JP2008310968A - 高分子発熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】PTC特性を示す発熱体の基材として、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系フィルムを用いた場合の耐久性、酸素バリア性を向上することを目的とする。
【解決手段】ベース側基材2とカバー側基材3に狭持してなる一対の電極4,4’と、これら一対の電極4,4’間に形成されたPTC特性を有する高分子抵抗体5とを備えた高分子発熱体において、前記ベース側基材2及び前記カバー側基材3の少なくとも一方が酸素バリア層を有するものである。したがって、樹脂の持つ低コスト性や易加工性、易成形性、軽量性などのメリットを損なうことなく、かつ金属やセラミックなどが示す長期安定性を有することとなり、床暖房装置などの長期耐久性が必要となる発熱体に特に有効となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子抵抗体のジュール熱を利用した高分子発熱体に関し、更に詳しくは、長期信頼性を有し、かつ低コストで作成できる高分子発熱体に関するものである。
従来から面状発熱体の発熱部として、カーボンブラックや金属粉末、グラファイトなどの導電性物質を樹脂に分散して得られたものが知られている。
なかでも導電性物質と樹脂との組合せにより、自己温度制御機能を示すPTC発熱体(正の抵抗温度特性を意味する英語Positive Temperature Coefficientの略を意味する)を用いた場合には、温度制御回路が不要となり、部品点数を少なくできるなど、メリットのあるデバイスとして知られている。
これらの構成は、図3に示すように、セラミックや絶縁処理された金属板など、筺体構造としての機能を有するベース材21上に、導電性インキ組成物を印刷、あるいは塗布して構成した電極22と、これにより給電される位置に抵抗体インク組成物を印刷、あるいは塗布して構成した抵抗体23を設け、さらに電極22及び抵抗体23を被覆するカバー材24で発熱体25を形成する。
電極22及び抵抗体23は、ベース材21やカバー材24により外界から隔離されるため、長期信頼性を付与されることとなる。ベース材21やカバー材24の間にさらに接着層を別途設けた場合も種々提案されている。
従来から、印刷により高分子抵抗体を形成してこれを発熱体として用いた例としては、露・霜除去用として自動車のドアミラーや洗面台のミラー、床暖房器具等がある(例えば特許文献1参照)。
特開2002−371699号公報
一般にベース材やカバー材として、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系の樹脂系のフィルムが用いられることが多い。これはコストや加工性、成形性、軽量性などの点で満足すべき点が多いためである。
しかしながら、金属やセラミックからなるベース材あるいはカバー材に比べ、水分劣化や酸化劣化が充分でない場合が多い。
数年レベルでの耐久性にはほとんど問題のないレベルではあるが、例えば建材用途に用いる場合には、長期信頼性を確保できる材質であることが望ましく、要求水準を満足できるバリア性能を発揮する必要がある。
本発明は樹脂の有する加工性、成形性、軽量性のメリットを損なうことなく、さらに長期信頼性に適した高分子発熱体を提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するための本発明の高分子発熱体は、ベース側基材とカバー側基材に狭持してなる一対の電極と、これら一対の電極間に形成されたPTC特性を有する高
分子抵抗体とを具備し、前記ベース側基材及び前記カバー側基材の少なくとも一方が酸素バリア層を有するものとした。
上記構成は、樹脂の持つ低コスト性や易加工性、易成形性、軽量性などのメリットを損なうことなく、かつ金属やセラミックなどが示す長期安定性を有することが特徴である。
本発明においては特に限定はしていないが、床暖房装置などの長期耐久性が必要となる発熱体に特に有効となるものである。
一般に酸素遮断性を向上させることによって、二酸化炭素や水蒸気に対するバリア性も向上させることができるため、人体と直接接触させるような用途においても積極的にこれら高分子発熱体を使用することができる。例えばシートヒータや発熱サポータなどへの応用も考えられる。
