aレセプターアンタゴニストはカフェインではなく、ある実施形態においては、A2Aレセプターアンタゴニストはキサンチン、または改変されたもしくは誘導体化されたキサンチンではない。
特定の理論に拘束されるつもりはないが、A2Aレセプターアンタゴニストは、広く種々の習慣性物質のいずれかに対する習慣性行動(中毒)の治療において効果的であり得ると考えられる。そのような物質としては、限定されるものではないが、刺激体(例えば、コカイン、アンフェタミン)、オピエート(例えば、モルヒネ、ヘロイン)、カンノビノイド(例えば、マリファナ、ハシーシ)、ニコチン、アルコール、ドーパミンD2レセプターにおいてアゴニスト活性を媒介する物質等が挙げられる。ある例において、食品および/または糖は(例えば、脅迫的食障害において)乱用物質とみなすことができる。
典型的には、1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを哺乳動物、より典型的にはヒトに投与して、例えば、乱用物質に対する中毒、またはそのような物質からの禁断症状に関連する1以上の行動を緩和する。より典型的には、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを投与して、自己投与および/または欲求行動を低下させ、ならびに/または欲求および/もしくは不安を低下させる。ある実施形態においては、対象は、パーキンソン症候群、または他の神経学的障害(習慣的行動に関連するもの以外のもの)について治療されていない対象であろう。
(I.アデノシンA2Aレセプターアンタゴニスト)
多数のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストが当業者に知られており、個々に、あるいは本明細書中に記載された方法と組み合わせて用いることができる。そのようなアンタゴニストとしては、限定されるものではないが、(−)−R,S)−メフロキン(Mefloquine(商標)として市販されるラセミ混合物の活性なエナンチオマー)、3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン(DMPX)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(MX2)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−8−(3−メトキシスチリル)−7−メチル−1−プロパルギルキサンチンホスフェート二ナトリウム塩(MSX−3、MSX−2のホスフェートプロドラッグ)、7−メチル−8−スチリルキサンチン誘導体、SCH58261、KW−6002、アミノフリルトリアゾロ−トリアジニルアミノエチルフェノール(ZM 241385)、および8−クロロスチリルカフェイン、KF17837、VR2006、イストラデフィリン、VER6489、VER6623、VER6947、VER7130、VER7146、VER7448、VER7835、VER8177、VER−11135、VER−6409、VER6440、VER6489、VER6623、VER6947、VER7130、VER7146、VER7448、VER7835、VER8177のようなVERNALISの薬物、ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、および5−アミノ−イミダゾロ−[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等が挙げられる。これらのアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストは例示的であることを意図し、限定的ではない。
ある実施形態においては、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストは、アデノシンA1レセプターに対して実質的に低い効果を有するアンタゴニストである。ある実施形態において、このアンタゴニストが、アデノシンA1レセプターと比較して、A2Aレセプターに対して少なくとも2倍、好ましくは5倍、より好ましくは少なくとも10倍大きな阻害活性を示す。
(II.ドーパミンD2レセプターアンタゴニストとの使用)
ある実施形態において、本発明では、1以上のドーパミンD2レセプターアンタゴニストと組み合わせたアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストの使用が考えられる。
ドーパミンレセプターアンタゴニストとしては、当業者によく知られており、限定されるものではないが、ブタクラモール、クロルプロマジン、ドムペリドン、フルフェナジン、ハロペリドール、ヘテロアリールピペリジン、メトクロプラミド、オランザピン、ペロスピロン塩酸塩水和物、フェノチアジン、ピモジド、ケチアピン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、ジプラシドン、ゾテプリン等が挙げられる。
ある実施形態において、ドーパミンD2レセプターアンタゴニストおよびアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストは単一の「化合物」処方として処方される。これは、多数の公知の方法のいずれかによって達成することができる。例えば、A2AレセプターアンタゴニストおよびD2レセプターアンタゴニストは単一の医薬上許容される賦形剤中で合わせることができる。もう一つのアプローチにおいて、A2AレセプターアンタゴニストおよびD2レセプターアンタゴニストは、マイクロカプセル化され、次いで、合わせられるか、あるいは単一丸剤中に別々の薄層を形成する、などといった別々の賦形剤中に処方することができる。
ある実施形態において、ドーパミンD2レセプターアンタゴニストおよびアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストは一緒に直接的に合わせるか、あるいは「連結体」または「リンカー」によって一緒に合わせて、単一の化合物を形成する。特定の理論に拘束されるつもりはないが、そのような合わせたアンタゴニストは改良された特異性/選択性を供すると考えられる。
分子を直接的に、またはリンカー/連結体を介して連結するための多数の化学が当業者によく知られている。D2レセプターアンタゴニストおよびA2Aレセプターアンタゴニストを結合させて、二官能的アンタゴニストを形成するために使用される特別な化学は、所望の間隔を設けたアンタゴニスト、および「インターリガンド」(インター−アンタゴニスト)の化学的性質に依存する。種々のD2レセプターアンタゴニストおよび/またはA2Aレセプターアンタゴニストは、典型的には、リンカー上の、または他のアンタゴニスト上の適当な官能基との反応で利用できて、アンタゴニストを結合させ合う種々の官能基(例えば、カルボン酸(COOH)、遊離アミン(−NH2)等)を含む。
別法として、アンタゴニストを誘導体化して、露出されるか、またはさらなる反応性官能基を結合させることができる。誘導体化は、Pierce Chemical Company,Rockford Illinoisから入手可能なもののような多数のリンカー分子のいずれかの結合を含むことができる。
本明細書中で用いるように、「リンカー」または「連結体」は2以上のリガンド(例えば、レセプターアンタゴニスト)を連結させて、二官能性アンタゴニストまたは多官能性アンタゴニストを形成するのに用いられる分子である。リンカーは、典型的には、該二官能性部位または多官能性部位を含むアンタゴニストの全てに対して共有結合を形成することができるように選択する。適当なリンカーは当業者によく知られており、これらとしては、限定されるものではないが、直鎖または分岐鎖炭素リンカー、複素環炭素リンカー、アミノ酸、核酸、デンドリマー、合成ポリマー、ペプチドリンカー、ペプチドおよび核酸アナログ、炭水化物、ポリエチレングリコール等が挙げられる。1以上のアンタゴニストがポリペプチドである場合、リンカーはそれらの側鎖を介して(例えば、システインに対するジスルフィド結合を介して)、あるいは末端アミノ酸のα炭素のアミノ基またはカルボキシル基を介して、構成アミノ酸に連結させることができる。
ある実施形態において、第一のD2レセプターアンタゴニスト上の基と反応性である一つの官能基、およびA2Aレセプターアンタゴニスト上の官能基と反応性であるもう一つの基を有する二官能性リンカーを用いて、二官能性アンタゴニストを形成することができる。別法として、誘導体化は、遊離アルデヒド基を生成させるための、アンタゴニストの化学的処理、例えば、過ヨウ素酸塩での糖タンパク質、炭水化物、または核酸等の糖部位のグリコール切断を含むことができる。該遊離アルデヒド基をリンカー上の遊離アミンまたはヒドラジン基と反応させて、リンカーをアンタゴニストに結合させることができる(例えば、米国特許第4,671,958号参照)。抗体または抗体断片のような、ポリペプチド上の遊離スルフヒドリル基の生成手法もまた知られている(米国特許4,659,839号参照)。
D2レセプターアンタゴニストおよびA2Aレセプターアンタゴニストが共にペプチドである場合、二官能性アンタゴニストを化学的に合成することができるか、あるいは相互に対して直接に結合した、あるいはペプチドリンカーを介して結合した双方のアンタゴニストを含む融合タンパク質として組換えにより発現させることができる。
ある実施形態において、リシン、グルタミン酸、およびポリエチレングリコール(PEG)ベースのリンカーの異なる長さを用いて、アンタゴニストをカップリングさせる。PEGへの分子のコンジュゲーションの化学は当業者によく知られている(例えば、Veronese(20010 Biomaterials,22:405−417;ZalipskyおよびMenon−Rudolph(1997)Pp.318−341、Poly(ethyleneglycol)Chemistry and Biological Applications.J.M.HarrisおよびX.Zalipsky(編),Am.Chem.Soc.Washington,D.C.;Delgadoら(1992)Drug Carrier Syst.,9:249−304;Pedleyら(1994)Br.J.Cancer,70:1126−113−0;EyreおよびFarver(1991)Pp.377−390:Textbook of Clinical Oncology,Hollebら(編),Am.Cancer Soc.,Atlanta GA;Leeら(1999)Bioconjug.Chem.,10:973−981;Nucciら(1991)Adv.Drug Deliv.,6:133−151;Francisら(1996)J.Drug Targeting,3:321−340)。
ある実施形態においては、ドーパミンD2レセプターアンタゴニストおよびアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストのコンジュゲーションは、グルタルアルデヒド、EDCI、塩化テレフタロイル、臭化シアン等のような連結試薬の使用によって、または還元的アミノ化によって達成することができる。ある実施形態において、アンタゴニストはWO−A−9317713に開示されている種類のヒドロキシ酸リンカーを介して連結することができる。ある実施形態においては、PEGリンカーを利用することができる(種々のPEG連結薬物の調製については、例えば、Leeら(1999)Organic Lett.,1:179−181参照。)
(III.医薬処方物)
本明細書中で説明するように、乱用物質(例えば、エタノール、オピエート、バルビツレート等)の慢性的消費に関連する1以上の徴候は、単独で、あるいはある実施形態においては1以上のドーパミン(D1)レセプターアンタゴニストの投与と共に、1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストの投与によって軽減することができる。同様に、乱用物質(例えば、エタノール)の慢性的消費からの禁断症状に関連する1以上の徴候は、単独で、ある実施形態においては、1以上のドーパミン(D2)レセプターアンタゴニストの投与と共に、1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストの投与によって軽減することができる。
アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストおよび/またはA2Aレセプター/D2レセプターアンタゴニスト組み合わせは、限定されるものではないが、遊離酸の形態、塩の形態、水和物としての形態等を含めた多数の形態に処方することができる。全ての形態は本発明の範囲内のものである。塩基性酸を形成することができ、用いるのに単純により便宜な形態であり、現実には、塩形態の使用は、固有に、酸形態の使用に等しい。塩を調製するのに用いることができる塩基としては、好ましくは、遊離酸と組み合わせた場合に、医薬上許容される塩、すなわち、そのアニオンが医薬用量の塩において動物生物に対して非毒性である塩を生じ、従って、遊離酸に固有の有益な特性がカチオンに起因する副作用によって台無しにされないものが挙げられる。酸化合物の医薬上許容される塩が好ましいが、全ての塩は、たとえ特定の塩それ自体が、例えば、塩が精製および同定の目的だけのために形成される場合、あるいはそれを、イオン交換手法によって医薬上許容される塩を調製するにおいて中間体として用いる場合に、中間体生成物としてのみ望まれるのであっても、遊離酸形態の源として有用である。
そのような物質は種々の形態で哺乳動物宿主に投与することができ、すなわち、それらは、例えば、経口または非経口の選択された投与経路に応じて錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディ、粉末、スプレー、エリキシル、シロップ、注射もしくは点眼溶液等の形態で種々の医薬上許容される不活性な担体と組み合わせることができる。この点に関しての非経口投与は以下の経路、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、滑膜内、(経皮、目、舌下およびバッカルを含めた)経上皮、(眼、皮膚、目、直腸、吸入およびエアロゾルを介する鼻吸入を含めた)局所、および直腸全身による投与を含む。経口投与が好ましい。
活性化合物(例えば、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニスト)は、例えば、不活性な希釈剤と共に、あるいは同化性食用担体と共に経口投与することができるか、あるいはそれらはハードまたはソフトシェルゼラチンカプセルに包むことができるか、あるいはそれらは圧縮して錠剤とすることができるか、あるいはそれらは食事の食物と直接的に一体化することができる。経口治療投与では、活性化合物を賦形剤と一体化し、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハー等の形態で用いることができる。そのような組成物および製剤は、典型的には少なくとも0.1%の活性化合物を含有する。組成物および製剤のパーセンテージは、もちろん、変化させることができ、便宜には、ユニットの重量の約2〜約25%の間とすることができる。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、適当な用量が得られるようなものである。本発明による好ましい組成物または製剤は、経口投与単位形態が約1mg〜1000mgの間の活性化合物を含有するように調整される。
