JP2008502607A - 痴呆の予防および治療におけるL−n−ブチルフタリドの適用 - Google Patents

痴呆の予防および治療におけるL−n−ブチルフタリドの適用 Download PDF

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Abstract

本発明は、痴呆、特にアルツハイマー病および血管性痴呆を予防および治療するための医薬の調製における、式(I):
【化1】

に示されるL−n−ブチルフタリドの適用について開示する。

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、痴呆の治療のためのL−n−ブチルフタリドの使用およびL−n−ブチルフタリドを含む組成物に関する。
[背景技術]
アルツハイマー病(AD)として知られている老人性の痴呆は、臨床的および病理的な特徴を伴う、進行性の神経障害および神経変性障害である。痴呆の主な症状は、例えば、記憶(特に即時的な記憶)の喪失、認識の低下、思考の遅延、触覚認知における機能障害などである。また、痴呆の病理的な症状は、他のタンパク質と凝集したアミロイドβ(Aβ)の細胞外における蓄積、神経細胞および非神経細胞における老人斑の形成、ならびに細胞内における神経原線維濃縮体(NFT)である。中国におけるADの罹病率は、0.2〜5.98%の範囲であり、加齢とともにその罹病率が上昇する。ADは主に60歳以上の人において発症する。中国において、現在、360万人以上の人々がADにかかっていると推定される。北京における痴呆に関する調査の結果、血管性痴呆(VD)の罹病率が、ADの罹病率よりも高いことが明らかにされている(Mingyuan Zhang et al.,the mobidilty of dementia and Alzheimer’s disease.Chinese Journal of Psychiatry1998;31(4):195−196を参照のこと)。中国は高齢化社会化が進みつつあるので、いずれ痴呆患者の数が増大する。さらに、脳血管疾患の患者は高齢者に多い。卒中を起こした後の痴呆の発生率は、およそ9〜30.8%と推定されている。脳への血液供給の慢性的な欠乏が、VDを引き起こすもう1つの重要な原因である。要約すれば、痴呆は患者にとって有害であり、かつ家族および社会に非常に大きな負荷を負わせる。よって、ADおよびVDの進行を遅延および制御するための効果的な医薬を研究することは、非常に重要である。
アルツハイマー病(AD)は、老人において、進行性の認識の低下を引き起こす最も代表的な原因である。ADの病理学的変化は、主に、蓄積したAβの中核を有する老人班および細胞内のNFTとして現れる。研究者らは、脳におけるコリン作動系がヒトの学習および記憶に関与することを示している。AD患者において大脳のアセチルコリンの濃度が低下し、かつAChの合成を触媒するコリンアセチル基転移酵素(ChAT)の活性が低下している。AChの低下の度合いは、認識の喪失とよく相関している。さらに、酸化ストレスおよび発熱反応がADの病理に関与しているという認識が強まっている。Aβは、39〜43アミノ酸から構成される、アミロイド−β前駆体の分解産物である(APP)。Aβ蓄積の程度は、神経の障害および認識の欠損と深く関わっている。これまでの研究において、脳室内へAβ(1−40)およびAβ(1−42)を継続的に灌流することによって、ラットの学習および記憶に障害を誘導するであろうことが示されている(Nitt.et al.,β−Amyloidprotein−induced Alzheimer’s disease animal model.Neurosci.Lett1994;170:63−66を参照のこと)。そして、これは、Aβの凝集による記憶障害がAD患者の症候を模倣することができるということを示唆している。L−n−ブチルフタリド(L−NBP)は、脳の保護機能、例えば、ミトコンドリアの機能の向上、大脳の微小循環およびエネルギー代謝の向上、神経細胞のアポトーシスの抑制、酸化障害からの保護、炎症性反応の抑制、細胞内カルシウムの減少、ならびにグルタミン酸塩の放出の抑制を行う機能を有していることが示されている。従って、脳室内への継続的なAβ(1−40)の灌流は、ADのモデルとして用いられ得る。動物における短期記憶、立体認知、および酸化障害に対する化合物の効果を検出するために、モリスの水迷路および生化学的解析が用いられる。
血管性痴呆(VD)は、通常、大脳大動脈の多発性梗塞、小窩性脳梗塞および脳における低灌流などの合併症を伴う、脳血管疾患によって誘導される脳の機能障害に由来する。大脳の血流量の低下は痴呆の重症度と関連がある(Roman et al.,Vascular dementia:diagnostic criteiria for reaserch sutudies.を参照のこと)。脳に対する血液供給の慢性的な欠乏状態が進行すると、酸素、グルコースおよび他の必須な代謝物を入手可能な量が減少する。結果として、神経細胞における酸化障害、ミトコンドリアの機能の低下、生合成の低下、シナプス伝達の妨害、および神経病理的変化、すなわち神経変性的な変化の最終的な発現が生じる(Beal et al.Do defects in mitochondrial metabolism underlie the pathology of neurodetenerative disease.Trends Neurosci.1993;16:125−131を参照のこと)。VD患者は、主に、認識の機能障害に加えて、進行性の短期記憶および立体認知の喪失を示す。VDの発生および進行は、コリン作動性の神経系のシグナル伝達と密接に関与しており、また、神経細胞の酸化傷害とも関与している。大脳の下にある白質は、VD患者において病的に低密度化している。AChが、学習および記憶における重要な神経伝達物質であると考えられるということは、広範な研究において示されている。神経伝達物質であるAChの発現水準の低下に伴って、AD患者におけるコリン作動性の経路は機能的に損なわれている。コリン作動性の経路が機能的に損なわれていることは、記憶が損なわれていること、および認識欠損の重要な原因の1つである(Toghi et al.,Cerebrospinal fluid acetylcholine and choline in vascular demetia of Binswagner and multiple small infarct types as compared with Alzheimer−type dementia. J.Neural Transm.1996;103:1211−1220を参照のこと)。上記試験化合物はChATの活性を向上させることができる。このことから、上記試験化合物はコリン作動性のコリンの濃度を増加させ得ること、ChATの活性の向上が記憶機能の向上に寄与することが示唆される。
この10年の間で、モリスの水迷路は、ラットの短期記憶および定位記憶について調べるための多くの研究に用いられている。そして、短期記憶および定位記憶は、動物の中枢神経系の損傷および機能的変化を敏感に反映することができ(Richard Morris. Developements of water−maze procedure for studying spatial learning in the rat. J.Neurosci.Methods 1984;11:47−60を参照のこと)、試験医薬の効果がこのモデルにおいて観察され得る。痴呆患者の主な症候が、認識の欠失、特に進行性の短期記憶および立体認知の障害であるため、モリスの水迷路は、初老の痴呆(AD)およびVDに対する試験医薬の治療効果を調べるための理想的なモデルである。両側性の総頚動脈を結さくしたモデルラットにおける継続的な低灌流は、臨床的な血液供給の欠乏によってVDを促すために用いられてもよく、このようなラットを痴呆に対する試験医薬の治療効果を示すために用いてもよい(Ni. J. W. et al.Neuronal Damage and decrease of central acetylcholine level following perment occlusion bilateral common carotid arteries in rats. Brain Res.1995;673:290−296を参照のこと)。
