JP2008309581A - エンジン自動診断装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バラツキのない信頼性の高いエンジン診断結果を得ることができるエンジン自動診断装置および方法を提供する。
【解決手段】 測定データ取込み手段101aにより、予め設定されるエンジン診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断し、排気ガス成分測定部4より、このときの測定データ(CO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)の各排気ガス成分、空燃比λの数値)を取込み、診断手段101bにより、これら測定データからエンジン状態に対応する診断番号を決定し、この診断番号と、該診断番号に対応した診断結果を、各排気ガス成分の測定値とともに表示部3に表示し、また、プリンタ5により視覚的な表現を用いた診断カルテを印刷する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば自動車などの車両用エンジンの排気ガスを測定してエンジンの状態を自動診断するエンジン自動診断装置および方法に関するものである。
全国の自動車整備工場において、車検(行政規定検査)などで入庫した自動車については、エンジンの良否を診断することが必須項目になっている。
ところで、自動車エンジンは、これまでのキャブレータ方式から車両搭載コンピュータ(ECU)による電子噴射制御エンジン代わっており、このため、これまでのキャブレータ方式で用いられていたエンジン診断方法は通用せず、車両搭載コンピュータとの通信を行い、コンピュータでの自己診断結果からエンジンの不良個所を知る方法が用いられている。しかし、この方法でも、エンジンのセンサが付いていない部位や電気信号の取れない部位での不良などを知ることができないという問題点がある。
そこで、これらの問題点を補う方法として、エンジンの内部燃焼の状態を排気ガス成分により把握して故障部位を推測又は特定するエンジン診断方法が考えられている。
かかるエンジンの診断方法は、エンジン排気ガス成分として、CO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)の4つの排気ガス成分を測定し、これら排気ガス成分の測定値に基づいて空燃比λ(エンジンの燃焼に必要な空気と燃料の割合を重量比で表したもの)を算出し、この算出した空燃比λと各排気ガス成分の測定値を並べて表示部に表示する。そして、この表示部の表示内容から測定者が空燃比λ及び各排気ガス成分のそれぞれの数値を確認し、これらの数値の組合せから、測定者自身がエンジンの正常または不調を判断する。つまり、従来の排気ガス成分を測定してエンジンの診断を行う方法では、測定者自身が表示部に表示される空燃比λ、排気ガス成分のそれぞれの数値の組合せを考慮して、これまでの経験と勘に基づいてエンジンが正常か不調かを判断し、不調と判断したならば、さらに故障部位を推測又は特定する判断を下すようにしている。
しかし、このように空燃比λと排気ガス成分のそれぞれの数値のみの組合せからエンジンの状態を診断する方法では、かかる診断を下す測定者には、エンジンの燃焼技術など、エンジンに関する特別な知識や経験を豊富に有することが必要となり、このため測定者によって診断結果にバラツキが生じやすく、常に正確なエンジン診断は不可能である。
このことは、上述したように全国の自動車整備工場において実施される作業には、エンジン診断の知識や経験の十分でない測定者も多数おり、これら測定者による診断結果に大きなバラツキが生じることは、エンジン診断全体の信頼性を損なうという問題を生じていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、バラツキのない信頼性の高いエンジン診断結果を得ることができるエンジン自動診断装置および方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、車両用エンジンの排気ガスより複数の排気ガス成分を測定する排気ガス成分測定手段と、予め設定されたエンジン診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断し、これらの取り込み条件及び時期を満足した前記排気ガス成分測定手段の測定データを取込むデータ取込み手段と、このデータ取込み手段により取込まれた測定データに基づいて前記車両用エンジンの状態に対応する診断番号を決定する診断手段と、前記診断手段により決定された診断番号に対応するエンジン診断結果及び該診断結果に対応する情報を出力する出力手段と、を具備したことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載において、前記診断番号に対応する診断結果に関する文書を記憶した文書記憶手段を有し、前記出力手段は、前記診断結果とともに、前記診断番号に対応して前記記憶手段より読み出される文書を表示可能にした表示部であることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項2記載において、前記文書記憶手段に記憶された前記診断番号に対応する文書は、前記診断結果の解説を記述した文書及び技術説明を記述した文書の少なくとも一方であることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1記載において、前記出力手段は、前記排気ガス成分測定手段で測定された排気ガス成分の測定値の良否をバーグラフで表示するとともに、前記診断結果を該診断結果の良否を表す記号で表示し、前記診断結果に係る情報として前記診断結果に関するコメントを文章で表示した印刷物を診断カルテとして出力する印刷手段であることを特徴としている。
請求項5記載の発明は、車両用エンジンの排気ガスより複数の排気ガス成分を測定する第1のステップと、予め設定されたエンジン診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断し、これらの取り込み条件及び時期を満足した前記排気ガス成分測定手段の測定データを取込む第2のステップと、この第2のステップにより取込まれた測定データに基づいて前記車両用エンジンの状態に対応する診断番号を決定する第3のステップと、前記第3のステップにより決定された診断番号に対応するエンジン診断結果及び該診断結果に対応する情報を出力させる第4のステップと、を具備したことを特徴としている。
本発明によれば、バラツキのない信頼性の高いエンジン診断結果を得ることができるエンジン自動診断装置および方法を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明にかかるエンジン自動診断装置の概略構成を示している。図1において、100はエンジン自動診断装置で、このエンジン自動診断装置100は、縦長のキャビネット200を有している。このキャビネット200は、高さ方向に複数の棚部を有しており、このうち略真中に位置する棚部に、エンジン自動診断装置本体(以下、装置本体と称する。)1が収容されている。また、装置本体1の上方の各棚部には、キーボード2、出力手段としての表示部3が順に収容され、装置本体1の下方の各棚部には、排気ガス成分測定部4、他の出力手段としてのプリンタ5が順に収容されている。
排気ガス成分測定部4には、ホース401が接続され、このホース401の先端には、サンプリングプローブ402が接続されている。サンプリングプローブ402は、被測定車両である自動車300のテールパイプ(排気管)300a内に規定の長さ挿入され、テールパイプ(排気管)300aより排出される後述するエンジン300bからの排気ガスを採取する。
なお、装置本体1、キーボード2、表示部3、排気ガス成分測定部4、プリンタ5についての詳細は、後述する。
図2は、このように構成されるエンジン自動診断装置100の回路ブロック図を示している。なお、図2は、上述した図1と同一部分には同符号を付している。
装置本体1には、排気ガス成分測定部4が接続され、排気ガス成分測定部4には、自動車300のエンジン300bが接続されている。この場合、エンジン300bには、4サイクルの自動車用ガソリンエンジンが適用される。そして、このエンジン300bから排出される排気ガスを図1に示すテールパイプ(排気管)300aよりサンプリングプローブ402を介して排気ガス成分測定部4に取り込む。
排気ガス成分測定部4は、エンジン300bの排気ガスの成分を測定するもので、CO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)の4つの排気ガス成分を測定するとともに、これらの排気ガス成分の測定値に基づいて空燃比λ(エンジンの燃焼に必要な空気と燃料の割合を重量比で表したもの)を算出する。そして、上記4つの排気ガス成分の測定値と空燃比λの算出値を測定データとして装置本体1に出力する。
装置本体1は、主制御部101及び記憶部102を有している。主制御部101は、装置本体1全体を制御するもので、取込み指示手段としての測定データ取込み手段101aと診断手段101bを有している。この場合、主制御部101には、エンジン診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期が予め設定されている。
