JP2008308745A - 熱間鍛造金型及びその製造方法 - Google Patents
熱間鍛造金型及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008308745A JP2008308745A JP2007159081A JP2007159081A JP2008308745A JP 2008308745 A JP2008308745 A JP 2008308745A JP 2007159081 A JP2007159081 A JP 2007159081A JP 2007159081 A JP2007159081 A JP 2007159081A JP 2008308745 A JP2008308745 A JP 2008308745A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hot forging
- amount
- oxide film
- forging die
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- 238000005242 forging Methods 0.000 title claims abstract description 71
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 title claims abstract description 20
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 claims abstract description 28
- 239000012535 impurity Substances 0.000 claims abstract description 6
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 claims description 23
- 239000010959 steel Substances 0.000 claims description 23
- 238000005496 tempering Methods 0.000 claims description 11
- 238000012545 processing Methods 0.000 claims description 8
- 229910052720 vanadium Inorganic materials 0.000 claims description 8
- 229910052750 molybdenum Inorganic materials 0.000 claims description 7
- 229910052710 silicon Inorganic materials 0.000 claims description 7
- 229910052748 manganese Inorganic materials 0.000 claims description 6
- 238000010791 quenching Methods 0.000 claims description 6
- 230000000171 quenching effect Effects 0.000 claims description 6
- 229910052804 chromium Inorganic materials 0.000 claims description 5
- 229910052759 nickel Inorganic materials 0.000 claims description 4
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 claims description 3
- 239000002184 metal Substances 0.000 claims description 3
- 238000005299 abrasion Methods 0.000 abstract description 5
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 34
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 25
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 18
- 239000000463 material Substances 0.000 description 16
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 12
- 238000000034 method Methods 0.000 description 10
- 230000001681 protective effect Effects 0.000 description 9
- 238000005498 polishing Methods 0.000 description 8
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 7
- 238000011156 evaluation Methods 0.000 description 5
- 229910001315 Tool steel Inorganic materials 0.000 description 4
- 238000000137 annealing Methods 0.000 description 4
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 4
- 230000020169 heat generation Effects 0.000 description 4