シュレン ユは、1988年に、合成したラセミ体の3−n−ブチルフタリドような3−n−ブチルフタリド(Ag−1)が、コリアミルチンによって誘導される、ラットにおける障害を受けた学習および記憶の機能を向上させ、かつ海馬細胞を保護するために用い得るということを報告した(Shuren Yu, et al. Effect of butylphthalide to improve learning and memory. Chinese Journal of Pharmacology.1988;9(5):385−388を参照のこと)。後程、セロリからの抽出物が、中年および老年のマウスにおける学習および記憶の機能を向上することが報告されている(Jing Li, et al. Study on quality standards of ANQINGYIZHI capsule. Journal of Shandong Medical University 2001;39(6):562−564を参照のこと)。しかし、光学異性体であるL−n−ブチルフタリド(L−NBP)が老年性の痴呆の治療に用いられ得るということは報告されていない。
[発明の概要]
従来技術における不利な点を解決するために、本発明は、抗痴呆薬として式(I):
に示されるL−n−ブチルフタリド(L−NBP)の利用法を提供する。
本発明に利用されるL−n−ブチルフタリドは、まず化学的にn−ブチルフタリドのラセミ体を化学的に合成し、n−ブチルフタリドの左旋光性を有する光学的な異性体を生成するために該ラセミ体を化学的に2つの構成成分に分割することによって得られてもよい。核磁気共鳴、質量分析および赤外線分光分析といった分光分析、特に、鏡像異性気相クロマトグラフカラム(Chiraldex G−TA)を備えたHP5890のような気相クロマトグラフィー行うことによって得られた生成物が、光学純度および化学的純度の点から、別個の光学的な立体異性体であること、および左旋光性のn−ブチルフタリドであることが確認された(特異的な光学活性>−66.49°、光学純度>98%、および化学純度>98%)。ラセミ体を分解するための方法は、発明の名称“光学的な活性を有する3−n−ブチルフタリドの調製方法”、出願番号99109673.8および公開番号CN1283621である中国特許出願に従って、実施し得る。このようにして得られた生成物は、食用のセロリおよびその種に含まれているn−ブチルフタリドの化学式と一致する化学式を有している。
本発明において、動物の短期記憶および立体認知を、国際的に承認されているモリスの水迷路を用いて調べた。
本発明において、継続的な低灌流モデルを、両側性の総頚動脈の持続的な結さく(2−VO)によって確立した。その後、モデル動物の短期記憶および立体認知に対するL−NBPの効果を、モリスの水迷路法を用いて測定した。さらに、ある局面における酸化障害およびコリン作動性の神経系に対するL−NBPの効果を生化学的解析によって測定した。脳の低灌流状態は、グリア細胞の活性化および白質の低密度化に伴って生じる行動性の変化を誘導することが認められた。本発明において、医薬の効果を調べるために、標識薬としてグリア原繊維産生タンパク質(GFAP)およびK−B染色(神経のミエリン鞘の病理学的変化を示す)を用いた病理学的および免疫組織学的方法を採用した。
本発明のL−n−ブチルフタリドが、脳への血液の供給が欠乏した状態であるラットにおいて、短期記憶および立体認識の機能を有為に向上させることができるということを、実験において示した。低灌流状態のラットにおける空間的な記憶を評価するために、多くの場合、水迷路法において学習および維持の試験を実施した。水迷路実験の結果、1日目において、全ての群の間で潜伏時間に有為な差が認められず、1日目におけるこの実験の手順に全てのラットが馴染んでいないことが示唆された。訓練開始から5日後、偽手術群に属するラットの探索方法は、周囲を回るおよび無作為なものから、目的のあるおよび直線的なものに変化した。さらに、潜伏時間が有為に減少した(12.6±3.34秒)。これらの結果は、偽手術群の動物が、訓練の後で、ある程度の記憶および空間的な位置の把握を獲得したことを示唆している。これと比較して、溶媒対照群に属するラットの探索方法は、周囲を回るおよび無作為なものであり、有為な変化が認められなかった。さらに、潜伏時間の有為な減少も認められなかった(47.6±5.88秒)。偽手術群と溶媒対照群との潜伏時間の間には、有為な差が認められた(p<0.01)。L−NBP10mg/kg投与群に属するラットの探索方法は、周囲を回るおよび無作為なものから、目的のあるおよび直線的なものに変化した。さらに、L−NBP10mg/kg投与群において潜伏時間が明らかに減少した(26.85±5.98秒)。L−NBP10mg/kg投与群と溶媒対照群との間には、有為な差が認められた(p<0.001、分散の2因子解析)が、L−NBP10mg/kg投与群と偽手術群との間には、有為な差が認められなかった。以上の結果から、L−NBP10mg/kg投与群において、記憶および空間的な位置の把握の機能を向上させることができることが示唆された。DL−NBP10mg/kg、DL−NBP30mg/kgおよびD−NBP30mg/kgのような薬剤は、記憶および空間的な位置の把握を有為に向上させる効果を有していなかった。
5日目に学習および訓練の期間を終了し、台の探査試験を実施した。試験に供されるラットが安全な島の相対的な位置を記憶に留めているか否かを判定するために、安全な島を取り除いた。溶媒対照群を除いた他の群に属するラットの全ては、標的の四分円弧における居残り時間が、試験時間全体の25%以上の時間であった。この結果から、上記ラットは、安全な島の相対的な位置を記憶に留めていたことが示唆された。偽手術群の標的の四分円弧における居残り時間は、17.73±1.19秒であった。一方、溶媒対照群の標的の四分円弧における居残り時間は、偽手術群の標的の四分円弧における居残り時間と比較して有為に減少していた(14.40±0.73秒)。分散の1因子統計解析によって判定した結果、2つの群の間で有為な差が認められた(p<0.05)。台が置かれていた四分円弧におけるL−NBP10mg/kg投与群の居残り時間は、溶媒対照群の該居残り時間と比較して明らかに延長していた(17.62±1.27秒)。2つの群の間で有為な差が認められた(p<0.05)。2つのDL−NBP投与群(10mg/kgおよび30mg/kg)は、居残り時間の延長という上記効果が見られなかった。全ての群における泳ぐ速度の間に差が認められなかったことから、動物の移動度に起因するばらつきではないと判断された。以上の結果より、L−n−ブチルフタリドだけが、脳への血液供給が欠乏した状態のラットにおいて、短期記憶および空間的な位置の把握を有為に向上させることができるが、ラセミ体の(DL−)ブチルフタリドおよびD−n−ブチルフタリドは、短期記憶および空間的な位置の把握を有為に向上させることができないことが示された。
