JP2008311041A - 非水電解質二次電池用負極およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素材料からなる負極活物質を含む焼結体からなる活物質層を有する非水電解質二次電池用負極において、焼結時の活物質層におけるひび割れや活物質層の剥離、さらには活物質層へのガスの残留といった問題の発生を防止しうる手段を提供する。
【解決手段】炭素材料からなる負極活物質を含む負極活物質スラリーを調製する工程と、前記負極活物質スラリーを集電体の表面に塗布して塗膜を形成する工程と、0.6〜7.5mmの厚さを有し、表面に凹部を有する板状部材で前記集電体と前記塗膜との積層体を挟持した状態で前記積層体を加熱して、前記塗膜を焼結する工程とを有する、非水電解質二次電池用負極の製造方法である。
【選択図】図4

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池に用いられる負極およびその製造方法に関する。
近年、環境保護運動の高まりを背景として、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、燃料電池車(FCV)の導入が強く所望されており、これらのモータ駆動用電源の開発が行われている。これらのモータ駆動用電源としては、繰り返し充放電可能な二次電池が用いられる。
二次電池としては、リチウムイオン二次電池が注目されている。リチウムイオン二次電池においては、リチウムイオンが、正極活物質と負極活物質との間を往来することによって、充放電が進行する。詳細には、リチウムイオン二次電池の充電時には、リチウムイオンが正極活物質から放出されて負極活物質中に吸蔵され、一方、放電時にはリチウムイオンが負極活物質から放出されて、再び正極活物質中に吸蔵される。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、従来、コークスやハードカーボンなどの炭素材料が提案されている。これらの炭素材料を負極活物質として用いることで、金属リチウムの結晶成長によるデンドライトの発生などの問題の発生が防止され、電池の寿命が長くなるという利点がある。
従来、かような炭素材料からなる負極活物質を電極中で結着させる目的で固形有機物からなるバインダが添加されている。しかしながら、バインダの添加量の増加は電池容量の低下に繋がることから、負極合剤を焼結することでバインダをも炭素化させて、電池容量の低下を防止する技術も提案されている。
一方、このような焼結によって電極を作製しようとすると、バインダとしての固形有機物が、焼結(炭素化)する際に収縮し、これに起因して活物質層のひび割れや集電体からの活物質層の剥離といった問題が生じる場合があった。活物質層にひび割れが生じると、ひび割れ部分にリチウムが析出し、デンドライト状に結晶成長して内部短絡を引き起こす可能性がある。また、集電体から活物質層が剥離すると、均一な集電が行われなくなり、電池性能が不安定となってしまう。
かような問題を解決すべく、炭素焼結体からなる活物質層を保持するための集電体として、所定のサイズを有するエキスパンドメタルを採用する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。かような技術を用いて電池用負極を作製する手法として、特許文献1には、炭素粉末(負極活物質)とポリビニルアルコール(バインダ)との造粒物を、集電体としての銅メッシュ(エキスパンドメタル)ともに加圧成形し、その後平滑な炭素板で挟持して熱処理する手法が開示されている。また、負極活物質やバインダの粉体を溶剤に分散させて分散液とし、これをエキスパンドメタルに塗布して圧縮成形し、焼結する手法も開示されている。
特開平10−50319号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いて非水電解質二次電池用の負極を作製しても、依然として焼結時に活物質層においてひび割れが生じたり、集電体から活物質層が剥離したりするという問題があった。また、電極の焼結時には活物質層においてガスが発生するが、特許文献1に記載の手法では、この発生したガスが活物質層と炭素板との界面から十分に抜け切らず、活物質層に残留する場合があった。このように活物質層にガスが残留すると、冷却時に充放電反応に関与しない物質が活物質を覆ってしまうというメカニズムを経て、電池のレート特性などの特性が低下する場合があった。なお、これらのひび割れや活物質層の剥離、ガスの残留といった問題は、車載を念頭に鋭意研究が進められている電極面積の大きい非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)において、顕著に発生しうる。