- 229910052782 aluminium Inorganic materials 0.000 description 3
- 230000008018 melting Effects 0.000 description 3
- 238000002844 melting Methods 0.000 description 3
- 230000008569 process Effects 0.000 description 3
- 238000005204 segregation Methods 0.000 description 3
- 238000002791 soaking Methods 0.000 description 3
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 description 2
- 239000000956 alloy Substances 0.000 description 2
- XAGFODPZIPBFFR-UHFFFAOYSA-N aluminium Chemical compound [Al] XAGFODPZIPBFFR-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 230000001143 conditioned effect Effects 0.000 description 2
- 238000007796 conventional method Methods 0.000 description 2
- 230000003247 decreasing effect Effects 0.000 description 2
- 238000004512 die casting Methods 0.000 description 2
- 238000001125 extrusion Methods 0.000 description 2
- 239000004615 ingredient Substances 0.000 description 2
- 238000005461 lubrication Methods 0.000 description 2
- 229910000734 martensite Inorganic materials 0.000 description 2
- 150000002739 metals Chemical class 0.000 description 2
- 239000006104 solid solution Substances 0.000 description 2
- -1 Mo and V Chemical class 0.000 description 1
- 206010037660 Pyrexia Diseases 0.000 description 1
- 230000009471 action Effects 0.000 description 1
- 230000002411 adverse Effects 0.000 description 1
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 1
- 239000000470 constituent Substances 0.000 description 1
- 238000005336 cracking Methods 0.000 description 1
- 238000002425 crystallisation Methods 0.000 description 1
- 230000008025 crystallization Effects 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 230000007613 environmental effect Effects 0.000 description 1
- 238000010304 firing Methods 0.000 description 1
- 230000006872 improvement Effects 0.000 description 1
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 1
- 239000000155 melt Substances 0.000 description 1
- 238000012986 modification Methods 0.000 description 1
- 230000004048 modification Effects 0.000 description 1
- 238000000465 moulding Methods 0.000 description 1
- 239000002244 precipitate Substances 0.000 description 1
- 238000004881 precipitation hardening Methods 0.000 description 1
- 230000009467 reduction Effects 0.000 description 1
- 102220097517 rs876659265 Human genes 0.000 description 1
- 238000007711 solidification Methods 0.000 description 1
- 230000008023 solidification Effects 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Forging (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Abstract