SODは、重要な抗酸化酵素の1つである。正常の対照群に属するラットにおけるSOD活性は、皮質組織において100.07±3.64(NU/mg タンパク質)であり、海馬組織において57.90±7.41(U/mg タンパク質)であった。両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後、海馬におけるSOD活性は、対照群と比較して有為に上昇しており(p<0.05)、このSOD活性の上昇は代償的反応であり得る。L−NBP(10mg/kg)で処理した後、SOD活性は明らかに正常な水準にまで戻っていた(p<0.05)。MADは、生体内における脂質過酸化反応の程度を示し、かつ細胞傷害の程度を間接的に示し得る、脂質過酸化反応の指標である。この実験において、両側性の総頚動脈の持続的な結さくを行った上記モデル群の皮質におけるMDAの含有量が19.9%増加し、正常の対照群と比較して有為な差が認められた(p<0.001)。L−NBP(10mg/kg)で処理した後、皮質におけるMDAの含有量が、有為に(20.7%)減少した(P<0.001)。総頚動脈の持続的な結さくを行った後、皮質におけるChAT活性は、正常の対照群と比較して、有為に(34.4%)減少した(p<0.05)。ChAT活性の上記減少は、低灌流がコリン作動性の神経機能に対する障害を誘導することができることを示している。これに対し、L−NBP(10mg/kg)を継続的に16日間投与した後、皮質組織におけるChAT活性を上記モデル群と比較して37.1%上昇させることができた。L−NBP投与群のChAT活性は、上記モデル群と比較して、有為な差が認められた(p<0.05)。上記結果から、10mg/kgのL−NBPは、2−VO動物の短期記憶および空間的な位置の把握についての障害を、有為に改善することができた。一方、ラセミ体のブチルフタリドおよびD−ブチルフタリドのいずれもが、記憶の障害を改善することに対して効果的ではなかった。本発明において、低灌流によって誘導された神経細胞の退行性の変化に対する薬剤の治療効果を調べるために、2−VOの後10日目に薬剤の投与を開始した(薬剤の投与は、35日目まで継続した)。これよって、急激な低灌流虚血相の影響を排除した。
病理学的および免疫組織学的な研究を通して、本発明は、L−NBPが血管性痴呆に対する明らかな治療効果を有していることが証明された。ラットに対する両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後、モデル群の皮質および海馬のCA1領域において神経細胞の数が有為に減少した。このとき、細胞に皺が寄り、神経細胞が強く染色された。これに対し、L−NBP(10mg/kg)を処理することによって、低灌流によって誘導された神経細胞の傷害を有為に改善することができた。両側性の総頚動脈結さくが、白質の低密度化を伴って、脳におけるグリア細胞の活性化を誘導することができるということが報告されている。通常、白質の低密度化は、そのまばらさの深刻さに従って、4つの等級:0等級、正常;1等級、不整列;等級2、明らかな空胞の形成;等級3、ミエリン鞘を伴う線維の消失、に分類される。われわれの実験において、正常の対照群と比較して、モデル群における視索は、明らかに低密度な白質を示し、かつ多くの空胞が出現した。L−NBP(10mg/kg)の継続的な投与は、あきらかに状態を改善することができ、結果として、視索における空胞を有為に減少させた。正常の対照群において、海馬、尾状核および脳梁のような領域でGFAP陽性の星状細胞がまれに検出されたが、両側性の総頚動脈の結さくの4日後、GFAP陽性の星状細胞および小グリア細胞が数多く現出した。L−NBP(10mg/kg)で処理した後、GFAP陽性の星状細胞の数が、非常に減少した(図3および4を参照のこと)。要するに、L−NBPがChAT活性を向上させることができるため、L−NBPがコリン作動性の神経細胞におけるAChの水準を向上させることができる。以上のことから、L−NBPが記憶の向上に寄与することができるということが示唆される。さらに、L−NBPが有為に酸化障害を抑制することができることから、L−NBPは神経細胞に対する障害を抑制し得ることが示唆される。2−VOによって誘導される大脳の低灌流状態は、低密度の白質、ならびに空胞およびグリア細胞の増加に特徴付けられる(Narri. et al. Chronic cerebral hypoperfusion−induced neuropathological changes in rats.Jpn. J. Psychopharmacol. 1998;18:181−188を参照のこと)。一方、L−NBPは、これらの病理学的変化の全てを改善することができる。病理学的変化の改善の機序については、L−NBPがラットにおける2−VOによって誘導される記憶障害を改善することができるということを、上記において証明している。上記結果に基づいて、L−NBPは、明らかに血管性痴呆の治療処置に効果的である。
本発明に係る実験結果によって、アミロイド−β(1−40)によって誘導される記憶および空間的な位置の把握の障害が、本発明のL−n−ブチルフタリドによって有為に改善され得ることが示された。ラットの脳室内にAβを継続的に灌注した後、水迷路実験を実施した。訓練の初日において、全ての群において計測した潜伏時間の間に有為な差は認められなかった。訓練開始から5日後、偽手術群に属するラットの探索方法は、周囲を回るおよび無作為なものから、目的のあるおよび直線的なものに変化した。さらに、潜伏時間が有為に減少した(13.02±2.77秒)。これに対し、モデル群に属するラットの探索方法は、明確な変化が認められず、依然として周囲を回るおよび無作為なものであった。さらに、潜伏時間の有為な減少も認められなかった(30.18±4.81秒)。L−NBP処理後、水迷路実験におけるラットの潜伏時間が有為に減少した。L−NBP10mg/kg処理群およびL−NBP30mg/kg処理群いずれの群においても、探索方法が周囲を回るおよび無作為なものから、目的のあるおよび直線的なものに変化した。さらに、潜伏時間は、それぞれ27.28±6.42秒(10mg/kg)および25.88±5.51秒(30mg/kg)であり、モデル群の潜伏時間と比較して有為な差が認められた(p<0.05、分散の2因子解析)。しかし、L−NBP処理群および偽手術群の潜伏時間の間に、有為な差は認められなかった。この結果から、L−NBPで処理したラットが正常な水準に近づいていることが示唆された(図4参照のこと)。運動記憶試験について、1回目の実験における潜伏時間および2〜5回目における潜伏時間を図6Aおよび図6Bに示した。最初の実験において、全ての群における潜伏時間の間に有為な差は認められなかったが、続く4回の実験において、偽手術群の潜伏時間は9.15±0.91秒であり、モデル群の潜伏時間は14.05±1.88秒であった。モデル群の潜伏時間が有為に延長し、かつ偽手術群と比較して、有為な差が認められた(p<0.01)。L−BNP投与群は、濃度依存的にその運動記憶能力を有為に向上させることができる(p<0.01)。
さらに、L−NBPはGSH−Pxの活性を上昇させ、かつMDAの水準を減少させることができた。GSH−Pxは、重要な抗酸化酵素である。われわれの実験において、偽手術群のGSH−Pxの活性は、皮質組織で15.86±0.91(U/mg タンパク質)であり、海馬組織で16.19±1.19(U/mg タンパク質)であった。ラットにAβ(1−40)を継続的に灌流した後、GSH−Pxの活性は、偽手術群と比較して、皮質組織および海馬組織で、それぞれ29.5%および42.4%減少しており、かつそれぞれにおいて有為な差が認められた(p<0.01およびp<0.001)。L−NBP処理後、L−NBP30mg/kg投与群におけるGSH−Pxの活性は、有為に上昇していたが(p<0.01)、L−NBP10mg/kg投与群におけるGSH−Pxの活性は、上昇はしていたものの、統計的に有為な差は認められなかった。MDAは、生体内における脂質過酸化反応の度合いを示し、かつ細胞傷害の程度を間接的に示す、脂質過酸化反応の指標である。本発明に係る実験において、ラットにAβ(1−40)の継続的な灌流を行った後、皮質および海馬におけるMDA含有量は、それぞれ25.7%および23.6%増加し、偽手術群のMDA含有量と比較して有為な差が認められた(p<0.05およびp<0.01)。L−NBP処理後、Aβ(1−40)モデル群と比較して、皮質および海馬におけるMDA含有量は有為に減少し、L−NBP10mg/kg投与群において28.4%(皮質)および24.3%(海馬)減少していた。また、L−NBP30mg/kg投与群におけるMDAの含有量は、L−NBP10mg/kg投与群よりも僅かに減少量が小さかったが、その減少量は、Aβ(1−40)モデル群と比較して有為な差が認められた(p<0.05)。
