JP2008307809A - ポリエステル系樹脂フィルムロール、およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル系樹脂フィルムロール、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】後加工時の熱処理工程におけるフィルムの通過性が後加工の条件に拘わらずロール全長に亘って良好な実用性の高い共重合ポリエステルを構成成分とするポリエステル系樹脂フィルムロールを提供する。
【解決手段】共重合ポリエステルを構成成分とする融点が180〜250℃のポリエステル系樹脂からなり、巻取方向と45度の角度方向の屈折率と直交する屈折率との差Δnabが0.020以上0.080以下であって、長手方向の150℃で30分の熱収縮率HS150が1.2%以上4.5%以下であって、長手方向でのHS150の変動量が0.40%以下であるポリエチレン系樹脂フィルムロールおよびその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、共重合ポリエステルを構成成分とするポリエステル系樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルムロールに関するものであり、詳しくは、優れた加工特性を有するポリエステル系樹脂フィルムロールに関するものである。
従来、成型用シートとしては、ポリ塩化ビニルフィルムが代表的であり、加工性などの点で好ましく使用されてきた。一方、該フィルムは火災などによりフィルムが燃焼した際の有毒ガス発生の問題、可塑剤のブリードアウトなどの問題があり、近年の耐環境性のニーズにより、環境負荷が小さい新しい素材が求められてきている。
上記要求を満足させるために、非塩素系素材としてポリエステル、ポリカーボネートおよびアクリル系樹脂よるなる未延伸シートが広い分野において使用されてきている。特に、ポリエステル系樹脂よりなる未延伸シートは、機械的特性、透明性が良く、かつ経済性に優れており注目されている。例えば、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の約30モル%を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した、実質的に非結晶のポリエステル系樹脂を構成成分とする未延伸ポリエステル系シートが開示されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。
特開平9−156267号公報 特開2001−71669号公報 特開2001−80251号公報 特開2001−129951号公報 特開2002−249652号公報
上記の未延伸ポリエステルシートは、成型性やラミネート適性に関しては市場要求を満足するものではあるが、未延伸シートであるため、耐熱性や耐溶剤性が充分ではなく市場の高度な要求を満足させるまでには至っていない。
上記の課題を解決する方法として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる方法が開示されている(例えば、特許文献6〜9を参照)。
特開平9−187903号公報 特開平10−296937号公報 特開平11−10816号公報 特開平11−268215号公報
しかしながら、上記方法は、耐熱性や耐溶剤性は改善されるものの、成型性が不十分となり、総合的な品質のバランスの点で、市場要求を満足させるものではなかった。
上記課題を解決する方法として、以下のような方法が開示されている(例えば、特許文献10、11を参照)これらのフィルムは成型性、耐熱性、耐薬品性のバランスした、成型性ポリエステルフィルムとして有用である。
特開平2−204020号公報 特開2001−347565号公報
ところが、特許文献10、11に開示のポリエステル系樹脂フィルムは、回転速度に差を設けたロール間で長手方向に延伸された後に、テンター内でフィルムの端部を把持された状態で幅方向に延伸され、テンター内で熱固定されることによって製造される。それゆえ、特にフィルムの幅方向の端部際で熱固定時に長手方向の緩和を促すことができないため、フィルムの幅方向におけるスリットロールの位置によって長手方向の熱収縮率が異なる、という事態が生じてしまう。したがって、一旦広幅で巻き取ったミルロールをスリットしたスリットロールのうち、ミルロールの端縁際に相当するスリットロールにおいては、幅方向の片端縁際の熱収縮率(長手方向の熱収縮率)が他端縁際の熱収縮率よりも大きくなる、という現象が生じてしまう。そして、そのような歪んだスリットロールを、成型加工、オフセット印刷、蒸着加工、プライマー処理、プリズムレンズ加工、ハードコート加工、防眩(AR)加工等の、熱処理を伴う後加工に利用すると、フィルムの通過性が悪くなり、フィルムが後加工工程の中で機台の枠やその他で擦れることにより端部に傷を付けたりする事態が発生してしまう。また、フィルムが傷付かないようにユーザ側で後加工条件を調整するのは非常に手間がかかる。そのようにミルロールの端縁際に相当するスリットロールは、上記用途に用いることが困難であったため、追加の処理をしない場合は、ミルロールの端縁際以外のスリットロールしか用いることができなかった。
また、後加工コストの低減のために幅広のスリットロールに対する要求が増加してきているが、かかる広幅のスリットロールを限られたミルロールの幅から歩留まり良く採取するには、従来のように幅狭のミルロールから採取するよりも幅広のミルロールから採取する方が得策である。しかしながら、ミルロールを幅広にすると、熱固定装置の幅方向における温度の均一性を保つのが難しくなる。つまり、左右に温度差が生じたり、時間的に温度が不安定になってしまう。結果として、熱収縮率を幅方向、長手方向で一定にコントロールするのが難しくなる。それゆえ、ミルロールを幅広化するには、熱固定装置の幅方向における温度の均一性を良好に保つべく、熱風吹き出し量等を微調整することが不可欠である。ところが、熱風吹き出し量等の微調整により、幅方向における温度の均一性を改善することができ、左右の熱収縮率差をある程度低減することができるものの、後加工時におけるフィルムの通過性を良好なものにするために十分なレベルにまで左右の端縁際の熱収縮率差を低減させることはできない。
それゆえ、ミルロールの幅に拘わらず、後加工工程におけるフィルムの通過性を良好なものとすべく、フィルムの幅方向における熱収縮率(フィルムの長手方向の熱収縮率)の差を低減する方法として、出願人によって、フィルムの熱固定工程において、フィルムの進行方向に対して一定間隔で上下に配置させたプレナムダクト(熱風の吹き出し口)に連続的な遮蔽板を被せ、その遮蔽板の幅をフィルム進行方向側にいくにしたがって徐々に拡げていくことにより、フィルムの幅方向の温度を中央部から端部にかけて高くして、端部際の緩和量を中央部分の緩和量に近づける方法が提案されている(特許文献12)。 さらに、出願人は、フィルムの幅方向における熱収縮率の差を低減する方法として、フィルムの熱固定工程において、5本のプレナムダクトに不連続な遮蔽板を取り付け、各プレナムダクトから単位時間当たりに吹き出す熱風の量を一定にし、プレナムダクトから吹き出す風速を増加させることで端部に当たる熱風量を増加させる方法を開示している(特許文献13)。
特開2001−138462号公報 特開2002−79638号公報
しかしながら、熱固定処理においてプレナムダクト(熱風の吹き出し部)に連続的な遮蔽板を被せるだけの方法では、端部際のフィルムを十分に緩和させることができない。また、特許文献13の方法では、各プレナムダクトの風量は一定であるので、各プレナムダクト毎に風速が異なるため、熱固定装置内で乱流が生じる。従って、熱固定ゾーンにおける温度に大きな不均一性が生じており不都合である。したがって、後加工(塗工および乾燥)における熱処理を120℃程度の低温にて行った場合の通過性はある程度改善されるものの、被覆膜(ハードコート膜等)の乾燥効率を上げたり被覆膜の強度を高めたりする目的で後加工における熱処理を高温ゾーン(160℃程度)にて比較的長時間(10〜60秒)に亘って行った場合の通過性は、さほど改善されない。それゆえ、高温にて長時間に亘って後加工する場合には、後加工において条件を調整せざるを得ないし、条件調整ができない事態が生じることもある。
加えて、熱固定処理においてプレナムダクトに遮蔽板を被せるだけの方法では、熱固定ゾーンにおける温度のハンチングが大きくなってしまうため、1,000m以上の長尺なフィルム(ミルロール)を製造する際に、通過性の悪い部分(すなわち、フィルムの幅方向における熱収縮率の差が大きい部分)が形成されてしまう。
本発明の目的は、上記従来のフィルムおよびその製造方法が有する問題点を解消し、後加工時の熱処理工程におけるフィルムの通過性が後加工の条件に拘わらずロール全長に亘って良好な実用性の高いポリエステル系樹脂フィルムロールを提供することにある。また、本発明の目的は、そのように後加工時の熱処理工程におけるフィルムの通過性がロール全長に亘ってきわめて良好な共重合ポリエステルを構成成分とするポリエステル系樹脂フィルムロールを安価かつ容易に製造することが可能な製造方法を提供することにある。
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明の構成は、長さが300m以上8,000m以下で幅が0.7m以上2.2m以下となるようにスリットされたポリエステル系樹脂フィルムを巻き取ってなり、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率と巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異であるΔnabが0.020以上0.080以下であるポリエステル系樹脂フィルムロールであって、前記フィルムが共重合ポリエステルを構成成分とする融点が180〜250℃のポリエステル系樹脂からなり、フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設け、それらの最初と最終の切り出し部との間を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けることによって、合計10個の試料切り出し部を設けたとき、下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.7%以下であること