【解決手段】熱間鍛造金型は、質量%で、C:0.32〜0.42%、Si:0.3%以下、Mn:0.3〜1.5%、Ni:0.5%以下、Cr:4.0〜6.0%、V:0.2〜1.0%、Mo+1/2W:0.8〜2.0%、及び、N:0.005〜0.04%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。この場合に、更に、質量%で、Co:0.1〜1.0%を含有し、更に、Cu:0.1〜1.0%を含有することができる。そして、熱間鍛造金型の表面には酸化膜が形成されているとよい。この酸化膜は熱処理により形成させればよい。
【選択図】図2
Description
そこで、特許文献1では、V量を低減させることにより、縞状偏析をなくし、靭性の異方性を小さくした熱間工具鋼が開示されている。また、特許文献2では、Si量を0.05%以下に低減することにより、巨大な一次炭化物が鋼中に残存せず、強度、靭性等において優れた特性を有する合金工具鋼が開示されている。また、非特許文献1では、型寿命の延長を目的として低Siかつ高Mo化した鋼が提案されている。
また、非特許文献1の鋼は、耐摩耗性が改善される一方で、高Mo化の弊害として破壊靭性値が低下するという問題があった。
更に、MoやVは希少金属であり、代替材料により特性向上することが望まれる。
本発明に係る熱間鍛造金型の製造方法は、上記成分組成を備えた鋼を粗加工し、必要な硬さに調質した後、仕上げ加工を施すことにより得られる熱間鍛造金型に、150℃〜700℃で追加の熱処理を施したものであるから、その表面にはFeO等の酸化膜が形成される。従って、本発明に係る熱間鍛造金型の製造方法によれば、上記成分組成を備えた金型が得られるから、靭性等の基本特性をJIS SKD61と同等に確保しつつ、従来法より優れた耐摩耗性が得られるという効果がある。そして、形成されたFeO等の酸化膜は、密着性が良く、潤滑性が良いため、保護膜として機能し、鍛造における金型の塑性流動を緩和し、その加工発熱に伴う軟化を抑制するため、耐摩耗性を向上させるという効果がある。
(成分組成及びその限定理由)
本発明の一実施形態に係る熱間鍛造金型用鋼は、必須元素として、以下の(1)〜(8)の元素を含む。
Cは、焼入れ焼戻しによりマルテンサイトの硬さ、及び、合金炭化物の析出硬化による必要な強度、硬さを得るために含有させる。そこで、C量は下限を0.32%以上とした。一方、C量の増加に伴いマルテンサイトへの過飽和固溶量が過剰となり靭性が低下する。そこで、C量は上限を0.42%以下とした。
Siは、本発明の一実施形態に係る熱間鍛造金型用鋼に最も重要な役割を持つ元素であり、摩耗に対する保護膜としての効果が高いFeO等の酸化膜を熱処理により形成させるために含有させる。FeO等の酸化膜は、具体的には、仕上げ加工を行って得られる熱間鍛造金型に対して、従来では行われていない追加の熱処理、すなわち、大気炉を用いて150℃〜700℃で追加の熱処理を行うことにより形成することができる。FeO等の酸化膜は、金型母材との密着性が良好であり、摩耗に対する保護膜としての効果が従来工具鋼に比べて高い。そのため、FeO等の酸化膜が形成された熱間鍛造金型は、耐摩耗性に優れる。尚、Si量が過剰である場合には、金型母材とFeO酸化膜の間にSiを含む酸化層であるFeSiO4が形成されると考えられる。FeSiO4は、保護膜であるFeOの密着性を阻害するため、FeSiO4では、保護膜としての効果は得られない。
そのため、Si量はできるだけ低減させる必要がある。そこで、Si量は上限を0.30%以下とした。被削性と耐摩耗性とのバランスを考慮すると、Si量は0.05〜0.15%が更に好ましく、0.08〜0.12%がより更に好ましい。また、有害層であるFeSiO4の形成を抑制するためには、Si量は上限を0.10%以下とするのが更に好ましい。
Mnは、焼入れ性を向上させるため含有させる元素である。この効果を得るために、Mn量はその下限を0.3%以上とした。ただし、過剰なMn添加は、軟化抵抗を劣化させ、加えて、球状化焼鈍し処理に長時間を要し、製造性を低下させる。そこで、Mn量は上限を1.5%以下とした。
Niは、焼入れ性および耐衝撃性を向上させるが、多量に添加すると焼鈍しに長時間を要する。そこで、Ni量は上限を0.5%以下とすることとした。また、Niが0.5%より多く添加されると、Niの濃化現象によって酸化膜が形成されにくくなるからである。金型の表面により均一な酸化膜を形成させるためにはNi量は、0.2%以下とすることが好ましい。
Crは、焼入れ性、破壊靭性を向上させる。そこで、Cr量は下限を4.0%以上とした。一方で、Crを多量に含有させると、高温強度を極度に低下させるため、Cr量は上限を6.0%以下とした。
Vは、靭性に大きく影響を及ぼす元素であり、焼入れ時の結晶粒粗大化を抑制して耐衝撃性の低下を防ぐ。そこで、V量は下限を0.2%以上とした。一方、Vを多量に含有させると、ソーキングにより溶解しきれない粗大な晶出VCが残留し、疲労強度、耐衝撃性を大幅に低下させる。そこで、V量は上限を1.0%以下とした。
このうち、Moは必須元素であるが、Wは必要に応じて含有させればよい。Moは、高温強度を向上させるのに有効な元素であるので、(Mo+1/2W)量で下限を0.8%以上とした。しかし、多量に含有させると破壊靭性を低下させるため、(Mo+1/2W)量は上限を2.0%以下とした。
Nは、VCNを形成する構成元素となり、これにより、結晶粒粗大化を抑制するピン留め効果が得られる。そこで、N量は下限を0.005%以上とした。一方、Nを多量に含有させると、VCNが粗大な状態で晶出する。そこで、N量は上限を0.04%以下とした。
(9)Co:0.1〜1.0%。
Coは、高温強度を向上させるのに有効な元素である。そのため、Co量は下限を0.1%以上とした。一方、多量に含有させると靭性を低下させる。そこで、Co量は上限を1.0%以下とした。
Cuは、靭性に寄与する。そのため、Cu量は下限を0.1%以上とした。一方、多量に含有させると熱間加工性を低下させる。そこで、Cu量は上限を1.0%以下とした。
(11)P:0.01%以下。