ラットにAβ(1−40)を継続的に灌流することによって誘導される記憶の障害が、ADに対する医薬の治療効果を調べるための十分に確立されたモデルであることを、本実験から結論付けることができる。上記結果から、L−NBPが、2−VOによって誘導された血液の供給の欠乏に起因する血管性痴呆モデルに対して明らかな効果を有していることが分かるであろう。さらに、L−NBPが、ラットの側脳室内へAβ(1−40)を継続的に灌流することによって誘導された短期記憶および定位記憶の障害を有為に改善することができることが分かるであろう。すなわち、L−NBPが、種々の原因によって誘導された短期記憶および定位記憶の障害を有為に改善することができるということが示唆された。さらに、L−NBPは、酸化障害を予防する(GSH−Px活性を向上させ、かつMDA含有量を低下させる)ことができる。明らかな脳の保護効果を、同時に奏するこの活性によって、L−NBPは老人性の痴呆を治療するための処置に有用であり得る。
要するに、本発明において、ラットの短期記憶および定位記憶をモリスの水迷路を用いて評価し、かつ臨床的な血液供給の欠乏によって誘導された血管性痴呆を継続的に低灌流状態にさせた2−VOモデルラット用いて模擬実験を行ったので、本方法によって痴呆に対する医薬の治療効果を示すことができる。本発明に係る実験によって、10mg/kgのL−NBPが、2−VO動物における障害を受けた短期記憶および定位記憶を改善することができ、一方、ラセミ体のブチルフタリドまたはD−ブチルフタリドが、障害を受けた記憶の改善に何の効果もないということが証明された。AChは、学習および記憶に関わる重要な神経伝達物質と考えられている。AD患者におけるコリン作動性の経路は、神経伝達物質AChの水準が低下していることが示しているように、抑制されている。コリン作動性の経路の抑制は、記憶および認識の障害を引き起こす重要な原因の1つである。L−NBPは、ChAT活性を向上させることができる。すなわち、L−NBPは、記憶機能を向上ためのコリン作動性神経のACh水準を向上させることができるということである。L−NBPは、酸化障害を有為に抑制することができる。つまり、L−NBPは神経細胞に対する障害を低減することができるということである。2−VOによって誘導された大脳の低灌流状態は、白質の低密度化、空胞の増加およびグリア細胞の増加という病理学的特徴を有している。これら3つの病理学的特徴の全ては、L−NBPによって改善され得る。それゆえ、本発明に係る式(I)のL−n−ブチルフタリドは、血管性痴呆の予防および治療を行うことができる。
側脳室内にAβ(1−40)を継続的に灌流することによって、ラットに学習および記憶の障害を誘導した。学習および記憶の障害が誘導されたラットは老人性痴呆にかかっている患者の症候を模倣する。ラットにおける短期記憶および定位記憶は、モリスの水迷路を用いて測定した。L−NBPは、障害を受けた短期記憶および定位記憶の両方を有為に改善することができた。一方、D−NBPおよびDL−NBPは、いずれも上記改善効果を示さなかった。GSH−Pxは重要な抗酸化酵素の1つであり、MDAは、脳細胞に対する障害の程度を間接的に示し、かつ生体内の脂質過酸化反応の程度を示す、脂質過酸化反応の指標である。L−NBPはGSH−Px活性を向上させ、かつMDA含有量を低下させる。すなわち、L−NBPは、酸化障害を抑制し、かつ脳障害を抑制することができるということが言える。しかし、D−NBPまたはDL−NBPは、上記抑制効果を示さなかった。すなわち、本発明に係る式(I)のL−n−ブチルフタリドは初老の痴呆を予防および治療することができた。まとめると、L−n−ブチルフタリドは老人性の痴呆を予防および治療することができたが、ラセミ体のブチルフタリドまたはD−n−ブチルフタリドは老人性の痴呆を予防および治療することができなかった。
また、本発明は、活性成分としての本発明に係る上記化合物、ならびに薬学的に受容可能な従来の賦形剤または補佐剤を含む医薬組成物に関する。通常、本発明の医薬組成物は、本発明に係る化合物を0.1〜95重量%含んでいる。
本発明に係る化合物を含む医薬組成物は、当業者においてよく知られている方法に従って調整され得る。この目的のために、本発明に係る化合物は、ヒトまたは脊椎動物への利用に対して適切な投与形態または薬剤形態を計画するために、必要に応じて、薬学的に受容可能な固体もしくは液体の媒介物および/または補佐剤の1つ以上と組み合わせてもよい。
本発明に係る化合物または該化合物を含む組成物は、単位投与量の形態で投与すればよく、投与経路は、経口、筋肉内、皮下、鼻、口腔粘膜、経皮、腹腔内、直腸などのような
胃腸管系または非経口系であってもよい。
本発明に係る化合物または該化合物を含む医薬組成物の投与経路は、静脈、筋肉内、皮下、皮内および経穴内などへの注入を含む注射を介してもよい。
投与形態は、液体または固体であり得る。例えば、液体の投与形態とは、溶液、コロイド、微粒子、乳液または懸濁液であり得る。また、他の形態、例えば、錠剤、カプセル剤、丸薬、煙霧剤、粉剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、座剤および凍結乾燥した粉剤などを用い得る。
本発明に係る化合物は、持効性製剤、放出制御製剤、標的指向性製剤および種々の微粒子輸送形態に加えて、従来公知の製剤形態として調整されてもよい。
当該分野において周知の種々の媒介物を、広く、錠剤の中に単位投与形態を調製するために用いてもよい。一般的な媒介物としては、スターチ、デキストリン、硫酸カルシウム、ラクトース、マンニトール、スクロース、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、炭酸カルシウム、ボラスアルバ、微結晶性セルロース、珪化アルミニウムなどの希釈剤および吸収剤;水、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、スターチの懸濁液、デキストリン、糖蜜、蜂蜜、グルコース溶液、アラビアゴム懸濁液、ゼラチン懸濁液、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの湿潤剤および結合剤;監査王させたスターチ、アルギナート、褐藻類のスターチ、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロースなどの崩壊剤;スクロース、トリステアリン酸グリセロール、カカオバター、硬化油などの崩壊防止剤;第4アンモニウム塩、ドデシル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;ならびにタルク、二酸化珪素、コーンスターチ、ステアリン酸、ホウ酸、液体パラフィン、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤を挙げることができる。さらに、錠剤は、糖衣錠剤、フィルムコート錠剤、腸溶コート錠剤、あるいは2層錠剤および多層錠剤などのコーティングした錠剤として調製されてもよい。
丸薬の中に単位投与形態を調整するために、当該分野において周知の種々の媒介物を広く用いてもよい。媒介物の例としては、グルコース、ラクトース、スターチ、カカオバター、植物性硬化油、ポリビニルピロリドン、カオリン、タルクなどの希釈剤;アラビアゴム、トラガカントゴム、ゼラチン、エタノール、蜂蜜、液糖、ライスペースト、パンがゆなどの増粘剤;および寒天、乾燥スターチ、アルギナート、ラウリル硫酸ナトリウム、メチルセルロースなどの崩壊剤を挙げることができる。
カプセル剤の中に単位投与形態を調整するために、活性成分としての本発明に係る化合物は、上述のような種々の媒介物と混合され、その混合物は、ハードゼラチンカプセル剤またはソフトカプセル剤の中に収納される。また、活性成分としての本発明に係る化合物は、用途に応じて、マイクロカプセルの中に調製されても、懸濁液を調製するために液体媒体と混合しても、ハードカプセル剤の中に充填されても、または注入物の中に調製されてもよい。本発明に係る化合物は、例えば、注入剤に用いるための溶液、懸濁液、乳濁液、凍結乾燥した粉剤などの注入用の薬剤として調製されてもよく、注入用の該薬剤は、水性または非水性であってもよい。注入用の上記薬剤は、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、防腐剤、界面活性剤、または分散剤を含んでもよい。希釈剤としては、水、エタノール、ポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、エチオキシルイソステアリルアルコール、ポリオキシルイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。さらに、等張性の注入剤を調製するために、注入のための薬剤の中に適量の塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセロールを添加してもよい。従来公知の可溶化剤、緩衝剤およびpH調整剤をさらに添加してもよい。これらは、当該分野において通常用いられるものから選択される。