ある実施形態において、錠剤、トローチ、丸剤、カプセル等は以下の、すなわち、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アカシア、スクロース、トウモロコシ澱粉またはゼラチンのようなバインダー;リン酸カルシウム、クエン酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムのような賦形剤;トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、タピオカ澱粉、ある種の複合シリカ、アルギン酸等のような崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウム、タルクおよびステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;スクロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味剤;ペパーミント、冬緑油またはチェリーフレーバーのようなフレーバー剤を含有することもできる。同様なタイプの固体組成物もまた、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても使用され、この意味で好ましい物質としてはラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。投与単位形態はカプセルである場合、それは、前記したタイプの物質に加えて、液体担体を含有することができる。種々の他の物質はコーティングとして存在させて、あるいはそうでなければ投与単位の物理的形態を改変するように存在させることができる。例えば、錠剤、丸剤、カプセルはシェラック、糖または双方で被覆することができる。シロップまたはエリキシルは活性化合物、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素、チェリーまたはオレンジフレーバーのようなフレーバー、乳化剤および/または沈殿防止剤、ならびに水、エタノール、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびその種々の同様な組み合わせの希釈剤を含有することができる。もちろん、いずれの投与単位形態を調製するのに用いるいずれの物質も、使用される量において医薬上純粋かつ実質的に非毒性であるべきである。加えて、活性化合物を徐放性の製剤および処方に配合することができる。
活性化合物は非経口または腹腔内投与することもできる。非経口投与の目的では、ゴマ油または落花生油中の、または水性プロピレングリコール中の溶液ならびにこれまでに列挙した対応する水溶性のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の滅菌水性溶液を使用することができる。そのような水性溶液は、必要であれば適当に緩衝化すべきであり、液体希釈剤を、まず、十分な生理食塩水またはグルコースで等張とすべきである。遊離塩基または医薬上許容される塩としての活性な化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中で調製することができる。また、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物中で、および油中で分散液を調製することができる。貯蔵および使用の通常の条件下では、これらの製剤は、微生物の増殖を妨げるために保存剤を含有する。これらの特別な水性溶液は静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の注射目的に特に適している。この関連で、使用される滅菌水性媒体は、全て、当業者によく知られた標準技術によって容易に得ることができる。
注射使用に適した医薬形態としては、滅菌水性溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即席調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、該形態は望ましくは滅菌されており、容易なシリンジ性が存在する程度に流体である。それは、製造および貯蔵の条件下で安定であることが好ましく、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して維持されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、その適当な混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適当な流動性は例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合における必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって実現することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含めるのが好ましいであろう。注射組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって実現することができる。
滅菌注射溶液は、必要な量の活性化合物を、必要であれば前記にて列挙した種々の他の成分と共に適当な溶媒中に配合し、続いて濾過滅菌によって調製する。一般には、分散液は、基本的な分散媒体、および前記列記からの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに滅菌した活性成分を配合することによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合には、調製の好ましい方法は真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これらは、その予め滅菌濾過した溶液から活性成分に加えいずれかのさらなる所望の成分の粉末を生じる。
局所投与の目的では、そうでなければ前記した非経口溶液と同様な(通常は約0.1%〜5%濃度の)希薄な滅菌水溶液を、目への点眼投与に適した容器中で調製する。本発明の治療化合物は、単独で、あるいは医薬上許容される担体と組み合わせて、哺乳動物に投与することができる。前記したように、活性成分および担体の相対的割合は、化合物の溶解度および化学的性質、選択された投与の経路、および標準的な医薬プラクティスによって決定される。予防または治療に最も適するであろう本発明の治療剤の用量は、投与の形態、選択された特定の化合物、および治療中の特定の患者の生理学的特徴に伴って変化するであろう。一般に、小さな用量を最初に用い、もし必要であれば、状況下で最適な効果に到達するまで、少量ずつ増加させる。経口投与はより高い用量を必要とする。化合物は経口または非経口で投与されるか、あるいは点眼剤として局所投与される。用量は、出発点として動物実験から定型的には決定される用量を用い、当該分野で公知の方法を用いて医師が容易に決定することができる。
ある実施形態において、ドーパミンレセプターアンタゴニストおよび/またはドーパミンレセプターアンタゴニストは標準的な治療用量にて、より好ましくは標準以下の治療用量にて、なおより好ましくはほぼ閾値用量にて、最も好ましくは閾値下用量にいて投与され、ここに、閾値用量または閾値下用量は、単独で投与される各アンタゴニストについての閾値または閾値下用量である。ある特に好ましい実施形態においては、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストは、1以上の有害な副作用を生じることが知られている用量よりも低い用量で投与される。
(IV.キット)
また、本発明では、本発明の方法の実施のためのキットが考えられる。そのようなキットは、典型的には、本明細書中に記載された1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを含有する容器を含む。該キットは、典型的には、さらに、乱用物質の消費に関連した習慣性行動の1以上の構成要素を阻害するためのアンタゴニストの使用を教示する指示材料をさらに含む。該指示材料は、好ましい用量、投与の態様、コンターインディケーション(conterindication)などを教示することができる。
指示材料は、典型的には、書かれたまたは印刷された材料を含むが、それらはそのようなものに限定されない。そのような指示を保管し、それらを最終ユーザーに連絡することができるいずれの媒体も本発明により考えられる。そのような媒体としては、限定されるものではないが、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられる。そのような媒体は、そのような指示材料を供するインターネットサイトへのアドレスを含むことができる。
(V.乱用物質に対する中毒、またはそれからの禁断症状の1以上の行動構成要素を軽減する剤についてのスクリーニングおよび/またはプレスクリーニング)
前記したように、1つの態様において、本発明は、アデノシンレセプターA2Aアンタゴニストが、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害することができるという発見に関する。従って、推定アデノシンA2Aレセプターインヒビターの同定により、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害するための候補剤が事実上同定される。
ある実施形態において、スクリーニング方法は、A2Aレセプターの発現および/もしくは活性を阻害する能力、ならびに/または習慣性行動(例えば、自己投与、欲求、欲望など)の1以上の構成要素を阻害する能力についてテスト因子(例えば、推定アデノシンA2Aレセプターアンタゴニスト)をスクリーニングすることを含む。
かくして、ある実施形態において、本発明のスクリーニング方法は、哺乳動物テスト細胞をテスト因子と接触させ、次いで、アデノシンA2Aレセプター、あるいはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分(例えば、β/γダイマー)の発現または活性を検出することを含むことができ、ここに、たとえば対照と比較したテスト細胞におけるA2Aレセプターの発現または活性の差は、テスト因子が習慣性行動の1以上の構成要素を阻害するための候補であることを示す。
遺伝子の発現レベルは、遺伝子産物の転写(すなわち、mRNAの転写)の変化によって、および/または遺伝子産物の翻訳(すなわち、タンパク質の翻訳)の変化によって、および/または翻訳後修飾(例えば、タンパク質折畳み、グリコシル化など)によって改変することができる。従って、本発明の好ましいアッセイは、転写されたmRNA(あるいはA2AレセプターまたはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分をコードする核酸に由来する他の核酸)のレベル、翻訳されたタンパク質のレベル、翻訳されたタンパク質の活性などについてのアッセイを含む。そのようなアプローチの例は後に記載する。これらの例は説明的であり、限定的ではないことを意図する。
(A)核酸ベースのアッセイ)
(1)標的分子)
A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の発現レベルの変化は、該A2Aレセプターまたは経路成分をコードするmRNAおよび/または該mRNAに由来する核酸(例えば、逆転写されたcDNAなど)の変化を測定することによって検出することができる。発現レベルを測定するためには、そのような分析のための核酸試料を供するのが望ましい。好ましい実施形態において、核酸は生物学的試料において見出されるか、あるいはそれに由来する。本明細書中で用いるように、用語「生物学的試料」とは、生物から、あるいは生物または細胞培養物もしくは組織培養物の成分(例えば、細胞)から得られた試料を言う。
核酸(例えば、mRNAに由来するmRNA核酸)は、ある好ましい実施形態においては、当業者によく知られた多数の方法のいずれかに従って試料から単離される。mRNAを単離する方法は、当業者によく知られている。例えば、核酸の単離および精製の方法は、Tijssen編(1993)Lavoratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biologyの第3章:Hybridazation With Nucreic Acid Probes,パートI.Theory and Nucreic Acid Preparation,Elsevier,N.Y.and Tijssen編、によって詳細に記載されている。
好ましい実施形態において、「全」核酸は、例えば、酸グアニジニウム−フェノール−クロロホルム抽出方法を用いて与えられた試料から単離され、ポリA+mRNAは、オリゴdTカラムクロマトグラフィーによって、あるいは(dT)n磁性ビーズを用いることによって単離される(例えば、Sambrookら,Molecular Clonig;A Lavoratory Manual(第2版),第1〜3巻,Cold Spring Harbor Lavoratory(1989)またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York(1987)参照)。
多くの場合、発現レベルについてのアッセイに先立って核酸試料を増幅するのが望ましい。核酸を増幅する方法は当業者によく知られており、限定されるものではないが、ポリメラーゼ鎖反応(PCR,例えば、Innisら(1990)PCR Protocols.A Guide to Methods and Application.Academic Press,Inc.San Diego参照)、リガーゼ鎖反応(LCR)(WuおよびWallace(1989) Genomics 4:560,Landegrenら(1988)Science 241:1077,およびBarringerら(1990)Gene 89:117参照)、転写増幅(Kwohら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173)、自己維持配列複製(Guatelliら(1990)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 87:1874)、ドットPCR、およびリンカーアダプターPCRなど)を含む。
試料中のA2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の転写レベル(および、それにより、発現レベル)を定量するのが望まれる特に好ましい実施形態において、核酸試料は、A2AレセプターのmRNA転写物濃度、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分のmRNA転写物濃度、あるいはA2AレセプターのmRNA転写物濃度、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分のmRNA転写物に由来する核酸の濃度が、その遺伝子の転写レベル(および、これによる発現レベル)に比例するものである。同様に、ハイブリダイゼージョンシグナル強度がハイブリダイズした核酸の量に比例するのが好ましい。比例性は相対的に厳格である(例えば、転写速度における倍化の結果、試料核酸プールにおけるmRNA転写体の倍化、およびハイブリダイゼーションシグナルの倍化がもたらされる)のが好ましいが、当業者であれば、この比例性はより緩慢であり得、非直線的であり得ることを認識するであろう。従って、例えば、標的mRNAの濃度の5倍の差がハイブリダイゼーション強度の3〜6倍の差をもたらすアッセイは、ほとんどの目的で十分である。