Pは、介在物として粒界へ析出して耐衝撃性を低下させる他、偏析の濃度勾配を大きくし、異方性を悪化させる。そこで、P量は上限を0.01%以下とした。
Sは、成型加工時の被削性を向上させるが、疲労破壊の起点となる介在物を多量に生成させる。そこで、S量は上限を0.01%以下とした。
Alは、脱酸元素として有効な元素である。この効果を得るには、Al量は0.05%以上であることが好ましい。一方、Alが多量になると、Al酸化物を鋼中に残存させ疲労強度を低下させる。そこで、Al量は上限を0.025%以下とした。
Oは、Mn、Alと結合して多量の酸化物を鋼中に残存させ疲労強度を低下させる。そこで、O量は上限を0.005%以下とした。
次に本発明の一実施形態に係る熱間鍛造金型の製造方法について説明する。
本発明の一実施形態に係る熱間鍛造金型は、上記成分組成を備えた鋼を溶製し、鋼塊とした(溶解→ソーキング)後、所定の形状に熱間加工(鍛造→焼ならし→焼戻し→球状化焼き鈍し→粗加工)し、必要な硬さに調質して(焼入れ・焼戻し)、仕上げ加工(鏡面加工、従来法での金型完成)をして得られる金型に、150℃〜700℃で追加の熱処理を施すことにより得られる(金型完成)。ここで、下限を150℃としたのは、150℃未満では有効な酸化膜が形成されないからであり、上限を700℃としたのは、700℃超では軟化により十分な硬さが得られないからである。この熱処理により、熱間鍛造金型の表面にFeO等の酸化膜が形成され、得られる熱間鍛造金型に高い耐摩耗性が備わる。また、この熱処理は、熱間鍛造金型の表面に酸化膜を均一に形成させるためには、500〜700℃で1〜2時間行われることが好ましい。なぜなら、この温度域で形成される酸化膜は潤滑性・耐摩耗性に優れるものとなるからである。500〜700℃の熱処理を行うためには、大気炉内で実施することが好ましい。
本発明の一実施形態に係る熱間鍛造金型は、上記成分組成を備えているため、靭性等の基本特性がJIS SKD61と同等に確保されるとともに、150℃〜700℃の熱処理や実機での熱付加をした場合には、FeO等の酸化膜が形成され、優れた耐摩耗性が得られる。
本発明の一実施形態に係る熱間鍛造金型の製造方法は、上記成分組成を備えた鋼を溶製し、鋼塊とした後、所定の形状に熱間加工し、必要な硬さに調質して仕上げ加工をして得られる金型に、150℃〜700℃で追加の熱処理を施したものであるから、FeO等の酸化膜が形成される。このようにして得られる本発明の一実施形態に係る熱間鍛造金型は、上記成分組成を備えたものであるから、靭性等の基本特性をJIS SKD61と同等に確保しつつ、従来より優れた耐摩耗性を発揮する。
FeO等の酸化膜は、密着性が良く、潤滑性が良いため、保護膜として機能し、鍛造における金型の塑性流動を緩和し、その加工発熱に伴う軟化を抑制するため、熱間鍛造金型の耐摩耗性を向上させる。尚、Si量をできる限り低減させたため、保護膜であるFeOの密着性を阻害する酸化層FeSiO4は形成されない。
(供試材の作製)
表1に示す各成分組成からなる鋼をアーク溶解炉にて溶製し、造塊後、鍛造により径260mmの円柱に加工し、焼ならし→焼戻し→球状化焼なましを施し、供試材とした。
ピンオンディスク法による摩擦摩耗試験により摩擦係数を測定したのでこれについて説明する。
ディスク試験片は、以下の手順で作製した。まず、各実施例及び各比較例について、上記の供試材から径25mm、厚さ6mmの円盤を切り出し、これを加工して硬さを53HRCに調質(焼入れ(1030℃)・焼戻し(550℃〜620℃))した後、試験面を仕上げ加工(鏡面研磨)した。そして、各実施例及び各比較例について、(a)これを600 ℃の大気中で1時間保持する追加の熱処理をしたものと、(b)これに再度鏡面研磨したものとを作製し、これらをディスク試験片とした(図1参照)。
その結果を、表2、並びに、図2及び図3に示す。表2は、調質硬さ及び摩擦係数(平均値)をまとめて示し、図2は、実施例1及び比較例2(SKD61)についての全摩擦距離についての摩擦係数を示すグラフである。図3は、実施例1及び比較例2(SKD61)についての摩擦摩耗試験後のディスク試験片の外観写真を示す。
亜熱間鍛造の条件下でパンチ摩耗試験を行ったのでこれについて説明する。
パンチ試験片は、次の手順で作製した。まず、各実施例及び各比較例について、上記の供試材から径22mm、長さ114mmの円柱を切り出し、これを加工して硬さを53HRCに調質(焼入れ(1030℃)・焼戻し(550℃〜620℃))した後、仕上げ加工(ラッピング)した。そして、各実施例及び各比較例について、(a)これを600 ℃の大気中で1時間保持する追加の熱処理をしたものと、(b)これに再度ラッピングしたものとを作製し、これらをパンチ試験片とした。その外観を図4(a)に示す。
この試験では、ワーク材料をS53Cとし、鍛造温度800℃、鍛造速度85spmで、ショット数5000ショットの鍛造を行い、この鍛造後のパンチ摩耗量(図5参照)を測定した。その結果を、表2に示す。
更に、鍛造温度820℃にした以外は上記パンチ摩耗試験と同じ条件で鍛造を行い、この鍛造後のパンチ摩耗量を測定した。その結果を図6に示す。
実施例1及び比較例2を実生産を行っている熱間鍛造に適用した(ただし、実施例1及び比較例2の調質硬さは、HRC45とした)。そして、図7(a)に示すハッチング部位の型の摩耗量を測定した。摩耗量の測定は、3次元形状測定機を使用して行った。鍛造前後の形状を測定し、その差を摩耗量とした。摩耗量としては、このハッチング部分で最も摩耗量の多い部位の測定値を用い、プロットした。同図(b)にその結果を示す。
実施例1及び比較例2(SKD61)を対象に軸力疲労特性、平面破壊靭性値、焼戻し軟化抵抗を調べたので、その結果を、それぞれ図8(a)、(b)、(c)に示す。
(摩擦摩耗試験−評価)
表2によれば、追加の熱処理を行った実施例1〜14の摩擦係数は、再度鏡面研磨した実施例1〜14の摩擦係数よりも小さかった。このことから、実施例1〜14には、潤滑性の良い酸化膜が形成されていることがわかった。
