JP2008501004A - 肥満の治療および太りすぎの美容的処置用の薬剤を製造するためのフランアルキルの使用 - Google Patents

肥満の治療および太りすぎの美容的処置用の薬剤を製造するためのフランアルキルの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、肥満または太りすぎを予防および/または治療用の薬剤の製造のための1種または数種の合成または天然フランアルキルの使用に関する。局部太りを美容的に処置するための1種または数種の合成または天然フランアルキルの使用も開示される。該フランアルキルは好ましくは式(I)に相当する:
Figure 2008501004

[式中、同一または異なるR、R、RおよびRは互いに独立に水素原子、C−C35アルキル基、C−C35アルケニル基、またはC−C35アルキニル基、好ましくはC10−C22を表し、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は置換可能であり、R、R、Rは好ましくは水素原子である]。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、太りすぎ、異脂肪症、および従って心血管疾患、神経疾患、皮膚病、腎臓病、眼病および感染性疾患の予防および/または処置を意図した薬剤を製造するための、合成または天然いずれかの1種類以上のアルキルフランの使用に関する。本発明はまた、局部的な太りすぎおよび/またはセリュライトの美容処置のため、また糖尿病患者の皮膚疾患のための1種類以上の天然または合成アルキルフランの使用に関する。
糖尿病は太りすぎまたは異脂肪症などの他の疾病に、あるいは心血管疾患のリスクに関連することが多い慢性疾患である。糖尿病はまた、25歳〜74歳の人で、失明の主因ともなっている。糖尿病罹患者が心臓病を発症する確率は2〜4倍高く、脳卒中を起こす確率は5倍高いと思われる。糖尿病は慢性的な高血糖の状態と定義され、空腹時血糖が7mmol/lまたは1.26g/lを超える場合に糖尿病であると認定される。血糖が1.1〜1.26g/lの間であれば、その高血糖は経口経路により得られたものであるはずである。糖尿病の2つの主要なタイプ、インスリン依存性糖尿病とインスリン非依存性糖尿病には違いがある。妊婦に見られることがある他の形態の糖尿病もある。
I型、すなわちインスリン依存性糖尿病は、その発症が12歳をピークに幼年期に見られる場合が多いことから、小児糖尿病とも呼ばれる。I型糖尿病は糖尿病のうち10〜15%を占める。この形態の糖尿病の発症は突然で、急速に進行する。この糖尿病は自己免疫疾患である、すなわち、身体の細胞を改変または破壊する免疫系の障害によって引き起こされると考えられる。免疫系は膵臓のランゲルハンス島のβ細胞を徐々に破壊し、そのためインスリンの放出が段々少なくなる。β細胞が総て破壊されればインスリンはもはや生産されない。これは、グルコースが十分な量利用できるにもかかわらず、エネルギーを作り出すために細胞内に輸送できないことを意味する。この欠乏を補うために、血糖の上昇を防ぐようインスリンを注入することが生命の維持に必要となる。インスリンは胃によって不活性化されるので、経口形路によって服用することができない。このタイプの糖尿病の厳密な原因は分かっていない。
II型、すなわち非インスリン依存性糖尿病は最も多い形態であり(ほぼ90%の症例)、この形態は前者のものよりは重篤でなく、段階的に発症する。一般に40歳を超えた成人で発症し、多くの場合、太りすぎに関連する。ほとんどのII型糖尿病では、膵臓は十分な、さらには過剰なまでのインスリンを生産する。この症例では、膵臓はインスリンを生産するのであるが、適切な時間に生産しないか、または必要量に満たないか、あるいはまた、身体がインスリンに対して抵抗性を示すという反応をするかである。身体は十分な量のインスリンを生産するが、細胞は、通常、細胞表面にある認識部位が改変されているので反応できない。インスリンはもはや認識されず、グルコースは、エネルギーを作り出すために細胞内に十分な量が流入できない。血中に留まるグルコース量が多すぎると、高血糖となる。グルコースの代謝を調節する役割を担う膵臓はより多くのインスリンを生産することでこの障害に対処する。これが悪循環の始まりであり、膵臓はますます多くのインスリンを生産するが、細胞のほうははやりグルコースの供給を受けることができない。これがII型糖尿病が最初に高いインスリンレベルを示す理由である。このような認識部位をインスリンが認識され得るように改変しなければならない。ほとんどのII型糖尿病は減量や運動を増やすことでこれを達成することができる。もっと進行した症例では、錠剤による治療が必要である。これらの患者は心臓病や高血圧を発症するリスクが高い。
妊娠糖尿病(Gestational Diabetes Mellitus, GDM)と呼ばれる別のタイプの糖尿病も存在し、妊婦にだけ見られ、高血糖または耐糖能異常が見られるか、認識初期に診断され、分娩後期間の終わりにはおさまる。すでに糖尿病である女性が妊娠しても、この分類には入らない。妊娠糖尿病はめずらしいものではなく、妊娠の6%に見られる。妊娠糖尿病は母親と胎児を、妊娠高血圧症、子癇前症、帝王切開の増加などの多くのリスクに曝し、発症初期ほど重く、高血圧症の場合は疾病管理を要する。小児では、妊娠糖尿病は新生児死亡、巨人症、出産傷害、呼吸困難、新生児高血圧症、高ビリルビン血症および低カルシウム血症のリスクを高める。短期的合併症に加え、妊娠糖尿病に罹患した女性は、10〜15年後にII型糖尿病を発症する高いリスクを示す。その子供は長期的に肥満およびおそらくは糖尿病のリスクを持つ。糖尿病の母親の血清および羊水のマグネシウムレベルが異常に低いことを示す研究がある。このような低マグネシウム血症は胎児に影響を及ぼし、先天性奇形を引き起こしたり、初期に新生児高血圧症を引き起こしたりする場合がある。治療としては食事制限を必要とし、それでも血糖が調節できず、食後7.8mmol/lを超えるようであれば、インスリンの投与が必要となる。
その他、糖尿病、特にII型糖尿病では皮膚に顕著な徴候を示す。糖はメイラードによってタンパク質と結合し、最終糖化産物(advanced glycation end products, AGE)が生じることが知られており、このAGEは全般的に皮膚や組織の老化を速める。最近、脂質がこの不可逆的反応の誘導因子としての役割を果たしていること、また、遺伝因子が個々の感受性に関与していることが示された。腱、骨、皮膚、軟骨およびアミロイド組織などの再生の遅い組織で最も高いAGEレベルが見られる。これらのAGE産物はマトリックスの機械特性に影響を及ぼし(弾性を低下させ)、組織の再生を制限する。また、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP−2/3)の増加、ならびに慢性炎症の徴候に対して治癒が欠如していることで引き起こされる病態である糖尿病性の足の潰瘍の発生に不可欠な要素である重篤な微細循環障害も示されている。最近では、糖尿病の皮膚バリアにおける水分減少、上皮細胞増殖の低下、および落屑の変化の証拠も示され、老化した皮膚、炎症を起こした皮膚、または乾燥皮膚同様、皮膚バリアの保護における主要な障害が指摘されている。糖尿病はまた、細菌感染および真菌感染に対する反応力も制限し、小さな損傷でも放置しておけば足の切断に至るような重篤な感染症になるおそれがある。
インスリン非依存性糖尿病(II型糖尿病)の主要な原因の1つは、この障害が常に糖尿病に関連しているわけではないが、肥満である。脂肪細胞はインスリン要求を高め、肥満の人はインスリンの作用に抵抗性を発達させる。こうして血糖または糖レベルが常に高いと糖尿病となる。また、肥満はインスリン依存性(I型)糖尿病も悪化させ得る。肥満者は通常体重の人より糖尿病に罹患するリスクが2倍高いものと見積もられている。ラヴァル大学のあるチームが行った最近の研究では、iNOS遺伝子(一酸化窒素を生じる誘導型酵素)が遺伝的に欠損しているマウスは肥満に関連する糖尿病の発症に対して防護を示すことが証明された(Nat Med 2001, Oct; 7(10):1138-43. Targeted disruption of inducible nitric oxide synthase protects against obesity-linked insulin resistance in muscle. Perrault M, Marette A)。
