JP2008311524A - 半導体レーザ駆動回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルタ定数の調整を容易に行うことが可能な半導体レーザ駆動回路を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る半導体レーザ駆動回路1は、半導体レーザ5を駆動する差動対トランジスタ12,13と、差動対トランジスタ12,13の差動出力端子間に接続されたフィルタ回路30と、差動対トランジスタ12,13の差動出力端子間に接続された負性インピーダンス回路40とを備え、負性インピーダンス回路40は、負性インピーダンスを有し、該負性インピーダンスを調整可能であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ駆動回路に関するものである。
半導体レーザでは、駆動電流の立ち上がり時に光出力波形にオーバーシュートやアンダーシュート(以下では、両者を合わせてリンギングという)が発生することがある。これは、活性層内にキャリアが注入された後に、実際にコヒーレント光が出力されまでの時間差に依存して発生する共振に起因する。この種のリンギングを抑制するために、特許文献1には、半導体レーザに並列に接続されるRCフィルタを備えた半導体レーザ駆動回路が記載されている。この半導体レーザ駆動回路では、半導体レーザの駆動電流波形をRCフィルタで整形することにより、リンギングが抑制された良好な光出力波形を得ることができる。
特公平7−7855号公報
しかしながら、この種のリンギングの大きさは個々の半導体レーザの特性ばらつきに依存するため、RCフィルタ定数を調整する必要があった。そのために、RCフィルタにおける抵抗素子や容量素子などの部品を付け替えて光出力波形を測定し、最適な部品を選択する必要があった。このように、個々の半導体レーザの特性ばらつきに対応するためには、部品の付け替えを繰り返し行う必要があり、フィルタ定数の調整に手間と時間を要していた。
そこで、本発明は、フィルタ定数の調整を容易に行うことが可能な半導体レーザ駆動回路を提供することを目的としている。
本発明の半導体レーザ駆動回路は、半導体レーザを駆動する差動対トランジスタと、差動対トランジスタの差動出力端子間に接続されたフィルタ回路と、差動対トランジスタの差動出力端子間に接続された負性インピーダンス回路とを備え、負性インピーダンス回路は、負性インピーダンスを有し、該負性インピーダンスを調整可能であることを特徴とする。
この半導体レーザ駆動回路によれば、フィルタ回路と負性インピーダンス回路との合成インピーダンスによる帯域制限によって、半導体レーザの駆動電流波形を整形することができ、光出力波形におけるリンギングを抑制することができる。
更に、この半導体レーザ駆動回路によれば、負性インピーダンス回路の負性インピーダンスを調整可能であるので、フィルタ回路と負性インピーダンス回路との合成インピーダンスによる帯域制限量を調整することができる。したがって、この半導体レーザ駆動回路によれば、フィルタ回路を構成する部品を付け替えることなく、フィルタ定数の調整を容易に行うことができる。
上記した負性インピーダンス回路は、差動対トランジスタの差動出力端子にそれぞれ接続された第1の電流端子と、該第1の電流端子に対して互いにクロスカップルされた制御端子とを有する一対の負性インピーダンス用トランジスタと、インピーダンスを有し、一対の負性インピーダンス用トランジスタの第2の電流端子間に接続されたインピーダンス回路と、一対の負性インピーダンス用トランジスタの第2の電流端子に電流を供給し、該電流を調整することによって負性インピーダンスを調整可能な可変電流源とを有していることが好ましい。
この構成によれば、インピーダンス回路のインピーダンスと負性インピーダンス用トランジスタのトランスコンダクタンスとで定まる負性インピーダンスを生じさせることができる。更に、可変電流源によって負性インピーダンス用トランジスタに流れる電流、すなわちトランスコンダクタンスを調整することによって、負性インピーダンスを調整することができる。
上記したフィルタ回路は、直列に接続されたフィルタ用抵抗素子とフィルタ用容量素子とを有し、上記したインピーダンス回路は、直列に接続された負性インピーダンス用抵抗素子と負性インピーダンス用容量素子とを有していてもよい。
また、上記したフィルタ回路は、直列に接続されたフィルタ用抵抗素子とフィルタ用容量素子とを有し、上記したインピーダンス回路は、負性インピーダンス用容量素子を有していてもよい。