より正確な定量が必要な場合、適当な対照を実行して、本明細書中に記載されているよう、試料調製およびハイブリダイゼーションに導入された改変について補正することができる。加えて、「標準」標的核酸(例えば、mRNA)の系列希釈を用いて、当業者によく知られた方法に従って較正曲線を作成することができる。もちろん、転写体の存在または不存在、あるいは核酸濃度の大きな差の単純な検出が望まれる場合、技巧を凝らした対照または較正は必要とされない。
最も単純な実施形態において、A2AレセプターまたはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分をコードする核酸を含む試料は、全mRNAまたは全cDNAを単離し、そうでなければ生物学的試料から、単離および/または誘導される。核酸は、前記にて示した当業者によく知られた多数の方法のいずれかに従って試料から単離することができる。
(2)ハイブリダイゼージョンベースのアッセイ)
A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分をコードする公知の核酸配列を用いて、これらの核酸の転写体の検出および/または定量は、核酸ハイブリダイゼーション技術を用いて日常的に達成することができる(例えば、Sambrookら、前掲参照)。例えば、逆転写されたcDNAの存在、不存在または量を評価する1つの方法としては「サザーンブロット」が挙げられる。サザーンブロットにおいては、典型的には断片化され、かつ電気泳動ゲルで分離されたDNA(例えば、逆転写されたA2AレセプターmRNA)を、その核酸に対して特異的なプローブにハイブリダイズさせる。「テスト」プローブからのハイブリダイゼーションシグナルの強度と、「対照」プローブ(例えば、「ハウスキーピング遺伝子」についてのプローブ)からのハイブリダイゼーションシグナルの強度との比較により、標的核酸の相対的発現レベルが見積もられる。
別法として、mRNAをノーザンブロットにおいて直接的に定量することができる。簡単に述べれば、mRNAを、例えば、酸グアニジニウム−フェノール−クロロホルム抽出方法を用いて与えられた細胞試料を単離する。次いで、mRNAを電気泳動に付して、mRNA種を分離し、mRNAをゲルからニトロセルロース膜に移す。サザーンブロットに関しては、標識されたプローブを用いて、標的mRNAを同定し、および/または定量する。適当な対照(例えば、ハウスキーピング遺伝子に対するプローブ)は、相対的発現レベルを評価するための参照を提供する。
A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の発現レベルを測定するための代替手段はイン・サイチュハイブリダイゼーションである。イン・サイチュハイブリダイゼーションアッセイはよく知られている(例えば、Angerer(1987)Meth.Enzymol 152:649)。一般に、イン・サイチュハイブリダイゼーションは以下の主な工程、すなわち、(1)分析するべき組織または生物学的構造物の固定、(2)標的DNAの接近性を増加させ、および非特異的結合を低下させるための生物学的構造物のプレハイブリダイゼーション処理、(3)核酸の混合物の、生物学的構造または組織中の核酸へのハイブリダイゼーション、(4)ハイブリダイゼーションにおいて結合しなかった核酸断片を除去するためのポスト−ハイブリダイゼーション洗浄、および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出を含む。これらの工程の各々で用いる試薬、および使用条件は、特定の適用に応じて変化する。
いくつかの適用においては、反復配列のハイブリダイゼーション能力をブロックすることが必要である。従って、いくつかの実施形態において、tRNA、ヒトゲノムDNA、またはCot−1 DNAを用いて、非特異的ハイブリダイゼーションをブロックする。
(3)増幅ベースのアッセイ)
もう1つの実施形態において、増幅ベースのアッセイを用いて、A2AレセプターまたはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の(転写)レベルを測定することができる。そのような増幅ベースのアッセイにおいて、標的核酸配列(すなわち、A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分をコードする核酸)は、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)または逆転写PCR(RT−PCR))において鋳型として作用する。定量的増幅において、増幅産物の量は元の試料中の鋳型(例えば、A2AレセプターをコードするmRNA)の量に比例するであろう。適当な(例えば、テスト因子に曝露されていない健康な組織または細胞)対照との比較は、転写体レベルの尺度を提供する。
「定量的」増幅の方法は当業者によく知られている。例えば、定量PCRは、同一プライマーを用いて既知量の対照配列を同時に増幅することを含む。これは、PCR反応を較正するのに用いることができる内部標準を供する。定量的PCRについての詳細なプロトコルは、Innisら(1990)(PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications,Academic Press,Inc.N.Y.)に供される。1つのアプローチは、例えば、標的を増幅するのに用いられるのと同一のプライマーを用い、既知量の対照配列を同時に増幅することを含む。これは、PCR反応を較正するのに用いることができる内部標準を供する。
1つの好ましい内部標準は合成AW106 cRNAである。該AW106 cRNAは、当業者に知られた標準的技術に従って試料から単離されたRNAと合わせる。次いで、逆転写酵素を用いてRNAを逆転写して、コピーDNAを得る。次いで、標識されたプライマーを用い、(例えば、PCRによって)cDNA配列を増幅する。増幅産物を、典型的には、電気泳動によって分離し、(増幅された産物の量に比例する)標識された核酸の量を測定する。次いで、既知のAW106 RNA標準によって生じたシグナルとの比較によって、試料中のmRNAの量を計算する。定量的PCRについての詳細なプロトコルは、PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications,Innisら(1990)Academic Press,Inc.N.Y.に供される。
(4)ハイブリダイゼーションフォーマットおよびハイブリダイゼーション条件の最適化)
(a)アレイベースのハイブリダイゼーションフォーマット)
1つの実施形態において、本発明の方法はアレイベースのハイブリダイゼーションフォーマットで利用することができる。アレイは、1以上の表面(例えば、固体、膜、またはゲル)に結合した複数の異なる「プローブ」核酸または「標的」核酸(または他の化合物)である。好ましい実施形態において、複数の核酸(または他の部位)を、単一の連続表面に、または相互に隣接した複数の表面に結合させる。
アレイフォーマットにおいて、非常に多数の異なるハイブリダイゼーション反応を実質的に「並行して」行うことができる。これは、単回の「実験」において、多数のハイブリダイゼーションの迅速な実質的に同時の評価を提供する。アレイベースのフォーマットでのハイブリダイゼーション反応を行う方法は当業者によく知られている(例えば、Pastinen(1997)Genome Res.7:606−614;Jackson(1996)Nature Biotechnology 14:1685;Chee(1995)Science 274:610;WO96/17958,Pinkelら(1998)Nature Genetics 20:207−211参照)。
アレイ、特に核酸アレイは、当業者によく知られた広く種々の方法に従って製造することができる。例えば、単純な実施形態において、異なる核酸を(例えば、ピペットを用いて、手によって)固体支持体(例えば、ガラス表面、膜など)上の異なる位置にスポットすることによって、「低密度」アレイを簡単に製造することができる。
この単純なスポッティングアプローチは、高密度のスポットされたアレイを製造するために自動化されている(例えば、米国特許第5,807,522号参照)。この特許は、表面に対して毛管をタップすること、小さな容量の生物学的試料を沈積させる自動システムの使用を記載する。このプロセスを繰り返すことにより、高密度アレイを生成する。
または、オリゴヌクレオチド合成技術を用いて、アレイを製造することもできる。従って、例えば、米国特許第5,143,854号およびPCT特許公開番号WO 90/15070および92/10092は、高密度オリゴヌクレオチドアレイの光指向性コンビナトーリアル合成の使用を教示する。高密度アレイの合成は米国特許第5,744,305号、第5,800,992号および第5,445,934号にも記載されている。
(b)他のハイブリダイゼーションフォーマット)
前記したように、種々の核酸ハイブリダイゼーションフォーマットが当業者に知られている。例えば、通常のフォーマットとしては、サンドイッチアッセイおよび競合もしくは置換アッセイが挙げられる。そのようなアッセイフォーマットは、一般的には、HamesおよびHiggins(1985)Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press;GallおよびPardue(1969)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:378−383およびJohnら(1969)Nature 223:582−587に記載されている。
サンドイッチアッセイは、核酸配列を検出し、または単離するための市販の有用なハイブリダイゼーションアッセイである。そのようなアッセイは、固体支持体に共有結合により固定化された「捕獲」核酸、および溶液中の標識された「シグナル」核酸を利用する。試料は標的核酸を提供する。「捕獲」核酸および「シグナル」核酸プローブは標的核酸とハイブリダイズして、「サンドイッチ」ハイブリダイゼーション複合体を形成する。最も効果的であるためには、シグナル核酸は捕獲核酸とハイブリダイズすべきでない。
典型的には、標識されたシグナル核酸を用いてハイブリダイゼーションを検出する。相補的核酸またはシグナル核酸は、典型的には、本明細書中に記載されたように、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの存在を検出するのに用いられるいくつかの方法のうちのいずれか1つによって標識することができる。
ハイブリダイゼーションアッセイの感度は、検出すべき標的核酸を増加させる核酸増幅システムの使用を介して増強することができる。そのようなシステムの例としては、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)システム、およびリガーゼ鎖反応(LCR)システムが挙げられる。当該分野で最近記載された他の方法は、核酸配列ベースの増幅(NASBAO,Cangene,Mississauga,Ontario)およびQβレプリカーゼシステムである。
(c)ハイブリダイゼーション条件の最適化)
核酸ハイブリダイゼーションは、単に、変性したプローブおよび標的核酸を、該プローブおよびその相補的標的が相補的塩基対合を介して安定なハイブリッド二重鎖を形成できる条件下に供することを含む。次いで、ハイブリッド二重鎖を形成しない核酸を洗浄して除去し、残ったハイブリダイズした核酸を、典型的には、結合した検出可能な標識の検出を介して検出する。一般的には、温度を上昇させるか、あるいは核酸を含有する緩衝液の塩濃度を減少させ、あるいは、化学剤の添加に加えて、pHを上昇させることによって核酸を変性させることが認められている。低ストリンジェンシー条件(例えば、低温および/または高塩および/または高標的濃度)下では、アニールされた配列が完全には相補的でない場合でさえ、ハイブリッド二重鎖(例えば、DNA:DNA、RNA:RNA、RNA:DNA)が形成される。従って、ハイブリダイゼーションの特異性はより低いストリンジェンシーにおいては低下する。逆に、より高いストリンジェンシー(例えば、より高い温度、またはより低い塩)においては、首尾よいハイブリダイゼーションはより少ないミスマッチを必要とする。
当業者であれば、ハイブリダイゼーション条件は、いずれの程度のストリンジェンシーも供するように選択できるのを認識するであろう。好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは低ストリンジェンシーで行って、ハイブリダイゼーションを確実にし、次いで、引き続いての洗浄をより高いストリンジェンシーで行って、ミスマッチしたハイブリダッド二重鎖を排除する。順次の洗浄は、所望のレベルのハイブリダイゼーション特異性が得られるまで、徐々に高くするストリンジェンシー(例えば、37℃〜70℃における0.25×SSPEと低くなるまで)において行うことができる。ストリンジェンシーはホルムアミドのような薬剤の添加によって増加させることもできる。ハイブリダイゼーション特異性は、テストプローブに対するハイブリダイゼーションを、存在できる種々の対照に対するハイブリダイゼーションと比較することによって評価することができる。
一般に、ハイブリダイゼーション特異性(ストリンジェンシー)およびシグナルの強度の間には兼ね合いがある。従って、好ましい実施形態においては、洗浄は最高のストリンジェンシーで行い、これは、一貫性のある結果を生じ、バックグラウンド強度のほぼ10%よりも大きなシグナル強度を供する。従って、好ましい実施形態において、ハイブリダイズしたアレイを順次により高いストリンジェンシーの溶液において洗浄し、各洗浄の間に読み取ることができる。これによって生じたデータセットの分析は、それを超えては、ハイブリダイゼーションパターンが認識可能に変化せず、かつ注目する特定のプローブについての適切なシグナルを供する、洗浄ストリンジェンシーを明らかとするであろう。
好ましい実施形態においては、バックグラウンドシグナルは、ハイブリダイゼーションの間にブロッキング試薬(例えば、tRNA、精子DNA、cot−1 DNAなど)を用いることによって低下させて非特異的結合を低下させる。ハイブリダイゼーションにおけるブロッキング剤の使用は当業者によく知られている(例えば、P.Tijssen中の第8章(前掲)を参照)。
ハイブリダイゼーション条件を最適化する方法は当業者によく知られている(例えば、Tijssen(1993) Labolaroty Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,第24巻:Hybridization With Nucreic Acid Probes,Elsevier,N.Y.参照)。
また、最適条件は、基質タイプ、フルオロクローム、励起および発光バンドの異なる組み合わせについての標識(例えば、蛍光)検出の感度、スポットサイズなどの関数でもある。低い蛍光バックグラウンド表面を用いることができる(例えば、Chu(1992) Electrophoresist 13:105−114参照)。候補表面での種々の直径でのスポット(「標的エレメント」)の検出についての感度は、例えば、蛍光により末端が標識されたDNA断片の系列希釈をスポットすることによって容易に測定することができる。次いで、これらのスポットを、慣用的な蛍光顕微鏡を用いてイメージする。従って、フルオロクロームおよび固体表面(例えば、ガラス、溶融シリカなど)など種々の組み合わせから達成することができる感度、直線性および動的範囲を決定することができる。公知の相対的割合のフルオロクロームの対の系列希釈も分析することができる。これは、蛍光比率測定が、ディテクターによって許容される動的範囲にわたる現実のフルオロクローム比率、およびプローブが固定された基材の蛍光を反映する精度を決定する。