II型糖尿病および妊娠糖尿病との関連の他、現在のところ肥満は、慢性病態の病因論における加齢後の第二の因子である。2004では、成人アメリカ人の約64%が太りすぎであった。2008には、成人アメリカ人の34%が肥満であると推定される。肥満は、日々のカロリー摂取とエネルギー消費のアンバランスからくる過剰な体脂肪指数であり、体は使う以上に受け取るので、余剰分を「貯め込む」。しかしながら、遺伝、食生活、座りがちの生活習慣、継続的な喫煙、ホルモン現象(特に、女性や若年層)、投薬および社会専門的な背景など多くの因子がこのアンバランスを悪化させ、肥満への、あるいは少なくとも体重増加の道をたどることがある。フランスでは3年以内に、新たに650,000症例の肥満が記録されている。ヨーロッパでは、肥満者数の増加は、国にもよって10〜40%と様々である。この40%というレベルの記録は東欧諸国の女性において到達されたものであり、チュニジアでは30代の40%が肥満である。懸念すべき現象は子供の肥満であり、急速に増加している。フランスでの10ヶ月〜8歳の子供における研究では、予測値3%のところ10%が肥満であったことが示されている。日本でも子供の肥満は53%跳ね上がり、イギリスではいくつかの年齢層で65%、米国では60%増えている。
この憂慮すべき傾向は、疾病管理、従ってできるだけ早い診断を要する内分泌系疾患、心血管疾患および心理社会的結果(差別、生活の質の低下、痛み)を伴う多くの合併症の源泉となっている。例えば、太りすぎは心血管疾患による死のリスクを高め(50〜80%)、高い罹患率および死亡率を伴う疾病(II型糖尿病、この疾病は30〜45%引き下げることができた)のリスクを高め、動脈性高血圧症のリスクを高め、代謝障害、関節障害および小胞障害のリスクを高め、数種の癌(結腸癌、直腸癌、前立腺癌、子宮癌、乳癌および小胞癌)のリスクを高める。従って、現在、糖尿病および/または肥満を処置するのに適した薬剤の必要性が大きい。
本発明の範囲内で、減量は好ましくは局部太りに対処することを目的とする。この局部太りは脂肪の形で具体化されており、その量と分布は性別によって異なる。脂肪組織は女性では体重の20〜30%、男性では10〜15%である。皮下脂肪の厚さは、女性は男性の2倍である。男性では、脂肪はウエストの周りと上部に蓄積し(男性型分布、代謝性リスクの因子)、女性では、ウエストより下の殿大腿部に蓄積する(女性型分布、血管性リスクとは相関しない)。下半身に蓄積したこの脂肪の特徴の1つは、動かすことが難しいということである。これは生殖(妊娠、特に授乳)のエネルギー要求を保証することを意図したものであり、従って、身体のエネルギー要求の最大の貯蔵庫となっている。
細胞レベルでは、脂肪細胞は球形であり、その細胞内空間はトリグリセリドで満たされた大きな液胞に占められている。脂肪細胞はすぐさま体積を変化させることができる。これらの細胞は環境によって直径40μm〜120μmに達することがあり、27倍の体積増加に相当する。極端な場合には、40倍になることもある。従って、身体の主要なエネルギー源であるトリグリセリドをすぐさま貯蔵(補足または脂肪生成)したり、あるいは逆に代謝(脂肪分解)したりすることができるので、身体の主要なエネルギーの担い手である。脂肪生成は、活性化脂肪酸によるグリセロール−3リン酸のエステル化から生じるトリアシルグリセロールの合成を含み、逆に、脂肪分解は貯蔵されているトリアシルグリセロールをグリセロールと脂肪酸に加水分解することに相当する。α−2および/またはβ−1および−2受容体、例えば、A1型アデノシン受容体などの受容体、プロスタグランジンE2、YY型のY2、およびNPYニューロペプチド、さらには性ホルモンを含む、脂肪分解および脂肪生成を制御する種々の機構が示されている。
よって、脂肪細胞の脂肪分解と脂肪生成を制御する機構に関する知識はますます向上してきた。しかしながら、痩身に有効な成分は、既知の有効成分が十分満足のいくものではないので、なお研究されている。従って、目下のところ、痩身を有効に助け得る局所組成物を製造する必要がある。
セリュライト、すなわち局部的脂肪異栄養は、体型の外観と調和を変化させる脂肪組織の浮腫様浸潤を特徴とする。食べ過ぎ、運動不足および/または老化など様々な理由のために身体の脂肪生成と脂肪分解の間に著しいアンバランスが生じた場合、すなわち、もっと厳密にいえば、脂肪生成によって生じた脂肪の量が脂肪分解によって消失した量よりも著しく、かつ、常に高い場合、脂肪細胞においてトリグリセリドの蓄積が起こり、この蓄積が過剰になれば、局部太りおよび/または段階的に、不規則な場合が多く、たるんだ、またはゼラチン様のコンシステンシーの、いわゆる「オレンジの皮様」の皮膚表面の肥厚となり、一般に見苦しい体型となる。このセリュライト組織は男性にも影響をおよすが、痩せているか太っているかにかかわらず女性において明確な場合が多い。脂肪は、好んで下半身、臀部、大腿部、胃、さらにまた膝や足首に局在する。セリュライトは特に脂肪細胞内でのトリグリセリドの貯蔵から、また、表皮の基礎物質の粘度上昇から起こり、この粘度上昇は水分の滞留や細胞交換の低下となって表れる。これら2つの機構は血管やリンパ管の圧迫をもたらし、さらに組織のうっ血をもたらす。
驚くべきことに、本発明者らは、合成または天然いずれかのアルキルフランが糖尿病および肥満の処置に使用できることを見出した。本発明者らはまた、これらのアルキルフランを含有する局所用組成物の塗布に痩身作用があり、特に、局部的な太りすぎおよび/またはセリュライトに対処するために使用できることを見出した。
よって、本発明の課題は、糖尿病、特にII型糖尿病の予防および/または処置に意図した薬剤を製造するための、合成または天然いずれかの1種類以上のアルキルフランの使用である。
本発明において「薬剤」とは、ヒトの疾病に対して治癒特性または予防特性を有する物質または組成物と予防目的または治癒目的の獣医学的組成物の双方を意味する。
本発明のアルキルフランは血中グルコース(血糖)を低下させること、および糖耐性を高めることができる。よって、本発明のアルキルフランは薬剤または食品サプリメントを製造するために使用でき、あるいは脂血症および/または血糖症および/またはインスリン感受性の調節を意図し、糖尿病の予防および/または処置のために毎日の食事に使用することができる。
本発明のさらなる課題は、脂血症および/または血糖症および/またはインスリン感受性の調節を意図した薬剤を製造するための、1種類以上の合成または天然アルキルフランの使用である。この薬剤はまた、体脂肪量の低下も意図する。
血中脂肪値は、リポタンパク質および遊離脂肪酸の形態で循環する総脂質の血中レベルに相当する。トリグリセリドとも呼ばれるこの種の脂質が血中に存在することが糖尿病の徴候であると考えられる。本発明のアルキルフランは循環トリグリセリドのレベルを引き下げることができる。
血糖値は、血中で測定されたグルコースの濃度に相当する。ある閾値より低ければ、低血糖症となる。ある閾値を超えれば、高血糖症となる。参考血糖値は通常、朝に測定した空腹時レベルである。
しかしながら、他の食前血糖値、すなわち昼食前または夕食前血糖値、または食後血糖値、すなわち食後(通常、1時間半後)に測定したもので、1日の中で最高の血糖値を示す値を測定するのも有用な場合がある。
本発明のアルキルフランは肝臓および筋肉のトリグリセリドレベルを低下させることができ、それにより貯蔵脂肪を制限することができる。本発明のアルキルフランはまた、高密度リポタンパク質(HDL)、すなわち善玉コレステロールの血中レベルも高める。
本発明のアルキルフランはまた、エネルギー収支の増大(筋肉中のPGC−1の増加、実施例9参照)を可能とする。
本発明のさらなる課題は、肥満の予防および/または処置を意図した薬剤の製造のための、1種類以上の合成または天然アルキルフランの使用である。
本発明のある有利な変形形態によれば、該アルキルフランは下記一般式を満たす。:
Figure 2008501004
[R、R、RおよびRは同じであるかまたは異なり、それぞれ水素原子、C−C35アルキル基、有利にはC10−C22、より有利にはC12−C20、さらに有利にはC13−C17、C−C35アルケニル基、有利にはC10−C22、より有利にはC12−C20、さらに有利にはC13−C17、またはC−C35アルキル基、有利にはC10−C22、より有利にはC12−C20、さらに有利にはC13−C17を表し、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は1以上のハロゲンで、および/またはエポキシド、ヒドロキシル(−OH)、チオール(−SH)、エーテル(−OR)、第一級アミン(−NH)、第二級アミン(−NHR)、第三級アミン(−NR)、アルデヒド(−CHO)、ケトン(COR)、アセチル(−O−CO−R)官能基からなる群から選択される1以上の官能基で置換されていてもよく、なお、RおよびRはそれぞれ水素原子、C−C35アルキル基、有利にはC10−C22、より有利にはC12−C20、さらに有利にはC13−C17、またはC−C35アルケニル基、有利にはC10−C22、より有利にはC12−C20、さらに有利にはC13−C17を表す]。
本発明において好ましいアルキルフランは、2位において一置換されたものである。よって、該アルキルフランは有利には、R、R、Rが水素原子を表し、かつ、Rが水素原子以外のこれまでに定義されたような基を表さない一般式(I)を満たす合成または天然アルキルフランである。
