本発明に係る体毛処理装置を図1ないし図7に示すロータリー式電気かみそりを例にとって説明する。図1は正面図であり、図2は側面図である。図3は上部構造説明図、図4は各構成要素の分解説明図、図5はパルス波形図であり、図6は全体模式図である。図7は極性を交互に切り換えたパルス波形図である。
前記各図において本実施形態に係る電気かみそりは、横軸まわりに回転駆動可能な内刃20,22と、この内刃20、22に外接する外刃21、23とを有するロータリー式の電気かみそりであって、前記内刃20、22と外刃21、23との組がかみそりヘッド2の前後に配置され、この前後に配置された外刃21、23が電極部となっている構成である。
この電気かみそりの主な構成としては、各種操作スイッチが正面に配設されたグリップ部兼用の本体ケース1と、この本体ケース1の上部に配設されたかみそりヘッド(体毛処理部)2と、本体ケース1の内部に配設され、モータ24に制御部38を介して電流供給を行う電源部としての充電電池39等を有する電装ユニット3とがある。
本体ケース1は、上部拡幅の筒形状であって、前記したように各種操作スイッチ、表示灯を正面(前面)に有し、これら操作スイッチ等の背後のケース内にワンチップマイコン等からなる制御部38を実装した制御回路基板(図示せず)が配設されている構成である。操作スイッチとしては、電源のオン/オフを行う電源スイッチ4と、複数ある駆動モードを変更するセレクトボタン5と、前記電源スイッチ5がロックされるロックつまみ6とがある。また、表示灯としては、駆動モードの状態を示すモードインジケーター7と、ひげセンサーの作動を示すセンサーランプ8と、前記充電電池39の容量を段階的に示す残量表示ランプ9と、充電中か充電完了かを示す充電完了ランプ10とがある。本体ケース1の左右側面には、エラストマー樹脂やゴムからなる滑り止め体30が設けられている。また、本体ケース1の背面(後面)に、使用者が上下にスライド可能なキワゾリつまみ11と、当該つまみ11の上部にキワゾリ刃12とを有している。キワゾリ刃12は、キワゾリ用固定刃12aとキワゾリ用可動刃12bとからなり、キワゾリつまみ11の上部にキワゾリつまみ11とは独立して構成されたキワゾリ刃支持部51に取り付けられている。具体的には、キワゾリ刃支持部51の下面にキワゾリ用固定刃12aを固定し、その下側からキワゾリ用可動刃12bを往復動可能な状態で合わせて、さらにその下から弾性片を有する金属片をキワゾリ刃支持部51に固定することによりキワゾリ用可動刃12bをキワゾリ用固定刃12aに押し付けられた状態、すなわち両者が摺接状態となってユニット化されてなるものである。キワゾリ用固定刃12aはステンレスなどの金属製の板材の縁を鋸状に形成してなり、キワゾリ用可動刃12bは同じようにステンレスなどの金属製の板材の縁を鋸状に形成してなる。つまりキワゾリ刃12は長毛やくせ毛を切断可能な長毛カット刃であり、主にもみ上げなどを整える際に利用する。後述するように短毛カット刃とのコンビ剃りの際は、もみ上げ剃りに利用せず単なる長毛カット刃としてのみ利用する。キワゾリ刃支持部51はキワゾリつまみ11に対して上下動自在となるようにコイルばね等の弾性材により弾性付勢されている。キワゾリ刃支持部51とキワゾリつまみ11は上下動を行わないよう一体で構成されるものであってもよい。キワゾリ刃12は、外刃21、23の長手方向の軸と同じ方向、すなわち左右方向に長く、しかも外刃21、23と同程度の長さを有する。
かみそりヘッド2は、前後に配設された2組の外刃(前外刃21、後外刃23)及び当該外刃に内接する内刃(前内刃20、後内刃22)から成る短毛カット刃と、この内刃20、22に駆動用回転の動力供給源となるモータ24と、かみそりヘッド2の構成要素が配設されたヘッドフレーム25とからなる。このヘッドフレーム25の上部に内刃20、22が支持され、下部にハウジングされたモータ24が配設されている。モータ24は本体ケース1内に配設されるものであってもよい。また、ヘッドフレーム25は、外刃21、23が保形配設される外刃ホルダー26を脱着可能としている。前外刃21、後外刃23の長手方向の軸は何れも左右方向としている。これはひげ剃り方向が主に前後方向であるため、外刃21、23を左右方向に長くとり、ひげ剃り領域巾をかせぐためである。外刃ホルダー26は、前後に配設された2組の外刃21、23および長毛カット刃であるセンター刃27を保持する樹脂製の内ケース26aと、内ケース26aを保持する同じく樹脂製の外ケース26bとに分けて構成する。内外両ケースに分けた理由は、2組の外刃21、23およびセンター刃27の洗浄を行い易くするためである。また2組の外刃21、23およびセンター刃27の交換時に外刃ホルダー全体を交換しないで済むようカセット化したものである。内ケース26aと外ケース26bは分ける必要はなく一体で成形され、2組の外刃21、23が当該ケースに直接装着されるものであってもよい。以上のとおり本実施形態において外刃を保持する部材は外刃ホルダー26である。外刃ホルダー26には、前外刃21と後外刃23との間に、外刃21、23の長手方向の軸と同じ方向、すなわち左右方向に長いセンター刃27が配設されている。このセンター刃27は、固定外刃29と、当該外刃29に内接し往復動可能な可動内刃28とがユニット化されており、外刃ホルダー26に対して上下動自在に配設されている。センター刃27の使用用途とは、主に長毛やくせ毛の切断であり、そのため固定外刃29は、ステンレスなどの金属製の板材をエッチング法により多数のスリットを形成し、その後に塑性変形させて樋体状に形成したものである。つまり、小刃とスリットを交互に形成したスリット型の固定外刃である。可動内刃28は、固定外刃29と同じ方法により形成しており、小刃とスリットを交互に形成したスリット型の可動内刃である。スリットの長手方向は、電気かみそり本体の前後方向、つまりひげ剃り方向と一致させており、長毛をスリット内に導入し易くしている。センター刃27は、上記スリット型の内外刃の他に、例えば左右に長い機軸から前後方向に細い板材を多数突出して成る櫛型の固定外刃29に、左右に長い機軸から前後方向に細い板材を多数突出して成る櫛型の可動内刃28を摺接させたセンター刃27であってもよいし、左右に長い板材の前後端部を鋸状に形成して成る鋸型の固定外刃29に、左右に長い板材の前後端部を鋸状に形成して成る鋸型の可動内刃28を摺接させたセンター刃27であってもよい。また、上記した各種類の固定外刃29と各種類の可動内刃28は自由に組み合わせることができる。要は外刃21、23に比べて長毛、くせ毛の捕毛性が良ければよい。本実施形態におけるセンター刃27の上端は、前外刃21の頂部と後外刃23の頂部を結ぶ仮想線上の位置から1mm程度下方に下がった位置にあるが、外刃21、23の頂部を結ぶ仮想線上にあってもよいし、仮想線から数mm程度上方に上がった位置にあってもよい。いずれにしてもセンター刃27は外刃21、23の周辺の略同一レベル(高さ)に位置しており、且つ外刃21または外刃23の頂部からセンター刃27の上端を結ぶ線における距離が1cm以内の近接した位置にある。センター刃27の左右方向の長さは外刃21、23と同程度である。