(d)核酸の標識および検出)
A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の発現レベルの検出のために本明細書中に用いられるプローブは、全長、全長未満とすることができる。より短いプローブは経験的に特異性についてテストされる。好ましいプローブは、ストリンジェントな条件下で標的核酸と特異的にハイブリダイズするように十分に長い。好ましいサイズ範囲は約20塩基から標的mRNAの長さ、より好ましくは約30塩基から標的mRNAの長さ、最も好ましくは約40塩基から標的mRNAの長さである。
プローブは、典型的には、検出可能な標識で標識される。本発明で用いるのに適した検出可能な標識は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段または化学的手段によって検出できるいずれの組成物も含む。本発明における有用な標識としては、標識されたストレプトアビジンコンジュゲートでの染色のためのビオチン、磁性ビーズ(例えば、Dynabeabs(登録商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など(例えば、Molecular Probes,Eugene,Oregon,USAを参照)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAで通常用いる他のもの)、およびコロイド状金(例えば、40nm〜80nm直径サイズ範囲において緑色光を高い効率で散乱する金粒子)のような比色標識、または着色したガラスビーズまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズが挙げられる。そのような標識の使用を教示する特許としては米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;および第4,366,241号が挙げられる。
蛍光標識は低いバックグラウンドにて非常に強いシグナルを生じるので好ましい。それはまた、迅速なスキャニング手法を介して、高い分解能および感度で光学的に検出可能である。核酸試料は、全て、単一の標識、例えば、単一の蛍光標識で標識することができる。別法として、もう1つの実施形態において、異なる核酸試料を同時にハイブリダイズさせることができ、そこでは、各核酸試料は異なる標識を有する。例えば、1つの標的は緑色蛍光標識を有することができ、第二の標的は赤色蛍光標識を有することができる。スキャニング工程は緑色蛍光標識への結合から、赤色標識の結合の部位を識別するであろう。各核酸試料(標的核酸)は相互に独立して分析することができる。
使用することができる適当なクロモゲンとしては、色が観察できるように区別される範囲の波長の光を吸収するか、あるいは、別法として、特定の波長または波長範囲の放射線で照射した場合に、光を発する分子および化合物(例えば、蛍光剤)が挙げられる。
検出可能なシグナルは、ケミルミネセント源およびバイオルミネセント源によって生じさせることもできる。ケミルミネセント源は、化学反応によって電子的に励起されたようになり、次いで、光を発することができる化合物を含み、これは、検出可能なシグナルとして供されるか、あるいはエネルギーを蛍光アクセプターに与える。別法として、ルシフェラーゼまたはルシゲニンと組みあわせてルシフェリンを用いて、生物発光を提供することができる。
スピン標識は、電子スピン共鳴(ESR)分光法によって検出することができ、不対電子スピンを持つレポーター分子によって供される。例示的なスピン標識としては、有機フリーラジカル、遷移金属錯体、特にバナジウム、銅、鉄およびマンガン等が挙げられる。例示的なスピン標識としては、窒素酸化物フリーラジカルが挙げられる。
標識は、ハイブリダイゼーションに先立って、またはその後に標的(試料)核酸に付加することができる。いわゆる「直接的標識」は、ハイブリダイゼーションに先立って標的(試料)核酸に直接的に結合させるか、あるいは一体化される検出可能な標識である。対照的に、いわゆる「間接的標識」はハイブリダイゼーションの後にハイブリッド二重鎖に連結される。しばしば、間接的標識はハイブリダイゼーションに先立って、標的核酸に結合されている結合部分に結合される。従って、例えば、標的核酸はハイブリダイゼーション前にビオチニル化することができる。ハイブリダイゼーション後に、アビジン−コンジュゲーテッドフルオロフォアはビオチン担持ハイブリッド二重鎖に結合し、容易に検出される標識を供する。核酸を標識し、標識されたハイブリダイズ核酸を検出する方法の詳細なレビューについてはLaboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,第24巻:Hybridization With Nucreic Acid Probes,P.Tijssen編、Elsevier,N.Y.,(1993)を参照されたし)。
蛍光標識は、イン・ビトロ転写反応の間に容易に付加される。従って、例えば、フルオレセイン標識UTPおよびCTPをイン・ビトロ転写で生じたRNAに取り込むことができる。
標識は直接的にまたはリンカー部位を介して結合させることができる。一般に、標識の部位またはリンカー標識結合はいずれかの特定の位置に制限されない。例えば、標識を、望まれる検出またはハイブリダイゼーションに干渉しないいずれかの位置のヌクレオシド、ヌクレオチドまたはそのアナログに結合させることができる。例えば、Clontech(Palo Alto,CA)からのある種のLabel−ON試薬は、オリゴヌクレオチドのリン酸骨格を通じて分布した標識、ならびに3’末端および5’末端における末端標識を供する。本明細書中の実施例で示すように、標識はリボース環上の位置に結合させることができるか、リボースを改変し、望まれればなくすることさえできる。有用な標識試薬の塩基部位は、天然に生じるか、あるいはそれが置かれる目的に干渉しない様式で改変されたものを含むことができる。改変された塩基としては、限定されるものではないが、7−デアザAおよび7−デアザG、7−デアザ−8−アザAおよび7−デアザ−8−アザG、および他の複素環部位が挙げられる。
蛍光標識としては、単一の種有機分子に制限されず、無機分子、有機および/または無機分子の複数分子混合物、結晶、ヘテロポリマーなどが挙げられることが理解されるであろう。従って、例えば、シリカシェルに包まれたCdSe−CdSコア−シェルナノ結晶は生物学的分子にカップリングさせるために容易に誘導体化することができる(Bruchezら(1998)Science,281:2013−2016)。同様に、高蛍光量子ドット(硫化亜鉛キャップ化セレン化カドミウム)は、超感受性生物学的検出で用いるための生体分子に共有結合によりカップリングされてきた(WarrenおよびNie(1998) Science,281:2016−2018)。
(B)ポリペプチドベースのアッセイ)
(1)アッセイフォーマット)
核酸発現レベルの検出に加えて、またはその代替法において、A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の発現または活性の改変は、翻訳されたA2Aレセプタータンパク質またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の量および/または活性を検出、および/または定量することによって検出し、および/または定量することができる。
(2)発現されたタンパク質の検出)
A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分は、当業者によく知られた多数の方法のいずれかによって検出し、定量することができる。これらとしては、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィーなどのような分析生化学的方法、あるいは流体またはゲル沈殿反応、免疫拡散(単一または二重)、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ウェスタンブロッティングなどのような種々の免疫学的方法が挙げられる。
1つの好ましい実施形態において、A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分は、電気泳動タンパク質分離(例えば、一次元、または二次元電気泳動)において検出し/定量する。電気泳動技術を用いてタンパク質を検出する手段は当業者によく知られている(一般には、R.Scopes(1982) Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.;Deutschr,(1990) Methods in Enzymology 第182巻:Guide to Protein Purification,Academic Press,Inc.,N.Y.参照)。
もう1つの好ましい実施形態において、ウェスタンブロット(イムノブロット)分析を用いて、A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分の存在を検出し、それを定量する。この技術は、一般には、分子量に基づくゲル電気泳動によって試料タンパク質を分離し、分離されたタンパク質を(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化されたナイロンフィルターのような)適当な固体支持体に移し、次いで、標的ポリペプチドに特異的に結合する抗体と共に試料をインキュベートすることを含む。
標的ポリペプチドに特異的に結合する抗体は直接的に標識することができるか、あるいは、別法として、抗体のドメインに特異的に結合する標識された抗体(例えば、標識されたヒツジ抗マウス抗体)を用いて引き続いて検出することができる。
好ましい実施形態において、A2Aレセプター、またはA2Aレセプターシグナル伝達経路の他の成分は、イムノアッセイを用いて検出される。本明細書中で用いるように、イムノアッセイは、分析物(例えば、標的ポリペプチド)に特異的に結合する抗体を利用するアッセイである。従って、イムノアッセイは、分析物を単離し、標的化し、および定量するための他の物理的または化学的特性の使用とは反対に、本発明のポリペプチドの抗体への特異的結合の検出によって特徴付けられる。
多数のよく認められている免疫学的結合アッセイ(例えば、米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号参照)のいずれかは、ここで同定されたポリペプチドの検出または定量によく適合される。一般的イムノアッセイのレビューについては、Asai(1993) Methods in Cell Biology Volume 37:Antibodies in Cell Biology,Academic Press,Inc.New York;Stites&Terr(1991) Basic and Clinical Immunology 第7版を参照のこと。
免疫学的結合アッセイ(またはイムノアッセイ)は、典型的には、分析物(A2Aレセプタータンパク質)に特異的に結合し、しばしばそれを固定化するために「捕獲剤」を利用する。好ましい実施形態において、捕獲剤は抗体である。
イムノアッセイは、しばしば、捕獲剤および分析物によって形成された結合複合体に特異的に結合し、それを標識するために標識剤を利用する。標識剤はそれ自体、抗体/分析物複合体を含む部位の1つであり得る。従って、標識剤は、既に結合した標的ポリペプチドを特異的に認識する標識されたポリペプチドであるか、あるいは標識抗体であり得る。別法として、標識剤は、捕獲剤/ポリペプチド複合体に特異的に結合する、もう1つの抗体のような第三の部位であり得る。
プロテインAまたはプロテインGのような免疫グロブリン定常領域に特異的に結合することができる他のタンパク質を標識剤として用いることもできる。これらのタンパク質はstreptococcal細菌の細胞壁の通常の構成要素である。それらは、種々の種からの免疫グロブリン定常領域との強い非免疫原性反応性を呈する(一般に、Kronvalら(1973)J.Immunol.,111:1401−1406、およびAkerstrom(1985)J.Immunol.,135:2589−2542参照)。
標的ポリペプチドを検出するための好ましいイムノアッセイは、競合的または非競合的のいずれかである。非競合的イムノアッセイは、捕獲された分析物の量を直接的に分析するアッセイである。1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいては、例えば、捕獲剤(抗体)を、固体基材に直接的に結合させることができ、それら捕獲剤(抗体)はそこに固定化される。次いで、これらの固定化抗体はテスト試料に存在する標的ポリペプチドを捕獲する。次いで、かく固定化された標的ポリペプチドは、標識を有する第二の抗体のような標識剤によって結合される。
競合アッセイにおいては、試料に存在する分析物(例えば、A2Aレセプタータンパク質)の量は、試料に存在する分析物による捕獲剤(抗体)から置き換えられた(または競合により離れた)、添加(外因性)分析物の量を測定することによって間接的に測定される。1つの競合アッセイにおいて、この場合には、標識されたポリペプチドの既知量を試料に加え、次いで、試料を捕獲剤と接触させる。抗体に結合した標識ポリペプチドの量は、試料に存在する標的ポリペプチドの濃度に逆比例する。
1つの特に好ましい実施形態において、抗体は固体基材に固定化される。抗体に結合した標的ポリペプチドの量は、ポリペプチド/抗体複合体に存在する標的ポリペプチドの量を測定することによって、あるいは別法として、残りの複合体化していないポリペプチドの量を測定することによって決定することができる。
本発明のイムノアッセイとしては、使用する特定のプロトコルに応じて、単独で、または組み合わせて、ベータ/ガンマダイマーポリペプチドに結合する、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、または抗体断片、または単一鎖抗体の標識されていないまたは標識された(例えば、酵素標識)誘導体を利用する酵素イムノアッセイ(EIA)が挙げられる。標的ポリペプチドに結合する抗体が標識されない場合、異なる検出可能なマーカー、例えば、標的ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体に結合することができる酵素標識抗体を使用することができる。EIAの公知の改変のいずれか、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイを使用することもできる。前記したように、本発明ではまた、酵素検出システムを使用するウェスタンブロッティングのようなイムノブロッティングイムノアッセイ技術が考えられる。
本発明のイムノアッセイ方法は、他の公知のイムノアッセイ方法、例えば、抗体コンジュゲート、またはフルオレセインまたはローダミンのような蛍光物質の抗原コンジュゲートを用いる蛍光イムノアッセイ、抗体被覆ラテックス粒子、または抗原被覆ラテックス粒子でのラテックス凝集、抗体被覆赤血球または抗原被覆赤血球での血球凝集反応、ならびにアビジン−ビオチン検出システム、またはストレプトアビジン−ビオチン検出システムである。