本発明のある有利な変形形態によれば、該アルキルフランは、R、R、Rが水素原子を表し、かつ、Rが次の基(−R):
Figure 2008501004
からなる群から選択される基を表す一般式(I)を満たす、特にアボカドのフラン不鹸化物に存在する天然2−アルキルフランである。
アボカドのフラン不鹸化物では、2−アルキルフランはその総重量に対して不鹸化物30重量%〜70重量%に相当する。アボカド油は、油分の総重量に対して2〜4重量%の2−アルキルフランを含み得る。
本発明のある有利な変形形態によれば、アボカド不鹸化物の精製フラン画分としては、糖尿病、特にII型糖尿病の予防および/または処置を意図した薬剤を製造するためには、その画分の総重量に対して70〜100重量%、有利には90〜100重量%の2−アルキルフランを含むものが用いられる。
本発明のもう1つの有利な変形形態によれば、アボカド不鹸化物の精製フラン画分としては、肥満の予防および/または処置を意図した薬剤を製造するためには、その画分の総重量に対して70〜100重量%、有利には90〜100重量%の2−アルキルフランを含むものが用いられる。
本発明のもう1つの有利な変形形態によれば、アボカド不鹸化物の精製フラン画分としては、脂血症および/または血糖症および/またはインスリン感受性の調節を意図した薬剤を製造するためには、その画分の総重量に対して70〜100重量%、有利には90〜100重量%の2−アルキルフランを含むものが用いられる。
不鹸化物は、アルカリ性基剤によって作用を延長した後に水に対して不溶性を維持し、有機溶媒で抽出可能な脂肪画分である。ほとんどの植物油不鹸化物には、飽和または不飽和炭化水素、脂肪アルコールまたはテルペンアルコール、ステロール、トコフェロール、カロテノイドおよびキサントフィル色素の5種類の主要な物質群が存在する。アボカド油のフラン誘導体は、当業者に公知であり、例えば、Farines. M et al, 1995, J. of Am. Oil Chem. Soc. 74;473に記載されている化合物である。フラン脂質に富んだアボカドの不鹸化物はすでに、特に関節炎、歯周炎および硬皮症などの炎症性病態の処置のために、結合組織に対して有益かつ治癒的作用を有する薬剤の製造におけるその使用が記載されている。本発明において、アボカドのフラン不鹸化物に関して、「アルキルフラン」と「フラン脂質」は同義の表現である。
アボカドは一般に次の品種:ハス種(Hass)、フェルテ種(Fuerte)、エッチンジャー種(Ettinger)、ベーコン種(Bacon)、ナバル種(Nabal)、アナハイム種(Anaheim)種、ルラ種(Lula)、リード種(Reed)、ズタノ種(Zutano)、クィーン種(Queen)、クリオラ・セルバ種(Criola Selva)、メキシカナ・カンタ種(Mexicana Canta)、チャン地方種(Region Dschang)、ハル種(Hall)、ブース種(Booth)、パターソン種(Peterson)、コリンソン・レッド種(Collinson Red)、より有利にはハス種、フェルテ種およびリード種から選択される。ハス種、フェルテ種、エッチンジャー種およびベーコン種を選択するのが好ましく、ハス種およびフェルテ種がさらに有利である。
Laboratoires Expanscience(国際出願WO01/21605参照)により開発されたものなどのアボカド不鹸化物の精製フラン画分では、2−アルキルフランは、その画分の総重量に対して70〜100重量%に相当する。なお、確認された各フランの相対的重量比を下表Iに示す。
Figure 2008501004
表1
国際出願WO01/21605では、Laboratoires Expanscienceはフラン脂質含量が80重量%を超える、さらには100%に近いアボカドフラン脂質の選択的抽出が得られる特殊な方法を出願した。この方法は、アボカド不鹸化物を調製すること、およびこの不鹸化物に対してアボカドのフラン脂質を主として含有する蒸留物を得るよう調節した温度および加圧手段を用いて分子蒸留工程を行うことからなる工程を含む。
好ましくは、このアボカド不鹸化物は、特に特許出願FR−91 08301に記載されているように、オイル抽出および鹸化に先だって熱処理した果実から調製する。この熱処理は、少なくとも4時間、有利には24〜48時間の間、少なくとも80℃前後の好ましい温度、好ましくは80〜120℃前後の範囲で果実、好ましくは生果を制御乾燥することからなる。なお、温度と乾燥時間は互いに独立である。鹸化の前に、オイルは、濃縮物として回収される不鹸化物の構成成分の大方のものを分離することにより不鹸化物の濃度を予め高めることができる。低温結晶化、液−液抽出、分子蒸留など、種々の方法が使用可能である。分子蒸留が特に好ましく、約180〜約230℃の間の温度で、圧力を10−3〜10−2mmHgの間に維持しながら行うのが有利である。上記のようにして得られたアボカド不鹸化物に対し、次に分子蒸留工程を行う。この分子蒸留工程は、温度を100〜160℃の間、圧力を10−3〜5.10−2mmHgの間に調節して行う。特にアボカドのフラン脂質を主として含有する蒸留物を得るためには、温度は100〜140℃の間に調節し、圧力は10−3〜5.10−2mmHgの間に調節する。
国際出願WO04/016106では、Laboratoires Expanscienceは、フラン脂質に富んだ高収量のアボカド不鹸化物(すなわち50〜80%で、粘稠な生成物や過酸化物の含量が少ないアボカド不鹸化物を得ることができる方法を開発した。この方法は次のような一連の工程を含む:
(1)−50℃〜75℃の間の温度で行われる新鮮なアボカドまたは予め処理したアボカドを制御脱水する工程、
(2)脱水果実からオイルを抽出する抽出工程、
(3)次のような選択工程:
a.その抽出オイルを80℃〜150℃まで可変の温度で、場合よっては不活性雰囲気下で熱処置した後、オイルを濃縮してその不鹸化物画分とする工程、または
b.オイルを濃縮してその不鹸化物画分とした後、80℃〜150℃まで可変の温度で、場合よっては不活性雰囲気下で熱処理する工程濃度、その後
(4)その不鹸化物を鹸化および抽出する工程。
この方法の工程(1)の脱水とは、より一般的には、化合物から水を除去するのに使用できる当業者に公知のあらゆる技術を意味する。これらの技術の中でも好ましいものとして、薄層を70〜75℃の温度で8〜36時間、熱気流下、通風乾燥機で乾燥させることが挙げられる。工程(3)aまたは(3)bで実施されるこの熱処理工程は、酸触媒、好ましくは酸アルミナを用いて行うこともできるし、用いなくともよい。工程(3)aまたは(3)bの濃縮工程は低温結晶化または分子蒸留を使用できる。
あるいは、アルキルフランからなるアボカドの不鹸化画分の調製は、アボカドオイル抽出法から得られる副産物である原料を用いてもよい。特に、予め果実を乾燥させることなく、生果からオイルが得られる。これらの副産物としては、網羅するものではないが、i)脂肪相、およびii)いわゆる遠心分離法から得られる水相、または、特に果実からの脂質の放出を促進するためにパルプ植物細胞を予め酵素消化することを含む、いわゆる「酵素」法から得られる水相を含む。粗オイルを抜き取った後の遠心分離の固形残渣(遠心沈降物)もまた注目される原料となる。また、ここでも選択的に予め皮をむき、種を除いた果実の冷凍パルプを用いてもよい。同様に、アボカドオイルからの脱臭物もアボカド不鹸化物およびアルキルフランの供給源となる。果実(生果または乾燥果実)の機械的低温処理の際、溶媒を用いてアボカドオイルの液−液抽出を行う際に同時生成するアボカドケークはそれ自体、もう1つの原料となる。最後に、オイル含量は低いが、アボカドの種もアボカド脂質、特にアルキルフランの供給源となる可能性がある。
本発明において精製アルキルフランは、薬剤の総重量に対して0.001〜100重量%の間、好ましくは総重量の0.5〜60重量%の間、さらに好ましくは2重量%〜25重量%の間の割合で用いるのが有利である。本発明の薬剤の投与量は、処置する疾患の重篤度およびその発症からの時間によって異なる。医師が患者に対して用量を適合させるのは言うまでもない。本発明の有利な変形形態によれば、本発明のアルキルフランの治療的一日量は有利には10mg〜30g/日、好ましくは60mg/g〜10g/日、より詳しくは100mg/日〜6g/日、またはおよそ0.160〜500mg/kg/日、好ましくは1mg/kg/日〜160mg/kg/日、より詳しくは16mg/kg/日〜100mg/kg/日の範囲である。
本発明の薬剤は、有利には相乗作用を伴って、ステロールキレーター(コレスチルアミン)、フィブラート(フェノフィブラート:PPAR−αアゴニスト)、hmg−coAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シムバスタチン)、EPA/DHA(ω3、EPA=エイコサペンタエン酸、DHA=ドコサヘキサエン酸を含有する魚油)、遺伝子療法、種々の起源の高コレステロール血症(原発生、一遺伝子性、多遺伝子性、α−リポタンパク質血症)の処置、混合型高脂血症の処置、高トリグリセリド血症の処置、異脂肪症の処置などの低脂血処置と併用することができる。これらの処置は一般に、栄養学(地中海風の食事および摂取制限)、イオン交換樹脂、フィブラート、スタチン、魚油、抗酸化薬、植物ステロールまたはスタノールによる薬理学を用いることができる。