内刃20、22は、円柱状の高比重樹脂に複数の金属製の小刃を円柱面に沿ってスパイラル状に形成してなるものである。内刃の長手方向の中央部分には金属製の回転軸が形成され、両端には内刃ギアが配設されている。前内刃の内刃ギアと後内刃の内刃ギアが掛合している終端ギアと同軸に配設されている従動プーリーが無端ベルトを介して原動プーリーから回転を受け、内刃ギアが回転して内刃が横軸まわりに回転する。原動プーリーは、モータ24の出力軸から直接回転を受けるのではなく、複数のギアからなる減速伝動機構を介して回転を受ける。また、モータ24の出力軸の回転を、往復運動変換機構により左右の往復運動に変え、係る往復運動により前記センター刃27の可動内刃28及びキワゾリ刃12の可動刃12bを左右方向に往復駆動している。可動内刃28は内刃20、22が回転しているとき常時往復駆動するが、可動刃12bは、図2に示すようにキワゾリ刃12が下方にある収納位置では、往復動変換機構とは連結しておらず、内刃20、22が回転しているときであっても往復駆動しない。キワゾリつまみ11を指で押し上げ、つまみ11全体を上方にスライド移動してキワゾリ刃12が前外刃21の頂部と後外刃23の頂部を結ぶ仮想線の延長線(接線の延長線)と略一致するところ(図6参照)までくると節度手段によって固定され、これと同時かそれよりも少し前でキワゾリ刃12の可動刃12bが往復動変換機構と連結し、固定された状態で往復駆動することになる。キワゾリ刃12が、図6で示す位置にある場合は、外刃21、23の頂部とキワゾリ刃12の刃先が、上下方向において略同一レベル(高さ)位置(水平位置関係)にあり、外刃21、23の頂部とキワゾリ刃12の刃先とが、かみそりヘッド(体毛処理部)2を体毛処理の対象となる皮膚、例えば頬に押し付けたとき、同時に当接させることができる。これにより外刃21、23とキワゾリ刃12によるコンビ剃りが可能となる。キワゾリつまみ11は節度手段によって固定されているが、キワゾリ刃支持部51は、キワゾリつまみ11に対して、数mm程度上下動自在となるように押し上げ付勢された状態で支持されているため、コンビ剃りの際、キワゾリ刃12を皮膚の凹凸に追随させることができ、皮膚の痛みを緩和することができる。もちろんキワゾリ刃12は、キワゾリつまみ11に対して固定されていてもよい。さらに、ふたたびキワゾリつまみ11を指で押し上げ、つまみ11全体を上方にスライド移動すればキワゾリ刃12の刃先が外刃21、23の頂部を結ぶ仮想線の延長線からさらに上方に離れた位置に移動し、ふたたびキワゾリつまみ11が節度手段により固定される。この状態は、キワゾリ刃12の単独使用を行うために設けられたものである。体毛処理の対象となる皮膚に対して外刃21、23とキワゾリ刃12とが同時当接可能であればキワゾリ刃12の仮想線の延長線から数mm程度上方位置または下方位置にあっても良い。キワゾリ刃12の刃先と外刃23の頂部とを結ぶ線の距離は1cm以上あって近接はしていないが、キワゾリ刃12と外刃23は皮膚に同時当接は可能である。
外刃21、23は、多数の貫通孔により網刃が形成された、ニッケル、ニッケルーコバルト合金、ステンレスなどの金属製のシート材からなり、導電性を有する。本実施形態では、この導電性の外刃21、23をマイナス電極部とし、この外刃21、23の周辺に位置し、何れも長毛カット刃となるセンター刃27とキワゾリ刃12をプラス電極部としている。通電を行うと、センター刃27及びキワゾリ刃12から人体を介して外刃21、23へ向かって電流が流れる。このため、別途、電極部材を設けずに済み、コスト的に有利である。外刃21、23をプラス電極部とし、センター刃27とキワゾリ刃12をマイナス電極部としてもよい。
外刃21、23やセンター刃27とキワゾリ刃12への電流供給はモータ24と同様に制御部38から行われる。この電流供給のラインは、図6に示すように、制御部38から引き出されたプラスリード52とマイナスリード53の2本のリード線となる。マイナスリード53は途中で2本に分岐し、ヘッドフレーム25上の内刃支持部31の前後に配設された本体側プラス金属片32a、32bにそれぞれ接続され、この両金属片32a、32bが外刃ホルダー26の内ケース26aに配設され、外刃21、23と直接当接している外刃側金属片33a、33bと外刃ホルダー26の本体ケース1(ヘッドフレーム25)への装着時に接続するよう構成されている。一方、プラスリード52も途中で2本に分岐しており、図6に示すように1つがセンター刃27と接続され、もう1つがキワゾリ刃12と接続されている。センター刃27に接続されているプラスリード52は、詳しくは、図3に示すように、ヘッドフレーム25の上部に配設された本体側金属片54と接続され、この金属片54が外刃ホルダー26の内ケース26aに配設され、センター刃27の固定外刃29と直接当接しているセンター刃側金属片55と外刃ホルダー26の本体ケース1(ヘッドフレーム25)への装着時に接続するよう構成されている。このようにリード線と金属片との構成にしたのは、外刃ホルダー26が本体ケース1から脱着可能であり、外刃ホルダー26装着時に導電可能である構成とすべきだからである。すなわち、全てリード線で構成した場合には、脱着が不可能となるか、脱着が困難となる。また、分岐したもう1つのプラスリード52は、キワゾリ用固定刃12aの縁に直接、ハンダ付けまたはカシメにより接続される。このようにキワゾリ刃12においては、金属片を利用していない。これはキワゾリ刃12が上下にスライド移動するだけで、脱着されるものではないためである。ただ、キワゾリ刃12がスライド移動するため、リード線の長さはキワゾリ刃12が移動できるようある程度の余裕は持たせてある。
制御基板に実装されている制御部38は、各種入力スイッチからの入力を受け、モータ24、表示ランプ、プラス電極部としてのセンター刃27やキワゾリ刃12、マイナス電極部としての外刃21、23への電流供給を制御する。制御部38は、充電電池39の前面に位置し、制御電流の供給源として充電電池39から電流供給を受ける。制御部38は、電源スイッチ4がONしているとき、すなわちモータ24が駆動しているときに、使用者のセレクトボタン5の押下によってモータ24の制御を変え、オートモード、パワフルモード、ターボモードの3つのモードを実現している。オートモードは、ひげの量に応じてモータの回転数を変えるモードであり、高回転数のパワフル状態と、低回転数のマイルド状態とをひげの量に応じて切り替えている。前記パワフルモードは、パワフル状態を固定して維持して動作するモードである。前記ターボモードは、パワフル状態時の回転するより高い回転数で動作するモードである。制御回路は現在どのモードにあるかを記録し、次回起動時には前回終了時のモードから開始される。前記セレクトボタン5の押下の度に、オートモード、パワフルモード、ターボモードと繰り返し変移する。