本発明のイムノアッセイで使用される特定のパラメーターは、試料中の抗原の濃度、試料の性質、使用されるイムノアッセイのタイプなどのような種々の要因に応じて広く変化させることができる。最適条件は、当業者が容易に確立することができる。ある実施形態において、典型的には試料の不在下における検出可能マーカーの50%結合を与えるように、標的ポリペプチドに結合する抗体の量を選択する。もし精製された抗体を抗体源として用いる場合、アッセイ当たりに使用される抗体の量は、一般には、約1ng〜約100ngの範囲である。典型的なアッセイ条件としては、約4℃〜45℃、好ましくは25℃〜37℃、最も好ましくは約25℃の温度範囲、約5〜9、好ましくは約7のpH値範囲、および蒸留水のそれから、約0.2M塩化ナトリウムのそれ、好ましくは0.15M塩化ナトリウムのほぼそれまで変化するイオン強度が挙げられる。時間は、アッセイの性質に依存して広く変化し、一般には、約0.1分〜約24時間の範囲である。広く種々の緩衝液、例えば、PBSを使用することができ、およびイオン強度を増強させるための塩、血清アルブミンのようなタンパク質、安定化剤、殺生物剤および非イオン性界面活性剤のような他の試薬を含めることもできる。
本発明のアッセイは、当業者に良く知られた標準的方法に従い(標的ポリペプチドの陽性もしくは陽性量、または陰性もしくは陰性量として)スコア化する。スコア化の特定の方法はアッセイフォーマットおよび標識の選択に依存するであろう。例えば、ウェスタンブロットアッセイは、酵素標識によって生じた着色生成物を可視化することによってスコア化することができる。正しい分子量における明瞭に目に見える着色したバンドまたはスポットは陽性の結果としてスコア化され、他方、明瞭に目に見えるスポットまたはバンドの不存在は陰性としてスコア化される。バンドまたはスポットの強度は、標的ポリペプチドの濃度の定量的尺度を供することができる。
本明細書中に記載された種々のイムノアッセイで用いる抗体は商業的に入手可能であるか、あるいは当業者に知られた標準的方法を用いて製造することができる。
(C)行動アッセイ)
種々の実施形態において、行動アッセイを、アデノシンA2Aレセプターの発現または活性を改変する因子についてのアッセイの代わりに、またはそれの補充として用いることができる。従って、例えば、化合物がアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストであることが既に知られている場合、行動アッセイを用いて、中毒に関連する行動の1以上の構成要素を阻害するにおける効力について化合物を評価することができる。
そのような行動アッセイは当業者に良く知られている。これらとしては、限定されるものではないが、(例えば、エタノールまたは他の物質の)オペラント自己投与、アデノシンに媒介された欲望行動の復帰の阻害等が挙げられる。いくつかのそのようなアッセイは実施例およびそこに引用された文献において、本明細書中に説明されている。
(D)アデノシンA2Aレセプターに結合するテスト因子についてのプレスクリーニング)
ある実施形態において、アデノシンA2Aレセプターをコードする核酸、および/またはアデノシンA2Aレセプターと相互作用する(例えば、それらに特異的に結合する)能力についてテスト因子をプレスクリーニングするのが望まれる。具体的には、結合性テスト因子は、A2Aレセプターの発現および/または活性と相互作用し、それにより、それを阻害するようである。従って、いくつかの好ましい実施形態において、テスト因子を、前記したより複雑なアッセイを行うに先立って、A2Aレセプター核酸への、またはA2AレセプターもしくはA2Aレセプタータンパク質への結合についてプレスクリーニングする。
1つの実施形態において、そのようなプレスクリーニングは単純な結合アッセイで達成される。核酸またはタンパク質に対する特定のリガンドの特異的結合または結合親和性をアッセイする手段は、当業者に良く知られている。好ましい結合アッセイにおいて、標的(例えば、A2Aレセプタータンパク質または核酸)を固定化し、(標識することができる)テスト因子に暴露し、あるいは別法として、テスト因子を固定化し、標識することができるA2Aレセプターに暴露する。次いで、固定化された部位を洗浄して、未結合物質をいずれも除去し、結合したテスト因子または結合したレセプタータンパク質を(例えば、結合した分子に結合した標識の検出によって)検出する。固定化された標識の量は、標的およびテスト因子の間の結合の程度に比例する。
(E)アッセイのスコア化)
本発明のアッセイは、当業者に良く知られた標準的方法に従ってスコア化される。本発明のアッセイは典型的には、存在するテスト因子で観察される活性、および(通常は陰性の)対照の間に差がある場合、またはテスト因子が既に適用されている場合には、陽性としてスコア化される。ある好ましい実施形態において、変化/差は、例えば、供されるデータセットに適したいずれかの統計学的テスト(例えば、t−検定、分散分析(ANOVA)、半パラメーター技術、非パラメーター技術(例えば、Wilcoxon Mann−Whitney Test、Wilcoxon Signed Ranks Test、Sign Test、Kruskal−Wallis Test等))を用いて決定されるように、統計学的に有意な変化/差である。好ましくは、この差/変化は、80%よりも大きな信頼レベル、好ましくは約90%よりも大きな信頼レベル、より好ましくは約98%よりも大きな信頼レベル、最も好ましくは約99%よりも大きな信頼レベルにおいて統計学的に有意である。最も好ましい「陽性」アッセイは、陰性対照から少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍、もっとも好ましくは少なくとも4倍、またはさらに10倍の差を示す。
(F)スクリーニング:コンビナトーリアルライブラリーのための因子(例えば、小さな有機分子))
実質的にいずれの因子も、本発明の方法に従ってスクリーニングすることができる。そのような因子としては、限定されるものではないが、核酸、タンパク質、糖、多糖、糖タンパク質、脂質、および有機低分子が挙げられる。用語、有機低分子とは、典型的には、医薬で通常用いられる有機分子と匹敵するサイズの分子をいう。該用語は、生物学的高分子(例えば、タンパク質、核酸等)を除外する。好ましい小さな有機分子は、サイズが、約5000Daまで、より好ましくは2000Daまで、最も好ましくは約1000Daの範囲までである。
便宜には、有用な特性を持つ(新しい化学実体は、いくらかの所望の特性または活性を持つ化学化合物(「リード化合物」といわれる)を同定し、このリード化合物の改変体を創製し、次いで、それらの変種化合物の特性および活性を評価することによって創製される。しかしながら、現在の傾向は、薬物発見の全ての態様について時間スケールを短縮することにある。大きな数を迅速かつ効果的にテストする能力のため、高スループットスクリーニング(HTS)方法は、慣用的なリード化合物同定方法を置き換えつつある。
1つの好ましい実施形態において、高スループットスクリーニング方法は非常に多数の潜在的治療化合物(候補化合物)を含有するライブラリーを提供することを含む。次いで、そのような「コンビナトーリアル化学ライブラリー」を本明細書中に記載した1以上のアッセイでスクリーニングして、所望の特徴的な活性を呈するライブラリーメンバー(特に、化学的種またはサブクラス)を同定する。これにより同定された化合物は慣用的な「リード化合物」として役立ち得るか、あるいはそれ自体が、潜在的または実際の治療剤として用いることができる。
コンビナトーリアル化学ライブラリーは、多数の化学的「形成ブロック」を合わせることによって化学的合成または生物学的合成いずれかによって生じた多様な化学化合物のコレクション(例えば、試薬)ある。例えば、ポリペプチド(例えば、ムテイン)ライブラリーのような直線状コンビナトーリアル化学ライブラリーは、与えられた化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物におけるアミノ酸の数)について可能な方法毎に、アミノ酸と呼ばれる化学形成ブロックのセットを合わせることによって形成される。化学形成ブロックのそのようなコンビナトーリアル混合を介して、数百万の化学化合物を合成することができる。例えば、一人のコメンテーターは、100の相互交換可能な化学結合ブロックの系統的コンビナトーリアル混合の結果、1億のテトラマー化合物または100億のペンタマー化合物の理論的合成がもたらされることを観察している(Gallopら(1994)J.Med.Chem.,37(9):1233−1250)。
コンビナトーリアル化学ライブラリーの調製は当業者に良く知られている。そのようなコンビナトーリアル化学ライブラリーとしては、限定されるものではないが、ペプチドライブラリーが挙げられる(例えば、米国特許第5,010,177号、Furka(1991)Int.J.Pept.Prot.Res.,37:487−493,Houghtonら(1991)Nature,354:84−88参照)。ペプチド合成は、本発明で用いることが考えられ、それが意図される唯一のアプローチでは断じてない。化学的多様性ライブラリーを作製するための他の化学も用いることができる。そのような化学としては、限定されるものではないが、ペプトイド(PCT公開番号WO91/19735,1991年12月26日)、コードされたペプチド(PCT公開WO93/20242,1993年10月14日)、ランダムバイオ−オリゴマー(PCT公開WO92/00091,1992年1月9日)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドのようなダイバーソーマー(diversomer)(Hobbsら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909−6913)、ビニル様ポリペプチド(Hagiharaら(1992)J.Amer.Chem.Soc.114:6568)、β−D−グルコースの基本骨格を持つ非ぺプド性のペプチド模倣物(Hirschmannら(1992)J.Amer.Chem.Soc.114:9217−9218)、小化合物ライブラリーの同様な有機合成(Chenら(1994)J.Amer.Chem.Soc.116:2661)、オリゴカルバメート(Choら(1993)Science 261.1303)、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら(1994)J.Org.Chem.59:658)が挙げられる。一般には、Gordonら(1994)J.Med.Chem.37:1385、核酸ライブラリー(例えば、Strategene,Corp.)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許5,539,083号参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら(1996)Nature Biotechnology,14(3):309−314、およびPCT/US96/10287参照)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liangら(1996)Science,274:1520−1522、および米国特許第5,593,853号参照)、および有機低分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum(1993) C&EN,Jan18、33頁,イソプレノイド 米国特許第5,569,588号、チアゾリジノンおよびメタチアザノン 米国特許第5,549,974号、ピロリジン 米国特許第5,525,735号および第5,519,134号、モルホリノ化合物 米国特許第5,506,337号、ベンゾジアゼピン 米国特許第5,288,514号参照、など)を参照されたし。
コンビナトーリアルライブラリーの調製のためのデバイスは商業的に入手可能である(例えば、357 MPS,390 MPS,Advanced Chem Tech,Louisville KY,Symphony,Rainin,Woburn,MA,433A Applied Biosystems,Foster City,CA,9050 Plus,Millipore,Bedford,MA参照)。
多数のよく知られたロボットシステムもまた液相化学のために開発されている。これらのシステムとしては、限定されるものではないが、Takeda Chemical Insustrires,LTD.(Osaka,Japan)によって開発された自動合成装置のような自動化ワークステーション、および化学者によって行われる手動合成操作を模倣するロボットアーム(Zymate II,Zymark Corporation,Hopkinton,Mass.;Orca,Hewlett−Packard,Palo Alto,Calif.)、およびVenture(商標)プラットフォーム、出発から終了まで576〜9,600の間の同時反応を行うことができる超高スループットシンセイサイザー(Advanced ChemTech,Inc.Louisville,KY参照)を利用する多くのロボットシステムが挙げられる。前記デバイスのいずれも、本発明で用いるのに適当である。本明細書中で議論するように操作できるようなこれらのデバイス(もしあれば)に対する変更の性質および実行は当業者に明白であろう。加えて、多数のコンビナトーリアルライブラリーはそれ自体が商業的に入手可能である(例えば、ComGenex,Princeton,N.J.,Asinex,Moscow,Ru,Tripos,Inc.,St.Louis,MO,ChemStar,Ltd,Moscow,RU,3D Pharmaceuticals,Exton,PA,Martek Biosciences,Columbia,MD等参照)。
(G)高スループットスクリーニング)
本明細書中に記載された代謝産物の蓄積または分解を変調する化合物についてのアッセイのいずれも高スループットスクリーニングに使用することができる。好ましいアッセイは、テスト化合物の存在に応答して、アデノシンA2Aレセプターの発現または活性を検出する。
本発明の方法で利用される細胞は、一度に単一のテスト因子と接触させる必要はない。対照的に、高スループットスクリーニングを容易とするためには、単一細胞を少なくとも2だけ、好ましくは少なくとも5だけ、より好ましくは少なくとも10だけ、最も好ましくは少なくとも20のテスト化合物に接触させることができる。もし細胞のスコアが陽性であれば、活性を有する因子が同定されるまで、それを引き続いてテスト因子のサブセットを用いてテストすることができる。
種々のレポーター遺伝子産物についての高スループットアッセイは当業者によく知られている。例えば、マルチウェルフルオリメーターは(例えば、Perkin−Elmerから)商業的に入手可能である。
加えて、高スループットスクリーニングシステムは商業的に入手可能である(例えば、Zymark Corp.,Hopkinton,MA;Air Technical Industries,Mentor,OH;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,CA;Precision Systems,Inc.,Natick,MA等参照)。これらのシステムは、典型的には、全ての試料および試薬のピペッティング、液体分注、適時のインキュベーション、およびアッセイに適した検出器でのマイクロプレートの最終的な読み取りに挙げられる、全手法を自動化する。これらの配置可能なシステムは高スループットおよび迅速な開始、ならびに高度な柔軟性およびカスタマイズ性を提供する。そのようなシステムの製造業者は、種々の高スループットの詳細なプログラムを提供する。従って、例えば、Zymark Corp.は、遺伝子転写、リガンド結合等の変調を検出するためのスクリーニングシステムを記載する技術公開を提供する。