本発明によれば、フィルタ定数の調整を容易に行うことが可能な半導体レーザ駆動回路が得られる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
図1は、本発明の実施形態に係る半導体レーザ駆動回路の構成を示す回路図である。なお、図1には、半導体レーザ駆動回路1と共に半導体レーザ5が示されている。図1に示す半導体レーザ駆動回路1は、変調部10と、バイアス電流源20と、フィルタ回路30と、負性インピーダンス回路40と、容量素子51,52と、抵抗素子53,54と、インダクタ61,62とを備えている。
変調部10は、差動の入力変調信号Si,Sixに基づき半導体レーザ5に差動の変調電流を供給して、半導体レーザ5を強度変調する。この変調部10は、アンプ11、差動対を構成するトランジスタ12,13、抵抗素子14,15及び変調電流源16を有している。
アンプ11は、差動の入力変調信号Si,Sixを増幅し、トランジスタ12,13のベースにそれぞれ出力する。
トランジスタ12のコレクタは、抵抗素子14を介して電源Vccに接続されると共に、容量素子51及び抵抗素子53を介して半導体レーザ5のカソードに接続されている。一方、トランジスタ13のコレクタは、抵抗素子15を介して電源Vccに接続されると共に、容量素子52及び抵抗素子54を介して半導体レーザ5のアノードに接続されている。トランジスタ12,13のエミッタは変調電流源16に接続されており、変調電流源16は接地されている。このように、変調部10と半導体レーザ5とはAC結合されている。
半導体レーザ5のアノードは、インダクタ61を介して電源Vccに接続されている。一方、半導体レーザ5のカソードは、インダクタ62を介してバイアス電流源20に接続されており、バイアス電流源20は接地されている。なお、これらのインダクタ61,62は、高周波を遮断するように作用する。
バイアス電流源20は、バイアス電流を半導体レーザ5に供給する。バイアス電流源20は、インダクタ61,62の上記した作用によって、変調電流による影響を受けることなく、安定なバイアス電流を半導体レーザ5に供給することができる。
変調部10におけるトランジスタ12のコレクタとトランジスタ13のコレクタとの間には、フィルタ回路30及び負性インピーダンス回路40が接続されている。
フィルタ回路30は、直列に接続された抵抗素子31と容量素子32とを有しており、トランジスタ12,13のコレクタ間に接続されている。フィルタ回路30は、所謂スナバ回路である。
負性インピーダンス回路40は、一対の負性インピーダンス用トランジスタ41,42と、可変電流源43,44と、インピーダンス回路45とを有している。
トランジスタ41のコレクタは、フィルタ回路30の一端及びトランジスタ13のコレクタに接続されている。トランジスタ41のエミッタは、可変電流源43に接続されており、可変電流源43は接地されている。一方、トランジスタ42のコレクタは、フィルタ回路30の他端及びトランジスタ12のコレクタに接続されている。トランジスタ42のエミッタは、可変電流源44に接続されており、可変電流源44は接地されている。
トランジスタ41,42のベースは、クロスカップルされている。すなわち、トランジスタ41のベースはトランジスタ42のコレクタに接続されており、トランジスタ42のベースはトランジスタ41のコレクタに接続されている。トランジスタ41のエミッタとトランジスタ42のエミッタとの間には、インピーダンス回路45が接続されている。
インピーダンス回路45は、直列に接続された抵抗素子46と容量素子47とを有している。
可変電流源43,44は、トランジスタ41,42に電流を供給する。可変電流源43,44は、この電流を、外部からの調整信号Scに応じて調整することができる。
次に、フィルタ回路30及び負性インピーダンス回路40について詳細に説明する。フィルタ回路30のインピーダンスZ30は、下式(1)のように求められる。
Figure 2008311524
R31:抵抗素子31の抵抗値
C32:容量素子32の容量値
同様に、インピーダンス回路45のインピーダンスZ45は、下式(2)のように求められる。
Figure 2008311524
R46:抵抗素子46の抵抗値
C47:容量素子47の容量値
負性インピーダンス回路40はインピーダンス回路45とトランジスタ41,42との直列回路であり、トランジスタの出力インピーダンスはトランスコンダクタンスの逆数で近似できるので、負性インピーダンス回路40のインピーダンスZincは、上記(2)式を用いて下式(3)のように求められる。ここでは、本発明の特徴を分かりやすくするために、トランジスタ41,42の寄生容量を無視することとする。
Figure 2008311524
gm:トランジスタ41,42それぞれのトランスコンダクタンス
上記(1)式及び(3)式より、フィルタ回路30と負性インピーダンス回路40との並列回路の合成インピーダンスZdifは、下式(4)のように求められる。
Figure 2008311524
上記(4)式によれば、第1項と第2項との符号が異なるので、合成インピーダンスZdifはフィルタ回路30のインピーダンスZ30より小さくなることがわかる。また、トランジスタ41,42のトランスインピーダンスgmが大きくなるほど、合成インピーダンスZdifが低下することがわかる。トランスインピーダンスgmの値は、可変電流源43,44の電流値により調整可能であり、電流が大きくなるほどトランスインピーダンスgmが大きくなる。
したがって、例えばC32=C47とし、R31=2/gm+R46となるように可変電流源43,44の電流を調整すると、理想的には合成インピーダンスZdifがゼロとなり、フィルタ回路30による帯域制限が半導体レーザ5の駆動電流に対して作用しないようにすることができる。また、可変電流源43,44の電流をゼロにすると、トランジスタ41,42がオフとなり、負性インピーダンス回路40がフィルタ回路30から切り離される。この場合、フィルタ回路30による帯域制限が半導体レーザ5の駆動電流に対して最大に作用する。
また、可変電流源43,44の電流を上記電流値の間に設定すると、フィルタ回路30による帯域制限が負性インピーダンス回路40によって抑制され、フィルタ回路30と負性インピーダンス回路40との合成インピーダンスZdifによる帯域制限が半導体レーザ5の駆動電流に対して作用することとなる。そして、可変電流源43,44の電流を上記電流値の間で調整すると、フィルタ回路30と負性インピーダンス回路40との合成インピーダンスZdifによる帯域制限量を調整することができる。
図2は、フィルタ回路30及び負性インピーダンス回路40の周波数に対する減衰特性を示す図である。図2には、R31=R46=50Ω、C32=C47=5pFとし、可変電流源43,44の電流を0mA〜4mAまで0.5mAステップで変化させたシミュレーション結果が示されている。
図2によれば、可変電流源43,44の電流が0mAである場合にはフィルタ回路30による帯域制限が最大に作用しているのに対して、可変電流源43,44の電流が増加するほど、負性インピーダンス回路40の負性インピーダンスが次第に作用して、フィルタ回路30の帯域制限が次第に抑制されていることがわかる。
図3及び図4は、半導体レーザの駆動電流波形のアイパターンを示す図である。図3には、可変電流源43,44の電流を0mAとした場合、すなわちフィルタ回路30による帯域制限が最大に作用している場合のシミュレーション結果が示されている。一方、図4には、可変電流源43,44の電流を適切な4mAに調整した場合、すなわちフィルタ回路30による帯域制限が適切に作用している場合のシミュレーション結果が示されている。なお、その他の条件は、図2と同様に、R31=R46=50Ω、C32=C47=5pFとしている。
図3、図4を比較して分かるように、本実施形態の半導体レーザ駆動回路では電流源43,44の電流を調整するだけで駆動電流波形、すなわちレーザ光出力波形の立ち上がり、立下り時間を調整することができる。これにより使用するレーザの特性、あるいは適用するアプリケーションによって最適なレーザ光出力波形を得ることができる。例えばリンギングが過度に現れる半導体レーザでは図3の駆動電流波形の方が望ましく、伝送速度の高いアプリケーションでは図4の駆動電流波形の方が望ましいかもしれない。
このように、本実施形態の半導体レーザ駆動回路1によれば、負性インピーダンス回路40における可変電流源43,44の電流を調整するだけで、フィルタ回路30と負性インピーダンス回路40との合成インピーダンスによる帯域制限量を適切に調整することができる。したがって、本実施形態の半導体レーザ駆動回路1によれば、フィルタ回路30を構成する部品を付け替えることなく、フィルタ定数の調整を容易に行うことができる。
その結果、本実施形態の半導体レーザ駆動回路1によれば、個々の半導体レーザ5の特性ばらつきに起因して光出力波形におけるリンギングの大きさがばらついても、適切に光出力波形のリンギングを抑制することができる。
更に、本実施形態の半導体レーザ駆動回路1によれば、アイパターンの開口度を低下させることなく、適切に光出力波形のリンギングを防止することができる。
また、本実施形態の半導体レーザ駆動回路1によれば、部品の付け替えを不要としたので、回路の集積化が可能である。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