また、実施例1〜14の摩擦係数は、比較例1、2の摩擦係数に比べて小さかった。実施例1〜14は、比較例1、2との関係では、特に、Si量を低減させている。このことから、摩擦係数は、Si量に依存し、Si量の低減に伴い減少することが確認できた。
また、追加の熱処理により酸化膜を形成させた比較例2は、再度鏡面研磨し酸化膜を除去した比較例2よりもディスク試験片の表面の削られる度合いが少ない。このことから、実施例1の成分組成からなる熱間鍛造金型に追加の熱処理を施すと密着性を高める効果が特に高いことがわかった。尚、再度鏡面研磨し酸化膜を除去した場合には、摩擦係数や磨耗の程度に実施例1と比較例2に殆ど差異が認められなかった。
表2によれば、実施例1〜14は、追加の熱処理により酸化膜を形成させたものが、再度鏡面研磨し酸化膜を除去したものに比べて5〜10%摩耗量が減少した。このことから、熱処理を施すことにより形成される酸化膜は耐摩耗性が高いことがわかった。また、比較例1、2は、追加の熱処理により酸化膜を形成させたものでも摩耗量の減少割合が2〜3%と効果が少なかった。このことから、実施例1〜14の成分組成からなる熱間鍛造金型に追加の熱処理を施すと耐摩耗性を高める効果が特に高いことがわかった。
また、実施例1〜14は、Si量を低減させたものであるから、Si量を減少させることによって摩耗量が少なくなることもわかった。その理由は、表1によれば、実施例1及び比較例1、2のSi量は、それぞれ0.1%及び1%であるのに対し、その他の成分は、ほぼ同量だからである。
また、表2の実施例1〜14によれば、摩耗量は、C、Mo添加量の増加及びSi、Mn、Cr添加量の減少に伴い減少する傾向があることがわかった。
更に、表2によれば、いずれの実施例も比較例も調質硬さに差異がないが、図6によれば、実鍛造条件では耐摩耗性に差異が生じた。このことからも、実施例1〜14では鍛造面に生成する酸化膜に耐摩耗性や潤滑作用を高める効果があることがわかった。
更に、図7によれば、実施例1の鍛造数は、比較例2の鍛造数に比べて1.3倍であったが、実施例1の摩耗量は35%減少した。このことから、実施例1が比較例2に比して耐摩耗性に優れることを実生産においても確認できた。
図8(a)に示す軸力疲労特性によれば、実施例1の破断繰返し数は、同一の負荷応力で比較例2の2〜3倍となった。比較例2の疲労破面には、粗大なVCが確認される一方で、実施例1の破面には起点となるVCが認められなかった。その理由は、実施例1では比較例2に比べるとSiとVを低減したため、凝固時の晶出VCが減少且つ小径化し、後続のソーキングで完全に固溶したためと考えられる。
Claims (7)
- 質量%で、C:0.32〜0.42%、Si:0.3%以下、Mn:0.3〜1.5%、Ni:0.5%以下、Cr:4.0〜6.0%、V:0.2〜1.0%、Mo+1/2W:0.8〜2.0%、及び、N:0.005〜0.04%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする熱間鍛造金型。
- 更に、質量%で、Co:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱間鍛造金型。
- 更に、質量%で、Cu:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱間鍛造金型。
- 請求項1から3のいずれかに記載の熱間鍛造金型の表面に酸化膜が形成されていることを特徴とする熱間鍛造金型。
- 質量%で、C:0.32〜0.42%、Si:0.3%以下、Mn:0.3〜1.5%、Ni:0.5%以下、Cr:4.0〜6.0%、V:0.2〜1.0%、Mo+1/2W:0.8〜2.0%、及び、N:0.005〜0.04%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を粗加工し、焼入れ焼戻しを行った後、仕上げ加工を施すことにより得られる熱間鍛造金型に、
150℃〜700℃で追加の熱処理を施すことを特徴とする熱間鍛造金型の製造方法。 - 前記鋼は、更に、質量%で、Co:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする請求項5に記載の熱間鍛造金型の製造方法。
- 前記鋼は、更に、質量%で、Cu:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の熱間鍛造金型の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007159081A JP5273952B2 (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 熱間鍛造金型及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007159081A JP5273952B2 (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 熱間鍛造金型及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008308745A true JP2008308745A (ja) | 2008-12-25 |
JP5273952B2 JP5273952B2 (ja) | 2013-08-28 |
Family
ID=40236601
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007159081A Active JP5273952B2 (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 熱間鍛造金型及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5273952B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3050649A1 (en) | 2015-01-28 | 2016-08-03 | Daido Steel Co.,Ltd. | Steel powder and mold using the same |