この測定データに関する取り込み条件及び時期は、例えば低年式車やチューンナップ車などに合わせて、自由に変更できるようにしている。また、これら測定データに関する取り込み条件及び時期は、測定者などにより任意に設定する手動設定とすることもできる。
測定データ取込み手段101aは、排気ガス成分測定部4での各排気ガス成分の測定値を参照しながら、主制御部101に設定されている測定データに関する取り込み条件及び時期を判断し、これら取込み条件と時期を満足していると判断すると、排気ガス成分測定部4の測定データ(各排気ガス成分の測定値及び空燃比λの数値)を取込み、記憶部102の後述するデータ記憶部102bに一時記憶させる。診断手段101bは、データ記憶部102bに記憶された排気ガス成分の測定値及び空燃比λの数値からエンジン状態に対応する診断番号を決定する。
図3は、診断手段101bでの診断番号の決定に用いられる測定値範囲の組合せを求めるためのテーブル例を示している。この場合、取込み条件として、例えばアイドル時及び走行時の各項目に対して予め各排気ガス成分の測定値に対する測定範囲値が記憶されている。例えば、CO2(二酸化炭素)は、アイドル時に対して測定値範囲W11、W12、W13、走行時に対して測定値範囲W21、W22、W23が、CO(一酸化炭素)は、アイドル時に対して測定値範囲X11、X12、X13、走行時に対して測定値範囲X21、X22、X23が、HC(炭化水素)は、アイドル時に対して測定値範囲Y11、Y12、Y13、走行時に対して測定値範囲Y21、Y22、Y23が、O2(残留酸素)は、アイドル時に対して測定値範囲Z11、Z12、Z13、走行時に対して測定値範囲Z21、Z22、Z23がそれぞれ記憶されている。これにより、例えば、取り込み条件がアイドル時で、CO2(二酸化炭素)の測定値が測定値範囲W11、CO(一酸化炭素)の測定値が測定値範囲X11、HC(炭化水素)の測定値が測定値範囲Y11、O2(残留酸素)の測定値が測定値範囲Z11の場合、測定値範囲W11、X11、Y11、Z11の組合せが得られる。
図4は、これらの測定値範囲の組合せと空燃比λの数値からエンジン診断結果に対応する診断番号(整理番号)を決定するためのテーブル例を示している。この場合、空燃比λの数値範囲λ1、λ2、…に対し、各取り込み条件(アイドル時及び走行時)に対応する各排気ガス成分の測定値範囲の組合せが記憶され、さらに空燃比λの数値範囲λ1、λ2、…と、各取り込み条件に対応する各排気ガス成分の測定値範囲の組合せに対応させてエンジン診断結果を表す診断番号N111、N112、…、N121、N122、…が記憶されている。これにより、例えば、同テーブルにおいて、アイドル時において、空燃比λの数値が含まれる数値範囲λ1に対して排気ガス成分の測定値範囲の組合せがW11、X11、Y11、Z11であれば、診断番号N111を決定する。そして、この決定した診断番号N111に対応する診断結果を出力する。この場合、診断番号N111、N112…は、排気ガス成分の測定値範囲の組合せと空燃比λの数値から考えられるエンジンの不具合などに対応したもので、理論及び過去の経験などより蓄積されたデータに基づいて付与されている。また、これら診断番号N111、N112、…、N121、N122、…には、それぞれ故障名、不具合個所など、診断結果に対する具体的内容のコメント情報C111、C112…、C121、C122、…が用意されており、これら診断番号N111、N112、…、N121、N122、…より対応するコメントが取り出せるようになっている。
記憶部102は、診断手段101bのエンジン診断で使用される図3、図4に示すテーブルを記憶したテーブル記憶部102a、ユーザに関する個人情報、過去データ(過去の診断結果の内容)を始めとして、排気ガス成分測定部4で測定された各排気ガス成分の測定値及び、これらの排気ガス成分の測定値に基づいて算出された空燃比λの数値などを記憶するデータ記憶部102b、診断解説書及び自動車技術辞書などの各種文書を記憶した文書記憶部102cを有している。これら診断解説書及び自動車技術辞書の詳細は後述する。
図2に戻って、装置本体1には、入力手段としてのキーボード2、表示部3及びプリンタ5が接続されている。キーボード2は、保存データの検索やユーザに関する個人情報の入力などのためのキー操作を行う。表示部3は、排気ガス成分の取込み条件、取込みタイミングなどによって決定される車両操作方法の指示の表示の他、個人情報及びエンジン診断結果の表示、さらに上述した診断解説書及び自動車技術辞書の表示などを行う。プリンタ5は、エンジン診断結果から診断カルテを印刷して出力する。診断カルテの詳細は後述する。
次に、以上のように構成された実施の形態の作用を説明する。
まず、図1に示すようにエンジン診断を行う自動車300が入庫したら、エンジン自動診断装置100のキャビネット200を自動車300の運転席側にセットし、エンジンをかけて暖機状態とする。