(2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも1.2%以上4.5%以下であること
(3)前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における片端縁側のHS150の変動量、および、前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における他端縁側のHS150の変動量が、いずれも0.4%以下であること
請求項2に記載された発明の構成は、請求項1に記載された発明において、巻き取られたポリエステル系樹脂フィルムの厚みが10μm以上400μm以下であることを特徴とする。
請求項3に記載された発明の構成は、請求項1に記載されたポリエステル系樹脂フィルムロールを製造するための製造方法であって、押出機から原料樹脂を溶融押し出しすることにより未延伸シートを形成するフィルム化工程と、そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程とを含んでおり、その熱固定工程が、下記要件(4)〜(6)を満たす熱固定装置において行われることを特徴とする。
(4)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(5)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(6)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること
請求項4に記載された発明の構成は、請求項3に記載された発明において、二軸延伸工程がフィルムを縦方向に延伸した後に横方向に延伸するものであるとともに、その横延伸を行うゾーンと熱固定装置との間に、風の吹き付けを実行しない中間ゾーンを設けたことを特徴とする。
請求項5に記載された発明の構成は、請求項3、または請求項4に記載された発明において、熱固定装置が、複数の熱固定ゾーンに分割されているとともに、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように設定されていることを特徴とする。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、オフセット印刷、蒸着加工、プライマー処理などを ロールのまま行う場合、及びプリズムレンズ加工やハードコート加工、AR加工などの後加工時の熱処理工程におけるフィルムの通過性等の後加工特性が非常に優れているため、きわめて高い歩留まりで後加工することができる。したがって、本発明の共重合ポリエステル系樹脂フィルムロールは、成型用フィルム、印刷用フィルム、光学用フィルムや、その他の後加工における熱処理を高温ゾーン(160℃程度)にて比較的長時間(10〜60秒)に亘って行う加工用フィルムとして好適に用いることができる。
[共重合ポリエステル]
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、共重合ポリエステルを構成成分とする。共重合ポリエステルとしては、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルが好適である。また、二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、さらにグリコール成分として1,3−プロパンジオール単位または1,4−ブタンジオール単位を含むことが成型性を向上させる点から好ましい。本発明に用いられる共重合ポリエステルは、上記(a)の場合は、全グリコール成分に占めるエチレングリコールの割合が20モル%〜95モル%になるように共重合成分を添加することが好ましい。なお、前記の全グリコール成分に占めるエチレングリコールの割合の下限としては好ましくは30モル%、より好ましくは40モル%であり、上限としては好ましくは90モル%、より好ましくは80モル%、さらに好ましくは70モル%である。また、本発明に用いられる共重合ポリエステルは、上記(b)の場合は、全芳香族ジカルボン酸成分に占めるテレフタル酸の割合が50モル%〜95モル%になるように共重合成分を添加することが好ましい。なお、前記の全芳香族ジカルボン酸成分に占めるテレフタル酸の割合の下限としては好ましくは60モル%、より好ましくは70モル%であり、上限としては好ましくは90モル%である。
本発明において、フィルム原料としては、共重合ポリエステル単独、1種類以上のホモポリエステルまたは共重合ポリエステルのブレンド、またはホモポリエステルと共重合ポリエステルの組合せのいずれの方法も可能である。これらの中でも、ブレンド法が融点の低下を抑制する点から好適である。
前記の共重合ポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体が好適であり、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
また、分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが例示される。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。
これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。さらに、本発明においては、上記のグリコール成分に加えて1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを共重合成分とすることが、より好ましい実施態様である。これらのグリコールを共重合成分として使用することは、前記の特性を付与するために好適であり、さらに、透明性や耐熱性にも優れ、密着性改質層との密着性を向上させる点からも好ましい。
また、前記の共重合ポリエステルとして、テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、エチレングリコールの量は全グリコール成分に対し70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、前記の分岐状脂肪族グリコールや脂環族グリコール、またはジエチレングリコールが好適である。
前記共重合ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
前記共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、成型性、密着性、製膜安定性の点から、固有粘度が0.50dl/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、成型性が低下する傾向がある。また、メルトラインに異物除去のためのフィルターを設けた場合、溶融樹脂の押出時における吐出安定性の点から、固有粘度の上限を1.0dl/gとすることが好ましい。
(フィルム原料とするポリエステル系樹脂)
本発明では、フィルム原料として、1種類以上のホモポリエステルまたは共重合ポリエステルを用い、これらをブレンドしてフィルムを製膜することによって、共重合ポリエステルのみを用いた場合と同等の柔軟性を維持しながら透明性と高い融点(耐熱性)を実現することができる。また、高融点のホモポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)のみを用いた場合に対し、高い透明性を維持しながら柔軟性と実用上問題のない融点(耐熱性)を実現することができる。
また、前記共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート以外のホモポリエステル(例えば、ポリテトラメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート)を少なくとも1種以上ブレンドして、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールの原料として使用することは、成型性の点からもさらに好ましい。
本発明では、共重合ポリエステル単独、若しくは1種類以上のホモポリエステルまたは共重合ポリエステルをブレンドしたポリエステル系樹脂をフィルム原料とする。本発明に用いるポリエステル系樹脂は、共重合成分を5%〜50%含むことが好ましい。本発明に用いるポリエステル系樹脂は、テレフタル酸成分を全芳香族ジカルボン酸成分の50モル%〜95モル%含有し、さらに/もしくは、エチレングリコール成分を全ジオール成分の30モル%〜95モル%含有するものが好ましい。前記テレフタル酸成分の下限としては、70モル%が好ましく、80モル%がさらに好ましい。また、前記エチレングリコール成分の下限としては、40モル%が好ましく、50モル%がさらに好ましい。
前記のポリエステル系樹脂の融点は、耐熱性及び成型性の点から、180〜250℃であることが好ましい。使用するポリマーの種類や組成、さらに製膜条件を前記融点の範囲内に制御することにより、成型性と仕上がり性とのバランスが取れ、高品位の成型品を経済的に生産することができる。ここで、融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の1次昇温時に検出される融解時の吸熱ピーク温度のことである。該融点は、示差走査熱量分析装置(マックサイエンス社製、DSC3100S)を用いて、昇温速度20℃/分で測定して求めた。融点の下限値は、190℃がよりに好ましく、200℃がさらに好ましく、210℃以上が特に好ましい。融点が180℃未満であると、耐熱性が悪化する傾向がある。そのため、成型時や成型品の使用時に高温にさらされた際に、問題となる場合がある。