そこで本発明は、炭素材料からなる負極活物質を含む焼結体からなる活物質層を有する非水電解質二次電池用負極において、焼結時の活物質層におけるひび割れや活物質層の剥離、さらには活物質層へのガスの残留といった問題の発生を防止しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、負極活物質(炭素材料)を含む塗膜の加熱によって焼結体からなる負極活物質層を形成する際に、所定の厚さを有し、表面に凹部を有する板状部材で前記塗膜を挟持して加熱処理を施すことで、上述した問題の発生が防止されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、炭素材料からなる負極活物質を含む負極活物質スラリーを調製する工程と、前記負極活物質スラリーを集電体の表面に塗布して塗膜を形成する工程と、0.6〜7.5mmの厚さを有し、表面に凹部を有する板状部材で前記集電体と前記塗膜との積層体を挟持した状態で前記積層体を加熱して前記塗膜を焼結し、負極活物質層を形成する工程と、を有する、非水電解質二次電池用負極の製造方法である。
本発明によれば、炭素材料からなる負極活物質を含む焼結体からなる活物質層を有する非水電解質二次電池用負極において、焼結時の活物質層におけるひび割れや活物質層の剥離、活物質層へのガスの残留といった問題の発生が効果的に防止されうる。従って、冷却時に充放電反応に関与しない物質による活物質の被覆が最小限に抑制され、高い充放電特性を維持できる。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみには制限されない。
本発明の第1は、炭素材料からなる負極活物質を含む負極活物質スラリーを調製する工程(以下、「スラリー調製工程」とも称する)と、前記負極活物質スラリーを集電体の表面に塗布して塗膜を形成する工程(以下、「塗膜形成工程」とも称する)と、0.6〜7.5mmの厚さを有し、表面に凹部を有する板状部材で前記集電体と前記塗膜との積層体を挟持した状態で前記積層体を加熱して前記塗膜を焼結し、負極活物質層を形成する工程(以下、「焼結工程」とも称する)と、を有する、非水電解質二次電池用負極の製造方法である。以下、工程順に詳細に説明する。
(スラリー調製工程)
本工程では、負極活物質スラリーを調製する。
負極活物質スラリーは、負極活物質、および必要に応じて他の成分(例えば、バインダ、導電助剤など)を、溶媒中で混合することにより、調製されうる。
負極活物質スラリー中に配合される各成分の具体的な形態については、非水電解質二次電池の分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。以下、スラリー中に配合される各成分の代表的な構成を説明するが、下記の形態のみには制限されない。
本発明の非水電解質二次電池用負極において、負極活物質の少なくとも一部は炭素材料(前駆体炭素材料)からなる。この材料は石油ピッチやバインダーピッチ等の樹脂分をある程度含んだ炭素材料が用いられる。これにより、最終的に得られる焼結体の形状保持性や強度などの特性に優れる。炭素材料からなる負極活物質としては、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、黒鉛などが挙げられる。
また、本発明において、負極活物質は、焼成炭素材料を含んでもよい。焼成炭素材料とは、ある炭素材料(前駆体炭素材料)の焼成により得られる炭素材料である。前駆体炭素材料としては、負極活物質の一例として上述した材料が用いられうる。前駆体炭素材料の焼成により、ソフトカーボンといった形態の炭素材料が得られる。また、焼成条件についても特に制限はないが、一例を挙げると、好ましくは300〜1000℃、より好ましくは600〜950℃の温度条件で、好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜3時間加熱処理を施せばよい。また、焼成時の雰囲気は、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気などが採用され、好ましくは真空雰囲気下で加熱処理を施すとよい。
なお、負極活物質は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、焼成炭素材料とそれ以外の炭素材料とが併用される場合、負極活物質の総量に占める焼成炭素材料とそれ以外の炭素材料との配合比は、特に制限されない。一方、得られる電極の曲げ強さを向上させるという観点からは、焼成炭素材料の量を多めに設定するとよい。具体的な配合比として、好ましくは50:50〜90:10(焼成炭素材料:それ以外の炭素材料との質量%比)であり、より好ましくは60:40〜80:20であり、さらに好ましくは65:35〜75:25である。
負極活物質の平均粒子径についても特に制限はないが、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは15〜30μmである。この平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いて、一定の観察領域中に存在する粒子の粒子径を測定し、その平均値を算出することにより得られる。なお、焼成炭素材料を得るべく加熱処理を行うと、材料が凝集して粒子径が増大する場合がある。かような場合には、適宜粉砕処理や分級処理を施して、所望の粒子径を有する活物質を得ればよい。
バインダは、活物質層において活物質どうしを結着させる機能を有し、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、合成ゴム系バインダ等がバインダとして用いられうる。
導電助剤は、電極の活物質層の導電性を向上させる機能を有し、具体的には、アセチレンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などが導電助剤として用いられうる。