レーザの種類によってはレーザに流す駆動電流波形がオーバーシュート気味であることが望ましいことがある。このような駆動電流波形は、負性インピーダンス回路40のインピーダンスZ45の構成を変えることで実現可能である。例えばインピーダンス回路45における抵抗素子46を削除して、すなわちインピーダンス回路45を容量素子47のみで構成した場合にはそのようなオーバーシュート気味の駆動電流波形が実現される。
図5は、半導体レーザの駆動電流波形のアイパターンを示す図である。図5には、本実施形態の半導体レーザ駆動回路1において、R46=0Ωとし、可変電流源43,44の電流を5.5mAに調整した場合、すなわちフィルタ回路30による帯域制限が不足している場合(補償不足)のシミュレーション結果が示されている。なお、その他の条件は、図2と同様に、R31=50Ω、C32=C47=5pFとしている。図5に示す駆動電流波形は、例えば面発光型レーザを駆動するのに適している。
本実施形態の半導体レーザ駆動回路1において、R46=0Ωとしても、可変電流源43,44の電流を0mAとすると、図3に示すような、駆動電流波形を得ることができる。したがって、インピーダンス回路45を容量素子47のみで構成しても、フィルタ回路30と負性インピーダンス回路40との合成インピーダンスZdifによる帯域制限量を容易に調整することができることとなる。
また、本実施形態では、負性インピーダンス回路40におけるトランジスタ41,42としてバイポーラトランジスタを用いたが、トランジスタ41,42には様々なトランジスタを用いることができる。例えば、トランジスタ41,42としてFETが用いられてもよい。
本発明の実施形態に係る半導体レーザ駆動回路の構成を示す回路図である。 フィルタ回路及び負性インピーダンス回路の周波数に対する減衰特性を示す図である。 フィルタ回路による帯域制限が最大に作用している場合の半導体レーザの駆動電流波形のアイパターンを示す図である。 フィルタ回路による帯域制限が適切に作用している場合の半導体レーザの駆動電流波形のアイパターンを示す図である。 フィルタ回路による帯域制限が不足している場合の半導体レーザの駆動電流波形のアイパターンを示す図である。
符号の説明
1…半導体レーザ駆動回路、5…半導体レーザ、10…変調部、11…アンプ、12,13…差動対トランジスタ、14,15…抵抗素子、16…変調電流源、20…バイアス電流源、30…フィルタ回路、31…フィルタ用抵抗素子、32…フィルタ用容量素子、41,42…負性インピーダンス用トランジスタ、43,44…可変電流源、45…インピーダンス回路、46…抵抗素子、47…容量素子、51,52…容量素子、53,54…抵抗素子、61,62…インダクタ。

Claims (4)

  1. 半導体レーザを駆動する差動対トランジスタと、
    前記差動対トランジスタの差動出力端子間に接続されたフィルタ回路と、
    前記差動対トランジスタの差動出力端子間に接続された負性インピーダンス回路と、
    を備え、
    前記負性インピーダンス回路は、負性インピーダンスを有し、該負性インピーダンスを調整可能であることを特徴とする、半導体レーザ駆動回路。
  2. 前記負性インピーダンス回路は、
    前記差動対トランジスタの差動出力端子にそれぞれ接続された第1の電流端子と、該第1の電流端子に対して互いにクロスカップルされた制御端子とを有する一対の負性インピーダンス用トランジスタと、
    インピーダンスを有し、前記一対の負性インピーダンス用トランジスタの第2の電流端子間に接続されたインピーダンス回路と、
    前記一対の負性インピーダンス用トランジスタの第2の電流端子に電流を供給し、該電流を調整することによって前記負性インピーダンスを調整可能な可変電流源と、
    を有することを特徴とする、請求項1に記載の半導体レーザ駆動回路。
  3. 前記フィルタ回路は、直列に接続されたフィルタ用抵抗素子とフィルタ用容量素子とを有し、
    前記インピーダンス回路は、直列に接続された負性インピーダンス用抵抗素子と負性インピーダンス用容量素子とを有する、
    ことを特徴とする、請求項2に記載の半導体レーザ駆動回路。
  4. 前記フィルタ回路は、直列に接続されたフィルタ用抵抗素子とフィルタ用容量素子とを有し、
    前記インピーダンス回路は、負性インピーダンス用容量素子を有する、
    ことを特徴とする、請求項2に記載の半導体レーザ駆動回路。
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