この状態で、図5に示すようにステップ501で、キーボード2より例えば車両登録番号の4桁を入力する。すると、主制御部101により記憶部102のデータ記憶部102bに記憶された個人情報(自動車所有者)と過去データ(過去の診断結果の内容)が参照され、当該車両登録番号の自動車300に関する過去データの有無が判断される(ステップ502)。ここで、過去データがあると判断されると、ステップ503に進み、個人情報の変更がある時は変更個所のみを入力する。この入力は、ステップ504で、データ記憶部102bに記憶される。
このように診断前に過去データの存在が確認できれば、記録済みユーザの氏名、住所の入力を省略できるとともに、今回のエンジン診断に活用することができる。また、データ記憶部102bより過去データを読み出して表示部3に表示させるようにすれば、過去の診断結果を前知識として今回のエンジン診断に役立てることができる。
一方、車両登録番号に該当する個人情報が無ければ、初期入庫扱いとして、ステップ505で、個人情報の全項目(例えば、住所、氏名、車両登録番号など)を入力する。この入力内容は、ステップ504で、記憶部102のデータ記憶部102bに新たに記憶される。なお、事前に初期入庫のユーザの個人情報が分かっていれば、前もってキーボード2より入力しておくこともできる。
次に、図1に示すように排気ガス成分測定部4にホース401を介して接続されたサンプリングプローブ402を自動車300のテールパイプ(排気管)300a内に規定の長さ挿入したのち、測定者は、自動車300の運転席に座りアクセルペタルの操作を準備する。これにより、図6に示すステップ601の排気ガス成分測定部4のスタンバイが完了する。
次に、不図示の診断開始ボタンを押す。すると、測定データ取込み手段101aは、排気ガス成分測定部4の各排気ガス成分の測定値などを参照し、初期条件を満足したならば、ステップ602に進み、最初の車両操作の指示を表示部3に表示する。この場合、車両操作条件として、例えば、所定速度での走行指示が表示部3に表示される。
次に、ステップ6021で、測定者が表示部3の表示に従って車両操作を行いアクセルペタルを踏み込み、指示された走行速度に設定すると、ステップ603に進む。
ステップ603では、測定データ取込み手段101aは、排気ガス成分測定部4での各排気ガス成分の測定値の状態を参照しながら、主制御部101に設定されている診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断する。そして、これら取り込み条件及び時期を満足していると判断すると、このときの排気ガス成分測定部4の測定データを取込み(ステップ604)、記憶部102のデータ記憶部102bに一時記憶させる(ステップ605)。
この場合、データ記憶部102bには、所定速度で走行状態にある車両について排気ガス成分測定部4で測定されたCO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)の4つの排気ガス成分の測定値と、これらの排気ガス成分の測定値に基づいて算出された空燃比λの数値が記憶される。
次に、ステップ606に進み、次の車両操作の指示を表示部3に表示する。この場合、車両操作条件として、例えば、アイドルの指示が表示部3に表示される。測定者が表示部3の表示に従って車両操作を行いアクセルペタルから足を離し、アイドル状態に設定すると(ステップ6061)、ステップ607に進む。
このステップ607でも、測定データ取込み手段101aは、排気ガス成分測定部4での各排気ガス成分の測定値の状態を参照して主制御部101に設定されている診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断する。そして、これら取り込み条件及び時期を満足していると判断すると、このときの排気ガス成分測定部4の測定データを取込み(ステップ608)、記憶部102のデータ記憶部102bに一時記憶させる(ステップ609)。
この場合、データ記憶部102bには、アイドル状態にある車両について排気ガス成分測定部4で測定されたCO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)の4つの排気ガス成分の測定値と、これらの排気ガス成分の測定値に基づいて算出された空燃比λの数値が記憶される。