酸素バリア層としては、酸化アルミあるいはケイ素酸化物などの無機酸化物を樹脂と共にシート状やフィルム上に押出す方法などもあるが、ここではフィルム層とは別に蒸着法あるいはコーティング法などにより独立した層を形成する方法が挙げられ、例えば蒸着させる方法や、コーティングする方法がある。コーティングあるいは蒸着する材質としては、ダイヤモンドライクカーボン(以下DLC)と呼ばれる硬質炭素膜を挙げることができる。一般にDLCは、天然ダイヤモンドと同様にsp3結合とsp2結合、水素結合を含むアモルファス構造となっており、高硬度、低摩耗、耐薬品性、耐腐食性、高表面平滑性、高透明度、ガス遮断性などの特徴を有する。DLCを用いた低温での処理方法として、PETフィルム上にコーティング処理できる方法があり、本方法を利用することによって、設備規模を小さくできるため、安価な工法とすることができる。低温での処理が可能となるため、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂ベースの材料上にコーティングできる。またコーティング条件を制御することによって、種々のバリア性能を有するフィルムを得ることができる。
またベース側基材、カバー側基材に酸素バリア層を設けると共に、カバー側基材の電極及び高分子抵抗体を被覆する側の面に、共重合ポリエステル樹脂からなる接着層を設け、ラミネート処理によって電極や抵抗体を覆うことにより、水分や酸素から隔離することができるため、更なる長期安定性を示すことが可能となる。
またポリエステル層/酸素バリア層/ポリエステル層、あるいは酸素バリア層/ポリエステル層/酸素バリア層などのようなサンドイッチ構成を有する複数層からなるフィルムを用いることにより、更に酸素透過性を抑制することができ本発明において有効な手段となる。
本発明の高分子発熱体は、ベース側基材とカバー側基材の少なくとも一方に酸素バリア層を設けることにより、電極や抵抗体が酸素と接触する機会を減らすことができ、信頼性に優れた商品を提供できる。
第1の発明は、ベース側基材とカバー側基材に狭持してなる一対の電極と、これら一対の電極間に形成されたPTC特性を有する高分子抵抗体とを具備し、前記ベース側基材及び前記カバー側基材の少なくとも一方が酸素バリア層を有するものである。
したがって、樹脂の持つ低コスト性や易加工性、易成形性、軽量性などのメリットを損なうことなく、かつ金属やセラミックなどが示す長期安定性を有することとなり、床暖房
装置などの長期耐久性が必要となる発熱体に特に有効となるものである。
一般に酸素遮断性を向上させることによって、二酸化炭素や水蒸気に対するバリア性も向上させることができるため、人体と直接接触させるような用途においても積極的にこれら高分子発熱体を使用することができる。例えばシートヒータや発熱サポータなどへの応用も考えられる。
酸素バリア層としては、酸化アルミあるいはケイ素酸化物などの無機酸化物を樹脂と共にシート状やフィルム上に押出す方法などもあるが、ここではフィルム層とは別に蒸着法あるいはコーティング法などにより独立した層を形成する方法が挙げられ、例えば蒸着させる方法や、コーティングする方法がある。コーティングあるいは蒸着する材質としては、ダイヤモンドライクカーボン(以下DLC)と呼ばれる硬質炭素膜を挙げられよう。
一般にDLCは、天然ダイヤモンドと同様にsp3結合とsp2結合、水素結合を含むアモルファス構造となっており、高硬度、低摩耗、耐薬品性、耐腐食性、高表面平滑性、高透明度、ガス遮断性などの特徴を有する。DLCを用いた低温での処理方法として、PETフィルム上にコーティング処理できる方法があり、本方法を利用することによって、設備規模を小さくできるため、安価な工法とすることができる。
第2の発明は、第1の発明において、ベース側基材及びカバー側基材が、ポリエステル系フィルム層を含むものであり、基材の融点が比較的高いために、バリア層を形成するための温度範囲を比較的高温まで広げることが可能となる。
第3の発明は、特に第2の発明のポリエステル系フィルム層が、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレートからなるものであり、化学的にも機械的にも安定したフィルムを比較的容易に作成することができ、信頼性の高い高分子発熱体を得ることができる。
第4の発明は、特に第1の発明の酸素バリア層が、硬質炭素膜を含むものであり、200℃以下でコーティング処理が可能で、容易な工法で高分子発熱体を作成できる。
第5の発明は、特に第1の発明の酸素バリア層を有するベース側基材及びカバー側基材の少なくとも一方の酸素透過率を50ml/m2・day・MPa以下に設定したもので、使用時に抵抗体や電極の酸化劣化反応を長期的に抑制することができ、床暖房など比較的長期間に渡り使用されるような場合にも最適な高分子発熱体を提供することができる。
第6の発明は、特に第1の発明のカバー側基材の電極及び高分子抵抗体を被覆する側の面に共重合ポリエステル樹脂からなる接着層を設けたもので、抵抗体や電極との接着性、密着性に優れ、抵抗体や電極は容易に酸素に触れることがなく、良好な発熱特性を有する高分子発熱体を長期に渡り提供することができる。
第7の発明は、特に第1の発明のベース側基材及びカバー側基材の少なくとも一方がポリエステル系フィルム層と酸素バリア層の少なくとも一方の層を複数層含有したものにして、ポリエステル層/酸素バリア層/ポリエステル層、あるいは酸素バリア層/ポリエステル層/酸素バリア層といったサンドイッチ構成とすることにより、酸素遮断性を更に向上することができ、長期間高温使用しても信頼性の高い高分子発熱体を提供することができる。
第8の発明は、特に第1の発明のベース側基材及びカバー側基材の少なくとも一方が不織布あるいは織布からなる繊維層と酸素バリア層を有するフィルム層を積層したもので、
柔軟性、快適性に優れた高分子発熱体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1において、高分子発熱体1は、電気絶縁性のベース側基材2とカバー側基材3とに狭持された一対の電極4,4’及び、高分子抵抗体5からなる。
ベース側基材2、カバー側基材3としては、100nmのDLC膜を低温プラズマコーティング法により、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片側に作成したものを用いた。
このDLC膜を有するベース側基材12、カバー側基材13の酸素透過率を測定したところ、45ml/m2・day・MPaであり、DLCがないポリエチレンテレフタレートフィルムが750ml/m2・day・MPaであったことと比較すると、酸素透過率が約1/16となっていることがわかった。
電気的に正側と負側となる一対の電極4,4’は、ベース側基材2のDLC膜をコーティングしていない側の面に導電性ペーストを印刷、乾燥することによって形成した。
導電性ペーストは共重合ポリエステル樹脂中に導電性付与材として銀粉末を分散したものを使用している。
また、高分子抵抗体5は正抵抗温度特性を有し、エチレン酢酸ビニル共重合体とカーボンブラックの混練物をペースト化したものを、電極4,4’が形成された面に印刷、乾燥して形成したものである。
電極4,4’は、相対向するように配置された幅の広い一対の主電極部4a,4a’と、それら主電極部4a,4a’から交互に相手側に向かって複数の枝電極部4b,4b’とからなる櫛形形状になっており、これに重なるように配設した高分子抵抗体5に前記枝電極部4b,4b’から電流を流すことで発熱するようになっている。
カバー側基材3のDLC膜をコーティングしていない側の面に電極4,4’および高分子抵抗体5を被覆し、発熱体周囲を封止することにより高分子発熱体1を得た。なお封止の様子は図示していない。
上記の様に作成した高分子発熱体1は、DLC膜を外側に有するPETフィルムでサンドイッチされた構成であり、それらフィルムに追随するしなやかさを示すため、暖房用ヒータとしてフロアーマットなどに組み込まれ足元を暖たり、椅子などの座部や、背もたれ部の外面あるいは内面に装着され直接接触する人体の部位を暖めるのに使用される。
より快適な柔軟性、密着性を発現させるために、高分子発熱体1はその用途に応じて、発熱面積や発熱温度の変更が可能となることが望ましく、種々の発熱パターンを設計する必要があるが、ここではその詳細は省略する。
高分子抵抗体5はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇して、所定の温度になるように自己温度調節機能を有する。すなわち、高分子抵抗体5は高分子発熱体1に安全性が高く温度コントロールを不要とする機能を付与する。また従来の線条のヒータに比べて、PTC特性を有する高分子発熱体1は速熱性と省エネ性とを発揮することができ
る。
酸素バリア層の有効性を確認するために、80℃における耐熱性を評価したところ、80℃で20,000時間まで抵抗値変化が生じないことを、また80℃以上での加速試験の実施により、抵抗体の抵抗値はその後、高抵抗側に徐々に変化することを確認し、実使用でのレベルにおいて極めて長時間の耐久性を示すことが明らかとなった。
(実施の形態2)
図2において、高分子発熱体11は、電気絶縁性のベース側基材12とカバー側基材13とに狭持された一対の電極14,14’、高分子抵抗体15及び、接着層16とからなるものである。
ベース側基材12、カバー側基材13としては、100nmのDLC膜を低温プラズマコーティング法により、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片側に作成したものを用いた。
このDLC膜を有するベース側基材12、カバー側基材13の酸素透過率を測定したところ、45ml/m2・day・MPaであり、DLCがないポリエチレンテレフタレートフィルムが750ml/m2・day・MPaであったことと比較すると、酸素透過率が約1/16となっていることがわかった。
電気的に正側と負側となる一対の電極14,14’は、ベース側基材12のDLC膜をコーティングしていない側の面に導電性ペーストを印刷、乾燥することによって形成した。導電性ペーストは共重合ポリエステル樹脂中に導電性付与材として銀粉末を分散したものを使用している。
また、高分子抵抗体15は正抵抗温度特性を有し、エチレン酢酸ビニル共重合体とカーボンブラックの混練物をペースト化したものを、電極14,14’が形成された面に印刷、乾燥して形成したものである。
電極14,14’は、相対向するように配置された幅の広い一対の主電極部14a,14a’と、それら主電極部14a,14a’から交互に相手側に向かって複数の枝電極部14b,14b’とからなる櫛形形状になっており、これに重なるように配設した高分子抵抗体15に前記枝電極部14b,14b’から電流を流すことで発熱するようになっている。
接着層16として、融点107℃の飽和共重合ポリエステル樹脂を50μmの厚みになるように、カバー側基材13のDLC膜とは反対側の面にTダイ押出し法にて熱融着によって積層したものである。接着層16側が電極14,14’および高分子抵抗体15を被覆するようにラミネート加工した。
主電極14a,14a’間を150mmとし、枝電極14b,14b’どうしの間隔が10mmになるようにして高分子発熱体11を得た。
得られた高分子発熱体11に直流13.5V印加時の表面温度は42℃であった(外気温度20℃)。
また酸素バリア層並びに接着層の有効性を確認するために、80℃における耐熱性を評価したところ、80℃で25,000時間まで抵抗値変化が生じないことを、また80℃以上での加速試験の実施により、抵抗体の抵抗値はその後、高抵抗側に徐々に変化するこ
とを確認し、実使用でのレベルにおいて極めて長時間の耐久性を示すことが明らかとなった。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における高分子発熱体としては、実施の形態2と同様の構成を有するものを下記に示すような方法で作成した。
ベース側基材12、カバー側基材13としては、100nmのDLC膜を低温プラズマコーティング法により、厚さ75μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムの片側に作成したものを用いた。
このDLC膜を有するベース側基材12、カバー側基材13の酸素透過率を測定したところ、35ml/m2・day・MPaであり、DLCがないポリエチレンテレフタレートフィルムが750ml/m2・day・MPaであったことと比較すると、酸素透過率が1/20以下となっていることがわかった。
接着層16は、融点145℃の飽和共重合ポリエステル樹脂を50μmの厚みになるように、カバー側基材13のDLC膜とは反対側の面にTダイ押出し法にて熱融着によって積層したものである。それ以外の材料、構成、工法は実施の形態2と同一とした。
主電極14a,14a’間を150mmとし、枝電極14b,14b’どうしの間隔が10mmになるようにして高分子発熱体11を得た。
得られた高分子発熱体に直流13.5V印加時の表面温度は42℃であった(外気温度20℃)。
また酸素バリア層並びに接着層の有効性を確認するために、80℃における耐熱性を評価したところ、80℃で25,000時間まで抵抗値変化が生じないことを、また80℃以上での加速試験の実施により、抵抗体の抵抗値はその後、高抵抗側に徐々に変化することを確認し、実使用でのレベルにおいて極めて長時間の耐久性を示すことが明らかとなった。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における高分子発熱体としては、実施の形態2と同様の構成を有するものを下記に示すような方法で作成した。
ベース側基材12、カバー側基材13としては、50nmのDLC膜を低温プラズマコーティング法により、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの両面に作成したものを用いた。
このDLC膜を有するベース側基材12、カバー側基材13の酸素透過率を測定したところ、30ml/m2・day・MPaであり、DLCがないポリエチレンテレフタレートフィルムが750ml/m2・day・MPaであったことと比較すると、酸素透過率が1/25となっていることがわかった。それ以外の材料、構成、工法は実施の形態2と同一とした。
主電極14a,14a’間を150mmとし、枝電極14b,14bどうしの間隔が10mmになるようにして高分子発熱体11を得た。
得られた高分子発熱体に直流13.5V印加時の表面温度は42℃であった(外気温度
20℃)。
また酸素バリア層並びに接着層の有効性を確認するために、80℃における耐熱性を評価したところ、80℃で30,000時間まで抵抗値変化が生じないことを、また80℃以上での加速試験の実施により、抵抗体の抵抗値はその後、高抵抗側に徐々に変化することを確認し、実使用でのレベルにおいて極めて長時間の耐久性を示すことが明らかとなった。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5における高分子発熱体としては、実施の形態2と同様の構成を有するものを下記に示すような方法で作成した。
ベース側基材12、カバー側基材13として、ポリエチレンテレフタレート繊維を交絡させた不織布上に融点が180℃のオレフィン系熱可塑性エラストマを50μmの厚さのフィルム上に成形したものを用いた。
この基材のフィルム面に、50nmのDLC膜を低温プラズマコーティング法により作成した。このDLC膜を有するベース側基材12、カバー側基材13の酸素透過率を測定したところ、50ml/m2・day・MPaであり、DLCがないオレフィン系熱可塑性エラストマが1,000ml/m2・day・MPaであったことと比較すると、酸素透過率が約1/20となっていることがわかった。それ以外の材料、構成、工法は実施の形態2と同一とした。
主電極14a,14a’間を150mmとし、枝電極14b,14bどうしの間隔が10mmになるようにして高分子発熱体11を得た。
得られた高分子発熱体に直流13.5V印加時の表面温度は42℃であった(外気温度20℃)。
また酸素バリア層並びに接着層の有効性を確認するために、80℃における耐熱性を評価したところ、80℃で22,000時間まで抵抗値変化が生じないことを、また80℃以上での加速試験の実施により、抵抗体の抵抗値はその後、高抵抗側に徐々に変化することを確認し、実使用でのレベルにおいて極めて長時間の耐久性を示すことが明らかとなった。
以上のように、本発明にかかる発熱体は、高分子と導電性カーボンからなる高分子抵抗体と電極をベース側基材、カバー側基材でサンドイッチすると共に、ベース側基材及びカバー側基材の少なくとも一方に酸素バリア層を設けることによって、長期信頼性を有する発熱体を低コストで提供可能となり、また量産性に優れた商品を提供できる。
(a)は本実施の形態1における高分子発熱体の構成を示す平面図、(b)は(a)のX−Y断面図 (a)は本実施の形態2における発熱体の構成を示す平面図、(b)は(a)のX−Y断面図 (a)は従来の発熱体を示す平面図、(b)は(a)のX−Y断面図
符号の説明
1,11 高分子発熱体
2,12 ベース側基材
3,13 カバー側基材
4,4’,14,14’ 電極
5,15 高分子抵抗体
16 接着層

Claims (8)

  1. ベース側基材とカバー側基材に狭持してなる一対の電極と、これら一対の電極間に形成されたPTC特性を有する高分子抵抗体とを具備し、前記ベース側基材及び前記カバー側基材の少なくとも一方が酸素バリア層を有することを特徴とする高分子発熱体。
  2. 前記ベース側基材及び前記カバー側基材がポリエステル系フィルム層を含むことを特徴とする請求項1記載の高分子発熱体。
  3. 前記ポリエステル系フィルム層がポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレートのいずれかの樹脂からなることを特徴とする請求項2記載の高分子発熱体。
  4. 前記酸素バリア層が硬質炭素膜を含むことを特徴とする請求項1記載の高分子発熱体。
  5. 前記酸素バリア層を有する前記ベース側基材及び前記カバー側基材の少なくとも一方の酸素透過率を50ml/m2・day・MPa以下となるように設定した請求項1記載の高分子発熱体。
  6. 前記カバー側基材の電極及び高分子抵抗体を被覆する側の面に共重合ポリエステル樹脂からなる接着層を設けた請求項1記載の高分子発熱体。
  7. 前記ベース側基材及び前記カバー側基材の少なくとも一方がポリエステル系フィルム層と酸素バリア層の少なくとも一方の層を複数層含むことを特徴とする請求項1記載の高分子発熱体。
  8. 前記ベース側基材及び前記カバー側基材の少なくとも一方が不織布、あるいは織布からなる繊維層と酸素バリア層を有するフィルム層を積層してなる請求項1記載の高分子発熱体。
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