EP3550051A1 (en) * | 2018-04-02 | 2019-10-09 | Daido Steel Co.,Ltd. | Steel for mold, and mold |
WO2020070917A1 (ja) * | 2018-10-05 | 2020-04-09 | 日立金属株式会社 | 熱間工具鋼および熱間工具 |
RU2749815C1 (ru) * | 2020-11-06 | 2021-06-17 | Федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Белгородский государственный национальный исследовательский университет" (НИУ "БелГУ") | Способ получения упрочненных заготовок крепежных изделий из нержавеющей аустенитной стали |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190087977A (ko) | 2017-12-25 | 2019-07-25 | 저텍 테크놀로지 컴퍼니 리미티드 | 레이저 빔 스캐닝 표시 장치 및 증강 현실 안경 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02179848A (ja) * | 1988-12-30 | 1990-07-12 | Aichi Steel Works Ltd | 熱間工具鋼 |
JPH0559487A (ja) * | 1991-09-03 | 1993-03-09 | Hitachi Metals Ltd | 熱間工具鋼 |
JPH0762494A (ja) * | 1993-08-30 | 1995-03-07 | Daido Steel Co Ltd | 低サイクル疲労特性に優れた熱間工具鋼 |
JPH11156468A (ja) * | 1997-11-25 | 1999-06-15 | Fuji Oozx Inc | 熱間鍛造用金型の予熱装置 |
JP2000054054A (ja) * | 1998-07-30 | 2000-02-22 | Nippon Light Metal Co Ltd | 光輝性に優れたAl−Mg−Si系鍛造品及びその製造方法 |
JP2000153325A (ja) * | 1998-11-13 | 2000-06-06 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法 |
JP2005336553A (ja) * | 2004-05-27 | 2005-12-08 | Daido Steel Co Ltd | 熱間工具鋼 |
JP2008121032A (ja) * | 2006-11-08 | 2008-05-29 | Daido Steel Co Ltd | 球状化焼鈍性及び焼入れ性に優れた金型用鋼 |
-
2007
- 2007-06-15 JP JP2007159081A patent/JP5273952B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02179848A (ja) * | 1988-12-30 | 1990-07-12 | Aichi Steel Works Ltd | 熱間工具鋼 |
JPH0559487A (ja) * | 1991-09-03 | 1993-03-09 | Hitachi Metals Ltd | 熱間工具鋼 |
JPH0762494A (ja) * | 1993-08-30 | 1995-03-07 | Daido Steel Co Ltd | 低サイクル疲労特性に優れた熱間工具鋼 |
JPH11156468A (ja) * | 1997-11-25 | 1999-06-15 | Fuji Oozx Inc | 熱間鍛造用金型の予熱装置 |
JP2000054054A (ja) * | 1998-07-30 | 2000-02-22 | Nippon Light Metal Co Ltd | 光輝性に優れたAl−Mg−Si系鍛造品及びその製造方法 |
JP2000153325A (ja) * | 1998-11-13 | 2000-06-06 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法 |
JP2005336553A (ja) * | 2004-05-27 | 2005-12-08 | Daido Steel Co Ltd | 熱間工具鋼 |
JP2008121032A (ja) * | 2006-11-08 | 2008-05-29 | Daido Steel Co Ltd | 球状化焼鈍性及び焼入れ性に優れた金型用鋼 |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3050649A1 (en) | 2015-01-28 | 2016-08-03 | Daido Steel Co.,Ltd. | Steel powder and mold using the same |
US10975460B2 (en) | 2015-01-28 | 2021-04-13 | Daido Steel Co., Ltd. | Steel powder and mold using the same |