次に、ステップ610に進む。このステップ610では、診断手段101bにおいて、データ記憶部102bに記憶された所定速度の走行状態及びアイドル状態での測定データの排気ガス成分の測定値及び空燃比λの数値からエンジン状態に対応する診断番号を決定する。この場合、例えば、所定速度の走行時で、CO2(二酸化炭素)の測定値が測定値範囲W21、CO(一酸化炭素)の測定値が測定値範囲X21、HC(炭化水素)の測定値が測定値範囲Y21、O2(残留酸素)の測定値が測定値範囲Z21とすると、図3に示すテーブルにより測定値範囲W21、X21、Y21、Z21の組合せが得られる。また、所定速度の走行時で空燃比λの数値が数値範囲λ1とすると、図3のテーブルより得られた測定値範囲W21、X21、Y21、Z21の組合せに基づいて図4に示すテーブルより診断番号N121が決定される。
アイドル時についても同様で、このアイドル時のCO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)のそれぞれの測定値から図3に示すテーブルより、例えば測定値範囲W11、X11、Y11、Z11の組合せが得られると、このアイドル時の空燃比λの数値が数値範囲λ1とすると、測定値範囲W11、X11、Y11、Z11の組合せに基づいて図4に示すテーブルより診断番号N111が決定される。そして、これらの診断番号N111,N121に基づいて診断結果を出力する。
次に、ステップ611に進み、診断手段101bでの判断結果を表示部3に表示する。この場合、表示部3では、記憶部102のデータ記憶部102bに記憶された取込み条件が走行時、アイドル時のそれぞれのCO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)の測定値、空燃比λの数値とともに、診断手段101bで決定された診断番号N121、N111、これら診断番号N121、N111に対応する綜合診断結果、さらに診断番号N121、N111に対応して図4に示すテーブルより読み出されるコメント情報C121、C111に基づく故障名、不具合個所など具体的な内容を表示する。
次に、ステップ612で、診断カルテの印刷の有無が判断される。ここで、診断カルテの印刷が不要の場合は、NOと判断し、処理を終了する。一方、診断カルテの印刷が必要な場合は、ステップ613に進み、記憶部102のデータ記憶部102bに記憶された個人情報(自動車所有者のもの)を読み出す。次に、ステップ614でデータ記憶部102bを参照して過去データの有無が判断され、過去データが存在すれば、ステップ615で、過去データを読み出し、ステップ616に進み、読み出した過去データを利用して診断カルテを作成する。一方、ステップ614で過去データが無ければ、ステップ616に進んで診断カルテを作成する。
なお、診断カルテの作成に過去データを利用しない場合は、ステップ612で診断カルテの印刷を必要と判断したら直ちにステップ616に進み、診断カルテの作成に取りかかるようにすればよい。
図7は、ステップ616で印刷される診断カルテの一例を示すもので、例えば、A4版の印刷用紙11の右上方に車両登録番号12、左上方に氏名、住所13が印刷され、さらに、これら氏名、住所13の下方に診断日14、車名15、走行距離16などが印刷される。また、測定項目17として、空燃比λ、CO(一酸化炭素)、CO2(二酸化炭素)、O2(残留酸素)、HC(炭化水素)について、取込み条件が走行時18、アイドル時19のそれぞれの測定値が印刷される。さらに空燃比λ、CO(一酸化炭素)、CO2(二酸化炭素)、O2(残留酸素)、HC(炭化水素)は、診断番号N121、N111による診断結果に基づいて走行時燃焼20、アイドル時燃焼21のそれぞれの状態での良否がバーグラフにより表示される。このバーグラフは、バー本体22aと矢印22bからなり、バー本体22aは、左側から良(斜線部分)、可(白抜き部分)、不可(網目部分)の各領域を示し、バー本体22a上を指す矢印22bの位置で良、可、不可の状態を表している。
これにより、例えば、空燃比λについては、走行時燃焼20では、バー本体22a上を指す矢印22bの位置から「良」、アイドル時燃焼21では、バー本体22a上を指す矢印22bの位置から「不可」を表している。また、CO(一酸化炭素)については、走行時燃焼20では、バー本体22a上を指す矢印22bの位置から「良」、アイドル時燃焼21では、バー本体22a上を指す矢印22bの位置から「良」を表している。以下、CO2(二酸化炭素)、O2(残留酸素)、HC(炭化水素)についても図示の通りである。また、診断手段101bで判断された綜合診断結果22が、診断番号N111、N121とともに良否を表す記号「○」、「×」、「△」により表示されている。ここで、「○」は好調、「×」は不調、「△」は普通を表している。図示例では、「×」の不調が印刷されている。さらに印刷用紙11の真中から下方向にコメント欄23が設けられ、このコメント欄23には、診断番号N111、N121に対して図4に示すテーブルより読み出されたコメント情報C111、C121に基づいて故障名、不具合個所などを始め、診断後、続けるべき検査や治療、修理方法などの具体的な内容の文章が印刷される。この場合、コメント欄23に印刷される文章(コメント)内容は、キーボード3からのキーに入力より、任意に追加したり、書き換えるようなこともできる。