本発明の薬剤は、有利には相乗作用を伴って、経口的糖尿病処置、II型糖尿病のインスリン処置および/またはグルコースキャプターおよび人工膵臓などの種々の処置といった抗糖尿病処置と併用することができる。経口的糖尿病処置の例としては、インスリン分泌の刺激(血糖降下性スルファミド)または同様のもの(トルブタミド、カルブタミド、グリカジド、グリメピリド、グリピジド、メトホルミン誘導体、ベンフルオレックス)、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボースおよびミグリトール)、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンなどのインスリン抵抗性の処置(チアゾリジンジオンまたはグリタゾン)、またはセロトニン取り込み阻害剤などの肥満の処置(シブトラミン)、脂質消化阻害剤(オルリスタット)、アドレナリン作動性β3受容体のアゴニスト(脂肪分解および熱発生を高める)または末梢のグルコース利用の増強(脂肪酸の酸化の低下による)、またはGPI、プラムリンタイド、IGFIおよびバナジウム誘導体であるグリニドなどの肥満の処置が挙げられる。
本発明の薬剤は、有利には相乗作用を伴って、心血管疾患(動脈性高血圧症、冠動脈性高血圧症および脳高血圧症ならびに二次的な動脈症)および/または気管支肺およびリウマチ性合併症、癌、肝機能障害の処置を意図した薬剤と併用することができる。
本発明の薬剤はまた、血糖降下性植物または食品、微量元素、特にピドール酸クロム、抗酸化薬、天然または非天然PPARアゴニスト、ステロール不鹸化物、またはそれを含有し得る生成物(植物油不鹸化物、特にダイズ油不鹸化物、植物バターまたはブチル不鹸化物およびそれらの混合物、天然ワックスの不鹸化物、オイル抽出物の不鹸化物、工業的オイル副産物の不鹸化物、動物脂肪抽出物の不鹸化物、魚油の不鹸化物、乳酸脂肪抽出物の不鹸化物、単細胞生物から抽出された脂質の不鹸化物、藻類および海洋生物から抽出された脂質の不鹸化物など)、ステロール、スタノール、植物ステロール、植物スタノール、トコフェロール、ヒマワリ油、ナタネ油および/またはヤシ油の濃縮物、ω3、6または9脂肪酸、抗脂肪栄養を一緒に、相乗作用を伴って含む。「ステロール」不鹸化物は、そのステロール、メチルステロールおよびトリテルペンアルコールの含量が不鹸化物の総重量に対して20〜95重量%、好ましくは45〜65重量%の範囲である不鹸化物である。本発明においてアルキルフランとともに使用可能な血糖降下性植物は有利には、コロハ(Trigonella graenum)、コロソリン酸(樹木Lagestroemia speciosaの葉の活性化合物)、Gymnema sylvestra、ニガウリ果実(Momormodica charantia)の果汁、ユーカリ(Eucalyptus globulus)、オタネニンジン(Panax ginseng)、ブルーベリーの葉(Vaccinium myrtillus)からなる群から選択される。
これらのアルキルフランは、有利には相乗作用を伴って、抗レトロウイルス薬、グルココルチコイド、免疫抑制薬、IFN−α、性ステロイド、THS、ピル、成長ホルモン、交感神経作用薬、心血管薬、利尿剤、β−遮断薬、カルシウム阻害剤、向精神薬などの血糖バランスを回復させるための血糖降下性食品または処置と併用することができる。
これらのアルキルフランは、有利には相乗作用を伴って、その全体的なリスクを軽減するために体重増加を引き起こす高脂血症薬または食品と、および/または血糖に作用に、より広い効果域を達成するために体重を減らす低脂血症薬または食品と併用することができる。
粘液植物は太りすぎおよび過剰な膵臓分泌に好ましい作用を示すことから、高血糖症の処置に重要な役割を果たし得る。粘液繊維の親水性は、ゲルを形成することにより炭水化物や脂質の取り込みを減らす。
本発明においてアルキルフランと併用可能な微量元素は、有利には、マグネシウム、クロム、セレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明においてアルキルフランと併用可能な抗酸化薬は、有利には、亜鉛、単独またはビタミンB12、ビタミンC、フラボノイド(緑茶など)、βカロテン、リコペンまたはルテインと併用されるリポ酸、カルノシン、N−アセチル−システイン、ダイズイソフラボン、ダイズタンパク質などの抗糖化物質からなる群から選択される。
糖尿病における酸化ストレスの増大が、血中糖レベルの上昇によって引き起こされる様々な機構を介して示されている。さらに、この酸化ストレスの増大は大血管の病変および小血管の病変(大血管障害および小血管障害)などの糖尿病合併症の発症の一因となると考えられている。
スルホニル尿素およびグリニドを含有する薬剤は、より多くのインスリンを生産するよう膵臓を助ける。スルホニル尿素は数時間のうちにインスリンレベルを上昇させる。グリニドは食事とともに摂取すると、スルホニル尿素よりも短時間でインスリンレベルを上昇させる。低血糖は、これらの処置の可能性のある作用の1つである。α−グルコシダーゼ阻害剤を含有する薬剤は消化とデンプンおよび糖の吸収を遅くし、食後の血糖上昇を緩慢にする。これらの処置の通常の副作用としては、ガスや鼓腸が挙げられるが、極めて徐々に用量を高めてこれらの副作用を軽減することができる。ビグアニドを含有する薬剤(メトホルミン)は主として肝臓に作用する。これらの薬剤は本質的に、必要がなければ肝臓が新たに糖を生産しないようにする。ビグアニド薬には副作用が起こることがあり、最も多いのは胃痛と悪心である。これらの副作用を軽減するため、ビグアニドは食事とともに摂取することが望ましい。
インスリン感受性のアクチベーターを含有する薬剤またはPPARアゴニストであるチアゾリジンジオン(TZD、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)は新たなタイプの治療薬である。この新たなタイプの経口治療薬はインスリン感受性アクチベーターまたはTZDと呼ばれる。これらの薬剤は、糖尿病の主な原因の1つであるインスリン抵抗性を処置する。インスリン抵抗性は、身体が生産するインスリンを適切に利用できない状態である。インスリン抵抗性を軽減することにより、TZDは、生産されたものであれ投与されたものであれ、インスリンをより有効に働かせ、それにより血糖の危険な上昇の軽減に寄与する。TZDの副作用としては体重増加、浮腫の形成(むくみ)および軽い貧血が挙げられる。
本発明においてアルキルフランと併用可能な低脂血薬は、有利には、スタチン系またはフィブラート系(PPARαアゴニスト)の低脂血薬からなる群から選択される。本発明においてアルキルフランと併用可能な抗肥満薬は、有利には、オルリスタット(Xenical(登録商標))およびシブトラミン(Reductyl(登録商標)またはSibutral(登録商標))からなる群から選択される。前者の食欲抑制薬(アンフェタミン、フェンフルアミン)は、副作用が多すぎて使用できない。フランスでは、肥満の処置には、オルリスタット(Xenical(登録商標))とシブトラミン(Reductyl(登録商標)またはSibutral(登録商標))の2つの薬剤で市販が認可されているだけである。オルリスタット(Xenical(登録商標))は消化管で脂肪吸収を担う酵素を妨げる作用を示す。よって、オルリスタットは食物脂肪(トリグリセリド)の約30%の吸収を妨げる。なおこれは、1日1800カロリーの摂取として、150〜200カロリー/日のカロリー減に相当する。吸収されなかった脂肪は便に排泄される。シブトラミン(Reductyl(登録商標)またはSibutral(登録商標))は、食物摂取を制御する役割を果たす脳内神経伝達物質に作用する分子である。シブトラミンは満腹感を強くする特性を有し、食物摂取を減らす。
本発明において、有利には相乗作用を伴って、アルキルフランと併用可能な抗脂肪栄養素は、甲殻類の外骨格から抽出された繊維であれるキトサンなど、脂肪の吸収を阻害する栄養素、エフェドリン(麻黄(Ma Huang Chinese herb))、カフェイン、テインおよびビターオレンジ(citrus aurantium)など、熱発生を高め得る栄養素(「脂肪燃焼物質」)、CLA(共役リノール酸、好ましくはサフラワーオイルに由来するもの)、ω3に富んだ魚油、脂質を補足するサボテンヤシ(cactus palm)、L−フェニルアラニンおよびL−チロシンなどの食欲を調節し得る栄養素の乾燥抽出物(「食欲抑制剤」)、無機物、例えば、クロム、バナジウムまたはマグネシウムなどの血糖を調節し得る栄養素、またはアーユルヴェーダ薬草のギムネマ・シルベストラ(Gymnema sylvestra)、ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)から抽出されたヒドロキシクエン酸などの脂肪生成阻害剤、およびL−カルニチンなどの脂肪を輸送し得る栄養素からなる群から選択される。
本発明のさらなる課題は、太りすぎに関連する障害の美容的処置のための、天然または合成のいずれかの1種類以上のアルキルフランを含有する化粧用組成物および/または栄養補助組成物の使用である。
本発明のさらなる課題は、セリュライトの美容的処置のための、1種類以上の天然または合成アルキルフランを含有する化粧用組成物および/または栄養補助組成物の使用である。
本発明において太りすぎは、非病的な「理想体重」に対して過剰な体重を特徴とする。本発明の美容的処置により、過剰な局部的脂肪を消失または細くすることができるが、これは治療的処置とはみなされない。
1種類以上の天然または合成アルキルフランを含有する化粧用組成物の局所適用は、妊婦または産後6ヶ月未未満の女性に特に有利であると言える。本発明のさらなる課題は痩身を促進する、特に妊婦または産後6ヶ月未未満の女性の局部太りに対処する美容的処置法である。本発明の範囲内で使用可能な組成物の利点の1つは、その毒性のために妊婦および授乳中の女性には適用できないアルコールが処方に必要でないということである。現在よく使用されている痩身剤であるカフェインは本発明では用いないアルコールに可溶化する必要がある。
本発明において「痩身」または「局部太りの対処」とは、前記のもののような皮下脂肪の形成を防ぐ、または少なくとも軽減することができる作用を意味する。この作用は特に、見苦しい過剰な、または貯め込まれた脂肪の減少、体型のスリム化、超過分の消失の加速化、良好な体の輪郭、くびれを取り戻した体型として表れる。本発明において「局部太り」に対処するための美容的処置とは、上記の作用を化視的に測定する美容的処置の使用を意味する。例えば、本発明に従って用いられる1種類以上の合成または天然アルキルフランを含有する局所的化粧用組成物は、これらの脂肪の局部的蓄積が形成される可能性のある皮膚領域、すなわち、これらの蓄積がすでに形成されているか、または形成の進行中である領域に塗布することができる。
本発明において、化粧用組成物および/または栄養補助組成物中の有効成分として使用される前記アルキルフランとしては、これまでに定義されたようなものである。
本発明においてアルキルフランは、有利には化粧用組成物の総重量に対して0.001〜25重量%の間、さらに有利には1〜10重量%の割合で用いられる。
食品サプリメントは0.001〜100重量%の本発明のアルキルフランを含み得る。食品では、使用可能な純粋アルキルフランの濃度は、食品の総重量に対して0.001〜10重量%の範囲であり得る。
本発明の化粧用組成物および/または栄養補助組成物はまた、前記のものなどの、血糖降下植物、微量元素、抗酸加薬、抗脂肪栄養素、ステロール不鹸化物もしくはそれを含有する生成物、ステロール、スタノール、植物ステロール、植物スタノール、トコフェロール、ヒマワリ油、ナタネ油および/またはヤシ油の濃縮物、ω3、6または9脂肪酸を一緒に、有利には相乗作用を伴って含み得る。
本発明の薬剤および化粧用組成物は、経口投与または局所投与に適した種々の製剤の形態で処方することができる。本発明の栄養補助組成物は、経口投与に適した種々の製剤の形態で、または食品形態で処方することができる。
これらの薬剤、化粧用組成物または栄養補助組成物を経口投与する場合には、当業者に公知の好適な医薬ビヒクル、化粧料ビヒクルまたは食品ビヒクルと混合した単位投与形または複数回投与形で投与することができる。好適な単位投与形としては特に、錠剤、任意に刻み目つき錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤および経口溶液または懸濁液が挙げられる。好適な複数回投与形としては特に、飲用ドロップ、エマルションおよびシロップが挙げられる。錠剤の製造する際、本発明のアルキルフランを、ゼラチン、タルク、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、アラビアガムまたはそれらの類似体などの許容されるビヒクルと混合する。これらの錠剤は任意にコーティング、すなわち、服用しやすくするため、あるいは貯蔵性を高めるために、スクロースなど種々の物質数層でコーティングすることもできる。これらの錠剤はまた、有効成分の放出の速度を改変することを意図して複雑性の高いまたは低い処方とすることもできる。該錠剤の有効成分の放出は、所望の吸収に対して促進、緩慢化または遅延させることができる。カプセル製剤は、本発明のアルキルフランを希釈剤と混合することにより得られる。得られた混合物を軟カプセルまたは硬カプセルに注入する。シロップ形態の製剤は、本発明のアルキルフランを甘味剤、有利にはカロリーのないもの、香味剤、および好適な着色剤とともに含み得る。水分散性の散在もしくは顆粒剤、本発明のアルキルフランを分散剤または湿潤剤、ポリビニルピロリドンなどの沈殿防止剤、または甘味剤もしくは矯味剤と混合して含み得る。
本発明の1つの変形形態によれば、これらの薬剤および化粧用組成物は局所外用を意図したものであり得る。それらはまた医薬上または化粧上許容されるビヒクルを含み得る。本発明の薬剤または化粧用組成物は、通常局所外用に用いられるいずれの剤形をとってもよい。有利には、本発明によれば、薬剤または化粧用組成物は水溶液、水和アルコールもしく油溶液、水中油エマルションもしくは油中水エマルションまたは混合型、水性ゲルもしくは油性ゲル、液体、ペースト状もしくは固体無水製品、または球体を用いた水相中油分散系(これらの球体はナノスフェアなどのポリマーナノ粒子であり得る)、およびナノカプセル、またはよりよくはイオン型および/または非イオン型の脂質小胞の形態である。これらの薬剤または化粧用組成物は流動性が高くとも低くともよく、白色または有色のクリーム、軟膏、ミルク、ローション、膏薬、血清、ペースト、フォーム、エアゾールまたはスティックの形態であり得る。
本発明の薬剤または化粧用組成物は、親水性または親油性ゲル化剤、親水性または親油性有効成分、保存剤、抗酸化剤、溶媒、香料、増量剤、ケミカルフィルターまたはミネラルフィルター、色素、キレート剤、臭気吸着剤、温泉水および着色剤など医薬分野または化粧分野で用いられる通常の添加剤も含み得る。これらの種々の添加剤の量は、医薬品および/または化粧品で便宜に用いられるものであり、例えば、薬剤または化粧用組成物の総重量に対して0.01〜20重量%である。これらの添加剤は、それらの形態に応じ、脂肪相、水相、脂質小胞および/またはナノ粒子に添加することができる。
本発明の薬剤または化粧用組成物がエマルジョンである場合、脂肪相の割合は組成物総重量の対しての5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲であり得る。エマルション形態の組成物で用いられるオイル、乳化剤および補助乳化剤は、検討下の分野で便宜に用いられるものから選択される。この乳化剤および補助乳化剤は組成物中に、組成物の総重量に対して0.3重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲の割合で存在する。本発明に従って使用できるオイルとしては、特に、鉱油、その他の植物油(アプリコット油、ヒマワリ油、プラム油)、動物起源の油、合成油、シリコン化油、およびフッ素化油(ペルフルオロポリエーテル)が挙げられる。ケチルアルコールなどの脂肪アルコール、脂肪酸、または蜜蝋などのワックスも本発明に従い脂肪として使用可能である。本発明に従って使用可能な乳化剤および補助乳化剤としては、特に、ステアリン酸PEG−40およびステアリン酸PEG−100などのポリエチレングリコールの脂肪酸エステルおよびエステル、ステアリン酸グリセリルおよび三ステアリン酸ソルビタンなどの脂肪酸およびポリオールエステルが挙げられる。本発明において使用可能な親水性 ゲル化剤としては、特に、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマーなどのカルボキシビニルポリマー(カルボマー)アクリル系コポリマー、ポリアクリルアミド、多糖類、天然ゴムおよび粘土が挙げられる。親油性ゲル化剤としては、特に、ベントンなどの改質粘土、脂肪酸の金属塩、疎水性シリカおよびポリエチレンが挙げられる。
本発明の化合物および組成物の投与方法、用量および最適な剤形は、患者または動物の齢および体重、健康状態の重篤度、処置に対する耐性、起こり得る副作用、皮膚のタイプなど、患者または動物に適した医薬的処置、獣医学的処置、美容的処置または栄養学的処置を決定する際に一般に用いられる基準に従って決定することができる。