前記融点の上限値は、耐熱性の点からは高いほうが良いが、ポリエチレンテレフタレート単位を主体とした場合、融点が250℃を超えるフィルムでは、成型性が悪化する傾向がある。また、透明性も悪化する傾向がある。さらに、高度な成型性や透明性を得るためには、融点の上限を250℃に制御することが好ましい。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムは、二軸延伸フィルムであることが重要である。本発明においては、二軸延伸による分子配向により、未延伸シートの欠点である耐溶剤性や寸法安定性が改善される。すなわち、未延伸シートの成型性の良さを維持しつつ、未延伸シートの欠点である耐溶剤性や耐熱性を改善することができる。
[ポリエステル系樹脂フィルムロール]
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、一旦広幅に製造されたミルロールを所定の個数にスリットしたスリットロールであり、Δnab(すなわち、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率と巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異(絶対値))が0.020以上0.080以下であるものに限定される。すなわち、本発明はフィルムロールの内、Δnabが0.020以上0.080以下の範囲により規定された端部由来するスリットロールに関するものである。Δnabが0.020を下回るスリットロールにおいては、上記した“歪み(すなわち、幅方向における物性差)”の問題が生じない。また、Δnabが0.080を上回るように歪んだスリットロールにおいては、本発明の要件を満たすように熱収縮性率差等を調整することが困難である。なお、本発明におけるΔnabとは、スリットロールの片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置においてそれぞれΔnabを測定し、それらの2つの値の内の大きい方をいう。
また、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、後述する方法により試料切り出し部を設定した場合に、各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.7%以下であることが必要である。
すなわち、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、合計10個の切り出し部において求めた合計10個の熱収縮率差(各切り出し部から切り出したフィルム試料における両端縁のHS150の差)が、いずれも0.7%以下であることが必要である。各切り出し部における熱収縮率差が、0.7%を上回ると、熱処理後加工におけるフィルムの通過性が悪化するので好ましくない。また、各切り出し部における熱収縮率差は、0.6%以下であるとより好ましく、0.5%以下であると特に好ましい。なお、各切り出し部における熱収縮率差は、低いほど好ましいが、測定精度を考慮すると、0.05%程度が限界であると考えられる。
本発明における試料の切り出しは、次の手順によって設けた10個の切り出し部から切り出す。なお、本発明の試料の切り出し部における「以内」とは、原則としては指定されたその位置から切り出すものであるが、試料としての取り幅の関係から指定された位置より内部に設定しても構わないという意味である。
(1)フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設ける。
(2)巻き取ったフィルムの長さを9で除した値(以下、「切り出し部間隔」という)を算出する。
(3)フィルムの巻き終わりから各「切り出し部間隔」の前後10m以内の位置に試料切り出し部を設ける。
(4)フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設ける。
上記試料の切り出しについてより具体的に説明すると、たとえば、長さ500mのフィルムがロールに巻回されている場合、フィルムの巻き終わりから2m以内までの間で、最初の試料(1)を切り取る。なお、試料の切り出しは、ロールの幅方向(フィルムの巻き取り方向と直交する方向)における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置を含めて、フィルムの巻き取り方向(長手方向)に沿う辺と幅方向に沿う辺とを有するように矩形状に切り取る(斜めには切り取らない)ようにする。次いで、フィルムの巻き長を9で除すことによって「切り出し部間隔」を算出する。なお、「切り出し部間隔」は、「1m」の単位まで算出する。したがって、上記の如く、巻き長が500mである場合には、最初の切り出し部を設け得る巻き終わりから2mと最終の切り出し部を設け得る巻き始めから2mとを予め500mから差し引き、残りの496mを9等分した55mを「切り出し部間隔」とする。続いて、フィルムの巻き終わりから55±10m巻き始め側に離れたところで、2番目の試料(2)を切り取る。以下、同様に、巻き始め側に55mずつの間隔を隔てて順次試料を切り取り、合計10個の試料を得る。すなわち、巻き終わりから2m以内の位置で最初の試料(1番目の試料)を切り出し、巻き終わりから57m付近の位置で2番目の試料を切り出し、巻き終わりから112m付近の位置で3番目の試料を切り出し、同様に、巻き終わりから55m離れた位置毎に4番目〜9番目の試料を切り出し、巻き始めから2m以内の位置で最終の試料(10番目の試料)を切り出す。
さらに、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、上記した方法により試料切り出し部を設定した場合に、各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも1.2%以上4.5%以下であることが必要である。
すなわち、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールルは、合計10個の切り出し部において、切り出したフィルム試料の両端縁のHS150の値(合計20個のHS150の値)が、いずれも1.2%以上4.5%以下であることが必要である。各切り出し部から切り出したフィルム試料の両端際におけるHS150の値が4.5%を上回ると、熱処理後加工におけるフィルムの通過性が悪くなるので好ましくない。また、各切り出し部から切り出したフィルム試料の両端際におけるHS150の値は、4.2%以下であるとより好ましく、4.0%以下であると特に好ましい。なお、各切り出し部から切り出したフィルム試料の両端際におけるHS150の値は、低いほど好ましいが、1.2%程度が下限であると考えている。
さらに、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、各切り出し部において求めたロールの幅方向における片端縁側のHS150の変動量、および、各切り出し部において求めたロールの幅方向における他端縁側のHS150の変動量が、いずれも0.4%以下であることが必要である。
すなわち、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、各切り出し部から切り出した10枚のフィルムについて、片端縁側(幅方向における片端縁側)のHS150と他端縁側(幅方向における他端縁側)のHS150を求めたときに、片端縁側の10個のHS150の変動量(最高値と最低値との差)が0.4%以下であるとともに、他端縁側の10個のHS150の変動量が0.4%以下であることが必要である。いずれかの端縁側の10個のHS150の変動量が0.4%を上回ると、熱処理後加工におけるフィルムの通過性が悪くなるので好ましくない。また、各端縁側の10個のHS150の変動量は0.35%以下であると特に好ましい。なお、各端縁側の10個のHS150の変動量は、低いほど好ましいが、測定精度を考慮すると、0.05%程度が限界であると考えられる。
[ポリエステル系樹脂フィルムロールの製造方法]
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールは、原料である共重合ポリエステル単独、1種類以上のホモポリエステルまたは共重合ポリエステルのブレンド、またはホモポリエステルと共重合ポリエステルの組合せの樹脂チップを溶融押し出しして得られた未延伸フィルム(未延伸積層フィルムあるいは未延伸積層シート)を縦方向(長手方向)および横方法(幅方向)に二軸延伸した後にロール状に巻き取り、後述する方法で熱固定することによって製造することができる。
前記二軸配向ポリエステル系樹脂フィルムの製造方法は特に限定されないが、例えば上記ポリエステル系樹脂を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを二軸延伸する方法が例示される。
二軸延伸方法としては、未延伸シートをフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に延伸、熱処理し、目的とする面内配向度を有する二軸延伸フィルムを得る方法が採用される。これらの方式の中でも、フィルム品質の点で、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸するMD/TD法、又は幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するTD/MD法などの逐次二軸延伸方式が適宜使用される。
二軸延伸する際のフィルム延伸倍率としては、長手方向と幅方向に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、特に好ましくは1.7〜4.0倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよいし、同一倍率としてもよい。長手方向の延伸倍率は2.8〜4.0倍、幅方向の延伸倍率は3.0〜4.5倍で行うことがより好ましい。
本発明の成型用ポリエステルフィルムを製造する際の延伸条件としては、例えば、下記の条件を採用することが選択することが好ましい。