ところで、測定者は、表示部3に表示、又は印刷用紙11に印刷された診断カルテを用いて、ドライバー(ユーザ)に診断結果の詳細を説明することが必要である。この場合、測定者が診断結果の詳細を十分に理解していなければ、ドライバーが理解できる程度に説明するのが難しい。そこで、このようなエンジン診断に関して十分な知識と経験を持ち合わせていない測定者に対して診断結果の内容理解を助ける必要がある。
この場合、診断結果を表示した表示画面上の診断番号(診断結果に対応したもの)をクリックすると、記憶部102の文書記憶部102cより、例えば、診断番号に対応する診断解説書の内容が読み出され、表示部3に表示される。測定者は、診断解説書を読んで、診断結果の内容を理解することにより、ドライバーに対して適切な説明を行うことができる。また、さらに診断結果の詳細な説明を必要とするような場合は、表示画面上から、例えば、他の診断番号に対応する診断解説書を読み出し、今回の診断結果の内容と比較検討すれば、さらに深く診断結果の内容を理解することが可能になる。つまり、診断解説書は、診断番号に対応してエンジン不調の基本的な原因、推測される故障部位、故障部位特定のための検査手順などが記載されているので、この記載画面を用いて測定者自身が理解し、これをもってドライバーに説明すれば、ドライバーに対し納得のいく説明を行うことが可能である。さらに技術的な内容も理解したい場合は、診断番号に基づいて文書記憶部102cより関連する自動車技術辞書を読み出し、必要とする図解用語解説、部品構造図、回路図などを表示部3に表示させれば、この表示内容を閲覧することにより、さらに論理的な説明も可能となる。
したがって、このようにすれば、測定データ取込み手段101aにより、予め設定されるエンジン診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断し、排気ガス成分測定部4より、このときの測定データ(CO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、O2(残留酸素)の各排気ガス成分の測定値、空燃比λの数値)を取込み、診断手段101bにより、これら測定データからエンジン状態に対応する診断番号を決定し、この診断番号と、該診断番号に対応した診断結果を、各排気ガス成分の測定値とともに表示部3に表示し、また、プリンタ5により視覚的な表現を用いた診断カルテを印刷するようにした。これにより、計測者がエンジンの燃焼技術など、エンジンに関する特別な知識や経験を有していない場合でも、バラツキのない正確なエンジン診断の結果を得ることができるので、エンジン診断の信頼性を飛躍的に高めることができる。また、これらの診断結果は、表示部3に表示されるとともに、診断カルテとして印刷して出力されるようにした。この場合、診断カルテは、印刷用紙11上に診断結果を視覚的表現によりエンジン技術に未熟な者に対しても理解しやすいように作成されている。例えば、各排気ガス成分の測定値及び空燃比λとともに、これら排気ガス成分の測定値及び空燃比λに対するエンジンの良否の程度が視覚的に理解できるバーグラフで印刷され、さらに、綜合診断結果22の良否も記号「○」、「×」、「△」を用いて印刷されるなど、これらの内容が感覚的に理解できるように工夫されており、さらにコメント欄23には、故障名、不具合個所などを始め、診断後、続けるべき検査や治療、修理方法などの具体的な内容のコメントも印刷されている。これにより、診断カルテの各所の視覚的な表現から効果的に診断結果を測定者に対し出力することができるようになり、エンジンの技術的知識が乏しく排気ガスによるエンジン診断の経験の浅いものでも、短時間で診断内容を理解することができる。
さらに、画面表示された測定データ(数値)を見てもエンジン診断できない場合は、表示された診断番号などをクリックするだけで、診断番号に対応する診断解説書や技術辞書の内容を画面に表示することができる。診断解説書には、診断番号に相当する病状名、病状の発生原因解説、推測される不良部位名などが記述され、技術辞書には、図解用語解説、部品構造図、回路図などが記述されるので、これによって測定者自身が理解した上で、診断カルテを提示してドライバーに説明することで、ドライバーへの理解も容易に得ることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、説明を簡単にするため取込み条件としてアイドル時と走行時について述べたが、走行時については、さらに高速、低速、加速などの取込み条件を追加することもできる。