(H)モジュレーターデータベース)
ある実施形態においては、本明細書中に記載したアッセイにおいて陽性のスコアである(例えば、A2Aレセプターの発現または活性を阻害する能力を示す)因子は、乱用物質の消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素の推定および/または現実のインヒビターのデータベースに入力することができる。用語「データベース」とは、情報を記録し検索するための手段をいう。好ましい実施形態において、データベースとしては、記憶された情報を分類しおよび/またはサーチするための手段も提供する。データベースは、限定されるものではないが、ペーパーシステム、カードシステム、機械的システム、電子的システム、光学的システム、磁気システムまたはその組み合わせを含めたいずれかの便宜な媒体が挙げられ得る。好ましいデータベースとしては、電子的(例えば、コンピューターベースの)データベースが挙げられる。データベースの記憶および操作で用いるためのコンピューターシステムは当業者に良く知られており、限定されるものではないが「パーソナルコンピューターシステム」、メインフレームシステム、インターネットまたはイントラネットでの分散されたノード、特殊化されたハードウェアに(例えば、マイクロチップに)記憶されたデータまたはデータベース等が挙げられる。
以下の実施例は説明のために供するものであって、特許請求される発明を限定するものではない。
(実施例1)
ラットにおけるエタノールオペラント自己投与はアデノシンA2Aレセプターによって調節される。
側座核(NAc)におけるドーパミン(DA)放出は、エタノール(EtOH)の神経および行動効果に関与する。最近の進歩は、アデノシンがEtOHに対するCNS応答の調節においても重要な役割を演じていることを示唆する。神経細胞培養における研究は、EtOHが、アデノシンAレセプター(A)の活性化を介して、cAMP/PKAシグナル伝達およびCRE媒介遺伝子発現をトリガーすることを示す。最も重要なことには、Aを通じて作用するEtOHの閾値下の濃度、およびDA Dレセプター(D)アゴニストが相乗作用をして、この経路を活性化する。相乗作用はGi/o βγダイマーによって媒介される(Yaoら、2002)。最近、本発明者らは、NAcにおけるβγインヒビターの発現がラットにおけるEtOA飲用を低下させることを報告した(Yaoら、2002)。もしEtOAの実りある効果がこの経路を通じて媒介されるならば、AまたはDの遮断はEtOH消費を弱めるはずである。
方法:雄Long Evansラットを作動非作動レバーで毎日30分の期間で10%EtOHを自己投与するように訓練した。ラットの別の群には、全身注射によって、Dアンタゴニストエチクロピリド(0.005mg/kg、0.007mg/kg、0.01mg/kg)、A2AアンタゴニストDMPX(1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kg)およびAアンタゴニストDPCPX(0.125mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg)を投与した。
結果:エチクロプリドはEtOH飲用を用量依存的に低下させた。DMPXは双峰的効果を示した:10および20mg/kgはEtOH消費を減少させたが、1mg/kgは増加させた。DPCPXは効果がなかった。
結論:本発明者らの仮説を裏付けて、DアンタゴニストおよびA2Aアンタゴニストは共にEtOH自己投与を弱める。低用量のA2AアンタゴニストはEtOHの飲用を増大させ、これは、ラットがEtOH自己投与を増加させて、部分的なA2A遮断を克服するという可能性と合致する。これらのデータは、アデノシンA2Aレセプターの薬理学的変調がラットにおいてEtOH消費を調節することができるという最初の証拠を提供する。
(導入)
側座核(NAc)および背側線条体はCNSにおいて最高濃度のアデノシンA2Aレセプターを発現する(JarvisおよびWilliams,1989;Svenningssonら、1997a)。神経細胞培養系における実験は、エタノール(EtOH)がAのシグナル伝達を活性化することを示した(GordonおよびDiamond,1986)。これが起こるのは、EtOHが平衡ヌクレオシドトランスポーターであるENT1を介してアデノシンの摂取をブロックし、細胞外アデノシン濃度の増加を引き起こすからである(Nagyら、1990;Kraussら、1993)。増大した細胞外アデノシンはAレセプターを活性化し、その結果、増大したcAMPレベルをもたらす。cAMPにおけるエタノール誘導増加は、PAKの活性化、およびPKAの触媒サブユニット(PKA Cα)の核へのトランスローケーションに導く(Dohrmanら、2002)。これに続いて、cAMP依存性CRE媒介遺伝子転写の増加が起こる(Yaoら、2002)。
EtOHがアデノシン摂取を阻害することによって細胞外アデノシンを増加させる可能性に加えて、肝臓におけるEtOH代謝は組織および器官におけるアデノシンの増加に導くこともできる(Carmechaelら,1987,1988,1991;Orregoら,1988a)。肝臓のアルコールアセトアルデヒド活性はEtOHからアセテートを作り出す(Orregoら,1988b)。アセテートはさらに代謝されてアセチルCoAとなり、該プロセスにおいてATPを消費し、これはアデノシンを作り出す(Israelら、1994)。循環系に放出されたアデノシンは血液−脳関門を横切る(CornfordおよびOldendorf,1975)。加えて、肝臓におけるアルコール代謝によって生じたアセテートは循環系に放出され、そこで、やはり血液−脳関門を横切る。脳に入るアセテートは容易にアセチルCoAに変換される(BerlおよびFrigyesi,1969)。これはイン・サイチュにおいてアデノシンを生じるであろう。アセテートは、アデノシンのようにCNS抑制剤である。脳におけるアセテートの効果は、アデノシンによって媒介されるように見える。なぜならば、それはアデノシンレセプターアンタゴニストによってブロックされるからである(Israelら、1994;Campisiら、1997)。一緒に考え合わすと、これらの発見は、イン・ビボにおけるEtOHの行動効果のいくつかが、アデノシンレセプターの引き続いての活性化を伴い、脳中の細胞外アデノシンの直接的および間接的EtOH誘導増加の双方によって媒介されるであろうことを示唆する。
NAcおよび背側線条体のユニークな特徴の1つは、同一GABA作動性媒体棘状ニューロン上のアデノシンA2Aレセプターおよびドーパミン(DA)Dレセプターの共発現である(Finkら、1992)。本発明者らは、細胞培養系におけるEtOHに対するニューロン応答の媒介における、AおよびDレセプターの相互作用を調べた。本発明者らは、D誘導活性化とEtOH/A誘導活性化との間の相乗作用を発見した。単独では効果を有しない閾値下濃度のDアゴニストまたはEtOHは、一緒に加えると、PKAシグナル伝達の最大活性化を誘導した。さらに、本発明者らは、Gi/o βγダイマーの放出が、DアゴニストおよびEtOHによって誘導される相乗作用に必要であることを見出した。本発明者らのモデルを裏付けて、本発明者らは、NAcのシェル領域におけるβγダイマー作用の阻害が、EtOH自己投与を減少させることを見出した(Yaoら、2002)。A2Aレセプターは機能的にNAcの同じ線条体GABA作動性媒体の棘状ニューロン内のDレセプターと相互作用するので(Finkら、1992;Ferre,1997;Ferreら、1997;Fuxeら、1998;Svenningssonら、1999)、本発明者らは、A2AレセプターおよびDレセプターの間の相乗作用がこの脳領域に対して選択的EtOH過敏性を付与するという仮説を立てる。具体的には、本発明者らは、イン・ビボにおいて、EtOHそれ自体が、VTA DAニューロンの発信(ファイヤリング)を増加させ(Appelら、2003)、これによって、NAcにおけるDAレベルを増強すること(ImperatoおよびDi Chiara,1986;Weissら、1993)、および前記したメカニズムを介して細胞外アデノシンを増加させることの双方により、この相乗的相互作用に寄与すると提唱する。EtOHの補強効果は、各々、DレセプターおよびA2Aレセプターに作用するDAおよびアデノシン双方のこれらのEtOH誘導増加によって媒介され得る。
この明細書中の研究は、DまたはA2Aレセプターの遮断がEtOHの補強効果を低下させるか否かを調べる。本発明者らは、A2AアンタゴニストDMPXを用いて、アデノシンA2Aの遮断がラットにおいてEtOH自己投与を低下させるか否かを判断した。EtOH消費の間におけるアデノシンAレセプターの関与可能性を排除するために、A選択的アンタゴニストDPCPXもテストした。DレセプターはEtOH自己投与を調節することが既に示されている(Hodgeら、1997;Cohenら、1998;Czachowskiら、2001)。本発明者らの実験条件下でDレセプターの参画をさらに特徴付けるために、本発明者らは、本発明者らの知識の限りでは、ラットにおいてEtOHオペラント自己投与の実験でテストされたことがないDアンタゴニストエチクロプリドの効果をテストした。
(方法)
(動物および収容)
実験の開始時にほぼ体重が250gである雄Long Evansラット(Harlan,Indianapolis,IN)を、特記する場合を除いて食物および水を自由に手に入れることができるように個々に収容した。それらを午前7:00に明かりをつける12時間の明/暗サイクルで維持した。オペラントの訓練は午前8:30および午後2:00の間で行った。実験手法は、予め、本発明者らの動物管理使用委員会によって認可された。
(薬物)
自己投与についてのEtOH希釈物(10%v/v)は、95%エチルアルコールおよび水道水を用いて作製した。スクロース(Saccharose,Fisher Scientific,Fair Lawn,NJ,USA)溶液(10%w/v)は水道水で作製した。テストした全ての化合物はSigma Chemical Co.,(St.Louis,MO)から入手した。A2AアンタゴニストDMPX(3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン)を温かい生理食塩水に溶解した。AアンタゴニストDPCPX(8−シクロペンチル−1,3−ジプロピルキサンチン)はAlkamuls EL−620(Rhodia Inc.,Cranbury,NJ,USA)およびリン酸緩衝化生理食塩水の20:80v/v混合物に溶解させた。Dアンタゴニストのエチクロプリドは生理食塩水に溶解させた。薬物は、5mg/kg、7mg/kgおよび20mg/kgのDMPXでテストした群を除いて1ml/kg容量にて投与し、ここに、注射容量は、達成された最高DMPX可溶性濃度が10mg/mlであったので2ml/kgであった。薬物は各処理日に新たに調製した。
(オペラント自己投与装置)
EtOHオペラント自己投与は、音を減弱した小室に収容した標準オペラントチャンバー(Med Associates,Georgia,VT)で行った。各チャンバー(33×30.5×33cm)は右壁に対して2つの格納式レバーを、各々、フロアから7cm、および右壁の右または左エッジから1cmの所に備えた。フロアレベル上方2.5cm、およびチャンバーの中心に向けてレバーから6cmに位置した1つの凹んだ皿は補強体レセプタクルであった。流体(0.1ml)を2つの格納式応答レバーのうちの1つの作動に際してシリンジポンプから送り出した。3秒のトーンをレバー押し下げに対して作動した。非作動レバーを押し下げる結果、スクロースの一晩の期間の間を除いて、目に見える/聞こえる合図も、補強送達も生じなかった(後記参照)。訓練期間の最初は、フロア上方27.2cmの、レバーに面する壁の中央に位置したハウス光の開始によって合図した。コンピューターは刺激および流体送付を制御し、オペラント応答を記録した。
(EtOH自己投与手法)
EtOHオペラント自己投与の開始前に、ラットを、そのホームケージ中の唯一の液体源としての10%EtOH(10E)溶液に4日間暴露した。次の14日間、動物に、規格ガラスチューブからの水道水中の10Eまたは水道水の間で自由に選択させた。この14日間の最後に、些細な変更を施したスクロース減少技術(Samson,1986)に従ってオペラント自己投与を開始した。ラットを、1日当たり30分の水に2日間連続して制限した。水制限の2日目の夜に、ラットを、強化因子としての10%スクロース(10S)かつ双方のレバーを作動性にしたFR1スケジュール(レバー押し下げ当たり0.1mlの1補強)にて、、12〜15時間の一晩のセッションの間オペラントチャンバーに入れた。翌日、ラットはオペラント自己投与訓練を開始した。動物を次の4〜5日間水制限に維持し、その間に、動物は強化因子としての10Sおよび1つの作動性レバーでのFR1スケジュールにて、1日当たり1回の45分セッションを受けた。次いで、実験の残りの間、動物にそのホームケージ中の水を自由に与え、前記セッションのさらに2〜3回の間訓練した。翌日、セッションを30分に短縮し、応答の比率をFR3まで増加させた。EtOHを甘い溶液(10S10E)に加え、ラットはこの溶液の3〜4セッションを受け、続いて、10Eのみでの少なくとも20のセッションを受けた。いずれの薬物処理の開始に先立っての8セッションにおける0.3g/kgEtOH消費の最小平均を必要とした。最後の8セッションにおいてこの平均量のEtOHを消費しなかった動物は実験に含めなかった。
(実験の設計)
一旦ラットがEtOHに対する安定な応答を達成すると、ラットを、一週間当たり1のセッションの間のビヒクルの皮下(sc)または腹腔内(ip)の注射に2週間連続で慣らした。次に、対象内ラテン方格法を用いて薬物をテストし、それにより、各動物に化合物のうちの1つの各用量および適当なビヒクルを受けた。ラットは月曜日〜金曜日に毎日訓練したが、テストセッションは各週の水曜日または木曜日に行った。この実験で用いた3つの薬物は動物の4つの別々の群でテストした。DMPX(0、1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kg)またビヒクルを各セッション20分前に腹腔内投与した。1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kgの用量のDMPXを、動物の1つの群でテストし、他方、残りのDMPX用量(0mg/kg、5mg/kg、7mg/kgまたは20mg/kg)は異なる群で実験して、重要な10mg/kg用量の周りのDMPX濃度をよりよく調べた。DPCPX(0mg/kg、0.125mg/kg、0.25mg/kgまたは0.5mg/kg)またはビヒクルは各セッション15分前に腹腔内注射した。エチクロプリド(0mg/kg、0.005mg/kg、0.007mg/kgまたは0.01mg/kg)またはビヒクルは各セッションに25分先立って皮下投与した。
(統計学)
レバー押し下げ回数、EtOH補強の回数、EtOH消費のg/kgならびにセッション当たりの非作動性レバー押し下げ回数は、一方向ANOVAによって分析し、対象内での因子はDMPX、DPCPXまたはエチクロプリド用量であった。DMPX効果については、1、3および10mg/kgでテストした動物の群は、5、7および20mg/kgのDMPXを受ける動物とは別々に分析した。ポスト−hocLSDテストは適切な場合に行った。