スラリーを調製するには、上述した各種の成分(および必要に応じてその他の成分)を、溶媒中で混合する。この際に用いられる溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。なかでも、作業上の安全性、防爆性という観点からは、水が好ましく用いられる。また、上述した各種の成分と溶媒との混合比も特に制限されず、得られる負極活物質スラリーの所望の粘度などを考慮して、適宜調整すればよい。スラリー調製に用いられる混合手段の具体的な形態についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。
(塗膜形成工程)
本工程においては、まず、集電体を準備する。準備される集電体の材質や厚さ、形状等の具体的な形態について特に制限はない。集電体の材質としては、リチウムと合金化しない金属が用いられうる。例えば、集電体は、銅、ニッケル、ステンレス、鉄、あるいはこれらの合金などから構成されうる。
後述する焼結工程における塗膜の体積収縮によるひび割れや、焼結時における集電体からの活物質層の剥離といった問題の発生を防止するという観点からは、ある程度の空孔を有する金属板が集電体として用いられることが好ましい。かような集電体の例としては、例えば、エキスパンドメタル、金網、発泡金属などが挙げられる。これらの材料の具体的な形態(孔部分のサイズ、空孔率など)についても制限されることはなく、従来公知の知見に基づき適宜選択されうる。
続いて、上述した負極活物質スラリー調製工程において調製した負極活物質スラリーを、集電体の表面に塗布する。これにより、負極活物質を含む塗膜と集電体との積層体が得られる。
スラリーを塗布する際のスラリーの塗布量や、塗布手段についても特に制限はない。スラリー塗布量は、完成した負極における負極活物質層の厚さや密度の好ましい形態を考慮して、決定されうる。ここで、本発明において得られる負極における負極活物質層の厚さ(集電体の両面に形成される場合には片面の厚さ)は、好ましくは0.08〜2mmであり、より好ましくは100〜350μmである。また、得られる負極における負極活物質層の密度は、好ましくは0.8〜1.8g/cmであり、より好ましくは1.0〜1.5g/cmである。従って、スラリー塗布量は、集電体の面積に対して固形分換算で8〜55mg/cm程度、好ましくは10〜40mg/cmといった範囲で設定されうる。
負極活物質スラリーは、製造される電極における集電体と活物質層との所望の配置形態に応じて、塗布される。例えば、製造される電極の用途が、単電池層が電池要素中に並列接続で積層された電池(積層型電池)である場合には、集電体の両面に負極活物質スラリーを塗布して塗膜を形成すればよい。なお、電池要素の最外層に位置する電極を製造する場合には、集電体の片面のみに塗膜を形成し、他方の面への塗膜の形成は割愛してもよい。
本工程においては、上述したように塗膜を形成した後、必要に応じて塗膜に乾燥処理を施してもよい。塗膜の乾燥のための具体的な手段は特に制限されず、電池の製造分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。さらに、形成された塗膜に対して、プレス処理を施してもよい。かようなプレス処理を施すと、活物質層の密度を所望の値に調整できるという利点がある。
(焼結工程)
続いて、上述した塗膜形成工程で得られた積層体に加熱処理を施す。これにより、前記積層体の塗膜が焼結し、集電体の表面に負極活物質層が形成される。その結果、最終的に非水電解質二次電池用負極が完成する。
本工程において、前記加熱処理は、前記積層体を板状部材で挟持した状態で行う。
板状部材は、少なくとも、前記積層体を挟持した際に前記塗膜と重複する(接触する)部位に、凹部を有する。
従来技術のように、平坦な板状部材で積層体を挟持した状態で焼結を行うと、焼結時に塗膜で発生したガスが塗膜(活物質層)と板状部材との界面から十分に抜け切らず、活物質層に残留する場合があり、電池の特性低下の原因となっていた。
これに対し、本発明の製造方法においては、上述したような凹部を有する板状部材で積層体を挟持して焼結処理を施すことで、塗膜の焼結時に発生するガスの活物質層への残留が抑制され、ひいては電池性能の低下が効果的に防止されうる。
板状部材の材質は特に制限されず、塗膜の焼結時に塗膜と反応したりするなど塗膜の焼結に悪影響を及ぼさない材質から適宜選択されうる。板状部材の材質としては、例えば、カーボンや金属が挙げられる。板状部材が金属から構成される場合、当該金属の融点は、後述する焼結処理時の焼結温度よりも高い必要がある。かような観点から、板状部材を構成しうる金属としては、例えば、銅、チタン、ステンレス、鉄などが挙げられる。