本発明の1つの変形形態によれば、本発明のアルキルフランは、限定されるものではないが、乳製品(チーズ、バター、牛乳および乳飲料、乳製品を含有するスプレッド、アイスクリーム、およびヨーグルト)、脂肪ベースの製品(マーガリン、スプレッド、マヨネーズ、料理用油脂、天ぷら油、およびヴィネグレット)、パン、パスタなどの穀物を含有する穀類ベースの製品(これらの食品は調理されるか、オーブンで焼かれるか、加工される)、菓子類(チョコレート、スゥイーツ、チューイングガム、デザート、トッピング、シャーベット、つや出し材料、および他のトッピング)、アルコール飲料またはノンアルコール飲料(ソーダおよび他のノンアルコール飲料、果汁、食品添加物、商標Boost(商標)およびEnsure(商標)で市販されているものなどの飲料型の代用食、および種々の製品(卵、スープ、パスタ用既製ソース、調理済み食品および同様の他の製品などの加工食品を含む、食品、飲料および栄養補助食品に配合することができる。本発明の組成物は、ブレンド、注入、注射、混合、吸着、混練および噴霧などの技術を用い、特に改変することなくそのまま食品、栄養補助食品または飲料に配合することができる。また、消費者が摂取する前にその食品または飲み物に直接本組成物をかけることもできる。このような投与様式は簡単で経済的である。
以下、限定されるものではないが、実施例を示し、本発明を説明する。
実施例1:
糖尿病性抗斑点顔用化粧品(量:100g)

水 64.83
ルピンペプチド 7
アボカドのフラン不鹸化物
ブチレングリコール 3
ケチルアルコール 6
乳酸アルキルC12−13 2
鉱油 7
セテアレス20 2
ステアリン酸 1
トウグワ抽出物 1
酢酸トコフェロール 0.05
プロピレングリコール 0.56
ジドシウムEDTA 0.52
トリエタノールアミン 0.80
保存剤 0.30
クエン酸 0.25
メチルパラベン 0.11
ステアレス−20 1
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.05
亜硫酸ナトリウム 0.05
プロピルパラベン 0.03
実施例2:
糖尿病皮膚緩和用クリーム(量:100g)

医用ワセリン 6.00
硬化ヤシ油 4.00
カプリロカプリン酸グリセロール 2.00
スクロエステル7(二ステアリン酸スクロース) 6.00
スクアラン 1.00
カンデリラ蝋 2.00
スクロエステル11(ステアリン酸スクロース) 0.50
2−アルキルフラン 2.00
ヒマワリ濃縮物 2.00
グリセロール 5.00
グルコデキストリン 1.00
トロメタミン 0.01
キサンタンガム 0.20
ヒドロキシメチルグリシネートA 0.60
クエン酸 0.32
シクロメチコノール 5.00
セラミド/コレステロール 0.60
精製水 5.00
実施例3:
糖尿病皮膚用保護クリーム(量:100g)

スクアラン 1.00
エリスリチルエステル 4.00
ペンタン酸デシル 4.00
セテアリルグルコシド 2.00
ラウリルエーテル23OE 1.00
Cutina CBSV 1.00
蜜蝋 0.50
ミリスタミリスチル 1.00
保存剤 0.30
高粘度ワセリン 5.00
ゲル化スクアラン 3.00
アボガドのフラン油 10.00
精製水 56.51
フェノキシエタノール 0.80
ナトリウムEDTA 0.10
クエン酸 0.14
ソルビン酸カリウム 0.45
グリセリン 5.00
増粘剤 0.50
水酸化ナトリウム 0.30
ポリアクリルアミドゲル60° 1.00
酢酸ビタミンE35° 0.50
香料 0.50
ルピンペプチド 1.00
シクロメチコノール 7.00
シリカT102 1.00
ゲニステイン85% 0.10
PEG300 0.90
実施例4:足用クリーム(量:100g)

モンタノブ 68.3
アムフィソールK 0.50
ミグリオール812 6
保存剤 0.30
シアバター 1
アボカドのフラン油
2−アルキルフラン
Na EDTA 0.10
クエン酸 0.01
保存剤 0.40
ブチレングリコール 1
ゲル化剤 0.25
水酸化ナトリウム 0.4
グルコン酸マンガン 0.05
亜鉛塩 0.10
精製水 一定量とする
実施例5:
血糖症および高コレステロール血症調節用処方物
*高コレステロール血症および高トリグリセリド血症
フェノフィブラート 200mg
アボカドのフラン不鹸化物 100mg
帯入りカプセル剤用賦形剤 一定量とする
*体重増加および血糖症を調節するための栄養補助軟カプセル剤
多不飽和魚類脂肪酸 1000mg
アボカドのフラン油 500
クロム 1
パイナップル 50
リンゴペクチン 50
賦形剤 一定量とする
*低脂血および高糖尿病薬
アトルバスタチン 10〜40mg
2−アルキルフラン 33〜100mg
賦形剤 一定量とする
*肥満の処置
粘液(アルギン酸ナトリウム) 500mg
魚油 500mg
アボカドのフラン不鹸化物 100mg
亜鉛塩 1mg
オルトシフォン 325mg
ヒバマタ 50mg
軟カプセル用賦形剤 一定量とする
実施例6:栄養補助粉末(量:100g)
シクリデキストリンに吸着させたアボカドのフラン不鹸化物 50.00
スターチ1500 49.40
ステアリン酸マグネシウム 0.60
実施例7:痩身クリームゲル(量:100q)
カルボポールEtd 2020 0.6
キサンタンガム 0.15
ゲニステイン85% 0.1
アルコール+カフェイン 3.6
NaOH 0.001
保存剤 0.9
アボカドの不鹸化物
グルコデキストリン 2
香料 0.7
ケイ素 0.3
精製水 一定量とする
実施例8:糖尿病脚用衛生ワイプ(量:100g)
ポロキサマー184 1.0000
香料 0.2000
精製水 91.1550
PEG−32 4.0000
保存剤 1.0000
クロルヘキシジン 0.1500
フェノキシエタノール 0.1000
アラントイン 0.2000
2−アルキルフラン 1.0000
可溶化剤 1.0000
トロメタミン 0.1950
実施例9:
2−アルキルフランの代謝への影響に関する試験
1)供試品
試験するアボカド不鹸化物のフラン精製画分は、Laboratoires Expanscienceより商品名アボカドフラン(登録商標)(AV102)(98重量%の8−11−シス−シス−ヘプタデカジエニル−2−フランを含有する)で販売されている。
2)実験プロトコール
本発明らは高脂肪/高ショ糖食(HF/HS)で肥育された雄成体マウス(6週齢)を使用した。6週齢のマウスにHF/HS食の給餌を始め、試験期間中続けた。本試験は2つの座標軸に沿って実施した:
予防:HF/HS食の給餌を開始次第、本製品を投与した;
管理(治療):HF/HS食開始の12週間後に本製品を投与した。
総処置時間(予防および治療):23週間。
各実験群を10個体のマウスで構成し、本試験では8つの実験群を設けた:
2つの対照群:・陰性対照:マウスには通常食を与えた
・陽性対照:マウスにはHF/HS食を与えた
2つの参照群 ・HF/HS+TZD食(チアゾリジン−ジオン(ロシグリタゾン−PPARαアゴニスト):10mg/kg/日
・TZDを10mg/kg/日にて12週間の後HF/HS食
2つの処置群:・HF/HS食+食餌総重量に対して0.1重量%のAV102
・HF/HS食+重量濃度0.25%のAV102
D−7(すなわち、HF/HS食開始の7日前)に一部の動物(n=5)での腹腔内糖負荷試験か、または他の動物(n=5)での静脈内インスリンに対する感受性試験のいずれかによる糖耐性の解析を行うことで各試験を開始した。D=0に血液サンプルを採取して、総ての脂質およびリポタンパク質パラメーターについての基本条件値を得た後、体重とは無関係にマウスを無作為に分けた。各マウスの体重と食餌摂取量を週2回測定した。3週、8週、15週および23週に一晩絶食後採血した。12週および18週に一部の動物(n=5)に対して腹腔内糖負荷試験を行い、他の動物(n=5)に対して静脈内インスリンに対する感受性試験を行った。19週に脂質組成の解析(トリグリセリド測定)のために糞便を採取した。14週(予防)および20週(予防および治療)に麻酔をかけた動物でDexascan分析を実施して、骨中無機質密度、骨格重量および脂肪量を測定した。21週および22週に間接熱量測定法によりエネルギー消費量を測定した。さらなる解析のために、試験終了時(23週)に動物を犠牲にし、その動物の肝臓、腸、脂肪組織および筋肉を摘出し、それらの重さを量り、冷凍し、温度−80℃で保存した。組織学的分析用にも肝臓と脂肪組織を調製した。
3週、8週、15週および23週に次の血液検査を実施した:血漿脂質(総コレステロール、トリグリセリド、高密度リポタンパク質(HDL)「善玉」コレステロール、低密度リポタンパク質(LDL)「悪玉」コレステロール、遊離脂肪酸);グルコースおよびインスリン;レプチン、TNF−α;トランスアミナーゼおよびアルカリ性ホスファターゼ(肝臓毒性)。続いて以下を分析した:リポタンパク質特性(サイズ排除クロマトグラフィーにより);アポリポタンパク質A1(apolipoportein A1);肝臓の脂質組成(肝臓トリグリセリド、コレステロールおよび遊離脂肪酸);肝臓および脂肪組織の組織学的分析;肝臓に蓄積された脂質の着色。
3)結果
