JP2008307809A - ポリエステル系樹脂フィルムロール、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共重合ポリエステルを構成成分とする融点が180〜250℃のポリエステル系樹脂からなり、巻取方向と45度の角度方向の屈折率と直交する屈折率との差Δnabが0.020以上0.080以下であって、長手方向の150℃で30分の熱収縮率HS150が1.2%以上4.5%以下であって、長手方向でのHS150の変動量が0.40%以下であるポリエチレン系樹脂フィルムロールおよびその製造方法。
【選択図】図1
Description
(1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.7%以下であること
(2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも1.2%以上4.5%以下であること
(3)前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における片端縁側のHS150の変動量、および、前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における他端縁側のHS150の変動量が、いずれも0.4%以下であること
(4)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(5)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(6)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、共重合ポリエステルを構成成分とする。共重合ポリエステルとしては、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルが好適である。また、二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、さらにグリコール成分として1,3−プロパンジオール単位または1,4−ブタンジオール単位を含むことが成型性を向上させる点から好ましい。本発明に用いられる共重合ポリエステルは、上記(a)の場合は、全グリコール成分に占めるエチレングリコールの割合が20モル%〜95モル%になるように共重合成分を添加することが好ましい。なお、前記の全グリコール成分に占めるエチレングリコールの割合の下限としては好ましくは30モル%、より好ましくは40モル%であり、上限としては好ましくは90モル%、より好ましくは80モル%、さらに好ましくは70モル%である。また、本発明に用いられる共重合ポリエステルは、上記(b)の場合は、全芳香族ジカルボン酸成分に占めるテレフタル酸の割合が50モル%〜95モル%になるように共重合成分を添加することが好ましい。なお、前記の全芳香族ジカルボン酸成分に占めるテレフタル酸の割合の下限としては好ましくは60モル%、より好ましくは70モル%であり、上限としては好ましくは90モル%である。
本発明では、フィルム原料として、1種類以上のホモポリエステルまたは共重合ポリエステルを用い、これらをブレンドしてフィルムを製膜することによって、共重合ポリエステルのみを用いた場合と同等の柔軟性を維持しながら透明性と高い融点(耐熱性)を実現することができる。また、高融点のホモポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)のみを用いた場合に対し、高い透明性を維持しながら柔軟性と実用上問題のない融点(耐熱性)を実現することができる。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、一旦広幅に製造されたミルロールを所定の個数にスリットしたスリットロールであり、Δnab(すなわち、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率と巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異(絶対値))が0.020以上0.080以下であるものに限定される。すなわち、本発明はフィルムロールの内、Δnabが0.020以上0.080以下の範囲により規定された端部由来するスリットロールに関するものである。Δnabが0.020を下回るスリットロールにおいては、上記した“歪み(すなわち、幅方向における物性差)”の問題が生じない。また、Δnabが0.080を上回るように歪んだスリットロールにおいては、本発明の要件を満たすように熱収縮性率差等を調整することが困難である。なお、本発明におけるΔnabとは、スリットロールの片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置においてそれぞれΔnabを測定し、それらの2つの値の内の大きい方をいう。
(1)フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設ける。
(2)巻き取ったフィルムの長さを9で除した値(以下、「切り出し部間隔」という)を算出する。
(3)フィルムの巻き終わりから各「切り出し部間隔」の前後10m以内の位置に試料切り出し部を設ける。
(4)フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設ける。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、原料である共重合ポリエステル単独、1種類以上のホモポリエステルまたは共重合ポリエステルのブレンド、またはホモポリエステルと共重合ポリエステルの組合せの樹脂チップを溶融押し出しして得られた未延伸フィルム(未延伸積層フィルムあるいは未延伸積層シート)を縦方向(長手方向)および横方法(幅方向)に二軸延伸した後にロール状に巻き取り、後述する方法で熱固定することによって製造することができる。
通常、延伸後のフィルムの熱固定処理は、長尺状の熱風吹き出し口を有する複数本のプレナムダクトを長手方向に垂直に配置した熱固定装置内で実施されることが多い。そして、そのようなプレナムダクトを設置した熱固定装置においては、加熱効率を良好なものとするために、熱固定装置に付設された循環ファンによって熱固定装置内の空気を吸引し、その吸引した空気を温調して、再度、プレナムダクトの熱風吹き出し口から排出することにより、「熱風の吹き出し→循環ファンによる吸引→吸引した空気の温調→熱風の吹き出し」という「熱風の循環」が行われる。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの熱風吹き出し口の遮断条件の調整
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断
以下、上記した各手段について順次説明する。
本発明のフィルムロールの製造においては、熱固定装置の隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように、各プレナムダクトから吹き出される熱風の温度、風量を調節することが不可欠である。たとえば、熱固定装置が第1〜3の熱固定ゾーンに分割されている場合には、第1ゾーン−第2ゾーン間における温度差と風速差との積、第2ゾーン−第3ゾーン間における温度差と風速差との積のいずれもが、250℃・m/s以下となるように調節されている必要がある。そのように、各熱固定ゾーンにおいてプレナムダクトの熱風吹き出し口から吹き出される熱風の温度、風量を調節することによって、後述するように不連続な遮蔽板をプレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付けた場合に、熱固定装置における「熱風の循環」がスムーズに実行され、「温度のハンチング現象」が効果的に抑制されるため、初めて、後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性が良好な長尺のフィルムを得ることが可能となる。