前記各モードの表示ランプの表示形態は、オートモードにおいてはパワフル状態時にモードインジケーター7が濃い青色に点灯し、マイルド状態時にモードインジケーター7が淡い青色に点灯し、どちらの状態であってもセンサーランプ8が点灯する。パワフルモードにおいては、センサーランプ8は消灯し、モードインジケーター7が濃い青色に点灯する。ターボモードにおいては、同様にセンサーランプ8は消灯し、モードインジケーター7がオレンジ色に点灯する。
電源スイッチ4を一回押すとその背後にあるタクトスイッチが押されて駆動開始の信号が制御部38に送出される。この開始信号により制御部38はモータ24に電流を供給しモータ24を駆動させる(電源スイッチのON状態)。また、制御部38は、モータ24の駆動と同時に、プラス電極部となっているセンター刃27、キワゾリ刃12と、マイナス電極部となっている外刃21、23に電圧を印加する。このときの印加電圧は5Vで、流す電流は0.2mAである。
この電圧の印加の仕方は、連続で印加したものでもよいし、パルス状に印加したものであってもよい。本実施形態ではセンター刃27、キワゾリ刃12に、図5に示すようなパルス状のプラス電圧を印加している。
次に、本実施形態に係る電気かみそりの動作について説明する。電源スイッチ4をONにすることで、制御部38は記録している前回終了時のモードを読み出し、モータ24を回転駆動させる。モータ24が回転することで、モータ24の出力軸が回転し、減速伝動機構を介して原動プーリーが回転し、無端ベルトを介して従動プーリーが回転し、この従動プーリーの同軸の終端ギアが回転し、終端ギアの回転を受け掛合している内刃ギアが回転し、内刃20、22が横軸まわりに回転する。上述したように、モータ24の出力軸の回転を、往復動変換機構を介して往復運動に変え、かかる往復運動により前記センター刃27を駆動している。この内刃20、22の回転中に、キワゾリつまみ11を使用者が押し上げた場合には、センター刃27への往復運動がキワゾリ刃12に伝動し駆動させることができる。
このように電源スイッチのON状態、すなわちモータ24が回転して、内刃20、22が駆動している状態で、プラス電極部となっているセンター刃27、キワゾリ刃12と、マイナス電極部となっている外刃21、23に電圧を印加する。このまま、体毛処理(ひげ剃り処理)の対象となる、頬、顎などの局所に体毛処理部であるかみそりヘッド2を押し当てることにより、自然に、プラス電極部とマイナス電極部が皮膚に同時に当接して、ひげ剃りを行いながら、汚れを回収できる。具体的には、キワゾリ刃12が押し上げられていない状態のときは、後側から順に外刃23、センター刃27、外刃21と配列しているため、後側方向にかみそりヘッド2が移動されると、マイナス電極部となる外刃23で、先ず汚れをマイナスに帯電し、次にその箇所に移動してくる、プラス電極部となるセンター刃27によってそのマイナスに帯電した汚れを電気的に引き寄せ、固定外刃29のスリットを介して、往復駆動される可動内刃28によって固定外刃29の内方に回収する。このとき、一部の汚れはセンター刃27によってプラスに帯電する。そして、次にその箇所に移動してくる、マイナス電極部となる外刃21によってプラスに帯電した汚れを電気的に引き寄せ、外刃21の貫通孔を介して、その内部で回転駆動する内刃20によって外刃21の内方に回収する。かみそりヘッド2を後側方向とは逆に前側方向に移動した場合は、上記と逆の作用となる。最終的に、センター刃27によってプラスに帯電した汚れを、マイナス電極部となる外刃23によって電気的に引き寄せ、外刃23の貫通孔を介して、その内部で回転駆動する内刃22によって回収する。この電気かみそりでは、以上のような汚れ回収動作と並行して通常のひげ剃りが行われるものであるが、皮膚への通電を利用して効果的に毛穴の汚れを取り除くことができ清潔な皮膚とすることができるため、例えば毛穴の菌の繁殖を抑制でき、吹き出物ができ難くなる。このためひげ剃り時の痛みの予防にもなる。また、体毛処理(ひげ剃り処理)の対象となる皮膚にプラス電極部とマイナス電極部を同時に接触させ通電できるため、起毛筋への電気的刺激箇所が広くなり、起毛効果が向上する。つまり、起毛後のひげ剃りが効果的に行える。起毛筋へ通電を行うことにより、ひげが起き上がり、そこをすかさず短毛カット刃や長毛カット刃によりせん断(切断)できるため、深剃りや早剃りが可能となる。また、皮膚に通電することにより、制菌効果があり、より一層菌の繁殖を抑制できる。また、イオン導入器と比べ、電気かみそりは患部との接触時間が短いが、少なくとも1つのプラス電極部とマイナス電極部となる2つの前外刃21、後外刃23を構成することで短い通電時間を補うことができる。
一方、キワゾリ刃12が押し上げられ、外刃23の周辺の、外刃23と略同一レベル位置にキワゾリ刃12がある場合は、後側から順にキワゾリ刃12、外刃23、センター刃27、外刃21と配列しているため、皮膚に押し当てた状態で後側方向にかみそりヘッド2を移動すれば、先ずプラス電極部となるキワゾリ刃12で、長毛をせん断(切断)しながら皮膚の汚れをプラスに帯電させることができる。次にその箇所に移動してくる、マイナス電極部となる外刃23でプラスに帯電した汚れを引き寄せ、外刃23の貫通孔を介して内刃22により汚れをかき取り外刃23の内方に回収する。これと同時に短毛はせん断(切断)され、汚れと同様に外刃23の内方に回収する。このとき一部の汚れはマイナスに帯電しており、次にその箇所に移動してくる、プラス電極部となるセンター刃27によってそのマイナスに帯電した汚れを電気的に引き寄せ、固定外刃29のスリットを介して、往復駆動される可動内刃28によってかき取り固定外刃29の内方に回収する。これと同時にキワゾリ刃12にせん断(切断)されなかった残った長毛がせん断(切断)され、汚れと同様に固定外刃29の内方に回収する。このとき、一部の汚れはセンター刃27によってプラスに帯電する。次にその箇所に移動してくる、マイナス電極部となる外刃21によってプラスに帯電した汚れを電気的に引き寄せ、外刃21の貫通孔を介して、その内部で回転駆動する内刃20によってかき取り外刃21の内方に回収する。これと同時に短毛はせん断(切断)され、汚れと同様に外刃21の内方に回収する。かみそりヘッド2を後側方向とは逆に前側方向に移動した場合は、上記と逆の作用となる。このように、ひげ剃り方向(前後方向)にかみそりヘッド2を移動した際、左右方向に長いプラス電極であるセンター刃27、キワゾリ刃12により広範囲にプラス電圧を印加することができ、また、左右方向に長いマイナス電極である外刃21、23により広範囲にマイナス電圧を印加することが可能となる。
なお、本実施形態に係る電気かみそりは、外刃21、23には、リード線や金属片を使用して電圧を印加させたが、内刃20、22を介して、外刃21、23に電圧を印加することもできる。つまり内刃20、22を電流供給部材として機能させる。具体的には、本体側プラス金属片32a、32b及び外刃側金属片33a、33bを形成することなく、例えば、内刃20、22の回転軸の端部を弾性金属片で受けて、この弾性金属片と制御部38から引き出されたリード線と接続することで実現することができる。或いは、回転軸を回転自在に受ける金属製の軸受けと先のリード線を接続することでも実現できる。ロータリー式電気かみそりの内刃は、金属製の回転軸と金属製のスパイラル状の小刃を樹脂にインサート成形して構成されており、また回転軸の側面と小刃の下端が接触しているので、内刃20、22の小刃を介して、外刃に電流を供給することができる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、前外刃21、後外刃23の両方にマイナス電圧を印加したが、いずれか一方のみに電圧を印加した構成であってもよい。また、センター刃27、キワゾリ刃12の両方にプラス電圧を印加したが、いずれか一方のみに電圧を印加した構成であってもよい。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、前外刃21及び/または後外刃23をマイナス電極部として利用しているが、外刃21、23を電極部とせずに、前外刃21及び後外刃23を保持する外刃ホルダー26、つまり、内ケース26a及び/または外ケース26bの、少なくとも上表面(ひげ剃り対象の皮膚と当接する表面)にマイナス電極部を形成したものであってもよい。マイナス電極部の形成の仕方としては、例えば、内ケース26a及び/または外ケース26b自体をチタンで構成し、制御部38から延出されるリード線とこの内ケース26a及び/または外ケース26bと接続するやり方や、コストの面を考慮して、内ケース26a及び/または外ケース26bの少なくとも上表面に金、プラチナ、チタンなどの不動態金属をメッキ、蒸着等により被覆し、制御部38から延出されるリード線とこの被覆部分とを接続するやり方などがある。また、内ケース26a及び/または外ケース26bをマイナス電極部として利用する場合は、両ケース26a、26bの成形時に、前外刃21の頂部と後外刃23の頂部を結ぶ仮想線の延長線まで延出するリブを一体成形し、このリブに上記した金、プラチナ、チタンなどの不動態金属を被覆する方が、皮膚に通電しやすく好ましい。リブは、外刃ホルダー26の上面の前側又は後側、或いは前後両方であって、外刃21、23の長手方向(左右方向)に長く形成されている。リブは、外刃ホルダー26の前後からさらに延長して外刃ホルダー26の上面の左右にもリブをまわして、外刃21、23を取り囲むように無端枠状に形成してもよい。リブは連続的に形成する必要はなく断続的に形成されてあってもよい。これらリブは後述する棒状体61の概念に含まれるものである。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、リード線及び金属片により外刃21、23及びセンター刃27への電圧印加を可能としたが、導通可能であれば他の構成を適用することもでき、例えば、リード線とプラグ及びジャックによる構成にすることもできる。詳細には、外刃ホルダー26にプラグを形成し、ヘッドフレーム25にジャックを形成し、このジャックにリード線を接続することにより、外刃ホルダー26の本体ケース1への装着状態でプラグがジャックに挿設された状態となって導通可能となる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、バイブレータを備えることもでき、バイブレータの振動によりプラス電極部やマイナス電極部でのクレンジング等の効果を著しく高めることができる。ここで、別途偏心させたおもりを回転させることにより振動を発生させることができるバイブレータを適用することもできるが、内刃20、22の回転をモータの駆動、停止を繰り返して実現することもでき、別途の構成を設けることなく、実現することもできる。また、通常電気かみそりは振動しており、このような通常の振動であっても、クレンジング等の効果を高めることができる。すなわち、このような電気かみそりに電圧印加の構成を適用することは、それだけで一定の効果を有することとなる。また、電気かみそりの構成の中には、振動(音も含まれる)を抑制する構造を採用しているが、このような構造を適用しないことにより、振動を大きくすることができ、クレンジング等の効果を高めることもできる。また、超音波発生素子を外刃21、23や内刃20、22、固定外刃29、可動内刃28、キワゾリ用固定刃12a、キワゾリ用可動刃12bに接続して、これらから超音波振動を発生させるよう構成してもよい。これにより、ひげ剃り効果も向上し、クレンジング効果も高めることができる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、外刃21、23の全面のうち、一部を導通可能とし、他の部分を導通不可とする構成にすることもでき、導通可能な部分に集中的に電圧印加を行わせることもでき、さらに、消費電力の観点からも望ましい。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、外刃の貫通孔の形状については説明していないが、前外刃21の孔に比べ後外刃23の孔を小さく形成することもでき、後外刃23は電圧印加の接触面積が広くなり円滑にクレンジングを実行することができる共に、前外刃21はクレンジング後の皮膚に対して大きな孔でひげを確実に捕え切断することができる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、かみそりヘッド2が首振りしない構成としたが、本体側プラス金属片32a、32bやセンター刃側金属片55に接続するリード線に余裕を持たせて長く構成することで、首振りする構成にすることもできる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、かみそりヘッド2が首振りしない構成としたが、首振り構成とし、首振りをロックした場合にだけ、すなわち、かみそりヘッド2が直立し傾動していない場合だけ、かみそりヘッド2とかみそりヘッド2下の本体ケース1の上部とに配設された金属片が接続状態になるようにし、電圧を印加する構成にすることもできる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、モータ24の駆動と外刃21、23、センター刃27、キワゾリ刃12への電圧印加を同時に行う構成としたが、独立したスイッチを設けて、モータ24の駆動と外刃21、23、センター刃27、キワゾリ刃12への電圧印加を独立して駆動するものとしてもよい。