縦延伸においては、後の横延伸がスムーズにできるように、延伸温度は50〜110℃がさらに好ましい。
通常、ポリエチレンテレフタレートを延伸する際に、適切な条件に比べ延伸温度が低い場合は、横延伸の開始初期で急激に降伏応力が高くなるため、延伸ができない。また、たとえ延伸ができても厚みや延伸倍率が不均一になりやすいため好ましくない。
また、適切な条件に比べ延伸温度が高い場合は初期の応力は低くなるが、延伸倍率が高くなっても応力は高くならない。そのため、25℃における100%伸張時応力が小さいフィルムとなる。よって、最適な延伸温度をとることにより、延伸性を確保しながら配向の高いフィルムを得ることができる。
しかしながら、前記共重合ポリエステルが共重合成分を1〜40モル%含む場合、降伏応力をなくすように延伸温度を高くしていくと、延伸応力は急激に低下する。特に、延伸の後半でも応力が高くならないため、配向が高くならず、25℃における100%伸張時応力が低下する。
このような現象は、フィルムの厚さが10〜500μmで発生しやすく、特に厚みが20〜300μmのフィルムで顕著に見られる。そのため、本発明の共重合したポリエステルを用いたフィルムの場合、横方向の延伸温度は、以下の条件とすることが好ましい。
まず、予熱温度はフィルム材料を押出機で押出した後の混合物をDSCにおいて測定した場合のガラス転移温度の+10℃〜+50℃の範囲で行う。次いで、横延伸の前半部では延伸温度は予熱温度に対して−20℃〜+15℃とすることが好ましい。また、横延伸の後半部では、延伸温度は前半部の延伸温度に対して0℃〜−30℃とすることが好ましく、特に好ましくは−10℃〜−20℃とする。このような条件を採用することにより、横延伸の前半では降伏応力が小さいため延伸しやすく、また後半では配向しやすくなる。
引き続き、熱固定処理を行う。熱固定処理工程の温度は180℃以上240℃以下が好ましい。熱固定処理の温度が180℃未満では、熱収縮率の絶対値が大きくなってしまうので好ましくない。反対に、熱固定処理の温度が240℃を超えると、フィルムが不透明になり易く、また破断の頻度が多くなり好ましくない。なお、好適な熱固定処理方法については、後述する。
熱固定処理で把持具のガイドレールを先狭めにして、緩和処理することは熱収縮率、特に幅方向の熱収縮率の制御に有効である。この幅緩和率は1〜10%が好ましい。1%未満では効果が少なく、10%を超えるとフィルムの平面性が悪化して好ましくない。
ここでは、最初に長手方向に延伸した後、幅方向に延伸を行う方法について述べたが、延伸順序は逆であっても良い。また、縦延伸および横延伸は、各方向への延伸を一段階で行っても良いし、二段階以上に分けて行うことも可能である。加えて、上記の如く、未延伸フィルムを逐次二軸延伸する方法の他に、未延伸フィルムを縦方向および横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法を採用することも可能である。ただし、本発明の特性を満たすために最適な温度条件や縦横の延伸倍率をとることが重要であり、最終的に得られたフィルム特性が本発明の要件を満足するものであれば良い。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールを構成するフィルムの厚みは、特に限定はされない。しかしながら、ポリエステル系樹脂フィルムロールの厚みは、10μm以上500μm以下の厚みであると好ましい。ポリエステル系樹脂フィルムロールの厚みの下限は、20μm以上が好ましく、50μm以上がさらに好ましい。フィルム厚みが10μm以上であれば、成型などの加工に要する強度が得られる。また、ポリエステル系樹脂フィルムロールの厚みの上限は、400μm以下が好ましく、300μm以下がさらに好ましい。フィルム厚みが500μm以下であれば、成型などの加工が可能である。
また、フィルムロールの幅は、特に制限されるものではないが、取扱い易さの点から、フィルムロールの幅の下限は、0.7m以上であると好ましく、1.0m以上であるとより好ましい。一方、フィルムロールの幅の上限は、後加工する客先の装置の大きさによって定まるが、現状では2.2mが最大幅と考えられており、2.0m以下であるとより好ましく、1.5m以下であるとさらに好ましい。加えて、フィルムロールの巻長も、特に制限されないが、巻き易さや取扱い易さの点から、フィルムが70μm程度の厚みである場合には、8,000m以下であると好ましく、7,000m以下であるとより好ましい。また、フィルムが400μm程度の厚みである場合には、1,200m以下であると好ましく、1,100m以下であるとより好ましい。したがって、フィルムの厚みが10〜400μmの中間である場合には、300m以上8,000m以下の巻長となるように設定するのが好ましい。なお、巻取りコアとしては、通常、3インチ、6インチ、8インチ等の紙、プラスチックコアや金属製コアを使用することができる。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムは単層でも、2層以上の積層構造を有するフィルムでも良いし、透明性を重視して微粒子を入れない二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの片面、又は両面に後加工工程時の接着性を改良する目的や滑り性を改良する目的で種々のコーティングを製膜時に付与したものでもなんら差し支えがない。
また、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性を改善するために、フィルム表面に凹凸を形成させることが好ましい。フィルム表面に凹凸を形成させる方法としては、一般にフィルム中に粒子を含有させる方法が用いられる。
前記粒子としては、平均粒子径が0.01〜10μmの内部析出粒子、無機粒子及び/又は有機粒子などの外部粒子が挙げられる。平均粒子径が10μmを越える粒子を使用すると、フィルムの欠陥が生じ易くなり、意匠性や透明性が悪化する傾向がある。一方、平均粒子径が0.01μm未満の粒子では、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性が低下する傾向がある。前記粒子の平均粒子径は、滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の点から、下限は0.10μmとすることがさらに好ましく、特に好ましくは0.50μmである。一方、前記粒子の平均粒子径は、透明性や粗大突起によるフィルム欠点の低減の点から、上限は5μmとすることがさらに好ましく、特に好ましくは2μmである。
なお、粒子の平均粒子径は、少なくとも200個以上の粒子を電子顕微鏡法により複数枚写真撮影し、OHPフィルムに粒子の輪郭をトレースし、該トレース像を画像解析装置にて円相当径に換算して算出する。
前記外部粒子としては、例えば、湿式及び乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレー、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子及びスチレン、シリコーン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を使用することができる。なかでも、乾式、湿式及び乾式コロイド状シリカ、アルミナ等の無機粒子及びスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼン等を構成成分とする有機粒子等が、好ましく使用される。これらの内部粒子、無機粒子及び/又は有機粒子は二種以上を、本願発明で規定した特性を損ねない範囲内で併用してもよい。
さらに、前記粒子のフィルム中での含有量は0.001〜10質量%の範囲であることが好ましい。0.001質量%未満の場合、フィルムの滑り性が悪化したり、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性が低下しやすくなる。一方、10質量%を越えると、粗大突起の形成、製膜性や透明性の悪化などの原因となりやすい。
また、フィルム中に含有させる粒子は、一般的には屈折率がポリエステルと異なるため、フィルムの透明性を低下させる要因となる。成型品は意匠性を高めるために、フィルムを成型する前にフィルム表面に印刷が施される場合が多い。このような印刷層は、成型用フィルムの裏側に施されることが多いため、印刷鮮明性の点から、フィルムの透明性が高いことが要望されている。
そのため、フィルムのハンドリング性を維持しながら、高度な透明性を得るために、主層の基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず、厚みが0.01〜5μmの表面層にのみ粒子を含有させた積層構造を有する積層フィルムを用いることが有効である。表面層の厚みの上限は3μmが好ましく、特に好ましくは1μmである。この場合、粒子は上記で例示したものを用いることができる。
なお、上記でいう「基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を基材フィルムに添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが混入する場合があるためである。
厚みの薄い表面層の形成は、コーティング法または共押出し法によって行うことができる。なかでも、コーティング法の場合、粒子を含有する密着性改質樹脂からなる組成物を塗布層として用いることで、印刷層との密着性も改良することができるので好ましい方法である。前記の密着性改質樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系重合体および/またはそれらの共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂が好ましい。
前記表面層に含有させる粒子としては、前記で記載した粒子と同様のものを使用することができる。粒子のなかでも、シリカ粒子、ガラスフィラー、シリカ−アルミナ複合酸化物粒子は屈折率がポリエステルに比較的近いため、透明性の点から特に好適である。