本発明のフィルムロールの製造においては、上記の如く、各熱固定ゾーンにおいてプレナムダクトの熱風吹き出し口から吹き出される熱風の温度、風量を調節した上で、熱固定装置内に配置された複数のプレナムダクトに跨る立替携帯大きな遮蔽板を取り付けるのではなく、図2の如く、個々のプレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口(ノズル)2,2・・を一つずつ遮蔽するように棒状の遮蔽板S,S・・を取り付ける必要がある。また、そのように、各プレナムダクトに棒状の遮蔽板を取り付けるに際して、同一の長さの遮蔽板を各プレナムダクトに取り付けるのではなく、熱固定装置の入口から出口にかけて遮蔽板の長さを次第に長くするのが好ましい(図1参照)。なお、遮蔽板の材質は、熱固定装置内での熱膨張を考慮するとプレナムダクトと同一の材料を用いるのが好ましいが、熱固定装置の温度に耐えることができ、かつ、フィルムを汚したり、フィルムを粘着させたりしないものであれば、特に限定されるものではない。また、遮蔽板によるフィルム端縁部の熱収縮率差を本発明の程度に抑えるためには、遮蔽板の数は多い方が好ましく、15枚以上にすることが望ましい。
二軸延伸共重合ポリエステル系樹脂フィルムロールは、通常、上記したように縦・横延伸された後に、熱固定処理されることによって製造されるが、本発明のフィルムロールの製造においては、縦・横延伸されるゾーンと熱固定処理される熱固定装置との間に、積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンを設置し、延伸ゾーンと熱固定装置との間において完全に加熱の遮断を行うのが好ましい。より具体的には、延伸ゾーンおよび熱固定装置をフィルム製造時と同一条件に調整し、その状態で延伸ゾーンと熱固定装置との間において、短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンおよび熱固定装置の熱風を遮断するのが好ましい。なお、そのように積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンは、ハウジングによって囲われていても良いし、連続的に製造されるフィルムが露出するように設けられていても良い。かかる中間ゾーンにおける熱風の遮断が不十分であると、熱固定装置中における遮蔽板による遮蔽効果が不十分なものとなり、後加工時における良好なフィルムの通過性が得られないので好ましくない。
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の一次昇温時に検出される融解時の吸熱ピークのことである。示差走査熱量分析装置(マックサイエンス社製、DSC3100S)を用いて、各実施例の条件で押出した樹脂約7mgをサンプルパンに入れ、パンのふたをし、窒素ガス雰囲気下で室温から300℃に20℃/分の昇温速度で昇温して測定した。融点(Tm:℃)はJIS−K7121−1987、9・1項に基づいて、ガラス転移温度(Tg:℃)は同9.3項に基づいて求めた。
厚み計測器(ファインリューフ社製ミリトロン)ミリトロンを用い、1ロールあたり15点を測定し、その平均値を求めた。
各試料切り出し部から切り出された各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率、および、巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向(すなわち、上記した45度の角度をなす方向と90度の角度をなす方向)の屈折率をそれぞれ測定した。そして、それらの2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとして算出した。フィルムロールの両端縁部についてΔnabを測定し、いずれか大きい方を本発明のΔnabとした。
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き終わりから、フィルムの巻き長を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けるとともに、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けることによって、1本のフィルムロールについて合計10個の試料切り出し部を設けた。各切り出し部について、フィルムロールの左右の端縁部(端縁から50mm以内の部分)から、フィルム巻き取り方向にそって、幅20mm、長さ250mmの試料フィルムを切り出し、左端縁部、右端縁部それぞれにつき10個の試料フィルムを得た。各試料フィルムに200mm間隔で標線をしるし、150℃に調節した加熱オーブンに入れ、JIS C−2318に準拠して、熱収縮量の測定を実施した。
熱処理加工でのフィルムの平面性を下記方法により評価した。熱処理工程として、2本のロールの間隔が1,900mmであるコーターを用い、温度を100℃あるいは150℃、炉内張力を100Nに設定した。次いで、ロール間隔が2,000mmになるよう2本のロールを水平に配置し、さらに2本のロールの中央位置に、ロール上面の共通接線から30mm下の位置に上面が位置されるように鉄棒を配置した。熱処理工程を通過させたフィルムを98Nの張力下で2本のロール間を通過させた。フィルムを通過させた際に、鉄棒にフィルムが接触しない場合は○とし、鉄棒に接触した場合には×とした。これらの工程は連続して行ない、フィルムが鉄棒に接触したか否かの確認は目視にて行った。
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、かつ平均粒子径(SEM法、以下同じ)が2.7μmのシリカ(富士シリシア社製サイリシア310P)を0.04質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
上記熱固定処理は、図3の如き構造を有する熱固定装置にて行った。熱固定装置は第1〜4ゾーンという4個の熱固定ゾーンに区切られている。第1〜3ゾーンには、それぞれ、8個ずつのプレナムダクトa〜xが設けられており、第4ゾーンにも、8個のプレナムダクトが設けられている。各プレナムダクトは、フィルムの進行方向に対して垂直となるように、フィルムの進行方向に対して400mm間隔で上下に設置されている。そして、それらのプレナムダクトの熱風吹き出し口(ノズル)から延伸されたフィルムに熱風が吹き付けられるようになっている。なお、クリップの戻り方法として外部リターン方式を用い、かつクリップ冷却装置を設置し、さらに20℃の冷風で強制冷却し、テンター出口でのクリップ温度を40℃以下とするクリップ融着防止対策を行った。
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位88モル%及びイソフタル酸12モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位100モル%を構成成分とし、平均粒子径2.7μmのシリカ(富士シリシア社製サイリシア310P)を0.05重量%を含有する、固有粘度が0.65dl/gの共重合ポリエステルのチップ(C)と、固有粘度が0.9dl/g((35℃のo−クロロフェノール中で測定)のポリブチレンテレフタレートのチップ(D)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(C)とチップ(D)を55:45の質量比となるように混合した。次いで、実施例1と同様にして無定形の未延伸シートを得た。これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度20℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール単位30モル%を構成成分とし、平均粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P150)0.01重量%を含有する、固有粘度が0.71dl/gの共重合ポリエステルのチップ(E)と、平均粒子径0.1μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P10)0.06重量%を含有する、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(F)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(E)とチップ(F)を50:50の質量比となるように混合し、これをB層(スキン層)に用いた。
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位99モル%及びジエチレングリコール単位1モル%を構成成分とし、平均粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P150)0.01重量%と、平均粒子径0.1μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P10)0.06重量%を含有する、固有粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(K)を乾燥させ、これをB層(スキン層)に用いた。
熱固定装置の各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける遮蔽板を表4に示す遮蔽率となるように変更し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表4に示す各調整値に変更した以外は、実施例1と同様にして10本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。なお、実施例5における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「V条件」とする。
熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に、一体となった大型の遮蔽板を取り付けた以外は、実施例1と同様にして6本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける棒状の遮蔽板による遮蔽態様を表4に示すように変更するとともに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表5に示す各調整値に変更した以外は、実施例1と同様にして6本のスリットロールを得た。なお、比較例2における各遮蔽板のフィルム幅方向の長さは、熱固定装置の入口から出口にかけて次第に幅狭になるように調整されている。また、比較例2における遮蔽板による遮蔽態様を「C態様」とし、比較例4における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「VI条件」とする。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
各プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けることなく熱固定を実施するとともに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表8の如く変更した以外は、実施例1と同様にして6本のスリットロールを得た。なお、比較例3における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「VII条件」とする。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
表4から、実施例のフィルムロールは、いずれも、ロール全幅に亘る熱収縮率の差(すなわち、熱収縮率差)が小さい上、長手方向における熱収縮率の変動量も小さく、後加工時における通過性が良好であり、後加工に適していることが分かる。これに対して、比較例のフィルムロールは、ロール全幅に亘る熱収縮率差が大きい上、長手方向における熱収縮率の変動量も大きく、後加工時における通過性が不良であることが分かる。
Claims (5)
- 長さが300m以上8,000m以下で幅が0.7m以上2.2m以下となるようにスリットされたポリエステル系樹脂フィルムを巻き取ってなり、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率と巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異であるΔnabが0.020以上0.080以下であるポリエステル系樹脂フィルムロールであって、
前記フィルムが共重合ポリエステルを構成成分とする融点が180〜250℃のポリエステル系樹脂からなり、
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設け、それらの最初と最終の切り出し部との間を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けることによって、合計10個の試料切り出し部を設けたとき、下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とするポリエステル系樹脂フィルムロール。
(1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.7%以下であること
(2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも1.2%以上4.5%以下であること
(3)前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における片端縁側のHS150の変動量、および、前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における他端縁側のHS150の変動量が、いずれも0.4%以下であること - 巻き取られたポリエステル系樹脂フィルムの厚みが10μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル系樹脂フィルムロール。
- 請求項1に記載されたポリエステル系樹脂フィルムロールを製造するための製造方法であって、
押出機から原料樹脂を溶融押し出しすることにより未延伸シートを形成するフィルム化工程と、そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程とを含んでおり、
その熱固定工程が、下記要件(4)〜(6)を満たす熱固定装置において行われることを特徴とするポリエステル系樹脂フィルムロールの製造方法。
(4)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(5)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(6)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること - 二軸延伸工程がフィルムを縦方向に延伸した後に横方向に延伸するものであるとともに、その横延伸を行うゾーンと熱固定装置との間に、風の吹き付けを実行しない中間ゾーンを設けたことを特徴とする請求項3に記載のポリエステル系樹脂フィルムロールの製造方法。
- 熱固定装置が、複数の熱固定ゾーンに分割されているとともに、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように設定されていることを特徴とする請求項3、または請求項4に記載のポリエステル系樹脂フィルムロールの製造方法。
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