板状部材の有する凹部の形状について特に制限はなく、上述したガス残留抑制効果が得られるような形状から適宜選択されうる。凹部の形状の一例としては、例えば、板状部材の一方の面から他方の面に向かって貫通する貫通孔が挙げられる。本発明では、板状部材の表面から見た場合のくぼみという意味で、かような貫通孔も「凹部」の概念に含める。かような形態において、貫通孔の形状は特に制限されないが、例えば、円形、三角形、四角形、六角形、八角形などが挙げられる。当該貫通孔は、板状部材の厚さ方向に板状部材を貫通していることが好ましいが、かような形態のみには限定されず、傾斜して板状部材を貫通する貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔のサイズについても特に制限はないが、貫通孔のサイズはある程度小さいことが好ましい。具体的には、例えば、貫通孔の径は好ましくは10mm以下であり、より好ましくは7mm以下であり、さらに好ましくは4mm以下である。貫通孔の径が10mm以下であれば、焼結時に積層体を挟持する際に、積層体を均一に加圧することができる。その結果、形成される負極活物質層における厚さのばらつきの発生が防止されうる。なお、上述した作用効果を得るには、貫通孔の径は小さいほど好ましく、貫通孔の径の下限値は特に制限されないが、加工性を考慮すると、貫通孔の径は通常1mm以上である。また、貫通孔の径は、貫通孔の全長に亘って一定である必要はなく、連続的にまたは離散的に変化していてもよい。また、貫通孔の「径」とは、板状部材の塗膜に接する面における最大直径を意味する。
凹部の形状の他の一例として、例えば、溝が挙げられる。かような形態によっても、上述したようなガス残留抑制効果が得られる。溝の形状やサイズについて特に制限はないが、溝が走る方向に垂直な断面の形状としては、例えば、半円形、三角形、四角形などが挙げられる。また、貫通孔のサイズについて上述したのと同様の理由から、溝の幅は好ましくは10mm以下であり、より好ましくは7mm以下であり、さらに好ましくは4mm以下である。なお、焼結工程において積層体を均一に加圧した状態で挟持するには、溝の幅は小さいほど好ましく、溝の幅の下限値は特に制限されないが、加工性を考慮すると、溝の幅は通常2mm以上である。また、溝の幅は、溝の全長に亘って一定である必要はなく、連続的にまたは離散的に変化していてもよい。なお、溝の「幅」とは、板状部材の塗膜に接する面における最大幅を意味する。
上述したガス残留抑制効果を十分に得るには、板状部材の表面において、凹部がある程度の面積を占めていることが好ましい。かような観点から、板状部材の表面のうち、焼結時に塗膜と重複する領域に占める凹部の割合は、好ましくは5%以上であり、より好ましくは8%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。一方、上述したように、凹部が占める面積があまりに多すぎると、焼結工程において積層体を均一に加圧できなくなる虞がある。従って、板状部材の表面のうち、焼結時に塗膜と重複する領域に占める凹部の割合は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは18%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。また、凹部は、板状部材の少なくとも塗膜と接触する部位においては、部材全体に均一に存在することが好ましい。
本発明においては、板状部材の厚さが規定される。具体的には、板状部材の厚さは0.6〜7.5mmであり、好ましくは1〜6mmであり、より好ましくは1.5〜4mmである。板状部材の厚さが0.6mm未満であると、焼結時における電極の変形力を板状部材が抑えられなくなることに起因して、得られる活物質層にひび割れが生じる虞がある。一方、板状部材の厚さが7.5mmを超えると、板状部材が重くなりすぎ、得られる活物質層の密度が過剰に大きくなってしまい、電池性能が低下する虞がある。
板状部材で積層体を挟持する際には、通常2枚の板状部材で、板状部材の凹部が存在する側の面が積層体と向き合うように、積層体を挟持する。この際の板状部材と積層体との間の圧力は、好ましくは0.8〜4.5g/cmであり、より好ましくは0.8〜2g/cmである。板状部材と積層体との間の圧力がかような範囲内の値であれば、塗膜の焼結時における活物質の体積収縮に伴う電極の反りの発生が防止されつつ、形成される活物質層の密度も好ましい電池性能を発揮させるのに適切な範囲に維持されうる。
続いて、板状部材で挟持された積層体を加熱する。これにより、負極活物質を含む塗膜が焼結し、負極活物質層が形成される。
積層体を加熱する際の温度条件は、塗膜を焼結させうる温度であれば特に制限されないが、好ましくは850〜1050℃であり、より好ましくは900〜1050℃であり、さらに好ましくは950〜1025℃である。加熱温度がかような範囲内の値であれば、充放電性能に優れる負極活物質層が形成されうる。積層体を加熱する際の加熱時間についても特に制限はないが、好ましくは2〜15時間であり、より好ましくは3〜8時間である。また、積層体を加熱する際の雰囲気条件についても特に制限はない。焼結時に塗膜(負極活物質層)において発生するガスを効率的に除去するという観点からは、真空条件下(10−1Pa以下程度の減圧条件下)で加熱処理を行うとよい。ただし、場合によっては、真空条件下以外の条件下で積層体を加熱してもよく、かような場合には、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気条件下で加熱処理を施すとよい。
以上、本発明の製造方法を工程順に説明したが、上述した工程のほかにも、必要に応じて、他の工程が行われてもよい。例えば、工業的な生産過程においては、生産性を向上させるために、最終的な電池のサイズよりも大きい負極を作製し、これを所定の大きさにカットする工程が採用されうる。そのほかにも、乾燥工程などが行われてもよい。