また、本実施形態に係る電気かみそりが水洗い可能であり、水洗い時にモータ24を駆動させて洗浄する場合にあっては、外刃21、23、センター刃27、キワゾリ刃12に電圧を印加することができないように安全装置を設け、水の接触による外刃21、23、センター刃27、キワゾリ刃12における過電流の発生を防止できるようにすることができる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは前内刃20、前外刃21、センター刃27、後内刃22及び後外刃23の3枚刃の構成となっているが、1つの内刃及び外刃からなる所謂一枚刃の電気かみそりであっても、かかる一枚刃の外刃を電極部とした構成にすることもできる。その場合でも対極となる電極を外刃周辺に設ける必要があるが、それはキワゾリ刃12でもよいし、後述する棒状体、突出体であってもよい。或いは外刃ホルダーを対極となる電極部としてもよい。
以上のとおり、駆動可能な内刃20、22と、内刃20、22に外接する外刃21、23とを有する電気かみそりにおいて、外刃21、23または外刃21、23を保持する部材をマイナス電極部またはプラス電極部の何れか一方とし、外刃と略同一レベルに位置する外刃周辺にその対極となる電極部(外刃または外刃を保持する部材がマイナス電極部であればプラス電極部、外刃または外刃を保持する部材がプラス電極部であればマイナス電極部)を設けたことにより、皮膚に、より確実に微弱電流を供給することが可能となる。外刃21、23または外刃21、23を保持する部材を電極部としているので、別途、電極部材を設けずに済み、コスト的に有利である。外刃21、23または外刃21、23を保持する部材は、ひげ剃り時に確実に肌に触れる部位であるため、皮膚に、より確実に微弱電流を供給することが可能となるものである。特に外刃を電極部とした場合は、広い面積が電極部となるため、クレンジング効果、電気的刺激効果が高まり、早剃りの効果も向上する。なお、プラス電極部では、金属イオンが溶出(金属腐食)するため不動態金属で形成する方が好ましい。不動態金属は一般的にイオン化傾向の小さい金属、例えば金やプラチナであるが、例外としてチタンなどがある。これら金属でプラス電極部のすべてを構成した場合、高価な金属であるためコスト的に負担が大きい。そのため、鉄やステンレスなどの金属或いは樹脂(プラスチック)、セラミックの表面に、メッキ、スパッタリング、蒸着などの方法により金、プラチナ、チタンなどの不動態金属の被膜を形成した電極部とする方が好ましい。これにより、金属イオンが溶出し難くなり、使用者が金属アレルギーによる皮膚炎を起こすのを防止できる。本実施形態の電気かみそりであれば、プラス電極部となるセンター刃27、キワゾリ刃12、厳密にいえば、センター刃27では皮膚と向き合う側に位置する固定外刃29の表面を被覆し、キワゾリ刃12では皮膚と向き合う側に位置するキワゾリ用固定刃12aの表面を被覆する。固定外刃29やキワゾリ用固定刃12aをセラミック製の刃とし、この表面に不動態金属を被膜してもよい。この場合、不動態金属の被膜に制御部38からの電流が供給できるようリード線や金属片を配設しなければならない。また、逆極性に設定した場合は、つまり、外刃21、23をプラス電極部とし、センター刃27、キワゾリ刃12をマイナス電極部とした場合は、外刃21、23の外表面を被覆する必要がある。ただ、外刃21、23をプラス電極部とし、長毛カット刃(センター刃27、キワゾリ刃12)または後述する棒状体や突出体をマイナス電極部とした場合、外刃21、23の表面から金属イオンが溶出することになるが、これを防止するため、外刃21、23の表面に金やチタンで被覆する必要がある。外刃21、23の表面は、長毛カット刃または棒状体または突出体に比べ表面積が大きいため、不動態金属でその表面を被覆した場合、コスト的に不利となる。また、外刃21、23の厚みが0.05mm前後で、キワゾリ用固定刃12a、固定外刃29の厚みは、0、2mm〜0、3mmで、通常外刃21、23よりキワゾリ用固定刃12a、固定外刃29の方が厚みがある。したがって後者の方が強度が高い。そこで、外刃21、23または外刃21、23を保持する部材(外刃ホルダー26)をマイナス電極部とし、表面積が少なく電解腐食による割れの危険性の少ないキワゾリ用固定刃12a(キワゾリ刃12)、固定外刃29(センター刃27)の方をプラス電極部としたうえで、後者側の表面を不動態金属で被覆する方が好ましい。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、センター刃27、キワゾリ刃12を対極となる電極部とするのではなく、対極となる電極部を外ケース26bとすることもできる。つまり、外刃21、23を一方の極性の電極部し、外刃ホルダー26を対極となる電極部としたものである。互いがショートしないように外刃と外刃ホルダー間に絶縁体を設ければ済むからである。具体的には、上記内ケース26aを樹脂などの絶縁体で構成し、それを保持する外ケース26bを真鍮などの金属製とする。そして、ニッケル製の外刃21、23と真鍮製の外ケース26bに制御部38から電流供給ラインを接続し、両者に電圧を印加可能とする。両者の少なくとも皮膚と向き合う面には、上記したように不動態金属で被覆しており、金属イオンが溶出しないよう構成されている。したがって、外刃21、23と外ケース26bは交互に極性を切り換えることができる。図7に示すように極性を数秒ごとに交互に切り換えれば、反対の極性に帯電した汚れを外刃21、23により引き寄せ、回収できる。また、交互に極性を切り換えることにより微弱電流によって皮膚を電気的にマッサージできる。外刃21、23の頂部と外ケース26b(外刃ホルダー26)の最上端は上下方向において同一レベル位置にあり、皮膚に同時に接触させて通電が可能となっている。外ケース26b(外刃ホルダー26)の左右方向端部が最上端となっており、その部分と外刃21、23までの距離は1cm以内であり、近接しているといえる。つまりこの構成によっても、外刃21、23の周辺に対極となる電極部を設けることになり、両電極の皮膚への同時当接を可能としている。前外刃21、前内刃20の組と、後外刃23、後内刃22の組がそれぞれ独立して上下動自在に支持されていれば、外刃21、23は外刃ホルダー26から大きく突出していてもよい。