EP3550051A1 (en) * | 2018-04-02 | 2019-10-09 | Daido Steel Co.,Ltd. | Steel for mold, and mold |
US11319621B2 (en) | 2018-04-02 | 2022-05-03 | Daido Steel Co., Ltd. | Steel for mold, and mold |
WO2020070917A1 (ja) * | 2018-10-05 | 2020-04-09 | 日立金属株式会社 | 熱間工具鋼および熱間工具 |
JPWO2020070917A1 (ja) * | 2018-10-05 | 2021-02-15 | 日立金属株式会社 | 熱間工具鋼および熱間工具 |
CN112601832A (zh) * | 2018-10-05 | 2021-04-02 | 日立金属株式会社 | 热作工具钢及热作工具 |
JP2021095630A (ja) * | 2018-10-05 | 2021-06-24 | 日立金属株式会社 | 熱間工具鋼および熱間工具 |
CN114000059A (zh) * | 2018-10-05 | 2022-02-01 | 日立金属株式会社 | 热作工具钢及热作工具 |
RU2749815C1 (ru) * | 2020-11-06 | 2021-06-17 | Федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Белгородский государственный национальный исследовательский университет" (НИУ "БелГУ") | Способ получения упрочненных заготовок крепежных изделий из нержавеющей аустенитной стали |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5273952B2 (ja) | 2013-08-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6432070B2 (ja) | 高温熱伝導度に優れた長寿命ダイカスト用熱間金型鋼およびその製造方法 | |
TWI700378B (zh) | 模具用鋼及模具 | |
JP2007197784A (ja) | 合金鋼 | |
JP5534482B2 (ja) | 耐発錆性および熱伝導性に優れた金型用鋼およびその製造方法 | |
JP6410515B2 (ja) | 耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼およびその製造方法 | |
CN102884212A (zh) | 表面硬化钢及其制造方法 | |
JP2009242820A (ja) | 鋼、金型用鋼及びこれを用いた金型 | |
WO2016080308A1 (ja) | 冷間鍛造部品用圧延棒鋼または圧延線材 | |
JP5273952B2 (ja) | 熱間鍛造金型及びその製造方法 | |
KR101688759B1 (ko) | 금형용 강 및 그 제조 방법 | |
WO2013150972A1 (ja) | Fe-Al系合金の製造方法 | |
JP4860774B1 (ja) | 冷間工具鋼 | |
TW201544609A (zh) | 耐延遲破壞性優異的高強度螺栓用鋼以及高強度螺栓 | |
WO2016075951A1 (ja) | 熱間工具鋼 | |
JP7069654B2 (ja) | 金型補修溶接材料 | |
JP5437669B2 (ja) | 温熱間鍛造用金型 | |
JP2005336553A (ja) | 熱間工具鋼 | |
JP2008202078A (ja) | 熱間ダイス鋼 | |
JP2001294974A (ja) | 被削性に優れ熱処理変寸が小さい工具鋼およびその製造方法 | |
JP4322239B2 (ja) | 冷間工具鋼及びその製造方法 | |
JP3581028B2 (ja) | 熱間工具鋼及びその熱間工具鋼からなる高温用部材 | |
JP2009242842A (ja) | 軟窒化クランクシャフト用素材及びその製造方法 | |
WO2021095831A1 (ja) | 高温強度及び靭性に優れる熱間工具鋼 | |
JP6359241B2 (ja) | 鏡面性に優れた耐食性プラスチック成形金型用鋼 | |
JP3201711B2 (ja) | ダイカスト型用時効硬化鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091221 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120111 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120313 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120511 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130108 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130321 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20130403 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130507 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130514 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 5273952 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |