JP2007227281A - 柔軟性ptc発熱体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の樹脂層2と、第1の繊維層1を積層してなる基材3と、前記基材3の前記樹脂層2の面に形成されてなる一対の電極4と、前記一対の電極4の面に形成されるPTC抵抗体5と、前記基材3と前記電極4と前記PTC抵抗体5の表面全体を被覆すると共に、前記第1の樹脂層2に熱融着可能な第2の樹脂層7と第2の繊維層8を積層してなる被覆材10と、前記一対の電極の端部に形成された一対の給電部6よりなり、前記第1の繊維層及び前記第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、加熱時に接着機能を示す樹脂組成物9を含有してなる柔軟性PTC発熱体を提供する。
【選択図】図1
Description
基材50及び被覆材54としてポリエステル系樹脂からなるフィルムを用いる場合には被覆材54に例えばポリエチレン系の熱融着性樹脂55を予め接着しておき、熱を与えながら加圧する(熱時加圧)ことにより、基材50と被覆材54とを熱融着性樹脂55を介して接合される。これにより、櫛形状電極51、52及び高分子抵抗体53は外界から隔離され、長期信頼性を付与される。前記した熱時加圧の手段としては、2本の加熱ロールからなるラミネーターなどを用いるのが一般的である。
これらPTC特性を有する発熱体は、PTC抵抗体をペースト状に加工することにより、フィルムや不織布上に印刷することが可能であるため、従来から用いられている金属線などを用いた線状ヒータに比べ、発熱体自身の厚みを薄くできる、といったメリットを有している。
が、外れたり、ずれたりしないように接着する必要があるが、発熱体として充分な柔軟性を有していても、接着に用いる接着剤や接着工法により突っ張り感や異物感を生じることとなり、完成品の柔軟性が損なわれる可能性があった。
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ウエアや椅子、シート、ハンドル、グリップ、カーテンなどに装着した場合にも、異物感を感じることのない柔軟性を維持することにある。
上記した構成は繊維層が粘着剤を有するため、ウエアや椅子、シートなどに装着する場合に、さらに接着剤や接着工法を発熱体との間に追加する必要がなく、発熱体自身の柔軟性を保持したまま、器具に装着することができるため、人が発熱体に触れた場合にも異物感を生じることなく、快適な使用感を得ることができるものである。通常の粘着剤であれば、室温状態で接着性を示すため、取り扱い時には剥離紙などで予め粘着剤をカバーしておくなどの必要があるが、本発明では、加熱時に接着機能を発現するため、室温状態でそれらを表面に有した状態で保持していても、被着部以外に接着することはなく、接着面も室温では接着性を示さないので取扱いが容易である。
加熱時の温度領域としては、取付け前の発熱体が曝されない程度以上の温度であれば構わないが、一般的に積極的に加熱手段を有した時の温度が好ましく、90℃以上であることが望ましい。また上限温度としては、用いる樹脂組成物の劣化開始温度に超えないことが好ましく、180℃以下であることが望ましい。
の端部に形成された一対の給電部とを有し、前記第1の繊維層または前記第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、加熱時に接着機能を示す樹脂組成物を含有してなる柔軟性PTC発熱体である。
第3の発明は、特に、第1または第2のいずれか1つの柔軟性PTC発熱体において、第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層に含まれるホットメルト型接着剤が、ポリエステル系である。
ポリエステル系のホットメルト型接着剤を用いることにより、耐熱性に優れ、柔軟性と伸縮性を両立させることができ、また充分な接着強度を発現できる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの柔軟性PTC発熱体において、第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層に含まれるホットメルト型接着剤が、室温状態でシート型形状を有するものであり、本発明の発熱体の表面となる第1及び/または第2の繊維層と一体化させた状態で形成することが容易となる。
第5の発明は、特に第1〜第4のいずれか1つの発明の柔軟性PTC発熱体において、第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、難燃性を有するものであり、発熱体の機能として柔軟性、接着性を有するうえに、更に難燃性能を示すことにより、用途拡大を更に進めることが可能となる。
第6の発明は、特に第1〜第5のいずれか1つの発明の柔軟性PTC発熱体において、第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、リン系難燃剤、窒素系難燃剤のいずれかまたはこれらを組み合わせてなる難燃成分を有するものであり、ハロゲン系の難燃剤を使用することなく、比較的安価な汎用性の難燃材料によって、発熱体の難燃化を実現できるため、難燃化を必要条件とする部位にも本発熱体を使用することができる。第7の発明は、特に第1〜第6のいずれか1つの発明の柔軟性PTC発熱体において、第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、長繊維を特定方向に揃って配列させた層と、繊維交絡によって形成された不織布よりなるものであり、充分に薄く軽い素材を用いて、特定方向に対する伸縮性を制限した基材を効率よく得ることができる。第8の発明は、特に第1〜第7のいずれか1つの発明の柔軟性PTC発熱体において、第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方が、ポリエステル系不織布よりなるものである。ポリエステル系の素材は、熱収縮が小さく、強度が大きいために、第1の樹脂層あるいは第2の樹脂層を補強する繊維層として適性を示すものである。また抵抗体を形成する工程での温度、張力、薬品に対する抵抗力が強く、さらに高絶縁性や低吸湿性などPTC抵抗体にとって不可欠な物性を併せ持つ素材である。ポリステル系の素材を用いることにより、伸縮性を示しながら安定な抵抗特性を示すだけでなく、極めて信頼性の高い抵抗体を得ることができる。
第9の発明は、特に第1〜第8のいずれか1つの発明の柔軟性PTC発熱体において、第1の樹脂層が、オレフィン系熱可塑性エラストマを含有してなるものである。オレフィン系熱可塑性エラストマは、エチレン、プロピレン、エチレンプロピレンなどからなる熱可塑性エラストマであり、エラストマ性状を有すると共に、抵抗体を形成する工程での温度や薬品に対する抵抗力が強く、さらに低吸湿性など抵抗体にとって不可欠な物性を併せ持つ素材である。
本発明における、繊維層とは不織布や織布など繊維状の部材からなる層を意味する。一般
に不織布などを作成する際には、その原料となるポリエステルやナイロンなどの繊維を適当な長さに切断したものを、無方向に積み重ねてシート状にしてから、接着剤を繊維に付着させ乾燥して固める場合があるが、本発明で示す、加熱時に接着機能を示す樹脂組成物は、この不織布作成時の接着剤を示すものではない。結果的に同じ材質のものが使用される場合もあるかもしれないが、不織布として完成したものに、後から接着機能を持たせる目的で用いたものを意味する。
加熱すると軟化、溶融する熱可塑性樹脂の中で、プラスチックなどと接着性のあるものが、ホットメルト型接着剤と呼ばれている。ベースとなるポリマーとしては、エチレンー酢酸ビニル共重合体や、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系などが知られている。
ホットメルト型接着剤を加熱溶融する際には、ホットメルト全体を溶融させてもいいし、必要接着箇所のみを加熱し、接着しても良い。塗布形態としては、スロットコータやロールコータを用いて面状に塗布してもいいし、ビード式による線状塗布やスパイラルスプレー式によるら旋状塗布、メルトブロー式塗布でも構わない。また予め、シート状に作成したものを接着芯として用いる方法でも構わない。
図1(a)は本発明の実施の形態1の柔軟性PTC発熱体の平面図で、図1(b)は図1(a)のx−y線の断面図である。
5を形成した基材3に熱融着させた結果、基材3側の熱変形は極めて小さく、実用上問題となるような寸法変化は発生しなかった。
図2(a)は本発明の実施の形態2の柔軟性PTC発熱体の平面図で、図2(b)は図2(a)のx−y線の断面図である。
本実施の形態2で作成した発熱体を使用する際には、被覆材10の最表面のホットメルト型接着剤を外部よりスチームなどにより加熱することにより、接着剤9を接着面とし、容易に設置部位に取付けることが可能となる。従来の場合は、一番外側に配置された織布などの繊維層に、あらためて接着剤などを塗布するなどするため、その塗布量の具合により、発熱体自身がごわごわしたものになりやすかったが、本発明では、発熱体の一部としてすでに柔軟性を損なわない程度にあらかじめ設けた構成となっており、容易に装着できるとともに、部位に装着した後も柔軟性が損なわれることがない。
図3(a)は本発明の実施の形態1の柔軟性PTC発熱体の平面図で、図3(b)は図3(a)のx−y線の断面図である。
を50μmの厚さにインフレーション法によりフィルム成形したものであり、極めて柔軟であり、あらゆる方向に自在に伸縮可能である。これに第1の繊維層1として、加熱時にホットメルト型接着剤9としての機能を示すポリエステル系の接着芯からなる不織布1を用いたものを、第1の樹脂層2に貼り付け、基材3とした。この基材3では第1の樹脂層2と第1の繊維層1として不織布機能を示すホットメルト型接着剤を有するものであり、樹脂層と繊維層は含浸構造ではないために、引張応力を加えるとエラストマ特有の伸縮性が得られる。
本実施の形態3で作成した発熱体を使用する際には、基材3の最表面のホットメルト型接着剤を外部よりスチームなどにより加熱することにより、接着剤9を接着面とし、容易に設置部位に取付けることが可能となる。従来の場合は、一番外側に配置された織布などの繊維層に、あらためて接着剤などを塗布するなどするため、その塗布量の具合により、発熱体自身がごわごわしたものになりやすかったが、本発明では、発熱体の一部としてすでに柔軟性を損なわない程度にあらかじめ設けた構成となっており、容易に装着できるとともに、部位に装着した後も柔軟性が損なわれることがない。
図4(a)は本発明の実施の形態1の柔軟性PTC発熱体の平面図で、図4(b)は図4(a)のx−y線の断面図である。
本実施の形態4で作成した発熱体を使用する際には、基材3及び被覆材10の最表面のホットメルト型接着剤を外部よりスチームなどにより加熱することにより、接着剤9及び9′を接着面とできるため、例えば、椅子などの本体部に一方の表面を貼合せた後に、カバー部ともう一方を接着できるなど、発熱体を複数の基材でサンドイッチして用いる場合などに、ずれなどを生じることなく使用することができる。
実施の形態5においては、図2に示した構造を有する発熱体を下記方法により作成した。
ないが離型紙上に予め作成したものを用意し、それを電極4、抵抗体5を被覆するようにラミネート加工した。ラミネート時に離型紙は剥離し分離した。さらに第2の繊維層として、加熱時にホットメルト型接着剤9としての機能を示すポリエステル系の接着芯からなる不織布8を用い、第2の樹脂層7に貼合せ、被覆材10として形成した。被覆材10は、基材3の上に形成された電極4、抵抗体5、及び給電部6のすべてを被覆し、基材3の面全体を密封した。
実施の形態6では、図3に示した構造を有する発熱体を下記方法により作成した。
実施の形態7では、図2に示した構造を有する発熱体を、第1の繊維層1以外は、実施の形態2と同様の方法により形成した。
ハンドルや二輪車のグリップ、暖房ウエアの背中面、カーテンなどにも容易に装着できるに容易に装着することができる。
2 第1の樹脂層
3 基材
4 電極
5 PTC抵抗体
6 給電部
7 第2の樹脂層
8 第2の繊維層
9(9′) 接着剤
10 被覆材
50 シート基材
51,52 櫛形状電極
53 高分子抵抗体
54 被覆材
55 熱融着性樹脂
Claims (9)
- 第1の樹脂層と第1の繊維層を積層してなる基材と、前記基材の前記樹脂層の面に形成されてなる一対の電極と、前記一対の電極の面に形成されるPTC抵抗体と、前記基材と前記電極と前記PTC抵抗体の表面全体を被覆すると共に、前記第1の樹脂層に熱融着可能な第2の樹脂層と第2の繊維層を積層してなる被覆材と、前記一対の電極の端部に形成された一対の給電部とを有し、前記第1の繊維層または前記第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、加熱時に接着機能を示す樹脂組成物を有する柔軟性PTC発熱体。
- 第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層において、加熱時に接着機能を示す樹脂組成物が、ホットメルト型接着剤である請求項1記載の柔軟性PTC発熱体。
- 第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層に含まれるホットメルト型接着剤が、ポリエステル系である請求項1または2記載の柔軟性PTC発熱体。
- 第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層に含まれるホットメルト型接着剤が、室温状態でシート型形状を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の柔軟性PTC発熱体。
- 第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、難燃性を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の柔軟性PTC発熱体。
- 第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、リン系難燃剤、窒素系難燃剤のいずれかまたはこれらを組み合わせてなる難燃成分を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の柔軟性PTC発熱体。
- 第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方の繊維層が、長繊維を特定方向に揃って配列させた層と、繊維交絡によって形成された不織布よりなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の柔軟性PTC発熱体。
- 第1の繊維層または第2の繊維層の少なくとも一方が、ポリエステル系不織布である請求項1〜7のいずれか1項に記載の柔軟性PTC発熱体。
- 第1の樹脂層が、オレフィン系熱可塑性エラストマを含有してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の柔軟性PTC発熱体。
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