以上の各工程を経て、非水電解質二次電池用負極が完成する。上述したように、本発明の製造方法によれば、負極活物質を含む塗膜の焼結時に発生するガスの活物質層への残留が効果的に抑制されうる。かようなガスの残留は、面積の大きい電極において顕著であるため、本発明の製造方法により得られた負極において、負極活物質層の面積はある程度大きい方が、本発明の作用効果が十分に発揮されうる。かような観点から、具体的には、負極活物質層の面積は、好ましくは100cm以上であり、より好ましくは100〜800cmであり、さらに好ましくは100〜650cmである。
また、本発明の製造方法により製造された負極は、高い抗折力を有する。「抗折力」とは曲げ応力に対する耐性を示す値であり、抗折力が大きいほど曲げ応力に対して強いことを意味する。具体的には、本発明の製造方法により製造された負極は、好ましくは100N/mm以上、より好ましくは120N/mm以上、さらに好ましくは150N/mm以上の抗折力を有する。なお、抗折力の上限値について特に制限はないが、電池特性を考慮すると好ましくは300N/mm以下程度である。また、本願における抗折力の値としては、後述する実施例に記載の手法により得られた値を採用するものとする。
本発明の製造方法により製造された負極には、後に非水電解質二次電池の負極として用いられることを考慮して、必要に応じて、その他の部材が配置される。例えば、負極を含む積層体を電池外装体の中に封入して電池を作製する場合には、電池の外装の外部に電力を取り出す目的で、電池の外部に引き出されるタブが配置される。この他にも、従来知られている知見に基づいて、得られた負極に対して種々の改良が施されてもよい。
本発明の製造方法により製造された負極は、非水電解質二次電池の負極として用いられる。すなわち、本発明によれば、正極、電解質層、および負極がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含み、前記負極が本発明の製造方法により製造された非水電解質二次電池用負極である、非水電解質二次電池である。本発明の製造方法により得られた負極においては、製造時の焼結に伴うガスの残留が抑制される結果、活物質層の表面は平坦である。そして、活物質層の密度も均一に分布している。その結果、当該非水電解質二次電池は、レート特性などの性能に優れる。
以下、上記で得られた負極がリチウムイオン二次電池に用いられる場合を例に挙げて説明する。ここで、本発明の特徴的な構成は負極にあるため、正極や電解質層の具体的な構成については、従来公知の知見が適宜参照されうる。
図1は、積層型電池10の一般的な構成を示す概略断面図である。
図1に示す積層型電池10は、正極13と負極15とが、電解質層17を介して積層されてなる積層体(単電池層)が、電池要素中に並列接続で積層されてなる構造を有する。電池要素は、電池の外装としてのラミネートシート29中に封入されている。
積層型電池10に用いられる正極13としては特に制限されず、従来一般的に用いられている正極であればよい。具体的には、正極は、アルミニウムなどからなる集電体(正極集電体33)上に、少なくとも正極活物質を含む正極活物質層が塗布されてなる構成を有する。
正極活物質としては、例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物やLiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
正極集電体33は、電池要素の端部において集められ、正極タブ25に超音波溶接などの手法によって電気的に接続されている。正極タブ25は、外部に電力を取り出すことを目的として、ラミネートシート29の外部に導出している。
積層型電池10に用いられる負極15は、上述した製造方法により製造された負極である。負極の具体的な好ましい構成については、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、負極15もまた同様に、電池要素の端部において集められ、負極タブ27に超音波溶接などの手法によって電気的に接続されている。負極タブ27は、外部に電力を取り出すことを目的として、ラミネートシート29の外部に導出している。
電解質層17を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
正極13、負極15、および電解質層17を含む電池要素は、ラミネートシート29からなる外装中に収納されている。外装としては、電池を使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止しうるものを用いるとよい。例えば、高分子フィルムと金属箔とを複合積層したラミネート素材からなるラミネートシートをその周辺部を熱融着にて接合するか、あるいは、袋状にしたその開口部を熱融着することにより密閉されてなり、この熱融着部から正極タブ25、負極タブ27を取り出す構造としたものである。
さらに、上述した非水電解質二次電池を複数個接続して、組電池を構成してもよい。
図2は、上述した積層型電池を用いた組電池の一形態を示す斜視図である。