マウスによって理論的に取り込まれるAV102の量は0.1%AV102 160mg/kg/日(食餌4g/日を摂食する25gのマウス)および400mg/kg/日(食餌4g/日を摂食する25gのマウス)である。治療期および予防期中にマウスによって事実上摂取された量を以下の表2に示す:
Figure 2008501004
1.摂餌量と体重増加
種々の処置によるマウスの通常の摂食行動への影響がないことが実証された。また、AV102(0.1%または0.25%)を含有するHF/HS食を受けたマウスの体重が減少することも分かった。これらの結果を以下の表3に示す:
Figure 2008501004
以下の表4では、種々のHF/HS食(通常食/HF/HS食単独/TZDを含有するHF/HS食および0.1%または0.25%AV102を含有するHF/HS食)を受けたマウスの処置前(予防0週、治療12週)の体重に対する処置20週間後の体重の比率を示す。
Figure 2008501004
摂餌量
予防群:0.1%AV102(±3.7グラム)を含有するHF/HS食を受けたマウスでは、通常とほとんど変わらない消費が観察された。0.25%AV102を含有するHF/HS食を受けたマウスでは、D56まで通常の消費が観察されたが、その後わずかに低下が見られた後、処置終了時には通常の消費量に戻り、結果への影響は何らない(平均消費量3G:TZDも同様)。
治療群:有効成分、特に0.25%AV102(4g 対照群、3g TZD 0.1%AV102、2.5g 0.25%AV102)の影響が観察された。
体重増加
予防群:0.1%AV102を含有するHF/HS食を受けたマウスでは、体重の11%減少、すなわち標準体重への復帰が観察された。0.25%AV102を含有するHF/HS食を受けたマウスでは、32%の体重減少が観察され、処置終了時にはこれらのマウスの体重は通常食を受けたマウスの体重よりも軽かった。
→AV102は体重の増加を阻み、HF/HS食において(濃度0.25%において早ければ処置の初期に)実質的な体重の減少をもたらす。
治療群:HF/HS食単独を受けたマウスでは体重が12%増加した。それらのマウスの食餌にTZDを添加しても太りすぎのマウスの体重の減少は起こらなかった。食餌に0.1%AV102を添加した場合には11%体重減少が起こり、標準体重へ戻った。0.25%AV102を添加した場合にはマウスにおいて33%体重減少、すなわち、標準と比べて実質的な体重の減少が起こった。
→AV102は(ほぼすぐの)用量/時間効果によって初期に太りすぎのマウスの体重を減少させ、それにより実質的な体重の減少をもたらすことができる。
2.血液パラメーター
・脂質
HPLC法を用いて種々のコレステロールの血中濃度と種々の成分を分析した。
Figure 2008501004
予防群:TZDによる処置の3週間、8週間、15週間および23週間後に総コレステロール、HDLコレステロール濃度の大幅な低下が観察された。この群ではLDLコレステロール濃度においても低下傾向を示した。こうした低下は血漿リポタンパク質特性においても認められ、この血漿リポタンパク質特性では8週および15週にHDL、LDLおよびVLDL(超低密度リポタンパク質)コレステロール成分の低下を示している。
0.1%AV102で処置したマウスでは総コレステロールが処置の3週間後および15週間後に増加し、0.25%AV120で処置したマウスでは処置の3週間後、15週間後および23週間後に増加した。どちらの量においてもAV102で処置したマウスではリポタンパク質特性は、8週および15週にて、HDLコレステロール成分の増加とLDLおよびVLDLコレステロール成分の減少を示した。
TZDおよび0.1%AV102での処置の8週間後にトリグリセリドの血漿濃度が大幅に低下したが、これらの製品での処置の15週間後および23週間後にそれ以上の低下は見られなかった。0.25%AV102での処置の3週間後、8週間後、15週間後および23週間後にコレステロール濃度の大幅な低下が観察された。
遊離脂肪酸の濃度については大きな変化は見られなかった。
治療群:TZDでの処置の3週間後および11週間後に総コレステロール、HDLおよびLDLコレステロール濃度の低下が観察された。これらのマウスのリポタンパク質特性でも3週間の処置後にHDLおよびVLDLコレステロール成分の減少を示した。
どちらの量においてもAV102で3週間および11週間処置したマウスでは総コレステロールが増加に向かう傾向にあった。0.25%AV102で11週間処置したマウスのリポタンパク質特性は、LDLコレステロール成分の増加とHDLおよびVLDLコレステロール成分の減少を示した。
0.25%AV102で処置したマウスでは3週間後および11週間後にトリグリセリド濃度が大幅に低下した。TZDおよび0.1%AV102ではトリグリセリド濃度において変化は見られなかった。
どちらの量においてもAV102での処置の10週間後に遊離脂肪酸濃度が低下した。
よって、アボカドフランは、特に0.25%において:
・予防的にも治療的にも増加を抑え、トリグリセリドの非常に大きな減少をもたらし、
・総コレステロール、HDLを増加させ、LDL、VLDLを減少させ、TZDはTGに対してほとんどまたは全く作用しないが、総コレステロールを減少させる。
グルコース
A−血糖分析
予防群:3週間後、各処置群において血糖値が低下した。どちらの処置量においてもAV102で処置したマウスでは8週、15週および23週にこの低下がなお観察された;一方、TZDで処置したマウスではこの低下はもはや観察されなかった。
TZDは「本質的な」高血糖を引き下げ、標準へと復帰させる。AV102は0.25%量にて、非常に大きく、かつTZDよりも効果的に作用する。
3週および23週にて種々の群の血糖の発生率を通常食群の血糖と比べて検討すると、総ての有効成分には、高栄養食が原因で起こる高血糖に対する作用がある。AV102は試験期間を通じてその供与量効果が極めて有利に作用する化合物である。
治療群:TZDおよび0.25%AV102での処置の3週間後および11週間後に血糖値が大幅に低下した。
B−糖耐性(IPGTT)
IPGTT=腹腔内糖耐性試験(空腹時)。
肥満児では異常な非常に高い糖耐性が見られると考えられている。さらに、この高糖耐性はインシュリン抵抗性を伴う場合が多い。
プロトコール:絶食マウス、
T0における血糖の測定、
グルコースの腹腔内注射、
注射後15分、30分、45分、60分、90分、120分および180分で
の血糖の測定、
予防群では1週、12週および18週、治療群では18週の動態。
予防群:IPGTT試験の結果は、HF/HS食+0.25%AV102を受けたマウスにおける12週および18週での曲線下面積値(AUC)の低下を示している。TZDを含有するHF/HS食を受けたマウスではAUCの大幅な減少はない。
HF/HS食は糖耐性を高めるが、TZDは糖耐性を低下させる:12週ではAUCはHF/HS食と通常食の中間に値する。TZDは、18週にはHF/HS食の影響を完全に相殺し、通常の動態に復帰させる。0.1%および0.25%AV102:12週および18週においてTZDを用いた場合を上回る、HF/HSに対する糖耐性の大幅な低下。この時点で曲線は通常の動態を下回る位置にある。
治療群:IPGTT試験の結果は、予防群において観察された結果と同じ特性を示している:0.25%AV102で6週間処置したマウスではAUCの減少が見られる。
HF/HS食は強い糖耐性を生じさせる。
TZDはすでに確立されている食餌誘導性糖耐性には作用しない。0.1%および0.25%AV102は供与量効果によりこの耐性に対して最も有利に作用する。
C−インスリン感受性(予防群)
糖尿病患者は高血糖を引き起こすインシュリン抵抗性の増加に苦しんでいる。用いた試験は腹腔内インスリン感受性試験−IPISTである。
プロトコール:絶食マウス、
T0における血糖の測定、
インスリンの腹腔内注射、
注射後0分、15分、30分、45分、60分および90分での血糖の測定、
予防群での1週および12週の動態。
HF/HS食はインスリンに対する感受性を低下させるが、TZDはインスリンに対する感受性を回復させる(15分)。0.1%および0.25%AV102で処置したマウスではインスリン感受性の大幅な増強が観察される。
別の結果を以下の表6に要約している:
Figure 2008501004
(グルコースの代謝への影響についての)結論として、アボカドフラン(avocadifurane)を使用して、
前糖尿病マウスの血糖を低下させること、
HF/HS食によって引き起こされた耐糖能異常を治療すること、さらに
インスリン感受性を回復させること
ができる。
アボカドフランは前糖尿病マウスや肥満マウスにおいてTZDよりも優れた糖代謝調節を可能にする。
肝代謝
トランスアミナーゼ(ALATおよびASAT)は種々の処置によって改変されない。総ての群においてアルカリ性ホスファターゼ(ALP)の増加が認められた。この増加は0.25%AV102群においてとりわけ強い。対照群ではALPが試験を通じて最も大きな低下を示し、これが間違いなく動物の老化に関連する骨代謝回転の低下の表れであることにも留意すべきである。