さらに、着色剤、防腐剤、香料、調味剤、甘味剤などを、必要に応じて適宜、上記薬学的製剤に添加してもよい。
投与を行い、かつ治療効果を向上させるために、本発明に係る医薬または薬学的組成物は、当該分野において周知のいかなる投与経路を介して投与されてもよい。
本発明に係る化合物または該化合物を含む薬学的組成物の投与量は、種々の要因、例えば、予防または治療する疾患の性質または重症度、性別、年齢、体重、患者または動物の性格および個別の反応、投与経路、投与の頻度、ならびに治療の目的などに依存する。このため、本発明に係る投与量は、非常に広い範囲を有している。通常、本発明に係る薬学的成分の投与量は、当業者にとって十分理解でき、上記組成物の最終的な製剤に含まれた、本発明の化合物の正確な量に依存して、治療効果量に達するように適宜調整すればよい。これによって、本発明に係る予防または治療の目的を達することができる。本発明に係る化合物の適切な1日投与量は、体重1kgに対して0.1〜100mgの範囲であることが好ましく、1個体に対して1日に0.1〜100mgの範囲であることがより好ましい。投与量は、医師の経験から得た技術に依存して、投薬のために1回分の投与製剤、または2、3または4回のように1回分以上の投与製剤に含まれていてもよい。また、上記投与量に限らず、他の治療手段を用いて他の投与量の体制を含んでもよい。
各治療において必要とされる総投与量が、一回よりも多い回数に分けて投与されても、1回だけで投与されてもよい。本発明に係る化合物または組成物は、単独で、または必要な投与量に調整した他の治療剤または異症療法の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。
[用語の説明]
L−NBP:L−n−ブチルフタリド
2−VO モデル:両側性の総頚動脈の持続的な結さく
[図面の簡単な説明]
図1は、水迷路実験の結果を示す図であり、A列が5日目においてラットが探索において通過した跡を示す図であり、B列が5日目の台の探索試験でラットが探索において通過した跡を示す図である。
図2は、両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後、水迷路実験に供したラットの障害を受けた定位記憶に対する経口投与したL−NBPの効果を示すグラフである。図2Aは訓練期間における潜伏時間の変化を示すグラフであり、図2Bは、台を除去した後における台の探索試験の結果を示すグラフである。ラットを60秒間中優に泳がせたとき、台が置かれていた四分円弧(Q4)にラットが居た時間を測定した結果である。数値のそれぞれは、平均値±標準偏差として表されている。「#p<0.05」は、偽手術群(偽)の数値と比較して有為差があった数値に付されており、「*p<0.05」は、溶媒対照群(溶媒)の数値と比較して有為差があった数値に付されている。
図3は、両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後の5週間目における海馬のCA1領域(A、BおよびC)ならびに皮質(D、EおよびF)のH−E染色の顕微鏡(倍率40倍)による観察結果の変化を示す写真である。AおよびDは偽手術群、BおよびEは溶媒対照群、CおよびFはL−NBP(10mg/kg)処置群と対応している。
図4は、両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後の5週間目におけるラットのK−B染色した視索の顕微鏡(倍率40倍)による観察結果の変化(A、BおよびC)ならびに尾状核のGFAPによる免疫組織化学染色像(倍率20倍)の写真(D、EおよびF)である。AおよびDは偽手術群、BおよびEは溶媒対照群、CおよびFはL−NBP(10mg/kg)処置群と対応している。
図5は、ラットの側脳室内にAβ(1−40)を継続的に灌注した後の水迷路実験において障害を受けた記憶に対するL−NBPの効果を示すグラフである。訓練期間における逃避するまでの潜伏時間の変化が示されている。数値のそれぞれは、平均値±標準偏差として表されている。1群は10匹のラットから構成されている。
図6は、ラットの側脳室内にAβ(1−40)を継続的に灌注したことによって誘導された記憶の機能の障害に対するL−NBPの効果を示すグラフである。運動記憶試験を、Aβを灌注してから14日目〜16日目において、1日5回づつ行った。図6Aは1回目の試験における潜伏時間の変化を示しており、図6Bは続く4回の試験における潜伏時間の変化を示している。数値のそれぞれは、平均値±標準偏差として表されている。1群は10匹のラットから構成されている。「##p<0.01」は、偽手術群(偽)の数値と比較して有為差があった数値に付されており、「*p<0.05」は、Aβ(1−40)モデル群(溶媒)の数値と比較して有為差があった数値に付されている。
[発明の詳細な説明]
〔実施例1:老人性痴呆の1つである、血管性痴呆に対するL−NBPの治療効果〕
(1)材料と方法
(1−1)試薬および薬品
L−NBP、D−NBPおよびDL−NBPを、98%以上の光学的および化学的な純度を有するように、工場内で合成した。L−NBP、D−NBPおよびDL−NBPの光学旋回は、それぞれ−66.49°、+66.88°および0°であった。これらは、全て植物油で調製した。
(1−2)装置
モリスの水迷路自動モニターおよびステップスルー装置は、中国医科学学院薬物研究所の機械および電子研究室によって作製された。
(1−3)2−VOモデルの準備
10週齢で体重約280グラムの雄のウィンスターラットを用いた、5匹のラットを、室温を23℃に維持した1つのケージで飼い、食餌および水は自由に摂取させた。ラットをペントバルビタールナトリウム(40mg/kg)で麻酔し、麻酔したラットの両側性の総頚動脈を露出させ、総頚動脈および迷走神経の包膜を注意深く分離した。低灌流モデル群を作製するために、両側性の総頚動脈を、5−0絹糸を用いて結さくした。偽手術群を作製するために、両側性の総頚動脈の結さく以外は、同様の操作を行った。手術後の傷を滅菌した結晶性スルファニルアミドの粉末で処理した後、皮膚を縫合した。手術後の1ヶ月間で水迷路試験およびステップスルー試験を行った。
(1−4)実験群の分類と実験の設計
以下の7つの群:(1)両側性の総頚動脈の結さく以外は低灌流群と同様の操作を行った、偽手術群;(2)植物油だけを経口的に投与した、溶媒対照群;(3)DL−NBP10mg/kg群;(4)DL−NBP30mg/kg群;(5)L−NBP10mg/kg群;(6)L−NBP30mg/kg群;および(7)D−NBP30mg/kg群のそれぞれにおいて、医薬または溶媒は手術後10日目から与えた。生化学分析または病理学的試験のために36日目に動物を殺した。全ての行動実験において、各実験の40分前に医薬を投与した。
(1−5)水迷路実験