(結果)
(EtOX自己投与に対するDMPXの効果)
2つの別々の用量−効果関数を、ラットの2つの別々の群においてDMPXについて測定したが、テストしたDMPXの全ての用量の効果についての結果をより明瞭な比較のために1つの図面中で示す(図1)。生理食塩水処理に続いての平均応答は異ならなかった:群1:89.20±15.26(0.39±0.06g/kg)、および群2:99.44+12.02(0.46+0.05g/kg)。1、3および10mg/kgのDMPXでテストした群において、レバー押し下げ回数[F(3,27)=9.68,p<0.0003]、EtOX強化の数[F(3,27)=8.69,p<0.0003]およびg/kg EtOH消費[F(3,27)=8.62,p<0.0004]の有意な効果が観察された。非作動性レバーの押し下げはこれらの用量のいずれによっても影響されなかった[F(3,27)=0.87,NS](表1)。5、7および20mg/kgのDMPXでテストした群は、レバー押し下げ回数[F(3,21)=4.37,p<0.02]、EtOX強化の数[F(3,21)=4.76,p<0.02]およびg/kg EtOH消費[F(3,21)=4.96,p<0.01]の有意な効果を示したが、非作動性レバー押し下げ回数の有意な効果は観察されなかった[F(3,21)=0.15,NS](表1)。A2Aアンタゴニストの用量効果機能は、ポスト−hocテストによって明らかにされたように双峰的であった。テストした最低用量(1mg/kg)は、レバー押し下げ回数(p<0.02)、EtOH強化の数(p<0.03)並びにg/kgのEtOH摂取(p<0.03)を有意に増加させた。中程度の用量である3、5およびmg/kgは測定のいずれにも有意に影響しなかった。10mg/kgの用量は分析した全ての測定、すなわち、レバー押し下げ回数(p<0.02)、EtOH強化の数(p<0.03)ならびにg/kg EtOH消費(p<0.02)を有意に減少させた。最高の用量(20mg/kg)は、ErOH強化の数(p<0.05)およびg/kg EtOH摂取(p<0.05)に対する有意な効果を示した。
Figure 2008503464
Figure 2008503464
(EtOH自己投与に対するDPCPXの効果)
本実験の結果は図2および表1に示す。測定されたパラメーター、すなわち、レバー押し下げ回数[F(3,18)=0.84,NS]、EtOH強化の数[F(3,18)=0.74,NS]、g/kg EtOH消費[F(3,18)=0.84,NS]または非作動性レバー押し下げ[F(3,18)=0.52,NS]のいずれに対しても、選択的AアンタゴニストであるDPCPX(0.125、0.25または0.5mg/kg)の効果はなかった。
(EtOH自己投与に対するエチクロプリドの効果)
本実験の結果は図3に示す。レバー押し下げ回数[F(3,13)=11.13,p<0.0004]、EtOH強化の数[F(3,15)=8.96,p<0.001]ならびにg/kg EtOH消費[F(3,15)=10.14,p<0.0007]の有意な減少が観察された。ポスト−hoc分析により、分析した全ての測定、すなわち、レバー押し下げ回数(各々、p<0.005およびp<0.0001)、補強の数(各々、p<0.02およびp<0.007)およびg/kg EtOH消費(各々、p<0.01およびp<0.004)に対する0.007mg/kgおよび0.01mg/kgエチクロプリドの有意な効果が明らかとなった。0.005mg/kgの用量は分析した測定のいずれにも有意には影響しなかった。非作動性なレバー押し下げは、いずれの用量によっても影響されなかった[F(3,15)=0.39,NS](表1)。
(考察)
本実験における主な発見は、アデノシンA2AレセプターがEtOHの強化特性を調節するということである。A2AアンタゴニストであるDMPXは、レバー押し下げ回数、補強の数、およびオペラント自己投与の間に消費されたg/kg EtOHに双峰的に影響した。対照的に、アデノシンAアンタゴニストの効果はなかった。予測されたように、DA Dアンタゴニストであるエチクロプリドは、他のDアンタゴニストで報告されているように(Hodgeら、1997;Cohenら、1998;Czachowskiら、2001)、全ての測定されたパラメーターを減少させた。
EtOHはEtOH感受性平衡ヌクレオシドトランスポーターであるENT−1(Nagyら、1990;Handaら、2001)を介するアデノシン再摂取を阻害し、細胞外アデノシンを増加に導く。アデノシンはAレセプターを活性化し、細胞培養においてcAMP/PKAシグナル伝達を増加させる(Gordonら、1986)。最近、本発明者らは、PKA活性化についてNPA、DアゴニストおよびEtOH/Aの間の相乗作用を報告した。相乗作用はGi/oから放出されたβγダイマーによって媒介される(Yaoら、2002)。本発明者らは、イン・ビボにおけるEtOHの行動効果におけるこの経路の役割についての支持を提供した:セットNACニューロンにおけるβγダイマーはEtOH自己投与を減少させる(Yaoら、2002)。現在の研究は、A2AまたはDレセプター遮断がイン・ビボにてEtOH自己投与を減少させることを示すことによって、このプロセスにおけるA2AおよびDの重要性に対してさらなる支持を提供する。
本発明者らは、DMPX(10および20mg/kg)の全身投与がEtOH自己投与を減少させたことを見出した。しかしながら、最低用量のDMPXは、パラドックス的に、レバー押し下げ回数を増加させ、その結果、EtOH消費を増加させる。DMPXの二相効果についていくつかの可能な説明がある。第一に、低および高用量のDMPXは区別されるレセプター集団において作用に関係し得る。例えば、低用量において、DMPXは高親和性Aレセプターを阻害できるに過ぎず、より高い用量においては、DMPXは高および低双方の親和性レセプターを阻害することができる。(SebastiaoおよびRibero,1992;Cunhaら、1999;El Yacoubiら、2000)。DMPXもまた、選択性は低いものの、Aレセプターに結合することができると考えられる(Jacobsonら、1993)。従って、より高い用量におけるDMPXの効果はやはりAレセプターに関連し得るであろう。この可能性のため、本発明者らは、オペラントEtOH自己投与に対する選択的Aアンタゴニストの効果をテストした。AアンタゴニストであるDPCPXの用量のいずれも、測定したパラメーターのいずれにも影響せず、従って、本発明者らはこの説明がありそうにないと考える。最後の可能性は、低用量のA2AアンタゴニストはA2Aレセプターを部分的にブロックするに過ぎず、これらの条件下でEtOHの減少した有効性を補償するためのEtOH消費の増加に導くことである。この現象は、より低い用量のオピエートアンタゴニストの存在下で動物自己投与モルヒネで観察されている(Koobら、1986)。対象は自己投与に直接的に関与するレセプターの部分的遮断を克服しようと努力するが、同一レセプターがより高い用量において完全にブロックされた場合、対象は次いで自己投与を低下させるように見える。この現象は、A2AレセプターがEtOH自己投与の直接的かつ重要なメディエーターであるように見えるというさらなる行動の薬理学的証拠を提供する。
アデノシンレセプターはげっ歯類において運動活性にも影響するので(Sealeら、1988;Nikodijevicら、1991;Barracoら、1993;Svenningssonら、1997b;GreenおよびSchenk,2002)、現在の研究におけるDMPXの効果は運動活性に対するその効果、およびEtOHの強化特性に対する効果による可能性がある。これは、もっともらしい説明には見えない。なぜならば、他のA2Aアデノシンアンタゴニストのように、DMPXが運動活性を増加させるからである。本発明者らは、運動活性の間接的な尺度である、非作動性レバー応答の数に対するDMPXの効果を見出さなかった。
EtOH禁断症状症候群およびEtOH誘導運動共調不能は、部分的には、Aレセプターを主として介して媒介されるアデノシン系に関係するように見える(Malecら、1996;JarvisおよびBecker,1998;BarvickおよびDar,1998;Gatchら、1999;Kaplanら、1999;Dar,2001)。本発明者らは、AがEtOH自己投与を変調しないことを見出した。2つの最近の報告は、EtOHに対するCNS応答におけるアデノシンA2Aレセプターを示している。El Yacoubiら(2001)は、A2Aの不存在または慢性的遮断が、EtOH禁断症状の間の取扱誘導痙攣を低下させることを示した。Naassilaら(2002)は、A2Aノックアウト雄マウスが多量の6%EtOHおよび20%EtOHを消費したが、10%EtOHを消費せず、他方、雌は、野生型動物と比較して、2ボトル選択実験において、多量の6%EtOHおよび10%EtOHを消費したが、20%EtOHを消費しなかったと報告した。対照的に、本発明者らは、アデノシンA2Aレポーター遮断がEtOH消費を減少することを見出した。この矛盾に対する理由はまだ分かっていないが、不安の発生(Ledentら、1997)およびDとAレセプターとの密接な物理的会合(Francoら、2000)によるD機能の可能な変化を含めた、Aノックアウトマウスにおける適合および補償によるものであろう。
優れたDアンタゴニストであるエチクロプリドは、EtOHに対するレバー押し下げ回数ならびに消費されたg/kg EtOHを用量依存的に減少させた。非作動性のレバー押し下げ回数に対する効果はなかった。これらの結果は、他のDアンタゴニストがEtOH消費を減少させたといういくつかの報告に合致する(Cohenら、1998;Czachowskiら、2001;Georgeら、1995;Hodgeら、1997;Samsonら、1993;Weissら、1990)。しかしながら、本発明者らの知識では、これはEtOHオペラント自己投与におけるエチクプリドの最初の研究である。一緒にすると、これらの知見は、EtOHの報償特性におけるDの重要性を確認する。また、本発明者らの知見は、EtOH自己投与がNAcにおける細胞外DAを上昇させるという報告とも合致する(Doyonら、2003;WeissおよびPorrino,2002;Weissら、1993,1996)。また、ラットは、EtOHをVTAに直接的に自己投与し(Gattoら、1994)、DA神経伝達の薬理学的操作はEtOH強化オペラント行動およびEtOH優先性を修飾する(Weissら、1990;Samsonら、1993;Georgeら、1995;Hodgeら、1997;Cohenら、1998;Czachowskiら、2001)。
要約すると、本発明者らは、A2AまたはDレセプターいずれかの遮断がEtOH自己投与を減少させることを見出した。これらの知見は、EtOHの強化効果における内因性アデノシンおよびDAの役割を支持するが、現在の研究におけるEtOHの自己投与量がアデノシンまたはDAの細胞外レベルの増加を引き起こすのに十分であったか否かは不明である。この制限にも拘わらず、本発明者らの結果は、自己投与EtOHが、肝臓でのEtOH代謝を介する細胞外アデノシンの増加を増強するアデノシントランスポーターをブロックする作業モデルを支持する。このアデノシンは、A2Aレセプターを介して、NAcにおけるcAMP/PKAシグナル伝達を活性化するように作用する。同様に、EtOH刺激DA放出もまたDレセプターを介するこのPKAシグナル伝達カスケードを活性化することができるようである。本発明者らは、AおよびDレセプター遮断が、これらのEtOH誘導効果を妨げることによって、EtOHの強化効果を低下させることを提案する。A2AおよびDレセプターの間の相乗作用がイン・ビボにてEtOH自己投与に対して寄与するか否かを決定するための研究が進行中である。本発明者らの知識では、これらのデータは、イン・ビボでのアデノシンA2Aレセプターの薬理学的操作がラットにおいてEtOH消費を調節できるという最初の証拠を提供する。A2Aレセプター機能をブロックする薬物は、アルコール依存症における過剰飲用の治療および予防において有用である可能性がある。
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本明細書中に記載された実施例および実施形態は説明のための目的のものであり、それに照らした種々の改変または変化は当業者に提案されるものであり、本出願の精神および目的、および添付の請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。本明細書中に引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的で、ここに引用してその全体を援用する。
図1Aおよび1Bは、EtOH自己投与に対するA2AアンタゴニストDMPXの双峰的効果を示す。結果は、テストした異なるDMPX用量下で応答するオペラントの30分のFR3期間の間におけるレバー押し下げ回数(図1A)およびg/kg EtOH消費(図1B)の平均±SEMを表す。A2Aアンタゴニストは該期間に20分先立って腹腔内投与された。生理食塩水処理と比較して有意に異なる(LSDポスト−HOC比較でのANOVAp<0.05、生理食塩水群についてはn=18、1、3および10mg/kgについてはn=10、5、7および20mg/kgについてはn=8)。 図1Aおよび1Bは、EtOH自己投与に対するA2AアンタゴニストDMPXの双峰的効果を示す。結果は、テストした異なるDMPX用量下で応答するオペラントの30分のFR3期間の間におけるレバー押し下げ回数(図1A)およびg/kg EtOH消費(図1B)の平均±SEMを表す。A2Aアンタゴニストは該期間に20分先立って腹腔内投与された。生理食塩水処理と比較して有意に異なる(LSDポスト−HOC比較でのANOVAp<0.05、生理食塩水群についてはn=18、1、3および10mg/kgについてはn=10、5、7および20mg/kgについてはn=8)。 図2Aおよび2Bは、A1アンタゴニストDPCPXがEtOH自己投与に影響しなかったことを示す。結果は、テストした異なるDPCPX用量下で応答するオペラントの30分のFR3期間の間におけるレバー押し下げの数(A)およびg/kg EtOH消費(B)の平均±SEMを表す。A1アンタゴニストは該期間に15分先立って腹腔内投与された(n=7/群)。 図2Aおよび2Bは、A1アンタゴニストDPCPXがEtOH自己投与に影響しなかったことを示す。結果は、テストした異なるDPCPX用量下で応答するオペラントの30分のFR3期間の間におけるレバー押し下げの数(A)およびg/kg EtOH消費(B)の平均±SEMを表す。A1アンタゴニストは該期間に15分先立って腹腔内投与された(n=7/群)。 図3Aおよび3Bは、D2アンタゴニストエチクロプリドが用量依存的にEtOH自己投与を低下させたことを示す。結果は、テストした異なるエチクロプリド用量下で応答するオペラントの30分のFR3期間の間におけるレバー押し下げ回数(図3A)およびg/kg EtOH消費(図3B)の平均±SEMを表す。D2アンタゴニストは該期間に25分先立って皮下投与された。**生理食塩水処理と比較して有意に異なる(LSDポスト−HOC比較でのANOVA、各々、p<0.05およびp<0.01;n=5/群)。 図3Aおよび3Bは、D2アンタゴニストエチクロプリドが用量依存的にEtOH自己投与を低下させたことを示す。結果は、テストした異なるエチクロプリド用量下で応答するオペラントの30分のFR3期間の間におけるレバー押し下げ回数(図3A)およびg/kg EtOH消費(図3B)の平均±SEMを表す。D2アンタゴニストは該期間に25分先立って皮下投与された。**生理食塩水処理と比較して有意に異なる(LSDポスト−HOC比較でのANOVA、各々、p<0.05およびp<0.01;n=5/群)。