また、上述した実施の形態では、診断解説書及び自動車技術辞書を文書記憶部102cに記憶し、必要により、これら診断解説書及び自動車技術辞書を表示部3の画面上に読み出して利用するようにしたが、診断解説書及び自動車技術辞書は、表示部3の画面上に表示することに拘らず、紙による印刷物でもよい。このようすれば、例えば、診断説明書を表示部3の画面上に表示し、自動車技術辞書を印刷物で同時に使用し、これら診断解説書及び自動車技術辞書の必要頁を同時に開いてドライバーへの説明や内容理解に用立てることもできる。また、上述した実施の形態では、4サイクルのガソリンエンジンに本発明を適用した例を述べたが、例えばディーゼルエンジンなどの他の車両のエンジン診断にも適用可能である。
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
本発明の第1の実施の形態にかかるエンジン自動診断装置の概略構成を示す図。 第1の実施の形態のエンジン自動診断装置の回路ブロックを示す図。 第1の実施の形態に用いられる診断手段に適用されるテーブル例を示す図。 第1の実施の形態に用いられる診断手段に適用されるテーブル例を示す図。 第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートを示す図。 第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートを示す図。 第1の実施の形態に用いられる診断カルテの一例を示す図。
符号の説明
100…エンジン自動診断装置、200…キャビネット
300…自動車、300a…テールパイプ
300b…エンジン、1…エンジン自動診断装置本体
101…主制御部、101a…測定データ取込み手段、
101b…診断手段、102…記憶部、
102a…テーブル記憶部、102b…データ記憶部
2…キーボード、3…表示部、4…排気ガス成分測定部
401…ホース、402…サンプリングプローブ
5…プリンタ、11…印刷用紙、22a…バー本体
22b…矢印、22…綜合診断結果
23…コメント欄、102c…文書記憶部

Claims (5)

  1. 車両用エンジンの排気ガスより複数の排気ガス成分を測定する排気ガス成分測定手段と、
    予め設定されたエンジン診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断し、これらの取り込み条件及び時期を満足した前記排気ガス成分測定手段の測定データを取込むデータ取込み手段と、
    このデータ取込み手段により取込まれた測定データに基づいて前記車両用エンジンの状態に対応する診断番号を決定する診断手段と、
    前記診断手段により決定された診断番号に対応するエンジン診断結果及び該診断結果に対応する情報を出力する出力手段と、
    を具備したことを特徴とするエンジン自動診断装置。
  2. 前記診断番号に対応する診断結果に関する文書を記憶した文書記憶手段を有し、
    前記出力手段は、前記診断結果とともに、前記診断番号に対応して前記記憶手段より読み出される文書を表示可能にした表示部であることを特徴とする請求項1記載のエンジン自動診断装置。
  3. 前記文書記憶手段に記憶された前記診断番号に対応する文書は、前記診断結果の解説を記述した文書及び技術説明を記述した文書の少なくとも一方であることを特徴とする請求項2記載のエンジン自動診断装置。
  4. 前記出力手段は、前記排気ガス成分測定手段で測定された排気ガス成分の測定値の良否をバーグラフで表示するとともに、前記診断結果を該診断結果の良否を表す記号で表示し、前記診断結果に係る情報として前記診断結果に関するコメントを文章で表示した印刷物を診断カルテとして出力する印刷手段であることを特徴とする請求項1記載のエンジン自動診断装置。
  5. 車両用エンジンの排気ガスより複数の排気ガス成分を測定する第1のステップと、
    予め設定されたエンジン診断に必要な測定データに関する取り込み条件及び時期を判断し、これらの取り込み条件及び時期を満足した前記排気ガス成分測定手段の測定データを取込む第2のステップと、
    この第2のステップにより取込まれた測定データに基づいて前記車両用エンジンの状態に対応する診断番号を決定する第3のステップと、
    前記第3のステップにより決定された診断番号に対応するエンジン診断結果及び該診断結果に対応する情報を出力させる第4のステップと、
    を具備したことを特徴とするエンジン自動診断方法。
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