図2に示すように、組電池40は、上記の積層型電池が複数個接続されることにより構成される。各積層型電池の正極タブ25および負極タブ27がバスバーを用いて接続されることにより、各積層型電池が接続されている。組電池40の一の側面には、組電池40全体の電極として、電極ターミナル(42、43)が設けられている。
組電池40を構成する複数個の積層型電池を接続する際の接続方法は特に制限されず、従来公知の手法が適宜採用されうる。例えば、超音波溶接、スポット溶接などの溶接を用いる手法や、リベット、カシメなどを用いて固定する手法が採用されうる。かような接続方法によれば、組電池40の長期信頼性が向上しうる。
かような組電池40によれば、上記の積層型電池を用いて組電池化することで、レート特性等の電池特性が充分に確保された組電池が提供されうる。
なお、組電池40を構成する積層型電池の接続は、複数個全て並列に接続してもよく、また、複数個全て直列に接続してもよく、さらに、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
さらに、上記の積層型電池10、および/または組電池40をモータ駆動用電源として搭載して、車両を構成してもよい。積層型電池10または組電池40をモータ用電源として用いる車両としては、例えば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの、車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。
参考までに、図3に、組電池40を搭載する自動車50の概略図を示す。自動車50に搭載される組電池40は、上記で説明したような特性を有する。このため、自動車50に組電池40を搭載することで、自動車50の出力特性が向上しうる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、一実施例を例示したに過ぎず、本発明の技術的範囲は、下記の形態に限定されない。
<実施例1>
(負極の製造)
まず、メソフェーズカーボン(全膨張率0%(JIS M 8801)、固定炭素90%、250メッシュパスしたもの)を、空気雰囲気下、300℃にて1時間酸化処理することにより、前駆体炭素材料を得た。
上記で製造した前駆体炭素材料(負極活物質、平均粒径:20μm、95質量%)、カルボキシメチルセルロース(バインダ、ダイセル化学工業株式会社製、CMC#2200、5質量%)、および水(スラリー粘度調整溶媒、適量)を均一に混合して、負極活物質スラリーを調製した。
一方、負極集電体として、銅製エキスパンドメタル(厚さ:30μm)を準備した。上記で調製した負極活物質スラリーを、準備した負極集電体の両面にコーティング装置を用いて16mg/cmの面密度(固形分換算)で塗布し、80℃にて1時間乾燥させた。その後、得られた積層体にロールプレス機を用いて30t/mの線圧でプレス処理を施し、負極活物質を含む塗膜を形成した。次いで、得られた積層体を200mm×300mmのサイズに切断した。
板状部材として、直径1mmの円形貫通孔が面積の10%に均一に存在する銅板(厚さ:1mm)を2枚準備した。上記で切断した積層体をこの2枚の銅板で0.8g/cmの圧力で挟持し、真空雰囲気下、1000℃にて2時間加熱処理を施して負極活物質を含む塗膜を焼結させて、短辺にニッケル製タブを超音波溶接して、本実施例の負極を作製した。なお、得られた負極における負極活物質層の厚さは片面につき90μmであり、負極活物質層の密度は1.25g/cmであった。
(正極の製造)
LINi(正極活物質、平均粒径:5μm、85質量%)、アセチレンブラック(導電助剤、平均粒径:0.1μm、6質量%)、PVdF(バインダ、4質量%)、およびNMP(スラリー粘度調整溶媒、適量)を均一に混合して、正極活物質スラリーを調製した。
一方、正極集電体として、アルミニウム箔(厚さ:15μm)を準備した。上記で調製した正極活物質スラリーを、準備した正極集電体の両面にコーティング装置を用いて16mg/cmの面密度(固形分換算)で塗布し、120℃にて8時間乾燥させた。その後、得られた積層体にロールプレス機を用いて1t/cmの線圧でプレス処理を施し、正極活物質を含む塗膜(正極活物質層)を形成した。次いで、得られた積層体を198mm×298mmのサイズに切断し、短辺にアルミニウム製タブを超音波溶接して、本実施例の正極を作製した。なお、得られた正極における正極活物質層の厚さは片面につき65μmであり、正極活物質層の密度は2.7g/cmであった。
(積層型電池の作製)
セパレータとして、ポリエチレン製微多孔質膜(厚さ:30μm、空孔率:55%、透気度:180s/100cc、サイズ:210mm×310mm)を準備した。
このセパレータを、一方の短辺を残すように3辺を溶接して袋状にし、その内部に上記で作製した正極を入れた。
次いで、9枚の負極と正極を含むセパレータ8組とを交互に積層して、9つの単電池層が積層されてなる電池要素を作製した。なお、最上層および最下層に位置する負極としては、外部に露出する側の面に負極活物質層が形成されていないものを用いた。
その後、負極に接続されたタブどうし、正極に接続されたタブどうしを束ね、それぞれにアルミニウム製正極タブ・ニッケル製負極タブを超音波溶接した。そして、正極タブおよび負極タブが外部に導出するように、電池要素をアルミラミネートシートからなる外装で包み、電解液を注入して、外装を真空パックして、本実施例の積層型電池を完成させた。なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との等体積混合液にリチウム塩であるLiPFが1Mの濃度に溶解した溶液を用いた。
<実施例2>
実施例1で製造した前駆体炭素材料を、真空雰囲気下、900℃にて8時間加熱処理し、粉砕することにより、焼成炭素材料を製造した。
実施例1で負極活物質として用いた前駆体炭素材料(平均粒径:20μm、75質量%)と上記で製造した焼成炭素材料(平均粒径:20μm、25質量%)との混合物を負極活物質として用いたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、積層型電池を作製した。
<実施例3>
前駆体炭素材料と焼成炭素材料との混合比を60:40(質量%比)としたこと以外は、上記の実施例2と同様の手法により、積層型電池を作製した。
<比較例1>
ハードカーボン(負極活物質、平均粒径:20μm、90質量%)、PVdF(バインダ、10質量%)、およびNMP(スラリー粘度調整溶媒、適量)を均一に混合して、負極活物質スラリーを調製した。
一方、負極集電体として、銅箔(厚さ:10μm)を準備した。上記で調製した負極活物質スラリーを、準備した負極集電体の両面にコーティング装置を用いて11mg/cmの面密度(固形分換算)で塗布し、120℃にて1時間乾燥させた。その後、得られた積層体にロールプレス機を用いて1t/cmの線圧でプレス処理を施し、負極活物質を含む塗膜(負極活物質層)を形成した。次いで、得られた積層体を200mm×300mmのサイズに切断し、短辺に銅製タブを超音波溶接して、本比較例の負極を作製した。なお、得られた負極における負極活物質層の厚さは片面につき105μmであり、負極活物質層の密度は1.0g/cmであった。
このようにして作製した負極を用い、正極活物質層の片面の厚さを60μmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、積層型電池を作製した。
<曲げ強さ評価>
上記の実施例1〜3で作製した負極について、曲げ強さを評価した。具体的には、JIS R 1601−1981に記載の「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に準拠して、負極の3点曲げ強さ(抗折力)を評価した。結果を下記の表1に示す。
Figure 2008311041
表1に示す結果から、本発明に係る電池用負極は、いずれも高い抗折力を有することがわかる。このため、本発明の電池用負極は形状保持性に優れ、大面積の電極に適用された場合であっても、作業性に優れ、正極と負極とのクリアランスを小さく設定できるという利点を有する。また、実施例1〜3の比較から、本発明に係る電池用負極においては、負極活物質に占める前駆体炭素材料の割合が大きいほど、高い抗折力を有し形状保持性に優れることがわかる。
また、上記の実施例1および2、並びに比較例で作製した電池要素についても、曲げた後に平らに戻すことで曲げ試験を行った。その結果、実施例1および2の電池要素では、曲げた後にも曲げる前と同一の形状が保持されたが、比較例の電池要素では、曲げた後に電極のずれが確認された。
<レート特性評価>
上記の実施例1および比較例1で作製した積層型電池について、負極の放電負荷特性(レート特性)を評価した。具体的には、放電負荷を変化させてその際の放電容量を測定した。結果を図4に示す。
図4に示す結果から、本発明に係る電池用負極を用いた積層型電池(実施例1)では、比較例の積層型電池と比較して、初期容量およびレート特性がともに改善されていることがわかる。
(負極の作製例)
<実施例4>
板状部材の厚さを0.7mmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、外観の良好(平坦)な負極が作製された。また、得られた負極の負極活物質層の密度は1.25g/cmであった。
<実施例5>
板状部材の厚さを7mmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、外観の良好(平坦)な負極が作製された。また、得られた負極の負極活物質層の密度は1.3g/cmであった。
<実施例6>
板状部材の有する円形貫通孔の直径を10mmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、外観の良好(平坦)な負極が作製された。また、得られた負極の負極活物質層の密度は1.25g/cmであった。
<実施例7>
板状部材として、円形貫通孔に代えて格子状の溝(開口部幅:1mm、深さ:0.5mm、面積の10%に均一に存在)を有する銅板を用いたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、外観の良好(平坦)な負極が作製された。また、得られた負極の負極活物質層の密度は1.25g/cmであった。
<実施例8>
格子状の溝の開口部幅を10mmとしたこと以外は、上記の実施例7と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、外観の良好(平坦)な負極が作製された。また、得られた負極の負極活物質層の密度は1.25g/cmであった。
<比較例2>
板状部材として、貫通孔を有しない銅板を用いたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、塗膜を焼結させるための加熱処理時に発生したガスが抜け切れず、電極と板状部材との界面に残留していることが確認された。また、得られた負極の負極活物質層の密度は1.28g/cmであった。
<比較例3>
板状部材の厚さを0.5mmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、得られた負極にはひび割れが発生していることが確認された。これは、板状部材の厚さが薄すぎることに起因して、電極の反りの力を板状部材が抑えきれずに電極が反ってしまい、その後平らにする力が加わった際にひび割れが発生したものと推測される。
<比較例4>
板状部材の厚さを8mmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、電池用負極を作製した。
その結果、得られた負極は焼結のための加熱処理時につぶれてしまっていたことが確認された。これは、板状部材が厚く重いことに起因していると考えられる。また、得られた負極の負極活物質層の密度は1.35g/cmであった。
以上の各実施例および各比較例の結果から、本発明の製造方法によれば、ひび割れを発生させることなく、表面状態の良好(平坦)な電池用負極が製造されうることがわかる。
積層型電池の一般的な構成を示す概略断面図である。 積層型電池を用いた組電池の一形態を示す斜視図である。 組電池を搭載する自動車の概略図である。 実施例1および比較例1で作製した電池についてレート特性評価を行った結果を示す図である。
符号の説明
10 積層型電池、
13 正極、
15 負極、
17 電解質層、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 ラミネートフィルム、
33 正極集電体、
35 負極集電体。

Claims (15)

  1. 炭素材料からなる負極活物質を含む負極活物質スラリーを調製する工程と、
    前記負極活物質スラリーを集電体の表面に塗布して塗膜を形成する工程と、
    0.6〜7.5mmの厚さを有し、表面に凹部を有する板状部材で前記集電体と前記塗膜との積層体を挟持した状態で前記積層体を加熱して前記塗膜を焼結し、負極活物質層を形成する工程と、
    を有する、非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  2. 前記板状部材が、前記積層体と重複する部位に、径が10mm以下の貫通孔を有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記板状部材が、前記積層体と重複する部位に、幅が10mm以下の溝を有する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記板状部材が前記積層体を挟持する際の前記板状部材と前記積層体との間の圧力が0.8〜4.5g/cmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記炭素材料が、前駆体炭素材料の焼成により得られる焼成炭素材料を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記板状部材を構成する材料が、炭素または金属である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記塗膜を焼結する際の加熱温度が850〜1050℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記塗膜を焼結する際の雰囲気条件が真空条件下または不活性ガス雰囲気条件下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された非水電解質二次電池用負極であって、前記負極活物質層の面積が100cm以上である、非水電解質二次電池用負極。
  10. 前記負極活物質層の厚さが0.08〜2.0mmである請求項9に記載の非水電解質二次電池用負極。
  11. 100N/mm以上の抗折力を有する、請求項9または10に記載の非水電解質二次電池用負極。
  12. 前記集電体の形状が、エキスパンドメタル、金網および発泡金属からなる群から選択される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  13. 正極、電解質層、および負極がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含む非水電解質二次電池であって、
    前記負極が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された負極または請求項9〜12のいずれか1項に記載の負極である、非水電解質二次電池。
  14. 請求項13に記載の非水電解質二次電池を用いた組電池。
  15. 請求項13に記載の非水電解質二次電池または請求項14に記載の組電池をモータ駆動用電源として搭載した車両。
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