さらに、前記表面層における粒子含有量は、0.01〜25質量%の範囲であることが好ましい。0.01質量%未満の場合、フィルムの滑り性が悪化したり、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性が低下しやすくなる。一方、25質量%を越えると、透明性や塗布性が悪化しやすくなる。
本発明のポリエステルフィルムは、他の機能を付与するために、種類の異なるポリエステルを用い、公知の方法で積層構造とすることができる。かかる積層フィルムの形態は、特に限定されないが、例えば、A/Bの2種2層構成、B/A/B構成の2種3層構成、C/A/Bの3種3層構成の積層形態が挙げられる
さらに、本発明のフィルムロールを構成するポリエステル系樹脂フィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
次に、本発明のポリエステル系樹脂フィルムロールを得るための好ましい製造方法について説明する。
[熱固定処理方法]
通常、延伸後のフィルムの熱固定処理は、長尺状の熱風吹き出し口を有する複数本のプレナムダクトを長手方向に垂直に配置した熱固定装置内で実施されることが多い。そして、そのようなプレナムダクトを設置した熱固定装置においては、加熱効率を良好なものとするために、熱固定装置に付設された循環ファンによって熱固定装置内の空気を吸引し、その吸引した空気を温調して、再度、プレナムダクトの熱風吹き出し口から排出することにより、「熱風の吹き出し→循環ファンによる吸引→吸引した空気の温調→熱風の吹き出し」という「熱風の循環」が行われる。
また、上述したように、フィルムロールの幅方向における熱収縮率差(片端縁際のHS150と他端縁際のHS150との差)は、フィルムの幅方向の端部際で熱固定時に長手方向の緩和を促すことができないために発生する。そして、図1の如く、熱固定処理において各プレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口2,2・・の中央部分に連続した大型の遮蔽板S,S・・を被せる方法(特開2001−138462号公報参照)によって、短尺のフィルムにおいては、後加工における熱固定処理を低温にて行った場合の通過性は改善されるものの、長尺のフィルムにおける通過性や、後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性は、何ら改善されない。
本発明者らは、連続した大型の遮蔽板をプレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付けた場合には何故「長尺のフィルムにおける通過性」や「後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性」が改善されないのかを突き止めるため、熱固定装置内における現象の解析を詳細に行った。その結果、複数本のプレナムダクトに跨るような連続した大型の遮蔽板をプレナムダクトの熱風吹き出し口に被せると、遮蔽板によりプレナムダクトの熱風吹き出し口から吹き出される熱風の流れが著しく制限され、上記した「熱風の循環」がスムーズに行われないことに起因して、熱固定装置内で温度のハンチング現象が発生していることを突き止めた。
本発明者らは、上記した「温度のハンチング現象」が、フィルムの端部際における不十分な熱緩和を誘発しており、「長尺のフィルムにおける通過性」や「後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性」に悪影響を与えているのではないかと推測した。さらに、本発明者らは、熱固定装置の温度、風量等の条件をコントロールした上で、プレナムダクトの熱風吹き出し口を遮蔽板で被覆する際の被覆方法を改良することによって、上記した「熱風の循環」をスムーズに実行することが可能となり、「温度のハンチング現象」を抑制することができ、ひいては、「長尺のフィルムにおける通過性」および「後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性」を改善できるのではないかと推測した。そして、熱固定装置の温度、風量条件、遮蔽板の被覆態様、および後加工におけるフィルムの通過性の三者の関係を把握すべく試行錯誤した結果、フィルムロール製造の際に、下記(1)の手段を講じることにより、「長尺のフィルムにおける通過性」や「後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性」が改善される傾向が見られた。そして、その知見に基づいて、本発明者らが、さらに試行錯誤した結果、下記(1)の手段を講じた上で、下記(2),(3)の手段を講じることにより、後加工における通過性の良好なフィルムロールを得ることが可能となることを見出し、本発明を案出するに至った。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの熱風吹き出し口の遮断条件の調整
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断
以下、上記した各手段について順次説明する。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
本発明のフィルムロールの製造においては、熱固定装置の隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように、各プレナムダクトから吹き出される熱風の温度、風量を調節することが不可欠である。たとえば、熱固定装置が第1〜3の熱固定ゾーンに分割されている場合には、第1ゾーン−第2ゾーン間における温度差と風速差との積、第2ゾーン−第3ゾーン間における温度差と風速差との積のいずれもが、250℃・m/s以下となるように調節されている必要がある。そのように、各熱固定ゾーンにおいてプレナムダクトの熱風吹き出し口から吹き出される熱風の温度、風量を調節することによって、後述するように不連続な遮蔽板をプレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付けた場合に、熱固定装置における「熱風の循環」がスムーズに実行され、「温度のハンチング現象」が効果的に抑制されるため、初めて、後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性が良好な長尺のフィルムを得ることが可能となる。
なお、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が250℃・m/sを上回ると(たとえば、隣接し合う熱固定ゾーン同士の温度差が30℃となるように設定するとともに、隣接し合う熱固定ゾーン同士の風速差が10m/sとなるように設定すると)、熱固定装置における「熱風の循環」がスムーズに行われなくなり、「温度のハンチング現象」を効果的に抑制することができなくなるので好ましくない。加えて、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が250℃・m/sを上回ると、フィルムの通過により生じる随伴流として上流の熱固定ゾーンから下流の熱固定ゾーンへと流れ込む空気の熱量が大きくなり、下流の熱固定ゾーンの幅方向における温度の安定性に悪影響が及ぶこととなるため、好ましくない。また、当該温度差と風速差との積は、200℃・m/s以下であると好ましく、150℃・m/s以下であるとより好ましい。また、特許文献2のように、各プレナムダクトの風量を一定にし、各プレナムダクトの風速を異なるようにすると「温度のハンチング現象」が起こる。本発明では、各ゾーン内での風速を一定にすることで、「温度のハンチング現象」を効果的に抑制する。
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの遮断条件の調整
本発明のフィルムロールの製造においては、上記の如く、各熱固定ゾーンにおいてプレナムダクトの熱風吹き出し口から吹き出される熱風の温度、風量を調節した上で、熱固定装置内に配置された複数のプレナムダクトに跨る立替携帯大きな遮蔽板を取り付けるのではなく、図2の如く、個々のプレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口(ノズル)2,2・・を一つずつ遮蔽するように棒状の遮蔽板S,S・・を取り付ける必要がある。また、そのように、各プレナムダクトに棒状の遮蔽板を取り付けるに際して、同一の長さの遮蔽板を各プレナムダクトに取り付けるのではなく、熱固定装置の入口から出口にかけて遮蔽板の長さを次第に長くするのが好ましい(図1参照)。なお、遮蔽板の材質は、熱固定装置内での熱膨張を考慮するとプレナムダクトと同一の材料を用いるのが好ましいが、熱固定装置の温度に耐えることができ、かつ、フィルムを汚したり、フィルムを粘着させたりしないものであれば、特に限定されるものではない。また、遮蔽板によるフィルム端縁部の熱収縮率差を本発明の程度に抑えるためには、遮蔽板の数は多い方が好ましく、15枚以上にすることが望ましい。
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断(中間ゾーンの設置)
二軸延伸共重合ポリエステル系樹脂フィルムロールは、通常、上記したように縦・横延伸された後に、熱固定処理されることによって製造されるが、本発明のフィルムロールの製造においては、縦・横延伸されるゾーンと熱固定処理される熱固定装置との間に、積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンを設置し、延伸ゾーンと熱固定装置との間において完全に加熱の遮断を行うのが好ましい。より具体的には、延伸ゾーンおよび熱固定装置をフィルム製造時と同一条件に調整し、その状態で延伸ゾーンと熱固定装置との間において、短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンおよび熱固定装置の熱風を遮断するのが好ましい。なお、そのように積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンは、ハウジングによって囲われていても良いし、連続的に製造されるフィルムが露出するように設けられていても良い。かかる中間ゾーンにおける熱風の遮断が不十分であると、熱固定装置中における遮蔽板による遮蔽効果が不十分なものとなり、後加工時における良好なフィルムの通過性が得られないので好ましくない。
上述した通り、上記した(1)〜(3)までの方法を採用することにより、熱固定装置における「熱風の循環」がスムーズに実行され、「温度のハンチング現象」を抑えることが可能となり、その結果、幅方向の端部際で長手方向の緩和を十分に促すことができ、「長尺のフィルムにおける通過性」や「後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性」を改善することが可能となる。なお、上記説明においては、プレナムダクトを設置した熱固定装置において「熱風の循環」をスムーズに実行させて「温度のハンチング現象」を抑える方法を示した。上記説明は、生産レベルにおいて如何にフィルムに熱エネルギーを付与すれば本発明のフィルムロールが得られるか、という技術的思想を開示したものであるが、当業者であれば、かかる技術的思想を上記した方法と異なった方法により容易に実施することができ、異なった方法で本発明のフィルムロールを得ることができる。すなわち、別のタイプの熱固定装置であっても、「熱風の循環」をスムーズに実行させて「温度のハンチング現象」を抑えた上で、幅方向の端部際で長手方向に十分に緩和させるに足る熱エネルギーをフィルムに付与することにより、本発明のフィルムロールの如く「長尺のフィルムにおける通過性」や「後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性」の改善されたフィルムロールを得ることが可能である。
なお、本発明のポリエステル系樹脂フィルムのヘーズと表面粗さ、つまりフィルムのすべり性を両立させるためには、特に前段部と後段部の熱固定ゾーンの温度設定が重要である。好ましい熱処理温度の態様は以下の通りである。前段部の熱処理温度は、後段部の熱処理温度の−5℃〜−30℃、下限値は好ましくは−10℃、上限値は好ましくは−25℃である。後段部の熱処理温度は、フィルム材料を押出機で押出した後の混合物をDSCにおいて測定した場合の融点の−5℃〜−35℃の範囲で行う。下限値は好ましくは−10℃、上限値は好ましくは−30℃である。このような条件を取ることにより、ヘーズが低く、すべり性が良好なフィルムが得られる。
その理由は、以下のようなものと考える。本発明のような共重合成分が5〜50モル%程度含まれるポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどに比較して結晶化速度が遅く、また結晶性が低い。そのため、延伸終了後に急激に高温で熱処理をすると、熱処理ゾーンにおいて結晶性の低い材料を構成する分子の運動性が高くなる。よって、延伸工程において粒子(フィルム中の粒子かつ/またはコーティング層の粒子)が隆起することにより形成された表面突起が、熱処理ゾーンにおいて再び埋没してしまうために、十分な表面粗さを得ることができない。それゆえ、フィルムをきれいに巻き取るためには、粒子の含有量を必要以上に増加させることになり、ヘーズが低下する原因になる。一方、後段部の熱処理温度を所定の温度より低くすると、150℃における熱収縮率が十分低いフィルムが得られなくなる。
よって、熱処理温度を上記態様にすることにより、前段部の熱処理温度において粒子がフィルム内部に埋没する前に、ある程度フィルムの結晶化を促進させておいて、さらにTS2ゾーンにおいて十分に温度を上げても、前項の状態に比べれば十分分子の運動性は低下しており表面の突起を形成したまま、さらに結晶性を促進させ、熱収縮率の低いフィルムが得られる。また、必要以上の粒子の添加を防ぐことができる。
一般に、面配向度を下げる手段としては延伸倍率を下げる方法と共重合成分の配合量を増加させる方法が知られているが、前者の方法はフィルムの厚み斑が悪化し、後者の方法ではフィルムの融点が低下し、耐熱性が悪化するため好ましくない。本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度と150℃の熱収縮率を小さくするために、通常よりも高温で熱固定を行う。
また、二軸配向ポリエステルフィルムとして共重合ポリエステルを用いる場合、樹脂融点が均一重合体に比して低いため、熱固定温度を高くすると、横延伸工程でフィルムを保持するクリップにフィルムが剥離しにくくなる。したがって、テンター出口でクリップがフィルムを開放するときにクリップ近傍を充分に冷却することが重要である。具体的には、フィルムとクリップとを剥離しやすくするために、(1)クリップが加熱されにくいように、クリップ部分に熱遮蔽壁を設ける方法、(2)クリップ冷却機構をテンターに付加する方法、(3)冷却能力の強化を行うために熱固定後の冷却区間を長く設定し、フィルム全体の冷却を十分行う方法、(4)冷却区間の長さ、区画数を増やすことで、冷却効率を増加させる方法、(5)クリップの戻り部分が炉の外側を走行するタイプを用いてクリップの冷却を強化する方法、などを採用することが好ましい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)固有粘度
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(2)樹脂のガラス転移温度(Tg)および融点(Tm)
融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の一次昇温時に検出される融解時の吸熱ピークのことである。示差走査熱量分析装置(マックサイエンス社製、DSC3100S)を用いて、各実施例の条件で押出した樹脂約7mgをサンプルパンに入れ、パンのふたをし、窒素ガス雰囲気下で室温から300℃に20℃/分の昇温速度で昇温して測定した。融点(Tm:℃)はJIS−K7121−1987、9・1項に基づいて、ガラス転移温度(Tg:℃)は同9.3項に基づいて求めた。
(3)フィルム厚み
厚み計測器(ファインリューフ社製ミリトロン)ミリトロンを用い、1ロールあたり15点を測定し、その平均値を求めた。
(4)Δnabの測定
各試料切り出し部から切り出された各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率、および、巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向(すなわち、上記した45度の角度をなす方向と90度の角度をなす方向)の屈折率をそれぞれ測定した。そして、それらの2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとして算出した。フィルムロールの両端縁部についてΔnabを測定し、いずれか大きい方を本発明のΔnabとした。
(5)フィルムの熱収縮率
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き終わりから、フィルムの巻き長を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けるとともに、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けることによって、1本のフィルムロールについて合計10個の試料切り出し部を設けた。各切り出し部について、フィルムロールの左右の端縁部(端縁から50mm以内の部分)から、フィルム巻き取り方向にそって、幅20mm、長さ250mmの試料フィルムを切り出し、左端縁部、右端縁部それぞれにつき10個の試料フィルムを得た。各試料フィルムに200mm間隔で標線をしるし、150℃に調節した加熱オーブンに入れ、JIS C−2318に準拠して、熱収縮量の測定を実施した。
(6)フィルムの通過性
熱処理加工でのフィルムの平面性を下記方法により評価した。熱処理工程として、2本のロールの間隔が1,900mmであるコーターを用い、温度を100℃あるいは150℃、炉内張力を100Nに設定した。次いで、ロール間隔が2,000mmになるよう2本のロールを水平に配置し、さらに2本のロールの中央位置に、ロール上面の共通接線から30mm下の位置に上面が位置されるように鉄棒を配置した。熱処理工程を通過させたフィルムを98Nの張力下で2本のロール間を通過させた。フィルムを通過させた際に、鉄棒にフィルムが接触しない場合は○とし、鉄棒に接触した場合には×とした。これらの工程は連続して行ない、フィルムが鉄棒に接触したか否かの確認は目視にて行った。
[実施例1]
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、かつ平均粒子径(SEM法、以下同じ)が2.7μmのシリカ(富士シリシア社製サイリシア310P)を0.04質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に90℃で3.3倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムをテンターに導き、120℃で10秒間予熱し、横延伸の前半部を110℃、後半部を100℃で3.9倍延伸した。さらに、横方向に7%の緩和処理を行いながら、後述する方法により熱固定処理を行った。これをロール状に巻き取ることによって、厚さ100μmで幅3,300mmのフィルムを6,500m巻き取った二軸配向ポリエステルフィルムロール(ミルロール)を作製した。そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去し、残りの部分を幅方向に等間隔に3つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層(巻き終わり部分)から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの6本のスリットロールを得た。上記の如く得られた6本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルム及びフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
[熱固定処理]
上記熱固定処理は、図3の如き構造を有する熱固定装置にて行った。熱固定装置は第1〜4ゾーンという4個の熱固定ゾーンに区切られている。第1〜3ゾーンには、それぞれ、8個ずつのプレナムダクトa〜xが設けられており、第4ゾーンにも、8個のプレナムダクトが設けられている。各プレナムダクトは、フィルムの進行方向に対して垂直となるように、フィルムの進行方向に対して400mm間隔で上下に設置されている。そして、それらのプレナムダクトの熱風吹き出し口(ノズル)から延伸されたフィルムに熱風が吹き付けられるようになっている。なお、クリップの戻り方法として外部リターン方式を用い、かつクリップ冷却装置を設置し、さらに20℃の冷風で強制冷却し、テンター出口でのクリップ温度を40℃以下とするクリップ融着防止対策を行った。
実施例1においては、a〜oの15本のプレナムダクトの熱風吹き出し口に、不連続な棒状の遮蔽板S,S・・を、図2の如き態様で取り付けた。プレナムダクトa〜oの熱風吹き出し口に遮蔽板S,S・・を取り付けた熱固定装置を上から見た様子を図4に示す。取り付けられた各遮蔽板S,S・・の長手方向の中心は、熱固定装置を通過するフィルムの幅の中心と略一致するように設定されている。また、各遮蔽板S,S・・の長さ(製造されるフィルムの幅方向における寸法)は、熱固定装置の入口から出口にかけて次第に幅広になるように(すなわち、末広がりになるように)調整されている。a〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口の遮蔽率(遮蔽板による熱風吹き出し口の遮蔽面積/熱風吹き出し口の面積)を表7に示す。なお、実施例1における遮蔽板による遮蔽態様を「A態様」とする。
また、実施例1においては、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表8の如く調整した。なお、実施例1の熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度条件、風速条件においては、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下になっている。なお、実施例1における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「I条件」とする。
[実施例2]
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位88モル%及びイソフタル酸12モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位100モル%を構成成分とし、平均粒子径2.7μmのシリカ(富士シリシア社製サイリシア310P)を0.05重量%を含有する、固有粘度が0.65dl/gの共重合ポリエステルのチップ(C)と、固有粘度が0.9dl/g((35℃のo−クロロフェノール中で測定)のポリブチレンテレフタレートのチップ(D)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(C)とチップ(D)を55:45の質量比となるように混合した。次いで、実施例1と同様にして無定形の未延伸シートを得た。これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度20℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に70℃で3.0倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムをテンターに導き、80℃で横方向に3.0倍延伸した。さらに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表5に示す各調整値に変更し、横緩和率を3%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ50μmで幅3,300mmのフィルムを6,500m巻き取った二軸配向ポリエステルフィルムロール(ミルロール)を作製した。そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去し、残りの部分を幅方向に等間隔に3つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層(巻き終わり部分)から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの6本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。なお、実施例2における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「II条件」とする。
[実施例3]
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール単位30モル%を構成成分とし、平均粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P150)0.01重量%を含有する、固有粘度が0.71dl/gの共重合ポリエステルのチップ(E)と、平均粒子径0.1μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P10)0.06重量%を含有する、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(F)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(E)とチップ(F)を50:50の質量比となるように混合し、これをB層(スキン層)に用いた。
固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(G)と、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及びネオペンチルグリコール単位30モル%を構成成分とする、固有粘度が0.71dl/gの共重合ポリエステルのチップ(H)と、固有粘度が0.69dl/gのポリプロピレンテレフタレートのチップ(I)と、をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(G)、チップ(H)、チップ(I)を30:30:40の質量比となるように混合し、これをA層(コア層)に用いた。
フィードブロックとTダイを有する共押出し可能な押出し機を用い、B層用樹脂とA層用樹脂を共押出した。層の構成はBABで8:84:8の厚み比率で押出した。これを実施例1と同様にして、無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に88℃で3.3倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃で3秒予熱し、横延伸の前半部を100℃、後半部を95℃で横方向に3.8倍倍延伸した。さらに、熱固定装置の各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける遮蔽板を表4に示す遮蔽率となるように変更し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表5に示す各調整値に変更し、横緩和率を5%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmで幅3,300mmのフィルムを6,500m巻き取った二軸配向ポリエステルフィルムロール(ミルロール)を作製した。そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去し、残りの部分を幅方向に等間隔に3つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層(巻き終わり部分)から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの6本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。なお、実施例3における遮蔽板による遮蔽態様を「B態様」とし、実施例3における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「III条件」とする。
[実施例4]
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位99モル%及びジエチレングリコール単位1モル%を構成成分とし、平均粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P150)0.01重量%と、平均粒子径0.1μmの真球状シリカ粒子(日本触媒社製、シーホスターKE−P10)0.06重量%を含有する、固有粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(K)を乾燥させ、これをB層(スキン層)に用いた。
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位88モル%及び6−ナフタレンジカルボン酸単位12モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位98モル%及びジエチレングリコール単位2モル%を構成成分とする、固有粘度が0.6dl/gの共重合ポリエステルのチップ(J)を乾燥させ、これをA層(コア層)に用いた。