これは、かみそりヘッド2を皮膚に押し当てた際、外刃21、23が沈み込むため、実質的に外刃21、23の頂部と外刃ホルダー26の最上端が上下方向において同一レベル位置となり、プラス・マイナス両電極部の皮膚への同時当接が可能だからである。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、かみそりヘッド2の軸が側面視において、本体ケース1の長手方向の軸と同一方向となっており、前後の外刃21、23の頂部、センター刃27の上端が水平方向(本体ケース1の軸に直交する方向)に同じ高さで並ぶよう構成されているが、例えば本体ケース1の長手方向の軸に対して、かみそりヘッド2の軸が傾斜した状態で本体ケース1に取り付けられている実施形態も考えられ、この場合、かみそりヘッド2が本体ケース1に対して前傾姿勢か、後傾姿勢となる。これについては、前後の外刃21、23の頂部、センター刃27の上端が水平方向(本体ケース1の軸に直交する方向)に同一レベル(高さ)で並ぶよう構成されていないことになる。しかし、傾斜したかみそりヘッド2の軸を上下方向にし、これを基準とすれば、前後の外刃21、23の頂部、センター刃27の上端が水平方向に同じ高さで並ぶことになる。実使用においては、かみそりヘッド2の軸を皮膚に対して垂直に当ててひげ剃りを行うため、上述してきた同一レベル(高さ)の定義はかみそりヘッド2の軸を基準とするものも含むこととする。本体ケース1に対してかみそりヘッド2が前傾姿勢或いは後傾姿勢とする方法としては、本体ケース1の中途から前方或いは後方に屈曲させても実現できる。かみそりヘッド2は本体ケース1に対して固定せずに、上下動自在、左右傾動自在或いは前後傾動自在に取り付けられていてもよい。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、キワゾリ刃支持部51がキワゾリつまみ11に対して一体的に上下スライド移動を行うものであるが、キワゾリつまみ11を上方スライド移動またはプッシュ動作した場合に、キワゾリ支持部51が、本体ケース1の壁面に沿って収納された状態から横軸まわりに約90°回転して略水平に突出する状態になる形態のキワゾリ刃ユニットであってもよい。この場合でもキワゾリ用固定刃を電極として利用する。
なお、特許請求の範囲における「体毛処理部上」とは、体毛処理部にある構成部品(例えばセンター刃)を電極部としたり、体毛処理部にある構成部品(例えば外刃ホルダー)を介して通電専用の電極部(例えば棒状体)を設けたような直接的配置形態のほかに、グリップ兼用の本体ケース1から延出した延出体(例えばキワゾリつまみ)を利用して電極部(例えばキワゾリ刃)を体毛処理部に接近させた、間接的配置形態も含むものとする。また、センター刃27又はキワゾリ刃12は外刃21、23との皮膚への同時当接が可能であれば略同一レベル位置ある必要はない。
(本発明の第2の実施形態)
本発明の体毛処理装置に係る第2の実施形態の電気かみそりについて、図8、図9、図10に基づき説明する。この実施形態の電気かみそりは、第1の実施形態の電気かみそりを基本としているが、前後に配設された2組の外刃(前外刃21、後外刃23)間に配設されたセンター刃27に換えて、細長い電極バー(棒状体)61を配設したものである。電極バー(棒状体)61は、断面円形の棒状のステンレス材などの金属を折り曲げてコ字状に形成してなり、その両端が、外刃ホルダー26の左右端に固定された筒状の浮動支持体62によって支持される。浮動支持体62は、その内部にばね部材(図示せず)が設けられており、電極バー(棒状体)61に固定したリング体(図示せず)の下面を押圧できるようになっている。つまり電極バー(棒状体)61全体が上方に向けて押し上げ付勢されている。これにより、かみそりヘッド2を肌に強く押し当てた場合でも電極バー(棒状体)61が沈み込むことで、肌の痛みを緩和することができる。電極バー(棒状体)61は毛起こし効果があり、早剃りを実現できる。電極バー(棒状体)61は金属を折り曲げてコ字状に形成するものに限らず、プラスチック(樹脂)でコの字に形成した成形品に不動態金属を被覆したものであってもよい。ばね部材を設けずに電極バー(棒状体)61を固定した構造であってもよい。他は先の実施例と同じであるので、図ごと省略していたり、図示している場合でも同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略している。以下の実施例においても同様に扱う。
電極バー(棒状体)61の端部はプラスリード52と接続されており、外刃21、23と直接当接している外刃側金属片33a、33bはマイナスリード53と接続されている(図9参照)。したがって第1の実施形態と同様の作用が得られる。ただし電極バー(棒状体)61での回収効果は第1の実施形態ほど大きくはない。電極バー(棒状体)61の皮膚との接触面となる中央部分を水平に蛇行或いはジグザグ状となるよう連続的に折り曲げれば回収効果は向上する。また、上下方向に蛇行或いはジグザグ状となるよう連続的に折り曲げれば毛起こし効果がより向上する。電極バー61は外刃21、23の長手方向の軸と略同一軸となっており、外刃21、23の左右寸法と同じか僅かに長く設定されている。
電極バー61を、外刃21、23の近接した周辺であって、略同一レベル位置に設けたことにより、電極バー61と外刃21、23とが皮膚に同時当接が可能となっており、これにより確実に微弱電流を皮膚に供給することが可能となる。なお、上述したようにプラス電極部では、金属イオンが溶出(金属腐食)するため不動態金属で形成する方が好ましい。不動態金属は一般的にイオン化傾向の小さい金属、例えば金やプラチナであるが、例外としてチタンなどがある。これら金属でプラス電極部のすべてを構成した場合、高価な金属であるためコスト的に負担が大きい。そのため、鉄やステンレスなどの金属或いは樹脂(プラスチック)、セラミックの表面に、メッキ、スパッタリング、蒸着などの方法により金、プラチナ、チタンなどの不動態金属の被膜を形成した電極部とする方が好ましい。これにより、金属イオンが溶出し難くなり、使用者が金属アレルギーによる皮膚炎を起こすのを防止できる。本実施形態の電気かみそりであれば、プラス電極部となる電極バー(棒状体)61の表面を不動態金属で被覆する。また、逆極性に設定した場合は、つまり、外刃21、23をプラス電極部とし、電極バー(棒状体)61をマイナス電極部とした場合は、外刃21、23の外表面を被覆する必要がある。ただ、外刃21、23をプラス電極部とし、電極バー(棒状体)61をマイナス電極部とした場合、外刃21、23の表面から金属イオンが溶出することになるが、これを防止するため、外刃21、23の表面に金やチタンで被覆する必要がある。外刃21、23の表面は、電極バー(棒状体)61に比べ表面積が大きいため、不動態金属でその表面を被覆した場合、コスト的に不利となる。また、外刃21、23の厚みが0.05mm前後で、電極バー(棒状体)61の直径は、約1.0mmで、後者の方が強度が高い。そこで、外刃21、23をマイナス電極部とし、表面積が少なく電解腐食による割れの危険性の少ない電極バー(棒状体)61をプラス電極部としたうえで、後者側の表面を不動態金属で被覆する方が好ましい。電極バー(棒状体)61は上下動自在に浮動支持する必要はなく、固定構造であってもよい。電極バー(棒状体)61は、断面円形の棒状体に限らず、断面多角形の棒状体であってもよく、平板状の棒状体であってもよい。