Claims (50)

  1. 習慣性行動の1以上の構成要素を軽減するのに十分な量のアデノシンA2Aレセプターアゴニストを習慣性行動の1以上の構成要素を呈する哺乳動物に投与することを含み、ここに、該A2Aレセプターアンタゴニストはカフェインではないことを特徴とする、哺乳動物による、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関係する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減する、方法。
  2. 該アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストが(−)−R,S)−メフロキン、3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン(DMPX)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(MX2)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−8−(3−メトキシスチリル)−7−メチル−1−プロパルギルキサンチンホスフェート二ナトリウム塩(MSX−3)、7−メチル−8−スチリルキサンチン誘導体、SCH58261、KW−6002、アミノフリルトリアゾロ−トリアジニルアミノエチルフェノール(ZM241385)、および8−クロロスチリルカフェイン、KF17837、VR2006、イストラデフィリン、VER−11135、VER6409、VER6440、VER6489、VER6623、VER6947、VER7130、VER7146、VER7448、VER7835、VER8177、ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、および5−アミノ−イミダゾロ−[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アンタゴニストがアデノシンA1Aレセプターに実質的に拮抗しない、請求項1に記載の方法。
  4. 前記乱用物質がエタノール、オピエート、カンナビノイド、ニコチン、および刺激体よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記乱用物質がモルヒネ、ヘロイン、マリファナ、ハシーシ、コカイン、およびアンフェタミンよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記乱用物質がエタノールである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記習慣性行動の構成要素が前記乱用物質の慢性自己投与である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記習慣性行動の構成要素が前記乱用物質に対する欲望である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記習慣性行動の構成要素が前記乱用物質に対する欲望行動の復帰である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記哺乳動物が乱用物質の慢性的消費を行う動物である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記哺乳動物が乱用物質の慢性的消費を終止した哺乳動物である請求項1記載の方法。
  12. 前記哺乳動物が禁断症状の1以上の兆候を経験している哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
  14. 前記哺乳動物がパーキンソン病に罹っていないヒトである、請求項1に記載の方法。
  15. 前記アンタゴニストが全身投与される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記アンタゴニストが経口投与、鼻投与、直腸投与、腹腔内注射、血管内注射、皮下注射、経皮投与、吸入投与、および筋肉内注射よりなる群から選択される経路によって投与される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記アンタゴニストが単位投与処方として処方される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記アンタゴニストが時間放出処方として処方される、請求項1に記載の方法。
  19. 前記方法が、さらに、前記アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストと組み合わせてドーパミンD2レセプターアンタゴニストを投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記ドーパミンD2レセプターアンタゴニストが、アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストよりも前に投与される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ドーパミンD2レセプターアンタゴニストが、前記アデノシンA2Aレセプターアンタゴニスト後に投与される、請求項19に記載の方法。
  22. 前記ドーパミンD2レセプターアンタゴニストが、前記アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストと同時に投与される、請求項19に記載の方法。
  23. 前記アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストおよび前記ドーパミンD2レセプターアンタゴニストが単一化合物処方として処方される、請求項19に記載の方法。
  24. 前記ドーパミンD2レセプターアンタゴニストが、ブタクラモール、クロルプロマジン、ドムペリドン、フルフェナジン、ハロペニドール、ヘテロアリールピペリジン、メトクロプラミド、オランザピン、ペロスピロン塩酸塩水和物、フェノチアジン、ピモジド、ケチアピン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、ジプラシドン、およびゾテピンよりなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
  25. アデノシンA2Aレセプターアンタゴニスト;およびドーパミンD2レセプターアンタゴニストを含む、哺乳動物による、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減するための組成物。
  26. 前記ドーパミンD2レセプターアンタゴニストが、ブタクラモール、クロルプロマジン、ドムペリドン、フルフェナジン、ハロペニドール、ヘテロアリールピペリジン、メトクロプラミド、オランザピン、ペロスピロン塩酸塩水和物、フェノチアジン、ピモジド、ケチアピン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、ジプラシドン、およびゾテピンよりなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストが(−1)−R,S)−メフロキン、3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン(DMPX)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(MX2)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−8−(3−メトキシスチリル)−7−メチル−1−プロパルギルキサンチンホスフェート二ナトリウム塩(MSX−3)、7−メチル−8−スチリルキサンチン誘導体、SCH58261、KW−6002、アミノフリルトリアゾロ−トリアジニルアミノエチルフェノール(ZM241385)、および8−クロロスチリルカフェイン、KF17837、VR2006、イストラデフィリン、VER−11135、VER6409、VER6440、VER6489、VER6623、VER6947、VER7130、VER7146、VER7448、VER7835、VER8177、ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、および5−アミノ−イミダゾロ−[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンよりなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
  28. 1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを含有する容器、ここに、該1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストの少なくとも1つはカフェインではなく;および
    哺乳動物における物質乱用の治療において該アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを用いることを教示する指示材料;
    を含む、
    哺乳動物による、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を軽減するためのキット。
  29. 前記1以上のアデノシンA2Aレセプターアンタゴニストが(−)−R,S)−メフロキン、3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン(DMPX)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(MX2)、3−(3−ヒドロキシプロピル)−8−(3−メトキシスチリル)−7−メチル−1−プロパルギルキサンチンホスフェート二ナトリウム塩(MSX−3)、7−メチル−8−スチリルキサンチン誘導体、SCH58261、KW−6002、アミノフリルトリアゾロ−トリアジニルアミノエチルフェノール(ZM241385)、および8−クロロスチリルカフェイン、KF17837、VR2006、イストラデフィリン、VER−11135、VER6409、VER6440、VER6489、VER6623、VER6947、VER7130、VER7146、VER7448、VER7835、VER8177、ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、および5−アミノ−イミダゾロ−[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンよりなる群から選択されるアンタゴニストを含む、請求項28に記載のキット。
  30. 前記アンタゴニストがアデノシンA1Aレセプターに実質的に拮抗しない、請求項28に記載のキット。
  31. 前記乱用物質がエタノール、オピエート、カンナビノイド、ニコチン、および刺激体よりなる群から選択される、請求項28に記載のキット。
  32. 前記乱用物質がモルヒネ、ヘロイン、マリファナ、ハシーシ、コカイン、およびアンフェタミンよりなる群から選択される、請求項28に記載のキット。
  33. 前記乱用物質がエタノールである、請求項28に記載のキット。
  34. 前記習慣性行動の構成要素が前記乱用物質の慢性的自己投与である、請求項28に記載のキット。
  35. 前記習慣性行動の構成要素が前記乱用物質に対する欲望である、請求項28に記載のキット。
  36. 前記習慣性行動の構成要素が前記乱用物質に対する欲求行動の復帰である、請求項28に記載のキット。
  37. 前記アンタゴニストが、経口投与、鼻投与、直腸投与、腹腔内注射、血管内注射、皮下注射、経皮投与、吸入投与、および筋肉内注射よりなる群から選択される経路による投与のために処方される、請求項28に記載のキット。
  38. 前記アンタゴニストが単位投与処方として処方される、請求項28に記載のキット。
  39. 前記アンタゴニストが時間放出処方として処方される、請求項28に記載のキット。
  40. 1以上のテスト因子を提供し;次いで、アデノシンA2Aレセプターの発現または活性を阻害する能力について前記テスト因子をスクリーニングすることを含み、ここに、アデノシンA2Aレセプターの発現または活性の阻害が、前記1以上のテスト因子が乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害するための候補剤であることを示すことを特徴とする、乱用物質の慢性的消費に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害する因子をスクリーニングする方法。
  41. 前記スクリーニングが、A2Aレセプターに結合する能力について前記テスト因子をスクリーニングすることを含む、請求項5に記載の方法。
  42. 前記スクリーニングが、さらに、前記乱用物質のオペラント自己投与を阻害する能力について前記テスト因子をスクリーニングすることを含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記スクリーニングが、さらに、前記乱用物質に対する欲求行動の復帰を阻害する能力について前記テスト因子をスクリーニングすることを含む、請求項41に記載の方法。
  44. 前記乱用物質がエタノール、オピエート、カンナビノイド、ニコチン、および刺激体よりなる群から選択される、請求項40〜43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記乱用物質がモルヒネ、ヘロイン、マリファナ、ハシーシ、コカイン、およびアンフェタミンよりなる群から選択される、請求項40〜43のいずれか1項に記載の方法。
  46. 1以上の推定アデノシンA2Aレセプターアンタゴニストを提供し;次いで、乱用物質の慢性的消費、またはそれからの禁断症状に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害する能力について前記テスト因子をスクリーニングすることを含む、乱用物質の慢性的消費に関連する習慣性行動の1以上の構成要素を阻害する因子についてスクリーニングする方法。
  47. 前記スクリーニングが、前記乱用物質のオペラント自己投与を阻害する能力について前記テスト因子をスクリーニングすることを含む、請求項46に記載の方法。
  48. 前記スクリーニングは、さらに、前記乱用物質に対する欲求行動の復帰を阻害する能力について前記テスト因子をスクリーニングすることを含む、請求項46に記載の方法。
  49. 前記乱用物質が刺激体、オピエート、カンナビノイド、ニコチン、およびエタノールよりなる群から選択される、請求項46〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記乱用物質がモルヒネ、ヘロイン、マリファナ、ハシーシ、コカインおよびアンフェタミンよりなる群から選択される、請求項46〜48のいずれか1項に記載の方法。
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