フィードブロックとTダイを有する共押出し可能な押出し機を用い、B層用樹脂とA層用樹脂を共押出した。層の構成はBABで5:90:5の厚み比率で押出した。これを実施例1と同様にして、無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に110℃で3.0倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムをテンターに導き、横方向に120℃で3.8倍倍延伸した。さらに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表5に示す各調整値に変更し、横緩和率を5%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmで幅3,300mmのフィルムを6,500m巻き取った二軸配向ポリエステルフィルムロール(ミルロール)を作製した。そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去し、残りの部分を幅方向に等間隔に3つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層(巻き終わり部分)から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの6本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。なお、実施例4における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「IV条件」とする。
[実施例5]
熱固定装置の各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける遮蔽板を表4に示す遮蔽率となるように変更し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表4に示す各調整値に変更した以外は、実施例1と同様にして10本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。なお、実施例5における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「V条件」とする。
[比較例1]
熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に、一体となった大型の遮蔽板を取り付けた以外は、実施例1と同様にして6本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
[比較例2]

熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける棒状の遮蔽板による遮蔽態様を表4に示すように変更するとともに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表5に示す各調整値に変更した以外は、実施例1と同様にして6本のスリットロールを得た。なお、比較例2における各遮蔽板のフィルム幅方向の長さは、熱固定装置の入口から出口にかけて次第に幅狭になるように調整されている。また、比較例2における遮蔽板による遮蔽態様を「C態様」とし、比較例4における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「VI条件」とする。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
[比較例3]
各プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けることなく熱固定を実施するとともに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表8の如く変更した以外は、実施例1と同様にして6本のスリットロールを得た。なお、比較例3における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「VII条件」とする。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
Figure 2008307809
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実施例1〜4及び比較例1〜3に関しては、使用したポリマーチップの原料組成とポリマー特性を表1に、フィルムロールの樹脂特性および製膜条件を表2に、熱固定処理の条件を表3〜5に、フィルムロールの特性を表6に示す。
[実施例のフィルムの効果]
表4から、実施例のフィルムロールは、いずれも、ロール全幅に亘る熱収縮率の差(すなわち、熱収縮率差)が小さい上、長手方向における熱収縮率の変動量も小さく、後加工時における通過性が良好であり、後加工に適していることが分かる。これに対して、比較例のフィルムロールは、ロール全幅に亘る熱収縮率差が大きい上、長手方向における熱収縮率の変動量も大きく、後加工時における通過性が不良であることが分かる。
本発明の共重合ポリエステル系樹脂フィルムロールは、上記の如く優れた加工特性を有しているため、各種の光学用部材に使用される光学用フィルムやその他の後加工における熱処理を高温ゾーン(160℃程度)にて比較的長時間(10〜60秒)に亘って行う加工用フィルムとして好適に用いることができる。
従来の遮蔽板による遮蔽態様を示す説明図(aは、熱固定装置の一部の鉛直断面を示したものであり、bは、プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けた状態を上から見た状態を示したものである)。 本発明における遮蔽板による遮蔽態様を示す説明図である(aは、熱固定装置の一部の鉛直断面を示したものであり、bは、プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けた状態を上から見た状態を示したものである)。 実施例・比較例で用いた熱固定装置を上から透視した状態を示す説明図である。 実施例1における遮蔽板による遮蔽態様を示す説明図である。
符号の説明
1・・熱固定装置、2・・熱風吹き出し口、3,a〜x・・プレナムダクト、A・・フィルムの進行方向、F・・フィルム、S・・遮蔽板、Z1〜4・・熱固定ゾーン。

Claims (5)

  1. 長さが300m以上8,000m以下で幅が0.7m以上2.2m以下となるようにスリットされたポリエステル系樹脂フィルムを巻き取ってなり、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率と巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異であるΔnabが0.020以上0.080以下であるポリエステル系樹脂フィルムロールであって、
    前記フィルムが共重合ポリエステルを構成成分とする融点が180〜250℃のポリエステル系樹脂からなり、
    フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設け、それらの最初と最終の切り出し部との間を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けることによって、合計10個の試料切り出し部を設けたとき、下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とするポリエステル系樹脂フィルムロール。
    (1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.7%以下であること
    (2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも1.2%以上4.5%以下であること
    (3)前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における片端縁側のHS150の変動量、および、前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における他端縁側のHS150の変動量が、いずれも0.4%以下であること
  2. 巻き取られたポリエステル系樹脂フィルムの厚みが10μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル系樹脂フィルムロール。
  3. 請求項1に記載されたポリエステル系樹脂フィルムロールを製造するための製造方法であって、
    押出機から原料樹脂を溶融押し出しすることにより未延伸シートを形成するフィルム化工程と、そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程とを含んでおり、
    その熱固定工程が、下記要件(4)〜(6)を満たす熱固定装置において行われることを特徴とするポリエステル系樹脂フィルムロールの製造方法。
    (4)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
    (5)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
    (6)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること
  4. 二軸延伸工程がフィルムを縦方向に延伸した後に横方向に延伸するものであるとともに、その横延伸を行うゾーンと熱固定装置との間に、風の吹き付けを実行しない中間ゾーンを設けたことを特徴とする請求項3に記載のポリエステル系樹脂フィルムロールの製造方法。
  5. 熱固定装置が、複数の熱固定ゾーンに分割されているとともに、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように設定されていることを特徴とする請求項3、または請求項4に記載のポリエステル系樹脂フィルムロールの製造方法。
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