図9における符号63、64は、外刃23と電極バー61を通じて皮膚に微弱電流を供給するか、外刃21と電極バー61を通じて皮膚に微弱電流を供給するか、或いは両方同時に通電して皮膚に微弱電流を供給するかを選択するためのトランジスタからなるスイッチである。同スイッチ63、64のベース側に制御部38から電流を流すことにより、スイッチはオンする。スイッチ63、64を同時であり、且つ断続的にオンすることにより、パルス的な刺激を与えながらのシェービングが可能となる。または、スイッチ63がオンのときスイッチ64をオフ、スイッチ63がオフのときスイッチ65をオフ、これを繰り返すような制御を行うことでもパルス的な刺激を与えながらのシェービングが可能となる。内刃20・22の下方にある矢印は、内刃20・22の回転方向を示したものである。
本実施形態では、前外刃21の頂部と後外刃23の頂部を結ぶ仮想線上付近、つまり、略同一レベル位置になるよう電極バー61を設けているが、電極バー61と外刃21、23とが皮膚に同時当接が可能であれば、それにとらわれる必要はない。
また、図10に示すように電極バー(棒状体)61の中途に、電極バー(棒状体)61が上下動した際に、外刃21、23と接触してショートしないように絶縁体63を設けることができる。この絶縁体63は、円筒状のプラスチックで形成されており、電極バー(棒状体)61に挿通して所定の位置で横軸回りに回転可能な状態で支持される。絶縁体63を回転可能に支持することにより、体毛処理(ひげ剃り処理)の対象となる、頬、顎などの局所を通電しながら体毛処理を行うとき、かみそりヘッド2を滑らかに移動させることができる。もちろん電極バー(棒状体)61と外刃21、23との接触を防止さえできれば回転可能に支持する必要はない。
(本発明の第3の実施形態)
本発明の体毛処理装置に係る第3の実施形態の電気かみそりについて、図11、図12に基づき説明する。本実施形態に係る電気かみそりは、棒状体61を外刃21、23間ではなく、第1の実施形態におけるキワゾリ刃支持部51の上面に設けている。この棒状体61は、プラスチック製のキワゾリ刃支持部51に一体成形にて左右方向に長く形成されており、その表面に不動態金属を被覆してこれをプラス電極部としている。センター刃27もプラス電極部となっているが、本実施形態においてはキワゾリ刃12はプラス電極部とはなっていない。マイナス電極部は外刃21、23となっている。上記棒状体61は断面が半円のかまぼこ状となっているが、断面が三角又は四角形状であってもよい。棒状体61はキワゾリ刃支持部51と一体で成形する必要はなく別体であってもよい。或いは、キワゾリ刃支持部51の上面に別体で回転ローラーを設けて、これをプラス電極部としてもよい。これにより、キワゾリ刃12が滑らかに皮膚上を移動できる。本実施形態においても第1の実施形態と同様にキワゾリつまみ11をスライド移動することにより、棒状体61を、外刃21、23の周辺であって、略同一レベル位置に設けることができるので、電極バー61と外刃21、23とが皮膚に同時当接が可能となっており、これにより確実に微弱電流を皮膚に供給することが可能となる。棒状体61は外刃21、23の長手方向の軸と略同一軸となっており、外刃21、23の左右寸法と略同じ寸法に設定されている。
外刃21、23やセンター刃27に汚れを回収する役割を課しているが、本実施形態では、別途、汚れ回収つまみ37を前面側に設け、その上端に円筒状の汚れ回収台36を形成しており、キワゾリつまみ11及びキワゾリ刃12と同様に図11に示される収容位置から図12に示される外刃21、23と同一レベル位置(回収位置)までスライドさせて使用する。汚れ回収台36に合成繊維、不織布、ガーゼなどからなる回収シート55を被せ、無端枠状の固定体56を汚れ回収台36に嵌合装着することにより、回収シート55の上面が固定体56の枠から露呈した状態で固定される。汚れ回収台36、回収シート55、固定体56によって汚れ回収部72が構成される。回収シート55に汚れが溜まった場合は、固定体56を汚れ回収台36から外し、回収シート55を交換すれば、手入れが完了する。このため汚れ回収部72の手入れ(すなわち回収した老廃物等の汚れ清掃)が容易となる。なお、本体ケース1前面に汚れ回収部72を形成したが、センター刃27部分でもよいし、キワゾリ刃12部分であってもよい。
(本発明の第4の実施形態)
本発明の体毛処理装置に係る第4の実施形態の電気かみそりについて、図13に基づき説明する。本実施形態に係る電気かみそりは、内ケース26aまたは外ケース26bの上面に上方に向けて突出する棒状の突出体65を配設している。突出体65はステンレスを折り曲げてくの字状に形成されており、コイルばねなどのばね部材66で上方に押し上げ付勢されている。突出体65の表面に不動態金属を被覆してこれをプラス電極部としている。マイナス電極部は外刃21、23となっている。突出体65自身が導電性を有していれば、その表面を不動態金属で被覆する必要はないが金属イオンの溶出を考慮すれば被覆する方が好ましい。
突出体65は、外刃21、23の左右に1つずつ、折り曲げられた上半部が外向きとなるよう配置されている。外刃ホルダー26の内ケース26aまたは外ケース26b、本実施形態では外ケース26bの上面に貫通口67を形成して、この貫通口67に突出体65を挿通して上下動自在に支持する。突出体65の下端は、外ケース26bに支持されたコイルばね66と接触しており、突出体65全体が上方に押し上げ付勢されている。すなわち、外向き(左右方向)に開いた一対の突出体65・65が、外刃ホルダー26に対して上下動自在に支持されている。突出体65の上端は、通常外刃21、23よりも上方に離れた位置にあるが、かみそりヘッドを体毛処理面(皮膚)に押しつけたときは、押圧力を加えることにより沈み込み、外刃21、23と略同一レベル或るはそれより上方位置となる位置まで下がってくる。ばね部材66により皮膚の痛みを緩和できる。このとき外向きに開いた一対の突出体65・65によって皮膚が引っ張られ早剃り、深ぞりが可能となる。突出体65は1つでも皮膚を引っ張ることができるので、左右のいずれかに1つだけ設けてもよいし、左側に2つ右側に2つなど左右それぞれに複数の突出体65を設けてもよい。突出体65はプラスチックでくの字に形成した成形品に不動態金属を被覆したものであってもよい。突出体65はくの字に形成する必要はなく一文字状に形成しその軸を外刃ホルダー26に対して垂直となるよう配置したものであってもよい。これによっても皮膚の引っ張り作用は得られる。突出体65の上端が、外刃21、23と略同一レベル或るは上方位置であっても外刃21、23と突出体65との同時当接が可能であれば、上下動させる必要はない。このように本実施形態においても、突出体65を、外刃21、23の周辺であって、皮膚への同時当接が可能な位置に設けているので、シェービング時に皮膚に対して確実に微弱電流を供給することが可能となる。