モリスの水迷路は、主に、金属製の筒状の貯水槽(高さ40cm、直径120cm)、表示、観察および記録を行う自動装置、ならびに安全な島(直径10cmの台)から構成されている。あらかじめ、台の15mm上が水面になるように上記貯水槽に浄水を入れ、貯水槽内を不透明にするために1000gの粉ミルクを加えた。この結果、ラットは、聴覚的、視覚的または嗅覚的に台に辿り着くことができなくなり、空間的な位置の把握に対する動物の敏感さを判定することができた。水温は23±1℃に保ち、貯水槽を4つの四分円弧(東、南、西および北)に分割した。なお、台は、四分円弧の南西の中央に配置した。各ラットが泳ぐ活動度を、解析のためにコンピューターと直接に接続されたテレビ受像機を介して観察した。水迷路実験は5日連続で行った。各ラットには、1日2回、台の探索を行わせた。ラットは、貯水槽の北東または北西から探索を開始させた。探索の開始時には、頭が貯水槽の壁面に向くようにラットを水の中に入れた。2回の訓練の間には、10分間の休憩を挟んだ。台を見つけるまでに要した時間(潜伏時間)を記録し、2回の実験結果の平均値を算出した。ラットが60秒以内に台を見つけることができなかったときは、そのラットの潜伏時間は60秒として表した。ラットが60秒以内に台を見つけたか否かに関わらず、ラットのそれぞれを台の上に10秒間、置いた。最初の実験の前に、ラットのそれぞれを、適応させるために10秒間台の上に置いた。訓練の回数を重ねるにつれて、各群における安全な島を見つけるまでの潜伏時間が減少した。最後の訓練の後、探索実験を行った。台を取り除き、台を探させるためにラットを60秒間、自由に泳がせた。ラットが四分円弧のそれぞれにいた時間を記録した。以前に台が置かれていた四分円弧にラットが留まっている時間が長いことが示され、これは、ラットが目的の空間の記憶を確立していることを示している。
これらの探索方法は、4つの型:(1)探索の動機付け無しに、貯水槽周辺部の壁面にそってラットが移動する、周辺型;(2)はっきりした方向もなく、ラットが台を探していた、無作為型;(3)ラットが確実ではないにしても台の位置を記憶していた、および4周以内に安全な島を見つけた、目的型;ならびに(4)確実に台の位置を記憶していたおよび安全な島へまっすぐ泳いでいった、直線型、に分類することができた。この結果は、ラットが安全な島を見つけるまでに要した時間、例えば、潜伏時間および4つに分類される探索方法として表した。
(1−6)コリンアセチル基転移酵素、抗酸化酵素およびMDAの検出
脳を摘出するためにラットを断頭し、皮質組織および海馬組織を氷槽中で分離した後、その重さを計った。その直後に、後で使用するために液体窒素に保存した。試料に、予冷したpH7.0のリン酸化カリウム緩衝液(0.5mol/lのEDTAおよび7%のグリセロールを含む)0.05mol/lを加え、10%の組織粉末懸濁液中でホモジナイズした。タンパク質の濃度を、ラウリー比色試験によって定量的に測定した。
(1−6−1)コリンアセチル基転移酵素(ChAT)の測定
0.5mol/lのリン酸化ナトリウム緩衝液、0.0062mol/lのアセチルCoA、1.0mol/lの塩化コリン、76μmol/lのネオスチグミンメチルサルフェイト、3mol/lのNaCl、0.011mol/lのEDTAおよび0.5mol/lのクリアチニン塩酸塩を、それぞれ40μl加え、最後に各チューブの総量が0.8mlになるまで蒸留水を加え、これを反応液とした。37℃で5分間保温した後、200μlの組織粉末懸濁液中を、複数の上記チューブのそれぞれに加えた。複数の上記チューブのそれぞれを水槽で2分間ボイルした後、該チューブのそれぞれに2.5mmol/lの砒酸塩0.8mlを加えた。上記混合物を、室温で3分間15000×gで遠心し、遠心後の上清2.0mlを、3mmol/lの4−PDS40μlに加えた。反応液を25℃で15分間保温した後、吸光度を測定した(λ=324nm)。測定した吸光度に従ってChAT活性を計算し、ChAT活性をCoA・SH/mg タンパク質/hrで表わした。
(1−6−2)スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)およびマロンジアルデヒド(MDA)を、南京建成試剤公司が提供しているキットの説明書に従って、評価した。
(1−7)病理学的検出および免疫組織化学的検出
各群から、4〜6匹のラットを無作為に選択した。行動実験の後、ラットをペントバルビタール(100mg/kg ip)で麻酔した。動物の皮膚と胸郭を徐々に切開し、心臓を表面に露出させた。心臓の左先端を切り開き、灌流用の針を大動脈に沿って挿入した。灌流用の針を止血鉗子で止めた後、生理食塩水を注入した。右の心耳の下方を切開し、生理食塩水(200〜300ml)を15〜20分間注入した。廃液が透明になった後、4%パラフォルムアルデヒドのPBS溶液(150〜200ml)を、生理食塩水の代わりに、もう15〜20分間注入した。4%パラフォルムアルデヒドのPBS溶液の注入は、動物が硬直し、かつ肝臓が白くなるまで行われた。その後、動物を断頭することによって、その脳を得た。終脳前部および大脳後部を切除した後、4%のパラフォルムアルデヒドで48時間または20%の糖−パラフォルムアルデヒド溶液で48時間固定した(凍結切片)。
固定、包埋および薄切した後、パラフィン切片を、病理学的試験に供するためにヘマトキシン−イオシン(HE)染色およびK−B(クローバー−バレラ ルクソール ファスト ブルー)染色し、脳組織におけるGFAPの水準の変化を測定するために免疫組織化学的手法によって分析した。
(1−8)統計的解析
全ての結果を平均±標準偏差で表した。水迷路実験における各群の間の潜伏時間の比較を、分散の2因子解析を用いて行った。この後、複数の群の間における差を、LSDまたはターキー検定を用いて判定した。水迷路における台の探索実験を、分散の1因子解析を用いて解析した。ステップスルー実験を、クラスカル−ワリス検定およびマンホイットニーU検定を用いて解析した。生化学分析を分散の1因子解析を用いて解析した。その差がp<0.05の場合、有為であると判断した。
(2)結果
(2−1)水迷路実験におけるラットの学習異および記憶に対するL−NBPの効果
水迷路実験において、多くの場合、低灌流状態のラットの定位記憶を評価するために学習および居残り試験を行った。訓練の初日において、全ての群の間において有為な差は認められなかった。訓練開始から5日後、偽手術群において、探索方法が周辺型および無作為から目的型および直線型に変化し、かつ潜伏時間が有為に減少した(12.6±3.34秒)。しかし、溶媒対照群において、探索方法は明らかな変化が認められず、依然として周辺型および無作為型であり、かつ潜伏時間もほとんど減少しなかった(47.6±5.88秒)。偽手術群と溶媒対照群との間で有為な差が認められた(p<0.01)。L−NBP10mg/kg群において、探索方法が周辺型および無作為から目的型および直線型に変化し、かつ潜伏時間が明らかに減少した(26.85.6±5.98秒)。L−NBP10mg/kg群と溶媒対照群との比較では有為な差が認められたが(p<0.001、分散の2因子解析)、L−NBP10mg/kg群と偽手術群との比較では有為な差が認められなかった。DL−NBP10mg/kg、DL−NBP30mg/kgおよびD−NBP30mg/kgのような他の薬剤を投与した群においては、ほとんど改善の効果が見られなかった(図1A、図1Bおよび図2を参照のこと)。5日間の学習および訓練の期間の後、台の探索実験を行った。ラットが安全な島の定位記憶を確立しているか否かを判断するために、安全な島が取り除かれた。溶媒対照群に属するラットを除いて、全てのラットの標的の四分円弧における居残り時間は、全体の25%を越えていた。つまり、溶媒対照群に属するラットを除いた全てのラットが、安全な島の定位記憶を確立していたということが示された。偽手術群の居残り時間(17.73±1.19秒)は、溶媒対照群の居残り時間(14.40±0.73秒)よりも明らかに長く、かつ分散の1因子解析によって両者の間には有為な差が認められた(p<0.05、図3参照のこと)。標的の四分円弧におけるL−NBP10mg/kg群の居残り時間は、溶媒対照群の居残り時間よりも有為に長かった(17.62±1.27秒、p<0.05)。一方、DL−NBPを投与した2つの群(10mg/kg群および30mg/kg群)において、何の効果も認められなかった。全ての群の間で、泳ぐ速度に有為な差がなかったので、上述のような居残り時間の延長は、動物の移動度に由来するばらつきを無視することができる。上記結果から、L−n−ブチルフタリドは、血液の供給が欠乏状態にあるラットの、障害を受けた短期記憶および空間的な位置の把握を有為に改善することができるが、ラセミ体の(DL−)ブチルフタリドおよびD−n−ブチルフタリドは、障害を受けた短期記憶および空間的な位置の把握を改善することができないことが示された。
(2−2)SOD活性、ChAT活性およびMDA含有量に対する効果
