JP2008308477A - 有機系紫外線吸収剤固定化粉末及びその配合化粧料 - Google Patents

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JP2008308477A JP2007183724A JP2007183724A JP2008308477A JP 2008308477 A JP2008308477 A JP 2008308477A JP 2007183724 A JP2007183724 A JP 2007183724A JP 2007183724 A JP2007183724 A JP 2007183724A JP 2008308477 A JP2008308477 A JP 2008308477A
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Abstract

【課題】有機系紫外線吸収剤を固定化した粉末には、従来経時での固定化能や溶剤に対する耐溶出性、紫外線防御効果などに問題があった。
【解決手段】界面活性剤を用いずに親油性有機系紫外線吸収剤をシラン加水分解物骨格中に保持し、さらにその外層を撥水化処理することにより、耐水性と安全性と紫外線防御効果に優れた不定形有機系紫外線吸収剤固定化粉末とその配合化粧料。
【選択図】なし

Description

本発明は、親油性有機系紫外線吸収剤をシリカ骨格中に保持し、さらにその外層を撥水化処理することにより、耐水性と安全性と紫外線防御効果に優れた不定形有機系紫外線吸収剤固定化粉末とその配合化粧料に関する。
有機系紫外線吸収剤は個人の体質によりかぶれや刺激などの皮膚反応を惹起する場合があることが知られている。そのため、ゾル−ゲル法を用いて有機系紫外線吸収剤をその骨格中に固定し、紫外線吸収剤が直接肌に触れないようにすることで安全性の向上や有機系紫外線吸収剤自体の安定性の向上を図る試みが行われてきた。(特許文献1〜4)また、ゾル−ゲル法を用いなくても、特許文献5〜8のように中空シリカや樹脂中に有機系紫外線吸収剤を固定化する試みや、特許文献9のように無機酸化物表面に有機系紫外線吸収剤を化学的に結合させて固定化する試み、特許文献10、11のように有機系紫外線吸収剤を単純に無機粉体表面に被覆したものなど各種の試みが行われている。このように、従来、各種の有機系紫外線吸収剤を固定化したりカプセル化することは広く実施されてきたことは明らかである。
特表2003−510453号公報 特表2003−525100号公報 特表2003−500428号公報 特開2004−99601号公報 特開平3−200721号公報 特開昭57−120514号公報 特公昭47−42500号公報 特開平7−267841号公報 特開平4−185690号公報 特開平6−157245号公報 特開平9−286928号公報
一方、これらの固定化技術には問題点も数多く含まれている。まず、単純に被覆したものについては、皮脂や化粧料中のエタノールや揮発性シリコーンなどの溶剤成分によって固定化したはずの有機系紫外線吸収剤が溶出してくるため、固定化の意味があまりない問題がある。次に特許文献1〜4に示したような界面活性剤を使用したゾル−ゲル法を用いた場合、液状化粧料に配合した場合、経時で界面活性剤が配向したり溶出したりして、マイクロカプセルの骨格が崩れたり、内容物の溶出が起こったりする場合があり、長期間の保管に弱い問題がある。特許文献5〜8のように樹脂中に固定化したものは強度も耐溶出性も優れており、マイクロカプセルとしては優れた性能を有するものの、樹脂粒子間の間隙から紫外線が肌に通り抜けるため紫外線防御の効率が悪く、有機系紫外線吸収剤の配合量に対して、紫外線防御効果が低くなってしまう問題がある。この背景として、樹脂粉体は形態が安定しているものが多く、エラストマーのように形態が変化して隙間をカバーする特性が得られにくいという問題が挙げられる。
そこで、本発明人は鋭意検討した結果、界面活性剤を用いずに、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物との混合液を作成した後、これを水性溶液中に投入し、さらに水性溶液中で撥水化処理剤を被覆して得られる粉末をさらに加熱乾燥することで、耐水性と安全性と紫外線防御効果に優れた特徴を有する不定形有機系紫外線吸収剤固定化粉末が得られることに成功した。この不定形有機系紫外線吸収剤固定化粉末は、シリカ骨格を有しながら、軟質で不定形の形状を有するため、紫外線防御効果が高く、また、撥水化処理がされているため、耐水性にも優れた特徴を有する。
すなわち、第1の本発明は、界面活性剤を用いずに、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物との混合液を作成した後、これを水性溶液中に投入し、さらに水性溶液中で撥水化処理剤を被覆して得られる粉末をさらに加熱乾燥して得られる、不定形の形状を有することを特徴とする有機系紫外線吸収剤固定化粉末にある。
第2の本発明は、上記の有機系紫外線吸収剤固定化粉末を配合した化粧料にある。
以上説明するように、本発明は、界面活性剤を用いずに、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物との混合液を作成した後、これを水性溶液中に投入し、さらに水性溶液中で撥水化処理剤を被覆して得られる粉末をさらに加熱乾燥することで、耐水性と安全性と紫外線防御効果に優れた特徴を有する不定形有機系紫外線吸収剤固定化粉末が得られることは明らかである。
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明は、界面活性剤を用いずに、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物との混合液を作成した後、これを水性溶液中に投入し、さらに水性溶液中で撥水化処理剤を被覆して得られる粉末をさらに加熱乾燥して得られる、不定形の形状を有することを特徴とする有機系紫外線吸収剤固定化粉末にある。本発明で言う界面活性剤としては、炭素数4以上のアルキル鎖を有する界面活性剤もしくはポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン類が該当し、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコールなどの低級アルコール及び後述のシラン化合物の一部または全部加水分解物は含まない(文献によっては低級アルコールを界面活性剤に分類している場合がある)。
本発明で言う親油性有機系紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ビスエチルヘキシロキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾルイルテトラメチルブチルフェノール、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物等のケイ皮酸系;4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が例示される。一方、親水性紫外線吸収剤は本発明の方法では固定化が難しい。また、用いる親油性有機系紫外線吸収剤は1種以上が挙げられ、UVB対応有機系紫外線吸収剤とUVA対応の有機系紫外線吸収剤を組み合わせて用いることが好ましい。また、同時に無機系の紫外線遮蔽材である微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びその誘導体と組み合わせることも可能である。この際、無期刑の紫外線遮材の表面はシリカ、アルミナ等の無機酸化物や撥水化処理剤で被覆されていることが好ましい。
本発明で用いる親油性有機系紫外線吸収剤は、常温常圧下で液状であっても粉末状であっても構わないが、粉末の形態の材料をそのまま本方法で処理すると紫外線防御効率が低下する問題があるため、粉末の形態を有する親油性有機系紫外線吸収剤を使用する場合、例えば4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンなどを使用する場合は、事前にパラメトキシケイ皮酸オクチルなど他の親油性液状紫外線吸収剤や液状油剤に一度溶解して液状またはペーストの形態としたものを用いることが好ましい。
本発明で用いるシラン化合物としては、例えばテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、また各種のシランカップリング剤の1種以上から選ばれることが好ましい。この内、特にテトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランを組み合わせて使用すると、安定性、感触特性が優れていることから好ましく、その内最も良い組み合わせはテトラエトキシシランとオクチルトリエトキシシランまたはヘキシルトリエトキシシランとの組み合わせである。この場合、界面活性剤が無くても有機系紫外線吸収剤を安定的に固定化できるメリットがある。シランとしてクロライドを用いることも可能であるが、ハンドリング、安全性、装置上の問題があるため、アルコキシドを用いることが好ましい。
本発明では上記シラン化合物のシラン化合物の加水分解物を利用するが、加水分解の方法としては、例えば上記シランと水と酸(無機酸、有機酸のどちらでも良いが得られた粉体の安全性と分析コストを考慮すると無機酸が好ましい)と場合により低級アルコールを混合し、加温下に保管することで、加水分解を開始し、まだ溶液が透明性を保っている段階のものが使用可能である。白濁沈澱ができてきたりした場合は利用しないことが好ましい。シラン化合物は単独で加水分解しても、他の成分、例えば有機系紫外線吸収剤と一緒に加水分解しても構わないが、工程が短縮できることから、有機系紫外線吸収剤が酸性下で許容できないレベルの分解反応などが生じないことを条件に、他の成分と一緒に加水分解することが好ましい。本発明で用いる無機酸の例としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸が挙げられる。また、加温条件としては、加水分解に伴う揮発性成分の発生量にも依存するが、製造時の安全性を考慮すると大気圧下では40〜70℃程度が適当なものとして挙げられる。また、加水分解に係る時間は0.1〜100時間が挙げられ、好ましくは1〜24時間の範囲が挙げられる。反応時間はアルコキシドの種類と酸の濃度により調整が可能である。
ここで界面活性剤を用いずに、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物との混合液を作製する際の好ましい組み合わせ例を示す。尚、本例は参考例であり、これに限定されるものではない。オクチルトリエトキシシラン 11.6質量部、テトラエトキシシラン 11.6質量部、有機系紫外線吸収剤(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのパラメトキシケイ皮酸オクチル溶液(混合質量比率36:64、BASF社製 製品名ユビナールA plus B))30.2質量部、エタノール 11.6質量部、精製水 33.8質量部、6mol/L塩酸水溶液 1.2質量部からなる溶液を密閉容器に入れ、40℃で12時間保管し、外観が黄色透明な溶液を得た。尚、本溶液を水に分散させると全体に均一な溶液になるのに対し、加温保管していないもの(混合直後のもの)では均一に分散せず、水面に油膜が形成された。この点からも加水分解により溶液の特性が変化していることが判る。また、加水分解後の溶液が水に良く分散する性質を持つことから、界面活性剤を使用しなくても、有機系紫外線吸収剤を固定化することが可能なことが判る。
また、上記混合液ではエタノールを配合しているが、これは他の低級アルコールであっても構わない。低級アルコールを配合しておくと、後で水に分散させる際に機械的粉砕力を用いなくても、攪拌程度でも得られる粉体の粒子径が小さくできるメリットがあり、配合することが好ましい。尚、低級アルコールの中ではエタノールが最も粒子の分散効果と作業上の安全性に優れることから好ましい。
本発明で用いる親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の混合質量比率としては、10:90〜75:25の比率が好ましく、さらに好ましくは20:80〜60:40の範囲が挙げられる。シラン化合物の比率が低くなると、親油性有機系紫外線吸収剤の固定化能が低くなり、化粧料に配合した際の長期安定性が悪くなるなどの問題がある。
次に本発明では、界面活性剤を用いずに、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物との混合液を作製した後、これを水性溶液中に投入する。この際、混合液はプロペラやディスパーなどによる攪拌下の水性溶液中にゆっくり投入するか、スタテックミキサーなどを用いて分散をかけながら投入するなどの方法を用いることが好ましい。また、投入時または投入後にビーズミル等の粉砕装置を用いることも可能である。この工程で、本発明で得られる粉末の大きさに関する基本的な特性が決まる。本発明で言う水性溶液とは、精製水または水、及び/または精製水(水)と低級アルコール、多価アルコールの1種以上から選ばれる混合溶液である。尚、本発明では、界面活性剤を用いずに処理を実施する関係で、親油性有機系紫外線吸収剤の配合割合が高い場合や、用いたシラン化合物の種類によっては、上記混合液が水性溶液中で分散せずに分離する場合がある。このような場合は、精製水でなく、精製水とイソプロピルアルコールの混合溶液を用いるなどの手法を用いる必要がある。
本発明の有機系紫外線吸収剤固定化粉末では、撥水化処理剤の投入前か後のどちらかの工程において、シラン化合物の加水分解に用いた酸の中和を行う必要がある。この際、一部の酸はシランに捕捉されて粒子内部にも存在するため、中和には時間をかける必要がある。中和の時間は1時間〜48時間の範囲が好ましい。短すぎると中和が不十分で濾過後に酸が残る問題があり、長すぎると微生物の発生や工程が長くなりすぎるなどの問題が生じる。中和時間を短縮するには、初期中和時のpHをやや高めに設定した上で、ディスパーやビーズミル等の粉砕装置を用いて粒子径を細かくしてしまうことが有効である。中和に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる。
ここまでの工程で親油性有機系紫外線吸収剤はほぼシラン加水分解物の骨格中に保持されているが、まだ不安定であり、濾過や乾燥工程で粒子の合一や親油性紫外線吸収剤の分離など品質が劣化してしまう問題がある。そこで、さらに水性溶液中で撥水化処理剤を被覆して粒子の合一を阻害すると同時に粒子として安定化させる。これは本発明では、親油性有機系紫外線吸収剤として液状またはペーストの形態を持つものを利用しているため、もともと粒子の形態が不安定であり、粒子の合一や融合が生じやすいことを防止することも目的の一つである。本発明で用いる撥水化処理剤の例としては、シリコーン処理、フッ素化合物処理、アクリルシリコーン処理、アシル化アミノ酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、ワックス処理、シラン処理、有機チタネート処理、有機アルミネート処理、シリコーン樹脂処理、シリコーンエラストマー処理、ホスホリルコリン誘導体処理など従来知られている表面処理の1種または2種以上を用いることができるが、特にオクチルトリエトキシシランによる処理、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンによる処理が好ましい。撥水化処理剤の被覆量としては、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物の合計質量に対して撥水化処理剤の質量が0.5〜50質量部の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1〜20質量部である。処理量が少ないと合一防止の効果が弱くなる問題がある。
こうして撥水処理された粉末は濾過もしくは遠心分離などの手段により、水性溶液相と粉末相を分離する。ここで、酸とアルカリから形成された塩を除去する目的で、分離した粉末相を水または精製水に再分散させ、それを再度分離する工程を入れることが好ましい。
本発明では、次に洗浄された粉末の加熱乾燥を行う。この工程により、用いたシラン化合物は反応が進み、また、撥水化処理剤の粉末表面への固定がしっかりできる。本発明で用いる加熱乾燥条件は用いる親油性有機系紫外線吸収剤の耐熱温度に依存する。一方、水系処理時の水分もしっかり除去する必要があるため、加熱温度としては、60〜135℃の温度範囲が好ましく、さらに好ましくは100〜125℃の範囲が挙げられる。加熱時間としては、1〜120時間が好ましく、より好ましくは4〜48時間の範囲が挙げられる。尚、低温で乾燥する場合は、防腐が不十分になる恐れがあるため、処理時に防腐剤を併用するなどの処置が必要となる場合がある。温度が高い方がシラン化合物の反応が進み、より安定した品質のものができるため好ましい。温度を上げすぎると親油性有機系紫外線吸収剤が分解したり変色が発生する場合がある。
上述の方法により得られた本発明の有機系紫外線吸収剤固定化粉末は不定形の形状を有することを特徴とする。形状が不定形で、かつ撥水化されているため、本発明の有機系紫外線吸収剤固定化粉末は肌への密着性に優れるため、水浴時に肌から脱離しにくく、耐久性に優れる特性を有する。尚、本発明で言う不定形とは、非球状、非板状、非棒状の特に定まった形状を持たないことを指す。不定形の粒子の大きさとしては、50nm〜10μmの範囲のものが化粧料に有用であるが、不定形粒子の最大径で0.1〜5μmの範囲のものが安定性、耐溶出性などの性能が優れていることから好ましい。尚、粒子形状、大きさの測定方法としては走査型電子顕微鏡を用いる方法が好ましい。
本発明の化粧料では、上記の有機系紫外線吸収剤固定化粉末を化粧料の自重に対して0.1〜99.9質量%の範囲で配合することができる(但し、別途薬事法の規制範囲内に収めることが必要)が、好ましくは1〜50質量%の範囲が挙げられる。但し、本発明の有機系紫外線吸収剤固定化粉末には配合制限が存在し、高濃度のエタノールと接触すると、内容物が溶出してくる問題がある。そのため、化粧料中のエタノールは溶出が生じる濃度以下にする必要があり、具体的には30質量%以下とする必要がある。他の成分については特に制限はない。
本発明の化粧料では、上記の有機系紫外線吸収剤固定化粉末以外の成分として、化粧料で通常使用される各種の原料、例えば油剤、樹脂、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、防腐剤、香料、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、増粘剤等の成分を任意に配合することが可能である。
例えば、シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、揮発性シリコーン(環状シリコーン、メチルトリメチコン)等のシリコーン化合物が挙げられる。
本発明の化粧料で用いる多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラフィノース、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体なども使用可能である。
本発明の化粧料で用いる油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性および不揮発性の油剤および溶剤および樹脂が挙げられる。油剤の例としては、例えばアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、キョウニン油、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等;炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソプチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、べヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等;エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール等のフッ素化合物などが挙げられる。
本発明の化粧料で用いる粉体の例としては、例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、タール色素、天然色素などがあげられ、具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン又はシリカ、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びその誘導体などがある。有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロンや6ナイロンなどのナイロンパウダー、ポリアクリルパウダー、ポリアクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末又はラウロイルリジンなどがある。界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウムなどがある。有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、−酸化鉄などの無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラックなどの無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルトなどの無機緑色顔料、紺青、群青などの無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などある。パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン・酸化鉄被覆マイカなど;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダーなど;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号など;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン又はクロシンなどから選ばれる粉体が挙げられる。表面処理は撥水性処理がされていても親水性処理がされていても構わない。粉体表面処理の例としては、シリカ処理、アルミナ処理、珪酸亜鉛処理、シリコーン処理、フッ素化合物処理、アクリルシリコーン処理、アシル化アミノ酸処理、寒天処理、アルギン酸処理、アクリル酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、ワックス処理、シラン処理、有機チタネート処理、有機アルミネート処理、シリコーン樹脂処理、シリコーンエラストマー処理、ホスホリルコリン誘導体処理など従来知られている表面処理の1種または2種以上を用いることができる。
本発明の化粧料としては、上記の成分の他にさらにシリコーンエラストマーを配合していることが好ましい。シリコーンエラストマーは電子顕微鏡で観察した場合に粉体形状を有していてもいなくても構わない。シリコーンエラストマーを配合することにより、より肌感触に優れ、安全性に優れた製剤を得ることができる。また、球状の樹脂粉末も配合が好ましいものとして挙げられる。本発明の有機系紫外線吸収剤固定化粉末は比較的重い感触を有することから、これらの成分により感触の改善が図れるメリットがある。
本発明の化粧料としては、サンスクリーン剤、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、口紅、アイシャドウ、頬紅、クリーム、ミルク、美容液など紫外線防御効果を有する化粧品が該当し、その剤型としては、多層分離型、ローション、クリーム、乳液状、固型状、粉末状、泡状、スプレー、ジェル状、スティック状の剤型などが挙げられる。
以下に実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
化粧料の実施例、比較例に対する有用性評価方法
化粧料の官能特性評価は、パネラー5名を用い、実際に製品を顔、手につけてもらい、各パネラーごとに使用感が悪い場合を0点、優れている場合を5点として評価してもらい、その平均点数の小数点以下を四捨五入した値を以って評価結果とした。従って、点数が高い方が使用感が優れていることを示す。
実施例1
不定形有機系紫外線吸収剤固定化粉末の作製
オクチルトリエトキシシラン 11.6質量部、テトラエトキシシラン 11.6質量部、有機系紫外線吸収剤(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのパラメトキシケイ皮酸オクチル溶液(混合質量比率36:64、BASF社製 製品名ユビナールA plus B))30.2質量部、エタノール 11.6質量部、精製水 33.8質量部、6mol/L塩酸水溶液 1.2質量部からなる溶液を密閉容器に入れ、40℃で18時間保管し、シラン化合物を加水分解させた。この溶液を65℃に加温した精製水1160質量部中に強攪拌下でゆっくり滴下した。さらにこの上からゆっくりとオクチルトリエトキシシラン 11.6質量部を滴下した。2時間65℃で攪拌した後、室温まで攪拌下に放冷した溶液のpHは2.4であった。5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5にした後、強攪拌下に1時間放置し、pHを調整するこをを3回繰り返した。溶液を吸引濾過し、得られた粉末を3回水洗した。尚、ろ液はほぼ透明な溶液であった。得られた粉末をステンレスバットに入れ、130℃で12時間、送風乾燥させた。得られた淡黄色粉末をミキサーを用いて粉砕し、目的とする有機系紫外線吸収剤固定化粉末を得た。
形状の確認試験結果
実施例1で得られた粉末を走査型電子顕微鏡を用いて形態の観察をおこなったところ、不定形の形状であることが確認された。その写真の例を図1に示す。この場合、粒子の最大径は大体2.4μm程度であることが判る。
耐溶出性試験結果
0〜100質量%のエタノール水溶液を10質量%きざみで作製し、そこに実施例1で作製した有機系紫外線吸収剤固定化粉末を入れ、2ケ月間室温で放置した後、濾過し、ろ液に移行した成分の量を調べたところ、0〜30質量%の範囲では溶出は認められなかったが、40質量%では溶出が認められ、50質量%以上では親油性紫外線吸収剤の半量〜全量が溶出した。このことからエタノール濃度が30%以下であれば耐溶出性は確保されていることが判った。
紫外線吸収剤の劣化確認試験結果
実施例1では大気下130℃12時間という高温長時間の加熱が実施されていることから、分光光度計を用いて加熱前後の波形に異常がないかどうか確認を実施した。その結果、未加熱の標準品と比較して、実施例1では290nm付近のピークがやや低くなり、350nm付近のピークがやや強くなる傾向を示したが、波形自体の形状の変化や新たに発生したピークは認められなかった。
比較例1
実施例1で加水分解を行わずに用いた以外は全て実施例1と同様にしたところ、水相と油相が分離し、濾過時にろ液に流出してしまい回収がほとんど行えなかった。
比較例2
実施例1のオクチルトリエトキシシランによる撥水化処理を行わない以外は実施例1と同様にしたところ、粉砕前には粒子径が大きな粉末が形成され、粉砕後も感触が悪かった。
比較例3
実施例1の初期混合液中のオクチルトリエトキシシランとテトラエトキシシランの代わりに多孔質シリカを用いた他は全て実施例1と同様にして製品を得たところ、肌に塗布した際に水により容易に肌から脱離し、サンスクリーン製剤への配合には問題があることが判った。
比較例4
オクチルトリエトキシシラン 11.6質量部、テトラエトキシシラン 11.6質量部、有機系紫外線吸収剤(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのパラメトキシケイ皮酸オクチル溶液(混合質量比率36:64、BASF社製 製品名ユビナールA plus B))30.2質量部、エタノール 11.6質量部、精製水 33.8質量部、6mol/L塩酸水溶液 1.2質量部およびノニオン系界面活性剤であるポリエーテル変性シリコーン2質量部からなる溶液を密閉容器に入れ、40℃で18時間保管し、シラン化合物を加水分解させた。この溶液を65℃に加温した精製水1160質量部中に強攪拌下でゆっくり滴下した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを中性に調整後、濾過、水洗し、さらに130℃で12時間、送風乾燥し、ミキサー粉砕した。本品はエタノールだけでなく、揮発性シリコーンであるデカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコンに対しても内容物の溶出性が見られ、有機系紫外線吸収剤の固定化能力が不足していた。
実施例2
ヘキシルトリエトキシシラン 11.6質量部、テトラエトキシシラン 11.6質量部、有機系紫外線吸収剤(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸オクチルの混合溶液(混合質量比率25:75))30.2質量部、エタノール 11.6質量部、精製水 33.8質量部、6mol/L塩酸水溶液 1.2質量部からなる溶液を密閉容器に入れ、40℃で11時間保管し、シラン化合物を加水分解させた。この溶液を精製水1160質量部中に強攪拌下でゆっくり滴下した。1時間攪拌した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5にした。次いでディスパーを用いて粉砕を行いながら、さらにpH調整を繰り返し、pHを6.8とした。この溶液にトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンを5.8質量部加え、さらに粉砕を実施した。溶液を吸引濾過し、得られた粉末を3回水洗した。得られた粉末をステンレスバットに入れ、120℃で12時間、送風乾燥させた。得られた粉末をミキサーを用いて粉砕し、目的とする有機系紫外線吸収剤固定化粉末を得た。この粉末は不定形の形状を有しており、0.8μm程度の粒子径を有する粒子が多く観察された。
化粧料の実施例および比較例
表1の処方と製造方法によって化粧料(ファンデーション)を作製した。
但し、単位は質量%である。表1中のオクチルシリル化処理顔料は大東化成工業製のOTS処理顔料を使用した。ポリメチルシルセスキオキサンとしては平均粒子径4.5μmのものを使用した。ジメチルポリシロキサンとしては粘度6×10−2cm/sのものを用いた。
Figure 2008308477
製造方法
粉体成分を良く混合した後、均一に溶解した油性成分を添加し、さらによく混合した。次いでメッシュを通した後、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
表1の実施例及び比較例の官能評価結果を表2に示す。尚、比較例5は実施例4で用いた有機系紫外線吸収剤固定化粉末(実施例1)で用いたシラン化合物が完全に加水分解して反応したものと仮定し、その質量割合から、有機系紫外線吸収剤と撥水化シリカ(トリメチルシリル化シリカ)に分解して配合した比較例である。比較例6は実施例6で用いた有機系紫外線吸収剤固定化粉末(実施例2)を基に計算して配合した。尚、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンはシラン部分の誘導率が不明のため、反応前後で質量が変わらないものとして取り扱った。
Figure 2008308477
表2の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて大変優れた特性を有していることが判る。比較例5、比較例6共に塗布しにくく、油性感が強かった。また、本試験結果より、有機系紫外線吸収剤固定化粉末は油性物を粉末の形態として扱えるため、従来以上に多量の有機系紫外線吸収剤を配合することが可能であることも判った。尚、いずれの試験品においても安全性上の問題は認められなかった。
実施例7〜11及び比較例7〜8
表3の処方と製造方法により化粧料(サンスクリーン剤)を作製した。
但し、単位は質量%である。表3中のメチルトリメチコンとデカメチルシクロペンタシロキサンは揮発性シリコーンの一種である。シリコーンワックスとしては側鎖アルキル変性シリコーンワックスを用いた。
製造方法
油性成分に有機系紫外線吸収剤固定化粉末と樹脂粉末を機械的に分散させた。次いで均一に溶解した水性成分を混合し、良く攪拌し、容器に充填して製品とした。
Figure 2008308477
表3の実施例を前記と同様に官能評価した結果を表4に示す。
Figure 2008308477
表4の結果から、本発明の実施例はいずれも耐水性、紫外線防御効果、使用感に優れていることが判る。一方、比較例6は実施例7に対応したものであるが、粉末成分が入っていないと耐水性が弱くなることが判る。また、比較例7は従来技術にあるようなノニオン系界面活性剤とシラン化合物を組み合わせて有機系紫外線吸収剤を固定化した例であるが、ここで用いたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは特徴的な黄色の外観を持つ成分であるため、粉末からの溶出が発生すると比較的容易に判断がつく特徴がある。本比較例の場合では、製剤中で粉末から製剤中に有機系紫外線吸収剤が溶出していることが判った。また、比較例7は耐水性が不足しており、界面活性剤の影響があることが予想された。尚、いずれの試験品においても安全性上の問題は認められなかった。
以上の結果から、界面活性剤を用いずに親油性有機系紫外線吸収剤をシラン加水分解物中に固定化し、さらに撥水化処理することにより、耐水性、安全性、化粧料への配合特性、紫外線防御効果に優れた不定形有機系紫外線吸収剤固定化粒子と、その配合化粧料が得られていることが判る。
実施例1で作製した不定形有機系紫外線吸収剤固定化粒子の走査型電子顕微鏡写真の例である。

Claims (2)

  1. 界面活性剤を用いずに、親油性有機系紫外線吸収剤とシラン化合物の加水分解物との混合液を作成した後、これを水性溶液中に投入し、さらに水性溶液中で撥水化処理剤を被覆して得られる粉末をさらに加熱乾燥して得られる、不定形の形状を有することを特徴とする有機系紫外線吸収剤固定化粉末。
  2. 請求項1に記載の有機系紫外線吸収剤固定化粉末を配合した化粧料。
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