また、本実施形態に係る電気かみそりは、外刃ホルダー26の左右に突出体65を設けてこれを電極部とした構造であるが、外刃21と外刃23の間に突出体65を配置したものであってもよい。つまり、第1の実施形態のセンター刃27に換えて、外刃21と外刃23との間のデッドスペースに、上方に向けて突出した棒状の突出体65を配置する。具体的には、外刃21・23の長手方向と略同寸法の棒状体に複数の突出体65を所定間隔で列設している。そしてこの棒状体が、コイルばねなどのばね部材にて上方に向けて付勢されることで、すべての突出体65が上方に向けて付勢される。この突出体65はプラスチック製であり、その表面に、メッキ、スパッタリング、蒸着などの方法により金、プラチナ、チタンなどの不動態金属を被膜してプラス電極部としている。一方、外刃21と外刃23をマイナス電極部としている。
かみそりヘッド2を皮膚に押し当てシェービングする際、突出体65が皮膚を突っ張りながら、しかしばね部材によって痛みを緩和しながら、外・内刃による切断を行うため、良好な早剃り、深剃りが可能となる。このとき、突出体65は、外刃21と外刃23の間であって、その上端を前外刃21の頂部と後外刃23の頂部を結ぶ仮想線上付近、つまり、略同一レベル位置になるよう設けているので、突出体65と外刃21、23とが皮膚に同時当接が可能となっており、これにより確実に微弱電流を皮膚に供給することが可能となる。コイルばねのばね荷重を弱め、突出体65の上下移動のストロークを大きくとれば、自然状態のときに突出体65の上端が上方に大きく離れて位置していても、皮膚への押し付け時に突出体65の上端が略同一レベルに位置できる構成とできる。また、突出体65は、その上端が前外刃21の頂部と後外刃23の頂部を結ぶ仮想線上付近にあれば、必ずしもばね部材によって上方に向けて押し上げ付勢される必要はない。突出体65は、外刃21と外刃23との間であって外刃長手方向に列設されていれば、棒状体に一体で構成されるものに限らず、1つ1つ単独で外刃ホルダーに取り付けられるものであってもよい。その場合も、ばね付勢の有無は問わない。突出体65はステンレスなどの金属材に不動態金属を被膜したものであってもよい。
上記実施形態では、ロータリー式電気かみそりについて説明したが、本発明はかみそりヘッド2に往復振動子を配した往復式電気かみそりや縦軸回りに回転する内刃をもつ回転式電気かみそりにも適用できる。また、上記実施形態では、前後に配設された2組の外刃(前外刃21、後外刃23)及び当該外刃に内接する内刃(前内刃20、後内刃22)から成る短毛カット刃で構成されているが、一方の外・内刃(例えば前外刃21及び前内刃20)を省略し短毛カット刃を1つの構造としたものであってもよい。そのときはセンター刃27は前後に配設された2組の外刃間のセンターにないので短毛カット刃横の長毛カット刃と表現する。さらにこの短毛カット刃横の長毛カット刃も省略し、きわぞり刃12のみを短毛カット刃の横に配設することができる。或いはきわぞり刃12を省略し、短毛カット刃横の長毛カット刃を配設することができる。何れの構造であっても、外刃または外刃を保持する部材を一方の電極部とし、短毛カット刃横の長毛カット刃或いはきわぞり刃12をその対極となる電極部として、両電極の皮膚への同時当接を可能にしたものである。当然ながら棒状体61、突出体65を含む構造においても、一方の外・内刃を省略した1つの短毛カット刃と組み合わせた構造であってもよい。その場合も当然、外刃または外刃を保持する部材を一方の電極部とし、棒状体61、突出体65をその対極となる電極部として、両電極の皮膚への同時当接を可能にしたものとなる。
(本発明の第5の実施形態)
本発明の体毛処理装置に係る第5の実施形態として、美容などで体毛を取り除くために使用される脱毛器について、図14、図15に基づき説明する。図14、図15は何れも本実施形態に係る脱毛器の斜視図である。本実施形態の脱毛器は、円板状の複数枚の金属製の回転爪40を有し、回転爪40が枢軸されている軸が回転する度に回転爪40を構成する可動爪41、固定爪42のうち可動爪41が回転軸方向に揺動し、可動爪41同士が、又は、可動爪41と固定爪42とが体毛を挟み、挟んだ状態で回転方向に引き抜く構成である。
以上は、回転爪式脱毛器の一般的な構成であるが、本実施形態に係る脱毛器は、可動爪41及び/又は固定爪42をプラス電極部とし、回転爪40の回転軸を支持する支持ケース72の上部に、金属シート75を設けてマイナス電極部としている。もちろん可動爪41及び/又は固定爪42をマイナス電極部とし、金属シートをプラス電極部としてもよい。支持ケース72の上部に金属シート75を設けずに支持ケース72の表面全体或いは一部に不動態金属で被覆して電極部とした構成であってもよい。
グリップ兼用の本体ケース70の前面には、本体ケース70内の回転爪駆動用モータを駆動するスイッチノブ73が配設される。スイッチノブ73をオンすれば回転爪40を回転するとともに回転爪40と支持ケース72の上部の電極部に電圧を印加する。本体ケース70の上部に回転爪40や支持ケース72を含む脱毛ヘッド71が設けられるが、この脱毛ヘッド71は着脱可能となっており、幅の小さな別の脱毛ヘッドや外刃・内刃を有するかみそりヘッドなどに交換可能となっている。この脱毛ヘッド71に上記実施例における棒状体、突出体を設けて電極部としてもよい。一方の電極部である回転爪40と他方の電極部である支持ケース72の上面は、略同一面上に位置しており、両者が皮膚に同時当接が可能となっており、これにより確実に微弱電流を皮膚に供給することが可能となる。何れの電極部も不動態金属で被覆して金属アレルギーの防止を図っている。
本実施形態に係る脱毛器においては、電極部で皮膚をクレンジングし皮膚の汚れが毛穴から取れた状態で円滑に脱毛することもできる。さらに、脱毛器の前面或いは後面上部で脱毛ヘッド71の周辺に図11、図12に示す汚れ回収部を設け、電極部で皮膚をクレンジングし皮膚の汚れが毛穴から取れた状態で円滑に脱毛し、脱毛した皮膚は毛穴が開口した状態となって菌が進入し炎症しやすいが、汚れ回収部にて清潔にすることで菌の進入を防止することができる。