SODは重要な抗酸化酵素の1つである。正常な対照群において、皮質組織におけるSOD活性は100.07±3.64(NU/mg タンパク質)であり、海馬組織におけるSOD活性は、57.90±7.41(U/mg タンパク質)であった。ラットに対して両側性の総頚動脈の結さくを施した後、海馬におけるSOD活性が、正常な対照群と比較して、有為に増加した(p<0.05)。これは、おそらく代償性反応であると考えられた。L−NBP(10mg/kg)の処理の後、SOD活性はあきらかに正常な水準近くまで戻った(p<0.05)。MDAは、生体内における脂質過酸化反応の水準を示し、かつ間接的に細胞の傷害を示す、脂質過酸化反応の指標である。この実験において、モデル群の皮質におけるMDA含有量が、19.9%増加し、正常な対照群との間で有為な差が認められた(p<0.001)。L−NBP(10mg/kg)の処置後、皮質におけるMDA含有量は、有為に20.7%減少した(p<0.001)。両側性の総頚動脈の結さくを施した後、皮質におけるChAT活性は、正常な対照群と比較して、30.4%減少し、有為な差が認められた(p<0.05)。これによって、低灌流状態がコリン作動性の神経細胞に対する損傷を誘導することができることが示唆された。これに対し、16日間、継続的にL−NBP(10mg/kg)を投与した後、皮質におけるChAT活性が、モデル群のChAT活性と比較して、37.1%改善され、有為な差が認められた(p<0.05)(表1を参照のこと)。
(2−3)病理学的および免疫組織化学的な効果
両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後、モデル群において、皮質および海馬の領域における神経細胞の数が有為に減少し、細胞に皺が寄り、かつ神経細胞が強く染色された。これに対し、低灌流状態によって誘導された神経細胞の損傷を、L−NBP(10mg/kg)の処理によって有為に改善することができた。文献によると、両側性の総頚動脈の結さくが、白質を低密度化すること伴い、脳におけるグリア細胞の活性を誘導させることができるということが報告されている。通常、白質の低密度化は、そのまばらさの深刻さに従って、4つの等級:0等級、正常;1等級、不整列;等級2、明らかな空胞の形成;等級3、ミエリン鞘を伴う線維の消失、に分類される。われわれの実験において、モデル群の視索は、正常の対照群と比較して、白質の低密度化および空胞の現出が明確に認められた。L−NBP(10mg/kg)の継続的な投与が、視索の状態を有為に改善することができ、視索において空胞が有為に減少した。免疫組織化学的実験において、GFAP陽性の星状細胞が、正常な対照群の海馬、尾状核および脳梁などの領域でまれに検出されるが、両側性の総頚動脈の結さくから4週間後、GFAP陽性の星状細胞および小グリア細胞が、多数現れることを示した。L−NBP(10mg/kg)の処理後、GFAP陽性の星状細胞の数が、非常に少なくなった(図3および図4参照のこと)。
(3)結論
以上の結果から、10mg/kgのL−NBPが、2−VO動物における短期記憶および空間的な位置の把握の障害を、有為に改善することができ、一方、ラセミ体のブチルフタリドおよびD−ブチルフタリドのいずれもが障害を受けた記憶機能の改善に効果的ではないことを結論付けることができる。本研究において、低灌流状態によって誘導された神経細胞の変性に対する薬剤の治療効果を調べるために、2−VOの後、10日目からL−NBPの投与を開始した(この投与は35日目まで続けた)。このため、急性の低灌流状態の虚血期間における影響を無視することができる。
L−NBPはChATの活性を向上させることができた。つまり、L−NBPは、2−VO動物における短期記憶および空間的な位置の把握の障害を、有為に改善することができると言える。さらに、L−NBPは有為に酸化障害を抑制することができた。これによって、L−NBPが神経細胞に対する損傷を低減させることができることが示唆された。2−VOによって誘導された大脳の低灌流状態は、白質の低密度化、空胞の増加およびグリア細胞の増加によって特徴づけられる(Narri. et al. Chronic cerebral hypoperfusion−induced neuropathological changes in rats.Jpn. J. Psychopharmacol. 1998;18:181−188を参照のこと)。一方、L−NBPは、これら全ての病理学的変化を改善することができた。上記作用機序は、L−NBPがラットにおける2−VOによって誘導された記憶の障害を改善することができたという証拠から明らかである。上記結果は、血管性痴呆の効果的な治療または予防にL−NBPを使用し得る可能性を示唆するものであった。
〔実施例2:L−NBPはアミロイド−β(1−40)によって誘導された老人性痴呆の症候を有為に改善する〕
(1)材料と方法
(1−1)試薬および薬品
L−NBPは、工場内で合成し、植物油で調製した。Aβ(1−40)はSigmaから購入した。アルゼット脳微小浸透圧ポンプ灌流機は、DURECT,U.Sから購入した。
(1−2)装置
モリスの水迷路自動モニターおよび実験プロトコルに関しては、脳の低灌流状態によって誘導される学習および記憶の損傷の実験を参照すればよい。
(1−3)モデルの準備
10週齢で体重約280グラムの雄のウィンスターラットを用いた、1匹のラットを1つのケージで飼い、室温23℃で食餌および水は自由に摂取させた。ラットをペントバルビタールナトリウム(40mg/kg)で麻酔し、腹側臥位で脳定位固定装置に固定した。頭部の皮膚を切開し、Aβ(1−40)を灌流するためのカニューレイを右脳室に埋め込んだ。パクシオンおよびワトソンによるラットの脳の定位図によると、カニューレイの埋め込み部位は、大泉門から後方に0.3mm、右に1.1mm、深さが4.0mmに位置していた。カニューレイは、微小浸透性ポンプに接続した。上記ポンプは、ラットの背中の上に置いた。35%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸にAβ(1−40)を溶解させ、Aβ(1−40)溶液を300pmol/日で継続的に脳室内(i.c.v.)に灌注した。一方、対照群には溶媒(35%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)だけを灌注した。予備実験において、上記溶媒をこの流量で灌注したところ、ラットに対して行動的および生化学的な変化が誘導されることはなかった。
(1−4)実験群の分類と実験の設計
ラットを、1群が10匹になるように、無作為に8つの群に分類した。4つの群:(1)35%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸+溶媒をラットの脳室に灌注した、偽手術群;(2)Aβ(1−40)+溶媒をラットの脳室に灌注した、モデル群(3)Aβ(1−40)+L−NBP10mg/kgをラットの脳室に灌注した、L−NBP10mg/kg群;および(4)Aβ(1−40)+L−NBP30mg/kgをラットの脳室に灌注した、L−NBP30mg/kg群のそれぞれに以下の操作を行った、それぞれの薬剤または溶媒を、手術後2日目から与えた。水迷路実験を手術後9日目〜13日目に、台の探索実験を手術後13日目に、運動記憶試験を手術後14日目〜16日目に行った。手術後17日目には、生化学的解析用の脳を取り外すために動物を断頭した。全ての行動実験において、医薬は各実験の開始から40分前に投与された。
(1−5)水迷路実験
水迷路訓練実験をAβ(1−40)のi.c.v.投与開始から9日目〜13日目に行い、台の探索試験を13日目の該水迷路訓練実験終了後に行った。運動記憶試験をAβ(1−40)のi.c.v.投与開始から14日目〜16日目に行った(上のイメージ参照のこと)。上記運動記憶試験は、訓練および台の探索実験の後、動物がある程度記憶しているという事実に基づいて、台と四分円弧とを変化させた場合における動物の早い学習および空間的記憶の能力について調べた。実験の手法は、台の位置を毎日変えるという点を除いて、通常の水迷路訓練実験と同様である。上記実験は毎日5回づつ行い、毎回異なる位置にラットを水に入れ、そこから泳ぎ始めさせた。1日のうち最初の実験は例証的な実験と看做し、ラットを台まで泳ぎ着かせ、かつ台の上に10秒間とどまらせておいた。続く4回の実験において、台の位置は常に維持させておいたが、ラットを水に入れる場所は、毎回異なる四分円弧の中であった。運動記憶試験における潜伏時間は、2〜5回目の実験結果を平均することによって計算し、各ラットの運動記憶の能力は、3日間の実験値の平均によって計算した。