TZD群およびAV102群における極めて緩やかといえる血漿ALPの増加は、他の肝臓酵素(ALATおよびASAT)が種々の処置によって改変されなかったことから、肝臓毒性を反映していないように思われる。
この結果は、Dexascanによって明示される骨密度の低下とさらに深く関連しているように思われる。
3.脂肪
予防群:動物の体脂肪指数はAV102 314±72mg/kg/日(14週および20週)および136±24mg/kg/日(20週)により大幅に低下した。TZDではこのパラメーターへの影響はなかった。また、AV102ではどちらの量においてもレプチンの減少が観察された。
治療群:体脂肪指数はAV102 183±42mg/kg/日での処置の8週間後に低下したが、94±10mg/kg/日では低下しなかった。レプチンに対する影響は見られなかった。
4.他のパラメーター
骨密度:予防群では(どちらの量においても)14週および20週に低下し、治療群(0.25%AV102)でも低下した。
体温:予防群では変化なし。TZDおよびAV102での治療群ではわずかに上昇。
エネルギー消費量(熱量測定法):変化なし。
トリグリセリド:AV102では肝臓および筋肉において大幅な減少(予防:0.25%AV102、治療:0.25%AV102)。予防群では0.1%AV102により、糞便において増加。
5.組織の重量
予防群:AV102により褐色脂肪組織重量において大幅な減少(>TZD)が観察された(用量依存効果)。絶対的には肝臓重量において変化が認められなかった。また絶対的には、TZDおよびAV102により筋肉量の減少が観察された(AV102>TZD)。
治療群:0.25%AV102で処置したマウスでは褐色脂肪組織重量において大幅な減少が観察された。絶対的には、肝臓重量において変化が認められなかった。筋肉量の絶対値の比較では、異なる群間に有意差はない。
6.組織学
予防群および治療群では、0.25%AV102で処置したマウスの肝臓において脂質の蓄積の減少が観察された。
ミトコンドリアの標識:総ての処置群においてHF/HSに対する標識の増加が観察された。治療群では0.25%AV102により最大の効果が認められた。
7.mRNAの解析
各群5個体のマウスにおいて、リアルタイムQ−RT−PCR解析を用いて肝臓での8個の遺伝子のmRNA発現を判定した。これらの結果を表7に示す。
ACO=アセチルCoAオキシダーゼ
PEPCK=ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ
GSH−S−トランスフェラーゼ=グルタチオン−S−トランスフェラーゼ
CYP7A1=シトクロムP450 7A1
ME=リンゴ酸酵素、FAS=脂肪酸合成 ACC=アセチル−CoAカルボキシラーゼ
Figure 2008501004
0.25%AV102はin vivoにてPPARαアゴニストやPPARγアゴニストを活性化する。0.25%AV102は、TZDと同様に、PXRも活性化する。最後に、0.25%AV102は脂質や糖の代謝に関与する酵素の発現を増強して、HF/HS食によって生じた病理学的効果を標準化する。
各群5個体のマウスにおいて、リアルタイムQ−RTR−PCR解析により褐色脂肪組織(BAT)および筋肉での3個の遺伝子のmRNA発現を判定した。これらの結果を表8に示す。
UCP−1=脱共役タンパク質−1
PGC−1=コアクチベーター−1 PPARγ
MCPT−1=筋肉型カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(palmitoyltranferase)−1
Figure 2008501004
0.25%AV102はBATでのβ酸化を促す。また、筋肉でのPGC−1発現の増強は筋肉内ミトコンドリアでの増加の一因となり得る。
4)結論
AV102:HF/HS食による体重の増加を防ぎ、HF/HS食を受けた肥満マウスの体重を減少させ、肝臓および筋肉におけるTGを減少させ、血糖を低下させ、糖耐性を高め、相反するコレステロールに作用をもたらし(善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールを減少させ)、肝臓および褐色脂肪組織での標的PPARαおよびγ遺伝子の発現を促す。筋肉ではPGC−1を増加させる傾向にある(このPGC−1によって筋肉内でのミトコンドリアの標識の増加が明示される可能性がある)。加えて、AV102は良好な耐容性を示す。
結論として、高フラン食によってII型糖尿病や異常脂質血症での太りすぎや肥満の危険性を制限することができ、これにより同時に心血管系疾患罹患の危険性の低下も現れるはずである。
男性の場合、考えられる適用量はAV102約60mg/日、すなわち、AV102約0.86mg/kg/日またはAV102約2.8.10−6モル/kg/日である。

Claims (5)

  1. 肥満の予防および/または治療用の薬剤を製造するための、一般式(I)で示される1種以上の合成または天然アルキルフランの使用:
    Figure 2008501004
    [R、R、RおよびRが、同一であるかまたは異なり、互いに独立に、水素、C−C35アルキル、有利にはC10−C22アルキル、C−C35アルケニル、有利にはC10−C22アルケニル、またはC−C35アルキニル、有利にはC10−C22アルキニルを表し、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルが1以上のハロゲンで、および/または、エポキシド、ヒドロキシル(−OH)、チオール(−SH)、エーテル(−OR)、第一級アミン(−NH)、第二級アミン(−NHR)、第三級アミン(−NR)、アセチル(−O−CO−R)官能基からなる群から選択される1以上の官能基で置換されていてもよく、RおよびRが互いに独立に、水素、C−C35アルキル、有利にはC10−C22アルキル、またはC−C35アルケニル、有利にはC10−C22アルケニルを表す]。
  2. 太りすぎに関連する障害の美容的処理のための、一般式(I)で示される1種以上の合成または天然アルキルフランを含んでなる、化粧用組成物および/または栄養補助組成物の使用:
    Figure 2008501004
    [R、R、RおよびRが同一であるかまたは異なり、互いに独立に、水素、C−C35アルキル、有利にはC10−C22アルキル、C−C35アルケニル、有利にはC10−C22アルケニル、またはC−C35アルキニル、有利にはC10−C22アルキニルを表し、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルが、1以上のハロゲンで、および/または、エポキシド、ヒドロキシル(−OH)、チオール(−SH)、エーテル(−OR)、第一級アミン(−NH)、第二級アミン(−NHR)、第三級アミン(−NR)、アセチル(−O−CO−R)官能基からなる群から選択される1以上の官能基で置換されていてもよく、RおよびRが互いに独立に、水素、C−C35アルキル、有利にはC10−C22アルキル、またはC−C35アルケニル、有利にはC10−C22アルケニルを表す]。
  3. 前記アルキルフランが、一般式(I)[式中、R、R、Rが水素を表し、かつ、RはC−C35アルキル、有利にはC10−C22アルキル、C−C35アルケニル、有利にはC10−C22アルケニル、またはC−C35アルキニル、有利にはC10−C22アルキニルを表し、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは1以上のハロゲンで、および/または、エポキシド、ヒドロキシル(−OH)、チオール(−SH)、エーテル(−OR)、第一級アミン(−NH)、第二級アミン(−NHR)、第三級アミン(−NR)、アセチル(−O−CO−R)官能基からなる群から選択される1以上の官能基で置換されていてもよく、RおよびRが互いに独立に、水素、C−C35アルキル、有利にはC10−C22アルキル、またはC−C35アルケニル、有利にはC10−C22アルケニルを表す]で示される2−アルキルフランであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
  4. 前記アルキルフランが、一般式(I)[式中、R、R、Rは水素を表し、かつ、Rは次の基(−R):
    Figure 2008501004
    からなる群から選択される基を表す]で示され、特にアボカドのフラン不鹸化物中に存在する天然2−アルキルフランであることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
  5. 前記天然2−アルキルフランがアボカドの不鹸化物からの精製フラン画分に由来することを特徴とする、請求項4に記載の使用。
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