(1−6)生化学的解析
マロンジアルデヒド(MDA)およびグルタチオン過酸化酵素(GSH−Px)を上述の方法と同じ方法で、測定した。
(1−7)統計的解析
全ての結果を、平均±標準偏差で表した。水迷路実験における各群の間の潜伏時間の比較を、反復して分散の2因子解析を用いて行った。各群の間における比較を、LSDまたはターキー検定を用いて行った。水迷路実験における台の探索試験、運動記憶試験および生化学的解析を、分散の1因子検定を用いて解析した。その差がp<0.05の場合、有為であると判断した。
(2)結果
(2−1)水迷路実験におけるラットの学習および記憶に対するL−NBPの効果
訓練の初日において、各群の間で有為な差は認められなかった。5日間の訓練の後、偽手術群に属するラットの探索方法は、周囲型および無作為型から目的型および直線型に変化し、潜伏時間が有為に減少した(13.02±2.77秒)。しかし、モデル群に属するラットの探索方法はほとんど変化せず、依然として周囲型および無作為型のままであった。さらに、その潜伏時間もあまり減少しなかった(30.18±4.81秒)。これらの群の潜伏時間の間で有為な差が認められた(p<0.01)。L−NBP処理後、水迷路実験におけるラットの潜伏時間が、非常に短くなった。L−NBP10mg/kg群およびL−NBP30mg/kg群に属するラットの探索方法が、周囲型および無作為型から目的型および直線型に変化し、その潜伏時間は、それぞれ27.28±6.42および25.88±5.51秒であった。そして、モデル群と2つの上記L−NBP投与群との比較において、有為な差が認められた(p<0.05、分散の2因子解析)。L−NBP処理後のラットが、正常の水準近くまで戻っていることが示唆された(図4を参照のこと)。運動記憶試験の1日目および2〜5日目の実験における潜伏時間を、図5Aおよび図5Bのそれぞれに示した。1回目の実験において、種々の群の潜伏時間の間で有為な差は認められなかった。しかし、続く4回の実験において、偽実験群の潜伏時間は9.15±0.91秒であり、モデル群の潜伏時間は14.05±1.88秒であった。モデル群の潜伏時間は、あきらかに延長しており、偽手術群の潜伏時間との比較において有為な差が認められた(p<0.01)。それゆえ、L−NBPは濃度依存的にラットの運動記憶を改善することができた(p<0.01)。
(2−2)L−NBPはGSH−Pxの活性を向上し、かつMDA含有量を低下させることができる
GSH−Pxは、重要な抗酸化酵素である。われわれの実験において、偽手術群の皮質におけるGSH−Px活性は、15.86±0.91秒(U/mg タンパク質)であり、海馬におけるGSH−Px活性は16.19±1.19秒(U/mg タンパク質)であった。Aβ(1−40)の灌注後、皮質および海馬におけるGSH−Px活性のそれぞれが、偽手術群のGSH−Px活性と比較して29.5%および42.4%減少した。これら2つの群のGSH−Px活性の間で有為な差が認められた(p<0.01およびp<0.001)。L−NBP処理後、30mg/kgL−NBP群のGSH−Px活性は、モデル群のGSH−Px活性と比較して、有為な差が認められた(p<0.01)。また、10mg/kgL−NBP群のGSH−Px活性は、モデル群のGSH−Px活性と比較して、向上したものの、統計的に有為な差は認めらなかった。MDAは、生体内の脂質過酸化反応の度合いを示し、かつ細胞傷害の程度を間接的に示す、脂質過酸化反応の指標である。この実験において、Aβ(1−40)の継続的な灌注後、皮質および海馬におけるMDA含有量は、それぞれ25.7%および23.6%上昇し、偽手術群のMDA含有量と比較して、有為な差が認められた(p<0.05およびp<0.01)。L−NBP処理後、10mg/kgL−NBP群において、皮質および海馬におけるMDA含有量のそれぞれが、28.4%および24.3%減少し、モデル群のMDA含有量と比較して、有為な差が認められた(p<0.05およびp<0.01)。30mg/kgL−NBP群においてGSH−Px含有量を低減させる効果は、10mg/kgL−NBP群のそれよりも弱かったが、モデル群のMDA含有量と比較して、有為な差が認められた(p<0.05)。
(3)考察
ラットへのAβ(1−40)の灌注によって誘導された記憶の障害は、AD治療に対する医薬の効果を調べるための十分に確立されたモデルであった。上記結果によると、L−NBPは、2−VO虚血によって誘導された血管性痴呆のモデルに対して明らかな効果を奏した。さらに、L−NBPは、ラットの側脳室内へ継続的にAβ(1−40)を灌注することによって誘導された、短期記憶および空間的な位置の把握の障害を有為に改善することができた。このことから、L−NBPが、種々の原因によって誘導された短期記憶および空間的な位置の把握の障害を有為に改善することができるということが示唆された。さらに、L−NBPは、酸化による損傷を抑制(GSH−Px活性を向上およびMDA含有量を低減)することができた。L−NBPが有する脳を保護するあきらかな効果と組み合わせて、L−NBPが有する、短期記憶および空間的な位置の把握の障害を改善する効果は、老人性痴呆を治療および予防することができるということが示唆された。
水迷路実験の結果を示す図であり、A列が5日目においてラットが探索において通過した跡を示す図であり、B列が5日目の台の探索試験でラットが探索において通過した跡を示す図である。 両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後、水迷路実験に供したラットの障害を受けた定位記憶に対する経口投与したL−NBPの効果を示すグラフであり、図2Aは訓練期間における潜伏時間の変化を示すグラフであり、図2Bは、台を除去した後における台の探索試験の結果を示すグラフである。 両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後の5週間目における海馬のCA1領域(A、BおよびC)ならびに皮質(D、EおよびF)のH−E染色の顕微鏡(倍率40倍)による観察結果の変化を示す写真である。 両側性の総頚動脈の持続的な結さくの後の5週間目におけるラットのK−B染色した視索の顕微鏡(倍率40倍)による観察結果の変化(A、BおよびC)ならびに尾状核のGFAPによる免疫組織化学染色像(倍率20倍)の写真(D、EおよびF)である。 ラットの側脳室内にAβ(1−40)を継続的に灌注した後の水迷路実験において障害を受けた記憶に対するL−NBPの効果を示すグラフである。 ラットの側脳室内にAβ(1−40)を継続的に灌注したことによって誘導された記憶の機能の障害に対するL−NBPの効果を示すグラフであり、図6Aは1回目の試験における潜伏時間の変化を示すグラフであり、図6Bは続く4回の試験における潜伏時間の変化を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 痴呆を予防または治療するための医薬の製造における、式(I):
    に示されるL−n−ブチルフタリドの利用。
  2. 上記痴呆がアルツハイマー病である請求項1に記載のL−n−ブチルフタリドの利用。
  3. 上記痴呆が血管性痴呆である請求項1に記載のL−n−ブチルフタリドの利用。
  4. 上記L−n−ブチルフタリドの治療に有効な投与量が、0.1〜100mg/kg/日である請求項1に記載のL−n−ブチルフタリドの利用。
  5. 式(I):
    に示されるL−n−ブチルフタリドの治療に有効な量、および薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。
  6. 上記薬学的組成物の製剤形態が、錠剤、カプセル剤、丸薬、注入剤、持効性製剤、放出制御製剤または種々の微粒子輸送形態である請求項5に記載の薬学的組成物。
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